明細: ケモカイン SLC-IL2 融合夕ンパク質とその遺伝子 技術分野
本発明は、 ケモカイン SLC と IL-2からなる融合夕ンパク質およびその製造方 法、 該融合タンパク質をコードする遺伝子、 該融合タンパク質をコードする遺伝 子を含む遺伝子治療用発現べクタ一及び該融合夕ンパク質を含む癌治療用医薬組 成物に関する。 背景技術
インタ一ロイキン— 2 ( IL-2) は、 主に活性化された T細胞より産生されるサ ィ トカインの一つである。 その生理作用は T 細胞の増殖 ·活性化、 B細胞の增殖 と抗体産生能の増強、 NK 細胞増殖と活性化、 単球 · マクロファージの活性化な どである (Smith, K., Annu Rev Immunol. 2: 319-333, 1984) 。 ヒ トインタ一口 ィキン一 2 (hIL-2)は、 1 5 3個のアミノ酸ならなる前駆体がまず作られ、 N末端 の 2 0個のシグナルペプチドがプロセッシングを受けて、 1 3 3個のアミノ酸か らなる成熟型の IL-2 となる。 hIL-2の直接的全身投与による抗腫瘍効果がいく つかの腫瘍で報告されている。 また腫瘍細胞に hIL-2遺伝子を導入することによ る腫瘍原性の低下は報告されているが、 腫瘍免疫の誘導は弱いと考えられている ( Dranoff, G. et al., Pro Natl Acad Sci USA. 90, 3569-3543, 1993) 。 ケモカインは内因性の白血球遊走 · 活性化作用を有するへパリン結合性ポリぺ プチドの総称である。 ケモカインは保存されている 4つのシスティン残基のうち N 末端の 2つのシスティン残基が 1つのアミノ酸で隔てられているか(CXC)、 隣 り合っているか(CC)、 例外的に 1つのみであったり、 三つのアミノ酸で隔てられ
ているか(CX3C)によって、 4つのサブファミ リ一に分類される。 CC型ケモカイ ン SLC secondary lymphoid-tissue chemokine、 称 6-C-kine、 TCA-4、 Exodus-2) は CC型ケモカインの 1つである。 ヒ トケモカイン SLCは、 1 3 4個 のアミノ酸からなる前駆体がまず作られ、 N末端の 2 3個のシグナルべプチドが プロセッシングを受けて、 1 1 1個のアミノ酸からなる成熟型の SLCとなる。 ケ モカイ ン SLC に対する特異的受容体は CCR7 である こ とが知られている (Yoshida, R., et al., J Biol Chem. 273: 7118-7122, 1998) o ケモカイン SLCは、 CCR7を発現するナイーブ T細胞、 メモリー Τ細胞、 Β細胞に対する遊走活性を 有している ( Gunn, M. D., et al., Proc Natl Acad Sci USA. 95: 258-263, 1998) 。 発明の開示
IL-2 はその N 末端に別の夕ンパク質を融合してもその生理活性を損なわない 例が知られている。 一方、 ケモカインはその C末端に別のタンパク質を融合させ ても其の活性が失われない事例が知られている。 そこで、 本発明者ら.は、 停止コ ドンを含まない CC型ケモカイン SLC のアミノ酸配列をコードする塩基配列と サイ トカイン IL-2の成熟型蛋白をコ一ドする塩基配列とを接続することにより、 単一の遺伝子とし、 CC.型ケモカイン SLC としての遊走活性およびサイ トカイン IL-2 としての生理活性を同一分子内に有する人工融合タンパク質をコードする 人工融合遺伝子を構築し、 この遺伝子に係る真核細胞発現べクタ一、 さらに該発 現ベクター導入動物細胞株を樹立し、 その培養上清中に人工融合夕ンパク質を生 産することに成功した。
生産された融合夕ンパク質は、 単一分子内にケモカイン SLC、 IL-2の両方の生 理活性を示すすぐれた性質を有する融合タンパク質であることを確認し、 本発明 を完成した。 すなわち、 本発明は、
( 1 ) N末端側にケモカイン SLCを構成するアミノ酸配列を有し、 かつ IL-2を 構成するァミノ酸配列を含む融合夕ンパク質 ;
(2 ) ケモカイン SLCおよび IL-2がマウスまたはヒ ト由来である上記 ( 1 ) に 記載の融合夕ンパク質 ;
( 3 ) ケモカイン SLC を構成するアミノ酸配列が配列番号 : 2の 24位の Ser から 1 34位の Proに記載のアミノ酸配列であり、かつ IL-2を構成するアミノ酸 配列が配列番号: 4の 2 1位の Alaから 1 5 3位の Thrに記載のァミノ酸配列で ある上記 ( 1 ) または (2 ) に記載の融合タンパク質 ;
( 4 ) 配列番号 : 2の 24位の Serカゝら 1 34位の Proに記載のァミノ酸配列、 リンカ一及び配列番号: 4の 2 1位の Alaから 1 5 3位の Thrに記載のァミノ酸 配列を含む上記 ( 1 ) から ( 3 ) のいずれかに記載の融合タンパク質 ;
( 5 ) 配列番号 : 2の 24位の Serから 1 34位の Proに記載のァミノ酸配列、 リンカ一及び配列番号: 4の 2 1位の Alaから 1 5 3位の Thrに記載のァミノ酸 配列からなる上記 (4) に記載の融合タンパク質 ;
( 6 ) 配列番号 : 2の 1位の Metから 1 3 4位の Proに記載のァミノ酸配列、 リ ンカー及び配列番号: 4の 2 1位の Alaから 1 5 3位の Thrに記載のァミノ酸配 列からなる上記 (4) に記載の融合タンパク質 ;
(7 ) 上記 ( 5 ) に記載の融合タンパク質が、 配列番号 : 6の 24位の Serから 2 6 9位の Thrに記載のァミノ酸配列からなる融合夕ンパク質 ;
( 8 ) 上記 ( 6 ) に記載の融合夕ンパク質が、 配列番号 : 6の 1位の Metから 2 6 9位の Thrに記載のァミノ酸配列からなる融合夕ンパク質 ;
( 9 ) 上記 ( 5 ) 記載の融合夕ンパク質が、 配列番号 : 2 6の 24位の Serから 2 6 9位の Thrに記載のアミノ酸配列からなる融合夕ンパク質 ;
( 1 0 ) 上記 ( 6 ) 記載の融合タンパク質が、 配列番号 : 2 6の 1位の Metから 2 6 9位の Thrに記載のアミノ酸配列からなる融合夕ンパク質 ;
( 1 1 ) 上記 ( 3 ) から ( 1 0) のいずれかに記載のアミノ酸配列において 1 も
しくは数個のアミノ酸が、 置換、 欠失、 挿入または付加されたアミノ酸配列を含 み、 かつケモカイン SLC活性および IL-2活性を有する融合夕ンパク質 ;
( 1 2) ケモカイン SLCを構成するアミノ酸配列が配列番号: 8の 24位の Ser から 1 3 3位の Glyに記載のァミノ酸配列であり、かつ IL-2を構成するァミノ酸 配列が配列番号 : 1 0の 2 1位の Alaから 1 6 9位の Ginに記載のァミノ酸配列 である上記 ( 1 ) または ( 2) に記載の融合タンパク質 ;
( 1 3 ) 配列番号 : 8の 24位の Serカゝら 1 3 3位の Glyに記載のァミノ酸配列、 リンカー及び配列番号: 1 ◦の 2 1位の Alaから 1 6 9位の Ginに記載のァミノ 酸配列を含む上記 ( 1 2 ) に記載の融合タンパク質 ;
( 1 4) 配列番号 : 8の 24位の Serから 1 3 3位の Glyに記載のァミノ酸配列、 リンカ一及び配列番号: 1 0の 2 1位の Alaから 1 6 9位の Ginに記載のァミノ 酸配列からなる上記 ( 1 3 ) 記載の融合タンパク質 ;
( 1 5) 配列番号: 8の 1位の Metから 1 3 3位の Glyに記載のァミノ酸配列、 リンカー及び配列番号: 1 0の 2 1位の Alaから 1 6 9位の Ginに記載のアミノ 酸配列からなる上記 ( 1 3 ) 記載の融合夕ンパク質 ;
( 1 6 ) 上記 ( 1 4) 記載の融合夕ンパク質が、 配列番号 : 1 2の 24位の Ser から 284位の Ginに記載のァミノ酸配列からなる融合夕ンパク質 ;
( 1 7) 上記 ( 1 5 ) 記載の融合夕ンパク質が、 配列番号 : 1 2の 1位の Metか ら 284位の Ginに記載のアミノ酸配列からなる融合タンパク質 ;
( 1 8) 上記 ( 1 2 ) から ( 1 7 ) のいずれかに記載のアミノ酸配列において 1 もしくは数個のアミノ酸が、 置換、 欠失、 挿入または付加されたアミノ酸配列を 含み、 かつケモカイン SLC活性および IL-2活性を有する融合夕ンパク質 ; ( 1 9 ) 上記 ( 1 ) から ( 1 8) のいずれかに記載の融合夕ンパク質をコ一ドす る DNA;
( 2 0 ) 配列番号 : 5に記載の 7 0位の aから 8 0 8位の tまでの塩基配列を含 む上記 ( 1 9 ) 記載の DNA;
( 2 1 ) 配列番号 : 5に記載の 1位の aから 80 8位の tまでの塩基配列を含む 上記 (2 0 ) 記載の DNA;
(2 2 ) 配列番号 : 2 5に記載の 7 0位の aから 8 0 8位の tまでの塩基配列を 含む上記 ( 1 9 ) 記載の DNA;
(2 3 ) 配列番号 : 2 5に記載の 1位の aから 8 08位の tまでの塩基配列を含 む上記 ( 2 2 ) 記載の DNA;
(24) 配列番号 : 1 1に記載の 1位の aから 85 2位の aまでの塩基配列を含 む上記 ( 1 9 ) 記載の DNA;
(2 5 ) 配列番号 : 1 1に記載の 1位の aから 8 5 2位の aまでの塩基配列を含 む上記 ( 24) 記載の DNA;
(2 6) 上記 ( 1 9) から (2 5) のいずれかに記載の DNA とス ト リンジェン トな条件でハイプリダイズし、 かつケモカイン SLC活性および IL-2活性を有す る融合夕ンパク質をコードする DNA;
(2 7 ) 上記 ( 1 9 ) から (2 6 のいずれかに記載の DNAを含むプラスミ ド ; (2 8) 上記 ( 1 9 ) から ( 2 6) のいずれかに記載の DNA を含む発現べクタ
( 2 9 ) 遺伝子治療用である上記 (28) に記載の発現べクタ一 ;
( 3 0) 上記 ( 28) または ( 2 9) に記載の発現べクタ一を宿主に導入して得 られる形質転換体 ;
( 3 1 ) 上記 ( 3 0 ) に記載の形質転換体を培養する工程、 および産生された上 記 ( 1 ) から ( 1 8) のいずれかに記載の融合タンパク質を培養培地から回収す る工程を包含する、 該融合タンパク質の製造方法 ;
(3 2 ) 上記 ( 1 ) から ( 1 8) のいずれかに記載の融合タンパク質を含む医薬 組成物 ;
( 3 3 ) 上記 ( 2 9 ) 記載のベクタ一を用いた癌の治療方法 ;
( 34) 上記 ( 3 2 ) 記載の医薬組成物を用いた癌の治療方法 ; および
( 3 5 ) 癌治療薬を製造するための上記 ( 3 2 ) 記載の医薬組成物の使用、 に関する。 本発明の融合夕ンパク質は、その N末端側にケモカイ ン SLCを有し、かつ IL-2 を含む融合タンパク質である。
「ケモカイン SLC」 の由来は特に限定されないが、 好ましくはヒ トまたはマウ ス由来のタンパク質である。 成熟ヒ トケモカイン SLCは、 配列番号: 2の 2 4位 の Serから 1 3 4位の Proに記載のアミノ酸配列を有する夕ンパク質である。 シ グナル配列を含むヒ トケモカイン SLCは、 配列番号 : 2の 1位の Metから 1 3 4位の Proに記載のアミノ酸配列を有するタンパク質である。 成熟マウスケモカ ィン SLCは、 配列番号: 8の 2 4位の Serから 1 3 3位の Glyに記載のアミノ酸 配列を有する夕ンパク質である。シグナル配列を含むマウスケモカイン SLCは、 配列番号: 8の 1位の Metから 1 3 3位の Glyに記載のァミノ酸配列を有する夕 ンパク質である。 「IL-2」 も、 その由来は特に限定されないが、 好ましくはヒ ト またはマウス由来の夕ンパク質である。 成熟ヒ ト IL-2は、 配列番号: 4の 2 1位 の Alaから 1 5 3位の Thrに記載のアミノ酸配列を有するタンパク質である。 シ グナル配列を含むヒ ト IL-2は、 配列番号 : 4の 1位の Metから 1 5 3位の Thr に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質である。 成熟マウス IL-2 は、 配列番 号: 1 0の 2 1位の Alaから 1 6 9位の Ginに記載のァミノ酸配列を有する夕ン パク質である。 シグナル配列を含むマウス IL-2は、 配列番号: 1 0の 1位の Met から 1 6 9位の Ginに記載のアミノ酸配列を有するタンパク質である。
本発明の融合夕ンパク質は、 好ましくは N末端側にケモカイン SLC を有し、 リ ンカ一及び IL-2を含む融合夕ンパク質であり、 N末端側にシグナル配列を含ん でいてもよい。 本発明の融合夕ンパク質がヒ ト由来のケモカイン SLC と IL-2を 含む場合には、 好ましくは、 配列番号 : 6の 24位の Serから 269位の ThTに記 載のアミノ酸配列からなる融合夕ンパク質または配列番号 : 2 6の 24 位の Ser
から 269位の Thrに記載のアミノ酸配列からなる融合夕ンパク質である。 さらに 好ましくは、 配列番号: 6の 1位の Metから 269位の Thrに記載のァミノ酸配列 からなる融合タンパク質または配列番号 : 2 6の 1位の Met から 269位の Thr に記載のアミノ酸配列からなる融合タンパク質である。 本発明の融合夕ンパク質 がマウス由来のケモカイン SLC と IL-2を含む場合には、 配列番号 : 1 2の 2 4 位の Serから 2 8 4位の Ginに記載のアミノ酸配列からなる融合夕ンパク質であ る。 更に好ましくは、 配列番号 : 1 2の 1位の Metから 2 8 4位の Ginに記載の アミノ酸配列からなる融合タンパク質である。
「リンカ一」とは、 前後の夕ンパク質に対して立体障害を起さない 1以上のアミ ノ酸残基であれば特に制限されないが、 好ましくはアミノ酸数が 2 0以下のアミ ノ酸残基である。 更に好ま しくは、 グリシン、 セリンからなるアミノ酸残基であ る。
また、 本発明の融合タンパク質には、 「配列番号 : 6の 2 4位の Serから 2 6 9位の Thrに記載のアミノ酸配列において 1 も しくは数個のアミノ酸が、 置換、 欠失、 挿入または付加されたアミノ酸配列を含み、 かつケモカイン SLC活性およ び IL-2活性を有する融合夕ンパク質」 、 「配列番号 : 2 6の 2 4位の Serから 2 6 9位の Thrに記載のアミノ酸配列において 1 もしくは数個のアミノ酸力 置換、 欠失、 挿入または付加されたアミノ酸配列を含み、 かつケモカイン SLC活性およ び IL-2活性を有する融合夕ンパク質」 、 「配列番号 : 1 2の 2 4位の Serから 2 8 4位の Ginに記載のアミノ酸配列において 1 もしくは数個のアミノ酸が、 置換、 欠失、 挿入または付加されたアミノ酸配列を含み、 かつケモカイン SLC活性およ び IL-2活性を有する融合タンパク質」 も含まれる。 「アミノ酸の置換、 欠失、 挿 入又は付加」の程度及びそれらの位置等は、改変されたタンパク質が、配列番号 : 6、 2 6または 1 2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と同様にケモカ イン SLC活性および IL-2活性を有するタンパク質であれば特に制限されない。 なお、 これらアミノ酸配列の変異等は、 天然において、 例えば突然変異や翻訳後
の修飾等により生じる場合もあるが、 本発明 DNA に基づいて人為的に改変する こともできる。 本発明のタンパク質は、 このような改変 · 変異の原因 · 手段を等 を問わず、 上記特性を有する全ての改変 DNA によりコ一ドされるタンパク質を 含む。
本発明において 「ケモカイン SLC活性」 とは、 「ケモカイン SLC特異的受容 体である CCR7 ( Mark Birkenbach et al., J. Virol., 67: 2209-2220, 1993 ) を発 現する細胞の遊走能」 を意味する。 「遊走能」 とは、 好中球、 顆粒球、 リンパ球 あるいはマク口ファ一ジなどの炎症性細胞や免疫担当細胞の血管内皮細胞への吸 着、 血管外への移動、 障害を受けた組織や抗原の存在する組織への集積を意味す る。 「IL-2活性」 とは、 「IL-2依存性細胞株の増殖能」 を意味する。 本発明の DNAとは、 「本発明の夕ンパク質をコードする DNA」 を指す。 本発 明の DNA として、 好ましくは、 配列番号 : 6、 2 6または 1 2に記載のァミノ 酸配列からなる融合タンパク質をコードする DNA であり、 更に好ましくは、 配 列番号: 5に記載の Ί 0位の aから 8 0 8位の tまでの塩基配列を含む DNA、 酉己 列番号: 2 5に記載の 7 0位の aから 8 0 8位の tまでの塩基配列を含む DNAが 例示される。 配列番号 : 5に記載の 1位の aから 8 0 8位の tまでの塩基配列を 含む DNA、 配列番号: 2 5に記載の 1位の aから 8 0 8位の tまでの塩基配列を 含む DNAも本発明の DNAに含まれる。 更に、 配列番号: 1 1に記載の 1位の a から 8 5 2位の aまでの塩基配列を含む上記の DNA および配列番号 : 1 1 に記 載の 1位の aから 8 5 2位の aまでの塩基配列を含む上記の DNA も本発明の DNAに含まれる。 本発明の DNAとス ト リンジェン トな条件でハイブリダィズし、 かっかつケモカイ ン SLC活性および IL-2活性を有する夕ンパク質をコードする DNA も、 本発明の DNA に含まれる。 「DNA にス ト リ ンジェントな条件でハイ ブリダィズする DNA」 は、 コード領域の DNAをプローブとして用いることによ り得ることが出来る。 ここで、 「ス ト リンジヱントな条件でハイプリダイズする」
とは、 例えば、 6 X SSC、 0.5%SDSおよび 50%ホルムアミ ドの溶液中で 42°Cに て加温した後、 0.1xSSC、 0.5%SDS の溶液中で 68°Cにて洗浄する条件でも依然 として陽性のハイブリダイズのシグナルが観察されることを表す。 本発明の DNA を用いて、 組換えタンパク質を生産するには、 例えば、 前述の Molecular Cloning等の多くの教科書や文献に基づいて実施することができる。 具体的には、 発現させ'たい DNA の上流に翻訳閧始コ ドンを付加し、 下流には翻 訳終止コ ドンを付加する。 さらに、 転写を制御するプロモーター配列 (例えば、 trp、 lac、 T7、 SV40 初期プロモーター) 等の制御遺伝子を付加し、 適当なべク 夕一 (例えば、 pBR322、 PUC19、 pSV · SPORT1など) に組み込むことにより、 宿主細胞内で複製し、 機能する発現プラスミ ドを作製する。 本発明の DNA を組 み込んだプラスミ ドも本発明に含まれる。 本発明の DNAのべクタ一としては、本発明の DNAを組み込んだレ トロウィル スベクタ一、 アデノウイルスベクターやアデノ随伴ウィルスベクタ一なども含ま れる。 本発明のベクタ一をヒ トに投与することにより、 本発明の DNA がヒ ト体 細胞に導入され、 該体細胞は本発明の融合タンパク質を産生する。 融合タンパク 質は、 IL-2の免疫活性化作用と共にケモカイン SLCの T細胞遊走活性を有する ため、 抗癌剤として有用である。 従って、 本発明のベクタ一は、 これら疾患の治 療を目的とした遺伝子治療に用いることができる。
本発明の形質転換体は、 本発明のベクターを適当な宿主に導入することにより 得ることができる。 融合タンパク質の製造を目的として形質転換体を作製する場 合には、 宿主としては、 大腸菌などの原核細胞、 酵母のような単細胞真核細胞、 昆虫、 哺乳類などの多細胞生物の細胞などが挙げられる。 遺伝子治療を目的とし て形質転換体を作製する場合には、 宿主としては、 ヒ ト体細胞を用いる。 ヒ ト体 細胞としては、 患者由来の骨髄細胞、 肝細胞、 線維芽細胞、 表皮細胞、 筋肉細胞
などが挙げられる。 本発明により調製された融合夕ンパク質は、 治療目的のためにヒ トに投与しえ る。 融合タンパク質を緩衝剤、 安定剤、 静菌剤ならびに医薬の非経口投与形態に 使用される慣用的な賦形剤および添加剤に混合することにより、 医薬組成物と し て調製することができる。 従って、 本発明は、 本発明の融合タンパク質を含む医 薬組成物をも提供するものである。 図面の簡単な説明
図 1は、 マウス SLC ( mSLC) またはマウス IL-2 ( mIL-2) 断片增幅用プライ マ一セッ トを示す図である。
図 2は、 mSLC-mIL-2融合遺伝子導入用レ トロウィルスベクタ一プラスミ ドの 作製方法を示した図である。
図 3は、 レ トロウィルスベクタ一 pLHDCXからレ トロウィルスベクタ一 pLX— IRES - EGFPの作製方法を示した図である。
図 4は、 遊走細胞数を示した図である。
図 5は、 CD4陽性 T細胞の增加数を示した図である。
図 6は、 CD8陽性 T細胞の增加数を示した図である。
図 7は、 mSLCによる腫瘍形成抑制効果を示した図である。
図 8は、 mIL2及び mSLC-IL2による腫瘍形成抑制効果を示した図である。 図 9は、 ヒ ト SLC (hSLC) —ヒ ト IL-2 ( hIL-2) 融合遺伝子導入用レ トロウイ ルスべクタ一プラスミ ドの作製方法を示した図である。
図 1 0は、 mSLC、 mIL-2及び mSLC-mIL-2の単独、 または mSLC と mIL-2 の併用による腫瘍形成抑制効果を示した図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明は、 おもに新規融合タンパク質に関する。
以下に本発明 DNA の調製、 本発明融合タンパク質の調製、 活性の測定方法、 遺 伝子治療用ベクター、 医薬組成物について説明する。 本明細書において、 特に指 示のない限り、 当該分野で公知である遺伝子組換え技術、 動物細胞、 昆虫細胞、 酵母および大腸菌での組換えタンパク質の生産技術、 発現したタンパク質の分離 精製法、 分析法および免疫学的手法が採用される。 本発明融合夕ンパク質をコードする DNA配列
本発明において用いられるヒ ト CC 型ケモカイン SLC 及びヒ トサイ トカイン IL-2をコードする塩基配列を有する遺伝子は、 本発明により教示された配列情報 (配列番号 : 1及び配列番号 : 2 ) に基づいて一般的遺伝子工学的手法により容 易に製造 ·取得することができる(Molecular Cloning 2d Ed, Cold Spring Harbor Lab. Press (1989)等参照)。 具体的にはケモカイン SLCや IL-2が発現される適当 な起源より、 常法に従って cDNAライブラリ一を調製し、 該ライブラリ一から本 発明 DNA に特有の適当なプローブや抗体を用いて所望のクローンを選択するこ とにより実施できる (Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 78, 6613 (1981); Science, 22, 778 (1983)等参照)。 cDNAの起源としては、 本発明の DNAを発現する各種の細 胞、 組織やこれらに由来する培養細胞等が例示される。 これらからの全 RNA の 分離、 mRNAの分離 .精製、 cDNAの取得とそのクローニング等はいずれも常法 に従い実施できる。 また、 cDNA ライブラリ一は市販されており、 本発明におい てはそれら cDNAライブラ リー、 例えば Clontech社より市販の各種 cDNAラィ ブラリ一等を用いることもできる。 cDNA ライブラ リ一としては、 ヒ トひ臓節由 来の cDNAライブラリーが例示できる。
また、 IL-2 およびケモカイン SLC をコードする塩基配列を有する遺伝子は、 慣用の化学的方法、 例えばリ ン酸三エステル法 (Narang et al., Meth. Enzymol., 68, 90- 108 (1979))またはリン酸ニエステル法( Brown et al., Meth. Enzymol., 68,
109- 151 (1979)) により合成され得る。
上記のケモカイン SLC をコ一ドする塩基配列と IL2 の成熟型夕ンパク質をコ ードする塩基配列を通常の方法により接続し、 単一の遺伝子とする。 これにより、 CC型ケモカイン SLCの有する CCR7発現細胞株に対する遊走活性および サイ 卜力イン IL2の有する T 細胞の増殖 ·活性化能等を同一分子内に有する人工融合 タンパク質遺伝子を構築される。 該遺伝子は、 SLC をコードする遺伝子と IL-2 をコードする遺伝子との間にリ ンカ一をコードする遺伝子を有していてもよい。 本発明融合タンパク質の調製
( 1 ) 融合タンパク質の発現
本発明のタンパク質は、 本発明の DNA配列情報に従って、 遺伝子工学的手法 (Science, 224, 1431 (1984); Biochem. Biophys. Res. Comm., 130, 692 (1985); Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80, 5990 (1983)等)により得ることができる。 より 詳細には、 所望のタンパク質をコ一ドする遺伝子を適当なベクターに組み込む。 このべク夕一を宿主細胞に導入して形質転換体を作成する。 該形質転換体を培養 することにより組換えタンパク質を得ることができる。
ここで宿主細胞としては、 真核生物及び原核生物のいずれも用いることができ る。 該真核生物の細胞には、 脊椎動物、 酵母等の細胞が含まれ、 脊椎動物細胞と しては、 例えばサルの細胞である COS細胞(Cell, 23, 175 (1981))やチヤィニー ズ · ハムスター卵巣細胞等がよく利用される。
発現ベクターとしては、 通常発現しょうとする遺伝子の上流に位置するプロモ 一ター、 RNAのスプライス部位、 ポリアデニル化部位及び転写終了配列等を保有 するものを使用でき、 これは更に必要により複製起点を有していても良い。 該発 現べクタ一の例と しては、 例えば、 SV40 の初期プロモータ一を保有する pSV2dhfr(Mol. Cell. Biol., 1, 854 (1981))等を例示できる。 また、 真核微生物と しては、 酵母が一般によく用いられ、 中でもサッカロミセス属酵母を利用できる。
該酵母の発現ベクターとしては、 例えば酸性ホスファターゼ遺伝子に対するプロ モータ一を有する pAM82(Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80, 1 (1983))等を利用で きる。 原核生物の宿主としては、 大腸菌や枯草菌が一般によく利用される。 これらを 宿主とする場合、 例えば該宿主菌中で複製が可能なプラスミ ドベクターを用い、 このべクタ一中に所望の遺伝子が発現できるように該遺伝子の上流にプロモ一夕 —及び SD配列、 更に蛋白合成開始に必要な閧始コ ドンを付与した発現プラスミ ドを利用するのが好ましい。 更に、 大腸菌等で発現される場合、 シグナル配列は 認識されないので、 N末端の配列に保持された成熟型配列を得る為の工夫が必要 である。 その例としては、 閧始コ ドンと該遺伝子の成熟型配列のコード領域との 間にェンテロ力イネ一スの認識配列 Asp Asp Asp Asp Lys (配列番号 : 2 1 ) を、 成熟型配列の直前に Lysが続くように挿入し、 得られた組換え夕ンパク質をェン テロ力イネ一ス (Invitrogen社製) にて消化することによって N末端の配列の配 列の保持された該融合タンパク質を得ることができる。上記宿主としては、 E . coli K12株等が利用される。 ベクターとしては一般に pBR322及びその改良べクタ一 がよく利用されるが、 これらに限定されず公知の各種の菌株及びベクターも利用 できる。 プロモ一夕一としては、 例えば trpプロモータ一、 lppプロモーター、 lac プロモータ一、 PL/PRプロモーター等を使用できる。 所望の組換え DNA の宿主細胞への導入方法及びこれによる形質転換方法とし ては、 一般的な各種方法を採用できる。 また得られる形質転換体は、 常法に従い 培養でき、 該培養により所望のタンパク質が産生される。 該培養に用いられる培 地としては、 宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択利用でき、 その 培養も宿主細胞に適した条件下で実施できる。 例えば、 pSVL SV40後期プロモ一 ターの下流に本発明融合タンパク質の遺伝子を含むベクタ一を、 サル由来細胞
COS-7に導入することによって形質転換体を作成し、 この形質転換体を 5% C02 存在下、 37°Cで 3日間培養することにより、 本発明の融合タンパク質が産生され 得る。 タ ンパク質は、 その物理的性質、 化学的性質等を利用 した各種の分離操作 (Biochemistry, 25(25), 8274 (1986); Eur. J. Biochem., 163, 313 (1987)等)により 分離 ·精製できる。 該方法としては、 塩析法、 遠心分離、 浸透圧ショック法、 超 音波破砕、 限外濾過、 ゲル濾過、 吸着クロマトグラフィー、 イオン交換クロマ ト グラフィ一、 ァフィ二ティ一クロマ トグラフィー、 高速液体クロマ トグラフィー 等の各種液体クロマトグラフィー、 透析法、 これらの組み合わせ等を例示できる。
( 2 ) 変異体の作製
アミノ酸配列は、 任意のアミノ酸配列を欠失させ、 所望のアミノ酸、 ないしは ァミノ酸配列を導入することによって置換される。 ァミノ酸配列の置換処理には、 プロテインエンジニアリングとして知られる方法が広く利用できるが、 例えば、 Site-diredted deletion (部位指定削除) 法 ( Nucl. Acids Res., 11, 1645, 1983) Site-specific mutagenesis (部位特異的変異) 法 (Zoller, M. J. et al., Methods in Enzymol., 100, 468, 1983、 Kunkel. T.A. et al., Methods in Enzymol., 154, 367-382, 1987) 、 PCR 突然変異生成法、 制限酵素処理と合成遺伝子の利用によ る方法等がある。
部位特異的変異法であれば、 例えば Molecuar Cloning: A Laboratory Manual 第 2版第 1 - 3卷 Sambrook, J.ら著、 Cold Spring Harber Laboratory Press出 版 New York 1989年に記載の部位特異的変異誘発法や PCR法などの方法を用い、 本発明の DNA配列に変異を導入する。
これら方法により変異が導入された DNA配列は、 適当なベクターおよび宿主 系を用いて、 例えば Molecuar Cloning: A Laboratory Manual第 2版第 1 一 3卷
Sambrook, J.ら著、 Cold Spring Harber Laboratory Press出版 New York 1989 年に記載の方法により、 遺伝子工学的に発現させればよい。 例えば、 Mutan TM -SuperExpress Km, Mutan TM _K (宝酒造社製) 、 Quik Change Site- Directed Mutagenesis Kit ( Stratagene社製) といったキッ トが使用できる。 一般に、 部位特異的変異法は、 まず、 タンパク質をコードする DNA 配列をそ の配列中に含む一本鎖ベクターを得ることによって実施することができる。 所望 の突然変異した配列を持つォリゴヌクレオチドプライマ一を、 一般的には合成に よって、 例えばクレア等 (Crea,: R. et al., Proc. Natl. Acsd. Sci. U.S.A., 75, 5765, 1978) の方法によって製造する。 次に、 このプライマ一を一本鎖の本 DNA配列 含有ベクターとァニ一リングし、 大腸菌ポリメラーゼ I クレノウフラグメン トの ような DNA重合酵素を作用させて、 突然変異含有鎖の合成を完成する。 このよ うにして、 第一の鎖は元の非突然変異配列をコードしており、 第二の鎖は所望の 突然変異を有しているへテロ二本鎖が形成される。 次いで、 この二本鎖ベクター を用いて、 適当な細菌、 または細胞を形質転換し、 32 P—標識突然変異生成プライ マ一から成る放射性プローブへのハイブリダィゼ一シヨンを介してクロ一ンを選 択する (Wallace, R.B., Nucleic Acids Res., 9, 3647, 1981 ) 。 選択されたクロー ンには、 突然変異した配列を有する組換えべクタ一を含んでいる。 このようなク ローンを選択した後、 突然変異した本夕ンパク質の領域を形質転換に使用される 型の発現ベクターに入れることができる。
以降、 ( 1 ) で示した組換えタンパク質の調整方法に従い、 変異体を宿主細胞 に産生させることができる。 ケモカイン SLC活性の測定
ケモカイン SLCは、 T細胞および B細胞に対して遊走活性を有する。 従って、 これら細胞を遊走アツセィ用緩衝液に懸濁し、 遺伝子産物の添加により生じる遊
走細胞の数を測定することにより、ケモカイン SLC活性を測定することができる。 具体的には、 遺伝子産物を遊走アツセィ用緩衝液に添加する。 細胞数測定後の
T細胞または B細胞、 このましくは、 ケモカイン SLC受容体 (CCR7) を発現す る T細胞または B細胞を緩衝液に懸濁する。
トランスウエルチヤンバーの上部のゥヱルに細胞を含んだ緩衝液を接種し、 下 部のゥエルには、 細胞を含まない遊走アツセィ用緩衝液を加え、 37°C 5%C02 下で 4時間培養する。
下部のゥエルに遊走した細胞を回収し、 細胞数を測定することにより遺伝子産物 の遊走活性を測定することが可能である。
IL-2活性の測定
1L-2活性は通常、 IL-2依存的に増殖する T細胞を用いるバイオアツセィでおこ なわれる。 ヒ ト IL-2の生物活性を測定するシステムは確立している (基礎と臨床 佐々木緊ら Vol . 22, No . 17, 29-42 1988) 。 従って、 該システムによって遺伝 子産物の IL-2生物活性の測定することができる。 本発明の遺伝子治療用ベクターの作成
本発明融合夕ンパク質を遺伝子治療に使用するためのベクターとしては、 レ ト ロウィルスべクタ一 (M u M L V骨格の物、 HIV骨格の物) 、 アデノウイルスべ クタ一、 アデノ随伴ウィルス (AAV) ベクタ一等が考えられる。 遺伝子銃やイン ビボ . エレク ト口ポレーション法を用いれば本発明 DNA を組み込んだプラスミ ドを用いて遺伝子治療を行うことも可能である。
動物細胞内で発現させるためのプロモ一夕一としては、 通常の動物培養細胞発 現系において用いられるプロモーターであれば特に制限されるものではないが、 たとえばサイ トメガロウィルス初期プロモータ一 (以下 CMV プロモーターと記 す。 ) 、 MuMLV LTR等を上げることが出来る。 なお、 CMVプロモータ一は、
例えば pRC/CMV(Invitrogen社製) から、 通常の遺伝子操作により調製すること ができる。
上記の動物細胞内で発現させるためのプロモーターおよび前記の人工融合夕ン パク質遺伝子を含むプラスミ ドは通常の遺伝子組み換え方法を用いて構築するこ とが出来る。 例えば、 本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子を CMV プロ モータ一とゥシ成長ホルモンのポリ Aシグナル、 ネオマイシン耐性遺伝子を保有 する pRC/CMV(Invitrogen社製)の Hindlll部位に揷入することにより構築する 方法等をあげることができる。
本発明遺伝子治療用ベクターを用いた遺伝子治療は、ヒ ト体細胞に本発明 DNA を獲得させ、 この組換え細胞を患者に戻すことにより、 あるいは本発明遺伝子治 療用ベクタ一を直接患者の患部に投与することができる。
遺伝子治療用べクタ一をヒ ト体細胞に導入する方法としては、 ベクターがブラ スミ ドの場合には、 遺伝子銃、 マイクロインジェクション、 トランスフエクショ ンまたはトランスダクシヨンによりべクタ一を体細胞へ導入することができる。 ベクタ一がウィルスの場合には、 体細胞に本発明遺伝子を組み込んだウィルスを 感染させることで本発明 DNAを導入することができる。
体細胞としては、 患者由来の骨髄細胞、 肝細胞、 線維芽細胞、 表皮細胞、 筋肉 細胞などが挙げられる。 本発明の医薬組成物
本発明の融合夕ンパク質は、 IL-2の免疫活性化作用と共にケモカイン SLCの T 細胞遊走活性を有するため、 抗癌剤として有用である。
該タンパク質には、 医薬的に許容される塩もまた包含される。 かかる塩には、 周知の方法により調整される、 例えばナト リウム、 カリウム、 リチウム、 カルシ ゥム、 マグネシウム、 ノ リウム、 アンモニゥム等の無毒性アルカリ金属塩、 アル 力リ土類金属塩及びアンモニゥム塩等が包含される。
該タンパク質の薬学的有効量を活性成分として、 医薬製剤が調整される。 該医 薬製剤の投与単位形態としては、 各種の形態が治療目的に応じて選択でき、 その 代表的なものとしては、 錠剤、 丸剤、 散剤、 粉末剤、 顆粒剤、 カプセル剤等の個 体投与形態や、 液剤、 懸濁液剤、 乳剤、 シロップ、 エリキシル等の液剤投与形態 が含まれる。 これらは更に、 投与経路に応じて経口剤、 非経口剤、 経鼻剤、 経膣 剤、 坐剤、 舌下剤、 軟膏剤等に分類され、 それぞれ通常の方法に従い、 調合、 成 形もしくは調製することができる。
上記医薬製剤の投与方法は、 特に制限がなく、 各種製剤形態、 患者の年齢、 性 別その他の条件、 疾患の程度等に応じて決定される。 例えば、 腚剤、 丸剤、 顆粒 剤、 カプセル剤等の個体投与形態や、 液剤、 懸濁液剤、 乳剤は経口投与される。 注射剤は単独又はブドウ糖やアミノ酸等の通常の補液と混合して静脈投与される c 更に注射剤は、 必要に応じて単独で筋肉内、 皮内、 皮下もしくは腹腔内投与され る。
上記医薬製剤中に含有されるべき本発明化合物の有効成分量およびその投与量 は、 特に限定されず、 所望の治療効果、 投与方法、 治療期間、 患者の年齢、 性別 その他の条件に応じて適宜選択される。 一般的には、 該投与量は、 1 日当たり体 重 l k g当たり、 約 l〜 1 0 m g程度とするのがよく、 該製剤は 1 日に 1〜数回 に分けて投与することができる。 実施例
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。
実施例 1
マウス SLC-マウス IL-2融合夕ンパク質遺伝子の構築
マウス SLC ( mSLC) 遺伝子 (配列番号 : Ί ) の終止コ ドンを含まず 3'末端に Xba I 部位を有するようなマウス SLC 遺伝子断片を得るために、 プラス ミ ド pT7-T3-D-Pac-mSLC ( EST:クローン番号 W67046、 Genome Svstems社より購
入) を鍩型として、 図 1 ( 1 ) に示したプライマー (mSLC-Sall-F (配列番号 : 13) 及び mSLC-Xbal-R (配列番号 : 14) ) を用いて、 約 0.4 k bの断片を PCR 法により増幅した。 得られた断片を、 Sal I 及び Xba I で同時切断して、 Blue Script (+) (Stratagene 社)の Sal I、 Xba I 部位に挿入 し、 プラス ミ ド pBS- mSLC(S/X)を構築した。 サブクローン化したものの塩基配列を決定し、 PCR法に よる変異のないことを確認した。
マウス IL-2 ( mIL-2) の成熟型配列 (配列番号 : 10) をコードする遺伝子断片 を得るために、 mIL-2 の cDNA (配列番号 : 9 )を有 しているプラス ミ ド Okayama-Berg-MuIL2を鈸型として、図 1 (2)に示したプライマー(mIL2-Xba l-F (配列番号 : 15) 及び mIL2-Notl-R (配列番号 16) ) を用いて、 約 0.45 k bの 断片を PCR法により增幅した。 得られた断片は Xba I及び Not Iで同時消化し、 市販のベクタ一 Blue Script(+)の Xba I、 Not I部位にサブクローン化し、 プラス ミ ド pBS-mIL2(X/N)を構築した。 クローン化したものの塩基配列を決定し、 PCR 法による変異のないことを確認した。
pBS-mSLC(S/X)を Sal I及び Xba Iで同時切断して、 得られる 0.4 k bの断片 を、 pBS-mIL2(X/N)の Sal I、 Xba I部位に挿入し、 結果としてマウス SLC-マウ ス IL-2融合夕ンパク質遺伝子を Sal I と Not I サイ 卜の間に持つ、 プラス ミ ド PBS-mSLC-IL2 が得られた (図 2) 。 人工融合タンパク質遺伝子 (mSLC-IL-2) は、 8 5 5塩基対からなり、 その構造は 5'末端からマウス SLCをコードする 399 塩基、 リンカ一をコードする配列 6塩基、 マウス IL-2の N末端 21番目から C末 端までの 1 4 9アミノ酸残基をコードする 4 4 7塩基と終止コ ドンからなる(配 列番号 : 11)。 実施例 2
レ ト口ウィルスべク夕一 pLX— IRES— EGFP— mSLC-IL2 (pLXIE - mSLC-IL2) の構築
プラスミ ド pBS-mSLC-IL2を制限酵素 Sal I、 Not Iで同時消化して、 マウス SLC-マウス IL-2融合タンパク質遺伝子の Sai l— Not I断片を得た。 この断片を、 レ トロウィルスベクタ一 PLX— IRES— EGFPの Sal I-Not I部位に組み込むこと より 目的とするマウス SLC-マウス IL-2融合遺伝子導入用レ トロウィルスべク 夕一プラスミ ド pLX— IRES— EGFP— mSLC-IL2を得た(図 2) 。
レ ト ロウィルスベクタ一pLX— IRES— EGFP は、 レ ト ロウイルスベクタ一 pLHDCX (Genbank accession No. M64754) の EcoRl-Hind III部位に pSPORT 1 ( GIBCO/BRL社) マルチクローニングサイ ト EcoRl-Hind III断片を連結し、 その中の Notl-BamHl部位に脳心筋炎ウィルス (encephalomyocarditis virus) の内部リボソーム認識部位 IRES断片 (Novagen社) —増強型緑色蛍光タンパク 質遺伝子 EGFP断片 (クロンテック社) を組み込んだものである (図 3) 。
比較対照実験に使用するためにマウス SLC 遺伝子導入用レ トロウィルスべク 夕一プラスミ ド pLX— IRES— EGFP— mSLC、 及び、 マウス IL-2遺伝子導入用 レ トロウィルスベクタ一プラスミ ド pLX— IRES— EGFP— mIL2をレ トロウィル スベクタ—pLX— IRES— EGFP のマルチクローニングサイ トにマウス SLC遺伝 子断片 (pT7-T3-D-Pac-mSLC を鍩型にして、 図 1 の(3)のプライマ一(mSLC- EcoRl-F (配列番号 : 17) 及び mSLC-Notl-R (配列番号 : 18) ) で増幅して得 られた断片) 、 マウス IL- 2遺伝子断片 (pOkayama-Berg-MuIL2を鐯型にして、 図 1の(4)のプライマ一 (mIL2-EcoRl-F (配列番号 : 19) 及び mIL2-Notl-R (配 列番号 : 20) ) で増幅して得られた断片) をそれぞれ揷入することにより作製し た。 実施例 3 ―
非増殖型レ ト口ウィルスの産生及び遺伝子導入線維芽細胞の樹立
組換えレ トロウイルスの産生系と して、 レ トロウイルスベクタ一プラスミ ド DNA を一過性に トランスフエクシヨンする事によりェコ トロピックなウィルス
が産生可能なパッケージング Bosc23細胞 (ATCC CRL11554) を用いた。 トラン スフエクシヨンの 24時間前に、 Bosc23細胞を培養用シャーレ (直径 35mm) に I X 1 0 6個を通常の培地 (DMEM/ 1 0 % FCS) 2mlに 懸濁して撒き、 37°C、 5 % C 0 2下で培養した。 トランスフエクシヨンは LipofectAMIN T M試薬(Life Technology, Inc) を用いて行い、 試薬の指示書に従ってレ トロウイルスベクタ一 プラス ミ ド pLX— IRES— EGFP— mSLC-IL2の DNA2 〃 gを LipofectAMIN 6 1と共に Bosc23細胞に導入した。
対照実験に使用するために pLX— IRES— EGFP、 pLX— IRES— EGFP— mSLC、 pLX- IRES - EGFP - mIL-2についても同様にトランスフエクシヨンを行った。
48時間後、 培養上清を回収し、 細胞片等を除去するために孔径 0.45 z mのフ ィルターにて、 ろ過した液体を感染ウィルス含有液として以下の感染実験に使用 した。 ウィルス感染の 24 時間前に感染させる Balb/C マウス由来の繊維芽細胞 CL.7細胞 (ATCC TIB80) を培養用シャーレ (直径 35mm) に 1 X 105個を通常 の培地 (DMEM/10% FCS) 2mlに 懸濁して撒き、 37°C、 5% C02下で培養した。 感染時、 培養シャーレより培養液を除去し、 代わりに上記の感染ウィルス含有液 742.5 〃 1にウィルス感染促進を目的としてポリプレン溶液 (10mg/ml) を 7.5 (1 1を混合したものを加えて 37° (:、 5% C02下で約 8時間感染を行った。 その後、 感染ウィルス含有液を取り除き新鮮な培地 (DMEM/10% FCS) を 2ml加えて、 さらに 37° ( 、 5% C〇2下で 48時間培養した。
こう して得られた細胞集団ではレ トロウイルスベクタ一 LX— IRES— EGFP の 感染により感染細胞のみ EGFPの発現による緑色蛍光 (励起波長 488nm , 蛍光波 長 507nm) が見られるため FACSにより感染細胞の識別、 選択が可能である。 こ の事を利用して実際に上記の感染させた細胞集団よりの感染細胞のみ濃縮を行う ために、 FACStar Plus ( Becton社) を用いて GFP陽性の細胞の濃縮を行った。 各ウィルスに関して 90 %以上の GFP 陽性の細胞群 (CL.7-mSLC-IL2、 CL.7- Vector、 CL.7-mSLC、 CL.7- mIL2) が得られた。
実施例 4
融合タンパク質 mSLC-IL2の IL-2生物活性の測定
IL-2活性は通常、 IL-2依存的に増殖する T細胞を用いるバイオアツセィでおこ なわれる。 ヒ ト IL-2の生物活性を測定するシステムは確立しており (文献;基礎 と臨床 佐々木緊ら Vol . 22 No . 17 Dec . 1988) 、 それに従って上記の遺伝子 導入培養細胞 CL.7-mSLCJL-2 が培地中に産生する人工融合タンパク質 mSLC- IL-2 (配列番号 : 12) の IL2生物活性の測定した。
比較のため、 CL.7-mIL-2 の培養上清についても測定を行った。 各培養上清に ついては、 mIL-2 ELISA ( R& D社) により IL-2濃度を測定し、 それを基に測定 に適当な濃度 (約 2 ~ 3ng/ ml ) になるよう に力価測定培地 10 % FCS 加 RPMI 16401にてあらかじめ希釈した。
96穴平底マイクロプレート (住友べ一クライ ト製) の 2列め以降の穴に、 力価 測定培地 10% FCS加 RPMI 1640].を 50〃 1を分注した。 第 1列目の穴には、 最 大 OD値対照 (ODmax) としてヒ ト IL-2 200JRU/mlを加えた力価測定培地、 50〃 1を分注した。 第 2列目には IL-2を加えず、 最小 OD値対照 (ODmin) と した。 標準品、 測定試料とも各希釈率デュプリケイ トとなるように 3列目と 4列 目の一番上の穴には標準として rHu IL-2(シオノギ製薬製。 商品名 : ィムネ一ス) を力価測定培地に 50 JRU (Japanese Reference Units)/mlに溶解したものを 50 JUL 1, 5列目以降は 2列ずつの一番上の穴にあらかじめ希釈済みの各培養上清を 50 JU 1 をそれぞれ加えた。次にマルチチャネルピぺッ トを用いて 3列目以降の一 番上のゥヱルからピペッティ ングを繰り返しよく混和した後、 50 1ずつすぐし たのゥエルに移し、 2倍段階希釈を一番下のゥエルまで 8段階行った。
増殖培地中で培養した NK- 7細胞液を遠心し、 上澄みを除去した。 力価測定培 地に 20,000cells/50〃 1に再懸濁し、 この細胞浮遊液 50〃 1ずつをマイクロプレ ―トの全穴に接種した。 37° (:、 5% C02下で 16時間培養後、 MTT試薬(PBS (-) (日
水製薬) に、 MTT ( 3 - (4, 5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2) 5-diphenil-2Htetrazo]ium bromide, SIGMA社) 、 0.3%を溶解しミ リポアフィル夕一 (0.45 m) でろ過滅 菌したもの) 25〃 1を全穴に分注し、 37° (、 5% C02下で 4時間培養した。 マイク 口プレート内の培養液を、 マルチチャネルピぺッ トを用いて空のマイクロプレー トに移しかえた。
培養液の抜き取られた全穴に、 溶出液 (0.04N塩酸—ィソプロパノ一ル液) 100 〃 1を加えマイクロミキサー (三光純薬) で 5分間振とう し、 産生された MTTフ オルマザンを充分に溶出させた。 次に移しかえた各穴の培養液を、 マルチチヤネ ルビぺッ トで元の各穴に戻した後、 マイクロプレート用分光光度計マルチスキヤ ン MC ( Flow社) を使用し、 吸光度 (OD560nm) を測定した。 光度計に接続し たパーソナルコンピューターに測定値を入力し、 力価計算を行った。 各試料の希 釈シリーズは 2列からなっているので各々の平均値を求め、 横軸にサンプルの希 釈倍率、縦軸に OD値をとつたグラフ上にプロッ ト し、濃度依存曲線を描く。各々 の試料について、プレート内の最大 0 D値対照(ODmax)、最小 OD値対照(ODmin) の吸光度の中間値と一致する希釈倍率をグラフより読み取った。 次に標準品の測 定係数 (表示力値/実測力値) を算出し、 この係数を各試料の実行力価に乗じ、 各試料の換算力値を決定した。 今回測定した CL.7-mSLC-IL2の培養上清の IL-2 力価は 242JRU/ml であった。 CL.7-mSLC-IL2の培養上清の ELISAによる IL-2 濃度は 10ng/mlであったので、 lngあたりの IL-2力価は 24.2JRUである。 同様 にして測定した CL.7-rnIL2 の培養上清については lng あたりの IL-2 力価は 18.4JRUであったので、 マウス SLC-マウス IL-2融合タンパク質 (mSLC-IL-2) はマウス IL-2夕ンパク質と同等以上の IL-2力価を有することが判明した。 実施例 5
融合タンパク質のケモカイン SLCとしての遊走活性の確認
実施例 3によって得られた各種遺伝子導入細胞を 3 X 105個を 3ml の培養液
( DMEM/10% FCS ) に懸濁して、 直径 35mm培養シャーレに接種し、 37°C、 5% C02下にて 48時間培養した。 得られた各種遺伝子産物を含む培養上清を回収し、 ミ リポアフ ィルタ一 (0.45 U m ) でろ過した。 これを遊走ァッセィ用緩衝液 ( RPMI1640, 10mM HEPES,pH7.4, 1%BSA含有) にて、 体積比で 2倍 (培 養上清 50%含有) 、 10倍 (培養上清 10%含有) に希釈し、 以下の遊走アツセィに 使用した。 ケモカイン SLC としての活性を測定するためにマウス SLCの特異的 受容体であるマウス CCR7を安定発現する前駆 B細胞株 B300— 19細胞 (B300 - 19 - mCCR7) を用いた。 これは発現ブラスミ ド pCAGGSneo にマウス CCR7 遺伝子を揷入したマウス CCR7発現プラスミ ド pCAGGSneo- mCCR7を前駆 B細 胞株 B300— 19細胞にエレク トロポレーシヨン法により導入し、 薬剤 G418にて 薬剤選択することにより得られたマウス CCR7発現細胞である。
B300- 19 - mCCR7を血球計算盤にて細胞数測定後、 遠心により細胞を回収し、 I X lO^Cells/mlとなるように遊走ァッセィ用緩衝液(RPMI 1640、 lOmM HEPES, pH7.4、 1%BSA含有) で再懸濁し、 100〃 1ずつ、 トランスウエルチヤンバ一 ( 3 Pi m pore size. Coaster社製) の上部のゥエルに接種した。 下部のゥエルには、 600 ju 1の希釈後の培養上清あるいは対照としての遊走ァッセィ用緩衝液を加え、 37°C 5%C〇2下で 4時間培養した。 上部のゥエルを取り外し、 下部のゥヱルに遊 走した細胞を回収し、 FACStar Plus ( Becton社) を用いて細胞数を測定した。 その結果を図 4に示す。
CL.7-mSLC-IL2の培養上清では 2倍希釈液で、 接種細胞の 16%、 10倍希釈液 で 3.5%の遊走細胞が見られた。 CL.7- mSLCの培養上清では、 2倍希釈液で接種 細胞の 8%の遊走細胞が見られた。 CL.7- mIL2、 CL.7-VRctorの培養上清ではど ちらの希釈倍率でも、 遊走細胞数は測定限界(0.166%)以下であった。マウス SLC- マウス IL-2融合夕ンパク質 (mSLC-IL-2) はマウス CCR7発現細胞 B300,19— mCCR7に対する遊走活性を有していることが判明した。
実施例 6
融合夕ンパク質のィムノブロッ トによる分子量の同定
実施例 3によって得られた mSLC-IL2遺伝子導入細胞 CL.7-mSLC-IL2、 対照 として CL.7-Vectorをそれぞれについて 5 X 105個を 2mlの培養液 (DMEM/10% FCS ) に懸濁して、 直径 35mm 培養シャーレに接種し、 37° (:、 5% C02下にて 24 時間培養後培地を除き、 OPTI-MEM ( Gibco/BRL) 3ml に置き換えてさらに 37°C、 5% CO2下にて 24時間培養した。
得られた各種遺伝子産物を含む培養上清を回収し、 ミ リポアフィルタ一 (0.45 ju m) でろ過した。 培地内蛋白を濃縮するために以下のように TCA沈殿を行つ た。 1mlの培養上清を 100 / 1の 100%TCAを加えて混合し、 氷上に 1時間静置 し、 12Krpmで 5分間遠心した。 沈殿したペレッ トを氷冷ァセ トンにて、 洗浄し、 25〃 1の 3 X SDSサンプルバッファ一に溶解し、 2.5 1の 2-mercaptoethanol と 2.5 1の lM Tris-HCl,pH8.0を加えて 10CTCの熱を 5分間加えて変性させた。 各々 10 1のライセ一トを 15%— 25%グラジェン ト SDS—ポリアク リルアミ ドゲ ルによる電気泳動を行った。 その際、 隣接するレーンに Prestain Protein Maker、 Broad Range ( NEW ENGLAND BioLabs inc. ) を泳動した。
泳動後のゲル上の夕ンパク質は二トロセルロース膜 (imobilonP, Milipore社) に移した。 トランスファ一後の二トロセルロース膜は 5% (重量/容積) スキムミ ルク容液 (Dii'co社製スキムミルクを T-PBS ( 0.05% Tween20入り PBS溶液) に て溶解したもの) に 30分間、 室温にて浸す事により非特異的な蛋白吸着を阻害し た。 二トロセルロース膜は、 やぎ抗マウス IL-2抗体 (T-PBSにて 1000倍に希釈 して使用。 ) に約 2時間反応させた。 その後、 T-PBSにて 3回洗浄し、 ペルォキ シダ一ゼ標識抗やぎ TgG抗体 (Cappel社製、 2000倍に希釈して使用) で約 30 分間反応し、 その後 T-PBSにて 3回洗浄したのちに、 ECL試薬 (アマシャム社) にて、 ペルォキシダ一ゼ標識を発光させ、 それを X線フィルムで感光させた。 そ の結果、 対照である CL.7-Vector のレーンにはバン ドは見られないが CL.7-
mSLC-IL2のレーンには、 約 32kDの位置にのみ特異的なバン ドが見られた。 こ れは一次構造から予測される分子量とほぼ一致することが判明した。 実施例 7
T細胞の組織免疫染色による同定
融合タンパク質 SLC-IL2 が実際に生体内で T細胞を遊走させる能力を有する のかを調べるために、 実施例 3で得られた mSLC-IL2 遺伝子導入細胞 CL.7- mSLC-IL2をその親株である線維芽細胞 CL.7の由来であるマウス Balb/Cス ト レ インに皮内投与し、 そこに T細胞が浸潤してくるかを調べた。 実施例 3で得られ た mSLC-IL2遺伝子導入細胞 (CL.7-mSLC-IL2) 、 対照として Vector、 mSLC、 mIL2 遺伝子導入細胞それそれについて lm〗 あたり 1 x 108細胞数となるように HANKS緩衝液 (Gibco社製) に懸濁した。
Balb/C マウスの雌、 7 週齢 (日本チヤ一ルス -リバ一社より購入) の背中に上 記の細胞懸濁液 50 u I (細胞数 5 X 106) を皮内接種した (各細胞群で 2匹ずつ) 。 5日後には移植部位は 5mm ぐらいの膨らみとなっているので、それをマウスを安 楽死させたあとに摘出し、 OTC compound (Miles Laboratory社製) に浸して ド ライアイス上にて凍結させた。
これを、 クライオスタツ トを用いて 8 mの厚さの切片を作製し、 スライ ドガ ラス上に乗せ風乾させた。 その後、 マイナス 2(TCに冷やしておいた固定液 (40% ァセ トン、 60%メ夕ノ一ル、 容積比) に 15分間浸して固定し、 PBS (—) 溶液に て 2回洗浄後、 ブロッキング液 (20%正常ゥサギ血清、 80% PBS ( - ) 溶液、 容 積比) に 30分間反応させ非特異的吸着を阻止した。 それから、 PBS (—) 溶液に て 2回洗浄後、 ラヅ ト抗マウス CD4単クローン抗体 (CEDARLANE社製) 及び ラッ ト抗マウス CD8単クローン抗体 (CEDARLANE社製) にて約 60分問、 室温 にて反応させた。 反応後、 PBS ( - ) 溶液にて 3回洗浄後、 ゥサギ抗ラッ 卜 IgG 抗体 (Vector社製) に 30分間、 室温で反応させた。 PBS ( - ) 溶液にて 2回洗
浄後、 1 %過酸化水素液 (30%過酸化水素水を容積比 1 に対してメタノールを容 積比 29の割合で混合したもの) に 30分間反応させた。 PBS (—) 溶液にて 3回 洗浄後、 ペルォキシダーゼ標識を EliteABCキッ ト (Vector社製) 、 DAB基質キ ッ トを使用して発色させた。 メチレンブルーにて対比染色もおこなった。 染色し た切片は日本光学社光学顕微鏡 OPTIPHOT で得られた拡大画像をフジフィルム 社デジタルカメラ HC— 2000でパーソナルコンピュ一夕一に取り込んで、 各サン プルについて任意の 3視野について染色陽性の細胞数の同定し、 各群 2匹ずつな ので計 6視野の平均値 (土標準偏差) を図 5及び図 6に表した。
Vector遺伝子導入細胞移植群は CD4、 CD8 に関しても浸潤細胞は僅かに見ら れた。 mSLC、 mIL2遺伝子導入細胞移植群共に CD4、 CD8陽性細胞の明らかな 增加が見られた。 さらに mSLC-IL2遺伝子導入細胞移植群では mSLC、 mIL2遺 伝子導入細胞移植群と比較してもよりさらに多くの浸潤細胞が見られた。 実施例 8
生体内投与のモデル実験
融合夕ンパク質 SLC-IL2 が実際に生体内で腫瘍形成を抑制する能力を有する のかを調べるために、 実施例 3で得られた mSLC-IL- 2遺伝子導入細胞 CL.7- mSLC-IL2をその親株である線維芽細胞 CL.7の由来動物であるマウス Balb/Cス ト レイ ンに、 マウス Balb/C 由来の大腸癌細胞株 Colon26 と混合した後に皮内投 与し、 腫瘍形成の程度をしてくるかを Vector、 mIL2遺伝子導入細胞を対照群と して調べた。
2度の実験を行い実験 1では Vector、 mSLC遺伝子導入細胞間で比較を、 実験 2では Vector、 mIL2、 mSLC-IL2 遺伝子導入細胞間で比較を行った。 どちらの 実験も同じプロ トコールで行った。 実施例 3で得られたそれそれの遺伝子導入線 維芽細胞が I X 107細胞数と、 Colon26が 5 X 106細胞数が 1mlに混合した細胞液 となるように HANKS緩衝液 ( Gibco社製) に懸濁した。
Balb/C マウスの雌、 7 週齢 (日本チヤ一ルス 'リバ一社より購入) の背中に上 記の細胞懸濁液 100 1 (細胞数は遺伝子導入線維芽細胞 5 X 105個、 Colcm26は 1 X 106個) を皮内接種した (実験 1では各細胞群で 5匹ずつ、 実験 2では各群マ ウス 8匹) 。 その後、 通常の環境下で飼育を続けた。 腫瘍の測定は、 腫瘍の長径 と、 その直角方向の長さ (短径) をノギスにて測定し、 その値より近似値 (長径 X短径 X短径 ÷ 2 ) を腫瘍体積とした。 図 7及び図 8は各実験での各群の平均腫 癟体積 (土標準偏差) をグラフに表したものである。
実験 1では腫瘍接種後 28日目の結果であるが、 mSLC群では Vector群と比べ て平均腫瘍体積は 105%であり、 腫瘍形成を抑制する効果が見られなかった。 実 験 2では腫瘍接種後 2 3 日目の結果であるが、 mIL2 群ではべクタ一群と比べて 平均腫瘍体積は 77%であり、 ある程度腫瘍の体積増加を遅らせることが分かる。 mSLC-IL2群ではさらに腫瘍体積は小さくなつていて、 ベクター群と比べて平均 腫瘍体積は 45%であり、 mIL2群と比べても平均腫瘍体積は 59%であった。
これらの結果から、この腫瘍形成モデルでは対照群である Vector遺伝子導入細 胞と同様に mSLC 遺伝子導入細胞は腫瘍抑制効果が見られないこと、 mIL2、 mSLC-IL2 遺伝子導入細胞ともに腫癟抑制効果は見られるがその程度は mSLC- IL2遺伝子導入細胞の方が有意に強いことが分かった。 実施例 9
ヒ ト SLC-ヒ ト IL-2融合蛋白質遺伝子の構築
ヒ ト SLC ( hSLC) 遺伝子 (配列番号: 1) の終止コ ドンを含まず 3 ' 末端に Xba I部位を有するようなヒ ト SLC 遺伝子断片はアル力リ フォスファタ一ゼ融合夕 ンパク発現用ベクター pDREF-SLC-AP (Nagira, M. et al., J. Biol. Chem., 272, 31, 19518- 19524, 1997) を Sal I及び Xba I で同時切断して切り出される約 0.4kbの断片を利用した。
ヒ ト IL-2 ( hIL-2) の成熟型配列 (配列番号 : 4 )をコードする遺伝子断片を得
るために、 ヒ ト IL2の cDNA (配列番号 : 3) を有しているプラスミ ド pIL2-50A を鍩型と して、 プライマ一 (5'-hIL2-Spe I (配列番号 : 22) 及び 3'-hIL2-Not I (配列番号 : 23) ) を用いて、 約 0.4 k bの断片を PCR法により増幅した。 得 られた断片は Spe I及び Not Iで同時消化し、 市販のベクタ一 Blue Script(+)の Spe I、 Not I部位にサブクローン化し、 プラスミ ド pBS-ML-2(Spe I /N)を構築 した。 クローン化したものの塩基配列を決定し、 PCR法により変異のないことを
V^.口'。、した。
制限酵素 Spe I と Xba Iは切断後の付着端の配列が同じであり、 結合可能であ る。 pDREF-SLC-APを Sal I及び Xba Iで同時切断して得られる 0.4kbの断片 を pBS-hIL-2(Spe I /N)の Spe I、 Not I部位に揷入し、 結果としてヒ ト SLC- ヒ ト IL-2 融合蛋白質遺伝子を Sal I と Not Iサイ トの間に持つ、 プラスミ ド pBS-hSLC-IL2 が得られた (図 9 ) 。 人工融合蛋白質遺伝子 (hSLC-IL-2) は、 810塩基対からなり、 その構造は 5, 末端からヒ ト SLC遺伝子をコードする 402 塩基、 リンカ一をコードする配列 6塩基、 ヒ ト IL-2の N末端 21番目から C末端 までの 133 ァミノ酸残基をコ一ドする 399 塩基と終止コ ドンからなる(配列番 号 : 25)。 実施例 10
レ ト ロウィルスベクタ一 pLX— IRES— EGFP— hSLC-IL2 ( pLXIE - hSLC-IL2) の構築
プラスミ ド pBS-hSLC-IL2を制限酵素 Sal I、Not Iで同時消化して、ヒ ト SLC- ヒ ト IL-2融合蛋白質遺伝子の Sal I— Not I断片を得た。 この断片を、 レ トロゥ ィルスべクタ一 pLX— IRES— EGFP の Sal I -Not I部位に組み込むことにより 目的とするヒ ト SLC-ヒ ト IL-2融合遺伝子導入用レ トロウイルスベクタ一プラス ミ ド pLX— IRES— EGFP— hSLC-IL2を得た(図 9 ) 。
比較対照実験に使用するためにヒ ト IL2遺伝子導入用レ トロウイルスベクタ一
プラスミ ド pLX— IRES— EGFP— hIL-2 をレ トロウィルスベクタ一 pLX— IRES - EGFPのマルチクローニングサイ トにヒ ト IL-2遺伝子断片( pIL2-50Aを錶型 にして、図 1の(3)のプライマ一(5'-WL2-Sal I (配列番号: 24)及び 3'-WL2-Not I (配列番号 : 23) ) で PCR 法で増幅して得られた断片) を挿入することによ り作製した。 実施例 11
非増殖型レ トロウィルスの産生及び遺伝子導入線維芽細胞の樹立
プラスミ ド pLX— IRES— EGFP— hIL-2及び pLX— IRES— EGFP— hSLC-IL2 を用いて、 実施例 3 と同様の方法によってレ トロウイルスを産生し、 CL.7への 遺伝子導入を行い hIL-2遺伝子導入細胞 (CL.7-hIL2) 及び hSLC-IL2遺伝子導 入細胞 (CL.7-hSLC-IL2) を得た。 得られた hSLC-IL2 遺伝子導入培養細胞 ( CL.7-hSLC-IL2) 及び hIL2遺伝子導入培養細胞 (CL.7-hIL2) をそれそれ : 3 X 105個を 3mlの培養液 (DMEM/10% FCS)に懸濁して、 直径 35mm培養シヤー レに接種し、 37°C、 5% C02下にて 48時間培養した。 得られた各種遺伝子産物を 含む培養上清を回収し、 ミ リポアフィルタ一 (0.45 m) でろ過した。 この培養 上清中の IL2含量をヒ ト IL2 ELISA( Human IL2 AN、ALYZA Immunoassay kit. Genzyme TECHNE 社)を用いて測定したところ CL.7-hSLC-IL2 の培養上清の IL2濃度は 25ng/mlで、 CL.7-hIL2の培養上清の IL2濃度は 50ng/mlであり、 そ れそれ導入遺伝子産物の発現が確認された。 これらのサンプルを実施例 12、 13 の生物活性測定実験使用した。 実施例 12
融合蛋白質 hSLC-IL-2の IL-2生物活性の測定
実施例 11によって得られた各種遺伝子導入細胞(CL.7-hSLC-IL2、CL.7-hIL2) の培養上清を、 実施例 4 と同様の方法を用いて IL-2 の生物活性を測定した。
CL.7-hSLC-IL2の培養上清の IL2力価は 378JRU/mlで、 CL.7-hIL2の培養上清 の IL2力価は 901JRU/mlであった。 lngの IL2あたりの IL2力価は hSLC-IL2 で 15.1JRUであり、 hIL2で 18JRUであったので、 ヒ ト SLC-ヒ ト IL-2融合蛋 白質はヒ ト IL-2搔白質と遜色ない IL2力価を有することが判明した。 実施例 13
融合蛋白質のケモカイ ン SLCとしての遊走活性の確認
実施例 11によって得られた各種遺伝子導入細胞(CL.7-hSLC-IL2、 CL.7-hIL2) および対照と して実施例 3に記載のベクター導入細胞 (CL.7-Vector) の培養上 清をそのまま、あるいは遊走ァヅセィ用緩衝液(RPMI 1640、10mM HEPES,pH7.4, 1%BSA含有) にて、 体積比で 2倍 (培養上清 50%含有) 、 10倍 (培養上清 10% 含有) に希釈し、 以下の遊走ァッセィに使用した。 ケモカイン SLCとしての活性 を測定するためにヒ ト SLC の特異的受容体であるヒ ト CCR7 を安定発現する前 駆 B 細胞株 L1.2 細胞 (L1.2-CCR7 ) を用いた。 これは発現プラス ミ ド pCAGGSneo に ヒ ト CCR7 遺伝子を挿入 した ヒ ト CCR7 発現プラス ミ ド pCAGGSneo-CCR7を前駆 B細胞株 L1.2細胞にエレク ト口ポレーション法により 導入し、 薬剤 G418にて薬剤選択することにより得られたヒ ト CCR7発現細胞で ある o (Yoshida, R., et al., J Biol Chem. 273: 7118-7122, 1998)
L1.2-CCR7 を血球計算盤にて細胞数測定後、 遠心によ り細胞を回収し、 I X KFCells/mlとなるように遊走アツセィ用緩衝液 (RPMI1640、 10mM HEPES、 pH7.4、 1%BSA含有) で再懸濁し、 100〃 1ずつ、 トランスウエルチヤンバ一 ( 3 μ. m pore size, Coaster社製) の上部のゥエルに接種した。 下部のゥエルには、 600 / 1の希釈後の培養上清あるいは対照としての遊走アツセィ用緩衝液を加え、 37°C 5%C02下で 4時間培養した。 上部のゥエルを取り外し、 下部のゥエルに遊 走した細胞を回収し、 Flow cytometer EPICS XL ( Coulter社) を用いて細胞数 を測定した。
CL.7-hSLC-IL2の培養上清では原液で接種細胞の 1.6.6%、 2倍希釈液で 9%、 10倍希釈液で 1.1%の遊走細胞が見られた。 一方 CL.7- hIL2、 CL.7-Vectorの培 養上清ではどの希釈倍率でも、 遊走細胞数は 0.3%以下であった。 この結果より ヒ ト SLC-ヒ ト IL-2融合蛋白質はヒ ト CCR7発現細胞 L1.2-CCR7に対する遊走活 性すなわちケモカイン SLCとしての生物活性を保持していることが判明した。 実施例 14
生体内投与のモデル実験 (併用との比較)
mSLC、 mIL2遺伝子導入細胞を同時に投与する場合と、 mSLC-IL2遺伝子導入 細胞を単独で投与する場合とでの抗腫瘍効果を比較するために以下の実験を行つ た。
実施例 8と同様に各遺伝子を導入した繊維芽細胞 CL.7細胞 (マウス Balb/Cス トレイン由来) と大腸癌細胞株 Colon26 (マウス Balb/C由来) とを混合した後に 皮内投与し、 腫瘍形成の程度を比較することにより抗腫瘍効果を調べた。
実験群としては、 下記 5種類の細胞群を用いた。
① Vector導入細胞 (CL.7-Vector) 5 X 105個
② mSLC導入細胞 (CL.7-mSLC) 5 X 105個
③ mlL2導入細胞 (CL.7-mIL2) 5 X 105個
④ mSLC-IL2遺伝子導入細胞 ( CL.7-mSLC-IL2) 5 X 105個
⑤ mSLC導入細胞 (CL.7-mSLC) 5 X 10 個と mIL2導入細胞 (CL.7-mIL2) 5 X 105個
①から⑤の遺伝子導入 CL . 7と Colon26細胞 1 x 105個とそれぞれを混合して マウスの背中皮内に移植して比較を行った。
具体的には、 それぞれの遺伝子導入線維芽細胞が 5 X 106個 (⑤の場合は計 I X 10?個) と、 Colon26が I X 106個が lmlに混合した細胞液となるように HANKS
緩衝液 (Gibco社製) に懸濁した。
Balb/C マウスの雌、 7 週齢 (日本チヤ一ルス'リバ一社より購入) の背中に上 記の細胞懸濁液 100〃 1 (細胞数は遺伝子導入線維芽細胞 5 X 105個 (⑤の場合は 計 I X 106個) 、 Colon26は I X 105個) を皮内接種した (各群マウス 8匹) 。 そ の後、 通常の環境下で飼育を続けた。 腫瘍の測定は、 腫瘍の長径と、 その直角方 向の長さ (短径) をノギスにて測定し、 その値より近似値 (長径 X短径 X短径÷ 2 ) を腫瘍体積とした。 図 10は移植後 24日目の各群の平均腫瘍体積 (土標準偏 差) をグラフに表したものである。
mSLC群では Vector群と比べて平均腫瘍体積は 102%であり、 腫瘍形成を抑制 する効果が見られなかった。 mIL2群では Vector群と比べて平均腫瘍体積は 60% であり、 ある程度腫瘍の体積増加を遅らせることが分かる。 mSLC-IL2群ではさ らに腫瘍体積は小さくなっていて、 mIL2群と比べても平均腫瘍体積は 26%であ り、 mIL2群よりも有意に強い抗腫瘍効果が見られた。 一方 mSLC、 mIL2遺伝 子導入細胞を同時に投与した場合、 mIL2群よりも高い抗腫瘍効果が得られたが、 mSLC-IL2群と比較すると抗腫瘍効果は低く、 ばらつきも大きく、 mSLC、 mIL2 遺伝子導入細胞を同時に投与するより、 mSLC-IL2遺伝子導入細胞を単独で投与 する方がより高い抗腫癟効果が得られることが分かった。 産業上の利用可能性
本発明の融合タンパク質は、 IL-2としての免疫活性化作用に加えて、 ケモカイ ン SLC としての T細胞走化作用を具備することにより、 IL-2 を免疫賦活を必要 とする治療で投与された際に投与部位により多くの T細胞を呼び寄せることによ り、 より多くの T細胞に作用が可能であり、 その結果、 より高い治療効果が得ら れる。