明 細 書 通信ゲ一 トウ エイ装置
技術分野
本発明は、 通信方式の異なる 2つの通信バスを接続するゲ一 トウ エイ装置に関する。 背景技術
近年、 自動車等においては、 それぞれ特定の制御情報を取り扱う 異なる通信バスが 2 つ以上存在するようになつてきている。 そ して 、 通信バスと通信バスとの間で情報の交換が必要となる場合には、 ゲー トゥ ヱィ装置が設けられ、 通信方式の異なる 2 つのバスが接続 される。
このようにゲ一 トウエイ装置を介して通信バスが接続される場合 には、 相互に他方の通信バスの情報が送信されてく るため、 通信バ スにおける通信 ト ラフ ィ ッ クが增大する。 従来より、 ゲー トウ ェイ 装置では、 かかる通信 トラフィ ッ クの増大を抑制するため、 物理ァ ドレス又は論理ァ ドレスによる情報のフ ィ ルタ リ ングが行われるこ とがあるが、 この場合には、 同一ア ドレスに係る情報は全て他方の 通信バスに流されるこ ととなる。
したがって、 従来技術に係るゲ一 トウ ヱイ装置においては、 受信 側の通信バスで必要とする情報が一部分であっても、 そのァ ドレス 向けに送信されてく る情報の全てがゲー トウ イ処理されて当該受 信側通信バスに送られるこ ととなる。 このような場合には、 不要な 情報で通信 トラフ ィ ッ クが増大するという事態が招かれる。
また、 内容に変化があってもなく ても定期的に発生する情報をゲ
7 一トウ エイ処理する場合、 ゲー トウ エイ処理により情報が送られる 側の通信バスでは、 最新の状態を表す情報のみ必要であるにもかか わらず、 以前と同一内容の不要な情報で通信 ト ラ フィ ッ クが増大す る結果となる。 発明の開示
上記した問題点に鑑み、 本発明の目的は、 真に必要な情報のみを ゲー トウ イ処理するこ とにより、 ゲー ト ウェイ処理により情報が 送られる側の通信バスにおける通信 ト ラ フ ィ ッ クの不必要な増大を 回避するこ とが可能なゲー トウ ェイ装置を提供することにある。 上記目的を達成するために、 本発明によれば、 通信方式の異なる
2 つの通信バスを接続するゲ一 トウヱイ装置であって、 一方の通信 バスからの受信情報が他方の通信バスに送信されるべき情報である か否かを判定する判定手段と、 前記判定手段によつて送信されるべ き情報であると判断される場合のみ該受信情報を該他方の通信バス に送信するフ ィ ルタ リ ング手段と、 を具備するゲー トゥ ェィ装置が 提供される。
また、 本発明によれば、 通信方式の異なる 2 つの通信バスを接続 するゲ一 トウ エイ装置におけるゲ一 トウ エイ処理の方法であって、 (a) 一方の通信バスからの受信情報が他方の通信バスに送信される べき情報であるか否かを判定するステップと、 (b) 前記ステップ(a ) において送信されるべき情報であると判断される場合のみ該受信 情報を該他方の通信バスに送信するフ ィ ルタ リ ング処理を行う ステ ップと、 を具備するゲー トウ エイ処理方法が提供される。 図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明に係るゲ一 トウヱイ装置、 そのゲ一 トウヱイ装置
702 によつて接続される 2 つの通信バス、 及びそれらの通信バスに接続 される装置の接続構成を示すプロ ッ ク図である。
図 2 は、 通信バス上に乗せられるデー タのフ ォ ーマツ 卜の概略を 示す図である。
図 3 は、 ゲー トウエイ装置内の制御用マイ ク ロコ ンピュータによ つて実行されるデータ受信時処理ル一チ ンの手順を示すフ ローチヤ
- トである。
図 4 は、 受信データの内容を判定するためのテーブルを示す図で める
図 5 は、 保管情報のテーブルを示す図である。
図 6 は、 ゲー トウヱイ装置内の制御用マイ ク ロ コ ンピュータによ つて実行される保管情報送信要求受信時処理ルーチ ンの手順を示す フ ローチ ヤ 一 トである。
発明を実施するための最良の形態
以下、 添付図面を参照しつつ、 本発明の実施形態について説明す 図 1 は、 本発明に係るゲ一 ト ウ ヱ イ装置 1 0 、 そのゲー トウェイ 装置によって接続される 2 つの通信バス 2 0及び 3 0 、 並びにそれ らの通信バスに接続される装置の接続構成を示すブロ ッ ク図である 第 1 の通信バスと しての A通信バス 2 0 に接続される装置 2 1 , 2 2, 2 3 , 2 4等は、 第 1 の通信方式と しての A通信プロ トコル (通信規約) に従って相互に通信する。 同様に、 第 2 の通信バスと しての B通信バス 3 0 に接続される装置 3 し 3 2, 3 3, 3 4等 は、 第 2 の通信方式と しての B通信プロ ト コルに従って相互に通信 する。
A通信バス 2 0 と B通信バス 3 0 とを接続するゲー トウ ヱイ装置
1 0 は、 A通信バス用イ ンタ フ ヱ一ス 1 1 、 B通信バス用イ ンタ フ エース 1 2 、 メ モ リ 1 3及び制御用マイ ク ロ コ ン ピュータ 1 4 を具 備し、 一方の通信バスからデータを受信しプロ ト コル変換を行って 他方の通信バスに送信するという機能を実現する。
本実施形態では、 特に、 本発明を自動車に適用する場合を想定し ており、 A通信バス 2 0 は、 ボディ系制御装置間のデータ通信を目 的と した通信プロ ト コルによるバスとされ、 B通信バス 3 0 は、 ス テータス情報系制御装置間のデータ通信を目的と した通信プロ ト コ ルによるバスとされる。 そして、 A通信バス 2 0 には、 装置 2 1 と してエンジ ン E C U (electronic control uni t), 装置 2 2 と して エア コ ン E C U、 装置 2 3 と してメ ータ E C U、 等が接続される。 また、 B通信バス 3 0 には、 装置 3 1 と してディ スプレイ E C U、 装置 3 2 と してナビゲーシ ヨ ン E C U、 装置 3 3 と してオーディオ E C U, 等が接続される。
図 2 は、 通信バス上に乗せられるデータのフ ォ ーマ ツ 卜の概略を 示す図である。 同図に示されるように、 データはヘッダとメ ッセ一 ジと力、らなり、 さ らに、 メ ッセージはコマン ドとそのコマン ドに付 随するパラメ 一夕と力、らなる。 コマ ン ドは、 1 バイ トのコー ドによ つて表される。 また、 ヘッダには、 ア ドレス、 属性等が含まれる。 A通信バス 2 0上のデータフ ォ ーマ ツ 卜 と B通信バス 3 0上のデ一 夕フ ォーマツ 卜 とはと もに図 2 に示される如き ものとなる力く、 その 詳細は異なっており、 それらの間の変換はゲ一 トウ ヱイ装置 1 0 に よつて実現される。
図 3 は、 ゲー トゥ ヱイ装置 1 0 内の制御用マイ ク ロコ ンピュータ 1 4 によって実行されるデータ受信時の処理ルーチ ンの手順を示す フ ローチャー トである。 また、 図 4 及び図 5 は、 図 3 の処理中に使 用されるメ モ リ 1 3 内のテーブルの内容を模式的に示す図である。
このルーチ ンは、 A通信バス 2 0 から B通信バス 3 0 へのゲー トゥ エイ処理及び B通信バス 3 0 から A通信バス 2 0 へのゲー トウ ェイ 処理のいずれの場合でも実行可能なものである。 以下では、 A通信 バス 2 0 から B通信バス 3 0 へのゲ一 ト ウ ヱイ処理について説明す
O o
まず、 ステップ 1 0 2では、 受信されたデータの内容に関し、 そ れが、 ゲー トゥヱイ処理不要なコマ ン ドに係る ものである力、、 内容 変化時のみゲー トウエイ処理すべき情報である力、、 又はそのまます なわち状態変化に関係なく ゲー トウ ェイ処理すべき情報であるか、 のいずれであるかを判定する。
この判定は、 データ内のコマン ドコー ドによってなされ、 そのた めに、 図 4 に示される如きテーブルがメ モリ 1 3 にあらかじめ格納 されている。 このテーブルには、 各コマン ドコー ドごとにコマン ド 種別を示すカラムがある。 例えば、 エン ジ ン E C U 2 1 は、 コマ ン ドコー ド ( 1 F ) , 6 ( 1 6進表示の 1 Fの意味) によって示される エンジ ン回転数表示コマ ン ドを定期的に送信する力く、 このコマン ド のようにコマン ド種別 " 0 " のコマン ドは、 ゲ一 トウヱイ処理不要 なコマ ン ドである。 また、 エアコ ン E C U 2 2 は、 コマ ン ドコー ド ( 0 5 ) , 6によつて示される外気温表示コマン ドを定期的に送信す る力く、 このコマ ン ドのよ う にコマ ン ド種別 " 1 " のコマ ン ドは、 内 容変化時のみゲ一 トウ ヱイ処理すべきコマン ドである。 さ らに、 メ —夕 E C U 2 3 は、 コマン ドコー ド ( B 3 ) 1 6によって示される航 続可能距離表示コマ ン ドやコマ ン ドコー ド ( D E ) , 6によつて示さ れる瞬間燃費表示コマン ドを送信するが、 これらのコマ ン ドのよ う にコマ ン ド種別 " 2 " のコマ ン ドは、 そのまますなわち状態変化に 関係なく ゲ一 トウユイ処理すべきコマ ン ドである。
ステップ 1 0 2 においてェン ジン回転数表示コマン ドのようにゲ
― トウ ヱイ処理不要なコマ ン ドである と判定された場合には、 ゲー トウエイ処理を実行するこ とな く本ルーチ ンを終了する。 これによ り、 ゲ一 トウ エイ処理が実行された場合にゲ一 トウエイ処理により データが送られる側の通信バスに発生する ト ラ フ ィ ッ クの増大を回 避するこ とが可能となる。
また、 ステップ 1 0 2 において外気温表示コマン ドのようにデー タ内容変化時のみゲ一 トウ ヱイ処理すべきコマ ン ドであると判定さ れた場合には、 ステップ 1 0 4 に進む。 ステ ップ 1 0 4では、 メモ リ 1 3 内にある図 5 の如きテーブルが参照される。 このテ一ブルは 、 保管されるべき情報の最新データを格納する ものである。 そ して 、 ステップ 1 0 4 では、 例えば、 同テーブルに格納されている外気 温データと、 今回受信された外気温表示コマン ドによって表される 外気温の値とを比較し、 内容に変化があるか否かを判定する。 そし て、 変化な しと判定されたときには、 ゲー トゥ ヱイ処理を実行する ことなく 本ルーチンを終了する。 この場合にも、 ゲー トゥヱイ処理 が実行された場合にゲー トウ エイ処理によりデータが送られる側の 通信バスに発生する ト ラ フ ィ ッ クの増大が回避されるこ ととなる。 —方、 ステップ 1 0 4 において変化あり と判定されたときには、 ス テツプ 1 0 8 に進み、 図 5 のテーブルの対応するエリ アに今回受信 されたデータの内容を最新データと して保管 (記憶) する。 さ らに 、 このときにはステップ 1 1 0 でゲー トゥ ヱイ処理を実行する。
また、 ステップ 1 0 2 において航続可能距離表示コマン ドや瞬間 燃費表示コマン ドのようにデータ内容がそのままゲー トウヱイ処理 すべき情報であると判定された場合には、 ステップ 1 0 6 に進む。 ステップ 1 0 6では、 当該受信データ力く、 通信バスからの要求に応 じていつでもゲー トウェイ処理により 出力すべき情報であるか否か を判定する。 この判定のために図 4 のテーブル内の保管フラグの力
ラムが参照される。 例えば航続可能距離表示コマン ドのよう に保管 フラグ力く " 1 " のコマン ドは、 通信バスからの要求に応じていつで もゲー トウ ヱイ処理により出力すべき情報に係るコマン ドであり、 一方、 瞬間燃費表示コマン ドのように保管フラグが " 0 " のコマン ドは、 そのようなコマン ドに該当しない。 ステップ 1 0 6 の判定結 果が Y E Sのときには、 前記したステップ 1 0 8 の保管処理及びス テツプ 1 1 0 のゲー トゥ ヱイ処理を実行して本ルーチンを終了する 。 一方、 ステップ 1 0 6 の判定結果が N〇のときには、 ステップ 1 1 0 のゲ一 トウヱイ処理のみ実行して本ルーチンを終了する。
図 6 は、 通信バスからの保管情報送信要求をゲ一 トウ イ装置が 受信したときに制御用マイ ク ロコ ンピュータ 1 4 によって実行され る処理ルーチンの手順を示すフローチャー トである。 まず、 ステツ プ 2 0 2では、 当該要求に係る情報がメ モ リ 1 3 内の保管情報テー ブル (図 5 ) に保管されているか否かを判定する。 例えば B通信バ ス 3 0 から航続可能距離データが要求された場合のようにその判定 結果が Y E S となるときには、 ステップ 2 0 4 に進み、 当該保管情 報を要求元の通信バスにゲー トウ ヱイ処理により送信して、 本ル一 チ ンを終了する。 一方、 判定結果が N 0のときには、 ステップ 2 0 6 に進み、 当該要求に係る情報がメ モ リ 1 3 内の保管情報テーブル (図 5 ) に保管されていないことを要求元の通信バスに通知して、 本ルーチ ンを終了する。
受信側の通信バスに接続された装置が万一ゲー トウ イ処理によ り送られた情報を捕捉し損なった場合あるいはリセッ 卜等の実行に より情報を消去してしま ったよ うな場合でも、 図 6 のような処理を 設けることにより、 送信側の通信バスから情報を再送信してもらう 必要がなく なり、 いつでもゲー トウ ェイ情報をゲ一 トウ ヱイ装置か ら取得するこ とが可能となる。
ここで、 本発明を採用 した場合の トラフ ィ ッ ク抑制効果について 試算してみる。 まず、 A通信バスは、 1 0 k b p sの転送速度を有 し、 それ自身では 6 0 %のバス占有率となり、 最大許容バス占有率 と して 9 0 %が設定されていると仮定する。 また、 B通信バスは、 1 7 k b p s の転送速度を有し、 それ自身では 3 0 %のバス占有率 となり、 最大許容バス占有率と して 4 0 %が設定されていると仮定 する。
上述の A通信バスと B通信バスとを接続し、 A通信バスから B通 信バスへのゲ一 トウヱイ処理を行う場合を考える。 このゲ一 トウ ェ ィ処理を行う上で、 プロ ト コル変換に伴う付加情報の追加等のため に 1 . 7倍のロスが発生する ものと仮定する。
従来のゲ一 トウ ヱイ処理により A通信バス上の情報の 2 0 %が B 通信バスに流れたとすれば、 B通信バスのバス占有率は、
3 0 % + 6 0 % x 2 0 % x i . 7 = 5 0. 4 %
に上昇し、 B通信バスに係る最大許容バス占有率 4 0 %以下に抑え ることができなく なってしま う。
一方、 本発明に係るゲー トウェイ装置におけるフ ィ ルタ リ ングの 効果と して、 B通信バスに流れる A通信バス上の情報が 5 %に抑制 されたとすると、 B通信バスのバス占有率は、
3 0 % + 6 0 % x 5 % X l . 7 = 3 5. 1 % となり、 B通信バスに係る最大許容バス占有率 4 0 %以下に抑える こ とが可能となる。
以上説明したよう に、 本発明によれば、 真に必要な情報のみをゲ — トウエイ処理するこ とにより、 ゲー トウ ェイ処理にてデ一夕が送 られる側の通信バスにおける通信 トラフ ィ ッ クの不必要な増大を回 避するこ とが可能となる。