JPWO2020178981A1 - 金属調成形品および金属調成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉と、を含む第1の層と、第1の層上に設けられ、第2の金属を含む第2の層とを有し、金属箔粉は、第1の金属を含む金属薄膜層と、金属薄膜層の一方の面に設けられた第1の樹脂層と、金属薄膜層の他方の面に設けられた第2の樹脂層とを含む積層体であり、金属薄膜層は、側面において、第1の樹脂層および第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面が形成されており、第1の露出面において、第1の金属が酸化した金属酸化物を含む、金属調成形品。
Description
本発明は、金属調成形品および金属調成形品の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、外観の異なる2種類の金属意匠が施されており、意匠性が優れた金属調成形品および金属調成形品の製造方法に関する。
従来、金属光沢を付与した成形品が知られている。特許文献1には、基材上に、所定の全光線透過率を示す金属膜が転写された印刷物が提案されている。特許文献1に記載の印刷物は、金属光沢感のコントラストを調整することを目的とする。
また、転写に代えて、成型品に対して電解めっきを施して金属意匠を施す方法が知られている。このような電解めっきを施した成形品は、たとえば、自動車エンブレム等の車両内外装部品として利用されている。
より優れた意匠性を付与するために、自動車エンブレム等の車両内外装部品に、2種の異なる金属調(たとえばマット調と鏡面調等)を施す要望が高まっている。特許文献1に記載の印刷物は、このような2種の異なる金属意匠を施すことができない。また、電解めっきによって金属意匠を施す場合、一般的には単色のめっきを施すことしかできない。また、環境面への配慮から、めっきの利用を抑制する要望もある。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、外観の異なる2種類の金属意匠が施されており、意匠性が優れた金属調成形品および金属調成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂と、所定の構造を有し、第1の金属を含む金属箔粉とからなる第1の層と、第1の層上に設けられ、第2の金属を含む第2の層とを有する金属調成形品が、外観の異なる2種類の金属調を同一の成形品内で意匠表現でき、上記課題を好適に解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明の一局面の金属調成形品および金属調成形品の製造方法には、以下の構成が主に含まれる。
すなわち、上記課題を解決する本発明の一局面の金属調成形品は、熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉と、を含む第1の層と、前記第1の層上に設けられ、第2の金属を含む第2の層とを有し、前記金属箔粉は、前記第1の金属を含む金属薄膜層と、前記金属薄膜層の一方の面に設けられた第1の樹脂層と、前記金属薄膜層の他方の面に設けられた第2の樹脂層とを含む積層体であり、前記金属薄膜層は、側面において、前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面が形成されており、前記第1の露出面において、前記第1の金属が酸化した金属酸化物を含む、金属調成形品である。
また、上記課題を解決する本発明の一局面の金属調成形品の製造方法は、第1の金属を含む金属薄膜層の一方の面に第1の樹脂層を形成し、他方の面に第2の樹脂層を形成して積層体を作製する積層工程と、前記積層体を粉砕し、金属箔粉を作製する粉砕工程と、熱可塑性樹脂と前記金属箔粉とを混練して溶融させて混練物を作製する混錬工程と、前記混錬物を予備成形してマスターバッチを作製する予備成形工程と、前記熱可塑性樹脂と前記マスターバッチとを混合し、希釈し、射出成形して、第1の層を作製する成形工程と、前記第1の層上に、第2の金属を含む第2の層を転写する転写工程と、を含み、前記粉砕工程は、前記積層体を粉砕することにより、前記金属薄膜層の側面に、前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面を形成するとともに、前記第1の露出面において、前記金属薄膜層に含まれる前記第1の金属を露出させて、前記第1の金属が酸化した金属酸化物を作製する、金属調成形品の製造方法である。
<金属調成形品>
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の金属調成形品について説明する。図1は、本実施形態の金属調成形品1の模式的な平面図である。図2は、本実施形態の金属調成形品1の模式的な断面図である。図3は、本実施形態の金属箔粉4の模式的な断面図である。本実施形態の金属調成形品1は、第1の層2と、第1の層2上に設けられ、第2の金属を含む第2の層3とを有する。第1の層2は、熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉4とを含む。金属箔粉4は、第1の金属を含む金属薄膜層41と、金属薄膜層41の一方の面に設けられた第1の樹脂層42と、金属薄膜層41の他方の面に設けられた第2の樹脂層43とを含む積層体である。金属薄膜層41は、側面において、第1の樹脂層42および第2の樹脂層43が形成されていない第1の露出面44が形成されており、第1の露出面44において、第1の金属が酸化した金属酸化物を含む。以下、それぞれの構成について説明する。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の金属調成形品について説明する。図1は、本実施形態の金属調成形品1の模式的な平面図である。図2は、本実施形態の金属調成形品1の模式的な断面図である。図3は、本実施形態の金属箔粉4の模式的な断面図である。本実施形態の金属調成形品1は、第1の層2と、第1の層2上に設けられ、第2の金属を含む第2の層3とを有する。第1の層2は、熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉4とを含む。金属箔粉4は、第1の金属を含む金属薄膜層41と、金属薄膜層41の一方の面に設けられた第1の樹脂層42と、金属薄膜層41の他方の面に設けられた第2の樹脂層43とを含む積層体である。金属薄膜層41は、側面において、第1の樹脂層42および第2の樹脂層43が形成されていない第1の露出面44が形成されており、第1の露出面44において、第1の金属が酸化した金属酸化物を含む。以下、それぞれの構成について説明する。
(第1の層2)
第1の層2は、熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉4とを含む。また、第1の層2上には、後述する第2の層3が設けられる。
第1の層2は、熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉4とを含む。また、第1の層2上には、後述する第2の層3が設けられる。
・熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂は、第1の層2を主に構成する基材であり、金属箔粉4を分散状態で保持する。熱可塑性樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、熱可塑性樹脂は、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等である。熱可塑性樹脂は、併用されてもよい。
熱可塑性樹脂は、第1の層2を主に構成する基材であり、金属箔粉4を分散状態で保持する。熱可塑性樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、熱可塑性樹脂は、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等である。熱可塑性樹脂は、併用されてもよい。
・金属箔粉4
金属箔粉4は、図3に示されるように、第1の金属を含む金属薄膜層41と、金属薄膜層41の一方の面に設けられた第1の樹脂層42と、金属薄膜層41の他方の面に設けられた第2の樹脂層43とを含む積層体である。
金属箔粉4は、図3に示されるように、第1の金属を含む金属薄膜層41と、金属薄膜層41の一方の面に設けられた第1の樹脂層42と、金属薄膜層41の他方の面に設けられた第2の樹脂層43とを含む積層体である。
金属薄膜層41に含まれる第1の金属は特に限定されない。第1の金属は、金属光沢を有していればよい。一例を挙げると、第1の金属は、アルミニウム、金、銀、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン等の単体、合金およびそれらの組み合わせである。これらの中でも、第1の金属は、低コストで、かつ、高い光輝性を有し、反射光が白色で色展開しやすく比重が小さい点から、アルミニウムであることが好ましい。
金属薄膜層41の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、金属薄膜層41の厚みは、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましい。また、金属薄膜層41の厚みは、0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。金属薄膜層41の厚みが上記範囲内であることにより、金属調成形品1は、第1の層2に適度な光輝性を付与することができる。
第1の樹脂層42は、金属薄膜層41の一方の面に設けられる。第1の樹脂層42を構成する樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、第1の樹脂層42を構成する樹脂は、シロキサン系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ニトロセルロース等である。樹脂は併用されてもよい。これらの中でも、第1の樹脂層42を構成する樹脂は、耐熱性が優れ、かつ、ホルムアルデヒドが発生しないという理由から、シロキサン系樹脂であることが好ましく、ポリジメチルシロキサンであることがより好ましい。
第1の樹脂層42の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第1の樹脂層42の厚みは、0.05μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、第1の樹脂層42の厚みは、2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。第1の樹脂層42の厚みが上記範囲内であることにより、第1の樹脂層42は、金属薄膜層41を充分に保護しやすく、かつ、製造時に離型フィルムから剥離させやすい。
第2の樹脂層43は、金属薄膜層41の他方の面に設けられる。第2の樹脂層43を構成する樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、第2の樹脂層43を構成する樹脂は、シロキサン系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ニトロセルロース等である。樹脂は併用されてもよい。これらの中でも、第2の樹脂層43を構成する樹脂は、耐熱性が優れ、かつ、ホルムアルデヒドが発生しないという理由から、シロキサン系樹脂であることが好ましく、ポリジメチルシロキサンであることがより好ましい。
第2の樹脂層43の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第2の樹脂層43の厚みは、0.05μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、第2の樹脂層43の厚みは、2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。第2の樹脂層43の厚みが上記範囲内であることにより、第2の樹脂層43は、金属薄膜層41を充分に保護しやすい。
第1の樹脂層42および第2の樹脂層43は、適宜、顔料を含んでもよい。顔料は特に限定されない。一例を挙げると、顔料は、各種有機顔料、無機顔料である。顔料は、たとえば、公知の色材工学ハンドブック(1989年、朝倉書店)に記載の有機顔料、無機顔料を使用することができ、所望する色調、コスト、耐染色性等から適宜選択され得る。
顔料が含まれる場合、第1の樹脂層42および第2の樹脂層43における顔料の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、顔料の含有量は、それぞれの樹脂層中、0.1〜10質量%である。顔料が含まれていることにより、第1の層2は、種々の色彩の金属調が付与され得る。
本実施形態の金属薄膜層41は、側面において、第1の樹脂層42および第2の樹脂層43が形成されていない第1の露出面44が形成されている。第1の露出面44は、金属薄膜層41が外部に露出する面である。そのため、金属薄膜層41を構成する第1の金属は、露出面において酸化し、金属酸化物を形成する。たとえば、第1の金属がアルミニウムである場合、金属薄膜層41は露出面において酸化アルミニウムが形成されている。このように、本実施形態の金属薄膜層41では、第1の金属は、露出面において、より安定な金属酸化物を形成している。また、金属薄膜層41は、上記のとおり、第1の樹脂層42および第2の樹脂層43が積層されている。そのため、金属薄膜層41は、たとえば酸化しやすいアルミニウム等からなる場合であっても、アルミニウムそのものが露出しにくく、品質が劣化しにくい。また、金属酸化物(たとえば酸化アルミニウム)は、光透過性を有する。そのため、露出面において金属薄膜層41を構成する第1の金属が金属酸化物を形成している場合であっても、金属薄膜層41による光輝性は低減されにくい。
金属箔粉4全体の説明に戻り、金属箔粉4の形状は特に限定されない。一例を挙げると、金属箔粉4は、不定形状の扁平な金属片であってもよく、平面視で円形、楕円形、矩形、多角形状等の定形状の金属片であってもよい。
金属箔粉4の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、金属箔粉4の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。また、金属箔粉4の厚みは、4.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。金属箔粉4の厚みが上記範囲内であることにより、金属調成形品1は、生産性が高く、アスペクト比が高い、かつ、第1の層2の熱可塑性樹脂中に均一に分散されやすい。
金属箔粉4の、平面視における最大径と最小径との比率(アスペクト比)は特に限定されない。一例を挙げると、金属箔粉4のアスペクト比は、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。また、金属箔粉4のアスペクト比は、1450以下であることが好ましく、1120以下であることがより好ましい。金属箔粉4のアスペクト比が上記範囲内であることにより、金属箔粉4は、優れた光輝性を示す。その結果、金属調成形品1は、所望の光輝性を得るために必要な金属箔粉4の含有量を少なくすることができる。
なお、金属箔粉4は、金属調成形品の製造方法に関連して後述するように、金属薄膜層41と、第1の樹脂層42と、第2の樹脂層43とを含む積層体を粉砕し、適宜、篩過することにより、形状および寸法が調整されてもよい。これにより、特定の平均粒径や粒分布を示す金属箔粉4が得られ得る。
なお、平均粒径は、用途に応じて適宜選択されればよい。一例を挙げると、平均粒径は、10μm以上であることが好ましい。また、平均粒径は、120μm以下であることが好ましい。平均粒径が上記範囲内であることにより、第1の層2は、適度な光輝性が付与されやすく、かつ、第1の層2の樹脂中に均一に分散されやすい。
金属箔粉4の含有量は特に限定されない。金属箔粉4の含有量は、所望する金属調の程度に基づいて適宜調整され得る。一例を挙げると、金属箔粉4の含有量は、第1の層2中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、金属箔粉4の含有量は、第1の層2中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。金属箔粉4の含有量が上記範囲内であることにより、金属調成形品1は、第1の層2において所望する金属調(マット調意匠)を示しやすい。
第1の層2の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第1の層2の厚みは、0.1mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましい。また、第1の層2の厚みは、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましい。第1の層2の厚みが上記範囲内であることにより、金属調成形品1は、第1の層2の側面部が多く露出され、観察者に対して、第1の層2の金属調意匠(マット調意匠)を認識させやすい。
(第2の層3)
第2の層3は、第2の金属を含む。また、第2の層3は、第1の層2上に設けられる。
第2の層3は、第2の金属を含む。また、第2の層3は、第1の層2上に設けられる。
第2の金属は特に限定されない。第2の金属は、金属光沢を有していればよく、耐蝕性を有することが好ましい。一例を挙げると、第2の金属は、クロム、インジウム、白金、金、チタン等の単体または合金、アルミニウム、銅、亜鉛合金、各種ステンレスおよびそれらの組み合わせである。これらの中でも、第2の金属は、鏡面調の金属調意匠が得られやすく、耐蝕性が優れる点から、クロムであることが好ましい。
第2の層3の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、第2の層3の厚みは、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。また、第2の層3の厚みは、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。第2の層3の厚みが上記範囲内であることにより、金属調成形品1は、経済性、透明性、加工性が優れる。
第2の層3は、第2の金属からなる金属層のほか、適宜、保護層(図示せず)や接着層(図示せず)が設けられた積層体であってもよい。たとえば、第2の層3は、第2の金属からなる金属層を保護するための保護層が設けられていることが好ましい。このような保護層は特に限定されない。一例を挙げると、保護層は、シロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などであることが好ましい。保護層は、熱硬化物、電子線硬化物等の硬化反応物からなる。これらの中でも、保護層は、耐候性、耐熱性、透明性、経済性が優れる点から、シロキサン系樹脂であることが好ましい。
保護層が設けられる場合、保護層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、保護層の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。また、保護層の厚みは、10.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましい。保護層の厚みが上記範囲内であることにより、第2の金属からなる金属層は、耐候性や耐擦性が付与されやすい。
また、第2の層3は、第2の金属からなる金属層を第1の層2上に設けるための接着層が設けられていることが好ましい。接着層は、転写法や成形同時転写法などにより第1の層2に第2の層3を転写する際に、転写時の加熱温度により軟化して粘着性を生ずる接着剤であることが好ましい。一例を挙げると、接着層は、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、第1の層2を構成する熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である場合は、接着層は、アクリル系樹脂接着剤を用いることが好ましい。また、第1の層2を構成する熱可塑性樹脂がフェニレンオキシド・スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂等の場合は、接着層は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂接着剤、ポリスチレン系樹脂接着剤、ポリアミド系樹脂接着剤を用いることが好ましい。
接着層が設けられる場合、接着層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、接着層の厚みは、0.3μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましい。また、接着層の厚みは、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。接着層の厚みが上記範囲内であることにより、第2の層3は、第1の層2に適切に接着されやすい。
金属調成形品1全体の説明に戻り、本実施形態の金属調成形品1において、第1の層2は、側面部21と天面部22とを有することが好ましい。天面部22は、第2の層3が設けられた平坦面23が形成されていることが好ましい。また、側面部21は、第2の層3が設けられていない第2の露出面24が形成されていることが好ましい。なお、本実施形態の側面部21は、第2の層3が設けられていない。そのため、側面部21は、すべてが第2の露出面24に相当する。また、第2の露出面24は、傾斜した傾斜面25である。
天面部22において平坦面23が形成された領域の広さ(割合)は特に限定されない。平坦面23は、第2の層3に含まれる第2の金属を用いることによって得られる金属調を、金属調成形品1において、どの程度示すかによって、適宜調整される。たとえば、図2に示されるように、本実施形態では、第1の層2の天面部22が全て平坦面23である場合が例示されている。この場合、観察者は、上面視において、多くの第2の層3の金属調意匠(鏡面調意匠)を観察することができる。また、本実施形態では、第1の層2の側面部21は、第2の層3が設けられておらず、露出している(第2の露出面24)。そのため、観察者は、上面視において、鏡面調意匠である第2の層3の周囲において、第2の層3を縁取るような第1の層2の金属調意匠(マット調意匠)を同時に認識することができる。したがって、金属調成形品1は、たとえば、単色のめっき等が施された従来の金属調成形品1と比較して、優れた意匠表現が可能である。
側面部21は、平坦面23に対して傾斜した傾斜面25が形成されていることが好ましい。すなわち、図2に示されるように、本実施形態では、第1の層2の側面部21において、天面部22の平坦面23に対して傾斜した傾斜面25が形成されている。そのため、観察者は、上面視において、鏡面調意匠である第2の層3の金属調意匠を観察することができるとともに、第2の層3の周囲において、第2の層3を縁取るような第1の層2の金属調意匠(マット調意匠)を同時に認識しやすい。したがって、金属調成形品1は、たとえば、単色のめっき等が施された従来の金属調成形品と比較して、より優れた意匠表現が可能である。
平坦面23に対する傾斜面25の角度は特に限定されない。一例を挙げると、傾斜面25の角度は、5°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましく、30°以上であることがさらに好ましい。また、傾斜面25の角度は、175°以下であることが好ましく、165°以下であることがより好ましく、150°以下であることがさらに好ましい。傾斜面25の角度が平坦面23に対して90°を超える場合、観察者は、金属調成形品1を主に上面方向から見た場合であっても、第2の層3だけでなく、第1の層2も同時に観察しやすい。一方、傾斜面25の角度が平坦面23に対して90°未満である場合、観察者は、金属調成形品1を主に上面方向から見た場合には第2の層3の金属調意匠(鏡面調意匠)を観察することができ、側面方向から見た場合に、第1の層2の金属調意匠(マット調意匠)を認識しやすい。そのため、このような金属調成形品1は、たとえば車両のエンブレム等として採用された場合には、走行中の車両を観察者が観察した際に、観察者と車両との相対位置によって金属調が変化する。その結果、金属調成形品1は、より変化に富んだ優れた意匠性を示しやすい。
なお、平坦面23に対する傾斜面25の角度は、直角(90°)であってもよい。図4は、本実施形態の変形例の金属調成形品1aの模式的な平面図である。図5は、本実施形態の変形例の金属調成形品1aの模式的な断面図である。
図4および図5に示されるように、この変形例では、第1の層2の平坦面23に対する第1の層2の側面部21(傾斜面25)の角度は、直角(90°)である。そのため、観察者は、主に上面方向から見た場合に、第2の層3の金属調意匠(鏡面調意匠)のみを観察することができ、観察方向を上面方向から斜め方向に変更すると、第1の層2の金属調意匠(マット調意匠)も観察することができる。その結果、変形例の金属調成形品1aは、より変化に富んだ優れた意匠性を示しやすい。
以上、本実施形態の金属調成形品は、第1の層によって示される金属調意匠(マット調意匠)と、第2の層によって示される金属調意匠(鏡面調意匠)とが施されており、これら外観の異なる2種類の金属意匠によって、優れた意匠性が示され得る。
得られた金属調成形品は、金属調が付与される各種成形品として有用である。たとえば、本実施形態の金属調成形品は、車両用内外装部品として好適に使用され得る。すなわち、金属調成形品は、車両の外装部品として取り付けられるエンブレムや車両モデル名を示すオーナメント等として利用される場合に優れた意匠性を示す。また、金属調成形品は、車両の内装部品である車載スピーカーのグリル部分等に利用される場合に、優れた意匠性を示す。ほかにも、金属調成形品は、エアコン吹き出し部やシフトノブ周辺、白物家電、黒物家電、文具、玩具、家具、時計、アクセサリー等の用途において、優れた意匠性を示す。
<金属調成形品の製造方法>
本発明の一実施形態の金属調成形品の製造方法は、第1の金属を含む金属薄膜層の一方の面に第1の樹脂層を形成し、他方の面に第2の樹脂層を形成して積層体を作製する積層工程と、積層体を粉砕し、金属箔粉を作製する粉砕工程と、熱可塑性樹脂と金属箔粉とを混練して溶融させて混練物を作製する混錬工程と、混錬物を予備成形してマスターバッチを作製する予備成形工程と、熱可塑性樹脂とマスターバッチとを混合し、希釈し、射出成形して、第1の層を作製する成形工程と、第1の層上に、第2の金属を含む第2の層を転写する転写工程と、を含む。粉砕工程は、積層体を粉砕することにより、金属薄膜層の側面に、第1の樹脂層および第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面を形成するとともに、第1の露出面において、金属薄膜層に含まれる第1の金属を露出させて、第1の金属が酸化した金属酸化物を作製する。以下、それぞれの構成について説明する。なお、以下の説明において、各層を構成する材料や寸法等は、金属調成形品に関連して上記したとおりである。そのため、これらに関する説明は、適宜省略される。
本発明の一実施形態の金属調成形品の製造方法は、第1の金属を含む金属薄膜層の一方の面に第1の樹脂層を形成し、他方の面に第2の樹脂層を形成して積層体を作製する積層工程と、積層体を粉砕し、金属箔粉を作製する粉砕工程と、熱可塑性樹脂と金属箔粉とを混練して溶融させて混練物を作製する混錬工程と、混錬物を予備成形してマスターバッチを作製する予備成形工程と、熱可塑性樹脂とマスターバッチとを混合し、希釈し、射出成形して、第1の層を作製する成形工程と、第1の層上に、第2の金属を含む第2の層を転写する転写工程と、を含む。粉砕工程は、積層体を粉砕することにより、金属薄膜層の側面に、第1の樹脂層および第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面を形成するとともに、第1の露出面において、金属薄膜層に含まれる第1の金属を露出させて、第1の金属が酸化した金属酸化物を作製する。以下、それぞれの構成について説明する。なお、以下の説明において、各層を構成する材料や寸法等は、金属調成形品に関連して上記したとおりである。そのため、これらに関する説明は、適宜省略される。
(積層工程)
積層工程は、第1の金属を含む金属薄膜層の一方の面に第1の樹脂層を形成し、他方の面に第2の樹脂層を形成して積層体を作製する工程である。
積層工程は、第1の金属を含む金属薄膜層の一方の面に第1の樹脂層を形成し、他方の面に第2の樹脂層を形成して積層体を作製する工程である。
具体的には、積層工程は、たとえば、別途準備した離型フィルム基材に、第1の樹脂層と、金属薄膜層と、第2の樹脂層とを順に積層し、次いで、離型フィルム基材を剥離することにより実施され得る。
離型フィルム基材は特に限定されない。一例を挙げると、離型フィルム基材は、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等である。
離型フィルム基材の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、離型フィルム基材の厚みは、4μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましい。また、離型フィルム基材の厚みは、40μm以下であることが好ましく、38μm以下であることがより好ましい。離型フィルム基材の厚みが上記範囲内であることにより、離型フィルム基材は、適度に柔軟であり、取り扱い易く、かつ、剥離しやすい。
離型フィルム基材に、第1の樹脂層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、第1の樹脂層は、グラビア塗布法、リバースコート法、ダイコート法、バーコーター法等の公知の方法が適宜採用され得る。
第1の樹脂層に、金属薄膜層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、金属薄膜層は、電子ビーム蒸着法、加熱蒸着法、スパッタリング法等の公知の乾式法が適宜採用され得る。高周波誘導加熱蒸着法が採用される場合において、成膜条件および成膜方法は特に限定されない。成膜条件および成膜方法は、いずれも使用する金属薄膜層の組成等に応じて適宜設定され得る。一例を挙げると、成膜時の真空度は1.3×10-1Pa以下であることが好ましく、1.3×10-2Pa以下であることがより好ましい。また、たとえば、アルミニウムからなるターゲット材料を用いて金属層を形成する場合、成膜条件は、チャンバー内を1.0×10-2Paまで真空に引いて蒸着材を加熱し、真空蒸着を行うことが好ましい。基板温度は、蒸着により基材が損傷しない温度であればよい。
金属薄膜層に、第2の樹脂層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、第2の樹脂層は、グラビア塗布法、リバースコート法、ダイコート法、バーコーター法等の公知の方法が適宜採用され得る。
その後、離型フィルム基材から積層体が剥離される。
(粉砕工程)
粉砕工程は、積層体を粉砕し、金属箔粉を作製する工程である。粉砕方法は特に限定されない。一例を挙げると、粉砕方法は、ジェットミル、ボールミル、リングロールミル、ハンマーミル、チューブミル等を採用し得る。粉砕は、水中で行われてもよい。水中で粉砕が行われる場合、アルコールなどの粘度調節剤、乾燥促進剤、沈降安定剤、界面活性剤等が配合されてもよい。また、粉砕と同時に、粗分離が行われてもよい。粉砕後の金属箔粉は、目的に応じて特定の平均粒径および粒度分布をもつよう分級されてもよい。
粉砕工程は、積層体を粉砕し、金属箔粉を作製する工程である。粉砕方法は特に限定されない。一例を挙げると、粉砕方法は、ジェットミル、ボールミル、リングロールミル、ハンマーミル、チューブミル等を採用し得る。粉砕は、水中で行われてもよい。水中で粉砕が行われる場合、アルコールなどの粘度調節剤、乾燥促進剤、沈降安定剤、界面活性剤等が配合されてもよい。また、粉砕と同時に、粗分離が行われてもよい。粉砕後の金属箔粉は、目的に応じて特定の平均粒径および粒度分布をもつよう分級されてもよい。
本実施形態の金属調成形品の製造方法は、粉砕工程において、積層体を粉砕することにより、金属薄膜層の側面に、第1の樹脂層および第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面を形成することを特徴とする。これにより、第1の露出面において、金属薄膜層に含まれる第1の金属を露出させて、第1の金属が酸化した金属酸化物を作製する。たとえば、第1の金属がアルミニウムである場合、金属薄膜層は露出面において酸化アルミニウムが形成される。このように、本実施形態の金属薄膜層では、第1の金属は、露出面において、より安定な金属酸化物を形成し得る。また、金属薄膜層は、上記のとおり、第1の樹脂層および第2の樹脂層が積層されている。そのため、金属薄膜層は、たとえば酸化しやすいアルミニウム等からなる場合であっても、アルミニウムそのものが露出しにくく、品質が劣化しにくい。また、金属酸化物(たとえば酸化アルミニウム)は、光透過性を有する。そのため、露出面において金属薄膜層を構成する第1の金属が金属酸化物を形成している場合であっても、金属薄膜層による光輝性は低減されにくい。
(混練工程)
混練工程は、熱可塑性樹脂と金属箔粉とを混練して混練物を作製する工程である。混練方法は特に限定されない。一例を挙げると、混練方法は、溶融状態の熱可塑性樹脂に金属箔粉を混合する方法等を採用し得る。
混練工程は、熱可塑性樹脂と金属箔粉とを混練して混練物を作製する工程である。混練方法は特に限定されない。一例を挙げると、混練方法は、溶融状態の熱可塑性樹脂に金属箔粉を混合する方法等を採用し得る。
本実施形態の金属箔粉は、優れた耐熱性を示す。そのため、溶融状態の熱可塑性樹脂と混合される場合であっても、金属箔粉は、光輝性が劣化しにくい。
(予備成形工程)
予備成形工程は、混練物を予備成形してマスターバッチを作製する工程である。予備成形方法は特に限定されない。一例を挙げると、予備成形方法は、混練工程において作製された溶融状態の熱可塑性樹脂と金属箔粉との混練物を、適宜の形状や大きさに切断して冷却する方法が採用され得る。これにより、所定の形状のマスターバッチ(樹脂ペレット)が作製され得る。
予備成形工程は、混練物を予備成形してマスターバッチを作製する工程である。予備成形方法は特に限定されない。一例を挙げると、予備成形方法は、混練工程において作製された溶融状態の熱可塑性樹脂と金属箔粉との混練物を、適宜の形状や大きさに切断して冷却する方法が採用され得る。これにより、所定の形状のマスターバッチ(樹脂ペレット)が作製され得る。
マスターバッチの形状は特に限定されない。一例を挙げると、マスターバッチの形状は、円筒状、ペレット状、米粒状、球状、キュービック状等である。
マスターバッチの大きさは特に限定されない。一例を挙げると、マスターバッチの大きさは、円筒状の場合、円形の底面の直径が1mm〜5mm、長さ(高さ)が1.5mm〜5mm程度である。
(成形工程)
成形工程は、熱可塑性樹脂とマスターバッチとを混合し、希釈し、射出成形して、第1の層を作製する工程である。成形方法は特に限定されない。一例を挙げると、成形方法は、マスターバッチを熱可塑性樹脂と混合し、射出成型機によって成形する方法等を採用し得る。
成形工程は、熱可塑性樹脂とマスターバッチとを混合し、希釈し、射出成形して、第1の層を作製する工程である。成形方法は特に限定されない。一例を挙げると、成形方法は、マスターバッチを熱可塑性樹脂と混合し、射出成型機によって成形する方法等を採用し得る。
本実施形態の金属箔粉は、優れた耐熱性を示す。そのため、再度、樹脂ペレットを溶融させた場合であっても、金属箔粉は、光輝性が劣化しにくい。
第1の層の形状は特に限定されない。第1の層の形状は、所望する金属調成形品の形状に基づいて適宜調整され得る。たとえば、所望する金属調成形品が車両のエンブレムである場合、第1の層の形状は、車両のエンブレムの形状に沿って成形され得る。一方、所望する金属調成形品が車載スピーカーのグリル部分である場合、第1の層は、グリル部分の外周形状に沿った形状(たとえば円盤状)に成形され得る。
(転写工程)
転写工程は、第1の層上に、第2の金属を含む第2の層を転写する工程である。第2の層は、上記のとおり、第2の金属を含み、好適には保護層および接着層を含む。
転写工程は、第1の層上に、第2の金属を含む第2の層を転写する工程である。第2の層は、上記のとおり、第2の金属を含み、好適には保護層および接着層を含む。
転写方法は特に限定されない。一例を挙げると、転写方法は、第1の層(好適には第1の層の平坦面)に、第2の層(好適には第2の層の接着層)を密着させる方法を採用し得る。具体的には、第2の層を第1の層上に密着させ、次いで、シリコンラバー等の耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用いて、80〜260℃程度の条件で熱を加える。これにより、第2の層は、第1の層と接着する。
第2の層を第1の層に接着させた後、冷却する。その後に、第2の層を第1の層から剥離すると、第2の層と第1の層とが接着した部位以外の部位が剥離され、第2の層は、第1の層に転写される(図1〜図2参照)。
以上の工程により、第2の層が第1の層に接着した金属調成形品が作製される。なお、得られた金属調成形品は、用途に応じて、さらに穴あけ加工等が施されてもよい。たとえば、所望する金属調成形品が車載スピーカーのグリル部分である場合、たとえば円盤状の第1の層に対して、円盤の上面を被覆するように第2の層が転写される。このような金属調成形品は、第1の層および第2の層を貫通する貫通孔が格子状に形成されることにより、最終的にグリル部分に加工され得る(図4〜図5参照)。
以上の工程により、金属調成形品が作製される。得られた金属調成形品は、第1の層によって示される金属調意匠(マット調意匠)と、第2の層によって示される金属調意匠(鏡面調意匠)とが施されており、これら外観の異なる2種類の金属意匠によって、優れた意匠性が示され得る。
以上、本発明の一実施形態について説明した。本発明は、上記実施形態に格別限定されない。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
(1)熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉と、を含む第1の層と、前記第1の層上に設けられ、第2の金属を含む第2の層とを有し、前記金属箔粉は、前記第1の金属を含む金属薄膜層と、前記金属薄膜層の一方の面に設けられた第1の樹脂層と、前記金属薄膜層の他方の面に設けられた第2の樹脂層とを含む積層体であり、前記金属薄膜層は、側面において、前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面が形成されており、前記第1の露出面において、前記第1の金属が酸化した金属酸化物を含む、金属調成形品。
このような構成によれば、第1の層は、熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉とを含む。金属箔粉は、第1の金属を含む金属薄膜層と、金属薄膜層の一方の面に設けられた第1の樹脂層と、金属薄膜層の他方の面に設けられた第2の樹脂層とを含む積層体である。金属薄膜層は、側面において、第1の露出面が形成されており、かつ、第1の露出面において第1の金属が酸化した金属酸化物を含んでいる。一方、第2の層は、第1の層上に設けられ、第2の金属を含む。金属箔粉が熱可塑性樹脂と混合された第1の層は、第2の金属を含む第2の層とは異なる金属調である。そのため、得られる金属調成形品は、外観の異なる2種類の金属意匠が施されており、意匠性が優れる。
(2)前記第1の層は、側面部と天面部とを有し、前記天面部は、前記第2の層が設けられた平坦面が形成されており、前記側面部は、前記第2の層が設けられていない第2の露出面が形成されている、(1)記載の金属調成形品。
このような構成によれば、金属調成形品は、天面部の平坦面に第2の層が設けられている。側面部は、第2の層が設けられていない第2の露出面が形成されている。そのため、第2の露出面からは、第1の層が露出している。その結果、金属調成形品を観察する観察者は、互いに異なる金属調を示す第1の層と第2の層とを同時に認識しやすい。したがって、金属調成形品は、たとえば、単色のめっき等が施された従来の金属調成形品と比較して、優れた意匠表現が可能である。
(3)前記側面部は、前記平坦面に対して傾斜した傾斜面が形成されている、(2)記載の金属調成形品。
このような構成によれば、側面部は、平坦面に対して傾斜した傾斜面が形成されている。そのため、観察者は、平坦面に設けられた第2の層と、傾斜面に設けられた第1の層とを、同時に認識しやすい。したがって、金属調成形品は、たとえば、単色のめっき等が施された従来の金属調成形品と比較して、より優れた意匠表現が可能である。
(4)前記側面部は、前記平坦面に対する角度が90°である直角面が形成されている、(2)または(3)記載の金属調成形品。
このような構成によれば、側面部は、平坦面に対する角度が90°である直角面が形成されている。そのため、観察者は、平坦面に設けられた第2の層と、直角面に設けられた第1の層とを、同時に認識しやすい。したがって、金属調成形品は、たとえば、単色のめっき等が施された従来の金属調成形品と比較して、より優れた意匠表現が可能である。
(5)車両用内外装部品である、(1)〜(4)のいずれかに記載の金属調成形品。
このような構成によれば、金属調成形品は、たとえば、車両の外装部品として取り付けられるエンブレムや車両モデル名を示すオーナメントとして利用され、優れた意匠性を示す。また、金属調成形品は、たとえば、車両の内装部品である車載スピーカーのグリル部分等に利用され、優れた意匠性を示す。
(6)第1の金属を含む金属薄膜層の一方の面に第1の樹脂層を形成し、他方の面に第2の樹脂層を形成して積層体を作製する積層工程と、前記積層体を粉砕し、金属箔粉を作製する粉砕工程と、熱可塑性樹脂と前記金属箔粉とを混練して溶融させて混練物を作製する混錬工程と、前記混錬物を予備成形してマスターバッチを作製する予備成形工程と、前記熱可塑性樹脂と前記マスターバッチとを混合し、希釈し、射出成形して、第1の層を作製する成形工程と、前記第1の層上に、第2の金属を含む第2の層を転写する転写工程と、を含み、前記粉砕工程は、前記積層体を粉砕することにより、前記金属薄膜層の側面に、前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面を形成するとともに、前記第1の露出面において、前記金属薄膜層に含まれる前記第1の金属を露出させて、前記第1の金属が酸化した金属酸化物を作製する、金属調成形品の製造方法。
このような構成によれば、得られる金属調成形品において、第1の層は、熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉とを含む。金属箔粉は、第1の金属を含む金属薄膜層と、金属薄膜層の一方の面に設けられた第1の樹脂層と、金属薄膜層の他方の面に設けられた第2の樹脂層とを含む積層体である。金属薄膜層は、側面において、第1の露出面が形成されており、かつ、第1の露出面において第1の金属が酸化した金属酸化物を含んでいる。一方、第2の層は、第1の層上に設けられ、第2の金属を含む。金属箔粉が熱可塑性樹脂と混合された第1の層は、第2の金属を含む第2の層とは異なる金属調である。そのため、得られる金属調成形品は、外観の異なる2種類の金属意匠が施されており、意匠性が優れる。
1、1a 金属調成形品
2 第1層
21 側面部
22 天面部
23 平坦面
24 第2の露出面
25 傾斜面
3 第2層
4 金属箔粉
41 金属薄膜層
42 第1の樹脂層
43 第2の樹脂層
44 第1の露出面
2 第1層
21 側面部
22 天面部
23 平坦面
24 第2の露出面
25 傾斜面
3 第2層
4 金属箔粉
41 金属薄膜層
42 第1の樹脂層
43 第2の樹脂層
44 第1の露出面
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂と、第1の金属を含む金属箔粉と、を含む第1の層と、
前記第1の層上に設けられ、第2の金属を含む第2の層とを有し、
前記金属箔粉は、
前記第1の金属を含む金属薄膜層と、前記金属薄膜層の一方の面に設けられた第1の樹脂層と、前記金属薄膜層の他方の面に設けられた第2の樹脂層とを含む積層体であり、
前記金属薄膜層は、
側面において、前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面が形成されており、
前記第1の露出面において、前記第1の金属が酸化した金属酸化物を含む、金属調成形品。 - 前記第1の層は、側面部と天面部とを有し、
前記天面部は、前記第2の層が設けられた平坦面が形成されており、
前記側面部は、前記第2の層が設けられていない第2の露出面が形成されている、請求項1記載の金属調成形品。 - 前記側面部は、前記平坦面に対して傾斜した傾斜面が形成されている、請求項2記載の金属調成形品。
- 前記側面部は、前記平坦面に対する角度が90°である直角面が形成されている、請求項2または3記載の金属調成形品。
- 車両用内外装部品である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属調成形品。
- 第1の金属を含む金属薄膜層の一方の面に第1の樹脂層を形成し、他方の面に第2の樹脂層を形成して積層体を作製する積層工程と、
前記積層体を粉砕し、金属箔粉を作製する粉砕工程と、
熱可塑性樹脂と前記金属箔粉とを混練して溶融させて混練物を作製する混錬工程と、
前記混錬物を予備成形してマスターバッチを作製する予備成形工程と、
前記熱可塑性樹脂と前記マスターバッチとを混合し、希釈し、射出成形して、第1の層を作製する成形工程と、
前記第1の層上に、第2の金属を含む第2の層を転写する転写工程と、を含み、
前記粉砕工程は、
前記積層体を粉砕することにより、前記金属薄膜層の側面に、前記第1の樹脂層および前記第2の樹脂層が形成されていない第1の露出面を形成するとともに、
前記第1の露出面において、前記金属薄膜層に含まれる前記第1の金属を露出させて、前記第1の金属が酸化した金属酸化物を作製する、金属調成形品の製造方法。
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