WO2013008629A1

WO2013008629A1 - 車両用シートスライド装置

Info

Publication number: WO2013008629A1
Application number: PCT/JP2012/066426
Authority: WO
Inventors: 山田　幸史; 直希後藤
Original assignee: アイシン精機株式会社
Priority date: 2011-07-12
Filing date: 2012-06-27
Publication date: 2013-01-17
Also published as: EP2733014A1; US9283870B2; JP5621724B2; EP2733014A4; JP2013018400A; US20140138510A1; CN203854532U

Abstract

　車両用シートスライド装置は、両フロア及びシートの一方に固定されるように適合される第１レールと、車両フロア及びシートの他方に固定されるように適合され、第１レールに対し相対移動可能に連結された第２レールとを備える。付勢部材は、第２連結壁部に係止された係止部と、ロックレバーに係止された係止端部とを有する。付勢部材は、ロックレバーが第１レールに係合する方向に向かって該ロックレバーを高さ方向に付勢する付勢力を曲げ変形に伴って発生する。付勢部材は、係止部及び係止端部間で、回転軸に巻装されるコイル部を有する。

Description

車両用シートスライド装置

　本発明は、車両フロア及びシートの相対位置を調整するための車両用シートスライド装置に関する。

　従来、車両用シートスライド装置として種々のものが提案されている。例えば特許文献１に記載された車両用シートスライド装置は、上方に開く開口を有する断面略Ｕ字状のロアレールと、当該開口を塞ぐ断面略Ｕ字状のアッパレールとを備える。ロアレール及びアッパレールが、長手方向に向けて相互に摺動自在に係合されてなる。そして、アッパレールには、ロックレバーが支持されている。

　すなわち、ロックレバーには、その取付部のＵ字状の断面内部にリベットが配置されるとともに、該リベットともども取付部を幅方向に貫通するスプリングピンが設けられている。ロックレバーは、リベットがアッパレールの天板にかしめによって締結されることで、スプリングピンの周りでアッパレールに回動自在に連結されている。

　ロックレバーは、スプリングピン周りの回動に伴いアッパレールの下部に形成された切り欠きに進入可能な係止部を一体的に有する。この係止部は、アッパレールの幅方向略全長に亘って当該方向に広がっている。そして、係止部には、ロックレバーのスプリングピン周りの回動に伴いロアレールに形成された被係合部の嵌入可能なロック孔が形成されている。

　なお、ロックレバーは、アッパレールの先端部から挿入された操作レバーに接続されている。また、板ばねからなるロックスプリングは、アッパレールの天板及びリベット間に挟持された一端部を有する。ロックレバーは、ロックスプリングの他端部により圧接され、ロックレバーの係止部がアッパレールの切り欠きに進入する方向であって、ロック孔にロアレールの被係合部が嵌入する方向に常時付勢されている。

　従って、ロックレバーがロックスプリングにより回動するように付勢されて、その係止部がアッパレールの切り欠きに進入するとともにロック孔にロアレールの被係合部が嵌入すると、ロックレバーを支持するアッパレールのロアレールに対する移動が規制される。これにより、両レールの長手方向に沿う車両フロアに対するシートの移動が規制される、即ちシートがロックされる。

　一方、操作レバーからの解除操作力の入力により、ロックレバーがロックスプリングの付勢力に抗して、ロックレバーの係止部がアッパレールの切り欠きから外れる方向であって、ロック孔からロアレールの被係合部が外れる方向に回動すると、アッパレールのロアレールに対する移動の規制が解除される。これにより、両レールの長手方向に沿う車両フロアに対するシートの移動が許容される、即ちシートがアンロックされる。

　以上により、シートを、乗員着座等に好適な所要の位置に調整・保持することができる。

　また、例えば特許文献２に記載された車両用シートスライド装置は、フランジ部を有するロアレールと、フランジ部を包持するアッパレールとを備える。アッパレールの両端近傍の天板部には切込みが形成されるとともに、ロアレールのフランジ部の内縁にはその両端部において切落しが形成されている。このような構造にあって、組付けに際しては、アッパレール内にロアレールを挿入した後に、アッパレールの切込みを内方に折り曲げることにより折曲部が形成される。そして、ロアレールに対してアッパレールが移動する際に、アッパレールの折曲部をロアレールの切落しによって形成される段差に当接及び係止させることで、ロアレール及びアッパレール間の相対移動量が一定範囲内に制限される。

特許第４３５５９６３号公報実開昭５８－１９８３６号公報

　ところで、ロックレバーを付勢する板ばねからなるロックスプリングは、ロックレバーの回転軸の位置、即ちリベットの位置でロックスプリングの先端部がアッパレール、即ち天板に固定される。つまり、ロックスプリングは、少なくともその固定端となる端部がロックレバーの回転軸の位置に規定されることになる。このような制約のもとではロックスプリングの曲げ変形のばね定数に係るロックスプリングの長さ（有効長）が十分に確保できないことがある。この場合、ロックスプリングの長さが短くなる分、ばね定数の増大を余儀なくされる。例えばこれに伴って操作レバーの解除に要する操作力が増大すると、操作性が悪化する可能性がある。

　一方、特許文献２では、アッパレールの折曲部は、ロアレール及びアッパレール間の相対移動の規制を片持ち支持で行うことになるため十分な強度を確保するために、例えばアッパレールの板厚の増加を余儀なくされる。

　そこで、図８（ａ）及び図８（ｂ）に示すように、幅方向に並設された一対の側壁部９１ａを有する断面略Ｃ字状のロアレール９１と、該ロアレール９１内に装着されるとともに、該ロアレール９１に相対移動可能なアッパレール９２とを備える車両用シートスライド装置が提案されている。この場合、両側壁部９１ａには、アッパレール９２の先端面９２ａの移動軌跡を遮る態様でロアレール９１の幅方向に橋渡しされた係止ピン９３の両端部がそれぞれ締結されている。従って、ロアレール９１に対してアッパレール９２が移動する際に、アッパレール９２の先端面９２ａを係止ピン９３に当接及び係止させることで、ロアレール９１及びアッパレール９２間の相対移動量が一定範囲内に制限される。係止ピン９３は、アッパレール９２の移動の規制をロアレール９１に対し両持ち支持の状態で行うことになるため十分な強度が確保できる。

　しかしながら、このような構造では、ロアレール９１及びアッパレール９２の相対移動量の制限範囲は、例えばロアレール９１における係止ピン９３の位置が一定である場合、アッパレール９２の移動方向における先端面９２ａ及び係止ピン９３間の距離、即ち当該方向におけるアッパレール９２の長さによって決定されてしまう。換言すれば、同一のロアレール９１であっても、該ロアレール９１に装着されるアッパレール９２の長さが変化すると、自動的にロアレール９１及びアッパレール９２の相対移動量の制限範囲が変化してしまう。このため、ロアレール９１及びアッパレール９２の相対移動量の制限範囲の調整の自由度が著しく低下してしまう。

　本発明の目的は、配置スペースの制約を低減しながらも、ロックレバーをレールとの係合から解除する際に要する操作力の増大を抑制することができる車両用シートスライド装置を提供することにある。

　本発明の別の目的は、レール間の相対移動量の制限範囲の調整の自由度を低下させることなく、レール間の相対移動をより堅固に規制することができる車両用シートスライド装置を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明の第１の態様は、車両フロア及びシートの一方に固定されるように適合される第１レールと、前記車両フロア及び前記シートの他方に固定されるように適合されるとともに、前記第１レールに対し相対移動可能に連結された第２レールであって、幅方向に並設された一対の側壁部、及び前記第１レールから離隔する前記両側壁部の基端同士を連結する連結壁部を有する第２レールと、幅方向に延びる軸線を有して前記両側壁部間に橋渡しされる回転軸と、前記両側壁部間で幅方向に並設されて前記回転軸が貫通する一対の縦壁部を有し、前記軸線の周りで一方向へ回動することにより前記第１レールと係合して該第１レール及び前記第２レールの相対移動を規制し、前記軸線の周りで他方向へ回動することにより前記第１レールとの係合を解除して前記相対移動の規制を解除するロックレバーと、前記連結壁部に係止された係止部、及び前記ロックレバーに係止された係止端部を有するとともに、前記ロックレバーが前記第１レールに係合する方向に向かって該ロックレバーを高さ方向に付勢する付勢力を曲げ変形に伴って発生する付勢部材とを備え、前記付勢部材は、前記係止部及び係止端部間で、前記回転軸に巻装されるコイル部を有する、車両用シートスライド装置を提供する。

　本発明の第２の態様は、フロア及びシートを備える車両に設けられる車両用シートスライド装置であって、前記フロア及び前記シートの一方に固定されるように適合される第１レールと、前記フロア及び前記シートの他方に固定されるように適合されるとともに、前記第１レールに対し相対移動可能に連結され、前記車両の幅方向に並設された一対の第１支持部と、前記第１レールから離隔する前記一対の第１支持部の基端同士を連結する連結部とを有する第２レールと、車両の幅方向に延びる軸線を有し、前記一対の第１支持部間に回転可能に支持される回転軸と、前記一対の第１支持部間で前記車両の幅方向に並設され前記回転軸が貫通する一対の第２支持部を有するロックレバーと、前記連結壁部に係止された係止部、及び前記ロックレバーに係止された係止端部を有し、且つ、前記ロックレバーが前記第１レールに係合するように該ロックレバーを車両の高さ方向に付勢する付勢力を曲げ変形に伴って発生し、前記係止部及び前記係止端部間で前記回転軸に巻装されるコイル部を有する付勢部材とを備え、前記ロックレバーが前記軸線の周りで一方向へ回転するとき前記第１レールと係合することにより、該第１レール及び前記第２レールの相対移動が禁止され、前記ロックレバーが前記軸線の周りで他方向へ回動するとき前記第１レールとの係合が解除されることにより、前記相対移動が許容される、車両用シートスライド装置。

　本発明の第３の態様は、フロア及びシートを備える車両に設けられる車両用シートスライド装置であって、前記フロア及び前記シートの一方に固定されるように適合される第１レールと、前記フロア及び前記シートの他方に固定されるように適合され、前記第１レールに対し相対移動可能に連結された第２レールとを備え、前記第１レールは、幅方向に並設された一対の第１側壁部と、両第１側壁部の先端から互いの対向する幅方向内側にそれぞれ延びて更に該第１側壁部の基端に向かって折り返された一対の第１折返し壁部と、前記第１レールの長手方向における所定位置で前記第１折返し壁部の先端から更に延出する規制部とを有し、前記第２レールは、前記両第１側壁部間で幅方向に並設された一対の第２側壁部と、両第２側壁部の先端から互いに離隔する幅方向外側にそれぞれ延びて更に前記第１側壁部及び前記第１折返し壁部に包囲されるように折り返された一対の第２折返し壁部と、前記第２レールの長手方向における所定位置で隣り合う前記第２側壁部及び前記第２折返し壁部に幅方向で対向するようにそれぞれ形成された側壁部取付孔及び折返し壁部取付孔とを有し、前記車両用シートスライド装置は、前記第２側壁部及び前記第２折返し壁部間に幅方向で橋渡しされるように前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔に挿入され、前記第１レール及び前記第２レールの相対移動方向において、前記第１折返し壁部の移動軌跡を開放するとともに前記規制部の移動軌跡を遮る係止部材を更に備えた、車両用シートスライド装置を提供する。

　上記各態様によれば、前記ロックレバーは、前記付勢部材の曲げ変形に伴う付勢力により、前記第１レールに係合するように高さ方向に付勢される。この場合、前記付勢部材の曲げ変形のばね定数に係る有効長は、前記連結壁部との係止位置（係止部）及び前記回転軸間の長さと、前記ロックレバーとの係止位置（係止端部）及び前記回転軸間の長さと、前記コイル部の長さとで決定される。従って、前記付勢部材の曲げ変形のばね定数を、前記コイル部の長さ分だけ低減させることができる。これにより、前記回転軸から前記連結壁部へと前記付勢部材の端部を徒に長く延出させなくても、前記付勢部材の曲げ変形のばね定数を低減することができる。そして、配置スペースの制約を低減しながらも、前記ロックレバーを前記第１レールとの係合から解除する際に要する操作力の増大を抑制できる。

本発明に係るシートスライド装置及び車両用シートを示す側面図。図１の図１のシートスライド装置を示す分解斜視図。（ａ）及び（ｂ）は、同実施形態を示す縦断面図。（ａ）～（ｃ）は、それぞれ図３（ａ）のＡ－Ａ線、Ｂ－Ｂ線及びＣ－Ｃ線に沿った断面図。（ａ）及び（ｂ）は、それぞれワイヤスプリングを示す平面図及び側面図。同実施形態の組付態様を示す断面図。係止部材を示す斜視図。（ａ）及び（ｂ）は、それぞれ従来形態を概略的に示す横断面図及び縦断面図。

　図１～図７を参照して本発明の一実施形態について説明する。図１に示すように、車両フロア２には、第１レールとしてのロアレール３が車両の前後方向に延在する態様で固定されている。該ロアレール３には、第２レールとしてのアッパレール４がロアレール３に対し前後方向に相対移動可能に装着されている。

　なお、図１に示されるロアレール３及びアッパレール４の対は、車両の幅方向（図１において紙面に直交する方向）に間隔を置いて配設される二対のうちの一つであり、ここでは前方に向かって左側に配置されたものを示している。両アッパレール４には、乗員が着座するためのシート５が固定及び支持されている。通常、ロアレール３に対するアッパレール４の相対移動は基本的に規制された状態にある。該規制状態を解除するための解除ハンドル６が設けられている。

　図２に示すように、ロアレール３は、板材からなり、幅方向両側に上下方向に延びる一対の第１側壁部１１及びこれら第１側壁部１１の基端同士、即ち下端同士を連結する第１連結壁部１２を有する。各第１側壁部１１の先端、即ち上端には、幅方向内側に延びて更に第１側壁部１１の基端に向かって折り返された第１折返し壁部１３が、第１側壁部１１と連続するように形成されている。

　前記アッパレール４は、板材からなり、図４（ａ）～（ｃ）に併せ示すように、ロアレール３の両第１折返し壁部１３間で上下方向に延びる一対の側壁部としての第２側壁部１４（第１支持部）及びこれら第２側壁部１４のロアレール３から離隔する基端同士、即ち上端同士を連結する連結壁部としての第２連結壁部１５（連結部）を有する。そして、各第２側壁部１４の先端、即ち下端には、幅方向外側に延びて更に第１側壁部１１及び第１折返し壁部１３によって包囲されるように折り返された第２折返し壁部１６が、第２側壁部１４と連続するように形成されている。

　つまり、ロアレール３及びアッパレール４は、略Ｕ字状断面をそれぞれ有しており、それらの開口部を互いに向き合わせるようにして突き合わされており、主として第１及び第２折返し壁部１３，１６同士の係合によって上下方向に抜け止めされている。これらロアレール３及びアッパレール４により形成されるレール断面は、略矩形状の箱形である。ロアレール３は、アッパレール４と協働して内部空間Ｓを構成する。

　図３（ａ）及び図４（ｃ）に示すように、各第２折返し壁部１６とこれに対向する第１側壁部１１との間には、前後一対の転動部材２０が装着されている。アッパレール４は、該アッパレール４とロアレール３との間で転動部材２０を転動させる態様で、該ロアレール３に対し長手方向（前後方向）に摺動自在に支持されている。

　図３（ａ）及び図３（ｂ）に示すように、ロアレール３の各第１折返し壁部１３の長手方向中間部には、当該方向に所定の間隔をもってその先端、即ち下端から上向きに延びる複数の切り欠き１３ａが形成されている。隣り合う切り欠き１３ａ間には四角歯状のロック爪１３ｂがそれぞれ形成されている。従って、複数のロック爪１３ｂは、前記所定の間隔をもってロアレール３の長手方向に並設されている。また、ロアレール３の両第１折返し壁部１３の長手方向両端部には、第１折返し壁部１３の先端、即ち下端から更に下方にステップ状に延出する規制部１７が形成されている。複数のロック爪１３ｂの全てが、ロアレール３（第１折返し壁部１３）の長手方向で両規制部１７間に挟まれるように配置されていることはいうまでもない。

　アッパレール４の各第２側壁部１４の長手方向中間部には、当該方向に間隔をあけて一対の側壁部取付孔１４ａが形成されている。また、アッパレール４の各第２折返し壁部１６には、図４（ａ）に併せ示すように、各側壁部取付孔１４ａに幅方向で対向して折返し壁部取付孔１６ａが形成されている。側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａは、高さ方向で第１折返し壁部１３（ロック爪１３ｂ）の下端及び規制部１７の下端間に配置されている。

　幅方向で隣り合う側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａには、第２側壁部１４及び第２折返し壁部１６間に幅方向で橋渡しされる態様で係止部材４０が挿入されている。図７に示すように、この係止部材４０は、例えば金属製の板材をＵ字状に折り曲げた板ばねからなる。この係止部材４０は、互いに概ね平行に広がる一対の係合片４１と、これら両係合片４１同士を接続する略半円筒状の連結部４２とを一体的に有する。両係合片４１の中央部には、連結部４２近傍を基端として互いに離隔する外側に切り起こされた抜け止め部４３が形成されている。なお、係止部材４０の自由状態では、両係合片４１の端部４１ａ間の上下方向の距離は、側壁部取付孔１４ａの上下方向の両内壁面間の距離よりも若干大きく設定されている。

　係止部材４０をアッパレール４に組み付ける際には、長手方向で両規制部１７間に側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａが配置されるように予めロアレール３及びアッパレール４を組み付けられる。この状態で、図６に示すように、アッパレール４内から幅方向外側に向けて側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａに順次、係止部材４０が挿入される。すなわち、連結部４２を先頭にして側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａに順次、係止部材４０が挿入される。このとき、係止部材４０は、両係合片４１又は両抜け止め部４３が側壁部取付孔１４ａの内壁面のうち上下方向で対向する内壁面部分に押圧されることで、当該方向に両係合片４１が閉じるように弾性変形する。そして、連結部４２が折返し壁部取付孔１６ａを貫通するとともに両抜け止め部４３が側壁部取付孔１４ａを通過する。そのため、係止部材４０は、側壁部取付孔１４ａの上下方向の両内壁面から両抜け止め部４３が解放されることで、上下方向に両係合片４１が開くように弾性復帰する。この際、係止部材４０は、両抜け止め部４３が側壁部取付孔１４ａへの挿入方向とは反対方向（即ち幅方向内側）で該側壁部取付孔１４ａの縁部に係合することで、アッパレール４からの脱落が抑制される。これにより、係止部材４０は、両係合片４１の端部４１ａを側壁部取付孔１４ａの上下方向の両内壁面に圧接させることで、アッパレール４に保持される。

　ここで、第２側壁部１４及び第２折返し壁部１６間に幅方向で橋渡しされる係止部材４０が、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動方向において、第１折返し壁部１３の移動軌跡を開放するとともに規制部１７の移動軌跡を遮ることはいうまでもない。従って、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動時、該当の規制部１７及び係止部材４０が当接することで当該移動が規制される。この際、係止部材４０は、図３（ａ）に示すように、その前後方向、即ち両係合片４１の板厚方向である上下方向に直交する方向の端面４１ｂで規制部１７に当接する。これにより、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動量が一定範囲内に制限される。

　図２に示すように、アッパレール４の両第２折返し壁部１６には、前側の折返し壁部取付孔１６ａよりも更に前方で円形の軸取付孔１６ｂがそれぞれ形成される。また、両第２折返し壁部１６には、両折返し壁部取付孔１６ａの中間部で軸取付孔１６ｂを中心とする扇状の透孔１６ｃがそれぞれ形成されている。なお、アッパレール４の第２連結壁部１５には、軸取付孔１６ｂよりも更に前方で幅方向に並設された一対のスリット状の支持孔２１が形成されている。これら両支持孔２１は前後方向に延在する。

　また、図３（ａ）に示すように、アッパレール４の両第２側壁部１４には、前記軸取付孔１６ｂと同心の円形の軸取付孔１４ｂがそれぞれ形成される。また、両第２側壁部１４には、両側壁部取付孔１４ａの中間部で軸取付孔１４ｂを中心とする扇状の透孔１４ｃがそれぞれ形成されている。軸取付孔１４ｂ，１６ｂは、互いに同等の内径を有しており、透孔１４ｃ，１６ｃは、図４（ｂ）に併せ示すように、互いに同等の開口形状を有して幅方向に対向している。

　図３（ａ）に示すように、アッパレール４内には、幅方向に中心線（軸線）の延びる回転軸としての円柱状の支持ピン２２により、ロックレバー３０が回動自在に連結されている。すなわち、ロックレバー３０は、図２に示すように、前後方向に延在する板材からなる柄部３１を備える。この柄部３１は、その長手方向全長に亘って一対の縦壁部３２（第２支持部）が幅方向に並設される態様で立設されている。これら両縦壁部３２の幅方向の距離は、アッパレール４の両第２側壁部１４の幅方向の距離よりも小さく設定されている。そして、両縦壁部３２は、各々の前端部において保持壁３３により上端縁間が幅方向に接続されるとともに、各々の後端部において天板部３４により上端縁間が幅方向に接続されている。そして、両縦壁部３２には、支持ピン２２（軸取付孔１４ｂ，１６ｂ）と同心の円形の軸取付孔３５がそれぞれ形成されている。柄部３１は、両軸取付孔１４ｂ，１６ｂに両端の挿入された支持ピン２２が両軸取付孔３５に挿入及び支持されることで、アッパレール４に回動自在に連結されている。

　なお、保持壁３３は、側面視において下向きに凸となる円弧形状を呈する。また、両縦壁部３２は、前後方向における保持壁３３及び軸取付孔３５間で下端縁から互いに対向する幅方向内側に突出するフランジ状の支持壁３２ａをそれぞれ有する。

　各縦壁部３２には、天板部３４の下方となる後端部において下端から下向きに一対の締結部３６が前後方向に間隔をあけて突出している、各締結部３６は、前後方向に隣接するように配置された一対の締結片３６ａ，３６ｂを１組とする構成となっている。一方、ロックレバー３０は、両透孔１４ｃ，１６ｃを貫通する態様で前後方向及び幅方向に広がる平板状のロックプレート３７を備える。このロックプレート３７には、各締結部３６に対向して上下方向に開口する４つのスリット状の締結孔３８が形成されている。ロックプレート３７は、各締結孔３８に該当の締結部３６を挿入した後、例えば締結孔３８を貫通した両締結片３６ａ，３６ｂの先端を前後方向に開くように潰すことにより、柄部３１に締結及び固定される。

　また、ロックプレート３７には、締結部３６よりも幅方向外側で前後方向に並設された複数（３個）のロック孔３９が前記所定の間隔をもって形成されている。図４（ｂ）に併せ示すように、各ロック孔３９は、第１折返し壁部１３に対向して上下方向に開口しており、ロアレール３の長手方向で隣り合う複数（３個）のロック爪１３ｂと合致可能な位置に配置されている。

　そして、図４（ｂ）に実線で示すように、ロックプレート３７が上昇するようにロックレバー３０が支持ピン２２周りに回動するとき、各ロック孔３９は対応するロック爪１３ｂを受容可能となっている。各ロック孔３９が対応するロック爪１３ｂを受容するとき、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動が規制される。一方、図４（ｂ）に２点鎖線で示すように、ロックプレート３７が下降するようにロックレバー３０が支持ピン２２周りに回動するとき、各ロック孔３９が対応するロック爪１３ｂから外れる。このとき、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動の規制が解除される。

　アッパレール４内には、図２に示すように、１本の線材からなる付勢部材としてのワイヤスプリング５０が配置されている。図５（ａ）に示すように、このワイヤスプリング５０は、平面視において後側に開口する略Ｕ字状に形成されており、左右対称で前後方向に延在する一対の延設部５１を有するとともに、これら両延設部５１の前端同士を幅方向に接続する接続部５２を有する。また、図５（ｂ）に示すように、各延設部５１は、長手方向中間部を上方に湾出してなる固定部５３（係止部）を有するとともに、該固定部５３の後側において後方に向かって時計回りに巻回してなるコイル部５４を有する。そして、ワイヤスプリング５０は、コイル部５４を含む両延設部５１の固定部５３よりも後方の部位で第１付勢部５５を形成するとともに、接続部５２及び両延設部５１の固定部５３よりも前方の部位で第２付勢部５６を形成する。

　図３（ａ）に示すように、ワイヤスプリング５０は、各固定部５３をアッパレール４の該当の支持孔２１から突出させる態様で概ね柄部３１内に配置されている。また、支持ピン２２周りにコイル部５４が巻回されることにより、ワイヤスプリング５０は、アッパレール４（両第２側壁部１４）に支持されている。ワイヤスプリング５０は、両固定部５３を支持孔２１の後端面に接触させており、コイル部５４（支持ピン２２）よりも後方で第１付勢部５５の後端部をロックプレート３７の下面に弾性的に接触させている。つまり、第１付勢部５５は、アッパレール４との固定位置（固定部５３）を支点にコイル部５４を含めて曲げ変形されており、該固定位置を支点にロックレバー３０を付勢している。従って、ロックレバー３０は、ワイヤスプリング５０（第１付勢部５５）によりロックプレート３７が上昇する方向、即ち各ロック孔３９に対応するロック爪１３ｂが嵌入する方向に回動するように付勢される。柄部３１（天板部３４）の上面が第２連結壁部１５の下面に当接することにより、ロックプレート３７の回動が規制されている。

　第１付勢部５５にコイル部５４を配設しているのは、第１付勢部５５の前後方向への延出長を抑えながらも、曲げ変形時の弾性係数（ばね定数）を実質的に低減させるためである。なお、ワイヤスプリング５０の両固定部５３は、支持孔２１の前端面に非接触とされている。そして、ワイヤスプリング５０（第２付勢部５６）の接続部５２は、保持壁３３よりも前方に配置されている。

　前記解除ハンドル６は、筒材を曲げることにより形成され、両アッパレール４の前側でこれらを幅方向に橋渡しするように形成されている。図２に示すように、解除ハンドル６の後方に延出する先端部６１は、前記両縦壁部３２間の幅方向の距離よりも外径の小さい円筒形状を呈しており、その下部には、幅方向に延在するスリット状の支持溝６２が形成されている。

　図３（ａ）に示すように、解除ハンドル６は、各先端部６１が対応する柄部３１（ロックレバー３０）の保持壁３３よりも下側、且つ、両支持壁３２ａよりも上側で両縦壁部３２間に挿入されている。そして、先端部６１は、ワイヤスプリング５０（第２付勢部５６）の接続部５２が支持溝６２に嵌入することで係止及び抜け止めされる。つまり、支持溝６２の後端面６２ａは、解除ハンドル６の先端部６１の外れを抑制するための接続部５２との係合面となっている。また、両縦壁部３２間に挿入された先端部６１は、その後方延長線上において支持ピン２２と対向するように配置されている。これにより、両縦壁部３２間に先端部６１が過剰に挿入されたとしても、支持ピン２２に当接するまでの一定の範囲に制限されている。

　そして、両縦壁部３２間に挿入された先端部６１は、支持溝６２においてワイヤスプリング５０（第２付勢部５６）により上昇するように付勢される。それにより、先端部６１の上部及び下部を保持壁３３の下面及び両支持壁３２ａの上面にそれぞれ当接させる態様で、先端部６１は、実質的に支持ピン２２周りにロックレバー３０と一体回転するように保持される。つまり、ワイヤスプリング５０は、解除ハンドル６がロックレバー３０と一体回転するように解除ハンドル６を弾性的に保持する機能を併せ有している。ワイヤスプリング５０の接続部５２で先端部６１（解除ハンドル６）を弾性的に保持しているのは、例えばロックレバー３０に対して適度な遊びをもって連結するためである。あるいは、意図しない外力などで先端部６１（解除ハンドル６）が支持ピン２２周りに本来の操作方向とは逆方向に回動しようとした際に、ロックレバー３０に対する先端部６１の揺動を許容してロックレバー３０に過大な負荷が作用することを回避するためである。また、解除ハンドル６の先端部６１を係止するワイヤスプリング５０（第２付勢部５６）の接続部５２を保持壁３３よりも前方に配置したのは、解除ハンドル６がロックレバー３０に対して接続部５２の周りで揺動することを抑制するためである。

　次に、本実施形態の動作について説明する。

　まず、解除ハンドル６の操作力が解放されているものとする。このとき、ワイヤスプリング５０は、ロックレバー３０がロアレール３に係合する方向に向かってロックレバー３０を高さ方向に付勢する付勢力を曲げ変形に伴って発生する。ワイヤスプリング５０（第１付勢部５５）の付勢力により、先端部６１（解除ハンドル６）と一体でロックレバー３０が支持ピン２２周りにロックプレート３７が上昇する方向、即ち各ロック孔３９が対応するロック爪１３ｂに嵌入する方向に回動される。これにより、前述の態様でロアレール３及びアッパレール４の相対移動が規制される。そして、アッパレール４に支持されるシート５の前後方向の位置が保持される。

　ここで、解除ハンドル６がその前端を持ち上げるように操作されたとする。このとき、ワイヤスプリング５０（第１付勢部５５）の付勢力に抗して、先端部６１（解除ハンドル６）と一体でロックレバー３０が支持ピン２２周りにロックプレート３７が下降する方向、即ち各ロック孔３９が対応するロック爪１３ｂから外れる側に回動される。これにより、前述の態様でロアレール３及びアッパレール４の相対移動の規制が解除される。そして、アッパレール４に支持されるシート５の前後方向の位置調整が可能になる。既述のように、ワイヤスプリング５０（第１付勢部５５）の曲げ変形のばね定数は、コイル部５４の長さ分だけ低減されることで、このとき解除操作に要する解除ハンドル６の操作力も低減される。特に、ロアレール３に対しアッパレール４が最前方又は最後方へと移動すると、前述の態様で該当の規制部１７及び係止部材４０が当接することで当該移動が規制される。これにより、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動量が一定範囲内に制限される。この際、係止部材４０は、アッパレール４に両持ち支持された状態で規制部１７に当接するため、当該移動をより堅固に規制する。詳しくは、係止部材４０は、アッパレール４の幅方向で隣り合う第２側壁部１４及び第２折返し壁部１６に両持ち支持される。

　以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。

　（１）ロックレバー３０は、ワイヤスプリング５０（第１付勢部５５）の曲げ変形に伴う付勢力により、ロアレール３に係合する方向に高さ方向に付勢される。この場合、ワイヤスプリング５０の曲げ変形のばね定数に係る有効長は、両延設部５１において、第２連結壁部１５との係止位置（固定部５３、即ち係止部）及び支持ピン２２間の長さと、ロックレバー３０との係止位置（係止端部）及び支持ピン２２間の長さと、コイル部５４の長さとで決定される。従って、ワイヤスプリング５０の曲げ変形のばね定数を、コイル部５４の長さ分だけ低減させることができる。これにより、支持ピン２２から第２連結壁部１５へとワイヤスプリング５０（第１付勢部５５）の端部を徒に長く延出させなくても、ワイヤスプリング５０の曲げ変形のばね定数を低減することができる。そして、配置スペースの制約を低減しながらも、ロックレバー３０をロアレール３との係合から解除する際に要する操作力の増大を抑制できる。

　また、ワイヤスプリング５０は、各延設部５１において、第２連結壁部１５（支持孔２１）に係止される一方の端部及びコイル部５４の巻装される支持ピン２２の２点でアッパレール４に実質的に支持されるため、その姿勢をより安定化することができる。

　（２）解除ハンドル６（先端部６１）は、ワイヤスプリング５０の第２付勢部５６においてロックレバー３０に対する接続状態が弾性的に保持されるため、例えばロックレバー３０に対して適度な節度感をもってこれに接続することができる。また、第２付勢部５６は、ワイヤスプリング５０に一体的に設けられているため、前記機能を付加しながらも部品点数の増大を抑制することができる。

　（３）第２付勢部５６は、アッパレール４の長手方向における両支持孔２１の端面（前端面）に非接触である。このため、第２付勢部５６の曲げ変形のばね定数に係る有効長は、例えばアッパレール４の長手方向における両支持孔２１の端面（前端面）に接触させた場合に比べて長くなるため、第２付勢部５６の曲げ変形のばね定数を低減することができる。

　（４）解除ハンドル６（先端部６１）は、ロックレバー３０の両縦壁部３２間への挿入方向の延長線上に支持ピン２２が対向することで、過剰に挿入されたとしても、支持ピン２２に当接するまでの一定の範囲に制限することができる。

　（５）１本の線材に対する簡易な曲げ加工によって、ワイヤスプリング５０を形成することができる。

　（６）ロアレール３及びアッパレール４の相対移動時、規制部１７及び係止部材４０が当接することで当該移動が規制される。これにより、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動量が一定範囲内に制限される。規制部１７及び係止部材４０が当接する際、該係止部材４０はアッパレール４（第２側壁部１４及び第２折返し壁部１６）に対して両持ち支持の状態で規制部１７を支えることになるため、より堅固にロアレール３及びアッパレール４の相対移動を規制することができる。特に、係止部材４０は、周辺部品（例えばロックレバー３０）との干渉を回避できれば、アッパレール４の長手方向における任意の位置に配置できるため、ロアレール３及びアッパレール４の相対移動量の制限範囲の調整の自由度を増すことができる。

　（７）係止部材４０は、アッパレール４に内方から組み付ける際、上下方向に両端部４１ａが閉じるように弾性変形させつつ側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａに挿入してその両端部４１ａを側壁部取付孔１４ａの上下方向で対向する内壁面に圧接させることで、アッパレール４に簡易に組み付けることができる。

　（８）規制部１７及び係止部材４０が当接する際、該係止部材４０はその板厚方向に直交する方向の端面４１ｂで規制部１７を支えることになるため、例えば板厚方向に規制部１７を支える場合に比べて、より堅固にロアレール３及びアッパレール４の相対移動を規制することができる。

　（９）係止部材４０は、側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａへの挿入方向の反対方向で抜け止め部４３が側壁部取付孔１４ａの縁部に係合することで、アッパレール４からの脱落を抑制することができる。

　（１０）ロアレール３及びアッパレール４の組付け後の後工程で、従来例のストッパ構造のようなアッパレール４の折曲作業を不要にできる。

　なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。

　・ワイヤスプリング５０（第１及び第２付勢部５５，５６）は、１本の延設部５１のみの構成であってもよい。

　・ワイヤスプリング５０は、円形断面の線材で形成してもよいし、四角断面の線材（いわゆる帯材）で形成してもよい。

　・ロックレバー３０を付勢する付勢部材と、解除ハンドル６（先端部６１）を保持する部材とを個別に設けてもよい。

　・支持ピン２２は、両端部をアッパレール４（両第２側壁部１４）に固着してロックレバー３０（両縦壁部３２）に支持させてもよいし、両端部をアッパレール４（両第２側壁部１４）に軸支させてロックレバー３０（両縦壁部３２）に固着してもよい。

　・ロアレール３又はアッパレール４は、複数枚の板材を溶接などで結合した構造であってもよい。

　・ロアレール３及びアッパレール４と、車両フロア２及びシート５の固定関係（即ち上下の配置関係）は逆であってもよい。この場合、車両フロア２側に設置されるロックレバー３０の解除操作は、例えばケーブルなどを通じて適宜の操作部材から行ってもよい。

　・ロアレール３及びアッパレール４（車両用シートスライド装置）は、シート５に対し各１本ずつ配設される構成であってもよいし、各３本以上ずつ配設される構成であってもよい。

　・ロアレール及びアッパレールの相対移動に伴うシートの移動方向は、例えばその幅方向であってもよい。

　・係止部材４０の抜け止め部は、折返し壁部取付孔１６ａの縁部に係合することで、アッパレール４からの脱落を抑制するものであってもよい。

　・係止部材４０は、その板厚方向の端面で規制部１７を支えるようにアッパレール４に組み付けてもよい。

　・アッパレール４に設ける係止部材４０は、アッパレール４の幅方向片側に１個であってもよい。

　・規制部１７及び係止部材４０を、ロアレール３及びアッパレール４の各々の幅方向片側にのみ配設するようにしてもよい。

　・規制部１７をロアレール３（第１折返し壁部１３）の長手方向中間部に配置するとともに、係止部材４０をアッパレール４の長手方向両端部に配置してもよい。この場合、ロアレール３の幅方向片側に配置する規制部１７は、１個でもよいし長手方向に間隔をあけて配置した一対であってもよい。

　・幅方向で隣り合う側壁部取付孔１４ａ及び折返し壁部取付孔１６ａに両端部が圧入又は溶着されて第２側壁部１４及び第２折返し壁部１６間に橋渡しされる平板状又は楔状の係止部材であってもよい。

　２…車両フロア、３…ロアレール（第１レール）、４…アッパレール（第２レール）、５…シート、６…解除ハンドル（操作部材）、１１…第１側壁部、１３…第１折返し壁部、１４…第２側壁部（側壁部、第１支持部）、１４ａ…側壁部取付孔、１５…第２連結壁部（連結壁部、連結部）、１６…第２折返し壁部、１６ａ…折返し壁部取付孔、１７…規制部、２１…支持孔、２２…支持ピン（回転軸）、３０…ロックレバー、３１…柄部、３２…縦壁部（第２支持部）、３７…ロックプレート、４０…係止部材、４１…係合片、４１ａ…端部、４１ｂ…端面、４２…連結部、４３…抜け止め部、５０…ワイヤスプリング（付勢部材）、５４…コイル部、５５…第１付勢部、５６…第２付勢部（付勢部）。

Claims

　車両フロア及びシートの一方に固定されるように適合される第１レールと、
　前記車両フロア及び前記シートの他方に固定されるように適合されるとともに、前記第１レールに対し相対移動可能に連結された第２レールであって、幅方向に並設された一対の側壁部、及び前記第１レールから離隔する前記両側壁部の基端同士を連結する連結壁部を有する第２レールと、
　幅方向に延びる軸線を有して前記両側壁部間に橋渡しされる回転軸と、
　前記両側壁部間で幅方向に並設されて前記回転軸が貫通する一対の縦壁部を有し、前記軸線の周りで一方向へ回動することにより前記第１レールと係合して該第１レール及び前記第２レールの相対移動を規制し、前記軸線の周りで他方向へ回動することにより前記第１レールとの係合を解除して前記相対移動の規制を解除するロックレバーと、
　前記連結壁部に係止された係止部、及び前記ロックレバーに係止された係止端部を有するとともに、前記ロックレバーが前記第１レールに係合する方向に向かって該ロックレバーを高さ方向に付勢する付勢力を曲げ変形に伴って発生する付勢部材とを備え、
　前記付勢部材は、前記係止部及び係止端部間で、前記回転軸に巻装されるコイル部を有する、車両用シートスライド装置。
　請求項１に記載の車両用シートスライド装置において、
　前記ロックレバーに接続され、該ロックレバーに対し前記相対移動の規制を解除する操作力を伝達する操作部材を備え、
　前記付勢部材は、前記係止部から延出されて前記操作部材に係止される、前記ロックレバーに対する前記操作部材の接続状態を弾性的に保持する付勢部を一体的に有する、車両用シートスライド装置。
　請求項２に記載の車両用シートスライド装置において、
　前記付勢部材の前記係止部は、前記連結壁部に形成された支持孔に挿入されて前記第２レールの長手方向における前記支持孔の一端面に接触した状態で前記連結壁部に係止されており、
　前記付勢部は、前記第２レールの長手方向における前記支持孔の任意の端面に非接触である、車両用シートスライド装置。
　請求項２又は３に記載の車両用シートスライド装置において、
　前記操作部材は、前記両縦壁部間に挿入され、
　前記操作部材は、前記両縦壁部間への挿入方向の延長線上において前記回転軸と対向する、車両用シートスライド装置。
　請求項１～４のいずれか一項に記載の車両用シートスライド装置において、
　前記付勢部材は、１本の線材からなるワイヤスプリングである、車両用シートスライド装置。
　フロア及びシートを備える車両に設けられる車両用シートスライド装置であって、
　前記フロア及び前記シートの一方に固定されるように適合される第１レールと、
　前記フロア及び前記シートの他方に固定されるように適合されるとともに、前記第１レールに対し相対移動可能に連結され、前記車両の幅方向に並設された一対の第１支持部と、前記第１レールから離隔する前記一対の第１支持部の基端同士を連結する連結部とを有する第２レールと、
　車両の幅方向に延びる軸線を有し、前記一対の第１支持部間に回転可能に支持される回転軸と、
　前記一対の第１支持部間で前記車両の幅方向に並設され前記回転軸が貫通する一対の第２支持部を有するロックレバーと、
　前記連結壁部に係止された係止部、及び前記ロックレバーに係止された係止端部を有し、且つ、前記ロックレバーが前記第１レールに係合するように該ロックレバーを車両の高さ方向に付勢する付勢力を曲げ変形に伴って発生し、前記係止部及び前記係止端部間で前記回転軸に巻装されるコイル部を有する付勢部材とを備え、
　前記ロックレバーが前記軸線の周りで一方向へ回転するとき前記第１レールと係合することにより、該第１レール及び前記第２レールの相対移動が禁止され、前記ロックレバーが前記軸線の周りで他方向へ回動するとき前記第１レールとの係合が解除されることにより、前記相対移動が許容される、車両用シートスライド装置。
　フロア及びシートを備える車両に設けられる車両用シートスライド装置であって、
　前記フロア及び前記シートの一方に固定されるように適合される第１レールと、
　前記フロア及び前記シートの他方に固定されるように適合され、前記第１レールに対し相対移動可能に連結された第２レールとを備え、
　前記第１レールは、幅方向に並設された一対の第１側壁部と、両第１側壁部の先端から互いの対向する幅方向内側にそれぞれ延びて更に該第１側壁部の基端に向かって折り返された一対の第１折返し壁部と、前記第１レールの長手方向における所定位置で前記第１折返し壁部の先端から更に延出する規制部とを有し、
　前記第２レールは、前記両第１側壁部間で幅方向に並設された一対の第２側壁部と、両第２側壁部の先端から互いに離隔する幅方向外側にそれぞれ延びて更に前記第１側壁部及び前記第１折返し壁部に包囲されるように折り返された一対の第２折返し壁部と、前記第２レールの長手方向における所定位置で隣り合う前記第２側壁部及び前記第２折返し壁部に幅方向で対向するようにそれぞれ形成された側壁部取付孔及び折返し壁部取付孔とを有し、
　前記車両用シートスライド装置は、前記第２側壁部及び前記第２折返し壁部間に幅方向で橋渡しされるように前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔に挿入され、前記第１レール及び前記第２レールの相対移動方向において、前記第１折返し壁部の移動軌跡を開放するとともに前記規制部の移動軌跡を遮る係止部材を更に備える、車両用シートスライド装置。
　請求項７に記載の車両用シートスライド装置において、
　前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の内壁面は一方向において対向する内壁面部分を有し、
　前記係止部材は、前記内壁面部分に圧接する両端部を有するように折り返された板ばねである、車両用シートスライド装置。
　請求項７又は８に記載の車両用シートスライド装置において、
　前記係止部材は、板材からなり、その板厚方向に直交する方向の端面で前記規制部に当接可能である、車両用シートスライド装置。
　請求項７又は８に記載の車両用シートスライド装置において、
　前記係止部材は、前記側壁部取付孔及び前記折返し壁部取付孔への挿入方向とは反対方向で前記側壁部取付孔又は前記折返し壁部取付孔の縁部に係合するように切り起こされた抜け止め部を有する、車両用シートスライド装置。