WO2014155914A1

WO2014155914A1 - 回転電機

Info

Publication number: WO2014155914A1
Application number: PCT/JP2014/000307
Authority: WO
Inventors: 博勇中路; 雄一坪井; 米谷　晴之; 拓真笹井; 幸司吉瀬
Original assignee: 東芝三菱電機産業システム株式会社
Priority date: 2013-03-27
Filing date: 2014-01-22
Publication date: 2014-10-02
Also published as: JP2014193011A; US20160079820A1; CN105103414A

Abstract

　円筒状の内孔を有する固定子１２と、この固定子１２の内孔と同心の回転軸１７を有し、外周面が前記内孔の内周面と所定の間隙で対向する回転子１３とを備えた回転電機１１であって、回転軸１７の周囲に設けられた回転子鉄心１８は、その軸方向に複数分割されており、この分割された各回転子鉄心１８内には、その軸方向に貫通する通風孔１９が、回転軸１７の周囲に複数本形成され、かつ、各回転子鉄心の端面間にはスペーサ２２が設けられ、通風孔１９から固定子内孔の内周面との間隙へ通じるダクト２３が形成されている。

Description

回転電機

　本発明の実施形態は、回転子の通風構造を改良した回転電機に関する。

　電動機や発電機等の回転電機における回転子の通風構造として、回転子鉄心を軸方向に複数分割し、この分割部分の端面間を、通風ダクトとして用いたものがある。しかし、回転子に永久磁石を取り付ける構造の回転電機では、上述した通風ダクトを設けることは、高価な永久磁石の使用に無駄が生じてしまう。

　すなわち、永久磁石は通常、長尺状に形成されており、回転子の外周面もしくは外周近くの鉄心内に、その長さ方向が回転子の軸方向に沿うように設けられる。この場合、永久磁石の一部がこの通風ダクト部分にも架かることとなる。永久磁石からの磁力は、この通風ダクト部分では殆ど効かないので、この部分の永久磁石が無駄となる。

　前述のように、永久磁石は高価であることから、永久磁石の使用量を最少限に抑える必要があり、回転子に上述したエアダクトを設けることは得策ではない。しかし、回転子にエアダクトを設けない場合、固定子鉄心の内周面との狭いギャップに風が集中してしまうため、十分な風量が得られなかった。また、上述したギャップ内の風は、固定子鉄心の軸方向複数個所に設けた半径方向に伸びるエアダクトを通して流れるが、ギャップ中に流れる風は、手前のダクトから風が抜けるので、固定子の中央付近では十分に冷却されない問題があった。

　このような通風ダクトを持たない回転子の通風冷却構造として、回転子鉄心のスロット近くに、軸方向に貫通する通風穴を設ける構造が提案されている（例えば、特許文献１参照）。

　また、永久磁石を設けた回転子についても、回転子鉄心の、永久磁石の設置箇所を外れたところに軸方向に貫通する通風孔を設け、この通風孔の長さ方向中間部から、回転子鉄心の外周面に通じる風抜き孔を、回転子鉄心の半径方向に形成した構成が考えられた。

特開２００３－３１９５８８号公報

　上述のように、回転子鉄心に、その軸方向に貫通する通風孔を設け、この通風孔の長さ方向中間部から、回転子鉄心の外周面に通じる風抜き孔を設けた場合、回転子には、その両端部から通風孔内に風が流入する。そして、中間部分から風抜き孔を通って回転子と固定子とのギャップ部分に風が流れ、固定子鉄心の軸方向複数個所に設けた半径方向に伸びる通風ダクトを通して外部に流れる。このため、回転子鉄心内を風の通風により冷却することができる。

　しかし、上述の通風経路を形成するためには、回転子鉄心に、軸方向に貫通する通風孔のほかに、この通風孔毎に、その軸方向中間部に風抜き孔を形成しなければならない。通常、通風孔は回転軸の周囲に複数配置されているため、これら通風孔の数分、回転子鉄心の外周面に通じる風抜き孔をそれぞれ形成しなければならず、回転子の製作に当って多くの工数を必要とする。

　また、これら風抜き孔は、回転子鉄心の軸方向中間部にそれぞれ設けられるので、この部分の鉄心の断面積が低減し、磁束密度が部分的に大きくなってしまう問題が生じる。

　本発明の目的は、上述の問題を生じることなく回転子の鉄心内部を有効に通風冷却でき、しかも、その製作に当って多くの工数を必要としない回転電機を提供することにある。

本発明の一実施形態に係る回転電機の基本構成を示す図である。図１における回転機鉄心の端面形状を示す図である。図１における回転機鉄心部分の平面図である。本発明の他の実施の形態を示す図である。

　本発明の実施の形態に係る回転電機は、円筒状の内孔を有する固定子と、この固定子の内孔と同心の回転軸を有し、外周面が前記内孔の内周面と所定の間隙で対向する回転子とを備えた回転電機であって、前記回転軸の周囲に設けられた回転子鉄心は、その軸方向に複数分割されており、この分割された各回転子鉄心内には、その軸方向に貫通する通風孔が、前記回転軸の周囲に複数本形成され、かつ、前記各鉄心の端面間にはスペーサが設けられ、前記通風孔から前記固定子内孔の内周面との間隙へ通じるダクトが形成されていることを特徴とする。

　上記構成によれば回転子の鉄心内部を有効に通風冷却でき、しかも従来の風抜き孔の加工を必要としないことから、部分的な磁束密度の増大を生じることはなく、さらに、製作工数を低減することができる。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。

　図１は、電動機や発電機などの回転電機１１の基本構成の上半部分の概略を示す図である。図１において、回転電機１１は、円筒状の内孔を有する固定子１２と、この固定子１２の内孔内に回転可能に設けられた回転子１３とを有する。固定子１２は、円筒状の固定子鉄心１４（図１では円筒の上部断面のみ図示）の内周面（図示下面）に開溝する図示しない軸方向に沿うスロットを有し、このスロット内には固定子巻線１５が設けられている。また、この固定子鉄心１２には、軸方向の複数個所に半径方向に沿う通気ダクト１６が形成されている。

　回転子１３は、上述した固定子１２の内孔と同心の回転軸１７を有し、この回転軸１７の周囲には回転子鉄心１８（図１では上部断面のみ図示）が一体的に設けられる。この回転子鉄心１８は円柱形を成し、その外周面が、固定子１２の内孔の内周面と所定のギャップで対向する。また、回転子鉄心１８は、図１及び図３で示すように、その軸方向に複数分割（図の例では２分割）されている。これら分割された各鉄心１８Ａ，１８Ｂ内には、その軸方向に貫通する通風孔１９Ａ，１９Ｂが、図２で示すように、回転軸１７の周囲に複数本形成されている。

　ここで、この実施の形態で例示した回転電機１１は、回転子１３に永久磁石２１を設けたものであるが、永久磁石を持たない構造であってもかまわない。永久磁石２１を設ける場合、永久磁石２１は、図２で示すように各回転機鉄心１８Ａ，１８Ｂ内の外周面近くに一体的に埋め込まれている。この永久磁石２１は、図２で示す矩形の端面を有し、各回転機鉄心１８Ａ，１８Ｂの軸方向の全長に渡って埋め込まれている。

　また、各回転機鉄心１８Ａ，１８Ｂの、図３で示す互いに対向する端面間には、スペーサ２２が設けられている。このスペーサ２２は、図２で示すように、回転機鉄心（１８Ａとして説明するが１８Ｂでも同じ構造である）の端面に開口する複数（図の例では４個）の通風孔１９Ａ毎に、それらが位置する端面領域を区分するように放射状に設置されている。このスペーサ２２によって区分された空間は、対応する通気孔１９Ａからの空気を半径方向に案内し、固定子鉄心１４の内周面との間隙へ流すダクト２３として機能する。

　ここで、永久磁石２１を設ける場合、永久磁石２１は、図1で示すように、回転機鉄心１８Ａ，１８Ｂ毎に設けられており、これら回転機鉄心１８Ａ，１８Ｂ間に形成されるダクト２３の部分には存在しない。

　上記構成において、回転電機１１を運転し、回転子１３が固定子鉄心１４の内孔内で回転すると、周囲の空気は固定子鉄心１４の内周面と、回転子鉄心１８の外周面との間の狭いギャップ内に流れ、図示矢印で示すように、固定子鉄心１４の軸方向複数個所に設けた半径方向に伸びる通気ダクト１６を通して鉄心外部に流れる。また、回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂ内には、その軸方向に貫通する通風孔１９Ａ，１９Ｂが設けられているため、周囲の空気はこの通気孔１９Ａ，１９Ｂ内にも流れる。

　ここで、分割された回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂ間のスペースは前述のようにダクト２３として機能するため、通気孔１９Ａ，１９Ｂに流れる空気は、図１及び図３において矢印で示すように、これらの中間に位置するダクト２３に流れ込む。ダクト２３は、回転子鉄心の外周に通じているので、図１の矢印で示すように、固定子鉄心１４の内周面とのギャップに流れ、さらに、固定子鉄心１４の軸方向複数個所に設けた半径方向に伸びる通気ダクト１６を通して外部に流れる。

　このように、回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂに、その軸方向に貫通する通風孔１９Ａ，１９Ｂを設け、これら回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂ間にダクト２３を設けたので、回転子１３には、その両端部から通風孔１９Ａ，１９Ｂ内に風が流入する。そして、回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂ間に位置するダクト２３を通って回転子１３と固定子１２とのギャップ部分に流れる。さらに、固定子鉄心１４に設けた通風ダクト１６を通して鉄心外部に流れる。このため、回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂ内を、風の通風により有効に冷却することができる。

　上記構成によれば、分割された回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂ間のスペースをダクト２３として用いたので、従来のように回転子鉄心の中央部に複数の風抜き孔を設ける必要はない。したがって、風抜き孔を形成するための工数を削除でき、製作工数を大幅に低減できる。また、回転子鉄心の中央部に複数の風抜き孔空けることによる磁束密度の部分的な増大を生じることはない。また、永久磁石型同期電動機のように回転子鉄心に永久磁石を設ける場合であっても、高価な永久磁石２１は、図1で示すように、回転機鉄心１８Ａ，１８Ｂ部分のみに設けられており、従来のように、永久磁石の一部が通風ダクト部分に架かることはなく、永久磁石の使用量を最小限とすることができ、無駄を省くことができる。

　次に、図４で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、分割された回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂを、それらの軸方向に貫通する通風孔１９Ａ，１９Ｂが、回転軸１７を中心とした円周方向に、互いに所定距離ずれる（スキューする）ように配置している。

　ここで、図３の実施形態の場合、中央のダクト２３において、両側の通風孔１９Ａ，１９Ｂから来た風が干渉するため、ダクト長（図示端面間の距離）を長く取る必要があった。しかし、この実施の形態のように構成すると、回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂがスキューしているため、中央のダクト２３において、左右の通風孔１９Ａ，１９Ｂからの風の干渉が無くなる。このため、図３の構造と比較してダクト長を短く出来る。また、回転子鉄心１８Ａ，１８Ｂに永久磁石２１を設けた場合、各回転機鉄心１８Ａ，１８Ｂの永久磁石２１の位置が互いにずれることによって、スキューの本来の目的であるコギングトルクの低減効果も得られる。これらの結果、永久磁石の使用量を最小に保ちながら、冷却効率が向上し、さらにコギングトルクを抑制できる。

　本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims

　円筒状の内孔を有する固定子と、この固定子の内孔と同心の回転軸を有し、外周面が前記内孔の内周面と所定の間隙で対向する回転子とを備えた回転電機であって、
　前記回転軸の周囲に設けられた回転子鉄心は、その軸方向に複数分割されており、
　この分割された各回転子鉄心内には、その軸方向に貫通する通風孔が、前記回転軸の周囲に複数本形成され、
　かつ、前記各鉄心の端面間にはスペーサが設けられ、前記通風孔から前記固定子内孔の内周面との間隙へ通じるダクトが形成されている
　ことを特徴とする回転電機。
　前記分割された各鉄心は、それらの軸方向に貫通する前記通風孔が、前記回転軸を中心とした円周方向に、互いに所定距離ずれて配置されていることを特徴とする請求項１に記載の回転電機。
　前記分割された各鉄心は、それぞれ軸方向に沿って永久磁石が設置されており、これら永久磁石は、前記鉄心間において、前記回転軸を中心とした円周方向に、互いに所定距離ずれていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の回転電機。