WO2005121568A1 - ネジ - Google Patents

Abstract

　対応するネジ穴への螺合締結用に形成された雄ネジ部と、この雄ネジ部の一端に連接して一体形成され、かつ頂端面が形成された頂冠部と、を有するネジ本体と、前記ネジ穴に対して前記雄ネジ部を螺合締結させるに必要な回転トルクを前記頂冠部に伝達するために用いられ、前記頂冠部の頂端面の形態に対応して形成された基端面を有するトルク伝達手段と、前記頂冠部の前記頂端面と前記トルク伝達手段の前記基端面とを接着し、これら頂冠部とトルク伝達手段とを機構的に連結する接着固化層と、が備えられていることを特徴とするネジ。

Description

明 細 書

ネジ

技術分野

[0001] 本発明は、本体ヘッドに締結用刻印などの締付け手段を具備しないネジに関する ものである。

本願は、 2004年 06月 10日に出願された日本国特許出願第 2004— 173020号 に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002] 従来より、ネジは、任意の機器の構造部材を接合する手段として広く利用されてい る。ネジを締め付けるための手法としては、ネジ頭の頂部に、プラス（+ )形状の「十 字穴」やマイナス（-)形状の「すり割り」などの刻印を形成し、この刻印に、対応する 穂先形状をもつネジ回し (ドライノ を当て嵌めることにより、ネジに回転トルクを与え るものが一般的である。

[0003] し力しながら、構造部材に締め付けられたネジは、刻印に対応した穂先形状をもつ ネジ回しがあれば、容易に緩めることが可能である。こうした特質は、ー且、正規のェ 程で締め付けられたネジが第三者によって緩められると不都合を生じる場合、例えば 、ネジの緩め操作が行われていないことを機器の製品保証の条件とする場合などに おいては、極めて不適切である。

[0004] このため、従来、十字穴やすり割りなど一般的な形状力 なる刻印の使用を避け、 ネジ頭の頂部に特殊な形状の刻印を設けたネジも利用されている。しかし、その特殊 刻印の形状に対応した穂先形状をもつネジ回しを持つ者カ^、れば、そのネジが緩め られる可能性は依然として存在するため、刻印形状の工夫だけでは、いたずら等によ るネジ緩め操作を完全に防止することは不可能といえる。

[0005] こうした問題に応えるため、例えば、特許文献 1に開示の「防犯用ネジ」が提案され ている。この防犯用ネジは、ネジ頭の頂部に、手では分離不可能なネジ締付け操作 用のつまみを、一体成形、溶着、接着等の手法により事前に形成し、構造部材に対 するネジ締付け操作が完了した後に、そのつまみを、ドライバ、レンチ、プライヤ等の 簡単な工具で分離可能としたものである。即ち、この防犯用ネジでは、ネジ締付け操 作後のつまみの除去により、いたずら等の要因となるネジ緩め操作のための手段（つ まみ）を積極的に消失させるようにして 、る。

特許文献 1 :特開 2003— 074531号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] し力しながら、上述した防犯用ネジでは、つまみを除去した後のネジ頭の頂部に、 つまみを除去した痕が残ってしまうため、このネジ自身、又はこのネジが装された機 器の美観が大きく損なわれてしまうという問題がある。無論、従来の一般的なネジのよ うにネジ頭の頂部に種々の刻印がある場合についても、同様に、美観上の問題が依 然として存在する。

[0007] また、このような防犯用ネジでは、工具によるつまみの除去操作が必須であり、この 操作は人手により逐一行う必要があるため、その取扱いは決して容易なものではなか つた o

[0008] ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は、次のとおりである。

[0009] 即ち、本発明の第 1の目的は、第三者による緩め操作を防止することの可能なネジ を提供することにある。

また、本発明の第 2の目的は、美観や取扱性に優れたネジを提供することにある。

[0010] 本発明の他の目的は、明細書、図面、特に、特許請求の範囲の各請求項の記載か ら、自ずと明らかとなろう。

課題を解決するための手段

[0011] 本発明にお ヽては、対応するネジ穴への螺合締結用に形成された雄ネジ部と、頂 端面が形成された頂冠部とを具備するネジ本体と、頂冠部の頂端面の形態に対応し て形成された基端面を有するネジ頭部材などのトルク伝達手段と、頂冠部の頂端面 とトルク伝達手段の基端面とを接着して両者を機構的に連結する接着固化層とを具 備させる、という特徴的な手段を講じる。

[0012] さらに、具体的に、そして詳細に述べると、この課題の解決では、本発明が次に列 挙する上位概念カゝら下位概念にわたる新規な特徴的構成手段を採用することにより 、前記目的を達成するよう為される。

[0013] 即ち、本発明に係るネジは、対応するネジ穴への螺合締結用に形成された雄ネジ 部と、この雄ネジ部の一端に連接して一体形成され、かつ頂端面が形成された頂冠 部と、を有するネジ本体と、前記ネジ穴に対して前記雄ネジ部を螺合締結させるに必 要な回転トルクを前記頂冠部に伝達するために用いられ、前記頂冠部の頂端面の形 態に対応して形成された基端面を有するトルク伝達手段と、前記頂冠部の前記頂端 面と前記トルク伝達手段の前記基端面とを接着し、これら頂冠部とトルク伝達手段と を機構的に連結する接着固化層と、が備えられていることを特徴とする。

[0014] また、本発明に係るネジは、前記頂端面が、前記雄ネジ部の長手方向に直交する ように形成された平坦面とされて!/ヽることを特徴とする。

[0015] 更に、本発明に係るネジは、前記接着固化層が、硬化した接着剤とされ、この接着 剤は、定常状態時には、前記トルク伝達手段側からの回転トルクを前記ネジ本体側 に伝達するに足る破壊強度を有し、かつ、所定の加熱処理を施した時には、前記頂 冠部の頂端面力 除去されてこの頂端面を外部に露出させることを可能とする特質 を有することを特徴とする。

[0016] 更に、本発明に係るネジは、前記接着剤が、温水加熱処理を施すことにより被着材 の表面から剥離する特質を有することを特徴とする。

[0017] 更に、本発明に係るネジは、前記トルク伝達手段が、所定のトルク発生工具と対応 して結合可能に形成された工具結合領域を有するネジ頭部材とされていることを特 徴とする。

[0018] 更に、本発明に係るネジは、前記トルク伝達手段が、手動操作に応じてこのトルク 伝達手段に所定の回転トルクが付与される機構的形態を具備したネジ頭部材とされ ていることを特徴とする。

[0019] 更に、本発明に係るネジは、前記ネジ頭部材に、前記頂冠部の頂端面の形態に対 応して形成された基端面を有する中間接合部材と、前記ネジ頭部材と前記中間接合 部材との間に設けられて、これらネジ頭部材と中間接合部材とを互いに湾曲可能か つ連動回転可能に連結する自在継手部材と、が備えられていることを特徴とする。

[0020] 更に、本発明に係るネジは、前記頂冠部に、この頂冠部の外周部上半域の直径が 前記雄ネジ部の最大直径よりも漸次大きく設定された、円錐台状をなす上半域拡張 テーパ部が備えられて 、ることを特徴とする。

[0021] 更に、本発明に係るネジは、前記頂冠部に、前記ネジ本体と前記上半域拡張テー パ部との間に形成された、円柱状をなす下半域ネック部が備えられていることを特徴 とする。

[0022] 更に、本発明に係るネジは、前記頂冠部の上半域拡張テーパ部と下半域ネック部 との連接領域には、防水パッキンが装着されていることを特徴とする。

[0023] 更に、本発明に係るネジは、前記下半域ネック部が、前記雄ネジ部の最大直径と 同等の直径を有することを特徴とする。 発明の効果

[0024] 以上のように、本発明に係るネジによれば、雄ネジ部の一端に連接する頂冠部に 形成された頂端面と、この頂冠部の頂端面の形態に対応して形成された基端面を有 する、ネジ頭部材などのトルク伝達手段とを、温水などによる所定の加熱処理を施す ことにより被着材の表面力 剥離する接着固化層により機構的に連結している。この ため、ネジ穴に対して雄ネジ部を螺合締結した後に、ネジの接着固化層に温水を塗 布若しくは散布し、又はこの接着固化層を温水に浸漬することにより、接着固化層が 頂冠部の頂端面力 容易かつ清浄に除去されて、頂端面が外部に露出するようにな る。なおこのとき、防水パッキンを用いてネジ穴内部への浸水が防止されるようにす れば、より好ましい。その結果、美観や取扱性に優れ、第三者による緩め操作を確実 に防止することが可能なネジが得られるようになる。

[0025] また、本発明によれば、上記トルク伝達手段の形態を、工具結合部材、中間接合部 材、及び自在湾曲回転部材力 なる機構的部材としたり、或いは、上記ネジ頭部材 又は工具結合部材を手動トルク発生部材に置き換えることにより、種々の形態のネジ を随意に構成することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0026] [図 1A]本発明の第 1実施形態に係るネジの概略構成を示す部分断面側面図である 圆 1B]図 1Aに示したネジを分解した状態を示す部分断面側面図である, [図 1C]図 1A及び図 IBに示したネジの頂冠部を示す正面図である。

[図 1D]図 1 A及び図 1Bに示したネジのネジ頭部材を示す正面図である。

[図 2A]図 1に示したネジを構造部材に螺合締結させた状態を示す部分断面側面図 である。

[図 2B]図 2Aに示したネジを分解した状態を示す部分断面側面図である。

[図 2C]図 2Bに示したネジの頂冠部を露出させた状態を示す部分断面側面図である

[図 3A]本発明の第 2実施形態に係るネジの第 1の例の概略構成を示す側面図である

[図 3B]本発明の第 2実施形態に係るネジの第 2の例の概略構成を示す側面図である

[図 4]本発明の第 3実施形態に係るネジの概略構成を示す側面図である。

[図 5]本発明の第 4実施形態に係るネジの概略構成を示す部分断面側面図である。 符号の説明

α , β , γ , δ , ε…ネジ

1…ネジ本体

11 · · ·雄ネジ部

12…頂端面

13· · ·頂冠部

13a…上半域拡張テーパ部

13b…下半域ネック部

2, 2a…ネジ頭部材（トルク伝達手段）

2b…(複数の)摩擦溝

21…十字穴

22, 22a…基端面

23…中間接合部材

24· "ユニバーサル ·ジョイント

3…接着固化層 4…防水パッキン

5…構造部材

6…ネジ穴

7· · ·ネジ回し形状ネジ頭部材（トルク伝達手段）

71…本体把手部

72· ··回転シャフト

73…穂先部

74· ··基端面

8…つまみ形状ネジ頭部材（トルク伝達手段）

81· ··突片把手部

82…基盤部

83· ··基端面

9…超音波ドライバ

91…摩擦材

発明を実施するための最良の形態

[0028] 以下、本発明に係るネジの実施の形態について、第 1〜第 4の実施形態として、図 面を用いて詳細に説明する。

[0029] [第 1の実施形態]

先ず、第 1実施形態について、図 1A〜図 1Cを用いて説明する。

図 1A〜図 1Dは、本発明の第 1実施形態に係るネジの概略構成を示す図である。 図 1Aは、ネジの部分断面側面図、図 1Bは、図 1 Aに示したネジを分解した状態を示 す部分断面側面図、図 1Cは、図 1A及び図 1Bに示したネジの頂冠部を示す正面図 、図 1Dは、図 1A及び図 1Bに示したネジのネジ頭部材を示す正面図である。

[0030] 図 1Aに示すように、本実施形態に係るネジ αは、基本的に、ネジ本体 1と、ネジ頭 部材 2と、接着固化層 3と、防水パッキン 4とを有して構成される。

[0031] このうち、ネジ本体 1は、対応するネジ穴（後述)への螺合締結用に雄ネジが形成さ れた雄ネジ部 11と、この雄ネジ部 11の一端に連接して一体形成され、かつ、頂端面 12が形成された頂冠部 13と、を具備して構成されている。頂端面 12は、この雄ネジ 部 11の長手方向直交面に沿って円形平面状に形成されている。なお、本例の頂冠 部 13は、その外周部上半域の直径が雄ネジ部 11の最大直径よりも漸次大きく設定 された円錐台形状をなす上半域拡張テーパ部 13aと、雄ネジ部 11と上半域拡張テ ーパ部 13aとの間に介在し、その直径が雄ネジ部 11の最大直径と同等に設定されて いる、略円柱形状をなす下半域ネック部 13bと、を具備している。また、この頂冠部 1 3の上半域拡張テーパ部 13aと下半域ネック部 13bとの連接領域には、合成ゴムなど の各種合成樹脂素材力 なる Oリング状の防水パッキン 4が装着されている。

[0032] また、ネジ頭部材 2は、ネジ穴に対して雄ネジ部 11を螺合締結させるに必要な回転 トルクを、頂冠部 13に伝達するために用いられるトルク伝達手段である。このネジ頭 部材 2には、例えばネジ回し（図示せず)などの、所定の回転トルクを発生させるトル ク発生工具と対応結合可能な、工具結合領域が形成されている。ここでは、工具結 合領域の一例として、十字穴（プラス刻印） 21が備えられている。また、このネジ頭部 材 2には、基端面 22が、頂冠部 13の頂端面 12の形態に対応して平面状に形成され ている。

[0033] そして、接着固化層 3は、頂冠部 13の頂端面 12とネジ頭部材 2の基端面 22とを互 いに接着して、これら両者を機構的に連結するように機能する。この接着固化層 3は 、所定の特質を有する接着剤を固化することにより形成される。具体的には、その定 常状態時には、ネジ頭部材 2側に発生された回転トルクをネジ本体 1側に伝達するに 足る破壊強度を有し、かつ、所定の加熱処理を施した時には、頂冠部 13の頂端面 1 2から除去されて、頂端面 12を外部に露出可能とする。

[0034] 特に、この接着固化層 3を形成するための接着剤は、温水などによる所定の加熱処 理を施すことにより、被着材の表面力 剥離して、容易にかつ清浄に除去可能な特 質を有することが望ましい。こうした要求を満たすものとしては、例えば、ィ匕研テック株 式会社 (Kaken Tech Co., Ltd.)の製造によるエポキシ系榭脂接着剤「ェコセパラ（EC OSEPARA) (商品名）」が好適である。

[0035] なお、ネジ頭部材 2に形成された工具結合領域としては、例示した十字穴 21に代 えて、すり割り（マイナス刻印）、四角穴、六角穴など他の刻印であってもよい。或いは 、これら刻印に代えて、ネジ頭部材 2自身の正面外形を四角形状や六角形状に形成 して、スパナやレンチ（共に図示せず)などのトルク発生工具と対応結合可能に構成 してちよい。

[0036] また、本例では、皿形フランジ状 (皿ネジのネジ頭形状)をなす頂冠部 13を例示し たが、頂冠部 13は、平形フランジ状 (平ネジのネジ頭形状)をなすものであってもよく 、場合によっては、その直径が雄ネジ部 11のネジ山最外周により構成される最大直 径と同等に設定されたものであってもよい。また、頂端面 12を、雄ネジ部 11の長手方 向直交面に沿って形成された円形平面状としている力 これに限定されず、例えば 凸曲面や凹曲面の形状であってもよ!/、。ネジ穴を有する構造部材 (後述)の形状や 仕様等によって、頂端面 12の形状等 (形態）は適宜変更が可能である。こうした場合 には、ネジ頭部材 2の基端面 22を、頂端面 12に対応させるような形状等とすることは 、言うまでもない。要するに、本発明の構成を得るための条件は、雄ネジ部 11の一端 に連接する任意の領域に接着固化層 3が得られるように形成された、頂端面 12が存 在することである。

[0037] 続いて、以上のように構成されたネジ exの使用形態につき説明する。

図 2A〜図 2Cは、図 1に示したネジ aの使用形態を順を追って示す説明図である。 図 2Aは、図 1に示したネジを構造部材に螺合締結させた状態を示す部分断面側面 図であり、図 2Bは、図 2Aに示したネジを分解した状態を示す部分断面側面図であり 、さらに図 2Cは、図 2Bに示したネジの頂冠部を露出させた状態を示す部分断面側 面図である。

[0038] まず、図 2Aに示すように、本実施形態に係るネジ exを使用する際には、従前のネ ジにおける場合と同様、ネジ回し（図示せず)などのトルク発生工具の穂先をネジ頭 部材 2の十字穴 21に当て嵌めた状態で、雄ネジ部 11を構造部材 5のネジ穴 6に対し て螺合締結する。このとき、接着固化層 3は、その定常状態時に、ネジ頭部材 2側に 発生された回転トルクをネジ本体 1側に伝達するに足る破壊強度を有するため、所定 の螺合締結は、従前のネジと何ら変わりなく適正に行われる。また、ネジ本体 1の雄 ネジ部 11と、フランジ状の頂冠部 13との連接領域に装着された防水パッキン 4は、自 身の弾性力により体積を減少させながら、この連接領域とネジ穴 6の対向内周面との 間に密着する。 [0039] 次に、図 2Bに示すように、ネジ本体 1の雄ネジ部 11が構造部材 5のネジ穴 6と螺合 締結を得た状態で、ネジ頭部材 2を含む接着固化層 3の領域全体に温水（例示のェ コセパラの場合、 90°C程度）を塗布若しくは散布し、又はこの領域を温水に浸漬する と、接着固化層 3は、これを形成する接着剤の特質により、ネジ本体 1の頂冠部 13の 頂端面 12及びネジ頭部材 2の基端面 22から容易に剥離する。このとき、温水は、ネ ジ本体 1の頂冠部 13と構造部材 5のネジ穴 6とにより構成される僅かな間隙を通って 、ネジ穴 6の内部に浸入しょうとする力 この温水の内部浸水は、ネジ本体 1の雄ネジ 部 11と頂冠部 13との連接領域 (上半域拡張テーパ部 13aと下半域ネック部 13bとの 連接領域）に装着された防水パッキン 4により、効果的に阻止される。

[0040] そして、図 2Cに示すように、ネジ本体 1の頂冠部 13の頂端面 12からは、上記接着 固化層 3が清浄に除去され、頂端面 12が外部に露出するようになる。この結果、構造 部材 5のネジ穴 6に締め付け操作を行った状態のネジ aは、美観や熱処理時の取扱 性に優れるだけでなぐ第三者による緩め操作を確実に防止することが可能な形態 をとるようになる。

[0041] なお、以上のようにしてネジ本体 1からー且分離されたネジ頭部材 2は、他のネジ本 体（ 1 )を用いながら再び接着固化層 3を硬化形成してネジ ocを構成することにより、 何度も繰り返して半永久的に利用することが可能なものであり、本構成は、リサイクル の観点からも非常に優れたものといえる。

[0042] (第 2実施形態）

次に、図 3A及び図 3Bに、本発明の第 2実施形態に係るネジの第 1例及び第 2例の 概略構成を、各々示す。なお、これらの図に示される各構成要素には、既に図 1で示 したそれと同一又は同等のものにつき共通する符号を付し、その詳細な説明につい ては省略するものとする（以下、他の図面につき同じ)。

[0043] まず、この第 2実施形態の第 1例に係るネジ βは、図 3Αに示すように、手動操作に 応じて所定の回転トルクを発生することの可能な機構的形態を具備したトルク伝達手 段として、ネジ回し形状ネジ頭部材 7を採用した構成例を示すものである。即ち、この ネジ回し形状ネジ頭部材 7は、通常のネジ回し（図示せず）と同様、本体把手部 71、 これに連接する回転シャフト 72、及びその先端に位置する穂先部 73を以つて構成さ れ、本体把手部 71の手動操作により発生される回転トルクが、本体把手部 71から回 転シャフト 72先端の穂先部 73に伝達されるようになって 、る。

[0044] ここで、穂先部 73は、上記の第 1実施形態におけるネジ頭部材 2と同様、頂冠部 13 の頂端面 12の形態に対応して平面状に形成された基端面 74を具備し、ネジ本体 1 の頂冠部 13と基端面 74との間に接着固化層 3が介層されることにより、第 1実施形態 におけるそれと同様な機能及び態様を具備するネジ回し直結型のネジ βが得られる

[0045] 一方、第 2例に係るネジ γは、図 3Βに示すように、上記の機構的形態を具備したト ルク伝達手段として、つまみ形状ネジ頭部材 8を採用した構成例を示すものである。 即ち、このつまみ形状ネジ頭部材 8は、突片把手部 81及びその基端に位置する基 盤部 82から構成され、突片把手部 81の手動操作により発生される回転トルクが、こ の突片把手部 81基端の基盤部 82に、直接伝達されるようになって!/ヽる。

[0046] ここで、基盤部 82は、上記の第 1実施形態におけるネジ頭部材 2と同様、頂冠部 13 の頂端面 12の形態に対応して平面状に形成された基端面 83を具備し、ネジ本体 1 の頂冠部 13と基端面 83との間に接着固化層 3が介層されることにより、第 1実施形態 におけるそれと同様な機能及び態様を具備するつまみ直結型のネジ γが得られる。

[0047] これら、ネジ回し直結型のネジ β、及びつまみ直結型のネジ γによれば、第 1実施 形態のネジ OCを使用するときのように、ネジ回しなどのトルク発生工具を別途用意す る必要がなくなるため、簡便な使用形態を得ることができる。無論、これらネジ |8及び Ύのネジ回し形状ネジ頭部材 7及びつまみ形状ネジ頭部材 8は、第 1実施形態のネ ジ頭部材 2と同様、何度も繰り返して半永久的に利用することが可能である。

[0048] (第 3実施形態）

次に、本発明の第 3実施形態に係るネジの概略構成を、図 4に示す。

[0049] この図に示すように、第 3実施形態に係るネジ δは、上記の第 1実施形態において 用いたものと同様のネジ頭部材 2 (十字穴 21を具備）が、頂冠部 13の頂端面 12の形 態に対応した所定の基端面 22aを構成する中間接合部材 23と、自身 (ネジ頭部材 2 )と中間接合部材 23との間に介設されて両者を湾曲連動回転自在に機構的に連結 する自在湾曲回転部材としてのユニバーサル ·ジョイント（自在継手） 24とを具備して 複合構成される。なお、接着固化層 3は、頂冠部 13の頂端面 12と、中間接合部材 2 3の基端面 22aとの間に設けられる。

[0050] この自在湾曲回転型のネジ δによれば、ネジ回し（図示せず)などのトルク発生ェ 具をネジ本体 1の軸方向に沿って適正に位置させることができない状況にあっても、 他の方向力も所定のネジ締付け操作を行うことができる。無論、このネジ δのネジ頭 部材 2の複合構成体は、何度も繰り返して半永久的に利用することが可能である。

[0051] なお、上述の自在湾曲回転部材としては、例示したユニバーサル.ジョイント 24に 代えて、例えば、スクリュー 'コイル型の板巻きパネ（図示せず)なども同様にして適用 することが可能である。また、ネジ頭部材 2は、上記の第 2実施形態で例示したネジ 回し形状ネジ頭部材 7やつまみ形状ネジ頭部材 8などのような、手動操作に応じて所 定の回転トルクを発生することの可能な機構的形態を具備するものに置き換えること が可能である。

[0052] (第 4実施形態）

更に、本発明の第 4実施形態に係るネジの概略構成を、図 5に示す。

[0053] この図に示すように、本第 4実施形態に係るネジ εは、トルク発生工具として超音波 ドライバ (ネジ回し） 9を用いる場合の構成例を示すものである。即ち、このネジ εに適 用されるトルク伝達手段としてのネジ頭部材 2aは、超音波ドライバ 9の端面に設けら れた摩擦材 91との対面領域に周回状に切削形成された、複数の摩擦溝 2bを具備し て構成される。なお、このネジ頭部材 2aは、種々の素材により構成可能なものであり 、他の機能的構成については、上記の第 1実施形態におけるそれと全て同様である 。無論、このネジ εのネジ頭部材 2aも、第 1実施形態のネジ頭部材 2と同様、何度も 繰り返して半永久的に利用することが可能である。

[0054] ここで、超音波ドライバ 9は、回転作用領域の摩擦力に比例して極めて強力な回転 トルクを発生する特性を有するものであるため、同超音波ドライバ 9によりネジ εの締 付け操作を行えば、複数の摩擦溝 2bを具備するネジ頭部材 2aの摩擦力向上作用 により、ネジ本体 1の雄ネジ部 11は、構造部材 5のネジ穴 6との間で極めて強固な螺 合締結を得るようになる。

[0055] この結果、表面に高摩擦力を生じるネジ頭部材 2a及び接着固化層 3を温水により 剥離した後に、同じ超音波ドライバ 9によりネジ緩め操作を行おうとしても、ネジ穴 6に 強固に螺合締結されたネジ本体 1の頂冠部 13 (頂端面 12)に所定値を上回る摩擦 力を得ることは、もはや不可能となる。即ち、超音波ドライノ 9をもってしても、ネジ本 体 1を取り外すことが不可能となり、ここに、第三者による緩め操作を確実に防止する ことが可能なネジ εが得られるようになる。

[0056] 以上、本発明の好ましい実施形態について説明した力 本発明はこれら実施形態 に限定されることはなぐ広く応用することができる。本発明の趣旨を逸脱しない範囲 で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述し た説明によって限定されることはなぐ添付のクレームの範囲によってのみ限定される 産業上の利用可能性

[0057] 本発明に係るネジは、例えば任意の被締結部材同士を接合する際に、締付け操作 を好適に行い得るとともに、美観や取扱性に優れ、第三者による緩め操作を確実に 防止することができるものである。

Claims

請求の範囲

[1] 対応するネジ穴への螺合締結用に形成された雄ネジ部と、この雄ネジ部の一端に 連接して一体形成され、かつ頂端面が形成された頂冠部と、を有するネジ本体と、 前記ネジ穴に対して前記雄ネジ部を螺合締結させるに必要な回転トルクを前記頂 冠部に伝達するために用いられ、前記頂冠部の頂端面の形態に対応して形成され た基端面を有するトルク伝達手段と、

前記頂冠部の前記頂端面と前記トルク伝達手段の前記基端面とを接着し、これら 頂冠部とトルク伝達手段とを機構的に連結する接着固化層と、

が備えられて 、ることを特徴とするネジ。

[2] 前記頂端面が、

前記雄ネジ部の長手方向に直交するように形成された平坦面とされて ヽることを特 徴とする請求項 1に記載のネジ。

[3] 前記接着固化層は、硬化した接着剤とされ、

この接着剤は、定常状態時には、前記トルク伝達手段側からの回転トルクを前記ネ ジ本体側に伝達するに足る破壊強度を有し、かつ、所定の加熱処理を施した時には

、前記頂冠部の頂端面力 除去されてこの頂端面を外部に露出させることを可能と する特質を有することを特徴とする請求項 1に記載のネジ。

[4] 前記接着剤は、

温水加熱処理を施すことにより被着材の表面から剥離する特質を有することを特徴 とする請求項 3に記載のネジ。

[5] 前記トルク伝達手段は、

所定のトルク発生工具と対応して結合可能に形成された工具結合領域を有するネ ジ頭部材とされて ヽることを特徴とする請求項 1に記載のネジ。

[6] 前記トルク伝達手段は、

手動操作に応じてこのトルク伝達手段に所定の回転トルクが付与される機構的形 態を具備したネジ頭部材とされて 、ることを特徴とする請求項 1に記載のネジ。

[7] 前記ネジ頭部材には、

前記頂冠部の頂端面の形態に対応して形成された基端面を有する中間接合部材 と、

前記ネジ頭部材と前記中間接合部材との間に設けられて、これらネジ頭部材と中 間接合部材とを互いに湾曲可能かつ連動回転可能に連結する自在継手部材と、 が備えられて 、ることを特徴とする請求項 6に記載のネジ。

[8] 前記頂冠部には、

この頂冠部の外周部上半域の直径が前記雄ネジ部の最大直径よりも漸次大きく設 定された、円錐台状をなす上半域拡張テーパ部が備えられている、

ことを特徴とする請求項 1に記載のネジ。

[9] 前記頂冠部には、

前記ネジ本体と前記上半域拡張テーパ部との間に形成された、円柱状をなす下半 域ネック部が備えられている、

ことを特徴とする請求項 8に記載のネジ。

[10] 前記頂冠部の上半域拡張テーパ部と下半域ネック部との連接領域には、防水パッ キンが装着されている、

ことを特徴とする請求項 9に記載のネジ。

[11] 前記下半域ネック部は、

前記雄ネジ部の最大直径と同等の直径を有する、

ことを特徴とする請求項 9に記載のネジ。