WO2001010962A1

WO2001010962A1 - Encre ou peinture electroconductrice, procede de preparation associe, et materiel d'ecriture incorporant cette encre

Info

Publication number: WO2001010962A1
Application number: PCT/JP2000/005240
Authority: WO
Inventors: Noriyuki Kuramoto; Noriko Nakamura
Original assignee: Maruai Corporation
Priority date: 1999-08-06
Filing date: 2000-08-04
Publication date: 2001-02-15
Also published as: EP1229088A4; EP1229088A1; JP3459203B2; JP2001049170A

Description

明細書

導電性インキまたは導電性塗料とその製造方法並びに導電性インキを充填した筆記具技術分野

この出願の発明は、導電性ィンキまたは導電性塗料の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、該方法により得られる導電性インキまたは導電性塗料、また、それらを充填した筆記具に関するものである。背景技術

従来よリエレク卜ロニクス分野において、基板や電子部品上にァース又は導電処理を施す方法としては、導線を配線する方法が一般的となっている。また、特殊な方法としては、金属繊維、金属粉末などを樹脂に練り込んだ導電ペースト、金属テープ、カーボン粉末を練り込んだ導電ゴム等を目的個所に設置する方法がある。さらに、導電性を付与したインキを印刷、または浸漬（デイツビング）して配線とする方法も知られており、このような導電性インキは上記の導電ペースト同様に、カーボンや金属の粉末を樹脂中に混練することにより得られる。

しかし、近年のエレクトロニクス分野の発展により、上記の配線方法はいずれにおいても問題が生じているのが現状である。たとえば、導線を用いる導電処理方法は、近年急速に小型化、軽量化している電子部品の加工においては作業性が悪く、適さない。また、ぺーストを使用する方法では、樹脂の機械的強度や耐熱性が不十分である、コストが高いなどの問題があり、やはり相応しくない。さらに、導電性インキでは、塗布後の導電成分粒子の脱落による汚染、導電性の低下、粒子の偏りによる導電性のばらつき、機械的強度の低さ等の問題がある上、塗布の方法が、印刷、浸漬などに限られており、小型化に伴い要求されるより微細な配線の設置が不可能であつた。

一方、エレクトロニクス分野で、同様に問題となる静電気については、帯電防止のために、均一な導電性が得られるポリア二リン、ポリピロール、ポリチォフェンなどの 7Γ電子共役系導電性高分子が注目されてきた。しかし、多くの導電性高分子が空気中で不安定である上、一般的に不溶、不融であるため、これまで、現実的には実用化が不可能とされてきた。このような状況下で、ドープされたポリア二リン類重合体が空気中で安定であることが見出され、可溶化する方法が提案された。

可溶性ポリァニリン類重合体としては、界面活性剤をドーパントとして取り込んで得られるものや、界面活性剤構造を持つもの、または界面活性剤とァニリンの塩から合成されるものなどが報告されている。中でも界面活性剤存在下でァニリン、またはその誘導体を化学酸化剤により酸化重合し、水および/又は有機溶剤に可溶化されたポリア二リン又はポリア二リン誘導体（特開平 6— 2 フ 9 5 8 4号公報）は安定で容易に得られることで知られる。しかし、このようなポリアニリン類重合体の製造方法では溶媒として用いられる水がぬけきらずに残留してしまうため、導電性インキまたは導電性塗料の作成の際にインキバインダー樹脂への分散性が悪くなり、乳化等によリニ層分離したり、不均一になつたりするという問題があつた。

そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、基材の特性を失うことなく、安価で信頼性が高く、かつ容易に優れた導電加工を行う方法として、水の完全分離が可能な導電性インキまたは導電性塗料の製造方法を提供する。また、同時に、合成樹脂溶液に該ポリア二リン類重合体を分散することを特徴とする導電性インキまたは導電性塗料を提供することを課題としている。発明の開示

この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、以下の通りの発明を提供する。

すなわち、まず第 1 には、この出願の発明は、少なくとも（ a ) ァニリンまたはァニリン誘導体を界面活性剤存在下、水性溶媒中で化学酸化剤を用いて重合する工程、（ b ) 酸化重合反応液に両性溶媒を加えて生成したポリアニリン類重合体を凝集し、液体成分を分離除去する工程、（ c ) ポリア二リン類重合体との親和性が水よりも大きい両性溶媒と合成樹脂溶液を加え、ポリア二リン類重合体と合成樹脂からなる固形分から水を含む液体成分を分離除去する工程、 ( d ) 固形分を合成樹脂溶液に分散する工程、を含むことを特徴とする導電性インキまたは導電性塗料の製造方法を提供する。

また、この出願の発明は、第 2には、前記の方法により得られる導電性ィンキまたは導電性塗料を提供する。

さらに、第 3には、この出願の発明は、該導電性インキまたは導電性塗料の含水率が 1 w t % 以下であること、第 4には、固形分濃度が 1 0 〜 6 0 w t <½であること、第 5には固形分濃度が 9 0 w t «½以上であることをその態様としている。

また、この出願の発明は、 '第 6には、ポリア二リン類重合体を必須成分として含有する導電性インキまたは導電性塗料であって、含水率が 1 w t %以下であることを特徴とする導電性インキまたは導電性塗料をも提供する。

さらに、この出願の発明は、第 7には、前記いずれかの導電性ィンキまたは導電性塗料を塗布して得られる導電性塗膜、第 8には、前記導電性インキまたは導電性塗料を合成樹脂、フィルム、紙、プリント基板、繊維などに印刷、塗布、または浸漬加工して得られる導電性複合材料を提供する。

この出願の発明は、第 9には、導電性インキまたは導電性塗料が充填されていることを特徴とする筆記具を提供する。

また、第 1 0には、この出願の発明は、前記筆記具が、少なくとも前記導電性インキ（または導電性塗料）の充填部と流出部を有すること、第 1 1 には、少なくとも導電性インキ（または導電性塗料 ) 充填部、ポンプ部、および流出部を有すること、第 1 2には、ポンプ部が、ペン先での筆圧によって流出部とインキ充填部とを連通させる構造を備えていることを、態様として提供する。

そして、この出願の発明は、第 1 3には、前記筆記具について、少なくとも導電性インキ（または導電性塗料）充填部と流出部とフェルト状軸心を有すること、そして第 1 4には、充填されている吸収体にあらかじめ導電性インキ（または塗料）が染み込まされており、該導電性インキ（または塗料）がフェルト状軸心を毛細管現象により浸透してペン先に到達する構造を備えていることをも態様として提供する。図面の簡単な説明

図 1 は、この出願の発明の筆記具を例示したものである。（ a ) は、この出願の請求項 8 〜 1 1 の発明の筆記具を例示した概略摸式図であり、（ b ) は、この出願の請求項 "！ 2 〜 1 3 に係る発明の筆記具を例示した概略摸式図である。（ 1 ：インキ充填部、 2 ：インキ流出部、 3 : ペン先、 4 : ポンプ部、 5 : かくはん子、 6 : ペン軸、フ：フェルト状軸心、 8 ：吸収体）発明を実施するための最良の形態

この出願の発明は上記のとおりの特徴を有するものであるが、以下にその実施の形態について説明する。

この出願の発明は、まず、少なくとも（ a ) ァニリンまたはァニリン誘導体を界面活性剤存在下、水性溶媒中で化学酸化剤を用いて重合する工程、（ b ) 酸化重合反応液に両性溶媒を加えて生成したポリア二リン類重合体を凝集し、液体成分を分離除去する工程、（ c ) ポリァニリン類重合体との親和性が水よリも大きい両性溶媒と合成樹脂溶液を加え、ポリア二リン類重合体と合成樹脂からなる固形分から水を含む液体成分を分離除去する工程、（ d ) 固形分を合成樹脂溶液に分散する工程、を含む導電性インキまたは導電性塗料の製造方法を提供するが、この出願の発明の方法は、これら（ a ) ~ ( d ) の工程のみからなるものに限られず、例えば（ b ) の工程の後に洗浄工程を設けたものであってもよい。

( a ) 工程で使用される界面活性剤は、とくに限定されず、ァニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、中性界面活性剤のいずれを用いることも可能である。より高い可溶性を得るためには、ドデシルベンゼンスルホン酸などの長鎖アルキルベンゼンスルホン酸を用いることが好ましい。

また、（ a ) 工程において使用されるァニリンは、一般的には重合してパラ位で頭一尾結合した直鎖状高分子を形成するものであるが、窒素原子が還元された状態のァミンと酸化状態のィミン、またはこれらにプロトンが付加した構造をもとりうる。この出願の発明の方法では、これらの中のどのようなァニリンを用いてもよい。また、ァニリン誘導体としては、 N —アルキルァニリン、 N， N —ジメチルァニリン、 1 —アミノビレン、 o —フエ二レンジァミンなどが例示されるが、どのようなものであってもよく、これらに限定されない。

この出願の発明の方法において、（ a ) 工程で使用される化学酸化剤としては、どのようなものであってもよく、過硫酸アンモニゥ厶ゃ過酸化水素水、塩化第二鉄などの酸化剤が例示されるが、コストゃ取り扱いの面から、過硫酸アンモニゥムが好ましい。

また、水性溶媒としては、水、有機溶媒、もしくはその混合液を用いることができる力コストや取り扱いの面から、水を使用することが好ましい。

( b ) 工程において加える両性溶媒とは、有機溶媒とも水とも混合する溶媒を指し、どのようなものであってもよいが、具体的にはァセトンやメタノール、ェチルセ口ソルブなどが例示される。

一方、（ c ) 工程で使用される両性溶媒は、ポリア二リン類重合体に対する親和性が水よりも高いものであれば、とくに制限されない。たとえば、ジメチルホルムアミド、メタノール、ジメチルスルホキシドなどがあげられる。

さらに、（ c ) および（ d ) 工程で添加する合成樹脂は、インキバインダーとして使用されるものであり、その種類はとくに限定されないが、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニル系樹脂、ニトロセルロースなどの繊維素誘導体、カゼイン等から選ばれる。これらの合成樹脂は、被着基材、導電性成分などの条件に合わせて、適宜 1 種または 2種以上の混合物として用いることが可能である。この出願の発明の方法では、これらの合成樹脂をアセトン、トルェン、酢酸ェチル、メチルェチルケ卜ンなどの有機溶媒に溶解し、合成樹脂溶液とする。

この出願の発明の導電性インキ（または導電性塗料）の製造方法において、（ d ) 工程で固形分を合成樹脂溶液に分散させる方法としては、とくに限定されず、ミキサーやミルなどの一般的に使用される混合装置を用いてもよいし、超音波ホモジナイザ一、強制撹拌機、マグネットスタラ一などを用いてもよい。

このとき、着色剤として、力一ボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン系、ハンザィエロー 1 0 G等の不溶性ァゾ顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料等を添加し、混合、分散してもよい。

この出願の発明は、以上のとおりの方法によって得られる導電性インキ（または導電性塗料）をも提供するが、このような導電性ィンキ（または導電性塗料）の含水率はなるべく低いことが好ましい。特に、含水率を 1 w t %以下、さらには 0 . 5 %以下にすることによりフイルムに対する定着性の優れたインキ（または塗料）が得られるので好ましい。含水率は、用途や目的特性に応じて調製してもよい。

また、この導電性インキ（または導電性塗料）において、合成樹脂およびポリア二リン類重合体（導電性高分子）から成る固形分の濃度は特に限定されないが、インキ（または塗料）全量に対して 1 0 〜 6 0 w t <½であること力《好ましく、とくに 2 0 ~ 4 0 w t %であれば、グラビア印刷、フレキソ印刷、浸漬加工、あるいはコ一タ一やスプレー等を用いた塗布などに適した油性タイプ、水性タイプ、 U Vまたは電子線乾燥タイプの導電性インキ（または塗料）が得られて、好ましい。一般的には、固形分が 1 O w t %未満では安定な塗膜が得られず、 6 0 w t <½より多い場合には、インキとしての流動性を失うため好ましくない。しかし、さらに固形分濃度を高くし、 9 0 w t <½以上とした場合には、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷などに適した油性タイプ、水性タイプ、 U Vまたは電子線乾燥タイプの導電性インキまたは塗料として好ましいものが得られる。

この出願の発明の導電性インキ（または導電性塗料）において、このような固形分中のポリアニリン類重合体の含有量は、特に限定されない力固形分全量に対して 1 〜 5 0 w t %であることが好ましい。含有量が 1 w t %未満の場合は、塗膜の表面抵抗が 1 0 '° Ω ノロ以上となり、アースや導電処理としての十分な効果が得られず、 5 0 w t %より多い場合には、耐摩耗性、耐剥離性、耐熱性など、塗膜の強度が十分に得られない。したがって、用途に応じて導電性インキ（または導電性塗料）の流動性や要求される表面抵抗などを考慮してこの範囲内から選択することが好ましい。

また、この出願の発明では、以上のとおし Jの導電性インキまたは導電性塗料を塗布して得られる導電性塗膜も提供する。導電性インキまたは導電性塗料の塗布方法としては、一般的に行われる方法が適用できる。具体的には、刷毛塗り、スピンコート、デイツビング (浸漬）、噴霧、様々な印刷加工などがあげられるが、もちろん、これらの方法に限定されない。この出願の発明の導電性塗膜は酸性成分などの不純物の溶出がなく、腐食の抑制や汚染を防止する上で好ましいものである。

さらに、この出願の発明は、前記導電性インキまたは塗料を合成樹脂、フイルム、紙、プリン卜基板、繊維などに印刷、塗布、または浸漬加工して得られる導電性複合材料をも提供する。このような導電性複合材料において、印刷、塗布、浸潰の方法や条件はとくに限定されず、必要に応じて塗料の濃度、塗布回数ゃ浸漬時間を変化させ、導電層の厚さや層の数等を調整できる。

この出願の発明は、また、前記導電性インキまたは塗料が充填されている筆記具をも提供する。これは、導電性インキを筆記具の形態で含有することにより、あらゆる基板や電子部品上に自在にァースまたは導電処理を施すことを可能とするものである。

このような筆記具としては、一般的にペン、万年筆、マーカーなどの名称で呼ばれるものが例示され、大きさ、太さ、長さ、形状などは限定されない。この出願の発明の方法によって得られる導電性インキまたは導電性塗料が充填されていればよく、その充填方法もどのようなものであってもよい。例えば、ペン先からの吸い込み式、軸上部からの滴下、注入、カートリッジの装着などが例示されるが、少なくとも導電性ィンキ（または導電性塗料）充填部（ 1 ) と流出部（ 2 )、あるいは図 1 ( a ) に示すように、導電性インキまたは導電性塗料の充填部（ 1 )、流出部（ 2 )、ポンプ部（ 4 ) を有していればよく、さらにポンプ部が、ペン先端部（ペン先： 3 ) での筆圧によって流出部（ 2 ) と充填部（ 1 ) とを連通させる構造を備えていてもよい。

また、この出願の発明の筆記具には、充填される導電性インキまたは導電性塗料を筆記具内部で均一にかくはんするためのかくはん子（ 5 ) を充填部内に有していることが好ましい。このようなかくはん子（ 5 ) としては、充填部の内径よりも小さい径の球やチップなどが好ましい。具体的な形状は、球、柱、板状他ランダムな形状であってもよく、限定されない。また、かくはん子（ 5 ) の材質も限定されないが、導電性インキまたは導電性塗料に使用される有機溶剤への耐久性が高いものが好ましい。さらに、かぐはん子の比重を、筆記具を振動させることによりかくはんが起こりうる程度に導電性インキや導電性塗料よりも重いものとする材料が好ましい。

この出願の発明の筆記具は、また、図 1 ( b ) に示すように、一般的にフェルトペンと呼ばれるような構造を有するものであってもよい。少なぐとも導電性インキ（または導電性塗料）充填部（ 1 ) と流出部（ 2 ) とフェルト状軸心（フ）を有するものであればよく、その場合、充填部内の吸収体（ 8 ) に、あらかじめ導電性インキ (または導電性塗料）が染み込まされており、導電性インキ（または導電性塗料）がフェルト状軸心（ 7 ) を毛細管現象により浸透して、ペン先（ 3 ) に到達する構造を備えていてもよい。

このような筆記具において、吸収体は、天然繊維、ポリエス亍ルなどの合成繊維、海綿状の天然物、スポンジ状あるいはフォーム状の高分子材料など、この出願の発明の導電性インキまたは導電性塗料を吸収しやすいものであれば、どのようなものであってもよく、とくに限定されない。

さらに、この出願の発明の筆記具において、フ Iルト状軸心は、導電性インキ（または塗料）が染み込み、毛細管現象により浸透して、ペン先に到達することが可能であれば、材質、硬さ、形状、寸法などは限定されない。

以上のとおりのこの出願の発明の筆記具は、さらに、インキ充填部がペン軸（図 1 — 6 ) に覆われていてもよく、その場合、筆記の際にはこの軸部分を握るか、または装置に装着するなどして、導電性インキまたは導電性塗料を塗布できる。また、この出願の発明の筆記具においては、このペン軸内が直接導電性インキの充填部であつてもよいし、ペン軸の中にさらに導電性インキの充填部が内包されているものであってもよい。

これらの筆記具の充填部およびペン軸部の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、 A B S樹脂などの樹脂の他、アルミニウムなどの金属があげられる。インキに使用される樹脂や溶剤、ペンの形状、設置される装置の形状などに応じて選択できるものである。

もちろん、この出願の発明の筆記具は、以上に例示した形態に限定されるものではない。また、この筆記具は、電子部品等の自動組み立て装置内に単独、または複数組み込まれた状態で使用することもできる。

さらに、これらの筆記具に充填される導電性インキまたは導電性塗料の粘度や固形分濃度に規定はなく、溶媒や充填剤によってその組成を変更し、筆記しやすいように調整したり、目的に応じて濃縮したりしてもよい。

以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。実施例

<実施例 1 >

( a ) 工程：可溶性ポリア二'リンの合成ァニリン 1 moしドデシルベンゼンスルホン酸 1 mo I、および蒸留水 4000m l を混合し、 5 °C以下に冷却したまま撹拌し、過硫酸アンモニゥ厶 1 . 25mo l の水溶液 1 000m l を加えて反応を開始する。 1 2 時間以上放置し、反応を完結させる。

( b ) 工程：ポリアニリンの凝集

このポリア二リン重合液にァセトンを加えると、可溶性ポリア二リンの沈殿が得られた。この沈殿をァセトン/水混合溶媒で 2回洗浄した。

( c ) 工程：固形分からの水分除去

得られたポリア二リンにジメチルホルムアミド 1 000m I とァクリル系樹脂溶液（アクリル系樹脂 1 0wt% 、トルエン酢酸ェチルメチルェチルケトン混合溶媒 90wt% ) 300g を加え、ポリア二リンとアクリル系樹脂からなる固形分から水を含む液体成分を除去した

( d ) 工程：固形分の合成樹脂溶液への分散

ポリア二リンとァクリル系樹脂からなる固形分 1 0wt% をァクリル系樹脂 1 0wt% 、トルエンノ酢酸ェチルを主とした混合溶媒 80wt% と混合し、サンドミルを用いて分散した。

インキの含水率をカールフィッシャー水分率計により測定した。また、インキを酢酸ェチル水で抽出し、水相をイオンクロマトグラフィ一にて分析した。

得られたインキをポリエステル樹脂にグラビア印刷機を用いて印刷し、 J I S K-691 1 により表面抵抗値を測定した。

<実施例 2 >

実施例 1 における洗浄工程を行わず、インキを作成、印刷、評価した。く比較例 1 〉

実施例 1 における（ c ) 工程を行わずに、実施例 1 同様にインキを作成、印刷、評価した。

<比較例 2 >

実施例 1 における洗浄工程と（ c ) 工程を行わずに、実施例 1 同様にインキを作成、印刷、評価した。

実施例 1 ~ 2、比較例 1 〜 2の結果を表 1 に示す。イオンクロマ卜グラフィ一の分析結果については、検出された陰イオンとその量、および陰イオン界面活性剤の総量について示した。その他のィ才ンについては検出されなかった。

以上より、 ( C ) 工程により水分除去を行った導電性インキ（実施例 1 、 2 ) では、含水率が 0. 5wt %以下まで低下し、低い表面抵抗値が得られた。また、各導電性インキを用いた塗膜の状態は、

( c ) 工程を行ったもの（実施例 1 、 2 ) で良好であり、 ( c ) ェ程を行わず、含水率が高かったもの（比較例 1 、 2 ) では、不均一な塗膜や、白濁した塗膜となった。産業上の利用可能性

以上詳し〈説明したとおリ、の発明の方法によって、導電性インキを容易、かつ安価に製造できる。また、この発明の方法により製造される導電性インキを用いて印刷することにより、表面抵抗値が小さく、表面状態が良好な導電性塗膜が得られる。さらに、得られたインキを充填した筆記具を用いることにより、導電性インキや導電性塗料を細かな範囲に、所望の形状で、簡便に塗ることが可能となる。

Claims

請求の範囲

1 . 少なくとも（ a ) ァニリンまたはァニリン誘導体を界面活性剤存在下、水性溶媒中で化学酸化剤を用いて重合する工程、（ b ) 酸化重合反応液に両性溶媒を加えて生成したポリア二リン類重合体を凝集し、液体成分を分離除去する工程、（ c ) ポリア二リン類重合体との親和性が水よリも大きい両性溶媒と合成樹脂溶液を加え、ポリア二リン類重合体と合成樹脂からなる固形分から水を含む液体成分を分離除去する工程、（ d ) 固形分を合成樹脂溶液に分散するェ程、を含むことを特徴とする導電性インキまたは導電性塗料の製造方法。

2 . 請求項 1 の方法により製造される導電性インキまたは導電性塗料。

3 . 含水率が 1 w t %以下である請求項 2の導電性インキまたは導電性塗料。

4 . 固形分濃度が 1 0〜 6 0 w t %である請求項 2または 3のいずれかの導電性インキまたは導電性塗料。

5 . 固形分濃度が 9 0 w t %以上である請求項 2または 3のいずれかの導電性インキまたは導電性塗料。

6 . ポリア二リン類重合体を必須成分として含有する導電性インキまたは導電性塗料であって、含水率が 1 w t 0/0以下であることを特徴とする導電性インキまたは導電性塗料。

フ . 請求項 2ないし 6のいずれかの導電性インキまたは導電性塗料を塗布して得られる導電性塗膜。

8 . 請求項 2ないし 6のいずれかの導電性ィンキまたは導電性塗料を合成樹脂、フィルム、紙'、プリント基板、繊維などに印刷、塗布、または浸漬加工して得られる導電性複合材料。

9 . 請求項 2ないし 6のいずれかの導電性インキまたは導電性塗料が充填されている筆記具。

1 0 . 少なくとも導電性インキまたは導電性塗料の充填部と導電性インキまたは導電性塗料の流出部を有することを特徴とする請求項 9の筆記具。

1 1 . 少なくとも導電性インキまたは導電性塗料の充填部、ボンプ部、および導電性インキまたは導電性塗料の流出部を有する請求項 9または 1 0の筆記具。

1 2 . ポンプ部が、流出部としてのペン先端部を押す筆圧によつて流出部と充填部とを連通させる構造を備えている請求項 1 1 の筆記具。

1 3 . 充填部と流出部とに接触するフェルト状軸心を有することを特徴とする請求項 9または 1 0の筆記具。

1 4 . 充填部には、吸収体にあらかじめ導電性インキまたは導電性塗料が染み込まされており、導電性インキまたは導電性塗料がフエルト状軸心を毛細管現象により浸透してペン先に到達する構造を備えている請求項 1 3の筆記具。