WO2007034960A1

WO2007034960A1 - 回転機械

Info

Publication number: WO2007034960A1
Application number: PCT/JP2006/319030
Authority: WO
Inventors: Michihiro Taneda
Original assignee: Michihiro Taneda
Priority date: 2005-09-26
Filing date: 2006-09-26
Publication date: 2007-03-29
Also published as: JPWO2007034960A1; JP4919963B2

Abstract

効率が良く、騒音、振動が少ない回転機械を提供するために、側面１３の形状を概略扇形に、外周面１１及び内周面１２の形状を同じ仮想中心点Ｏを持つ部分球面状にした２つの回転部１ａ、１ｂが、仮想中心点Ｏ周りに互いに直角をなす回転面で当たらないようにタイミングを合わせて同期回転するように回転機械を構成する。その際、一方の回転部１ａは内周面側に支持部４を有し、もう一方の回転部１ｂは外周面側に支持部３を有し、その支持部４、３とともに回転経路５ａ、５ｂを覆う位置にカバー部２を設けて、互いの回転部１ａ（１ｂ）が相手方の回転部１ｂ（１ａ）の回転経路５ｂ（５ａ）を交叉部においてさえぎる形で回転することにより、支持部４（３）、カバー部２、回転部１ａ（１ｂ）の側面１３、及びもう一方の回転部１ｂ（１ａ）の端面１４によって閉じられた空間が両回転部１ａ、１ｂの回転とともに変化するようにした。

Description

明細書

回転機械

技術分野

[0001] この発明は、ポンプ、エンジン、ァクチユエータ等として機能し得る回転機械に関する。

背景技術

[0002] 外部動力を利用して作動する回転機械、或いは作動流体や燃料を注入して動力を出力する回転機械には、例えば偏心動作を利用したポンプ zモータゃァクチユエ一タ、あるいはレシプロ型のピストン運動から回転動力を取り出すエンジン等が広く一般に知られている。これらの回転機械は特に例示するまでもなく周知である。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] ところが、これら従来のポンプ、エンジン、ァクチユエータ等は、ピストンの往復運動ゃシリンダブロックの偏心に伴う回転中心と回転する部分の重心の不一致によってェネルギ一のロスがあり、そのために発生する振動、騒音も大きいという問題があった。

[0004] また、偏心してヽな、構造のポンプ等もある力このタイプのものはハウジング内で口ータがハウジング内壁に線接触する力しな、かの状態で回転するようになって!/、るのが通例であるため、気密性が悪ぐそれを補うために大型化、高回転ィ匕したものになつており、高圧ポンプやエンジンには不向きであった。

[0005] 本発明は、これらの課題に着目してなされたものであって、従来の回転機械の欠点をなくして、電気モータのような高効率、低振動、低騒音、高速回転を可能とする構造の回転機械を実現し、この回転機械をポンプ、エンジン、ァクチユエータ等として有効に活用できるようにすることを目的としている。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明は、以上の目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。

[0007] すなわち、本発明の回転機械は、回転部を二つにして、その一部分の形状を扇形にし、回転部の扇形はその形状が持つ球面の仮想中心点を同じ中心にして、互いに直角をなす回転面で当たらな、ようにタイミングを合わせて回転するようにした。その際、一つの回転部は扇形の小さい方の球面側より、もう一つの回転部は扇形の大きい方の球面側より支持される構造を持つようにして、その支持部と、回転経路のカバー部、及び二つの回転部によって作られた閉じた領域が、回転部の回転により変化する構造を有するものとしたものである。

[0008] このように構成すると、回転中に回転経路の交叉する部分で、一つの回転部がもう一つの回転部の回転経路の前方、後方を閉じる形になる。回転経路の周囲はカバー部と回転部の支持部で閉じられているため、回転部の前方の閉じられた領域は回転と共に狭くなり、回転部の後方の閉じられた領域は回転と共に広くなる。そこで、カバ一部の回転経路の交叉する部分近くの位置に穴をあけると、ポンプ、ァクチユエータとして機會することとなる。

[0009] そして、これにより可動部を往復運動や偏心回転運動をしない構造にすることができるので、振動や騒音の問題を有効に解決することができ、また、回転部と回転経路とが広範囲にわたって面接触もしくはこれに近い状態に近接させることができるので、気密性を格段に高め、小型 *低回転であっても高効率で作動する回転機械とすることが可能となる。

[0010] 具体的には、側面形状を概略扇形に、外周面及び内周面の形状を同じ仮想中心点を持つ部分球面状にした 2つの回転部力前記仮想中心点周りに互いに直角をなす回転面で干渉しないように、タイミングを合わせて同期回転するように構成する。その際、一つの回転部は内周面側に支持部を有し、もう一つの回転部は外周面側に支持部を有し、その支持部とともに回転経路を覆う位置にカバー部を設けて、互いの回転部が相手方の回転部の回転経路を交叉部において経過的に遮る形で回転することにより、その遮っている間、支持部、カバー部、回転部の側面、及びもう一方の回転部の端面によって閉じられた空間が両回転部の回転とともに拡縮変化するようにしたことを特徴とする。

[0011] この場合、振動や騒音防止のためには、一方の支持部は回転部の内周面と同じ仮想中心を持つ球面を内周面と接する位置力扇の円弧方向に拡張した形状とし、他方の支持部は回転部の外周面と同じ仮想中心を持つ球面を外周面と接する位置から扇の円弧方向に拡張した形状とし、それらの拡張部において質量バランスを取り、仮想中心点と回転部及び支持部からなる可動部の重心とを一致させるようにしておくことが有用である。

[0012] この回転機械を動力伝達系と関連づけるためには、二つの支持部をギヤ等の連動機構で連結し、この連動機構で両回転部の回転のタイミングを合致させるとともに、連動機構を介して回転部への回転力の入力及び回転部からの回転力の出力を行うように構成しておくのがよい。

[0013] この回転機械をポンプやモータ、ァクチユエータとして機能させるためには、カバー部に、閉じられた空間に開口する穴を設け、回転部の回転に伴う空間の拡縮変化時に、拡張領域に開口する穴が吸込ポートまたは高圧ポートとなり、縮小領域に開口する穴が吐出ポートまたはドレンポートとなるように各穴に流体経路を接続し、また動力伝達系を構成すればよい。流体には水や空気、油など種々のものを利用することができる。

[0014] また、この回転機械をエンジンとして機能させるためには、カバー部に、閉じられた空間に開口する穴を設け、その穴の一部を利用して二つの回転経路を交叉部以外の箇所で接続する接続部分を設けることによって、一方の回転経路において閉じ込められて縮小過程にある空間に導入した混合気体を圧縮し、その混合気体を接続部分を介してもう一方の回転経路において閉じられて拡張過程にある空間に導入し、ここで爆発、膨張させた後に排気するサイクルを連続して営ませるように構成すればょヽ発明の効果

[0015] 以上、本発明によれば、可動部である回転部及び支持部が稼動時に慣性抵抗を発生し難い回転構造にできるので、振動や騒音を低減することができ、高回転にも耐用し得る回転機械、これを利用したポンプ Zモータ、ァクチユエータ、エンジンを実現することができる。また、回転部と回転経路との間で高気密性を保つことができるので、従来の無偏心タイプのものと比べてもよりエネルギーロスの少ない回転機械等としての利用が可能となる。

図面の簡単な説明圆 1]本発明の一実施形態に係る回転部と回転経路の関係を示す模式的な図。圆 2]同実施形態に係るカバー部の正面図。

圆 3]同実施形態に係る一方の回転部を外側支持部により支持した状態の可動部を示す側面図。

圆 4]同実施形態に係る他方の回転部を内側支持部により支持した状態の可動部を示す側面図。

圆 5]両可動部の組み付け状態を示す斜視図。

[図 6]両可動部を収容するカバー部の斜視図。

[図 7]可動部及びカバー部の分解斜視図。

圆 8]両回転部と回転経路の間に拡縮される空間を説明する斜視図。

圆 9]両回転部と回転経路の間に拡縮される空間を説明する斜視図。

圆 10]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 11]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 12]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 13]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 14]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 15]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 16]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 17]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 18]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 19]同実施形態の作動行程を説明するための説明図。

圆 20]同実施形態に適用される連動機構の構成図。

圆 21]回転部の端面形状の変形例を示す図。

[図 22]図 21の糸且付状態における要部拡大図。

圆 23]図 21及び図 22に対応した作動行程を説明するための説明図。

圆 24]図 21及び図 22に対応した作動行程を説明するための説明図。

[図 25]カバー部の変形例を示す図 2に対応した正面図。

発明を実施するための最良の形態 [0017] 以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。

[0018] この実施形態の回転機械は、図 1に実線で示す 2つの回転部 l (la、 lb)を、同図中想像線で示す互いに直交する回転面に設けた回転経路 5a、 5bに沿って干渉することなく同期回転させるようにしたものである。回転経路 5a、 5bは図 2及び図 6に示す力バー部 2によって一部が覆われ、回転部 la、 lbは図 3〜図 5に示す支持部 4、 3にバックアップされた状態で回転経路 5a、 5b内に配置される。そして、この状態で回転部 laと支持部 4からなる可動部が回転経路 5aを閉止した状態で回転し、回転部 lbと支持部 3からなる可動部が回転経路 5bを閉止した状態で回転する構造をなす。図 7は回転部とカバー部の組付関係を示す分解図である。

[0019] 具体的に説明すると、回転部 l (la、 lb)の外周 11及び内周 12は同じ仮想中心点 O を持つ球面であり、側面 13はその球面である外周 11から内周 12にかけて球面の中心すなわち同じ仮想中心点 Oに向力う線の集まりによって作られる曲面で形成される。この曲面は円錐面である。本明細書において、回転部 1の側面形状を「扇形」と称しているが、正確には図 1等に明らかなように、外周 11と内周 12、及び後述する端面 14によって形成される側面視部分円環状のものである。他に「扇形」、「扇」と言う場合には同様の意味である。

[0020] この回転部 1は回転経路 5a、 5b内において 180° よりもやや小さい領域内、すなわち両回転経路 5a、 5bの交叉部に力からない領域に収まる大きさ（扇の角度が 150° 程度）にしてあり、回転方向の前方及び後方の端面 14の形状は特に限定していない。このようにしても、ある回転位置で気密性がなくなるだけで基本的な機能は同様だ力もである。回転部 1が回転経路 5a、 5b内においてほぼ 180° の領域を占める例については後述する。

[0021] 図 3〜図 5は回転部 la、 lbを支持部 4、 3で支持した状態である。各図において符合 31、 41で示す部分は扇形をなす回転部 1の外周面 11及び内周面 12と同じ仮想中心 Oを持つ球面状の支持面であり、これらの支持部 3、 4は扇形をなす回転部 1の外周側円弧又は内周側円弧をバックアップする位置力円環状に周回するまで拡張した形状を持つ。支持部 3, 4のうち、支持面 31、 41を除くその他の部分の形状は任意であって、回転部 1の扇形部分の円弧の長さと図 3及び図 4における紙面に垂直方向の幅、並びに、外周面 11及び内周面 12を構成する球面の直径は自由に定めることがでさる。

[0022] 図 2及び図 6及び図 7に示すカバー部 2については、図中縦方向の回転経路 5aの外周側を閉止するカバー外壁 22、及び図中横方向の回転経路 5bの内周側を閉止するカバー内壁 21は同じ仮想中心点 Oを持つ球面力もなり、回転経路 5bの上下を覆うカバー側壁 23、 24、 25、 26及び回転経路 5aの左右を覆うカバー側壁 27a、 27b、 2 8a、 28bは同じ仮想中心点 Oに向力う線の集まりによって作られる曲面で形成される半円に近いものである。これらの曲面も回転部 lb、 laの側面 13の形状に対応した円錐面である。

[0023] 図 2、図 6及び図 7に示すカバー部 2の縦方向の回転経路 5aに図 1、図 4、図 5及び図 7の回転部 1 (la)が、また図 2、図 6及び図 7に示すカバー部 2の横方向の回転経路 5bに図 1、図 3、図 5及び図 7の回転部 1 (lb)が、それぞれ収容される。回転部 1 ( la)は支持部 4とともに可動部を構成し、回転部 1 (lb)は支持部 3とともに可動部を構成し、これらの可動部がカバー部 2に対して仮想中心点 Oの周りを回転する。

[0024] 以上により、回転部 1 (la、 lb)の側面が回転経路 5a、 5b同士の交叉部分を除く部位におヽてカノ一佃 J壁 23、 24、 25、 26、 27a, 27b, 28a, 28bにより 8筒所力 ^カノ一され、縦方向の回転経路 5aに配置される回転部 laの外周面 11が回転経路 5a、 5 b同士の交叉部分を除く部位において部分球面状のカバー外壁 22によって上下 2 箇所がカバーされ、横方向の回転経路 5bに配置される回転部 lbの内周面 12が回転経路 5a、 5b同士の交叉部分を除く部位において部分球面状のカバー内壁 21によって左右 2箇所がカバーされる。

[0025] そして、回転経路 5aの内周側が両回転経路 5a、 5bの交叉部を含めて回転部 laの内側をサポートする円環状の支持部 4によって閉止され、回転経路 5bの外周側が両回転経路 5a、 5bの交叉部を含めて回転部 lbの外側をサポートする円環状の支持部 3によって閉止される構造をなす。

[0026] このとき、カバー部 2のうちこれら回転部 laと支持部 4からなる可動部と接する部分の形状、および回転部 lbと支持部 3からなる可動部と接する部分の形状は、それらの可動部が回転したとき常時カバー部 2の各部位と密接に摺接して気密性が保たれるようにしている。

[0027] そして、カバー部 2の適当な場所に穴を設け、これらを入出力ポートとすることによつて、ポンプ、ァクチユエータとして機能させるようにしている。

[0028] 本実施形態における穴は、図 6に示すように各交叉部近傍における縦方向の回転経路 5aのカバー外壁 22に各々 2箇所 (Pl、 P2、 P3、 P4)、各交叉部近傍における横方向の回転経路 5bのカバー内壁に各々 2箇所 (P5、 P6、 P7、 P8)、計 8箇所に設けてある。

[0029] 次に、この回転機械の作動を簡単に説明する。例えば系が図 8の回転状態にあり、回転経路 5a、 5bの各交叉部で、回転部 la (lb)がもう一方の回転部 lb (la)の回転経路 5b (5a)の前方、後方を閉じる形になると、回転部 lb (la)の前方と回転部 la (1 b)の側面との間の閉じられた領域 Sbl (Sal)は回転と共に狭くなり、回転部 lb (la) の後方と回転部 la (lb)の側面との間の閉じられた領域 Sb2 (Sa2)は回転と共に広くなる。よって、この図の場合、 Pl、 P8が流入ポートとなり、 P2、 P7が流出ポートとなる。あるいは、系が図 8に対して 180° 位相のずれた図 9の回転状態にあり、回転経路 5a、 5bの各交叉部で、回転部 la (lb)がもう一方の回転部 lb (la)の回転経路 5b (5a)の前方、後方を閉じる形になると、回転部 lb (la)の前方と回転部 la (lb)の側面との間の閉じられた領域 Sb3 (Sa3)は回転と共に狭くなり、回転部 lb (la)の後方と回転部 la (lb)の側面との間の閉じられた領域 Sb4 (Sa4)は回転と共に広くなる。よって、この図の場合、 P4、 P6が流入ポートとなり、 P3、 P5が流出ポートとなる。

[0030] 図 10〜図 19は更に回転経路 5a、 5bを展開して 30° ごとに目盛を振ったものを示しており、各図の右肩には図 10の状態から回転部 la、 lbがどれだけ回転した力、その位相差が記してある。図 13の状態が図 8に、図 17の状態が図 9にほぼ対応している。各ポート P1〜P8には図示しない流路が接続され、それらの流路には適宜の給排弁が設けられてヽるものとする。

[0031] 図 10の状態は、両回転部 la、 lbの前端が交叉部に進入する瞬間を示す。この状態では、 8つのポート P1〜P8のうち、ポート Pl、 P3、 P5、 P8の 4つは全て「閑」、あとのポート P2、 P4、 P6、 P7の 4つは「開」の状態となる。この前後において、回転経路 5a 、 5bの交叉部は遮断されていないため、空間の閉じ込め状態での拡縮は起こらない。但し、ポート P1〜P8の給排弁を閉止しておく必要がある。

[0032] 図 10から 15° 位相が進んだ図 11の状態では、ポート Pl、 P8が閉→開に切り替わり、ポート P3、 P5は依然として「閉」、ポート P2、 P4、 P6、 P7は依然として「開」である。この前後においても、回転経路の交叉部 5a、 5bは遮断されておらず、空間の閉じ込め状態での拡縮は起こらない。この間、図 10の状態と同様、ポート P1〜P8の給排弁を閉止しておく必要がある。

[0033] 図 10から 30° 位相が進んだ図 12では、ポート P1〜P8の状態は図 11と同じである力この段階で回転経路 5a、 5bの交叉部が両回転部 la、 lbによって完全に遮断される。このため、この位置力領域 Sa2、 Sb2が閉じ込められて拡張が開始され、この部位に開口するポート Pl、 P8の給排弁を開く。これにより、領域 Sa2、 Sb2にはポート Pl、 P8を介して流体が流入する。

[0034] 図 10から 60° 位相が進んだ図 13の状態では、ポート P4、 P6力 ^閉」になる。このため、少し手前の位置から領域 Sal、 Sblが閉じ込められて縮小が開始され、この部位に開口するポート P2、 P7の給排弁を開く。これにより、領域 Sal、 Sbl内の流体はポート P2、 P7を介して流出する。

[0035] 図 10から 150° 位相が進んだ図 14の状態は、両回転経路 la、 lbの交叉部から両回転部 la、 lbの後方が退出し始める瞬間であり、ポート P3、 P5が閉→開になり、領域 Sa2、 Sb2の閉じ込み状態での拡張が終了する。このため、これらの部位に開口するポート Pl、 P3、 P5、 P8の給排弁を閉じた状態にする。

[0036] 図 10から 180° 位相が進んだ図 15の状態は、両回転部 la、 lbの前端が図 10とは反対側の交叉部に進入する瞬間を示す。この状態では、 8つのポート P1〜P8のうち、ポート Pl、 P3、 P5、 P8の 4つは「開」、あとのポート P2、 P4、 P6、 P7の 4つは「閉」の状態となる。この前後において、回転経路 5a、 5bの交叉部は遮断されていないため、空間の閉じ込めによる拡縮は起こらない。このため、ポート P1〜P8の給排弁を閉止しておく。

[0037] 図 10から 210° 位相が進んだ図 16の状態では、ポートは図 15と同じ状態である力この位置から回転経路 5a、 5bの交叉部が両回転部 la、 lbによって完全に遮断される。このため、この位置力も領域 Sb4、 Sb4が閉じ込められて拡張が開始され、これらの部位に開口するポート P4、 P6の給排弁を開く。これにより、領域 Sa4、 Sb4にはポート P4、 P6を介して流体が流入する。

[0038] 図 10から 270° 位相が進んだ図 17の状態では、新たにポート Pl、 P8が開→閉になる。このため、領域 Sa3、 Sb3が閉じ込められて縮小が行われ、これらの部位に開口するポート P3、 P5の給排弁を開く。これにより、領域 Sa3、 Sb3内の流体はポート P3 、 P5を介して流出する。

[0039] 図 10から 330° 位相が進んだ図 18の状態では、両回転経路 5a、 5bの交叉部から回転部 la、 lbの後方が退出し始める。これに先立ち、少し前に実質的にポート P2、 P7が閉→開となり、領域 Sa4、 Sb4の綴じ込み状態での拡張が終了する。このため、これらの部位に開口するポート P2、 P4、 P6、 P7の給排弁を閉じた状態にする。

[0040] 図 10から 345° 位相が進んだ図 19の状態では、両回転部 la、 lbが回転経路 5a、 5 bの交叉部から退出し始め、交叉部の遮断が解除されるので、全てのポート P1〜P8 の給排弁を閉止しておく。

[0041] すなわち、この回転機械は、図 17に示したように一方の回転部 la (lb)の進行方向の中心がカバー部 2の交差部中央にある時、もう一方の回転部 lb (la)の進行方向の中心もカバー部 2の反対側の交叉部中央にある位置関係にあり、二つの回転部 la 、 2aが同じ速度で同時に回転し始めると、図 17の状態ではポート P4、 P6が流入ポート、ポート P3、 P5が流出ポートとなり、図 13の状態ではポート Pl、 P8が流入ポート、ポート P2、 P7が流出ポートとなる。このように、二つの交差部で分けられた回転経路 5a、 5bの 8つのポートが入れ替わりながら、給排弁の開閉タイミングに多少のずれはあるにせよ、基本的に 4つのポートにおいて流体の流入、流出が同時に行われることとなる。

[0042] したがって、この回転機械は、連動機構を介して外部から回転動力が与えられることにより、流入ポートから吸込んだ流体を流出ポートから吐出するポンプとして機能させることができ、逆に流入ポートに高圧流体を供給し流出ポートをドレンとすることにより、連動機構から回転動力を取り出してモータあるいはァクチユエータとして機能させることができる。勿論、逆方向の回転に対しても流出入ポートの関係が逆になるだけで上記と全く同様に作動し得る。 [0043] 因みに、図 20に簡単な連動機構 6を例示する。この連動機構 6は、回転部 laの内周側を支持する支持部 4の内周と回転部 lbの外周側を支持する支持部 3の側面とに、それぞれラック歯 6a、 6bを周回形成し、これらのラック歯 6a、 6bに嚙合する位置にピユオン歯 61を備えたシャフト 62を設けたものであり、このシャフト 62の回転により、ラック歯 6a、 6bを介して 2つの支持部 3、 4が仮想軸心点 Oを通る直交軸周りに同期回転するようになっている。そして、ピ-オン歯 61とラック歯 6a、 6bの歯数を適宜に設定することにより、両支持部 3、 4ひいては両回転部 la、 lbの回転速度を合致させることができる。勿論、これ以外の連動機構も採用可能である。また、給排弁の開閉タイミングは、例えばシャフト 62の回転を利用し、電気的、機械的な通常の手法によって容易に同期をとることができるし、また圧力差による自動開閉弁も考えられる。

[0044] この回転機械の一組立手順としては、図 7に示すカバー部 2のカバー内壁 21、 22、カノ一佃 J壁 23、 24、 25、 26、 27a, 27b, 28a, 28bを另 lj々に作成し、回転咅 lb及び外側支持部 3からなる可動部は大円 Z (図 7に示す赤道部）で 2つに切って作成する。そして、回転部 la及び内側支持部 4からなる可動部にカバー外壁 22及びカバー側壁 27a、 27b、 28a, 28bを被せる作業と、大円 Zで分割した各々の可動部をその間にカバー内壁 21を介在させて突き合わせ両側力もカバー外壁 23、 24、 25、 26を被せる作業とを相互に干渉させずに行い (つまり分割した可動部を突き合わせる際に回転部 la及び内側支持部 4からなる可動部を間に介在させ）、最後に隣接するカバ一部間を接続ことにより、本実施形態の回転機械の組立を完了する。この場合、前述した連動機構 6は、カバー取付前に両支持部 3、 4にラック歯 6a、 6bを取り付けるか刻設するかし、これらにピ-オン歯 61を有するシャフト 62を組み付け、ピ-オン歯 61 とラック歯 6a、 6bの位置調整などを行っておく。

[0045] 勿論、このような構造、手順に限定されるものではなぐ対応するカバー内壁とカバー側壁 (例えば 21と 23、 24)、あるいはカバー外壁とカバー側壁 (例えば 22と 27a、 27 b)などは一体的に作っても良い。また、例えば図 7中矢印 Tで示すように回転部 laの反対側の位置カゝら外側支持部 3を切断すると、必ずしも大円 Zで分離せずとも中のパーッである回転部 la及び内側支持部 4からなる可動部を挿入することができるし、力バー内壁 21も 2つの可動部が接合された後からでも装着することができる。 [0046] また、扇形状の回転部 la、 lbを内側と外側力支持する支持部 4、 3のうち、球面状の支持面 41、 31以外の部分は自由に作ることができるため、回転の中心 Oと回転部 la及び支持部 4からなる可動部の重心、あるいは回転の中心 Oと回転部 lb及び支持部 3からなる可動部の重心を一致させることにより、回転時の振動、騒音、エネルギ一の損失を有効に低減することができる。そのためには、支持面 41、 31以外の部分の肉厚を調整したり、別途にバランスウェイトを取り付けるなど、適宜の手段を講じることができる。そして、かかる支持面 41, 31以外の部位は、上述したように連動機構 6 やそれを含む動力伝達系の構成場所としても適切なものとなる。

[0047] また、両回転部 la、 lbがほぼ 180° の領域を占め、隙間を空けずに気密性を保って回転する構造としては、例えば、図 21〜図 24に示すように回転部 la、 lbの回転方向の前方及び後方の端面 14が回転方向に対し斜めの角度で球の表面より中心 Oに向かう面で切って、扇形の長い方の円弧の角度を 180度にすることが挙げられる。図 23は上記図 10〜： L 1の状態にほぼ対応し、図 24は上記図 15〜図 16の状態にほぼ対応している。

[0048] また、図 22の端面 14bの斜め部分を上下逆にして二つの扇形を面と面で接触する形状も考えられ、より気密性を高める追求も可能である。

[0049] より厳密には、図 22において紙面に垂直な方向への端面 14a、 14b同士の相対変位も考慮する必要があるため、総じて言えば、 2つの回転部 la、 lbの前方、後方の端面が回転しながら気密性を保つような面で構成され、その面は球面より中心に向力線の集まりで形成されるものであると言うことができる。

[0050] なお、端面 14を斜めに構成する場合、図 23及び図 24に示すようにポート Pl、 P6 は両回転経路 5a、 5bの交叉部の直近に位置することが望ましぐ流体経路は斜めに接続することが好ましい。これらのポート Pl、 P6を設けるカバー部の位置としては、図 25に示すようにカバー外壁 22やカバー内壁 21ではなくカバー側壁 24、 26を選択することが有効となる。反対側の交叉部においても事情は同じである。また、上記図 10〜図 19においても各ポート P1〜P8は極力両回転経路 5a、 5bの交叉部に近い位置に設けておくことが好ましいため、図 25と同様の構成を採用することもできる。

[0051] さらに、本発明の回転機械をエンジンとして使用する態様について略述する。 [0052] この回転機械は、カバー部 2の適当な場所に二つの経路をつなぐ接続部分（図 13及び図 18における想像線 B参照）を設けることによって、回転経路 la、 lbの一方で圧縮した気体をもう一方で爆発、膨張させ、エンジンとして機能させる。

[0053] すなわち、エンジンについては、一方の回転経路 5bにおいて回転部 lbの回転方向の前方で圧縮が、後方で吸気が行われ、もう一方の回転経路 5aにおいて回転部 la の回転方向の後方で爆発、膨張、前方で排気が行われるようにする。接続部分 Bは、一方の回転経路 5bにおいて回転部 lbの回転方向の前方で圧縮された混合気体が、もう一方の回転経路 5aにおいて回転部 laの回転方向の後方の爆発前の位置へ送り込まれる位置に設けたものである。その際、点火プラグは適宜位置に設ければよく、ディーゼルエンジンのように高圧により着火するように構成してもよ!/、。

[0054] この場合、図 10〜図 19で説明した各ポートのうち、閉じ込められて混合気体の圧縮や爆発が行われる空間に開口するポートの給排弁は閉にし、それ以外の空間に開口するポートの給排弁は開放しておくようにする。

[0055] 以上、本発明の実施形態や変形例について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなぐ本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 側面形状を概略扇形に、外周面及び内周面の形状を同じ仮想中心点を持つ部分球面状にした 2つの回転部力前記仮想中心点周りに互いに直角をなす回転面で当たらな、ようにタイミングを合わせて同期回転するようにしたものであって、一つの回転部は内周面側に支持部を有し、もう一つの回転部は外周面側に支持部を有し、その支持部とともに回転経路を覆う位置にカバー部を設けて、互いの回転部が相手方の回転部の回転経路を交叉部においてさえぎる形で回転することにより、支持部、カバ一部、回転部の側面、及びもう一方の回転部の端面によって閉じられた空間が両回転部の回転とともに変化するように構成したことを特徴とする回転機械。

[2] 一方の支持部は回転部の内周面と同じ仮想中心を持つ球面を内周面と接する位置力扇の円弧方向に拡張した形状をなし、他方の支持部は回転部の外周面と同じ仮想中心を持つ球面を外周面と接する位置力扇の円弧方向に拡張した形状をなし、それらの拡張部において質量バランスを取り、仮想中心点と回転部及び支持部からなる可動部の重心とを一致させている請求項 1記載の回転機械。

[3] 二つの支持部をギヤ等の連動機構で連結し、この連動機構で両回転部の回転のタイミングを合わせるとともに、連動機構を介して回転部への回転力の入力及び回転部力の回転力の出力を行うようにしている請求項 1又は 2記載の回転機械。

[4] カバー部に、閉じられた空間に開口する穴を設け、回転部の回転に伴う空間の変化を利用してポンプ又はァクチユエータとして機能させるようにしていることを特徴とする請求項 1〜3記載の回転機械。

[5] カバー部に、閉じられた空間に開口する穴を設け、その穴の一部を利用して二つの回転経路をつなぐ接続部分を設けることによって、一方の回転経路で圧縮した気体をもう一方の回転経路で爆発、膨張させ、エンジンとして機能させるようにしていることを特徴とする請求項 1〜3記載の回転機械。