光学補償シート、偏光板および液晶表示装置
技術分野
[0001] 本発明は、光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置に関する。特に環状ォ レフイン系付加重合体を基体フィルムとして使用する光学補償シートに関する。 背景技術
[0002] 偏光板は通常、ヨウ素、もしくは二色性染料をポリビュルアルコールに配向吸着さ せた偏光子の両側に、保護フィルムとして、セルローストリアセテートを主成分とする フィルム貼り合わせることで製造されている。セルローストリアセテートは、強靭性、難 燃性、光学的等方性が高い(レターデーシヨンが低い)などの特徴があり、上述の偏 光板用保護フィルムとして広く使用されている。液晶表示装置は、偏光板と液晶セル 力 構成されている。現在、液晶表示装置の主流である TNモードの TFT液晶表示 装置においては、特開平 8— 50206号公報に記載のように、光学補償シートを偏光 板と液晶セルの間に挿入することにより、表示品位の高い液晶表示装置が実現され ている。し力し、セルローストリアセテートは水分の吸収や透過が多ぐそのため光学 補償性能が変化したり、偏光子が劣化しやすいという問題点があった。また TN液晶 表示装置では電源オン後経時により画面 4辺に光漏れを生じたり、また VAモード液 晶表示装置では電源オン後経時により 4隅に光漏れを生じるという問題があった。 一方、環状ポリオレフインフィルムはセルローストリアセテートフィルムの吸湿性や透 湿性を改良でき、環境温湿度変化に対する光学特性変化が小さ 、フィルムとして注 目され、熱溶融製膜および溶液製膜による偏光板用および液晶表示用フィルムとし ての開発が行われている。特許文献 1には環状ォレフィン系開環重合体よりなる基材 フィルム上に光学異方性層を積層した光学補償シートが開示されている。しかし開環 重合系のポリオレフインフィルムは、延伸しない場合には面内レターデーシヨン、膜厚 方向レターデーシヨンがともに低く光学等方的であり、また延伸すると面内レターデー シヨン、膜厚方向レターデーシヨンがともに上昇するという性質を有しており、単純な 光学補償ができるのみであった。このため、光学異方性層と組み合わせて光学補償
シートを作製したとしても、その光学補償シートの面内レターデーンヨン、膜厚方向レ ターデーシヨンの光学特性の設計の自由度は限られたものであり、 TN液晶表示装 置や OCB液晶表示装置に使用して視野角を改善する用途に適したものはな力つた 特許文献 1:特開 2004— 246338号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] 本発明の目的は、環境温湿度変化に対して光学特性変化が少なぐかつ面内レタ 一デーシヨン Reおよび膜厚方向レターデーシヨン Rthの設計の自由度の高い光学補 償シートを提供することである。またこのような優れた光学補償シートを有する偏光板 および液晶表示装置を提供することである。
課題を解決するための手段
[0004] 本発明者らは鋭意検討した結果、光学補償シートの基体フィルムの構成ポリマーと して環状ォレフィン系付加重合体を用いることで、面内レターデーシヨンと膜厚方向 レターデーシヨンを自由にコントロールでき、様々なモードの液晶表示装置に用いる のに適した光学補償シートが設計可能となることを見出した。環状ォレフィン系付カロ 重合体を含有する基体フィルムにお ヽて、環状ォレフィン系付加重合体の構造を変 更したり、基体フィルムを延伸することで、光学等方的な基体フィルムや、光学異方 性の大き 、基体フィルムなど様々な光学特性の基体フィルムを得ることができる。特 に、これまで作製が困難であった面内レターデーシヨンに対して相対的に膜厚方向 レターデーシヨンが大きい基体フィルムを得ることが可能になり、光学異方性層と組み 合わせた光学補償シートの光学特性の設計の自由度を著しく高めることに成功した
[0005] 本発明は、以下のとおりである。
(1)環状ォレフィン系付加重合体を含有する基体フィルム上に、光学異方性層を積 層したことを特徴とする光学補償シート。
(2)前記環状ォレフィン系付加重合体が、一般式 (I)で表される少なくとも 1種の繰 返し単位および一般式 (II)で表される少なくとも 1種の環状繰返し単位力 なる共重
合体であることを特徴とする前記(1)に記載の光学補償シート。
[0006] [化 3]
-般式 ( I )
Rxcll
1一 1
RYCII
[0007] [化 4]
[0008] 式中、 mは 0から 4の整数を表す。 1^〜1^は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水 素基、 ^〜 、 Y Y2は水素原子、炭素数 1〜: L0の炭化水素基、ハロゲン原子、ハ ロゲン原子で置換された炭素数 1〜10の炭化水素基、 (CH ) COORu、 一 (CH )
2 n 2 n
OOCR 、— (CH ) NCO、— (CH ) NO、— (CH ) CN、— (CH ) CONR R 、— (
2 n 2 n 2 2 n 2 n
CH ) NR13R"、— (CH ) OCOZ、— (CH ) OZ、— (CH ) W、または X1と Y1あるいは
2 η 2 η 2 η 2 η
X2と Υ2力も構成された (—CO) 0、 (-CO) NR15を示す。なお、 R11, R12, R13, R14, R1
2 2
5は炭素数 1〜20の炭化水素基、 Zは炭化水素基 ^またはハロゲンで置換された炭化 水素基、 Wは SiR16 D (R16は炭素数 1〜: L0の炭化水素基、 Dはハロゲン原子,
P 3-p
OCOR16または OR16、 pは 0〜3の整数を示す)、 nは 0〜10の整数を示す。
(3)前記環状ォレフィン系付加重合体力 一般式 (II)で表される 1種の環状繰返し 単位力もなる重合体、あるいは、一般式 (II)で表される少なくとも 2種の環状繰返し単 位力 なる共重合体であることを特徴とする前記(1)に記載の光学補償シート。
(4)前記光学補償シートの膜厚方向のレターデーシヨン Rthが下記式を満たすこと を特徴とする前記 (3)に記載の光学補償シート。
40nm≤Rth(630)≤300nm
ここで Rth( λ )は波長 λ nmで測定した Rthを表す。
(5)基体フィルム力 一次粒子径 lnmから 20 mまでの微粒子を、 0. 01力ら 0. 3 質量%の割合で含有することを特徴とする前記(1)〜 (4)の ヽずれかに記載の光学 補償シート。
(6)前記光学異方性層がディスコティック液晶層を含有することを特徴とする前記( 1)〜(5)の 、ずれかに記載の光学補償シート。
(7)前記光学異方性層が棒状液晶層を含有することを特徴とする前記(1)〜 (5)の いずれかに記載の光学補償シート。
(8)前記光学異方性層がポリマーフィルムを含有することを特徴とする前記(1)〜 (5)の 、ずれかに記載の光学補償シート。
(9)前記光学異方性層を形成するポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエ ステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールェ ーテルケトン力 なる群力 選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有することを 特徴とする請求項 8に記載の光学補償シート。
(10)前記環状ォレフィン付加重合体を含有する基体フィルムが、環状ォレフィン付 加重合体を 10〜35質量%含有し、かつ塩素系有機溶剤を主溶剤として含有する溶
液を出発原料として、順次、無端金属支持体上に流延する工程、残留揮発分が 5〜 60質量%になるまで乾燥する工程、該金属支持体から 0. 25NZcm以下の剥離抵 抗で剥離する工程、および、乾燥して巻き取る工程を経て製膜されたものであること を特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の光学補償シート。
(11)前記塩素系有機溶剤の 50質量%以上がジクロロメタンであり、且つ 20〜100 °Cで該環状ォレフィン付加重合体を溶解して、前記溶液とすることを特徴とする、 (1 0)に記載の光学補償シート。
(12)前記溶液中に、環状ォレフィン付加重合体の貧溶媒を該環状ォレフィン付加 重合体 100質量部に対して 3〜: L00質量部含有することを特徴とする、(10)〜(11) の!、ずれかに記載の光学補償シート。
( 13)前記貧溶媒が沸点 120°C以下のアルコール類であることを特徴とする、 ( 12) に記載の光学補償シート。
(14)前記環状ォレフィン付加重合体を含有する基体フィルムが界面活性剤を 0. 0 5〜3質量%含有することを特徴とする(1)〜(9)の 、ずれかに記載の光学補償シー
(15)偏光子と、その両側に配置された 2枚の保護膜からなる偏光板において、前 記保護膜のうちの少なくとも 1枚が、前記(1)〜(14)のいずれかに記載の光学補償 シートであることを特徴とする偏光板。
( 16)前記( 15)に記載の偏光板を少なくとも 1枚使用したことを特徴とする液晶表 示装置。
また、液晶表示装置としては以下の形態が好ましい。
( 17)液晶表示装置に使用される偏光板を構成する保護膜の少なくとも 1枚が、面 内レターデーシヨン Re (630)が 15nm以下であり、膜厚方向のレターデーシヨン Rth (630)が 40nm以上 120nm以下であり、且つディスコティック液晶層が積層されてい る、 TNモードの前記(16)記載の液晶表示装置。
(18)液晶表示装置に使用される偏光板を構成する保護膜の少なくとも 1枚が、面 内レターデーシヨン Re (630)が 15nm以下であり、膜厚方向のレターデーシヨン Rth (630)が 120nm以上 300nm以下であり、且つ棒状液晶層が積層されている、 VA
モードの前記(16)の VA液晶表示装置。
(19)液晶表示装置に使用される偏光板を構成する保護膜の少なくとも 1枚が、面 内レターデーシヨン Re (630)が 30nm以上 70以下であり、膜厚方向のレターデーシ ヨン Rth (630)が 120nm以上 300nm以下であり、且つディスコティック液晶層が積 層されている、 OCBモードの前記(16)の OCB液晶表示装置。
ここで Re (え)、 Rth( λ )は波長 λ nmで測定した Rthを表す。
発明の効果
[0011] 本発明により、環境温湿度変化に対して光学特性変化が少なぐかつ面内レター デーシヨン Reおよび膜厚方向のレターデーシヨン Rthの設計の自由度の高い光学補 償シートが得られた。またこのような優れた光学補償シートを有する偏光板および液 晶表示装置が得られた。
本発明によれば、環状ォレフィン系付加重合体を含有する基体フィルムの光学特 性を調節することで、 TN、 VA、 OCBおよび IPSといった様々なモードの液晶表示装 置に対応した光学補償機能を有する光学補償シートや偏光板を作製できる。
また本発明の液晶表示装置は、経時による光漏れが生じな 、かあるいは少な!/、。 発明を実施するための最良の形態
[0012] 以下、本発明を詳細に説明する。
[環状ォレフィン系付加重合体基体フィルム]
(環状ォレフィン系付加重合体)
環状ォレフィン系付加重合体 (以下、環状ポリオレフインとも称する)の例には、 (1) ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状ォレフィンの重合体、(3)環状共役ジェンの 重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、および(1)〜(4)の水素化物などが挙 げられる。これらの中でも、光学特性、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボル ネン系重合体およびその水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体およびその水素 化物などが好ましい。
[0013] 本発明に好ましい重合体は、下記一般式 (I)で表される少なくとも 1種の繰返し単 位および一般式 (Π)で表される少なくとも 1種の環状繰返し単位カゝらなるノルボルネン 系付加 (共)重合体である。
[0014] [化 5] 般式 ( I )
Rxcll
1一 1
RYCII
1
[0015] [化 6]
般式 (I I )
[0016] 式中、 mは 0から 4の整数を表す。 1^〜1^は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水 素基、 ^〜 、 Y Y2は水素原子、炭素数 1〜: LOの炭化水素基、ハロゲン原子、ハ ロゲン原子で置換された炭素数 1〜10の炭化水素基、 (CH ) COORu、 一 (CH )
2 n 2 n
OOCR12、— (CH ) NCO、— (CH ) NO 、— (CH ) CN、— (CH ) CONR13R14、— (
2 n 2 n 2 2 n 2 n
CH ) NR13R14、— (CH ) OCOZ、— (CH ) OZ、— (CH ) W、または X1と Y1あるいは
2 η 2 η 2 η 2 η
X2と Υ2力ら構成された (一CO) 0、 (-CO) NR15を示す。なお、 R11, R12, R13, R14, R1
5は炭素数 1〜20の炭化水素基、 Zは炭化水素基 (好ましくは炭素数が 1〜10の炭化 水素基)、またはハロゲンで置換された炭化水素基 (好ましくは炭素数が 1〜10の炭 化水素基)、 Wは SiR16 D (R16は炭素数 1〜: LOの炭化水素基、 Dはハロゲン原子,
P 3-p
— OCOR16または— OR16、 pは 0〜3の整数を示す)、 nは 0〜10の整数を示す。
[0017] ノルボルネン系付カロ(共)重合体は、特開平 10— 7732号、特表 2002— 504184 号の各公報、あるいは、 WO2004Z070463A1号等に開示されている。ノルボルネ ン系多環状不飽和化合物同士を付加重合したり、ノルボルネン系多環状不飽和化 合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジェン;ェ チリデンノルボルネンのような非共役ジェン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル 酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビ- ル、塩ィ匕ビュルなどの化合物とを付加重合してつくられる。このノルボルネン系付加( 共)重合体は、三井ィ匕学株式会社よりアベルの商品名で発売されており、ガラス転移 温度(Tg)の異なる例えば APL8008T(Tg70°C)、APL6013T(Tgl25°C)あるい は APL6015T(Tgl45°C)などのグレードがある。またポリプラスチック株式会社から ίま TOPAS8007、同 6013、同 6015など力 Ferrania社力ら ίま Appear3000など のペレットが発売されて 、る。
[0018] ノルボルネン系付カ卩(共)重合体にお 、て、一般式 (I)で表される繰返し単位と、一 般式 (II)で表される環状繰返し単位との比率は、モル比(前者:後者)として、 0 : 100 〜90: 10、好ましくは 0: 100〜70: 30である。
さらに好ましくは、ノルボルネン系付加(共)重合体は、膜厚方向レターデーシヨンを 大きくするという理由から、一般式 (II)で表される 1種の環状繰返し単位力 なる重合 体、あるいは、一般式 (II)で表される少なくとも 2種の環状繰返し単位力 なる共重合 体であるのがよい。ノルボルネン系付加(共)重合体力 一般式 (II)で表される少なく とも 2種の環状繰返し単位力もなる共重合体である場合は、一方の置換基 X2または Z及び Y2が親水性ある 、は極性の大きなものであり、他方の置換基 X2または Z及び Y2が疎水性あるいは極性の小さなものであるのがよい。これにより、フィルムの親水 性や水透過性を制御できると 、う効果が奏される。
[0019] また本発明の環状ォレフィン系付加重合体の構造を変更したり、基体フィルムを延
伸することにより、光学等方的な基体フィルムや、光学異方性の大きい基体フィルム など様々な光学特性の基体フィルムを得ることができる。特に、これまで作製が困難 であった面内レターデーシヨンに対して相対的に膜厚方向レターデーシヨンが大きい 基体フィルムを得ることが可能になる。具体的には、前記のノルボルネン系付加(共) 重合体の構造の変更する場合は、一般式 (I)の繰返し単位成分の比率を少なくし、一 般式 (II)の繰返し単位成分の比率を多くすることにより行うのが好ましい。基体フィル ムを延伸するには、セルロースァシレートフィルムに適用される手法を利用することが でき、例えばテンター延伸が挙げられる。延伸倍率を適宜変更することにより、所望 の光学特性が得られる。
[0020] (添加剤)
本発明の環状ォレフィン系付加重合体溶液には、各調製工程において用途に応じ た種々の添加剤 (例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーシヨン (光学異方 性)調節剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは 固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるも のではない。例えば 20°C以下と 20°C以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣 化防止剤の混合などである。また、赤外吸収染料としては例えば特開平 2001— 19 4522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において 何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の工程として、添加剤を添加する 工程をカ卩えて行ってもよい。更にまた、各添加剤の添加量は機能が発現する限り〖こ おいて特に限定されない。また、環状ォレフィン系付加重合体を含有する基体フィル ム(以下、環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム、環状ポリオレフインとも称す る)が多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
[0021] (劣化防止剤)
本発明の環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムには公知の劣化 (酸化)防止 剤、例えば、 2, 6 ジ—tーブチル, 4 メチルフエノール、 4, 4,ーチォビス (6-t —ブチルー 3—メチルフエノール)、 1, 1,一ビス(4 ヒドロキシフエ-ル)シクロへキ サン、 2, 2,ーメチレンビス(4ーェチルー 6 t—ブチルフエノール)、 2, 5 ジー t— ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチルーテトラキス [3— (3, 5—ジ tーブチルー 4
ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネートなどのフエノール系あるいはヒドロキノン系酸化 防止剤を添加することができる。さらに、トリス (4—メトキシ一 3, 5—ジフエ-ル)ホスフ アイト、トリス(ノユルフェ-ル)ホスファイト、トリス(2, 4 ジー t ブチルフエ-ル)ホス ファイト、ビス(2, 6 ジ—tーブチルー 4 メチルフエ-ル)ペンタエリストールジホス ファイト、ビス(2, 4 ジ一 t—ブチルフエ-ル)ペンタエリスリトールジホスフアイトなど のリン系酸ィ匕防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、環状ォレフィン 系付加重合体 100質量部に対して、 0. 05〜5. 0質量部が好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明の環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムには、偏光板または液晶等 の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤として は、波長 370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点か ら、波長 400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に 好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフエノール系 化合物、ォキシベンゾフエノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸ェ ステル系化合物、ベンゾフエノン系化合物、シァノアクリレート系化合物、ニッケル錯 塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフ ノール系化合物の例としては、 2, 6— ジ tert ブチルー p クレゾール、ペンタエリスリチルーテトラキス〔3— (3, 5—ジー tert ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート〕、 N, N,一へキサメチレンビス (3, 5 ジ一 tert ブチル 4 ヒドロキシ一ヒドロシンナミド)、 1, 3, 5 トリメチルー 2, 4, 6 トリス(3, 5 ジ一 tert ブチル 4 ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス - (3, 5—ジ一 tert ブチル 4—ヒドロキシベンジル)一イソシァヌレイトなどが挙げ られる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、 2— (2' —ヒドロキシ一 5' —メチ ルフエ-ル)ベンゾトリァゾール、 2, 2—メチレンビス(4— (1, 1, 3, 3—テトラメチル ブチル)—6—(2H べンゾトリァゾールー 2 ィル)フエノール)、 (2, 4 ビス一(n ーォクチルチオ)ー6—(4ーヒドロキシ—3, 5 ジ—tert—ブチルァ-リノ) 1, 3, 5—トリアジン、トリエチレングリコール ビス〔3—(3— tert ブチルー 5—メチルー 4 —ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート〕、 N, N,一へキサメチレンビス(3, 5—ジ一 tert —ブチルー 4 ヒドロキシ一ヒドロシンナミド)、 1, 3, 5 トリメチル 2, 4, 6 トリス(
3, 5 ジ tert—ブチルー 4ーヒドロキシベンジル)ベンゼン、 2 (2,ーヒドロキシー3, , 5' ジ—tert ブチルフエ-ル)ー5 クロルべンゾトリァゾール、 (2 (2,ーヒドロキ シ— 3,, 5 '—ジ— tert—ァミルフエ二ル)— 5 クロルべンゾトリァゾール、 2, 6 ジ tert—ブチルー p クレゾール、ペンタエリスリチルーテトラキス〔3—(3, 5—ジ t ert—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫 外線防止剤の添加量は、環状ォレフィン系付加重合体に対して質量割合で lppm〜 1. 00/0力好ましく、 10〜: LOOOppm力更に好まし!/、。
(マット剤)
本発明にお 、ては、作製された環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムがハ ンドリングされる際に、傷が付いたり搬送性が悪ィ匕することを防止するために、微粒子 (マット剤)を添加することが好ましい。マット剤の好ましい具体例は、無機化合物とし ては、ケィ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸ィ匕アルミ-ゥ ム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化ス ズ、酸化スズ 'アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケィ酸 カルシウム、水和ケィ酸カルシウム、ケィ酸アルミニウム、ケィ酸マグネシウムおよびリ ン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケィ素を含む無機化合物や酸化ジルコ -ゥムであるが、フィルムの濁度を低減できるので、ニ酸ィ匕ケィ素が特に好ましく用い られる。二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、ァエロジル R972、 R974、 R812、 200、 300、 R202、 0X50、 TT600 (以上日本ァェロジル (株)製)等の商品名を有 する市販品が使用できる。酸ィ匕ジルコニウムの微粒子としては、例えば、ァエロジル R 976および R811 (以上日本ァエロジル (株)製)等の商品名で市販されて 、るものが 使用できる。
これらのマット剤の 1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好 ましくは、 1ηπι〜20 /ζ πιであり、より好ましくは 1ηπι〜10 /ζ mであり更に好ましくは、 2nm〜l μ mであり、特に好ましくは、 5nm〜0. 5 μ mである。マット剤の 1次平均粒 子径の測定は、透過型電子顕微鏡で粒子を平均粒径で求められる。購入した微粒 子は凝集していることが多ぐ使用の前に公知の方法で分散することが好ましい。分 散により二次粒子径を 0. 1〜1. にすること力 S好ましく、 0. 2〜1. 0 111カ更に
好ましい。マット剤の添力卩量は環状ォレフィン系付加重合体の基体シート中に 0. 01 〜0. 3質量0 /0力 S好ましく、 0. 05〜0. 15質量0 /0力 Sさらに好ましく、 0. 08〜0. 08質 量%が最も好ましい。
微粒子を添カ卩した環状ポリオレフインフィルムの好まし 、ヘイズの範囲は 2. 0%以 下であり、 1. 2%以下が更に好ましぐ 0. 5%以下が特に好ましい。微粒子を添加し た環状ポリオレフインフィルムの好ましい動摩擦係数は 0. 8以下であり、 0. 5以下が 特に好ましい。
動摩擦係数は、 JISや ASTMが規定する方法に従 ヽ、鋼球を用いて測定できる。 ヘイズは日本電色工業 (株)製 1001DP型ヘイズ計を用いて測定できる。
[0024] (剥離剤)
エンドレス金属支持体力 環状ォレフィン系付加重合体フィルムを剥離する際の剥 離荷重 (剥離抵抗)を小さくし、製膜方向にフィルムが不規則に延伸されるのを防止 するため、必要に応じてドープ中に下記に示すような界面活性剤を添加することがで きる。
[0025] 環状ォレフィン系付加重合体フィルムの剥離抵抗を小さくする好ま 、界面活性剤 としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸あるいはカルボン酸塩系の界面 活性剤、スルホン酸あるいはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面 活性剤などがある。以下に具体例の一部を例示する。
[0026] RZ- 1 C H 0-P(=0)-(OH)
8 17 2
RZ- 2 C H O— P(=0)— (OK)
12 25 2
RZ- 3 C H OCH CH O— P( = 0)— (OK)
12 25 2 2 2
RZ-4 C H (OCH CH ) O— P( = 0)_ (OK)
15 31 2 2 5 2
RZ- 5 {C H O(CH CH O) } — P(=0)— OH
12 25 2 2 5 2
RZ-6 {C H (OCH CH ) O} —P(=0)— ONH
18 35 2 2 8 2 4
RZ- 7 (t C H )— C H— OCH CH O— P(=0)— (OK)
4 9 3 6 2 2 2 2
RZ-8 (iso-C H — C H— O— (CH CH O)— P(=0)— (OKXOH)
9 19 6 4 2 2 5
RZ- 9 C H SO Na
12 25 3
RZ- 10 C H OSO Na
RZ- 11 C H COOH
17 33
RZ- 12 C H COOH-N(CH CH OH)
17 33 2 2 3
RZ- 13 iso-C H C H— O— (CH CH O)— (CH ) SO Na
8 17 6 4 2 2 3 2 2 3
RZ- 14 (iso-C H ) -C H— O— (CH CH O)— (CH ) SO Na
9 19 2 6 3 2 2 3 2 4 3
RZ- 15 トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ- 16 トリ— t ブチルナフタレンスルフォン酸ナトリゥム
RZ- 17 C H CON(CH )CH CH SO Na
17 33 3 2 2 3
RZ- 18 C H C H SO -NH
12 25 6 4 3 4
[0027] 界面活性剤の添加量は環状ポリオレフインに対して 0. 005〜5質量%が好ましぐ 0. 01〜2質量%が更に好ましぐ 0. 05〜0. 5質量%が最も好ましい。
[0028] 環状ォレフィン系付加重合体フィルムの剥離抵抗を小さくする界面活性剤としては 、パーフロロアルキル基を有するアタリレートある 、はメタタリレートなどのモノマーの 重合体等のフッ素原子を有する重合体も好ましい。以下、剥離剤としての、フッ素原 子を有する重合体 (以下、本発明のフッ素原子を有する重合体ともいう)について記 述する。本発明のフッ素原子を有する重合体としては、例えば、特開 2001— 26956 4号公報に記載の重合体を挙げることができる。フッ素原子を有する重合体として好 ま ヽものは、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体 (単量体 A)を必須 成分として含有してなる単量体を重合せしめた重合体である。重合体に係わるフッ素 化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(単量体 A)としては、分子中にエチレン 性不飽和基とフッ素化アルキル基を有する化合物であれば特に制限はな 、。好まし くはアクリルエステル基およびその類縁基を含有するものが適しており、具体的には 下記一般式 (III)で表されるフッ素化 (メタ)アタリレートが挙げられる。ここでの (メタ)ァ タリレートは、メタタリレート、アタリレート、フルォロアタリレート、塩素化アタリレートを 総称するものとする。
[0029] 一般式(III) CH =C(R1)-COO-(X)— Rf
2 n
[0030] 式中、 Rfは炭素数 1〜20のパーフロロアルキル基、または部分フッ素化アルキル 基であり、 Rfは直鎖状であっても分岐状であってもよぐまた酸素原子および Zまた は窒素原子を含む官能基を主鎖中に有するものであってもよい。 R1は H、フッ素ィ匕さ
れていてもよいアルキル基、 Cほたは Fを表し、 Xは 2価の連結基を表し、 nは 0以上 の整数を表す。
[0031] Rfのパーフロロアルキル基の好ましい炭素数は 1〜 18であり、より好ましくは 4〜 18 であり、さらに好ましくは 6〜 14であり、最も好ましくは 6〜 12である。部分フッ素化ァ ルキル基は、その一部にパーフロロアルキル基を有するものが好ましぐそのパーフ ロロアルキル基の炭素数の好ましい範囲は上記と同じである。また、主鎖中に有して いてもよい酸素原子を含む官能基としては、 -so 一、
2 —c(=o)—、窒素原子を含 む官能基としては、一NH 、 一N(CH ) 、 一N(C H ) 、 一N(C H ) などを挙げ
3 2 5 3 7
ることがでさる。
R1が採りうるフッ素化されていてもよいアルキル基は、無置換のアルキル基、パーフ ロロアルキル基、部分フッ素化アルキル基のいずれであってもよい。好ましいのは、 無置換のアルキル基および部分フッ素化アルキル基である。無置換のアルキル基と して好ましいのは、メチノレ基である。
[0032] Xが採りうる 2価の連結基として好ましいものは、 (CH ) ―、 -CH CH(OH)— (C
2 m 2
H ) 一、 -(CH ) N(R2)— SO -、 -(CH ) N(R2)— CO—、— CH(CH ) -、— CH(
2 m 2 m 2 2 m 3
CH CH )—、 -C(CH ) 一、 一 CH(CF ) 、 一 C(CH )(CF ) 、 一 C(CF )—であり
2 3 3 2 3 3 3 3 2
、 R2は水素または炭素数 1〜6アルキル基である。
nは 0以上の整数であり、 0〜25力 子ましく、 1〜15がより好ましぐ 1〜10が特に好 ましい。 nが 2以上であるとき、各 Xが表す連結基は同一であっても異なっていてもよ い。
[0033] 以下にフッ素化アルキル基含有 (メタ)アタリレートの具体例を挙げる力 本発明で 用 、ることができるフッ素化アルキル基含有 (メタ)アタリレートはこれらに限定されるも のではない。
[0034] [化 7]
A-1 : CH2=CHCOOCH2CH2C8F17
A-2 : CH3
CH2=CCOOCH2CH2C8F17
A- 3 : CH2=CHCOOCH2CH2C12F25 A - 4 : CH3
CH2― CCOOCH2CH2C12F25
A- 5 : CH2=CHCOOCH2CH2C10F21
A - 6 :
A-7 : CH2=CHCOOCH2CH2C6F13
A-8 : CH3
CH2=CCOOCH2CH2C6F13
A - 9 CH2=CHCOOCH2CH2C4F9
A— 10 : F
CH2― し JOCH^CH CgFi j
置s003
A- 41 : CH3
CH2=CCOOCH2CH2(CF2)7H
A-42 : CH3 CH
CH2=CCOOC(CF2)5H
CH3
A- 43: CH2=CHCOO -CHC8F17
CF3
A- 44: CH2=CHCOOCH2C2F5
A- 45 : CH2=CHCOOCH2CHCH2C8F17
OH
A-46 : CH3
CH2=CCOOCH2CH(CH2)4C18F37
OH
A-47 : C3H7
CH3=CHCOOCH2CH2NS02C8F17
A- 48 : CH3 CH3
CH3=CCOOCH2CH2NS02C8F19
A- 49 : CI H
CH2=CCOO(CH2)5NS02C12F25
A - 50 : C2H5
CH2=CHCOOCH2CH2NCOC7F15
[0036] フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体 (単量体 A)は、 1種類だけを用 いても構わないし、 2種類以上を同時に用いても構わない。フッ素化アルキル基含有 エチレン性不飽和単量体 (単量体 A)におけるフッ素化アルキル基は、離型性 (剥離 性)の観点からは、その炭素数は 6〜18が特に好ましぐさらには 6〜14であり、特に は 6〜 12が好ましい。本発明において、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和 単量体 (単量体 A)のフッ素原子を有する重合体中への導入量に特に制限はないが 、 10質量%以上重合せしめることが好ましぐ 15質量%以上がより好ましぐ 20質量 %以上の含有量が好ま U、。
[0037] 更に本発明においてはフッ素原子を有する重合体中に、ポリオキシアルキレン基含 有不飽和単量体 (単量体 B)を含有させることも可能である。ポリオキシアルキレン基 含有エチレン性不飽和単量体(単量体 B)としては、 1分子中にポリオキシアルキレン 基とエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はな ヽ。ォキシアルキレ ン基としてはエチレンォキシド基および Zまたはプロピレンォキシド基が好まし 、。ま たその重合度は通常 1〜: LOOであり、 5〜50が好ましい。エチレン性不飽和基として は、原料の入手性、各種コーティング組成物中の配合物に対する相溶性、そのような 相溶性を制御することの容易性、或いは重合反応性の観点から (メタ)アクリルエステ ル基およびその類縁基を含有するものが適している。不飽和結合は 1分子中に 1個 だけでもよいし、 2個以上を有していてもよい。
[0038] (有機溶剤)
次に、本発明の環状ポリオレフインが溶解される有機溶剤について記述する。本発 明においては、環状ポリオレフインが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目 的が達成できる限りは、使用できる有機溶剤は特に限定されない。本発明で用いら れる有機溶剤は、例えばジクロロメタン、クロ口ホルムの如き塩素系溶剤、炭素原子数 力^〜 12の鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、ェ 一テルカゝら選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構 造を有していてもよい。炭素原子数が 3〜 12の鎖状炭化水素類の例としては、へキ サン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が 3〜12の環状 炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロへキサン及びその誘導体が挙げられる。
炭素原子数が 3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなど が挙げられる。炭素原子数が 3〜12のエステル類の例には、ェチルホルメート、プロ ピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、ェチルアセテートおよびペン チルアセテートが挙げられる。炭素原子数が 3〜12のケトン類の例には、アセトン、メ チルェチルケトン、ジェチルケトン、ジイソプチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキ サノンおよびメチルシクロへキサノンが挙げられる。炭素原子数が 3〜12のエーテル 類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシェタン、 1, 4—ジォ キサン、 1, 3—ジォキソラン、テトラヒドロフラン、ァ-ソールおよびフエネトールが挙 げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、 2—ェトキシェチルァセ テート、 2—メトキシエタノールおよび 2—ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤 の好ま 、沸点は 35°C以上且つ 110°C以下である。
たとえば特開平 8— 43812号公報、特開 2001— 272534号公報、特開 2003— 3 06557号公報に開示されているように、環状ポリオレフインの溶液製膜には従来どち らかというと非塩素系有機溶剤が使用されていた。非塩素系溶剤は乾燥工程におい て、パスロールとの剥離により帯電し、放電による引火火災を発生しやすい。本発明 者らは、環状ポリオレフインの溶液を作製するに際しては、主溶剤として塩素系有機 溶剤が特に好ましいことを見出した。塩素系有機溶剤は溶解力が大きく且つ引火性 が無 、あるいは少な 、ために工業的利用にお 、て非常に有利である。またそれ以外 にも後述するようにフィルムの剥離性を改善しやす 、と 、う大きな利点を見出した。本 発明においては、環状ポリオレフインが溶解し流延,製膜できる範囲において、その 目的が達成できる限りはその塩素系有機溶剤の種類は特に限定されない。塩素系 有機溶剤のなかでも好ましくはジクロロメタン、クロ口ホルムである。特〖こジクロロメタン は沸点が低いため、乾燥時の熱効率に優れているため好ましい。また、塩素系有機 溶剤以外の、例えば前記の有機溶剤を混合することも特に問題ない。その場合は、 塩素系有機溶剤は、溶剤全体の 50〜99. 5質量%使用することが好ましい。ジクロ ロメタンは溶剤全体の少なくとも 50質量%使用することが好ま 、。本発明で塩素系 有機溶剤と併用されるのに好ましい非塩素系有機溶剤について以下に記す。すなわ ち、好ましい非塩素系有機溶剤としては、炭素原子数が 3〜12のエステル、ケトン、
エーテル、アルコール、炭化水素など力 選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトン 、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよ びエーテルの官能基(すなわち、 o CO—および COO—)のいずれかを 二つ以上有する化合物も溶剤として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基 のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶剤 の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であれ ばよい。炭素原子数が 3〜12のエステル類の例には、ェチルホルメート、プロピルホ ルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、ェチルアセテートおよびペンチルァ セテート等が挙げられる。炭素原子数が 3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチル ェチルケトン、ジェチルケトン、ジイソプチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノ ンおよびメチルシクロへキサノン等が挙げられる。炭素原子数が 3〜 12のエーテル類 の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシェタン、 1, 4 ジォキ サン、 1, 3 ジォキソラン、テトラヒドロフラン、ァ-ソールおよびフエネトール等が挙 げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、 2—ェトキシェチルァセ テート、 2—メトキシエタノールおよび 2—ブトキシエタノール等が挙げられる。
本発明者らは塩素系溶剤を主溶剤とし、環状ポリオレフインに対して溶解性のほと んどない貧溶媒を少量混合した溶剤に環状ポリオレフインを溶解することにより、剥離 性を著しく改善できることを見出した。貧溶媒を使用しないで製膜するときに比べて 適切な貧溶媒を併用すると、金属支持体からフィルムを剥離するときの剥離抵抗値 力 以下から 1Z20以下まで低下し、高速で製膜することが容易になる。貧溶媒 使用による剥離抵抗低下効果は、付カ卩(共)重合環状ポリオレフインに対して著 、。 好ましい貧溶媒は使用するポリマー種により適宜選択する必要がある。まず使用す る主溶剤(良溶剤)よりも沸点が 10°C以上高くて、主溶剤よりも揮発性が低い溶剤が 好ましい。貧溶媒の沸点が主溶剤よりも高いと、乾燥が進んで支持体力 フィルムを 剥離する時には、フィルム中の残留溶剤は貧溶媒が多くなることと関係していると思 われる。環状ポリオレフインに対する貧溶媒のなかでも特に 1価のアルコール類は、 剥離抵抗低減効果が著しく好ましい。選択する良溶剤の沸点によって特に好ましい アルコール類は変化する力 乾燥負荷を考慮すると、沸点が 120°C以下のアルコー
ルが好ましぐ炭素数が 1〜6の 1価アルコールが更に好ましぐ炭素数 1〜4のアルコ ール類が特に好ましい。
[0041] また塩素系有機溶剤と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分 枝を有していても環状であってもよぐその中でも飽和脂肪族炭化水素であることが 好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコ ールの例には、メタノール、エタノール、 1 プロパノール、 2—プロパノール、 1ーブ タノール、 2—ブタノール、 tーブタノール、 1 ペンタノール、 2—メチルー 2—ブタノ ールおよびシクロへキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコ ールも用いられる。例えば、 2—フルォロエタノール、 2, 2, 2—トリフルォロエタノー ル、 2, 2, 3, 3—テトラフルオロー 1 プロパノールなども挙げられる。
環状ポリオレフイン溶液を作成する上で特に好ま ヽ混合溶剤は、ジクロロメタンを 主溶剤とし、メタノール、エタノール、プロパノールあるいはイソプロパノールから選ば れる 1種以上のアルコール類を貧溶媒にする組合わせである。
[0042] アルコール類貧溶媒の好ましい使用量は、環状ポリオレフイン 100質量部に対して 3〜100質量部であり、 4〜40質量部であると更に好ましい。特に好ましくは 6〜35 質量部である。また主溶剤と貧溶媒との混合割合の好ましい範囲は、主溶剤 100質 量部に対して 0. 5〜30質量部である。 1〜20質量部が更に好ましぐ 4〜15質量部 が特に好ましい。
[0043] <溶液製膜法による基体フィルムの製膜 >
本発明の環状ォレフィン系付加重合体の製膜は、熱溶融製膜の方法と溶液製膜の 方法がありいずれも適用可能である。まず溶液製膜方法について記述する。
[0044] (ドープ調製)
次に本発明の環状ポリオレフイン溶液 (ドープ)の調製については、室温攪拌溶解 による方法、室温で攪拌してポリマーを膨潤させた後― 20から - 100°Cまで冷却し 再度 20から 100°Cに加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以 上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして 溶解する方法などがある。溶解性のよいポリマーは室温溶解が好ましいが、溶解性 の悪いポリマーは密閉容器中で加熱溶解する。ジクロロメタンを主溶剤に選んだとき
は、多くの環状ポリオレフインは 20〜: L00°Cの加熱により溶解することが出来る。溶解 性があまり悪くないものはできるだけ低い温度を選ぶほうが、工程的には楽になる。
[0045] 本発明の環状ポリオレフイン溶液の粘度は 25°Cで l〜500Pa' sの範囲であること が好ましい。さらに好ましくは 5〜200Pa' sの範囲である。粘度の測定は次のようにし て行った。試料溶液 lmLをレオメーター (CLS 500)に直径 4cmZ2° の Steel C one (共に TA Instrumennts社製)を用いて測定した。
試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始し た。
[0046] 環状ポリオレフイン溶液は高濃度のドープが得られるのが特徴であり、濃縮という手 段に頼らずとも高濃度でし力も安定性の優れた環状ポリオレフイン溶液が得られる。 更に溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、濃縮手段を用いて濃縮してもよ い。濃縮の方法としては、特に限定するものはないが、例えば、低濃度溶液を筒体と その内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、溶液 との間に温度差を与えて溶剤を蒸発させながら高濃度溶液を得る方法 (例えば、特 開平 4 259511号公報等)、加熱した低濃度溶液をノズルカゝら容器内に吹き込み、 溶液をノズルカゝら容器内壁に当たるまでの間で溶剤をフラッシュ蒸発させるとともに、 溶剤蒸気を容器から抜き出し、高濃度溶液を容器底力ゝら抜き出す方法 (例えば、米 国特許第 2, 541, 012号、米国特許第 2, 858, 229号、米国特許第 4, 414, 341 号、米国特許第 4, 504, 355号各明細書等などに記載の方法)等で実施できる。
[0047] 溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、 不純物などの異物を濾過除去しておくのが好まし 、。環状ポリオレフイン溶液の濾過 には絶対濾過精度が 0. 1〜: LOO /z mのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度 が 0. 5〜25 mであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、 0. 1〜: LOmmが好ましぐ更には 0. 2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は 1. 6MPa以下、より好ましくは 1. 3MPa以下、更には 1. OMPa以下、特に好ましくは 0 . 6MPa以下で濾過することが好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維 、濾紙、四フッ化工チレン榭脂などのフッ素榭脂等の従来公知である材料を好ましく 用いることができ、またセラミックス、金属等も好ましく用いられる。
環状ポリオレフイン溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であれ ばよぐ通常5?& ' 5〜1000?& ' 5の範囲に調製されることが好ましぐ 15Pa' s〜500 Pa ' sがより好ましぐ 30Pa' s〜200Pa' s力 S更に好ましい。なお、この時の温度はそ の流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは 5〜70°Cであり、より好 ましくは— 5〜35°Cである。
[0048] (製膜)
環状ポリオレフイン溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明の環 状ポリオレフインフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテート フィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用い られる。溶解機
(釜)から調製されたドープ (環状ポリオレフイン溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープ に含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回 転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに 送り、ドープを加圧型ダイの口金 (スリット)力もエンドレスに走行している流延部の金 属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのド ープ膜 (ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップ で挟み、テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終 了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み 合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流 延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレー シヨン防止層、保護層等のフィルムへの表面カ卩ェのために、塗布装置が付加されるこ とが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるもので はない。
[0049] まず、調製した環状ポリオレフイン溶液 (ドープ)は、ソルベントキャスト法により環状 ポリオレフインフィルムを作製される際に、ドープは無端金属支持体上、例えば金属ド ラムまたは金属支持体 (バンドあるいはベルト)上に流延し、溶剤を蒸発させてフィル ムを形成することが好ましい。流延前のドープは、環状ポリオレフイン量が 10〜35質 量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面
状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が 30°C以下のドラムまたは バンド上に流延することが好ましく用いられ、特には— 10〜20°Cの金属支持体温度 であることが好ましい。
さらに特開 2000— 301555号、特開 2000— 301558号、特開平 7— 032391号、 特開平 3— 193316号、特開平 5— 086212号、特開昭 62— 037113号、特開平 2
— 276607号、特開昭 55— 014201号、特開平 2— 111511号、および特開平 2— 208650号の各公報に記載のセルロースァシレート製膜技術を本発明では応用でき る。
(重層流延)
環状ポリオレフイン溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或 、はドラム上に単 層液として流延してもょ 、し、 2層以上の複数の環状ポリオレフイン液を流延してもよ い。
複数の環状ポリオレフイン溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を 置 、て設けた複数の流延口力 環状ポリオレフインを含む溶液をそれぞれ流延させ て積層させながらフィルムを作製してもよぐ例えば特開昭 61— 158414号、特開平 1 122419号、および特開平 11— 198285号の各公報などに記載の方法が適応 できる。
また、 2つの流延ロカ 環状ポリオレフイン溶液を流延することによつてもフィルム化 することでもよく、例えば特公昭 60— 27562号、特開昭 61— 94724号、特開昭 61
— 947245号、特開昭 61— 104813号、特開昭 61— 158413号、および特開平 6 134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭 56— 162617号 公報に記載の高粘度環状ポリオレフイン溶液の流れを低粘度の環状ポリオレフイン 溶液で包み込み、その高,低粘度の環状ポリオレフイン溶液を同時に押出す環状ポ リオレフインフィルム流延方法でもよい。更にまた、特開昭 61— 94724号および特開 昭 61— 94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるァ ルコール成分を多く含有させることも好ま 、態様である。或いはまた 2個の流延口を 用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体 面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することでもよぐ
例えば特公昭 44— 20235号公報に記載されて ヽる方法である。流延する環状ポリ ォレフィン溶液は同一の溶液でもよ 、し、異なる環状ポリオレフイン溶液でもよく特に 限定されない。複数の環状ポリオレフイン層に機能を持たせるために、その機能に応 じた環状ポリオレフイン溶液を、それぞれの流延ロカも押出せばよい。さらに環状ポリ ォレフィン溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレ ーシヨン層、 UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
単層液では必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度の環状ポリオレフィ ン溶液を押出すことが必要であり、その場合環状ポリオレフイン溶液の安定性が悪く て固形物が発生し、ブッ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となりやす い。この解決として、複数の環状ポリオレフイン溶液を流延ロカ 流延することにより、 高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面 状のフィルムが作製できるば力りでなぐ濃厚な環状ポリオレフイン溶液を用いること で乾燥負荷の低減ィ匕が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。 共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜 厚の 1〜50%であることが好ましぐより好ましくは 2〜30%の厚さである。ここで、 3層 以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚 を外側の厚さと定義する。共流延の場合、前述の劣化防止剤、紫外線吸収剤、マット 剤等の添加物濃度が異なる環状ポリオレフイン溶液を共流延して、積層構造の環状 ポリオレフインフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層 Zコア層 Zスキン層 といった構成の環状ポリオレフインフィルムを作ることができる。例えば、マット剤は、ス キン層に多ぐまたはスキン層のみに入れることができる。劣化防止剤、紫外線吸収 剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。また、 コア層とスキン層で劣化防止剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば スキン層に低揮発性の劣化防止剤及び Zまたは紫外線吸収剤を含ませ、コア層に 可塑性に優れた可塑剤、或 、は紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加するこ ともできる。また、剥離促進剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好まし い態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるため に、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキ
ン層とコア層の Tgが異なっていても良ぐスキン層の Tgよりコア層の Tgが低いことが 好ましい。また、流延時の環状ポリオレフインを含む溶液の粘度もスキン層とコア層で 異なっていても良ぐスキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コ ァ層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
[0052] (流延)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイ力 金属支持体上に均一 に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節す るドクターブレードによる方法、或 、は逆回転するロールで調節するリバースロールコ 一ターによる方法等がある力 加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハ ンガータイプや Tダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここ で挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜す る種々の方法で実施でき、用いる溶剤の沸点等の違いを考慮して各条件を設定する ことによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。本発明の環状ポリ ォレフィンフィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体として は、表面がクロムメツキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕 上げされたステンレスベルト (バンドといってもよい)が用いられる。本発明の環状ポリ ォレフィンフィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に 1基或いは 2基以上の設置でもよい。好ましくは 1基または 2基である。 2基以上設置する場合に は流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよぐ複数の精密定 量ギヤァポンプ力 それぞれの割合でダイにドープを送液してもよ!、。流延に用いら れる環状ポリオレフイン溶液の温度は、― 10〜55°Cが好ましくより好ましくは 25〜50 °Cである。その場合、工程のすべてが同一でもよぐあるいは工程の各所で異なって いてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
[0053] (乾燥)
環状ポリオレフインフィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は 、一般的には金属支持体 (例えばドラム或いはバンド)の表面側、つまり金属支持体 上にあるウェブの表面力 熱風を当てる方法、ドラム或いはバンドの裏面力 熱風を 当てる方法、温度コントロールした液体をバンドやドラムのドープ流延面の反対側で
ある裏面から接触させて、伝熱によりドラム或 、はバンドを加熱し表面温度をコントロ ールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前 の金属支持体の表面温度はドープに用いられて 、る溶剤の沸点以下であれば何度 でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせる ためには、使用される溶剤の内の最も沸点の低い溶剤の沸点より 1〜10度低い温度 に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合 はこの限りではない。
(剥離)
生乾きのフィルムを金属支持体力も剥離するとき、剥離抵抗 (剥離荷重)が大きいと 、製膜方向にフィルムが不規則に伸ばされて光学的な異方性むらを生じる。特に剥 離荷重が大き ヽときは、製膜方向に段状に伸ばされたところと伸ばされて ヽな ヽとこ ろが交互に生じて、レターデーシヨンに分布を生じる。液晶表示装置に装填すると線 状あるいは帯状にむらが見えるようになる。このような問題を発生させないためには、 フィルムの剥離荷重をフィルム剥離幅 lcmあたり 0. 25N以下にすることが好ましい。 剥離荷重はより好ましくは 0. 2NZcm以下、さらに好ましくは 0. 15N以下、特に好ま しくは 0. 10N以下である。剥離荷重 0. 2NZcm以下のときはむらが現れやすい液 晶表示装置においても剥離起因のむらは全く認められず、特に好ましい。剥離荷重 を小さくする方法としては、前述のように剥離剤を添加する方法と、使用する溶剤組 成の選択による方法がある。
剥離荷重の測定は次のようにして行う。製膜装置の金属支持体と同じ材質'表面粗 さの金属板上にドープを滴下し、ドクターブレードを用いて均等な厚さに展延し乾燥 する。カッターナイフでフィルムに均等幅の切れ込みを入れ、フィルムの先端を手で 剥がしてストレンゲージにつながったクリップで挟み、ストレンゲージを斜め 45度方向 に引き上げながら、荷重変化を測定する。剥離されたフィルム中の揮発分も測定する 。乾燥時間を変えて何回か同じ測定を行い、実際の製膜工程における剥離時残留 揮発分と同じ時の剥離荷重を定める。剥離速度が速くなると剥離荷重は大きくなる傾 向があり、実際に近い剥離速度で測定することが好ましい。
剥離時の好ましい残留揮発分濃度は 5〜60質量%である。 10〜50質量%が更に
好ましぐ 20〜40質量%が特に好ましい。高揮発分で剥離すると乾燥速度が稼げて 、生産性が向上して好ましい。一方、高揮発分ではフィルムの強度や弾性が小さぐ 剥離力に負けて切断したり伸びてしまう。また剥離後の自己保持力が乏しぐ変形、 しわ、クニックを生じやすくなる。またレターデーシヨンに分布を生じる原因になる。
[0055] (延伸処理)
本発明の環状ポリオレフインフィルムを延伸処理する場合は、剥離のすぐ後の未だ フィルム中に溶剤が十分に残留している状態で行うのが好ましい。延伸の目的は、(
1)しわや変形のな 、平面性に優れたフィルムを得るため及び、(2)フィルムの面内レ ターデーシヨンを大きくするために行う。 (1)の目的で延伸を行うときは、比較的高い 温度で延伸を行 、、延伸倍率も 1%からせ 、ぜぃ 10%までの低倍率の延伸を行う。 2から 5%の延伸が特に好ましい。(1)と(2)の両方の目的、あるいは(2)だけの目的 で延伸する場合は、比較的低い温度で、延伸倍率も 5から 150%で延伸する。
[0056] 延伸温度の選択について述べる。残留溶剤を含んだフィルムを密閉パンに入れて 示差走査熱量計で昇温しながらフィルムの比熱を測定し、温度対比熱カーブが変曲 し、比熱が低下し始める温度を Tcとする。比較的高い延伸温度とは Tcよりも 10°C以 上高い温度、好ましくは 15から 30°C高い温度である。このような温度で延伸しても環 状ポリオレフインフィルムのレターデーシヨンはほとんど発現しない。
一方比較的低い温度とは、 Tcの前後 10°Cの範囲をさす。この温度域で延伸すると 面内レターデーシヨンが発現しやすぐ所望の光学特性に調整しやすい。
フィルム中に残留溶媒が残って 、るときに延伸すると乾燥フィルムに比べて低 ヽ温 度で延伸できる。環状ポリオレフインは高 、ガラス転移点 (Tg)を有するポリマーが多 V、が、ポリマー固有の Tgよりも低 、温度で延伸することができる。
フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次 2軸延 伸でもよい。 VA液晶セルや OCB液晶セル用位相差フィルムの複屈折は、幅方向の 屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って幅方向により多く 延伸することが好ましい。
[0057] (後乾燥)
環状ポリオレフインフィルムは延伸後更に乾燥し、残留揮発分を 2%以下にして巻き
取る。巻き取る前にフィルムの両端にナーリングを施すことが好ましい。ナーリングの 幅は 3mm〜50mm、より好ましくは 5mm〜30mm、高さは 1〜50 mであり、好まし くは 2〜20 μ m、より好ましくは 3〜 10 μ mである。これは片押しであっても両押しで あっても良い。
[0058] 本発明の出来上がり(乾燥後)の環状ポリオレフインフィルムの厚さは、使用目的に よって異なる力 通常 5力ら 500 μ mの範囲であり、 30〜150 μ mの範囲が好ましぐ 特に液晶表示装置用には 40〜: L 10 μ mであることが好まし 、。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、 ダイの口金のスリット間隙、ダイ力 の押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すれ ばよい。以上のようにして得られた環状ポリオレフインフィルムの幅は 0. 5〜3mが好 ましぐより好ましくは 0. 6〜2. 5m、さらに好ましくは 0. 8〜2. 2mである。長さは 1口 ールあたり 100〜 10000mで巻き取るの力 子ましぐより好まし <は 500〜7000mで あり、さらに好ましくは 1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリン グを付与するのが好ましぐ幅は 3mn!〜 50mm、より好ましくは 5m〜30mm、高さは 0. 5〜500 μ mであり、より好ましくは 1〜200 μ mである。これは片押しであっても両 押しであっても良い。全幅の Re値のばらつきが ± 5nmであることが好ましぐ ± 3nm であることが更に好ましい。また、 Rth値のバラツキは ± 10nmが好ましぐ ± 5nmで あることが更に好ましい。また、長さ方向の Re値、及び Rth値のバラツキも幅方向の バラツキの範囲内であることが好ましい。透明感を保っためヘイズは 0. 01〜2%が 好ましい。ヘイズを小さくするためには、添加する微粒子マット剤の分散を十分に行 Vヽ凝集粒子の数を少なくしたり、添加量を少なくするためにスキン層だけにマット剤を 使用したりする。
[0059] <熱溶融製膜による基体フィルムの製膜 >
次に熱溶融製膜方法にっ 、て記述する。溶融した環状ォレフィン系付加重合体を 押出機のダイ力 シート状に押し出し、冷却ロール上で冷却して環状ォレフィン系付 加重合体の基体フィルムを形成する工程を有する。
この製造方法において、環状ォレフィン系付加重合体を溶融させる場合、環状ォレ フィン系付加重合体ペレットを予熱しておくことができる。予熱温度は、 Tg— 90°C〜
Tg+ 15°C、好ましくは Tg— 75°C〜Tg— 5°C、さらに好ましくは Tg— 70°C〜Tg— 5 °Cである。 Tg— 90°C〜Tg+ 15°Cの範囲で予熱しておけば、この後の樹脂の溶融 混練を均一に行うことができ、所望の H— V散乱光強度および V— V散乱光強度を 得ることができる。
[0060] 前記製造方法は、前記予熱の後、押出機を用いて 200〜300°Cの温度まで昇温し 、環状ォレフィン系付加重合体を溶融させる。この際、押出機の出口側の温度を入 口側の温度より 5〜100°C、好ましくは 20〜90°C、さらに好ましくは 30〜80°C高くし ておくことが好ましい。押出機の出口側の温度を入口側の温度より高くしておくことに より、溶融した榭脂を均一に混練することができ、所望の H— V散乱強度および V— V散乱強度の値を得ることができる。
[0061] 前記製造方法は、次いで溶融した環状ォレフィン系付加重合体をギヤポンプに通 し、押出機の脈動を除去した後、金属メッシュフィルタ一等で濾過し、押出機に取り付 けられた T型のダイ力 冷却ロール上にシート状に押し出し、前記冷却ロール上で押 出された環状ォレフィン系付加重合体フィルムのフィルム幅方向 1〜50%、好ましく は 2〜40%、さらに好ましくは 3〜30%を押圧する。好ましくは、フィルム幅方向の両 端側から均等に押圧を行ってフィルム幅方向 1〜50%を押圧する。
[0062] 従来の方法のように押し出されたフィルムを冷却ロールの全面で押圧すると、押し 付けむらや冷却ロールの温度むらに起因する局部的な冷却むらが発生し、これらの 不均一な収縮応力はフィルムが全面で押圧されて 、るためフィルム外に逃がすこと はできない。また、押し出されたフィルムの全面を冷却ロールに押し付けた場合には 、フィルムの温度が急激に低下し、 Reむらおよび Rthむら、特に Rthむらが発生しや すい。これに対し、本発明における上記の押圧であれば、環状ォレフィン系付加重 合体の基体フィルムの不均一な収縮応力を回避することができ、 Reむらおよび Rth むらの発生を良好に抑えることができる。
[0063] 本発明の製造方法における押圧方法は特に制限されず、例えば、エアーチャンバ 一、バキュームノズル、静電ピニング、タツチロール等の方法を用いることができる。そ の際の圧力については特に制限はないが、 0. 001〜20kgZcm2 (98Pa〜: L 96M Pa)が好ましぐ 0. 01〜: Lkg/cm2 (980Pa〜98kPa)がさらに好ましい。
[0064] 前記製造方法において、前記押圧は冷却ロール上で冷却しながら行うことができる 。この際、冷却はできるだけゆっくり行うことが好ましい。一般に行われている製膜法 では 50°CZ秒以上の冷却速度で冷却されるが、前記製造方法では、冷却速度は 0 . 2〜20°CZ秒であることが適当であり、 0. 5〜15°CZ秒であることが好ましぐ 1〜 10°CZ秒であることがさらに好ましい。この冷却速度で冷却することにより、局所的な 冷却むらの発生を防ぎ、急激な収縮による収縮応力の発現を防止し、 Reむらおよび Rthむらの発現を抑制することができる。
[0065] 上記の冷却(徐冷)は、冷却ロールのケージング内における保温と、冷却ロールの 温度調整により達成される。好ましい効果が得られるのは前者である。
[0066] 冷却ロールのケージング内における保温は、冷却ロールの少なくとも 1本を Tg— 10 0°C〜Tg + 30°C、より好ましくは Tg— 80°C〜Tg+ 10°C、さらに好ましくは Tg— 70 °C〜Tgに温調されたケーシング内に配置することにより達成される。冷却ロール上で は製膜したシートは摩擦力で拘束され自由に収縮できないため、これに起因した収 縮応力により Reむらおよび Rthむらが発生しやすいが、この方法を用いれば、幅方 向における均一な徐冷が可能となり、冷却ロール上での温度むらを小さくすることが でき、その結果、 Reむらおよび Rthむらを小さくすることができる。
[0067] これに対し、特開 2003— 131006号公報に記載された方法では、 T型ダイから冷 却ドラム間(エアギャップ)を温調する力 この方法では Reむらおよび Rthむらを充分 小さくすることはできない。これは、エアギャップではフィルムを拘束する手段が存在 せず、 Reむらおよび Rthむらの低減効果が少な!/、ためである。
[0068] さらに、 Reむらおよび Rthむらを小さくするために、以下の方法を併用することがで きる。
(1)押出機に取り付けられたダイ力 シート状に押し出された環状ォレフィン系付カロ 重合体を、一定の間隔で配置された少なくとも 2〜: LO本、好ましくは 2〜6本、さらに 好ましくは 3〜4本の冷却ロール (密間ロール)上にキャストする。このように複数の冷 却ロールを用いて冷却温度を制御することにより、容易に冷却速度を調整することが できる。また、冷却ロールを一定間隔に配置することにより冷却ロール間における温 度変化を小さくすることができる。
冷却ロールどうしの間隔(隣接するロール外周の最も近接した箇所の間隔)は 0. 1 〜 15cmであることが好ましぐ 0. 3〜10cmであることがより好ましぐ 0. 5〜5cmで あることがさらに好ましい。
[0069] (2)前記 2〜10本の冷却ロールのうち、少なくとも第 1の冷却ロールの温度を環状 ォレフィン系付カ卩重合体の Tg— 40°C〜Tg (より好ましくは Tg— 35°C〜Tg— 3°C、さ らに好ましくは Tg— 30°C〜Tg、最も好ましくは Tg— 30°C〜Tg— 5°C)にする。さら に第 2の冷却ロールの温度を第 1の冷却ロールより 1〜30°C高く(好ましくは 1〜20°C 高ぐさらに好ましくは 1〜10°C高く)することが好ましい。第 1の冷却ロールよりも第 2 の冷却ロールの温度を高めることにより環状ォレフィン系付加重合体のフィルムの粘 性をより高め、第 2の冷却ロールとの密着性を高めることができる。これにより冷却口 ール上のスリップを抑制し、搬送張力むらを抑制することができるため、 Reおよび Rt hむらを/ Jヽさくすることができる。
[0070] (3)第 2の冷却ロールの搬送速度を第 1の冷却ロールの搬送速度より 0. 1〜5% ( 好ましくは 0. 2〜4%、さらに好ましくは 0. 3〜3%)速くする。これにより第 1の冷却口 ールおよび第 2冷却ロール間のスリップを抑え、搬送張力むらを低減することができ るため、 Reおよび Rthむらを小さくすることができる。
[0071] (4)第 2の冷却ロール通過後、第 2の冷却ロールより 1〜30°C (好ましくは 1. 5〜20 °C、さらに好ましくは 2〜10°C)低い温度の第 3の冷却ロールを通過させる。これによ りこの後、冷却ロール力 環状ォレフィン系付加重合体 フィルムを剥ぎ取る工程に おける冷却速度を小さくできるため、 Reおよび Rthむらを小さくすることができる。さら に、第 3の冷却ロールの搬送速度を第 2の冷却ロールの搬送速度より 0. 1〜5% (好ましくは 0. 2〜4%、さらに好ましくは 0. 3〜3%)遅くすることが好ましい。これによ り第 2の冷却ロールと第 3の冷却ロール間の搬送張力むらを緩衝できるため、 Reおよ び Rthむらを小さくできる。
[0072] 前記製造方法は、上述の方法により環状ォレフィン系付加重合体のフィルムを冷却 速度 0. 2〜20°CZ秒で冷却した後、さらに冷却ロール力 環状ォレフィン系付加重 合体のフィルムを剥離する工程を有することができる。
[0073] 剥離された環状ォレフィン系付加重合体のフィルムは、 0. 2〜: LOmの間隔、好まし
くは 0. 3〜8mの間隔、さらに好ましくは 0. 4〜6mの間隔で配置された複数の搬送 ロールを用いて搬送することができる。このような長いスパン間を冷却しながら搬送す ることで、搬送ロールとの摩擦に起因する搬送張力むらを抑制できる。冷却時に収縮 量の左右不均一に伴う搬送張力のアンバランスが発生するが、これを緩和させるた めに、フィルムが自由に動いて緩衝できるだけの広いロール間隔が必要である。搬送 ロールの間隔が 0. 2〜: LOmであれば、環状ォレフィン系付加重合体のフィルムと搬 送ロールとの摩擦が生じることなぐ環状ォレフィン系付加重合体のフィルムが自由に 動け、張力むらによる光軸のズレを小さくすることができる。
[0074] 冷却ロール力も剥離した環状ォレフィン系付加重合体のフィルムは、 0. 1〜3°CZ 秒、好ましくは 0. 2〜2. 5°CZ秒、さらに好ましくは 0. 3〜2°CZ秒で 50°Cまで冷却 することが好ましい。 0. 1〜3°CZ秒の範囲内で冷却すれば、急激な収縮応力による 左右の張力不均一による光軸ズレの発生を防ぐことができる。このような冷却速度の 制御は、ケーシング内に環状ォレフィン系付加重合体のフィルムを通過させ、ケージ ング中に吹き込む温度を上流側より下流側の温度を下げることによつても達成でき、 さらに上流側および下流側の搬送ロールの温度を調整することによつても達成できる
[0075] 前記製造方法では、製膜速度を 40〜150mZ分とすることが適当であり、 50〜10 OmZ分とすることが好ましぐ 60〜80mZ分とすることがさらに好ましい。製膜速度 4 0〜 150mZ分で製膜することにより、第 1の冷却ロールと環状ォレフィン系付加重合 体のフィルムとの間に空気を巻き込み、全面に亘る押圧を抑制することができ、その 結果、 Reおよび Rthむらを抑制できる。
[0076] 製膜幅は 1. 5〜5m、好ましくは 1. 6〜4m、さらに好ましくは 1. 7〜3mで行うこと ができる。このような広幅にすることで、冷却ロール力 環状ォレフィン系付加重合体 のフィルムを剥離した後の搬送工程における幅方向の収縮応力むらを抑制すること ができる。すなわち幅狭であると発生した張力むらを幅方向で緩衝することは難し 、 力 幅広とすることで幅方向に緩衝することができ、光軸むらを低減することができる
[0077] (基体フィルムの特性)
環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムは従来偏光板に使用されているセル ロースァシレートフィルムに比べて、透湿度や平衡含水率が小さ 、ことが大きな利点 である。好ましい透湿度は 60°C、 95%RH24時間で 1平方メートル当たり lOOOg以 下である。さらに好ましくは 400g以下である。好ましい平衡含水率は 25°C、 80%RH における測定値が 2. 0%以下である。さらに好ましくは 1. 0%以下である。紫外線吸 収剤ゃレターデーシヨン発現剤などの添加剤に揮発性や分解性があってフィルムの 質量変化や寸法変化が発生すると光学特性変化が起こる。従って 80°C90%RHで 48時間経時した後のフィルムの質量変化量は 5%以下であることが好ましい。同様に 60°C95%RHで 24時間経時後の寸法変化量は 5%以下であることが好まし 、。また 寸法変化や質量変化が少々あっても、フィルムの光弾性係数が小さ!、と光学特性の 変化量は少なくなる。従ってフィルムの光弾性係数が 30 X 10— 13cm2Zdyne (3 X 10— 13N/m2)以下であることが好ましぐ 15 X 10"13cmVdyne (l . 5 X 10"13N/m2)以 下であることがさらに好ましい。
環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの好ま 、光学特性は用途の液晶セ ルのモードによって若干異なる。 TNモードの液晶セル用途では、面内レターデーシ ヨン Re (630)は 15nm以下が好ましぐ l lnm以下が更に好ましい。膜厚方向レター デーシヨン Rth (630)は 40力ら 120nm力 子ましく、 60力ら lOOnm力更に好ましい。 TNモードの液晶セル用途の光学補償シートは環状ォレフィン系付加重合体の基体 フィルムの上に配向層とディスコティック液晶層を形成することで得られる。
VAモードの液晶セル用途では、 Re (630)は 15nm以下が好ましぐ l lnm以下が 更に好まし 、。 Rth (630) iま 120以上 300mn以下力好ましく、 150以上 260nm以 下が更に好ましい。 VAモードの液晶セル用途の光学補償シートは環状ォレフィン系 付加重合体の基体フィルムの上に配向層と棒状液晶層を形成することで得られる。
OCBモードの液晶セル用途では、 Re (630)は 30以上 70nm以下が好ましぐ 35 以上 55nm以下が更に好ましい。 Rth (630)は 120以上 300nm以下が好ましぐ 15 0以上 260nm以下が更に好ましい。 OCBモードの液晶セル用途の光学補償シート は環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの上に配向層とディスコティック液晶 層を形成することで得られる。
[0079] [偏光板]
一般的に偏光板は、偏光子およびその両側に配置された 2枚の透明保護膜からな る。少なくとも一方の保護膜として、本発明の光学補償シートを用いることができる。 他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。偏光子には 、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリェン系偏光子がある。ョ ゥ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用 いて製造する。本発明の光学補償シートを偏光板保護膜として用いる場合、光学補 償シートは後述の如き表面処理を行 、、しかる後に光学補償シート処理面と偏光子 を接着剤を用いて貼り合わせる。使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアル コール、ポリビュルプチラール等のポリビュルアルコール系接着剤や、ブチルアタリレ ート等のビニル系ラテックス、ゼラチン等が挙げられる。偏光板は偏光子およびその 両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィ ルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルムおよび セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的 で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合 され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィ ルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ 貼合する面側に用いられる。
[0080] [光学異方性層の形成]
本発明の光学補償シートは、環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム上に光 学異方性層を有する。光学異方性層は、液晶性化合物、非液晶性化合物、無機化 合物、有機 Z無機複合化合物等がある。なかでも液晶性ィ匕合物が好ましく使用され る。液晶性ィ匕合物としては、重合性基を有する低分子化合物を配向させた後に光ま たは熱による重合により配向を固定ィヒするものや、液晶性高分子を加熱し配向させ た後に冷却しガラス状態で配向固定ィ匕するものを使うことができる。液晶性ィ匕合物と しては円盤状構造を有するもの、棒状構造を有するもの、光学的二軸性を示す構造 を有するものを使うことができる。非液晶性ィ匕合物としては、ポリイミド、ポリエステル等 の芳香族環を有する高分子を使うことができる。
以下に液晶性ィヒ合物による光学異方性層の形成方法を記載する。
[0081] (配向膜)
光学異方性層を形成する液晶性ィ匕合物の配向方向を規定するためには配向膜を 用いることが好ましい。配向膜は、有機化合物 (好ましくはポリマー)のラビング処理、 無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア' プロジェット法 (LB膜)による有機化合物(例、 ω—トリコサン酸、ジォクタデシルメチ ルアンモ -ゥムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることがで きる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配 向膜も知られている。配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好まし い。ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより 実施する。長さおよび太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい 。なお、光学異方性層の液晶性分子が配向膜上で配向固定化された後は、配向膜 を除去しても液晶性分子の配向状態を保つことができる。すなわち、配向膜は、液晶 性分子を配向させるため光学補償シートの製造においては必須であるが、製造され た光学補償シートにぉ ヽては必須ではな!ヽ。配向膜を環状ォレフィン系付加重合体 の基体フィルムと光学異方性層との間に設けるに先立って、環状ォレフィン系付加重 合体の基体フィルムの表面処理を行うことが好まし 、。表面処理にはコロナ放電処理 、グロ一放電処理あるいは火炎処理などがある。これら表面処理の詳しい方法につ いては後述する。表面処理を行った後必要に応じてさらに下塗り層(接着層)を環状 ォレフィン系付加重合体の基体フィルムと配向膜との間に設けてもよい。
[0082] 配向膜用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタタリレート、アクリル酸 Ζメタタリ ル酸共重合体、スチレン Ζマレインイミド共重合体、ポリビュルアルコール、ポリ(Ν— メチロールアクリルアミド)、スチレン Ζビュルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリ エチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビュル、塩素化ポリオレフイン、ポリエステル、ポ リイミド、酢酸ビュル Ζ塩化ビュル共重合体、エチレン Ζ酢酸ビニル共重合体、カル ボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポ リマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好まし 、ポリマー の例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビ
-ルアルコールおよびアルキル基 (炭素原子数 6以上が好まし!/、)を有するアルキル 変性ポリビュルアルコールを挙げることができる。
[0083] 中でもアルキル変性のポリビュルアルコールは特に好ましぐ液晶性化合物を均一 に配向させる能力に優れて 、る。これは配向膜表面のアルキル鎖と液晶のアルキル 側鎖との強い相互作用のためと推察される。また、アルキル基は、炭素原子数 6〜 14 が好ましぐ更に、— S—、—(CH ) C (CN)—または—(C H ) N— CS— S—を介
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してポリビニルアルコールに結合して 、ることが好まし 、。上記アルキル変性ポリビ- ルアルコールは、未端にアルキル基を有するものであり、ケン化度 80%以上、重合 度 200以上が好ましい。また、上記側鎖にアルキル基を有するポリビニルアルコール は、クラレ (株)製の MP103、 MP203、 Rl 130などの市販品を利用することができる
[0084] また、 LCDの配向膜として広く用いられているポリイミド膜 (好ましくはフッ素原子含 有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これはポリアミック酸 (例えば、 日立化成( 株)製の LQZLXシリーズ、 日産化学 (株)製の SEシリーズ等)を基体面に塗布し、 1 00〜300°Cで 0. 5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
[0085] 更に、本発明の環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムに適用される配向膜 は、上記ポリマーに反応性基を導入することにより、あるいは上記ポリマーをイソシァ ネートイ匕合物およびエポキシィ匕合物などの架橋剤と共に使用して、これらのポリマー を硬化させることにより得られる硬化膜であることが好ましい。
[0086] 配向膜に用いられるポリマーと、光学異方性層の液晶性化合物とが、これらの層の 界面を介して化学的に結合していることが好ましい。配向膜のポリマー力 ビニル部 分、ォキシラ-ル部分またはアジリジ -ル部分を有する基で、少なくとも一個のヒドロ キシル基が置換されたポリビュルアルコール力 形成されて 、ることが好まし 、。ビ- ル部分、ォキシラニル部分またはアジリジニル部分を有する基力 エーテル結合、ゥ レタン結合、ァセタール結合またはエステル結合を介してポリビュルアルコール誘導 体のポリマー鎖に結合していることが好ましい。ビニル部分、ォキシラ-ル部分または アジリジニル部分を有する基が、芳香族環を持たないことが好ましい。上記ポリビ- ルアルコール力 特開平 9— 152509号公報に記載の(化 22)であることが好ましい。
[0087] 光学異方性層は長尺の形態で偏光子と積層される。長尺のフィルム上を搬送しな 力 連続的に配向膜組成物の溶液を塗布することで配向膜を形成し、その表面を連 続的にラビング処理を行 、、その上に液晶性ィ匕合物を含む溶液を連続的に塗布す ることで、長尺の光学異方性層を得ることができる。
[0088] 前記長尺の光学異方性層の遅相軸方向は、フィルム面に対して実質的に平行方 向である。上記のように、長尺フィルム上に形成した配向膜を搬送しながら連続的に ラビング処理を行うことで液晶性ィ匕合物を配向させるときには、長手方向に対して平 行方向もしくは直交方向のどちらに液晶分子を配向させるかによつて適宜配向膜素 材を選ぶことができる。光学異方性層の遅相軸をラビング方向と平行に (すなわち、 長手方向と平行に)発現させたい場合には、ポリビニルアルコール系の配向膜などを 用いることができる。また、光学異方性層の遅相軸をラビング方向と直交に (すなわち 、長手方向と直交に)発現させたい場合には、特開 2002— 98836号公報の段落 [0 024]〜 [0210]に記載の直交配向膜などを用いることができる。広く一般に使用さ れているヨウ素を用いた偏光子は、連続縦一軸延伸プロセスによって製造されるため 、ロールの長手方向と平行に吸収軸がある。したがって、一般的な縦一軸延伸された 長尺の偏光子と長尺の光学異方性層を、偏光子の吸収軸と光学異方性層の遅相軸 が直交するようにロールトウロールにより貼り合せる場合には、上記直交配向膜を用 いるのが好ましい。
[0089] (液晶性化合物)
光学異方性層に用いる液晶は、ディスコティック化合物や棒状ィ匕合物が好ましく用 いられる。
ディスコティック化合物については特開平 7— 267902号、特開平 7— 281028号、 特開平 7— 306317号の各公報に詳細に記載されている。それらによると、光学異方 性層はディスコティック構造単位を有する化合物力 なる負の複屈折を有する層であ る。即ち、光学異方性層は、モノマー等の低分子量の液晶性ディスコティック化合物 層、または重合性の液晶性ディスコティック化合物の重合 (硬化)により得られるポリ マー層である。それらのディスコティック(円盤状)ィ匕合物の例としては、 C. Destrade らの研究報告、 Mol. Cryst. 71卷、 111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘
導体、 C. Destradeらの研究報告、 Mol. Cryst. 122卷、 141頁(1985年)、 Physi cs lett, A, 78卷、 82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、 B. Kohneら の研究報告、 Angew. Chem. 96卷、 70頁(1984年)に記載されたシクロへキサン 誘導体および J. M. Lehnらの研究報告、 J. Chem. Commun. , 1794頁(1985年 )、J. Zhangらの研究報告、 J. Am. Chem. Soc. 116卷、 2655頁(1994年)に記 載されているァザクラウン系やフエ-ルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げること ができる。上記ディスコティック(円盤状)ィ匕合物は、一般的にこれらを分子中心の母 核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾィルォキシ基等がその直鎖と して放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液 晶とよばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を 付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、前記公報におい て円盤状ィ匕合物力 形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はな ぐ例えば前記低分子ディスコティック化合物が熱、光等で反応する基を有しており、 結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったも のも含まれる。さら〖こ、ディスコティックネマティック相または一軸性の柱状相を形成し 得る、円盤状化合物の少なくとも一種を含有し、かつ光学異方性を有することを特徴 とする化合物を用いることが好ましい。また円盤状ィ匕合物がトリフエ-レン誘導体であ ることが好ましい。ここで、トリフエ-レン誘導体力 特開平 7— 306317号公報に記載 の(化 2)で表される化合物であることが好ま 、。
液晶性を示す棒状化合物(棒状液晶性ィ匕合物)としては、ァゾメチン類、ァゾキシ 類、シァノビフエ-ル類、シァノフエ-ルエステル類、安息香酸エステル類、シクロへ キサンカルボン酸フエ-ルエステル類、シァノフエ-ルシクロへキサン類、シァノ置換 フエ-ルビリミジン類、アルコキシ置換フエ-ルビリミジン類、フエ-ルジォキサン類、ト ラン類およびアルケニルシクロへキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上 のような低分子液晶性ィ匕合物だけではなぐ高分子液晶性ィ匕合物も用いることができ る。棒状液晶性ィ匕合物を重合によって配向を固定することがより好ましい。液晶分子 には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有 するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は 1〜6個、好ましくは 1〜3個で
ある。重合性棒状液晶性化合物としては、 Makromol. Chem. , 190卷、 2255頁( 1989年)、 Advanced Materials 5卷、 107頁(1993年)、米国特許 4683327号 明細書、同 5622648号明細書、同 5770107号明細書、国際公開 W095Z22586 号公報、同 95Z24455号公報、同 97,00600号公報、同 98,23580号公報、同 98Z52905号公報、特開平 1— 272551号公報、同 6— 16616号公報、同 7— 110 469号公報、同 11— 80081号公報、および特開 2001— 328973号公報などに記 載の化合物を用いることができる。
[0091] (液晶層の形成)
光学異方性層は、液晶性化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分 を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。塗布液の調製に使用す る溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド (例、 N, N ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合 物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、へキサン)、アルキルハライド(例、クロ口 ホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、ァセト ン、メチルェチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、 1, 2—ジメトキシェタン)が 含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用 してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法 (例、押し出しコーティング法、ダイレクトグ ラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実 施できる。光学異方性層の厚さは、 0. 5〜: L00 mであることが好ましぐ 0. 5〜30 μ mであることがさらに好ましい。
[0092] 配向させた液晶性分子の配向状態の固定ィ匕は、重合反応により実施することが好 ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる 光重合反応とが含まれるが、光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、 0C カルボニル化合物(米国特許 2367661号、同 2367670号の各明細書記載)、ァシ 口インエーテル (米国特許 2448828号明細書記載)、 a—炭化水素置換芳香族ァシ 口インィ匕合物 (米国特許 2722512号明細書記載)、多核キノンィ匕合物 (米国特許 30 46127号、同 2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーと p— ァミノフエ二ルケトンとの組み合わせ (米国特許 3549367号明細書記載)、アタリジン
およびフエナジンィ匕合物(特開昭 60— 105667号公報、米国特許 4239850号明細 書記載)およびォキサジァゾ一ルイ匕合物 (米国特許 4212970号明細書記載)が含ま れる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の 0. 01〜20質量%であることが 好ましぐ 0. 5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性分子の重合のための光 照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、 20〜5000miZcm2で あることが好ましぐ 100〜800mjZcm2であることがさらに好ましい。また、光重合反 応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、光学異方性 層の上に設けてもよい。
[0093] 上記の液晶性ィ匕合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して 、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性ィ匕合物の配向性等を向上させることが出来る 。これらの素材は液晶性ィ匕合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。 重合性モノマーとしては、ラジカル重合性もしくはカチオン重合性の化合物が挙げ られる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有 の液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開 2002— 296423号公 報明細書中の段落番号 [0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の 添加量は、液晶性分子に対して一般に 1〜50質量%の範囲にあり、 5〜30質量% の範囲にあることが好まし 、。
[0094] (光学異方性ポリマー層の形成)
次に光学異方性層がポリマーフィルムを含有する形態について説明する。ポリマー フィルムに使用される非液晶性ポリマーとしては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、 ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリアリールエーテル ケトン力もなる群力も選ばれる少なくとも一種のポリマーが好ましく使用できる。これら のポリマーを溶媒に溶解した溶液を、環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムに 塗布し、溶媒を乾燥させて膜化することによって光学異方性層を作成する。この際、 上記ポリマー膜と基体フィルムとを延伸して光学異方性を更に発現させて光学異方 性層として用いる手法も好ましく用いることができる。また、上記非液晶性ポリマー膜 を別の基材の上で作製しておき、非液晶性ポリマー膜を基材カも剥離させたのちに 、環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムと貼合してもよい。この非液晶性ポリマ
一膜の厚さは 50 μ m以下であることが好ましぐ 1〜20 μ mであることがより好ましい 非液晶性ポリマーよりなる光学異方性層の作成については、特開 2003— 315554 号公報に、光学異方性層(B)の呼称で詳細に記載されている。
[0095] (光学異方性層の特性)
このようにして得られた本発明の光学補償シートは、膜厚方向のレターデーンヨン R thが下記式を満たすことが好ま 、。
40nm≤Rth(630)≤300nm
さらに好ましくは 120nm≤Rth(630)≤260nmである。このような Rthの範囲であ ると VA型液晶表示装置の視野角改善に使用できるという効果を奏する。
[0096] [偏光板の作製]
本発明の偏光板は、偏光子と 2枚の保護膜 (保護フィルム)とを接着剤を用いて貼り あわせることにより作成する。少なくとも一方の保護フィルムには本発明の光学補償 シートを用いることが好ましい。もう一方の保護フィルムには一般的なセルローストリア セテートフィルムを用いることが出来る。以下本発明の偏光板の製造方法を順に説明 する。
(偏光層を形成する結合剤)
偏光層は、 PVA中に分散した偏光色素を一方向に配向させることにより形成できる 。 PVAは通常、ポリ酢酸ビュルをケン化したものであり、例えば不飽和カルボン酸、 不飽和スルホン酸、ォレフィン類、ビュルエーテル類のように酢酸ビュルと共重合可 能な成分を含有しても構わない。また、ァセトァセチル基、スルホン酸基、カルボキシ ル基、ォキシアルキレン基等を含有する変性 PVAも用いることができる。 PVAのケン 化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から 80〜: L00mol%がであることが好 ましぐ 90〜: L00mol%であることが特に好ましい。また PVAの重合度は特に限定さ れな ヽカ 1,000〜10,000であること力 子ましく、 1,500〜5,000であること力特に 好ましい。
[0097] (偏光層の染色)
偏光層の染色は、ヨウ素 ヨウ化カリウム水溶液に PVAフィルムを浸漬させて行う。
ヨウ素の含有量は 0. l〜20g/l、ヨウ化カリウムの含有量は l〜200g/lであること が適当であり、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は 1〜200であることが好ましい。染色 時間は 10〜5,000秒であることが好ましぐ染色液の温度は 5〜60°Cであることが好 ましい。染色方法は浸漬だけでなぐヨウ素 染料溶液の塗布又は噴霧等の任意の 手段を用いることができる。染色工程は、延伸工程の前および後のいずれでもよいが 、適度に膜が膨潤され延伸が容易になることから、延伸工程前に液相で染色すること が特に好ましい。
[0098] 本発明の偏光板では、上記ヨウ素以外の色素を用いることもできる。ヨウ素以外の 好ましい染料としては、例えば、ァゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、 トリフエ-ノレメタン系色素、キノリン系色素、ォキサジン系色素、チアジン系色素、アン トラキノン系色素等の色素系化合物などが挙げられる。
[0099] (偏光層の硬膜化)
延伸後の PVAの配向構造を固定するために、 PVAを架橋することが好ましい。架 橋剤としては、例えば、米国再発行特許第 232897号に記載されたものが使用でき る力 ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコ二 ゥム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。このような硬膜 化は、ホウ砂、ホウ酸の水溶液に染料を含浸させた PVAを浸漬させることにより達成 できる。ホウ砂、ホウ酸の含有量は 0. 1〜10モル /1であることが好ましぐ 0. 2〜5モ ル Z1であることがより好ましぐ 0. 2〜2モル Z1であることがさらに好ましい。硬膜ィ匕 の液温度は 10〜40°Cであり、より好ましくは 15〜35°Cである。浸漬時間は 10秒〜 1 0分であり、より好ましくは 20秒〜 5分である。この硬膜液の中にはヨウ化ナトリウム、ョ ゥ化カリウム等のヨウ化物塩を入れておくことも好ましい。ヨウ化物塩の濃度は 0. 1〜 10モル Z1であることが好ましぐ 0. 2〜5モル Z1であることがより好ましぐさらに好ま しくは 0. 2〜2モル Z1である。なお、硬膜化は、延伸前、延伸中および延伸後のいず れの工程にお!、て行ってもよ!、。
[0100] (偏光層の延伸)
延伸に先立ち、 PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は 1. 2〜2. 0倍 (膨潤前と膨潤 後の質量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴
内や二色性物質溶解の染色浴内で 15〜50°C、好ましくは 17〜40°Cの浴温で延伸 する。延伸は 2対の-ップロールで把持し、後段の-ップロールの搬送速度を前段の それより大きくすることで達成できる。延伸倍率は、延伸後 Z初期状態の長さ比 (以 下同じ)に基づくが前記作用効果の点より好ましい延伸倍率は 1. 2〜3. 5倍、好まし くは 1. 5〜3. 0倍である。この後、 50〜90°Cで乾燥させて偏光子を得る。
[0101] (環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの表面処理)
本発明では、偏光子と環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムとの接着性を改 良するため接着剤を塗布する前に、環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの 表面 (光学異方性層塗布面の反対側)を表面処理する。表面処理については、接着 性を改善できる限りいな力る方法を利用してもよいが、好ましい表面処理としては、例 えばグロ一放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理および火炎処理が挙げられる。 ここでいうグロ一放電処理とは、低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことで ある。本発明では大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。その他、グロ一放電処理の 詳細については、米国特許第 3462335号、米国特許第 3761299号、米国特許第 4072769号および英国特許第 891469号明細書に記載されている。放電雰囲気ガ ス組成を放電開始後にポリエステル支持体自身が放電処理を受けることにより容器 内に発生する気体種のみにした特表昭 59— 556430号公報に記載された方法も用 いられる。また真空グロ一放電処理する際に、フィルムの表面温度を 80°C以上 180 °C以下にして放電処理を行う特公昭 60— 16614号公報に記載された方法も適用で きる。
[0102] グロ一放電処理時の真空度は 0. 5〜3000Paが好ましぐより好ましくは 2〜300P aである。また、電圧は 500〜5000Vの間力 子ましぐより好まし <は 500〜3000Vで ある。使用する放電周波数は、直流から数千 MHz、より好ましくは 50Hz〜20MHz 、さらに好ましくは 1ΚΗζ〜1ΜΗζである。放電処理強度は、 0. OIKV'A'分 Zm2 〜5Κν·Α·分 Zm2が好ましぐより好ましくは 0. 15Κν·Α·分 Zm2〜: LKV'A'分 Z m (?める。
[0103] 本発明では、表面処理として紫外線照射法を行うことも好ま ヽ。例えば、特公昭 4 3— 2603号、特公昭 43— 2604号、特公昭 45— 3828号の各公報に記載の処理方
法によって行うことができる。水銀灯は石英管からなる高圧水銀灯で、紫外線の波長 力 Sl80〜380nmの間であるものが好ましい。紫外線照射の方法については、光源は フィルムの表面温度が 150°C前後にまで上昇することが支持体の性能上問題なけれ ば、主波長が 365nmの高圧水銀灯ランプを使用することができる。低温処理が必要 とされる場合には主波長が 254nmの低圧水銀灯が好まし、。またオゾンレスタイプ の高圧水銀ランプ、および低圧水銀ランプを使用する事も可能である。処理光量に 関しては処理光量が多いほど環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムと偏光子 との接着力は向上するが、光量の増加に伴い該フィルムが着色し、また脆くなるとい う問題が発生する。従って、 365nmを主波長とする高圧水銀ランプで、照射光量 20 〜10000 (nijZcm2)力 く、より好ましくは 50〜2000 (mjZcm2)である。 254nmを 主波長とする低圧水銀ランプの場合には、照射光量 100〜10000 (mjZcm2)がよく 、より好ましくは 300〜1500 (mjZcm2)である。
[0104] さらに、本発明では表面処理としてコロナ放電処理を行うことも好ましい。例えば、 特公昭 39— 12838号、特開昭 47— 19824号、特開昭 48— 28067号、特開昭 52 42114号の各公報に記載等の処理方法によって行うことができる。コロナ放電処 理装置は、 Pillar社製ソリッドステートコロナ処理機、 LEPEL型表面処理機、 VETA PHON型処理機等を用いることができる。処理は空気中での常圧にて行うことができ る。処理時の放電周波数は、 5〜40KV、より好ましくは 10〜30KVであり、波形は交 流正弦波が好ましい。電極と誘電体ロールのギャップ透明ランスは 0. 1〜: LOmm、よ り好ましくは 1. 0〜2. Ommである。放電は、放電帯域に設けられた誘電サポート口 一ラーの上方で処理し、処理量は、 0. 3〜0. 4Κν·Α·分 Zm2、より好ましくは 0. 34 〜0. 38Κν·Α·分 Zm2である。
[0105] 本発明では、表面処理として火炎処理を行うことも好ましい。用いるガスは天然ガス 、液ィ匕プロパンガス、都市ガスのいずれでもかまわないが、空気との混合比が重要で ある。
なぜなら、火炎処理による表面処理の効果は活性な酸素を含むプラズマによっても たらされると考えられるからであり、火炎の重要な性質であるプラズマの活性 (温度)と 酸素がどれだけ多くあるかがポイントである。このポイントの支配因子はガス Z酸素比
であり、過不足なく反応する場合にエネルギー密度が最も高くなりプラズマの活性が 高くなる。具体的には、天然ガス Z空気の好ましい混合比は容積比で 1Z6〜1Z10 、好ましくは 1Z7〜1Z9である。また、液ィ匕プロパンガス Z空気の場合は 1Z14〜1 Z22、好ましくは 1Z16〜: LZ19、都市ガス Z空気の場合は 1Z2〜: LZ8、好ましく は 1Z3〜: LZ7である。また、火炎処理量は l〜50KcalZm2、より好ましくは 3〜20 KcalZm2の範囲で行うとよい。またバーナーの内炎の先端とフィルムの距離は 3〜7 cm、より好ましくは 4〜6cmにするとよい。バーナーのノズル形状は、フリンバーナー 社 (米国)のリボン式、ワイズ社 (米国)の多穴式、エアロジェン(英国)のリボン式、春 日電機(日本)の千鳥型多穴式、小池酸素(日本)の千鳥型多穴式が好ま 、。火炎 処理にフィルムを支えるバックアップロールは中空型ロールであり、冷却水を通して 水冷し、常に 20〜50°Cの一定温度で処理するのがよい。
[0106] 表面処理の程度については、表面処理の種類、環状ォレフィン系付加重合体の種 類によって好ましい範囲も異なる力 表面処理の結果、表面処理を施されたフィルム の表面の純水との接触角が、 50° 未満となるのが好ましい。前記接触角は、 25° 以 上 45° 未満であるのがより好ましい。フィルム表面の純水との接触角が上記範囲に あると、環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムと偏光子との接着強度が良好と なる。
[0107] (接着剤)
本発明では、ポリビニルアルコール力 なる偏光子と、表面処理された環状ォレフィ ン系付加重合体の基体フィルムとを貼合する際には、水溶性ポリマーを含有する接 着剤を用いる。
前記接着剤に好ましく使用される水溶性ポリマーとしては、 N—ビュルピロリドン、ァ クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸 ーヒドロキシェチル、メタクリル酸 j8 —ヒドロキシェチル、ビュルアルコール、メチルビ-ルエーテル、酢酸ビュル、アタリ ルアミド、メタクリルアミド,ジアセトンアクリルアミド、ビュルイミダゾールなどエチレン 性不飽和モノマーを構成要素として有する単独重合体もしくは共重合体、またポリオ キシエチレン、ボリォキシプロピレン、ポリ 2—メチルォキサゾリン、メチルセルロース 、ヒドロキシェチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースゼラチン、などが挙げら
れる。本発明では、この中でも PVAおよびゼラチンが好ましい。
[0108] 接着剤に PVAを用いる場合の好ましい PVA特性は、前述の偏光子に用いる PVA の好ましい特性と同様である。本発明では、さらに架橋剤を併用することが好ましい。 PVAを接着剤に使用する場合に好ましく併用される架橋剤は、ホウ酸、多価アルデ ヒド、多官能イソシナネート化合物、多官能エポキシ化合物等が挙げられるが、本発 明ではホウ酸が特に好ま 、。
接着剤にゼラチンを用いる場合、いわゆる石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵 素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体および変性ゼラチン等を用いることができる。これら のゼラチンのうち、好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、酸処理ラチンである。 接着剤にゼラチンを用いる場合に、好ましく併用される架橋剤としては、活性ハロゲ ン化合物(2, 4 ジクロル— 6 ヒドロキシ— 1, 3, 5 トリァジンおよびそのナトリウム 塩など)および活性ビュル化合物(1, 3 ビスビニルスルホ-ルー 2 プロパノール、 1, 2—ビスビュルスルホ-ルァセトアミド)ェタン、ビス(ビュルスルホ -ルメチル)エー テルあるいはビニルスルホ-ル基を側鎖に有するビュル系ポリマーなど)、 N—カル バモイルピリジ -ゥム塩類(( 1 モルホリノカルボ-ルー 3 -ピリジ -ォ)メタンスルホ ナートなど)ゃハロアミジ -ゥム塩類(1— (1—クロ口 1—ピリジノメチレン)ピロリジ- ゥム 2—ナフタレンスルホナートなど)等が挙げられる。本発明では、活性ハロゲン化 合物および活性ビ-ルイ匕合物が特に好ましく使用される。
[0109] 上述の架橋剤を併用する場合の架橋剤の好ましい添加量は、接着剤中の水溶性 ポリマーに対し、 0. 1質量%以上、 40質量%未満であり、さらに好ましくは、 0. 5質 量%以上、 30質量%未満である。保護フィルムもしくは偏光子の少なくとも一方の表 面に接着剤を塗布して、接着剤層を形成して、貼合するのが好ましぐ保護フィルム の表面処理面に接着剤を塗布して、接着剤層を形成し、偏光子の表面に貼合する のが好ましい。接着剤層厚みは、乾燥後に 0. 01〜5 111カ 子ましく、 0. 05〜3 /ζ πι が特に好ましい。
[0110] (反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される保護フィルムには反射防止層などの機 能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では保護フィルム上に少なくとも光散
乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または保護フィルム上に中屈折 率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられ る。以下にそれらの好ましい例を記載する。
[0111] 保護フィルム上に光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層の好ましい例につい て述べる。
本発明の光散乱層にはマット粒子が分散しており、光散乱層のマット粒子以外の部 分の素材の屈折率は 1. 50〜2. 00の範囲にあることが好ましぐ低屈折率層の屈折 率は 1. 35〜: L 49の範囲にあることが好ましい。本発明においては光散乱層は、防 眩性とハードコート性を兼ね備えており、 1層でもよいし、複数層、例えば 2層〜 4層 で構成されていてもよい。
[0112] 反射防止層は、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さ Raが 0. 08〜0. 40 μ m、 10点平均粗さ Rzが Raの 10倍以下、平均山谷距離 Smが 1〜100 m、凹凸最 深部からの凸部高さの標準偏差が 0. 以下、中心線を基準とした平均山谷距 離 Smの標準偏差が 20 m以下、傾斜角 0〜5度の面が 10%以上となるように設計 することで、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成され、好ましい。
また、 C光源下での反射光の色味が a*値 2〜2、 b*値 3〜3、 380nm〜780n mの範囲内での反射率の最小値と最大値の比 0. 5〜0. 99であることで、反射光の 色味が-ユートラルとなり、好ましい。また C光源下での透過光の b*値が 0〜3とする ことで、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
また、面光源上と反射防止層の間に 120 m X 40 mの格子を挿入してフィルム 上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差が 20以下であると、高精細パネ ルに本発明のシートを適用したときのギラツキが低減され、好ましい。
[0113] 本発明の反射防止層は、その光学特性として、鏡面反射率 2. 5%以下、透過率 9 0%以上、 60度光沢度 70%以下とすることで、外光の反射を抑制でき、視認性が向 上するため好ましい。特に鏡面反射率は 1%以下がより好ましぐ 0.5%以下であるこ とが最も好ましい。ヘイズ 20%〜50%、内部ヘイズ Z全ヘイズ値 (比)が 0. 3〜1、光 散乱層までのヘイズ値から低屈折率層を形成後のヘイズ値の低下が 15%以内、くし 幅 0. 5mmにおける透過像鮮明度 20%〜50%、垂直透過光 Z垂直から 2度傾斜方
向の透過率比が 1. 5〜5. 0とすることで、高精細 LCDパネル上でのギラツキ防止、 文字等のボケの低減が達成され、好ましい。
[0114] (低屈折率層)
本発明の反射防止層における低屈折率層の屈折率は、 1. 20〜: L 49であり、好ま しくは 1. 30〜: L 44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式 (IX)を満たすこと が低反射率化の点で好まし 、。
数式(IX): (m /4) X O. 7<nldl < (m /4) X I. 3
式中、 mは正の奇数であり、 nlは低屈折率層の屈折率であり、そして、 dlは低屈折 率層の膜厚(nm)である。また、 λは波長であり、 500〜550nmの範囲の値である。
[0115] 本発明の低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
本発明の低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含む。 フッ素ポリマーとしては動摩擦係数 0. 03-0. 20、水に対する接触角 90〜 120° 、 純水の滑落角が 70° 以下の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが 好ましい。本発明の反射防止層を画像表示装置に装着した時、市販の接着テープと の剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましぐ 500gf 以下が好ましぐ 300gf以下がより好ましぐ lOOgf以下が最も好ましい。また、微小 硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難ぐ 0. 3GPa以上が好ましぐ 0 . 5GPa以上がより好ましい。
[0116] 低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルォロアルキル基含有シ ランィ匕合物(例えば (ヘプタデカフルオロー 1, 1, 2, 2—テトラヒドロデシル)トリェトキ シシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与の ための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
[0117] 含フッ素モノマーの具体例としては、例えばフルォロォレフイン類(例えばフルォロ エチレン、ビ-リデンフルオライド、テトラフルォロエチレン、パーフルォロォクチルェ チレン、へキサフルォロプロピレン、パーフルオロー 2, 2—ジメチルー 1, 3—ジォキ ソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類 ( 例えばビスコート 6FM (大阪有機化学製)や M— 2020 (ダイキン製)等)、完全また は部分フッ素化ビュルエーテル類等が挙げられる力 好ましくはパーフルォロォレフ
イン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点力 特に好ましくはへキサ フルォロプロピレンである。
[0118] 架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル (メタ)アタリレート、グリシジ ルビ-ルエーテルのように分子内にあら力じめ自己架橋性官能基を有するモノマー の重合によって得られる構成単位、カルボキシル基ゃヒドロキシ基、アミノ基、スルホ 基等を有するモノマー(例えば (メタ)アクリル酸、メチロール (メタ)アタリレート、ヒドロ キシアルキル(メタ)アタリレート、ァリルアタリレート、ヒドロキシェチルビ-ルエーテル 、ヒドロキシブチルビ-ルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られ る構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって (メタ)アクリルロイル基等の架 橋反応性基を導入した構成単位 (例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作 用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
[0119] また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤へ の溶解性、皮膜の透明性等の観点力 適宜フッ素原子を含有しな 、モノマーを共重 合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなぐ例えばォレフィン 類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビュル、塩化ビ-リデン等)、アクリル酸ェ ステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ェチル、アクリル酸 2—ェチ ルへキシル)、メタクリル酸エステル類 (メタクリル酸メチル、メタクリル酸ェチル、メタク リル酸ブチル、エチレングリコールジメタタリレート等)、スチレン誘導体 (スチレン、ジ ビュルベンゼン、ビュルトルエン、 aーメチルスチレン等)、ビュルエーテル類(メチル ビ-ノレエーテノレ、ェチノレビ-ノレエーテノレ、シクロへキシノレビ-ノレエーテノレ等) ビ- ルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビュル、桂皮酸ビュル等)、アクリルアミド類 (N— tert—ブチルアクリルアミド、 N—シクロへキシルアクリルアミド等)、メタクリルァ ミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
[0120] 上記のポリマーに対しては特開平 10— 25388号および特開平 10— 147739号各 公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
[0121] (光散乱層)
光散乱層は、表面散乱および Zまたは内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐 擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従
つて、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット 粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィ ラーを含んで形成される。
[0122] 光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する観点並びにカールの発生および脆 性の悪化の抑制の観点から、 1〜: LO /z mが好ましぐ 1. 2〜6 mがより好ましい。
[0123] 光散乱層のバインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖とし て有するポリマーであることが好ましぐ飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマー であることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ま しい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性 不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋 構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有する モノマーの(共)重合体が好ましい。バインダーポリマーを高屈折率にするには、この モノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、 および窒素原子力 選ばれた少なくとも 1種の原子を含むものを選択することもできる
[0124] 二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと (メタ )アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ (メタ)アタリレート、ブタンジォー ルジ(メタ)アタリレート、へキサンジオールジ (メタ)アタリレート、 1, 4ーシクロへキサン ジアタリレート、ペンタエリスリトールテトラ (メタ)アタリレート)、ペンタエリスリトールトリ( メタ)アタリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アタリレート、トリメチロールェタントリ (メタ)アタリレート、ジペンタエリスリトールテトラ (メタ)アタリレート、ジペンタエリスリト 一ルペンタ(メタ)アタリレート、ジペンタエリスリトールへキサ(メタ)アタリレート、ペンタ エリスリトールへキサ(メタ)アタリレート、 1, 2, 3 シクロへキサンテトラメタタリレート、 ポリウレタンポリアタリレート、ポリエステルポリアタリレート)、上記のエチレンォキサイ ド変性体、ビュルベンゼンおよびその誘導体(例、 1, 4ージビュルベンゼン、 4ービ- ル安息香酸 2—アタリロイルェチルエステル、 1, 4ージビュルシクロへキサノン)、 ビュルスルホン (例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド )およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは 2種以上併用してもよい。
[0125] 高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4ーメタクリロイルチオフエ-ル)スルフィ ド、ビュルナフタレン、ビュルフエ-ルスルフイド、 4ーメタクリロキシフエ-ルー 4'ーメト キシフエ-ルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも 2種以上併用してもよ い。
[0126] これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるい は熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる 従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジ カル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を支持 体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して光散乱層を形成 することができる。これらの光ラジカル開始剤等は公知のものを使用することができる
[0127] ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポキシィ匕合物の開環重合体 が好ましい。多官能エポキシィ匕合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生 剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポキシィ匕合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子およ び無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放 射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。
[0128] 二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれにカ卩えて、 架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この 架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。 架橋性官能基の例には、イソシアナ一ト基、エポキシ基、アジリジン基、ォキサゾリ ン基、アルデヒド基、カルボ-ル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基およ び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シァノアクリレート誘導 体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランの ような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブ ロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用い てもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すもので
はなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよ ヽ。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって 架橋構造を形成することができる。
[0129] 光散乱層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きぐ平均粒径が 1〜10
/z m、好ましくは 1. 5〜7. 0 mのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または榭脂 粒子が含有される。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、 TiO粒子等の無機化合物の
2
粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミ ン榭脂粒子、ベンゾグアナミン榭脂粒子等の榭脂粒子が好ましく挙げられる。なかで も架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好 ましい。マット粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
[0130] また、粒子径の異なる 2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒 子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性 を付与することが可能である。
[0131] さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましぐ各 粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも 20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割 合は全粒子数の 1%以下であることが好ましぐより好ましくは 0. 1%以下であり、さら に好ましくは 0. 01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の 合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くする ことにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
[0132] 上記マット粒子は、形成された光散乱層のマット粒子量が好ましくは 10〜: LOOOmg より好ましくは 100〜700mg/m2となるように光散乱層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンタ一法により測定し、測定された分布を 粒子数分布に換算する。
[0133] 光散乱層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、 ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちょり選ばれる少な くとも 1種の金属の酸化物力 なり、平均粒径が 0. 以下、好ましくは 0. 以
下、より好ましくは 0. 06 m以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。 また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用い た光散乱層では層の屈折率を低目に保っためにケィ素の酸ィ匕物を用いることも好ま
LV、。好まし 、粒径は前述の無機フィラーと同じである。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、 TiO
2、 ZrO
2、 Al O
2 3、 In O 2 3
、 ZnO、 SnO、 Sb O、 ITOと SiO等が挙げられる。 TiOおよび ZrOが高屈折率化
2 2 3 2 2 2
の点で特に好まし 、。該無機フイラ一は表面をシランカップリング処理またはチタン力 ップリング処理されることも好ましぐフィラー表面にバインダー種と反応できる官能基 を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の 10〜90質量%であること が好ましぐより好ましくは 20〜80質量%であり、特に好ましくは 30〜75質量%であ る。
なお、このようなフイラ一は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず 、ノインダーポリマーに該フイラ一が分散した分散体は光学的に均一な物質として振 舞う。
[0134] 光散乱層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルタの屈折率は、 1. 48〜 2. 00であることが好ましぐより好ましくは 1. 50-1. 80である。屈折率を上記範囲 とするには、バインダーおよび無機フィラーの種類および量割合を適宜選択すれば よい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
[0135] 光散乱層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、 フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を塗布組成物中 に含有する。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の 反射防止層の塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるた め、好ましく用いられる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより 生産性を高めることが目的である。
[0136] 次に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層につ いて述べる。
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層 (最外層)の順序の層構
成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。 高屈折率層の屈折率 >中屈折率層の屈折率 >透明支持体の屈折率 >低屈折率 層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中 屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなってもよい(例えば、特 開平 8— 122504号公報、同 8— 110401号公報、同 10— 300902号公報、特開 20 02— 243906号公報、特開 2000— 111706号公報等参照)。また、各層に他の機 能を付与させてもよぐ例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層と したもの(例、特開平 10— 206603号公報、特開 2002— 243906号公報等)等が挙 げられる。
反射防止層のヘイズは、 5%以下あることが好ましぐ 3%以下がさらに好ましい。ま た膜の強度は、 JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で H以上であることが好ましぐ 2H 以上であることがさらに好ましぐ 3H以上であることが最も好ましい。
[0137] (高屈折率層および中屈折率層)
反射防止層の高い屈折率を有する層は、平均粒径 lOOnm以下の高屈折率の無 機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から 成る。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率 1. 65以上の無機化合物が挙げら れ、好ましくは屈折率 1. 9以上のものが挙げられる。例えば、 Ti、 Zn、 Sb、 Sn、 Zr、 Ce、 Ta、 La、 In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。 このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること (例えば、 シランカップリング剤等:特開平 11— 295503号公報、同 11— 153703号公報、特 開 2000— 9908、ァ-オン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開 2001— 31 0432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開 2001 — 1661042001— 310432号公報等)、特定の分散剤併用(例、特開平 11 1537 03号公報、米国特許第 6210858号明細書、特開 2002— 2776069号公報等)等 挙げられる。
[0138] マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性榭脂、硬化性榭脂皮膜
等が挙げられる。
更に、ラジカル重合性および Zまたはカチオン重合性の重合性基を少なくとも 2個 有する多官能性化合物含有組成物と、加水分解性基を有する有機金属化合物およ びその部分縮合体を含有する組成物とから選ばれる少なくとも 1種の組成物が好まし い。例えば、特開 2000— 47004号公報、同 2001— 315242号公報、同 2001— 3 1871号公報、同 2001— 296401号公報等に記載の組成物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属 アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開 2001— 29381 8号公報等に記載されて ヽる。
[0139] 高屈折率層の屈折率は、一般に 1. 70-2. 20である。高屈折率層の厚さは、 5n m〜10 μ mであることが好ましぐ 10nm〜l μ mであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値 となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、 1. 50〜: L 70であることが好ましい 。また、厚さは 5ηπ!〜 10m であることが好ましぐ ΙΟηπ!〜 1 μ mであることがさらに 好ましい。
[0140] (低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は 1. 20〜: L 55である。好ましくは 1. 30〜: L 50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大き く向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入 、フッ素の導入等力も成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は 1. 35〜: L 50であることが好ましい。より好ましくは 1. 36-1. 47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を 35〜80質量%の範囲で含 む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好まし ヽ。
例えば、特開平 9 222503号公報明細書段落番号 [0018]〜[0026]、同 11 38202号公報明細書段落番号 [0019]〜 [0030]、特開 2001— 40284号公報明 細書段落番号 [0027]〜 [0028]、特開 2000— 284102号公報等に記載の化合物 が挙げられる。
シリコーンィ匕合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に 硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが 好ましい。例えば、反応性シリコーン (例、サイラプレーン (チッソ (株)製等)、両末端 にシラノール基含有のポリシロキサン (特開平 11 - 258403号公報等)等が挙げられ る。
[0141] 架橋または重合性基を有する含フッ素および Zまたはシロキサンのポリマーの架橋 または重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗 布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが 好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含 有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も 好ましい。
例えば、ポリフルォロアルキル基含有シランィ匕合物またはその部分加水分解縮合 物(特開昭 58— 142958号公報、同 58— 147483号公報、同 58— 147484号公報 、特開平 9— 157582号公報、同 11— 106704号公報記載等記載の化合物)、フッ 素含有長鎖基であるポリ「パーフルォロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合 物(特開 2000— 117902号公報、同 2001— 48590号公報、同 2002— 53804号 公報記載の化合物等)等が挙げられる。
[0142] 低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤 (例えば、二酸化珪素 (シリカ)、含 フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平 均径が l〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平 11— 3820号公報の段落番号 [ 0020]〜 [0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性 剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法 (真空蒸着法 、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ CVD法等)により形成されても 良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、 30〜200nmであることが好ましぐ 50〜150nmであること 力 Sさらに好ましぐ 60〜120nmであることが最も好ましい。
[0143] (反射防止層の他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護 層等を設けてもよい。
[0144] (ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止層を設けた保護フィルムに物理強度を付与するために
、保護フィルムの表面に設ける。特に、保護フィルムと前記高屈折率層の間に設ける ことが好ましい。ハードコート層は、光および Zまたは熱の硬化性化合物の架橋反応 、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合 性官能基が好ましぐまた加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコ キシシリル化合物が好ま 、。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられ る。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開 2002— 144913 号公報、同 2000— 9908号公報、国際公開第 00Z46617号パンフレット等記載の ものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で 記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成す ることが好ましい。
ハードコート層は、平均粒径 0. 2〜: LO /z mの粒子を含有させて防眩機能 (アンチグ レア機能)を付与した防眩層を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の 膜厚は、 0. 2〜: LO /z mであることが好ましぐより好ましくは 0. 5〜7 /ζ πιである。 ハードコート層の強度は、 JIS Κ5400に従う鉛筆硬度試験で、 Η以上であることが 好ましぐ 2Η以上であることがさらに好ましぐ 3Η以上であることが最も好ましい。ま た、 JIS Κ5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど 好ましい。
[0145] (帯電防止層)
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が 10— 8 ( Ω cm"3)以下の導電性を付与す ることが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリ
マー、ァ-オンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により 10— 8 ( Ω «η 3)の体積抵抗 率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きぐ低湿では十分な導電性を確保で きない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸ィ匕物が好ましい。金属酸 化物には着色しているものがある力 これらの金属酸ィ匕物を導電性層素材として用い るとフィルム全体が着色してしま 、好ましくな 、。着色のな 、金属酸化物を形成する 金属として Zn、 Ti、 Al、 In、 Si、 Mg、 Ba、 Mo、 W、または Vをあげることができ、これ を主成分とした金属酸ィ匕物を用いることが好ましい。具体的な例としては、 ZnO、 Ti O 、 SnO 、 Al O 、 In O 、 SiO 、 MgO、 BaO、 MoO 、 V O等、あるいはこれらの複
2 2 2 3 2 3 2 3 2 5
合酸化物がよぐ特に ZnO、 TiO、および SnOが好ましい。異種原子を含む例とし
2 2
ては、例えば ZnOに対しては Al、 In等の添加物、 SnOに対しては Sb、 Nb、ハロゲ
2
ン元素等の添加、また TiOに対しては Nb、 TA等の添加が効果的である。更にまた
2
、特公昭 59— 6235号公報に記載の如ぐ他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物( 例えば酸ィ匕チタン)に上記の金属酸ィ匕物を付着させた素材を使用しても良い。尚、 体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできな 、が、体 積抵抗値で 10— 8 ( Ω cm"3)以下の導電性を確保するためには、該導電層が概ね 10— 1Q ( Q /U)以下の表面抵抗値を有して 、ればよく更に好ましくは 10—8 ( Ω Z口)である 。導電層の表面抵抗値は帯電防止層を最表層としたときの値として測定されることが 必要であり、本特許に記載の積層フィルムを形成する途中の段階で測定することが できる。
[0146] [液晶表示装置]
本発明の光学補償シートを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶 表示装置に用いることができる。 TN (Twisted Nematic)、 IPS (In— Plane Swit ching)、 FLC (Ferroelectric Liquid Crystal)、 AFLC (Anti— ferroelectric L iquid Crystal)、 OCB (Optically Compensatory Bend)、 STN (Supper Twi sted Nematic) , VA (Vertically Aligned)および HAN (Hybrid Aligned Ne matic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち特に、 TNモード、 OCB モードおよび VAモードに好ましく用いることができる。
[0147] (OCB型液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的 に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表 示装置である。 OCBモードの液晶セルは、米国特許第 4583825号、同 5410422 号の各明細書に開示されて 、る。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称 的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有す る。そのため、この液晶モードは、 OCB (Optically Compensatory Bend)液晶 モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点 がある。
(VA型液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に 配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直 に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義の VAモードの液晶セル (特開平 2— 176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、 VAモードをマ ルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、 Digest of tech. Papers (予稿 集) 28 (1997) 845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配 向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n— ASMモード)の液 晶セル(日本液晶討論会の予稿集 58〜59 (1998)記載)および (4) SURVAIVAL モードの液晶セル (LCDインターナショナル 98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光 板カゝらなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の液 晶表示装置の一つの態様では、本発明の光学補償シートは、液晶セルと一方の偏 光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配 置する。
本発明の液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏 光板の透明保護膜として、本発明の光学補償シートが用いられる。一方の偏光板の( 液晶セルと偏光子との間の)透明保護膜のみに上記の光学補償シートを用いてもよ いし、あるいは双方の偏光板の (液晶セルと偏光子との間の)二枚の透明保護膜に、
上記の光学補償シートを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記光学補償シートを 使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護膜として使用 するのが特に好ましい。液晶セルへの張り合わせは、本発明の環状ォレフィン系付 加重合体の基体フィルムは VAセル側にすることが好ま ヽ。保護膜は通常のセル口 一スァシレートフィルムでも良い。たとえば、 40〜80 m力好ましく、巿販の KC4UX 2M (コ-カオプト株式会社製 40 μ m)、 KC5UX (コ-カオプト株式会社製 60 μ m) 、 TD80 (富士写真フィルム製 80 μ m)等が挙げられる力 これらに限定されない。
[0149] (TN型液晶表示装置)
本発明の光学補償シートを、 TNモードの液晶セルを有する TN型液晶表示装置の 光学補償シートの支持体として用いてもょ 、。 TNモードの液晶セルと TN型液晶表 示装置については、古くから良く知られている。例えば、特開平 3— 9325号、特開平 6— 148429号、特開平 8— 50206号、特開平 9— 26572号の各公報に記載がある 。また、モリ(Mori)他の論文 (Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 36 (1997) p. 143 や、 Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 36 (1997) p. 1068)に記載力 Sある。
実施例
[0150] 以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は下記例に限定され ない。
尚、本実施例において、「部」とは「質量部」を示すものである。
[測定法]
以下、フィルムの諸特性は以下の方法で測定して実施した。
(レターデーシヨン)
本明細書において、 Re (え)、 Rth( )は各々、波長えにおける面内のリタ一デーシ ヨンおよび厚さ方向のリタ一デーシヨンを表す。 Re( )は KOBRA 21ADHまたは WR( 王子計測機器 (株)製)にお ヽて波長 λ nmの光をフィルム法線方向に入射させて測 定される。 1¾11(ぇ)は前記1^(ぇ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたは WRによ り判断される)を傾斜軸(回転軸)として (遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意 の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向力 片側 50度まで 10 度ステップで各々その傾斜した方向から波長 λ nmの光を入射させて全部で 6点測定
し、その測定されたレタデーシヨン値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値 を基に KOBRA 21ADHまたは WRが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として( 遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の 2方向 力 レタデーンヨン値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚 値を基に、以下の式(1)及び式 (2)より Rthを算出することもできる。ここで平均屈折 率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS, INC)、各種光学フィ ルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものにつ V、てはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を 以下に例示する: セルロースァシレート(1. 48)、シクロォレフインポリマー(1. 52) 、ポリカーボネート(1. 59)、ポリメチノレメタタリレート(1. 49)、ポリスチレン(1. 59)で ある。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、 KOBRA 21ADHまたは W Rは nx、 ny、 nzを算出する。この算出された nx,ny,nzより Nz= (nx- nz)/(nx- ny)が更に 算出される。
[0151] [数 1]
( in ( - cos{si -n ί 、 )、)
-式(1 )
[0152] 注記:上記の Re( Θ )は法線方向力 角度 Θ傾斜した方向におけるレタデーシヨン値 をあらわす。
[0153] Rth=( (nx+ny) /2 - nz) x d --- 式(2)
[0154] (含水率)
試料 7mm X 35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA— 03、 VA—05、共に三菱 化学 (株) )にてカールフィッシャー法で測定。水分量 (g)を試料質量 (g)で除して算 出した。
(動摩擦係数)
動摩擦係数は、 JISや ASTMが規定する方法に従 ヽ、鋼球を用いて測定できる。 (ヘイズ)
ヘイズは日本電色工業 (株)製 1001DP型ヘイズ計を用いて測定できる。
[0155] (剥離抵抗)
剥離荷重の測定は次のようにして行う。製膜装置の金属支持体と同じ材質'表面粗 さの金属板上にドープを滴下し、ドクターブレードを用いて均等な厚さに展延し乾燥 する。カッターナイフでフィルムに均等幅の切れ込みを入れ、フィルムの先端を手で 剥がしてストレンゲージにつながったクリップで挟み、ストレンゲージを斜め 45度方向 に引き上げながら、荷重変化を測定する。剥離されたフィルム中の揮発分も測定する 。乾燥時間を変えて何回か同じ測定を行い、実際の製膜工程における剥離時残留 揮発分と同じ時の剥離荷重を定める。以下の実施例で調製した製膜用ドープを用い て剥離荷重を測定し、フィルム幅 lcm当たりの剥離抵抗値を算出し、表 1に示した。 剥離フィルムの残留溶剤濃度が 20から 28質量%のときの最大剥離荷重値を採用し た。
[0156] (実施例 1)
[基体フィルム製膜]
(環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム F— 11の製膜)
三井化学製ァペル APL5014 (Tgl35°C)を 90°Cで予熱したまま、内径 50mm、 L ZD = 28の単軸押出機を用いて溶融した。なお、入口側温度は 200°C、出口側温 度は 140°Cであった。押出機の出口に焼結フィルター、ギヤポンプを経て Tダイから 押し出した。
冷却工程では 3本の冷却ロールを用いた。これらの冷却ロールは、いずれも間隔が 3cmとなるように配置した。最もダイに近い第 1冷却ロールの温度(130°C)、および 第 2冷却ロールの温度力 第 1冷却ロールの温度を引いた値は 3°C、第 2冷却ロール の温度力 第 3冷却ロールの温度を引いた値は 13°Cであった。
[0157] また、これらのロールの搬送速度 (第 1冷却ロールの搬送速度(Sr = 50mZ分)に
1
対する、第 2冷却ロールの搬送速度 (Sr )と第 1冷却ロールの搬送速度 (Sr )との差
2 1 の比(A Sr (%)= 100 X (Sr Sr )ZSr )は 1%、第 2冷却ロールの搬送速度
(Sr )に対する、第 3冷却ロール (Sr )と第 2冷却ロールの搬送速度(Sr )との差の比(
2 3 2
A Sr (%)= 100 X (Sr Sr )ZSr )は 1%であった。これらの冷却ロールは、すべて
23 2 3 2
120°Cのケーシング内に配置した。また、第 1冷却ロールには、静電印加法を用い、 第 1冷却ロール上のシート幅 1. 7mに対し、 0. 17m幅だけ押圧した。
上記のようにして密に配置した冷却ロール間の冷却速度は 2°CZ秒であった。なお 、冷却速度は、第 1冷却ロールに設置したフィルム温度と、最終冷却ロールから剥ぎ 取られる直前のシート温度との差を、この間を通過するのに要した時間で除した値で 示した。
最終冷却ロールの後、ロール間隔 0. 5mで配置した間を冷却速度 2°CZ秒で搬送 した。得られたフィルムの厚みは 79 mであった。この後、片面にラミフィルムを付け た後、両端を 10%ずつトリミング(スリット)し 3,OOOm巻き取った。このフィルム(F— 1 1)を、 KOBRA 21ADH (王子計測機器 (株)製)で測定した面内レターデーシヨン Re は lnm、膜厚方向のレターデーシヨン Rthは 4nmであった。
[0158] (環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム F— 21の製膜)
<環状ポリオレフイン重合体 P— 1の合成 >
精製トルエン 100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル 100質量部を反 応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したェチルへキサノエ一トー Ni25mmol % (対モノマー質量)、トリ(ペンタフルォロフエ-ル)ボロン 0. 225mol% (対モノマー 質量)およびトルエンに溶解したトリェチルアルミニウム 0. 25mol% (対モノマー質量 )を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら 18時間反応させた。反応終了後過剰の エタノール中に反応混合物を投入し、共重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得 られた共重合体 (P— 1)を真空乾燥で 65°C 24時間乾燥した。
[0159] 共重合体 (P— 1)
[化 9]
[0160] 下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径 3
4 μ mのろ紙および平均孔径 10 μ mの焼結金属フィルターでろ過した。
[0161] [表 1]
環状ォレフィン系付加重合体溶液 環状ォレフィン系付加重合体 P— 1 1 5 0質量部 メチレンクロライド 4 0 0質量部 メタノール 5 0質量部
[0162] 次に上記方法で作成した環状ポリオレフイン溶液を含む下記組成物を分散機に投 入し、マット剤分散液を調製した。
[0163] [表 2]
マツト剤分散液 平均粒径 1 6 n mのシリ力粒子
(a e r o s i 1 R 9 7 2 H本ァェ口ジル (株) 製 2. 0質量部 メチレンクロライ ド 7 2. 4質量部 メタノ一ル 1 0. 8質量部 環状ォレフィン系付加重合体溶液 1 0. 3質量部
[0164] 上記環状ォレフィン系付加重合体溶液を 100質量部、マット剤分散液を 1.35質量 を混合し、製膜用ドープを調製した。
上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が 15から 25質量0 /0で バンド力も剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて幅方向に延伸して、フィルムに皺 が入らないように保持しながら、 120°Cの熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬 送からロール搬送に移行し、更に 120°Cから 140°Cで乾燥し巻き取った。できたフィ ルム(F— 21)の特性は表 1に示す。
[0165] (環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム F— 31、 F— 41の製膜)
下記組成物を用いて F— 21製膜と同様にしてドープを調製した。
[0166] [表 3]
環状ォレフィン系付加重合体溶液
Ap p e a r 3000 1 50質量部 メチレンクロライ ド 4 20質量部 メタノール 30質量部
[0167] [表 4]
マツト剤分散液 平均粒径 1 6 nmのシリカ粒子
(a e r o s i l R 9 72 日本ァエロジル (株) 製 2. 0質量部 メチレンク口ライ ド 77. 6質量部 メタノール 5. 6質量部 環状ォレフィン系付加重合体溶液 1 0. 3質量部
[0168] フィルム F— 21と同じようにして製膜し、フィルム F— 31及び F— 41を作成した。
[0169] (環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム F— 51の製膜)
下記組成物を用いて F— 21製膜と同様にしてドープを調製した。
[0170] [表 5]
環状ォレフィン系付加重合体溶液
Ap p e a r 3000 1 50質量部 メチレンクロライ ド 4 1 0質量部 エタノーノレ 40質量部
[0171] [表 6]
マツト剤分散液 平均粒径 1 6 n mのシリ力粒子
(a e r o s i l R 9 7 2 日本ァエロジル (株) 製 2質量部 メチレンクロライ ド 78質量部 エタノーノレ 5質量部 環状ォレフィン系付加重合体溶液 1 0質量部
[0172] フィルム F— 21と同じようにして製膜し、フィルム F— 51を作成した。
[0173] (環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム F— 61の製膜)
下記組成物を用いて F— 21製膜と同様にしてドープを調製した。
[0174] [表 7]
環状ォレフィン系付加重合体溶液
Ap p e a r 3000 1 50質量部 メチレンク口ライ ド 450質量部
[0175] [表 8]
マツト剤分散彼 平均粒径 1 6 n mのシリ力粒子
(a e r o s i 1 R 972 日本ァエロジル (株) 製 2質量部 メチレンクロライ ド 83質量部 環状ォレフィン系付加重合体溶液 1 0質量部
[0176] フィルム F— 21と同じようにして製膜し、フィルム F— 61を作成した。
[0177] 下記表 1に作成した実施例 F-11 F-51及び比較例 F-61の環状ォレフィン系付加 重合体の基体フィルムの特性を記す。
[0178] [表 9] ほ 1 )
[0179] (実施例 2)
[環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの表面処理]
環状ォレフィン系付カ卩重合体の基体フィルム F— 11、 F21、F—31、F—41、F—5 1および F— 61を、真鍮製の上下電極間(アルゴンガス雰囲気)で、グロ一放電処理( 周波数 3000Hz、 4200Vの高周波数電圧を上下電極間に引加、 20秒処理)してフ イルム F— 12、 F— 22、 F— 32、 F— 42、 F— 52および F— 62を作製した。グロ一放 電処理した保護フィルム表面の純水の接触角はすべて 36° から 41° の間であった 。接触角は協和界面科学株式会社製の接触角計 CA—X型により測定した。
[0180] (実施例 3— 1)
[光学補償シート L— 31作成]
(配向膜の形成)
環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム F— 31上に、下記の組成の塗布液を # 14のワイヤーバーコ一ターで 24mL/m2塗布した。 60°Cの温風で 60禾少、さらに 9 0°Cの温風で 150秒乾燥した。次に、環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの 長手方向(搬送方向)を 0° とし、時計方向の 135° 方向に、形成した膜にラビング 処理を実施した。
[0181] (配向膜塗布液の組成)
下記の変性ポリビュルアルコール 40質量部
水 728質量部
メタノーノレ 228質量咅
ダルタルアルデヒド (架橋剤) 2質量部
クェン酸エステル (AS3、三共化学 (株)) 0. 69質量部
[0182] [化 10] 変性ポリビニルアルコール
[0183] (光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記のディスコティック液晶性ィ匕合物 41. 01kg,エチレンォキシド変
性トリメチロールプロパントリアタリレード 'V # 360" {大阪有機化学 (株)製 }4. 06kg 、セルロースアセテートブチレード' CAB531-1" (イーストマンケミカル社製) 0. 29k g、光重合開始剤「ィルガキュア 907」 {チバ'スペシャルティ ·ケミカルズ (株)製 } 1. 3 5kg、増感剤「カャキュア一 DETX」 {日本化薬 (株)製 }0. 45kg,クェン酸エステル" AS3" {三協化学 (株)製 }0. 45kgを、 102kgのメチルェチルケトンに溶解した塗布 液に、フルォロ脂肪族基含有共重合体「メガファック F780」 {大日本インキ (株)製 }を 0. 1kg加え、 # 2. 7のワイヤーバーを 391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に 回転させて、 20mZ分で搬送されて ヽるフィルム F - 31の配向膜面に連続的に塗布 した。室温から 100°Cに連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、 135°C の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶性ィ匕合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送 方向に平行に 1. 5mZ秒となるようにし、約 90秒間加熱し、ディスコティック液晶性ィ匕 合物を配向させた。次に、 80°Cの乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が 約 100°Cの状態で、紫外線照射装置 (紫外線ランプ:出力 160WZcm、発光長 1. 6 m)により、照度 600mWの紫外線を 4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコテ イツク液晶性ィ匕合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き 取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状の、光学異方性層を有する 光学補償シート L31を作製した。光学異方性層の厚さは 1. 6 mであった。
[0184] [化 11] ディスコティック液晶性化合物
[0185] 自動複屈折測定装置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 }を用いて測定し た光学異方性層の Reは 27nmであった。さらに、できた光学補償シートから光学異 方性層のみを剥離し、 β値および光学異方性層の分子対称軸の平均方向を自動複
屈折測定装置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 }により測定したところ、 β 値は 33° 、分子対称軸の平均方向は基体環状ポリオレフインフィルムの長手方向に 対して、 45. 5° であった。 j8値の計算には平均屈折率として 1. 6を入力した。
[0186] (実施例 3— 2)
[光学補償シート L12、L42]
実施例 3— 1で配向膜を形成したのと同様の方法で、グロ一放電処理を施したフィ ルム F— 12および F— 42に配向膜を形成した。ついでフィルムの長手方向(搬送方 向)を 0° とし、時計方向の 180° 方向に、形成した配向膜にラビング処理を実施し た。
配向膜上に、前記ディスコティック液晶性ィ匕合物 91. Okg、エチレンォキ ド変性トリ メチロールプロパントリアタリレード 'V# 360" {大阪有機化学 (株)製 } 9. Okg、セル口 ースアセテートブチレード' CAB551- 0. 2,,(イーストマンケミカル社製) 2. 0kg、セル ロースアセテートブチレード' CAB531- 1" (イーストマンケミカル社製) 0. 5kg、光重 合開始剤「ィルガキュア 907」 {チバ'スペシャルティ'ケミカルズ (株)製 } 3. 0kg、増 感剤「カャキュア一 DETX」{日本ィ匕薬 (株)製 } 1. 0kgを、 207kgのメチルェチルケト ンに溶解した塗布液に、フルォロ脂肪族基含有共重合体「メガファック F780」 {大日 本インキ(株)製 }を 0. 4kg力!]え、 # 3. 2のワイヤーバーを 391回転でフィルムの搬送 方向と同じ方向に回転させて、 20mZ分で搬送されて 、るフィルムの配向膜面に連 続的に塗布した。
[0187] 室温から 100°Cに連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、 135°Cの 乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶性ィ匕合物層にあたる膜面風速力 Sフィルム搬送方 向に平行に 5. OmZ秒となるようにし、約 90秒間加熱し、ディスコティック液晶性ィ匕合 物を配向させた。次に、 80°Cの乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約 1 00°Cの状態で、紫外線照射装置 (紫外線ランプ:出力 160WZcm、発光長 1. 6m) により、照度 600mWの紫外線を 4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコテイツ ク液晶性ィ匕合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取 つてロール状の形態にした。このようにして、ロール状の、光学異方性層を有する光 学補償シート L 12 (基体フィルムは F— 12)と L42 (基体フィルムは F— 42)を作製し
た。光学異方性層の厚さは 1. 9 mであった。
[0188] 自動複屈折測定装置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 }を用いて、測定 した光学異方性層の Reは 46nmであった。さら〖こ、サンプルカゝら光学異方性層のみ を剥離し、 β値および光学異方性層の分子対称軸の平均方向を自動複屈折測定装 置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 こより測定したところ、 値は 38° 、 分子対称軸の平均方向は光学補償フィルムの長手方向に対して、 0. 3° であつ た。 |8値の計算には平均屈折率として 1. 6を入力した。
[0189] (実施例 3— 3)
[光学補償シート L13, L23、 L53]
下記のアクリル酸コポリマーおよびトリェチルァミン(中和剤)を、メタノール Z水の混 合溶媒 (質量比 = 30Z70)に溶解して、 4質量%溶液を調製した。グロ一放電処理 を施した環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルム F— 12、 F— 22および F— 52 を搬送しながら、この上に上記溶液をバーコ一ターを用いて連続的に塗布した。塗 布層を 120°Cで 5分間加熱して、乾燥し、厚さ 1 μ mの層を形成した。次いで長手方 向(搬送方向)に連続的に塗布層の表面をラビング処理して、配向膜を形成した。
[0190] [化 12] ァクリル酸コポリマ、 -
[0191] 上記配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコ一ターを用いて連続的に塗布 した。塗布層を 100°Cで 1分間加熱して、棒状液晶分子を配向させた後、紫外線を 照射して棒状液晶分子を重合させ、配向状態を固定し光学補償シート L13、 L23お よび L53 (基体フィルムはそれぞれ F— 12、 F—22、 F— 52)を作成した。光学異方 性層の厚さは 1. 7 mであった。
[0192] [表 10]
光学異方性層の塗布液組成 下記の棒状液晶性化合物 38. 4質量% 下記の增感剤 0. 38質量% 下記の光重合開始剤 1. 1 5質量% 下記の空気界面水平配向剤 0. 06質量% トン 60. 0質量%
[0193] [化 13] 棒状液晶化合物
[0196] [化 16]
空気界面水平配向剤
[0197] 自動複屈折率計 (KOBRA 21ADH、王子計測機器 (株)社製)を用いて、光学 補償シート L13、および L23の Reの光入射角度依存性を測定し、予め測定した環状 ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの寄与分を差し引くことによって、光学異方 性層のみの光学特性を算出した。 Reは 47nm、 Rthは 23nm、棒状液晶分子の長軸 の層平面に対する平均傾斜角は 0° であり、フィルム平面に対して平行に配向して いた。また、棒状液晶性分子は、長軸方向がロール状環状ォレフィン系付加重合体
の基体フィルムの長手方向と直交するように配向して 、た (すなわち、光学異方性層 の遅相軸方向はロール状環状ォレフィン系付加重合体の基体フィルムの長手方向と 直交していた)。
得られた光学補償シート (L13)の Re、および Rth (測定波長 590nm)は、それぞ れ 48nm、 27nmであった。一方、光学補償シート(L23)の Re、および Rth (測定波 長 590nm)は、それぞれ 58nm、 239nmであった。
[0198] (実施例 3— 4)
[光学補償シート L24]
2, 2 '—ビス(3, 4 ジカルボキジフエ-ル)へキサフルォロプロパン)および 2, 2'— ビス(トリフルォロメチル) 4, 4'—ジアミノビフエ-ルカも合成されたポリイミド(質量 平均分子量 59,000)をシクロへキサノンに溶解し、 15質量%のポリイミド溶液を調製 した。調製したポリイミド溶液を、グロ一放電処理を施した環状ポリオレフインフィルム F 22上に塗工し、温度 180°Cで幅方向に 7%延伸し乾燥した。このようにしてでき た光学補償シート L24のフィルム全体厚さは 59 μ m、 Reは 45nm、 Rthは 390nmで めつに。
[0199] (実施例 4 1)
[偏光板 Aの作成]
(光散乱層用塗布液の調製)
ペンタエリスリトールトリアタリレート、ペンタエリスリトールテトラアタリレートの混合物(
PETA、日本ィ匕薬 (株)製) 50gをトルエン 38. 5gで希釈した。更に、重合開始剤 (ィ ルガキュア 184、チバ'スペシャルティ ·ケミカルズ (株)製)を 2g添加し、混合攪拌した 。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は 1. 51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて 1 OOOOrpmで 20分分散した平均粒径 3. 5 /z mの架橋ポリスチレン粒子 (屈折率 1. 60、 SX— 350、綜研ィ匕学 (株)製)の 30%ト ルェン分散液を 1. 7gおよび平均粒径 3. 5 mの架橋アクリル スチレン粒子(屈折 率 1. 55、綜研ィ匕学 (株)製)の 30%トルエン分散液を 13. 3g加え、最後に、フッ素系 表面改質剤 (FP— 1) 0. 75g、シランカップリング剤 (KBM— 5103、信越化学工業( 株)製)を 10gを加え、完成液とした。
上記混合液を孔径 30 μ mのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層の塗 布液を調製した。
[化 17] フッ素系表面改質剤 (F P - 1 ) -(C H2- C H)m-
I
[0201] (低屈折率層用塗布液の調製)
まず初めに、次のようにしてゾル液 aを調製した。攪拌機、還流冷却器を備えた反応 器、メチルェチルケトン 120部、アタリロイルォキシプロピルトリメトキシシラン (KBM5 103、信越化学工業 (株)製) 100部、ジイソプロポキシアルミニウムェチルァセトァセ テート 3部をカ卩ぇ混合したのち、イオン交換水 30部をカ卩え、 60°Cで 4時間反応させた のち、室温まで冷却し、ゾル液 aを得た。質量平均分子量は 1600であり、オリゴマー 成分以上の成分のうち、分子量が 1000〜20000の成分は 100%であった。また、 ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアタリロイルォキシプロピルトリメトキシシラン は全く残存していな力つた。
屈折率 1. 42の熱架橋性含フッ素ポリマー CFN— 7228、固形分濃度 6%、 JSR (株 )製) 13g、シリカゾル(シリカ、 MEK— STの粒子サイズ違い、平均粒径 45nm、固形 分濃度 30%、 日産化学 (株)製) 1. 3g、上記ゾル液 aO. 6gおよびメチルェチルケト ン 5g、シクロへキサノン 0. 6gを添加、攪拌の後、孔径 1 μ mのポリプロピレン製フィル ターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
[0202] (光散乱層付き透明保護膜 TAC01の作製)
80 μ mの厚さのトリァセチルセルロースフィルム(フジタック TD80UF、富士写真フ イルム (株)製)をロール形態で巻き出して、上記の機能層(光散乱層)用塗布液を線 数 180本/インチ、深度 40 μ mのグラビアパターンを有する直径 50mmのマイクログ ラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数 30rpm、搬送速度 3 OmZ分の条件で塗布し、 60°Cで 150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で 160WZ cmの空冷メタルノヽライドランプ (アイグラフィックス (株)製)を用いて、照度 400mWZ cm2,照射量 250mjZcm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ の機 能層を形成し、巻き取った。
該機能層(光散乱層)を塗設したトリァセチルセルロースフィルムを再び巻き出して その光散乱層側に、該調製した低屈折率層用塗布液を線数 180本 Zインチ、深度 4 0 μ mのグラビアパターンを有する直径 50mmのマイクログラビアロールとドクターブ レードを用いて、グラビアロール回転数 30rpm、搬送速度 15mZ分の条件で塗布し 、 120°Cで 150秒乾燥の後、更に 140°Cで 8分乾燥させてから窒素パージ下で 240 WZcmの空冷メタルノヽライドランプ (アイグラフィックス (株)製)を用いて、照度 400m
照射量 900mjZcm
2の紫外線を照射し、厚さ lOOnmの低屈折率層を形 成し、巻き取った。
分光光度計(日本分光 (株)製)を用いて、 380〜780nmの波長領域にぉ 、て、入 射角 5° における分光反射率を機能性膜側力も測定し、 450〜650nmの積分球平 均反射率を求めたところ、 2. 3%であった。
(偏光板 Aの作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。 作製した光散乱層付き透明保護膜 TAC01の表面をアルカリケンィ匕処理を行い、 ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、機能性膜の無 、側と偏光子の片側を貼り 付けた。
実施例 3—1から 3— 4で作製した光学補償シート (L12、 L13、 L23、 L24、 L31、 L42および L53)にグロ一放電処理 (周波数 3000Hz、 4200Vの高周波数電圧を上 下電極間に引加、 20秒処理)を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、基 体フィルム面を偏光子の反対側に貼り付け、 70°Cで 10分以上乾燥した。
偏光子の透過軸と実施例 3—1から 3— 4で作製した光学補償シートの遅相軸とは 平行になるように配置した。偏光子の透過軸と光散乱層付き透明保護膜 TAC01の 遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板 (A— 12、 A— 13、 A— 2 3、 A— 24、 A— 31、 A— 42および A— 53)を作製した。
[0204] (実施例 4 2)
[偏光板 Bの作成]
(ハードコート層用塗布液の調製)
トリメチロールプロパントリアタリレート (TMPTA、 日本化薬 (株)製) 750. 0質量部 に、質量平均分子量 3000のポリ(グリシジルメタタリレート) 270. 0質量部、メチルェ チルケトン 730. Og、シクロへキサノン 500. Ogおよび光重合開始剤(ィルガキュア 1 84、 日本チバガイギー (株)製) 50. Ogを添加して攪拌した。孔径 0. 4 mのポリプロ ピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
[0205] (二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸ィ匕チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸ィ匕アルミニウムと水酸ィ匕 ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸ィ匕チタン微粒子(MPT— 129、石原産 業 (株)製)を使用した。
この粒子 257. lgに、下記分散剤 38. 6g、およびシクロへキサノン 704. 3gを添カロ してダイノミルにより分散し、質量平均径 70nmの二酸ィ匕チタン分散液を調製した。 分散剤
[0206] [化 18]
[0207] (中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液 88. 9gに、ジペンタエリスリトールペンタアタリレートとジ ペンタエリスリトールへキサアタリレートの混合物(DPHA) 58. 4g、光重合開始剤 (ィ ルガキュア 907) 3. lg、光増感剤 (カャキュア一 DETX、 日本化薬 (株)製) 1. lg、メ チルェチルケトン 482. 4gおよびシクロへキサノン 1869. 8gを添カ卩して攪拌した。十 分に攪拌ののち、孔径 0. 4 mのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層 用塗布液を調製した。
[0208] (高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液 586. 8gに、ジペンタエリスリトールペンタアタリレートと ジペンタエリスリトールへキサアタリレートの混合物(DPHA、 日本化薬 (株)製) 47. 9 g、光重合開始剤 (ィルガキュア 907、 日本チバガイギー (株)製) 4. Og、光増感剤( カャキュア— DETX、 日本化薬 (株)製) 1. 3g、メチルェチルケトン 455. 8g、および シクロへキサノン 1427. 8gを添カ卩して攪拌した。孔径 0. 4 μ mのポリプロピレン製フ ィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
[0209] (低屈折率層用塗布液の調製)
下記式で表される共重合体をメチルイソプチルケトンに 7質量%の濃度になるように 溶解し、末端メタタリレート基含有シリコーン榭脂 X— 22— 164C (信越ィ匕学 (株)製) を固形分に対して 3%、光ラジカル発生剤ィルガキュア 907 (商品名)を固形分に対 して 5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。共重合体
[0210] [化 19]
CFク― CF- CH: CH-
50 50
II
OCH2CH2OCCH=CH2
(50:50はモル比を示す)
[0211] (反射防止層付透明保護膜 TAC02の作製)
膜厚 80 μ mのトリアセチルセルロースフィルム(フジタック TD80UF、富士写真フィ
ルム (株)製)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。 1 00°Cで乾燥した後、酸素濃度が 1. 0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージ しながら 160WZcmの空冷メタルノヽライドランプ (アイグラフィックス (株)製)を用いて 、照度 400mWZcm2、照射量 300mjZcm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ 、厚さ 8 μ mのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層 用塗布液を 3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布 した。
[0212] 中屈折率層の乾燥条件は 100°C、 2分間とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が 1. 0 体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら 180WZcmの空冷メタルノヽラ イドランプ (アイグラフィックス (株)製)を用いて、照度 400mWZcm2、照射量 400¾[ Zcm2の照射量とした。硬化後の中屈折率層は屈折率 1. 630、膜厚 67nmであった
[0213] 高屈折率層および低屈折率層の乾燥条件はいずれも 90°C、 1分の後、 100°C、 1 分とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が 1. 0体積%以下の雰囲気になるように窒素パ ージしながら 240WZcmの空冷メタルノヽライドランプ (アイグラフィックス (株)製)を用 いて、照度 600mWZcm2、照射量 600mjZcm2の照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率 1. 905、膜厚 107nm、低屈折率層は屈折率 1. 44 0、膜厚 85nmであった。このようにして、反射防止層付き透明保護膜 TAC02を作製 した。
[0214] (偏光板 Bの作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。 作製した透明保護膜 TAC02の表面をアルカリケン化処理を行 ヽ、ポリビュルアル コール系接着剤を用いて、機能性膜の無!ヽ側と偏光子の片側を貼り付けた。
実施例 3—1から 3— 4で作製した光学補償シート (L12、 L13、 L23、 L24、 L31、 L42および L53)にグロ一放電処理 (周波数 3000Hz、 4200Vの高周波数電圧を上 下電極間に引加、 20秒処理)を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、基 体フィルム面を偏光子の反対側に貼り付け、 70°Cで 10分以上乾燥した。
偏光子の透過軸と実施例 3—1から 3— 4で作製した光学補償シートの遅相軸とは 平行になるように配置した。偏光子の透過軸と透明保護膜 TAC02の遅相軸とは、直 交するように配置した。このようにして偏光板(B— 12、 B—13、 B— 23、 B— 24、 B— 31、 B— 42および B 53)を作製した。
[0215] (実施例 4 3)
[偏光板 Cの作製]
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。 膜厚 80 μ mのトリアセチルセルロースフィルム(フジタック TD80UF、富士写真フィ ルム (株)製)の表面をアルカリケンィ匕処理し、ポリビュルアルコール系接着剤を用い て偏光子の片側に貼り付けた。
実施例 3—1から 3— 4で作製した光学補償シート (L12、 L13、 L23、 L24、 L31、 L42および L53)にグロ一放電処理 (周波数 3000Hz、 4200Vの高周波数電圧を上 下電極間に引加、 20秒処理)を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、基 体フィルム面を偏光子の反対側に貼り付け、 70°Cで 10分以上乾燥した。
偏光子の透過軸と実施例 3—1から 3— 4で作製した光学補償シートの遅相軸とは 平行になるように配置した。偏光子の透過軸と透明保護膜フジタック TD80UFの遅 相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板 (C— 12、 C—13、 C- 23 、 C— 24、 C— 31、 C— 42および C— 53)を作製した。
[0216] 比較例 1
(セルロースアセテートドープの調製)
ァセチル置換度 2. 79のセルロースアセテート、可塑剤(トリフエ-ルフォスフェイトと ビフエ-ルジフエ-ルフォスフェイトの 2対 1の混合物)、および溶剤(ジクロロメタン Z メタノール =87Z13質量部)を混合攪拌溶解し、耐圧密閉容器中で 70から 90°Cに 加熱溶解後ろ過することによりドープを調製した。
[0217] 次に上記方法で作成したセルロースアセテート溶液を含む下記組成物を分散機に 投入し、各マット剤分散液を調製した。
[0218] [表 11]
マツト剤分散液 平均粒径 1 6 n mのシリ力粒子
(a e r o s i l R 9 7 2 日本ァエロジル (株) 製 2. 0質量部 メチレンク口ライド 7 2. 4質量部 メタノール 1 0. 8質量部 セルロースァセテ一ト溶液 1 0. 3質量部
[0219] 次に上記方法で作成したセルロースアセテート溶液を含む下記組成物をミキシング タンクに投入し、攪拌して溶解しレターデーシヨン発現剤溶液を調製した。
[0220] [表 12]
レターデ一ション発現剤溶液 下記レタ一デーション発現剤 2 0. 0質量部 メチレンク口ライ ド 5 8. 3質量部 メタノール 8. 7質量部 セルロースァセテ一ト溶液 1 2. 8質量部
[0221] 次に上記方法で作成したセルロースアセテート溶液を含む下記組成物をミキシング タンクに投入し、攪拌して溶解し UV吸収剤溶液を調製した。
[0222] [表 13]
UV吸収剤溶液 紫外線吸収剤 ( S u m i s o r b 1 65 F) 20. 0質量部
齚酸メチル 6 7. 0質量部
セルロースァセテ一ト溶液 1 2. 8質量部
[0223] レターデーシヨン発現剤
[0224] [化 20]
[0225] (セルロースアセテートフィルムの製膜)
調製したセルロースアセテート溶液をギアポンプで送り出し、途中マット剤分散液、 レターデーシヨン発現剤溶液および UV吸収剤溶液を規定量注入して、スタチックミ キサ一で均一に混合し、バンド流延機を用いて流延した。流延ドープの組成を下記 表 2に記載する。ついで残留溶媒量が 25から 35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィ ルムを、テンターで保持して幅方向に延伸しながら熱風を当てて乾燥させ、その後テ ンター搬送からロール搬送に移行し、更に乾燥し、ナーリングし 1440mm幅で巻き 取った。
次いで 1. 5 mol/Lの水酸ィ匕ナトリウム水溶液を調製し、 55°Cに保温した。また 0. 005mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、 35°Cに保温した。作製したセルロースァセ テートフィルムを上記の水酸ィ匕ナトリウム水溶液に 2分間浸漬した後、水に浸漬し水 酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に 1分間 浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を 120°Cで 十分に乾燥させ、セルロースアセテートフィルム C1及び C2を作成した。残留溶媒は すべて 0. 2質量%以下であった。できたフィルムの特性と延伸倍率を下記表 2に記 載する。
[0226] [表 14]
フイルム ド―プ組成 (%〉 延伸 フィルム特性 セルロースァ レタ—デーシヨン UV吸収剤 倍率 含水率 厚さ Re Rth セテー卜溶液 発現剤溶液 溶液 (%) (%) (nm) (nm;
CI 17 0.37 0 16 1.87 92 40 200
C2 17 0 0.18 2 2.22 92 8 80
[0227] (開環重合環状ポリオレフインドープの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径 3 4 μ mのろ紙及び平均孔径 10 μ mの焼結金属フィルターでろ過した。
[0228] [表 15]
環状ポリオレフィン溶液 D— 3 アートン G ( J S R株式会社製) 1 5 0質量部 メチレンクロライド 5 5 0質量部 エタノール 5 0質量部
[0229] 次に上記方法で作成した開環重合環状ポリオレフイン溶液を含む下記組成物を分 散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
[0230] [表 16]
マツト剤分散液 平均粒径 1 6 n mのシリ力粒子
( a e r o s i l R 9 7 2 日本ァエロジル (株) 製 2 質量部 メチレンクロライ ド 7 5 質量部 エタノール 5 質量部 環状ポリオレフイン溶液 D _ 3 1 0 質量部
[0231] 上記環状ポリオレフイン溶液を 100質量部、マット剤分散液を 1. 1質量を混合し、
製膜用ドープを調製した。
[0232] 上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が約 22質量%でバン ドカも剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて 50%の延伸率で幅方向に延伸した。 その後テンター搬送力もロール搬送に移行し、更に 120°Cから 140°Cで乾燥し巻き 取った。できた環状ポリオレフインフィルムの厚さは 60 μ m、 Re力 3nm、 Rthは 80η mであった。このフィルムを真鍮製の上下電極間(アルゴンガス雰囲気)で、グロ一放 電処理 (周波数 3000Hz、 4200Vの高周波数電圧を上下電極間に引加、 20秒処理 )して開環重合環状ポリオレフインフィルム C3を作製した。フィルム表面の純水の接 触角は 36° から 41° の間であった。
[0233] 比較例 3
(光学補償シート CL— 1)
実施例 3— 1と同様にしてセルロースアセテートフィルム C1に配向膜を塗付し、ラビ ング処理を行い、ディスコティック液晶層(光学異方性層)を塗付することにより光学 補償シート CL— 1を作製した。
自動複屈折測定装置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 }を用いて測定し た光学異方性層の Reは 27nmであった。さらに、できた光学補償シートから光学異 方性層のみを剥離し、 β値および光学異方性層の分子対称軸の平均方向を自動複 屈折測定装置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 }により測定したところ、 β 値は 33° 、分子対称軸の平均方向は基体セルロースァシレートフィルムの長手方向 に対して、 45. 5° であった。 j8値の計算には平均屈折率として 1. 6を入力した。
[0234] 比較例 4
(光学補償シート CL— 2、 CL- 3)
実施例 3— 2と同様にして、比較例 1で作成したフィルム C2及び比較例 2で作成し たフィルム C3に配向膜を塗付し、ラビング処理を行い、ディスコティック液晶層(光学 異方性層)を塗付することにより光学補償シート CL— 2及び CL— 3を作製した。 自動複屈折測定装置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 }を用いて、測定 した光学異方性層の Reは 46nmであった。さらに、できた光学補償シートから光学異 方性層のみを剥離し、 β値および光学異方性層の分子対称軸の平均方向を自動複
屈折測定装置" KOBRA 21ADH" {王子計測器 (株)製 }により測定したところ、 β 値は 38° 、分子対称軸の平均方向は光学補償シートの長手方向に対して、 0. 3 ° であった。 j8値の計算には平均屈折率として 1. 6を入力した。
[0235] 比較例 5
実施例 4—1と同様に光学補償シート CL—1、 CL— 2および CL— 3を用いて、偏 光板 CA— 1、 CA- 2および CA— 3を作製した。
[0236] 比較例 6
実施例 4— 2と同様に光学補償シート CL—1、 CL— 2および CL— 3を用いて、偏 光板 CB—1、 CB— 2および CB— 3を作製した。
[0237] 比較例 7
実施例 4— 3と同様に光学補償シート CL—1、 CL— 2および CL— 3を用いて、偏 光板 CC— 1、 CC— 2および CC - 3を作製した。
[0238] <液晶表示装置への実装 >
実施例 5—1
(OCBパネルへの実装)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング 処理を行った。得られた 2枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向力 ヽ 合わせ、セルギャップを 5. 7 mに設定した。セルギャップに Δ ηが 0. 1396の液晶 性ィ匕合物" ZLI1132" (メルク社製)を注入し、セルを作製した。
[0239] 実施例 4 1、実施例 4 2で作製した偏光板 Α— 31、 Β— 31、比較例 5、 6で作製 した偏光板 CA— 1、 CB—1のいずれか 1つを視認側偏光板とし、実施例 4— 3およ び比較例 7でそれぞれ作製した偏光板 C— 31および CC— 1の 、ずれか 1つをバック ライト側偏光板として組み合わせ、作製した OCBセルを挟むように、厚さ約 8 μ mの 粘着剤 (ダイァボンド DA 753、ノガワケミカル製)を介して偏光板を貼り付けた。偏光 板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する 光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置し、液晶表示装置 OCB— 1 (実施例)および OCB— C1 (比較例)を作製した。共に、 23"ワイドのサイズで打抜 き後の偏光板の長辺に対して吸収軸が 45°長辺となるように、長方形に打抜いた。偏
光板貼り付け後、 50°C5kg/cm2で 20分間保持し、接着させた。
[0240] 液晶表示装置の偏光板の組み合わせは以下のとおりである。
OCB- 1
(偏光板 A— 31) - (OCBセル)―(偏光板 C— 31)
(偏光板 B— 31) - (OCBセル) - (偏光板 C— 31)
OCB-C1
(偏光板 CA— 1) - (OCBセル)―(偏光板 CC— 1)
(偏光板 CB— 1) - (OCBセル) - (偏光板 CC— 1)
[0241] 作製した液晶表示装置をバックライト上に配置し、液晶セルに白表示電圧 2V、黒 表示電圧 4. 5Vを印加し、測定機" EZ— Contrast 160D" (ELDIM社製)を用い て、黒表示および白表示の輝度測定から視野角(コントラスト比が 10以上の範囲)を 算出した。いずれの偏光板を使用した場合も、全方位で極角 80°以上の良好な視野 角特性が得られた。
得られた実施例および比較例の OCBモード液晶表示装置の電源を入れて 12時間 経時させ、画面 4辺の光漏れを比較した。その結果、比較例は光漏れが認められた 力 実施例はほとんど光漏れがな力つた。
[0242] 実施例 5— 2
(TNパネルへの実装)
実施例 4—1で作製した偏光板 A— 12を視認側偏光板、実施例 4— 3で作製した 偏光板 C— 42をバックライト側偏光板として組み合わせ、共に 17"のサイズで打抜き 後の偏光板の長辺に対して吸収軸力 長辺となるように、長方形に打抜いた。 TN モードの液晶モニター" SyncMaster 172X" (サムソン社製)の表裏の偏光板およ び位相差板を剥し、その代わりに厚さ約 8 mの粘着剤(ダイァボンド DA 753、ノガ ヮケミカル製)を介して上記の偏光板を貼り付け、実施例の液晶表示装置 TN— 1を 作製した。偏光板貼り付け後、 50°C、 5kg/cm2で 20分間保持し、接着させた。この 際、偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに 対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
また、比較例 5、 6で作製した偏光板 CA— 2、 CB— 2のいずれか一方を視認側偏
光板、比較例 7で作製した偏光板 CC 2をバックライト側偏光板として組み合わせ、 あとはすべて同様にして比較例の TNモード液晶表示装置 TN— C2を作成した。 更に、比較例 5、 6で作製した偏光板 CA— 3、 CB— 3のいずれか一方を視認側偏 光板、比較例 7で作製した偏光板 CC 3をバックライト側偏光板として組み合わせ、 あとはすべて同様にして比較例の TNモード液晶表示装置 TN— C3を作成した。
[0243] 液晶表示装置の偏光板の組み合わせは以下のとおりである。
TN- 1
(偏光板 A— 31) - (OCBセル)―(偏光板 C— 31)
(偏光板 B— 31) - (OCBセル) - (偏光板 C— 31)
TN-C2
(偏光板 CA— 2) - (OCBセル)―(偏光板 CC— 2)
(偏光板 CB— 2) - (OCBセル) - (偏光板 CC— 2)
TN-C3
(偏光板 CA— 3) - (OCBセル)―(偏光板 CC— 3)
(偏光板 CB— 3) - (OCBセル) - (偏光板 CC— 3)
[0244] 測定機" EZ— Contrast 160D" (ELDIM社製)を用いて、黒表示および白表示 の輝度測定から視野角(コントラスト比が 10以上の範囲)を算出した。液晶表示装置 丁?^ー1及び丁?^ーじ2は全方位で極角60°以上の良好な視野角特性が得られた。し 力し比較例の液晶表示装置 TN— C3は極角 40°以下の視野角特性し力得られなか つた o
実施例および比較例の TNモード液晶表示装置 TN— 1と TN— C2の電源を入れ て 12時間経時させ、画面 4辺の光漏れを比較した。その結果、比較例は光漏れが強 いが、実施例はほとんど光漏れがな力つた。
[0245] 実施例 5— 3
(VAパネルへの実装)
液晶セルは、基板間のセルギャップを 3. とし、負の誘電率異方性を有する液 晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶 層を形成して作製した。液晶層のレターデーシヨン (即ち、記液晶層の厚さ d( m)と
屈折率異方性 Δ ηとの積 A n'd)を 300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するよ うに配向させた。
偏光子の表も裏もフジタック TD80UFをアルカリケンィ匕した透明保護膜を使用した 以外は実施例 4 3と同様にして偏光板 C 0を作製した。上記の垂直配向型液晶 セルを使用した液晶表示装置の視認側偏光板に実施例 4— 1で作製した A— 23を、 バックライト側偏光板には偏光板 C— 0を使用した。 A— 23の光学異方性層が液晶 セル側になるように、厚さ約 8 mの粘着剤(ダイァボンド DA 753、ノガワケミカル製 )を介して実施例で作成した偏光板を貼り付けた。視認側偏光板の透過軸が上下方 向に、ノ ックライト側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロス-コル配置とし た。このようにして VAモード液晶表示装置 VA— 1を作成した。
また、実施例 4— 2で作製した B— 53を視認側にしたほかは上記と同様にして、 VA モード液晶表示装置 VA— 2を作成した。
測定機" EZ— Contrast 160D" (ELDIM社製)を用いて、実施例の VA液晶表 示装置 VA— 1及び VA— 2の黒表示および白表示の輝度測定を行 ヽ、視野角 (コントラスト比が 10以上の範囲)を算出した。液晶表示装置 VA— 1及び VA— 2は全 方位で極角 60°以上の良好な視野角特性が得られた。液晶表示装置の電源を入れ て 12時間経時させ、画面 4隅の光漏れを観察した力 光漏れは認められな力つた。