明 細 書 生分解性ポリエステル樹脂組成物及び生崩壊性樹脂組成物、 それらの成形物 技術の分野
本発明の [ I ]は、 比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹脂やウレタ ン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂及び無機添加剤を含みながら、 これら自体 よりも生分解性にも優れており、 且つ真空成形、 ブロー成形又はインフレーショ ン成形時にドローダウンしにくい生分解性ポリエステル樹脂組成物に関する。 本発明の [I I]は、 比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹脂やウレ夕 ン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂を含みながら、 これら自体よりも生分解性 にも優れたポリエステル樹脂組成物のフィルム、 及び該フイルムから得られた生 分解性使い捨て手袋に関する。
本発明の [I I I]は、 比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹脂やウレタ ン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂を含みながら、 これら自体よりも生分解性 にも優れたポリエステル樹脂組成物を成形してなる生分解性杭、 及び内部に肥料 及びノ又は薬品を含む生分解性杭に関する。
本発明の [IV]は、 比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹脂やウレ夕 ン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂を含みながら、 これら自体よりも生分解性 にも優れたポリエステル樹脂組成物をネット又はシートに成形してなる植物保護 資材に関する。
本発明の [V]は、 ラクトン樹脂単独、 又は該ラクトン樹脂と他の生分解性樹脂及 び 又は樹脂添加剤からなるラクトン含有樹脂組成物を成形してなり、 分解性、 成形性、 機械的特性に優れ、 包装 ·梱包用テープ、 粘着テープ等に使用される生 分解性テープに関する。
本発明の [VI]は、 プリペイドカードや入場券などの使い切りタイプに用いられ るカードに関する。 さらに詳しくは、 樹脂成分としてポリ乳酸系樹脂、 脂肪族ポ リエステル樹脂およびポリ力プロラクトン系樹脂を使用し、 これに充填剤を添加 してなる樹脂組成物をカード基材に使用して、 生分解性に優れ、 機械読み取りに
伴う耐折り曲げ性、 剛度等のゲート特性を備えたカードに関する。
本発明の [VI I]は、 脂肪族ポリエステル樹脂単独又はラクトン樹脂と脂肪族ポリ エステル樹脂からなる生分解性樹脂層と紙等のシート状物からなる生分解性積層 体に関するものである。
本発明の [VI I I]は、 少なくとも 2種類の異なる生分解性樹脂層が積層されてな る生分解性積層フィルム、 及びそれを使用した農業用生分解性フィルムに関する。 本発明の [IX]は、 比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹脂やウレ夕 ン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂を含みながら、 これら自体よりも生分解性 にも優れたポリエステル樹脂組成物からなる層 (A) 、 及び特定の放射線照射処 理されたラクトン樹脂単独、 もしくは該ラクトン樹脂と他の生分解性樹脂又は樹 脂添加剤からなるラクトン樹脂含有組成物からなる層 (B ) からなる多層フィル ムまたはシートに関する。
本発明の [X]は、 特定のメル卜フローレ一卜及びメルトテンションを有する脂肪 族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンとの組成物からなり、 厚さ 5〜2 5 mの薄手の生分解性フィルムに関する。
本発明の [XI]は、 生分解性の独立気泡緩衝シー卜に関するものであり、 さらに 詳しくは、 放射線処理したポリ力プロラクトンを含む生分解性収縮フィルムを使 用した多数の独立気泡を有する独立気泡緩衝シートに関するものである。
本発明の [XI I]は、 放射線照射ポリ力プロラクトンを含む分解性被膜で被覆され た粒状品、 特に分解性被膜を有し、 保存安定性に優れたコーティング肥料、 コー ティング農薬又はノーカーボン紙用マイクロカプセルに関する。
本発明の [XI I I]は、 生分解性のポリラクトンを含む分解性被膜で被覆された粒 状肥料に関する。
本発明の [XIV]は、 特定組成のラクトン樹脂、 脂肪族ポリエステル樹脂、 脂肪酸 アミド及び高衝撃強度の熱可塑性樹脂よりなり、 さらに必要に応じて液状滑剤、 微粉末シリカ、 及びタルクを添加してなる生崩壊性樹脂組成物に関する。 背景技術
従来、 ポリオレフイン等のプラスチックは、 安定性、 耐久性のあることが特徴
であり、 使い捨て手袋、 杭、 植物保護資材、 包装材、 包装 ·梱包用テープ、 バン ド (本発明ではバンドもテープという) 類、 粘着テープ基材、 ラベル、 その他各 種産業資材用テープ、 建築資材、 自動車、 その他様々な分野に使用され、 大量消 費されている。 それらの使用後の廃棄処分方法としては、 焼却処分や、 埋め立て 処分が挙げられるが、 ポリオレフインやポリ塩化ビニル等の難分解性の樹脂は、 焼却の際には高発熱量による焼却炉の損傷や、 有害性廃ガスの発生が問題となり、 一方、 埋め立て処分の場合は、 環境中にいつまでも残留することによる環境汚染 が問題になっている。
そこで、 近年、 天然素材系のバイオセルロースや澱粉主体のプラスチック、 低 置換度セルロース系エステル、 微生物による天然脂肪族ポリエステル、 化学合成 による脂肪族ポリエステル樹脂等が、 生分解性樹脂として、 その製法、 用途等と 共に検討されている。 これらの内、 加工性、 コスト、 機械特性、 耐水性等の点で 比較的バランスがとれていて、 様々な用途に使いやすい樹脂として注目されてい るものに、 化学合成又は微生物の産生する脂肪族ポリエステル樹脂がある。
ここに生分解性樹脂とは、 材料としての使用時には汎用のプラスチックスとほ ぼ同等の物性を持つが、 廃棄後、 土上、 土壌中、 堆肥中、 活性汚泥中、 水中等の 自然環境下においては速やかにバクテリアゃカビ等の微生物により生化学的に、 又は温度、 湿度、 光等の自然条件により、 分解、 資化される高分子をいい、 微細 に分解され、 ものによっては最終的には二酸化炭素と水になる。
既に市場に出回っている生分解性ポリエステル樹脂は、 特開平 8- 029989号、 特 開平 9- 194700号公報等に記載されているが、 現行の汎用樹脂と比較すると機械物 性の面で不十分である。
脂肪族ポリエステル樹脂は、 α, ω _ 2官能脂肪族アルコールと、 α, ω— 2 官能脂肪族ジカルボン酸の重縮合反応、 またはそれらのジカルボン酸のジエステ ルとのエステル交換反応で得られるポリエステル樹脂で代表されるが、 一般的に 融点が低く、 従来のポリオレフインの代替としては使用できるものではない。 と ころが、 ある種のポリエステル樹脂は融点が 1 0 0 °C以上で、 熱可塑性を有する ことが知られており、 合成検討が行われてきた。 すなわち、 コハク酸と 1 , 4一 ブタンジオールから得られるポリエステル樹脂、 コハク酸とエチレンダリコール
から得られるポリエステル樹脂、 シユウ酸とネオペンチルグリコールから得られ るポリエステル樹脂、 シユウ酸と 1, 4一ブタンジオールから得られるポリエス テル樹脂、 シユウ酸とエチレングリコールから得られるポリエステル樹脂等がそ れらに相当する。 このうち、 シユウ酸から得られるポリエステル樹脂は特に熱安 定性が悪く、 高分子量に至らないが、 コハク酸から得られるポリエステル樹脂は 熱安定性が比較的良好であり、 合成の工夫が行われてきた。 しかし、 これらコハ ク酸系の脂肪族ポリエステル樹脂であっても、 一般的な装置を用いて重縮合する 場合、 高分子量に至らない場合には実用的な機械強度を有する樹脂は得られにく い。
また、 これらコハク酸系の脂肪族ポリエステル樹脂で、 高分子量にするには、 経済的ではないが、 高分子量にしたものでも生分解性は十分ではない。
そこで、 ポリエステル樹脂の分子末端水酸基をポリイソシァネート等を用いて ウレタン結合により高分子量化することが行われている。 ここで用いるポリイソ シァネートは芳香族系よりも脂肪族系の方が生分解性に優れた性質を示すことか ら、 へキサメチレンジィソシァネー卜等がしばしば用いられる。
このようにして、 低分子量の脂肪族ポリエステル樹脂を高分子量化し、 機械特 性を確保して、 射出成形、 ブロー成形、 繊維化、 フィルム化等の加工に対応させ ているのが現状である。
ところ力 これら脂肪族ポリエステル樹脂であっても結晶性が高かったり、 前 記のようにウレタン結合を樹脂分子内に導入した場合、 微生物による生分解性が 通常低下する。 このことは、 樹脂の非晶部分から生分解が進み、 結晶部分は分解 しにくく、 残りやすいことが知られていること、 またポリオールとして生分解性 に優れるポリ力プロラクトンポリオールを用いても、 ポリイソシァネートにへキ サメチレンジイソシァネートを用いた力プロラクトン系のポリウレタンの生分解 性は、 J I S K 6 9 5 0で規定されている活性汚泥中での分解試験で評価する と、 殆ど分解が認められないという結果になることからも明かである。 このよう な傾向は、 比較的低密度のウレタン結合含有樹脂においても認められることから、 本来生分解性のあるボリエステル樹脂も高分子量化のために含まれることとなる 数重量%程度の少量のウレタン結合の存在により、 生分解性が低下する原因にな
つていることが多い。 事実、 数平均分子量 1 0, 0 0 0程度のコハク酸系のポリ エステル樹脂の分子末端水酸基をポリイソシァネートを用いて 4 ~ 5個つないで 数平均分子量 4 0, 0 0 0 - 5 0 , 0 0 0に高分子量化したポリエステル樹脂を J I S K 6 9 5 0で規定されている活性汚泥中での分解試験で評価すると、 難 分解性という評価結果になる。
一方、 ポリ力プロラクトン等のラクトン樹脂は生分解性樹脂であり、 環境に優 しい樹脂でありながら、 融点が、 例えばポリ力プロラクトンでは 6 0 °C程度と比 較的低いため、 フィルム又はシート成形性、 高温下での実用性の点で限界があり、 直ちにフィルム又はシートとして使用できるものではなかった。
単一の脂肪族ポリエステル樹脂では、 それを効率よく分解する菌が存在する環 境で生分解性を示すが、 より分解性の良好なポリカプロラクトンを配合 ·混練す ることにより、 混練した樹脂を分解する菌が環境中に存在する確率が上がること、 更に一旦分解が始まると、 表面積が広がり、 表面が親水性になり、 菌が生育しや すくなる環境ができること等の理由により、 単一の樹脂の場合より、 分解性が向 上している。
このために、 特開平 9一 6 7 5 1 3号公報には、 それ自体では比較的生分解性 の高くない脂肪族ポリエステル樹脂や少量のウレタン結合を含む脂肪族ポリエス テル樹脂の生分解性を改善するために、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部に 対してポリ力プロラクトンを 1〜2 0 0重量部を配合してなる生分解性ポリエス テル樹脂組成物が開示されている。
これらの生分解性材料を使用して多層フィルム · シートを成形する場合に、 月旨 肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部に対してポリ力プロラクトンを 1〜 2 0 0重 量部を配合した生分解性ポリエステル樹脂の層はフィルムの MD方向 (引っ張り、 巻き取り方向) の強度はあるが、 T D方向 (MDと直角方向) の強度が十分でな いと言う問題がある。 また、 このような樹脂を使用して真空成形、 ブロー成形、 ィンフレーシヨン成形等を行うと、 成形中に溶融した樹脂がドローダウンすると いう問題があった。
従来、 使い捨て手袋としてはポリオレフィン等のプラスチック製のものが使用 されているが、 従来の樹脂の代りに、 前記生分解性樹脂を使用しても、 上記成形
上の問題のために、 生分解性の良好な使い捨て手袋は得られない。
また、 使い捨て手袋としては、 生分解性の他に吸湿性が要望されたり、 静電気 による塵の付着が少ないものが要望されている。
従来、 杭としてはポリオレフィンゃポリ塩化ビニル等のプラスチック製のもの が使用されているが、 従来の樹脂の代りに、 前記生分解性樹脂を使用しても、 上 記成形上の問題のために、 生分解性の良好な杭は得られない。
従来、 植物保護資材としてはゥサギ、 鹿、 牛、 キリン等の草食動物により植物 の樹皮、 枝、 葉等を嗨られることを防ぐために、 ブリキ板や金網やプラスチック 製の板あるいはネットが使用されている。 金属製の板または網は重い、 鲭びる、 高価等の問題がある。 プラスチック製のものは軽量、 不鐯、 安価等のメリットと があり、 従来からポリオレフイン、 ポリ塩化ビニル等を材料にしたものが使用さ れされている。 しかし、 従来の樹脂の代りに、 前記生分解性樹脂を使用しても、 生分解性の良好な植物保護資材は得られない。
従来、 紙を使用した包装材料やテープ等には、 紙そのものや紙にポリオレフィ ン樹脂等の合成樹脂フィルムがラミネートされたものが使用されている。 しかし、 紙等単独では水分に弱いので、 使用範囲に限界がある。 ポリオレフインのような 合成樹脂から製造されたフィルムは、 廃棄する際、 前記のような問題を生じてい る。
生分解性樹脂としては上記諸要求を満足させるために、 特定のポリエステル系 生分解性樹脂の他、 澱粉一 E V O H (エチレン一ビニルアルコール共重合体) 系 樹脂、 E V O H系樹脂一脂肪族ポリエステル系樹脂、 脂肪族ポリエステル系樹脂 一ポリオレフイン系樹脂等、 ブレンド系の樹脂組成物が知られており、 これらの 樹脂又は樹脂組成物はフィルム等各種の形状に成形されて実用に供されているが、 生分解性積層体として要求される物性、 廃棄後に要求される生化学的分解性等の 他、 フィルム等の製造時に要求される成形性、 紙に対するラミネート性、 ラミネ 一ト紙の性能等の諸点においてバランスの採れた、 優れたものは未だ提案されて いない。
特開平 8— 1 8 8 7 0 6号公報には、 生分解性樹脂であるポリ力プロラクトン (以下、 P C Lと略称することがある。 ) 8 0〜 1 0 0重量%と、 生物によって
産出される生分解性直鎖状ポリエステル系樹脂 2 0〜0重量%との混合物 1 0 0 重量部に対して滑剤 0 . 3〜0 . 8重量部を配合してなる組成物を成形して得ら れた生分解性プラスチックフィルムが開示されているが、 フィルム成形時の機械 的強度に問題があり、 フィルムを量産することは困難であるばかりか、 該フィル ムは生ゴミと共にコンポス卜化装置に投入してもフィルムの生化学的分解に 1 0 0日もかかるので、 分解速度は十分速いとは言えない。
従来、 汎用性樹脂を使用した多層フィルムは種々の分野で使用されており、 ま た最近では、 ポリ乳酸製のフィルム、 ポリコハク酸 'エチレングリコ一ルポリエ ステル製のフィルム、 ポリ力プロラクトン製のフィルム等の生分解性樹脂製のフ イルムがそれぞれ市販されているが、 それらのフィルムの引裂強度は十分ではな い。
従来、 被膜で被覆された粒状品としては、 徐放性、 緩効性、 遅効性等の肥料、 農薬、 医薬、 香料等、 又はノーカーボン紙用マイクロカプセルが知られている。 緩効性肥料は、 作物の生育に応じて肥効を発現させようとする目的で、 種々の肥 効調節型の肥料が開発されている。 特に粒状品の表面を皮覆材で覆った緩効性肥 料は、 数多く開示され、 かつ市販されている。 特公平 7— 5 0 5号公報、 米国特 許第 3 2 9 5 9 5 0号、 特公昭 4 0— 2 8 9 2 7号、 特公昭 4 4一 2 8 4 5 7号 公報、 英国特許第 8 1 5 8 2 9号、 特公昭 3 7— 1 5 8 3 2号、 特公昭 4 2— 1 3 6 8 1号公報等で、 種々の肥効調節型の肥料が提案されている。 しかしながら これらの肥効調節型の肥料は、 いずれも肥料成分の溶出速度を調節することが困 難であることが教示されている。
このため、 水田や畑等に施肥する回数が何回にもなるという問題がある。 これらに対し、 特公昭 6 0 - 2 1 9 5 2号および特公昭 6 0— 3 0 4 0号公報 では、 ポリオレフインを主成分とした皮膜材が用いられ、 粒状品の表面を被覆す る際、 粒状品に被膜材料の溶液を噴霧すると同時に、 熱風流で乾燥することによ る被膜形成方法が開示されている。 この技術の特徴として、 粒状品の溶出速度を 調節することが可能なことが教示されており、 かつ粒状品の表面に被膜を形成す る上記の方法は広く実用に供されている。
更に、 特公昭 6 0— 3 0 4 0号、 特開昭 5 5— 1 6 7 2号公報等では、 タルク
等の無機粉体ゃィォゥをポリオレフィン系樹脂等の被膜中に分散させることによ り、 溶出コントロール機能を維持し、 併せて溶出後の残留被膜の崩壊や分解が促 進されることが示されている。
しかしながらポリオレフイン系樹脂等を使用した場合には、 相当期間被膜が残 存し、 水田では浮いて残るという問題がある。
従来から提案されているこれらの粒状品では、 被膜は、 崩壊 ·分解を起こさず、 又崩壊しても分解しないで土壌中に残留し、 作物の生育、 土壌環境や田畑周辺の 用水 ·河川等に公害を引き起こす等の危険がある。 この様な理由から、 被膜が分 解性を有し、 肥効期間が調節可能な粒状品が強く望まれている。
この様な分解性被膜において、 分解性とは、 光や酸素、 微生物等により分解す ることを意味し、 特に従来の被覆された粒状品においては、 肥料成分の溶出速度 を調節することは困難であり、 肥効期間が天候 ·土壌等の環境に影響を受け易い 等の欠点が有った。 また肥料成分溶出後の被膜が、 分解されず長期にわたり土壌 中に残留することが指摘されている。
また、 生分解性樹脂の応用も数多く試みられ、 例えば特開平 7— 3 3 5 7 6号 公報にはポリ力プロラクトン、 ポリ乳酸、 或いは、 脂肪族ポリエステル化合物と セルロース誘導体、 低分子量のポリエチレン、 パラフィン等との組合せが記載さ れている。
しかしながら、 この場合に、 用いられるポリ力プロラクトンの融点が 6 0でで あり、 耐熱性、 引張強度が不十分であり、 フィルム等包装材への応用に限界があ り、 また成形品の輸送や貯蔵時にブロッキングを起こすことがある。 また、 ポリ 乳酸や脂肪族ポリエステルは溶剤に対する溶解度が小さいため、 実用上困難を伴 う等、 未だ十分満足なものは見当たらない。 また、 前記特公平 7— 5 0 5号公報 にも、 同様にポリ力プロラクトンの被覆された粒状品が開示されているが、 これ らの生分解性樹脂は透湿性が高く、 粒状肥料保管中においてブロッキングを起こ したりする問題があり、 被覆粒状肥料として充分よいものが見当たらない。
また、 コ一ティング肥料の他にコーティング農薬等についても、 知られている 力 同様の問題がある。
従来、 一般に生分解性樹脂 (生分解性プラスチックとも言う。 ) と呼ばれるも
のは、 生分解性を付与するために機械強度が犠牲になっているものが多く、 生崩 壊性で機械物性、 特に衝撃強度を大きい樹脂が望まれている。
シー卜状緩衝材料として使用されている独立気泡緩衝シートは、 フィルムの表 面に小さなドーム状の凸部を多数有するエンボスフィルムと平面状のベ一スフィ ルムを貼り合わせて、 多数の凸部がそれぞれ独立の気泡を形成する緩衝シー卜で ある。
凸部の形状、 大きさ、 数 (密度) 、 間隔等の種々のものがあり、 物品の梱包、 食品等の包装、 さらにはコンクリートの型枠の内側に固定してタイル壁等の下地 の施工に用いる等、 広く用いられている。
上記シートには上述の生分解性樹脂が使用できるが、 多層フィルムを成形する 場合に、 上記のように脂肪族ポリエステル樹脂に対してポリ力プロラクトンを配 合した生分解性ポリエステル樹脂の層はフィルムの M D方向の強度はあるが、 T D方向の強度が十分でないと言う問題がある。
一方、 ポリ力プロラクトン (P C L ) は、 結晶性の樹脂であり、 融点が 6 0 °C と比較的低く、 耐熱性、 引張強度が不十分であり、 フィルム等包装材への応用に 限界がある。 このため、 P C Lを放射線処理して、 橋かけ等による改質が検討さ れている。
工業的に広く使用されている放射線としては、 コバルト 6 0からのァ線と加速 器からの電子線がある。 しかし、 放射線橋かけは高分子材料の非結晶領域を中心 にして起こるため、 P C Lをそのまま、 室温付近で照射処理には例えば 2 0 0 k G yといった大線量を要し、 しかもゲル分率が高くなりやすく、 逆に、 融点近傍 での処理では多数のボイドが発生して強度を低下させる傾向を有する。
従って、 従来行われてきた放射線処理条件の踏襲では、 例えば P C Lの橋かけ 処理をしても、 実用的材料は得られない。
従来、 特開平 8 — 3 9 7 4 5号公報にも記載されているように、 現在、 カード には身分を証明する I Dカード、 会員カードや金銭的価値を有するキャッシュ力 ード、 クレジットカード、 プリペイドカード、 定期券、 通行券など幅広い分野で 利用されている。 とくにカードで最も利用数が増加しているものとして、 一定単 位の金額を予め支払い、 その金額分の価値情報を記録した、 いわゆるプリペイド
カード (前払いカード) がある。 このカードには読み取り ·書き込み装置を介し て価値情報、 識別情報が、 カード基材に印字または印刷表示した絵柄 ·文字情報 として、 またカード基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部に機械読み 取り情報として記録されるため、 この読み取り ·書き込み装置で使用できるよう にゲート特性と呼ばれる機械特性、 例えば耐久性、 耐折り曲げ性、 剛度などが要 求されている。 このような条件を満たし、 かつ製造が容易な素材として、 一般的 に、 プリペイドカード等は、 主にポリエチレンテレフタレー卜 (P E T ) 樹脂等 のプラスチック、 すなわち機械特性のみを満たす樹脂を力一ド基材として利用し ている。
さらに、 一般的なカード用の基材として、 ポリ塩化ビニル樹脂が用いられてい る。 カードは通常、 利用者に販売若しくは貸与された後は、 利用者がそのカード 使い終われば廃棄されるものである。
そして上述の素材のプラスチックカードは、 その使用後の処理を、 現在のとこ ろ焼却または廃棄物として埋め立て等によって処分されている。 しかしプラスチ ック廃棄物は、 ポリ塩化ビニル樹脂などの焼却による燃焼温度の高熱化による焼 却炉の耐久性の問題、 燃焼ガスなどの公害問題を有しており、 焼却の影響の少な い前者の材質 (P E T ) との分別も完全に行うことは不可能である。 また廃棄物 の埋め立てでは、 埋め立て地において分解することなく原形のまま存在するため、 半永久的にゴミとして残り、 自然環境への影響が問題となっている。 いずれにし ても使用後の廃棄の問題が存在している。
そこで、 天然素材系のバイオセルロースや澱粉主体のプラスチック、 低置換度 セルロース系エステル、 微生物の合成するポリエステル、 脂肪族のポリエステル 樹脂等が生分解性のあるプラスチックとして各種の用途等が検討されており、 力 一ド材料としても検討されている。
また、 ポリ (ε—力プロラクトン) の生分解性に関して、 シーエムシー (株) 社発行実用 ·生分解性プラスチック (4 2頁、 1 9 9 2 ) には下記のように記載 されている。 すなわち、 ( i ) 1 9 7 2年、 P o t t s らは高分子量ポリ ( £ 一 力プロラクトン) (分子量 3 0, 0 0 0 ) を土壌埋設すると、 1年間で消失する ことを見いだした (Am. Chem. So Po lymer Prepr in t s, 13. 629 ( 1972) ) 。 (i
i) 1 9 76年、 常盤らは土壌から分離した P e n i c i 1 1 i um S P. 26 — 1が分子量 2 5, 000のポリ ( ε—力プロラクトン) を完全に分解すること を報告した (L Ferment Technol., 54. 603 (1976) ) 。 (iii) 1 97 5年、 D a i amo n dらはポリ ( ε—力プロラクトン) フィルムが A s p e r g i 1 1 u s や土壌中で分解することを報告した (Int. Biodetr. Bull., 11. 127 (1975)) 。
( i v)生分解性プラスチック研究会の土壌埋設および水中浸漬によるフィールドテ ストの結果によれば、 ポリ (ε—力プロラクトン) は、 多くの場所で 6力月後か らサンプルが消失し、 1年後には、 ほとんどの場所でサンプルは消失した (生分 解性プラスチック研究会 ·技術委員会;未発表データー) 。
しかし、 ポリ ( ε—力プロラクトン) は高靭性、 高生分解性であるが低融点、 低耐熱である。
生分解性脂肪族ポリエステル樹脂の中でも、 ポリ乳酸は高剛性であるが低靭性、 低生分解性であり、 ポリ (ε—力プロラク卜ン) (ポリ力プロラクトンと略称す る) は高靭性、 高生分解性であるが低融点、 低耐熱である。 さらに、 ポリ乳酸と ポリ力プロラクトンの相溶性が悪く、 混合して得られたものは低靭性である。 さらに特開昭 5 7— 1 50393号公報、 特開昭 59— 220 1 92号公報、 特開昭 5 1— 9399 1号公報、 特開昭 6 3— 2609 1 2号公報、 特開昭 57 - 1 50 39 3号公報に記載されるように、 光または地中など自然環境下で分解 可能なプラスチックが開発され、 とくに使い捨て型の商品パッケージに用いられ、 現在では一部が商品化されている。 カードの分野では、 特開平 5— 427 86号 ゃ特開平 5— 8 5088号おいて、 カード基材に生分解性或いは光分解性のブラ スチックを用いることが述べられている。
また従来から紙をカード基材として採用したカードが利用されており、 とくに 紙は焼却や埋め立てなどの廃棄が簡単であり、 しかも製造コスト安価であること から、 上記した近年議論されているゴミなど環境問題の解決に最適な力一ド材料 と見られている。
しかしながら、 紙を力一ド基材として用いた場合に耐久性、 耐折り曲げ性、 耐 水性、 耐薬品性、 防水性、 表面平滑性、 光沢性、 加工性等のカードとしての適性 を考慮すると、 全ての点で機能が劣るため、 紙の単独での使用は、 通行券や入場
券、 乗車券など一時的な利用のみに限定され、 一定期間使用される上述したプリ ペイドカードには不向きである。 この場合には紙基材にポリエチレン樹脂、 ポリ プロピレン樹脂、 ポリ塩化ビニル樹脂、 P E T等の合成樹脂やアルミニウム箔な どプラスチック以外の外層を保護層として積層することが考えられるが、 これら は廃棄性に優れず、 上記したプラスチックカードと大差がない欠点を有する。 また特開平 7— 9 7 8 8号公報には、 生分解性樹脂層を紙基材の片面または両 面に設け、 従来のプラスチックカードとしての特性と優れた廃棄性を有するカー ドが記載されている。
上記の問題の改善を目的とした生分解性樹脂層を紙基材の片面または両面に設 けてなるカードは、 通常の使用では問題ないが、 異常な環境、 例えば洗濯など水 に晒された場合、 カードの端面から水分が染み込み、 カードのカール ·伸縮 'ェ ッジ部のめくれ等を生じることがあり、 カードが損傷し易く、 また前記カールや めくれにより読取り ,書き込み装置に使うと、 カードの搬送路などに引つかかる などの問題を有していた。
またカード基材そのものを分解性を有するプラスチックで構成するようにした カードは、 そのプラスチックの機能により、 廃棄後徐々に分解されていくもので ある。 ところ力 このカードは力一ド自体が有する利便性及びカード製造上の問 題を考慮して作成されるものであり、 分解性を有するプラスチックを単に力一ド 基材として用いた場合、 耐折り曲げ性、 剛度という機械特性を有しているとは言 えず、 またカードの強度や使い易さから一定の厚みとする必要があるため、 一体 形成した時に、 力一ド面の反りの発生や厚さの分だけ分解性を有するプラスチッ クを使用されるので、 分解に時間がかかる。 さらに分解性を有するプラスチック が高価であるため、 カード自体も高価格となってしまう問題を有する。
このような問題に対して、 前記特開平 8— 3 9 7 4 5号公報には、 機械読み取 り ·書き込みにおいて要求される剛度等のゲート特性を有するとともに、 カード 構成樹脂全体が分解性を有するカードが開示されている。
しかし、 得られるカードの硬度や寸法安定性が不充分であり、 情報記録層の機 材への印刷適性も必ずしも良くなく、 さらに生分解性の一層の向上が要求されて いる。
上記のような実状に鑑みて、 各発明の目的を以下に示す。
本発明 [ I ]の目的は、 それ自体では比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエス テル樹脂や少量のウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂 (以下、 特に区別 しない限り、 両者を単に 「脂肪族ポリエステル樹脂」 と称する。 ) の生分解性を 改善し、 且つ真空成形、 ブロー成形又はインフレーション成形時にドロ一ダウン しにくい生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供することである。
また、 本発明 [I I]の目的は、 生分解性の改善された樹脂製使い捨て手袋、 さら には吸湿性があり、 静電気による塵の付着が少ない生分解性使い捨て手袋を提供 することである。
また、 本発明 [I I I]の目的は、 生分解性の改善された樹脂製の杭、 及び農業用、 土木用又は建築用に使用される生分解性杭、 それらを利用して農作業の改善され た生分解性杭を提供することである。
また、 本発明 [IV]の目的は、 動物による食害を防ぐための、 生分解性の改善さ れた樹脂製植物保護資材を提供することである。
また、 本発明 [V]の目的は、 ラクトン樹脂を使用した分解性、 成形性、 機械的特 性に優れた樹脂または樹脂組成物を成形して得られた生分解性テープ、 それを使 用した包装 ·梱包用テープ、 粘着テープを提供することである。
また、 本発明 [VI]の目的は、 ポリ乳酸の高剛性とポリ力プロラクトンの高靭性、 高生分解性の長所を利用して、 生分解性を有すると共に、 カード基材が耐久性、 剛度、 成形加工性、 機械強度、 硬さ、 衝撃強度、 寸法安定性、 耐折り曲げ性等の 機械特性を保持し、 これにより読み取り ·書き込み装置での機械読み取り ·書き 込みのためのゲート特性を示す該基材上に磁気記録層およびノまたは感熱記録層 を設けたカードを提供することである。
また、 本発明 [VII]の目的は、 フィルム自体の成形性が良好で、 紙とのラミネ一 ト性が良く、 得られた積層体が水による紙等の強度の低下防ぎ、 包装材料等とし てヒートシール性が良好で、 生分解性に優れた生分解性積層体を提供することで ある。
また、 本発明 [VI I I]の目的は、 生分解性に優れ、 フィルム自体の成形性が良好
で、 層間の接着強度 (積層性) が強く、 得られた積層フィルムの引裂強度が向上 した生分解性積層フィルム及びそれを使用した農業用生分解性フィルムを提供す ることである。
また、 本発明 [IX]の目的は、 成形性がよく強度等に優れ、 生分解速度の速い生 分解性多層フィルム · シートを提供することである。
また、 本発明 [X]の目的は、 連続成形性がよく、 強度等に優れ、 生分解速度の速 レ 、 厚さが 5〜 2 5 z mの薄手の生分解性フィルムを提供することである。
また、 本発明 [XI]の目的は、 成形性がよく強度等に優れ、 生分解速度の速い独 立気泡緩衝シートを提供することである。
また、 本発明 [XI I]の目的は、 自然環境下に放置されても分解して残留せず、 保 存安定性に優れたコーティング肥料、 コーティング農薬又はノーカーボン紙用マ イクロカプセルのような分解性被膜を有する粒状品を提供することである。
また、 本発明 [XI I I]の目的は、 生分解性で、 透湿性が低く、 粒状肥料使用後の 被覆による残存樹脂が水田で浮いたりしない被覆粒状肥料を提供することである。 また、 本発明 [XIV]の目的は、 生崩壊性で、 機械物性、 特に衝撃強度を大きく向 上させた生崩壊性樹脂組成物を提供することである。 発明の開示
本発明者等は、 鋭意研究を重ねた結果、 下記のことを見いだし本各発明を完成 させるに至った。
本発明者等は、 それ自体では比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹 脂やウレタン結合を含み生分解性が低くなつたポリエステル樹脂に対し、 より生 分解性が高いポリ力プロラクトンを配合し、 混練することにより、 生分解性が著 しく向上することを見い出した。
すなわち、 混練樹脂組成物を構成する生分解性の低いポリエステル樹脂の単独 での分解率と含有比率、 生分解性の高いポリ力プロラクトン単独での分解率と含 有比率から期待される分解率よりも高分解率が得られることを見い出した。 また ポリ力プロラクトンは融点が 6 0 °Cと低いので、 これを混練することで樹脂組成 物全体の融点が低くなることが通常考えられるが、 実用上問題ない融点低下の範
囲に納まる比較的少量のポリ力プロラクトンの配合 ·添加により、 それ自体では 比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹脂やウレタン結合を含む脂肪族 ポリエステル樹脂の生分解性を著しく改善出来ることを見い出した。
本発明者等は、 例えば脂肪族イソシァネートで高分子量化した脂肪族ポリエス テル樹脂 1 0 0重量部に対してポリ力プロラクトンを 1〜2 0 0重量部を配合し てなる生分解性ポリエステル樹脂にタルクのような無機充填材を特定量添加する ことにより、 真空成形、 ブロー成形、 又はインフレーション成形時にドロ一ダウ ンしにくい生分解性ポリエステル樹脂組成物が得られることを見いだし本発明 [ I ]を完成させた。
また、 このような混練樹脂組成物を使用すると成形中に樹脂がドロ一ダウンせ ずにフィルムが容易に成形.できること、 フィルムを重ね合わせてヒ一トシールす ると共に不要部分を切断することにより生分解性が著しく改善され、 また吸湿性 があるので手に馴染みやすく、 塵が付きにくい使い捨て手袋が得られること、 該 使い捨て手袋が園芸用、 食品加工 ·取り扱い用、 医療機器取り扱い用、 クリーン ルーム内作業用等に適することを見いだし本発明 [I I]を完成するに至った。
また、 このような混練樹脂組成物を杭に加工すること、 杭内部に肥料 及び薬 品を含ませることにより、 杭から肥料及び Z又は薬品が緩やかに土中に供給され ること、 使用期間後杭が生分解されること、 タルク配合杭は杭を地面に打ち込み やすいことさらに生分解性が向上することを見出し、 本発明 [ΠΙ]を完成するに至 つた。
また、 このような混練樹脂組成物を植物保護資材に成形して、 木の幹等に巻き 付けることにより食害が防げること、 使用後は容易に分解して植物の生育に妨げ にならないこと、 タルク配合によりさらに生分解性が向上することを見出し、 本 発明 [IV]を完成するに至った。
また、 ポリ力プロラクトンを代表例とするラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル 樹脂に、 滑剤、 可塑剤、 熱安定剤等を添加することにより、 フィルムの成形性、 フィルム物性、 廃棄後の生分解性等の点においてバランスの取れた生分解性テー プが得られることを見出し、 本発明 [V]を完成するに至った。
また、 カードとしての物性をより向上させるために鋭意検討したところ、 ポリ
乳酸系樹脂とポリ力プロラクトン系樹脂に相溶化剤として脂肪族ポリエステル樹 脂を使用することにより、 生分解性樹脂組成物がカード基材として、 優れている ことを見い出し、 本発明 [VI]を完成させるに至った。
また、 特定の脂肪族ポリエステル樹脂単独又は該脂肪族ポリエステル樹脂とポ リカプロラクトンを使用してフィルムを製造し、 該フィルムと紙を熱,圧ラミネ 一卜することにより、 フィルムの成形性、 フィルム物性、 廃棄後の生分解性等の 点においてバランスの取れた生分解性積層体が得られることを見出し、 本発明 [V I I]を完成するに至った。
また、 ポリ力プロラクトン樹脂層の両側にポリブチレンサクシネート樹脂層か らなる積層フィルムを共押出により製造することにより、 積層フィルムと同じ厚 みのポリ力プロラクトン樹脂のみからなる単層フィルム、 及びポリブチレンサク シネート樹脂のみからなる単層フィルムのいずれよりも、 引裂強度が向上し、 積 層性がよく、 また生分解性がよい積層フィルムが得られることを見出し、 本発明
[VI I I]を完成するに至った。
また、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部に対してポリ力プロラクトンを 1 〜2 0 0重量部を配合した生分解性ポリエステル樹脂組成物と放射線処理がされ たポリ力プロラクトンを共押出して、 多層フィルムを成形することにより、 成形 性がよく強度等に優れ、 生分解速度の速い生分解性多層フィルムが得られること を見いだし、 本発明 [IX]を完成するに至った。
また、 特定の範囲のメルトフローレートとメル卜テンションを持つ脂肪族ポリ エステル樹脂とポリ力プロラクトンとの組成物を使用することにより、 薄手フィ ルムのかかる問題点を解決しうることを見い出し、 本発明 [X]を完成するに至つ た。
また、 エンボスフィルム及びベースフィルムの原料として、 適度に放射線処理 されたポリカプロラクトン単独又は放射線処理されたポリカプロラクトン脂肪族 ポリエステル樹脂との組成物を使用することにより、 かかる問題点を解決しうる ことを見い出し、 本発明 [XI]を完成するに至った。
また、 被膜の分解期間が調節可能な生分解性被膜で被覆され、 夏場の保存時に もブロッキングを生じない粒状品を製造するために、 被膜材の選定について鋭意
検討を行い、 被膜材のポリ力プロラクトンを放射線処理することにより、 生分解 性を保ってブロッキングを低下させることができることを見いだし、 本発明 [ X I I]を完成するに至った。
また、 被膜が分解性を有し、 肥効期間が調節可能な分解性被膜で被覆された粒 状肥料を製造するために、 被膜材の選定について鋭意検討を行った結果、 生分解 性の良好なポリラクトン (A) に石油樹脂やロジン等の成分 (B ) を混合して、 粒状肥料の表面を被覆することにより、 均一に被覆できて、 上記問題点を解決し うることを見い出し、 本発明 [XI I I]を完成するに至った。
また、 高い生分解性を有するポリ力プロラクトン Z脂肪族ポリエステル混練物 に少量の高衝撃強度を有するゴム変性スチレン系樹脂を配合、 混練することによ り、 それらのデュポン衝撃強度が飛躍的に向上することを見出し、 この知見に基 づき、 ポリ力プロラクトン、 合成ポリエステル樹脂及び脂肪酸アミドからなる生 分解性樹脂組成物に、 高い耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂を少量ブレンドするこ とにより、 樹脂の生分解性をほとんど損なうことなく、 その衝撃強度が大きく向 上すること、 また、 この樹脂組成物の生分解性については、 少量の非生分解成分 の存在により残留物が存在するものの、 大半の生分解成分自体は阻害されること なく高い生分解性を示し、 成形品にした場合にも、 元の形状は示さず、 残留物の 量は少量であり、 ほとんど分解せずにそのままの形で残存する汎用樹脂に比べる と問題にならない形状及び量であること (本発明ではこのような生分解性の状態 を生崩壊性という。 ) を見い出し、 本発明 [XIV]を完成するに至った。 すなわち本発明の第 1は、 脂肪族ポリエステル樹脂、 ポリ力プロラクトン及び 無機添加剤からなり、 脂肪族ポリエステル樹脂対ポリ力プロラクトンの比率が 1 0 0重量部対 1〜2 0 0重量部であって、 脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロ ラクトンの合計対無機添加剤の比率が 9 5〜5 0重量%対 5〜5 0重量%である 生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
本発明の第 2は、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部に対してポリ力プロラ クトン 1〜 2 0 0重量部を配合してなるポリエステル樹脂組成物を Tダイ成形し て得られた厚さ 4 0 /x mのフィルムを 2枚重ね合わせ、 手袋形状にヒートシール
し、 周縁部を切断して得られた生分解性使い捨て手袋を提供する。
本発明の第 3は、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部とポリ力プロラタトン
1〜2 0 0重量部からなるポリエステル樹脂組成物を成形してなり、 内部に肥料 及び Z又は薬品を含んでもよい生分解性杭を提供する。
本発明の第 4は、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部とポリ力プロラクトン
1〜2 0 0重量部からなるポリエステル樹脂組成物 1 0 0重量部に対してタルク
5〜 1 0 0重量部を配合して得られるポリエステル樹脂組成物をネットに成形し て、 ネットを樹木の幹に巻き付け、 動物の食害を防止する植物保護資材を提供す る。
本発明の第 5は、 ラクトン樹脂単独、 又は該ラクトン樹脂と他の生分解性樹脂 及び Z又は樹脂添加剤からなるラクトン含有樹脂組成物を成形してなり、 分解性、 成形性、 機械的特性に優れ、 包装,梱包用テープ、 粘着テープ等に使用される生 分解性テープを提供する。
本発明の第 6は、 ポリ乳酸系樹脂 (A) 8 5〜 5重量%、 脂肪族ポリエステル 樹脂 (B ) 5〜 5 0重量%、 ポリ力プロラクトン系樹脂 (C ) 1 0〜4 5重量%
( (A) + ( B ) + ( C ) の合計は 1 0 0重量%である。 ) 、 及び、 (A) +
( B ) + ( C ) の合計 1 0 0重量部に対して充填剤 (D ) 5〜3 0 0重量部から なる生分解性樹脂組成物層を基材とすることを特徴とする生分解性カードを提供 する。
本発明の第 7は、 脂肪族ポリエステル樹脂単独、 又は該脂肪族ポリエステル樹 脂とポリ力プロラクトンとからなる生分解性樹脂層 (1 ) と、 紙、 パルプシート 及びセルロース系フィルムからなる群から選ばれた 1以上のシ一卜状物 (2 ) と からなる生分解性積層体を提供する。
本発明の第 8は、 生分解性樹脂層 (1 ) に該生分解性樹脂層 (1 ) と異なる種 類の生分解性樹脂層 (2 ) が積層されてなり、 層の合計が 2以上である生分解性 積層フィルム少なくとも 2種類の異なる生分解性樹脂層が積層されてなる生分解 性積層フィルムを提供する。
本発明の第 9は、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部に対してポリ力プロラ クトンを 1〜 2 0 0重量部を配合してなる生分解性ポリエステル樹脂組成物から
なる層 (A) 、 及びポリ力プロラクトン単独又はポリ力プロラクトン以外の生分 解性樹脂との組成物からなる層 (B) からなり、 該層 (B) を構成するポリカブ ロラクトンが単独で又は他の少なくとも 1の構成成分と共に放射線処理がされた ものであることを特徴とする生分解性多層フィルム · シートを提供する。
本発明の第 10は、 脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの組成物か らなるフィルムであり、 該フィルムの厚みが 5~ 25 mであって、 下記 (1) 〜 (3) のいずれかの組成物からなる生分解性フィルムを提供する。
( 1 ) 該脂肪族ボリエステル樹脂がメルトテンション 2 g以上であり且つメルト フローレート 1〜9 g/10分であり、 該ポリカプロラクトンが直鎖型ポリカブ 口ラクトンである、
(2) 該ポリカプロラクトンがメルトテンション 2 g以上であり且つメルトフ口 一レート l〜9 gZl 0分であり、 該脂肪族ポリエステル樹脂が直鎖型脂肪族ポ リエステル樹脂である、 又は
(3) 該組成物のメルトテンションが 2 g以上であり、 かつメルトフローレ一卜 力 1~9 gZl 0分である。
本発明の第 1 1は、 フィルム全面に凸部 (3) が多数形成されたエンボスフィ ルム (2) と平面状のベースフィルム (1) 及び Z又はエンボスフィルム (2) とを貼り合わせてなる独立気泡緩衝シートであって、
エンボスフィルム (2) 及びベースフィルム (1) 力 ポリ力プロラクトン単独 又は脂肪族ポリエステル樹脂との組成物からなり、 該ポリカプロラクトンが単独 で又は他の少なくとも 1の構成成分と共に放射線処理がされたものであることを 特徴とする独立気泡緩衝シートを提供する。
本発明の第 12は、 ポリ力プロラクトン単独、 又はポリ力プロラクトンと天然 樹脂、 酢酸セルロース樹脂、 生分解性セルロースエステル、 生分解性脂肪族ポリ エステル、 ォレフィン重合物、 ォレフィンを含む共重合物、 塩化ビニリデン重合 物、 塩化ビニリデンを含む共重合物、 ジェン系重合物、 ワックス類、 石油樹脂、 油脂およびその変性物からなる群から選ばれた 1種以上の他の皮膜剤との混合物 を粒状品の表面に被覆してなり、 該ポリカプロラクトンが単独で又は他の少なく とも 1の構成成分と共に放射線処理がされたものであることを特徴とする分解性
被膜を有する粒状品を提供する。
本発明の第 1 3は、 ポリ力プロラクトン、 並びに、 石油樹脂及び Z又はロジン 類からなる成分との混合物を粒状肥料の表面に被覆してなる粒状農業園芸用組成 物を提供する。
本発明の第 14は、 ポリ力プロラクトン 5〜70重量部及び脂肪族ポリエステル樹 脂 95〜30重量部からなる生分解性樹脂組成物 100重量部、 並びに、 熱可塑性樹脂 5 〜20重量部からなる生崩壊性樹脂組成物を提供する。 図面の簡単な説明
図 1-1は、 本発明の、 高分子量ポリエステル ポリカプロラクトン PH 7ノ夕 ルク混練物の押出し成形シートの生分解性の経時変化を示すグラフである。
上記グラフにおいて、 (1) 及び (2) は以下のものを示す。
(1) ポリエステル樹脂 Zポリ力プロラクトン PH 7 Zタルク混練物
(2) ポリエステル樹脂/ポリ力プロラクトン PH 7混練物
図 VI- 1は、 本発明のカードのー実施例を示す断面図である。
図 VI- 2は、 本発明の力一ドの他の実施例を示す断面図である。
図 VI- 3は、 本発明のカードの他の実施例を示す断面図である。
上図における符号は、 以下の通りである。
1, 1 0, 1 1 :カード 2 :カード基材 3 :可視情報 'デザイン部
4 :磁気記録層 5 :感熱記録層 1 2 : コアシート 1 3 :カバーシート 図 XI- 1は、 本発明の独立気泡緩衝シートの一構成例を示す断面図である。 図 XI-2は、 本発明の独立気泡緩衝シー卜の他の一構成例を示す断面図である。 図 XI-3は、 本発明の独立気泡緩衝シートの他の一構成例を示す断面図である。 上図における符号は、 以下の通りである。
1 突起 2 エンボスフィルム 3 ベースフィルム
図 XIII— 1は、 本発明の製造に適した装置の一例を示す概略図である。
図 XIII— 1における符号は、 以下の通りである。
1 噴流塔、 2 肥料投入口、 3 排ガス噴出口、 4 流体ノズル、 5 ポンプ、 6 バルブ、 7 抜出口、 8 熱交換器、
9 オリフィス流量計、 10 ブロア一、 1 1 液タンク、
Τ,, Tz, Τ3 温度計、 SL スチーム
図 XIV— 1は、 各樹脂又は樹脂組成物の活性汚泥による生崩壊性の経時変化を示 す図である。
図 XIV— 1における記号は、 以下の通りである。
秦印は本発明の生崩壊性樹脂組成物 (E) を示す。
▲印は生分解性ポリエステル樹脂組成物 (C) を示す。
讕印はゴム変性ポリスチレン系グラフ卜樹脂 (D) を示す。 発明を実施するための最良の形態
初めに、 記述を簡略化するために、 本発明の [I]〜 [XIV]の共通事項について説 明する。
[脂肪族ポリエステル樹脂]
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂は、 特に限定されるものではないが、 好ましくは、 融点が 100°C以上で、 熱可塑性及び生分解性を有するものである。 例えば特開平 5-310898号公報に示されているようなウレタン結合を含む脂肪族 ポリエステル樹脂、 特開平 9- 095529号公報に示されているようなエステル交換反 応により得られるウレタン結合を含まない脂肪族ポリエステル樹脂のどちらも使 用可能である。
(ウレタン結合を含まない脂肪族ポリエステル樹脂)
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂としては特に限定されるものではな いが、 低分子脂肪族ジカルボン酸と低分子脂肪族ジオールとのポリエステル、 コ ポリエステル等;ポリ乳酸、 ポリヒドロキシプロピオン酸、 ポリヒドロキシ酪酸 等のヒドロキシカルボン酸のポリマー、 コポリマ一;上記ヒドロキシカルボン酸 及び前記脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリマー等、 特開平 9一 23 5360号、 同 9一 233956号各公報記載の三元共重合体の脂肪族ポリエス テル、 特開平 7— 1 77826号公報記載の乳酸とヒドロキシカルボン酸共重合 体; ε—力プロラクトンと ε—力プロラクタムより合成されるポリアミドエステ ル樹脂等が挙げられる。 これらは、 2種以上混合使用することもできる。
低分子脂肪族ジカルボン酸と低分子脂肪族ジオールとのポリエステルとしては、 炭素数 2〜1 0の直鎖又は分岐脂肪族ジオールと、 炭素数 2 ~ 1 0の直鎖又は分 岐脂肪族ジカルボン酸からのポリエステルが挙げられ、 これらは本発明では特に 好ましい。
脂肪族ジオールとしては、 具体的にはエチレングリコール、 プロピレングリコ ール、 1, 4-ブタンジオール、 ネオペンチルグリコール、 へキサンジオール、 1, 4- シクロへキサンジメタノール等の炭素数 2 ~ 1 0のものが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、 シユウ酸、 マロン酸、 コハク酸、 ダルタル酸、 アジピン酸、 スベリン酸、 セバシン酸等が挙げられる。
ジオール含有量は、 2 0〜7 0重量%であり、 かつ脂肪族ジカルボン酸含有量 3 0〜8 0重量%のものが用いられる。
上記の脂肪族ポリエステル樹脂の中でも、 融点が 1 0 0で以上で、 熱可塑性を 有するもの、 用途によっては比較的生分解性の高くないものが好ましく、 コハク 酸と 1, 4一ブタンジオールから得られるポリエステル樹脂、 コハク酸とェチレ ングリコールから得られるポリエステル樹脂、 シユウ酸とネオペンチルダリコー ルから得られるポリエステル樹脂、 シユウ酸と 1, 4一ブタンジオールから得ら れるポリエステル樹脂、 シユウ酸とエチレングリコールから得られるポリエステ ル樹脂等が例示できるが、 特に好ましくはコハク酸と 1 , 4—ブタンジオールか ら得られるポリエステル樹脂である。
また、 脂肪族ポリエステル樹脂としては、 上記ジカルボン酸誘導体とジオール の組合せに、 ジエチレングリコール、 トリエチレングリコ一ル、 ジプロピレング リコール等のポリアルキレングリコールを共重合して得られるポリエステルエー テル; ジグリコール酸等のジォキシカルボン酸誘導体を共重合して得られるポリ エステルエーテル; ジメチルカーボネー卜、 .ジェチルカーボネート、 ジプロピル カーボネート、 ジフエ二ルカーボネート等の有機カーボネー卜化合物を共重合し て得られるポリエステルカーボネートなどであってもよい。 特に好ましくは、 コ ハク酸誘導体、 1, 4-ブタンジオール及び有機カーボネー卜化合物からなる共重合 体が好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量としては、 1 , 0 0 0〜5 0 0, 0 0
0、 好ましくは 20, 000以上、 更に好ましくは 40 , 000以上の範囲であ る。 上限は特にないが、 実用上 500, 000程度のものも使用できる。
(ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂)
ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂は、 前記脂肪族ポリエステル樹脂 を、 好ましくは脂肪族ジイソシァネー卜化合物により高分子量化したものである。 脂肪族ジイソシァネート化合物としては、 へキサメチレンジイソシァネート、 リ ジンジイソシァネ一卜メチルエステル {OCN- (CH2) 4-CH (-NCO) (- COOCHs) } 、 トリメチルへキサメチレンジイソシァネート等が例示されるが、 中でもへキサメチレンジイソシァネー卜が好ましい。 またウレタン結合を含む脂 肪族ポリエステル樹脂の好ましい数平均分子量としては、 20, 000以上、 更 に好ましくは 40, 000以上の範囲である。
ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂としては、 昭和高分子 (株) 製の ビオノ一レ # 1000、 # 3000、 # 6000の各シリーズが挙げられる。
ポリ乳酸としては、 例えば、 ECOPLA (カーギル社製) 、 ラクティ (島津 製作所製) 等が挙げられる。
本発明では上記ウレタン結合を含まない脂肪族ポリエステル樹脂もウレタン結 合を含む脂肪族ポリエステル樹脂も共に脂肪族ポリエステル樹脂という。
また、 本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂には、 微生物の生産するポリ エステルも含まれる。 微生物が生産する脂肪族ポリエステルとしては、 ポリ 3— ヒドロキシ酪酸、 ポリ 3—ヒドロキシ吉草酸または 4ーヒドロキシ吉草酸のよう なポリヒドロキシアルカン酸の単独重合体; 3—ヒドロキシ酪酸と 3—ヒドロキ シ吉草酸との共重合体、 3—ヒドロキシ酪酸と 4ーヒドロキシ吉草酸との共重合 体等が挙げられるが、 好ましくは、 機械物性、 生分解性の両面から、 3—ヒドロ キシ酪酸と 4ーヒドロキシ吉草酸との共重合体がよい。
[ラクトン樹脂]
本発明において使用するラクトン樹脂 (ポリラクトンともいう。 ) は、 ラクト ンモノマーの単独重合体、 2種以上のラクトンモノマーからなるラクトン共重合 体、 ラクトンモノマーとラクトンモノマ一以外のモノマーとの共重合体、 及びこ
れらの混合物が挙げられる。
ラクトンモノマーとしては、 ε —力プロラクトン; 4ーメチルカプロラクトン、 3 , 5 , 5—トリメチルカプロラクトン、 3, 3, 5—トリメチルカプロラクト ンなどの各種メチル化力プロラクトン; /3—プロピオラクトン; ァープチロラク トン; <5—バレロラクトン;ェナントラクトン等が挙げられる。
ラクトンモノマーと共重合されるラクトンモノマー以外のモノマ一としては、 乳酸、 ヒドロキシプロピオン酸、 ヒドロキシ酪酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン 酸;前記脂肪族ポリエステルで使用される脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン 酸が挙げられる。
ラクトン樹脂としては、 数平均分子量が 1 0 , 0 0 0〜1, 0 0 0, 0 0 0、 好ましくは 5 0 , 0 0 0〜 5 0 0, 0 0 0、 さらに好ましくは 2 0 0 , 0 0 0以 下のものである。
(ポリ力プロラクトン)
上記ラクトン樹脂の中でもポリ力プロラクトンが好ましい。
本発明で使用するポリ力プロラクトンは、 例えばアルコールなどの活性水素含 有化合物を開始剤として、 これに ε—力プロラクトンを常法の開環重合により重 合して得られるものである。 前記開始剤の官能数は、 特に制限はなく、 メタノー ル、 エタノール、 プロパノール、 ブ夕ノール等の 1官能のもの;水、 エチレング リコール、 ジエチレングリコール、 プロピレングリコール等の 2官能のもの; グ リセリン、 トリメチロールプロパン等の 3官能のものが好ましく使用できる。 ポリ力プロラクトンの分子量は、 低分子量から高分子量まで使用できるが、 低 分子量のポリ力プロラクトンを使用した場合は、 混練樹脂の耐熱性や機械強度の 低下が大きくなるので添加量が制限されるが、 樹脂組成物の溶融粘度が低下し、 成形性が向上する等のメリッ卜が現れる。 しかし高分子量のポリ力プロラクトン を使用する方が配合率を多くすることができ、 耐熱性、 機械特性、 生分解性をい ずれも高くバランスさせることが可能であり、 より好ましい。
具体的には数平均分子量で 1, 0 0 0〜2 0 0 , 0 0 0、 更には 5 , 0 0 0〜 1 0 0, 0 0 0のポリ力プロラクトンが好ましく使用できる。 なお、 2 0 0, 0 0 0よりも高い数平均分子量を有するものも問題なく使用可能であるが、 このよ
うな分子量の非常に高いポリ力プロラクトンを得るのは難しく、 現実的ではない。 また、 使用するポリ力プロラクトンは、 ε—力プロラクトンの単独重合体以外に、 バレロラクトンや、 グリコリ ド、 ラクチドなどのコモノマー構成単位を、 例えば
20モル%以下含まれる共重合体も使用可能である。
上記分子量のポリ力プロラクトンは J I S K 6726の規定による相対粘度
1. 1 5〜2. 80を有するものであり、 特に好ましくは 1. 50以上のもので ある。
市販ポリ力プロラクトンとしては、 ダイセル化学工業 (株) 製の PCLH7、 PCLH4、 PCLH1 (これらは、 それぞれ、 PH7、 PH4、 PHIと記載 することもある。 ) 等が挙げられる。 PCLH7は、 数平均分子量 70, 000 〜100, 000、 相対粘度 2. 35〜3. 20であり、 PCLH4は、 数平均 分子量約 40, 000、 P CLH 1は、 数平均分子量約 10, 000である。
[脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの組成比]
脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの配合割合は、 双方の分子量、 要求される生分解性にもよるが、 特に指定されている場合を除き、 前者 100重 量部に対して、 後者が 1〜200重量部、 更に好ましくは 5〜 50重量部、 特に 好ましくは 20〜40重量部の範囲である。.
脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンを混練する場合は、 両者に相溶 性の有ることが混練して得られる樹脂組成物の機械特性の面から好ましいが、 両 者の相溶性が無い場合は、 例えば、 被混練樹脂成分とポリ力プロラクトン成分の 共重合体等の相溶化剤、 例えば両者の中間の極性を有する樹脂等の添加も好まし く使用できる。
[他の生分解性樹脂]
本発明で使用する他の生分解性樹脂としては、 生分解性セルロースエステル、 ボリアミノ酸樹脂、 ボリペプチド (天然ポリアミノ酸) 、 ポリビニルアルコール、 澱粉、 セルロース、 紙、 パルプ、 綿、 毛、 絹、 カラギ一ナン、 キチン ·キトサン 質、 椰子殻粉末、 クルミ殻粉末等の植物物質微粉末又はこれらの混合物が挙げら
れる。
これらの他の生分解性樹脂は前記脂肪族ポリエステル樹脂 100重量部に対し てポリ力プロラクトン 1〜 200重量部を配合してなるところのポリエステル樹 脂組成物 100重量部に対して 1〜100重量部添加することができる。
(生分解性セルロースエステル)
上記生分解性セルロースエステルとしては、 酢酸セルロース、 セルロースプチ レート、 セルロースプロピオネート等の有機酸エステル;硝酸セルロース、 硫酸 セルロース、 リン酸セルロース等の無機酸エステル;セルロースアセテートプロ ピオネート、 セルロースアセテートブチレ一ト、 セルロースアセテートフタレ一 卜、 硝酸酢酸セルロース等の混成エステルが例示できる。 これらのセルロースェ ステルは、 単独でまたは二種以上混合して使用できる。
また、 上記の生分解性セルロースエステルを前記ラクトンで変性したラクトン 変性セルロースエステルも使用することができる。
これらのセルロースエステルのうち有機酸エステル、 特に酢酸セルロース、 及 びその力プロラクトン変性物が好ましい。
本発明において用いられる生分解性セルロースエステルは、 好ましくは平均置 換度が、 2. 1 5以下 (但し、 実質的に 0を含まない) であり、 かつ ASTM
(American Society for Testing and Materials) 125209- 91に準ずる 試験方法において、 発生する炭酸ガス量を基準として、 4週間後に 60重量%以 上分解する生分解性セルロースエステルを含んでいる。 以下、 特に言及しない限 り、 平均置換度が 2. 15以下のセルロースエステルを、 単に、 低置換度セル口 ースエステルと略称する。
また、 本発明に用いられる生分解性セルロースエステルは、 平均置換度が 2. 1 5以下、 好ましくは 1. 0〜2. 15、 さらに好ましくは 1. 1〜2. 0程度 である。 置換度が 1. 0未満であると、 粒状品表面の耐水性が低下し、 2. 15 を越えると他の成分との相溶性、 溶融流動性のみならず、 生分解性が著しく低下 する。 本発明に用いられる生分解性セルロースエステルは、 平均重合度 50〜2 50、 および残存する硫酸量に対するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の当 量比 0. 1〜 1. 1であるセルロースエステルを含む組成物であってもよい。
さらに、 本発明に用いられる生分解性セルロースエステルは、 低置換度セル口 ースエステル単独で構成されていてもよく、 低置換度セルロースエステルを 1 0 重量%以上含む、 置換度の異なる複数のセルロースエステルで構成されていても よい。
なお、 前記硫酸は、 セルロースエステルを製造する際に、 触媒として使用する 硫酸に由来する。 硫酸は、 遊離の硫酸のみならず、 硫酸塩、 スルホアセテートや 硫酸エステルとして残存し、 遊離していてもよい。 セルロースエステル中に残存 する総硫酸量は、 S C 2—換算で、 通常、 1 . 8 X 1 0— 3 ~ 6 . 0 X 1 0— 2重量% ( 0 . 0 0 5〜0 . 1モル%) 程度である。
前記アルカリ金属としては、 リチウム、 カリウム、 ナトリウム等が含まれ、 ァ ルカリ土類金属には、 マグネシウム、 カルシウム、 ストロンチウム、 バリウム等 が含まれる。 本発明に用いる生分解性セルロースエステルは、 生分解性が改良さ れた組成物であってもよく、 この組成物は、 平均置換度が 2 . 1 5以下、 平均重 合度 5 0 ~ 2 5 0、 および残存する硫酸量に対するアルカリ金属またはアルカリ 土類金属の当量比 0 . 1〜1 . 1であるセルロースエステルを含んでいる。
本発明に用いられる生分解性セルロースエステルは、 低置換度セルロースエス テル単独で構成されていてもよく、 低置換度セルースエステルを含む限り、 置換 度の異なる複数のセルロースエステルを含んでいてもよい。 置換度が異なる複数 のセルロースエステルで構成された組成物は、 前記低置換度セルロースエステル と他のセルロースエステル (以下、 特に言及しない限り、 単に高置換度セルロー スエステルという) とを含む。
前記高置換度セルロースエステルの置換度は、 低置換度セルロースエステルの 置換度と異なっていればよく、 置換基は低置換度セルロースエステルの置換基と 同一であってもよく、 異なっていてもよい。 高置換度セルロースエステルには、 生分解性に劣る高置換度セルロースエステル (例えば、 置換度 2 . 2以上、 さら に好ましくは 2 . 4以上のセルロースエステル) が含まれる。
また、 好ましい高置換度セルロースエステルは、 低置換度セルロースエステル と同一または類似の置換基、 特に同一の置換基を有する場合が多い。 前記同一ま たは類似の置換基には、 低置換度セル口一スエステルが酢酸セルロースである場
合、 炭素数 1〜4程度の炭素数を有する有機酸エステル残基が含まれる。
置換度が異なる複数のセルロースエステルを含む組成物の特色は、 低置換度セ ルロースエステルの含有量が少量であっても、 セルロースエステルの生分解性を 高めることができる点にある。 低置換度セルロースエステルの含有量は、 セル口 ースエステル全体の 10重量%以上、 好ましくは 10〜90重量%、 さらに好ま しくは 10〜75重量% (例えば、 10〜50重量%) 程度である。 低置換度セ ルロースエステルの含有量が 10重量%以上であれば、 生分解性に劣るセル口一 スエステルの生分解性を飛躍的に向上できる。 セルロースエステル成分として低 置換度セルロースエステルを 10重量%以上含むセルロースエステル組成物は、 AS TM 125209- 91に準ずる試験方法において、 発生する炭酸ガス量を 基準として、 4週間後に 20重量%以上、 好ましくは 25重量%以上分解する。 なお、 低置換度セルロースエステルの含有量が増加するにつれて、 セルロースェ ステルを短時間内に生分解できる。
このようなセルロースエステルにおける生分解の機構は、 明確ではないが、 低 置換度セルロースエステルを少量含有させることにより、 本来高置換度セル口一 スエステルに対して分解性を有しない微生物が馴化され、 その結果、 高置換度セ ルロースエステルをも分解するものと推測される。
なお、 セルロースエステルは、 置換度の大小に拘らず、 慣用の方法で製造する ことができる。 また、 セルロースエステルの置換度は、 セルロースと有機酸また は酸無水物との反応に際して、 一段の反応で置換度を調整してもよく、 置換度の 高いセルロースエステル (例えば、 3置換体) を一旦製造した後、 加水分解して 置換度を調整してもよい。
生分解性セルロースエステルとしては、 数平均分子量が 10, 000〜1, 0 00, 000、 好ましくは 30, 000〜 600, 000、 さらに好ましくは 5 0, 000〜400, 000のものである。
(ポリアミノ酸樹脂、 ポリペプチド)
上記ポリアミノ酸樹脂としては合成アミノ酸のポリマ一、 ポリペプチドとして は天然アミノ酸のポリマーが挙げられる。
(澱粉)
上記澱粉としては、 生澱粉、 加工澱粉及びこれらの混合物が挙げられる。
生澱粉としてはトウモロコシ澱粉、 馬鈴箸澱粉、 甘藷澱粉、 コムギ澱粉、 キヤ ッサバ澱粉、 サゴ澱粉、 夕ピオ力澱粉、 コメ澱粉、 マメ澱粉、 クズ澱粉、 ヮラビ 澱粉、 ハス澱粉、 ヒシ澱粉等が挙げられ、 加工澱粉としては、 物理的変性澱粉
( α—澱粉、 分別アミロース、 湿熱処理澱粉等) 、 酵素変性澱粉 (加水分解デキ ストリン、 酵素分解デキス卜リン、 アミロース等) 、 化学分解変性澱粉 (酸処理 澱粉、 次亜塩素酸酸化澱粉、 ジアルデヒド澱粉等) 、 化学変性澱粉誘導体 (エス テル化澱粉、 エーテル化澱粉、 カチオン化澱粉、 架橋澱粉等) などが挙げられる。 上記の中、 エステル化澱粉としては、 酢酸エステル化澱粉、 コハク酸エステル 化澱粉、 硝酸エステル化澱粉、 リン酸エステル化澱粉、 尿素リン酸エステル化澱 粉、 キサントゲン酸エステル化澱粉、 ァセト酢酸エステル化澱粉など;エーテル 化澱粉としては、 ァリルエーテル化澱粉、 メチルエーテル化澱粉、 カルボキシメ チルェ一テル化澱粉、 ヒドロキシェチルエーテル化澱粉、 ヒドロキシプロピルェ —テル化澱粉など;カチオン化澱粉としては、 澱粉と 2—ジェチルアミノエチル クロライドの反応物、 澱粉と 2, 3 —エポキシプロピルトリメチルアンモニゥム クロライ ドの反応物など;架橋澱粉としては、 ホルムアルデヒド架橋澱粉、 ェピ クロルヒドリン架橋澱粉、 リン酸架橋澱粉、 ァクロレイン架橋澱粉などが挙げら れる。
又、 澱粉変性剤として、 尿素、 アルカリ土類、 アルカリ金属水酸化物及びこれ らの混合物も添加可能である。
[樹脂添加剤]
本発明で使用する樹脂添加剤としては、 可塑剤、 熱安定剤、 滑剤、 ブロッキン グ防止剤、 結晶化核剤、 光分解促進剤、 生分解促進剤、 自動酸化剤、 酸化防止剤、 紫外線安定剤、 帯電防止剤、 難燃剤、 流滴剤、 耐水化剤、 抗菌剤、 防臭剤、 脱臭 剤、 充填材 (無機添加剤又は有機添加剤) 、 増量剤、 着色剤又はこれらの混合物 が挙げられる。
(可塑剤)
上記可塑剤としては、 脂肪族二塩基酸エステル、 フ夕ル酸エステル、 ヒドロキ
シ多価カルボン酸エステル、 ポリエステル系可塑剤、 脂肪酸エステル、 エポキシ 系可塑剤、 又はこれらの混合物が例示される。 具体的には、 フタル酸ジ一 2—ェ チルへキシル (DOP) 、 フ夕ル酸ジブチル (DBP) 、 フタル酸ジイソデシル (D I DP) 等のフ夕ル酸エステル、 アジピン酸ージー 2—ェチルへキシル (D OA) 、 アジピン酸ジイソデシル (D I DA) 等のアジピン酸エステル、 ァゼラ イン酸ージー 2—ェチルへキシル (DOZ) 等のァゼライン酸エステル、 ァセチ ルクェン酸トリー 2—ェチルへキシル、 ァセチルクェン酸卜リブチル等のヒドロ キシ多価カルボン酸エステル、 ポリプロピレングリコールアジピン酸エステル等 のポリエステル系可塑剤であり、 これらは一種または二種以上の混合物で用いら れる。
これら可塑剤の添加量としては、 用途によって異なるが、 一般には前記脂肪族 ポリエステル樹脂 100重量部に対してポリ力プロラクトン 1〜200重量部を 配合してなるところのポリエステル樹脂組成物 100重量部に対して、 5〜15 重量部の範囲が好ましい。
(熱安定剤)
上記熱安定剤としては、 脂肪族カルボン酸塩がある。 脂肪族カルボン酸として は、 特に脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。 脂肪族ヒドロキシカルボン酸 としては、 乳酸、 ヒドロキシ酪酸等の天然に存在するものが好ましい。
塩としては、 ナトリウム、 カルシウム、 アルミニウム、 バリウム、 マグネシゥ ム、 マンガン、 鉄、 亜鉛、 鉛、 銀、 銅等の塩が挙げられる。 これらは、 一種また は二種以上の混合物として用いることができる。
また、 屋外で使用する場合に、 光安定剤を加えることができる。 光安定剤とし ては、 旭電化 (株) 製 「MARK1413」 、 チバガイギー (株) 製 T I NUV I N 326等が挙げられる。
上記各種安定剤の添加量としては、 前記脂肪族ポリエステル樹脂 100重量部 に対してポリ力プロラクトン 1〜200重量部を配合してなるところのポリエス テル樹脂組成物 100重量部に対して、 0. 5〜 10重量部の範囲である。
(滑剤及び液状滑剤)
上記滑剤としては、 内部滑剤、 外部滑剤として一般に用いられるものが使用可
能である。 たとえば、 脂肪酸エステル、 炭化水素樹脂、 パラフィン、 高級脂肪酸、 ォキシ脂肪酸、 脂肪酸アミド、 アルキレンビス脂肪酸アミド、 脂肪族ケトン、 月旨 肪酸低級アルコールエステル、 脂肪酸多価アルコールエステル、 脂肪酸ポリダリ コールエステル、 脂肪族アルコール、 多価アルコール、 ポリグリコール、 ポリク リセロール、 金属石鹼、 変性シリコーンまたはこれらの混合物が挙げられる。 好 ましくは、 脂肪酸エステル、 炭化水素樹脂等が挙げられる。
滑剤を選択する場合には、 ラクトン樹脂やその他の生分解性樹脂の融点に応じ て、 その融点以下の滑剤を選択する必要がある。 例えば、 脂肪族ポリエステル樹 脂の融点を考慮して、 脂肪酸アミドとしては 1 6 0 °C以下の脂肪酸アミドが選ば れる。
配合量は、 前記脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部に対してポリ力プロラク トン 1〜2 0 0重量部を配合してなるところのポリエステル樹脂組成物 1 0 0重 量部に対して、 滑剤を 0 . 0 5〜5重量部を添加する。 5重量部を越えると物性 も低下する。
脂肪酸アミドは公知のものが使用できるが、 製品の用途が多岐に亘るため、 そ の中で、 環境汚染を防止する観点から、 安全性が高く、 且つ F D A (米国食品医 薬品局) に登録されているエチレンビスステアリン酸アミド、 ステアリン酸アミ ド、 ォレイン酸アミド、 エル力酸アミドが好ましい。
脂肪酸アミ ドの配合割合は、 主要ポリマー成分としての樹脂量 1 0 0重量部に 対し 0 . 2〜 5重量部、 望ましくは 0 . 3〜 1 . 5重量部の範囲で添加される。
0 . 2重量部以下ではブロッキング防止効果が少なく、 一方 5重量部より多い と積層体の滑りも大きくなり過ぎ、 印刷適性、 接着性等も悪くなる。
液状滑剤としては、 融点が 7 0 °C以下の、 好ましくは常温で液状のものが使用 される。
液状滑剤としては、 パラフィンワックス ;ステアリルアルコール;ステアリン 酸;及びステアリン酸プチル、 ステアリン酸モノグリセリ ド、 ペン夕エリスリ ト —ルテトラステアレート、 ステアリルステアレ一ト等のステアリン酸エステル類 などが挙げられる。
液状滑剤として最も望ましい流動パラフィンは、 経口急性毒性 (ラット) L D
5 0が 5 g Z k gであるので非常に安全であり、 食品衛生法の食品添加物として 認められていて、 非常に好都合の材料である。
液状滑剤を混合する場合は、 樹脂を含む全体の系が、 上述のそれぞれの固体滑 剤の融点以上のときは実用上使用可能であるが、 望ましくは、 室温において液体 である流動パラフィンを使用することが作業上最もよく、 流動パラフィンは経口 急性毒性 (ラッ卜) L D 5 0が 5 g / k gであるので非常に安全であり、 食品衛 生法の食品添加物として認められていて、 樹脂加工品を廃棄した場合の環境汚染 防止の点で非常に好都合の材料である。
市販品としては、 リケスター E W— 1 0 0 (理研ビタミン社製) やへキストヮ ックス O P (へキスト社製) 等が挙げられる。
上記脂肪酸アミドとしてはラウリン酸アミド、 パルミチン酸アミド、 高純度パ ルミチン酸アミ ド、 ステアリン酸アミド、 精製ステアリン酸アミド、 高純度ステ アリン酸アミド、 ベヘン酸アミド、 高純度べヘン酸アミド、 ヒドロキシステアリ ン酸アミド、 ォレイン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド類; メチレンビスステ アリン酸アミド、 エチレンビス力プリン酸アミド、 エチレンビスラウリン酸アミ ド、 エチレンビスステアリン酸アミド、 エチレンビスイソステアリン酸アミド、 エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、 エチレンビスべヘン酸アミド、 へ キサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、 N, N ' —ジステアリルアジ ピン酸アミド、 N , N ' —ジステアリルセバシン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスァ ミ ド類;ォレイン酸アミ ド、 精製ォレイン酸アミド、 精製エル力酸アミド、 リシ ノール酸アミ ド等の不飽和脂肪酸モノアミド類;エチレンビスォレイン酸アミド、 へキサメチレンビスォレイン酸アミ ド、 N, N ' —ジォレイルアジピン酸アミド、 N , N ' —ジォレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド類; N—ス テアリルステアリン酸アミド、 N—才レイルォレイン酸アミド、 N—ステアリル ォレイン酸アミド、 N—才レイルステアリン酸アミド、 N—ステアリルエル力酸 アミ ド、 N—ォレイルパルミチン酸アミド等の置換アミド類; メチ口一ルステア リン酸アミド類; メチロールべヘン酸アミド等のメチロールアミド類; N , N— ジステアリルィソフ夕一ル酸アミド、 メタキシリレンビスステアリン酸アミド等
の芳香族ビスアミド類等の脂肪酸アミド類が挙げられる。 これらは常温で固体の 滑剤である。
(帯電防止剤)
生分解性フィルムを帯電が問題になる物に使用する場合には、 カーボン、 金属 粉、 導電性樹脂等の導電性材料ゃノニオン系、 カチオン系またはァニオン系の公 知の帯電防止剤が使用される。
(光分解促進剤)
上記光分解促進剤としては、 例えば、 ベンゾイン類、 ベンゾインアルキルエー テル類、 ベンゾフエノン、 4 , 4—ビス (ジメチルァミノ) ベンゾフエノンなど のべンゾフエノンとその誘導体; ァセ卜フエノン、 ひ, ひ一ジェトキシァセトフ ェノンなどのァセトフエノンとその誘導体;キノン類;チォキサントン類; フタ ロシアニンなどの光励起材、 アナ夕ーゼ型酸化チタン、 エチレン一一酸化炭素共 重合体、 芳香族ケトンと金属塩との増感剤などが例示される。 これらの光分解促 進剤は、 1種又は 2種以上併用できる。
(生分解促進剤)
上記生分解促進剤には、 例えば、 ォキソ酸 (例えば、 グリコール酸、 乳酸、 ク ェン酸、 酒石酸、 リンゴ酸、 などの炭素数 2 〜 6程度のォキソ酸) 、 飽和ジカル ボン酸 (例えば、 修酸、 マロン酸、 コハク酸、 無水コハク酸、 ダルタル酸、 など の炭素数 2 〜 6程度の低級飽和ジカルボン酸など) などの有機酸; これらの有機 酸と炭素数 1 〜 4程度のアルコールとの低級アルキルエステルが含まれる。 好ま しい生分解促進剤には、 クェン酸、 酒石酸、 リンゴ酸などの炭素数 2 〜 6程度の 有機酸、 及び椰子殻活性炭等が含まれる。 これらの生分解促進剤は 1種又は 2種 以上併用できる。
また生分解促進剤としては、 生分解酵素、 例えば、 リパーゼ、 セルラーゼ、 ェ ステラーゼ等の加水分解酵素も含まれる。 生分解酵素は、 溶剤に懸濁、 或いは、 分散させて用いることができる。
なお前記の光分解促進剤と生分解促進剤とは併用することができる。
(充填剤及び増量剤)
また本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物には、 樹脂成分の生分解性を阻
害しない限り、 種々の充填剤、 例えば炭酸カルシウム、 マイ力、 珪酸カルシウム、 タルク、 微粉末シリカ (無水物) 、 ホワイ トカーボン (含水物) 、 石綿、 陶土
(焼成) 、 麦飯石、 各種の酸化チタン、 ガラス繊維等の無機添加剤 (無機充填材 ともいう。 ) や、 天然素材の粒子等の有機添加剤 (有機充填材ともいう。 ) を添 加することができる。
充填剤を添加することにより生分解性が更に向上するとともに溶融強度 (粘 度) が大きくなるので、 溶融成形時のドローダウンが防がれ、 真空成形、 ブロー 成形、 ィンフレーシヨン成形等の成形性が向上する。
充填剤の添加量は脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの合計に対し て、 充填剤 (脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの合計) の重量比 が 5〜50Z9 5〜50、 好ましくは 1 0〜45Z90〜55、 更に好ましくは 20~40Z80〜60、 特に好ましくは 25〜35Z75〜6 5である。 上記 「充填剤 (無機添加剤) / (脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの合 計) の重量比が 5〜50/95〜50」 を重量部で表示すると、 ほぼ 「脂肪族ポ リエステル樹脂とポリ力プロラクトンの合計 1 00重量部に対して充填剤 (無機 添加剤) 5〜 1 00重量部」 と表せる。
充填剤の量が過大では、 樹脂が粉を吹き、 過小では成形時にドローダウン、 ネ ッキング、 厚みむら、 目やに発生が著しい。
無機添加剤としての微粉末シリカは、 湿式法でつくられたシリカや、 四塩化ケ ィ素の酸水素焰中での高温加水分解により製造されたシリカでもよいが、 粒径が 50 nm以下のものがよい。
有機添加剤としては、 直径が 50ミクロン以下の、 紙より製造した微粉末粒子 が挙げられる。 有機添加剤の添加量は無機添加剤の場合と同じである。
増量剤としては、 ガラスバルーン等が挙げられる。 増量剤の添加量は無機添加 剤の場合と同じである。
(樹脂添加剤の混練方法)
ポリ力プロラクトン、 脂肪族ポリエステル樹脂及び樹脂添加剤の混練方法は、 一般的な方法が好ましく使用でき、 具体的には原料樹脂ペレットや粉体、 固体の 細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、 単軸や 2軸の押出
機、 バンバリ一ミキサー、 二一ダ一、 ミキシングロールなどの公知の溶融混合機 に供給して溶融混練することができる。 また、 液状のポリ力プロラクトンを添加 する場合でも、 同様の方法で混練することができる。 次に、 本発明の [ I ]〜 [XIV]毎に、 それぞれの発明に固有な事項の説明と産業上 の利用可能性を纏めて説明する。
以下、 本発明の [ I ]について説明する。
本発明の [ I ]は、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部とポリ力プロラクトン 1〜2 0 0重量部からなる生分解性ポリエステル樹脂組成物、 さらに無機添加剤 を含み、 脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの合計対無機添加剤の比 率が 9 5〜 5 0重量%対 5〜5 0重量%である生分解性ポリエステル樹脂組成物 である。
本発明において、 脂肪族ポリエステル樹脂としては前記共通事項に記載のもの が使用できる。
本発明において、 ポリ力プロラクトンとしては前記共通事項に記載のものが使 用できる。
本発明において、 無機添加剤ポリ力プロラクトンとしては前記共通事項に記載 のものが使用できる。
生分解性ポリエステル樹脂組成物は、 上記に記載した脂肪族ポリエステル樹脂、 ポリ力プロラクトン、 さらに無機添加剤からなり、 前記共通事項に記載の方法で 混練されて成形用に使用される。
本発明で提供される生分解性ポリエステル樹脂組成物又は成形物は、 下記 J I S K 6 9 5 0で規定する都市下水汚泥中での 4週間培養後の分解率が 2 0 %、 好ましくは 3 0 %を上回る。
また本発明で提供される生分解性ポリエステル樹脂組成物は、 従来のポリオレ フィンの代替としてフィルム、 真空 Z圧空成形品等の広範な用途に使用すること ができる。 特に環境に放置されやすい物品用途に用いることが好ましい。
本発明 [ I ]の産業上の利用可能性
本発明 [ I ]により、 それ自体では比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステ
ル樹脂やウレタン結合を含む等の理由で生分解性が低くなつた高分子量脂肪族ポ リエステル樹脂の生分解性を簡単に向上させることができ、 且つ真空成形、 プロ 一成形、 インフレーション成形が可能となり、 従来のポリオレフインの代替各分 野で使用することができる。 従って、 本発明は環境保全の見地から、 その工業的 利点は非常に大きい。 以下、 本発明の [I I]について説明する。
本発明の生分解性フィルム (以下、 単にフィルムと略称する場合がある。 ) 及 び使い捨て手袋は、 本発明の [ I〗の生分解性ポリエステル樹脂組成物を成形して 得られる。
フィルムに柔軟性や与えたり、 腰を強くするため、 引裂強度を向上するため、 あるいは接着強度向上のために、 樹脂成分の生分解性を阻害しない限り、 必要に より前記他の生分解性樹脂、 及び Z又は、 種々の樹脂添加剤を配合することがで さる。
組成物の生分解性フィルムへの成形方法としては、 Tダイ押出し、 Tダイキヤ スト、 ブロー、 インフレーション、 カレンダ一等の各種成形方法が使用できる。 フィルムの厚さとしては 1 0〜 1 0 0 /x m、 好ましくは 2 0〜5 0 m、 特に 好ましくは 3 0〜4 0 である。
フィルムの少なくとも一方の表面には、 エンボス加工等の模様を施すことが可 能である。 外面にエンボス加工を施すと、 手袋を着用して物を取り扱う際の滑り 止め効果や、 手袋あるいはフィルムを重ねたときに一枚ずつ取り出しやすく、 ま た内面にエンボス加工を施すと、 手袋をはめる際に着用しやすく作業中もフィル ムと皮膚が密着しないので使用感が良い。 従って、 内外にエンボスを施すことが 可能であり、 目的に応じて内外のエンボスの大きさを変えることができる。 エンボスはフィルムの接着性を考えて、 接着部分には施さないようにすること ができる。
エンボスはフィルム製造時に、 適当な粗度を有するチルロールとプレッシャー ロールとの間にフィルムを通すことにより施される。 エンボスの種類は亀甲、 格 子、 絹目、 ダイヤ、 玉虫、 麻目、 梨地、 しぶき等何でもよい。 エンボス深さは 2
〜 3 0 0 /z mである。
フィルムの一部には、 通気等のために 1 m〜 1 0 mmの多数の孔をあけるこ ともできる。
手袋の形状、 サイズは種々のものを作ることができる。
手袋の形状は 5本指のものでも、 親指と他の 4本に分かれたミトン型のもので もよいし、 指部分のない一つの袋状のものでもよい。
フィルムは所定の大きさ、 形状に裁断される。 裁断されたフィルムは手袋が型 抜きできる大きさであれば特に制限されず、 長方形でも、 予め概略の手袋の形状 に裁断しておてもよい。 フィルムを二重に重ね合わせるには、 裁断された一枚の フィルムを二重に折り畳んでもよいし、 裁断されたフィルムを二枚重ね合わせて もよい。
重ね合わせたフィルムは手袋の形状に接着される。 接着部分は差し入れ口を除 く、 手の外周縁部である。
接着には接着剤を使用してもよいが、 好ましくはヒートシールにより行われる。 ヒートシール温度は樹脂組成物の融点以上であり、 2 5 0 °C以下である。
ヒートシールの幅は l mm以下、 好ましくは 0 . 7 mm以下、 更に好ましくは 0 . 5 mm以下、 特に好ましくは 0 . 2 mm以下である。 ヒートシールの幅を狭 くすることができれば、 邪魔な部分が少ないので、 細かな作業を行う上で便利で ある。
重ねたフィルムは接着に続いて手袋の形状に切断され、 フィルムの余分な部分 が除かれる。 切断はヒートシール後にエッジ付き型で行ってもよいが、 ヒートシ —ル時に同時に切断することが好ましい。
裁断された一枚のフィルムを二重に折り畳んで手袋形状に接着する場合には、 折り曲げ部は接着は不要であり、 裁断も不要である。 差し入れ口を接着した場合 には、 切断時又は使用時に切り取るようにすることができる。
また、 フィルムは長方形の手袋が複数つながって得られるように、 長いフィル ムを裏表二枚重ねて溶着し、 不要な部分がないので、 溶着のみにより長方形の手 袋が得られ、 手袋一つづつがミシン目で切り取り使用できるようにしてもよい。 この場合、 指の間にもミシン目を入れて使用時にミシン目を開いて各指を独立さ
せることもできる。 このような方法では、 全体として長方形の手袋が帯状につな がった形状になるので保管、 取り出し等が容易である。
生分解性使い捨て手袋は、 必要であれば、 表裏の 2枚のフィルム間に吸湿シー 卜層 (例えば不織布) を挟み込むことができる。 吸湿シート層の材質は本発明で 使用する前記脂肪族ポリエステルと力プロラクトンの組成物を使用することもで きるし、 前記他の生分解性樹脂を使用することもできる。
本発明 [I I]の産業上の利用可能性
本発明の [I I]で提供される生分解性使い捨て手袋は、 従来のポリオレフイン製 使い捨て手袋の代替として広範な用途に使用することができる。 特に環境に放置 されやすい物品用途、 吸湿性の要求される用途、 塵の付きにくい用途等に用いる ことが好ましい。
本発明の [I I]で提供される生分解性使い捨て手袋は、 吸湿性があることによつ て手に馴染みやすく、 手が蒸れにくく、 手荒れを起こしにくく、 汗により手袋内 部で滑りにくく、 外表面は塵が付きにくいので、 精密機械 ·電気、 半導体、 薬品 •物質の取り扱い、 製造等の産業用、 医療用、 園芸用、 食品加工,取り扱い用、 家事用、 その他ホテル、 宴会場、 結婚式場、 塗装現場、 実験室等において利用す ることができる。
本発明 [I I]により、 生分解性が良く、 吸湿性を有する使い捨て手袋が容易に得 られ、 家庭、 病院、 学校、 研究室、 塗装等の作業現場、 製造 ·加工工場、 食品取 り扱い場等で各種の用途に使用することができる。 以下、 本発明の [I I I]について説明する。
本発明の生分解性杭は、 本発明の [ I〗の生分解性ポリエステル樹脂組成物を成 形して得られる。
本発明の生分解性杭の機械的物性や加工物性を向上させるために、 樹脂成分の 生分解性を阻害しない限り、 必要により前記他の生分解性樹脂、 及び Z又は、 種 々の樹脂添加剤を配合することができる。
上記の組成物は、 杭に成形される。 杭の形状としては角状、 丸棒状、 くさび状、
T字状、 犬釘状、 スパイク状、 ピン状等が挙げられる。 杭の地中に打ち込まれる
側の先端は尖っていても、 尖らずに中空円筒状 (チューブ状) 等であってもよい。 杭の一部には植物の幹、 枝等を引っ張るための綱を通す穴を一つ以上設けること ができる。 杭の外側中間部には引き抜け防止突起を、 T字型等の杭の上端地面側 には押さえ用突起を設けることができる。
杭内部に含まれる肥料及び Z又は薬品としては、 下記のものが例示される。 肥料としては、 家畜糞、 魚粉、 油粕、 堆肥、 草木灰等の天然系肥料、 硫安、 尿 素等の窒素系肥料;燐安、 過燐酸石灰等の燐系肥料;塩化カリ、 硫酸カリ、 硝酸 カリ等のカリ肥料等; これらの複合肥料;下記の薬品を配合した配合肥料等が挙 げられる。
薬品としては、 栄養剤、 成長調節剤、 ミネラル質、 p H調節剤、 土質改良剤等 の他に、 杭の所定期間内の生分解性を妨げない範囲で除草剤、 殺菌剤、 殺虫剤等 の農薬を添加することもできる。
杭内部に含まれる肥料及び/又は薬品の形状は、 粉末、 粒子、 ゼリー状、 液状 又はそれらの混合物、 あるいはそれらをさらに分解性あるいは水溶性の力プセル に封入したもの、 これらを生分解性樹脂のフィルムでラップしたものでもよい。 杭が内部に肥料及び Z又は薬品を含むようにする方法としては下記の方法があ る。
( a ) 杭の内部を中空容器状にして、 中空容器内に肥料及び Z又は薬品を収容し、 生分解性杭が分解あるいは溶解するにつれて肥料及び 又は薬品が地中に経時的 に供給されるようにする方法。
( b ) 上記 (a ) において杭の下部側面又は底部に 1以上の小孔、 好ましくは多 数の小孔を設けて、 中空容器の部分に肥料及び Z又は薬品を収容し、 小孔から肥 料及び/又は薬品が地中に経時的に供給されるようにする方法。 杭は耐用日数を 長くして、 再度中空容器の部分に肥料及び Z又は薬品を補給できるようにしても よい。
( c ) 上記 (b ) において杭がチューブ状であり、 チューブ内部に肥料及び 又 は薬品を収容し、 チューブの開孔底部から肥料及び Z又は薬品が地中に経時的に 供給されるようにする方法。
上記 (a ) から (c ) では肥料は杭の容器状開孔端から充填する。 勿論肥料の
充填口を側面あるいは底面に設けてもよい。
開孔端は内容物がこぼれないように蓋、 栓等をすることができる。 蓋等の材質 は杭と同じ種類の又は異なる種類の生分解性樹脂を使用することができる。
杭を打ち込んだ後、 開孔端から肥料及びノ又は薬品を充填するようにしてもよ いし、 再度肥料及び Z又は薬品を補給してもよい。
( d ) 杭に多数の微細孔を設けて、 微細孔内に肥料及び 又は薬品を収容 (この 場合粉体を充填、 又は液状で含浸させ更には乾燥させて含ませることも含む) す る方法。
( e ) 肥料及び Z又は薬品を、 本発明で使用する前記生分解性樹脂と共に混練し、 杭状に成形する方法。 杭はそのまま地面に打ち込まれる。
( f ) 生分解性樹脂を肉薄のケース状杭に成形して、 この中に (e ) で得られた 肥料及び Z又は薬品の杭状物を格納する方法。 この場合、 肥料及び Z又は薬品の 格納された杭を地面に打ち込み、 生分解性樹脂のケースが分解ないし溶解すると ともに経時的に肥料及び Z又は薬品が地中に供給される。
なお、 ケース状杭に格納する肥料及び Z又は薬品は杭状に成形しないで、 粒子、 粉末等の形状で収納してもよく、 これは上記 (a ) または (b ) に相当する。 杭の成形方法としては、 射出成形、 押出成形、 トランスファー成形、 圧縮成形 等の各種成形方法が使用できる。
杭の大きさとしては特に制限が無く、 長さ数 c m〜数 m、 直径数 mm〜数十 c mのものが利用できる。
杭を地面に打ち込むには、 杭が大きい場合にはハンマー等で叩いて打ち込むが、 小さな杭あるいは地面が柔らかい場合には手で差し込むこともできる。 無機充填 材を添加した杭では、 杭の強度が向上し、 肉を薄くしてもハンマー等で打ち込み やすくなる。
本発明 [I I I]の産業上の利用可能性
本発明 [I I I]の生分解性杭は、 脂肪族ポリエステル樹脂を使用して生分解性が改 良された杭が容易に得られる。 さらに生分解性杭内部に、 肥料及び/又は薬品を 含む杭は、 杭から肥料及び/又は薬品が供給され、 施肥等の手間が省かれ、 肥料 及び Z又は薬品の利用率が向上し、 使用後は杭は生分解されるので、 植生用、 土
木用、 建築用、 水中工事用等に、 水平面に使用しても、 斜面に使用してもよく、 不要になった場合に自然環境により分解される他に、 杭内部に肥料及び Z又は薬 品を含むようにすることにより、 家庭の園芸用、 果樹園用、 畑作用、 植林用、 水 田用、 水中用等の植物の育成に使用できる。 以下、 本発明の [IV]について説明する。
本発明の生分解性の植物保護資材は、 本発明の [ I ]の生分解性ポリエステル樹 脂組成物を成形して得られる。
また、 本発明の植物保護資材は、 ネットの機械的物性や加工物性を向上させる ために、 樹脂成分の生分解性を阻害しない限り、 必要により前記他の生分解性樹 脂、 及び Z又は、 種々の樹脂添加剤を配合することができる。
植物保護資材には動物の食害を防ぐために、 忌避剤を添加することができる。 忌避剤としては、 テルペン系化合物、 シクロへキシミド、 ノナノィルバニリルァ ミド等の有機化合物、 銅粉、 硫黄粉等の無機化合物が挙げられる。 忌避剤は脂肪 族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの合計 1 0 0重量部に対して 0 . 0 0 1〜 1重量部配合される。
上記の組成物は混練されて、 成形機により、 植物保護資材に成形される。 植物 保護資材の形状としてはネット、 シート、 メッシュシート、 グリッド、 棒、 筒等 が挙げられ、 本発明ではこれらを植物保護資材と総称する。
ネッ卜は繊維を縦及び横に組み合わせて固定したものである。 縦糸と横糸を組 み合わせて固定するには織ったり、 接着したり、 融着したりして行う。 ネットと しては、 厚さ、 幅、 高さは上記シートと同様である。 ネットを構成する繊維又は 繊維束の太さは植物、 被害を及ぼす動物等の種類、 風の強さ等によるが、 1 0 0 〜 1 0, 0 0 0デニールが好ましい。 また、 ネットのメッシュは 0 . 1〜 1 0 0 mmである。 ネットは樹木の幹の周りに直接巻き付けてもよいし、 支柱を果樹の 周囲に巡らせて、 支柱に固定してフェンス様に使用することもできる。
シートとしては、 厚さ 0 . 1 mm〜 1 0 mm、 好ましくは 0 . 5〜 5 mmであ り、 高さ及び幅は特に限定はなく、 植物の大きさに合わせて、 広幅、 長尺物から 切断されるか、 又は一定の規格のものを成形してそれを複数枚使用して所望の幅,
長さのものを形成してもよい。 シートの表面には格子状に凹凸を設けて補強作用 を持たせるようにすることができる。 シートの使用方法はネッ卜と同じである。 メッシュシートは上記シートに孔をあけるか、 又は穴あきシ一卜に成形された ものである。 孔の形状は円、 四角、 亀甲等任意のものが使用できる。 メッシュシ 一卜の厚さ、 長さ、 幅は上記シートと同じであり、 メッシュを構成する縦部材と 横部材の太さは 0 . l〜 1 0 mm、 目開きは 0 . 1〜 1 0 mmである。 使用方法 はシートと同じである。
グリッドは、 全体の形状が柵又は垣根状のものであり、 メッシュシートの縦部 材と横部材が棒状又は板状のものであり、 強度を要する場合に使用される。 部材 の太さ又は最大幅は 1〜 1 0 0 mm、 目開きは 1 0〜 5 0 0 mmである。 縦及び 横の部材は交点で、 はめ込み、 接着又は融着されている。 グリッドは予め所望の 形状に成形するか、 単位形状に成形して組み合わせて使用するか、 または縦及び 横の部材を成形後、 交点をはめ込み、 接着又は融着して製造することができる。 グリッドは、 植物全体をカバーしたり、 果樹等の周辺を囲うために使用すること ができる。
棒あるいは筒は、 これらを植物の周囲の地面に柵状に突き刺して動物の侵入を 防いだり、 同時に植物の傾斜、'転倒を防止する支柱の役割もする。
植物保護資材の成形方法としては、 射出成形、 押出成形、 トランスファー成形、 圧縮成形、 ブロー成形等の各種成形方法が使用できる。
例えば、 ネットの成形方法としては、 ミカン入れ網を作るダイヤ目合ネット方 式やスクェア目合ネット方式で成形してもよいし、 縦糸と横糸をそれぞれ金型か ら押出し融着する方法でもよい。 縦糸と横糸は編まれてから加熱融着されてもよ レ^ また、 ネットを形成する糸は延伸されていてもよい。
シートの成形方法としては、 Tダイ押出し、 ブロー、 カレンダー成形等が挙げ られる。
その他メッシュやグリッドの成形方法としてはプラスチック製の籠、 ざる、 ゴ ルフクラブセパレ一夕一、 植栽用ネッ卜もしくはフェンス等の射出成形等の方法 が使用できる。
また、 セルロース繊維等で作ったネッ卜に上記脂肪族ポリエステルとポリカブ
ロラクトンの組成物を溶解又は融解したものをコ一ティングして作成してもよい。 植物保護資材の寸法は、 例えば幅が 0 . 3〜 3 mの長尺物、 これらを任意の大 きさに裁断したもの等が挙げられる。
植物保護資材を適用される植物としては特に制限が無く、 樹木、 草、 畑作物等 何でもよい。
植物保護資材は、 植物の幹等に巻いたり、 根、 芽、 葉、 花、 実等の特定部分の 周囲を覆ったり、 植物にドーム状に被せたり、 植物を柵状に囲ったりして使用す ることができる。
また、 植物保護資材のうち薄手に成形したものは植物の栽培で気温、 光線調節 用等に使用することができる。
本発明 [IV]の産業上の利用可能性
本発明 [IV]により、 脂肪族ポリエステル樹脂を使用して生分解性が改良された 植物保護資材が容易に得られる。 本発明の植物保護資材は、 植物の動物による食 害防止等に利用できる。 以下、 本発明の [V]について説明する。
本発明は、 ラクトン樹脂 (a ) 単独もしくはラクトン樹脂 (a ) と他の生分解 性樹脂 (b ) とからなるラクトン含有樹脂 (c ) 、 又は該ラクトン含有樹脂
( c ) と樹脂添加剤 (d ) からなるラクトン含有樹脂組成物 (e ) を成形してな る生分解性テープに関するものであり、 特にラクトン樹脂 (a ) がポリ力プロラ クトンであり、 他の生分解性樹脂 (b ) が脂肪族ポリエステルである生分解性テ —プに関するものである。
その組成比は、 ラクトン樹脂 (a ) 1 0〜6 0重量%、 他の生分解性樹脂 ( b ) 9 0〜4 0重量% (ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステルの合計は 1 0 0重 量%) からなり、 特にポリ力プロラクトンと脂肪族ポリエステルの合計 1 0 0重 量部とタルク 1 0〜5 0重量部からなる生分解性テープが好ましい。
合成高分子としての脂肪族ポリエステル樹脂は、 ラクトン樹脂以外のポリエス テル樹脂であり、 縮合重合系で得られた脂肪族ポリエステル樹脂である。
市販のジォ一ルノ脂肪族ジカルボン酸からのポリエステルとしては、 ポリェチ
レンサクシネート、 ポリブチレンサクシネート、 ポリブチレンサクシネー卜 zァ ジペート等の生分解性のポリエステル樹脂、 例えば、 ピオノーレ# 1000シリ ーズ、 # 3000シリーズ、 # 6000シリーズ (昭和高分子 (株) 製) 等、 ヒ ドロキシカルボン酸からの脂肪族ポリエステル樹脂としては、 例えば、 ECOP LA (カーギル社製) 、 ラクティ (島津製作所製) 等が挙げられる。
ポリ力プロラクトンとポリ乳酸を用いる場合は、 配合重量比率は、 99Z1〜 1Z99であり、 好ましくは 90ノ 1 0〜60Z40である。
ポリ力プロラクトンとジオール 脂肪族ジカルボン酸からのポリエステルを用 いる場合は、 重量比率 80 /20〜: L 0ノ90、 好ましくは 50/50〜20Z 80の範囲で配合される。
ポリ乳酸、 ジオール 脂肪族シカルボン酸からのポリエステル、 ポリ力プロラ クトンの生分解ポリマーの三種を混合して用いる場合は、 ジオール 脂肪族シカ ルボン酸からのポリエステルとポリ力プロラクトンの重合比率が 20 80〜8 0Z20であり、 ポリ乳酸とポリ力プロラクトンの重合比率が 20/80〜80 / 20であるように配合する。
本発明では、 その他共通事項に記載した生分解性セルロースエステル、 澱粉、 樹脂添加剤が使用される。
前記ラクトン樹脂、 ラクトン樹脂組成物に対して、 必要に応じて、 ラクトン樹 脂及び脂肪族ポリエステル樹脂以外の樹脂成分、 例えば、 エチレン/酢酸ビニル 共重合体 (EVA) やその他のポリオレフイン、 水素添加スチレン一ブタジエン ゴム、 ポリウレタン、 ポリアミド、 ボリヒドロキシプチレート等が添加できる。 上記エチレン/酢酸ビニル共重合体としては、 エチレン含有量 1 0〜70重量 %かつ酢酸ビニル含有量 30〜90重量%のものが挙げられるが、 好ましくは、 エチレン含有量 20〜40重量%かつ酢酸ビニル含有量 60〜80重量%のもの である。 酢酸ビエル含有量が 30重量%未満であると、 破断伸びが小さくなり、 酢酸ビニル含有量が 90重量%を超えると、 衝撃強度 (アイゾッ卜衝撃値) が小 さくなる。 重量平均分子量としては 5万〜 50万程度が望ましい、 5万未満であ ると、 破断強度、 降伏強度が低下し、 破断伸びも小さくなる。 また、 50万を超 えると破断強度が低下する。
添加量としては、 ラクトン樹脂、 又はラクトン樹脂と他の生分解性樹脂との合 計 100重量部に対して、 EVA 5〜 70重量部である力 好ましくは 10〜3 0重量部である。 EVAが 5重量部未満であると、 充分な破断伸びや衝撃強度が 得られず、 EVAが 70重量部を超えると、 本組成物の透明性が低下し、 強度も 大きく低下する。 市販の EVAとしては、 ェバスレン 250、 310 P, 450 P (大日本インキ社製) などが挙げられる。 本発明を生分解性テープに応用した 場合、 EVAが添加されていると低温での収縮率が向上する (低温収縮性に優れ る) ので、 好ましい。
また、 タルク、 炭酸カルシウム等の充填剤は、 ラクトン樹脂、 例えばポリカブ ロラクトン、 と脂肪族ポリエステル、 例えばポリブチレンサクシネート、 の合計 100重量部と充填剤、 例えばタルク、 10〜50重量部の比率で混合される。 樹脂組成物は、 メルトフローインデックス (M l) が 190°Cにおける荷重 2 160 gで測定して、 0. 5〜20 gZl 0m i nが好ましく、 特に 1〜5 g/ 1 Om i nが適している。
上記ポリカプロラクトンと脂肪族ポリエステル樹脂は混合して使用される。 ポリ力プロラクトンと脂肪族ポリエステル樹脂の配合重量比率は、 ポリ力プロ ラク卜ン 70〜5重量%であり、 脂肪族ポリエステル樹脂が 30〜95重量%で あり、 好ましくはポリ力プロラクトンの配合重量比率は、 60重量%以下、 特に 好ましくは 40〜 10重量%である。
脂肪族ポリエステル樹脂の配合量が 90重量%を越えると生分解性が遅くなつ たり、 逆に 30重量%未満では、 例えばテープに加工した場合には耐熱性が乏し い。
ポリ力プロラクトンの配合割合は、 上記割合を超えるときには、 テープの高温 時の機械的物性が不足するようになる。
本発明の生分解性テープは、 ラクトン含有樹脂 (c) 、 又はラクトン含有樹脂 組成物 (e) を Tダイ型押出機等を使用してテープ状に成形したり、 フィルム状 にして得られたフィルムをテープ状に裁断したり、 繊維または繊維束にしてそれ らを織ったり編んだりしてテープ状に成形したり、 繊維を並べて融着等により接 着してテープ状にしたりして得られる。 テープは他の生分解性樹脂製の材料と積
層されていたり、 繊維で強化されていてもよい。
生分解性テープは、 一軸又は二軸延伸されていてもよく、 片側又は両側の表面 に凹凸を設けて滑り止め等の効果を与えてもよく、 片側又は両側の表面に粘着層、 離型剤層及び Z又はヒートシール層を設けることもできる。
本発明のテープは包装 ·梱包用テープや紐に、 テープにストッパー等の部品を 取り付けてバンド用に、 表面に粘着層や離型層を設けて粘着テープ用に、 表面に ヒートシール剤を設けてヒートシールテープ用に、 他の発泡体を積層して隙間テ ープ用に、 その他セパレ一夕一用、 カバーテープ用、 包装材引裂テープ用、 表示 用、 おむつや生理用品のサイドテープ等に使用される。
本発明 [V]の産業上の利用可能性
本発明 [V]によれば、 成形性、 使用時の物性、 廃棄後の分解性等の点において バランスのとれた、 生分解性テープが得られ、 梱包 ·包装用や粘着テープに使用 できる。 以下、 本発明の [VI]について説明する。
本発明 [VI]は、 ポリ乳酸系樹脂 (A) 8 5〜5重量%、 脂肪族ポリエステル樹 脂 (B ) 5〜5 0重量%、 ポリカプロラクトン系樹脂 (C ) 1 0〜4 5重量% ( (A) + ( B ) + ( C ) の合計は 1 0 0重量%である。 ) に (A) + ( B ) + ( C ) の合計 1 0 0重量部に対して充填剤 (D ) 5〜3 0 0重量部を混練した樹 脂組成物をカード基材とする。
これにより、 基材が剛性、 耐久性、 耐折り曲げ性、 耐水性、 耐薬品性、 防水性、 表面平滑性、 光沢性、 加工性および樹脂のみのブロッキング温度 1 0 0 °C以上の 耐熱性等の適性を有し、 カードが耐久性、 剛度、 成形加工性、 機械強度、 硬さ、 衝撃強度、 寸法安定性、 耐折り曲げ性等の機械特性を保持し、 磁気成分や感熱成 分等の情報記録層の印刷性に優れ、 これにより読み取り ·書き込み装置での機械 読み取り ·書き込みのためのゲート特性を示す。 さらに廃棄後に自然界に放置さ れても、 向上された生分解性により、 十分に自然分解可能である。
本発明で使用するポリ乳酸系樹脂 (A) は、 ポリ乳酸または乳酸と他の脂肪族 ヒドロキシカルボン酸とのコポリマーであり、 共通事項に記載したものが使用で
さる。
本発明で使用するポリ力プロラクトン系樹脂 (C) は、 ポリ力プロラクトンの ホモポリマーまたは力プロラクトンと他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポ リマーであり、 共通事項に記載したものが使用できる。
また、 力プロラクトンのコポリマ一としては、 特開平 7— 304835号公報 に示され、 上記組成及び分子量を満たす、 (a) ε—力プロラクトン構造単位お よび (b) ォキセタン構造単位からなる易生分解性共重合体、 あるいは、 (a) ε _力プロラクトン構造単位および (c) ジメチルトリメチレンカーボネート構 造単位からなる易生分解性共重合体であってもよい。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂 (Β) としては、 2官能脂肪族アル コール、 好ましくはひ, ω— 2官能脂肪族アルコールと、 2官能脂肪族カルボン 酸、 好ましくはひ, ω— 2官能脂肪族カルボン酸との重縮合で得られるポリエス テル樹脂であり、 共通事項に記載したものが使用できる。
本発明における樹脂の組成比は、 ポリ乳酸系樹脂 (Α) 85〜5重量%、 脂肪 族ポリエステル樹脂 (Β) 5〜50重量%およびポリ力プロラクトン系樹脂
(C) 10〜45重量%であり、 好ましくは、 ポリ乳酸系樹脂 (Α) 70〜20 重量%、 脂肪族ポリエステル樹脂 (Β) 1 0〜40重量%およびポリ力プロラク トン系樹脂 (C) 20〜40重量%であり、 特に好ましくは、 ポリ乳酸系樹脂
(Α) 60〜40重量%、 脂肪族ポリエステル樹脂 (Β) 1 5〜2 5重量%ぉょ びポリ力プロラクトン系樹脂 (C) 2 5〜35重量%である。
特に上記組成にすることにより、 生分解性を低下させることなく、 カードの硬 度が増し、 寸法安定性が向上し、 記録層の印刷性、 特に後述する磁気成分の印刷 性が向上する。
ポリ乳酸系樹脂 (Α) が 8 5重量%を超えると樹脂が硬くなりすぎるし、 5重 量%未満では剛性が得られない。 ポリ力プロラクトン系樹脂 (C) が 45重量% を超えると耐熱性が低下しブロッキングしやすくなり、 1 0重量%未満では靭性 が得られない。 相溶化剤として使用される脂肪族ポリエステル (Β) の比率は、 5〜50重量%でぁる。 脂肪族ポリエステル (Β) 力 50重量%を超えると生 分解性、 剛性、 靭性および耐熱性のバランスが悪くなり、 5 %未満では、 ポリ乳
酸系樹脂 (A) とポリ力プロラクトン系樹脂 (C ) の相溶性がよくない。
本発明に使用される充填剤 (D ) としては、 共通事項に記載した物が使用可能 である。 好ましくは、 炭酸カルシウム、 マイ力、 珪酸カルシウム、 ホワイ ト力一 ボン、 微粉末シリカ、 石綿、 陶土 (焼成) 、 ガラス繊維等、 及びこれらの混合物 が例示される。 充填剤が繊維状である場合は、 延伸方向の折り曲げ強度が向上す る。
ポリ乳酸系樹脂 (A) 、 脂肪族ポリエステル樹脂 (B ) 及びポリ力プロラクト ン系樹脂 (C ) の合計 1 0 0重量部に対する充填剤 (D ) の比率は、 5〜3 0 0 重量部、 好ましくは 1 0〜 2 0 0重量部、 さらに好ましくは 3 0〜 1 5 0重量部 である。
また上記樹脂組成物には、 樹脂の特性を失うことのない範囲であれば、 必要に 応じて各種添加剤を樹脂成分 1 0 0重量部に対し、 例えば、 生分解性を有する可 塑剤 0 . 1から 5 0重量部、 着色防止剤 0 . 0 5から 3重量部、 酸化防止剤 0 . 0 5から 3重量部、 滑剤 0 . 0 5から 0 . 5重量部、 その他有機顔料及び無機顔 料などを添加することが可能である。 無機顔料としては酸化チタン等が例示され る。
次に本発明のカードを図面を用いて詳細に説明する。 図 VI- 1は、 本発明の力一 ド 1の断面図を示し、 図 VI- 2及び図 VI- 3は、 本発明の他の実施例によるカード の断面図を示す。
図 VI- 1の本発明のカード 1は、 カード基材 2の主成分として、 上記樹脂組成物 を用いており、 これらを構成する樹脂成分は完全生分解性を有する。 なおポリェ ステル類は構造上から脂肪族に分類され、 本発明の脂肪族ポリエステルは生分解 性を有することが既に知られている (生分解性プラスチックのおはなし、 日本規 格協会 5 9頁〜 6 6頁、 1 9 9 1年) 。
前記カード基材 2は、 本発明で規定する樹脂組成物を用いることにより、 剛度、 成形加工性、 機械強度、 硬さ、 衝撃強度、 寸法安定性、 耐折り曲げ性、 表面平滑 性、 光沢性、 耐水性、 耐薬品性、 防水性において、 従来のポリエステル、 塩化ビ ニル樹脂を素材とするものと同等の特性を有する。
また本発明の組成の樹脂組成物を二軸延伸加工することにより、 得られるシー
ト状のカード基材 2は、 剛度、 成形加工性、 機械強度、 衝撃強度、 寸法安定性、 耐折り曲げ性等の特性が向上する。
本発明のカード基材 2の製造は、 上記のように得られる生分解性で、 熱可塑性 の樹脂組成物を、 通常、 公知である押出法によりシート状に成形し、 さらに二軸 延伸加工した後、 このシートをカレンダ一処理する。 なお、 力一ド基材 2は単層 構成以外にも、 同一の材料または異なる特性を有する樹脂材料からなるシート 1 2、 1 3をそれぞれ作製し、 カード基材を図 Ή- 3に示すカード 1 1のような多層 構成としてもよい。
上記のようにして得られたカードに対して、 従来の紙 ·プラスチックカードの 場合と同様な印刷 ·加工法を用いることができる。 カード基材 2にオフセット印 刷、 スクリーン印刷、 グラビア印刷等の印刷法により、 文字、 絵柄などの可視情 報 ·デザイン部 3を印刷し、 打抜機を用いてカードサイズに加工することにより カードが製造される。
さらに本発明のカードには、 図 VI- 1に示す磁気記録層 4や、 図 VI- 2に示す感 熱記録層 5などの情報記録層を形成することができる。 この磁気記録層 4と感熱 記録層 5は同一カード上に形成することもできる。 なお、 磁気記録層 4の形成方 法は磁気記録材料をバインダ一などに分散した塗液を塗布するか、 磁気記録層を 形成したシートを積層する等である。 同様に感熱記録層は 5は公知の感熱記録材 料、 例えば感熱ロイコ染料、 感熱ジァゾ染料等からなる塗液の塗布やスズ、 アル ミニゥム等の低融点金属薄膜により形成することができる。
本発明において、 前記生分解性樹脂の組成物を使用することにより、 基材への 情報記録層、 特に磁気記録層の印刷による形成性が向上する。
本発明で提供されるカードを構成する樹脂のみの組成物の生分解性は、 下記 J I S K 6 9 5 0で規定する都市下水汚泥中での 4週間培養後の分解率が 2 0 %、 好ましくは 3 0 %、 さらに好ましくは 6 0 %を上回る。 また本発明で提供される 生分解性樹脂組成物は、 従来のポリオレフインの代替として広範な用途に使用す ることができる。 特に環境に放置されやすい物品用途に用いることが好ましい。 本発明 [VI]の産業上の利用可能性
以上述べたように本発明のカードは、 脂肪族ポリエステル樹脂 (Β ) を相溶化
剤に使用することにより、 ポリ乳酸系樹脂 (A) とポリ力プロラクトン系樹脂
( C ) の相溶性がよくなり、 樹脂のみの組成物は、 生分解性、 剛性、 靭性および ブロッキング温度 1 0 0 °C以上の耐熱性に優れ、 これらの樹脂に充填剤を添加す ることにより、 剛度、 成形加工性、 機械強度、 硬さ、 衝撃強度、 寸法安定性、 耐 折り曲げ性等の機械特性に優れ、 機械読み取り ·書き込み機に用いられることが 可能なゲート特性を有するとともに、 このカードが廃棄時に焼却されずに自然界 に放置されても、 微生物などによる生分解性が一層向上しているため、 廃棄によ る環境への影響を少なくすることができるものである。
また、 機械特性に優れるため、 使用する生分解性樹脂の厚さ、 すなわち使用量 を少なくすることができ、 製造コストの低減が可能となり、 しかも従来のプラス チックを用いた場合とほぼ同じ強度 ·耐性を有するため、 現状の使い切りカード などの用途における使用にも十分に耐えられるものである。
また本発明のカードに用いられる生分解性樹脂は、 従来のプラスチックに比べ ると物性、 加工性で劣る面もあるが、 その分解性を低下させない程度に添加剤や 非分解性のプラスチックを混合することにより物性、 加工性を向上させることも 可能である。 以下、 本発明の [VI I]について説明する。
本発明の生分解性積層体は、 前記脂肪族ポリエステル樹脂単独、 又は該脂肪族 ポリエステル樹脂と前記ラクトン樹脂とからなる生分解性樹脂層 (1 ) と、 紙、 パルプシ一卜及びセルロース系フィルムからなる群から選ばれた 1以上のシー卜 状物 (2 ) とからなる。
脂肪族ポリエステル樹脂と前記ラクトン樹脂とからなる生分解性樹脂層 (1 ) の樹脂組成は、 ポリ力プロラクトンを例にとると以下のようになる。
ポリ力プロラクトンとジオール/!旨肪族ジカルボン酸の脂肪族ポリエステル樹 脂の混合物を用いる場合は、 ポリ力プロラクトン Z脂肪族ポリエステル樹脂の重 量比率 0 / 1 0 0〜8 0 Z 2 0、 好ましくは 0 Z l 0 0〜5 0 / 5 0の範囲で配 合される。
ポリ力プロラクトンとポリ乳酸の混合物を用いる場合は、 ポリ力プロラクトン
Z脂肪族ポリエステル樹脂配合重量比率は、 0Z100〜 60/40、 好ましく は 0Zl 00〜50/50の範囲である。
ボリ乳酸、 ジオール/脂肪族シカルボン酸からのポリエステル、 ポリ力プロラ クトンの生分解ポリマーの三種を混合して用いる場合は、 ジオール 脂肪族シカ ルボン酸からのポリエステルとポリ力プロラクトンの重量比率が 20Z80〜8 0ノ 20であり、 ポリ乳酸とポリ力プロラクトンの重量比率が 20/80〜80 / 0であるように配合する。
脂肪族ポリエステル樹脂の配合量が上記範囲未満では、 積層体に加工した場合 には耐熱性が不十分になる場合がある。
前記生分解性セルロースエステルのフィルムは、 シート状物 (2) としても生 分解性樹脂層 (1) としても使用できる。
前記澱粉の添加量は特に限定されるものではないが、 上記添加目的を効果的に 達成するためには、 脂肪族ポリエステル樹脂単独、 又はラクトン樹脂と脂肪族ポ リエステル樹脂の合計量 100重量部に対して、 10〜80重量部が好ましいが、 25〜 50重量部の範囲が特に好ましい。
本発明においては、 生分解性樹脂に前記樹脂添加剤を配合することができる。 前記滑剤の配合量は、 脂肪族ポリエステル樹脂単独、 又はラクトン樹脂と脂肪 族ポリエステル樹脂との合計 100重量部に対し、 滑剤を 0. 05〜5重量部、 好ましくは、 0. 1〜3重量部を添加する。 0. 05重量部未満であると効果が 充分でなく、 5重量部を超えるとロールに巻きつかなくなり、 物性も低下する。 これら可塑剤の添加量としては、 脂肪族ポリエステル樹脂単独、 又はラクトン 樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との合計 100重量部に対して、 3〜30重量部 の範囲が好ましい。 さらに、 好ましくは 5〜15重量部である。 3重量部未満で あると、 破断伸びや衝撃強度が低くなり、 また 30重量部を超えると、 破断強度 や衝撃強度の低下を招くので好ましくない。
前記熱安定剤の添加量としては、 脂肪族ポリエステル樹脂単独、 又はラクトン 樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との合計 100重量部に対して、 0. 5〜10重 量部の範囲で、 好ましくは、 0. 5〜 5重量部の範囲である。 上記範囲で熱安定 剤を用いると、 衝撃強度 (ダート衝撃値、 又はアイゾット衝撃値) が向上し、 破
断伸び、 破断強度、 衝撃強度のばらつきが小さくなる効果がある。
前記脂肪族ポリエステル樹脂単独、 ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂と の組成物又は更に前記各種添加剤を加えた組成物に対して、 必要に応じて、 架橋 剤、 除草剤等を添加することができる。
前記微粉末シリカは、 本発明では脂肪族ポリエステル樹脂またはポリ力プロラ クトンとの混合物中に加熱混練され、 この時、 かなりの高い剪断力が作用し二次 凝集粒子がほぐされ、 製品の積層体のブロッキング防止効果を発揮する。
微粉末シリカの添加量は、 樹脂量 100重量部に対して 0. 1〜3重量部の範 囲で添加される。
主要ポリマー成分としてのポリカプロラクトンゃ脂肪族ポリエステル樹脂は、 通常ペレツ卜もしくはビーズ状で供給される。 嵩比重の極めて小さい微粉末シリ 力等を均一に混合する時、 どうしてもペレツトもしくはビーズの表面をゥエツト にしなければならない。 ゥエッティング剤としての流動パラフィンの添加量は、 ポリ力プロラクトン及び脂肪族ポリエステル樹脂の合計量 100重量部に対して、 0. 1〜3重量部、 望ましくは 0. 2〜0. 7重量部の範囲で添加される。 3重 量部を超えるとタンブラ一の内面がベたついて安定な製造が困難となり、 0. 1 重量部未満では効果が少ない。
これらの生分解促進剤も 1種又は 2種以上併用できる。
本発明に用いられる生分解性樹脂層 (1) を得るための樹脂または樹脂組成物 のメルトフローインデックスは、 0. 5〜: 100 g/10m i n、 好ましくは 1 〜20 gZl 0m i n、 特に好ましくは 1〜5 g/ 10 m i nである。
生分解性樹脂層 (1) の厚さは、 目的に応じて選択され、 特に制限はないが、 例えば 0. l /im〜10mm、 好ましくは 1 m〜 1 mm、 特に好ましくは 10 m~ 0. 1mmである。
本発明において使用されるシート状物 (2) としては、 自然環境下に分解でき る物であればよく、 紙、 パルプシートまたはセルロースフィルム等が挙げられる。 本発明の生分解性積層体を得るには、 脂肪族ポリエステル含有樹脂、 又は脂肪 族ポリエステル含有樹脂組成物を Tダイ型押出機等を使用して、 フィルムに成形 し、 得られたフィルムを紙等にラミネートして製造することができる。
上記フィルムは、 一軸又は二軸延伸されていてもよい。
あるいは脂肪族ポリエステル含有樹脂、 又は脂肪族ポリエステル含有樹脂組成 物を溶融または溶媒に溶解して紙の上に塗布しても製造することができる。
また、 本発明の生分解性積層体の構成は、 一枚の生分解性樹脂層 (1) と一枚 のシート状物 (2) からできていても、 二枚の生分解性樹脂層 (1) の間に一枚 のシート状物 (2) が挟まれていても、 二枚のシート状物 (2) の間に一枚の生 分解性樹脂層 (1) が挟まれていても、 生分解性樹脂層 (1) とシート状物
(2) が交互に複数積層されていてもよい。
本発明の生分解性積層体は、 一般包装材料、 コンポストバッグ、 マルチフィル ム、 紙器類、 カップ (食品用以外) 等に使用される。
本発明の生分解性積層体は、 生分解性樹脂層 (1) により防水性とヒートシ一 ル性が付与される。 また、 生分解性樹脂層 (1) の生分解性が良いので、 自然環 境下に放置されると 1年以内に形状を留めなくなる。
本発明 [VII]の産業上の利用可能性
本発明 [VII]によれば、 成形性、 使用時の物性、 廃棄後の分解性等の点において バランスのとれた、 生分解性積層体が得られた。
また、 全体を生分解性樹脂で製造する場合に比べて、 紙を使用する分だけ原料 費が安い。 以下、 本発明の [VIII]について説明する。
本発明の生分解性積層フィルムは、 少なくとも生分解性樹脂層 (1) 及び該生 分解性樹脂層 (1) と異なる種類の生分解性樹脂層 (2) が積層されてなる。 従って、 生分解性樹脂層 (1) 及び生分解性樹脂層 (2) が交互に多数積層さ れてなる積層フィルムも含まれる。 生分解性樹脂層 (1) 及び生分解性樹脂層
(2) は内層に設けられても、 外層に設けられても構わない。 好ましい例として は生分解性樹脂層 (1) と生分解性樹脂層 (2) が積層されたもの又は生分解性 樹脂層 (1) の両側に生分解性樹脂層 (2) が積層されたものが挙げられる。 また、 本発明の生分解性積層フィルムは、 少なくとも生分解性樹脂層 (1) の 片側に該生分解性樹脂層 (1) と異なる種類の生分解性樹脂層 (2) が積層され、
生分解性樹脂層 (1) の他の側に該生分解性樹脂層 (1) 及び該生分解性樹脂層
(2) と異なる種類の生分解性樹脂層 (3) が積層されてなる。
したがって、 生分解性樹脂層 (1) 、 生分解性樹脂層 (2) 及び生分解性樹脂 層 (3) 力 互いに相隣る種類が異なるように多数積層されてなる積層フィルム も含まれる。 生分解性樹脂層 (1) 、 生分解性樹脂層 (2) 及び生分解性樹脂層
(3) の積層の順番には特に制限はなく、 またそれぞれの層はいずれも内層に設 けられても、 外層に設けられても構わない。 好ましい例としては生分解性樹脂層
(1) の片側に生分解性樹脂層 (2) 力 生分解性樹脂層 (1) の他の側に生分 解性樹脂層 (3) が積層されたものが挙げられる。
本発明において、 生分解性樹脂層 (1) 、 生分解性樹脂層 (2) 、 又は生分解 性樹脂層 (3) を構成する生分解性樹脂としては、 脂肪族ポリエステル樹脂、 ラ クトン樹脂、 セルロースエステル、 ポリペプチド、 ポリビニルアルコール、 ポリ アミド、 ポリアミドエステル等、 又はこれらの混合物が挙げられる。
脂肪族ポリエステル樹脂、 ラクトン樹脂、 ポリ力プロラクトンとしては、 前記 共通事項に記載されたものが使用される。
ポリビニルアルコールとしては、 ケン化度には特に制限はなく、 市販のものが 使用可能である。 ポリビニルアルコールとしては、 数平均分子量が 50, 000 〜1, 000, 000、 好ましくは 100, 000〜500, 000のものであ る。
本発明においては、 一つの生分解性樹脂層内において、 脂肪族ポリエステル樹 脂、 ラクトン樹脂、 セルロースエステル、 ポリペプチド、 ポリビニルアルコール を混合使用することもできる。
ポリ力プロラクトンとジオール/脂肪族ジカルボン酸の脂肪族ポリエステル樹 脂の混合物を用いる場合は、 ポリ力プロラクトン/ ^脂肪族ポリエステル樹脂の重 量比率 Ο/Ι Ο Ο δ ΟΖΖ Ο 好ましくは 0/100〜 50/50の範囲で配 合される。
ポリ力プロラクトンとポリ乳酸の混合物を用いる場合は、 ポリ力プロラクトン Ζ脂肪族ポリエステル樹脂配合重量比率は、 0Ζ100〜60Ζ40、 好ましく は 0Ζ100〜50Ζ50の範囲である。
ポリ乳酸、 ジオール Z脂肪族シカルボン酸からのポリエステル、 ポリ力プロラ クトンの生分解ポリマーの三種を混合して用いる場合は、 ジオール/脂肪族シカ ルボン酸からのポリエステルとポリ力プロラクトンの重量比率が 20/80〜8 0/20であり、 ポリ乳酸とポリ力プロラクトンの重量比率が 20/80〜80 / 20であるように配合する。
脂肪族ポリエステル樹脂の配合量が上記範囲未満では、 積層フィルムに加工し た場合には耐熱性が不十分になる場合がある。
本発明においては、 生分解性樹脂層には、 前記共通事項に記載した澱粉、 セル ロース、 紙、 パルプ、 綿、 毛、 絹、 カラギーナン、 キチン ·キトサン質、 椰子殻 粉末、 クルミ殻粉末等の植物物質微粉末又はこれらの混合物を添加することがで さる。
本発明においては、 生分解性樹脂には、 前記共通事項に記載した樹脂添加剤を 配合することができる。 樹脂添加剤としては、 可塑剤、 熱安定剤、 滑剤 (液状滑 剤を含む) 、 ブロッキング防止剤 (微粉末シリカ等) 、 核剤、 光分解剤、 生分解 促進剤、 自動酸化剤、 酸化防止剤、 紫外線安定剤、 帯電防止剤、 難燃剤、 流滴剤、 耐水化剤、 抗菌剤、 防臭剤、 脱臭剤、 除草剤、 炭酸カルシウム等の充填材、 増量 剤、 着色剤、 架橋剤、 又はこれらの混合物が挙げられる。
特に、 光分解促進剤、 自動酸化剤等の添加は、 農業用フィルムとして機能する 所望の期間経過の頃に該フィルムに脆性を付与し、 鋤込み易くする上で好ましい 方法である。
本発明に用いられる生分解性樹脂のメルトフ口 rンデックス (M I ) は、 1
90°Cにおける荷重 2, 160 gで測定して、 0. 5〜100 g/10m i n、 好ましくは 1〜20 g/ 10m i n, 特に好ましくは 1〜5 g/ 10 m i nであ る。
生分解性積層フィルム及び農業用フィルムにおいては、 フィルムはシ一卜も含 む。
生分解性樹脂層 (1) 、 (2) 又は (3) の厚さは、 目的に応じて選択され、 特に制限はないが、 例えば l im〜3mm、 好ましくは 10 m〜 1 mm、 特に 好ましくは 1 5 tm〜0. 5 mmである。
本発明の生分解性積層フィルムを得るには、 生分解性樹脂層 (1 ) 、 生分解性 樹脂層 (2 ) 、 又は生分解性樹脂層 (3 ) に対応する各々の生分解性樹脂又は生 分解性樹脂組成物を各々フィルムにした後、 それらを熱融着又は接着剤により積 層してもよいが、 好ましくは共押出機に供給して、 積層フィルムに成形する。 共押出成形方法としては、 従来の二色又は三色共押出方法等が使用できる。 本発明の生分解性積層フィルムは、 一軸又は二軸延伸されていてもよい。 延伸 倍率は、 1〜 1 0倍、 好ましくは 1 ~ 5倍、 さらに好ましくは 1〜2倍である。 本発明の生分解性積層フィルムにおいては、 生分解性樹脂層 (1 ) 、 生分解性 樹脂層 (2 ) 、 又は生分解性樹脂層 (3 ) がそれぞれ結晶性樹脂からなることが 好ましく、 特にそれら層間の樹脂の結晶化度や結晶化速度に差があるものが好ま しい。 結晶化度又は結晶化速度に差があると、 各層の分子配向が乱れやすい。 本発明の生分解性積層フィルムは、 フィルムの引裂強度が、 同じ厚みで比較し て、 生分解性樹脂層 (1 ) 、 生分解性樹脂層 (2 ) 、 及び生分解性樹脂層 (3 ) の各単層フィルムのいずれよりも高いことが特徴の一つである。
本発明の生分解性積層フィルムは、 そのまま、 又はヒートシールにより幅方向 に接続して幅広のフイルムとなし、 農業用マルチフィルム又は農業用マルチシ一 卜 (以下、 農業用フィルムと称する。 ) として使用できる。 農業用フィルムは、 地温の激変制御、 雑草の繁茂抑制、 養分の徐放等の作用により、 作物の収穫量向 上を目的として使用されるものである。 また、 特に米とか果実等の農作物の収穫 技術の向上のためのハウス栽培用屋根シート、 土壌敷設用マルチシート、 苗代被 覆用カバーに使用される。
農業用フィルムには、 黒色、 銀色、 白色等の着色を施したり、 表面にアクリル 系の樹脂をコーティングして透明性、 耐光性、 耐傷性、 耐ブロッキング性を有す るようにしてもよい。
本発明の、 農業用フィルムは必要な期間使用後はフィルムの強度が低下し、 土 壌の中に鋤込み易くなり、 しかも土壌中では微生物により完全分解するので、 回 収処理が不要である。
本発明の農業用シートは、 生分解性と成形性、 機械物性、 特に引き裂き性、 ヒ 一卜シール性が優れている。
本発明の生分解性積層フィルムは、 生分解性が良いので、 自然環境下に放置さ れると 1年以内に形状を留めなくなる。
本発明 [VI I I]の産業上の利用可能性
本発明 [VI II]によれば、 生分解性に優れ、 フィルム自体の成形性が良好で、 層 間の接着強度 (積層性) が良く、 得られた積層フィルムの引裂強度が向上した、 生分解性積層フィルム及びそれを使用した農業用生分解性フィルムが得られる。 以下、 本発明の [IX]について説明する。
本発明 [IX]は、 脂肪族ポリエステル樹脂 1 0 0重量部に対してポリ力プロラク トンを 1〜2 0 0重量部を配合してなる生分解性ポリエステル樹脂組成物からな る層 (A) 、 及びラクトン樹脂単独又はラクトン樹脂とラクトン樹脂以外の生分 解性樹脂との組成物からなり、 該ラクトン樹脂が単独で又は他の少なくとも 1の 構成成分と共に放射線処理がされたものである層 (B ) からなる生分解性多層フ イルム又はシート (本発明では、 特に区別しない限り、 両者を単に多層フィルム • シートと称する。 ) に関するものである。 ラクトン樹脂は、 好ましくはポリ力 プロラクトンである。 従って、 以下、 ポリ力プロラクトン以外の生分解性樹脂と は、 ラクトン樹脂以外の生分解性樹脂と同じである。
なお、 多層フィルム ' シートは積層フィルム · シート、 複層フィルム ' シート とも言われる。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂としては、 前記の脂肪族ポリエステ ル樹脂及び/又はウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂のいずれも使用で さる。
本発明で使用するポリ力プロラクトンとしては、 前記のものが使用できる。
(層 (A) を構成する生分解性ポリエステル樹脂組成物)
脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの配合割合は、 前記のものが使 用でき、 それらを混練する場合も前記の方法が使用できる。
また上記生分解性ポリエステル樹脂組成物には、 樹脂成分の生分解性を阻害し ない限り、 前記無機充填剤を添加することができる。
(層 (B ) を構成するラクトン樹脂とラクトン樹脂以外の生分解性樹脂との組成
物)
ラクトン樹脂としては前記ラクトン樹脂が使用できる。 ラクトン樹脂は、 好ま しくはポリ力プロラクトンである。 従って、 以下、 ポリ力プロラクトン以外の生 分解性樹脂とは、 ラクトン樹脂以外の生分解性樹脂と同じである。
ラクトン樹脂以外の生分解性樹脂としては、 ラクトン樹脂に配合して組成物と して目的のフィルム · シートに成形され得る樹脂であれば特に限定されず各種公 知の樹脂が使用されるが、 例えば、 前記脂肪族ポリエステル、 前記生分解性セル ロースエステル、 前記ポリペプチド、 前記澱粉等が好ましく例示できる。 これら は一種を単独で使用することも二種以上を併用することもできる。
このような生分解性樹脂組成物としては、 好ましくはラクトン樹脂に合成脂肪 族ポリエステル樹脂を添加してなるもの、 更には脂肪酸アミドを添加してなるも のである。 以下、 ラクトン樹脂に合成脂肪族ポリエステル樹脂及び脂肪酸アミド を添加してなる組成物を例に本発明を説明するが、 ラクトン樹脂を単独で用いる 場合、 ラクトン樹脂とラクトン樹脂以外の生分解性樹脂との組成物の場合も同様 である。
(放射線処理されるラクトン樹脂)
放射線処理されるラクトン樹脂は、 前記のラクトン樹脂であり、 特に常温で軟 化しないものが好ましく、 この観点から高分子量であって融点が 6 0 °C程度の、 安定した性能が得やすいポリ力プロラクトンが好適である。
本発明の好ましい例として、 層 (A) を構成するラクトン樹脂及び/又は層 ( B ) を構成するラクトン樹脂が所定の放射線照射処理をしたものであるが、 好 ましくは層 (B ) を構成するラクトン樹脂が放射線照射処理をしたものである。 本発明に用いられる放射線処理されたラクトン樹脂又は放射線処理されたラク トン樹脂含有組成物としては、 予めラクトン樹脂単独に所定の放射線照射処理を したもの、 これに合成脂肪族ポリエステル樹脂を加えて得られる樹脂組成物の他、 ラクトン樹脂と合成脂肪族ポリエステル樹脂を混合して同様の放射線照射処理を した後に残成分を混合して得られる樹脂組成物、 ラクトン樹脂、 合成脂肪族ポリ エステル樹脂及び必要に応じて添加剤を混合して上記放射線照射処理をして得ら れる樹脂組成物も含まれる。
更に混合して放射線照射処理する態様としては、 成形原料としての組成物 (例 えばペレツト又はペレツ卜製造のため混練後のストランド等) に照射する態様の 他、 成形中の組成物に照射する態様も含まれる。 成形物の生分解性向上のために は、 放射線照射処理をして得られるラクトン樹脂を含有する樹脂組成物、 例えば ペレツトを用いて成形することが好ましい。
生分解性樹脂組成物には、 更に、 前記液状滑剤、 微粉末シリカ及び 又は澱粉 を添加することができ、 所定の放射線照射処理はこれらの添加後に行ってもよい。 同様に本発明の生分解性樹脂組成物には、 可塑剤、 光分解促進剤、 生分解促進剤 等の樹脂添加物を配合することができる。
生分解性樹脂組成物において用いられる合成脂肪族ポリエステル樹脂とは、 ラ クトン樹脂以外のポリエステル樹脂であり、 前記脂肪族ポリエステル樹脂を含む 縮合重合系で得られた脂肪族ポリエステル樹脂及び Z又はウレタン結合を含むで ある。
本発明に係る生分解性樹脂組成物を構成する各成分の好ましい配合比について 説明する。
まず、 ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の配合比は、 前者の 7 0〜5重 量%に対して後者の 3 0〜9 5重量% (両者の合計 1 0 0重量%) が好ましい力 この場合前者の上限を 6 0重量%以下にとることが特に好ましく、 前者の 4 0〜 1 0重量%に対して後者の 6 0〜9 0重量%の範囲が好適である。
この場合、 ラクトン樹脂が 7 0重量%を超えるとフィルム等成形物の高温時の 機械的物性が低下傾向を示し、 5重量%未満では生化学的分解に基づく崩壊性が 低下する可能性を有する。 この傾向は 4 0〜 1 0重量%の範囲から外れた場合も 同様のことが言える。
一方、 脂肪族ポリエステル樹脂の配合量が 9 5重量%を超えると生分解性が遅 くなる傾向にあり、 逆に 3 0重量%未満では、 例えばフィルムに加工した場合に は耐熱性が低下する可能性がある。 この傾向は 6 0〜 9 0重量%の範囲から外れ た場合も同様のことが言える。
又、 脂肪酸アミドを添加する場合には、 前記配合割合で配合される。
本発明に係る生分解性樹脂組成物には、 更に必要に応じて前記液状滑剤、 前記
微粉末シリカ、 前記澱粉等が添加される。
このような使用目的を有する液状滑剤の添加量は、 ラクトン樹脂及び脂肪族ポ リエステル樹脂の合計量 1 0 0重量部に対して、 好ましくは 0 . 1〜3重量部、 より好ましくは 0 . 2 ~ 0 . 7重量部の範囲で添加される。 添加量が 3重量部を 超えると液状滑剤が混合用タンブラ一の内面に多量に付着し、 ベたついて安定な 混合が難しくなることがあり、 0 . 1重量部未満ではゥエツティング剤としての 効果が充分には発揮できないことがある。 この傾向は、 より好ましい 0 . 2〜0 . 7重量部の範囲外についても見られる。
微粉末シリカの使用目的は、 本発明に係る多層フィルム · シートのブロッキン グ防止を図ることにある。
添加方法としては、 本発明に係るラクトン樹脂を含む樹脂組成物、 ラクトン樹 脂と脂肪族ポリエステル樹脂とからなる組成物又は更に脂肪酸アミドを添加して なる樹脂組成物に加熱混練される方法が最も好ましく、 かなりの高い剪断力が作 用し二次凝集粒子がほぐされ、 フィルムのブロッキング防止効果を発揮する。 なお、 微粉末シリカの添加量は、 ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との 混合物 1 0 0重量部に対して 0 . 1〜3重量部の範囲が上記効果の発揮の点で最 も好ましい。
本発明に係る樹脂組成物には各種澱粉が添加され得る。 澱粉の添加量は特に限 定されるものではないが、 分解性を効果的に達成するためにはラクトン樹脂と脂 肪族ポリエステル樹脂の合計量 1 0 0重量部に対して、 1 0〜8 0重量部が好ま しいが、 2 5〜 5 0重量部の範囲が特に好ましい。
(放射線照射処理)
本発明に係る放射線照射処理は、 後記する条件に従い、 粉末状又はペレット状 のラクトン樹脂単独、 ラクトン樹脂と合成脂肪族ポリエステル樹脂とからなる組 成物、 ラクトン樹脂と脂肪酸アミドのような添加物とからなる組成物、 ラクトン 樹脂と合成脂肪族ポリエステル樹脂と添加物とからなる組成物に対して行われる。 なお、 これら組成物の場合は、 粉末状又はペレット状の各成分の単なる混合物で もよいが、 適宜混練した状態の混合物を粉末、 又はペレット化したものがより好 ましい。 更に後記照射処理時のラクトン樹脂の温度に関する条件を満たすように、
フィルムまたはシ一ト成形中に照射処理をしてもよい。
照射量は、 高分子材料の橋かけ構造導入の目安になるラクトン樹脂のゲル分率 を一つの尺度として決められる。 照射量が低い場合、 橋かけまで進まず、 橋かけ の前駆体としての分岐構造が生成し、 分岐構造が多いとアセトンに不溶になる部 分ができ、 分岐構造が少ないとアセトンに溶解するものと考えられる。 本発明で は、 ゲルは生成しなくても、 分岐構造の導入により、 融点の上昇、 メルトインデ ックス (M l ) の減少及び/又は溶融張力 (MT) の増加が生じ、 加工性を改善 することができる。
本発明では、 放射線処理されたラクトン樹脂は、 分岐構造が導入されているか 又はゲル分率が 0. 01〜10%、 好ましくは 0. 05〜5. 0%であり、 橋か けが生じて融点が高くなり、 引張強度、 引裂強度が向上し、 金型からの離型性、 ロール付着が低下し、 透明性が高くなる。
また、 初めに低線量で照射し、 後の段階で高線量で照射する態様も含まれ、 例 えばペレット段階ではゲル分率 0. 01〜 10 %、 好ましくは 0. 05〜5. 0 %になるように照射し、 成形中又は成形後 5〜90 %、 好ましくは 10〜90% になるように照射することができる。
これにより、 未照射のものよりも溶融粘度が高くなるので、 より高温度で形状 を保持して再度照射することができて、 橋かけが高い確率で起こり、 耐熱性が向 上する。
本発明に係る放射線照射処理は、 温度に限定されず常温でもよいが、 ラクトン 樹脂の粉末又はペレットを融点 (PCLでは 60°C) 以上で融解後結晶化に至ら ない温度 (PCLでは 50〜35°C) まで冷却した状態で行われてもよい。 この 状態で上記処理をすることにより、 低い線量で極めて高いゲル分率のものが得ら れる。 ここに言う 「結晶化に至らない」 とは、 正確には特定できなが、 架橋が非 結晶部で起こるため、 非結晶状態であることが優位である状態をいう。 室温状態 におけるよりも結晶化度が低ければ、 それに応じた照射効果はある。
なお、 ラクトン樹脂単独での処理ではなくて、 他の成分とからなる前記種々の 組成物での処理の場合においても上記ラクトン樹脂成分の溶融状態のみを考慮す れば充分である。
本発明に係る放射線照射処理に使用される放射線源としては、 α線、 /3線、 了 線、 X線、 電子線、 紫外線等を使用することができるが、 コバルト 6 0からのァ 線、 電子線、 X線がより好ましく、 中でも該ァ線とか電子加速器の使用による電 子線照射処理が高分子材料の橋かけ構造導入には最も便利である。
本発明におけるラクトン樹脂の放射線処理の効果である橋かけ反応は、 線量の 増加とともに該橋かけ度が大きくなる。 放射線の線量率は特に限定されるもので はないが、 高いほど生産効率は向上するので好ましい。 なお、 放射線処理時の雰 囲気は特に限定されるものではないが、 酸素濃度が低いほど照射線量を少なくす ることができるので有利である。
本発明に係る上記特定の放射線照射処理をした、 ラクトン樹脂、 又はラクトン 樹脂組成物の溶融流動性は、 該樹脂組成物がフィルム成形に供することができれ ば特に限定されるものではないが、 フィルム · シート成形には、 メルトフローイ ンデックス (M I ) ( 1 9 0 °Cにおいて荷重 2, 1 6 0 gで測定) が 0 . 5〜2 0 g Z l 0 m i nであることが好ましく、 特に 1〜5 g Z l 0 m i nが適してい る。
前記生分解性樹脂組成物又は更に前記各種添加剤を加えた組成物に対して、 必 要に応じて、 ラクトン樹脂及び脂肪族ポリエステル樹脂以外の樹脂成分 (例えば、 エチレン共重合体やその他のポリオレフィン、 水素添加スチレン一ブタジエンゴ ム、 ポリウレタン、 ポリアミド、 ポリヒドロキシブチレ一卜等) 、 前記澱粉以外 の天然高分子 (例えば、 多糖類系高分子、 セルロース系高分子、 タンパク質系高 分子等) 、 や前記樹脂添加剤を添加することができる。
特に、 光分解促進剤、 自動酸化剤等の添加は、 所望の期間経過の頃に該フィル ムに脆性を付与する上で好ましい方法である。
前記生分解性樹脂組成物に前記各種添加剤を加えてなる配合組成物を得る方法 としては、 従来使用されてきた各種方法が適用でき、 特に限定されるものではな い。
得られた粉末又はペレツト状の添加剤含有樹脂組成物は、 放射線照射処理のな い従来のラクトン樹脂又はその組成物に比較して、 その架橋構造に基づくと考え られる溶融粘度の向上により、 インフレーション法、 T一ダイ法等、 従来の各種
の成形方法により成形してフィルム又はシ一卜に加工することができる。
(多層フィルム · シート)
本発明の生分解性多層フィルムシートは、 前記脂肪族ポリエステル樹脂 100 重量部に対してポリ力プロラクトンを 1〜200重量部を配合してなる生分解性 ポリエステル樹脂組成物からなる層 (A) 、 及び放射線処理されたラクトン樹脂、 又は該放射線処理ラクトン樹脂とラクトン樹脂以外の生分解性樹脂との組成物か らなる層 (B) からなる。
多層フィルムシートの構成は、 1つの層 (A) と 1つの層 (B) からなるもの、 2つの層 (A) とその間に挟まれた 1つの層 (B) からなるもの、 層 (A) と層 (B) が交互に複数設けられたもの等が例示できるが、 特に 2つの層 (A) とそ の間に挟まれた 1つの層 (B) からなるものが好ましい。 この場合、 (B) 層を 挟む二つの層 (A) の組成は、 同じものでも異なるものでもよい。
生分解性は層 (B) の方が層 (A) よりも速い。 従って、 同じ厚さのフィルム • シートを比較すると、 層 (A) のみからなるフィルム ·シートよりも、 2つの 層 (A) とその間に挟まれた 1つの層 (B) からなるフィルム,シートの方が生 分解性が良好である。
また、 2つの層 (A) とその間に挟まれた 1つの層 (B) からなるフィルム . シートは横方向の引張強度が向上する。
多層フィルム ' シートの厚さは、 特に制限はないが、 例えば、 フィルムの場合 には l im〜lmm、 好ましくは 10 tm〜0. 5mm、 シ一卜の場合には 0. lmm〜: L 0mm、 好ましくは 0. 5 mm〜 5 mmで使用することができる。 層
(A) と (B) 層の厚さの比率は特に制限はなく、 目的に応じて決められる。 ま た、 層 (B) を挟む二つの層 (A) の厚さは、 同じものでも異なるものでもよい。
(多層フィルム · シートの成形方法)
多層フィルム · シートは、 共押出し法により、 前記層 (A) を形成させるため の生分解性ポリエステル樹脂組成物と、 層 (B) を形成させるための放射線処理 されたラクトン樹脂単独又は放射線処理ラクトン樹脂とラクトン樹脂以外の生分 解性樹脂との組成物を原料に使用して、 従来の方法により成形することができる < 例えば、 共押出機を使用すれば、 Tダイ、 インフレーション法により多層フィ
ルム又はシートを、 ブロー成形により多層押出し成形品を、 プロファイル成形に より異形押出し品を、 その他多層パイプ、 チューブ被覆成形品を製造することが できる。 共押出しの場合には、 多層シートではフラットなマニフォ一ルドダイ力 使用され、 多層フィルムではフラットダイ又はサ一キユラダイが使用できる。 また、 多層フィルム · シートは、 上記各層 (A) 及び (B ) に相当するフィル ム ' シートを、 Tダイ法、 インフレーション法、 カレンダ一法、 キャスト法等に より個々に成形し、 それらを接着又は融着させて製造してもよい。
多層フィルム · シートは、 1軸または 2軸延伸されていてもよい。
(用途)
本発明で提供される生分解性多層フィルム · シートは、 従来のポリオレフイン 樹脂、 ポリ塩化ビニル樹脂、 ポリ塩化ビニリデン樹脂、 ポリエステル樹脂、 ポリ エーテル樹脂、 ポリアミ ド樹脂等の代替として広範な用途に使用することができ る。
例えば、 フィルムの用途としては、 バッグやバウチ用等の完成包装材用 ;畜肉、 水産加工品等の自動包装用等の深絞り用 ;加熱収縮により包装するシユリンクフ イルム用 ;密着包装等のスキンパック用 ;その他の樹脂との共延伸 ·熱固定フィ ルム用、 金属箔との熱固定フィルム用等が挙げられる。 シートの用途としては、 食品容器 2次加工用 ;ボトルを含め一般容器用、 表面材用、 光透過材用、 引っ越 し材料等の工業用等が挙げられる。
これらの多層製品は、 フィルム · シートで説明したが、 チューブ、 パイプ、 コ 一ティング材料、 模様入り成形品、 ケーブル、 その他の異形成形品に応用できる ことは言うまでもない。 特に環境に放置されやすい物品、 用途に用いることが好 ましい。
本発明 [IX]の産業上の利用可能性
本発明 [IX]により、 縦、 横共に十分な引張強度を有し、 生分解性の速い多層フ イルム及びシー卜が得られる。
本発明で提供される生分解性多層フィルム ·シートは、 J I S K 6 9 5 0で 規定する都市下水汚泥中での 4週間培養後の分解率が 2 0 %、 好ましくは 3 0 % を上回る。
以下、 本発明の [X]について説明する。
本発明 [X]では、 脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトンの組成物を成 形してなる、 フィルム厚みが 5〜25 mである生分解性フィルムであり、 構成 成分の該脂肪族ポリエステル樹脂、 該ポリカプロラクトン、 又は該組成物のいず れかが MT2 g以上であり且つ MFR 1〜9 gZl 0分であることを特徴とする。 以下、 構成成分について説明する。
脂肪族ポリエステル樹脂 (I )
脂肪族ポリエステル樹脂 ( I ) は、 MT2 g以上、 好ましくは 5〜10 g、 特 に好ましくは破断 (袋にしたときには破袋) が起こらないものであり、 且つ MF R 1〜9 gZl 0分、 好ましくは 2〜7 gZl 0分、 特に好ましくは 2〜 5 gZ 10分である。 また、 融点が 100°C以上で、 熱可塑性を有するものが好ましレ^ 脂肪族ポリエステル樹脂 (I ) は、 脂肪族ジカルボン酸 (a) と脂肪族ジォー ル (b) と 3官能以上の脂肪族ポリカルボン酸 (c) 及び 又は 3官能以上の脂 肪族ポリオール (d) からなる脂肪族ポリエステル (Γ) 、 又は脂肪族ジカルボ ン酸 (a) と脂肪族ジオール (b) とからなる直鎖型脂肪族ポリエステル ( Π をジイソシァネート及び Z又は 3官能以上のポリイソシァネートにより変性して 得られた脂肪族ポリエステル (Γ) 、 あるいはこれら (Γ) と (Γ) の混合物で ある。
上記脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) は、 炭素数 1〜10の直鎖又は分岐脂肪族 ジカルボン酸 (a) 、 炭素数 1〜10の直鎖又は分岐脂肪族ジオール (b) 、 並 びに 3官能以上の脂肪族ポリカルボン酸 (c) 及び Z又は 3官能以上の脂肪族ポ リオール (d) とのポリエステルである。 ここで、 3官能以上の脂肪族ポリカル ボン酸 (c) は炭素数 1〜10の直鎖又は分岐のものであり、 3官能以上の脂肪 族ポリオール (d) は炭素数 1〜10の直鎖又は分岐のものである。
脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) 中の脂肪族ジカルボン酸 (a) と脂肪族ジォ一 ル (b) の比率は、 脂肪族ジカルボン酸 (a) :脂肪族ジオール (b) =30 : 70重量%~80 : 20重量%でぁり、 脂肪族ポリオ一ル (d) 及び 又は脂肪 族ポリカルボン酸 (c) は多官能分岐剤または部分架橋剤として作用し、 上記脂
肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールの合計 100重量部に対して、 0. 01〜
20重量部、 好ましくは 0. 1〜 5重量部が用いられる。
脂肪族ジカルボン酸 (a) としては、 前記共通事項に記載のものが挙げられる。 脂肪族ジオール (b) としては、 前記共通事項に記載のものが挙げられる。 脂肪族ポリカルボン酸 (c) としては、 プロパントリカルボン酸、 ブタンテト ラカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ポリオール (d) としては、 グリセリン、 ジグリセリン、 トリメチ口一 ルプロパン、 トリメチロールェタン、 ペン夕エリスリ トール、 ジペン夕エリスリ トール、 3—メチルペンタントリオール等が挙げられる。
上記脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールの組み合わせとしては、 具体的に は、 コハク酸及び Z又はアジピン酸と 1, 4一ブタンジオール; コハク酸とェチ レングリコール; シユウ酸とネオペンチルグリコール; シユウ酸と 1 , 4ーブ夕 ンジオール; シユウ酸とエチレングリコールが例示できるが、 好ましくはコハク 酸と 1, 4一ブタンジオールである。
上記脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) の特に好ましい樹脂としては、 コハク酸、
1, 4—ブタンジオール、 少量のトリメチロールプロパンから得られるポリエス テル樹脂である。
脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) の数平均分子量としては、 1, 000〜500, 000、 好ましくは 50, 000以上、 更に好ましくは 100, 000以上の範 囲である。
このようにすることにより、 MT 2 g以上であり且つ MFR 1〜9 g/10分 である脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) が得られる。
上記脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) は、 炭素数 1〜10の直鎖又は分岐脂肪族 ジカルボン酸 (a) 、 炭素数 1〜10の直鎖又は分岐脂肪族ジオール (b) とか らなる直鎖型脂肪族ポリエステル (i) を後述するジイソシァネート (e) 及び 又は 3官能以上のポリイソシァネ一ト (f) により変性したものである。
直鎖型脂肪族ポリエステル ( 1) は、 上記脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) で述 ベた炭素数 1〜 10の直鎖又は分岐脂肪族ジカルボン酸 (a) と炭素数 1〜10 の直鎖又は分岐脂肪族ジオール (b) からなる脂肪族ポリエステル、 あるいは、
合成ポリ乳酸等の生分解性のポリエステル樹脂、 特開平 9一 235360号、 同 9 - 233956号各公報記載の三元共重合体の脂肪族ポリエステル、 特開平 7 - 1 77826号公報記載の乳酸とヒドロキシカルボン酸共重合体、 ε—力プロ ラクトンと ε—力プロラクタムより合成されるポリアミドエステル樹脂、 ポリア ミノ酸樹脂等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸 (a) と脂肪族ジオール (b) からなる直鎖型脂肪族ポリ エステル ( i ) としては、 コハク酸及び Z又はアジピン酸と 1, 4—ブタンジォ ール; コハク酸とエチレンダリコール; シユウ酸とネオペンチルグリコール; シ ユウ酸と 1 , 4一ブタンジオール; シユウ酸とエチレングリコールからの脂肪族 ポリエステル樹脂が例示できるが、 好ましぐはコハク酸と 1, 4一ブタンジォ一 ルの脂肪族ポリエステル樹脂である。
直鎖型脂肪族ポリエステル ( i ) の MFRは通常 2. 0〜6. O gZl O分で あり、 MTは 0. 5〜2. 0 gである。
直鎖型脂肪族ポリエステル ( i ) の数平均分子量としては、 1, 000~50, 000、 好ましくは 10, 000以上、 更に好ましくは 50 , 000以上の範囲 である。
直鎖型脂肪族ポリエステル ( i ) はジイソシァネート (e) 及び/又は 3官能 以上のポリイソシァネート ( f ) と反応させて脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) と する。
ジイソシァネート (e) としては共通事項で記載した脂肪族ジイソシァネ一卜 化合物の他に、 イソフォロンジイソシァネート、 2, 4—及び/又は 2, 6—卜 リレンジイソシァネート、 ジフエ二ルメタンジイソシァネート、 水素化ジフエ二 ルメタンジイソシァネート、 キシリレンジイソシァネート、 水素化キシリレンジ イソシァネート、 1, 5—ナフチレンジイソシァネート、 又はこれらの混合物が 例示され、 3官能以上のポリイソシァネート (f ) としては卜リフエニルメタン トリイソシァネート、 水素化トリフエニルメタントリイソシァネート、 これらの ジィソシァネー卜と多価アルコールとの付加体、 上記ジィソシァネートの 3量体、 又はこれらの混合物が例示される。
特に、 へキサメチレンジイソシァネート、 水素化ジフエニルメタンジイソシァ
ネート、 水素化キシリレンジイソシァネート、 イソフォロンジイソシァネ一卜、 トリフエニルメタントリイソシァネート、 水素化トリフエニルメタントリイソシ ァネート等の脂肪族及び脂環族のィソシァネー卜がポリエステル樹脂の着色防止 の面からも適している。
変性前の直鎖型脂肪族ポリエステル ( U の数平均分子量としては、 1, 00 0〜50, 000、 好ましくは 5, 000以上、 更に好ましくは 10, 000以 上の範囲である。
変性により得られた脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) の数平均分子量としては、 10, 000〜500, 000、 好ましくは 50, 000以上、 更に好ましくは 100, 000以上の範囲である。
イソシァネー卜の使用量は直鎖型脂肪族ポリエステル ( i ) に対して MT及び MFRが所定の範囲になるように決められる。
このようにして、 MT 2 g以上であり且つ MFR 1〜9 gZl 0分である脂肪 族ポリエステル樹脂 (Γ) が得られる。
ポリ力プロラクトン (II)
ポリ力プロラクトン (II) は、 MT2 g以上、 好ましくは 5〜10 g、 特に好 ましくは破断 (袋にしたときには破袋) が起こらないものであり、 且つ MFR 1 〜9 gZl O分、 好ましくは 2〜7 gZ 10分、 特に好ましくは 2〜5 gZl 0 分である。 また、 融点が 60°C以上で、 熱可塑性を有するものが好ましい。
本発明で使用するポリ力プロラクトン (II) は、 直鎖型ポリ力プロラクトン
(ii) を架橋して得られるポリ力プロラクトン (ΙΓ) 、 又は 3官能以上のポリオ ールを開始剤として ε—力プロラクトンを重合して得られたポリ力プロラクトン
(II") である。
直鎖型ポリ力プロラクトン (ii) は、 1官能または 2官能の開始剤を使用して ε一力プロラクトンを重合して得られたポリ力プロラクトンである。
また、 直鎖型ポリ力プロラクトン (ii) は、 ε—力プロラクトンの単独重合体 以外に、 バレロラクトンや、 グリコリ ド、 ラクチドなどのコモノマー構成単位を、 例えば 20モル%以下含まれる共重合体も使用可能である。
上記直鎖型ポリ力プロラクトン (ii) としては、 数平均分子量が 1, 000〜
1, 000, 000、 好ましくは 5, 000〜 500, 000、 さらに好ましく は 10, 000〜200, 000、 特に好ましくは 40, 000〜100, 00 0のポリ力プロラクトンが使用できる。
上記分子量のポリ力プロラクトンは J I S K 6726の規定による相対粘度 1. 1 5〜2. 80を有するものであり、 特に好ましくは 1. 50〜2. 80を 有するものである。
直鎖型ポリ力プロラクトン (ii) の MFRは通常 2. 0〜6. O gZl O分で あり、 MTは 0. 5〜2. O gである。
したがって、 直鎖型ポリ力プロラクトン (ii) 単独や、 直鎖型ポリ力プロラク トン (ii) と直鎖型脂肪族ポリエステル ( i ) との組み合わせでは薄手のフィル ムを成形することは困難である。
直鎖型ポリ力プロラクトン (ii) の分子量は、 低分子量から高分子量まで使用 できるが、 低分子量のポリ力プロラクトンを使用した場合は、 混練樹脂の耐熱性 や機械強度の低下が大きくなるので添加量が制限されるが、 樹脂組成物の溶融粘 度が低下し、 成形性が向上する等のメリットが現れる。 しかし高分子量のポリ力 プロラクトンを使用する方が配合率を多くすることができ、 耐熱性、 機械特性、 生分解性をいずれも高くバランスさせることが可能であり、 より好ましい。
架橋ポリ力プロラクトン (ΙΓ) は、 上記直鎖型ポリ力プロラクトン (ii) を固 体状態、 溶融状態、 又は溶融後固化させた状態で電子線、 τ一線等の放射線の照 射により架橋させたものであるか、 又は架橋剤を添加して熱又は光により架橋さ せものである。 架橋剤としては、 過酸化物単独、 過酸化物とキノンジォキシム、 不飽和酸、 ビニル化合物との混合物等が挙げられる。
架橋ポリ力プロラクトン (ΙΓ) は、 ゲル分率 (本発明の [IX]の実施例の項参 照。 ) が 0. 01〜90 %、 好ましくは 0. 1〜70%、 さらに好ましくは 1〜 50 %のものである。
ポリ力プロラクトン (ΙΓ) は、 多官能開始剤、 特に 3官能以上のポリオールを 開始剤として、 ε—力プロラクトンの単独重合体以外に、 バレロラクトンや、 グ リコリ ド、 ラクチドなどのコモノマー構成単位を、 例えば 20モル%以下含まれ る共重合体である。
多官能開始剤としては、 分子内に水酸基、 アミノ基、 カルボキシル基、 チォー ル基などの活性水素を 3個以上含有する化合物ゃポリマーであり、 具体的にはグ リセリン、 トリメチロールプロパン、 トリメチロールェ夕ン、 ペン夕エリスリ ト —ル、 ピロガロ一ル、 ォキシヒドロキノン、 ァミノプロパンジオール、 エリス口 ース、 リンゴ酸、 酒石酸、 ペン夕エリスリ トールーテトラメルカプトアセテート、 2—ェチルヒドロキシ (メタ) ァクリレート等の、 分子内にラジカル重合性二重 結合と水酸基の両方を有した化合物のオリゴマー、 他のラジカル重合性モノマー との共重合体および各種ポリマーへのグラフト変性体、 エチレンオキサイド、 プ ロピレンオキサイドの各種ポリマーへのグラフト変性体、 糖、 デンプン、 セル口 ース、 および水酸基を有したポリブタジエンなどが挙げられる。 ポリ力プロラク トン (II") は、 特開平 7— 252352号に記載されている公知の方法により製 造することができる。
上記ポリ力プロラクトン (ΙΓ) としては、 数平均分子量が 5, 000〜1, 0 00, 000、 好ましくは 10, 000〜 500, 000、 さらに好ましくは 5 0, 000〜400, 000のものが使用できる。
上記の成分は、 前述のように脂肪族ポリエステル樹脂 (I) を使用する場合に は、 ポリ力プロラクトンとして直鎖型のポリ力プロラクトン (ii) 又はポリカブ ロラクトン (II) を使用することが可能であるが、 好ましくは直鎖型のポリカブ ロラクトン (ii) である。
また、 ポリ力プロラクトン (II) を使用する場合には、 脂肪族ポリエステル樹 脂としては直鎖型の脂肪族ポリエステル樹脂 (i) 又は脂肪族ポリエステル樹脂 (I) を使用することが可能であるが、 好ましくは直鎖型の脂肪族ポリエステル 樹脂 ( i ) である。
あるいはまた、 脂肪族ポリエステル樹脂 (I) 及び 又は脂肪族ポリエステル 樹脂 (i) 、 並びに、 ポリ力プロラクトン (II) 及び Z又はポリ力プロラクトン (ii) からなる組成物であり、 該組成物が MT2 g以上、 好ましくは 5〜10g、 特に好ましくは破断 (袋にしたときには破袋) が起こらないものであり、 且つ M FR l〜9 g/10分、 好ましくは 2〜7 gZl 0分、 特に好ましくは 2〜5 g Z10分であるものを使用する。
これらによって、 薄手のフィルムを成形することができる。
直鎖型脂肪族ポリエステル ( i) の市販品の例としては、 ウレタン結合を含ま ないピオノーレ (昭和高分子株式会社製) 等や、 ポリ乳酸製の E COP L A (力 一ギル社製) 、 ラクティ (島津製作所製) 、 レイシァ (三井化学製) 等が挙げら れる。
脂肪族ポリエステル樹脂 ( I ) の市販品の例としては、 ビオノ一レ # 1903 (昭和高分子株式会社製) 等が挙げられる。
ポリ力プロラクトン (ii) の市販品の例としてはプラクセル H 7 (ダイセル化 学社製) 等が挙げられる。
ポリ力プロラクトン (II) の市販品の例としては 3官能以上のポリオールを開 始剤に用いたものとしてプラクセル 303, 305, 405等が挙げられる。 以下、 ポリ力プロラクトン (II) とポリ力プロラクトン (ii) の区別、 脂肪族 ポリエステル樹脂 ( I ) と脂肪族ポリエステル樹脂 ( i ) の区別が不要の場合に は、 それぞれ、 単にポリ力プロラクトン、 脂肪族ポリエステル樹脂という。 ポリ力プロラクトンと脂肪族ポリエステル樹脂との重量比率は、 ポリ力プロラ クトン:脂肪族ポリエステル樹脂が 70 : 30重量%~5 : 95重量%、 好まし くは 50 : 50重量%〜 30 : 70重量%である。
この場合、 ポリ力プロラクトンが上記範囲を超えるとフィルムの高温時の機械 的物性が低下傾向を示す。
上記脂肪族ポリエステルとポリ力プロラクトンの組成物には、 必要に応じて前 記公知の樹脂添加剤や上記ポリカプロラク卜ン及び脂肪族ポリエステル樹脂以外 の樹脂成分 (例えば、 エチレン共重合体やその他のポリオレフイン、 水素添加ス チレン一ブタジエンゴム、 ポリウレタン、 ポリアミド、 ポリヒドロキシブチレ一 卜等) 、 又はこれらの混合物等を添加してフィルムにすることができる。
特に、 光分解促進剤、 自動酸化剤等の添加は、 所望の期間経過の頃に該フィル ムに脆性を付与する上で好ましい。
着色剤とじては公知の染料、 顔料が使用できる。 これにより所望の色やデザィ ンゃ植物の包装、 成育等に好ましいものが得られる。
フィルムへの加工は、 インフレーション法、 T—ダイ法等、 従来の各種の成形
方法により成形してフィルムに加工することができる。
上記の方法によるフィルムの生産速度は、 1 0〜3 0 m/分、 好ましくは 1 5 〜2 0 m/分であり、 フィルム切れが起こらずに連続生産できる時間は、 1時間 以上、 好ましくは 3時間以上、 さらに好ましくは、 1 0時間以上、 特に好ましく は 2 4時間以上である。
フィルムは、 1軸または 2軸延伸されていてもよい。 延伸フィルムはシュリン フィルムの厚みは 5〜 2 5 m, 好ましくは 1 0〜2 0 mである。 従来、 こ のような薄手のフィルムを連続して成形しょうとすると、 頻繁にフィルムが切れ ていたが、 本発明の組成物を使用することにより、 フィルムが切れることなく連 続して長時間成形することができる。
本発明 [X]の産業上の利用可能性
本発明 [X]によれば、 連続成形性がよく、 外観、 強度等に優れ、 生分解速度の 速い薄手の生分解性フィルムが得られ、 用途は特に限定されないが、 好ましくは 使用後自然環境下に放置される可能性のあるもの例えば、 農業用フィルム、 生ゴ ミ袋、 気泡緩衝材等に利用可能である。 以下、 本発明の [XI]について説明する。
本発明 [XI]は、 フィルム全面に凸部 3が多数形成されたエンボスフィルム 2と 平面状のベースフィルム 1及び Z又はエンボスフィルム 2を貼り合わせてなる独 立気泡緩衝シートであって、 エンボスフィルム 2及び Z又はベースフィルム 1が、 ポリ力プロラクトン単独又は脂肪族ポリエステル樹脂との組成物からなり、 該ポ リカプロラクトンが単独で又は他の少なくとも 1の構成成分と共に放射線処理が されたものである。
エンボスフィルム 2とベースフィルム 1の材質は同じであっても、 異なってい てもよい。
XI- 1 . 独立気泡性緩衝シートの構造
本発明の独立気泡緩衝シートにおいて、 エンボスフィルム 2の凸部 3と平面状 のべ一スフイルム 1との間には、 独立した空気室が形成されている (図 XI- 1 ) 。
また、 独立気泡緩衝シートは、 エンボスフィルム 2同士を用いたものでもよく、 それらの対応する凸部 3同士を合わせるようにして貼り合わせることにより、 独 立した空気室が形成される (図 XI- 2 ) 。
また、 独立気泡緩衝シートは、 エンボスフィルム 2同士の間にベースフィルム 1を用いて、 それらを貼り合わせることにより、 両面に独立した空気室が形成さ れる (図 XI- 3 ) 。
以下、 説明を簡単にするために、 一枚のエンボスフィルム 2と一枚のベ一スフ ィルム 1からなる独立気泡緩衝シ一トについて説明する。
本発明の独立気泡性緩衝シートにおいて、 凸部 3の大きさは、 凸部の底面が円 では直径 l〜1 0 0 mm、 高さ 1〜 5 0 mm程度である。 凸部 3の数は l m2当た り 1 0個以上であり、 好ましくは 1 0 0〜 1 0 0, 0 0 0個である。 形状は特に 限定されず、 円柱状、 角柱状、 円錐状、 角錐状、 半球状、 回転楕円体状、 ラグビ —ボール状、 卵型、 繭型、 等各種の形状が可能であり、 底面が円でない場合には 直径の代りに用いられる相当直径が上記範囲内である。
凸部 3相互の配置は特に限定されず、 アトランダムに配置しても、 千鳥状に配 置してもよいが、 製造上からはエンボスフィルム 2上の凸部 3が前後左右に規則 的に配置されていることが好ましい。
XI- 2 . 独立気泡性緩衝シートの材質
本発明で、 エンボスフィルム 2及び Z又はべ一スフイルム 1は、 ポリ力プロラ クトン (I I) 単独又は脂肪族ポリエステル樹脂 ( I ) との組成物からなり、 該ポ リカプロラクトン (I I) が単独で又は他の少なくとも 1の構成成分と共に放射線 処理がされたものである。
したがって、 エンボスフィルム 2及びべ一スフイルム 1のいずれかが上記ポリ 力プロラクトン単独又は脂肪族ポリエステル樹脂との組成物からなり、 該ポリカ プロラクトンが単独で又は他の少なくとも 1の構成成分と共に放射線処理がされ たものである場合、 これと組み合わせられるベースフィルム 1は、 同じ材質であ ることが好ましいが、 他の生分解性樹脂であってもよいし、 用途によっては非生 分解性の通常のフィルムであってもよい。
ポリ力プロラクトン (I I) は前記共通事項に記載のものが使用できる。
上記分子量のポリ力プロラクトンは J I S K 6726の規定による相対粘度 1. 1 5〜2. 80を有するものであり、 特に好ましくは 1. 50〜2. 80を 有するものである。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂としては前記共通事項に記載のウレ タン結合を含まない脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) 及び Ζ又はウレタン結合を含 む脂肪族ポリエステル樹脂 (Γ) のいずれも使用できる (両者を (I ) と表 す。 )
放射線処理された (または放射線処理される) ポリ力プロラクトン (II) と脂 肪族ポリエステル樹脂 ( I ) の配合比は、 前者の 70~5重量%に対して後者の 30〜95重量% (両者の合計 100重量%) が好ましいが、 この場合前者の上 限を 60重量%以下にとることが特に好ましく、 前者の 40〜10重量%に対し て後者の 60〜90重量%の範囲が好適である。
この場合、 ポリ力プロラクトンが 70重量%を超えるとフィルム等成形物の高 温時の機械的物性が低下傾向を示し、 5重量%未満では生化学的分解に基づく崩 壊性が低下する可能性を有する。 この傾向は 40〜10重量%の範囲から外れた 場合も同様のことが言える。
一方、 脂肪族ポリエステル樹脂の配合量が 95重量%を超えると生分解性が遅 くなる傾向にあり、 逆に 30重量%未満では、 例えばフィルムに加工した場合に は耐熱性が低下する可能性がある。 この傾向は 60〜90重量%の範囲から外れ た場合も同様のことが言える。
ポリ力プロラクトンとポリ乳酸を用いる場合は、 重量比率は、 99/1〜1/ 99であり、 好ましくは 90Ζ 10〜60ノ40である。
ポリ力プロラクトンとジオール/脂肪族ジカルポン酸からのポリエステルを用 いる場合は、 重量比率 80Ζ20〜20Ζ80の範囲で配合される。
ポリ乳酸、 ジオール Ζ脂肪族シカルボン酸からのポリエステル、 ポリ力プロラ クトンの生分解性ポリマーの三種を混合して用いる場合は、 ジオールノ脂肪族シ カルボン酸からのポリエステルとポリ力プロラクトンの重合比率が 30/70〜 70 30であり、 ポリ乳酸とポリ力プロラクトンの重合比率が 20 80〜8 0/20であるように配合する。
上記組成によりフィルムを成形する場合には、 収縮曲線のカーブがなめらかと なり、 フィルムを容器に装着させて収縮させた場合、 収縮時におけるシヮの発生 を防止することができる。 この性質は前記フィルムから独立気泡緩衝シートを製 造した場合にも保たれる。
エンボスフィルム 2及びべ一スフィルム 1が多層フィルムである場合には層
(B) に上記材質が使用される。
多層フィルムの層 (A) を構成する脂肪族ポリエステル樹脂 (I) とポリカブ ロラクトン (II) の配合割合は、 双方の分子量、 要求される生分解性にもよる力 前者 (I) 100重量部に対し後者 (II) が 1〜200重量部、 更に好ましくは 40〜200重量部、 特には 80〜 120重量部の範囲である。
多層フィルムの層 (A) を構成する脂肪族ポリエステル樹脂 (I) とポリカブ ロラクトン (II) は多層フィルムの層 (B) を構成する脂肪族ポリエステル樹脂 (I) とポリ力プロラクトン (II) と同じであっても、 異なっていてもよい。
XI- 3. 樹脂添加剤
上記ポリカプロラクトン及び 又は生分解性ポリエステル樹脂には必要に応じ て前記共通事項に記載の樹脂添加剤を添加することができる。
なお、 微粉末シリカの添加量は、 ポリ力プロラクトン (II) 、 又はポリ力プロ ラクトン (II) と脂肪族ポリエステル樹脂 (I) の合計量 100重量部に対して 0. 1〜 3重量部の範囲が上記効果の発揮の点で最も好ましい。
独立気泡性緩衝シートを I C等の電子部品を梱包する際には、 シートの帯電が 問題になるので、 カーボン、 金属粉、 導電性樹脂等の導電性材料ゃノニオン系、 カチオン系またはァニオン系の公知の帯電防止剤が使用される。
XI- 4. ポリ力プロラクトン (II) の放射線照射処理
本発明では、 エンボスフィルム (2) 及び 又はべ一スフイルム (1) を構成 するポリ力プロラクトン (II) は所定の放射線照射処理をしたものである。
本発明に用いられるポリ力プロラクトン (II) は、 本発明の [IX]で述べたよう に、 予めポリ力プロラクトン (II) 単独に所定の放射線照射処理をするか、 脂肪 族ポリエステル樹脂 (I) や樹脂添加剤などと混合して放射線照射処理をするか、 樹脂の成形段階又は成形後に放射線照射処理をして放射線処理されたポリ力プロ
ラクトン (I I) を含むようにしてもよい。
本発明に係る上記特定の放射線照射処理をしたポリ力プロラクトン (I I) 、 該 ポリ力プロラクトン (Π) を含む組成物の溶融流動性は、 該放射線照射処理ポリ 力プロラクトン又は組成物がフィルム成形に供することができれば特に限定され るものではないが、 フィルム成形には、 メルトフローインデックス (M I ) ( 1 9 0 °Cにおいて荷重 2 1 6 0 gで測定) が 0 . 5〜2 0 g / 1 0 m i nであるこ とが好ましく、 特に 1〜 5 g Z 1 O m i nが適している。
独立気泡緩衝シートを製造する際の原料フィルムは適度なメルトテンションが 要求される。 メルトテンションとしては 3 g以上、 好ましくは 6 g以上、 さらに 好ましくは 1 0 g以上、 破断しないものが好ましい。 独立気泡はフィルムが半溶 融状態で成形されるために、 メルトテンションが 3 g未満であると樹脂が流れて 成形できない。 もし、 半溶融状態のフィルムを冷却し適度な溶融粘度にして独立 気泡緩衝シートを製造する場合には、 生産性が悪くなつたり、 生産条件の幅が狭 すぎて安定生産がし難い。
XI - 5 . 原料フィルムへの加工
放射線照射処理して得られた粉末又はべレット状の P C Lまたは P C L含有組 成物は、 放射線照射処理のない従来の P C L又はその組成物に比較して、 その架 橋構造に基づくと考えられる溶融粘度の向上により、 インフレーション法、 T一 ダイ法等、 従来の各種の成形方法により成形してフィルム又はシートに加工する ことができる。
得られたフィルムはそのままべ一スフイルム 1やエンボスフィルム 2用に使用 できる。
XI-5. 1 単層フィルム
本発明では、 エンボスフィルム (2 ) 及びノ又はベースフィルム (1 ) として、 ポリ力プロラクトン (I I) 単独又は脂肪族ポリエステル樹脂 ( I ) との組成物か らなり、 該ポリカプロラクトン (I I) が単独で又は他の少なくとも 1の構成成分 と共に放射線処理がされたものを原料に使用して、 従来の方法により成形するこ とができる。
例えば、 Tダイ、 インフレーション、 ブロー成形等によりフィルムを製造する
ことができる。 フィルムは、 1軸または 2軸延伸されていてもよい。
延伸フィルムはシュリンクタイプの独立気泡緩衝シート用フィルムとして使用 することもできる。
XI - 5.2 多層フィルム
本発明では、 エンボスフィルム (2) 及び Z又はベースフィルム (1) として、 脂肪族ポリエステル樹脂 ( 1 ) 100重量部に対して放射線照射されていないポ リカプロラクトン (II) を 1〜200重量部を配合してなる生分解性ポリエステ ル樹脂組成物からなる層 (A) 、 及びポリ力プロラクトン単独又は他の脂肪族ポ リエステル樹脂との組成物からなり、 該ポリカプロラクトンが単独で又は他の少 なくとも 1の構成成分と共に放射線処理がされたものである層 (B) からなる生 分解性多層フィルムを使用することができる。
上記多層フィルムシートの構成は、 1つの層 (A) と 1つの層 (B) からなる もの、 2つの層 (A) とその間に挟まれた 1つの層 (B) からなるもの、 層
(A) と層 (B) が交互に複数設けられたもの等が例示できるが、 特に 2つの層
(A) とその間に挟まれた 1つの層 (B) からなるものが好ましい。 この場合、
(B) 層を挟む二つの層 (A) の組成は、 同じものでも異なるものでもよい。 生分解性は層 (B) の方が層 (A) よりも速い。 従って、 同じ厚さのフィルム を比較すると、 層 (A) のみからなるフィルムよりも、 2つの層 (A) とその間 に挟まれた 1つの層 (B) からなるフィルムの方が生分解性が良好である。
また、 2つの層 (A) とその間に挟まれた 1つの層 (B) からなるフィルムは 横方向の引張強度が向上する。
多層フィルムの厚さは、 特に制限はないが、 例ぇば1 11〜 1 011111、 好まし くは 10 /xm〜l. 0mmである。 層 (A) と (B) 層の厚さの比率は特に制限 はなく、 目的に応じて決められる。 また、 層 (B) を挟む二つの層 (A) の厚さ は、 同じものでも異なるものでもよい。
XI-5.3 多層フィルムの成形方法
多層フィルム · シートは、 共押出し法により、 前記層 (A) を構成する原料と, 層 (B) を構成する原料を使用して、 従来の方法により成形することができる。 例えば、 共押出機を使用すれば、 Tダイ、 インフレーション、 ブロー成形によ
り多層フィルムを製造することができる。 共押出しの場合には、 フラットダイ又 はサ一キユラダイが使用できる。
また、 多層フィルムは、 上記各層 (A) 及び (B ) に相当するフィルムを、 T ダイ法、 インフレーション法、 プロ一法、 カレンダ一法、 キャスト法等により個 々に成形し、 それらを接着又は融着させて製造してもよい。
多層フィルムは、 1軸または 2軸延伸されていてもよい。
延伸多層フィルムはシユリンクタイプの独立気泡緩衝シ一ト用フィルムとして 使用することもできる。
XI-5. 4 エンボスフィルムへの加工
本発明で使用するエンボスフィルム 2には、 前記ベースフィルム 1が使用でき る。 ベ一スフイルム 1を使用して、 真空成形、 圧空成形、 真空/圧空成形等によ り、 必要であれば加熱して、 フィルムの全面に凸部 3を多数設け、 エンボスフィ ルム 2を得る。
XI- 6 . 独立気泡性緩衝シートへの加工
このようにして得られた平面状のベースフィルム 1及び多数の凸部 3を有する エンボスフィルム 2は、 熱又は接着剤により貼り合わされて、 独立気泡性緩衝シ —トとなる。
上記各種独立気泡性緩衝シートは、 その凸面側または平面側でクラフト紙ゃ段 ボール紙と貼り合わせてもよい。
本発明の独立気泡性緩衝シートは、 用途は特に限定されないが、 好ましくは使 用後自然環境下に放置される可能性のあるものに使用できる。
例えば、 精密機器、 電子部品、 陶磁器、 ガラス器、 家具、 果物、 菓子、 段ポー ル内張、 その他に使用され緩衝、 断熱、 防湿、 軽量、 衛生等の各性質で優れてい る。
本発明 [XI]の産業上の利用可能性
本発明 [XI]によれば、 耐熱性、 生分解性が向上し、 収縮フィルムの成形性、 使 用時の物性 (特に縦、 横共に十分な引張強度を有する) 、 廃棄後の生化学的分解 性等の点においてバランスのとれた独立気泡緩衝シートが得られ、 特に、 J I S
K 6 9 5 0で規定する都市下水汚泥中での 4週間培養後の分解率が 2 0 %、 好
ましくは 3 0 %を上回る。 以下、 本発明の [XI I]について説明する。
本発明は、 放射線照射ポリカプロラク卜ン単独、 又は放射線照射ポリ力プロラ クトンと天然樹脂、 酢酸セルロース樹脂、 生分解性セルロースエステル、 生分解 性脂肪族ポリエステル、 ォレフィン重合物、 ォレフィンを含む共重合物、 塩化ビ 二リデン重合物、 塩化ビニリデンを含む共重合物、 ジェン系重合物、 ワックス類、 石油樹脂、 油脂およびその変性物、 澱粉およびその変性物からなる群から選ばれ た 1種以上の他の皮膜剤との混合物を粒状品の表面に被覆してなる分解性被膜を 有する粒状品に関するものであり、 また、 皮膜剤との混合物を粒状品の表面に被 覆した後、 放射線照射してなる分解性被膜を有する粒状品に関するものである。 放射線を照射されるポリ力プロラクトン (第 1被膜材成分) は、 単独であって も、 又は、 該ポリカプロラクトンと他の少なくとも 1の成分とが共存してもよレ^ ここで、 他の少なくとも 1の成分とは、 他の皮膜剤 (第 2被膜材成分) 、 下記に 述べる第 3被膜材成分、 第 4被膜材成分等である。
本発明では、 分解性被膜を有する粒状品の分解性被膜に覆われた中身は固体で も、 ゼリー状でも、 液体でもよく、 固体は粒状でも粉体でもよい。
被膜材を、 溶液又はェマルジヨン状態にして、 例えば粒状品に噴霧すると同時 に、 乾燥して被覆することにより被膜を有する粒状品が得られる。
本発明に使用される原料ポリ力プロラクトンとしては、 前記のものが使用でき る。
本発明に使用される生分解性セルロースエステルとしては、 前記のものが使用 できる。
本発明において、 放射線処理後のポリ力プロラクトンは、 ゲル分率 0 . 0 5〜 1 0 0 %、 好ましくは 1 %以上、 さらに好ましくは 5〜 9 0 %を有するものであ る。
ゲル分率が上記範囲になるように照射することにより、 橋かけが生じて融点が 高くなり、 引張強度、 引裂強度が向上し、 コーティング時の粒子間のブロッキン グ性が低下し、 被膜の透明性が高くなる。
本発明においては、 放射線の照射時期は、 原料ポリ力プロラクトン、 原料ポリ 力プロラクトンと他の少なくとも 1の成分とが共存した状態、 コ一ティング中、 コ一ティング後のいずれの段階でもよい。
また、 初めに低線量で照射し、 後の段階で高線量で照射する態様も含まれ、 例 えば原料ポリ力プロラクトンペレツ卜段階ではゲル分率 0 . 0 1〜1 0 %、 好ま しくは 0 . 0 5〜 1 . 0 %になるように照射し、 コーティング中又は後 1〜9 0 %、 好ましくは 1 0〜9 0 %になるように照射することができる。
本発明に係る放射線照射処理に使用される放射線源としては、 前記本発明の [I X]のものが使用できる。
本発明において他の皮膜剤として用いられる物質としては、 天然樹脂、 酢酸セ ルロース樹脂、 生分解性セルロースエステル、 生分解性脂肪族ポリエステル、 ポ リビニルアルコール、 ポリペプチド、 ォレフィン重合物、 ォレフィンを含む共重 合物、 塩化ビニリデン重合物、 塩化ビニリデンを含む共重合物、 ジェン系重合物、 ワックス類、 石油樹脂、 油脂、 澱粉およびその変性物等が挙げられる。 これらは 1種または 2種以上がポリ力プロラクトンと併用できる。
本発明で使用される生分解性の脂肪族ポリエステル樹脂としては、 ポリ力プロ ラクトン以外のポリエステル樹脂であり、 前記のものが使用できる。
(他の皮膜材)
他の被膜材としてのォレフィン重合物とは、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 エチレン ·プロピレン共重合物、 ポリブテン、 ブテン ·エチレン共重合物、 ブテ ン *プロピレン共重合物、 ボリスチレン等であり、 ォレフィンを含む共重合物と は、 エチレン ·酢酸ビニル共重合物、 エチレン ·アクリル酸共重合物、 エチレン •アクリル酸エステル共重合物、 エチレン · メタアクリル酸共重合物、 エチレン • メタアクリル酸エステル共重合物、 エチレン ·一酸化炭素共重合体、 エチレン •酢酸ビニル ·一酸化炭素共重合体等である。 塩化ビニリデンを含む共重合物と は、 塩化ビニリデン ·塩化ビニル系共重合物であり、 ジェン系重合物とは、 ブ夕 ジェン重合物、 イソプレン重合物、 クロ口プレン重合物、 ブタジエン ·スチレン 共重合物、 E P D M重合物、 スチレン ·イソプレン共重合物等である。 ワックス 類とは、 密ロウ、 木ロウ、 パラフィン等であり、 天然樹脂とは、 天然ゴム、 ロジ
ン等であり、 油脂およびその変性物とは、 硬化油、 固形脂肪酸および金属塩等で あり、 ポリペプチドとはポリアミノ酸およびポリアミドエステル等であり、 澱粉 は天然澱粉または加工澱粉である。
澱粉としては前記澱粉が使用できる。
本発明において、 被膜材の被覆用粒状物単位重量に対する重量百分率、 すなわ ち被覆率は 1〜40%、 好ましくは 2〜30%、 さらに好ましくは 4〜 20%の 範囲である。
また、 ポリ力プロラクトンは、 被膜材全体の 10〜 100 % (重量) 、 好まし くは 50~ 100 %の範囲で用いられ、 他の被膜材は被膜材全体の 0〜 90 % (重量) 、 好ましくは 0〜50%の範囲で用いられる。
ポリ力プロラクトンとポリ乳酸を用いる塌合は、 配合重量比率は、 99Z1〜 1/99であり、 好ましくは 90/10〜60/40である。
ポリ力プロラクトンとジオール 脂肪族ジカルボン酸からのポリエステルを用 いる場合は、 好ましくは重量比率 80Z20〜20Z80の範囲で配合される。 ポリ乳酸、 ジオール 脂肪族シカルボン酸からのポリエステル、 ポリ力プロラ クトンの生分解ポリマーの三種を混合して用いる場合は、 好ましくはジオール/ ^ 脂肪族シカルボン酸からのポリエステルとポリ力プロラクトンの重合比率が 30 /70〜70Z30であり、 ポリ乳酸とポリ力プロラクトンの重合比率が 20/ 80〜80 / 20であるように配合する。
なお、 必要に応じて混合可能な下記第 3被膜材成分、 第 4被膜材成分等が用い られる。
使用できる第 3被膜材成分としては、 溶出調整剤としての界面活性剤、 不溶性 フィラーとしてのタルク、 炭酸カルシウム、 金属酸化物、 その他各種滑剤、 可塑 剤、 熱安定剤等が挙げられる。 これらの混合物は、 均一に分散することが必要で ある。 不均一になれば、 一部の微粒子が片寄って被膜材の連続相が損なわれ、 被 膜の効果が失われる。
本発明では、 さらに必要に応じて第 4被膜材成分が用いられる。 このような第 4被膜材成分としては、 例えば、 光分解促進剤および生分解促進剤、 溶出調整剤, フイラ一、 セルロース粉末等が挙げられ、 これら成分を均一に分散して用いるこ
とができる。
光分解促進剤としては、 前記のものが使用できる。
生分解促進剤としては、 前記のものが使用できる。
また生分解促進剤としては、 生分解酵素、 例えば、 リパーゼ、 セルラーゼ、 ェ ステラーゼ等の加水分解酵素も含まれる。 生分解酵素は、 溶剤に懸濁、 或いは、 分散させて用いることができる。 なお前記の光分解促進剤と生分解促進剤とは併 用使用することができる。 また、 被覆された顆粒の凝集防止にセルロース粉末を 混入することも可能である。
本発明では、 被膜材を水又は揮発性有機溶剤に溶解あるいは分散させて、 高温 に保持し、 噴霧状に粒状品の表面に添加すると同時に、 その位置に高速熱風流を 当て瞬時に乾燥しつつ、 被覆することにより粒状品が得られる。 有機溶剤として は、 アセトンのようなケトン類; ジイソプロピルエーテル、 テトラヒドロフラン のようなエーテル類; メタノール、 エタノール、 イソプロパノールのようなアル コール類;酢酸ェチルのようなエステル類; メタン塩化物のような塩素化炭化水 素等が挙げられる。
本発明 [XI I]の産業上の利用可能性
本発明 [XI I]によれば、 自然環境下に放置されても分解して残留せず、 保存安定 性に優れたコーティング肥料、 コーティング農薬、 カプセル化薬品又はノーカー ボン紙用マイクロカプセルが得られる。 以下、 本発明の [XI I I]について説明する。
本発明 [XI I I]の粒状農業園芸用組成物は、 上記被膜材からなる溶液を、 粒状肥 料に噴霧すると同時に、 その位置に高速熱風流を当てて、 瞬時に乾燥しつつ被覆 することにより得られ、 被膜が分解性を有し、 被膜の厚さや、 組成比を調節する ことで肥効期間も調節可能な被覆粒状肥料である。
本発明に用いられるポリラクトン (A) は、 前記共通事項で記載したラクトン 樹脂が使用できる。 ボリラク卜ン (A) の中でもポリ力プロラクトンが好ましい。 ポリラクトン (A) の数平均分子量としては、 5 0 0〜2 0万、 好ましくは 1 0 0 0〜 2万である。 分子量が 5 0 0よりも低すぎると粘着性が現れ、 2 0万よ
りも高すぎると溶剤への溶解性が悪く、 溶解しても粘度が高くなり、 加工 (塗 ェ) 性が悪くなる。
また本発明に用いられるポリラクトン (A) の比重は、 1. 20〜1. 25程 度である。 このため、 例えば比重 0. 97の石油樹脂と比重 1. 2 1のポリカブ ロラクトンを用い、 ポリ力プロラクトンの混合重量比が約 20 %以上では、 被膜 は水沈することとなる。
(B) 成分
本発明において使用される成分 (B) は、 石油樹脂、 ロジン類、 又はこれらの 混合物である。 成分 (B) には、 セラック、 ゼイン類、 アラビアガム等を添加す ることもできる。
石油樹脂は、 石油の分解生成油のうち、 炭素数 5〜1 1の留分を重合させて得 られる樹脂である。 本発明に用いられる石油樹脂の比重は、 0. 970〜0. 9 75程度である。
ロジン類としては、 ロジン、 硬化ロジン、 エステルガムが挙げられる。 本発明 に用いられるロジンの比重 d (25/25) は、 1. 07〜1. 08程度である。 ロジンエステルとしてはロジン又は主成分のァビエチン酸のメチルエステル、 それらの水添物、 ロジン又はアビェチン酸のエチレングリコールエステル、 ロジ ン又はアビェチン酸のジエチレングリコールエステル、 ロジン又はアビェチン酸 のペン夕エリスリ トールエステル;エステルガムとしてはロジン又はアビェチン 酸のグリセリンエステル等が挙げられる。
セラックは、 昆虫分泌物であり、 酸価 80前後、 軟化点 80 °C前後のものが挙 げられる。
ゼインとしては、 トウモロコシ等の植物から抽出された植物たんぱくが好まし い。
アラビアガムは、 植物分泌物であり、 無色ないし淡黄色の物が好ましい。
以上の (B) 成分またはそれに添加できる成分として、 天然系のもの、 例えば エステルガムとゼインを組み合わせれば完全な生分解性を有するものになり、 好 ましい。
ポリラクトン (A) の混合重量比は 20〜70 %、 好ましくは 30〜 60%の
範囲で用いられる。
ポリラクトン (A) の比率が 2 0 %より小さすぎると、 生分解性や崩壊性が劣 るようになり、 7 0 %を超えると透湿度が高くなりすぎて好ましくない。
第 3成分
上記ポリラクトン (A) と成分 (B ) からなる被膜には、 第 3成分 (成分 ( C ) ) を添加することができる。
このような第 3成分としては、 溶出調整剤としての界面活性剤、 不溶性フイラ 一としてのタルク、 炭酸カルシウム、 金属酸化物等が挙げられる。 これらの第 3 成分は、 均一に分散することが必要である。 不均一になれば、 一部の微粒子が片 寄って被膜材の連続相が損なわれ、 被膜の効果が失われる。
添加量としては、 被膜の全体に対し 2 0重量%以下であることが、 透湿度が上 がりすぎない点で好ましい。
第 4成分
本発明では、 さらに必要に応じて第 4成分が用いられる。 このような第 4成分 としては、 例えば、 前記共通事項で記載した光分解促進剤および生分解促進剤、 溶出調整剤、 フィラー、 セルロース粉末等が挙げられ、 これら成分を均一に分散 して用いることができる。 また、 被覆された顆粒の凝集防止にセルロース粉末を 混入することも可能である。
上記第 3成分及び第 4成分は、 ポリラクトン (A) 及び成分 (B ) からなる分 解性被膜に、 通常は均一に混合されるが、 必要に応じて、 該分解性被膜の内側又 は外側に、 層状に被覆されてもよい。
分解性被膜の厚みは 0 . 5〜 5 . 0 x m程度であり、 水田用、 畑作用、 果樹園 用、 芝生用等、 目的、 緩効性の程度に応じて調節することができる。
上記範囲より薄すぎると、 結果として透湿度が高くなり、 肥効持続期間の調節 という本発明の効果が出なくなる。 一方、 厚すぎると、 崩壊 ·分解に時間がかか るばかりでなく、 コストアップにもなる。
本発明の粒状農業園芸用組成物を使用した分解性被膜は、 水よりも比重が大き いので、 水田等に散布して利用しても、 肥料等が溶解した後も分解により被覆が 生分解して形状を止めなくなるまでの間でも水に浮くことがない。
粒状農業園芸用組成物には、 肥料の他に農薬等が添加されていてもよい。
肥料としては、 窒素系、 リン系、 硫黄系など各種のものが挙げられる。 農薬と しては、 除草剤、 殺虫剤、 殺菌剤等が挙げられる。
粒状品の大きさは、 直径が 0 . 1〜 1 0 mm程度の造粒品、 粉砕品等が挙げら れる。
本発明では、 被膜材を炭化水素、 塩素化炭化水素、 アルコール、 ケトン、 エス テル、 エーテル類等の溶剤に溶解あるいは分散させて、 高温に保持し、 噴霧状で 粒状肥料の表面に添加すると同時に、 その位置に高速熱風流を当てて瞬時に乾燥 しつつ、 被覆することにより粒状肥料が得られる。
本発明の粒状農業園芸用組成物を使用すると、 被覆後の、 被膜の透湿度が 1 , 0 0 0 g /m 2 · 日 · 1気圧 (1気圧を 1 a t mとも略す。 ) 以下、 好ましくは 5 0 0 g /m2 · 日 · 1気圧以下であり、 保管中に吸湿して固化することが少ない。 本発明 i n]の産業上の利用可能性
本発明 [XI I I]によれば、 粒状肥料は、 肥効持続期間の調節ができ、 肥料分溶出 後、 被膜は、 土壌微生物により崩壊、 分解し、 土壌中に残留しない。 また、 作物 の栽培期間後の残留成分は被膜が崩壊、 分解することによりなくなり、 肥培管理 が容易になる等の効果を有する。 以下、 本発明の [XIV]について説明する。
本発明の生崩壊性樹脂組成物は、 ラクトン樹脂 5〜70重量部及び脂肪族ポリエス テル樹脂 95〜30重量部からなる生分解性樹脂組成物 100重量部、 並びに、 熱可塑性 樹脂 5〜20重量部からなり、 さらに必要に応じて脂肪酸アミド、 液状滑剤、 タルク、 微粉末シリカの少なくとも 1種を添加したものである。
本発明では、 ラクトン樹脂としては、 前記のものが使用できて、 好ましくはポ リカプロラクトンである。
ポリ力プロラクトンの分子量は、 前記のものであるが、 数平均分子量が 10, 000 〜200, 000のものが好ましく、 さらに好ましくは 40, 000〜100, 000のものである。 本発明では、 脂肪族ポリエステル樹脂としては、 前記のウレタン結合を含まな い脂肪族ポリエステル樹脂もウレ夕ン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂も、 微
生物の生産するポリエステルも使用できる。
本発明では、 脂肪族ポリエステル樹脂とラクトン樹脂との配合割合は、 ラクト ン樹脂 5〜70重量部及び脂肪族ポリエステル樹脂 95〜30重量部からなる。
ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂とを混練する場合は、 両者に相溶性の あることが混練して得られる樹脂組成物の機械特性の面から好ましいが、 両者の 相溶性が無い場合は、 例えば、 被混練樹脂成分とポリ力プロラクトン成分の共重 合体等の相溶化剤、 例えば両者の中間の極性を有する樹脂などの添加も好ましく 使用できる。
相溶化剤としては、 特に制限はなく、 ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステルとを 相溶化させる性質を有するものであればよい。 相溶化剤を加えることにより互い の樹脂が極めて均一に分散し、 優れた物性を有する混合物が得られる。
し熱可塑性樹脂]
本発明で使用する熱可塑性樹脂としては、 特に限定されるものではないが、 ポ リスチレン系樹脂 (ポリスチレン単独又はゴム変性スチレン系樹脂など) 、 ォレ フィン系樹脂 (ポリプロピレン、 メタ口セン触媒などを用いて得られる分子量分 布のシャープなポリプロピレン、 エチレン-プロピレン共重合体、 ポリメチルペン テンなどの結晶性又は非結晶性ォレフイン系樹脂) 、 ポリエステル系樹脂 (ポリ エチレンテレフ夕レート、 ポリブチレンテレフ夕レートなどのポリアルキレンテ レフ夕レート ;ポリエチレンナフ夕レート等のポリアルキレンナフ夕レート ;又 はポリアルキレンナフ夕レート単位を 5 0モル%以上、 好ましくは 7 0モル%以 上含むコポリエステル、 他の芳香族ポリエステルなど) 、 ポリアミド樹脂 (ナイ ロン 6、 ナイロン 6 6、 ナイロン 1 0、 ナイロン 1 2、 ナイロン 6 1 0、 ナイ口 ン 6 1 2などの単独又は共重合ナイロン、 芳香族ポリアミドなど) 、 ポリカーボ ネート系樹脂 (ビスフエノール A型ポリ力一ポネートなど) 、 ポリスルホン系樹脂
(ポリスルホン、 ポリエーテルスルホンなど) 、 ポリフエ二レンエーテル系樹脂、 ポリフエ二レンスルフイ ド系樹脂、 ポリエーテルケトン系樹脂、 ポリアセタール 系樹脂 (単独又は共重合ポリアセタール) 、 熱可塑性エラストマ一 (熱可塑性ポ リウレ夕ンエラストマ一、 ポリエステルエラストマ一など) が例示できる。 これ らの熱可塑性樹脂は単独で、 又は 2種以上組み合わせて使用してもよい。
(ゴム変性スチレン系樹脂)
これらの熱可塑性樹脂の内で、 少量の添加でデュポン衝撃強度を大きく向上さ せるものとして、 ゴム変性スチレン系樹脂 (軟化点約 7 0 °C) が好ましい。
ゴム変性スチレン系樹脂はゴム成分と、 ゴム変性されていないスチレン系樹脂 との混合による混和物で構成された耐衝撃性スチレン系樹脂であつてもよいが、
(a)ゴム成分の存在下で少なくとも芳香族ビニル単量体を重合して得られるゴム成 分と芳香族ビニル単量体とのグラフ卜重合体、 およびノ又は
(b)ゴムブロック Aと芳香族ビニル重合体ブロック Bとのブロック共重合体 ( A B A型又は B A B型等のブロック共重合体など)
が通常使用される。
このうち、 少量のゴム添加量で大きな耐衝撃性が得られる、 ゴム変性スチレン 系グラフト共重合体 (a ) が特に好ましい。
ブロック共重合体 (b ) は熱可塑性エラス卜マーを形成する場合が多い。 また、 グラフト共重合体 (a ) はランダム共重合体であってもよく、 ブロック共重合体 の構造はリニア一状でもスター状であってもよい。
好ましいゴム変性スチレン系グラフト共重合体 (a ) としては、 グラフ卜重合 体 [特に耐衝撃性ポリスチレン、 例えばスチレン -ブタジエン共重合体 (SB樹脂) 、 ブタジエン-スチレン-無水マレイン酸共重合体 (ゴム変性スチレン一無水マレイ ン酸共重合体) 、 スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体 (ABS樹脂) 、 AXS樹脂 (式中 Aはアクリロニトリル、 Xはエチレン-プロピレンゴム (EPDMゴム) 、 アクリルゴム、 エチレン-酢酸ビニル共重合体、 塩素化ポリエチレンから選択され た少なくとも一種のゴム成分、 Sはスチレンをそれぞれ示す。 ) ] 、 スチレン系ブ ロック共重合体 (例えば、 スチレン -ブタジエン-スチレン (SBS) 共重合体、 スチ レン-イソプレン-スチレン (SIS) 共重合体などの熱可塑性エラストマ一) などが 挙げられる。 これらのゴム変性スチレン系グラフ卜共重合体 (a ) は水素添加物 であってもよい。 上記の内、 特に好ましくは、 SB樹脂、 ゴム変性スチレン-無水マ レイン酸共重合体、 スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体 (ABS樹脂) 、 スチレン-ブタジエン-スチレン (SBS) ブロック共重合体、 スチレン-イソプレン -スチレン (SIS) ブロック共重合体、 およびこれらの水添物である。
ゴム変性スチレン系グラフ卜共重合体 (a ) に含まれるゴム成分の含有量は、 例えば 1〜20重量%、 好ましくは 5〜15重量%、 更に好ましくは 8〜10重量%である。 上記ゴム成分としては、 特に制限はなく、 従来ゴム変性スチレン系樹脂に慣用 されているもの、 例えば天然ゴムやポリブタジエンゴム、 ポリイソプレンゴム、 スチレン一ブタジエン系共重合体ゴム、 スチレンーィソプレン系共重合体ゴム、 ブチルゴム、 エチレン一プロピレン系共重合体ゴム等の合成ゴム、 あるいはこれ らのゴムとスチレンとのグラフト共重合体ゴム等を用いることができる。 特に好 ましいのはスチレン一ブタジエン系共重合体ゴムである。 このスチレン一ブ夕ジ ェン系共重合体ゴムとしては、 数平均分子量が 5 0 , 0 0 0〜5 0 0, 0 0 0の 範囲にあり、 かつスチレン類で形成される重合体ブロックの含有量が 1 0〜6 0 重量%の範囲にあるものが特に好ましい。 該分子量が 5 0, 0 0 0未満のもので は耐衝撃性が十分ではないし、 5 0 0 , 0 0 0を超えると成形時の流動性が低下 するようになり好ましくない。 またこのスチレン一ブタジエン系共重合体ゴムに 数平均分子量が 5 0, 0 0 0〜5 0 0 , 0 0 0程度のボリブタジエンゴムを適宜 配合したものを用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂は、 好ましくは熱可塑性樹脂単独で成形したシート (厚さ 0. 35mm) のデュポン衝撃強度が 1 0 k g f · c mZ c m2以上、 特に 1 5 k g f . c m/ c m2以上のものである。
生分解性樹脂組成物と熱可塑性樹脂との配合割合は、 生分解性樹脂組成物単体 の機械物性と生分解性、 及び最終的に要求される生崩壊性樹脂組成物の機械物性、 生分解性にもよるが、 生分解性樹脂組成物 100重量部に対し熱可塑性樹脂が 5〜20 重量部、 更に好ましくは 8〜12重量部である。
生分解性樹脂組成物に使用される樹脂と熱可塑性樹脂とを混練する場合、 両者 に相溶性のあることが好ましいが、 両者の相溶性が無い場合、 例えば、 生分解性 樹脂成分と熱可塑性樹脂の共重合体等の相溶化剤、 例えば両者の中間の極性を有 する樹脂などの添加も好ましく使用できる。
これに使用する相溶化剤としては、 特に制限はなく、 生分解性樹脂、 熱可塑性 樹脂とを相溶化させる性質を有するものであればよい。 相溶化剤を加えることに より互いの樹脂が極めて均一に分散し、 優れた物性を有する混合物が得られる。
本発明で使用する脂肪酸アミ ドとしては、 前記のものが使用できる。
脂肪酸アミ ドの配合割合は、 ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計 10 0重量部に対して、 脂肪酸アミド 0. 2〜5重量部、 好ましくは 0. 3〜1. 5重量部の範囲 である。
脂肪酸アミ ドの配合割合が 0. 2重量部未満ではブロッキング防止効果が少なく、 一方 5重量部より多いとフィルム等の成形品では滑りも大きくなり過ぎ、 印刷適 性、 接着性等も悪くなる。
本発明の生崩壊性樹脂組成物には、 さらに前記液状滑剤を添加することができ る。
液状滑剤の添加量は、 生分解性樹脂組成物 100重量部に対して、 液状滑剤 0. 1〜 3重量部、 好ましくは 0 . 3〜0 . 6重量部である。
本発明の生崩壊性樹脂組成物には、 さらに前記微粉末シリ力を添加することが できる。
微粉末シリカの添加量は、 生分解性樹脂組成物 100重量部に対して、 微粉末シリ 力を 0. 1〜3重量部、 好ましくは 0 . 3〜 1 . 0重量部である。
本発明の生崩壊性樹脂組成物には、 さらに前記タルクを添加することができる。 タルクの添加量は、 生分解性樹脂組成物 100重量部に対して、 タルクを 10〜40重 量部、 好ましくは 2 0〜3 0重量部である。
本発明の生崩壊性樹脂組成物には、 前記各種の樹脂添加剤を添加することがで きる。
樹脂添加剤としては、 前記可塑剤、 熱安定剤、 増量剤、 炭酸カルシウム等の充 填剤、 滑剤、 着色剤、 難燃剤、 耐水化剤、 流滴剤、 自動酸化剤、 紫外線安定剤、 架橋剤、 抗菌剤、 除草剤、 酸化防止剤、 脱臭剤、 核剤、 帯電防止剤、 光分解又は 生分解促進剤等を添加することができる。
ラクトン樹脂、 脂肪族ポリエステル樹脂及び熱可塑性樹脂と脂肪酸アミド、 液 状滑剤、 微粉末シリカ、 タルク等の混練方法は、 前記方法が使用できる。
本発明により得られる樹脂は、 生分解性樹脂成分の生分解性を損なわず、 .生分 解性樹脂単体よりも遙かに強い衝撃強度を持つものとなる。
本発明 [XIV]の産業上の利用可能性
本発明 [XIV]によれば、 生崩壊性樹脂組成物の耐衝撃性を飛躍的に向上させるこ とができた。 ゆえに汎用樹脂の代替各分野で使用できる可能性が出てきた。
また生崩壊性樹脂組成物においては、 生分解性樹脂成分の生分解性はほとんど 損なわれることなく良好な分解性を示した。 生分解後、 最終的に残る非分解性成 分も少量であるので、 ゴミとして堆積する量が少なく汎用樹脂を使用することに 比べると環境問題の点からも有利である。
[実施例及び試験方法に関して]
次に、 本発明の [I]〜[XIV]毎に、 それぞれの発明に固有な実施例を説明するが、 それらの実施例によって各発明を限定するものではない。
なお、 各発明の実施例中 「%」 及び 「部」 とあるのは、 特に断りのない限り重 量基準を表す。
物性は次により測定した。
メルトインデックス (M I ) : 190°Cにおける 2, 160 g加重の時の 10 分間当たりの押出量 (単位 g/10分) である。
メルトテンション (MT) : シリンダー温度 1 50°C、 シリンダー速度 lmm Z分、 押出し径 lmm φ、 L/D= 10, 流入角 = 90度で棒状に押出し、 引取 速度 10mZ分、 キヤピラリー · ロードセル間距離 50 cmの条件で、 押出した 棒状の樹脂を引っ張ったときの張力の値 (単位 g) である。
降伏強度、 破断伸度、 引張弾性率: JIS K7113に準じる。
デュポン衝撃強度:〗IS K7211に準じる。
アイゾット衝撃強度 (23°C) : J I S K— 7 1 10に準じる。
サンプルの生分解性評価方法: J I S K 6950に準じた活性汚泥を使用す る方法や、 土壌中の埋設、 海水中や河川中への浸漬、 コンポストでの評価など種 々あるが、 以下における実施例では、 一般フィールドでの分解性と相関関係があ るとされる J I S K6950に準じて、 成形品を粉末にして、 活性汚泥中での 酸素消費量から生分解性を求める。
(本発明の [ I ]の実施例)
(実施例 I- 1〜 I- 3及び比較例 I- 1) (押出し成形)
ポリエステル樹脂としてビオノ一レ # 1 00 1 (コハク酸 Z1 , 4—ブタンジ オール共重合体、 昭和高分子 (株) 製) と、,ポリ力プロラクトン 「PCLH7」 (ダイセル化学工業 (株) 製, 数平均分子量 70, 000) と、 タルクを表 1-1 の重量比率で配合して、 これらをラボプラストミルに供給し、 1 50°C、 30 r pmで混練した。 トルクが安定した後、 更に 1 0分間加熱混練して、 得られた樹 脂組成物をシートに押出成形した。 結果を表 1-1に示す。
押出成形条件
シリンダー温度: 1 60 °C スクリユー回転数: 60 r p m
樹脂圧: 2 1 0〜260 k gZcm2
ロール温度: 60°C ロール速度: 0. 5mZ分
シー卜 :幅 250 mm、 厚さ 0. 5 mm
表 1-1 実施例 実施例 実施例 比較例 1-1 1-2 1-3 1-1 組成比 (重量部)
ビオノ一レ # 1 00 1 56 49 42 70 ポリ力プロラクトン PH 7 24 2 1 1 8 30 タルク 20 30 40 0 シート押出成形性 厚みむら 良好 良好 ネッキング大 僅かあり 厚み、 幅 とも不良 比重 (g/ c m3) 1.361 1.463 1.586
ビカツト軟化点 (°C) 106.1 107.2 109.1
曲げ強度 (k g/cm2) 356 431 500
曲げ弾性率 (k gZcm2) 11300 17500 26900
引張強度 (k gZcm2) 275 288 312
(降伏点) (降伏点) (破断点)
引張弾性率 (k g/cm2) 10100 15100 19800
引張伸び (%) 121 18 4
この結果、 タルクを充填しない場合にはネッキング、 厚みむらが著しく、 ダイリ ップ開度 1. 2mmでは押出し温度を 140°C、 120 °Cに低下してもシート押 出しが困難であった。
(実施例 1-4〜 1-6及び比較例 1-2) (真空成形シート)
ポリエステル樹脂としてピオノーレ# 3001 (コハク酸 アジピン酸 1, 4一ブタンジオール共重合体、 昭和高分子 (株) 製) と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH7」 (ダイセル化学工業 (株) 製, 数平均分子量 70, 000) と、 タルクを表 1-2の重量比率で配合して、 これらをラボプラス卜ミルに供給し、 1 50°C、 30 r pmで混練した。 トルクが安定した後、 更に 10分間加熱混練し て、 得られた樹脂組成物を単発シー卜成形機により真空成形した。
真空成形条件
成形温度: 1 10 °c
冷却時間: 5秒
シ一卜 : 250 X 250 mm、 厚さ 0. 5 mm
結果を表 1-2に示す。 この結果、 タルクを充填しない場合には 1 10°Cの成形 温度ではドローダウンが大きく真空成形が困難であり、 95°Cでは成形ができた が金型離型性が悪く、 タルク入りに比較して冷却時間を 2倍以上にしなければな らなかった。
表 1-2
熱収縮応力を東洋精機社製メルテンレオメーター (伸張粘度計) を使用して 1
20°Cでピーク卜ップより求めた。
この結果、 タルク入りのものは熱収縮応力が大きく、 真空成形時等に溶融樹脂 がドローダウンし難い。
(実施例 1-7及び比較例 1-3) (押出し成形品の生分解性)
実施例 1-2で得られたシート (ビオノ一レ # 1001Zポリ力プロラクトン
「PCLH7」 Zタルク =49/21ノ30) について生分解性を測定した。
28日後の生分解性結果は、 81 %であった。
一方、 比較例 1-1で得られたシート (ビオノ一レ # 1001 ポリ力プロラク トン 「PCLH7」 タルク = 49/2 1 0) について生分解性を測定した。
28日後の生分解性結果は、 75 %であった。
結果を図 1-1に示す。
この結果、 タルク混練による生分解性の改善効果が見られる。
(実施例 1-8及び比較例 1-4)
コハク酸ジメチル (Mw= 146) 43. 8 g、 1, 4—ブタンジオール 29. l g、 テトライソプロピルチタネート 0. 02 gを撹拌機、 分流管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 190°Cで 2時間、 引き 続いて徐々に減圧にしながら、 1〜0. 5mmHgで 200でに昇温して 8時間 撹拌し、 更に 0. 5〜0. ImmHgで 2 10〜220°Cに昇温して 5時間撹拌 し、 メタノール及び過剰の 1, 4—ブタンジォ一ルを系内から留出除去し、 ポリ エステル樹脂を合成した。 ポリエステル樹脂の数平均分子量は約 38, 000、 重量平均分子量は約 75, 000であった。
このウレタン結合を含まない高分子量ポリエステル樹脂 100重量部、 ポリ力 プロラクトン 「PCLH7」 1 1. 1重量部、 タルク 47. 6重量部を使用して 実施例 1-7と同様にしてシートを作成し、 その生分解性を測定した。
28日後の生分解性結果は、 46 %であった。
一方、 比較例 1-4として高分子量ポリエステル樹脂 100重量部とポリ力プロ ラクトン 「PCLH7」 1 1. 1重量部を使用して比較例 1-3と同様にしてシー 卜を作成し、 その生分解性を測定した。
28日後の生分解性結果は、 40 %であった。
この結果、 ウレタン結合を含まない高分子量ポリエステルを使用した場合、 ポ リカプロラクトンの配合比率を少なくしてもタルクを混合することにより生分解 性が向上することが分かる。
(本発明の [II]の実施例)
(実施例 II- 1)
コハク酸 (Mw= 1 18) 35. 4重量部と 1, 4—ブタンジオール (Mw = 90) 29. 1重量部とテトライソプロピルチタネート 0. 02重量部を撹拌機、 分流管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 2 00°Cで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 0. 5mmHg以下に到達 した後、 200°Cで 5時間撹拌し、 水及び過剰の 1, 4—ブタンジオールを系内 から留出除去し、 ポリエステル樹脂を合成した。
次に、 窒素雰囲気常圧下、 200°Cでへキサメチレンジイソシァネート (Mw = 168) を 0. 8重量部添加して、 分子量を上げたポリエステル樹脂 (A) を 合成した。 ポリエステル樹脂 (A) の数平均分子量は GPCによる標準スチレン 換算で約 44, 000、 重量平均分子量は約 185, 000であった。
ポリエステル樹脂 (A) とポリ力プロラクトンとの混練およびフィルムサンプ ルの成形は、 以下の方法で行った。
ポリエステル樹脂 (A) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH 7」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 70, 000) 1 1. 1重量部をラボ プラス卜ミルに供給して 150°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定した後、 更に 10分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を Tダイ押出し成形し、 ェンボ ス加工を施して厚さ 40 Aimのフィルムを作製した。
300 X 250 mmのフィルムを 2枚重ね合わせ、 所定の手形にヒートシール し、 外周部分を切断して、 生分解性使い捨て手袋を得た。
クリーンルーム内でシリコンウェハーの取り扱いに該手袋を使用したが、 従来 のポリオレフィン製の手袋に比較して手袋からシリコンウェハーへの塵の移行が 少なかった。
(実施例 II- 2)
コハク酸ジメチル (Mw= 146 ) 43. 8重量部、 1, 4一ブタンジオール 29. 1重量部、 テトライソプロピルチタネート 0. 02重量部を撹拌機、 分流 管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 190 °Cで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 1〜0. 5mmHgで200cC に昇温して 8時間撹拌し、 更に 0. 5〜0. ImmHgで 2 10〜220°Cに昇 温して 5時間撹拌し、 メタノール及び過剰の 1, 4一ブタンジオールを系内から 留出除去し、 ポリエステル樹脂 (B) を合成した。 ポリエステル樹脂 (B) の数 平均分子量は約 38, 000、 重量平均分子量は約 75, 000であった。
ポリエステル樹脂 (B) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH1 Pj (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 1 1. 1重量部を使用 して実施例 II- 1と同様にしてフィルムを得た後、 生分解性使い捨て手袋を作成し た。
手袋は、 園芸用に使用した後、 土中に埋めて容易に生分解することができた。 (比較例 11-1)
ポリエステル樹脂 (A) のみのフィルム (厚さ 40 im) から、 実施例 II- 1と 同様にして手袋を作成した。
(比較例 II- 2)
ポリエステル樹脂 (B) のみのフィルム (厚さ 40 xm) から、 実施例 II- 1と 同様にして手袋を作成した。
(比較例 II- 3)
ポリ力プロラクトン PCLH7 (ダイセル化学工業製) のみのフィルム (厚さ 40 urn) から、 実施例 II- 1と同様にして手袋を作成した。
(比較例 II- 4)
超低密度エチレン— α—才レフイン共重合体、 長鎖分岐型低密度ポリエチレン、 短鎖分岐型低密度ポリエチレンからなるフィルム (厚さ 30 m) を使用して手 袋を作成した。
上記で得られたフィルムに付き、 機械特性、 耐熱性、 生分解性等の評価を行つ た。
表 Iト
機械特性:機械強度、 破断時伸び測定は、 サンプルは 3号ダンベルを使用し, J I S 7112に準じて行った。
耐熱性:樹脂片 (30 X 30 X 1 mm) を 2枚重ねて、 オーブン中で加熱し. 融着状況を観察し、 融着が生じる最低温度を求めた。
生分解性:結果は 4週間培養後の分解率で示した。 この結果、 実施例 11-1及び II- 2では生分解率は、 36%と 40であり、 ポリ エステル樹脂 (A) 、 (B) およびポリ力プロラクトンの混合比率から期待され る生分解率 (実施例 II- 1では 10 %、 実施例 II- 2では 22 %) よりも、 それぞ れ約 260 %と 100 %改善されていることが分かった。 これはポリエステル樹 脂 (A) 、 (B) はポリ力プロラクトンにより、 誘引分解したものと考えること ができる。
これに対して従来からのポリェチレン製使い捨て手袋は生分解性が無い。 以上のことから、 本発明のポリカプロラクトンを混練した樹脂組成物のフィル ムから得られた使い捨て手袋では、 フィルム製造時に被混練脂肪族ポリエステル 樹脂の融点低下等物性の低下を殆ど伴うことなく、 混練による生分解性の改善効 果が明らかである。
また、 本組成物を使用したフィルムは吸湿性があるので、 ポリエチレン製に比 較して手袋に付着した塵埃が落ちにくいし、 皮膚が汗ばみにくい。
(本発明の [III]の実施例)
(実施例 III- 1)
コハク酸 (Mw= 118) 35. 4重量部と 1, 4 -ル (Mw:
90) 29. 1重量部とテ卜ライソプロピルチタネート 0. 02重量部を撹拌機、 分流管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 2 00°Cで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 0. 5mmHg以下に到達 した後、 200°Cで 5時間撹拌し、 水及び過剰の 1, 4—ブタンジオールを系内 から留出除去し、 ポリエステル樹脂を合成した。
次に、 窒素雰囲気常圧下、 200ででへキサメチレンジイソシァネート (Mw = 168) を 0. 8重量部添加して、 分子量を上げたポリエステル樹脂 (A) を 合成した。 ポリエステル樹脂 (A) の数平均分子量は GPCによる標準スチレン 換算で約 44, 000、 重量平均分子量は約 185, 000であった。
ポリエステル樹脂 (A) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH7」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 70, 000) 1 1. 1重量部をラボブラ ストミルに供給して 150°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定した後、 更に 10分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を射出成形機で四角柱状の下端の尖 つた杭に成形した。
杭は土建用の杭に使用され、 1年後に自然環境下で分解され、 杭の形状が残つ ていなかった。
一方、 上記ラボプラス卜ミル加熱混練物の一部を加熱プレス成形して 1 50 X 1 50 X lmmシートを作製し、 物性を測定した。 加熱プレス成形は、 金型に必 要量の樹脂を入れて予熱 (150°C, 10分間) し、 加圧成形 (1 50°C, 10 0 k g/cm2, 10分間) した後、 自然放冷し、 金型からシ一卜を取り出す方法 で行った。 結果を表 III- 1に示す。
(実施例 III- 2)
ポリエステル樹脂 (A) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH7」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 70, 000) 1 1. 1重量部、 及びポリ エステル樹脂 (A) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 1 1. 1重量部の合計 に対して、 タルク 47. 6重量部 (全配合物中の 30重量%) を配合し、 ラポプ ラストミルに供給して 1 50°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定した後、 更 に 10分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を射出成形機で外径 5 cm、 肉厚 1 cm, 長さ 50 cm、 地上端が開孔し、 側面下半分に多数の孔を有する円筒状
の杭に成形した。
杭の開孔端から、 円筒内には大粒尿素肥料を充填し、 同樹脂製の蓋をはめて肥 料がこぼれないようにした。
肥料を充填した杭を、 斜面に植えられたミカンの木の根本近傍に打設した。 打設後、 杭の小孔から肥料が溶けだして、 木の周辺に肥料が施された。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 III- 1と同様 にしてシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 III- 2に示す。
(実施例 ΙΠ- 3)
コハク酸ジメチル (Mw= 146 ) 43. 8重量部、 1, 4—ブタンジオール 29. 1重量部、 テトライソプロピルチタネート 0. 02重量部を撹拌機、 分流 管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 190 °Cで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 1〜0. 511 1111"18で200で に昇温して 8時間撹拌し、 更に 0. 5〜0. ImmHgで 2 10〜220°Cに昇 温して 5時間撹拌し、 メタノール及び過剰の 1, 4一ブタンジォ一ルを系内から 留出除去し、 ポリエステル樹脂 (B) を合成した。 ポリエステル樹脂 (B) の数 平均分子量は約 38, 000、 重量平均分子量は約 75, 000であった。 ポリエステル樹脂 (B) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH1 P」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 1 1. 1重量部を使用 して実施例 III- 1と同様にして、 生分解性杭を作成した。
杭は、 園芸用に使用され、 1年後に自然環境下で分解され、 杭の形状が残って いなかった。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 III- 1と同様 にしてシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 III- 1に示す。
(実施例 ΠΙ-4)
ポリエステル樹脂 (B) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH1 P」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000 ) 1 1. 1重量部、 及び ポリエステル樹脂 (B) 100重量部とポリ力プロラクトン 1 1. 1重量部の合 計に対して、 タルク 47. 6重量部 (全配合物中の 30重量%) になるように配 合しラボプラストミルに供給して 150°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定
した後、 更に 10分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を射出成形機で外径 3. 2 cm、 肉厚 lmm、 長さ 50 cm (中空部長さ 40 cm) の円柱に成形し杭と した。
大豆粕 100重量部、 硫酸力リ 50重量部、 魚粉 100重量部、 植物成長剤 0. 001重量%水溶液 10重量部を混合して乾燥後、 棒状に成形した肥料 (外径 3 cm、 長さ 40 cm、 ) を上記円柱形杭内に挿入し、 同樹脂製の蓋をした。
肥料を充填した杭を、 斜面に植えられたブドウの木の根本近傍に打設した。 杭 が分解するにつれて、 木の周辺に肥料及び薬品が施された。
このような杭を予め作っておくことにより、 地面を掘り返して肥料等を鋤き込 む代わりに杭を打つだけで肥料が供給できるようになり、 作業性が向上し、 利用 率が向上し、 また肥料による臭気も改善される。 また杭から地中に空気等が供給 され易くなつた。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 III- 1と同様 にしてシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 III- 2に示す。
(実施例 ΠΙ-5)
ポリエステル樹脂 (A) 70重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH7」 3 0重量部を使用した以外は実施例 III- 1と同様にして円筒状の杭に成形した。 杭の開孔端から、 円筒内には大粒尿素肥料を充填し、 同樹脂製の蓋をはめて肥 料がこぼれないようにした。
肥料を充填した杭を、 斜面に植えられたミカンの木の根本近傍に打設した。 打設後、 杭の小孔から肥料が溶けだして、 木の周辺に肥料が施された。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 III- 1と同様 にしてシートを作製し、 生分解性を測定したところ 75%であった。
(比較例 III- 1)
ポリエステル樹脂 (A) のみを使用して、 実施例 III- 1と同様にして杭を作成 した。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 III- 1と同様 にしてシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 に示す。
(比較例 ΙΠ-2)
ポリエステル樹脂 (B) のみを使用して、 実施例 III- 1と同様にして杭を作成 した。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 III- 1と同様 にしてシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 III- 1に示す。
(比較例 II 1-3)
ポリ力プロラクトン PCLH7 (ダイセル化学工業製) のみを使用して、 実施 例 ΠΙ-1と同様にして杭を作成した。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 III- 1と同様 にしてシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 III- 1に示す。
(比較例 II 1-4)
ポリ塩化ビニルを使用して杭を作成した。
この結果、 実施例 III- 1及び III- 3では生分解率は、 36%と 40%であり、 ポリエステル樹脂 (A) 、 (B) およびポリ力プロラクトンの混合比率から期待 される生分解率 (実施例 III- 1では 10 %、 実施例 III-3では 22 %) よりも、 それぞれ約 260 %と 100 %改善されていることが分かった。 これはポリエス テル樹脂 (A) 、 (B) はポリ力プロラクトンにより、 誘引分解したものと考え ることができる。
これに対して従来からのポリ塩化ビニル製杭は生分解性が無い。 表 III-
機械特性:機械強度、 破断時伸び測定は、 サンプルは 3号ダンベルを使用し、
J I S 7 1 12に準じて行った。
耐熱性 :樹脂片 ( 30 X 30 X !_ mm) を 2枚重ねて、 オーブン中で加熱し、 融着状況を観察し、 融着が生じる最低温度を求めた。
生分解性: J I S K 6950に準じて、 活性汚泥中での酸素消費量から生分 解性を求めた。 結果は 4週間培養後の分解率で示した。
表 III- 2
以上のことから、 ポリ力プロラクトンを混練した樹脂組成物から得られた杭で は、 製造時に被混練脂肪族ポリエステル樹脂の融点低下等物性の低下を殆ど伴う ことなく、 脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトン混合による生分解性の 改善効果が明らかである。
また、 タルクを配合した杭では、 樹脂が硬いので杭を八ンマー等で打ち込み易 く、 さらに杭の生分解性が向上する。
内部に肥料及び Z又は薬品を含む生分解性杭は、 特に傾斜地で柿、 梨、 ミカン、 リンゴ等を栽培する場合に、 樹木の根の近傍に打設することにより、 緩効的に施 肥等が行われ、 手間が大幅に省けるとともに、 肥料等の風雨等による散逸が防が れ有効に利用される。
(本発明の [IV]の実施例)
(実施例 IV- 1)
コハク酸 (Mw= 1 1 8) 3 5. 4重量部と 1 4一ブタンジオール (Mw = 90 ) 29. 1重量部とテ卜ライソプロピルチタネート 0. 02重量部を撹拌機、 分流管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 2
00°Cで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 0. 5mmHg以下に到達 した後、 200°Cで 5時間撹拌し、 水及び過剰の 1 , 4一ブタンジオールを系内 から留出除去し、 ポリエステル樹脂を合成した。
次に、 窒素雰囲気常圧下、 200°Cでへキサメチレンジイソシァネート (Mw = 168) を 0. 8重量部添加して、 分子量を上げたポリエステル樹脂 (A) を 合成した。 ポリエステル樹脂 (A) の数平均分子量は GPCによる標準スチレン 換算で約 44, 000、 重量平均分子量は約 185, 000であった。
ポリエステル樹脂 (A) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH7」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 70, 000) 1 1. 1重量部をラボブラ ストミルに供給して 150°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定した後、 更に 10分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物をスクェア目合ネット成形機で、 縦 ストランド及び横ストランド幅約 lmm、 厚み 0. 5mm、 目開き 2mmになる ように押出し、 加熱融着し、 ネットに成形された。 ネットは製品幅 60、 長さ 6 0 cmにカツ卜されて植物保護資材とされた。
得られた植物保護資材は植物の若木の周囲を取り囲むように、 縦方向の長さの 半分が埋め込まれた。 これによつて野ゥサギ等による食害が防がれ、 植物は十分 な大きさに成長し、 また使用後植物保護資材は、 自然環境下でその形状を保たな いほどに崩壊、 分解された。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を加熱プレス成形して 1 50 X 1 50 X lmmシートを作製し、 物性を測定した。 加熱プレス成形は、 金型に必 要量の樹脂を入れて予熱 (1 50°C, 10分間) し、 加圧成形 (150°C, 10 0 k g/cm2, 10分間) した後、 自然放冷し、 金型からシートを取り出す方法 で行った。 結果を表 IV- Γに示す。
(実施例 IV- 2) '
ポリエステル樹脂 (A) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH7」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 70, 000) 1 1. 1重量部、 及びポリ エステル樹脂 (A) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 1 1. 1重量部の合計 に対して、 タルク 47. 6重量部 (全配合物中の 30重量%) を配合し、 ラポプ ラス卜ミルに供給して 1 50°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定した後、 更
に 10分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を実施例 IV-1と同様にして成形し、 幅 90 cm、 長さ 180 cmにカツ卜されて植物保護資材とされた。
得られた植物保護資材を樹木の幹の周囲に巻き付けた。 これによつて鹿等によ る食害が防がれ、 また所定期間後植物保護資材は、 自然環境下でその形状を保た ないほどに崩壊、 分解された。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 IV- 1と同様に してシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 IV- 2に示す。
(実施例 IV- 3)
コハク酸ジメチル (Mw= 146) 43. 8重量部、 1, 4—ブタンジオール 29. 1重量部、 テトライソプロピルチタネート 0. 02重量部を撹拌機、 分流 管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 190 °Cで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 1〜0. 5mmHgで200°C に昇温して 8時間撹拌し、 更に 0. 5〜0. ImmHgで 210〜220°Cに昇 温して 5時間撹拌し、 メタノール及び過剰の 1, 4一ブタンジオールを系内から 留出除去し、 ポリエステル樹脂 (B) を合成した。 ポリエステル樹脂 (B) の数 平均分子量は約 38, 000、 重量平均分子量は約 75, 000であった。
ポリエステル樹脂 (B) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH1 P」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 1 1. 1重量部及びシ クロへキシミド 0. 1重量部を使用して実施例 IV- 1と同様にして、 植物保護資材 を作成した。
得られた植物保護資材は、 農作物用に使用されてネズミ、 モグラによる食害を 防止することができた。 収穫後、 植物保護資材は自然環境下で分解され、 植物保 護資材の形状が残っていなかった。
一方、 上記ラボプラス卜ミル加熱混練物の一部を使用して実施例 IV- 1と同様に してシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 IV-1に示す。
(実施例 IV- 4)
ポリエステル樹脂 (B) 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH1 P」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 1 1. 1重量部、 及び ポリエステル樹脂 (B) 100重量部とポリ力プロラクトン 1 1. 1重量部の合
計に対して、 タルク 4 7 . 6重量部 (全配合物中の 3 0重量%) になるように配 合しラボプラストミルに供給して 1 5 0 °C、 3 0 r p mで混練し、 トルクが安定 した後、 更に 1 0分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を使用して実施例 IV - 2 と同様にして植物保護資材を作成した。
得られた植物保護資材は、 左右両端を支柱に固定して高さ 9 0 c m、 全幅約 5 mのフェンス状にして、 植物の動物による食害を防止した。 フェンスが不要にな つたところで取り外し、 切断して堆肥の中に放置し、 自然分解させた。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 IV- 1と同様に してシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 IV- 2に示す。
(実施例 IV- 5 )
ポリエステル樹脂 (A) 7 0重量部と、 ポリ力プロラクトン 「P C L H 7」 3 0重量部を使用した以外は実施例 IV- 1と同様にして植物保護資材を成形した。 得られた植物保護資材を樹木の幹の周囲に巻き付けた。 これによつて鹿等によ る食害が防がれ、 また所定期間後植物保護資材は、 自然環境下でその形状を保た ないほどに崩壊、 分解された。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 IV- 1と同様に してシートを作製し、 生分解性を測定したところ 7 5 %であった。
(比較例 IV- 1 )
ポリエステル樹脂 (A) のみから、 実施例 IV- 1と同様にして植物保護資材を作 成したが生分解性は不十分であつた。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 IV- 1と同様に してシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 IV- 1に示す。
(比較例 IV- 2 )
ポリエステル樹脂 (B ) のみから、 実施例 IV- 1と同様にして植物保護資材を作 成したが生分解性は不十分であつた。
一方、 上記ラボプラストミル加熱混練物の一部を使用して実施例 IV- 1と同様に してシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 IV- 1に示す。
(比較例 IV- 3 )
ポリ力プロラクトン P C L H 7 (ダイセル化学工業製) のみから、 実施例 IV - 1
と同様にして植物保護資材を作成したが機械物性、 成形性が不十分であった。
一方、 上記ラボプラス卜ミル加熱混練物の一部を使用して実施例 IV- 1と同様に してシートを作製し、 物性を測定した。 結果を表 IV- 1に示す。
(比較例 IV- 4)
低密度ポリエチレンを使用して植物保護資材を作成したが生分解性が無い。 表 IV - 実施例 実施例 比較例 比較例 比較例 IV- 1 IV- 3 IV- 1 IV- 2 IV- 3 破断強度 (kg/cm2) 620 340 600 355 610 破断時伸び (%) 560 285 530 280 730 耐熱性 (。C) 1 15 1 15 1 18 1 18 60 生分解性(分解率%) 36 40 2 15 81 表 IV - 2 実施例 実施例
IV- 2 IV- 4
組成比 (重量部)
脂肪族ポリエステル (A) 49
脂肪族ポリエステル (B) 49
ポリ力プロラクトン PH 7 21 21
タルク 30 30
比重 (g, /cm3) 1.46 1.45
ビカツト軟化点 (°c) 107 110
曲げ強度 (k g, z c mつ 430 440
引張強度 (k g, / c mつ 288 290
(降伏点) (降伏点)
生分解性(分解率%) 42 46 機械特性:機械強度、 破断時伸び測定は、 サンプルは 3号ダンベルを使用し、
J I S 7 1 12に準じて行った。
耐熱性 :樹脂片 (30 X 30 X 1 mm) を 2枚重ねて、 オーブン中で加熱し、 融着状況を観察し、 融着が生じる最低温度を求めた。
生分解性: J I S K 6950に準じて、 活性汚泥中での酸素消費量から生分 解性を求めた。 結果は 4週間培養後の分解率で示した。
この結果、 実施例 IV- 1及び IV- 3では生分解率は、 36%と 40%であり、 ポ リエステル樹脂 (A) 、 (B) およびポリ力プロラクトンの混合比率から期待さ れる生分解率 (実施例 IV-1では 10 %、 実施例 IV- 3では 22 %) よりも、 それ ぞれ約 260 %と 100 %改善されていることが分かった。 これはポリエステル 樹脂 (A) 、 (B) はポリ力プロラクトンにより、 誘引分解したものと考えるこ とができる。
これに対して従来からのポリオレフィン製植物保護資材は生分解性が無い。 以上のことから、 ポリ力プロラクトンを混練した樹脂組成物から得られた植物 保護資材では、 製造時に被混練脂肪族ポリエステル樹脂の融点低下等物性の低下 を殆ど伴うことなく、 脂肪族ポリエステル樹脂とポリ力プロラクトン混合による 生分解性の改善効果が明らかである。
また、 タルクを配合した植物保護資材では、 さらに生分解性が向上する。 本発明の植物保護資材は植物の幹等に巻くなどして、 植物のネズミ、 モグラ、 野ゥサギ、 鹿あるいは鳥等による食害を防止することが可能であり、 内部に忌避 剤を含む植物保護資材を使用することもできる。
(本発明の [V]の実施例)
[実施例 V- 1 ]
ポリ力プロラクトン (PCLH7 (ダイセル化学工業 (株) 製) ) 30部とポ リ 1, 4—ブタンジオール—コハク酸エステル (ピオノーレ # 1001 (昭和高 分子 (株) 製) ) 70部を 2軸スクリュータイプのベント式押出機 (40mm 径) に入れ、 ダイス温度 180°Cで押出してラクトン含有樹脂のペレットを得た このラクトン含有樹脂のメルトインデックスは 2 g/1 Om i nであった。 調製したペレツトを用いて以下の如き成形条件で Tダイ押出法によりテープを 製造し、 テープの物性を測定した。 結果を表 V-1に示す。
成形条件
押出機: 4 Omm径押出機
スクリュー: L/D= 28、 MDPE (中密度ポリエチレン) 用スクリユー
Tダイ :幅 5 0mm、 ギャップ 3. 0 mm
押出温度: シリンダ一先端部において 1 7 0°C
ダイ温度: 1 7 0 °C
樹脂温度 (T 1 ) : 1 6 0 °C
スクリユー回転数: 1 5 r pm
吐出量: 1 5 k gZh r
縦延伸倍率: 5倍 表 V -
[実施例 V- 2 ]
実施例 V-1で使用したポリ力プロラクトン 3 0部とポリ 1, 4一ブタンジォー ルーコハク酸エステル 7 0部からなるラクトン含有樹脂 7 0部に対してタルク 3 0部を加えて、 2軸スクリュータイプのベント式押出機 (4 0 mm径) に入れ、 ダイス温度 1 8 0°Cで押出してラクトン含有樹脂組成物のペレツ卜を得た。 調製したペレツトを用いて実施例 V- 1と同様の成形条件で Tダイ押出法により テープを製造し、 テープの物性を測定した。 結果を表 V-1に示す。
[比較例 V - 1 ]
ポリプロピレンのペレツ卜を用いて実施例 V-lと同様の成形条件で Tダイ押出 法によりテープを製造した。 調製したペレツ卜を用いて実施例 V-1と同様の成形 条件で Tダイ押出法によりテープを製造し、 テープの物性を測定した。 結果を表 V - 1に示す。
この結果、 従来のポリプロピレン製の梱包 ·包装用テープ並以上のテープが得 られた。
また、 実施例 V- 1、 V- 2及び比較例 V- 1のテープを、 下記方法により生分解性 試験を行った結果、 活性汚泥による分解では実施例 V-1と V- 2のテープは 28日 間で約 75 %が分解したが、 比較例 V- 1のテープは全く分解しなかった。
(本発明 [VI]の実施例)
本発明に用いられる樹脂の数平均分子量の測定は、 次の GPC法により行なつ た。
測定装置: S h o d e x GPC K F— 804 L (昭和電工株式会社製)、 溶 離液: CHC 13、 サンプルカラム: S h o d e X No 9506461 3本、 ポリマ一溶液: 0. lwt %, 200 し 操作条件:液流量 1. 0m l /分、 カラム温度 50°C、 圧力 30 k g/cm2、 検出器: S h o d e xR I、 分子量ス タンダ一ド :標準ポリスチレン
なお、 機械物性の測定は J I S K7 127により、 以下の条件で行った。 テンシロン:島津製作所製オートグラフ。
サンプル: 3号ダンベル。
引張速度: 20 Omm/m i n.
本発明のカードの生分解性は、 カードを畑土壌中に埋設し、 放置後の分解状態 を目視により観察した。
(参考実施例 VI- 1及び VI- 2)
ポリ乳酸系樹脂 (A) としてラクティ 1012 (島津製作所製, 数平均分子量 70, 000) 、 ポリ力プロラクトン系樹脂 (C) として PCLH— 7 (ダイセ ル化学工業製, 数平均分子量 100, 000) 、 及び、 脂肪族ポリエステル樹脂 (B) としてピオノーレ # 3020 (昭和高分子製、 コハク酸と 1, 4一ブタン
ジオール Zエチレングリコールコポリエステル、 数平均分子量 20, 000) 、 ビオノ一レ # 1003 (昭和高分子製、 コハク酸と 1, 4一ブタンジオールポリ エステル数平均分子量 70, 000 ) を使用した。
ポリ乳酸系樹脂 (A) 、 ポリエステル樹脂 (B) およびポリ力プロラクトン系 樹脂 (C) を表 VI- 1に示す割合で混合し、 ラボプラストミルにより 180°Cで 5 分間混練した。 得られた組成物を加熱プレス成形し、 1 50 X 1 50 X 1. 0m mシートを作製した。 加熱プレス成形は、 金型に必要量の樹脂を入れて予熱 (1 80°C, 10分間) し、 加圧成形 ( 180°C, 100 k g/cm2, 10分間) し た後、 自然放冷し、 金型からシートを取り出す方法で行った。
結果を表 VI- 1に示す。 なお、 表においてラクティ # 1012はラクティと、 P CLH_ 7は H 7と略記した。
表からわかるように、 生分解性、 剛性、 靭性およびブロッキング温度 100で 以上の耐熱性に優れた生分解性樹脂組成物が得られた。
(参考実施例 VI- 3〜VI- 6)
ポリ乳酸系樹脂 (A) としてラクティ # 1012 (島津製作所製, 数平均分子 量 70, 000) 、 ポリ力プロラクトン系樹脂 (C) として PCLH—7 (ダイ セル化学工業製, 数平均分子量 100, 000 ) 、 及び、 脂肪族ポリエステル樹 脂 (B) としてビオノ一レ # 100 1 (昭和高分子製、 コハク酸と 1, 4ーブ夕 ンジオールポリエステル、 数平均分子量約 100, 000) 、 ピオノーレ # 10 03 (昭和高分子製、 コハク酸と 1, 4—ブタンジォ一ルポリエステル、 数平均 分子量 70, 000) を使用した。
ポリ乳酸系樹脂 (A) 、 ポリエステル樹脂 (B) およびポリ力プロラクトン系 樹脂 (C) を表 VI- 1に示す割合で混合し、 ラボプラストミルにより 190°Cで 5 分間混練した。 得られた組成物を加熱プレス成形し、 1 5 0 X 1 5 0 X 1. Om mシートを作製した。 加熱プレス成形は、 金型に必要量の樹脂を入れて予熱 (1
90°C, 10分間) し、 加圧成形 (190°C, 100 k g/cm2, 10分間) し た後、 自然放冷し、 金型からシートを取り出す方法で行った。
結果を表 VI- 1に示す。 表からわかるように、 生分解性、 剛性、 靭性およびプロ ッキング温度 10 o°c以上の耐熱性に優れた生分解性樹脂組成物が得られた。
このことは、 基材の硬度が増し、 寸法安定性が向上することを意味する。 表 VI.-1
(参考比較例 VI- 1〜VI- 5)
比較のため相溶化剤なし、 相溶化剤がエポキシ化スチレン一ブタジエンースチ レンブロック共重合体 「ESBS」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 、 エチレン一グリシジルメ夕クリレート共重合体 「ボンドファースト 7 M」 (住友化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 、 PCLH1 P (ダイセル 化学工業製, 数平均分子量 10, 000) を 10%含有するポリカーボネート樹 脂及びハイ トレル 40507 (三井デュポンポリケミカル製、 ブチレン/ポリテ 卜ラメチレンエーテルグリコールコポリテレフ夕レート) を使用した。 結果を表
VI - 2に示す。
相溶化剤が生分解性がない場合には、 三成分系樹脂組成物は生分解性が悪く、 脂肪族ポリエステルを 5 50重量%含まないものは生分解性が悪い他、 5重 %未満では伸びが悪く、 50重量%を超えるとブロッキング温度が低下する。 表 Vト 2
(参考比較例 VI- 6)
ポリ乳酸系樹脂 (A) としてラクティ 1 0 1 2 (島津製作所製, 数平均分子量 70 000) 、 ポリ力プロラクトン系樹脂 (C) として P CLH— 7 (ダイセ ル化学工業製, 数平均分子量 1 00 000) 、 及び、 脂肪族ポリエステル樹脂
(B) としてピオノーレ # 1 003 (昭和高分子製、 コハク酸と 1 , 4一ブタン
ジオールポリエステル、 数平均分子量 70, 000) を表 VI- 2に示す割合で使用 した他は参考実施例 VI-3と同様に行った。
結果を表 VI- 2に示す。 表からわかるように、 ブロッキング温度が低かった。 (実施例 VI- 1 )
参考実施例 VI- 3で使用したものと同じ種類の樹脂混合物 100重量部に、 マイ 力 (HAR 160白石工業株式会社製) 35. 0重量部、 酸化チタン 5. 6重量 部をベント式押出機にて混練後、 得られた樹脂組成物を Tダイ溶融押出機により 加工温度 200°Cで規定の厚さに押し出し後、 二軸延伸、 カレンダー処理を行な い、 表面平滑性を向上させた厚さ 190 mのシートを得た。 このシートは曲げ 弾性率が 40, 000 k g f Zcm2を示し、 ポリエチレンテレフ夕レート樹脂シ —卜に近い特性が得られた。 このシートの生分解性を測定するため、 シートを微 粉末に粉砕後乾燥し、 J I S K 6950に準じて測定した。 その結果、 シート 中のプラスチックスに換算し 70重量%の良分解性であった。 なお、 比較のため P L ACCEL H7とビオノ一レ # 1003について同様に生分解性を測定し た結果、 それぞれ 81重量%、 2重量%であった。
このシートに下記の組成からなる磁気塗料をナイフコ一ティングにより約 10 mの黒色磁気記録層を形成し、 約 3000ガウスの水平磁界中の磁場配向をか けた後、 100°Cの熱風で 3分間乾燥させた。 シートへの磁気塗料の形成性は良 好であった。
(磁気塗料の組成)
磁性分 ( 1 7500 e :バリゥムフェライ 卜) 100部、 塩化ビニル—酢酸ビ ニル共重合体 (VAGF :ユニオン力一バイ ト社製) 20部、 ポリウレタン樹脂 (二ツボンラン 2304 : 日本ポリウレタン工業) 30部、 へキサメチレンジィ ソシァネート (コロネート HX: 日本ポリウレタン工業) 2部、 カーボンブラッ ク (# 3000 :三菱化成社製) 5部、 分散剤 (ガ一ファック RE— 6 10 : 東邦化学社製) 3部、 希釈溶剤 (トルエン ZMEK/M I BK) 100部。
前記シートを縦 5 7. 5111111ズ横8 5. 0 mmのサイバネ規格の図 VI- 1に示す カード 1を作製した。 このカード 1を、 カードの読み取り、 書き込み装置を有す るゲートに 2m/s e cで通過させたところ、 異常は生じなかった。 このカード
を水中に 30秒間浸漬した後、 水を拭き取り、 同様にゲートを通過させたが、 異 常は生じなかった。 この時の剛度は 25 g f Zcmであり、 水への浸漬の前後に おいて変化はなかった。 さらにこのカード 1を畑土壌中に埋設し、 分解状態を観 察したところ、 4力月経過後には、 磁気記録層を残して、 形状も保持されてない 状態であった。
(実施例 VI- 2)
参考実施例 VI- 6で使用したものと同じ種類の樹脂混合物 100重量部およびマ イカ (HAR 160 白石工業株式会社製) 40重量部、 酸化チタン 6. 7重量 部をベン卜式押出機にて混練後、 これを Tダイ溶融押出機により加工温度 200 °Cで規定の厚さに押し出し後、 二軸延伸、 カレンダー処理を行い、 表面平滑性を 向上させた厚さ 560 πιのコアシートを作製した。 このシートについて実施例 VI-1と同様に生分解性を測定した。 その結果、 シート中のプラスチックスに換算 し 75重量%の良分解性であった。
次に実施例 VI- 1と同じ配合の組成物を Τダイ溶融押出機により加工温度 200 °Cで規定の厚さに押し出し後、 二軸延伸、 カレンダー処理を行い、 表面平滑性を 向上させた厚さ 100 mのカバーシートを作製した。 さらにコアシ一ト 12の 両面にカバーシート 13を積層し、 図 VI- 3に示すカード 1 1とした。 このカード の引っ張り強度は 4. 9 k g/mm2を示し、 軟化温度は 100 °Cであり、 塩化ビ ニル樹脂製カードよりも高く、 また 1 50°Cの流動パラフィン中に 5分間浸漬さ せたが、 シート間の剥離は生じることなく、 全体として塩化ビニル樹脂製カード と同程度以上の特性を示した。 また、 シートへの磁気塗料の形成性は良好であつ た。 なお、 このカード 1 1を畑土壌中に埋設し、 分解状態を観察したところ、 4 力月経過後には、 磁気記録層を残して、 形状も保持されてない状態であった。
(比較例 VI- 1)
樹脂として、 数平均分子量 90000の脂肪族ポリエステル樹脂 (コハク酸系 ポリエステル樹脂, 昭和高分子 (株) 製ビオノ一レ # 1003) 100重量部と 数平均分子量 100000のポリ力プロラクトン (ダイセル化学工業 (株) 製 P LACCEL H7) 43重量部を使用し、 これにマイ力 (HAR 160白石工 業株式会社製) 50重量部、 酸化チタン 8重量部を混練した以外は、 実施例 VI- 1
と同様に行い磁気塗料を塗布したシートを得た。
得られたシートからのは、 剛性が不足であり、 カードの読み取りに異常をじた。 (比較例 VI- 2)
数平均分子量 52000の樹脂 (コハク酸と 1, 4一ブタンジオールとの脂肪 族ポリエステル樹脂 100重量部、 ポリ力プロラクトン (ダイセル化学工業
(株) 製 PL ACCEL H7) 50重量部およびマイ力 (HAR 160 白石 工業株式会社製) 60重量部、 酸化チタン 10重量部を混練した以外は、 実施例 VI - 2と同様に行った。
得られたシートからのは、 剛性が不足であり、 カードの読み取りに異常をじた。
(本発明の [VII]の実施例)
(実施例 VI 1-1)
予めコロナ放電処理を施した紙 (晒しクラフト紙、 秤量 80 g/m2) を用意し た。
予め、 60°C、 3時間、 乾燥したポリ力プロラクトン (ダイセル化学工業 (株) 製) 30部とポリ 1, 4—ブタンジオールーコハク酸エステル (ビオノ一 レ 1003 (昭和高分子 (株) 製) ) 70部の混合物のメルトインデックスは 2 0であった。
ポリ力プロラクトンとピオノーレを上記比率で 2軸スクリユータイプのベント 式押出機 (40mm径) に供給し、 ダイス出口温度 200T:、 引取速度 20m/ m i nでフィルム状に押出して、 該樹脂フィルムと上記紙を冷却ロールとプレス ロールにより熱 ·圧着して樹脂層の厚さ 30 mの生分解性積層体を得た。
得られた生分解性積層体を使用して、 生分解性樹脂層 (1) を内側にして袋状 に折り畳み、 入り口を除きヒートシールして袋を作成した。 袋の中に書類を入れ た後、 入り口をヒートシールにより封じた。
このものは、 雨に当たっても中の書類は濡れなかった。
また、 生分解性樹脂層 (1) のフィルムを堆肥中に埋めて、 60日放置したと ころ、 フィルムの形状は残っていなかった。
(実施例 VI I- 2)
ポリ力プロラクトン (PCLH7 (ダイセル化学工業 (株) 製) ) 30部と脂 肪族ポリエステル (ピオノーレ # 1001 (昭和高分子 (株) 製) ) 70部を 2 軸スクリュータイプのベント式押出機 (40mm怪) に供給し、 ダイス温度 18 0°Cで押出してラクトン含有樹脂のペレツ卜を得た。
このラクトン含有樹脂のメルトインデックスは 2 g/ 10m i nであった。 調製したぺレッ卜を用いて以下の如き成形条件で Tダイ押出法によりフィルム を製造し、 該フィルムを実施例 VII-1で使用した紙の両面にラミネートした。 成形条件
押出機: 4 Omm径押出機
スクリュー: L/D= 28、 MDPE (中密度ポリエチレン) 用スクリュー
Tダイ :幅 50mm、 ギャップ 3. 0 mm
押出温度: シリンダ一先端部において 200°C
ダイ温度: 200 °C
樹脂温度 (T 1) : 180°C
スクリユー回転数: 15 r pm
吐出量: 1 5 k gZh r
また、 実施例 VII- 2で得られたフィルムを、 下記方法により生分解性試験を行 つた結果、 活性汚泥による分解では実施例 VII-2の積層体は 28日間で約 75% が分解した。
(実施例 VII- 3)
脂肪族ポリエステル (ビオノ一レ # 1003 (昭和高分子 (株) 製) 、 メルト インデックス 5. 6) を 2軸スクリュータイプのベント式押出機 (4 Omm径) に入れ、 ダイス温度 200°Cでフィルム状に押出して、 該樹脂フィルムを実施例 VII- 1で使用した紙の 2枚の間に挟み、 冷却ロールとプレスロールにより熱 ·圧 着して樹脂層の厚さ約 30 < mの生分解性積層体を得た。
(実施例 VII-4)
コハク酸 (Mw= 1 1 8) 35. 4 gと 1, 4一ブタンジオール (Mw= 9 0) 29. 1 gとテトライソプロピルチタネート 0. 02 gを撹拌機、 分流管、
ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 200でで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 0. 5mmHg以下に到達した後、 200°Cで 5時間撹拌し、 水及び過剰の 1, 4一ブタンジオールを系内から留出 除去し、 ポリエステル樹脂を合成した。
次に、 窒素雰囲気常圧下、 200ででへキサメチレンジイソシァネート (Mw = 168) を 0. 8 g添加して、 分子量を上げたポリエステル樹脂 (A) を合成 した。 ポリエステル樹脂 (A) の数平均分子量は GPCによる標準スチレン換算 で約 44, 000、 重量平均分子量は約 1 85, 000であった。
ポリエステル樹脂 (A) とポリ力プロラクトンとの混練およびシートサンプル の成形は、 以下の方法で行った。
ポリエステル樹脂 (A) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH 7」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 70, 000) 1 1. 1重量部をラボ プラストミルに供給して 1 50°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定した後、 更に 10分間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を加熱プレス成形し、 1 50 X 150 X 1mmシートを作製した。 加熱プレス成形は、 金型に必要量の樹脂を入 れて予熱 (1 50°C, 10分間) し、 加圧成形 ( 150°C, 100 k g/cm2, 10分間) した後、 自然放冷し、 金型からシートを取り出す方法で行った。
生分解性結果は、 4週間培養後の分解率で、 36%であった。
(実施例 VII- 5)
コハク酸ジメチル (Mw= 146) 43. 8 g、 1, 4—ブタンジオール 29. l g、 テトライソプロピルチタネート 0. 02 gを撹拌機、 分流管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 190°Cで 2時間、 引き 続いて徐々に減圧にしながら、 1〜0. 5mmHgで 200°Cに昇温して 8時間 撹拌し、 更に 0. 5〜0. ImmHgで 2 10〜220°Cに昇温して 5時間撹拌 し、 メタノール及び過剰の 1, 4—ブタンジオールを系内から留出除去し、 ポリ エステル樹脂 (B) を合成した。 ポリエステル樹脂 (B) の数平均分子量は約 3
8000、 重量平均分子量は約 75000であった。
ポリエステル樹脂 (B) とポリ力プロラクトンとの混練とシートサンプルの成 形は、 以下の方法で行った。
ポリエステル樹脂 (B) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH 1 P」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 1 1. 1重量部をラボ プラストミルに供給して 150°C、 30 r pmで、 トルクが安定した後、 10分 間加熱混練した。 得られた樹脂組成物を、 加熱プレス成形して 150 X 150 X lmmシートを作製した。 加熱プレス成形は、 金型に必要量の樹脂を入れて予熱
( 1 50 °C , 10分間) し、 加圧成形 ( 1 50°C, 100 k g/cm2, 10分 間) した後、 自然放冷し、 金型からシートを取り出す方法で行った。
生分解性を、 実施例 VII-4と同様にして求めた。 結果は 4週間培養後の分解率 で、 40 %であった。
この結果、 実施例 VII- 4、 VII- 5の実際の生分解性結果は、 ポリエステル樹脂
(A) 、 (B) およびポリ力プロラクトンの混合比率から期待される生分解率
(実施例 VII- 4では 10 %、 実施例 VII- 5では 22 %である。 ) よりも、 それぞ れ約 260 %と 100 %改善されていることが分かる。 これはポリエステル樹脂
(A) 、 (B) はポリ力プロラクトンにより、 誘引分解したものと考えることが できる。
以上のことから、 ポリ力プロラクトンを混練することにより、 被混練脂肪族ポ リエステル樹脂の融点低下等物性の低下を殆ど伴うことなく、 混練による生分解 性の改善効果が明らかである。
(本発明の [VIII]の実施例)
[実施例 VII 1-1]
予め、 60°C、 3時間、 乾燥したポリ力プロラクトンとしてプラクセル H7 (商品名、 ダイセル化学工業 (株) 製、 数平均分子量 70, 000) と脂肪族ポ リエステル樹脂としてポリ 1, 4一ブタンジオールーコハク酸エステル (ビオノ ーレ 1003 (昭和高分子 (株) 製) ) を 2軸スクリユータイプのベント式 3色 押出機 (40mm径) に供給し、 ダイス出口温度 200°C、 引取速度 20m/m i nで、 中心層が厚さ 200 mのポリ力プロラクトンであり、 両外層がそれぞ れ厚さ 200 mの脂肪族ポリエステル樹脂である 3層フィルムを得た。
得られた生分解性積層フィルムの引裂強度は、 各樹脂単独で成形した 600 u
mのフィルムよりも、 引裂強度が向上した。
また、 生分解性積層フィルムを堆肥中に埋めて、 60日放置したところ、 フィ ルムの形状は残っていなかった。
また、 得られた積層フィルムを、 下記方法により生分解性試験を行った結果、 活性汚泥による分解では 28日間で約 75%が分解した。
生分解性試験方法:上記で得られた積層フィルムを粉砕し、 都市下水汚泥環境 下にて、 J I S K 6950に準じた 28日間の生分解性試験に供した。
[実施例 VII 1-2]
コハク酸 (MW=1 18) 35 k gと 1, 4—ブタンジオール (MW= 90 ) 29 k gとテトライソプロピルチタネー卜 0. 02 k gを撹拌機、 分流管、 ガス 導入管、 減圧用管を備えた反応器に入れ、 窒素雰囲気常圧下、 200でで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 0. 5mmHg以下に到達した後、 200 °C で 5時間撹拌し、 水及び過剰の 1, 4一ブタンジオールを系内から留出除去し、 ポリエステル樹脂を合成した。
次に、 窒素雰囲気常圧下、 200°Cでへキサメチレンジイソシァネート (MW = 168) を 0. 8 k g添加して、 分子量を大きくしたポリエステル樹脂 (A) を合成した。 ポリエステル樹脂 (A) の数平均分子量は GPCによる標準スチレ ン換算で約 44, 000、 重量平均分子量は約 180, 000であった。
上記で得られた脂肪族ポリエステル樹脂を使用した以外は、 実施例 VIII- 1と同 様にして中心層がポリ力プロラクトンであり、 両外層が脂肪族ポリエステル樹脂 の 3層積層フィルムを得た。
得られた生分解性積層フィルムの引裂強度は、 各樹脂単独で成形した 600 i mのフィルムよりも、 引裂強度が向上した。
このフィルムを、 ヒー卜シールにより繋げて、 トンネルハウス用農業用フィル ムに加工した。 この農業用フィルムは、 ヒートシール強度が十分であり、 また光 線透過率が高く、 露地物野菜栽培用に適していた。
また、 生分解性積層フィルムを堆肥中に埋めて、 60日放置したところ、 フィ ルムの形状は残っていなかった。
また、 得られた積層フィルムを、 生分解性試験を行った結果、 活性汚泥による
分解では 2 8日間で約 4 0 %が分解した。
[実施例 VI I I- 3 ]
数平均分子量 1 0 0, 0 0 0のポリ乳酸を脂肪族ポリエステル樹脂として使用 した以外は、 実施例 VI I I- 1と同様にして中心層がポリ力プロラクトンであり、 両 外層が脂肪族ポリエステル樹脂の 3層積層フィルムを得た。
得られた生分解性積層フィルムの引裂強度は、 各樹脂単独で成形した 6 0 0 mのフィルムよりも、 引裂強度が向上した。
また、 生分解性積層フィルムを堆肥中に埋めて、 6 0日放置したところ、 フィ ルムの形状は残っていなかった。
また、 得られた積層フィルムを、 生分解性試験を行った結果、 活性汚泥による 分解では 2 8日間で約 7 5 %が分解した。
[実施例 VI I I- 4 ]
両外層用の樹脂として、 プラクセル H 7 : ピオノーレ 1 0 0 3を重量比で 3 0 : 7 0で混合した生分解性樹脂を使用した以外は、 実施例 VI I I- 1と同様にして、 中心層がポリ力プロラクトンであり、 両外層が脂肪族ポリエステル樹脂とラクト ン樹脂の混合物である 3層積層フィルムを得た。
生分解性積層フィルムを堆肥中に埋めて、 6 0日放置したところ、 フィルムの 形状は残っていなかった。
また、 得られた積層フィルムを、 生分解性試験を行った結果、 活性汚泥による 分解では 2 8日間で約 8 0 %が分解した。
[実施例 VI I I - 5 ]
ポリ力プロラクトンを中心層にして、 ビオノ一レ 1 0 0 3を一方の側の外層に、 数平均分子量 1 0 0, 0 0 0のポリ乳酸を他の側の外層に使用した以外は、 実施 例 V I I I - 1と同様にして 3層積層フィルムを得た。
得られた生分解性積層フィルムの引裂強度は、 各樹脂単独で成形した 6 0 α mのフィルムよりも、 引裂強度が向上した。
また、 生分解性積層フィルムを堆肥中に埋めて、 6 0日放置したところ、 フィ ルムの形状は残っていなかった。
また、 得られた積層フィルムを、 生分解性試験を行った結果、 活性汚泥による
分解では 28日間で約 70%が分解した。
(本発明の [IX]の実施例)
[ i . ポリ力プロラクトンの放射線処理の効果]
(参考例 1 )
ポリ力プロラクトンのペレット (メルトインデックス 2. 57 g/10分) を 融点以上に加熱したのち 50°Cに冷却し、 非晶状態にある内に放射線として電子 線を 60 k Gyおよび 160 k Gy照射したところ、 得られた処理ペレツトのメ ルトインデックスはそれぞれ 0. 05 gZl O分 (後記ゲル分率 60%) および 0. 03 gZl O分 (ゲル分率 80%) であった。 該未処理ペレットおよび処理 ペレットを都市下水汚泥環境下にて、 J I S K 6950に準じた 25 、 4週 間の生分解性試験に供した。 その結果、 未照射処理品の分解率が 55 %であった のに対し、 照射処理品はそれぞれ 86. 2%、 77. 2%であった。 更に照射処 理品を 200°Cのホットプレスでシート状にし、 粉砕した試料について同様に生 分解性試験を行った。 その結果、 分解率はそれぞれ 87. 0%、 87. 8%であ つた。
照射線種を電子線からァ線に変えて行い、 同様の試験結果を得た。
(参考例 2)
参考例 1で使用したポリ力プロラクトンに電子線の照射量を 15 kGyとして 常温で照射した。 処理ペレット (メルトインデックスは 1. O gZl O分, ゲル 分率 0. 2%) を 4 Omm^の T一ダイを設けた押出機 (樹脂温度 1 50°C) で 押し出し、 厚さ約 270 mのシートを得た。 得られたシートについて、 常温で、 引裂試験、 J I S K721 1に準じた耐衝撃強度試験および J I S K678 2に準じた引張試験を行い、 同様にシート化した未照射処理品の試験結果と比較 した。
その結果、 未照射処理品、 照射処理品の順に、 引張強度 (MD :縦方向) は 2 60、 280 k g f · c m, 同横方向 (TD) は 210、 230 k g f · c m、 引張伸度 (MD) は 1 1 30、 1 240 %、 同 TDは 1 130、 1 160%、 引 裂強度 (MD) は 160、 270 g f , 同 TDは 190、 450 g f 、 耐衝撃強
度試験は 23. 8、 25. 2 k g f · cmとそれぞれ向上した。
(参考例 3 )
参考例 1で使用したポリ力プロラクトンに常温で、 電子線を 10、 20、 40、 100 kGy照射して M lとゲル分率 (%) の変化を測定し、 下表 IX- 1の値を得 た。
表 IX- 1
なお、 参考例 1〜3において、 ポリ力プロラクトンに生分解性樹脂ピオノーレ を添加したものについて照射を検討したが、 本質的には変わりはなかつた。
[ii. 放射線処理されたラクトン樹脂 (4) または放射線処理されたラクトン樹脂 とラクトン樹脂以外の生分解性樹脂との組成物 (4' ) の調製]
〔調製例 1〕
ポリ力プロラクトン (ダイセル化学工業 (株) 製、 商品名プラクセル H 7、 数 平均分子量 70, 000) のペレット 10 gを 1. 5 cm径のガラスアンプルに 入れ、 それを真空ラインに連結して空気を除去してから熔封した。 この試料を 8 0°Cのオーブン中で完全融解した後、 予め 45 °Cに調節しておいた金属ブロック に差し込み、 コノ ルト 60からのァ線により線量率 1 O kGy/h rで 100 k Gy照射した。 照射後はガラスアンプルを開封し、 1. 5 cm径の円柱状 PCL を取り出した。 これから厚み約 5 mmの薄板を切り出し、 200メッシュのステ ンレス金網に包み、 クロ口ホルム液中で 24時間浸漬し、 ゲル分率 (不溶分の割 合であり、 橋かけ度を表す。 ) を次式により求めたところ、 70%であった。
ゲル分率 (%) = (W2ZW,) X 100
(ここで、 Wiは浸漬前の PC Lの乾燥重量を表し、 W2は浸漬後の不溶分乾燥重 量を表す。 )
更に、 耐熱性を調べるために 2〜 3mm厚みにスライスした PCLを 200°C の熱プレスによりフィルム状に圧縮成形したが、 得られたフィルムは極めて透明 性に優れたものであった。 耐熱性は引張速度 10 OmmZm i nで高温引張試験 機を使って求めた。 結果は表 IX- 2に示す。
バッ卜状ガラス容器にポリ力プロラクトンペレツトを敷きつめて、 前記照射と 同程度のゲル分率となるよう調節したポリ力プロラクトン 40部、 ポリ 1, 4— ブタンジォ一ルーコハク酸エステル 60部、 流動パラフィン 0. 5部、 ステアリ ン酸アミ ド 1部を 2軸スクリュータイプのベント式押出機 (4 Omm径) に入れ、 ダイス温度 1 80°Cで押出して樹脂組成物のペレツ卜を得た。
この樹脂組成物のメルトインデックスは 0. 1 gZl Om i nであった。
〔調製例 2〕
ァ線により 150 kGyの線量で照射を行った以外は調製例 1に記載の照射ェ 程と同様の工程を経たポリ力プロラクトンのゲル分率は 82 %であった。 更に耐 熱性の試験を調製例 1記載の方法で行い、 その結果を表 IX- 2に示した。
上記照射工程を経たポリ力プロラクトン 40部、 ポリ 1, 4—ブタンジオール ーコハク酸エステル 60部、 流動パラフィン 0. 5部、 ステアリン酸アミド 0. 8部及び微粉末シリカ (日本ァエロジル社製 「ァエロジル # 200」 ) 0. 8部、 を用いて調製例 1と同様に樹脂組成物のペレツトを得た。
この樹脂組成物のメルトインデックスは 0. 09 gZ 1 Om i nであった。 〔調製例 3〕
調製例 2に記載の照射工程と同様の工程を経たポリカプロラクトン 40部、 ポ リ 1, 4一ブタンジオールーコハク酸エステル 60部、 流動パラフィン 0. 5部、 ステアリン酸アミド 0. 5部及びァエロジル # 200 (同上) 0. 5部を用いて 調製例 1と同様に樹脂組成物のペレツ卜を得た。
この樹脂組成物のメル卜インデックスは 0. 09 gZ 1 Om i nであった。 〔調製例 4〕
調製例 2に記載の照射工程と同様の工程を経たポリ力プロラクトン 40部、 ボ
リ 1, 4—ブタンジオール—コハク酸エステル 60部、 流動パラフィン 0. 5部、 ステアリン酸アミド 0. 5部、 ァエロジル # 200 (同上) 0. 5部及びトウモ ロコシ澱粉 50部を用いて調製例 1と同様に樹脂組成物のペレツトを得た。
この榭脂組成物のメルトインデックスは 0. 09 gZl 0m i nであった。 〔比較調製例 1〕
未照射ポリ力プロラクトン 40部、 ポリ 1, 4—ブタンジオール—コハク酸ェ ステル 60部、 流動パラフィン 0. 5部、 ステアリン酸アミド 0. 8部, 微粉末 シリカ (日本ァエロジル社製 「ァエロジル # 200」 ) 0. 8部を用いて調製例 1と同様に樹脂組成物のペレツ卜を得た。 この樹脂組成物のメルトインデックス は 3. 9 g/ 10分であった。
[iii. 脂肪族ポリエステル樹脂 (1) とポリ力プロラクトン (2) からなる生分 解性ポリエステル樹脂組成物 (3) の製造]
(製造例 IX- 1)
コハク酸 (Mw= 1 18) 35. 4 gと 1, 4—ブタンジオール (Mw= 9 0) 29. 1 gとテトライソプロピルチタネート 0. 02 gを撹拌機、 分流管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 200でで 2時間、 引き続いて徐々に減圧にしながら、 0. 5mmHg以下に到達した後、 200°Cで 5時間撹拌し、 水及び過剰の 1, 4—ブタンジオールを系内から留出 除去し、 ポリエステル樹脂を合成した。
次に、 窒素雰囲気常圧下、 200°Cでへキサメチレンジイソシァネート (Mw = 168) を 0. 8 g添加して、 分子量を上げたポリエステル樹脂 (l a) を合 成した。 ポリエステル樹脂 (l a) の数平均分子量は GPCによる標準スチレン 換算で約 44, 000、 重量平均分子量は約 185, 000であった。
ポリエステル樹脂 (l a) とポリ力プロラクトンとの混練およびシートサンプ ルの成形は、 以下の方法で行った。
ポリエステル樹脂 (l a) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH 7」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 70, 000) 1 1. 1重量部をラボ プラストミルに供給して 1 50°C、 30 r pmで混練し、 トルクが安定した後、 更に 10分間加熱混練した。 これを共押出し用原料とした。
なお、 得られた樹脂組成物を加熱プレス成形し、 1 5 0 X 1 5 0 X 0. 125 mmシートを作製した。 加熱プレス成形は、 金型に必要量の樹脂を入れて予熱
(1 50°C, 10分間) し、 加圧成形 ( 1 50°C, 100 k g/cm2, 10分 間) した後、 自然放冷し、 金型からシートを取り出す方法で行った。 これを熱融 着用シートとした。
(製造例 IX- 2)
コハク酸ジメチル (Mw= 146 ) 43. 8 g、 1, 4—ブタンジオール 29. l g、 テ卜ライソプロピルチタネー卜 0. 02 gを撹拌機、 分流管、 ガス導入管、 減圧用管を備えたフラスコに入れ、 窒素雰囲気常圧下、 190°Cで 2時間、 引き 続いて徐々に減圧にしながら、 1〜0. 5mmHgで 200°Cに昇温して 8時間 撹拌し、 更に 0. 5〜0. ImmHgで 210〜220°Cに昇温して 5時間撹拌 し、 メタノール及び過剰の 1, 4一ブタンジオールを系内から留出除去し、 ポリ エステル樹脂 (l b) を合成した。 ポリエステル樹脂 (l b) の数平均分子量は 約 38000、 重量平均分子量は約 75000であった。
ポリエステル樹脂 (l b) とポリ力プロラクトンとの混練とシートサンプルの 成形は、 以下の方法で行った。
ポリエステル樹脂 (l b) を 100重量部と、 ポリ力プロラクトン 「PCLH 1 P」 (ダイセル化学工業製, 数平均分子量 10, 000) 1 1. 1重量部をラ ボプラストミルに供給して 1 50°C、 30 r pmで、 トルクが安定した後、 10 分間加熱混練した。 これを共押出し用原料とした。
なお、 得られた樹脂組成物を、 加熱プレス成形して 1 50 X 150 X 0. 12 5mmシートを作製した。 加熱プレス成形は、 金型に必要量の樹脂を入れて予熱 ( 1 50°C, 10分間) し、 加圧成形 ( 150 :, 100 k g/cm2, 10分 間) した後、 自然放冷し、 金型からシートを取り出す方法で行った。 これを熱融 着用シ一卜とした。
[iv. 多層フィルム又はシートの製造]
多層フィルム又はシートの原料として上記で調製又は製造した物を使用した。
(B) 層用原料:調製例 1〜4で得られた放射線処理されたポリ力プロラクト ンを含む組成物
(A) 層用原料:製造例 IX- 1〜IX- 2で得られた脂肪族ポリエステル樹脂とポ リカプロラクトンからなる生分解性ポリエステル樹脂組成物
[実施例 IX- 1〜IX - 8]
(B) 層 250 zmとそれを挟む両 (A) 層 125 / mからなる 3層フィルム を共押出しにより成形した。
(成形条件)
押出機: 3マニフォ一ルドダイ押出機
押出温度: シリンダ一先端部において各 170で
ダイ温度: 各 170 °C
(B) 層用樹脂温度 (T 1) : 1 50 °C
両 (A) 層用樹脂温度 (T 1) : 160 °C
スクリユー回転数:各 15 r pm
吐出量: (B) 層 l O k gZh r
吐出量: (A) 層各 5 k g/h r
二軸延伸倍率 3倍
得られた共押出しフィルムは、 いずれも、 縦、 横共に十分な引張強度を有し、 (A) 層と (B) 層の接着強度は大であった。
生分解性については、 フィルムを昼間の気温 20〜35 °Cの夏期に土壌表面に 敷設し、 1月後及び 3月後の該フィルムの破損状況を調べ、 続いて更に 2月後に 鋤込み作業の可否を調べた。 また、 鋤込んだ後 1月経過して生分解性の発生状況 を外観、 手による感触で調べた。 この結果、 フィルムは、 敷設 3月後も破れは見 られなかったが、 鋤を当てるとフィルムは割れ易く、 鋤込みは容易であった。 ま た、 鋤込んで 1月経過後は観察、 及び手の感触で生分解していることがわかった
[実施例 IX- 9〜 IX - 16]
(B) 層 2 50 mとそれを挟む両 (A) 層 1 2 5 imからなる 3層シートを 熱融着により成形した。
得られた各シートは、 (A) 層のみからなる 500 mのシートに比較して、 横方向の引張強度が改善され、 また生分解性が早まった。
表 IX - 2
(本発明 [X]の実施例)
原料としては下記の樹脂を使用した。
月旨肪族ポリエステル: ビオノ一レ # 1903 (昭和高分子 (株) 製、 MFR 5. 5 gZl 0分、 MT6. 5 g) 、 ピオノーレ# 1001 (昭和高分子 (株) 製、 MFR 2. 0 g/10分、 MT 1. 5 g)
2官能ポリ力プロラクトン: プラクセル H7 (ダイセル化学工業 (株) 製、 数 平均分子量 70, 000、 MFR 2. 3 gZl O分、 MT l. 0 g)
3官能ポリ力プロラクトン:ダイセル化学工業 (株) 製、 数平均分子量 100, 000
[実施例 X- 1 ]
ビオノ一レ # 1903とプラクセル H 7を 50 : 50の重量比率で混合して樹 脂組成物 (MFR3. 9 gZl O分、 MT3. 5 g) を得た。 この組成物を使用 して、 Tダイ法により厚さ 10、 1 5、 20、 25 imの各フィルムを製造した 力 全て 6時間に渡って、 フィルム切れを起こすことなく製造することができた。 フィルムの引張降伏応力は厚み 30 zmに換算して、 3 10kgf/cm2、 引張破断 応力 40 Okgf/cm2, 引張破断伸び 590 %、 引張弾性率 310 Okgf/cm2, アイ ゾット衝撃強度(23°C) 4 lkgf'ci^cm2であり、 生分解性は 7 1 %であった。
[比較例 X- 1 ]
ビオノ一レ # 1001 (昭和高分子 (株) 製) とプラクセル H 7を 50 : 50 の重量比率で混合して樹脂組成物 (MFR 2. O gZl O分、 MT 1. 2 g) を 得た。 この組成物を使用して、 Tダイ法により厚さ 1 5 /xm、 25 xmの各フィ
ルムの製造を試みたが、 製膜製が悪くフィルムを連続して製造することは困難で あった。
[実施例 X-2]
ビオノ一レ # 1001と 3官能のポリオールを開始剤としたポリ力プロラク卜 ンであるプラクセルを 50 : 50の重量比率で混合して樹脂組成物 (MFR3. 2 ^ 10分、 1^丁4. 5 g) を得た。 この組成物を使用して、 Tダイ法により 厚さ 20 のフィルムを製造したが、 12時間に渡って、 フィルム切れを起こ すことなく製造することができた。
〔調製例 X- 1〕 放射線照射架橋ポリ力プロラクトンの製造
プラクセル H 7のペレツ卜をガラスアンプルに入れ、 それを真空ラインに連結 して空気を除去してから熔封し、 コバルト 60からのァ線により線量率 10 kG y Z h rで 100 k G y照射した。 得られた放射線照射架橋ポリカプロラクトン のゲル分率は 70 %であった。
更に、 耐熱性を調べるために 2〜 3mm厚みにスライスした PCLを 200 °C の熱プレスによりフィルム状に圧縮成形し、 高温引張試験機を使って、 引張速度 10 Omm/m i n、 1 20°Cの条件で測定し、 引張強度 2 MP a、 破断点伸び 550 %であった。
生分解性は、 未照射プラクセル H 7では 55 %であったが、 照射品では 80 % に向上していた。
[実施例 X - 3 ]
上記放射線照射架橋ポリカプロラクトンと同程度のメルトテンションとなるよ うにコバルト 60からのァ線により放射線架橋したポリ力プロラクトンとビオノ ーレ # 100 1を 50 : 50の重量比率で混合した。 この混合物の M lは 2. 5 gノ 10分であり、 MTは 6. 5 gであった。
樹脂混合物 100重量部に、 流動パラフィン 0. 5部及びステアリン酸アミド 1部を 2軸スクリユータイプのベント式押出機 (4 Omm径) に入れ、 ダイス温 度 180°Cで押出して樹脂組成物のペレツトを得た。
このペレツ卜を使用して厚さ 20 /imのフィルムの製造を行ったが、 3時間に 渡って、 フィルム切れを起こすことなく製造することができた。
(本発明 [XI]の実施例)
[ i . ポリ力プロラクトンの放射線処理の効果]
これについては、 本発明の [IX]の参考例 1〜3を初めに参照せよ。
[参考例 XI- 1 ' 〜XI- 3' 及び参考比較例 XI- 1, ]
ポリ力プロラクトン (ダイセル化学工業 (株) 製、 商品名プラクセル H 7、 数 平均分子量 1. 28 X 10「') のペレットに電子線を 0 (参考比較例 XI- 1, ) 、 5 (参考例 XI- 1' ) 、 10 (参考例 XI- 2' ) 又は 20 kGy (参考例 XI- 3' ) の線量で照射した後、 それぞれのペレツトを Tダイ押出機により 150°Cで押出 し、 3倍に延伸して冷却ロールを通過させ、 厚さ 0. 3mmのフィルムを調製し た。
得られたフィルムの冷却ロールに対する剥離性及びフィルムの熱収縮率を測定 した。 結果を表 XI- 1に示す。 表 XI- 1
◎:非常に剥がれやすかつた
〇:剥がれやすかつた
△:やや剥がれにくかった
X:剥がれにくかった
* 1 :収縮せず、 融けて自重で伸びた (長さ 120 %)
* 2 :溶融し測定不可
また、 得られたシートを横 4 5mm、 縦 1 0 0mmに裁断して、 熱収縮試験測 定用試験片を作成した。 この得られた熱収縮試験測定用サンプルシートの一端を クリップで挟み、 表 XI- 1に示す温度の水に 3 0秒間浸漬した後、 試験片の縦方向 の寸法を測定して、 以下の式を用いて収縮率を計算した。
収縮率 (%) : { (LO-L) /LQ] X 1 0 0
L0:熱収縮試験測定用試験片の縦方向の長さ ( 1 0 0mm)
L :熱収縮試験測定用試験片を各測定温度の熱水に 3 0秒間浸漬させた後の試 験片の縦方向の長さ (mm)
[ii. 放射線処理ポリ力プロラクトンまたは放射線処理ポリ力プロラクトンと脂肪 族ポリエステルとの組成物の調製]
これについては、 本発明の [IX]の調製例 1〜4及び比較調製例 1を参照せよ。 表 XI- 2は本発明の [IX]の表 IX- 1を参照せよ。
[iii. 放射線処理ポリ力プロラク卜ンまたは放射線処理ポリ力プロラクトンと脂 肪族ポリエステルとの組成物の調製]
ポリ力プロラクトン (ダイセル化学工業 (株) 製、 商品名プラクセル H 7、 数 平均分子量 1. 2 8 X 1 05) とビオノ一レ 1 0 0 1 (昭和高分子 (株) 製) を使 用してァ線による照射線量とメルトインデックス、 メルトテンション、 ゲル分率 の関係を測定した。
結果を表 XI- 3に示す。
表 XI - 3
[iv. 脂肪族ポリエステル樹脂 ( I ) とポリ力プロラクトン (II) からなる組成物 の製造]
これについては、 本発明の [IX]の製造例 IX- 1〜IX- 2を参照せよ。
製造例 XI- 1は製造例 IX- 1に、 製造例 XI- 2は製造例 IX- 2に対応する。
[v. 単層フィルムの独立気泡緩衝シートの製造]
[実施例 XI- 1〜XI- 4 ]
ベ一スフイルムの原料として上記 i i i . 項の調製例 X I - 1〜XI - 4に記載した放射 線処理ポリカプロラクトンまたは放射線処理ポリカプロラクトンと脂肪族ポリェ ステルとの組成物を使用し、 Tダイ法により厚さ 1 0 0 mの単層のベ一スフィ ルムを製造した。
溶融した原料樹脂からのフィルムの製造は良好である。
これを、 真空成形して直径 l c m、 高さ 5 mmの多数の凸部を有するエンボス フィルムに加工した後、 上記べ一スフイルムと熱融着して独立気泡緩衝シ一卜を 得た。
エンボスフィルムとべ一スフィルムの接着は良好であり、 得られた独立気泡緩 衝シートは生分解性が良好である。
[vi. 多層フィルムの製造]
多層フィルムの原料として上記で調製又は製造した物を使用した。
( B ) 層用原料:調製例 XI- 1〜XI- 4で得られた放射線処理されたポリ力プロ ラクトンを含む組成物
(A) 層用原料:製造例 XI- 1〜XI- 2で得られた脂肪族ポリエステル樹脂とポ リカプロラクトンからなる生分解性ポリエステル樹脂組成物
[参考実施例 XI- 1〜XI - 8 ]
これについては、 本発明の [IX]の実施例 IX-:!〜 IX- 1 6を初めに参照せよ。
[vi. 多層フィルムの独立気泡緩衝シートの製造]
[実施例 XI- 5 ~XI- 2 1 ]
ベースフィルムとして上記 v. 項の多層フィルムの参考実施例 XI- 1〜XI- 1 6に 記載した多層フィルムを使用し、 これを真空成形して直径 1 c m、 高さ 5 mmの 多数の凸部を有するエンボスフィルムに加工した後、 上記ベースフィルムと熱融
着して独立気泡緩衝シートを得る。
エンボスフイルムとベースフィルムの接着は良好であり、 得られた独立気泡緩 衝シートは生分解性が良好である。
(本発明の [XII]の実施例)
本発明 [XII]においても、 前記本発明 [IX]の参考例 1〜参考例 3の知見をベース に検討を行った。
参考例 3で 20 kGy照射力プロラクトンから得られたシートを 10 c m平方 にカツ卜したサンプルを 70°Cの温水に浸漬し収縮率を測定した。
この結果、 未照射力プロラクトンから得られたシートでは溶融してしまったが、 20 k Gy照射シートは溶融することなく、 MD方向に 60%、 TD方向に 30 %収縮した。
(実施例 XII- 1)
〈コーティング肥料の製造〉
本発明の一例の装置 (図 XIII— 1参照) としては、 噴流塔 1は、 塔径 200匪、 高さ 1 80mm、 空気噴出径は 42龍であり、 肥料投入口 2、 排ガス噴出口 3を有 する。 噴流用空気はブロア一 10から送られ、 オリフィス流量計 9、 熱交換器 8 を経て噴流塔 1に至る。 流量は流量計 9、 温度は熱交換器 8で管理され、 排ガス は排ガス噴出口 3から塔外に導かれる。
被覆処理に供する粒状品は、 肥料投入口 2から所定の熱風を通しながら投入し、 噴流を形成させる。 被膜処理は被覆粒子温度が所定の温度になつてから、 ポリ力 プロラクトン (PCL) 100重量部にタルク 100重量部を加えて分散させた 被覆液を、 液体ノズル 4を通して噴霧状で噴流に向かって吹き付ける。 被覆液調 製は、 液タンク 1 1に所定量の被膜材と溶剤を入れ、 溶剤の沸点近くで攪拌しな がら行う。 被覆液の供給は、 ポンプ 5によってノズル 4送られるが、 この系は温 度を保持するための充分な保温をしておく。 所定の被覆液を供給したならば、 ポ ンプ 5を止めた後、 ブロワ一 10を止める。 被覆された肥料は、 抜出口 7から取 り出される。 6はバルブである。 T,、 Τ2、 Τ3は温度計、 SLはスチームである。 液体ノズル:開口 0. 8腿フルコン型
熱風量: Αιι^Ζιηϊη
熱風温度: 100 °C
肥料の種類: 5〜 7 meshの燐硝安加里
肥料投入量: 5 kg
被覆液濃度:固形分 5重量%
被覆液供給量: 0. 5kg/min
被覆時間: 10分
被覆率 (対肥料) : 5. 5重量% (ただし、 界面活性剤分を含む)
溶剤:テトラヒドロフラン(THF)
低置換度酢酸セルロース ; ダイセル化学工業 (株) 製 [酢化度 51. 0、 6 % ァセ卜ン溶液の粘度 98 cps]
PCL:ダイセル化学工業 (株) 製ポリ力プロラクトン [PCL—H7] 〈コーティング肥料の放射線照射および生分解テス卜〉
前記の製造方法によって、 被覆燐硝安加里の製造を行った。その後、 コーティン グ肥料に、 電子線を 10、 20、 40、 100 k Gy照射した。 被覆された本例 のサンプル 50粒を一粒ずつ二面をカツトし、 水中に静置して内部の肥料分を除 去した後、 乾燥し微粉砕をして、 J I S K 6950 (活性汚泥による好気的生 分解度試験方法) により分解率を求めた。 使用した活性汚泥は姫路巿下水処理場 返送汚泥を利用した。
その結果、 28日後の生分解率は、 90〜70 %の範囲にあった。 コ一ティン グ肥料は、 袋詰めして、 夏場に堆積、 保存しておいてもブロッキングを起こさな かった。
これに対して、 放射線を非照射の物では、 ブロッキングを起こした。
(実施例 XII- 2)
ポリ力プロラクトン:低置換度酢酸セルロースの 60 : 40重量%の組成物 1 00重量部にタルク 100重量部を加えて分散させた被覆液を使用した他は実施 例 XII- 1と同様にしてコーティング肥料を製造した後、 放射線を 20 kGy照射 した。
その結果、 28日後の生分解率は、 80%であった。 コーティング肥料は、 袋
詰めして、 夏場に堆積、 保存しておいてもブロッキングを起こさなかった。
本発明の粒状品は、 例えば肥料では肥効持続期間の調節ができ、 肥料分溶出後、 被膜は、 土壌微生物により崩壊、 分解し、 土壌中に残留せず、 作物の栽培期間後 の残留成分量は被膜が崩壊、 分解することによりなくなり、 肥培管理が容易にな る等の効果を有するとともに、 貯蔵時に粒子間のブロッキングを生じない。
(本発明 [XIII]の実施例)
( 1 ) 装置並びに製造方法
図 XIII— 1は、 本発明の粒状農業園芸用組成物を製造するのに好適な一例の装 置を示す。 詳細は本発明 [XII]の実施例を参照せよ。
被膜処理は被覆粒子温度が所定の温度になつてから、 本発明の粒状農業園芸用 組成物含有被覆液を、 液体ノズル 4を通して噴霧状で噴流に向かって吹き付ける。 被膜処理の中で、 本発明 [ΧΠ]の実施例の条件と異なる点は下記の通りである。 被膜厚み: いずれも 3 m
溶剤:テトラヒドロフラン(表中では THFと略す)、 トリクロロエチレン(表中 では卜リクレンと略す)
粒状農業園芸用組成物の原料としては下記のものを使用した。
ポリ力プロラクトン: PCL— H7 (ダイセル化学工業 (株) 製、 数平均分子 量 70, 000)
石油樹脂 1 :エスコレッツ 5320 HC (エリクソン化学 (株) 製、 シクロべ ン夕ジェン系)
ロジン 1 : KE 100 (荒川化学 (株) 製ロジンエステル)
EVA :東ソー (株) 製 [ウルトラセン (エチレン酢酸ビニル、 酢酸ビニル含 量 32) ]
(2) 被膜の組成および生分解テス卜
前記の製造方法によって、 表 XIII- 1に示す各種被膜組成の被覆燐硝安加里の製 造を行った。その後、 被覆された本例のサンプル 50粒を一粒ずつ二面をカツ卜し、 水中に静置して内部の肥料分を除去した後、 乾燥し微粉砕をして、 J I S K6 950 (活性汚泥による好気的生分解度試験方法) により分解率を求めた。 使用
した活性汚泥は姫路市下水処理場返送汚泥を利用した。
また、 別途被膜を施した粒状肥料を、 水田に放置して、 視覚により被膜が残存 しているかどうかを調べた。
( 3 ) 被膜の透湿度
透湿度はモーコン法により、 被膜厚み 3 m、 4 0 °C、 相対湿度 (R H) 9 0 %で行った。
実施例 XI 11- 1〜XI 11- 4および比較例 XI 11- 1〜ΧΠ I- 3の結果を表 XI Π- 1に示 す。
表 ΧΙ Π - 1
(本発明 [XIV]の実施例)
(製造例 XIV- 1 )
コハク酸ジメチル 0. 8mol、 1, 4-ブタンジオール 1. 03molを、 触媒としてチタンィ ソプロボキシド 0. 05molを使用し、 初めに常圧、 160°Cで反応させて、 発生したメ
夕ノ一ルを系外へ流出させる。 メ夕ノールの流出がなくなつたところで反応温度 を 180 °Cにしてさらにメタノールを流出させる。 メタノールの流出がなくなつたと ころで、 反応温度を 200°Cにしてさらにメタノールを流出させる。 メタノールの流 出がなくなったところでジェチルカーボネートを 0. 2mo l加え、 エタノールを流出 させる。 流出がなくなったところで反応温度を 215 °Cとして反応圧力を 0. 510 r rに し、 さらに流出物を反応系外へ流れさせる。 減圧を開始して 6時間後にポリエステ ルカーボネート樹脂 (脂肪族ポリエステル樹脂) ( I ) が得られる。
(実施例 XIV- 1 )
上記ポリエステルカーボネート樹脂 ( I ) 7 0重量部とポリ力プロラクトン ( P H 7,ダイセル化学工業 (株) 製、 数平均分子量 7 0 , 0 0 0 ) (I I) 3 0重 量部に、 ( I ) と (I I) の合計 1 0 0重量部に対して、 0 . 6重量部のステアリ ン酸アミド、 3 0重量部のタルク加えたものを二軸混練押出機で混練、 押出、 ぺ レツ卜化し、 生分解性ポリエステル樹脂組成物(C)を得た。
さらに、 上記生分解性ポリエステル樹脂組成物(C) 90重量部にゴム変性ポリスチ レン系グラフト樹脂 (D) (ダイセル化学工業 (株) 製) 10重量部を二軸混練押出機 で混練、 押出、 ペレット化して、 耐衝撃性の生崩壊性樹脂組成物(E)を得た。
(成形物の物性)
上記で得た生分解性ポリエステル樹脂組成物(C.)及び耐衝撃性の生崩壊性樹脂組 成物(E)を Tダイによる押出成形により、 640匪幅、 0. 35匪厚のシートに成形し、 そ の引張強度及びデュポン衝撃強度を調べた。 それらの結果を表 XIV- 1に示す。
(生分解性試験)
上記で得られた生分解性ポリエステル樹脂組成物(C)及び生崩壊性樹脂組成物 (E)の生分解性試験を行った。 試験方法については J IS K6950に準じた活性汚泥を 用いた促進試験で行った。 結果を図 XIV- 1に示す。
グラフからも判るようにゴム変性スチレン系樹脂をブレンドしても、 いくら力、 残存物は残るものの、 生分解性樹脂成分は分解性を阻害されることなく、 良好な 生分解性を示している。
(比較例 XIV- 1 )
生分解性ポリエステル樹脂組成物(C)のみを使用して実施例 XIV- 1と同様の成形
方法で同形状のシ一卜(640mm幅, 0. 35mm厚)を成形した。 そして、 実施例 XIV- 1と 同様にこのシートの物性及び生分解性を測定した。 結果を表 XIV- 1及び図 XIV- 1 に示す。
(比較例 XIV- 2 )
ゴム変性ポリスチレン系グラフト樹脂(D)のペレツトのみを用いて、 実施例 XIV - 1と同様の成形方法で同形状のシー卜(640mm幅, 0. 35nim厚)を成形した。 そして、 実施例 XIV- 1と同様にこのシートの物性及び生分解性を測定した。 結果を表 XIV - 1及び図 XIV- 1に示す。 表 XIV- 1 比較例 実施例 実施例 比較例 XIV- 1 XIV- 1 XIV- 2 XIV- 2
(0 (0 / (D) (01 (D) (D)
100 90/10 70/30 100 τ ュホ。ン衝撃強度 (kgf - cm/cm2) 30. 3 43. 4 44. 8 12. 0 降伏強度 MD (kgf/cm2) 250 230 250 300
TD (kgf/cm2) 270 250 260 290 破断伸度 MD (¾) 31 3. 5 4. 5 16
TD (%) 215 130 80 25 引張弾性率 MD (kgf/cm2) 17400 17300 20200 27500
TD (kgf/cm2) 19500 18100 19600 26100