明 細 書
ルテニウム合金スパッタリングターゲット 技術分野
[0001] この発明は、ルテニウム合金スパッタリングターゲット中に存在する酸素を低減させ て、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生を少なくし、焼結密度を向上させて ターゲットの強度を高め、さらに Si半導体へ微量添加されている B及び Pの組成変動 を防止するために、ターゲット中の B及び P不純物の量を厳しく制限して、成膜の品質 を向上させることができるルテニウム合金スパッタリングターゲットに関する。
背景技術
[0002] ルテニウム (Ru)合金は、熱的安定性にすぐれ、さらに低抵抗性、バリヤ性に優れて いるので、半導体素子の成膜材料として、特にゲート電極材、各種拡散バリヤ材とし て注目されている。
純ルテニウムターゲットを焼結する場合、 1100° C付近で酸素の解離が起こり、原料 粉の酸素含有量が 2000wtppmと高 、場合でも、焼結体では酸素含有量 lOOwtppm未 満にまで低減することが可能である。
例えば、特許文献 2には、酸素含有量が 500ppmの原料粉を用いて製造した、アル カリ金属 Ippm未満、アルカリ土類金属 Ippm未満、放射性元素 lOppb未満、炭素およ びガス成分の合計が 500ppm未満、酸素濃度 lOOppm以下、純度 99.995%以上の高 純度ルテニウムターゲットが記載されて 、る。
[0003] しかし、ルテニウム合金の場合は、合金を構成するルテニウム以外の元素(以降、合 金元素という)が酸化物を作りやすくて、ルテニウムよりも安定な酸化物を形成する場 合、ルテニウム力 解離した酸素が合金元素と反応してしまうため、結果として焼結 後もルテニウム合金としての酸素含有量が低減されない。例えば、ルテニウム タン タル合金では、この傾向が特に強ぐ粉末焼結法によって酸素含有量の低いターゲ ットを製造することは困難であった。
例えば、特許文献 2は、同じ出願人による発明であるが、当該特許文献に記載した 原料粉 (ルテニウム粉)を用いても、ルテニウム合金として場合、合金元素が安定な酸
化物を形成する場合は、酸素が 1000〜2000ppmと高いものしかできなかった。また、 それ以上に酸素含有量が低い原料粉 (ルテニウム粉)を使用しても、酸素含有量は 同程度レベルであった。これは原料粉自体の酸素含有量が低くても、吸着した酸素 などが多く存在し、混合プロセスなどを経て、原料粉が容易に酸ィ匕してしまうためであ ると考免られる。
[0004] 公知のルテニウム合金ターゲットの例としては、特許文献 1にあるように、巿販の 100 メッシュアンダーの Ru粉と Ta粉とを混合し、 1150° C、圧力 15MPaでホットプレス成形 し、これをダイヤモンド砥石により 200rpmで研削加工して 125mm φ、 5mm厚のター ゲットを作製することが記載されている。この場合、酸素を除去するプロセスがないた め、酸素含有量が高ぐ密度が低いものし力得られないはずであり、半導体製造プロ セス使用できるものではな 、。
[0005] さらに、特許文献 3では、市販のルテニウム粉末と添加元素とをボールミルあるいは アトライタなどでメカ-カルァロイングなどの方法で混合した粉末やプラズマ溶融法に より合金化した粉末を、ホットプレス、熱間静水圧プレス、プラズマ焼結法により焼結 することが記載されている。このとき、ホットプレスで真空ないし水素雰囲気で 600〜90 0° Cで脱ガスすることが有効であることが示されて 、る。
し力しながら、上記の脱ガスは吸着した酸素等の除去に有効であると記載されてい るのみであって、既に合金元素から形成した酸ィ匕物の酸素は除去されないし、その 前段階としてプラズマ溶融法を用いて合金粉末を作製したとしても、 lOOOppm以下の 酸素含有量のターゲットを製造することは難しいと思われる。
なぜなら、プラズマ溶融法では超高温のプラズマを安定に形成するためには、ある 程度の圧力のプラズマ形成ガス (アルゴン +水素など)を反応室内に導入する必要が あり、高真空とすることができないので酸素が十分に除去されることはないと考えられ るためである。この方法で得られた合金粉をホットプレスさらに HIPすることで、確かに 密度は高くでき、 Bや Pの濃度は低く抑えることができた力 酸素は高いままであった。
[0006] ルテニウム合金として、特にタンタルやニオブ等のルテニウムよりも酸ィ匕物を形成し やすい合金元素がマクロ量配合されるとき、脱酸素が困難になり、合金元素の組成 力^ at%以上、特に 10at%から 60at%であるときに顕著であることが判明した。
一方、ルテニウム合金を半導体素子の成膜材料、特にゲート電極材、各種拡散バリ ャ材として使用する場合には、上記の範囲の組成が求められる。従来技術では、酸 素含有量が lOOOppmを超えて高いことが必然であり、そのようなターゲットを用いてス ノ ッタリングした場合、焼結密度が低いためにターゲット強度が弱い上に、スパッタ時 のアーキングゃパーティクル発生が顕著となることによって成膜の品質を低下させる という問題があり、半導体素子に必要な特性をもつターゲット材が得られな力つた。 特許文献 1:特開 2004-319410号公報
特許文献 2:特開平 11-50163号公報
特許文献 2:特開 2002-167668号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は、上記の点に鑑み、ルテニウム合金スパッタリングターゲット中に存在する 酸素を低減させて、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生を少なくし、焼結 密度を向上させてターゲットの強度を高め、さらに Si半導体へ微量添加されている B 及び Pの組成変動を防止するために、ターゲット中の B及び P不純物の量を厳しく制 限して、成膜の品質を向上させることができるルテニウム合金スパッタリングターゲット を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0008] 本願発明は、上記の問題を解決するために、ターゲットに含有される酸素量を厳密 に制限し、また Pの不純物を付カ卩的に制限し、さらにターゲット組織を改良 *ェ夫し
、結晶粒径を規定し、密度を向上させることにより、従来に比べてさらに成膜特性に 優れたルテニウムスパッタリング用ターゲットを得ることができるとの知見を得た。 本願発明は、この知見に基づいて、
1)ルテニウム粉末とルテニウムよりも酸化物を作りやすい金属粉末との混合粉末を焼 結して得られるルテニウム合金焼結体ターゲットであって、ガス成分を除くターゲット の純度が 99. 95wt%以上であり、ルテニウムよりも酸化物を作りやすい金属を 5at%〜6 (^%含有し、相対密度が 99%以上、不純物である酸素含有量が lOOOppm以下であ ることを特徴とするルテニウム合金スパッタリングターゲット
2)酸素含有量が 100〜500wtppmであることを特徴とする上記 1)記載のルテニウム合 金スパッタリングターゲット
3)ルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属がタンタルであることを特徴とする上記 1 )又は 2)記載のルテニウム合金スパッタリングターゲット
4)ルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属がニオブであることを特徴とする上記 1) 又は 2)記載のルテニウム合金スパッタリングターゲット
、を提供する。
[0009] 本願発明は、また
5) B及び Pが、それぞれ lppm未満であることを特徴とする上記 1)〜4)のいずれかに 記載のルテニウム合金スパッタリングターゲット
6)ターゲット組織にぉ 、て、ルテニウムとルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやす 、金属と の界面に酸素濃縮部が見られず、またこれらの金属の合金化していない組織をもつ ことを特徴とする上記 1)〜5)のいずれか〖こ記載のルテニウム合金スパッタリングター グット
7)ルテニウムとルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやす 、金属との合金化して 、な 、組織 の平均結晶粒径力 〜 50 mであることを特徴とする請上記 1)〜6)のいずれかに記 載のルテニウム合金スパッタリングターゲット、を提供する。
発明の効果
[0010] 以上によって、本願発明は、ルテニウム合金スパッタリングターゲット中に存在する 酸素を低減させて、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生を少なくし、焼結 密度を向上させてターゲットの強度を高め、さらに Si半導体へ微量添加されている B 及び Pの組成変動を防止するために、ターゲット中の B及び P不純物の量を厳しく制 限して、成膜の品質を向上させることができるルテニウム合金スパッタリングターゲット を得ることができると 、う優れた効果を有する。
発明を実施するための最良の形態
[0011] 本発明のルテニウム合金スパッタリングターゲットは、ルテニウム粉末とルテニウムよ りも酸化物を作りやすい金属粉末との混合粉末を焼結して得られるルテニウム合金 焼結体ターゲットである。ターゲットの純度が 99. 95wt%以上 (但し、ガス成分を除く)
であり、ルテニウムよりも酸化物を作りやすい金属を 5at%〜60at%含有する力 相対密 度が 99%以上、不純物である酸素含有量が lOOOppm以下を達成するものである。 より好ましくは、ルテニウム合金スパッタリングターゲット中の酸素含有量を 100〜500 wtppmとする。ルテニウム合金の該ルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやす 、合金元素とし ては、代表的には、タンタル、ニオブ、チタニウム、ハフニウム、ジルコニウムを挙げる ことができる。ルテニウム タンタル合金、ルテニウム ニオブ合金、ルテニウムーチ タ -ゥム合金、ルテニウム ハフニウム合金、ルテニウム ジルコニウム合金は、半導 体素子の成膜材料として、特にゲート電極材、各種拡散ノ リャ材として有用である。 しかし、これらの合金以外の材料にも適用できることは知るべきであり、本願発明に当 然含まれるものである。
[0012] さらに、本願発明のルテニウム合金スパッタリングターゲットは、 B及び Pが、それぞれ lppm未満であることが望ましい。元来、半導体素子にはドーピング材として、 Bや Pが 添加されるのであるが、ゲート電極材、各種拡散バリヤ材として使用する場合、これら の材料力 Bや Pが半導体素子に移動し、組成変動を起こして新たな汚染源となるこ とは避けなければならない。したがって、ターゲット中の、 B及び Pを、それぞれ lppm 未満とすることが望ましい。
[0013] ルテニウム合金スパッタリングターゲット組織において、ルテニウムとルテニウムよりも 酸化物を作りやす 、金属との界面に酸素濃縮部を無くするか又は減少させ、かっこ れらの金属の間で完全に合金化して ヽな 、組織をもつようにすることが望ま 、。こ れによって、同様に膜組成の均一化を図り、酸素を極力分散させることにより、酸素 による影響を可能な限り減少させることが可能となる。
ルテニウム合金スパッタリングターゲット中のルテニウムとルテニウムよりも酸化物を 作りやす 、金属との合金化して 、な 、組織 (金属間化合物化して 、な 、組織を含む )の平均結晶粒径を 5〜50 μ mに調整することが望ま 、。
この平均結晶粒径を、 50 mを超えて粗大化した場合及び過度に微細化した場合 には、いずれも焼結体の密度が向上しないという現象を生ずる。したがって、上記平 均結晶粒径を 5〜50 ;ζ πιとする。以上によって、成分偏析を少なくし、均一な薄膜を 形成することが可能となる。
一般に、焼結後の組織は、焼結粉末の粒径が反映されるので、原料粉の段階で粒 度調整することが必要となる。過度に微粉にした場合には、酸素を吸収し低酸素化 が困難となるので、この意味からも、過度の微細粉の使用は避けることが望ましいと 言える。
[0014] 具体的な製造方法としては、例えば巿販 3Nグレード (99. 9%純度)のルテニウム粉 末 (低酸素品)を超高真空チャンバ一に導入し、ルテニウム粉末に高出力赤外線ラン プ加熱又はマイクロウエーブ加熱を使用して粉末を加熱し、酸素を除去する。粉末体 の温度は、約 1100〜1300° Cとする。これは 1100° C以上でないと酸素解離は十分 起こらないからである。
また、この加熱は、ルテニウム粉末が結合し合い焼結性を低下させないためであり、 またランプ加熱あるいはマイクロウエーブ加熱するのは、粉末体を早く室温まで冷却 できるようにするためである。
チャンバ一に接続された酸素モニターで十分酸素が放出されたことを確認した後、 加熱を停止し急速に冷却する。
[0015] 次に、アルゴンガスを導入して上記ルテニウム粉末を容器に封入し、さらに 4Nグレー ド(99. 99wt%純度の)タンタル粉末と混合した。このタンタル粉はタンタルの EBイン ゴットを、水素化 ·脱水素化を繰り返して粉砕したものである。
この混合粉を、再度 1100° Cで脱酸処理を行い、 1500〜1800° Cの温度で、真空中 ホットプレスし、さらに熱間静水圧プレス処理して焼結体を作成する。これをさらにタ 一ゲット形状に仕上げ加工 (機械加工等を)する。
これによつて得られたルテニウム合金スパッタリングターゲットは、ガス成分を除くタ 一ゲットの純度が 99. 95wt%以上であり、ルテニウムよりも酸化物を作りやすい金属を 5at%〜60at%含有し、相対密度が 99%以上(但し、ガス成分を除く)となる。これによつ て、酸素による悪影響がなくなり、ルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属を 5at%〜 60at%含有するが、相対密度が 99%以上、不純物である酸素含有量が lOOOppm以下 を達成することが可能となる。
実施例
[0016] 次に、実施例について説明する。なお、本実施例は発明の一例を示すためのもの
であり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技 術思想に含まれる他の態様及び変形を含むものである。
[0017] (実施例 1〜6)
市販 3Nグレードのルテニウム粉末 (低酸素品)を超高真空チャンバ一に導入し、ル テニゥム粉末に高出力赤外線ランプ加熱にて酸素を除去した。原料 Ru粉末の酸素 濃度は 520ppmであり、粒径は 1. 5 μ mである。粉末体の温度をおよそ 1200° Cとした 。チャンバ一に接続された酸素モニターで十分酸素が放出されたことを確認してから 加熱を停止し、急速冷却して、室温まで冷却した。
次に、これを容器に入れ、アルゴンガスを導入すると共に、 EB (電子ビーム)溶解タ ンタルインゴットを、水素ィ匕 '脱水素化を繰り返して粉砕した 4Nグレードタンタル粉末 を、添加量を 5 at%、 10 at%、 20 at%、 30 at%、 40 at%、 60at%に変えてノレテ-ゥム 粉末と混合した。タンタル原料の酸素濃度は 790ppm、粒径は 21 μ mである。
[0018] このルテニウムとタンタルの混合粉を再度 1100° Cで脱酸処理を行い、 1600° C、真 空中でホットプレスしさらに熱間静水圧プレス処理して焼結体を作成した。
この結果を、表 1に示す。表 1に示す通り、タンタル添力卩量は 5 at%、 10 at%、 20 at %、 30 at%、 40 at%、 60at%に変化させた。この結果、焼結体の密度は、 99〜99. 3 %の範囲で、いずれも 99%を超えていた。
また、酸素濃度は 110〜270wtppmの範囲にあり、低酸素化を達成していた。ルテ- ゥムとテ -ゥムよりも酸ィ匕物を作りやす 、金属との合金化して 、な 、糸且織の平均結晶 粒径は 24〜60 /ζ πιの範囲にあり、さらに Β濃度は 0. 2wtppm未満となり、また P濃度も 0 . 3wtppm未满となつに。
[0019] 以上に示す通り、実施例 1〜6は、いずれもターゲットの純度が 99. 95wt%以上(但し 、ガス成分を除く)であり、ルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属であるタンタルを 5at%〜60at%含有する力 相対密度が 99%以上、不純物である酸素含有量が ΙΟΟΟρρ m以下を達成し良好なルテニウム合金ターゲットであった。
また、 XRDと EPMAにて組織観察を行なった、実施例 1〜6は、全て界面に酸素濃縮 部が見られず完全に合金化して!/、な!/、組織をもって 、た。
したがって、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生が少なぐ焼結密度を向
上させてターゲットの強度を高め、さらにターゲット中の B及び P不純物の量を厳しく 制限できるので、成膜の品質を向上させることができた。
[0020] (実施例 7〜12)
実施例 7〜12は、巿販 3Nグレードのルテニウム粉末(中酸素品)とした。この巿販 3N グレードのルテニウム粉末(中酸素品)を超高真空チャンバ一に導入し、ルテニウム 粉末に高出力赤外線ランプ加熱にて酸素を除去した。原料 Ru粉末の酸素濃度は 21 OOppmであり、粒径は 0. 7 μ mである。粉末体の温度をおよそ 1200° Cとした。チャン バーに接続された酸素モニターで十分酸素が放出されたことを確認して力 加熱を 停止し、急速冷却して、室温まで冷却した。
次に、これを容器に入れ、アルゴンガスを導入すると共に、 EB (電子ビーム)溶解タ ンタルインゴットを、水素ィ匕 '脱水素化を繰り返して粉砕した 4Nグレードタンタル粉末 を、添加量を変えてルテニウム粉末と混合した。タンタル原料の酸素濃度は 790ppm、 粒径は 21 mである。
[0021] このルテニウムとタンタルの混合粉を実施例 1〜6と同様に、再度 1100° Cで脱酸処 理を行い、 1600° C、真空中でホットプレスしさらに熱間静水圧プレス処理して焼結 体を作成した。この結果を、表 1に示す。
表 1に示す通り、タンタル添力卩量は 5 at%、 10 at%、 20 at%、 30 at%、 40 at%、 60at %に変化させた。この結果、焼結体の密度は、 99. 3〜100%の範囲となり、いずれも 9 9%を超え、実施例 1〜6よりも密度の点では優れていた。
また、酸素濃度は 290〜550wtppmの範囲にあり、実施例 1〜6よりも増加していたが 、低酸素化を十分に達成していた。ルテニウムとテ -ゥムよりも酸ィ匕物を作りやすい金 属との合金化していない組織の平均結晶粒径は 13〜17 mの範囲にあり、より微細 化していた。さらに B濃度は 0. 2wtppm未満となり、また P濃度も 0. 3wtppm未満となつ た。
[0022] 以上に示す通り、実施例 7〜12は、いずれもターゲットの純度が 99. 95wt%以上(伹 し、ガス成分を除く)であり、ルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属であるタンタル を 5at%〜60at%含有する力 相対密度が 99%以上、不純物である酸素含有量が 1000 ppm以下を達成し、良好なルテニウム合金ターゲットであった。また、 XRDと EPMAに
て組織観察を行なった、実施例 7〜12は、全て界面に酸素濃縮部が見られず完全 に合金化して ヽな 、組織をもって 、た。
したがって、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生が少なぐ焼結密度を向 上させてターゲットの強度を高め、さらにターゲット中の B及び P不純物の量を厳しく 制限できるので、成膜の品質を向上させることができた。
[0023] (実施例 13〜18)
実施例 13〜18は、巿販 3Nグレードのルテニウム粉末 (高酸素品)とした。この巿販 3 Nグレードのルテニウム粉末 (高酸素品)を超高真空チャンバ一に導入し、ルテニウム 粉末に高出力赤外線ランプ加熱にて酸素を除去した。原料 Ru粉末の酸素濃度は 30 OOppmであり、粒径は 0.3 μ mである。粉末体の温度をおよそ 1200° Cとした。チャンバ 一に接続された酸素モニターで十分酸素が放出されたことを確認してから加熱を停 止し、急速冷却して、室温まで冷却した。
次に、これを容器に入れ、アルゴンガスを導入すると共に、 EB (電子ビーム)溶解タ ンタルインゴットを、水素ィ匕 '脱水素化を繰り返して粉砕した 4Nグレードタンタル粉末 を、添加量を変えてルテニウム粉末と混合した。タンタル原料の酸素濃度は 790ppm、 粒径は 21 mである。
[0024] このルテニウムとタンタルの混合粉を実施例 1〜6と同様に、再度 1100° Cで脱酸処 理を行い、 1600° C、真空中でホットプレスしさらに熱間静水圧プレス処理して焼結 体を作成した。この結果を、表 1に示す。
表: Uこ示す通り、タンタノレ添カ卩量 ίま 5 at%、 10 at%、 20 at%、 30 at%、 40 at%、 60at%【こ変 化させた。この結果、焼結体の密度は、 99.2〜99.4%の範囲で、いずれも 99%を超え 、実施例 1〜6よりも密度の点では若干優れて 、た。
また、酸素濃度は 410〜860wtppmの範囲にあり、実施例 1〜6よりも増加していたが 、低酸素化を十分に達成していた。ルテニウムとルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい 金属との合金化していない組織の平均結晶粒径は 6〜11 mの範囲にあり、より微細 化していた。さらに B濃度は 0. 2wtppm未満となり、また P濃度も 0. 3wtppm未満となつ た。
[0025] 以上に示す通り、実施例 13〜18は、いずれもターゲットの純度が 99. 95wt%以上(
但し、ガス成分を除く)であり、ルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属であるタンタ ルを 5at%〜60at%含有する力 相対密度が 99%以上、不純物である酸素含有量 1000 ppm以下を達成し、良好なルテニウム合金ターゲットであった。また、 XRDと EPMAに て組織観察を行なった、実施例 13〜18は、全て界面に酸素濃縮部が見られず完全 に合金化して ヽな 、組織をもって 、た。
したがって、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生が少なぐ焼結密度を向 上させてターゲットの強度を高め、さらにターゲット中の B及び P不純物の量を厳しく 制限できるので、成膜の品質を向上させることができた。
[表 1]
) oiHt 130027〜
原料 Ru粉 Ru粉粒径 組成 焼結条件 焼結 酸素(ppm) ( jU m) (Ta添加量) 密度( 実施例 1 520 1.5 5at% 脱酸プロセス +通常焼結 99 実施例 2 520 1.5 10at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.1 実施例 3 520 1.5 20at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.2 実施例 4 520 1.5 30at¾ 脱酸プロセス +通常焼結 99.1 実施例 5 520 1.5 40at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.2 実施例 6 520 1.5 60at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.3 実施例 7 2100 0.7 5at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.6 実施例 8 2100 0.7 10at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.6 実施例 9 2100 0.7 20at 脱酸プロセス +通常焼結 99.7 実施例 1 0 2100 0J 30at 脱酸プロセス +通常焼結 99.9 実施例 1 1 2100 0.7 40at% 脱酸プロセス +通常焼結 100 実施例 1 2 2100 0.7 60at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.3 実施例 1 3 3000 0.3 5at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.3 実施例 1 4 3000 0.3 10at 脱酸プロセス +通常焼結 99.3 実施例 1 5 3000 0.3 20at¾ 脱酸プロセス +通常焼結 99.4 実施例 1 6 3000 0.3 30at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.4 実施例 1 7 3000 0.3 40at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.2 実施例 1 8 3000 0.3 60at% 脱酸プロセス +通常焼結 99.4
ではないので、 目標成分力も外れている力 参考のために掲載した。
この場合、巿販 3Nグレードのルテニウム粉末 (低酸素品:酸素量 520wtppm、中酸素 品:酸素量 2100wtppm、高酸素品:酸素量 3000wtppm)を、それぞれ 1600° Cで、真 空中ホットプレスし、さらに熱間静水圧プレス処理して焼結体を作成した。この結果を 表 2に示す。
この例から明らかなように、ルテニウム単独では通常の焼結方法により原料粉の酸 素量が多くても、酸素は著しく減少する(60〜110wtppm)ことが分かる。但し、この場 合、 Bと P量は lwtppmを超えるという問題はある。
[0028] (比較例 4〜8)
比較例 4〜8は、巿販 3Nグレードのルテニウム粉末(中酸素品:酸素量 2100wtppm) を用い、このルテニウム粉末(中酸素品)と 4Nグレードタンタル粉末を、タンタルの添 加量を変えてルテニウム粉末と混合した。タンタル原料粉の酸素濃度は 790ppm、粒 径は 21 μ mであった。添加量は、それぞれ 0.5at%、 3at%、 70at%、 80at%、 90at%と し、本願発明のタンタル量に満たな 、量か又は過剰に添加した場合である。
このルテニウムとタンタルの混合粉を、 1600° C、真空中でホットプレスし、さらに熱 間静水圧プレス処理して焼結体を作成した。この結果を、表 2に示す。
この表 2に示す通り、比較例 4と比較例 5は本願発明のタンタル量に満たない添加量 の場合であるが、酸素濃度は低ぐ結晶粒径も小さいが、 B濃度及び P濃度は lwtppm 超えており、さらに焼結体の密度は 96%であり、密度が十分でな力つた。
[0029] 一方、比較例 6〜8は、タンタルの添加量が 70at%、 80at%、 90at%であり、添カロ量 に伴ってターゲット中の酸素量は増加し、 lOOOwtppmを超えていた。ルテニウムとル テ -ゥムよりも酸ィ匕物を作りやす 、金属との合金化して 、な 、組織の平均結晶粒径 は小さいが、 B濃度及び P濃度は lwtppm超えており、さらに焼結体の密度は 99%未 満であり、十分でな力つた。
したがって、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生が多くなり、焼結密度が 低くターゲットの強度が低下し、さらにターゲット中の B及び P不純物の量が多いので 、成膜の品質を向上させる結果となった。
[0030] (比較例 9〜14)
比較例 9〜14は、巿販 3Nグレードのルテニウム粉末 (低酸素品:酸素量 520wtppm) を用い、このルテニウム粉末 (低酸素品)と 4Nグレードタンタル粉末を、タンタルの添 加量を 5 at%、 10 at%、 20 at%、 30 at%、 40 at%、 60at%と変えてルテニウム粉末と混合し た。タンタル原料の酸素濃度は 790ppm、粒径は 21 μ mであった。このルテニウムとタ ンタルの混合粉を、 1600° C、真空中でホットプレスし、さらに熱間静水圧プレス処理 して焼結体を作成した。この結果を、表 2に示す。
この表 2に示す通り、ルテニウムとルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属との合金 化して ヽな 、組織の平均結晶粒径は小さ 、が、酸素濃度は 、ずれも lOOOwtppmを超 え、 B濃度及び P濃度は lwtppm超えており、さらに焼結体の密度は 99%未満であり、 密度が十分でな力つた。
したがって、スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発生が多くなり、焼結密度が 低くターゲットの強度が低下し、さらにターゲット中の B及び P不純物の量が多いので 、成膜の品質を向上させる結果となった。
(比較例 15〜20)
比較例 15〜20は、巿販 3Nグレードのルテニウム粉末(中酸素品:酸素量 2100wtpp m)を用い、このルテニウム粉末 (低酸素品)と 4Nグレードタンタル粉末を、タンタルの 添加量を変えてルテニウム粉末と混合した。タンタル原料の酸素濃度は 790ppm、粒 径は 21 μ mであった。添加量は、それぞれ 5 at%、 10at%、 20at%、 30at%、 40at%、 60at%とした。
このルテニウムとタンタルの混合粉を、 1600° C、真空中でホットプレスし、さらに熱 間静水圧プレス処理して焼結体を作成した。この結果を、表 2に示す。
この表 2に示す通り、ルテニウムとルテニウムよりも酸ィ匕物を作りやすい金属との合金 化して ヽな 、組織の平均結晶粒径は小さ 、が、酸素濃度は 、ずれも 2200〜3300wtp pmとなり異常に増加した。 B濃度及び P濃度は lwtppm超えており、さらに焼結体の密 度は 99%未満であり、密度が十分でな力つた。
したがって、比較例 9〜 14に比べ、一層スパッタ時のアーキングゃパーティクルの発 生が多くなり、焼結密度が低くターゲットの強度が低下し、さらにターゲット中の B及び P不純物の量が多いので、成膜の品質を向上させる結果となった。
[0032] (比較例 21〜26)
比較例 21〜 26は、巿販 3Nグレードのルテニウム粉末(中酸素品:酸素量 21 OOwtpp m)を用い、このルテニウム粉末 (低酸素品)と 4Nグレードタンタル粉末を、タンタルの 添加量を変えてルテニウム粉末と混合した。タンタル原料の酸素濃度は 790ppm、粒 径は 21 μ mであった。添加量は、それぞれ 5 at%、 10at%、 20at%、 30at%、 40at%、 60at%とした。
このルテニウムとタンタルの混合粉を、プラズマ溶融法により合金粉とし、これをさら に 1600° C、真空中でホットプレスし、さらに熱間静水圧プレス処理して焼結体を作 成した。この結果を、表 2に示す。
[0033] この表 2に示す通り、 B濃度及び P濃度は lwtppm未満であり、比較例 15〜20よりも 酸素濃度が改善された力 依然として 1300〜1900wtppmの範囲にあり、非常に多い 酸素量となった。また焼結体の密度は、酸素量が極めて多いところ (比較例 26)で一 部改善されたが、多くは 99%未満であり、密度が十分でな力つた。したがって、スパッ タ時のアーキングゃパーティクルの発生が多くなり、焼結密度が低くターゲットの強度 が低下し、さらにターゲット中の B及び P不純物の量が多いので、成膜の品質を向上 させる結果となった。
XRDと EPMAにて組織観察を行なった、上記の通り、実施例は全て界面に酸素濃縮 部が見られず完全に反応していないタンタル相が観察された。比較例 6〜20は界面 に酸素濃縮部が観察され、比較例 21〜26は、完全に合金化あるいは金属間化合物 化された組織となって 、た。
[0034] [表 2]
ルテニウム合金スノッタリングターゲット中に存在する酸素を低減させて、スパッタ時
のアーキングゃパーティクルの発生を少なくし、焼結密度を向上させてターゲットの 強度を高め、さらに Si半導体へ微量添加されて 、る B及び Pの組成変動を防止するた めに、ターゲット中の B及び P不純物の量を厳しく制限して、成膜の品質を向上させる ことができるルテニウム合金スパッタリングターゲットを得ることができるという優れた効 果を有する。したがって、半導体素子の成膜材料として、特にゲート電極材、各種拡 散ノ リャ材用ルテニウム合金スパッタリングターゲットとして有用である。