JPWO2020261767A1 - リン含有物質からのリンの除去方法、金属製錬用原料または金属精錬用原料の製造方法および金属の製造方法 - Google Patents

リン含有物質からのリンの除去方法、金属製錬用原料または金属精錬用原料の製造方法および金属の製造方法 Download PDF

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Abstract

金属製錬ないし金属精錬の主原料あるいは副原料として用いられる固体酸化物であるリン含有物質中に含まれるリンを効果的に低減させるための、工業的規模での適用が可能な、リン含有物質からのリンの除去方法に併せ、金属製・精錬用原料の製造方法と金属の製造方法とを提案する。金属製・精錬用原料として用いられるリン含有物質を窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質中のリンを窒化除去する方法であって、該リン含有物質からのリンの窒化除去の処理に先立ち、該リン含有物質を未溶融状態の温度域に加熱して還元剤と反応させることにより、該リン含有物質中の金属酸化物の少なくともその一部を還元する処理を行うリン含有物質からリンを除去する方法、および金属製・精錬用原料とこれを用いて金属を製造する方法。

Description

本発明は、金属製錬ないし金属精錬の主原料あるいは副原料などとして用いられる固体酸化物(リン含有物質)中のリンならびに酸化物の少なくとも一部を製・精錬の早い段階で低減させる、リン含有物質からのリンの除去方法と、金属製・精錬用原料の製造方法および金属の製造方法に関するものであって、とくに金属製品としての品質の向上を図るのに有効な各方法について提案する。
[定義]
この明細書中において、「P」、「P」などアルファベットで記した場合はその化学式の物質を表し、「リン」と表記した場合は、形態を問わずその物質に含まれるリンを表す。
また、この明細書中で気体の体積を「リットル」の単位で表す場合は、温度273K、雰囲気圧力が1atmの標準状態に換算して示す。また、圧力の単位atmは、1.01325×10Paである。そして、物質中のP含有量をmass%で表す場合には、形態を問わずその物質に含まれるリンの含有率を示した。
高炉で溶製される溶銑には、鉄鉱石等の製鉄原料成分に起因してリン(P)が不可避に含まれている。そのリンは、鋼材にとっては有害成分であることから、鉄鋼製品の材料特性を向上させるために、一般には製鋼段階において脱リン処理するのが普通である。その脱リン処理とは、溶銑中あるいは溶鋼中のリンを、酸素ガスや酸化鉄などの酸素源によって酸化させてPとし、その後、このPを、CaOを主成分とするスラグ中に移行させることによって除去する方法である。なお、溶銑中あるいは溶鋼中のリンは、酸素などのガスによって酸化されてスラグ中に除去されるが、その際、鉄もまた酸化されることから、たとえ酸素源として酸化鉄を使用しない場合であっても、該スラグ中には鉄も酸化鉄の形態で含まれることになる。
近年、環境対策および省資源の観点から、製鋼スラグのリサイクルを含めて、製鋼スラグの発生量を削減する試みがある。例えば、予備脱リン処理(溶銑を転炉にて脱炭精錬する前に、溶銑中のリンを予め除去する処理)された溶銑の脱炭精錬時に発生するスラグ(転炉スラグ)は、造滓剤用のCaO源や鉄源として、鉄鉱石の焼結工程を経て高炉にリサイクルすることや、溶銑予備処理工程のCaO源としてリサイクルされている。
予備脱リンの処理をした溶銑(以下、「脱リン溶銑」ともいう)、特に鉄鋼製品のリン濃度レベルにまで予備脱リンした脱リン溶銑を転炉で脱炭精錬した場合、このときに発生する転炉スラグには、リンをほとんど含有していないものになる。従って、例えば、このような転炉スラグを高炉へリサイクルしたとしても、溶銑のリン濃度の増加(ピックアップ)を危惧する必要がなくなる。しかしながら、予備脱リン処理時に発生したスラグや、予備脱リン処理されていない溶銑(以下、これを「通常溶銑」ともいう)あるいは予備脱リン処理されていても脱リン処理後のリン濃度が鉄鋼製品のリン濃度レベルまで低下していないような脱リン溶銑を転炉で脱炭精錬したときに発生する転炉スラグ(リンの含有量が多いスラグ)の場合、これを高炉に酸化物の形態でリサイクルすると、そのリンが、高炉内で還元されて溶製され、溶銑中のリン含有量が増加して、溶銑脱リンの負荷が却って増加するという問題が起こる。
また、鉄鋼製品の強度を向上させるために、従来、マンガン(Mn)の添加が行われている。例えば、マンガン含有鋼を溶製する場合、溶鋼中のMn濃度を高めるために添加するマンガン源としては、マンガン鉱石の他に、炭素含有量が1.0〜7.5mass%以下のフェロマンガン、炭素の含有量が2.0mass%以下のシリコンマンガン、炭素含有量が0.01mass%以下の金属マンガンなどが用いられる。ただし、マンガン鉱石を除くマンガン源は、炭素含有量が低くなるほど原料価格が上昇することが知られている。そこで、製造コストの低減を目的として、マンガン源として安価なマンガン鉱石を用いたマンガン含有鋼の溶製が行われる。しかしながら、とくに安価なマンガン鉱石は多くのリンを含有しており、これをマンガン源として使用すると、鋼材中のリン濃度が上昇し、品質を低下させるという課題があり、マンガン鉱石の使用は制限されているのが実情である。
このように、製鉄プロセスで用いられる主原料あるいは副原料中には、通常、多くのリンが含まれており、こうしたリン含有物質中に含まれるリンの濃度やその使用量によっては、最終的に得られる鉄鋼製品中のリンの含有量が多くなる。そのリンの含有量は鉄鋼製品としての品質に影響する。そこで、鉄鋼製品中のリン含有量を抑えるために、リン含有量の低い主原料あるいは副原料のようなリン含有物質の使用が求められる。ただし、このことはコスト増を招く。そこで、従来、製鉄用主原料あるいは副原料からなるリン含有物質から、リンを事前に除去するいくつかの方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、CaO含有量が25mass%以下かつCaO/(SiO+Al)比が5以下の鉄鉱石、含チタン鉄鉱石、含ニッケル鉱石、含クロム鉱石、あるいはこれらの鉱石を主成分とする混合物と、Ar,He,N,CO,H,炭化水素の一種もしくはこれらの混合ガスを1600℃以上で接触させることにより、リンを除去する方法が提案されている。
また、特許文献2では、リン含有量の高い鉄鉱石を0.5mm以下に粉砕しこれに水を加えてパルプ濃度35mass%前後とし、溶剤にHSOまたはHClを添加しpH2.0以下で反応させてリン鉱物を分解溶出し、ついで磁力選別により磁鉄鉱等の磁着物を採取することで、非磁着物たるSiOやAl等をスライムとして沈降分離すると共に、このとき液中に溶出したPを消石灰または生石灰を添加してpH5.0〜10.0の範囲内で中和してリン酸カルシウムとして分離回収する方法が提案されている。
また、特許文献3には、微生物アスペルギルス エスピー KSC−1004株あるいは微生物フザリウム エスピー KSC−1005株を用いることにより鉄鉱石の脱リンを行なう方法が提案されている。
さらに、非特許文献1には、水蒸気圧を制御した水素-水蒸気混合ガスによる高リン鉄鉱石の還元についての研究報告がなされており、鉄鉱石から直接的に脱リンする方法を提案している。
特開昭54− 83603号公報 特開昭60−261501号公報 特開2000−119759号公報
鉄と鋼 Vol.100(2014), No.2, p.325
しかしながら、上記従来技術にはそれぞれ次のような解決しなければならない課題があった。それは、特許文献1に開示の方法は、処理温度が1600℃以上と高温であり、多くのエネルギーを要するという課題がある。さらに、鉱石を溶融状態で処理するため、容器の損耗や高温融体の取扱いが困難であるという課題もある。
特許文献2に開示の方法は、酸を用いた湿式処理であり、回収した磁着物を主原料として利用するための乾燥に時間とコストがかかるという課題がある。また、事前に0.5mm以下に粉砕するのに時間とコストを要するという課題もある。
特許文献3の方法も同様に、湿式処理のため、リン除去後の鉱石を主原料として利用するための乾燥に時間とコストを要するという課題がある。
非特許文献1は、鉱石中のリン除去率が最大でも13%と低いという課題がある。また、反応ガスとして水素を利用しているが、その水素を工業規模で安全に処理する設備等について何ら検討がなされていないという課題もある。
本発明は、従来技術が抱えている前述の課題を解決するためになされたものである。その目的とするところは、金属製錬ないし金属精錬の主原料あるいは副原料として用いられる固体酸化物であるリン含有物質中に含まれるリンを効果的に低減させるための、工業的規模での適用が可能な、リン含有物質からのリンの除去方法と、金属の製・精錬用原料の製造方法ならびに金属の製造方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱えている前述の課題について検討する中で、リン含有物質を低温加熱して窒素含有ガスと接触させることでリンの除去が効率的に行われることを突き止め、本発明を開発するにいたった。
本発明は、このような知見に基づいて開発した方法であって、第1に、金属製錬または金属精錬用原料として用いられるリン含有物質を窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質中のリンを窒化除去する方法であって、該リン含有物質からのリンの窒化除去の処理に先立ち、該リン含有物質を未溶融状態の温度域に加熱して還元剤と反応させることにより、該リン含有物質中の金属酸化物の少なくとも一部を還元する還元処理を行うことを特徴とするリン含有物質からのリンの除去方法である。
なお、前述したように構成される本発明の第1の方法に係るリン含有物質からのリン除去方法については、また、
a.前記還元剤は、前記還元処理の処理温度で、該還元剤と該還元剤が完全燃焼して生じる生成物とにより定まる平衡酸素分圧が10-1atm以下となるものであること、
b.前記還元処理の処理温度Tr(℃)は、下記式(1)(式中、Tはリン含有物質の融点(℃)である。)の条件を満たすこと、
300≦Tr≦0.95×T ・・・(1)
c.前記還元処理の終了時点での前記リン含有物質中の酸化鉄および酸化マンガンの還元率を、11%以上33%未満にすること、
ここで、
酸化鉄とは、FeO、FeおよびFeのいずれかまたはこれらの混合物を表し、
酸化マンガンとは、MnO、Mn、MnおよびMnOのいずれかまたはこれらの混合物を表し、
還元率とは、酸化鉄および酸化マンガンの全酸素の内、還元により除去された酸素量の割合を表し、
d.前記還元剤は、還元性ガスまたは固体還元剤であること、
e.前記還元性ガスを用いた前記還元処理が、下記式(2)(式中、xは、標準状態で単位体積の該還元性ガスが完全燃焼するのに必要な酸素ガスの標準状態における体積比の2倍(−)であり、Qは、リン含有物質中の酸化鉄と酸化マンガンの合計量に対する還元処理に使用した還元性ガス量(Nm/kg)である。)の範囲内で行われること、
1.5≦x×Q≦6.0 ・・・(2)
f.前記固体還元剤を用いた前記還元処理は、下記式(3)(式中、Mは固体還元剤Mのモル質量(kg/mol)、MFe2O3はFeのモル質量(kg/mol)、MMn2O3はMnのモル質量(kg/mol)、Wは固体還元剤Mの質量(kg)、WFe2O3はリン含有物質中のFeの質量(kg)、WMn2O3はリン含有物質中のMnの質量(kg)、yは固体還元剤Mの1molと反応する酸素原子の物質量(mol)を表す。)の条件を満たすこと、
1/3y≦(W/M)/{(WFe2O3/MFe2O3)+((WMn2O3/MMn2O3)}≦1/y ・・・(3)
g.前記リン含有物質の窒化除去は、該リン含有物質を未溶融状態の温度に加熱し、0.15atm超0.95atm未満の窒素分圧の窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質からリンの少なくとも一部を気相中に除去する処理であること
h.前記リン含有物質の窒化除去は、該リン含有物質を未溶融状態の温度に加熱し、0.15atm超0.95atm未満の窒素分圧の窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質からリンの少なくとも一部をPNガスとして除去する処理であること、
がより好ましい実施形態となるものと考えられる。
本発明では、第2に、金属製錬用原料または金属精錬用原料を製造するに際し、前述した本発明に係る第1の方法である、リン含有物質からのリンの除去方法を用いて、リン含有物質のリン含有量を低減する工程を含むことを特徴とする、金属製錬用原料または金属精錬用原料の製造方法を提案する。
また、本発明では、第3に、製錬工程または精錬工程の少なくとも一方の工程を経て金属を製造するに際し、前記製錬工程においては、本発明に係る第2の方法によって得られる金属製錬用原料を用いて製錬するか、または、前記精錬工程においては、本発明に係る第2の方法によって得られる金属精錬用原料を用いて精錬することを特徴とする、金属の製造方法を提案する。
なお、この明細書において、前記未溶融状態とは、固体試料が液体に変化する温度(融点)T未満のことであり、下記第1〜第3のいずれかの方法で決定することが簡易的であり望ましい。しかし、これらの方法のみに限定されるものではない。
a.第1の方法は、るつぼ等の容器に固体試料を装入し、対象とするガス雰囲気下において、電気抵抗炉などにより毎分5℃、望ましくは毎分1℃以下で昇温しながら容器内の試料を連続的に観察し、固体試料の粒同士の隙間が消失し、表面に平滑面が生じた温度を融点とする方法である。
b.第2の方法は、対象とするガス雰囲気下において、示差熱分析法により毎分5℃、望ましくは毎分1℃以下で昇温して測定した際の、吸熱ピークの極小点の温度を融点とする方法である。ここで、吸熱ピークが複数生じる場合、それぞれの吸熱ピークが生じた温度で測定を止めて、測定試料の外観を観察し、固体試料の粒同士の隙間が消失し、表面に平滑面が生じた温度の中で最も低温の吸熱ピークの極小点の温度を融点とする方法である。
c.第3の方法は、電子計算機の熱力学計算ソフトを用い、試料組成を入力して温度を変化させて液相率を計算し、計算液相率が95%を超える温度を融点とする方法である。
本発明によれば、金属製錬や金属精錬の主原料または副原料として用いられるリン含有物質を、まず、該リン含有物質を未溶融状態の温度に加熱しながら還元剤と反応させて該リン含有物質中の酸化物を還元処理することにより、後に続く窒素による該リン含有物質中のリンを気相中に除去する窒化脱リン処理が効率的にすすむようになる。該リン含有物質中のリンを気相中に除去する窒化脱リン処理とは、例えば、該リン含有物質中のリンを一窒化ガス(PN)として気相中に除去する窒化脱リン処理である。従って、本発明によれば、安価なリン含有物質(製・精錬用主原料または副原料)の使用量を増加させることができると共に、金属製錬ないし金属精錬プロセス内の脱リン処理プロセス負荷を大きく低減できるようになる。
また、本発明によれば、製鋼スラグのような副生物から効率良くリンを除去することができるので、該副生物の発生プロセス中において再利用が可能となり、該プロセスの副原料使用量の低減および副生物発生量の抑制が可能になる。
さらに、本発明によれば、窒化除去されたリンが排ガス中で酸化されてPとなり、リン濃度の高いダストを回収することにつながるので、リン資源化につながる有効活用が可能になるという効果もある。
リンをPNの気体として除去する反応(a)および、固体炭素と一酸化炭素ガスの平衡反応(d)について、それぞれの反応の平衡が成り立つときの処理温度T(℃)と酸素分圧(logPO2)の関係を示す図である。 FeがFeに還元される反応(e)および、水素ガスと水蒸気ガスの平衡反応(g)について、それぞれの反応の平衡が成り立つときの処理温度T(℃)と酸素分圧(logPO2)の関係を示す図である。 処理温度TDP=1000℃における鉄鉱石のリン除去率(ΔP)と窒素分圧(PN2)との関係を示す図である。 CO=0.1atmおよびPN2=0.9atmにおける鉄鉱石のリン除去率(ΔP)と処理温度TDP(℃)の関係を示す図である。 還元性ガス原単位x×Qと酸化鉄の還元率RFe(%)との関係を示す図である。 酸化鉄の還元率RFeとリン除去率ΔPとの関係を示す図である。 還元性ガス原単位x×Qと酸化鉄の還元率RFeとの関係を示す図である。 還元性ガス原単位x×Qと酸化鉄の還元率RFeとの関係を示す図である。 還元性ガス原単位x×Qと酸化鉄の還元率RFeとの関係を示す図である。 還元処理温度Trと酸化鉄の還元率RFeとの関係を示す図である。 酸化鉄の還元率RFeとリン除去率ΔPとの関係を示す図である。 還元処理温度Tr=1000℃で還元剤比を変更したときの処理前後の分析結果から求めた鉄鉱石中の酸化鉄の還元率RFeと物質量基準の還元剤比M/Oとの関係を示すグラフである。 還元処理温度Tr=1000℃で還元剤比を変更したときの処理前後の分析結果から求めた鉄鉱石中の酸化鉄の還元率RFeと鉄鉱石のリン除去率(ΔP)との関係を示すグラフである。
本発明の開発にあたり、発明者らは、金属製錬ないし金属精錬の主原料および副原料として、リン濃度が高く安価な物質に着目し、そうしたリン含有物質からそれぞれの製・精錬に先立って予めリンを除去する方法について研究をすすめた。
金属製錬ないし金属精錬用原料(主原料および副原料)として用いられる前記リン含有物質は、そのリンは主としてPの如き酸化物として含有しており、その他にCaOやSiO、MgO、Al、MnO、Mn、FeO、Feなどの金属酸化物が含まれているのが普通である。こうした金属製錬ないし金属精錬用原料、とくに製鉄用原料としては、例えば、鉄鉱石、マンガン鉱石あるいは製鋼スラグなどがある。それらの代表的な組成を表1に示す。
Figure 2020261767
このように、金属製錬ないし金属精錬の主原料および副原料(以下は、「製鉄用原料」の例で説明する)は、様々な金属酸化物によって構成されている。ところで、前記リンは、カルシウム(Ca)および珪素(Si)と比較して酸素との親和力が弱いことから、リン含有物質を、炭素、珪素、アルミニウムなどを使って還元した場合、リン含有物質中のPは容易に還元されることが知られている。一方で、多くの製鉄用原料中には、鉄がFeOやFeの形態の酸化物(以下、まとめて「FexO」と記す)で含有しており、これらの鉄酸化物は酸素との親和力がリンと同等であることから、リン含有物質を、炭素や珪素、アルミニウムなどで還元すると、同時にFexOも還元されることになる。なお、マンガンはMnOやMnあるいはMnOの形態の酸化物(以下、まとめて「MnxO」と記す)の形で含有している。そのマンガンの酸化物は、酸素との親和力がリンよりも強く、炭素や珪素、アルミニウムなどよりは弱いため、これらの物質で還元すると、リンと同時にMnxOも還元されてしまう。
ただ、リンは鉄あるいはマンガン中への溶解度が高く、とくに還元により生成したリンは、還元により生成した鉄あるいはマンガン中に迅速に溶解し、高リン含有鉄あるいは高リン含有マンガンとなる。このように、還元によるリンの除去方法は、有価成分である鉄やマンガンへのリンの吸着、溶解が生じるため、リン除去率が低いという課題がある。
発明者らは、この問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、リンを窒化物の気体として除去することにより、金属鉄や金属マンガンが生成しない温度および酸素分圧での処理が可能となり、リンの鉄およびマンガンへの吸着を抑制することが可能であることを見出した。
即ち、発明者らは、リン含有物質中にPとして存在するリンを、窒化物の気体、たとえば、一窒化リン(PN)の気体として除去する下記の化学式1に示す反応(a)が、リン含有物質に含まれる鉄酸化物やマンガン酸化物が還元されて金属鉄や金属マンガンとなる下記の化学式2,3に示す反応(b),(c)よりも安定であることを熱力学検討により確認したのである。
Figure 2020261767
Figure 2020261767
Figure 2020261767
化学式1の上記反応(a)について、平衡が成り立つときの温度と酸素分圧の関係を図1に示す。また、この図1には比較のために、固体炭素と一酸化炭素ガスの平衡(化学式4に示す反応(d))により定まる温度と酸素分圧の関係を併せて示した。ここで、P活量を0.001、N分圧を0.9atm、PN分圧を0.001atm、C活量を1、CO分圧を1atmと仮定した。
Figure 2020261767
図1において、反応(a), (d)それぞれの線より下側の温度と酸素分圧の領域において、反応(a), (d)がそれぞれ右側に進行する。つまり、反応(a)のリン窒化除去を生じさせるためには、800℃では酸素分圧を2.2×10−19atm以下、1000℃では1.45×10−14atm以下、1200℃では4.66×10−11atm以下の酸素分圧とすることが必要である。
ここで、酸素分圧を低減させるためには、酸化物として安定な元素、例えばCaやMg、Al、Ti、Si、Cなどの単体を共存させることが有効であるが、金属元素の単体は高価であり反応時間もかかる。そこで、本発明では、処理コスト低減と処理時間低減の観点から、炭素(C)による酸素分圧の低減を図ることが好ましい。それは、図1の記載から判るように、724℃以上の温度において、固体炭素により達成される酸素分圧は、リンの窒化除去反応(a)を進行させるのに十分な値となることからもわかる。
また、前記リン含有物質中のFe、Mnの還元反応に関して、これら金属酸化物が還元されてFeやMnとなる以下に示す反応(e)、(f)により生じる酸素の分圧は、反応(a)よりも高くなる。即ち、FeやMnが残存している条件では、一窒化リンとして除去される前記反応(a)は進行しないため、事前にこれらの酸化物の還元処理を行うことは有効であり、反応(a)がより促進されると予想される。Feの還元を進行させるためには、還元剤により雰囲気中の酸素分圧を、処理温度Trにおいて反応(e)に対して定まる平衡酸素分圧よりも低下させることが必要である。従って、該還元剤としては、処理温度Trにおいて反応(e)に対して定まる平衡酸素分圧よりも、平衡酸素分圧の低い気体または平衡酸素分圧を低くすることができる固体を使用する。ここで、該還元剤の平衡酸素分圧は、処理温度Trと還元剤の分圧または活量、および生成物の分圧または活量により定まる。ここで、還元剤としては、還元性ガスまたは固体還元剤、例えば一酸化炭素(CO)、炭化水素(C)、水素(H)、炭材などを用いることが処理コスト低減と処理時間低減の観点から望ましく有効であるが、これらの例に限られるわけではない。
図2は、Hが完全燃焼してHOとなる反応(g)について、平衡が成り立つときの温度と酸素分圧の関係を反応(e)とともに示す。ここで、H分圧を0.9、HO分圧を0.001atmと仮定した。図2において、反応(e), (g)それぞれの線より下側の温度と酸素分圧の領域において、反応(e), (g)がそれぞれ右側に進行する。つまり、反応(e)のFeが還元されてFeとなるためには、300℃では酸素分圧を8.9×10−30atm以下、1300℃では1.0×10−1atm以下の酸素分圧とすることが必要であるのに対し、反応(g)に対して定まる酸素分圧は1300℃で6.3×10−46atm、300℃で3.1×10−17atmであり、いずれの温度においてもFeをFeに還元することが可能である。
Figure 2020261767
Figure 2020261767
Figure 2020261767
そこで、発明者らは、上述した検討結果を踏まえ、リンの窒化除去の可否を確認する実験を行った。この実験では、リン含有物質として、粒径を1〜3mmに調整した鉄鉱石10gを用い、固体炭素として試薬カーボン(粒径0.25mmアンダー)5gを用い、それぞれ別のアルミナ製ボート上に乗せて、小型の電気抵抗炉内に静置した。その炉内にArガスを1リットル/minで供給しながら所定温度(600〜1400℃)まで加熱した後、Arガスの供給を停止し、そのArガスに代え一酸化炭素(CO)と窒素(N)との混合ガス3リットル/minを供給し、60分間一定温度に保持した。なお一酸化炭素と窒素の混合ガスの比率は、窒素分圧PN2が0〜1atmの範囲となるように変化させた。所定の時間経過後、一酸化炭素と窒素の混合ガスの供給を停止してArガス1リットル/minに切り替え、室温まで降温させた後に前記鉄鉱石を回収した。なお、この実験では、試薬カーボンを静置した側が上流となるようにガスを供給し、一酸化炭素ガスと試薬カーボンが先に反応するようにした。
図3は、前記処理を1000℃にて実施した前後の鉄鉱石の組成分析結果から求めたリン除去率(ΔP={(実験前P濃度)−(実験後P濃度)}/(実験前P濃度))(%)と窒素分圧(PN2)(atm)の関係示すものである。この図2からわかるように、窒素分圧(PN2)が0および1atmの場合を除き、リン含有物質からはリンが除去されており、特に、0.15atm超0.95atm未満の範囲で60%以上という高いリン除去率が得られている。好ましくは0.2〜0.9atmの範囲である。なお、窒素分圧0.15atm以下でリン除去率が低い理由としては、窒素分圧が低すぎて所定の処理時間内では反応(a)によるリン除去が十分に進行しなかったためだと考えられる。また、窒素分圧0.95atm以上では、COガスの供給量が少なく、鉄鉱石中の酸化鉄の熱分解により発生する酸素により、酸素分圧が上昇し、リン窒化除去反応(a)が抑制されたためだと考えられる。このことは、100%窒素ガス(PN2=1atm)の供給では、リンが除去できていないことからも理解できる。
図4は、前記処理をCO=10vol%(PCO=0.1atm)、N=90vol%(PN2=0.9atm)の混合ガスにて実施した実験前後の鉄鉱石の組成分析結果から求めたリン除去率ΔP(%)と処理温度TDP(℃)の関係を示す。この図4からわかるように、750〜1300℃において、高いリン除去率が得られており、リンの窒化除去に好ましいことがわかる。750℃未満でリン除去率ΔPが低位な理由としては、図1に示したように、724℃以下ではリン窒化除去に必要な酸素分圧を固体炭素で達成できなかったことが一因と考えられる。また、1350℃および1400℃においては、鉄鉱石が半溶融〜溶融して、回収した試料が一体化しており、その結果、鉄鉱石粒の隙間や気孔が消失してガスと接触する界面積が大幅に減少したのが原因と考えられる。この点について、示差熱分析法により測定した鉄鉱石の融点(T)は1370℃であり、その0.95倍の1300℃では高いリン除去率が得られたため、「0.95×T(℃)」以下とすることがリン除去のための反応界面積確保の上で好ましいと考えられる。
次に、前記還元性ガスを用いた還元処理後に、前記窒化脱リン処理を実施した際のリン窒化除去可否を確認する小型実験を行った。この実験では、鉄鉱石20gまたは40gをアルミナ製ボートの上に乗せ、まず前記還元処理を行い、その後、前記窒化脱リン処理を実施した。前記還元処理は、鉄鉱石中に還元性ガス原単位x×Qが0.3〜9.0となるように一酸化炭素(CO)ガスの流量と処理時間を調整し、温度は1000℃とした。ここで、xは標準状態で単位体積の還元性ガスが完全燃焼するのに必要な酸素ガスの標準状態における体積比の2倍(−)であり、該還元性ガスがCOの場合、COは1/2Oと反応してCOを形成するので、x=1/2×2=1である。また、Qはリン含有物質中のFeとMnの合計量に対する還元処理に使用した還元性ガス量(Nm/kg)を表す。その後、COガス流量に対するCOガス流量の比を2、N=80vol%(窒素分圧=0.8atm)の雰囲気下、温度1000℃で窒化脱リン処理を実施した。
図5と図6は、鉄鉱石20gを処理時間30分または10分で還元処理した場合について、窒化脱リン処理前後の分析結果から求めた酸化鉄の還元率RFe(%)と還元性ガス原単位x×Qとの関係と、リン除去率ΔP(%)と酸化鉄の還元率RFeの関係を示すものである。ここで、酸化鉄の還元率とは、酸化鉄中の全酸素の内、還元された酸素量の割合を表す。また、リン除去率とは鉄鉱石中の全リン量に対し、還元処理後に除去されたリン量の割合を示す。そして、この図5、図6には、前記還元処理を行わない場合の結果(酸化鉄の還元率が0%)も併せて記載した。
その結果、図5から明らかなように、還元性ガス原単位x×Qの増加により酸化鉄の還元率RFeは増加する。また、図6から明らかなように、還元処理を行った場合には未処理の場合と比較してリン除去率ΔPが増加していることが分る。特に、酸化鉄の還元率RFeが11〜33%の場合において高いリン除去率ΔPが得られている。この時の還元性ガス原単位x×Qは1.5〜6.0となっている。酸化鉄の還元率RFeが11%未満のときリン除去率ΔPが低い理由としては、還元処理後にFeが残存しており、反応(e)が進行するまで反応(a)が抑制されたためと考えられる。また、酸化鉄の還元率RFeが33%より大きいときは、酸化鉄の一部が金属鉄にまで還元され、気化したリンを吸着したためにリン除去率が低位となったと考えられる。
また、鉄鉱石40gを温度1000℃にて処理時間30分または10分で還元処理した後、前述の鉄鉱石20gを処理時間30分または10分で還元処理した場合と同様の窒化脱リン処理を行った。図7は、還元性ガス原単位x×Qと酸化鉄の還元率RFe(%)との関係を示す。図7には、前記還元処理を行わない場合の結果(酸化鉄の還元率が0%)も併せて示した。この場合も前述の鉄鉱石20gを処理時間30分または10分で還元処理した場合と同様に、還元性ガス原単位x×Qが1.5〜6.0の場合に酸化鉄の還元率RFeが11〜33%となっている。また、還元処理後に前述と同様の窒化脱リン処理を行った場合、酸化鉄の還元率RFeが11〜33%の場合に高いリン除去率ΔPが得られている。
一方、図8は、鉄鉱石20gを温度1000℃にて還元性ガス流量0.5L/min.または2.0L/min.で還元処理した場合、図9は、鉄鉱石40gを温度1000℃にて還元性ガス流量0.5L/min.または2.0L/min.で還元処理した場合の酸化鉄の還元率RFeと還元性ガス原単位x×Qの関係を示す。図8、図9には、前記還元処理を行わない場合の結果(酸化鉄の還元率が0%)も併せて記載した。これらの場合も前述の処理時間一定のもと還元性ガス原単位x×Qを変化させた場合と同様に、還元性ガス原単位x×Qが1.5〜6.0の場合に酸化鉄の還元率RFeが11〜33%となっている。また、還元処理後に前述と同様の窒化脱リン処理を行った場合、酸化鉄の還元率RFeが11〜33%の場合に高いリン除去率が得られている。
次に、本発明方法の確認のために、まず前記還元処理として、還元性ガス原単位x×Qが5となるように、鉄鉱石中に流量を調整した一酸化炭素(CO)ガスを、種々の温度(200〜1400℃)で30分間保持する還元処理を実施し、その後、COガス流量に対するCOガス流量の比:2、N:80vol%(窒素分圧=0.8atm)の雰囲気下、温度1000℃で窒化脱リンのための処理を実施した。
図10、図11は、窒化脱リン処理前後の分析結果から求めた酸化鉄の還元率RFeと還元処理温度Trの関係と、リン除去率ΔPと酸化鉄の還元率RFeとの関係を示すものである。図10は、前記還元処理を行わない場合の結果(酸化鉄の還元率が0%)も併せて記載した。この図10から明らかなように、還元処理温度Trが300℃以上の場合に酸化鉄の還元率RFeは高位になっている。また、図11から明らかなように、酸化鉄の還元率RFeが26%程度でリン除去率ΔPが低い場合を除き、還元処理を行った場合には未処理の場合と比較してリン除去率ΔPが増加している。特に、酸化鉄の還元率RFeが10〜26%の場合にリン除去率が高位になっている。還元処理温度Trが300℃未満の場合に酸化鉄の還元率RFeが低位となる理由としては、300℃未満ではFeが安定であり、一酸化炭素による還元が進行しなかったためと考えられる。その結果、300℃未満の還元処理後にはFeが残存しており、反応(e)が進行するまで反応(a)が抑制され、リン除去率が低位となったと考えられる。また、酸化鉄の還元率RFeが26%程度でリン除去率が低い場合があるが、これは還元処理温度Trが1350℃、1400℃の場合に相当し、鉄鉱石が半溶融または溶融し、試料が一体化した結果、鉄鉱石粒の隙間や気孔が消失し、ガスと接触する界面積が大幅に減少したのが原因だと考えられる。
そして、前記固体還元剤を用いた還元処理後に、前記窒化脱リン処理を実施した際のリン窒化除去可否を確認する小型実験を行った。この実験では鉄鉱石に、同じく試薬カーボンを混ぜ、所定温度(Tr=200〜1400℃)まで加熱する還元処理を施した後、還元性ガスを用いた際と同様の窒化脱リン処理を施した。
この還元処理では、鉄鉱石中に物質量基準での還元剤比M/Oが0.11〜1.34となるように試薬カーボンを混合してTr=1000℃にて30分間保持して実施した。ここで、W、WFe2O3、およびWMn2O3をそれぞれ固体還元剤M、リン含有物質中のFeおよびMnの質量(kg)とし、M、MFe2O3およびMMn2O3をそれぞれ固体還元剤M、リン含有物質中のFeおよびMnのモル質量(kg/mol)としたとき、物質量基準での還元剤比M/Oは、(W/M)/{(WFe2O3/MFe2O3)+(WMn2O3/MMn2O3)}で表される。その後、COガス流量に対するCOガス流量の比を2.0程度、N=80vol%(窒素分圧PN2=0.80atm)の雰囲気下、処理温度TDP=1000℃で窒化脱リン処理を実施した。処理前後の分析結果から求めた酸化鉄の還元率RFe(%)と物質量基準の還元剤比M/Oの関係と、リン除去率ΔP(%)と酸化鉄の還元率RFe(%)の関係をそれぞれ図12および図13に示す。ここで、酸化鉄の還元率RFe(%)とは、酸化鉄中の全酸素の内、還元された酸素量の割合を表す。図13には試薬カーボンを使用しない場合の結果(酸化鉄の還元率が0%)も併せて記載した。図12から明らかなように、物質量基準の還元剤比M/Oの増加により酸化鉄の還元率RFeは増加する。一方、図13から明らかなように、還元処理を行った場合には未処理の場合と比較してリン除去率ΔPが増加する。特に、酸化鉄の還元率RFeが11〜33%の場合に高いリン除去率が得られている。酸化鉄の還元率が11%未満でリン除去率が低位な理由として、還元処理後にFeが残存しており、反応(e)が進行し終えるまで反応(a)が抑制されたためと考えられる。酸化鉄の還元率が33%より大きいときは、酸化鉄の一部が金属鉄まで還元されて、気化したリンを吸着したためにリン除去率ΔPが低位となったと考えられる。
前記の窒化脱リン処理をマンガン鉱石や製鋼スラグにも適用し、異なる粒径に対しても実験を実施したが、全ての条件において「0.15atm超0.95atm未満」の窒素分圧範囲、および「750℃以上、融点(℃)×0.95以下」の温度範囲で高いリン除去率が得られることが確認できた。特に、前記の還元処理をマンガン鉱石や製鋼スラグに対して「1.5〜6.0」の還元性ガス原単位x×Qまたは「0.33〜1.0」の物質量基準の還元剤比M/O、および「300℃以上、融点(℃)×0.95以下」の温度範囲で還元処理を行った場合に高いリン除去率が得られることが確認できた。
以上説明したように、リン含有物質中のリンを窒化除去する処理としては、高温と低酸素分圧とした上での窒素供給が必要である。処理するための設備としては、電気炉、回転炉床炉、キルン炉、流動層型加熱炉、焼結機などの昇温と雰囲気調整が可能な設備であればどのような設備でも問題ない。また、酸素分圧を低減する方法としては、
(a)固体の還元剤と窒素ガスを高温で接触させる、
(b)一酸化炭素や水素および炭化水素等の還元性ガスを窒素ガスに混合する、
(c)電圧を印加した固体電解質に窒素ガスを導入して酸素を除去する、
など所定の酸素分圧が得ることができればいずれの方法でもよい。
ただし、窒化脱リン処理の前に還元処理を行う場合、高温での処理が必要である。また、処理するための設備としては、高周波加熱炉、電気炉、回転炉床炉、キルン炉、流動層型加熱炉、焼結機などの昇温が可能な設備であればどのような設備でもよい。還元性ガスとしては、例えば一酸化炭素(CO)、炭化水素(C)、水素(H)などのガス種が処理コスト低減の観点から望ましく有効であるが、いずれのガス種でもよい。前記のxの値は、還元性ガスの種類により変わり、還元性ガスがCOの場合は前述のとおりx=1、還元性ガスがHの場合も、HがHOを形成するのに必要な酸素原子数は1である。また、還元性ガスがCの場合は、C原子がCOを、H原子がHOをそれぞれ形成するのに必要な酸素原子数となり、x=2m+0.5nである。なお、還元性ガスは還元処理時に循環させて使用することで反応効率を上げることも有効である。固体還元剤としては例えばCa、Mg、Al、Ti、Si、Cの単体など酸化物として安定な元素を含有していればいずれの物質でも良い。また、固体還元剤はリン含有物質と混ぜて造粒した状態で使用しても良い。
本発明法に従い、還元処理後、窒化脱リン処理した鉄鉱石を粉鉱石として、下方吸引式のドワイトロイド焼結機を用いて低リン含有焼結鉱とすることができる。この焼結鉱を高炉に配合することで低リン溶銑の製造が可能となる。これにより、溶銑予備処理の精錬剤の削減、処理時間短縮による高い溶銑温度の確保が可能となり、冷鉄源の多量使用に寄与するなど、省エネルギー面、環境負荷軽減面で効果があった。また、本発明法に従い、還元処理後、窒化脱リン処理したマンガン鉱石を、転炉精錬時にマンガン源として投入し、低リン高マンガン鋼の溶製を行った。この方法では、高価なマンガン合金を使うことなく、また、後続する処理で脱リン処理を必要とすることなく、低リン高マンガン鋼を経済的に製造することができた。上記の例に限られず、リサイクルする鉄鋼スラグや予備処理で投入する副原料等の事前脱リン処理に本発明法が適用できる。
(実施例1)
5トン/hr規模の回転炉床炉に鉄鉱石2tまたは4tを装入し、加熱バーナーに供給する燃料と酸素の量を調整し、一酸化炭素ガスを供給して1時間または2時間の還元処理を行った。その後、燃料と酸素の量とともに窒素ガス量を調整することで1000℃、CO/CO比を2.02〜2.05、窒素分圧0.8atmに調整して30分間の窒化脱リン処理を実施した。装入した試料が15分時点で存在する場所の温度測定とガス組成分析を行った。ガス中の一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO)濃度を赤外線ガス分析装置により測定し、その残りを窒素ガスとして扱った。また、酸素分圧は、COおよびCO濃度から求めたCO/CO比から、下記式の反応(h)〜(j)より算出した。また、用いた鉄鉱石とマンガン鉱石の組成は前述の表1の通りである。
Figure 2020261767
還元性ガス原単位x×Qを変えた操業について、還元処理温度Tr=1000℃、鉄鉱石量は2t、還元処理時間1時間または2時間の処理条件ならびに結果を表2〜3に、鉄鉱石量は4t、還元処理時間1時間または2時間の処理条件ならびにその結果を表4〜5に示す。
Figure 2020261767
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Figure 2020261767
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表2〜5に記載の、初めに還元処理を行った本発明例1〜20では、還元処理を行っていない比較例1と比較すると、いずれの還元性ガス原単位x×Qにおいても還元処理を行うことでリン除去率が向上している。また、還元性ガス原単位x×Qが1.5〜6.0の本発明例1〜20においては、比較例2〜比較例17と比較してリン除去率が70%程度と高位となっている。還元性ガス原単位x×Qが1.5未満のときにリン除去率の増加幅が小さい理由としては、還元処理後にFeがまだ残存しており、前述の反応(e)が進行するまで前述の反応(a)が抑制されたためと考えられる。一方、還元性ガス原単位x×Qが6.0より大きいときにリン除去率が低位な理由としては、前述の反応(b)が進行して生成した金属鉄が気化したリンを吸着し、リン除去率が低下したためと考えられる。
また、還元性ガス原単位x×Qを変えた操業について、還元処理温度Tr=1000℃、鉄鉱石量は2t、還元性ガスの流量25L/minまたは100L/minの処理条件、およびその結果を表6〜7に、鉄鉱石量を4t、還元性ガスの流量を25L/minまたは100L/minの処理条件、およびその結果を表8〜9に示す。表6〜9に記載の本発明例21〜40において、還元処理を行っていない比較例1と比較すると、いずれの還元処理温度Trにおいても還元処理を行うことでリン除去率が向上している。また、還元性ガス原単位x×Qが1.5〜6.0の本発明例21〜40においては、比較例18〜比較例33と比較してリン除去率が70%程度と高位となっている。還元性ガス原単位x×Qが1.5未満のときにリン除去率の増加幅が小さい理由としては還元処理後にFeがまだ残存しており、反応(e)が進行するまで反応(a)が抑制されたためと考えられる。そして、還元性ガス原単位x×Qが6.0より大きいときにリン除去率が低位な理由としては、反応(b)が進行して生成した金属鉄が気化したリンを吸着し、リン除去率が低下したためと考えられる。
Figure 2020261767
Figure 2020261767
Figure 2020261767
Figure 2020261767
また、還元処理温度Trを変えた操業について、還元性ガス原単位x×Qが3.0または5.0、鉄鉱石量が2t、還元処理時間1時間の場合の処理条件およびその結果をそれぞれ表10〜表11に示す。表10〜表11に記載の本発明例41〜52において、表2に記載の比較例1と比較すると、いずれの還元性ガス原単位x×Qにおいても還元処理温度Trが1300℃以下の条件では還元処理によりリン除去率ΔPが向上している。特に、300〜1300℃で還元処理した本発明例41〜52においてリン除去率ΔPが高位となっている。また、300℃未満の温度で還元処理した比較例34〜35および比較例38〜39のときにリン除去率ΔPの増加幅が小さい理由としては、300℃未満ではFeが安定であり、一酸化炭素による還元が進行せず、その結果、300℃未満の還元処理後にはFeが残存しており、前述の反応(e)が進行するまで前述の反応(a)が抑制され、リン除去率が低位になったと考えられる。1300℃より大きい温度で還元処理した比較例36〜37および比較例40〜41のときにリン除去率が低位な理由としては、今回使用した鉄鉱石の融点は1370℃であり、還元処理温度Trが1350、1400℃の場合には鉄鉱石が半溶融または溶融し、試料が一体化した結果、鉄鉱石粒の隙間や気孔が消失し、ガスと接触する界面積が大幅に減少したのが原因だと考えられる。なお、この実施例での融点Tについては、前述[0025]の第1の方法に基づき測定した。
Figure 2020261767
Figure 2020261767
(実施例2)
5トン/hr規模の回転炉床炉に鉄鉱石4トンまたはマンガン鉱石4トンとともに炭材を装入し、加熱バーナーに供給する燃料と酸素の量を調整して、2時間の還元処理を実施した。その後、加熱バーナーに供給する燃料と酸素の量とその比率、さらに供給する窒素ガスの量を調整して、処理温度TDP=1000℃、CO/CO比:2.02〜2.05の範囲、窒素分圧PN2=0.80atmに調整して30分間窒化脱リン処理を実施した。装入した試料が、窒化脱リン処理において15分経過時点で存在する場所の温度測定とガス組成分析とを行った。
鉄鉱石の場合の処理条件ならびに実施結果について、表12−1〜7に示す。処理No.1は、還元処理を行わなかった比較例である。処理No.2〜49にはそれぞれ還元処理温度Trを300、800、1000および1300℃に設定し、鉄鉱石に対する物質量基準での還元剤比M/Oを変えて操業した結果について示す。処理No.2〜49は、比較例である処理No.1と比べて、いずれの還元処理条件においても、窒化脱リン処理によるリン除去率ΔPが向上している。特に、物質量基準の還元剤比M/Oが1/3〜1.0の条件において、リン除去率ΔPが70%程度と高位になっている。物質量基準の還元剤比M/Oが1/3未満の時にリン除去率の増加幅が小さい理由として、以下のように考えられる。この実施例の条件では、固体還元剤として、炭材を用いているので、固体還元剤の1molと反応する酸素原子の物質量yは、1molである。前述の反応(e)を右方向(還元反応)へ完全に進めるために必要な物質量基準の還元剤比M/Oは、1/3y=1/3となる。即ち、物質量基準の還元剤比M/Oが1/3未満の時には、還元処理後にFeが残存しており、後続する窒化脱リン処理において、前述の反応(e)が完了するまでは、前述の反応(a)による脱リン反応が抑制されたと考えられる。他方、物質量基準の還元剤比M/Oが1.0より大きい場合にリン除去率ΔPが低位な理由としては以下のように考えられる。下記化学式12に示す反応(k)を右方向(還元反応)へ完全に進めるために必要な物質量基準の還元剤比M/Oは、1/y=1となる。即ち、物質量基準の還元剤比M/Oが、1.0を超えると、前述の反応(b)が右方向(還元反応)に進行し、金属鉄を生成してしまう。そのため、その金属鉄にリンが吸着してしまいリン除去率ΔPが低位になったものと考えられる。
Figure 2020261767
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表12−5〜7中の処理条件No.50〜88は、それぞれ物質量基準の還元剤比M/Oを、0.33、0.78および1.0に設定し、還元処理温度Trを変えて行った操業結果である。比較例である処理No.1の結果と比較して、Tr=1300℃以下の還元処理条件で、窒化脱リン処理によるリン除去率ΔPが向上している。特に、還元処理温度Trが300〜1300℃の場合に、窒化脱リン処理によるリン除去率ΔPが高位になっている。Tr=300℃未満で還元処理した場合にリン除去率ΔPの増加幅が小さい理由として、300℃未満ではFeが安定であり、炭素による還元が進行せず、その結果、300℃未満の還元処理後にFeが残存しており、後続する窒化脱リン処理において、反応(e)が完了するまでは、反応(a)による脱リン反応が抑制されたと考えられる。他方、Tr=1300℃より大きい温度で還元処理したときにリン除去率ΔPが低位な理由として、今回使用した鉄鉱石の融点Tは1370℃であり、還元処理温度Trが0.95×Tを超える1350、1400℃の場合には鉄鉱石が半溶融または溶融し、試料が一体化した結果、鉄鉱石粒の隙間や気孔が消失し、窒素ガスと接触する界面積が大幅に減少したのが原因だと考えられる。
マンガン鉱石の場合の処理条件および操業結果をまとめて表13に示す。ここで、酸化鉄と酸化マンガンの還元率とは、酸化鉄と酸化マンガン中の全酸素の内、還元された酸素量の割合を表す。還元処理温度Trが200〜1350℃の範囲にある処理No.90〜109において、還元処理を行っていない比較例である処理No.89に比べて、リン除去率ΔPが向上している。還元処理温度Trが300〜1350℃の範囲にある条件のうち、特に物質量基準の還元剤比M/Oが1/3〜1.0の範囲にある処理条件(No.96−98、101−103および106−108)において、還元処理温度Trの範囲が同一でありかつ物質量基準の還元剤比M/Oが0.22または1.11である処理条件(No.95、99、100、104、105および109)と比較してリン除去率ΔPが高位となっている。物質量基準の還元剤比が1/3未満のときにリン除去率ΔPの増加幅が小さい理由として、以下のように考えられる。この実施例の条件では、固体還元剤として、炭材を用いているので、固体還元剤Mの1molと反応する酸素原子の物質量yは、1molである。したがって、前述の反応(e)および反応(f)を右方向(還元反応)へ完全に進めるために必要な物質量基準の還元剤比M/Oは、1/3y=1/3となる。即ち、物質量基準の還元剤比M/Oが1/3未満の時には、還元処理後にFeやMnが残存しており、後続する窒化脱リン処理において、前述の反応(e)および反応(f)が完了するまでは、前述の反応(a)による脱リン反応が抑制されたと考えられる。他方、物質量基準の還元剤比M/Oが1.0より大きい場合にリン除去率ΔPが低位な理由としては以下のように考えられる。前述の反応(k)および下記化学式13に示す反応(l)を右方向(還元反応)へ完全に進めるために必要な物質量基準の還元剤比M/Oは、上記と同様に考えて、1/y=1となる。即ち、物質量基準の還元剤比M/Oが、1.0を超えると、前述の反応(b)や反応(c)が右方向(還元反応)に進行し、金属鉄や金属マンガンを生成してしまうため、その金属鉄や金属マンガンにリンが吸着してしまいリン除去率ΔPが低位になったものと考えられる。
Figure 2020261767
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また、還元処理温度Tr=300℃未満で還元処理した場合にリン除去率ΔPの増加幅が小さい理由として、300℃未満ではFeやMnが安定であり、炭素による還元が進行せず、その結果、300℃未満の還元処理後にFeが残存しており、後続する窒化脱リン処理において、反応(e)および反応(f)が完了するまでは、反応(a)による脱リン反応が抑制されたと考えられる。他方、Tr=1350℃より大きい温度で還元処理したときにリン除去率ΔPが低位な理由として、今回使用したマンガン鉱石の融点Tは1425℃であり、還元処理温度Trが0.95×Tを超える1450℃の場合にはマンガン鉱石が溶融し、試料が一体化した結果、マンガン鉱石粒の隙間や気孔が消失し、窒素ガスと接触する界面積が大幅に減少したのが原因だと考えられる。
本発明に係る脱リン方法は、リン含有物質からリンを優先除去する方法だけに止まらず酸化物の優先還元をも果す技術であって、この考え方は単に例示した製・精錬の分野だけに止まらず、他の技術分野への適用が可能である。

Claims (11)

  1. 金属製錬または金属精錬用原料として用いられるリン含有物質を窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質中のリンを窒化除去する方法であって、
    該リン含有物質からのリンの窒化除去の処理に先立ち、該リン含有物質を未溶融状態の温度域に加熱して還元剤と反応させることにより、該リン含有物質中の金属酸化物の少なくとも一部を還元する還元処理を行うことを特徴とするリン含有物質からのリンの除去方法。
  2. 前記還元剤は、前記還元処理の処理温度で、該還元剤と該還元剤が完全燃焼して生じる生成物とにより定まる平衡酸素分圧が、10-1atm以下となるものであることを特徴とする請求項1に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
  3. 前記還元処理の処理温度Tr(℃)は、下記数式(1)の条件を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
    Figure 2020261767
    ここで、Tはリン含有物質の融点(℃)である。
  4. 前記還元処理の終了時点での前記リン含有物質中の酸化鉄および酸化マンガンの還元率を、11%以上33%未満にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
    ここで、
    酸化鉄とは、FeO、Fe、Feのいずれかまたはこれらの混合物、
    酸化マンガンとは、MnO、Mn、Mn、MnOのいずれかまたはこれらの混合物、
    還元率とは、酸化鉄および酸化マンガンの全酸素の内、還元により除去された酸素量の割合を表す。
  5. 前記還元剤は、還元性ガスまたは固体還元剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
  6. 前記還元性ガスを用いた前記還元処理が、下記数式(2)の範囲内で行われることを特徴とする請求項5に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
    Figure 2020261767
    ここで、xは、標準状態で単位体積の該還元性ガスが完全燃焼するのに必要な酸素ガスの標準状態における体積比の2倍(−)であり、Qは、リン含有物質中の酸化鉄と酸化マンガンの合計量に対する還元処理に使用した還元性ガス量(Nm/kg)である。
  7. 前記固体還元剤を用いた前記還元処理は、下記数式(3)を満たすように固体還元剤Mの質量W(kg)を調整して行うことを特徴とする請求項5に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
    Figure 2020261767

    ここで、Mは固体還元剤Mのモル質量(kg/mol)、
    Fe2O3はFeのモル質量(kg/mol)、
    Mn2O3はMnのモル質量(kg/mol)、
    は固体還元剤Mの質量(kg)、
    Fe2O3はリン含有物質中のFeの質量(kg)、
    Mn2O3はリン含有物質中のMnの質量(kg)、
    yは固体還元剤Mの1molと反応する酸素原子の物質量(mol)
    を表す。
  8. 前記リン含有物質の窒化除去は、該リン含有物質を未溶融状態の温度に加熱し、0.15atm超0.95atm未満の窒素分圧の窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質からリンの少なくとも一部を気相中に除去する処理であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
  9. 前記リン含有物質の窒化除去は、該リン含有物質を未溶融状態の温度に加熱し、0.15atm超0.95atm未満の窒素分圧の窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質からリンの少なくとも一部をPNガスとして除去する処理であることを特徴とする請求項8に記載のリン含有物質からのリンの除去方法。
  10. 金属製錬用原料または金属精錬用原料を製造するに際し、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリン含有物質からのリンの除去方法を用いて、リン含有物質のリン含有量を低減する工程を含むことを特徴とする、金属製錬用原料または金属精錬用原料の製造方法。
  11. 製錬工程または精錬工程の少なくとも一方の工程を経て金属を製造するに際し、前記製錬工程においては請求項10に記載の製造方法によって得られる金属製錬用原料を用いて製錬するか、または、前記精錬工程において請求項10に記載の製造方法によって得られる金属精錬用原料を用いて精錬することを特徴とする、金属の製造方法。
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