WO2012127647A1

WO2012127647A1 - ノズルの先端部材及びそれを用いたノズル

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Publication number: WO2012127647A1
Application number: PCT/JP2011/056937
Authority: WO
Inventors: 五男藤原; 義寿永田
Original assignee: 平田機工株式会社
Priority date: 2011-03-23
Filing date: 2011-03-23
Publication date: 2012-09-27
Also published as: JPWO2012127647A1

Abstract

　ノズル又はノズル先端部分を交換することなく、容易に且つ安価に流体が噴射される孔の形状や配置を調整可能なノズルの先端部材を提供する。　流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から流体を噴射するノズル先端部材であって、板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、前記貫通孔の内周面及び／又は前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、前記溝と前記凸部の外周面及び／又は前記溝と前記貫通孔の内周面とで前記側孔を構成した。

Description

ノズルの先端部材及びそれを用いたノズル

　本発明は、ノズルの先端部材及びそれを用いたノズルに関し、特に、複数の開口を先端に設けたノズル先端部材又はノズルに関する。

　外部混合式エアスプレーガンは、日本工業規格において、例えば、ＪＩＳＢ９８０９のように定められ、一般塗装用スプレーガンとして広く使用されている。このようなスプレーガンは、噴霧化の主体がスプレーガン先端部の塗料ノズルと空気キャップで形成され、スプレーガン本体に螺着される塗料ノズル外周のリング状スリットから圧縮空気を噴射し、塗料を噴霧化して被塗物に霧化した塗料を吹き付け、被塗物表面に塗膜を形成する。

　特に、塗料ノズル先端を円錐台形状とし、空気キャップ中心孔を円錐台状空間として、塗料ノズル外周に中空の円錐台形リング状スリットとして塗料噴出流に圧縮空気を交差噴流とすることによって、塗料噴出流の中心部まで均一に微粒化され、塗料噴出量の増大が可能となる発明が開示されている（特許文献１）。

　また、接着剤通路と空気送出通路とが形成されたノズルを有するガン本体を含む接着剤吐出装置においては、長手軸に対して傾斜している貫通孔を通った空気ジェットが、ノズル先端の放出出口から放出された接着剤ビードに衝突するように構成されたものが開示されている（特許文献２）。

　このように、ノズル先端部の孔形状や配置は、その特性を大きく変化するので、その先端部の孔形状や配置は、その目的に応じて適宜設計されなければならない。

特開平９－１６４３４５号公報特開平２－１８０６５８号公報

　しかしながら、流体が噴射される孔の形状や配置は、特性を左右する重要な構造と考えらえるので、通常はノズル毎に固定して使用される。そのため、これらを調整することは、ノズル毎の交換をしなければ達成できない。ノズル先端部分を、スプレー本体から脱着可能としたとしても、少なくともノズル先端部分全体を交換しない限りは、これらの構造を簡便に調整することはできない。また、従来のノズルでは、気体通路をドリルにより穿孔しており、複数の細長い気体通路を正確な位置に穿孔する際に使用されるドリルは針のように細いものであったため、穿孔途中でドリルが折れてしまう等、困難であり、そのためにコストもかかっていた。

　本発明は、上記従来技術の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ノズル又はノズル先端部分を一体（又は全体）として交換するまでもなく、容易に且つ安価に流体が噴射される孔の形状や配置を調整可能なノズルの先端部材を提供することである。

　上述する課題に鑑みて、本発明では、流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から流体を噴射するノズル先端部材であって、基底部及びそれに直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を有する第１ノズル部材と、板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、嵌合させて、前記側孔を形成するノズルの先端部材を提供することができる。

　より具体的には、次のようなものを提供することができる。
（１）第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、前記貫通孔の内周面及び／又は前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、前記貫通孔の内周面の溝と、前記凸部の外周面と、で前記側孔を構成したことを特徴とするノズルの先端部材を提供することができる。

　ここで、側孔は、主に空気、不活性ガス等の気体（第２の流体に相当）を通過させる孔であってよい。一方、中孔は、主に、塗料、接着剤等の液体（第１の流体に相当）を通過させる孔であってよい。中孔の先端開口は、複数の側孔の先端開口に囲まれていることが好ましい。これらの先端開口は、同一平面上に（ツライチで）並べて配置する必要はなく、噴射方向において、高低差があってもよい。中孔は、噴射方向に沿って延びることが好ましく、側孔は、中孔と同様に沿って延びてもよく、螺旋を描くように傾斜して延びてもよい。

（２）前記凸部の外周面における前記貫通孔の内周面の溝と対向する部分に、前記溝を設けたことを特徴とする上記（１）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

（３）第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、前記貫通孔の内周面及び／又は前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、前記凸部の外周面の溝と、前記貫通孔の内周面と、で前記側孔を構成したことを特徴とするノズルの先端部材を提供することができる。

（４）前記貫通孔の内周面における前記凸部の外周面の溝と対向する部分に、前記溝を設けたことを特徴とする上記（３）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

（５）前記凸部が、前記基底部側から先端側に向かって連続的に径が小さくなるテーパー状に設けられ、前記側孔が、前記凸部のテーパー面に沿って、前記中孔の中心軸に向かって傾けて設けられたことを特徴とする上記（１）又は（３）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

　ここで、側孔は、第２ノズル部材の内周面に備えられる１又はそれ以上の溝、及び第１ノズル部材の凸部の外周側面とも言える外周面（例えば、テーパー面）により、嵌合時に規定される。このため、側孔加工は、実質的に溝加工を行うだけで十分となる。また、ここでは、第２ノズル部材側に溝を設けたが、第１ノズル部材の外周面（例えば、テーパー面）に設けてもよい。或いは、その両者に設けてもよい。作業効率の容易さ、また、嵌合による側孔形成の容易さから、第１又は第２ノズル部材の何れかに設けることが好ましい。

（６）前記側孔は、前記中孔の軸心を中心とする同心円の円周方向に傾けて設けられたことを特徴とする上記（５）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

　このような傾斜は、全ての側孔において同じ角度だけ傾いていてもよく、異なっていてもよい。傾斜角は、０以上９０度未満となることは明らかである。

（７）前記基底部は、前記側孔と連通する流路開口である基底部貫通孔を備えることを特徴とする上記（１）又は（３）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

（８）前記基底部の前記凸部側面と、前記第２ノズル部材の第１ノズル対向面との間に設けられ、前記側孔を流れる流体のシールを行うシール部材を、更に備えることを特徴とする上記（１）又は（３）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

　ここで、シール部材は、例えば、シリコンゴムのような弾性体からなってもよく、いわゆるガスケットのような弾塑性体からなってもよい。

（９）前記第２ノズル部材が、前記中孔の長手方向に対して直交する平面で複数に分割されたスライス体で構成されることを特徴とする上記（１）又は（３）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

（１０）前記複数のスライス体は、前記溝をそれぞれの前記貫通孔の内周面に備え、それぞれの前記スライス体の溝は、溝大きさ及び／又は溝形状が連続的に変化するよう形成されたことを特徴とする上記（９）に記載のノズルの先端部材を提供することができる。

　ここで、連続的にとは、各スライス体の溝間での不連続部が生じないようにすることを意味することができる。例えば、各スライス体の溝の継ぎ目の開口の位置あわせがなされている状態を意味することもできる。尚、この連続的は、不連続でないことはもちろんのこと、機械工学の分野において、実質的に段差が無い状態を意味することができる。従って、ミクロに見て段差があったとしてもこの連続的に含まれるのは言うまでもない。

（１１）第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、前記貫通孔の内周面及び／又は前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、前記貫通孔の内周面の溝と、前記凸部の外周面と、で前記側孔を構成してなる先端部材と、前記先端部材が取り付けられるノズル本体部と、前記先端部材は前記ノズル本体部に対して固定する固定手段と、を備え、前記固定手段により、前記先端部材を前記ノズル本体部に対して脱着自在に設けたことを特徴とするノズルを提供することができる。

（１２）第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、前記貫通孔の内周面及び／又は前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、前記凸部の外周面の溝と、前記貫通孔の内周面と、で前記側孔を構成してなる先端部材と、前記先端部材が取り付けられるノズル本体部と、前記先端部材は前記ノズル本体部に対して固定する固定手段と、を備え、前記固定手段により、前記先端部材を前記ノズル本体部に対して脱着自在に設けたことを特徴とするノズルを提供することができる。

（１３）前記ノズル本体部は、前記先端部材の前記中孔に連通するように設けられた第１流体流路と、前記先端部材の前記側孔に連通するように設けられた第２流体流路と、を備えることを特徴とする上記（１１）又は（１２）に記載のノズルを提供することができる。

　以上のように、本発明では、基底部、それに実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に中孔を有する第１ノズル部材と、前記凸部に嵌合される貫通孔を有する第２ノズル部材と、を備えるノズル先端部材とし、貫通孔の内周面及び／又は凸部の外周面に溝を設け、貫通孔を凸部に嵌合させることで側孔を構成するようにしたために、側孔の形成自由度が高まり、ノズルの調整をより容易に行うことができる。

本発明の実施例にかかるノズルの先端部材の概略断面図である。本発明の実施例にかかるノズルの先端部材の概略側面図である。本発明の実施例にかかるノズルの先端部材の第１及び第２ノズル部材を別々に示す概略側面図である。本発明の別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略上面図（一部透視図）である。本発明の別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略斜視図である。本発明の別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略分解斜視図である。本発明の実施例のノズルの先端部材を用いたノズルにより、塗付する状態を示す概略側面図である。本発明の実施例のノズルの先端部材を用いたノズルによる塗付する状態にあるノズル先端部の概略透視側面図である。本発明の更に別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略断面図である。本発明のまた別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略分解斜視図である。本発明のまた更に別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略分解斜視図である。本発明の更に別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略斜視図である。本発明の更に別の実施例にかかるノズルの先端部材の概略分解斜視図である。

　本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、以下の説明では、本発明に係る実施の態様の例を示したに過ぎず、当業者の技術常識に基づき、本発明の範囲を超えることなく、適宜変更可能である。従って、本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。また、これらの図面は、説明のために強調されて記載されており、実際の寸法とは異なる場合がある。

　図１から図３は、実施例１のノズルの先端部材の概略断面図及び側面図を示す。ノズル先端部材１０は、底に配置される第１ノズル部材１２と、その上に嵌合される第２ノズル部材１４と、これら第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４の間に介在させて設けられるシール部材１６とを備える。第１ノズル部材は、板状の基底部と、基底部に対して実質的に直立して設けられる凸部とを備え、凸部は、その中央内部に噴射孔である中孔を有するものである。より具体的には、第１ノズル部材１２は、水平に広がる矩形板状の基底部１２Ａと、それにほぼ直立する円柱状（円錐台状）の凸部１２Ｂとからなる。この凸部１２Ｂの円柱形状の中心には軸方向に延びる噴射孔である中孔２０が備えられ、この中孔２０は、基底部１２Ａの内部に設けられる通路２２に接続（連通）される。該凸部１２Ｂの外周面にはテーパー面２１が形成され、第２ノズル部材１４との嵌合に用いられる。また、基底部１２Ａにおける凸部１２Ｂの両側には、貫通孔である気体通路３９が設けられる。

　第２ノズル部材は、板状の第２ノズル本体部に、第１ノズル部材の凸部に嵌合される開口である貫通孔を設け、その貫通孔の内周面に１又はそれ以上の溝を設けてなるものである。より具体的には、第２ノズル部材１４は、ほぼ中央の貫通孔１５を備える矩形板状の基体から構成される。貫通孔１５は、第２ノズル部材１４の上面に設けられた上開口１５Ａ、第２ノズル部材１４の下面に設けられ、上開口１５Ａよりも大きな下開口１５Ｂ、及び上開口１５Ａと下開口１５Ｂとをつなぐテーパー面３０により構成される。テーパー面３０には、図３に示すように、テーパー面３０に沿って、かつ、上開口１５Ａと下開口１５Ｂとを連絡する少なくとも１つの溝３２が設けられている。このテーパー面３０のテーパー角は、凸部１２Ｂのテーパー面２１のテーパー角と実質的に同じであり、ここでは、中孔２０の軸方向に対して２０～４０度である。

　本実施例においては、この溝３２がテーパー面３０に沿っている場合、言い換えると、溝３２の上開口１５Ａ側が貫通孔１５の中心を通る中心線に向って傾いている場合を例に挙げて説明を行ったが、これに限定するものではない。例えば、凸部１２Ｂが円柱状でテーパー面２１を有さず、また、貫通孔１５は上開口１５Ａと下開口１５Ｂが同径でテーパー面３０を有さず、溝３２を貫通孔１５の中心を通る中心線と平行に設けても良い。

　図２及び３においては、簡略化のために、シール部材１６を省略しているが、条件によっては、このようなシール部材を設けることなく、第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４を嵌合させてもよい。図３に示すように、第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４は、それぞれの固定用ボルト孔４０及び４２が互いに連通するように凸部１２Ｂ及び貫通孔１５を嵌合させ、重ねられる。これらの重ね合わせは、矩形板状の第１ノズル部材１２の基底部１２Ａ及び貫通孔１５の矩形板状の基体の側面を揃えることにより行ってもよい。

　次に第２ノズル部材１４を下ろして貫通孔１５に凸部１５Ｂを嵌合させる（図２）。これにより、溝３２は、テーパー面２１にその開口を塞がれ、溝３２の溝面とテーパー面２１とで側孔３６が形成される。このように、テーパー面３０に溝３２を設けておくだけで、細孔である側孔３６を形成することができるので、側孔３６の製造は容易である。

　このようにして組み合わせたノズル先端部材１０は、その中孔２０及び通路２２に接続される塗料供給源（図示せず）から圧縮された塗料が供給され、中孔２０の中孔開口２０Ａより塗料が噴射される。一方、第２ノズル部材１４の下開口１５Ｂ及び気体通路３９は、シール部材１６でシールされた状態で突き合わされる。そして、気体通路３９に接続された通路９９（後述：図８参照）を介して圧縮空気供給装置（図示せず）から圧縮空気を供給することで、圧縮空気が側孔３６の側孔開口３６Ａから噴射される。この噴射空気は、テーパー面３０及び２１に沿って噴射されるので、中孔開口２０Ａから噴射される塗料と交差する。気体通路３９を介して供給される気体は、下開口１５Ｂ近傍の空間、すなわち第２ノズル部材１４の下面における円形の凹部３８をヘッダ部として各側孔３６に分岐される。

　このようにノズル先端部をノズル本体部とは別パーツにし、そのノズル先端部を、中心流路の長手方向に対して直交する平面で第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４に分割し、中心流路用の貫通孔である中孔２０及び気体流路用の貫通孔である側孔３６がそれぞれ設けられているが、側孔３６を構成する溝３２が、空気通路３９に接続されるように嵌合される。そして、気体流路である側孔３６は、中心流路である中孔２０よりも小径の流路であり、中心流路の周りに配置される。気体流路の噴射口がノズル先端側で中心流路の噴射口に近接するように、テーパー面２１や３０に沿って中心流路側に傾けて（又は湾曲してもよい）形成される。このような第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４は、樹脂製の射出成形部品で構成されてもよい。或いは、第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４は、鋳造（例えば、ロストワックス鋳造）品（金属製又は樹脂製）や金属粉末射出成型品で構成されてもよい。また、シール部材１６としては、両ノズル部材の構成材よりも硬度が低い（軟らかい）部材であれば、特に限定するものではないが、例えば、シリコン樹脂などが挙げられる。その他にも、液体や気体をシール可能な部材や、シール部材やガスケット部材として慣用的に使用されているものであれば全て適用可能であることは言うまでもない。

　ここでは、上述する第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４は、それぞれ樹脂を射出成形して作った樹脂射出成型品からなっている。本実施例のノズル先端部材１０における側孔３６を構成する溝３２は、射出成形時に同時形成される。一方、従来のようにノズル先端部材を一体に射出成形する場合、側孔を形成するためには、鋳抜きピン（中子ピン）等を使用する必要がある。細い中子ピンは折れるおそれがあるため、金型のランニングコスト、結果として製品の製造コストの上昇を招く。本実施例のノズル先端部材１０は、このような問題が無くなるため、製品の製造コストを下げることができる。

　また、本実施例のノズル先端部材１０における側孔３６を構成する溝３２は、射出成形時に同時形成されるものであるため、射出成形後にドリルを用いて穿孔形成する必要がない。また、仮に、溝３２を射出成形時に同時形成することなく、後から切削工具を用いて形成するとしても、穿孔加工のように切削工具が折れるおそれは殆どない。よって、従来と比較して、より容易に、低コストで、側孔を形成することができる。

　さらに、２つの樹脂射出成型品（ノズル部材１２、１４）を嵌合してなる本実施例のノズル先端部材１０における側孔３６の孔径は、同じサイズに一体成形したノズル先端部における側孔の孔径と比べて、小さく（例えば、径０．４ｍｍ）することができる。その結果、圧縮気体の流速が更に高まり液体が高圧で噴射されるので、吹き付け対象物へのインパクト力が向上するという効果があり、特に洗浄等の用途には効果的である。また、高圧噴射することにより噴射領域も広くなる。

　図４から図６は、本発明の別の実施例にかかるノズルの先端部材を上面図、斜視図、分解斜視図において示す。図１から図３のものと基本的に同じ構造をしているので、重複する記載は省略し、共通する又は対応する部材には共通の符番を使用する。ノズル先端部材１０は、上述と同様に、底に配置される第１ノズル部材１２と、その上に嵌合される第２ノズル部材１４と、これら第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４の間に介在させて設けられるシール部材１６とを備える。また、同様に、側孔３６も形成されるが、側孔３６の噴射口は、中孔２０を中心とする同心円の円周方向を向いて傾斜され、等間隔に６個備えられている。このときの傾斜角度は、５～２０度である。このように側孔３６を傾斜させて設けているため、噴射される圧縮空気は螺旋を描きながら塗料の噴射方向に進む。即ち、気体流路である側孔３６は、中心流路である中孔２０よりも小径の流路で、中孔開口２０Ａの周りを囲むように側孔開口３６Ａが配置される。側孔３６はノズル先端側で中孔２０の噴射口である中孔開口２０Ａに近接するように傾けて（又は湾曲して）形成される。このため、噴射液をトルネード状に噴射させることができ、噴射領域が更に広くなり、これにより、噴射能力の更なる向上を図っている。

　図７及び図８は、上述するようなノズル先端部材１０を用いたノズルにより、塗付する状態を示す概略側面図、及び、一部を透視した側面図である。ノズル先端部材１０は、図示しない液体及び気体を供給する供給部材に接続されるノズル本体９１にボルト等で固定され、ノズル先端部材１０はワッシャ９４を介してボルト９６によりノズル本体９１に固定される。ノズル先端部材１０の通路２２（図１を参照）には、ノズル本体９１における通路（第１流体流路）９８に接続され、この通路９８に液体供給装置（図示せず）が接続され、塗料等の液体が供給される。更に、ノズル先端部材１０の気体通路３９（図１を参照）には、ノズル本体９１における通路（第２流体流路）９９に接続され、この通路９９に気体供給装置（図示せず）が接続され、気体が供給される。このようにして、それぞれの開口（中孔開口２０Ａ及び側孔開口３６Ａ）から、液体及び気体が噴射され、吹き付け対象物１０１の表面に塗付液１０３が吹きつけられる。ノズル先端部材１０は、ノズル本体９１にボルトによって着脱自在に締結されるので、液体が中孔２０に詰まった場合にも清掃や交換が容易となる。

　図９及び図１０は、更に別の実施例のノズルの先端部材の概略断面図、及び、概略分解斜視図である。図４から図６のものと基本的に同じ構造をしているので、重複する記載は省略し、共通する又は対応する部材には共通の符番を使用する。尚、図１０に示すように側孔３６は円周方向に傾斜しているが、図９においては簡略化のため、側孔３６についてのみ、その傾斜に沿った断面で描いている（傾斜していないのと同様な断面になる）。ノズル先端部材２００は、上述と同様に、底に配置される第１ノズル部材１２と、その上に嵌合される第２ノズル部材１４と、これら第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４の間に介在させて設けられるシール部材１６とを備える。ここで、第２ノズル部材１４は、上側の第１スライス体１４２及び下側の第２スライス体１４４から構成される。側孔３６となる溝は、第１スライス体１４２に置いて若干細幅となる第１溝１３２、及び、第２スライス体１４４に置いて通常幅となる第２溝１３３からなる。即ち、側孔３６は、上側と下側とで太さの異なる孔となっている。通常このような孔を設けることは、ドリルでは困難であるが、このような組立体を用いれば、容易に径を変えた側孔３６を備えることができる。このように、第２ノズル部材１４を複数のスライス分割構造とし、各貫通孔がそれぞれ連なり、気体流路である側孔３６が形成されるように各スライス体を位置決めし、順番に重ね合わせることで、多彩な側孔３６を形成することができる。尚、第１ノズル部材１２は、複数のスライス分割構造ではなく一体的に設けられているが、液体は気体に比べ粘性が大きく、また固着のおそれもあるので、このような一体型の孔構造がより好ましい。

　図１１は、更に別の実施例にかかるノズルの先端部材を概略分解斜視図において示す。図９及び図１０のものと基本的に同じ構造をしているので、重複する記載は省略し、共通する又は対応する部材には共通の符番を使用する。ノズル先端部材２１０は、上述と同様に、底に配置される第１ノズル部材１２と、その上に嵌合される第２ノズル部材１４と、これら第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４の間に介在させて設けられるシール部材１６とを備える。ここで、第１ノズル部材１２は、水平に広がる矩形板状の基底部１２Ａと、それにほぼ直立する円柱状の凸部１１２Ｂとからなる。この凸部１１２Ｂの円柱形状の中心には軸方向に延びる噴射孔である中孔２０が備えられ、中孔２０よりやや太めの通路２２に接続される（図９参照）。該凸部１１２Ｂの中程は、直胴となる円柱側面１２１が形成され、第２ノズル部材１４との嵌合に用いられる。凸部１１２Ｂの両側には、気体通路３９が備えられる。

　第２ノズル部材１４は、上側の第１スライス体１４２及び第２スライス体１４４から構成される。第１スライス体１４２及び第２スライス体１４４は、それぞれほぼ中央の貫通孔１１５Ａ及び１１５Ｂを備える矩形板状の基体から構成される。貫通孔１１５Ａ及び１１５Ｂは、上面及び下面で同一大きさの開口を備える。従って、この溝１３２、１３３（図１０参照）は円筒側周方向に傾斜しているが、円柱側面１２１に沿って延びている。従って、噴射気体は、特に中心に向って噴射されるわけではないが、螺旋を描くように噴射される。

　図１２は、本発明の別の実施例にかかるノズルの先端部材を斜視図において示す。図５のものと基本的に同じ構造をしているので、重複する記載は省略し、共通する又は対応する部材には共通の符番を使用する。ノズル先端部材１０は、上述と同様に、底に配置される第１ノズル部材１２と、その上に嵌合される第２ノズル部材１４と、これら第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４の間に介在させて設けられるシール部材１６とを備える。また、同様に、側孔３６も形成されるが、側孔３６の噴射口は、中孔２０を中心とする同心円の円周方向を向いて傾斜され、等間隔に６個備えられている。このときの傾斜角度は、５～２０度である。これらの側孔３６は、凸部１２Ｂ（図１参照）の外周面のテーパー面２１に形成される溝３３、貫通孔１５（図３参照）の内周面であるテーパー面３０に形成された溝３２によって形成される。つまり側孔３６は、凸部１２Ｂの外周面の溝３３及び貫通孔１５の内周面によって形成され、開口部３６Ｂを備えるようにしてもよい。又は、側孔３６は、凸部１２Ｂの外周面及び貫通孔１５の内周面の溝３２によって形成され、開口部３６Ａを備えるようにしてもよい。或いは、側孔３６は、凸部１２Ｂの外周面の溝３３及び貫通孔１５の内周面の溝３２によって形成され、開口部３６Ｃを備えるようにしてもよい。このように、溝を形成する部材を適宜変えることによって、バラエティのある側孔３６及びそれぞれの開口部３６Ａ、３６Ｂ、及び、３６Ｃを比較的容易に作ることができる。

　図１３は、更に別の実施例にかかるノズルの先端部材を概略分解斜視図において示す。図１１のものと基本的に同じ構造をしているので、重複する記載は省略し、共通する又は対応する部材には共通の符番を使用する。ノズル先端部材２１０は、上述と同様に、底に配置される第１ノズル部材１２と、その上に嵌合される第２ノズル部材１４と、これら第１ノズル部材１２及び第２ノズル部材１４の間に介在させて設けられるシール部材１６とを備える。ここで、第１ノズル部材１２は、水平に広がる矩形板状の基底部１２Ａと、それにほぼ直立する円柱状の凸部１１２Ｂとからなる。この凸部１１２Ｂの円柱形状の中心には軸方向に延びる噴射孔である中孔２０が備えられ、中孔２０よりやや太めの通路２２に接続される（図９参照）。該凸部１１２Ｂの中程は、直胴となる円柱側面１２１が形成され、その側周面に溝１３４が形成される。この溝１３４は、第１スライス体１４２及び第２スライス体１４４の貫通孔の内周面に形成されるそれぞれの溝１３２及び１３３と対応するように形成されているので、嵌合によりこれらの溝１３２、１３３、１３４が一致し側孔３６（図１２等を参照）を形成する。

　以上のように、本発明のノズルの先端部材では、第１ノズル部材１２の凸部１２Ｂ、１１２Ｂにおける外周面及び第２ノズル部材１４の貫通孔１５における内周面の少なくとも一方に、溝３２を設け、第１ノズル部材１２の凸部１２Ｂ、１１２Ｂと第２ノズル部材１４の貫通孔１５とを嵌合させることで、溝の溝面と溝を覆う平面とで囲まれた領域を流体（気体）噴射のための側孔（気体流路）にしている。このため、精度が要求されるノズル先端の孔（気体流路）の形状であっても、精密に精度よく、かつ、安価にノズル先端の孔を形成することが可能である。そのため、ノズル先端部材の製造コストの大幅な低下を実現できる。

１０、２００、２１０　ノズル先端部材　　　　１２　第１ノズル部材　
１２Ａ　基底部　　　　１２Ｂ、１１２Ｂ　凸部　　　　
１４　第２ノズル部材　　　　１５　貫通孔　　　　１５Ａ　上開口　
１５Ｂ　下開口　　　　１６　シール部材　　　　２０　中孔　　
２０Ａ　中孔開口　　　　　２１　テーパー面　　　　２２　通路　　
３０　テーパー面　　　　３２　溝　　　　３６、１３９　側孔　　
３８　凹部　　　　３９　気体通路　　　　４０、４２　ボルト孔　　
９０　ノズル　　　　９１　ノズル本体　　　　９４　ワッシャ　　
９６　ボルト　　　　９８　通路　　　　１０１　吹き付け対象物　　
１０３　塗付液　　　　１２１　円柱側面　　　　１３２　第１溝　　
１３３　第２溝　　　　１４２　第１スライス体　　　　
１４４　第２スライス体　

Claims

　第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、
　板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、
　板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、
　前記貫通孔の内周面は、１又はそれ以上の溝を有し、
　前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、
　前記貫通孔の内周面の溝と、前記凸部の外周面と、で前記側孔を構成したことを特徴とするノズルの先端部材。
　前記凸部の外周面は、前記貫通孔の内周面の溝と対向する部分に１又はそれ以上の溝を有し、
　前記貫通孔の内周面の溝と、前記凸部の外周面の溝とが、それぞれ対向して重なり、前記側孔を構成したことを特徴とする請求項１に記載のノズルの先端部材。
　第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、
　板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、
　板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、
　前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、
　前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、
　前記凸部の外周面の溝と、前記貫通孔の内周面と、で前記側孔を構成したことを特徴とするノズルの先端部材。
　前記貫通孔の内周面は、前記凸部の外周面の溝と対向する部分に１又はそれ以上の溝を有し、
　前記凸部の外周面の溝と、前記貫通孔の内周面の溝とが、それぞれ対向して重なり、前記側孔を構成したことを特徴とする請求項３に記載のノズルの先端部材。
　前記凸部が、前記基底部側から先端側に向かって連続的に径が小さくなるテーパー状に設けられ、
　前記側孔が、前記凸部のテーパー面に沿って、前記中孔の中心軸に向かって傾けて設けられたことを特徴とする請求項１又は３に記載のノズルの先端部材。
　前記側孔は、前記中孔の軸心を中心とする同心円の円周方向に傾けて設けられたことを特徴とする請求項５に記載のノズルの先端部材。
　前記基底部は、前記側孔と連通する流路開口である基底部貫通孔を備えることを特徴とする請求項１又は３に記載のノズルの先端部材。
　前記基底部の前記凸部側面と、前記第２ノズル部材の第１ノズル対向面との間に設けられ、前記側孔を流れる流体のシールを行うシール部材を、更に備えることを特徴とする請求項１又は３に記載のノズルの先端部材。
　前記第２ノズル部材が、前記中孔の長手方向に対して直交する平面で複数に分割されたスライス体で構成されることを特徴とする請求項１又は３に記載のノズルの先端部材。
　前記複数のスライス体は、前記溝をそれぞれの前記貫通孔の内周面に備え、それぞれの前記スライス体の溝は、溝大きさ及び／又は溝形状が連続的に変化するよう形成されたことを特徴とする請求項９記載のノズルの先端部材。
　第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、
　板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、
　板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、
　前記貫通孔の内周面及び／又は前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、
　前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、前記貫通孔の内周面の溝と、前記凸部の外周面と、で前記側孔を構成してなる先端部材と、
　前記先端部材が取り付けられるノズル本体部と、
　前記先端部材は前記ノズル本体部に対して固定する固定手段と、を備え、
　前記固定手段により、前記先端部材を前記ノズル本体部に対して脱着自在に設けたことを特徴とするノズル。
　第１の流体を噴射孔から噴射すると共に、前記噴射孔の周りに設けられる１又はそれ以上の側孔から第２の流体を噴射するノズル先端部材であって、
　板状の基底部及び該基底部に対して実質的に直立する凸部を備え、
　該凸部内部に前記噴射孔である中孔を内部に有する第１ノズル部材と、板状の第２ノズル本体部に、前記凸部に嵌合される開口である貫通孔を設けてなる第２ノズル部材と、を備え、
　前記貫通孔の内周面及び／又は前記凸部の外周面は、１又はそれ以上の溝を有し、
　前記貫通孔を前記凸部に嵌合させつつ、前記第２ノズル部材を前記第１ノズル部材に着座させ、前記凸部の外周面の溝と、前記貫通孔の内周面と、で前記側孔を構成してなる先端部材と、
　前記先端部材が取り付けられるノズル本体部と、
　前記先端部材は前記ノズル本体部に対して固定する固定手段と、を備え、
　前記固定手段により、前記先端部材を前記ノズル本体部に対して脱着自在に設けたことを特徴とするノズル。
　前記ノズル本体部は、
　前記先端部材の前記中孔に連通するように設けられた第１流体流路と、
　前記先端部材の前記側孔に連通するように設けられた第２流体流路と、を備えることを特徴とする請求項１１又は１２に記載のノズル。