明 細 書
無線通信システム、送信装置、送信方法、プログラム、記録媒体
技術分野
[0001] 本発明は無線通信システムに関し、特に、複数のアンテナを備えた送信装置など に関するものである。
背景技術
[0002] 非特許文献 1で述べられて 、るように、複数のアンテナを送受信機で用いる MIMO システムにおいては、受信機でのチャネル情報を用いた信号処理に加え、送信機に おいても同一のチャネル情報を用いた信号処理を行うことにより、大きな特性改善が 期待できる。中でも、送受信機間のチャネル情報を行列で表し、その行列の分解を 用いて送信機で送信ビームフォーミングを行う方式は最も特性が優れる。これは、送 受信機の信号処理によって形成される独立な複数の伝搬路に対し、各伝搬路の受 信品質に応じて伝送パラメータを制御することができるためである。このとき、独立な 伝搬路を形成するために受信機で必要な処理は、チャネル行列を用いての線形合 成処理であり、非常に簡易である。
[0003] 一方、送信機でチャネル情報を用いな 、場合には、複数の送信アンテナから送信 された信号が受信機で受信される際に互いに干渉する。この場合、その特性は受信 方式に大きく依存し、一般に複雑な処理を必要とする受信機ほど良好な特性が得ら れる。しかし、最も良好な特性が期待できる最尤推定方式を用いた場合でもその特 性は、送受信機で同一のチャネル情報を用いて信号処理を行う方式に対して劣化 する。
非特許文献 1 :大鐘 武雄、西村 寿彦、小川 恭孝、" MIMOチャネルにおける空間 分割多重方式とその基本特性"、電子情報通信学会、和文論文誌、 Vol. J87-B, No. 9、 pp.1162- 1173.
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 第 1の問題点は、複数のユーザに対してビームフォーミングを適用した場合に、逆
回線の無線リソースが逼迫することである。これは、ビームフォーミングに必要なチヤ ネル情報は、逆回線を通してフィードバックする必要があり、特に複数のユーザが存 在する場合には、フィードバックに必要な無線リソース量が多くなるためである。
[0005] 第 2の問題点は、ビームフォーミングを適用したユーザの伝送特性が劣化すること である。これは、送信機でチャネル情報を手に入れてから、実際に送信するまでにあ る程度の時間が経過すると、チャネル情報と実際のチャネルとが異なるためである。
[0006] 本発明の第 1の目的は、複数のユーザが存在する環境において、 Nユーザ (N人の ユーザであることを意味する。 Nは 2以上の整数)各々に割り当てる無線リソース量と その配置およびビームフォーミングの適用 ·非適用を効果的に決定する無線通信シ ステムなどを提供することである。
[0007] 本発明の第 2の目的は、ビームフォーミングを適用するユーザの受信品質が劣化し な 、ように無線リソースの配置を決定する無線通信システムなどを提供することである
[0008] 本発明の第 3の目的は、逆回線のリソースを有効に使ってビームフォーミングの適 用 ·非適用を決定する無線通信システムなどを提供することである。
課題を解決するための手段
[0009] 上記課題を解決するため、本発明が提供する第 1の無線通信システムは M本のァ ンテナと、 Nユーザ各々に割り当てる無線リソース量とその配置および、ビームフォー ミングの適用'非適用を決定する送信信号制御手段と、送信データから送信信号を 生成する送信信号生成手段を備えた送信装置から信号を送信する。これにより、第 1 、第 2、第 3の目的を達成できる。
[0010] 本発明が提供する第 2の無線通信システムは、第 1の無線通信システムが備える送 信信号制御手段において、はじめに Nユーザ各々に配分する無線リソース量を決定 し、無線リソースが割り当てられた全てのユーザに対してビームフォーミングの適用 · 非適用を決定し、この結果を用いて無線リソースの配置を決定する。これにより、第 1 、第 2の目的が達成できる。
[0011] 本発明が提供する第 3の無線通信システムは、第 1の無線通信システムが備える送 信信号制御手段において、全てのユーザに対してビームフォーミングの適用'非適
用を仮決定し、この結果を用いて Nユーザ各々に割り当てる無線リソース量とその配 置および、ビームフォーミングの適用 ·非適用を最終決定する。これにより、第 1、第 2 の目的が達成できる。
[0012] 本発明が提供する第 4の無線通信システムは、第 1の無線通信システムが備える送 信信号制御手段にお!、て、送信装置で特定の情報力もビームフォーミングの適用可 能性を 1次決定し、 1次決定されたユーザに対してのみフィードバックが必要な情報 を要求する。これにより、第 1、第 2、第 3の目的が達成できる。
発明の効果
[0013] 第 1の効果は、効果的にビームフォーミングの適用 '非適用と、各ユーザに配分す る無線リソース量およびその配置を決定できることである。その理由は、本発明では 各ユーザのプロファイル情報に基づいて、統合的に決定しているためである。
[0014] 第 2の効果は、ビームフォーミングを適用したユーザの特性劣化を軽減できることで ある。その理由は、本発明ではビームフォーミングを適用したユーザの送信時刻がビ ームフォーミングを適用しないユーザの送信時刻に比べて早くなるように、無線リソー ス量およびその配置と、ビームフォーミングの適用'非適用を決定しているためである
[0015] 第 3の効果は、逆回線の無線リソースを効果的に用いて、ビームフォーミングの適 用 ·非適用の決定と無線リソース量およびその配置を決定できる。その理由は、既知 の情報を用いてビームフォーミングの適用'非適用を決定したのち、必要なユーザに 対してフィードバックを求めて 、るためである。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下、本発明の無線通信システムなどを実施するための最良の形態について図面 を参照して詳細に説明する。図 1は、最良の形態の無線通信システムの構成を示す ブロック図である。
[0017] 図 1を参照すると、本形態の無線通信システムは M本 (Mは 2以上の整数)のアンテ ナ 13-1〜13-Mを備えた送信装置 1と、 J本 (Jは 1以上の整数)のアンテナ 13-1〜13-J を備えた受信装置 2とを含む。
[0018] 送信装置 1はデュプレクサ 14-1〜14-Mと、送信信号生成手段 11と、送信信号制御
手段 12と、記録媒体 15を備える。
[0019] 図 2は本形態の無線通信システムの動作を示すフローチャートである。図 2に示す 処理は、送信装置 1が記録媒体 15に格納されたプログラムを実行することによって実 現される。
[0020] 図 1、図 2を用いて本形態の無線通信システムにおける処理を説明する。
[0021] デュプレクサ 14-1〜14-Mと、アンテナ 13-1〜13-Mは信号を受信する(受信される 信号を r(l)〜r(M)とする)(ステップ Sl l)。送信信号制御手段 12は、受信信号 r(l)〜r (M)力 プロファイル情報を抽出して Nユーザ各々に割り当てる無線リソース量とその 配置および、ビームフォーミングの適用 ·非適用を決定して無線リソース制御信号 R-c trl(l)〜R- ctrl(N)と送信モード制御信号 M- ctrl(l)〜M- ctrl(N)を出力する(ステップ S1 2)。送信信号生成装置 11は、 Nユーザの送信データ din(l)〜din(N)と、無線リソース 制御信号と、送信モード制御信号を入力として送信信号 s(l)〜s(M)を生成し、出力す る(ステップ S13)。デュプレクサ 14-1〜14-Mと、アンテナ 13-1〜13- Mは送信信号を 送信する (ステップ S14)。これにより、 Nユーザ各々に割り当てる無線リソース量とそ の配置および、ビームフォーミングの適用 ·非適用を効果的に決定できる。
[0022] 次に、本発明の無線通信システムにおける第 2の実施の形態について図面を用い て詳細に説明する。図 3は第 2の実施の形態の無線通信システムの構成を示すプロ ック図である。
[0023] 第 2の実施の形態は、送信装置 1の代わりに送信装置 3を配置した以外は、本発明 の最良の実施の形態による無線通信システムの構成と同様の構成となっている。
[0024] 図 3を参照すると、第 2の実施の形態における送信装置 3は、デュプレクサ 14-1〜1 4-Mと、送信信号生成装置 11と、送信信号制御装置 31と、記録媒体 32を備えてい る。送信信号制御装置 31は、無線リソース量制御装置 33と、送信モード制御装置 3 4と、無線リソース配置制御装置 35を備えている。
[0025] 図 4は第 2の実施の形態の無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
図 4に示す処理は送信装置 3が図 3に示す記録媒体 32に格納されたプログラムを実 行することで実現される。
[0026] 図 3、図 4を用いて第 2の実施の形態の無線通信システムについて説明する。
[0027] デュプレクサ 14-1〜14-Mとアンテナ 13-1〜13-Mは信号を受信する(ステップ S41) 。無線リソース量制御装置 33は、プロファイル情報を抽出して Nユーザ各々に割り当 てる無線リソース量を決定し、無線リソース量制御信号 Ra-ctrl(l)〜Ra-ctrl(N)を出力 する (ステップ S42)。次に、送信モード制御装置 34は、無線リソースが割り当てられ たユーザに対してビームフォーミングの適用.非適用を決定し、送信モード制御信号
M-ctrl(l)〜M-ctrl(N)を生成し、出力する(ステップ S43)。次に、無線リソース配置制 御装置 35は、送信モード制御信号と、無線リソース量制御信号を入力として、ビーム フォーミングが適用されるユーザの信号送信時刻力 ビームフォーミングが適用され な 、ユーザの信号送信時刻よりも早くなるように無線リソースの配置を決定し、無線リ ソース制御信号 R-ctrl(l)〜R-ctrl(N)を生成し、出力する(ステップ S44)。次に、送信 信号生成装置 11は、無線リソース制御信号と、送信モード制御信号に基づいて Nュ 一ザ各々に対して無線リソースの割り当てと、送信信号の生成を行う(ステップ S45) 。デュプレクサ 14-1〜14-Mと、アンテナ 13-1〜13-Mは送信信号を送信する(ステツ プ S46)。
[0028] このようにビームフォーミングを適用するユーザの送信時刻を早くすることで、ビー ムフォーミングに用いるチャネル情報と実際のチャネルに差が生じるのを抑えることが でき、当該ユーザの伝送特性劣化を防ぐことができる。
[0029] なお、本実施の形態では、無線リソース量制御装置 33と送信モード制御装置 34で それぞれ受信信号カゝらプロファイル情報を抽出したが、プロファイル抽出装置を設け てプロファイル抽出装置でプロファイル情報を抽出し、無線リソース量制御装置 33と 送信モード制御装置 34はプロファイル抽出装置力ものプロファイル情報を入力とす る構成も本実施の形態に含まれる。
[0030] 次に、本発明の無線通信システムにおける第 3の実施の形態について図面を参照 して詳細に説明する。図 5は第 3の実施の形態の無線通信システムの構成を示すブ ロック図である。第 3の実施の形態は、送信装置 1の代わりに送信装置 5を配置した 以外は、最良の実施の形態による無線通信システムの構成と同様の構成となってい る。
[0031] 図 5を参照すると第 3の実施の形態の無線通信システムにおける送信装置 5は、デ
ュプレクサ 14-1〜14-Mと、送信信号生成装置 11と、送信信号制御装置 51と、記録 媒体 52を備えている。送信信号制御装置 51は、仮送信モード制御装置 53と送信信 号制御装置 54を含む。
[0032] 図 6は第 3の実施の形態の無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
図 6に示す処理は送信装置 5が図 5に示す記録媒体 52に格納されたプログラムを実 行することで実現される。
[0033] 図 5、図 6を用いて第 3の実施の形態の無線通信システムについて説明する。
[0034] デュプレクサ 14-1〜14-Mとアンテナ 13-1〜13-Mは信号を受信する(ステップ S61) 。仮送信モード制御装置 53は、受信信号を入力として受信信号力 プロファイル情 報を抽出して全ユーザに対してビームフォーミングの適用 '非適用を仮決定し、仮送 信モード制御信号 Ma- ctrl(l)〜Ma- ctrl(N)を生成し、出力する(ステップ S62)。次に 、送信信号制御装置 54は、受信信号と仮送信モード制御信号を入力とし、受信信号 力 プロファイル情報を抽出し、 Nユーザ各々に割り当てる無線リソース量とその配置 および、ビームフォーミングの適用 ·非適用を決定して無線リソース制御信号 R-ctrl(l ;)〜 R- ctrl(N)と送信モード制御信号 M- ctrl(l)〜M- ctrl(N)を生成し、出力する(ステツ プ S63)。次に、送信信号生成装置 11は、無線リソース制御信号と送信モード制御 信号に基づいて送信データから送信信号を生成して出力する (ステップ S64)。デュ プレクサ 14-1〜14-Mと、アンテナ 13-1〜13-Mは送信信号を送信する(ステップ S65
) o
[0035] このように、全ユーザに対してビームフォーミングの適用.非適用を仮決定した後、 N ユーザ各々に割り当てる無線リソース量とその配置および、ビームフォーミングの適 用'非適用を決定することで、ビームフォーミングが割り当てられる可能性の高いユー ザに対して優先的に無線リソースを割り当てることができ、システムとして伝送特性に 優れたビームフォーミングを有効に利用できる。
[0036] なお、本実施の形態では、仮送信モード制御装置 53と送信信号制御装置 54でそ れぞれ受信信号カゝらプロファイル情報を抽出したが、プロファイル抽出装置を設けて プロファイル抽出装置でプロファイル情報を抽出し、仮送信モード制御装置 53と送 信信号制御装置 54が、プロファイル抽出装置からのプロファイル情報を入力とする
構成も本実施の形態に含まれる。
[0037] 以下、上記形態に係る発明を実施したときの具体例を説明することにする。
実施例 1
[0038] 図 7は本発明の第 1の実施例による送信装置の構成を示すブロック図である。
[0039] 本実施例では、 5ユーザとし、送信機は 2本のアンテナを備え、 TDMAによって 5Mb psの BPSK信号を用いて全体で 100Mbpsの送信を行うものとする。また、各ユーザは 受信装置 2に 2本のアンテナを備えるものとする。ただし、これらは説明のための仮定 であり、本発明の実施を制限するものではない。
[0040] 図 7を参照すると、本発明の第 1の実施例による送信装置 7は 2本のアンテナ 13- 1、 13-2と、送受信の切り替えを行う 2つのデュプレクサ 14-1、 14-2と、送信信号制御装 置 72と、送信信号生成装置 71と、記録媒体 77を備える。
[0041] 送信信号制御装置 72は、プロファイル情報抽出装置 73と、無線リソース量制御装 置 74と、送信モード制御装置 75と、無線リソース配置制御装置 76を備える。
[0042] アンテナ 13-1、 13-2と、デュプレクサ 14-1、 14-2は、 5ユーザからの信号を受信する 。送信信号制御装置 72は、受信信号を入力として 5ユーザ各々に割り当てる無線リソ ース量とその配置および、 5ユーザ各々に対するビームフォーミングの適用'非適用 を決定して無線リソース制御信号 R-ctrl (l)〜R-ctrl(5)と、送信モード制御信号 M- ctr 1(1)〜(5)を出力する。送信信号生成装置 71は、 5ユーザの送信データ din(l)〜din(5) と、無線リソース制御信号 R- ctrl(l)〜R- ctrl(5)と、送信モード制御信号 M- ctrl(l)〜(5) を入力として各ユーザへの無線リソースの割り当てと送信信号の生成を行 、、送信信 号 s(l)、 s(2)を出力する。
[0043] 次に、送信信号制御装置 72について詳細に説明する。
プロファイル情報抽出装置 73は、受信信号から 5ユーザのプロファイル情報 p(l)〜 p(5)を抽出する。ここで、 p(k)は第 kユーザのプロファイル情報をあらわし、各ユーザの 所要レートとチャネル変動の速さをあらわす情報であるとする。いま、第 1ユーザ〜第 5ユーザのプロファイル情報は、 p(l)=[50Mbps、 2Hz]、 p(2)=[40Mbps、 10Hz]、 p(3)=[3 0Mbps, 10Hz]、 p(4)=[20Mbps、 3Hz]、 p(5)=[10Mbps、 5Hz]であるとする。
[0044] 無線リソース量制御装置 76は、所要レートの高いユーザに優先的に無線リソースを
割り当てる。この結果、第 1ユーザに 50Mbps、第 2ユーザに 40Mbps、第 3ユーザ、第 4 ユーザには 0Mbps、第 5ユーザに 10Mbpsが割り当てられ、無線リソース量制御信号を Ra— ctrl(l)=[50Mbps]、 Ra— ctrl(2)=[40Mbps]、 Ra— ctrl(3)=[0]、 Ra— ctrl(4)=[0]、 Ra— ctrl(5 )=[10Mbps]と生成する。送信モード制御装置 75は、プロファイル情報と無線リソース 量制御信号を入力として各ユーザに対するビームフォーミングの適用 ·非適用を決定 する。送信モード制御装置 75は、チャネル変動の速さが 5Hz以下であるユーザにビ ームフォーミングを適用し、 5Hzを上回るユーザにはビームフォーミングを適用しない 。この結果、送信モード制御信号は、 M- ctrl(l)=[BF]、 M- ctrl(2)=[N- BF]、 M- ctrl(3)=[ N-BF]、 M-ctrl(4)=[BF]、 M- ctrl(5)=[BF]となる。無線リソース配置制御装置 75は、無 線リソース量制御信号と送信モード制御信号を入力として、ビームフォーミングを適 用した第 1、第 5ユーザの送信時刻がビームフォーミングを適用していない第 2ユー ザの送信時刻よりも早くなりかつ、ビームフォーミングを適用した中でもチャネル変動 の速い第 5ユーザの送信時刻が第 1ユーザよりも早くなるように、無線リソースの配置 を決定し無線リソース制御信号を生成する。この結果、無線リソース制御信号は、 R-c trl(l)=[50Mbps,#2]、 R— ctrl(2)=[40Mbps,#3]、 R— ctrl(3)=[0, 0]、 R-ctrl(4)=[0, 0]、 R-ctr l(5)=[10Mbps, #1]となる。ここで、 #kは送信時刻の順を表し、 #1のユーザの送信信号 が最も早 、時刻に送信される。
送信信号生成装置 71は、無線リソース制御信号と送信モード制御信号と送信デー タを入力として、無線リソースが割り当てられた第 1、第 2、第 5ユーザの送信信号を生 成する。送信時刻に従って、第 5ユーザから処理をおこなう。第 5ユーザに割り当てら れた無線リソースは 10Mbpsであるため、 5Mbpsの BPSKシンボル 2つを生成すればよ い。ここでは、生成された BPSKシンボルを d5-l、 d5-2とする。次に、第 5ユーザのチヤ ネル情報力 生成されるチャネル行列 H(5)を用いて特異値分解を行う。これは、 H(5) =U(5)D(5)VH(5)と書ける。次に、 V(5)行列と時系列信号を用いてビームフォーミングを 行い、送信信号を生成する。今、 V(5)行列は 2 X 2の行列であり、その要素^ v5-l l、 V 5-12、 v5- 21、 v5- 22とする。このとき、ビームフォーミングにより送信信号 s(l)、 s(2)の 時系列を、 s(l)-l=v5-l ld5-l+v5-12d5-2、 s(2)-l=v5-21d5-l+v5-22d5-2と生成する
[0046] 次に、第 1ユーザに対する送信信号を第 5ユーザと同様にビームフォーミングにより 生成する。第 1ユーザに割り当てられた無線リソースは 50Mbpsであるため、 5Mbpsの B PSKシンボルを 10個生成すればよい。得られた BPSKシンボルを dl- 1、 dl-2、 dl-3、 · · ·、 cQ-10とする。次に、第 5ユーザの場合と同様に、第 1ユーザのチャネル行列 H(l) を特異値分解して得られる V(l)行列を用いて、送信信号 s(l)-2、 s(2)-2〜s(l)-6、 s(2) - 6を s(l)- 2=vl- 1 ldl- 1+vl- 12dl- 2、 s(2)- 2=vl- 21dl- 1+vl- 22dl- 2、 s(l)- 3=vl- 1 ldl - 3+vl- 13dl- 4、 s(2)-3=vl-21dl-3+vl-22dl-4, · · ·、 s(l)- 6=vl- l ldl- 9+vl- 12dl- 10 、 s(2)- 6=vl- 21dl- 9+vl- 22dl- 10と生成する。
[0047] 次に、第 2ユーザは、ビームフォーミングが適用されていないため、ビームフォーミン グを適用せずに送信信号を生成する。第 2ユーザに割り当てられた無線リソースは 40 Mbpsであるため、 8個の BPSKシンボル d2-l、 d2_2、 · · ·、 d2_8が生成される。これを用 い、送信信号 s(l)— 7、 s(2)— 7〜s(l)— 10、 s(2)— 10を s(l)— 7=d2— 1、 s(2)— 7=d2— 2、 s(l)— 8=d
2- 3、 s(2)-8=d2-4、 · · ·、 s(l)-10=d2-7、 s(2)-10=d2-8として生成する。送信信号生成 装置 71は、送信信号 s(l)- l〜s(l)- 10と、 s(2)- l〜s(2)- 10をそれぞれアンテナ 13-1、 1
3- 2に出力する。
[0048] 図 8は、本発明の第 1の実施例による送信装置 1の送信処理を示すフローチャート である。図 7、 8を参照して、本発明の第 1の実施例による送信処理について説明する 。なお、図 8に示す処理は送信装置 7が図 7の記録媒体 79のプログラムを実行するこ とで実現される。
[0049] 2本のアンテナ 13-1、 13-2は受信装置からの信号を受信する(ステップ S81)。プロ ファイル情報抽出装置 73は、 5ユーザのプロファイル情報を抽出してプロファイル情 報 p(l)〜p(5)を生成し、出力する (ステップ S82)。無線リソース量制御装置 74は、所 要レートの高いユーザを優先し、全体の送信レートが 100Mbps以下となるように第 1ュ 一ザに 50Mbps、第 2ユーザに 40Mbps、第 5ユーザに 10Mbpsを割り当て、第 3ユーザ 、第 4ユーザに割り当てる無線リソースを 0とし、この結果を無線リソース量制御信号 R - ctrl(l)〜R-ctrl(5)として出力する (ステップ S83)。送信モード制御装置 75は、各ュ 一ザに対するビームフォーミングの適用 ·非適用を決定し、チャネル変動の速さが 5H z以下のユーザすなわち、第 1、第 3、第 4、第 5ユーザに対してビームフォーミングを
適用する。この結果を送信モード制御信号として出力する (ステップ S84)。無線リソ ース配置制御装置 76は、無線リソースが割り当てられた第 1、第 2、第 5ユーザのうち 、ビームフォーミングが適用された第 1、第 5ユーザの送信時刻が、ビームフォーミン グが非適用の第 2ユーザよりも早くなり、かつ、ビームフォーミングを適用したユーザ の間で、チャネル変動の速いユーザの送信時刻がより早くなるように制御する。この 結果、第 5ユーザ、第 1ユーザ、第 2ユーザの順に送信するように無線リソース制御信 号を生成する (ステップ S85)。送信信号生成装置 71では、無線リソース制御信号と 、送信モード制御信号を入力として、無線リソースが割り当てられた第 1、第 2、第 5ュ 一ザの送信データ力 無線リソース制御信号と送信モード制御信号に従って送信信 号を生成し、出力する(ステップ S86)。デュプレクサ 14-1、 14-2と、アンテナ 13_1と 13 -2は送信信号を送信する (ステップ S87)。
[0050] 本実施例に示したように、より高い伝送レートが必要なユーザに対してより多くの割 り当てるとともに、チャネル変動に応じてビームフォーミングの適用 '非適用と送信順 位を決定することで、各ユーザに対して効果的なリソース配分と送信モードの決定が 実現できる。
[0051] 本実施例では、プロファイル情報として所要の伝送レートとチャネル変動の速さを 用いているが、これは説明のための仮定であり、本発明の実施を制限するものではな い。また、ビームフォーミングの適用'非適用の例として特異値分解を用いたビームフ ォーミングと空間多重を用いたが、これも説明のための仮定であり、本発明の実施を 制限するものではない。
実施例 2
[0052] 図 9は本発明の第 2の実施例による送信装置の構成を示すブロック図である。
[0053] 本実施例では、 5ユーザとし、送信機は 2本のアンテナを備え、 1サブキャリアで 1Mb psの伝送ができるサブキャリア 50の OFDMを用いるものとする。
[0054] 図 9を参照すると、本発明の第 2の実施例による送信装置 9は 2本のアンテナ 13-1、
13-2と、送受信の切り替えを行う 2つのデュプレクサ 14-1、 14-2と、送信信号生成装 置 71と、送信信号制御装置 92を備える。
[0055] 送信信号制御装置 92は、プロファイル情報抽出装置 73と、仮送信モード制御装置
93と、無線リソース制御装置 94と、送信モード制御装置 95を備える。
[0056] 本発明の第 2の実施例は、送信信号制御装置 92の構成および動作と、送信信号 生成装置 71の動作が第 1の実施例と異なるため、この部分について詳細に説明する
[0057] V、ま、プロファイル情報は各ユーザの所要レート、チャネル変動の速さ、チャネル情 報のフィードバックに必要な逆回線の無線リソース量であるとし、 p(l)=[50Mbps、 10Hz 、 512kbps]ゝ p(2)=[40Mbpsゝ 30Hzゝ 512kbps]ゝ p(3)=[30Mbpsゝ 6Hzゝ 512kbps]ゝ p(4)=[2 0Mbps, 4Hz、 256kbps], p(5)=[10Mbps、 2Hz、 256kbps]であるとする。
[0058] 仮送信モード制御装置 93では、プロファイル情報を入力とし、チャネル変動の速さ に基づいてビームフォーミングの適用'非適用を仮決定する。ビームフォーミングを適 用する基準が、 12Hz以下のチャネル変動であるとすると、第 2ユーザ以外の全てのュ 一ザにビームフォーミングが適用され、仮送信モード制御信号は、 Ma-ctrl(l)=[BF]、 Ma— ctrl(2)=[N— BF]、 Ma— ctrl(3)=[BF]、 Ma— ctrl(4)=[BF]、 Ma— ctrl(5)=[BF]となる。
[0059] 無線リソース制御装置 94はプロファイル情報と仮送信モード制御装置 93から各ュ 一ザに割り当てる無線リソース量とその配置を決定する。無線リソース制御装置 94は 、ビームフォーミングが適用できるユーザを優先し、特に所要レートの高いユーザに 優先的に無線リソースを割り当てる。この結果、第 1ユーザには 50Mbpsが、第 3ユー ザには 30Mbpsが、第 4ユーザには 20Mbpsが割り当てられる。従って、無線リソース制 御信号は、 R— ctrl(l)=[50Mbps]、 R— ctrl(2)=[0]、 R— ctrl(3)=[30Mbps]、 R-ctrl(4)=[20Mb ps]、 R-ctrl(5)=[0]となる。次に、送信モード制御装置 95は、無線リソース制御信号と プロファイル情報を入力として、各ユーザに対するビームフォーミングの適用'非適用 を 2次決定する。いま、仮送信モード制御装置 93で決定された適用,非適用の結果 をそのまま用いるとすると、第 2ユーザを除くすべてのユーザにビームフォーミングが 適用され、送信モード制御信号は、 M- ctrl(l)=[BF]、 M- ctrl(2)=[N- BF]、 M- ctrl(3)=[B F]、 M— ctrl(4)=[BF]、 M— ctrl(5)=[BF]となる。
[0060] 送信信号生成装置 71は、各ユーザの送信データと、無線リソース制御信号と、送 信モード制御信号を入力として送信信号を生成する。送信信号生成装置 71は、 2つ の OFDMシンボルを用意し、第 1ユーザに対しては 25ずつ、第 3ユーザに対しては 1
5ずつ、第 4ユーザに対しては 10ずつのサブキャリアを割り当てる。すなわち、一方の OFDM信号に対しては、 l)=din(l)- 1、 2)=din(l)- 3、 · ··、 25)=din(l)- 49、 K26)=din(3 )-1、 27)=din(3)- 3、…ゝ 40)=din(3)- 29、 41)=din(4)-1、 42)=din(4)-3、…ゝ K50)=din (4)-19と割り当て、もう一方の OFDM信号に対しては g(l)=din(l)-2、 g(2)=din(l)-4、… 、 g(25)=din(l)— 50、 g(26)=din(3)— 2、 g(27)=din(3)— 4、…ゝ g(40)=din(3)— 30、 g(41)=din(4) -2、 g(42)=din(4)- 4、 · ··、 g(50)=din(4)- 20と割り当てる。ここで、 k)、 g(k)は 2つの OFD Mの k番目のサブキャリアをあらわす。
[0061] 次に、第 1、第 3、第 4ユーザのチャネル行列を用いてビームフォーミングを行う。第 1ユーザの第 kサブキャリアに対応するチャネル行列を特異値分解した結果を H(l, k) =U(1, k)D(l, k)VH(l, k)とする。第 1ユーザは第 1サブキャリア力も第 25サブキャリアを 用いているため 2つの OFDMシンボルを用い s(l,l)=v(l,l)- l l l)+v(l,l)- 12g(l)、 s(2,
1) =v(l , l)-2 lKl)+v(l , 1)- 22g(l)、 s(l,2)=v(l,2)-l ll(2)+v(l,2)-12g(2),s(2,2)=v(l,2)-2 lK
2) +v(l ,2)— 2 lg(2)、 · · ·、 s(l,25)=v(l,25)-l ll(25)+v(l,25)-12g(25),s(2,25)=v(l,25)-211(2 5)+v(l,25)-21g(25)とビームフォーミングする。ここで、 s(l,k)、 s(2,k)はアンテナ 1、 2か ら送信される OFDM信号の第 kサブキャリアを、 v(l, k)-ijは、 v(l, k)の i行 j列成分をあ らわす。
[0062] 次に、第 3ユーザは第 26サブキャリア力も第 40サブキャリアを用いているため、同 様にして、 s(l,26)=v(3,26)- ll 26)+v(3,26)- 12g(26)、 s(2,26)=v(3,26)-211(26)+v(3,26) -22g(26)、 s(l,27)=v(3,27)-llK27)+v(3,27)-12g(27),s(2,27)=v(3,27)-2lK27)+v(3,27)- 21g(27)、 · · ·、 s(l,40)=v(3,40)-llK40)+v(3,40)-12g(40),s(2,40)=v(3,40)-2lK40)+v(3,40 )-21g(40)とビームフォーミングする。
[0063] 最後に、第 4ユーザについても同様に、 s(l,41)=v(4,41)- ll 41)+v(4,41)- 12g(41)、 s( 2,41)=v(4,41)-2lK41)+v(4,41)-22g(41), s(l,42)=v(4,42)-l ll(42)+v(4,42)-12g(42),s(2, 42)=v(4,42)-2lK42)+v(4,42)-21g(42),…ゝ s(l,50)=v(4,50)-l ll(50)+v(4,50)-12g(50), s (2,50)=v(4, 50)- 2l 50)+v(4,50)- 21g(50)と、ビームフォーミングする。このようにして 2 つの OFDM信号に対してリソース割り当てとビームフォーミングを適用した後、離散フ 一リエ変換により、時間信号に変換して出力する。
[0064] 本実施例で示したように、各ユーザに対してビームフォーミングの適用 ·非適用を仮
決定することで、伝送特性の優れるビームフォーミングが適用できるユーザに優先的 に無線リソースを割り当て、効率の高 、システムが実現できる。
[0065] ところで、本実施例では送信モード制御装置 95では、仮送信モード制御装置 93で の結果をそのまま用いた。しかし、ビームフォーミングの適用'非適用を決定する際に プロファイル情報を利用してより効率的なシステムを実現することもできる。例えば、 本実施例のようにプロファイル情報としてチャネル情報のフィードバックに必要な逆回 線のリソースがわ力つている場合、これを考慮することで、特に当該回線と逆回線を 共有する無線通信システムにお 、て、そのバランスを取ることができる。
[0066] 具体的には、逆回線で必要な無線リソース量を 1.2Mbpsに制限する。このとき、第 1 ユーザ、第 3ユーザ、第 4ユーザはそれぞれ 512kbps、 512kbps, 256kbpsが逆回線で 必要であるため、いずれ力 2ユーザのみにビームフォーミングが適用されることになる 。この際、所要レートが高い第 1、第 3ユーザにビームフォーミングを適用し、第 4ユー ザにはビームフォーミングを適用しない。その結果、送信モード制御信号は、 M-ctrl( 1)=[BF]ゝ M— ctrl(2)=[N— BF]、 M— ctrl(3)=[BF]、 M— ctrl(4)=[N— BF]、 M— ctrl(5)=[BF]とな る。これにより、チャネル情報のフィードバックに必要な逆回線の無線リソースを抑え ることがでさる。
[0067] このとき、送信信号生成装置 71では、第 4ユーザに関してはチャネル行列の特異 値分解を行わない。従って、送信信号の生成に際し、第 41〜50サブキャリアは s(l,4 1)= 41)、 s(2,41)=g(41)、 s(l,42)=K42),s(2,42)= g(42)、 · ··、 s(l, 50)= K50), s(2,50)= g(5 0)となる。
[0068] また、本実施例では仮送信モード制御装置 93にお 、て、チャネル変動の速さのみ を用いてビームフォーミングの適用'非適用を仮決定した。しかし、より多くのプロファ ィル情報を用いることによってあら力じめ効果的に仮決定をすることもできる。例えば 、 3つのプロファイル情報に対し、チャネル変動が 10Hz以下あるいは、所要レートが 2 0Mbps以上と基準を決めることで、より多くのユーザに対してビームフォーミングを適 用する可能性が残ることになる。逆に、チャネル変動の速さ 10Hz以下かつ、所要レー トが 20Mbps以上とすることで、ビームフォーミング適用時の通信成功確率が高ぐそ の効果が大きいユーザにあら力じめ限定することができる。
実施例 3
[0069] 図 10は本発明の第 3の実施例による送信信号制御装置 72の処理を示すフローチ ヤートである。
[0070] 本実施例では、第 1の実施例と同じ送信装置であるが、送信信号制御装置 72の動 作が異なる。従って、この部分について詳細に説明する。ただし、本実施例では全体 で 150Mbpsの送信を行うものとするが、送信信号生成装置 71における動作は本質的 には変わらないため説明は省略する。
[0071] 図 10を参照すると、送信信号制御装置 72に備えられたプロファイル情報抽出装置 73は受信信号力もプロファイル情報を抽出する (ステップ S 101)。ここでは、プロファ ィル情報は所要レート、チャネル変動の速さ、第 2プロファイル情報のフィードバック に必要な無線リソース量で、それぞれ p(l)=[45Mbps、 2Hz、 512kbps], p(2)=[45Mbps、 5Hzゝ 256kbps]ゝ p(3)=[30Mbpsゝ 2Hzゝ 128kbps]ゝ p(4)=[15Mbpsゝ 3Hzゝ 128kbps]ゝ p(5) =[15Mbps、 10Hz、 128kbps]であるとする。
[0072] 無線リソース量制御装置 74では、プロファイル情報を入力として各ユーザに割り当 てる無線リソース量を決定し、無線リソース量制御信号を生成する (ステップ S 102)。 全体の無線リソース量 150Mbpsに対し、ユーザの所要レートの和も 150Mbpsであるた め、各ユーザに所要レートと等しい無線リソース量を割り当て、無線リソース量制御信 号を Ra— ctrl(l)=[45Mbps}ゝ Ra— ctrl(2)=[45Mbps]、 Ra— ctrl(3)=[30Mbps]ゝ Ra— ctrl(4)=[l 5Mbps]、 Ra— ctrl(5)=[ 15Mbps]と出力する。
[0073] 送信モード制御装置 75では、プロファイル情報と無線リソース量制御信号を入力と して各ユーザに対してビームフォーミングの適用.非適用を決定する。このとき、送信 モード制御装置 75は、ビームフォーミングを適用するユーザを 1次決定、 2次決定に 分けて決定する。また、 1次決定終了時までに新たなプロファイル情報は得られない ものとする。従って、第 1プロファイル情報は所要レート、チャネル変動の速さ、第 2プ 口ファイル情報のフィードバックに必要な帯域となる。
[0074] 送信モード制御装置 75では、チャネル変動の速さが 5Hz以下で、第 2プロファイル 情報のフィードバックに必要な帯域が 256kbps以下のユーザを 1次決定ユーザとして 決める (ステップ S103)。この結果、第 2、第 3、第 4ユーザが 1次決定ユーザとなる。
これにより、逆回線の無線リソースを多くは消費せずにビームフォーミングを適用でき るユーザが選択される。
[0075] 次に、これらのユーザに第 2プロファイル情報を要求し、第 2、第 3、第 4ユーザのみ 力 第 2プロファイル情報としてそれぞれのチャネル情報をフィードバックする (ステツ プ S104)。フィードバックされたチャネル情報を用い、送信モード制御装置 75では各 ユーザのチャネル情報を特異値分解し、特異値の和を求める。いま、各ユーザは 2つ の特異値をもち、それぞれ D(2)=[25,5]、 D(3)=[50,10]、 D(4)=[20,0]であるとする。従つ て、第 kユーザの 2つの特異値の和を S(k)とおくと、 S(2)=30、 S(3)=60、 S(4)=20となる。 次に、特異値の和と所要レートから 1Mbpsの伝送に利用できる平均特異値を求める。 この結果を qとおくと、 q(2)=0.667、 q(3)=2、 q(4)=1.33となる(ステップ S105)。
[0076] 次に、 qが大きいユーザに優先順位を設けてソートする(ステップ S 106)。これは、 ビームフォーミングを適用した際の伝送成功確率がなるべく大きくするようにするため である。ソート結果に対し、上位 2ユーザにビームフォーミングを割り当てる (ステップ S107)。この結果、第 3、第 4ユーザに対してはビームフォーミングが適用、第 1、第 2 、第 5ユーザに対してはビームフォーミングが非適用と 2次決定される。従って、送信 モード制御信号は、 M- ctrl(l)=[N- BF]、 M- ctrl(2)=[N- BF]、 M- ctrl(3)=[BF]、 M- ctrl(4 )=[BF]、 M- ctrl(5)=[N- BF]となる。また、無線リソース配置制御装置 76は、送信モード 制御信号と無線リソース量制御信号を入力とし、実施例 1と同様に、ビームフォーミン グを適用するユーザの送信時刻が早ぐかつ、よりチャネル変動の速いユーザが早く 送信されるように無線リソース制御信号を生成する (ステップ S 108)。これにより、 R-c trl(l)=[45Mbps,#3]、 R-ctrl(2)=[45Mbps, #4]、 R-ctrl(3)=[30Mbps, #2]、 R-ctrl(4)=[15 Mbps, #1]、 R-ctrl(5)=[15Mbps, #5]となる。
[0077] 本実施例で示したように、ビームフォーミングの適用 ·非適用を決定する際に 1次決 定と 2次決定に分け、第 2プロファイル情報の必要な 1次決定ユーザにのみ情報のフ イードバックを要求することで、逆回線の無線リソースを有効に利用してビームフォー ミングの適用 ·非適用を決定できる。
実施例 4
[0078] 次に、第 4の実施例について詳細に説明する。本実施例は、第 3の実施例と送信モ
ード制御装置 75の動作が異なるため、この部分について詳細に説明する。
[0079] 図 11は本発明の第 4の実施例における送信モード制御装置 75の動作を説明する ためのフローチャートである。ここでは、プロファイル情報は、各ユーザのチャネル情 報と、所要レートであるとし、 p(l)=[H(l)、 50Mbps], p(2)=[H(2)、 40Mbps], p(3)=[H(3)、 30Mbps], p(4)=[H(4)、 20Mbps], p(5)=[H(5)、 10Mbps]とする。
[0080] 送信モード制御装置 75はプロファイル情報と無線リソース制御信号 Ra-ctrl(l)=[50 Mbps]、 Ra- ctrl(2)=[40Mbps]ゝ Ra- ctrl(3)=[30Mbps]、 Ra- ctrl(4)=[20Mbps]、 Ra- ctrl(5) =[10Mbps]とを入力とする(ステップ S 111)。
[0081] 次に、送信モード制御装置 75はビームフォーミングを適用しない場合の第 1の受信 品質を推定する (ステップ S 112)。
[0082] 送信モード制御装置 75では各ユーザのチャネル情報が得られて 、るため受信 SNR を推定することが可能である。送信装置 7で各ユーザの受信方式を ZFと仮定し、第 k ユーザの第 1、第 2の送信信号の受信 SNRを SNR(k)- 1、 SNR(k)- 2とすると、 SNR(k)- 1= ((HHH)_1)H-ll -Pt/s2, SNR(k)- 2=((HHH)— 22 'Pt/s2となる。ここで、 Hは第 kユーザの チャネル行列を、 Ptは送信信号の電力を s2は平均雑音電力をあらわす。いま、 Pt/s2 が一定であると仮定することで、((HHH)— -llあるいは、((HHH)— ^ を受信 SNRと考 えることができる。いま、 SNR(l)— 1=5、 SNR(l)— 2=5、 SNR(2)— 1=12、 SNR(2)— 2=8、 SNR(3 )-1=10、 SNR(3)- 2=20、 SNR(4)- 1=22、 SNR(4)-2 =18、 SNR(5)- 1=20、 SNR(5)- 2=30で あるとする。これより、 SNRの和として SNR(1)=10、 SNR(2)=20、 SNR(3)=30、 SNR(4)=40、 SNR(5)=50を得る。
[0083] 次に、 1Mbpsの伝送に必要な SNRを第 1の受信品質として求める。第 kユーザの第 1 受信品質を ul(k)とおくと、 u(l)=0.2、 u(2)=0.5、 u(3)=l、 u(4)=2、 u(5)=5となる。いま、 1M bpsの伝送に 1. 5の SNRが必要であると仮定すると、第 4、第 5ユーザはビームフォー ミングを適用しなくても所要の受信品質が得られていることがわかる。従って、第 4、第 5ユーザにはビームフォーミングの非適用と決定する(ステップ S 113)。
[0084] 次に、所要の第 1受信品質を満たさな力つた第 1、第 2、第 3ユーザに対して第 2受 信品質 u2(k)を求める。ここでは、第 3の実施例で用いた 1Mbpsの伝送に利用できる平 均特異値とし、第 2、第 3については、第 3の実施例と同じ値であるとする。第 1ユーザ
の 2つの固有値が D(l)=[25、 25]であるとすると、各ユーザに対して第 2受信品質は u2 (1)=1.11、 u2(2)=q(2)=0.667、 u2(3)=q(3)=2となる(ステップ S114)。
[0085] 次に、各ユーザに対し第 1受信品質と第 2受信品質を比較し、第 1受信品質が第 2 受信品質を上回る場合にはビームフォーミングの適用と決定し、そうでない場合には 非適用と決定する (ステップ S 115、 S116、 S117)。いま、全てのユーザに関して第 2受信品質が第 1受信品質を上回るため第 1、第 2、第 3ユーザに対してはビームフォ 一ミングの適用と決定する。従って、送信モード制御装置で決定される送信モード制 御信号は、 M— ctrl(l)=[BF]、 M— ctrl(2)=[BF]、 M— ctrl(3)=[BF]、 M— ctrl(4)=[N— BF]、 M— ctrl(5)=[N— BF]となる。
[0086] 本実施例に示したように、ビームフォーミングを適用せずに所要品質を超えるユー ザに対してあら力じめビームフォーミング非適用と決定することで、ビームフォーミング 非適用時に特性劣化の大きいユーザに対して効果的にビームフォーミングを割り当 てることができる。
[0087] なお、上述した形態は、本発明を実施するための最良の形態であるが、これに限定 する趣旨ではない。従って、本発明の要旨を変更しない範囲において、種々変形す ることが可能である。
図面の簡単な説明
[0088] [図 1]最良の実施の形態の無線通信システムの構成を説明するためのブロック図であ る。
[図 2]図 1の送信装置による送信処理を説明するためのフローチャートである。
[図 3]第 2の実施の形態の無線通信システムの構成を説明するためのブロック図であ る。
[図 4]図 3の送信装置による送信処理を説明するためのフローチャートである。
[図 5]第 3の実施の形態の無線通信システムの構成を説明するためのブロック図であ る。
[図 6]図 5の送信装置による送信処理を説明するためのフローチャートである。
[図 7]本発明の第 1の実施例の構成を説明するためのブロック図である。
[図 8]図 7の送信装置による送信処理を説明するためのフローチャートである。
[図 9]本発明の第 2の実施例の構成を説明するためのブロック図である。
[図 10]本発明の第 3の実施例の処理を説明するためのフローチャートである。
[図 11]本発明の第 4の実施例の処理を説明するためのフローチャートである。 符号の説明
1、 3、 5、 7、 9 送信装置
2 受信装置
11、 71 送信信号生成装置
12、 31、 51、 54、 72、 92 送信信号制御装置
13- 1〜13- M、 13- J アンテナ
14- 1〜14-M デュプレクサ
15、 32、 52、 77 記録媒体
33、 74 無線リソース量制御装置
34、 75 送信モード決定装置
35、 76 無線リソース配置決定装置
53 仮送信モード制御装置
73 プロファイル情報抽出装置
93 仮送信モード制御装置
94 無線リソース制御装置
95 送信モード制御装置