WO2012111323A1

WO2012111323A1 - ドラム式洗濯機

Info

Publication number: WO2012111323A1
Application number: PCT/JP2012/000986
Authority: WO
Inventors: 伸一郎小林; 井上　豊; 伊丹　雅洋; 秀晃牛島
Original assignee: パナソニック株式会社
Priority date: 2011-02-16
Filing date: 2012-02-15
Publication date: 2012-08-23
Also published as: SI2557221T1; US20130014546A1; EP2557221A1; CN102803599A; EP2557221B1; CN102803599B; JP2012165938A; JP5659842B2; EP2557221A4

Abstract

　外箱（１）の側面を構成し、鋼板で形成された左右の側面板（８）と、外箱（１）の前面を構成し、開閉自在なドア（４）を配した前面カバー（５）と、外箱（１）の上面を構成する上面カバー（２）と、揺動自在に外箱（１）内方に配設された水槽（１２）と、水槽（１２）内に軸支された回転ドラム（１１）とを備え、左右の側面板（８）には複数の凹部（９）が形成され、凹部（９）は、ドア（４）側である外箱（１）の前面に近いほど大きい曲率の円弧形状としたことにより、側面板（８）の上下左右方向の剛性を高め、脱水時の振動を低減する。

Description

ドラム式洗濯機

　本発明は、ドラム式洗濯機の外箱側面の構成に関するものである。

　従来、ドラム式洗濯機の外箱側面の構成においては、脱水時等の振動を低減する為に、プレス加工等により、外箱側面となる薄板鋼板に水平方向に延びる凹部を複数形成することが提案されてきた（例えば、特許文献１参照）。

　図４は、特許文献１に記載された従来のドラム式洗濯機の外観斜視図である。図４に示すように、ドラム式洗濯機の外箱４１は、縦長の略直方体である。外箱４１は、外箱４１の上面を構成する上面化粧カバー３０と、外箱４１の前面上方部を構成し、表示画面等も備えた操作パネル３１と、外箱４１の前面中央部を構成し、中央に開閉自在なドア３２が設けられた前面化粧カバー３３と、外箱４１の前面下方部を構成する前面下部カバー３４と、外箱４１の底面を構成し、下方に脚部３９が取り付けられた脚台３５とを備える。

　外箱４１の左右の側面を構成する側面板３６は、薄板鋼板から生成されるとともに縦長の略矩形状を有する。側面板３６は、脚台３５とともに外箱４１の全体重量を支えている。

　図４に示すように、側面板３６には、製品を持ち運ぶための把手部３８や、注意シール等を貼りつけるための凹部４０が形成される。把手部３８や凹部４０を除いて、側面板３６の全面には、水平方向に長手方向を有する複数の凹部３７が形成される。凹部３７の面積、すなわち側面板３６のうち塑性変形をしている部分の面積は、凹部３７が形成されていない部分の面積より広くしている。これにより、側面板３６全体の面剛性が向上する。また、脱水時の振動周波数から遠くなるように側面板３６の共振周波数が大きくなるため、外箱４１の振動が低減される。

　凹部３７は、側面板３６の全面において水平方向に延びるように形成される。その理由は、側面板３６が縦方向に縦長の略矩形状を有しているので、凹部３７の上下幅として設定した寸法Ｐが一定ならば、凹部３７が多数形成されるからである。このような配置により、凹部３７が多数形成され、面剛性が向上する。

特開２０１０－６３８９３号公報

　しかしながら、側面板３６の形状が正方形に近い場合には、側面板３６に対して、上下方向及び前後方向のいずれの方向からも、振動が大きく伝達される。一方で、前記従来の構成では、上下方向の剛性が向上しても、前後方向の剛性は十分に向上しない。したがって、側面板３６の形状が正方形に近い場合には、前記従来の構成による剛性（特に前後方向の剛性）は必ずしも十分でない。結果的に、脱水運転の際に側面板３６の振動が増大して異音が発生したり、あるいは外箱４１の前面にあるドア３２が開閉される際（特に閉じる際）に、ドア３２の開閉動作が側面板３６に反響して側面板３６が振動し異音が発生する、という課題があった。

　また、ドラム式洗濯機は節水効果が大きいため、近年、その需要が増加している。これに伴い、ドラム式洗濯機は、大容量化が求められている。大容量化のために、回転ドラム１１は回転軸方向沿いに長く形成される（回転ドラム１１の奥行きが大きく形成される）。このように、洗濯可能な衣類の容量の増大に伴って製品自体の奥行きが大きくなることにより、近年における側面板８の形状として、縦方向と横方向の寸法が近似した矩形状、すなわち正方形に近い矩形状のものが増加している。

　本発明は、上記従来の課題を解決するもので、上下方向だけでなく前後方向において高い剛性を有することにより、振動や異音の発生を低減する、ドラム式洗濯機を提供することを目的としている。

　前記従来の課題を解決する為に、本発明のドラム式洗濯機は、外箱の側面を構成し、鋼板で形成された左右の側面板と、外箱の前面を構成し、開閉自在なドアを配した前面カバーと、外箱の上面を構成する上面カバーと、揺動自在に外箱内方に配設された水槽と、水槽内に軸支された回転ドラムとを備え、左右の側面板には複数の凹部が形成され、凹部は、ドア側である外箱の前面に近いほど大きい曲率の円弧形状としたものである。

　これにより、上下方向及び前後方向の両方向において高い剛性が得られ、振動や異音の発生が低減される。

　本発明のドラム式洗濯機は、上下方向及び前後方向の両方向において高い剛性が得られ、振動や異音の発生が低減される。

　本発明のこれらの態様と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。
本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の外観斜視図図１の線Ａ－Ａに沿った同ドラム式洗濯機の縦断面図同ドラム式洗濯機の側方視による平面図従来のドラム式洗濯機の外観斜視図

　第１の発明は、外箱の側面を構成し、鋼板で形成された左右の側面板と、外箱の前面を構成し、開閉自在なドアを配した前面カバーと、外箱の上面を構成する上面カバーと、揺動自在に外箱内方に配設された水槽と、水槽内に軸支された回転ドラムとを備え、左右の側面板には複数の凹部が形成され、凹部は、ドア側である外箱の前面に近いほど大きい曲率の円弧形状とした、ドラム式洗濯機である。このような構成により、上下方向及び前後方向の両方向において高い剛性が得られ、振動や異音の発生が低減される。

　第２の発明は、第１の発明のドラム式洗濯機を、ドア側である外箱の前面に最も近い位置の凹部は略半円形状とした。このような構成により、脱水運転時にドア近傍から側面板に伝達される振動に対して、略半円形状の凹部により強い面剛性が得られる。したがって、側面板全体への振動伝達が低減され、製品全体の振動が抑制される。また、ドアが解放状態から強い力で閉じられる際に前面カバーを介して側面板に伝達される衝撃に対しても、脱水運転時と同様に、略半円形状の凹部の強い面剛性が得られる。したがって、側面板全体の反響音が低減される。

　第３の発明は、第１又は第２の発明のドラム式洗濯機を、水槽は、水槽を外箱内で吊り下げるサスペンションと、水槽の振動を減衰する減衰ダンパーと、水槽のドア側にて前面カバーとの間に配設されたドアパッキンとによって支持されるようにした。このような構成により、脱水運転時における水槽のあらゆる方向の挙動に対応した側面板の面剛性が確保され、低振動・低騒音が達成される。

　本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品には、同じ参照符号が付されている。以下に、本発明にかかる実施の形態が、図面に基づいて詳細に説明される。なお、本実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。

　（実施の形態）
　図１は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の外観斜視図であり、図２は、図１の線Ａ－Ａに沿った同ドラム式洗濯機の縦断面図であり、図３は、同ドラム式洗濯機の側方視による平面図である。

　図１において、外箱１は、立方体に近い略直方体である。外箱１は、外箱１の上面を構成する上面化粧カバー（上面カバー）２と、外箱１の前面上方部を構成し、表示画面等も備えた操作パネル３と、外箱１の前面を構成し、略中央に開閉自在なドア４を配した前面化粧カバー（前面カバー）５と、外箱１の前面下方部を構成する前面下部カバー６と、外箱１の底面に取り付けられた脚部７とを備える。

　外箱１はさらに、外箱１の側面を構成し、薄板の鋼板で形成された左右の側面板８を備える。側面板８は、正方形に近い略矩形状を有する。なお、図１では、片方の側面板８のみが示されている。以降の説明において、前面化粧カバー５に垂直な方向が「前後方向」（図１で示されるＸ方向）と定義され、側面板８に垂直な方向が「左右方向」（図１で示されるＹ方向）と定義され、上面化粧カバー２に垂直な方向が「上下方向」（図１で示されるＺ方向）と定義される。

　図１に示すように、側面板８には、複数の凹部９が形成されている。外箱１を側方（左右方向）から見たときに、凹部９は、ドア４側である外箱１の前面に近いほど大きい曲率の円弧形状である。凹部９は、側面板８となる鋼板をプレスして絞り加工することで形成することができる。この絞り工程により、凹部９は塑性変形する。本実施の形態におけるドラム式洗濯機によれば、側面板８に形成された凹部９が利用されることにより、薄板鋼板の側面板８の面剛性が向上する。また、脱水運転時の側面板８の振動や異音が低減され、さらに、強い力でドア４が閉じられる際の側面板８の反響音及び振動等が削減される。凹部９の形状等は、後で詳細に説明される。

　次に、図２を用いて、側面板８に作用する振動が説明される。

　図２に示すように、外箱１は、モータ１０により回転駆動される回転ドラム１１と、揺動自在に外箱１内方に配設された水槽１２と、を備える。回転ドラム１１は、Ｘ方向に平行な回転軸を中心として回転自在な状態にて、水槽１２内に軸支される。

　水槽１２の上部と上面化粧カバー２との間には、サスペンション１３が取り付けられる。サスペンション１３が、水槽１２を外箱１内で吊り下げている。サスペンション１３により、水槽１２は、外箱１内で揺動自在に垂下防振支持される。また、水槽１２の下部と外箱底板１５との間には、減衰ダンパー１４が取り付けられる。減衰ダンパー１４は、水槽１２の振動を減衰するように水槽１２を減衰支持する。

　さらに、水槽１２のドア４側において、水槽１２と前面化粧カバー５との間に、ドアパッキン１７が配設される。ゴム等の可撓性材料で形成されたドアパッキン１７は、ドア４が閉じられた時にドア内ガラス１６と水密的に接するようにして配設される。ドアパッキン１７が配設されることにより、水槽１２は、ドア４が閉じられたときに外箱１の外部に対して水密状態となる。水槽１２は、サスペンション１３と減衰ダンパー１４とドアパッキン１７とにより支持される。

　例えば脱水運転時には、回転ドラム１１が高速回転する。回転ドラム１１が高速回転すると、回転ドラム１１内部において、洗濯物である衣類１８は様々な方向へ移動する。このように衣類１８が様々な方向へ移動することによって、回転ドラム１１から水槽１２へ衝撃が伝達され、水槽１２は、上下方向、左右方向、前後方向へ複雑に動いて振動する。

　さらに、水槽１２の振動は、側面板８に伝達される。具体的には、水槽１２の振動が、サスペンション１３や減衰ダンパー１４から上面化粧カバー２や底板１５を介して、側面板８（図２では図示せず）に伝達される。この振動は、上下方向の波動が主体となる。一方で、水槽１２の振動が、ドアパッキン１７から前面化粧カバー５を介して、側面板８（図２では図示せず）に伝達される。この振動は、前後方向の波動が主体となる。

　したがって、側面板８の剛性は、サスペンション１３や減衰ダンパー１４から上面化粧カバー２や底板１５を介して側面板８に伝達される主に上下方向の振動と、ドアパッキン１７から前面化粧カバー５を介してドア４側の前方から側面板８に伝達される主に前後方向の振動と、ドア開閉時の前後方向の衝撃と、に対応する面剛性を有する必要がある。

　特に、側面板８の形状が、縦方向の寸法と横方向の寸法が近似した矩形、すなわち正方形に近い場合には、側面板８の剛性として、上下方向だけでなく前後方向に対しても高い面剛性が求められる。本実施の形態では、このような面剛性を得るために、凹部９が設けられる。

　次に、上述した面剛性を得るために設けられた凹部９が、図３を用いて説明される。

　図３において、側面板８に形成された凹部９は、ドア４側である外箱１の前面に最も近い位置にあり、略半円形状である凹部９ａと、凹部９ａの次にドア４に近い位置に配置され、曲率の大きい略円弧形状を有する凹部９ｂと、凹部９ｂから後方に行くに従って順次曲率の小さくなった略円弧形状を有する凹部９ｃ、９ｄ、９ｅとで構成される。また、凹部９ｂ、９ｃ、９ｄ、９ｅは、上下方向における上端部から下端部に向かって、外箱１の前方から後方に湾曲しながら延びる略円弧形状を有する。なお、凹部９は、外箱１の外方から外箱１の内方に向けてへこんでいる。

　凹部９の曲率の設定は、懸垂曲線（カテナリー）で設定する。図３に示すように、ドア４に最も近い位置（前後方向において最も前方）に配置される凹部９ａの形状が略半円形状であることにより、特に側面板８におけるドア４側中央部近傍の面剛性が向上する。なお、本実施の形態では、凹部９ａの形状は略半円形状であるが、略半円形状に限らず、略半楕円形状、略円弧形状あるいはその他の形状であっても良い。また、「略半円形状」には半円形状が含まれ、「略円弧形状」には円弧形状が含まれるものとする。

　一方で、ドア４から最も離れた（前後方向において最も後方に位置する）凹部９ｅの形状は、略垂直に近似する曲率の小さい円弧状のカテナリー曲線である。また、凹部９ｅの上下かつ後方の端部Ｂは、側面板８の上下の角隅部１９に近接する。凹部９ｅがこのような形状となるように凹部９が形成されることにより、凹部９の面積は、できるだけ広くなる。

　なお、側面板８の板厚が０．６ｍｍである場合、凹部９の深さが２．０～４．０ｍｍになると、側面板の面剛性が向上する。しかしながら、凹部９の深さは、上記深さに限らず、側面板８の板厚やその他の設計事項を考慮して適宜定めることができる。

　また、外箱１を側方から見たときに、凹部９ａ、９ｂ、９ｃ、９ｄ、９ｅの上下方向の中心は、ドア４の中心ならびに回転ドラム１１の回転軸上にあるほうが好適である。

　以上のように構成された洗濯機の動作、作用が、以下で説明される。

　本発明による側面板８は、サスペンション１３や減衰ダンパー１４から上面化粧カバー２や底板１５を介して側面板８に伝達される主に上下方向の振動と、ドアパッキン１７から前面化粧カバー５を介してドア４側から側面板８に伝達される主に前後方向の振動とに対応可能なように、複数の円弧状凹部を有している。このような側面板８の構成では、縦方向に延びる画一的な凹部や水平方向に延びる画一的な凹部が形成される構成と異なり、側方から見たときに、凹部９によって、複雑な平面形状が形成される。したがって、側面板８によって、上下方向及び前後方向の両方向に対して高い面剛性が得られる。

　また、前後方向においてドア４に最も近い位置に、略半円形状の凹部９ａが配置されることにより、特に脱水運転時にドア４近傍のドアパッキン１７を介して側面板８に、図３の矢印Ｃに示す方向から伝達されてくる主に前後方向の振動に対して、強い面剛性が得られる。したがって、側面板８全体への振動伝達が低減され、製品全体の振動が抑制される。

　また、ドア４が解放状態から強い力で閉じられる際に、ドアパッキン１７および前面化粧カバー５を介して左右の側面板８に伝達される衝撃は、脱水運転時と同様に、略半円形状の凹部９ａによる強い面剛性により、緩和される。したがって、側面板８全体の反響音及び振動等が低減される。

　なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態が適宜組み合わされることにより、それぞれの有する効果が発揮される。

　以上のように、本発明によるドラム式洗濯機は、側面板８の面剛性、特に前面のドア４近傍における面剛性を高めることにより、脱水時の外箱振動や、ドア開閉時の異音を低減させることができる。したがって、振動を伴い、かつ開閉ドアを有する他の製品（例えば脱水機や衣類乾燥機）にも適用できる。

　本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。

　２０１１年２月１６日に出願された日本国特許出願Ｎｏ．２０１１－０３０４８７号の明細書、図面、及び特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。

　１　　外箱
　２　　上面化粧カバー（上面カバー）
　４　　ドア
　５　　前面化粧カバー（前面カバー）
　８　　側面板
　９　　凹部
　１１　回転ドラム
　１２　水槽
　１３　サスペンション
　１４　減衰ダンパー
　１７　ドアパッキン

Claims

　外箱の側面を構成し、鋼板で形成された左右の側面板と、
　前記外箱の前面を構成し、開閉自在なドアを配した前面カバーと、
　前記外箱の上面を構成する上面カバーと、
　揺動自在に前記外箱内方に配設された水槽と、
　前記水槽内に軸支された回転ドラムとを備え、
　前記左右の側面板には複数の凹部が形成され、前記凹部は、前記ドア側である外箱の前面に近いほど大きい曲率の円弧形状としたドラム式洗濯機。
　前記ドア側である外箱の前面に最も近い位置の凹部は略半円形状とした、請求項１記載のドラム式洗濯機。
　前記水槽は、前記水槽を外箱内で吊り下げるサスペンションと、前記水槽の振動を減衰する減衰ダンパーと、前記水槽の前記ドア側にて前記前面カバーとの間に配設されたドアパッキンとによって支持される、請求項１又は２記載のドラム式洗濯機。