WO2014155743A1

WO2014155743A1 - 鉗子

Info

Publication number: WO2014155743A1
Application number: PCT/JP2013/059766
Authority: WO
Inventors: 健嗣川嶋; 耕太郎只野; 大輔原口
Original assignee: 国立大学法人東京工業大学
Priority date: 2013-03-29
Filing date: 2013-03-29
Publication date: 2014-10-02

Abstract

　本発明は、コンパクトで、洗浄作業及び殺菌作業が行い易い鉗子を提供することを提供すること目的とする。鉗子（Ａ）は、先端側に挟部（１ａ，２ａ）を有し、基端側にリンク部（１ｂ，２ｂ）を有する第１鉗子部材（１）及び第２鉗子部材（２）と、第１鉗子部材（１）及び第２鉗子部材（２）の先端側と基端側との間に配置され、第１鉗子部材（１）及び第２鉗子部材（２）を軸支する支軸（５３）と、第１鉗子部材（１）及び第２鉗子部材（２）を進退することで開閉駆動させる進退部材（４）と、進退部材（４）を進退させる進退駆動機構（６）と、を備えている。鉗子（Ａ）は、支軸（５３）を支持する支持片（５ｂ，５ｂ）を有する筐体（５）と、筐体（５）の基端側に着脱可能に装着されて、進退駆動機構（６）の基端側を支持基端側軸部材（７１）と、を備えている。

Description

鉗子

　本発明は、例えば、内視鏡手術等の外科手術の際に、遠隔操作によって一対の鉗子部材を開閉させることにより、被把持物を把持したり、生体組織を剥離、切断、把持等をしたりするのに利用される鉗子に関する。

　従来、外科手術の際に遠隔操作によって開閉して被把持物を把持する鉗子は、くの字状に折れ曲がった部位を回動自在に軸支された一対の鉗子部材の基端側に、鉗子開閉用のワイヤを取り付けて、そのワイヤを引くことによって、鉗子の先端部の鉗子部材（グリッパ）が開閉駆動して被把持物を把持している。このように、従来の鉗子は、一対の鉗子部材の基端部をワイヤで引っ張って回動させることにより開閉させる機構を使用しているので、被把持物を把持するときに、鉗子部材とワイヤとが略直線上になるため、大きな把持力が得難いという問題点があった。

　鉗子の把持力をワイヤ式鉗子よりも強くしたものとしては、例えば、鉗子に空気圧シリンダを設けて、空気圧シリンダの圧縮空気を利用して一対の鉗子部材を開閉させる鉗子（鉗子部）を備えた力覚提示機能を有する操縦システムが知られている（例えば、特許文献１参照）。

　図５は、特許文献１に開示されている鉗子を示す要部概略斜視図である。図６は、特許文献１に開示されている鉗子を示す要部概略断面図である。
　図５に示すように、特許文献１等に開示されているように、従来の鉗子Ａ１００は、回転自在の棒状の鉗子軸３００の先端部に、鉗子爪保持部２００を介在して一対の鉗子部材１００（鉗子爪）を備えている。鉗子爪保持部２００は、基端部が、鉗子軸３００の先端部に回転自在に連結され、先端部に、回転軸４００によって一対の鉗子部材１００が回転自在に軸支されている。

　図６に示すように、鉗子爪保持部２００は、空気配管２２０から供給された圧縮空気によって前進し、圧縮コイルばね２３０のばね力で後退することによって進退するピストン２４０と、ピストン２４０を進退自在に収納するシリンダ２５０と、から空気圧シリンダ２１０を構成している。
　ピストン２４０は、摺動する外周部にＯリング２６０が嵌め込まれ、軸部に自動復帰用の圧縮コイルスプリング２３０が差し込まれ、先端部に一対のリンク５００が回動自在に連結されている。ピストン２４０は、空気圧とばね力とで進退することによって、リンク５００を介して鉗子部材１００を開閉させる。

　各鉗子部材１００は、くの字状に形成され、その折れ曲がった中央部位が、回転軸４００によってシリンダ２５０から先端部側に延出した一対の支持片２５２に軸支されている。そして、鉗子Ａ１００は、空気圧シリンダ２１０のシリンダ室２７０に空気圧が供給されてピストン２４０が前進し、リンク５００を介して一対の鉗子部材１００が閉じることによって、被把持物を掴む。そして、鉗子Ａ１００は、圧縮コイルばね２３０がばね力によってピストン２４０を押し戻すことにより、リンク５００を介して鉗子部材１００が閉じることで、掴んだ被把持物を放すようになっている。

　ピストン２４０に外嵌されたシール部のＯリング２６０は、シリンダ２５０の内壁に当接した状態に配置されて、ピストン２４０と共に進退移動する。このため、Ｏリング２６０は、シリンダ２５０内を、空気圧が供給されるシリンダ室２７０側のシリンダ領域２８０と、ピストン２４０を自動復帰させる圧縮コイルばね２３０が伸縮してピストン２４０が進退した際に、大気が出入りする大気出入領域２９０と、に区画している。

特開２００８－１４０１８１号公報

　従来のワイヤを引くことによって鉗子部材（グリッパ）が閉じるワイヤ駆動型の鉗子は、手術中にワイヤに血液等が付着した際に、その血液等がワイヤを伝って鉗子の内部に入り込むことがあり、鉗子の内部を洗浄したり、滅菌したりすることが不可欠であった。

　また、鉗子Ａ１００のシリンダ２５０は、ピストン２４０が進退移動することによって、シリンダ２５０の開口部２５１からシリンダ２５０内の大気出入領域２９０に大気が出入りする構造になっている。このため、手術の際に、体液等が大気と共にシリンダ２５０内の大気出入領域２９０に侵入し、そのシリンダ２５０内をピストン２４０の外周部に設けられたＯリング２６０が進退移動するため、シリンダ２５０内のシリンダ領域２８０に体液が浸入するおそれがあった。

　その結果、シリンダ２５０、Ｏリング２６０及び圧縮コイルスプリング２３０も、洗浄及び滅菌処理を行う必要が生じ、運用上、洗浄作業及び殺菌作業が不可欠であり、手間がかかるという問題点があった。

　また、特許文献１に開示されている鉗子Ａ１００は、図５及び図６に示すように、鉗子部材１００を開く方向に駆動させるのに圧縮コイルスプリング２３０のばね力を使用していることによって、設置スペース、所望のばね力及びストロークを確保するために、圧縮コイルスプリング２３０を長くて大型にすることが不可欠である。このため、従来の鉗子Ａ１００は、駆動部全体が長くなり、大型化するという問題点があった。

　また、鉗子Ａ１００は、鉗子部材１００、リンク５００、ピストン２４０等の各部品を回転軸４００や連結軸６００等によって連結して組付ける際に、それらの部材を押圧する圧縮コイルスプリング２３０を圧縮させた状態で組み付ける必要がある。このため、各部材を組み付ける際には、各部材にばね力が負荷された状態で各部材を組み付けなければならないので、組付作業の作業性が悪いという問題点があった。

　そこで、本発明は、前記問題点を解消すべく創案されたものであり、コンパクトで洗浄作業及び殺菌作業が行い易い鉗子を提供することを目的とする。

　上記課題を解決するために、本発明に係る鉗子は、先端側に挟部を有し、基端側にリンク部を有して長手方向に延びる第１鉗子部材及び第２鉗子部材と、前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材の前記先端側と前記基端側との間に配置されて、前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材を回動自在に軸支する支軸と、進退することによって前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材を開閉駆動させる進退部材と、前記進退部材を進退させる進退駆動機構と、を備えた鉗子であって、前記進退部材が進退自在に挿通されると共に、前記支軸を支持する支持片を有する筐体と、前記筐体の基端側に着脱可能に装着されて、前記筐体とで前記進退駆動機構を収納し、該進退駆動機構の基端側を支持基端側軸部材と、を備えていることを特徴とする。

　かかる構成によれば、鉗子は、基端側軸部材が筐体の基端側に着脱可能に装着されていることによって、筐体を、第１鉗子部材、第２鉗子部材が設けられている不潔部である筐体側と、進退駆動機構を収納される清潔部である基端側軸部材との２つに分離させることができる。このため、洗浄作業及び殺菌作業をする場合、筐体側を基端側軸部材から分離することにより、第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材がある筐体側は、長さが短くなるため、洗浄及び殺菌処理作業が行い易くなる。進退駆動機構を収納した基端側軸部材側は、筐体側を分離したことにより、収納空間内が露出するため、洗浄及び殺菌処理作業が行い易くなる。鉗子は、このように分離できるようにしたことによって、鉗子の洗浄作業及び殺菌作業を行い易くして、短時間で効率よく洗浄及び殺菌処理を行うことができる。
　また、鉗子は、第１鉗子部材及び第２鉗子部材がある筐体側を基端側軸部材から取り外して、様々な形状の挟部を有する第１鉗子部材及び第２鉗子部材を備えた筐体側を着脱して、種々の作業に適合した挟部を有する鉗子に容易に交換して使用することができる。
　このため、鉗子は、例えば、挟部の形状がコッヘル鉗子や持針器型鉗子等の形状のものに交換すれば、組織の止血、組織把持、縫合糸の把持等に用いるのに適したものにすることができる。また、鉗子は、例えば、挟部の形状がケリー鉗子の形状のものに交換すれば、血管を掴んだり、止血したりするのに適した形状になり、また、挟部の形状が切断鉗子、ハサミ鉗子、剪刃鉗子の形状に交換すれば、ワイヤの切断や生体組織の切断に使用するのに適したものすることが可能である。その結果、本発明は、鉗子の運用が著しく向上させることができる。

　また、前記進退駆動機構は、流体圧供給源から供給された流体圧の導入及び排出によって膨張及び収縮して前記進退部材を進退させるベローズを備えていることが好ましい。

　かかる構成によれば、鉗子は、ベローズを備えた進退駆動機構を有することによって、ベローズに圧縮空気を供給して膨張させることで、進退部材を介在して第１鉗子部材及び第２鉗子部材の挟部を閉じて、被把持物を把持することができる。
　また、鉗子は、収納空間にベローズを配置したことにより、従来のシリンダの摺動部に使用していたピストン、Ｏリング及び圧縮コイルばねが不要な押圧機構にすることができるため、それらの設置スペースを解消して進退駆動機構の駆動部の長さを短くして、鉗子全体の小型化を図ることができる。

　また、前記ベローズは、前記流体圧供給源から供給された流体圧の導入によって膨張した状態から自然長に収縮するばね力を有する金属製のものから成ることが好ましい。

　かかる構成によれば、ベローズは、流体圧供給源から供給された流体圧の導入によって膨張した状態から自然長に収縮するばね力を有することにより、流体圧で膨張して進退部材を押圧して第１鉗子部材及び第２鉗子部材の挟部を閉じさせることができる。そして、その供給した流体圧をベローズ内から抜くことにより、ベローズ自体が有する自然長に戻るばね力によって収縮状態になり、進退部材を引き戻して，第１鉗子部材及び第２鉗子部材の挟部を開いた位置状態に自動復帰させることができる。
　また、ベローズは、金属製のものから成ることによって、樹脂製ベローズと比較して、肉厚が薄く、長期に亘って強いばね力を維持できるひだ状の蛇腹管に成形することができる。

　また、前記ベローズと前記進退部材とは、着脱可能な連結部によって連結されていることが好ましい。

　かかる構成によれば、鉗子は、ベローズと進退部材とが、着脱可能な連結部によって連結されていることにより、第１鉗子部材及び第２鉗子部材を進退して開閉駆動させる進退部材を、ベローズから分離することができる。このため、鉗子は、洗浄及び殺菌作業をする際に、第１鉗子部材、第２鉗子部材及び進退部材がある側を分離して洗浄及び殺菌をすればよいので、作業性を向上させることができる。
　また、洗浄及び殺菌作業をするときは、ベローズ及び基端側軸部材から分離して小型化された進退部材側（筐体側）の部材と、基端側軸部材の表面側（先端側）のみを洗浄及び殺菌すればよいので、その作業を効率よく行うことができる。

　また、前記連結部は、前記筐体と前記基端側軸部材とを分離させたときに、前記進退部材と前記ベローズとが分離するように構成されていることが好ましい。

　かかる構成によれば、鉗子は、連結部が、筐体と基端側軸部材を分離させたとき、進退部材とベローズとが一緒に分離することによって、鉗子を筐体側と基端側軸部材側とに分離することができる。

　また、前記ベローズは、外周部に伸縮可能な蛇腹部が形成され、前記蛇腹部は、前記筐体の内壁に摺動可能に密接した状態に配置されていることが好ましい。

　かかる構成によれば、ベローズの蛇腹部が、基端側軸部材の内壁に摺動可能に密接した状態に配置されていることにより、このベローズを採用したことによって、収納空間の基端側軸部材側の内壁を完全にシールすることができる。このため、基端側軸部材内に大気や体液や血液等の異物が侵入するのを阻止することができるので、基端側軸部材内部を常に清潔な状態に保つことができるため、収納空間の内部の洗浄及び滅菌処理を行うことを不要にすることができる。

　また、前記筐体と前記基端側軸部材とは、互いに螺合するねじ部が形成され、前記ねじ部の内側には、パッキンが設けられていることが好ましい。

　かかる構成によれば、鉗子は、筐体と基端側軸部材とが互いにねじ部で連結される部位にパッキンを内設したことによって、進退部材が進退移動したときに、ベローズが伸縮してもパッキンが移動しないので、密閉状態を維持することができるため、パッキンよりも基端側軸部材側に血液や体液等の異物が浸入するのを阻止することができる。このため、基端側軸部材は、洗浄及び殺菌処理をする場合、パッキンよりも基端側軸部材側の部分の洗浄及び殺菌処理が不要で、筐体側の表面のみを洗浄及び殺菌処理作業すればよく、作業を効率よく容易に行うことができる。

　また、前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材の前記リンク部と、前記進退部材との間には、先端部が前記リンク部に回動自在に連結され、基端部が前記進退部材の先端部に回動自在に連結された第１リンク部材及び第２リンク部材が介在されていることが好ましい。

　かかる構成によれば、鉗子は、第１鉗子部材及び第２鉗子部材と、進退部材との間に、第１リンク部材及び第２リンク部材から成るリンク機構を設けたことにより、ベローズの膨張による直線移動で、第１鉗子部材と第２鉗子部材が回動されることによって、挟部が開閉駆動して被把持物を把持する把持力を、リンク機構がない鉗子よりも増大させて、強い把持力を得ることができる。

　本発明は、コンパクトで洗浄作業及び殺菌作業が行い易い鉗子を提供することができる。また、鉗子は、被把持物を把持することができる第１鉗子部材及び第２鉗子部材が設けられた筐体を、基端側軸部材に対して着脱可能にして、作業に適合した形状の挟部を有する鉗子に容易に交換することができ、鉗子の運用が著しく向上させることができる。

本発明の実施形態に係る鉗子の一例を示す一部断面を有する要部拡大正面図である。発明の実施形態に係る鉗子の挟部が閉じたときの状態を示す説明図である。鉗子を清潔部側と不潔部側とに分離したときの状態を示す拡大分解断面図である。本発明の実施形態に係る鉗子の変形例を示す一部断面を有する要部拡大正面図である。特許文献１に記載された鉗子を示す斜視図である。特許文献１に記載された鉗子の構造を示す断面図である。

　以下、図１～図３を参照して本発明の実施形態に係る鉗子について説明する。
　なお、便宜上、鉗子Ａにおいて、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２が設置されている側を先端側、ベローズ６２が設置されている側を基端側として、支軸５１が延在する側を左、右として以下説明する。

≪鉗子の構成≫
　図１及び図２に示すように、鉗子Ａは、内視鏡手術等の外科手術の際に、遠隔操作によって第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の挟部１ａ，２ａを開閉させることにより、被把持物を把持したり、生体組織を剥離、切断、把持等をしたりすることが可能である。つまり、鉗子Ａは、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の挟部１ａの形状を変更することにより、被把持物の把持用としても利用することができると共に、生体組織の切断用等としても利用することができる。また、鉗子Ａは、手術支援ロボットのアームの先端機構として用いることが可能である。
　以下、その一例として、被把持物を把持するのに適した形状の第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の挟部１ａ，２ａを備えた鉗子Ａを例に挙げて説明する。

　図２に示すように、鉗子Ａは、先端側に挟部１ａ，２ａを有する第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２と、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２を回動自在に軸支する支軸５１と、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の基端側に連結されたリンク機構３と、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２を開閉駆動させる進退部材４と、進退部材４を進退させる進退駆動機構６と、進退部材４が進退自在に収納される筐体５と、進退駆動機構６の基端側を支持する基端側軸部材７と、進退駆動機構６に流体圧を供給する流体圧供給源６１と、流体圧供給源６１を駆動制御する制御装置８と、流体圧供給源６１及び制御装置８に電力を供給する電源９と、を備えている。

≪第１鉗子部材及び第２鉗子部材の構成≫
　図１に示すように、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２は、例えば、手術時に、縫合針等の被把持物を掴むのに適したいわゆる持針器といわれている把持部材であり、長手方向に延びて形成された金属製部材から成る。第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２は、このほか、結紮及び吻合の外科手術や、血流を止める器具、細いゴム管、軟質プラスチック管や、薄い板や、金属棒を把持するのにも使用することが可能である。第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２は、先端側に挟部１ａ，２ａを有し、基端側にリンク部１ｂ，２ｂを有し、略中央部に支軸５１を挿設するための軸孔１ｃ，２ｃが形成されている。第１鉗子部材１と、第２鉗子部材２とは、略線対称の形状に形成されて、支軸５１を中心として挟部１ａ，２ａが開閉方向（矢印ａ，ｂ方向）に回動して離間、近接する。

　挟部１ａ，２ａは、支軸５１を中心として閉方向（矢印ｂ方向）へ回動された際に、被把持物を掴む部位であり、把持面が正面視して略波形状に形成されている。この挟部１ａ，２ａは、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２において、支軸５１よりも先端側部位に形成されている。

　リンク部１ｂ，２ｂは、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の基端部側の部位であり、リンク機構３の第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２の先端部を回動自在に連結する連結ピン１１，２１を挿入するための貫通孔が形成されている。リンク部１ｂは、連結ピン１１を介して第１リンク部材３１が回動自在に連結されている。リンク部２ｂは、連結ピン２１を介して第２リンク部材３２が回動自在に連結されている。
　軸孔１ｃ，２ｃは、略円柱形状の支軸５１が回動自在に挿入される孔であり、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の前端側と基端側との間に配置されている。

　支軸５１は、筐体５に対して、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２を開閉駆動可能に回動自在に軸支する軸棒部材である。支軸５１は、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の軸孔１ｃ，２ｃに挿入した状態で、筐体５の先端側の外面から先端に向けて延出した一対の支持片５ｂ，５ｂに両端部が保持されている。

≪リンク機構の構成≫
　図１及び図２に示すように、リンク機構３は、進退部材４の直線運動を回動運動に変換して第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２に伝達する伝達部材である。このリンク機構３は、例えば、第１鉗子部材１のリンク部１ｂと、第２鉗子部材２のリンク部２ｂと、第１リンク部材３１と、第２リンク部材３２と、第１鉗子部材１のリンク部１ｂと第１リンク部材３１とを連結する連結ピン１１と、第２鉗子部材２のリンク部２ｂと第２リンク部材３２とを連結する連結ピン２１と、第１リンク部材３１と第２リンク部材３２と進退部材４とを連結する進退部材連結ピン３３と、を備えて構成されている。つまり、リンク機構３は、４つのリンク部材を連結して閉路を構成して成り、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の挟部１ａ，２ａと、進退部材４との間に設けられている。

　リンク機構３は、進退部材４がベローズ６２のばね力によって基端側にあるときに、図１に示すように、第１リンク部材３１とリンク部１ｂを連結した連結ピン１１と、第２リンク部材３２とリンク部２ｂを連結した連結ピン２１とが、互いに近接した内側方向（矢印ｃ方向）に寄り、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の挟部１ａ，２ａを開く方向へ回動させる。
　また、リンク機構３は、進退部材４が、流体圧で膨張したベローズ６２によって押されて先端側にあるときに、図２に示すように、第１リンク部材３１とリンク部１ｂを連結した連結ピン１１と、第２リンク部材３２とリンク部２ｂを連結した連結ピン２１とが、互いに離間した外側方向（矢印ｄ方向）に遠ざかり、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の挟部１ａ，２ａを閉じる方向へ回動させる。

　第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２は、先端部側から基端部側に延びる平板状の部材からなり、先端側の連結ピン２１，２２を挿入するための孔が形成され、基端部側に進退部材連結ピン３３を挿入するための孔が形成されている。第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２は、先端側が、連結ピン２１，２２によって第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２の基端部のリンク部１ｂ，２ｂに回動自在に連結され、基端側が、進退部材連結ピン３３によって進退部材４の先端部に回動自在に連結されている。

≪進退部材の構成≫
　図１及び図２に示すように、進退部材４は、進退駆動機構６によって押圧及び引っ張られて進退移動して、リンク機構３を介在して第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２を開閉駆動させる部材であり、筐体５内に進退自在に挿入されている。進退部材４は、先端側に進退部材連結ピン３３を挿入するための孔が形成され、基端部側にベローズ６２に先端部中央に形成された連結部６２ａに連結される連結部４ａが形成されている。

　進退部材４の連結部４ａとベローズ６２の連結部６２ａは、互いに着脱可能な状態に連結できる連結手段であればよく、例えば、連結部４ａが雄ねじから成り、連結部６２ａがその雄ねじに螺合する雌ねじから成る。

≪筐体の構成≫
　筐体５は、ベローズ６２を膨張及び収縮可能な状態に収納するための収納空間５ａを内部に有するシリンダ形状のケース体であり、図３に示すように、筐体５側と、シース先端部７１側とに分離可能に形成されている。筐体５は、先端側に進退部材４が進退自在に設置されている。筐体５には、支軸５１を支持する支持片５ｂ，５ｂと、シース先端部７１に形成されたねじ部７１ｂに螺合するねじ部５ｃと、が一体形成されている。

　収納空間５ａは、筐体５の内壁と、基端側軸部材７と、シース先端部７１とで形成された中空部であり、略円柱状に形成されている。収納空間５ａ内には、先端部に進退自在に挿通された進退部材４と、基端側に着脱可能に装着されるシース先端部７１と、シース先端部７１内に摺動自在に挿入配置されたベローズ６２と、ベローズ６２に先端が接合された配管６３と、シース先端部７１の開口部７１ａに内嵌される蓋部材７２と、蓋部材７２の内側に設置されたパッキン７３と、筐体５の基端側に設置された基端側軸部材７と、を備えている。

　支持片５ｂ，５ｂは、筐体５から先端側に向けて突出形成された舌片状の部位であり、進退部材４及びリンク機構３が連結された第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２を支軸５１を介在して支持している。このため、図３に示すように、筐体５をシース先端部７１から分離すると、筐体５と、支軸５１と、第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２と、第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２と、連結ピン１１，２１と、進退部材連結ピン３３と、進退部材４とが一体となった１つの鉗子グリッパ部を形成する。

　図１に示すように、ねじ部５ｃは、シース先端部７１の雄ねじから成るねじ部７１ｂに螺合する雌ねじから成る。このねじ部５ｃ，７１ｂは、進退部材４及びベローズ６２の連結部４ａ，６２ａを形成する雄ねじ部及び雌ねじ部のピッチと同じピッチで形成されて、シース先端部７１に対して筐体５を回動させれば、２つの部位が一緒に螺合させて連結したり、分離したりすることが可能になっている。

　シース先端部７１は、筐体５とで進退駆動機構６を収納する１つのケース体を形成するケース半体であり、例えば、円筒状に形成されている。シース先端部７１には、基端部に、蓋部材７２が内嵌される開口部７１ａが形成され、先端部に、前記ねじ部７１ｂが形成されている。シース先端部７１内には、ベローズ６２が伸縮自在に密接した状態に収納されている。

　開口部７１ａ内には、内縁に蓋部材７２が接合され、その蓋部材７２にパッキン７３を介在してベローズ６２が内設されている。
　ねじ部７１ｂは、筐体５のねじ部５ｃに着脱自在に螺合する部位であり、例えば、雄ねじから成る。ねじ部７１ｂとねじ部５ｃとは、互いに螺合するものであれば、どちらが雄ねじであっても、雌ねじであっても構わない。

　蓋部材７２は、シース先端部７１の開口部７１ａに密着した状態に内設される金属製板部材からなり、中央部に配管６３を挿入する設置孔が形成されている。蓋部材７２は、軟質部材から成るパッキン７３と、基端側軸部材７との間に介在されている。この蓋部材７２は、シース先端部７１に一体に形成してもよい。
　パッキン７３は、中央部に配管６３を挿入する設置孔が形成されたゴム製の円板状部材から成り、外周部がシース先端部７１の内壁に密着され、中央部が配管６３に密着した状態に設置されている。
　基端側軸部材７は、配管６３を覆うように内設して保護すると共に、鉗子Ａを支持する鉗子保持部材であり、例えば、曲げることが可能なパイプ形状の部材から成るシースである。基端側軸部材７は、先端側がシース先端部７１の基端側面に隣設され、基端側が流体圧供給源６１に接続されている。

≪進退駆動機構の構成≫
　図２に示すように、進退駆動機構６は、進退部材４を進退駆動させる駆動装置であり、流体圧を生成させてベローズ６２内に流体圧を供給する流体圧供給源６１と、流体圧供給源６１の駆動を制御する制御装置８と、流体圧供給源６１及び制御装置８に電力を供給する電源９と、進退部材４を進退移動させるベローズ６２と、流体圧供給源６１で生成した流体圧をベローズ６２に送ったり、ベローズ６２内の流体圧を排出したりするための配管６３と、ベローズ６２を膨張、収縮可能に収納する収納空間５ａを有する筐体５と、筐体５を支持する保持部材６４と、を備えて構成されている。進退駆動機構６は、鉗子Ａにおいて、先端の第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２に、リンク機構３、進退部材４を介在して進退部材４の基端側に設けられている。

　流体圧供給源６１は、流体圧を生成して、その流体圧をベローズ６２に供給する装置であり、例えば、圧縮空気を生成する圧縮機から成る。なお、流体圧供給源６１は、圧縮空気、油圧等の流体圧を生成するものであればよく、例えば、油圧を生成する油圧ポンプであってもよい。以下、流体圧供給源６１の一例として、この流体圧供給源６１で生成する流体圧が、圧縮機で生成する圧縮空気の場合を例に挙げて説明する。

　流体圧供給源６１は、圧縮空気を生成する圧縮機から成り、鉗子Ａで被把持物を把持するときに、圧縮空気を配管６３を介してベローズ６２内に供給して先端側方向に膨張させることによって、進退部材４を前進させる。また、流体圧供給源６１は、鉗子Ａで被把持物を解放するときに、供給した圧縮空気がベローズ６２から戻されるように構成されている。

　図１及び図２に示すように、ベローズ６２は、流体圧供給源６１から供給された圧縮空気（流体圧）が導入されることによって膨張して、進退部材４を前進移動させる押圧機構として働きと、このベローズ６２内に導入される圧縮空気の供給が停止すれば、元の形状に復帰するばね力で自動的に収縮して圧縮空気を排出させて進退部材４を元の位置に後退させる引き戻し機構としての働きを果たす。

　ベローズ６２は、前記連結部６２ａと、流体圧供給源６１から供給される圧縮空気が導入される中空部６２ｂと、圧縮空気が出入りする出入部６２ｃと、蛇腹形状に形成され蛇腹部６２ｄと、が形成されて、膨張した状態から収縮するばね力を有する厚さの薄い金属製のものから成る。ベローズ６２は、例えば、真鍮系の金属、ニッケル系の金属、あるいは、金メッキを施した金属等から成る。ベローズ６２は、筐体５の収納空間５ａ内に伸縮自在に収納されている。

　連結部６２ａは、ベローズ６２の先端面に形成され、進退部材４の連結部４ａに着脱可能に形成された部位であり、例えば、雌ねじ形状に形成されている。この連結部６２ａと進退部材４の連結部４ａとは、筐体５のねじ部５ｃとシース先端部７１のねじ部７１ｂとを分離させたときに、進退部材４とベローズ６２とが分離するように構成されている。このため、連結部４ａ，６２ａ及びねじ部５ｃ，７１ｂは、シース先端部７１に対して筐体５を回転させれば、同時に分離、連結できるように同じピッチのねじで形成されている。

　中空部６２ｂは、伸縮する蛇腹部６２ｄ内に形成されて、中空部６２ｂ内の出入りすることによって、体積が増減して連結部６２ａの位置を前進及び後退させるように形成されている。
　出入部６２ｃは、配管６３の先端部が外嵌されて接合される孔であり、ベローズ６２の基端側の中央部に形成されている。

　蛇腹部６２ｄは、ベローズ６２の外周部に蛇腹状に形成されて伸縮可能に部位である。この蛇腹部６２ｄは、先端部及基端部方向に伸縮する伸縮部の役目と、連結部６２ａに連結された進退部材４を引き戻すばね部材の役目と、筐体５の内壁に密接しながら摺動するシール材の役目との機能を果たす。蛇腹部６２ｄは、収納空間５ａ内のシース先端部７１側内に伸縮自在に内嵌されて、ベローズ６２が膨張、収縮した際に、蛇腹部６２ｄの外周部全体が筐体５の内壁に摺動可能に密接する状態に収納空間５ａ内に挿入されている。

　図２に示すように、配管６３は、基端側が流体圧供給源６１に供給されて、先端側がベローズ６２に接続されている。配管６３は、例えば、曲げ変形させることが可能なチューブ等から成る。

　制御装置８は、流体圧供給源６１から圧縮空気をベローズ６２に供給する圧縮空気の供給と、ベローズ６２内の圧縮空気の放出と、を制御して鉗子Ａの開閉を制御する装置である。制御装置８は、例えば、流体圧供給源６１に設けられた圧縮空気供給用の電磁バルブ（図示省略）と、ベローズ６２内の圧縮空気を放出する圧縮空気放出用の電磁バルブ（図示省略）と、を制御する。
　電源９は、家庭用電源あるいは蓄電池等から成り、流体圧供給源６１及び制御装置８に電気的に接続されている。

≪作用≫
　次に、図１～３を参照して、本発明の実施形態に係る鉗子Ａの作用を説明する。

＜鉗子を使用していないとき＞
　鉗子Ａは、使用しない場合、図１に示す流体圧供給源６１がＯＦＦ状態で、圧縮空気がベローズ６２に供給されない。このため、ベローズ６２は、それ自身がばね性を有しているので、圧縮空気を抜いたことで自然長に戻るため、図１に示すように、蛇腹部６２ｄ自身のばね力によって自然長の収縮状態に復帰して、連結部６２ａが基端側（矢印ｇ方向側）に寄っている。ベローズ６２に連結されている進退部材４は、第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２を、進退部材連結ピン３３を介して基端側（矢印ｅ方向側）に引っ張って、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２をリンク部１ｂ，２ｂが互いに近接する方向（矢印ｃ方向）に回動させる。このため、鉗子Ａは、使用していないとき、挟部１ａ，２ａが開方向（矢印ａ方向）に回動した縫合針等の被把持物を解放する拡開状態になっている。

＜鉗子で被把持物を把持するとき＞
　鉗子Ａで縫合針等の被把持物を把持する場合は、まず、図２に示す電源９及び流体圧供給源６１をＯＮさせて、流体圧供給源６１で圧縮空気を生成させる。そして、制御装置８から駆動信号が流体圧供給源６１に送られると、流体圧供給源６１に内設された圧縮空気供給用の電磁バルブ（図示省略）を開弁させて、流体圧供給源６１から配管６３を介してベローズ６２内に圧縮空気が供給される。ベローズ６２は、中空部６２ｂ内に圧縮空気が流入することによって膨張し、蛇腹部６２ｄが筐体５の内壁を摺動しながら連結部６２ａが先端部方向（矢印ｈ方向）に前進して進退部材４を押圧する。

　進退部材４は、第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２を進退部材連結ピン３３を介して先端側（矢印ｆ方向側）に押圧して、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２をリンク部１ｂ，２ｂが互いに離間する方向（矢印ｄ方向）に回動させる。このため、鉗子Ａは、挟部１ａ，２ａが閉じる方向（矢印ｂ方向）に回動して、被把持物を把持する状態になる。
　鉗子Ａの閉じる方向（矢印ｂ方向）の回動は、挟部１ａ，２ａが被把持物を把持した状態、または、挟部１ａ，２ａが互いに当接した状態のときに停止する。

＜鉗子で把持している被把持物を放すとき＞
　そして、制御装置８から流体圧供給源６１に被把持物を解放する駆動信号が送られると、流体圧供給源６１内の圧縮空気排出用の電磁バルブ（図示省略）が開弁し、図１に示すように、ベローズ６２内の圧縮空気が、蛇腹部６２ｄのばね力でベローズ６２が収縮状態に戻ることによって、中空部６２ｂ内から配管６３を介して排出される。ベローズ６２は、収縮する際に、蛇腹部６２ｄの外周部が筐体５の内壁面を摺接しながら、先端側の内壁面が中空部６２ｂ内の圧縮空気を配管６３側（矢印ｇ方向側）に押し出す。

　このように、ベローズ６２が復帰するばね力と、筐体５の内壁面に密着するシール材としての機能とを有していることによって、流体圧供給源６１がベローズ６２の圧縮空気を吸引する吸引力や、ベローズ６２を押し戻すばね部材や、ベローズ６２の外周部にシール部材を配置することを不要にして、鉗子Ａの構造を簡素化し、進退方向の長さを短くしてコンパクトにすることができる。

　また、ベローズ６２は、筐体５内において、蛇腹部６２ｄの多数の凸部が筐体５の内壁面に密着しているので、たとえ、収納空間５ａ内に血液等の異物が入り込んでも、ベローズ６２の先端面よりも基端側のシース先端部７１内に侵入するのを阻止することができる。このため、シース先端部７１内は、鉗子Ａを使用後、洗浄処理及び殺菌処理を行うことが不要である。

　進退部材４は、ベローズ６２に引っ張られて基端側に直線移動し、第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２を、進退部材連結ピン３３を介して基端側（矢印ｅ方向側）に引き戻し、第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２をリンク部１ｂ，２ｂが互いに近接する方向（矢印ｃ方向）に回動させる。鉗子Ａは、挟部１ａ，２ａが開方向（矢印ａ方向）に回動し、把持していた被把持物を解放する。

　鉗子Ａは、進退部材４がリンク機構３を押し引きすることによって、第１リンク部材３１及び第２リンク部材３２を介在して第１鉗子部材１及び第２鉗子部材２を回動させるため、リンク機構３により挟部１ａ，２ａの開閉力が増幅されて強い把持力を発揮することができる。このため、鉗子Ａは、挟部１ａ，２ａで被把持物をしっかりと掴んだり、確実に放したりすることができる。

＜鉗子を洗浄及び殺菌処理するとき＞
　鉗子Ａを洗浄及び殺菌処理するときは、図３に示すように、筐体５をシース先端部７１に対して回転させる。すると、ねじ部５ｃ，７１ｂが分離し、ねじで構成された連結部４ａ，６２ａが同時に分離して、鉗子Ａが筐体５側と、シース先端部７１側に分離される。筐体５側は、シース先端部７１側から分離したことにより、全体が短く、小型化されるため、殺菌及び洗浄作業が行い易く、効率的に作業を行うことができる。

　また、筐体５から分離した基端側軸部材７側は、シース先端部７１内がベローズ６２によって体液や血液等の異物の侵入を阻止しているので、清潔部を構成しているため、先端側の表面だけ洗浄及び殺菌処理を行えばよく、洗浄及び殺菌処理作業が行い易い。つまり、筐体５側は、縫合針等の被把持物を把持した際に血液等が付着するなどして不清潔部となっている。このため、不清潔部の筐体５側から切り離した清潔部のシース先端部７１側は、筐体５側の表面のみを洗浄及び殺菌処理すればよい。

＜鉗子の筐体側を交換するとき＞
　また、鉗子Ａは、筐体５側を別のタイプのものに交換すれば、種々の作業に適したものに容易に交換して作業を行うことができる。このため、鉗子Ａは、例えば、血流を止める器具、細いゴム管、軟質プラスチック管や、薄い板を把持して重ねて固定する作業等広い範囲にわたって種々の作業に使用することができ、便利である。

［変形例］
　なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論であり、図４を参照して説明する。なお、すでに説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
　図４は、本発明の実施形態に係る鉗子の変形例を示す要部概略断面図である。

　前記実施形態では、鉗子Ａの一例として、筐体５とシース先端部７１とを着脱自在にした場合を例に挙げて説明したが、鉗子Ａ１の筐体５Ａは、図４に示すように、ベローズ６２を収納する収納空間５Ａａと、ねじ部５Ａｃと、支持片５Ａｂを有し、進退部材４が進退自在に挿通されるものであれば、その形状は特に限定されない。

　筐体５Ａは、例えば、図４に示すように、基端部に形成したねじ部５Ａｃを、基端側軸部材７Ａ（シース）の先端部に形成したねじ部７Ａａに着脱自在に螺合させるようにしても構わない。
　また、筐体５Ａには、この筐体５Ａのねじ部５Ａｃと、基端側軸部材７Ａの端部に形成したねじ部７Ａａとが螺合させたり、離脱させたりする際に、筐体５Ａを回転させるための工具等を係合させる係止孔５Ａｅを形成してもよい。

　この場合、筐体５Ａは、ねじ部５Ａｃの位置を、基端側軸部材７Ａの先端部に形成したねじ部７Ａａに螺合する位置まで基端側に延ばす。筐体５Ａの外周面には、筐体着脱用の工具の凸部(図示省略)に係合する係止孔５Ａｅを複数箇所に形成する。
　また、基端側軸部材７Ａは、例えば、曲げることが可能な略パイプ状の部材から成り、例えば、先端部外側に、雌ねじから成るねじ部５Ａｃに螺合する雄ねじから成るねじ部７Ａａが形成され、先端部内側に、蓋部材７２及びパッキン７３を設置するための凹部７Ａｂが形成されている。なお、基端側軸部材７Ａが肉厚のパイプ状の部材から成るときは、蓋部材７２及びパッキン７３を省略しても構わない。

　このように、筐体５Ａと基端側軸部材７Ａを形成した場合も、筐体５Ａ側を基端側軸部材７Ａ側に対して随時着脱可能であるため、洗浄及び殺菌処理をする場合は、筐体５Ａ側の洗浄及び殺菌処理作業が容易に行うことができる。また、基端側軸部材７Ａ側は、パッキン７３がねじ部５Ａｃ，７Ａａの内側に密着した状態に配置されているので、ベローズ６２の表面のみを洗浄及び殺菌処理すればよく、洗浄及び殺菌処理作業を容易に行うことができる。

　また、本発明の変形例の鉗子Ａ１も、前記実施形態と同様に、ベローズ６２を備えた進退駆動機構６を有することによって、装置全体の小型化及び構造の簡素化を図ることができる。
　また、ベローズ６２の底面部分に圧縮空気を送る配管６３が接続されているが、進退駆動機構６は、その配管６３を押すことができるワイヤ等を用いたものでも構わない。

［その他の変形例］
　前記実施形態では、進退駆動機構６の一例として、流体圧供給源６１から供給される流体圧によってベローズ６２が膨張して進退部材４を押圧させ、ベローズ６２のばね力で進退部材４を元の位置状態に後退させる機構を説明したが、進退駆動機構６はこれに限定されるものではない。
　進退駆動機構６は、進退部材４を先端側に前進、及び、基端側に後退させる往復運動させることが可能な機能であればよく、他の構成のものであっても構わない。進退駆動機構６は、例えば、モータ歯車機構等によって進退する棒状の部材や、ラックアンドピニオン機構のラックや、往復スライダリンク機構等であって構わない。
　また、ベローズ６２は、金属製のものを例に挙げて説明したが、樹脂製のものであっても構わない。

　また、連結部４ａ，６２ａは、進退部材４の連結部４ａに連結及び分離できるものであれば、その形状、手段は特に限定されない。
　また、ねじ部５ｃ，７１ｂも、互いに連結及び分離できるものであれば、その形状、手段は特に限定されない。
　連結部４ａ，６２ａ及びねじ部５ｃ，７１ｂは、一方に係止部を設け、他方にこの係止部に着脱自在な係合部から成るものであっても構わない。

　１　　　第１鉗子部材
　１ａ，２ａ　挟部
　１ｂ，２ｂ　リンク部
　２　　　第２鉗子部材
　３　　　リンク機構
　４　　　進退部材
　４ａ，６２ａ　連結部
　５，５Ａ　筐体
　５ａ　　収納空間
　５Ａｃ，５ｃ，７１ｂ，７Ａａ　ねじ部
　５Ａｂ，５ｂ　支持片
　６　　　進退駆動機構
　７，７Ａ　基端側軸部材
　３１　　第１リンク部材
　３２　　第２リンク部材
　５１　　支軸
　５５　　パッキン
　６１　　流体圧供給源
　６２　　ベローズ
　６２ｄ　蛇腹部
　７１　　シース先端部（基端側軸部材）
　Ａ，Ａ１　鉗子

Claims

　先端側に挟部を有し、基端側にリンク部を有して長手方向に延びる第１鉗子部材及び第２鉗子部材と、
　前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材の前記先端側と前記基端側との間に配置されて、前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材を回動自在に軸支する支軸と、
　進退することによって前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材を開閉駆動させる進退部材と、
　前記進退部材を進退させる進退駆動機構と、
を備えた鉗子であって、
　前記進退部材が進退自在に挿通されると共に、前記支軸を支持する支持片を有する筐体と、
　前記筐体の基端側に着脱可能に装着されて、前記筐体とで前記進退駆動機構を収納し、該進退駆動機構の基端側を支持基端側軸部材と、を備えていることを特徴とする鉗子。
　前記進退駆動機構は、流体圧供給源から供給された流体圧の導入及び排出によって膨張及び収縮して前記進退部材を進退させるベローズを備えていることを特徴とする請求項１に記載の鉗子。
　前記ベローズは、前記流体圧供給源から供給された流体圧の導入によって膨張した状態から自然長に収縮するばね力を有する金属製のものから成ることを特徴とする請求項２に記載の鉗子。
　前記ベローズと前記進退部材とは、着脱可能な連結部によって連結されていることを特徴とする請求項２または請求項３に記載の鉗子。
　前記連結部は、前記筐体と前記基端側軸部材とを分離させたときに、前記進退部材と前記ベローズとが分離するように構成されていることを特徴とする請求項４に記載の鉗子。
　前記ベローズは、外周部に伸縮可能な蛇腹部が形成され、
　前記蛇腹部は、前記筐体の内壁に摺動可能に密接した状態に配置されていることを特徴とする請求項２または請求項３に記載の鉗子。
　前記筐体と前記基端側軸部材とは、互いに螺合するねじ部が形成され、
　前記ねじ部の内側には、パッキンが設けられていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の鉗子。
　前記第１鉗子部材及び前記第２鉗子部材の前記リンク部と、前記進退部材との間には、先端部が前記リンク部に回動自在に連結され、基端部が前記進退部材の先端部に回動自在に連結された第１リンク部材及び第２リンク部材が介在されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の鉗子。