WO2006070840A1

WO2006070840A1 - 可動シンカおよび可動シンカを備える横編機

Info

Publication number: WO2006070840A1
Application number: PCT/JP2005/023980
Authority: WO
Inventors: Takashi Wada; Kenji Kitahara
Original assignee: Shima Seiki Manufacturing Limited
Priority date: 2004-12-28
Filing date: 2005-12-27
Publication date: 2006-07-06
Also published as: CN101094947B; CN101094947A; JP2006188774A; DE112005003301T5; JP4408803B2

Abstract

　可動シンカ１６は、横編機１１の針床１２の歯口１３側先端に形成されるシンカ溝１２ｃに少なくとも一部が収容され、シンカ溝１２ｃよりも突出する部分が歯口１３に進退揺動可能である。可動シンカ１６は、薄肉部１６ｄと厚肉部１６ｃとを有する。薄肉部１６ｄは、シンカ溝１２ｃに収容される部分を含む内縁側で、シンカ溝１２ｃの幅よりも薄い。厚肉部１６ｃは、シンカ溝１２ｃよりも歯口１３側に突出する外縁側で、シンカ溝１２ｃと薄肉部１６ｄとの間の隙間を覆うように形成される。厚肉部１６ｃは、シンカ溝１２ｃの幅よりも厚く、シンカ溝１２ｃと薄肉部１６ｄとの間の隙間を覆うので、この隙間に編糸が落込むのを確実に防止することができる。

Description

可動シン力および可動シン力を備える横編機

技術分野

[0001] 本発明は、横編機の針床の歯口側の先端に設けられ、歯口に進退揺動可能な可動シン力、および可動シン力を備える横編機に関する。

背景技術

[0002] 従来から、編成中の編地を歯口の下方に押し下げるように、歯口に対して進退揺動可能な可動シン力を備える横編機が用いられている（たとえば、特公平 5— 83657号公報参照。 ) oこの可動シン力は、針床の先端寄りの位置に配置され、先端に編糸受け部が形成され、編糸受け部が歯口内で編地押えモーションを行うように、ばねで付勢される。可動シン力の編地押えモーションでは、編糸受け部を、編針が進退する位置よりも下方まで変位させる必要がある。針床の歯口側先端は、天歯 (Verge)と呼ばれ、編針の先端のフックで新ループを引込みながら、編針の途中に保持されていた旧ループをノックオーバさせて編目を形成する際に編糸が掛る部分となる。この天歯は、ループのくわえ込み量を重視した可動シン力の編糸受け部内側とほぼ同位置にあり、可動シン力の編地押えモーションと交差している。可動シン力の編地押えモーシヨンを可能にするために、針床の先端寄りには、可動シン力の内縁部を収納するシンカ溝が天歯まで形成される。

針床の先端の天歯までシン力溝を形成すると、細い編糸を使用するような場合には、シン力溝と可動シン力との隙間に、編糸が落込むおそれが生じる。本件出願人は、図 10〜図 14に示すようなヤーンガイドスぺーサを用いることで、編糸の落込みを防止する技術を提案している (たとえば、特許第 2700204号公報参照。；)。

図 10および図 11は、特許第 2700204号公報の先行技術による横編機 1における針床 2の歯口 3付近の構成を示す。図 10は側面断面の構成を示し、図 11は平面の構成を示す。針床 2は、歯口 3を挟んで対向するように、通常、対をなして設けられる。また、針床 2は歯口 3に臨む側が高い位置で、歯口 3から遠ざ力ると低い位置になるように傾斜している。ただし、説明の便宜上、歯口 3の一方側の針床 2をほぼ水平な姿勢で示す。針床 2には、複数の-一ドルプレート 4が紙面に垂直な方向に間隔をあけて立設され、ニードルプレート 4間に編針 5を収容する針溝 2aが形成される。各針溝 2aに収容される編針 5は、たとえばベら針であり、先端のフック 5aをラッチ 5bで開閉することができる。針床 2の先端は、天歯 2bとなっており、ノックオーバの際に、歯口 3に形成され、歯口下方に引かれる編地力の編糸が掛つて、方向を変える部分となる。編糸は、針溝 2a内を歯口 3から遠ざ力るように移動する編針 5のラッチ 5b がフック 5aを塞いでいる先端から、旧ループを離脱させるように引張る。編針 5には、歯口 3に進出して対向する針床へ編目ループを渡す目移し羽根 5cも設けられて、る針溝 2aには、編針 5が収容されるとともに、可動シン力 6も並設される。可動シン力 6 は、先端に編糸受け部 6aを有し、編糸受け部 6aが歯口 3内で編地押えモーションを行うように、揺動変位する。歯口 3には、天歯 2b付近に、可動シン力 6を収容するシン力溝 2cが形成されている。針溝 2aには、編針 5と可動シン力 6との間に、ヤーンガイドスぺーサ 7が設けられる。ヤーンガイドスぺーサ ₇は、特許第 2700204号公報の図 1

3に、支持プレートとして開示されている。ヤーンガイドスぺーサ 7で歯口 3側の先端には、ヤーンガイド部 7aが形成されて、天歯 2bから突出する。ヤーンガイド部 7aで天歯 2bよりも歯口 3から遠ざ力る側では、針溝 2aを挟んで対向する可動シン力 6の側面に向って、延出部 7bが延びるように形成されている。なお、ヤーンガイドスぺーサ 7とその延出部 7bが延びる側の可動シン力 6との間には、スぺーサ 8が設けられ、編針 5 が収容される空間の間隔を保つようにしている。編針 5の歯口 3に対する進退移動は、スぺーサ 8の下方の空間で行われる。

可動シン力 6は、揺動支持部 6bを-一ドルプレート 4で支持され、編糸受け部 6aが設けられる先端側が、図 10に実線で示す下限と、 2点鎖線で示す上限との間で揺動変位する。可動シン力 6の揺動支持部 6bの上方には、線ばね 9が設けられ、図の時計回り方向のトルクを与えて、編糸受け部 6aが歯口 3内で編地を下方に押えるように付勢する。なお、針床 2と-一ドルプレート 4とは、紙面に垂直に貫通するプレート締付けワイヤ 10aによって位置決めされる。線ばね 9の上方は、ニードルプレート 4の段差で受けられる。ニードルプレート 4、ヤーンガイドスぺーサ 7およびスぺーサ 8は、紙面に垂直に貫通する帯金 10bおよびスぺーサ位置決めワイヤ 10cで位置決めされる。なお、図 11では、簡略化のため、帯金 10bおよびスぺーサ位置決めワイヤ 10cは省略している。

図 12Aおよび図 12Bは、可動シン力 6の形状を示す。図 13Aおよび図 13Bは、ャーンガイドスぺーサ 7の形状を示す。図 14は、針床 2の先端部分を、歯口 3側から見た構成を簡略化して示す。可動シン力 6およびヤーンガイドスぺーサ 7は、板状であり、図 12Aおよび図 13Aは、板厚側の構成を平面視し、図 12Bおよび図 13Bは、板の表面側の構成を正面視してそれぞれ示す。可動シン力 6は、先端側の部分の肉厚が一様に薄くなつている。ヤーンガイドスぺーサ 7のヤーンガイド部 7aは、可動シン力 6 の薄肉部に沿って針溝 2aの外方に曲り、針溝 2aの間口が広くなるようにしている。ャーンガイドスぺーサ 7の延出部 7bは、針溝 2bの先端の底部を覆い、シン力溝 2cの上部で、可動シン力 6の側面に沿うように、先端部分が折曲げられて編糸脱落防止部 7 cが形成される。

図 14に示すように、編糸脱落防止部 7cを設けても、可動シン力 6との間には隙間が必要となるので、特に、比較的細い編糸を複数本同時に使用するような場合に、一部の編糸がこの隙間またはシン力溝 2cへ落込むこともある。また、ヤーンガイドスぺーサ 7は、板材を折曲げて延出部 7bおよび編糸脱落防止部 7cを形成するので、天歯 2b近傍に延出部 7bのエッジが存在し、ノックオーバの際に編糸がエッジで大きな摩擦抵抗を受け、歯口 3での編地の下がりに悪影響を及して、る。

発明の開示

本発明の目的は、歯口での編糸のシン力溝への落下を確実に防止することができる可動シン力および可動シン力を備える横編機を提供することである。

本発明は、横編機の針床の歯口側先端に形成されるシン力溝に少なくとも一部が収容され、シン力溝よりも突出する部分が歯口に進退揺動可能な可動シン力において、

シン力溝に収容される部分を含む内縁側で、該シン力溝の幅よりも薄ヽ薄肉部と、該シン力溝よりも歯口側に突出する外縁側で、該シン力溝と該薄肉部との間の隙間を覆うように形成され、該シン力溝の幅よりも厚い厚肉部とを有することを特徴とする可動シン力である。

さらに本発明は、少なくとも前後一対の針床が歯口を挟んで対向するように配設され、各針床の歯口側先端にはシン力溝が形成され、歯口に進退揺動可能であり、シンカ溝に少なくとも一部が収容される可動シン力を備える横編機において、

可動シン力は、

シン力溝に収容される部分を含む内縁側で、該シン力溝の幅よりも薄ヽ薄肉部と該シン力溝よりも歯口側に突出する外縁側で、該シン力溝と該薄肉部との間の隙間を覆うように形成され、該シン力溝の幅よりも厚い厚肉部とを有することを特徴とする可動シン力を備える横編機である。

また本発明において、前記針床には、先端側が歯口に突出して、編針が歯口で編糸の供給を受けて編目ループを形成する際に編糸を案内するヤーンガイドとして機能し、基端側が針床で編針が歯口に対して進退変位するように収容される針溝内でスぺーサとして機能するヤーンガイドスぺーサが可動シン力と並設され、

ヤーンガイドスぺーサのヤーンガイドとして機能する部分には、抜き穴が形成されていることを特徴とする。

また本発明において、前記可動シン力の薄肉部の形状は、該可動シン力が前記歯口に進出している状態で、前記ヤーンガイドスぺーサの抜き穴の形状に大略的に一致して、ることを特徴とする。

また本発明において、前記針溝の底部が歯口に臨む先端部分が天歯として機能することを特徴とする。

図面の簡単な説明

本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。

図 1は、本発明の実施の一形態としての可動シン力を備える横編機 11における針床 12の歯口 13付近の構成を示す側面断面図である。

図 2は、図 1の針床 12の歯口 13付近の部分的な平面図である。

図 3Aおよび図 3Bは、図 1の可動シン力 16の形状を示す平面図および正面図である。

図 4Aおよび図 4Bは、図 1のヤーンガイドスぺーサ 17の形状を示す平面図および正面図である。

図 5Aおよび図 5Bは、図 1のスぺーサ 18の形状を示す平面図および正面図である図 6は、図 1の針床 12および-一ドルプレート 14を組合わせて、る状態を示す側面断面図である。

図 7は、図 1の編針 15の構成を示す正面図である。

図 8Aおよび図 8Bは、図 1の針床 12の先端部分で、可動シン力 16の厚肉部 16cによる編糸のシン力溝 12cへの落込み防止の効果を、図 10の可動シン力 6と比較して示す図である。

図 9Aおよび図 9Bは、図 1の可動シン力 16に厚肉部 16cを設けることによる編糸のシン力溝 12cへの落込み防止の効果として、天歯 12bの位置を編針 15の底部に近付けられ、ノックオーバが容易になることを示す図である。

図 10は、先行技術による横編機 1における針床 2の歯口 3付近の構成を示す側面断面図である。

図 11は、図 10の針床 2の歯口 3付近の部分的な平面図である。

図 12Aおよび図 12Bは、図 10の可動シン力 6の形状を示す平面図および正面図である。

図 13Aおよび図 13Bは、図 10のヤーンガイドスぺーサ 7の形状を示す平面図および正面図である。

図 14は、図 10の針床 2の先端部分を、歯口 3側力も見た構成を簡略ィ匕して示す図である。

発明を実施するための最良の形態

以下図面を参考にして本発明の好適な実施例を詳細に説明する。

図 1および図 2は、本発明の実施の一形態としての可動シン力を備える横編機 11における針床 12の歯口 13付近の構成を示す。図 1は該構成を示す側面断面図であり、図 2は該構成を示す平面図である。針床 12は、歯口 13を挟んで対向するように、通常、対をなして設けられる。対をなす針床 12は、歯口 13の中心 13aに関して対称となり、歯口 13に臨む側が高い位置で、歯口 13から遠ざかると低い位置になるように傾斜している。ただし、説明の便宜上、歯口 13の一方側の針床 12のみをほぼ水平な姿勢で示し、実際には鉛直の上下方向に延びる中心 13aが傾斜しているように示す。

針床 12には、複数の-一ドルプレート 14が紙面に垂直な方向に間隔をあけて立設される。ニードルプレート 14間には、編針 15を収容する針溝 12aが形成される。各針溝 12aに収容される編針 15は、たとえばベら針であり、先端のフック 15aをラッチ 15b で開閉することができる。編針 15としては、針本体とスライダとを有し、針本体に対してスライダが相対的に変位可能で、針本体の先端のフックをスライダで開閉する複合針などを用いることもできる。

針床 12の先端には、天歯 12bが形成され、ノックオーバの際に、歯口 13に形成され、歯口下方に引かれる編地からの編糸が掛つて、円滑に方向を変えることができるように、滑らかな曲面に仕上げられている。編糸は、針溝 12a内を歯口 13から遠ざかるように移動する編針 15のラッチ 15bがフック 15aを塞、で、る先端から、旧ループを離脱させるように引張る。編針 15には、歯口 13に進出して対向する針床へ編目ループを渡す目移し羽根 15cも設けられている。

針溝 12aには、編針 15が収容されるとともに、可動シン力 16も並設される。可動シンカ 16は、先端に編糸受け部 16aを有し、編糸受け部 16aが歯口 13内で編地押えモーションを行うように、揺動変位することは、図 10に示す可動シン力 6と同様である。ただし、編糸受け部 16aは肉厚が厚い厚肉部 16cに形成される。歯口 13には、天歯 12b付近に、可動シン力 16を収容するシン力溝 12cが形成されている。シン力溝 1 2cの幅は、可動シン力 16の厚肉部 16cの厚さよりも小さくする。可動シン力 16でシン力溝 12cに収容される部分は、シン力溝 12cの幅よりも薄い薄肉部 16dとする。すなわち、可動シン力 16は、横編機 11の針床 12の歯口 13側先端に形成されるシン力溝 12cに少なくとも一部が収容され、シン力溝 12cよりも突出する部分が歯口 13に進退揺動可能であるように、薄肉部 16dと厚肉部 16cとを有する。薄肉部 16dは、シン力溝 12cに収容される部分を含む内縁側で、シン力溝 12cの幅よりも薄い。厚肉部 16c は、シン力溝 12cよりも歯口 13側に突出する外縁側で、シン力溝 12cと薄肉部 16dとの間の隙間を覆うように形成される。厚肉部 16cは、シン力溝 12cの幅よりも厚ぐシン力溝 12cと薄肉部 16dとの間の隙間を覆うので、この隙間に編糸が落込むのを確実に防止することができる。

可動シン力 16は、揺動支持部 16bを-一ドルプレート 14に設ける支承用凹所で支持され、編糸受け部 16aが設けられる先端側が、図 1に実線で示す下限と、 2点鎖線で示す上限との間で揺動変位する。可動シン力 16の揺動支持部 16bの上方には、線ばね 19が設けられ、図の時計回り方向のトルクを与えて、編糸受け部 16aが歯口 1 3内で編地を下方に押えるように付勢する。なお、針床 12と-一ドルプレート 14とは、紙面に垂直に貫通するプレート締付けワイヤ 20aによって位置決めされる。線ばね 1 9の上方は、ニードルプレート 14の段差部で受けられる。ニードルプレート 14、ヤーンガイドスぺーサ 17およびスぺーサ 18は、紙面に垂直に貫通する帯金 20bおよびスぺーサ位置決めワイヤ 20cで位置決めされる。なお、図 2では、簡略化のため、ニードルプレート 14、帯金 20bおよびスぺーサ位置決めワイヤ 20cは省略している。

図 2に示すように、各針溝 12aは、針床 12の長手方向に一定のピッチで形成される。各針溝 12a内には、編針 15が収納される。針溝 12a内では、編針 15と可動シン力 1 6との間に、ヤーンガイドスぺーサ 17が設けられる。ヤーンガイドスぺーサ 17は、図 1 0に示すヤーンガイドスぺーサ 7と同様に、歯口 13側の先端に、ヤーンガイド部 17a が形成されて、天歯 12bから突出する。ただし、ヤーンガイドスぺーサ 7に設けられる延出部 7bおよび編糸脱落防止部 7cは不要である。なお、ヤーンガイドスぺーサ 17と針溝 12aを挟んで対向する側の-一ドルプレート 14との間には、スぺーサ 18が設けられ、編針 15が収容される空間の間隔を保つようにしている。編針 15の歯口 13に対する進退移動は、スぺーサ 18の下方の空間で行われる。

図 1と図 10とを比較して判るように、針床 12の天歯 12b付近には、図 10に示すようなヤーンガイドスぺーサ 7の延出部 7bを設ける必要がないので、少なくとも延出部 7b の厚さ分、天歯 12bの位置を、図 10の天歯 2bの位置と編針 5の底部との間隔よりも、編針 15の底部との間隔が小さくなる位置に設けることができる。また、図 11のように、延出部 7bの先端を折曲げて編糸脱落防止部 7cを設ける必要がないので、編糸脱落防止部 7cの厚さと、可動シン力 7との間の隙間とを含めた分だけ、針溝 12aの歯口 1 3側の間口を拡げることができる。

図 3Aおよび図 3Bは、可動シン力 16の形状を示す。図 4Aおよび図 4Bは、ヤーンガイドスぺーサ 17の形状を示す。図 5Aおよび図 5Bは、スぺーサ 18の形状を示す。可動シン力 16、ヤーンガイドスぺーサ 17およびスぺーサ 18は、板状であり、図 3A、図 4Aおよび図 5Aは、板厚側の構成を平面視し、図 3B、図 4Bおよび図 5Bは板の表面側の構成を正面視してそれぞれ示す。

図 3Aおよび図 3Bに示すように、可動シン力 16は、横編機 11の針床 12の歯口 13 側先端に形成されるシン力溝 12cに少なくとも一部が収容され、シン力溝 12cよりも突出する部分が歯口 13に進退揺動可能である。可動シン力 16は、薄肉部 16dと厚肉部 16cとを有する。薄肉部 16dは、シン力溝 12cに収容される部分を含む内縁側で、シン力溝 12cの幅よりも薄い。厚肉部 16cは、シン力溝 12cよりも歯口 13側に突出する外縁側で、シン力溝 12cと薄肉部 16dとの間の隙間を覆うように形成される。厚肉部 16cは、シン力溝 12cの幅よりも厚ぐシン力溝 12cと薄肉部 16dとの間の隙間を覆うので、この隙間に編糸が落込むのを確実に防止することができる。

なお薄肉部 16dで、可動シン力 16が歯口 13に進出したときに、ヤーンガイドスぺーサ 17の抜き穴 17bの側方となる部分 16eの形状は、抜き穴 17bとほぼ一致させておく。これによつて、フック 15aのヤーンガイドスぺーサ 17側の反対側の側方にも、ヤーンガイドスぺーサ 17側と同様なスペースを確保することができる。

また、針床 12には、図 4Aおよび図 4Bに示すようなヤーンガイドスぺーサ 17が可動シン力 16と並設される。ヤーンガイドスぺーサ 17の先端側は歯口 13に突出して、編針 15が歯口 13で編糸の供給を受けて編目ループを形成する際に編糸を案内するヤーンガイド 17aとして機能する。ヤーンガイドスぺーサ 17の基端側は、針床 12で編針 15が歯口 13に対して進退変位するように収容される針溝 12a内でスぺーサとして機能する。ヤーンガイドスぺーサ 17のヤーンガイド 17aとして機能する部分には、抜き穴 17bが形成されているので、ノックオーバの際に、フック 15aの周囲に充分な空間を確保することができる。抜き穴 17bを設けたり、前述のように、可動シン力 16の薄肉部 16dの部分 16eの形状を抜き穴 17bの形状にほぼ一致させたりして、編糸が可動シン力 16およびヤーンガイドスぺーサ 17に接触するのを防止したり、接触しても抵抗が少なくなるようにして、旧ループが円滑にフック 15aを乗越えてノックオーバが容易になるようにすることができる。

図 6は、図 1の針床 12および-一ドルプレート 14を組合わせている状態を示す。可動シン力 16は、ニードルプレート 14に形成される薄肉部 14aに主要部分が収容され、揺動支持部 16bは支承用凹所 14bに収容される。図 7は編針 15の構成を示す。図 8Aおよび図 8Bは、針床 12の先端部分で、可動シン力 16の厚肉部 16cによる編糸のシン力溝 12cへの落込み防止の効果を、図 10の可動シン力 6と比較して示す。編糸の落込みは、比較的細い編糸 21を複数束ねて編成に使用するような場合に起りやすくなる。図 8Aに示すように、厚肉部 16cがシン力溝 12cを塞ぐので、編糸 21がシン力溝 12cに落込むのを確実に防止できる。図 10の可動シン力 6では、図 8Bに示すように、編糸 21がシン力溝 2cに落込むこともある。

なお、図 2に示すように、編針 15に対して、一側方に可動シン力 16が位置し、他側方にはヤーンガイドスぺーサ 17が位置する。可動シン力 16厚肉部は、編針 15側のみに設けるようにしてもよい。この場合、可動シン力の先端付近の断面形状は、図 8A および図 8Bに示すような T字状ではなぐ L字状となる。

図 9Aおよび図 9Bは、可動シン力 16に厚肉部 16cを設けることによる編糸のシン力溝 12cへの落込み防止の効果として、天歯 12bの位置を編針 15の底部に近付けられ、ノックオーバが容易になることを示す。編針に保持される旧ループは、天歯である角度で曲るようになるとノックオーバを行うようになることが知られている。図 9Aは図 1の天歯 12bで旧ループ 22をノックオーバさせる状態を示し、図 9Bは図 10の天歯 2 bで旧ループ 22をノックオーバさせる状態を示す。天歯 12b, 2bでの編糸の角度は同一であっても、図 9Bではヤーンガイドスぺーサの延出部 7bの厚さ分だけ天歯 2b の位置が低ぐ編針 5の底部が通る針床交点 3b力離れている。歯口 13, 3の中心 1 3a, 3aに平行に編地を下方に引き上げるときに天歯 12b, 2bで編糸が同じ角度だけ曲るときにノックオーバが起るとする。図 9Aでは、天歯 12bが針床交点 13bに近いので、たとえば、編針 15のフック 15aの先端が天歯 12bから Laの距離だけ歯口 13から遠ざかればノックオーバが起きる。図 9Bでは、編針 5のフック 5aの先端が天歯 2bから Lbの距離だけ歯口 3から遠ざ力る必要がある。対向する針床間の天歯 12b, 2bの間隔である歯口間寸法 da, dbは同等でも、 La< Lbであり、図 9Aの方がノックオーバしやすいことが判る。

また、針床 12には、編針 15の歯口 13に対する進退変位を案内する針溝 12aが形成され、針溝 12aの底部が歯口 13に臨む先端部分が天歯 12bとして機能するので、エッジとはならないような曲率に加工して、ノックオーバの際に編地の下がりに悪影響を及さないようにすることができる。可動シン力 16を収容するシン力溝 12cが天歯 12b まで形成されていても、可動シン力 16の厚肉部 16cで編糸のシン力溝 12cへの落込みを確実に防止することができるので、たとえば編糸脱落防止部 7cを有するヤーンガイドスぺーサ 7を用いる必要がな、。

本発明は、その精神または主要な特徴力逸脱することなぐ他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。

産業上の利用可能性

本発明によれば、可動シン力は、横編機の針床の歯口側先端に形成されるシン力溝に少なくとも一部が収容され、シン力溝に収容される部分を含む内縁側で、シン力溝の幅よりも薄い薄肉部となる。可動シン力で、シン力溝よりも歯口側に突出する外縁側では、厚肉部がシン力溝と薄肉部との間の隙間を覆うように形成されるので、この隙間に編糸が落込むのを確実に防止することができる。

さらに本発明によれば、歯口を挟んで対向するように配設される針床の歯口側先端にはシン力溝が形成され、シン力溝には歯口に進退揺動可能な可動シン力の少なくとも一部が収容される。可動シン力は、薄肉部と厚肉部とを有し、薄肉部は、シン力溝に収容される部分を含む内縁側で、シン力溝の幅よりも薄い。厚肉部は、シン力溝の幅よりも厚ぐシン力溝と薄肉部との間の隙間を覆うので、この隙間に編糸が落込むのを確実に防止することができる。

また本発明によれば、針床に、可動シン力と並設されるヤーンガイドスぺーサの先端側は歯口に突出して、編針が歯口で編糸の供給を受けて編目ループを形成する際に編糸を案内するヤーンガイドとして機能する。ヤーンガイドスぺーサの基端側は、針床で編針が歯口に対して進退変位するように収容される針溝内でスぺーサとして機能する。ヤーンガイドスぺーサのヤーンガイドとして機能する部分には、抜き穴が形成されているので、ノックオーバの際に、フックの周囲に充分な空間を確保して、編糸がヤーンガイドスぺーサに接触するのを防止したり、接触しても抵抗を少なくして、旧ループが円滑にフックを乗越えるようにすることができる。

また本発明によれば、可動シン力の薄肉部の形状をヤーンガイドスぺーサの抜き穴の形状と大略的に一致させるので、編針に対してヤーンガイドスぺーサが設けられな V、側の側方にも、ヤーンガイドスぺーサ側と同様なスペースを確保することができる。また本発明によれば、針床には、編針の歯口に対する進退変位を案内する針溝が形成され、針溝の底部が歯口に臨む先端部分が天歯として機能する。可動シン力を収容するシン力溝が天歯まで形成されて!、ても、可動シン力の厚肉部で編糸のシン力溝への落込みを確実に防止することができる。天歯を針床の先端に形成するので、エッジとはならないような曲率にカ卩ェして、ノックオーバの際に編地の下がりに悪影響を及さなヽようにすることができる。

Claims

請求の範囲

[1] 横編機の針床の歯口側先端に形成されるシン力溝に少なくとも一部が収容され、シンカ溝よりも突出する部分が歯口に進退揺動可能な可動シン力において、

シン力溝に収容される部分を含む内縁側で、該シン力溝の幅よりも薄ヽ薄肉部と、該シン力溝よりも歯口側に突出する外縁側で、該シン力溝と該薄肉部との間の隙間を覆うように形成され、該シン力溝の幅よりも厚い厚肉部とを有することを特徴とする可動シン力。

[2] 少なくとも前後一対の針床が歯口を挟んで対向するように配設され、各針床の歯口側先端にはシン力溝が形成され、歯口に進退揺動可能であり、シン力溝に少なくとも一部が収容される可動シン力を備える横編機において、

可動シン力は、

シン力溝に収容される部分を含む内縁側で、該シン力溝の幅よりも薄ヽ薄肉部と該シン力溝よりも歯口側に突出する外縁側で、該シン力溝と該薄肉部との間の隙間を覆うように形成され、該シン力溝の幅よりも厚い厚肉部とを有することを特徴とする可動シン力を備える横編機。

[3] 前記針床には、先端側が歯口に突出して、編針が歯口で編糸の供給を受けて編目ループを形成する際に編糸を案内するヤーンガイドとして機能し、基端側が針床で編針が歯口に対して進退変位するように収容される針溝内でスぺーサとして機能するヤーンガイドスぺーサが可動シン力と並設され、

ヤーンガイドスぺーサのヤーンガイドとして機能する部分には、抜き穴が形成されていることを特徴とする請求項 2記載の可動シン力を備える横編機。

[4] 前記可動シン力の薄肉部の形状は、該可動シン力が前記歯口に進出している状態で、前記ヤーンガイドスぺーサの抜き穴の形状に大略的に一致していることを特徴とする請求項 3記載の可動シン力を備える横編機。

[5] 前記針溝の底部が歯口に臨む先端部分が天歯として機能することを特徴とする請求項 3または 4記載の可動シン力を備える横編機。