明 細 書
新規ダルコサミ ン誘導体およびこれを
膜構成成分として含有する リポソーム
〔技 術 分 野〕
本発明は、 カチオン性リ ボソームの膜構成成分、 カチオン 性界面活性剤および抗体産生用アジュバン トとして有用な新 規ダルコサミ ン誘導体に関する。
また、 本発明は、 膜構成成分と して上記新規ダルコサミ ン 誘導体を含有する リボソームに関する。
〔背 景 技 術〕
リポソ一ムは脂質二分子膜からなる中空の閉鎖小胞であり、 リ ン脂質等の極性脂質薄膜を水溶液中に懸濁させることによ つて形成される。 リボソームは、 その脂質二分子構造が生体 膜のそれと基本的に同じであるため、 生体適合性に優; }τてい る。 このような特徵を利用して、 リボソームを ドラ ッグデリ バリーシステムに応用する研究が盛んに行われている。 この 用途において、 リボソームは生体適合性を有するマイ クロ力 プセルとして用いられる。 即ち、 種々の薬物や酵素等は、 リ ポソームの中に封入されたリポソ一ム製剤と して生体に投与 される。
リポソーム中に封入される薬剤の種類は、 リポソ一ム製剤 の投与目的に応じて多種多用であるが、 その一例と しては、 スーパ一ォキシ ドジスムターゼ (超 -化的不均化酵素 ; S O D ) が挙げられる。 この酵素は、 スーパーォキシ ドア二
オン (o 2 - ) を不活性化する酵素である。 スーパーォキシ ドアニォンは、 抗原抗体複合体が形成されるような外的刺激 に応じて、 生体内での分子状酸素の還元により生じるもので、 食細胞が貪食した異物を酸化分解する作用を有するため、 殺 菌および解毒に役立っている。 しかし、 スーパーォキシ ドア 二オンのような活性酸素は、 過剰に産生されると、 組織障害 や炎症を惹起する強力な因子として作用するため、 リ ウマチ、 ベーチュッ 卜病およびクローン氏病等の炎症性疾患や、 糖尿 病、 癌疾患の原因になることが知られている ( ドラ ッグデリ バリ一システム ; Drug De l i very System , 2 (1) . 1987) 。 従つ て、 スーパーォキシ ドアニォンを不活性化する S 0 Dの投与 は、 これら疾患の治療に有用である。
しかし、 S 0 Dは生体内での安定性に欠け、 その血中半減 期は 6分程度と短い欠点がある。 この S O Dの欠点を補う手 段として、 S O Dをリボソームに封入して安定化し、 徐放化 する試みも種々行われている (例えば、 特開昭 6 3 - 2 1 1 222号 公報、 特開平 1-175944号公報、 特開平 1-238537号公報、 特開 平 1-246225号公報) 。
—方、 リボソームの膜構成成分としては、 脂質、 特にレシ チンのようなリ ン脂質が用いられている。 リ ン脂質は、 一般 にリ ン酸エステル残基からなる親水性部分と、 高級脂肪酸残 基からなる疎水性部分とを有している。 この脂肪酸残基部分 の炭素数が 8以下、 特に 4以下のリ ン脂質は、 もはや分子集 合体を形成しない。 従って、 このようなリ ン脂質からリポソ ームを形成することはできない。 リ ン脂質から形態的に明確
なリポソ一ムを形成するためには、 その脂肪酸残基の炭素数 は 10以上、 好ま しく は 12〜24でなければならない。 なお、 ― 般にはリボソーム形成のための助剤と して、 ト リ グリセリ ド、 コ レステロ一ノレ、 コ レステロールエステル、 a - ト コフエ口 ール等のリ ン脂質以外の脂質を添加することが多い。
ところで、 ドラ ッグデリバリーシステムに適用される リポ ソームでは、 ステアリルァ ミ ン等の荷電物質を助剤として少 量添加するこ とにより、 リボソームの膜表面に正電荷を付与 することが提案されている。 その目的は、 リ ボソーム中への 薬物封入率を向上することと、 細胞へのリボソームの接着性 を向上させることである。 また、 これらカチオン性リポソ一 ムは、 中性又はァニオン性リボソームに比べて、 血中滞留性 が良いことも示唆されている (Eur. J. Biochera.. 47. 179- 185 (1974) ) 。 このようなカチオン性リ ボソームの従来技術 として、 例えば次の二つの刊行物が挙げられる。
第一は、 特開昭 63-77824号公報である。 こ こには、 S O D を封入したカチオン性リボソーム製剤 ( L- S O D) が開示 されている。 この L - S O Dでは、 リ ボソームの膜構成成分 と してジパルミ トイルフォスファチジルコ リ ン及びコ レステ ロールに加え、 ステアリルア ミ ンが用いられている。
第二は、. 「 ドラ ッ グデリバリ ーシステム」 (2(1), 41-52 (1987)) である。 こ こにも、 ステア リ ルア ミ ンを配合した力 チオン性のリボソーム製剤 ( L - S O D ) が開示されている。
しかしながら、 上記のステアリルア ミ ンを配合したカチォ ン性 L- S O Dは、 生体系に適用した場 に、 痙攣等の副作
用を生じる等、 毒性が強いという重大な欠点を有している ( J . Neuro l . Sci . , 31 , 173-179 (1977 ) ) 。 このため、 リ ポ ソ一ム製剤として実用に供し得るものではなかった。
〔発明の開示〕
本発明の第一の目的は、 リボソームの膜構成成分として使 用でき、 且つリボソームに対する正電荷付与剤と して作用す る毒性の無い新規なダルコサミ ン誘導体を提供することであ 0
本発明の第二の目的は、 上記の新規ダルコサミ ン.誘導体を 膜構成成分と したリポソームを提供することである。
本発明の第三の目的は、 優れた血中滞留性により薬物の血 中半減期を延長することができ、 且つ毒性の低いカチオン性 リ ボソームを提供することである。
上記第一の目的は、 下記一般式 〔 I〕 で示されるダルコサ ミ ン誘導体またはその薬学的に許容される塩によって達成さ れ ο
上記式において、 R R R 3 および mは夫々次 のものを表す。
• R 1 、 R 2 ;
水素原子又は C O ( C H 2 ) n C H
但し、 nは 10 ~ 22の整数を意味し、 また R 1 お よび R 2 が同時に水素原子であることはない。
• R 3 ;
水素原子又は低級アルキル基
♦ m ; 0〜 3の整数
本発明の第二の目的は、 膜構成成分の一つと して、 上記式 〔 I〕 で表されるグルコサミ ン誘導体またはその薬学的に許 容される塩を含有する リポソ一ムによって達成される。
本発明の第三の目的は、 上記式 〔 I〕 で表されるグルコサ ミ ン誘導体またはその薬学的に許容される塩を膜構成成分の —つと して含有する リボソームと、 該リ ポソ一ムの小胞内に 含有された薬理的ないし生理的活性物質とを具備したリ ポソ —ムによって達成される。 以下に、 本発明の詳細を説明する。
発明者等は、 上記式 〔 I〕 で表されるダルコザミ ン誘導体 およびその薬学的に許容される塩が、 リ ボソームの膜構成成 分のための配合剤、 特に正電荷付与剤と して有用であること を見出した。 更に、 このダルコサミ ン誘導体またはその薬学 的に許容される塩を用いて調製されたカチオン性リボソーム は、 血中滞留性に優れるため薬物の血中 期を延長するこ とができ、 且つ低毒性であることを見出した。 本発明はこれ らの知見に基づいて完成されたものである。
なお、 上記式 〔 I〕 のダルコサ ミ ン^ およびその薬学 的に許容される塩は、 リ ポソームに ¾する I ! vl 荷付与剤とし
てのみならず、 抗体産生用に用いられるァジュバン トまたは カチォン性界面活性剤としても有用であると考えられる。 式 〔 I〕 における R3 の低級アルキル基とは、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イ ソプロピル基、 ブチル基等、 炭素 数 1〜4のアルキル基であり、 特に好ま しく はメチル基であ また、 化合物 〔 I〕 は、 例えば塩酸、 硫酸もしく はリ ン酸 等の無機酸、 或いは酒石酸、 マレイ ン酸、 フマル酸も しく は コハク酸等の有機酸との間で薬理学的に許容される得る塩類 を生成することができる。
式 〔 I〕 で示される化合物は、 基本的には高級脂肪酸残基 からなる疎水性部分 (R1 および R2 ) と、 ダルコサミ ン残 基からなる親水性部分とから構成されている。 即ち、 3-位お よび 6-位の高級脂肪酸残基 R 1 , R2 は、 分子に疎水性を付 与するための基であるから、 これらは疎水性を付与するに十 分な炭素鎖であればよい。 例えば、 リボソームの大部分を構 成する リ ン脂質と同様、 R 1 , R2 は炭素数 10以上、 好ま し く は 12〜24 ( n 10〜22) の高級脂肪酸残基であるのが望ま しい。 一方、 ダルコサミ ン残基部分は、 分子に親水性を付与 するためのものであるから、 リボソームの形成能を妨げない 限りにおいて、 この部分は何量体であってもよい。 しかし、 好適には単量体 (m= 0) 、 2量体 (m= l ) 、 3量体 (m = 2) 、 あるいは 4量体 (m= 3) であり、 特に好ま しいの は単量体および 2量体である。 なお、 1 -位の -O R3 基はリ ポソームの形成や、 リポソームに対する正電荷付与に直接関
与する ものではない。 従って、 R 3 は水素原子または低級ァ ルキル基の何れであってもよい。
—般式 〔 I 〕 で示される化合物の代表例を例示すれば次の 通りであるが、 これらに限定される ものではない。
• 6 - ーラウロイノレ一 D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ド、
• 6 — O - リ ス トイノレ一 D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ド
• 6 — ^一 ノ、0ル ミ ト イルー D —ダルコサ ミ ン メ チルグリ コ シ ド
• 6 — ーステアロイノレ一!) 一ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ド
• 3 , 6 —ジー ーラウロイノレ一 D —ダルコサ ミ ンメ チル グリ コ シ ド
• 3 , 6 —ジー O— リ ス トイノレー D —グルコサ ミ ンメ チ ノレグリ コ シ ド
• 3 , 6 — ジ一 一 ノ、。ルミ トイノレ一 D —ダルコサ ミ ンメ チ ノレグリ コ シ ド
• 3 , 6 — ジー ーステアロイノレ一 D — グルコサ ミ ンメ チ ノレグリ コ シ ド
• 6 , 6 ' ー ジー ーパルミ トイルー D — ダルコサ ミ ノ ー
( 1→ 4 ) - yS - D 一ダルコサ ミ ンメ チルグリ コ シ ド
• 3 - ^—パルミ トイノレ一 D — グルコ卄 Ϊ ンメ チノレグリ コ シ ド
• 6一 O—ノヽ。ノレ ミ 卜 イ ノレー D — グル コ サ ミ ン
g
本発明による上記ダルコサ ミ ン誘導体 〔 I 〕 は、 レシチン などのリ ン脂質との親和性に俊れている。 また、 2-位にア ミ ノ基を有するため、 レシチン等のリ ン脂質に配合してリ ポソ —ムの膜構成成分に用いることにより、 形成されたリ ポソ一 ムに正電荷を付与することができる。 従って、 ダルコサミ ン 〔 I〕 はリボソーム形成のための助剤、 特に正電荷付与剤と して極めて有用である。 また、 ダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 は 高級脂肪酸残基からなる疎水性部分と、 ダルコサミ ン残基か らなる親水性部分とで構成されているから、 カチォン性界面 活性剤、 或いは抗体産生用のアジュバン トと しての有用性も 期待される。
次に、 本発明のダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を製造する方法 について説明する。 この製造方法は特に限定される ものでは ないが、 その一例を示せば次の通りである。 なお、 下記の合 成フローにおいて、 R 1 , m , πは既述したと同じ意味を有 している。 また、 Zはべンジルォキシカルボニル基であり、 ア ミ ノ基の保護基として用いられている。
上記の合成フローは、 下記の R
1 および R
2 を有するダル コサミ ン誘導体 〔 I〕 を製造する方法を例示したものである。
R 1 : -C 0 (C H2 ) n C H3
R 2 : 水素原子
R 1 および R2 の両者が -C O ( C H 2 ) n C H 3 基である ダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を製造したい場合には、 第 3工程 において、 化合物 〔IV〕 の N-ベンジルォキシカルボ二ルグル コサミ ン残基 1個当り、 Cj? C O ( C H 2 ) „ C H 3 を 2倍 モル以上使用すればよい。 また、 R 1 と R2 が異なるァシル 基であるグルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を製造したい場合には、 第 3工程に示した反応の終了後、 更に別の R2 C£ を反応さ せればよい。 更に、 上記フローに示した例とは逆に R 1 が水 素原子で、 R 2 力 - C 0 ( C H 2 ) n C H 3 基であるダルコ サミ ン誘導体 〔 I〕 を製造したい場合には、 第 3工程におい て、 化合物 〔IV〕 の 6位の水酸基を適切な保護基で保護した 後、 R2 C J? を反応させればよい。
上記フローに示した合成例を、 各工程ごとに詳細に説明す れば次の通りである。
第 1工程
—般式 〔Π〕 で示される公知のア ミ ノ糖またはその塩酸 塩を、 ピリ ジン等の溶媒中において、 ベンジルォキシカルボ ニルクロ リ ド (P h C H2 0 C 0 C £ ) と反応させる。 これ により、 ア ミ ノ糖 〔 Π〕 における 2位のア ミ ノ基はべンジル ォキシカルボニル基 (Ζ) で保護され、 化 Γί物 〔ΙΠ〕 が得ら れる。
第 2工程
第 1工程で得られた化合物 〔Π〕 を、 Ρ— トルエンスル ホン酸等を触媒としてメ タノールと反応させる。 これにより、 化合物 〔Π〕 の 1位がメ トキシ化されて化合物 〔IV〕 が得ら れ D o
なお、 m = 0の単量体化合物 〔IV〕 は公知、 ないしは当業 者が常法に従って極めて容易に誘導できる化合物である。
また、 化合物 〔ΠΙ〕 が m = l〜 3のオリ ゴマーである場合 には、 これを上記のように直接メ トキシ化すると、 各ダルコ サミ ン単量体間のダリ コシ ド結合が切断されるおそれがある。 従って、 このグリ コシ ド結合の切断を防止するために、 次の 方法を用いるのが好ま しい。 まず、 化合物 〔m〕 と無水酢酸 とをピリ ジ ン等の溶媒中で反応させる ことにより、 化合物
〔m〕 の全ての水酸基をァセチル基で保護する。 铳いて、 少 量の臭化水素酸 Z酢酸溶液を加えて反応させ、 更にメ タノー ル溶媒中で炭酸銀の存在下に反応させることにより、 1位の ァセ トキシル基を選択的にメ 卜キシ基に置換する。 その後、 この 1位がメ トキシ化された化合物を、 メ タノ一ル溶媒中に おいて、 炭酸ナ ト リ ゥムの存在下に反応させる。 この反応に より、 残りのァセチル基が脱離され、 水酸基に転化される結 果、 化合物 〔IV〕 が得られる。 この一連の操作は、 次の反応 式で示される。
化合物 〔III〕
• 化合物〔IV〕
第 3工程
第 2工程で得られた化合物 〔IV〕 と高級脂肪酸クロ リ ド ( C H 3 ( C H 2 ) n C O C j? ) とを、 ピリ ジン等の溶媒中 で反応させることにより、 化合物 〔IV〕 の 6位の水酸基をェ ステル化し、 化合物 〔V〕 を得る。 高級脂肪酸の量は、 化合 物 〔 IV〕 の N-ベンジルォキシカルボニルダルコサミ ン残基 1 個当たり 1モルとする。 但し、 同時に 3位の水酸基も同時に エステル化したいときは、 既述したように、 N-ベンジルォキ シカルボニルダルコサミ ン残基 1個当たり 2倍モル以上の高 級脂肪酸ク口 リ ドを用いる。
第 4工程
第 3工程で得られた化合物 〔V〕 に対し、 P d - C等の 触媒の存在下で水素添加することにより Z基を脱離し、 最終 目的化合物 〔 I ' 〕 を得る。
なお、 上記の製造例は、 1位が低級アルコキシ基 (即ち、 R 3 が低級アルキル基) である化合物 〔 I〕 に関するもので ある。 しかし、 上記のようにして得られた 1位が低級アルコ キシ基である化合物 〔 I〕 を、 加水分解酵素等の公知の適当 な手段を用いて加水分解することにより、 1位が水酸基 (即 ち、 R 3 が水素原子) である目的化合物 〔 I〕 を容易に製造 することができる。 また、 場合によっては 1位の水酸基を適 当な保護基で保護しておいて上記と同様の合成反応を行ない、 最後にその保護基を脱離させる方法を用いてもよい。
次に、 本発明による リ ポソームについて説明する。
一般に、 脂質 2分子膜で構成される リ ボソームは、 その構
造に基づいて、 例えば次の三種類に分類される。 しかし、 本 発明のリ ポソームはこの何れの構造であつてもよい。
①多重同心円状のラメ ラ構造を有する リ ボソーム (多重 ラメ ラ ヽ)]包 ; inul t i I aoiel I ar vesicle; M L V ) 、
②小さな単ラメラ構造を有する リ ポソ一ム (小さな単ラ メ ラ小胞 ; smal I uni I amel l ar vesicl e ; S U V )
③大きな単ラメ ラ構造を有する リ ボソーム (大きな単ラ メ ラ小胞、 L U V、 I arge uni l amel l ar vesicl e ) 既述したように、 本発明による リ ボソームの特徴は、 新規 ダルコサ ミ ン誘導体 〔 I〕 を膜構成成分と して含有すること である。 しかし、 それ以外の膜構成成分と して、 通常のリ ポ ソ一ム形成に使用される脂質の何れを用いてもよい。 このよ う な脂質と して、 例えば、'フ ォ スフ ァ チジルグリ セロール、 フ ォ スフ ァ チジ ン酸、 フ ォ スファチジノレコ リ ン、 フ ォ スフ ァ チジルエタ ノ ーノレア ミ ン、 フ ォ スフ ァ チジノレセ リ ン、 フ ォ ス フ ァ チジルイ ノ シ トール、 スフ イ ンゴ ミ エ リ ン、 卵黄レ シチ ン、 大豆レ シチン等の天然若しく は合成のリ ン脂質、 並びに 水素添加リ ン脂質、 グリセ口糖脂質等を挙げることができる t これらは夫々を単独で用いてもよく、 2種以上の混合物と し て用いてもよい。
更に、 膜構造を安定化させるために、 コ レステロール等の ステロール系安定化剤を配合してもよい。 また、 トコフ ユ口 ールゃ - カロチン等の酸化防止剤、 並びにその他の配合剤 を適宜選択して配合すること も可能である。
本発明のリ ボソームにおいて、 膜構成成分の間の比率は特
に限定されない。 一般に、 リ ン脂質 100 重量部に対するダル コサミ ン誘導体 〔 I〕 の使用量は、 0 . 5 〜 30重量部、 好ま し く は 1〜25重量部である。 ダルコサミ ン誘導体が 0 . 5 重量部 未満の場合は、 カチオン性リ ボソームと しての十分な効果が 得られない。 逆に、 ダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 の配合量が 30 重量部を超えると、 リ ポソーム形成能が低下することがある しかも、 30重量部より多く のダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を使 用してもカチオン性リボソームと しての効果はそれほど増大 しないから、 このように多量に使用することはコス ト的に無 意味である。 コ レステロール等の安定化剤の配合量は、 一般 に、 リ ン脂質 100 重量部に対し 30重量部以下である。 また、 酸化防止剤等のその他の配合剤の使用量は、 一般に 5重量部 以下である。
本発明のリポソームの粒径は特に限定されず、 個々の具体 的な用途に応じて適宜選択すればよい。 しかし、 好ま しく は 0 . 3 β in 以下、 更に好ま しく は 0 . 2 m 以下である。
本発明のリボソームは、 上記リボソームのラメラ構造内部 に、 種々の有用な薬理的ないし生理的活性物質を含有させた ものである。 本発明のリポソ一ムに保持させる薬剤について は、 先に S 0 Dについ T例示的に述べた力 <、 これに制限され るものではなく、 種々の水溶性又は脂溶性薬物が使用され得 る。 但し、 リボソーム自体が正電荷を有するから、 電気的に 中性あるいはァニオン性の薬物が好ま しい。 このような好ま しい薬物と しては、 前記 S 0 Dの他に、 イ ン ドメ タシ ン等の 抗炎症剤、 ヘモグロ ビン等の酸素運搬剤、 ゥロキナーゼ等の
酵素剤、 塩酸ドキシサイ ク リ ンゃ硫酸ゲンタマイ シン等の抗 生物質、 並びにイ ンシュ リ ン、 A C T H (副腎皮質刺激ホル モン) 、 カルシ トニン等のホルモン剤が挙げられる。 加えて、 血中滞留時間が長いという長所を特に活かせるものと して抗 癌剤等を挙げることができる。
本発明のリ ボソームは、 当該分野において通常用いられて いる公知の方法に従い調製することができる。 その一例を以 下に説明する。
まず、 リ ン脂質、 ダルコサミ ン誘導体、 必要によりその他 の膜安定化剤、 荷電物質、 酸化防止剤等の膜構成成分を有機 溶媒に溶解し、 これをフラスコ容器に入れる。 続いて、 減圧 下に溶媒を留去することにより、 フラスコ内面に脂質薄膜を 形成せしめ、 更に真空乾燥を行なう。 このフラスコに、 ト リ ス- 塩酸のような適切な緩衝液に所望の薬物を含有させた薬 物溶液を添加するこ とにより、 フラスコ内面の脂質薄膜を膨 潤させる。 同時に、 振蘯 (好ま しく は超音波処理) を施すこ とにより分散液を形成する。 この分散液中において、 前記脂 質薄膜は薬物溶液が封入されたリボソームを形成している。 その後、 遠心分離、 ゲル濾過、 または限外濾過を行なう こと により、 リ ボソームに封入されなかった残余の薬物溶液を除 去する。 こう して得られた薬物封入リ ボソームを、 等張緩衝 液中にに再び分散させる。 この薬物封入リ ボソーム分散液は、 そのまま注射.剤と して使用するこ とができ る。 しかし、 必要 に応じて凍結乾燥し、 使用時に媒質中に ^散して注射剤に調 製され得るような剤形を採用して よい。 また、 リ ボソーム
の粒径調節が望まれる場合には、 加圧濾過法 (ェクス トルー ダ一法) 、 ゲル濾過、 遠心分離等の公知の方法を適宜選択し て用いることにより、 粒径調節を行えばよい。
〔実施の最良の形態〕
以下、 実施例に基いて本発明を更に具体的に説明する。 実施例 1 ( 6 — ^—パルミ トイルー D ―グルコサ ミ ンメ チ ルグリ コ シ ドの製造)
(1) N —ベンジルォキシカルボニル— 6 — ーパルミ トイ ルー D —ダルコサ ミ ンヌ チルグリ コ シ ドの製造
Pyr
D 一ダルコサ ミ ンカ、ら、 公知の手法に従って N —ベンジル ォキシカルボ二ルー D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ド 1 を 得た。 この N —ベンジルォキシカルボ二ルー D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ド 1 ( 9. 3 g ) と、 パルミ トイノレク ロ リ ド
2_ (8mJ2 ) とをピリ ジン (50 inj? ) 中に加え、 窒素ガス棼囲 気下に室温で 24時間撹拌して反応させた。 反応混合物を 10% 氷冷塩酸中に注入し、 酢酸ェチルで抽出した。 その後、 抽出 液を飽和炭酸水素ナ ト リ ウム (N a H C 03 ) およびブライ ン (食塩水) で洗浄し、 無水硫酸ナ ト リ ウム (N a 2 S 04 ) で乾燥した後、 溶媒を除去して粗生成物を得た。 更に、 この 粗生成物を酢酸ェチル溶液から再結晶することにより、 N— ベンジルォキシカルボニル一 6— ーパルミ トイルー D ―グ ルコサミ ンメチルダリ コ シ ド 3 (7.65 g ) を得た。 収率は 52 %であった。 該生成物の物理データは次の通りである。
m P · 96〜97°C
I R ( K B r ) : 3330cm—1. 3030cm—1. 2920cm—
2850cm— 1, 1735cm— 1, 1690001- 1.
丄 540cm— 1460cm—1, 1260cm"1.
M S (F A B ) : 566 (M+1) +
XH- N R (DM S O- e )
δ (ppm) : 7.36(s. 5H); 7.丄 2 (d ,ノ -8Hz .1H) ;
5.25(d ,j =7.4Hz.lH); 5.03(s,2H)
4.90(d ,ノ -4HZ.1H) :4.58(d ,ゾ =2.4Hz, 1H); 4.32(d,/=12.4Hz,lH);
4.07(dd, /-6.2Hz, /=6.6Hz,lH);
3.40〜3.6(m.2H) : 3.24(s.3H);
3.15(πι,1Η); 2.31 (t , / =7Hz .2H);
1.51(m,21]); 1.24(b.24H);
0.86(t , /-6.2Hz.3H)
XH- N M R ( C D Cj? 3 )
δ (PPDI) :7.36(s, 5H); 5.18(d ,/-8.8Hz.lH);
4.71(d,/-3.6Hz.lH) ;4.50(dd, / -4Hz,lH); 4.25(d,ノ-丄 2.4Hz,lH) ; 3.6 〜3.9(ra,2H) ; 3.35(s,3H); 2.37(t ,/ -7.4Hz.2H); . 1.63(m,2H); 1.25(b.24H);
0.88(t ,ノ ·6Ηζ,3Η)
(2) 6— ーパルミ トイノレ一 D —ダルコサ ミ ンメ チルグリ コ シ ドの製造
H2/Pd-C
MeOH す
ά
上記で得た N—ベンジルォキシカルボ二ルー 6 - —パル
ミ トイルー D —ダルコサミ ンメチルダリ コシ ド (1.35 g ) をメ タノール (50 DiJ? ) に溶解し、 触媒量の 5 % Pd-C を加 え、 常温、 常圧下で 24時間接触還元を行なった。 反応終了後 これを濾過して溶媒を除去した。 続いて、 残渣をシリカゲル カラムクロマ トグラフィ ーで精製することにより、 目的化合 物である 6— ^—パルミ トイルー!) 一ダルコサミ ンメチルダ リ コシ ド ( 874 nig) を得た。 収率は 85%であつた。
m. p . : 70.5〜71.5。C
元素分析 : C H N
実測値 64.24% 10.84% 3.04%
計算値 64.00% 10.51% 3.25%
(水 C 23H 43 O 6 Nと しての計算値) I R (K B r ) : 3350CD)- 1. 2920cm-1. 2850cm-1,
1730cm"1 , 1460cm—1
M S (F A B ) : 432(M+1) +
XH- NMR (D M S O- d )
δ (ppin) : 5.15(m, 1H) ; 5.00 (m .1H);
4.5i(d ,ノ -3.4Hz, JLH);
4.30(d,ノ -10.6Hz.lH);
4.04(dd. /-6.6Hz, /-6.8Hz.1H);
3.53(m.lH) ;3.26(s,3H) ;3.10(πι.2Η); 2.40(πι.1Η) ;2.29(t, / -7.2Hz.2H); i.51(ui.2H) ;1.24(b.24H);
0.86(t,/-6.0Hz.3H)
実施例 2 ( 6 — ーラウロイル— D —ダルコサ ミ ンメ チル グリ コシ ドの製造)
パルミ トイノレク ロ リ ドの代わり にラウ口イルク 口 リ ドを 用いた点を除き、 実施例 1 と同様にして油状の標記化合物を 得た。 生成物の元素分析値は次の通りであった。
元素分析 : C H N
実測値 60.34% 9.95% 3.63%
計算値 60.80% 9.87% 3.73¾
(* C ι9Η 3706 Nと しての計算値) 実施例 3 ( 6— ー ミ リ ス トイルー D —ダルコサ ミ ンメ チ ルグリ コシ ドの製造)
パル ミ ト イ ノレクロ リ ドの代わりにミ リ ス ト イ ノレクロ リ ド を用いた点を除き、 実施例 1 と同様にして標記化合物を得た
生成物の融点および元素分析値は次の通りであった
m . p . : 6 5〜 7 0。C
元素分析 : C H N
実測値 62.18% 10.27% 3.33%
計算値木 62.53% 10.17% 3.47 0
C 21H4106 Nと しての計算値)
実施例 4 ( 6— ^—ステアロイルー D —ダルコサ ンメ チ ルグリ コ シ ドの製造)
パルミ トイノレク ロ リ ドの代わりにステアロイノレク ロ リ ド を用いた点を除き、 実施例 1 と同様にして標記化合物を得た , 生成物のマススぺク トル分析値は次の通りであった。
M S : 459.3542(M+)
( C 25Η49 θ 6 Νと しての計算値 ; 459.3559) 実施例 5 ( 6, 6 * —ジー ーパルミ トイルー D —グルコ サ ミ ノ 一 ( 1—4 ) 一 5— D —ダルコサ ミ ンヌ チルダリ コ シ ドの製造)
(1) Ν , Ν ' — ジベンジルォキシカルボニル — D —グル コサ ミ ノ ー ( 1—4 ) - β - d 一ダルコサ ミ ンの製造
D—グルコサ ミ ノ ー ( 1—4) 一 S— D —ダルコサ ミ ン塩 酸塩丄 (2.5 g ) と炭酸水素ナ ト リ ウム (2.1 g ) とを、 混 合溶媒 (水 : メ タノール = 3 ·· 4 v/v, 70 Βίΰ ) 中に溶解し た。 更に、 この溶液にベンジルォキシカルボニルク 口 リ ド ( P h C Η 2 0 C 0 C £ ) (2.4 g; 2oiJ2 ) を加え、 室温で 2時間撹拌した。 生成物を濾別し、 これを精製水とジクロロ メ タ ンとで各 2回洗浄した後、 真空乾燥を行なった。 この生 成物をメ 夕ノールから再結晶させることにより、
N , N ' ー ジベンジルォキシカルボニル— D —ダルコサ ミ ノ 一 ( 1→4 ) - β - Ό -ダルコサ ミ ン _ (62mg) を得た。 収 率は 72.6%であった。 また、 その物理データは次の通りであ つた。
' Ε - N M R (D M S O- )
δ (ppm) : 3.il~3.72(m.lOH);
4.5(tetra. / -5.34Hz.iH);
4.32(d,ノ -7.04Ηζ,1Η) : 4.45(s,lH);
4.55(s,lH) ;4.71(s,lH);
4.94〜5.13(m,8H); 6.56 (d , / -4.3Hz .1H); 7.20(d ,ノ -8.36Hz,2H) ; 7.36(s,10H)
I R ( K B r ) : 3325cm—1, 2940cm— 1, 1680cm-1.
1540cm-1, 1280CD1- 1. 1245cm— 1,
1030C0I"1
M S ( F A B ) : 609 (M+i) +
(2) N , N ' —ジベンジルォキシカルボニル一 3 , 4 , 6:
1 ' , 3 ' , 6 ' —へキサ— ーァセチル— D —グル コサ ミ ノ ー ( 1—4 ) 一 S —D —ダルコサ ミ ンの製造
HO
HZ HZ 2
上記(1) で得た化合物 (1.5 g ) をピリ ジン
5 mj? ) 中に溶解し、 更に無水酢酸 (10 mj? ; 約 O.il Diol) を加えて 室温で 12時間撹拌することにより反応させた。 反応終了後、 10%塩酸を加え、 酢酸 チルで抽出した。 飽和食塩水で抽出 液を洗净し、 無水硫酸ナ ト リ ウムで乾燥した。 続いて、 溶媒 を除去することにより、 N , N ' —ジベンジルォキシカルボ 二ルー 3, 4, 6, 1 ' , 3 ' , 6 ' —へキサー —ァセチ ルー D —グルコサミ ノ ー ( 1→4 ) — ? — 1) 一ダルコサミ ン 3 ( 1.88 g ) を得た。 収率は 87.04 %てあった。 生成物の
H - N M Rは次の通りであった。
- NMR ( C D C£ 3 )
δ (ppm) : 1.89(s.3H); 1.92(s.3H); 1.95(s.3H); i.99(s.3H); 2.07(s,3H); 2.08(s,3H); 3.61〜4.40(m,9H): 4.·97〜 5.34 (m .10H) 6.13(d , /-3.66Hz, 1H); 7.33(s, 10H) (3) N , N - —ジベンジルォキシカルボ二ルー 3 , 4 , 6
6 一ペン夕 一 クーアセチノレ一 D —ダルコサ ミ ノ ( 4 ) 一 ^ 一 D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ドの製造
(DHBr/AcOH
(2)MeOH/Ag2C03
上記(2) で得た化合物 (1.5 g ) を乾燥ジメチルクロ リ ド (30 m£ ) に溶解した。 0 °Cにおいて 25%の臭化水素酸 Z 酢酸溶液 (1.5πιΰ ) を加え、 窒素ガス雰囲気下で 4時間撹拌 した。 反応終了後、 臭化水素酸を除去するために反応混合物 を氷水に入れ、 ジ.クロロメ タ ンで抽出した。 次いで、 無水硫 酸ナ ト リ ウムで乾燥した後、 ジク ロロメ タ ンを留去する こと により粗生成物を得た。 得られた粗生成物を、 直ちに乾燥メ 夕ノールに溶解した。 更に炭酸銀を加え、 室温で 24時間搅 拌した。 濾過により炭酸銀を除去した後、 メ タ ノ ールを留去 した。 得られた粗生成物 ( 1.22 g ) をカラムクロマ トグラフ ィ 一で精製することにより、 N, Ν ' —ジベンジルォキシカ ルボニルー 3 , 4 , 6, 3 ' , 6 ' —ペンター クーアセチル - D —ダルコサ ミ ノ 一 ( 1—4 ) - β - d 一ダルコサ ミ ンメ チルダリ コシ ド (0.52g ) を得た。 収率は 35.8%であった, 生成物の NM Rは次の通りであった。
'Η- N M R ( C D CJ2 3 )
δ (PPDI) : 丄.91(s,3H): 1.92(s,3H); 1.99(s,3H) :
2.06(s,3H); 2.08(s.3H); 3.47(s,3H); 3.52〜3.74(πι,4Η); 3.98〜 4.37 (m , 6H); 4.96〜5·28(ιη,10Η) ; 7.32(s,10H)
(4) N , N - — ジベンジルォキシカルボ二ルー D —ダルコ サ ミ ノ ー ( 1→4 ) 一; S — D —グルコサ ミ ンヌ チルダ リ コシ ドの製造
Ac
上記(3) で得た化合物 (1.0 g ) にメ タノール (30 ) を加え、 撹拌して懸濁液とした。 この懸濁液に飽和炭酸ナ ト リ ウム ( 3 oii? ) を加え、 2 4時間反応させた後、 酢酸ェチ ルで抽出することにより、 N , N ' —ジベンジルォキシカル ボニルー D —ダルコサミ ノ ー ( 1 →4 ) — β — ϋ 一ダルコサ ミ ンメチルダリ コシ ド (0.45 g ) を得た。 収率は 60%であ つた。 生成物の ェ!!- N M Rは次の通りであった。
lE- M R ( D M S O - d 6 )
δ (ρρπι) : 3.06〜3.70(m'7H) ; 4.12〜 4. i 6 (m , 2H):
3
4.99〜5.28(m,6H); 4.52〜 4.68 (m , 1H); 5.26〜5.28(m,2H) ; 7.36(s,10H)
(5) N, N —ジベンジルォキシカルボ二ルー 6 , 6
ジ一 ーパルミ トイノレ一 D —ダルコサミ ノ ー ( 1 4 ) — β — ϋ 一ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ドの製造
上記 ) で得た化合物 (0.3 g ) をピリ ジン ( 5 mi? ) 中に溶解した。 これを窒素ガス雰囲気下に撹拌しながら、 パ ルミ トイルク ロ リ ド ( 0.29 g ; 0 · 3mJ2 ) を加え、 0 °C〜室温
で 12時間反応させた。 反応終了後、 10%塩酸溶液を加え、 酢 酸ェチルで抽出した。 更に、 抽出液を飽和食塩水で洗浄した 後、 溶媒を留去するこ とにより粗生成物 (0.58g ) を得た。 この粗生成物を力ラムク ロマ トグラフィ ーで精製する こ とに より、 N , N —ジベンジルォキシカルボニル— 6 , 6 ' ― ジ一 0-パルミ トイル一 D —グルコサミ ノ — ( 1—4 ) — β — D —ダルコサミ ンメチルダリ コシ ド ( 0.1 g ) を得た。 収率は 19.17 %であつた。 生成物の ΝλΙΙ は次の通り であった。
XH- N M (D M S 0 - d 6 ) :
δ (ppm) : 0. Π〜0.88(ιη.6Η); 1.23(s.54H);
1. 51(m, 4H) : 2.27(DI,5H);
3. 35〜3.48(m,llH): 3.97 ~ 4.61 (m , 6H);
4. 90〜5.05(πι,4Η): 7.33(s,10H)
(6) 6 , 6 ' -ジ - 一パルミ トイノレ一 D —ダルコサミ ノ - ( 1→4 ) — β — ϋ ーグノレコサミ ンヌ チノレグリ コ シ ドの製造
上記(5) で得た化合物 (0.16 g ) を混合溶媒 (テ トラ ヒ ドロフラ ン : メ タ ノ ール = 1 : 1 v/v. 10 mj? ) 中に添加し 撹拌して溶解した。 これに P d - Cを加えた後、 室温で 12時 間水素ガスと反応させた。 反応終了後、 反応混合物を濾過し て P d - Cを除去し、 溶媒を留去する こ と によ り粗生成物
(O.llg ) を得た。 更に、 pre-T L Cで^ することにより 最終生成物 6, 6 ' —ジー ^一パルミ ト イルー D —ダルコサ ミ ノ一 ( 1→ 4 ) 一 3— D —ダルコサ ミ メ チルグリ コ シ ド
Ί_ (0.02g ) を得た。 収率は 16.7%であった。 生成物のマス スぺク トル分析および I Rの結果は次の通りであった。
M S (F A B ) ; 831(M+1) +
I R ( K B r ) : 3420cm—1, 2920cm—1, 2850cm—1,
1740cm"1. 1470cm"1
実施例 6 ( 3 , 6—ジ― —ラウロイル— D —グルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ドの製造)
(1) N—ベンジルォキシカルボ二ルー 3 , ら ー ジ 一 O - ラ ゥロイル— D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ドの製造
CH3(CH2)i0COCl
Pyr
D—ダルコサミ ン塩酸塩から公知の手法に従って得られた N—ベンジルォキシカノレボニルー D —ダルコサ ミ ンメ チノレグ リ コ シ ド 1 (10 g ; 30.58 oifflol) を、 ピリ ジン (60 mj? ) 中 に溶解した。 ラウロイノレク ロ リ ド (14.71 ; 67.3DIDIO1) を 室温下で加え、 24時間撹拌した。 10%塩酸を加えて酢酸ェチ ルで抽出し、 酢酸ェチル層を飽和食塩水で洗浄した。 この抽 出液から酢酸ェチルを留去するこ とにより、 粗生成物 (19.3 g ) を得た。 更に、 この粗生成物を力ラムクロマ 卜グラフィ 一で精製することにより、 N—べンジルォキシカルボ二ルー 3 , 6— ジー ^一ラウロイル一 D —グルコサ ミ ンメ チルグリ コシ ド 2 (2.7 g ) を得た。 収率は 15.06 %であった。
(2) 3 , 6—ジー —ラウロイル— D —ダルコサ ミ ンメ チ ルグリ コ シ ドの製造
H2/Pd-C
上記(1) で得た化合物^ C2.7 g; 3.14DIDIO1) を、 混合溶 媒 (メ タノール : 酢酸ェチル = 1 : 1 v/v) に溶かした。 こ の溶液に触媒の P d - Cを加えた後、 水素ガスと 10時間反応 させた。 反応終了後、 濾過により触媒を除去し、 粗生成物 (1.85g ) を得た。 これをカラムクロマ トグラフィ ーで精製 することにより、 3, 6—ジ— ^—ラウロイルー D —ダルコ サミ ンメチルダリ コシ ド 3— ( 0.5 g ) を得た。 収率は 28.6% であった。 生成物の物理データは次の通りであった。
m p . : 50~54°C
I R (K B r ) : 3380cm-1. 2940cm—1. 2860cm—1
1730cm"1. 1580cm— 1 , 1470cm"1 1190cm— 1 , liOOcm"1. 1060cm— 1 ' - N M R ( C D C j? a )
δ (PPDI) : 0.88(t , /-6.14Hz, 6H); 1.26(s.36H);
1.60〜1.66(m,'4H) 2.09(s,3H);
2.31〜2.44(m,2H) 2.83〜2.90(m,_lH) 4.26〜4.49(m.lH) 4.74〜4.99(m,lH) 3.35〜3.45(m,4H) 3.77〜3·79(πι,1Η) 元素分析
C H Ν
実測値 66.40% 10.81 2.32%
計算値 66.78% 10.59% 2.51%
( C 3ΐ Η 5907 Νと しての計算値)
実施例 7 ( 3 , 6— ジー ^一 ミ リ ス トイルー D —ダルコサ ミ ンメ チルグリ コ シ ドの製造)
ラ ウ ロイソレク ロ リ ドの代わり に ミ リ ス ト イノレク ロ リ ドを 用いる以外は、 実施例 6と同様にして標記化合物を得た。 収 率は 35.54 %であった。 生成物の物理データは次の通りであ つた
m P 47〜50。C
I R ( B r ) 3380cm"1 2940cm- 2860cm"1
1730cm-1 1580CDT 1470cm—1 1190CDT 1 HOOciD- 1060cm-1 XH - N M R ( C D Cj? 3 )
δ (ppDi) :0.88(t ,ノ -6.16Hz, 6H) ; i.26(s,42H);
丄.58〜: 1.70(m, 4H) , 1.87〜 1.93 (m , 2H); 2.34〜2.45(m,4H); 2.83〜 2.90 (m .1H): 3.36〜3.45(DI,4H); 3.77〜 3.84 (m .1H); 4.26〜4.52(m,lH); 4.75 (d , / -3.52Hz , 1H); 4.94(t ,ノ -9·7Ηζ,1Η) .
元素分析 : C Η Ν
実測値 68.43% 11.14% 2.02%
計算値 68.52% 10.93% 2.28%
( C 35H 6707 Nと しての計算値)
実施例 8 ( 3 , 6—ジ— ーステアロイルー D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ドの製造)
ラ ウ口イルク ロ リ ドの代わり にステア口イルク ロ リ ドを用 いた点を除き、 実施例 6 と同様にして標記化合物を得た。 収 率は 22.27 %であった。 生成物の物理データは次の通りであ つた。
I R (K B r ) : 3380cm一1 2940cm—1 2860cm"1
1730cm-1 1580cm—1 1470CDI_ 1 丄 i90cm— 1 1100cm—1 1060cm—1 XH - N M R ( C D C 1 3 )
δ ( pm) :0.88(t ,/ -6.21Hz.6H); 1.25(s,58H) ,
1.52〜1.65(m,4H) 2.00〜2.13(DI, 2H) 2.33~2.45(m.4H) 2.82〜2.89(m,lH) 3.35〜3.55(m,4H) 3.77〜3.83(m,lH) 4.27〜4.50(m,lH) 4.75(d,ノ -3.28Hz.lH) ; 4.94(t , /-9.52Hz, 1H)
M S 725.6155 (Μ+· )
( C 43H 8307 Nと しての計 :値 ; 725.6167) 実施例 9 ( 6 — ^一パル ミ ト イ ノレ一 D - グルコサ ミ ンメ チ ルグリ コ シ ドを膜構成成分と して含有する リ ポ ソーム)
下記三種類の膜構成成分を、 夫々 ク ロ 口ホルム溶液と し
て容積 50 raj? のナス型フラ スコに加え、 混合した。
♦ フ ォ スフ ァ チジルコ リ ン (濃度 lOOmM) ; 840〃 、 • コ レステロール (濃度 lOOmM) ; 240 /i
• 6— 一パルミ トイルー D —ダルコサ ミ ンメ チルグリ コ シ ド (濃度 ΙΟοιΜ ) ; 1200 ^ J?
上記三成分間のモル比は 7 : 2 : 1である。 更に、 ク ロロホ ルム 10 m£ を加えた。
ク ロ口ホルムを留去した後、 ー晚真空乾燥する こ とにより ブラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。 次いで、 3940 μ の 300mMソルビ トール ZiOmM卜 リ ス- 塩酸緩衝液に溶解させた 牛赤血球由来 S 0 D 60ju £ (30 g Z oij? 含有) をフラス コ中に加え、 激しく 振とう撹拌することにより、 リ ボソーム (M L V) 分散液を得た。 この分散液を遮光下に 2時間室温 で放置した後、 更に約 20°Cで一晚放置した。 次に、 300mM ソ ルビ トール ZlOmMト リ スー塩酸緩衝液を用いて全量を 12 mj? に調節した後、 遠心分離 (約 120, 000 g、 70分間) を行なつ た。 上清をデカ ンテーシ ョ ン し、 未封入の S O Dを除去する ことにより、 リ ボソームのペレツ トを得た。 このペレツ トを、 lOOmi の 300mM ソルビ トール lOmMト リ ス- 塩酸緩衝液に分 散することにより、 S O Dを保持した標記の リ ボソ一ム分散 液を得た。
実施例 1 0 (6— ーラウロイルー D —ダルコサ ミ ンメ チ ルグリ コ シ ド含有リ ボソーム)
6— ーパルミ トイルー D —グルコサ ミ ンヌ チルダリ コ シ ドの代わり に、 6— ーラウロイルー D —ダルコサ ミ ンヌ
Λ1
チルグリ コ シ ドを用いた点を除き、 実施例 9の方法に準じて 標記リ ボソーム分散液を得た。
実施例 1 1 ( 6— - ミ リ ス トイルー D —グルコサ ミ ンメ チルグリ コ シ ド含有リ ポソー厶)
6— ーパルミ トイノレ一 D —ダルコサ ミ ンヌ チルダリ コ シ ドの代わり に、 6— 0- リ ス トイノレ一 D —ダルコサ ミ ン メ チルダリ コ シ ドを用いた点を除き、 実施例 9の方法に準じ て標記リ ポソーム分散液を得た。
実施例 1 2 (6-0- ステアロイル- D- グルコサ ミ ンメ チ ルグリ コシ ド含有リ ボソーム) 6- 0 - ノレミ トイノレ- D— ダルコサ ミ ンメ チルグリ コ シ ドの代わりに、 6-0- ステアロイル- D- ダルコサ ミ ンメ チ ルグリ コ シ ドを用いた点を除き、 実施例 9に準じて標記リ ポ ソ 一 ム分散液を得た。
実施例 1 3 ( 6 6 ' —ジー ^一パルミ トイルー D —グル コサ ミ ノ 一 ( 1—4) 一 ; S— D —ダルコサ ミ ンメ チルグリ コシ ド含有リ ボソーム)
6 。ルミ トイノレ一 D —ダルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ドの代わり に、 6 6 ' — ジー ^ 。ルミ 卜 イ ノレー D —グ ルコサ ミ ノ ー ( 1→ 4 ) . 一 ; S— D —グルコサ ミ ンヌ チルダリ コ シ ドを用いた点を除き、 実施例 9と同様にして標記リ ポソ — ム分散液を得た。
実施例 1 4 ( 3 , 6—ジー 一ラウロイルー D — グルコサ ミ ンメ チルダリ コ シ ド含有リ ボソーム) 6— 一パルミ トイルー D —ダルコサ ミ ンヌ チルダリ コ
シ ドの代わり に、 3 , 6—ジ一 一 ラ ウロイノレ一 D —グルコ サ ミ ンメ チルダリ コ シ ドを用いた点を除き、 実施例 9に準じ て標記リ ポソーム分散液を得た。
実施例 1 5 ( 3 6 - ジー — ミ リ ス トイルー D —ダルコ サミ ンメチルグリ コ シ ド含有リ ボソーム) 6— —パルミ トイル— D —ダルコサ ミ ンヌ チルダリ コ シ ドの代わりに、 3 , 6 -ジ一 クー ミ リ ス トイルー D —グル コサ ミ ンメ チルグリ コ シ ドを用いた点を除き、 実施例 9に準 じて標記リ ボソーム分散液を得た。
実施例 1 6 ( 3 , 6 —ジー —パルミ トイル— D —ダルコ サ ミ ンメ チルダリ コシ ド含有リ ボソーム) 6 — —パルミ トイルー D —ダルコサ ミ ンメチルダリ コ シ ドの代わりに、 3 , 6—ジー 一パルミ トイルー D —グル コサ ミ ンメ チルダリ コ シ ドを用い、 それ以外は実施例 9に準 じて標記リ ポソーム分散液を得た。
実施例 1 7 ( 3 , 6 — ジ ー ー ステア ロ イ ルー D — ダルコ サ ミ ンメ チルグ リ コ シ ド含有リ ボ ソ ーム) 6 。ルミ ノレ一 D —ダルコサ ミ ンヌ チノレグ シ ドの代わり に、 3 6—ジ一 ーステアロイノレ一 D —グル コサ ミ ンメ チルダリ コ ':/ ドを用い、 それ以外は実施例 9 に準 じて標記リ ボソーム分散液を得た。
実施例 1 8 ( 6— —パルミ トイルー ϋ —ダルコサ ミ ン含 有リ ボソーム)
6 — 一 'ノレ ミ ト イ ノレ一 D — グルコ サ ミ ンメ チノレグリ コ シ ドの代わり に、 6— 一 ルミ 卜イ ノレー [) 一ダルコサ ミ ン
を用い、 それ以外は実施例 9に準じて標記リ ボソ -ム分散液 を得た。
〔試験例〕
次に、 本発明の効果を調べるために行なつた試験例を示す。 なお、 以下で使用する略号は次の意味を有する。
P c : フ ォ スファチジノレコ リ ン
C h 0 1 : コ レステロール
G 1 u : 6- 0 パルミ トイノレ- D ダルコサミ ン メチルグリ コシ ド
試験例 1 (封入率の測定)
<方法 > : 実施例 9において、 使用した S 0 Dのリ ポソ ーム中への封入率を次のようにして求めた。 まず、 遠心分離 した後の上清中における S 0 D活性を亜硝酸法で定量するこ とにより、 リ ポソーム中に封入されなかった S 0 D量を求め た。 これを、 リ ボソーム調製に当たって最初に添加した S 0 Dの総量と比較することにより、 リ ボソーム中への S O Dの 封入率を求めた。
比較のために、 ダルコサミ ン誘導体を用いることなく 、 上 記実施例と同様の方法で、 P c : C h o 1 = 8 : 2 (モル比) からなる中性リボソーム分散液を調製した。 そして、 上記と 同様の方法で S 0 Dの封入率を求めた。
<結果 > : 下記の表— 1 に示す通りであった。
表一 1
以上の結果から明らかな通り、 ダルコサミ ン誘導体を含む カチオン性リポソ一ムは、 これを含まない中性リ ポソ一ムに 比べて、 薬物の高い封入率を示した。
試験例 2 (体内動態)
<方法〉 : ウレタ ンで麻酔された d d y系雄ラ ッ 卜の大 腿部静脈に、 実施例 9に準じて作成された 3 H - 標識リ ポソ —ム分散液 500 i? を静注した。 このラ ッ トの頸動脈から、 経時的に、 血液をエツベン ドルフチューブに採取した。 採取 した血液を遠心分離し、 上清を l O O J? バイアルに取った。 ソルェン 350 を 700 £ 加えて溶解した後、 2 N塩酸 丄 80 £ で中和した。 更に、 ク リアゾル 6mJ? を加えた後、 液体シ ンチ レーシヨ ンカウ ンター (LS 5000TA BECKMAN ) を用いて放射 活性を測定した。
対照と して、 本発明のダルコサミ ン誘導体を用いずに調製 した、 P c : C h o 1 = 3 : 1 (モル比) からなる 3 H - 標 識したリポソーム分散液について、 上記と同様に放射活性を
測定し、 体内動態を調べた。
また、 上記の結果に基づき、
夫々の血中濃度 ( ji g / mJ? ) 、 時間曲線下面積 (A U C : 血中濃度 X時間 (h r ) ) 、 血中半減期 ( t i 2 : h r ) を 求めた。
なお、 本試験で用いた 3H- 標識リ ポソ一ム製剤は、 膜構 成成分を混合する際に、 3Hで標識したジパルミ トイルフ ォ スフ ァチジルコ リ ンを微量 ( 1 Z 50万モル) 加え、 実施例 9に準じて作成した。
<結果 > : 下記の表一 2に示した通りであった。
表一 2
以上の結果から明らかな通り、 膜構成成分と してダルコサ ミ ン誘導体 〔 I〕 を含有する本発明の リ ポ ソームは、 グルコ サ ミ ン誘導体を含有しないリ ポソー厶に比べて、 A U Cが約 4 . 1 倍に増大され、 また t ? が約 2 . 5 に延長された。
試験例 3 (臓器分布)
<方法〉 : 試験例 2 と同様にして、 3 H - 標識カ チオ ン 性リ ボソームを、 ウ レタ ンで麻酔したラ ッ 卜の大腿部静脈に 静注した。 8時間後にラ ッ トの全血液を採取し、 また各臓器 を摘出した。 採取した血液および摘出臓器の夫々 について、 液体シ ンチ レ一 シ ョ ンカ ウ ン タ 一で放射能を計測する こ とに より、 各臓器中へのリ ボソームの分布状況を測定した。
く結果 > : 表ー 3に示した。 表— 3
( n = 3 )
以上の結果から明らかな通り、 ダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を膜構成成分と して含有せしめた本発明のカチォン性リポソ ームは、 それを含有しない中性リ ボソームに比べて、 各臓器 中への移行量が少ない。 これは、 本発明のリボソームは血中 濃度が高く 、 体内中をより高濃度で循環することを示してい る。 従って、 本発明のリ ボソームは血液ターゲッティ ング性 に俊れている。
試験例 4 (急性毒性 ; その 1 )
本発明による新規ダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を用い、 マ ウスに対する致死毒性試験を行なった。 被検物質と しては下 記の化合物を用いた。
① 6— ーパルミ トイルー D —ダルコサ ミ ンメ チルグ リ コ シ ド
② 6 , 6 ' —ジー 一 ノヽ。ルミ トイルー D —ダルコサ ミ ノ ー ( 1 ·→ 4 ) 一 ^ 一!) ーグルコサミ ンメ チルグリ つ シ ド
③ステアリルァ ミ ン (比較例)
上記夫々の化合物を 0 . 5%-CMC♦ Na溶液中に混和、 懸濁する ことにより披検溶液を調製した。 夫々の被検溶液 l . OniJ? を、 5週齢の I C R雄性マウスの腹腔内に 1回投与した後、 マウ ス死亡状況を観察した。'なお、 溶媒対照群には 0 . 5%- CMC · Na 溶液 l . Omj? を同様に投与した。
結果は下記第 4表に示した通りであつた。
表一 4
上記の表一 5に記載したように、 化合物①、 ②については 観察期間中に死亡例は認められなかった。 また、 投与後の一 般状態に顕著な変化はなく 、 対照例と同様に体重増加も認め られた。 これに対して、 比較例の化合物③では、 投与直後か ら自発運動の低下が認められ、 体重が徐々に減少し、 死亡に 至った。
この結果から、 本発明の新規ダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 は、 比較例のステアリルア ミ ンより も毒性が著しく低く 、 安全性 が高いことがわかる。
試験例 5 (急性毒性 ; その 2 )
この試験の目的は、 ダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を膜中に 含有する本発明のカチオン性リ ポソ—ムの毒性が、 ステアリ ルァ ミ ンを膜中に含有する従来のカチオン性リボソームと比 較してどの程度であるかを知ることである。 そのために、 薬 物未封入の状態で調製された本発明のリボソームと従来のリ ポソ一ムの夫々について、 マウスに対する致死毒性試験を行 つた。
1 . 被験液の調製
(1) 6— —パルミ トイルー D —ダルコサミ ンメチルグ リ コシ ドを含有する本発明のリボソーム分散液
5 0 D溶液を加えなかった点を除き、 実施例 9 と同様の 方法で、 6— ^—パルミ トイノレ一 D —ダルコサミ ンメ チルダ リ コシ ドを膜構成成分と して含有する リ ボソーム分散液を得 た。 これを限外濾過膜を用いて濃縮し、 さ らに必要に応じて 注射用滅菌蒸留水で希釈して被験液と した。
(2) ステアリルア ミ ンを含有する従来のリ ボソーム
分散液
6— ーパルミ トイノレ一 D —ダルコサミ ンメチルダリ コ シ ドの代りにステアリルア ミ ンを用いた点を除き、 上記本発 明のリボソーム分散液の場合と同様にして、 ステア リルア ミ ンを膜構成成分と して含有する リ ボソーム分散液を得た。 こ
れを限外濾過膜により濃縮し、 さ らに必要に応じて注射用滅 菌蒸留水で希釈して被験液と した。
モリ ブデン酸アンモニゥム法により、 上記被験液中のリ ン を定量分析した。 この分析値と、 フ ォ スフ ァ チジルコ リ ンと の配合比から、 6— —パルミ トイルー D —グルコサミ ンメ チルダリ コシ ドの濃度を求めた。
2 . 試験方法
検疫した 5週齡の I C R雄性マウスを 1群 2 〜 3匹に区 分し、 腹腔内に上記の被験液 2 . 0DI£ を 1回投与した。 一方、 溶媒対照群と して、 滅菌蒸留水 2 . 0Dij? を投与した。
被験液投与後、 16日間に亘つて少なく とも 1 日 1回、 注意 深く一般状態を観察して毒性徴候、 死亡状況を記録した。
3 . 試験結果
下記の表一 5に示した通りであった。 なお、 表中におけ る被験物質の欄の記号は次の通りである。
① 6 — ーノヽ。ル ミ ト イ ルー D —ダルコサ ミ ンヌ チルグリ コ シ ド含有リ ポソ —ム分散液
②ステアリルア ミ ン含有リ ボソ ーム分散液
表一 5
*用堂は 6— 0 パルミ トイルー D グルコサミンメチルグリコ シドまたはステアリルァミンとしての童,
上記の試験結果に示したように、 6— —パルミ トイルー D —ダルコサミ ンヌ チルダリ コ シ ドを股- ½成成分と して含有 する本発明のカチオン性リ ボソームの分 K液については、 観 察期間中死亡例は無かった。 その L D 5 JiHは、 6— ί?—パル ミ トイノレ一 D —ダルコサ ミ ンヌ チルグリ コ シ ドと して 1154 . 8
mg /k g以上であると推定される。
—方、 ステアリルア ミ ンを膜構成成分と して含有する公知 のカチオン性リ ボソ -ムの分散液では、 低投与量でも死亡例 がみられた。 その L D 50値は、 約 157.9mg Z k g (146.0 - 170.8 m g / k g ) と推定される。
この試験結果から、 本発明のカチオン性リ ボソームは、 従 来公知のカチオン性リ ボソ -ムに比べて極めて毒性が低く 、 安全性の高いカチオン性リ ポソームであると言える。 以上詳細に説明したように、 本発明の新規ダルコサミ ン 誘導体 〔 I〕 は、 カチオン性リ ボソームの製造に適している c 即ち、 このダルコサミ ン誘導体 〔 I〕 を用いて製造された本 発明のカチオン性リボソームは、 従来のステアリルア ミ ンを 膜構成成分と して含むカチオン性リ ポソ一ムに比べて毒性が 極めて低い。 しかも、 本発明のカチオン性リボソームは、 通 常の中性又はァニオン性リ ポソ一ムに比べて、 ァニオン性な いしは中性薬物の封入率が高い。 加えて、 血中半減期が長く . 臓器移行性も少ない。
このような特徴から、 本発明のリ ポソ—ム製剤は、 S O D 等の生理活性物質や、 抗炎症剤、 ホルモン剤、 抗癌剤など医 薬品への応用が広く考えられる。 特に、 S O Dを封入した場 合は、 様々な疾患 (例えば慢性炎症性疾患、 虚血- 再灌流傷 害による心疾患及び脳疾患、 消化器疾患 どの治療) に有効 であると考えられる。