明 細 書 内視鏡 技術分野
本発明は、 複数方向に湾曲可能な湾曲部を有する挿入部を備え た内視鏡に関する。 背景技術
従来より、 内視鏡は、 広く利用されている。 内視鏡は、 細長の 揷入部を体腔内に挿入することによ り、 体腔内臓器などを観察し たり、 必要に応じて処置具挿通用チャンネル内に挿通した処置具 を用いて各種治療処置ができる。
このような従来の内視鏡の中には、 例えば、 特公昭 5 1 — 3 5 7 9 4号公報に記載されているように、 上下左右方向等の複数方 向に湾曲可能な湾曲部を有する揷入部を備えたものが提案されて いる。
上記公報に記載の内視鏡は、 状況に応じて湾曲半径を選択でき るようにある方向には大きく曲がり、 ある方向には小さ く曲がる ように湾曲方向によって湾曲部位の長さが異なるように湾曲部を 構成している。
一般に、 内視鏡は、 操作部に設けたノブやレバー等の湾曲操作 部材を操作することにより、 湾曲操作ワイヤを牽引弛緩して上記 湾曲部の湾曲操作を行うように構成されている。 また、 内視鏡は 、 湾曲部の先端側に設けた先端部に対物光学系や処置具挿通用チ ヤンネルが配設されている。
そして、 例えば、 内視鏡は、 大腸等の管腔内において、 湾曲部 を反転視 ( 1 8 0度以上湾曲) させて処置を行う際、 湾曲部を小 さ く曲げて湾曲させる。 この場合、 内視鏡は、 上記処置具揷通用
チャンネルが腫瘍などの目的部位に近く、 且つ上記対物光学系が 目的部位に遠い方が処置し易く且つ観察し易いので都合が良い。
しかしながら、 上記特公昭 5 1— 3 5 7 9 4号公報は、 上記対 物光学系と上記処置具挿通用チヤンネルとの位置関係と、 上記湾 曲部の湾曲方向との関係、 即ち、 具体的に上記対物光学系及び上 記処置具揷通用チャンネルに対して湾曲部がどの方向に曲がるベ きかに閧して述べられていない。
本発明は、 これらの事情に鑑みてなされたものであり、 反転視 して処置を行う際、 湾曲半径を選択して良好な処置作業が行える 内視鏡を提供することを目的とする。 発明の開示
本発明の内視鏡は、 被検体内に挿入される挿入部と、 前記挿入 部に設けられ、 操作者の湾曲操作に応じ、 第 1の方向、 及びこの 第 1の方向より も小さい湾曲範囲で湾曲する第 2の方向へ湾曲可 能な湾曲部と、 前記挿入部の先端に設けられる観察光学系と、 前 記揷入部内を揷通し、 前記湾曲部を第 2の湾曲方向に湾曲させた 際における前記観察光学系が設けられる位置に対して前記第 2の 湾曲方向とは逆方向に開口が配置された処置具揷通チャンネルと を有する。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の実施の形態の内視鏡を示す構成図である。 図 2は、 図 1の先端部の正面図である。
図 3は、 図 1の湾曲部の構成を示す概略斜視図である。
図 4は、 図 3の湾曲部の B方向矢視図である。
図 5は、 図 3の湾曲部の C方向矢視図である。
図 6は、 図 1の内視鏡の A方向矢視図である。
図 7は、 モニタに表示される観察画像の方向を示す概略説明図
である。
図 8は、 管腔内の目的部位付近に先端部が到達した際の挿入部 の様子を示す概略説明図である。
図 9は、 図 8の状態から湾曲部を小さい湾曲半径で湾曲した際 の挿入部の様子を示す概略説明図である。
図 1 0は、 管腔の屈曲部における湾曲部を小さい湾曲半径で湾 曲した際の挿入部の様子を示す概略説明図である。
図 1 1は、 管腔の屈曲部における湾曲部を大きい湾曲半径で湾 曲した際の挿入部の様子を示す概略説明図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
以下、 図面を参照して本発明の 1実施の形態を説明する。
図 1ないし図 1 1は本発明の 1実施の形態に係わる。 図 1は本 発明の 1実施の形態の内視鏡を示す構成図である。 図 2は図 1の 先端部の正面図である。 図 3は図 1の湾曲部の構成を示す概略斜 視図である。 図 4は図 3の湾曲部の B方向矢視図である。 図 5は 図 3の湾曲部の C方向矢視図である。 図 6は図 1の内視鏡の A方 向矢視図である。 図 7はモニタに表示される観察画像の方向を示 す概略図である。 図 8は管腔内の目的部位付近に先端部が到達し た際の揷入部の様子を示す概略図である。 図 9は図 8の状態から 湾曲部を小さい湾曲半径で湾曲した際の揷入部の様子を示す概略 図である。 図 1 0は管腔の屈曲部における湾曲部を小さい湾曲半 径で湾曲した際の挿入部の様子を示す概略図である。 図 1 1は管 腔の屈曲部における湾曲部を大きい湾曲半径で湾曲した際の挿入 部の様子を示す概略図である。
図 1に示すように本発明の 1実施の形態の内視鏡 1は、 可撓性 を有する細長の揷入部 2 と、 この揷入部 2の基端側に設けられた 操作部 3 とから構成される。 内視鏡 1は、 この操作部 3に側部か
ら延出した可撓性を有するユニバーサルコード 4が設けられてい る。 このユニバーサルコード 4は、 端部に図示しない光源装置及 びビデオプロセッサと着脱自在に接続可能なコネクタ部 (不図示 ) が設けられている。 また、 内視鏡 1は、 図示しないが吸引装置 , 前方送水装置, 送液タンクが接続されるようになっている。 揷入部 2は、 その先端に設けられた硬質の先端部 1 1 と、 この 先端部 1 1の基端に設けられた湾曲自在の湾曲部 1 2 と、 この湾 曲部 1 2の基端に設けられた長尺で可撓性を有する可撓管部 1 3 とから構成される。
操作部 3には、 内視鏡 1 を把持するための把持部 3 aが揷入部 2側に設けられている。 この把持部 3 aの上側 (操作部 3 の基端 側) には、 送気操作 · 送水操作を行うた-めの送気送水操作釦 2 1 及び吸引操作を行うための吸引操作釦 2 2が設けられている。
これら送気送水操作釦 2 1及び吸引操作釦 2 2の設けられてい る把持部 3 aの側部側には、 湾曲部 1 2を複数方向に湾曲可能な 湾曲操作を行うためのノブ、 レバ一等の複数の湾曲操作部材 2 3 が設けられている。 尚、 本実施の形態では、 複数の湾曲操作部材 2 3 として、 後述するように湾曲部 1 2 を上下左右方向の 4方向 に湾曲操作可能に 2つの湾曲操作部材を設けて構成している。 そ の詳細は、 後述する。
また、 把持部 3 aの頭頂部側には、 ビデオプロセッサを遠隔操 作するための複数のリモー トスイ ッチ 2 4が設けられている。
一方、 把持部 3 aの下側 (挿入部 2の基端側) には、 処置具挿 通用チャンネル 2 9 (図 8, 図 9参照) に連通した開口である処 置具挿入口 2 5が設けられている。 この処置具挿入口 2 5の端縁 部には、 図示しない鉗子栓が着脱自在に装着されるようになって いる o
図 2に示すように揷入部 2の先端部 1 1には、 対物光学系 2 6 . と、 この対物光学系 2 6の表面に水や空気等の流体を噴きつけて
対物光学系 2 6の表面を洗滌する送気送水ノズル 2 7 と、 照明光 学系 2 8 と、 処置具挿通用チャンネル 2 9 の先端開口部 2 9 Aと 、 被検体の目的部位を洗浄するための前方送水開口部 3 0 とが設 けられている。 尚、 対物光学系 2 6 の後方には、 図示しない対物 光学系が配設されている。 又、 図示レないが、 この対物光学系の 結像位置には撮像ユニッ トの撮像面 (光学式内視鏡の場合、 ィメ —ジガイ ドゃリ レーレンズ等の像伝達光学系の像入射端面) が配 置されている。 また、 照明光学系 2 8の後方には、 図示しないラ イ トガイ ドの出射端面が配置されている。 尚、 点線は、 先端部 1 1 に固定される後述の湾曲操作ワイヤである。
本実施の形態では、 先端部 1 1 において、 後述するように処置 具挿通用チャンネル 2 9は、 対物光学系 2 6 より も外周方向に配 置するように構成されている。
次に、 湾曲部 1 2 の詳細構成を説明する。
図 3に示すように湾曲部 1 2は、 複数の湾曲駒 (節輪とも言う ) がそれぞれ回動自在に連設して構成されている。 これら複数の 湾曲駒には、 図示しないが細線のワイヤなどを筒状に編み込んだ 湾曲ブレー ドを被せられるとともに、 この湾曲ブレー ド上に水密 に湾曲ゴムが被せられることによって、 湾曲部 1 2が形成されて いる。 尚、 図 3 中、 湾曲部 1 2は、 湾曲ブレード及び湾曲ゴムを 取り外した状態を示している。
湾曲部 1 2は、 先端側部分 1 2 aと基端側部分 1 2 bとの 2部 分から構成される。 先端側部分 1 2 aにおいて、 湾曲駒 3 1が先 端部 1 1 に取り付けられている。 湾曲駒 3 1は、 その後縁 (基端 側の縁) の水平方向の円周部に、 一対の枢支部 3 1 aを有する。 なお、 本実施の形態における説明において、 水平方向とは、 説明 を容易にするために図 3の紙面に向かって略横方向をいうが、 湾 曲部 1 2の軸に直交する一方向であり、 そして垂直方向とはその 水平方向に直交しかつ湾曲部 1 2の軸に対しても直交する方向で
ある。
また、 先端側部分 1 2 aにおいて、 湾曲駒 3 1の基端縁 (以下 、 後縁という) に湾曲駒 3 2の先端縁 (以下、 前縁という) が取 り付けられている。 湾曲駒 3 2は、 前縁の水平方向の円周部に枢 支部 3 2 aを有するとともに後縁の垂直方向の円周部に枢支部 3
2 bを有している。 そして、 湾曲駒 3 2は、 湾曲駒 3 1の枢支部 3 1 aに対して枢支部 3 2 aを枢軸 3 3 によ り連結することによ り、 上下方向に枢動可能になっている。
同様に先端側部分 1 2 aにおいて、 前縁の垂直方向の円周部に 枢支部 3 4 aを有するとともに後縁の水平方向の円周部に枢支部
3 4 bを有する湾曲駒 3 4が、 枢支部 3 4 aを枢軸 3 5 により湾 曲駒 3 2の枢支部 3 2 bに連結することにより、 水平方向に枢動 可能に湾曲駒 3 2 に連結されている。
また、 湾曲駒 3 6は、 前後縁共水平方向の円周部に枢支部 3 6 a , 3 6 bを有している。 湾曲駒 3 6は、 枢支部 3 6 aが枢軸 3 7により湾曲駒 3 の枢支部 3 4 bに連結されることにより、 上 下方向に枢動可能に湾曲駒 3 4に連結されている。
同様に、 湾曲駒 3 8は、 前縁の水平方向の円周部に一対の枢支 部 3 8 aを有し、 後縁の垂直方向の円周部に一対の枢支部 3 8 b を有する。 湾曲駒 3 8は、 枢軸 3 9 により枢支部 3 8 aが湾曲駒 3 6の枢支部 3 6 bに連結されることにより、 上下方向に枢動可 能に湾曲駒 3 6に連結されている。 以下、 湾曲駒 3 4, 3 6, 3 8 と同様に湾曲駒 4 0は、 湾曲駒.3 8に対して水平に枢動可能に 取り付けられ、 湾曲駒 4 1が湾曲駒 4 0に対して上下方向に枢動 可能に取り付けられ、 湾曲駒 4 2が湾曲駒 4 1 に対して上下方向 に枢動可能に取り付けられ、 そして、 湾曲駒 4 3が湾曲駒 4 2 に 対して水平方向に枢動可能に取り付けられている。 以上のように 、 湾曲駒 4 0 , 4 1 , 4 2 , 4 3は、 それぞれ先行する湾曲駒に 上下及び水平方向に交互に枢動可能に連結されている。
上記のように、 湾曲部 1 2の先端側部分 1 2 aにおける交互枢 動連結の湾曲駒の数は、 別に制限はない。 また、 湾曲駒 3 6, 湾 曲駒 4 1 を廃し、 湾曲駒 3 4 と湾曲駒 3 8及び湾曲駒 4 0 と湾曲 駒 4 2を直接、 連結することも可能である。
上述の構成により、 湾曲部 1 2の先端側部分 1 2 aは、 上下方 向及び水平方向の 4方向に湾曲可能となっている。
一方、 湾曲部 1 2の基端側部分 1 2 bは、 先端側部分 1 2 aと 異なり、 基端側部分 1 2 bにおいて、 各湾曲駒 4 4〜 4 9は、 前 後縁共水平方向の円周部に枢支部を有して互いに隣接する湾曲駒 と連結され、 上下方向の 2方向にのみ、 湾曲可能となっている。 もちろん、 湾曲駒の数には、 別に制限はない。 なお、 先端側部分 1 2 aの最基端の湾曲駒 4 3は、 後縁の水平方向の円周部に設け られた一対の枢支部と、 基端側部分 1 2 bの最先端の湾曲駒 4 4 の前縁の 3 8 a水平方向の円周部に設けられた一対の枢支部とが 連結されることによって、 湾曲駒 4 4 と連結されている。
湾曲部 1 2の先端側部分 1 2 aにおいては、 先端側よ り牽引弛 緩されて湾曲操作されるための一対の湾曲操作ワイヤ (ス ト リ ン グとも言う) 5 1, 5 2がコイルパイプ (密卷コイルとも言う) 5 3 , 5 4内を通り、 湾曲部 1 2及び可撓管部 1 3内を水平方向 の枢軸近傍に沿って貫通している。 尚、 本実施の形態で用いられ るコイルパイプは、 ワイヤをパイプ状に密着卷きした非圧縮性の 構造を有している。
これら湾曲操作ワイャ 5 1, 5 2は、 それぞれ、 先端部が先端 部 1 1の基端側枠体 1 1 aの水平方向に離間した 2点 5 1 a, 5 2 aにて固定され、 基端部が操作本体内に設けた図示しない湾曲 操作機構 (手動制御機構) に連結されて交互に引張及び弛緩を与 えられるようになつている。 尚、 湾曲操作機構 (手動制御機構) は、 後述する湾曲操作部材 2 3 Bに連結されている。
コイルパイプ 5 3, 5 4は、 それぞれ湾曲操作ワイヤ 5 1 , 5
2に嵌合し、 それそれ先端部が基端側部分 1 2 bの湾曲駒 4 4の 水平方向における対向する内壁に対して固定され、 基端部が操作 本体の位置固定部に固着されている。 このことにより、 コイルパ イブ 5 3 , 5 4は、 湾曲操作ワイャ 5 1, 5 2に対して各パイ プ 基端部にて与えられる引張作動量を正確に密卷コィルの先端部に おいて与えるようになつている。
従って、 湾曲部 1 2は、 湾曲操作ワイヤ 5 1 , 5 2の選択的操 作により、 図 4に示すように湾曲部 1 2の先端側部分 1 2 aの範 囲のみが水平方向に左又は右方向に湾曲させられる。
同様にして一対の湾曲操作ワイヤ 5 5 , 5 6は、 非圧縮性のコ ィルパイプ 5 7 , 5 8内を通り、 湾曲部 1 2及び可撓管部 1 3内 を上下方向の枢軸近傍に沿って貫通している。
これら湾曲操作ワイャ 5 5 , 5 6は、 それぞれ、 先端部が先端 部 1 1 の基端側枠体 1 1 aの垂直方向に離間した 2点 5 5 a, 5 6 aにて固定され、 基端部が操作本体内の別の図示しない湾曲操 作機構 (手動制御機構) に連結されて交互に引張及び弛緩を与え られるようになっている。 尚、 別の湾曲操作機構 (手動制御機構 ) は、 後述する湾曲操作部材 2 3 Aに連結されている。
コイルパイ プ 5 7, 5 8は、 それそれ湾曲操作ワイヤ 5 5 , 5 6 に嵌合し、 それそれ先端部が可撓管部 1 3 の上下方向における 対向する内壁に対して固定され、 基端部が操作本体の位置固定部 に固着されている。
従って、 湾曲部 1 2は、 湾曲操作ワイャ 5 5、 5 6の選択的操 作により、 図 5に示すように先端側部分 1 2 a及び基端側部分 1 2 bの両方の範囲に亘つて引張力を及ぼし、 先端側部分 1 2 a及 び基端側部分 1 2 bを上下方向に湾曲可能である。 図 4 と図 5に 示すように、 湾曲操作部材 2 3 Aの操作に応じて湾曲する湾曲部 1 2の曲率半径は、 湾曲操作部材 2 3 Bの操作に応じて湾曲する 湾曲部 1 2の曲率半径よ りも大きい。
上記の如く、 湾曲操作ワイャ 5 1及び 5 2を選択的に引っ張る と先端側部分 1 2 aの範囲のみが水平方向に調節可能に湾曲され 、 また、 湾曲操作ワイャ 5 5及び 5 6を選択的に引っ張ると先端 側部分 1 2 a及び基端側部分 1 2 bを含めて湾曲部 1 2の全体の 範囲が上下方向に調節可能に湾曲される。
また、 図 4及び図 5に示すように、 挿入部 2の軸方向における 、 湾曲操作部材 2 3 Aによって湾曲する湾曲部 1 2の先端側にお ける位置と、 湾曲操作部材 2 3 Bによって湾曲する湾曲部 1 2の 先端側における位置は略同じである。 さらに、 挿入部 2の軸方向 における、 湾曲操作部材 2 3 Aの操作に応じて湾曲する湾曲部 1 2の後端側の位置は、 湾曲操作部材 2 3 Bの操作に応じて湾曲す る湾曲部 1 2の後端側の位置より も挿入部 2の手元側に位置して いる
湾曲操作ワイヤ 5 1又は 5 2 と、 湾曲操作ワイヤ 5 5又は 5 6 とをともに引張れば先端側部分 1 2 a及び基端側部分 1 2 bが全 体として上下方向に湾曲されるとともに、 先端側部分 1 2 aのみ が水平方向に湾曲され湾曲部 1 2の所望の湾曲状況を与えること ができ、 内視鏡 1の操作上、 極めて好都合である。
本実施の形態では、 複数の湾曲操作部材 2 3のうち、 操作部 3 の把持部 3 aに近い方の湾曲操作部材により操作される湾曲部 1 2の少なく とも一つの湾曲方向において、 その湾曲部位の長さを 他の湾曲操作部材により操作される他の湾曲方向の湾曲部位より 長くするように構成している。 すなわち、 湾曲操作部材 2 3 Aの 操作に応じて湾曲する湾曲部 1 2の湾曲範囲は、 湾曲操作部材 2 3 Bの操作に応じて湾曲する湾曲部 1 2の湾曲範囲より も大きい 。 言い換えると、 湾曲操作部材 2 3 Aの操作に応じて湾曲する湾 曲部 2の湾曲部位の長さは、 湾曲操作部材 2 3 Bの操作に応じて 湾曲する湾曲部 1 2の湾曲部位の長さよりも長い。 逆に言えば、 湾曲操作部材 2 3 Bの操作に応じて湾曲する湾曲部 1 2の湾曲範
囲は、 湾曲操作部材 2 3 Aの操作に応じて湾曲する湾曲範囲よ り も小さい。
ここで、 内視鏡 1は、 例えば、 後述するように腫瘍などの目的 部位が管腔の襞の裏側壁に存在する際、 目的部位を観察範囲内に 捉えるために小さい湾曲半径で湾曲部 1 2の湾曲操作を行う必要 がある。 この場合、 上記湾曲操作は、 たまにしか使用せず、 頻度 が少ない
このため、 本実施の形態では、 図 6に示すように内視鏡 1は、 湾曲部 1 2の先端側部分 1 2 aのみに対して引張力を及ぼす湾曲 操作ワイヤ 5 1又は 5 2を牽引弛緩するための湾曲操作部材を、 操作部 3の把持部 3 aに遠い方の湾曲操作部材 2 3 Bに設定して いる。 この湾曲操作部材 2 3 Bは、 右手でも使用可能である。 一方、 これに対して内視鏡 1は、 湾曲操作ワイャ 5 5又は 5 6 を牽引弛緩するための湾曲操作部材を操作部 3の把持部 3 aに近 い方の湾曲操作部材 2 3 Aに設定して構成している。 この湾曲操 作部材 2 3 Aは、 把持部 3 aを把持した左手の親指が容易に届く 位置である。
また、 湾曲操作部材 2 3 Aにより操作される湾曲部 1 2におけ る先端側部分 1 2 a及び基端側部分 1 2 bの湾曲方向は、 図 7に 示すように表示手段としてモニタ 6 0に表示される観察画像 6 1 をモニタ 6 0の重力方向 ( U P ) 又は反重力方向 ( D OWN) に 移動させる方向である。
また、 湾曲操作部材 2 3 Bにより操作される湾曲部 1 2におけ る先端側部分 1 2 aの湾曲方向は、 図 7に示すように表示手段と してモニタ 6 0に表示される観察画像 6 1をモニタ 6 0の水平方 向、 すなわち左方向 ( L E F T ) 又は右方向 ( R I G H T ) に移 動させる方向である。
ここで、 例えば、 図 8に示すように大腸等の管腔内において、 腫瘍などの目的部位が管腔の襞の裏側壁に存在する際、 内視鏡 1
の湾曲部 1 2を 1 8 0度以上湾曲させて反転視して処置を行う際 、 目的部位を観察範囲内に捉えられるように左右方向を区別して 選択的に湾曲部 1 2を小さ く曲げて湾曲させることが可能である ο
このとき、 先端部 1 1 において、 図 9に示すように処置具揷通 用チャンネル 2 9は、 対物光学系 2 6 より も外周方向に配置する ように構成されている。 具体的には、 処置具揷通チャンネル 2 9 は、 揷入部 2内に揷通されている。 そして、 湾曲部 1 2は図 8に 示す湾曲方向 B Oに湾曲されるが、 開口 2 9 Aは、 観察光学系で ある対物光学系 2 6が設けられる位置に対して、 湾曲方向とは逆 方向 N B 0側に配置されている。
また、 図 8に示すように、 湾曲部 1 2は図 8に示す湾曲方向 B 〇に湾曲されるが、 処置具揷通チャンネル 2 9は、 挿入部 2内に おいて、 挿入部 2の中心軸に対して湾曲方向 B〇とは逆方向 N B 0側を走行する。
このことにより、 内視鏡 1は、 大腸等の管腔内において、 湾曲 部 1 2を反転視させて処置を行う際、 処置具挿通用チャンネル 2 9が腫癟などの目的部位に近く、 且つ対物光学系 2 6が管腔壁よ り遠くなるように湾曲部 1 2の湾曲操作が可能となる。
対物光学系 2 6が管腔壁に近いと、 凹凸形状の管腔壁において は、 対物光学系 2 6が壁の一部に遮られたり して視野確保が十分 できなくなることがある。 対物光学系 2 6は、 壁から離れていた 方が管腔の視野確保がし易い。
尚、 本実施の形態では、 複数の湾曲操作部材 2 3 として操作部 3の把持部 3 aに近い方の湾曲操作部材 2 3 Aと、 遠い方の湾曲 操作部材 2 3 Bとの 2つを設けて湾曲部 1 2を上下左右方向に湾 曲操作可能に構成しているが、 更に湾曲部 1 2に斜め方向やその 他の方向に湾曲可能に湾曲操作ワイャを取り付け、 その方向の湾 曲操作可能に湾曲操作部材を設けても良い。
このように構成される内視鏡 1は、 光源装置及びビデオプロセ ッサに接続されるとともに、 吸引装置, 前方送水装置, 送液タン クが接続されて内視鏡検査等に用いられる。 そして、 術者は、 図 1で示したように内視鏡 1の把持部 3 aを左手で把持して挿入部 2を被検体の体腔内例えば、 大腸などに挿入し、 目的部位を観察 する。
例えば、 大腸は、 図 1 0に示すように管腔 Aと管腔 Bとの間に 急峻な屈曲部が多数ある。
術者は、 把持部 3 aを把持した左手の親指により湾曲操作部材 2 3 Aを操作して、 湾曲部 1 2の湾曲操作を行う。 すると、 内視 鏡 1は、 湾曲操作機構 (手動制御機構) によ り湾曲操作ワイヤ 5 5又は 5 6を牵引弛緩され、 先端側部分 1 2 a及び基端側部分 1 2 bの両方の範囲に亘つて引張力を及ぼされて図 1 1 に示すよう にこれら両方の範囲に亘り湾曲部 1 2が湾曲する。 内視鏡 1は、 湾曲部 1 2が長いので湾曲をかけただけで挿入部 2が突っ張らず に屈曲部を回り込んで越えて行き易く、 挿入部 2の先端部 1 1が 次の管腔 Bに達する。
そして、 図 8に示すように内視鏡 1は、 先端部 1 1が目的部位 に到達する。
ここで、 腫癟などの目的部位が管腔壁に存在する際、 術者は、 目的部位を観察範囲内に捉えられるように左右方向を区別して選 択的に小さい湾曲半径で湾曲部 1 2を湾曲操作する。
術者は、 左手の親指を伸ばして外側から内側に曲げるようにし て湾曲操作部材 2 3 Bを操作し、 湾曲部 1 2 の湾曲操作を行う。 すると、 図 9 に示すように内視鏡 1は、 湾曲操作機構 (手動制御 機構) により湾曲操作ワイヤ 5 1又は 5 2を牽引弛緩され、 先端 側部分 1 2 aのみに対して引張力を及ぼされて湾曲部 1 2が湾曲 する。
そして、 術者は、 モニタに表示される観察画像を見ながら、 鉗
子等の図示しない処置具を用いて腫瘍等の目的部位に処置を施す ここで、 上述したように内視鏡 1 は、 先端部 1 1 において、 処 置具揷通用チャンネル 2 9が対物光学系 2 6 より も外周方向に配 置され、 この処置具揷通用チャンネル 2 9が腫瘍などの目的部位 に近く、 且つ対物光学系 2 6が管腔壁から遠くなる。
従って、 内視鏡 1は、 処置具揷通用チャンネル 2 9の開口部 2 9 Aから突出した鉗子等の処置具の先端側が腫瘍などの目的部位 に容易に達して処置し易い。 また、 内視鏡 1は、 管腔壁の一部に 遮られることなく処置具の先端部が処置している目的部位周辺の 内視鏡像を俯瞰的に得られるので、 観察し易い。
この結果、 本実施の形態の内視鏡 1は、 反転視して処置を行う 際、 湾曲半径を選択して良好な処置作業が行えるという効果を得 る
また、 通常、 処置具挿通用チャンネル 2 9は、 内視鏡 1 に内蔵 されるチューブ類の中で最も大きいため、 小さ く曲げると座屈す る虞れがあるが、 小さ く湾曲したときに処置具挿通用チヤンネル 2 9が湾曲部 1 2の外側 (挿入部 2の中心軸より外側方向) を走 行していれば、 座屈を極力防ぐことができる。
尚、 本実施の形態の内視鏡 1は、 揷入部 2の先端部 1 1 に撮像 装置を内蔵した電子内視鏡に本発明を適用しているが、 図示しな いイメージガイ ドを揷入部 2に挿通して、 このイメージガイ ドで 導光された被写体像を操作部 3 に内蔵した撮像装置で撮像する構 成の電子内視鏡や、 イメージガイ ドで導光された被写体像を操作 部 3の上部に設けた接眼部で観察できる所謂、 光学式内視鏡に適 用しても良い。
以上説明したように本実施の形態によれば、 反転視して処置を 行う際、 湾曲半径を選択して良好な処置作業が行える内視鏡を実 現できる。
また、 本発明は、 以上述べた実施の形態のみに限定される、もの ではなく、 発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であ る o 産業上の利用可能性
以上説明したように本発明は、 反転視して処置を行う際、 湾曲 半径を選択して良好な作業が行えるので、 医療用のみならず工業 用内視鏡にも適用することができる。