WO2010013330A1

WO2010013330A1 - スピーカ装置、およびスピーカ装置の製造方法

Info

Publication number: WO2010013330A1
Application number: PCT/JP2008/063689
Authority: WO
Inventors: 康史田中
Original assignee: パイオニア株式会社; 東北パイオニア株式会社
Priority date: 2008-07-30
Filing date: 2008-07-30
Publication date: 2010-02-04

Abstract

　比較的簡単な構造で、フレームと磁気回路とが比較的高い接合強度を有すること、フレームと磁気回路とが比較的高い位置決め精度を有すること、比較的小型で高音質のスピーカ装置を提供することなど。　スピーカ装置１は、ヨーク２１と、磁石２２と、プレート２３とを備える磁気回路２と、振動板３３と、ボイスコイル３１と、フレーム４と、断面形状略Ｕ字形状の固定部材８とを有する。フレーム４の被嵌合部４０は、開口部４４の短手方向両端部近傍に形成され、裏面側に突出するとともに長手方向に沿って延在する形状に形成され、ヨーク２１が接着剤９０２により内側面に接合されるヨーク側面接合部４２を有する。固定部材８は、磁気回路２のヨーク２１の切欠部２７１に嵌合する支持部８１と、屈曲側面部８２と、ヨーク側面接合部４２の外周側面に形成された被係止部４２８に係合して係止する係止部８２１とを有する。

Description

スピーカ装置、およびスピーカ装置の製造方法

　本発明は、スピーカ装置、およびスピーカ装置の製造方法に関する。

　振動方向から見た平面形状が細長形状の振動板、ボイスコイルボビン、およびボイスコイルを備えるスピーカ装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。
　上記特許文献１に記載されたスピーカ装置は、フレームの底面部上に磁気回路が配置されている。

特許第３１５６５３８号公報

　ところで、細長形状のスピーカ装置は、例えばテレビジョン放送受像機用スピーカ、モニタ用スピーカ、などの音響装置に搭載されるが、より小型のスピーカ装置が望まれている。

　例えば、単純に、フレームの底面部に開口部を形成して、磁気回路のヨークを露出させた構造のスピーカ装置では、フレームに底面部が形成されていないので比較的薄型で小型となるが、上記構成のスピーカ装置は、例えばフレームと磁気回路との間の接着強度が十分でないと、スピーカ駆動時、振動板裏面側の背圧により、フレームと磁気回路との間の接着部分で、フレームと磁気回路とが離間する方向に力が加わり、接合不良が生じる場合がある。上記接合不良が生じると、スピーカ装置は、異音の発生、音質の低下、などの不具合が生じる場合がある。
　このため、簡単な構造で、フレームと磁気回路との接合強度が比較的高い強度を有するスピーカ装置が望まれている。

　また、上記スピーカ装置では、フレームと磁気回路との組立精度が比較的低い場合、振動系の動作が不安定となり、音響特性が低下する場合がある。このため、簡単な構成でフレームと磁気回路との位置決め精度が比較的高いスピーカ装置が望まれている。

　また、一般的なスピーカ装置は、スピーカ駆動時、ボイスコイルや磁気回路が発熱し、耐熱性が低下する場合がある。このため、簡単な構成で、ボイスコイルや磁気回路の熱を放熱することができるスピーカ装置が望まれている。

　また、ボイスコイルボビンの上部にキャップや振動板が配置され、ボイスコイルボビン内部が密閉された構造を有するスピーカ装置は、スピーカ駆動時、振動板の振動が制動されて、音響特性が低下する場合がある。

　本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、比較的簡単な構造で、フレームと磁気回路とが比較的高い接合強度を有するスピーカ装置を提供すること、簡単な構成でフレームと磁気回路とが比較的高い位置決め精度を有するスピーカ装置を提供すること、簡単な構成でボイスコイルや磁気回路の熱を放熱することができるスピーカ装置を提供すること、スピーカ駆動時、振動板の振動に対して制動による音響特性の低下を抑止すること、比較的小型で高音質のスピーカ装置を提供すること、簡単に高精度に上記スピーカ装置を製造すること、などが本発明の目的である。

　このような目的を達成するために、本発明は、以下の独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
　本発明に係るスピーカ装置は、短手方向断面形状が底面部とそれに略直交する両側面部とを備え、内部に空間を有するヨークと、該ヨークの底面部上に配置された磁石と、該磁石上に配置されたプレートとを備える磁気回路と、振動発生源の振動方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向とを有する振動板と、前記振動板に直接またはボイスコイルボビンを介して支持され、前記磁気回路の磁気ギャップに配置されるボイスコイルと、細長形状の開口部と、該開口部近傍に形成され、前記磁気回路が嵌合されて該磁気回路を支持する被嵌合部とを備えるフレームと、前記フレームと前記磁気回路とを固定する断面形状が略Ｕ字形状の固定部材とを有し、前記フレームの前記被嵌合部は、前記開口部の短手方向両端部近傍に形成され、裏面側に突出するとともに前記長手方向に沿って延在する形状に形成され、前記ヨークの側面部が接着剤により内側面に接合されるヨーク側面接合部を有し、前記固定部材は、前記磁気回路のヨークの底面部に形成された切欠部に嵌合する矩形平板形状の支持部と、前記支持部の両端部から前記振動板の振動方向に向かって屈曲した屈曲側面部と、前記屈曲側面部の先端部に形成され、前記フレームのヨーク側面接合部の外周側面に形成された被係止部に係合して係止する係止部とを有することを特徴とする。

　また、本発明に係るスピーカ装置の製造方法は、短手方向断面形状が底面部とそれに略直交する両側面部を備え、内部に空間を有するヨークと、該ヨークの底面部上に配置された磁石と、該磁石上に配置されたプレートとを備える磁気回路と、振動発生源の振動方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向とを有する振動板と、前記振動板に直接またはボイスコイルボビンを介して支持され、前記磁気回路の磁気ギャップに配置されるボイスコイルと、細長形状の開口部と、該開口部近傍に形成され、前記磁気回路が嵌合されて該磁気回路を支持する被嵌合部とを備えるフレームと、前記フレームと前記磁気回路とを固定する断面形状が略Ｕ字形状の固定部材とを有するスピーカ装置の製造方法であって、前記フレームの前記被嵌合部は、前記開口部の短手方向両端部近傍に形成され、裏面側に突出するとともに前記長手方向に沿って延在する形状に形成され、前記ヨークの側面部が接着剤により内側面に接合されるヨーク側面接合部を有し、前記固定部材は、前記磁気回路のヨークの底面部に形成された切欠部に嵌合する矩形平板形状の支持部と、該支持部の両端部から前記振動板の振動方向に向かって屈曲した屈曲側面部と、前記屈曲側面部の先端部に形成され、前記フレームのヨーク側面接合部の外周側面に形成された被係止部に係合して係止する係止部とを有し、前記フレームと前記振動板と前記ボイスコイルとを接合してアッセンブリを作製する第１のステップと、前記アッセンブリと前記磁気回路とを、前記固定部材により挟持した状態で、前記アッセンブリと前記磁気回路との位置決めが行われ、前記位置決め後に前記接着剤により前記磁気回路と前記フレームとが接着固定される第２のステップとを有することを特徴とする。

図１（Ａ）は本発明の一実施形態に係るスピーカ装置１の平面図であり、図１（Ｂ）は図１（Ａ）に示されたスピーカ装置１のＢ－Ｂ線に沿った断面図であり、図１（Ｃ）は図１（Ａ）に示されたスピーカ装置１のＣ－Ｃ線に沿った断面図である。図２（Ａ）は、図１（Ａ）～図１（Ｃ）に示されたスピーカ装置１の磁気回路２の磁石２２およびプレート２３の上面側からの斜視図であり、図２（Ｂ）は磁気回路のヨーク２１の上面側からの斜視図であり、図２（Ｃ）は図２（Ａ），図２（Ｂ）に示されたヨーク２１、磁石２２、およびプレート２３が組み合わされた磁気回路２の斜視図である。図３（Ａ）はスピーカ装置１の固定部材（クリップ）８の斜視図であり、図３（Ｂ）は図２（Ｃ）に示されたスピーカ装置１の磁気回路２の裏面側（背面側）からの斜視図であり、図３（Ｃ）はスピーカ装置１のボイスコイルボビン３２、ボイスコイル３１、およびフレーム４の裏面側からの斜視図である。図４は図１（Ａ）に示されたスピーカ装置１の要部を拡大した裏面側の底面図である。図５（Ａ）は図１（Ｂ）に示されたスピーカ装置１の側面図であり、図５（Ｂ）は本発明の他の実施形態に係るスピーカ装置の側面図である。図６は本発明の一実施形態に係るスピーカ装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。図７（Ａ）はボイスコイル３１、ボイスコイルボビン３２、振動板３３、エッジ３４、フレーム４との組立て動作を説明するための断面図であり、図７（Ｂ）は治具Ｇ１による各構成要素の位置決め動作を説明するための断面図である。図８（Ａ）はヨーク２１、磁石２２、およびプレート２３を組み立てる工程を説明するための断面図であり、図８（Ｂ）は治具Ｇ２による各構成要素の位置決め動作を説明するための断面図である。図９（Ａ）はスピーカ装置１のアッセンブリ４３０、磁気回路２、および固定部材（クリップ）８を説明するための短手方向の断面図であり、図９（Ｂ）は図９（Ａ）に示されたアッセンブリ４３０、磁気回路２、および固定部材８が組み立てられたスピーカ装置１の短手方向の断面図である。図１０は本発明の他の実施形態に係るスピーカ装置の内磁型磁気回路２Ｈの底面図である。図１１（Ａ）は本発明の第１具体例に係るスピーカ装置のヨーク２１Ｋの断面図であり、図１１（Ｂ）は第２具体例に係るヨーク２１Ｍの断面図であり、図１１（Ｃ）は第３具体例に係るヨーク２１Ｎの断面図であり、図１１（Ｄ）は本発明の第４具体例に係るヨーク２１Ｐの断面図である。

符号の説明

　１　スピーカ装置
　２　磁気回路
　３　振動体
　４　フレーム
　８　固定部材（クリップ）
　２１　ヨーク
　２２　磁石
　２３　プレート（ポールピース）
　２７　開口部
　３１　ボイスコイル
　３２　ボイスコイルボビン
　３３　振動板
　３４　エッジ（振動板支持部）
　３５　ダンパ

　本発明の一実施形態に係るスピーカ装置は、短手方向断面形状が底面部とそれに略直交する両側面部とを備え、内部に空間を有するヨークと、該ヨークの底面部上に配置された磁石と、該磁石上に配置されたプレートとを備える磁気回路と、振動発生源の振動方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向とを有する振動板と、振動板に直接またはボイスコイルボビンを介して支持され、磁気回路の磁気ギャップに配置されるボイスコイルと、細長形状の開口部と、該開口部近傍に形成され、磁気回路が嵌合されて該磁気回路を支持する被嵌合部とを備えるフレームと、フレームと磁気回路とを固定する断面形状が略Ｕ字形状の固定部材とを有し、フレームの被嵌合部は、開口部の短手方向両端部近傍に形成され、裏面側に突出するとともに前記長手方向に沿って延在する形状に形成され、ヨークの側面部が接着剤により内側面に接合されるヨーク側面接合部を有し、固定部材は、磁気回路のヨークの底面部に形成された切欠部に嵌合する矩形平板形状の支持部と、支持部の両端部から振動板の振動方向に向かって屈曲した屈曲側面部と、屈曲側面部の先端部に形成され、フレームのヨーク側面接合部の外周側面に形成された被係止部に係合して係止する係止部とを有することを特徴とする。

　上記スピーカ装置は、磁気回路のヨークとフレームとが接着剤により接合されるとともに、磁気回路とフレームとが固定部材により固定されている。詳細には、固定部材の支持部が、磁気回路のヨークの底面部に形成された切欠部に嵌合し、屈曲側面部の先端部に形成された係止部が、フレームのヨーク側面接合部の外周側面に形成された被係止部に係合して係止した状態で、固定部材がフレームと磁気回路とを挟持して固定している。
　つまり、上記スピーカ装置は、比較的簡単な構造で、フレームと磁気回路とが比較的高い接合強度を有する。このため、上記スピーカ装置は、スピーカ駆動時、振動板裏面側の背圧により、フレームと磁気回路との間の接着部分で、フレームと磁気回路とが離間する方向に力が加わった場合でも、接合不良が生じることを抑止することができる。
　また、上記スピーカ装置は、比較的安定して動作することができ、比較的高音質の音波を出力することができる。

　また、上記スピーカ装置は、フレームに開口部が形成され、その開口部に形成された被嵌合部に磁気回路が嵌合するので、フレームに底面部が形成されておらず、ヨークの底面部が露出した構造を有するので、一般的なスピーカ装置と比べて薄型、小型である。

　また、本発明の一実施形態に係るスピーカ装置の製造方法は、先ず、第１のステップで、フレームと振動板とボイスコイルとを接合してアッセンブリを作製し、第２のステップで、アッセンブリと磁気回路とを、固定部材により挟持した状態で、アッセンブリと磁気回路との位置決めが行われ、位置決め後に接着剤により磁気回路とフレームとが接着固定される。
　つまり、上記スピーカ装置の製造方法は、磁気回路とフレームとの間に位置調整用の間隙があり、磁気回路とフレームとを固定部材により固定した状態で、磁気回路とフレームとの位置関係を規定して、その後、磁気回路とフレームとの間の間隙に接着剤を塗布して、磁気回路とフレームとを固定するので、比較的高い位置決め精度で簡単に上記スピーカ装置を作成することができる。

　本発明の一実施形態に係るスピーカ装置は、例えば、テレビジョン放送受像機用スピーカ、モニタ用スピーカ、車載用スピーカ、携帯電話機用スピーカ、ヘッドホン、パーソナルコンピュータ用スピーカ、オーディオ装置、などの音響装置に採用することができる。
　以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るスピーカ装置、およびスピーカ装置の製造方法を説明する。

　図１（Ａ）は、本発明の一実施形態に係るスピーカ装置１の平面図であり、図１（Ｂ）は図１（Ａ）に示されたスピーカ装置１のＢ－Ｂ線に沿った断面図であり、図１（Ｃ）は図１（Ａ）に示されたスピーカ装置１のＣ－Ｃ線に沿った断面図である。

　図２（Ａ）は、図１（Ａ）～図１（Ｃ）に示されたスピーカ装置１の磁気回路２の磁石２２およびプレート２３の上面側からの斜視図である。図２（Ｂ）は、磁気回路のヨーク２１の上面側からの斜視図である。図２（Ｃ）は、図２（Ａ），図２（Ｂ）に示されたヨーク２１、磁石２２、およびプレート２３が組み合わされた磁気回路２の斜視図である。

　図３（Ａ）は、スピーカ装置１の固定部材（クリップ）８の斜視図である。図３（Ｂ）は、図２（Ｃ）に示されたスピーカ装置１の磁気回路２の裏面側（背面側）からの斜視図である。図３（Ｃ）は、スピーカ装置１のボイスコイルボビン３２、ボイスコイル３１、およびフレーム４の裏面側からの斜視図である。図４は、図１（Ａ）に示されたスピーカ装置１の要部を拡大した裏面側の底面図である。図５（Ａ）は、図１（Ｂ）に示されたスピーカ装置１の側面図である。図５（Ｂ）は、本発明の他の実施形態に係るスピーカ装置の側面図である。

　本実施形態に係るスピーカ装置１は、図１（Ａ）～図１（Ｃ）に示されるように、磁気回路２、振動体３、フレーム４、および固定部材（クリップ）８を有する。固定部材８は、本発明に係る固定部材の一実施形態に相当する。

　スピーカ装置１は、図１（Ａ）に示されるように、振動方向（音響放射方向ＳＤ）から視認した場合、振動板３３が長手方向および短手方向を有する。詳細には、振動板３３は、振動発生源（振動板またはボイスコイル）の振動伝達方向に直交する平面形状が長手方向および短手方向を有し、例えばトラック形状、楕円形状、長円形状、矩形状などに形成されており、実施形態ではトラック形状に形成されている。このトラック形状の振動板３３は、直線部と、規定曲率の半円形状の曲線部とにより形成されている。
　音響放射方向ＳＤは、本発明に係る振動発生源（振動板またはボイスコイル）の振動伝達方向の一実施形態に相当する。

　［磁気回路２］
　図１（Ｂ），図１（Ｃ），図２（Ａ）～図２（Ｃ），図３（Ｂ）に示されるように、本実施形態に係る磁気回路２は、振動発生源の振動伝達方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向を有する。また、磁気回路２は、長手方向に沿って直線状の磁気ギャップＭＧ１が形成されている。磁気ギャップＭＧ１には磁束が形成されている。磁気回路２は、磁気ギャップＭＧ１にボイスコイル３１が配置されており、そのボイスコイル３１を駆動する。本実施形態に係る磁気回路２は、振動発生源の振動伝達方向に直交する平面形状が細長形状（矩形状）に形成されている。

　磁気回路２は、詳細には、ヨーク２１、磁石２２、およびプレート（ポールピース）２３を有する。
　ヨーク２１は、例えば、鉄などの金属材料で形成されている。ヨーク２１は、長手方向および短手方向を有する。本実施形態に係るヨーク２１は、図３（Ａ）に示されるように、長手方向に細長形状（矩形状）に形成されている。

　ヨーク２１は、詳細には、底面部２１１、および側面部２１２を有する。本実施形態では、底面部２１１、および側面部２１２は一体形成されている。ヨーク２１は、短手方向断面形状が、底面部２１１と底面部２１１に略直交する両側面部２１２と備え、三方が外周をなし、内部に空間が形成されている。

　詳細には、底面部２１１は、長手方向および短手方向を有する形状に形成されており、例えば、略矩形状に形成されており、長手方向が振動板３３の長手方向と同じ方向となるように形成されている。
　本実施形態に係る底面部２１１は、磁気回路２の磁気ギャップＭＧ１に配置された補強部材６の背面側に対応する位置に開口部２７を有する。この開口部２７は、例えば、短手方向に細長の矩形状に切欠き形成されている（切欠部２１８）。

　側面部２１２は、底面部２１１の短手方向の端部に、音響放射方向ＳＤに向かって延在した形状に形成されている。詳細には、側面部２１２は、底面部２１１の短手方向の端部と長手方向の端部のうち、短手方向の端部にのみ形成されている。本実施形態では、側面部２１２は、短手方向の両端部に形成されている。つまり、ヨーク２１は、短手方向断面形状が略Ｕ字形状に形成されている。
　また、側面部２１２は、例えばヨーク２１の底面部２１１の開口部２７に対応した位置に側面部切欠部２１９が形成されている。

　本実施形態に係るヨーク２１は、例えば、開口部２７が、底面部２１１から側面部２１２の略中央部まで開口した形状に形成されている。詳細には、ヨーク２１の開口部２７は、例えば研削機などでヨーク２１が研削されて切欠部２７１が形成される。より具体的には、ヨーク２１の開口部２７は、研削機などでヨーク２１Ｂの底面部２１１の中央部付近が研削されて底部切欠部２１８が形成され、さらに側面部２１２の略中央部付近まで研削されて側面部切欠部２１９が形成される。本実施形態に係るヨーク２１の開口部２７は、短手方向に矩形状に形成されている。

　また、ヨークの側面部２１２の側面部切欠部２１９は、例えば、短手方向から視認した場合、図１（Ｂ）に示されるように、少なくともヨーク底面部の厚み分以上の大きさの切欠きが形成されていることが好ましい。

　また、上記ヨーク２１は、短手方向から視認した場合、側面部２１２の下端部に側面部切欠部２１９が形成され、側面部２１２の上端部付近が連続した形状（連結部２１２８）に形成されている。

　また、ヨーク２１は、底面部２１１が平坦でなくともよく、側面部２１２が底面部２１１に対して傾斜したり、曲げ加工されていてもよい。ヨーク２１は、底面部２１１とそれに略直交する両側面部２１２を備え、内部に空間が形成されていればよい。

　磁気回路２は、ヨーク２１が開口部２７を有するので、スピーカ駆動時、開口部２７が振動板３３（第１の振動板（中央部）３３１）の裏面側とスピーカ外部との間の通気孔として機能する。上記スピーカ装置１は、ヨーク２１が開口部２７を有するので、スピーカ駆動時、開口部２７により通気して、振動板の背圧の変動を低減することができ、振動板の制動を低減することができる。このため、スピーカ装置１は、スピーカ駆動時、低域共振周波数（ｆ０）付近で比較的高感度である。

　また、スピーカ装置１は、後述するように、補強部材６の背面側にヨーク２１の開口部２７が形成されているので、スピーカ駆動時、補強部材６が振動して，磁気回路２やボイスコイル３１，ボイスコイルボビン３２の熱を、高効率で外部に放熱することができる。

　磁石２２は、ヨーク２１の底面部２１１上に配置されている。磁石２２は、振動発生源（振動板やボイスコイル）の振動伝達方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向を有する。本実施形態に係る磁石２２は、平面形状が矩形状に形成され、長手方向がヨーク２１の長手方向に沿って配置されている。磁石２２は、振動板３３の振動方向に沿って着磁されている。磁石２２は、例えばネオジウム系、サマリウム・コバルト系、アルニコ系、希土類系、フェライト系、などの永久磁石を採用することができる。
　本実施形態に係る磁石２２は、複数の磁石を有し、本実施形態では２つの磁石（第１の磁石２２Ａ，第２の磁石２２Ｂ）を有する。
　第１の磁石２２Ａと第２の磁石２２Ｂは、ヨーク２１の底面部２１１上に長手方向に規定距離だけ離れて配置されている。この第１の磁石２２Ａと第２の磁石２２Ｂとの間の間隙に、ボイスコイルボビン３２に設けられた補強部材６が配置される。
　第１の磁石２２Ａと第２の磁石２２Ｂの長手方向の両端部の間の距離ＬＹ２２が、ヨーク２１の長手方向の長さＬＹ２１と略同じである。また、磁石２２は、その短手方向の長さが、ヨーク２１の内寸より小さい。

　プレート２３は、磁石２２上に配置されている。プレート２３は、振動発生源の振動伝達方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向を有する。本実施形態に係るプレート２３は、矩形状に形成されている。
　プレート２３は、複数のプレートを有し、本実施形態では２つのプレート（第１のプレート２３Ａ，第２のプレート２３Ｂ）を有する。第１のプレート２３Ａは第１の磁石２２Ａ上に配置され、第２のプレート２３Ｂは第２の磁石２２Ｂ上に配置されている。この第１のプレート２３Ａと第２のプレート２３Ｂは、長手方向に規定距離だけ離れて配置されている。このプレート２３Ａと第２のプレート２３Ｂとの間の間隙（Ｇ３）に、ボイスコイルボビン３２に設けられた補強部材６が配置される。
　プレート２３は、その上端部の高さが、ヨーク２１の上端部の高さと略同じ高さに規定されている。プレート２３は、例えば、その厚みがヨークの厚みと略同じである。
　本実施形態に係る第１のプレート２３Ａ，第２のプレート２３Ｂは、長手方向の両端部の距離ＬＹ２３が、第１および第２の磁石２２Ａ，２２Ｂの長手方向の両端部の距離ＬＹ２２およびヨーク２１の長手方向の長さＬＹ２１と同じである。

　磁気回路２は、ヨーク２１の側面部２１２の内周部と、プレート２３（第１のプレート２３Ａ，および第２のプレート２３Ｂ）との間に、長手方向に沿って直線状の磁気ギャップＭＧ１が形成されている。
　また、本実施形態に係る磁気回路２は、ヨーク２１の側面部２１２が、ヨーク２１の底面部２１１の長手方向の端部に形成されているが、長手方向の端部には側面部が形成されておらず、長手方向端部に開口部が形成されている。

　［振動体３］
　振動体３は、フレーム４に振動可能に支持されている。詳細には、振動体３は、ボイスコイル３１、ボイスコイルボビン（ボイスコイル支持部）３２、振動板３３、エッジ（振動板支持部）３４、およびダンパ３５を有する。

　ボイスコイル３１は、振動板３３に直接又はボイスコイルボビン３２を介して接合される。ボイスコイル３１は、筒形状に形成され、振動方向から視認した平面形状、詳細には振動発生源の振動伝達方向に直交する平面形状が長手方向および短手方向を有する。
　また、ボイスコイル３１は、図１（Ｂ），図１（Ｃ），図３（Ｃ）に示されるように、振動方向から見た平面形状が、トラック形状、楕円形状、長円形状、矩形状などに形成されており、本実施形態ではトラック形状に形成されている。

　詳細には、ボイスコイル３１は、直線部、および曲線部を有する。
　直線部は、長手方向に沿って形成されている。また、ボイスコイル３１の直線部は、振動板３３の長手方向に沿って平行に形成されている。直線部は、磁気回路２の直線状の磁気ギャップＭＧ１に配置されている。
　曲線部は、ヨーク２１の長手方向端部から外側に配置され、ボイスコイル３１の長手方向端部付近に形成されている。本実施形態に係る曲線部は、半円形状に形成されている。
　ボイスコイル３１は、振動方向からの平面形状が矩形状であってもよく、この場合には、ボイスコイル３１の長手方向端部の曲線部が、直線部に対して直角方向に沿った直線状に形成される。

　ボイスコイルボビン３２は、例えば、鉄やアルミなどの金属材料で形成されている。この金属製のボイスコイルボビン３２は放熱性を有する。ボイスコイルボビン３２は、その上端部が振動板３３に接合されており、下端部付近にボイスコイル３１が巻回されている。
　ボイスコイルボビン（ボイスコイル支持部）３２は、筒形状に形成され、振動方向から視認される平面形状、詳細には振動発生源の振動伝達方向に直交する平面形状が、長手方向と短手方向を有する。本実施形態に係るボイスコイルボビン３２は、図３（Ｃ）に示されるように、トラック形状に形成されている。トラック形状は、平行な２つの直線部と、直線部の端部に形成された略半円形状の曲線部で構成されている。
　また、ボイスコイルボビン３２は、図３（Ｃ）に示されるように、短手方向に互いに対向する面３２４を有する。

　［補強部材６］
　補強部材６は、例えば、鉄、アルミニウムなどの金属材料で形成されている。この金属製の補強部材６は、比較的高い放熱性を有する。本実施形態に係るスピーカ装置１は、補強部材６を有するが、この形態に限られるものではなく、補強部材６を有していなくともよい。

　本実施形態に係る補強部材６は、ボイスコイルボビン３２の互いに対向する面３２４の間に、その対向する面３２４と直角に配置される連結部材である。また、本実施形態に係る補強部材６は、磁気回路２の第１のプレート２３Ａ，第２のプレート２３Ｂの間、かつ第１の磁石２２Ａおよび第２の磁石２２Ｂの間に配置されている。詳細には、補強部材６は、ボイスコイルボビン３２の長手方向の中間部に形成されている。

　また、上記補強部材６は、振動方向断面形状が凹凸形状のリブを有する。このリブは、例えば振動方向断面形状が波形状，略段形状，略台形状などの各種形状に形成される。

　ボイスコイルボビン３２は、上記リブが形成された補強部材６を有するので、ボイスコイルボビン３２の短手方向に関し、比較的大きい強度を有し、簡単な構造であるので比較的軽量である。このため、スピーカ装置１は、軽量かつ高強度のボイスコイルボビン３２が振動することにより、振動板３３から高音質の音波を出力することができる。

　振動板３３は、フレーム４により振動可能に支持され、スピーカ駆動時に振動して、音響放射方向ＳＤに音波を放射する。
　振動板３３は、詳細には、第１の振動板（中央部）３３１、および第２の振動板（コーン状振動板）３３２を有する。

　エッジ（振動板支持部）３４は、図１（Ａ）～図１（Ｃ）に示されるように、環状に形成され、径方向断面形状が半円形状、波形状などに形成されており、その外周部がフレーム４に接着剤などにより接着固定され、その内周部が振動板３３の外周部に接合されている。エッジ３４と振動板３３は、例えば同じ材料により一体形成されていてもよい。

　ダンパ３５は、一方の端部がボイスコイル３１又はボイスコイルボビン３２に接合され、他方の端部がフレーム４に接合されており、ボイスコイル３１を振動方向に沿って振動可能に支持するとともに、それ以外の方向の移動について規制する。

　［フレーム４］
　フレーム４は、磁気回路２を保持するとともに、振動板３３を振動可能に支持する。例えば、フレーム４は、図１（Ａ）～図１（Ｃ）に示されるように、略中央部裏面側に開口部４４が形成され、音響放射方向に向かって拡開した形状に形成されている。詳細には、フレーム４は、被嵌合部４０、ヨーク上端接合部４１、ヨーク側面接合部４２、振動板端部接合平坦部４３、およびヨーク長手方向端部接合部を有する。上記ヨーク上端接合部４１、ヨーク側面接合部４２、振動板端部接合平坦部４３、およびヨーク長手方向端部接合部は、例えば樹脂、金属などの材料により一体形成されている。

　被嵌合部４０は、フレーム４の裏面側の開口部近傍に形成され、磁気回路２が嵌合されて磁気回路２を支持する。詳細には、被嵌合部４０には、磁気回路２のヨーク２１が嵌合する。被嵌合部４０は、ヨーク上端接合部４１、ヨーク側面接合部４２、およびヨーク長手方向端部接合部４２５を有する。
　ヨーク上端接合部４１は、フレーム４の裏面側の開口部付近に形成され、ヨーク上端接合部４１に接着剤などにより接合されている。ヨーク２１の上端部のうち全部又は一部が、フレーム４のヨーク上端接合部４１に接合されていてもよい。

　ヨーク側面接合部４２は、フレーム４の裏面側の開口部４４の短手方向両端部近傍に形成され、音響放射方向ＳＤの反対側に向かって突出するとともに長手方向に沿って延在した細長形状に形成されている。このヨーク側面接合部４２は、その内側面が、ヨーク２１の側面部２１２の外周部の嵌合面２１２５に接着剤９０２などにより接合されている。この接着剤９０２は、例えば比較的短時間で高い硬度を得ることができる２液タイプの接着剤を採用することができる。

　ヨーク長手方向端部接合部４２５は、ヨーク側面接合部４２の長手方向端部から短手方向内側に屈曲した形状に形成されている。このヨーク長手方向端部接合部の内周部に、ヨークの長手方向端部が接合する。

　振動板端部接合平坦部４３は、フレーム４の上端部付近に形成されており、振動板３３が直接又はエッジ３４を介して振動可能に接合されている。

　開口部４４は、フレーム４の裏面側略中央部に形成されている。この開口部４４付近に磁気回路２が配置される。
　フレーム４の開口部４４は、その長手方向の長さが、ヨークの長手方向の長さより長い。また、開口部４４は、その長手方向の長さが、プレート２３の長手方向の長さより長い。また、開口部４４は、その長手方向の長さが、ボイスコイル３１の長手方向の長さより長い。また、フレーム４の開口部４４は、その短手方向の長さが、ボイスコイル３１の短手方向の長さより長い。つまり、フレーム４の開口部４４は、少なくともボイスコイル３１の平面形状より大きい。

　また、フレーム４には端子部７が設けられている。端子部７は、例えば図１（Ｂ）に示されるように、フレーム４の裏面側に設けられており、錦糸線（電導線）７０１によりボイスコイル３１に電気的に接続されている。また、端子部７は、例えば音響機器の音声信号処理回路やアンプなどに電気的に接続されている。

　［固定部材（クリップ）８］
　固定部材８は、図１（Ｃ），図３（Ａ），図５（Ａ）に示されるように、例えば、金属や樹脂などにより形成され、断面形状が略Ｕ字形状に形成されている。この固定部材８は、フレーム４と磁気回路２とを固定する。
　固定部材８は、詳細には、支持部８１、屈曲側面部８２、および係止部８２１を有する。

　支持部８１は、図１（Ｃ），図３（Ａ）に示されるように、矩形平板形状に形成され、磁気回路２のヨーク２１の底面部２１１に形成された切欠部２７１に嵌合する。この支持部８１は、磁気回路２を支持する。詳細には、本実施形態に係る支持部８１は、ヨーク２１の側面部に形成された切欠部の下端部に当接されており、磁気回路２を支持する。

　屈曲側面部８２は、支持部８１の両端部から音響放射方向に向かって屈曲した形状に形成されている。
　係止部８２１は、図１（Ｃ），図３（Ａ），図３（Ｃ）に示されるように、屈曲側面部８２の先端部に形成され、フレーム４のヨーク側面接合部４２の外周側面に形成された被係止部４２８に係合して係止する。固定部材８は、係止部８２１を備えるので、固定部材８がフレーム４から外れることを確実に抑止することができる。
　この係止部８２１は、その先端部が、支持部８１の幅より幅広に形成されている。また、フレーム４のヨーク側面接合部４２の被係止部４２８は、その係止部８２１の先端部に形状に対応した形状に形成され、詳細にはその形状の凹部が形成されている。

　被係止部４２８は、この上記形態に限られるものではなく、例えばフレーム４のヨーク側面接合部４２に、係止部８２１が係止する突起状部が形成されていてもよい。

　上記固定部材８は、係止部８２１がフレーム４の被係止部４２８に係合した状態で、フレーム４および磁気回路２を挟持するとともに、支持部８１により磁気回路２を支持する。

　また、本実施形態に係る固定部材８の支持部８１は、図３（Ａ），図５（Ａ）に示されるように、その支持部８１の幅ＬＹ８１が、ヨーク２１の底面部２１１の開口部２７の幅ＬＹ２７より狭い形状に形成されている。ヨーク２１は、該ヨークの開口部２７に固定部材８の支持部８１が嵌合した状態で、通気孔２７８が形成されている。スピーカ装置１は、スピーカ駆動時、この通気孔２７８から通気することができる。このため、簡単な構成でボイスコイルや磁気回路の熱を放熱することができる。また、スピーカ駆動時、振動板の振動に対して制動による音響特性の低下を抑止することができる。

　また、固定部材８は、上記形態に限られるものではない。スピーカ装置１Ｂは、断面形状略Ｕ字形状の複数の固定部材８、例えば図５（Ｂ）に示されるように、複数の固定部材８Ａ，８Ｂ，８Ｃを備えてもよい。
　この複数の固定部材８Ａ，８Ｂ，８Ｃそれぞれが、磁気回路２とフレーム４とを挟持するとともに磁気回路２を支持している。上記フレーム４は、例えば固定部材８Ａ，８Ｂ，８Ｃの先端部に形成された係止部に対応した被係止部４２８（４２８Ａ，４２８Ｂ，４２８Ｃ）を有する。また、図５（Ｂ）に示されるように、固定部材８Ｂ，８Ｃは、開口部２７に嵌合していなくともよく、フレーム４に磁気回路２を固定していればよい。

　［スピーカ装置１の動作］
　上記スピーカ装置１の動作を説明する。
　例えば、音響機器から信号電流が端子部７に入力される。その信号電流が、端子部７から錦糸線７０１を介してボイスコイル３１に入力される。ボイスコイル３１に信号電流に応じたローレンツ力（駆動力）が生じ、ボイスコイル３１が駆動力により振動方向に沿って振動する。また駆動力がボイスコイルボビン３２を介して振動板３３に伝動する。振動板３３は、その駆動力により振動方向に沿って振動し、音響放射方向（ＳＤ）に向かって音波を出力する。

　スピーカ装置１は、上記フレーム４と磁気回路２とが接着剤９０２および固定部材８により固定されているので、比較的簡単な構造で、フレーム４と磁気回路２とが比較的高い接合強度を有する。このため、上記スピーカ装置１は、スピーカ駆動時、振動板裏面側の背圧により、フレームと磁気回路との間の接着部分で、フレームと磁気回路とが離間する方向に力が加わった場合でも、接合不良が生じることを抑止することができる。
　また、上記スピーカ装置１は、比較的安定して動作することができ、比較的高音質の音波を出力することができる。

　また、上記スピーカ装置１は、フレーム４に開口部４４が形成され、その開口部４４に形成された被嵌合部４０に磁気回路２が嵌合するので、フレーム４の裏面側にヨーク２１の底面部が露出した構造を有するので、一般的なスピーカ装置と比べて薄型で小型である。

　また、固定部材８は、上記係止部８２１を備え、フレーム４の被係止部４２８に係合した状態で、フレーム４および磁気回路２を挟持するとともに、支持部８１により磁気回路２を支持するので、固定部材８がフレーム４から外れることを確実に抑止することができる。

　また、ヨーク２１は、底面部２１１の中央部から側面部２１２の略中央部まで切欠部が形成されており、その切欠部に固定部材８が嵌合しているので、切欠部以外の位置で固定部材８で磁気回路２を固定する場合と比べて、比較的高い接合強度を有する。

　また、本実施形態に係るスピーカ装置１は、磁気回路２に固定部材８が嵌合した状態で、ヨーク２１の裏面側に通気孔部２７８が形成されているので、スピーカ駆動時、背圧の変動幅を低減することができ、さらに接合不良が生じることを抑止することができる。

　［スピーカ装置の製造方法］
　図６は、本発明の一実施形態に係るスピーカ装置の製造方法を説明するためのフローチャートである。
　図７（Ａ）はボイスコイル３１、ボイスコイルボビン３２、振動板３３、エッジ３４、フレーム４との組立て動作を説明するための断面図であり、図７（Ｂ）は治具Ｇ１による各構成要素の位置決め動作を説明するための断面図である。

　以下、製造装置（不図示）が、スピーカ装置を作製する動作を説明する。製造装置は、例えば、制御回路（ＣＰＵ：Central Processing Unit）、メモリ、駆動装置などを有し、制御回路がメモリに記憶された、本発明に係るスピーカ装置の製造方法の手順を示すプログラムを実行して、駆動装置を駆動することにより、スピーカ装置１を作製する。

　ステップＳ１で、図７（Ａ），図７（Ｂ）に示されるように、ボイスコイル３１、ボイスコイルボビン３２、振動板３３、エッジ３４、およびフレーム４を組み立てる。
　詳細には、先ず、図７（Ａ）に示されるように、振動板３３、ボイスコイル３１、ボイスコイルボビン３２、およびエッジ３４が、規定の位置関係となるように、前工程で組み立てられる（この前工程は行わなくてもよく、各構成要素を順次組み立ててもよい）。

　次に、治具Ｇ１により、上記構成要素とフレーム４との位置決めが行われる。
　治具Ｇ１は、ボイスコイル３１（ボイスコイルボビン３２）の内径と略同じ外径の第１突出部Ｇ１１と、フレーム４のヨーク側面接合部４２の内径と略同じ外径の第２突出部Ｇ１２と、第１突出部Ｇ１１と第２突出部Ｇ１２の間に形成された凹部Ｇ１３とを有する。

　図７（Ｂ）に示されるように、フレーム４の被嵌合部４０に、治具Ｇ１の第２突出部Ｇ１２が嵌合された状態で、治具Ｇ１の第１突出部Ｇ１１にボイスコイル３１（ボイスコイルボビン３２）が嵌合される。この状態で、振動板３３の外周部がエッジ３４を介してフレーム４の振動板端部接合平坦部４３に接着剤などにより固定される。つまり、ボイスコイル３１、ボイスコイルボビン３２、振動板３３、エッジ３４、およびフレーム４の位置関係が規定される。その後、例えば接着剤が固化した後、治具Ｇ１をフレーム４から取り外す。
　上記ステップＳ１１により、フレーム４、振動板３３、ボイスコイルボビン３２、およびボイスコイル３１が接合されたアッセンブリ４３０が作製される。

　図８（Ａ）は、ヨーク２１、磁石２２、およびプレート２３を組み立てる工程を説明するための断面図であり、図８（Ｂ）は治具Ｇ２による各構成要素の位置決め動作を説明するための断面図である。

　ステップＳ１２で、ヨーク２１、磁石（着磁前）２２、およびプレート２３を組み立てる。詳細には、例えば、先ず図８（Ａ）に示されるように、磁石２２、およびプレート２３が、規定の位置関係となるように組み立てられる（前工程）。

　次に、治具Ｇ２により上記磁石２２とプレート２３を有する組立部品と、ヨーク２１との位置決めが行われる。
　治具Ｇ２は、図８（Ａ），図８（Ｂ）に示されるように、断面形状が略Ｕ字形状に形成され、凹部Ｇ２０を有し、内径Ｇ２１が、磁石２２の短手方向の長さと略同じ大きさに形成され、その外径Ｇ２２が、ヨーク２１の短手方向に沿った内径と略同じ大きさに形成されている。

　図８（Ｂ）に示されるように、治具Ｇ２の凹部Ｇ２０にプレート２３および磁石２２が嵌合した状態で、治具Ｇ２がヨーク２１に嵌合される。この際、磁石２２とヨーク２１の接合面には予め接着剤が塗布されている。接着剤が固化した後、治具Ｇ２を磁気回路２から取り外す。
　磁石２２は、例えば、スピーカ装置組み立て後、着磁装置により音響放射方向（厚み方向）に沿って着磁される。
　ステップＳ１１とステップＳ１２は、その順番が逆に行われてもよいし、同時に行われてもよい。

　図９（Ａ）は、スピーカ装置１のアッセンブリ４３０、磁気回路２、および固定部材（クリップ）８を説明するための短手方向の断面図であり、図９（Ｂ）は、図９（Ａ）に示されたアッセンブリ４３０、磁気回路２、および固定部材８が組み立てられたスピーカ装置１の短手方向の断面図である。

　次に、ステップＳ１３で、図９（Ａ），図９（Ｂ）に示されるように、アッセンブリ４３０と磁気回路２とを接合する。
　詳細には、アッセンブリ４３０のフレーム４の被嵌合部４０に磁気回路２を嵌合し、固定部材（クリップ）８により挟持する。この際、被嵌合部４０と磁気回路２との間には位置調整用の間隙が形成されている。

　次に、ステップＳ１４で、アッセンブリ４３０のフレーム４と磁気回路２との位置決めが行われる。位置調整は、例えば、アッセンブリ４３０のボイスコイル３１（ボイスコイルボビン３２）と、磁気回路の端部などを基準に高精度に行われる。

　ステップＳ１５で、上記アッセンブリ４３０と磁気回路２との位置決め後に、接着剤９０２により磁気回路２とフレーム４とが接着固定される。
　詳細には、例えば、図９（Ｂ）に示されるように、接着剤塗布装置９０１により接着剤９０２が、磁気回路２のヨーク２１と、フレーム４のヨーク上端接合部４１，ヨーク側面接合部４２の間に塗布される。規定時間後、接着剤９０２が固化して、磁気回路２とフレーム４とが接着固定される。接着剤９０２は、例えば、比較的短時間で高い硬度を得ることができる２液タイプの接着剤を採用する。
　ボイスコイル３１とプレート２３とが高精度に位置決めされるとともに、磁気回路２とフレーム４が高精度に位置決め固定される。

　ステップＳ１６で、例えば、ダンパ３５をボイスコイルボビン３２とフレーム４に接合する工程、着磁装置により磁石２２に着磁を行う工程、などの後工程を行う。
　ステップＳ１７で、上記ステップＳ１１～Ｓ１６により作製されたスピーカ装置１に、例えば、組立のチェック、音響特性のチェックなど各種検査を行う。

　以上、説明したように、上記スピーカ装置１の製造方法は、先ず、フレーム４と振動板３３とボイスコイル３１とを接合してアッセンブリ４３０を作製し、次に、アッセンブリ４３０と磁気回路２とを、固定部材８により挟持した状態で、アッセンブリ４３０と磁気回路２との位置決めが行われ、位置決め後に接着剤９０２により磁気回路２とフレーム４とが接着固定されるので、比較的簡単に高精度に上記スピーカ装置１を作製することができる。

　以上、説明したように、本発明に係るスピーカ装置１は、短手方向断面形状が底面部２１１とそれに略直交する両側面部２１２を備え、内部に空間を有するヨーク２１と、該ヨーク２１の底面部２１１上に配置された磁石２２と、該磁石２２上に配置されたプレート２３とを備える磁気回路２と、振動方向からの平面形状が長手方向と短手方向とを有する振動板３３と、振動板３３に直接またはボイスコイルボビン３２を介して支持され、磁気回路２の磁気ギャップに配置されるボイスコイル３１と、細長形状の開口部４４と、その開口部４４近傍に形成され、磁気回路２が嵌合されて磁気回路２を支持する被嵌合部４０とを備えるフレーム４と、フレーム４と磁気回路２とを固定する断面形状が略Ｕ字形状の固定部材８とを有する。
　このフレーム４の被嵌合部４０は、開口部４４の短手方向両端部近傍に形成され、裏面側に突出するとともに長手方向に沿って延在する形状に形成され、ヨークの側面部２１２が接着剤９０２により内側面に接合されるヨーク側面接合部４２を有する。また、この固定部材８は、磁気回路２のヨーク２１の底面部２１１に形成された切欠部２７１に嵌合する矩形平板形状の支持部８１と、支持部８１の両端部から音響放射方向に向かって屈曲した屈曲側面部８２と、屈曲側面部８２の先端部に形成され、フレーム４のヨーク側面接合部４２の外周側面に形成された被係止部４２８に係合して係止する係止部８２１とを有する。
　上記スピーカ装置１は、比較的簡単な構造で、フレーム４と磁気回路２とが比較的高い接合強度を有する。このため、上記スピーカ装置１は、スピーカ駆動時、振動板裏面側の背圧により、フレームと磁気回路との間の接着部分で、フレームと磁気回路とが離間する方向に力が加わった場合でも、接合不良が生じることを抑止することができる。
　また、上記スピーカ装置１は、比較的安定して動作することができ、比較的高音質の音波を出力することができる。

　また、上記スピーカ装置１は、ボイスコイルボビン３２が簡単な構成で比較的高い放熱性を有し、磁気回路２の開口部から高効率で放熱することができる。

　本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、各実施形態を組み合わせてもよい。
　上記実施形態に係るスピーカ装置は、ボイスコイル３１、ボイスコイルボビン３２、振動板３３、フレーム４などが、振動方向から見た平面形状がトラック形状に形成されていたが、この形態に限られるものではなく、例えば、楕円形状、長円形状、矩形状などに形成されていてもよい。

　上記スピーカ装置１は、内磁型磁気回路を有したが、この形態に限られるものではない。例えば、外磁型磁気回路を有するスピーカ装置に、上記発明を適用してもよい。

　また、上記スピーカ装置１は、補強部材６を備えていたが、備えていなくてもよい。
　また、上記スピーカ装置１は、複数の磁石２２，複数のプレート２３を有していたが、一つの磁石２２，プレート２３を備えていてもよい。
　また、上記スピーカ装置１は、振動方向からの平面形状が矩形状に形成されていたが、円形状であってもよい。

　図１０は、本発明の他の実施形態に係るスピーカ装置の内磁型磁気回路２Ｈの底面図である。本発明に係るスピーカ装置の磁気回路は、上記実施形態に限られるものではなく、例えば図１０に示されるように、ヨーク２１Ｈの底面部２１１Ｈの長手方向端部２１９の中央部に、ヨーク内側に向かって、凹部が形成されていてもよい。つまり、磁気回路は、長手方向と短手方向を有し、ポールピース２３がヨーク底面部の長手方向端部から突出していてもよい。

　また、本発明に係るスピーカ装置の磁気回路は、上記実施形態に限られるものではなく、例えばヨークが図１１（Ａ）～図１１（Ｄ）に示されるような形状に形成されていてもよい。詳細には、図１１（Ａ）に示されるように、ヨーク２１Ｋは、断面形状が略Ｕ字形状に形成されていてもよいし、図１１（Ｂ）に示されるように、ヨーク２１Ｍは、側面部上端部が内側に向かって屈曲した形状に形成されていてもよいし、図１１（Ｃ）に示されるように、略Ｖ字形状に形成されていてもよいし、図１１（Ｄ）に示されるように、ヨーク２１Ｐは、底面部が中央突起部を備えていてもよい。つまり、本発明に係るスピーカ装置のヨークは、断面形状が、底面部とそれに略直交する両側面部を備え、内部に空間が形成されていればよい。

Claims

　短手方向断面形状が底面部とそれに略直交する両側面部とを備え、内部に空間を有するヨークと、該ヨークの底面部上に配置された磁石と、該磁石上に配置されたプレートとを備える磁気回路と、
　振動発生源の振動方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向とを有する振動板と、
　前記振動板に直接またはボイスコイルボビンを介して支持され、前記磁気回路の磁気ギャップに配置されるボイスコイルと、
　細長形状の開口部と、該開口部近傍に形成され、前記磁気回路が嵌合されて該磁気回路を支持する被嵌合部とを備えるフレームと、
　前記フレームと前記磁気回路とを固定する断面形状が略Ｕ字形状の固定部材とを有し、
　前記フレームの前記被嵌合部は、前記開口部の短手方向両端部近傍に形成され、裏面側に突出するとともに前記長手方向に沿って延在する形状に形成され、前記ヨークの側面部が接着剤により内側面に接合されるヨーク側面接合部を有し、
　前記固定部材は、前記磁気回路のヨークの底面部に形成された切欠部に嵌合する矩形平板形状の支持部と、前記支持部の両端部から前記振動板の振動方向に向かって屈曲した屈曲側面部と、前記屈曲側面部の先端部に形成され、前記フレームのヨーク側面接合部の外周側面に形成された被係止部に係合して係止する係止部とを有することを特徴とする
　スピーカ装置。
　前記固定部材は、前記係止部の先端部が、前記支持部の幅より幅広に形成され、
　前記フレームは、前記被係止部が、前記係止部の先端部の形状に対応した形状に形成され、
　前記固定部材は、前記係止部が前記フレームの被係止部に係合した状態で、前記フレームおよび磁気回路を挟持するとともに、前記支持部により前記磁気回路を支持することを特徴とする請求項１に記載されるスピーカ装置。
　前記ヨークは、前記底面部の中央部から前記側面部の略中央部まで前記切欠部が形成されていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載されるスピーカ装置。
　前記ヨークは、前記底面部の前記切欠部に開口部が形成され、
　前記固定部材の支持部は、その支持部の幅が、前記ヨークの底面部の開口部の幅より狭い形状に形成され、
　前記ヨークは、該ヨークの開口部に前記固定部材の支持部が嵌合した状態で、通気孔が形成されていることを特徴とする請求項３に記載されるスピーカ装置。
　前記フレームの被嵌合部と前記磁気回路との間に間隙が形成され、該間隙に接着剤が備えられていることを特徴とする請求項４に記載されるスピーカ装置。
　断面形状略Ｕ字形状の複数の固定部材を備え、
　前記複数の固定部材ぞれぞれが、前記磁気回路と前記フレームとを挟持するとともに該磁気回路を支持していることを特徴とする請求項５に記載されるスピーカ装置。
　短手方向断面形状が底面部とそれに略直交する両側面部を備え、内部に空間を有するヨークと、該ヨークの底面部上に配置された磁石と、該磁石上に配置されたプレートとを備える磁気回路と、振動発生源の振動方向に直交する平面形状が長手方向と短手方向とを有する振動板と、前記振動板に直接またはボイスコイルボビンを介して支持され、前記磁気回路の磁気ギャップに配置されるボイスコイルと、細長形状の開口部と、該開口部近傍に形成され、前記磁気回路が嵌合されて該磁気回路を支持する被嵌合部とを備えるフレームと、前記フレームと前記磁気回路とを固定する断面形状が略Ｕ字形状の固定部材とを有するスピーカ装置の製造方法であって、
　前記フレームの前記被嵌合部は、前記開口部の短手方向両端部近傍に形成され、裏面側に突出するとともに前記長手方向に沿って延在する形状に形成され、前記ヨークの側面部が接着剤により内側面に接合されるヨーク側面接合部を有し、
　前記固定部材は、前記磁気回路のヨークの底面部に形成された切欠部に嵌合する矩形平板形状の支持部と、該支持部の両端部から前記振動板の振動方向に向かって屈曲した屈曲側面部と、前記屈曲側面部の先端部に形成され、前記フレームのヨーク側面接合部の外周側面に形成された被係止部に係合して係止する係止部とを有し、
　前記フレームと前記振動板と前記ボイスコイルとを接合してアッセンブリを作製する第１のステップと、
　前記アッセンブリと前記磁気回路とを、前記固定部材により挟持した状態で、前記アッセンブリと前記磁気回路との位置決めが行われ、前記位置決め後に前記接着剤により前記磁気回路と前記フレームとが接着固定される第２のステップとを有することを特徴とする
　スピーカ装置の製造方法。