JPWO2020153319A1 - 拡散板 - Google Patents
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Abstract
透過光または反射光のスペックルノイズを抑制しつつ、輝度むらや色むらをさらに改善することができる拡散板を提供すること。透過型または反射型の拡散板(100)であって、平板状の基材(51)にX軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を有しa×bの2次元の基本周期構造(10)を構成し、各基本周期構造はX軸方向にN個の前記光学素子(53)を含み、Y軸方向にM個の前記光学素子を含むN行M列を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の周期位相構造を有し、前記基本ブロック内のn行m列における位相構造PnmがPn1+P1mで表され、前記基本ブロック内のn行m列における光学素子の複素透過率または複素反射率のフーリエ変換の絶対値の2乗を指向特性としたときに、当該指向特性の平均に対する標準偏差の割合が0.3以下であることを特徴とする、拡散板。
Description
本発明は、拡散板に関する。
ヘッドアップディスプレイやレーザープロジェクタなどに、マイクロレンズアレイを用いた拡散板をスクリーンとして適用する技術が提案されている。マイクロレンズアレイを用いた場合、乳半板やすりガラスなどの拡散板を用いる場合と比較して、スペックルノイズを抑制できるといったメリットがある。
例えば特許文献1には、レーザー光を光源とし、複数画素の配列で形成される映像を投影するレーザープロジェクタと複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズアレイとを用いた拡散板を有する画像形成装置が提案されている。マイクロレンズアレイを用いた場合、入射された光を適切に拡散させることができると共に、必要な拡散角を自由に設計することができる。
特許文献2では、マイクロレンズなどの微細構造の形状または位置を定義するパラメータの少なくとも一つを予め定められた確率密度関数に従ってランダム分布させることで、微細構造の周期性に起因する回折光による輝度むらや色むらを改善するための方法が提案されている。
特許文献3および4では、各々のマイクロレンズを透過する光に対し光路長差を生じさせる機能をもつ第2の周期構造をマイクロレンズアレイに付与することで、従来の回折光の隙間に新たな回折光を生じさせることができ、輝度むらや色むらを改善するための方法が提案されている。
特許文献2では、マイクロレンズなどの微細構造の形状または位置を定義するパラメータの少なくとも一つを予め定められた確率密度関数に従ってランダム分布させることで、微細構造の周期性に起因する回折光による輝度むらや色むらを改善するための方法が提案されている。
特許文献3および4では、各々のマイクロレンズを透過する光に対し光路長差を生じさせる機能をもつ第2の周期構造をマイクロレンズアレイに付与することで、従来の回折光の隙間に新たな回折光を生じさせることができ、輝度むらや色むらを改善するための方法が提案されている。
一般的なマイクロレンズアレイを用いた場合にはその周期性により生じる回折スポットによる輝度むらが発生する。特許文献2には、レンズの形状または位置を定義するパラメータの少なくとも一つを予め定められた確率密度関数に従ってランダム分布させることで、当該輝度むらを改善することが記載されている。しかしながら特許文献2のように、レンズの形状や位置にランダム性を付与する場合、レンズアレイを透過する光にランダムな位相差が生じるため、スペックルノイズが発生しやすく、画質が悪化するという問題がある。また、ランダム分布によりマイクロレンズアレイの全体的平均としては輝度むらが改善されるが、局所的には改善されない部分が残存するという問題もある。
特許文献3および4には、各々のマイクロレンズを透過する光に対し光路長差を生じさせる機能をもつ第2の周期構造をマイクロレンズアレイに付与することで、輝度むらを改善することが記載されている。しかしながら、特許文献3および4で提案されている千鳥配置や垂直な2軸で規定される周期構造では、回折光の密度が数倍程度にしかならず、また各回折光に輝度差が生じるため、輝度むらを十分に改善できない場合がある。
本発明は、透過光または反射光のスペックルノイズを抑制しつつ、輝度むらや色むらをさらに改善することができる拡散板を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成により前記目的を達成する。
[1] 透過型または反射型の拡散板であって、
平板状の基材の平面方向に互いに直交するX軸とY軸をとり、
前記平板状の基材の一方の面に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を有するか、または、
前記平板状の基材の一方の面にX軸方向の有効径がaの第1光学素子を有し、前記基材の他方の面にY軸方向の有効径がbの第2光学素子を有し、前記第1光学素子と前記第2光学素子の組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成し、
複数の前記光学素子がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、a×bの2次元の基本周期構造を構成し、
各基本周期構造は、各々光路差長を生じさせる構造を有し、
前記光路差長を生じさせる構造は、前記X軸方向にN個の前記光学素子を含み、前記Y軸方向にM個の前記光学素子を含むN行M列(NとMの少なくとも一方は3以上の整数)を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の周期位相構造を有し、
前記基本ブロック内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の基本周期位相差ΔPX、Y軸方向の基本周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)としたときに、前記PnmはPn1+P1mで表され、
[1] 透過型または反射型の拡散板であって、
平板状の基材の平面方向に互いに直交するX軸とY軸をとり、
前記平板状の基材の一方の面に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を有するか、または、
前記平板状の基材の一方の面にX軸方向の有効径がaの第1光学素子を有し、前記基材の他方の面にY軸方向の有効径がbの第2光学素子を有し、前記第1光学素子と前記第2光学素子の組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成し、
複数の前記光学素子がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、a×bの2次元の基本周期構造を構成し、
各基本周期構造は、各々光路差長を生じさせる構造を有し、
前記光路差長を生じさせる構造は、前記X軸方向にN個の前記光学素子を含み、前記Y軸方向にM個の前記光学素子を含むN行M列(NとMの少なくとも一方は3以上の整数)を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の周期位相構造を有し、
前記基本ブロック内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の基本周期位相差ΔPX、Y軸方向の基本周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)としたときに、前記PnmはPn1+P1mで表され、
[2] 前記式(3)で表される指向特性の平均に対する標準偏差の割合が0.1以下である、[1]に記載の拡散板。
[3] 前記式(3)で表される指向特性の平均に対する標準偏差の割合が0である、[1]に記載の拡散板。
[4] 前記N及びMが各々独立に、3、4、5、7または8のいずれかであり、入射光の波長がλのとき、
前記X軸方向の基本周期位相差ΔPX、及び前記Y軸方向の基本周期位相差ΔPYが各々独立に下記ΔPAのいずれかである、[1]乃至[3]のいずれかに記載の拡散板。
[3] 前記式(3)で表される指向特性の平均に対する標準偏差の割合が0である、[1]に記載の拡散板。
[4] 前記N及びMが各々独立に、3、4、5、7または8のいずれかであり、入射光の波長がλのとき、
前記X軸方向の基本周期位相差ΔPX、及び前記Y軸方向の基本周期位相差ΔPYが各々独立に下記ΔPAのいずれかである、[1]乃至[3]のいずれかに記載の拡散板。
本発明によれば、透過光または反射光のスペックルノイズを抑制しつつ、輝度むらや色むらをさらに改善することができる拡散板を提供することができる。
図面を参照して、本発明に係る拡散板の実施形態について説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されており、各軸方向の縮尺がそれぞれ異なることがある。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「直交」、「同一」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
[第1実施形態]
図1〜3を参照して、第1実施形態に係る拡散板を説明する。図1は第1実施形態の拡散板を示す模式的な正面図である。また、図2は図1の拡散板における1A−1A’断面図であり、図3は図1の拡散板における1B−1B’断面図である。なお図1〜3の例ではN=M=4である。
第1実施形態の拡散板100は、透過型の拡散板であって、平板状の基材51の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子53を複数有する。
当該複数の光学素子53がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、個々の光学素子53が一単位となるa×bの2次元の基本周期構造10を構成する。
複数ある各基本周期構造10は光路差長を生じさせる構造を有する。本実施形態においては、光路差長を生じさせる構造の一例として、平板状の基材51と光学素子53との間に所定の嵩上げ部52を設けている。当該嵩上げ部52は、X軸方向に光学素子N個分(即ちNa)の周期位相構造を有し、Y軸方向に光学素子M個分(即ちMb)の周期位相構造を有する。
本実施形態においては、当該X軸方向の周期移相構造とY軸方向の周期移相構造との組合せにより、N行M列を基本ブロック50とするNa×Mbの2次元の周期位相構造が形成される。
具体的には、前記基本ブロック50内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の周期位相差ΔPX、Y軸方向の周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)の形式で表したときに、前記PnmはPn1+P1mで表される。
図1〜3を参照して、第1実施形態に係る拡散板を説明する。図1は第1実施形態の拡散板を示す模式的な正面図である。また、図2は図1の拡散板における1A−1A’断面図であり、図3は図1の拡散板における1B−1B’断面図である。なお図1〜3の例ではN=M=4である。
第1実施形態の拡散板100は、透過型の拡散板であって、平板状の基材51の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子53を複数有する。
当該複数の光学素子53がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、個々の光学素子53が一単位となるa×bの2次元の基本周期構造10を構成する。
複数ある各基本周期構造10は光路差長を生じさせる構造を有する。本実施形態においては、光路差長を生じさせる構造の一例として、平板状の基材51と光学素子53との間に所定の嵩上げ部52を設けている。当該嵩上げ部52は、X軸方向に光学素子N個分(即ちNa)の周期位相構造を有し、Y軸方向に光学素子M個分(即ちMb)の周期位相構造を有する。
本実施形態においては、当該X軸方向の周期移相構造とY軸方向の周期移相構造との組合せにより、N行M列を基本ブロック50とするNa×Mbの2次元の周期位相構造が形成される。
具体的には、前記基本ブロック50内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の周期位相差ΔPX、Y軸方向の周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)の形式で表したときに、前記PnmはPn1+P1mで表される。
周期位相構造の詳細については後述するが、本実施形態の拡散板は各光学素子53を透過する各々の光に、周期的な所定の位相差を与えることにより、スペックルノイズを抑制する。また本実施形態の拡散板は、N又はMの少なくとも一方は3以上の整数とすることで、輝度むらや色むらがより改善される。
図2は、X軸に沿って基本周期構造11、21、31及び41を通る断面の例を示す断面図である。図2の例に示すように拡散板100は、X軸方向の有効径がaの光学素子53が当該有効径に基づく間隔で配置されてX軸方向の基本周期構造11〜41を構成する。各基本構造は各々光路差長を生じさせるための嵩上げ部52を有している。嵩上げ部52はN個の光学素子を含むNaを周期として繰り返しの周期位相構造を形成している。ここで、平板状の基材51の厚みTは、平坦とみなすことのできる最大の厚みとする。具体的には、光学素子53を有しない面から、基本ブロック50内で高さが最小となる光学素子53(図2の例では基本周期構造11における光学素子53)の付け根までの厚みとなる。光路差71、72は当該高さが最小となる光学素子を基準とする。
図3は、Y軸に沿って基本周期構造14、13、12及び11を通る断面の例を示す断面図である。図3の例に示すように拡散板100は、Y軸方向の有効径がbの光学素子53が当該有効径に基づく間隔で配置されて基本周期構造14〜11を構成する。各基本構造は各々光路差長を生じさせるための嵩上げ部52を有している。嵩上げ部52はM個の光学素子を含むMbを周期として繰り返しの位相構造を形成している。
光学素子53の形状は特に限定されず、拡散板100に用いる材料の光学物性(特に屈折率)と所望の拡散角度分布とから、基準となるレンズ形状を設計する。レンズ形状は球面でも非球面でも構わない。光学設計は光線追跡法などの従来技術を用いて行う。また、拡散特性に異方性を持たせたい場合はこの限りではなく、レンズの縦横比を任意に設定できる。典型例としては、図8に示されるような四角形型のマイクロレンズが挙げられる。また、当該マイクロレンズの反転形状である凹レンズであってもよい(図7参照)。
次に周期位相構造の詳細について原理と共に説明する。
(光学素子間に設定する光路差長の原理)
有効径がLの四角レンズを周期Lで配置したマイクロレンズアレイに平行光(波長λ)が入射するとき、各レンズに光路長差を生じさせる構造が無い場合、周知の回折格子作用によって、出射光の輝度分布は正弦間隔λ/Lで縦横方向に離散化される(回折光と呼ぶ)。入射光が平行光ではなく、視直径ωの円錐状である場合には、離散化される各方向は視直径ωの円錐状となる。ωが2λ/L値よりも大きい場合には、離散化状態は実質的に解消される。しかし、ωが2λ/Lよりも小さい場合には、離散化の名残として、輝度分布に正弦間隔λ/Lの周期性が残存し、これが明暗の輝度むらとなる。
(光学素子間に設定する光路差長の原理)
有効径がLの四角レンズを周期Lで配置したマイクロレンズアレイに平行光(波長λ)が入射するとき、各レンズに光路長差を生じさせる構造が無い場合、周知の回折格子作用によって、出射光の輝度分布は正弦間隔λ/Lで縦横方向に離散化される(回折光と呼ぶ)。入射光が平行光ではなく、視直径ωの円錐状である場合には、離散化される各方向は視直径ωの円錐状となる。ωが2λ/L値よりも大きい場合には、離散化状態は実質的に解消される。しかし、ωが2λ/Lよりも小さい場合には、離散化の名残として、輝度分布に正弦間隔λ/Lの周期性が残存し、これが明暗の輝度むらとなる。
図9(a)に光路長差を生じさせる構造を有しない20μm×20μm周期のマイクロレンズアレイを透過した回折光のシミュレーション結果を示す。前述したように各レンズに光路長差を生じさせる構造が無い場合、正弦間隔λ/Lで縦横方向に離散化された回折光が生じる。
また、図10(a)に、光路長差を生じさせる構造を有しない40μm×40μm周期のマイクロレンズアレイに対し、実際にレーザー光を入射し、出射光を垂直平面に投影した像を示す。図10(a)に示されるように、実際に出射したレーザー光は離散化されており、図9(a)のシミュレーション結果とよく一致する。
また、図10(a)に、光路長差を生じさせる構造を有しない40μm×40μm周期のマイクロレンズアレイに対し、実際にレーザー光を入射し、出射光を垂直平面に投影した像を示す。図10(a)に示されるように、実際に出射したレーザー光は離散化されており、図9(a)のシミュレーション結果とよく一致する。
この輝度むらを克服するには、回折光の間隔を小さくする必要がある。この解決手段として、各レンズに入射した光に光路長差を生じさせる構造を持たせる方法がある。本実施形態では、X軸方向にレンズN個、Y軸方向にレンズM個(N、Mの少なくとも一方は3以上の整数)の周期の光路長差を生じさせる構造を持たせ、入射した光にX軸方向の周期位相構造が有する光路長差とY軸方向の周期位相構造が有する光路長差の和を施すことを考える。実際のマイクロレンズに光路長差を生じさせることは、例えば図2などのように、嵩上げ部52を設けることで、マイクロレンズをZ軸方向に異なった位置に配置することで実現できる。
ここで、基本ブロック50内のn行m列における光学素子53の複素透過率をg(n/λ,m/λ)とすると、出射光の指向特性は、そのフーリエ変換G(sinθn,sinθm)の絶対値の2乗に合致する。この合致関係は、周期的に配列された光学素子全体に対しても成立する。
更に、X軸方向にレンズN個、Y軸方向にレンズM個を一括した基本ブロック50単位gN,M(n/λ,m/λ)の2次元の周期配列に関しても同様の事が成立する。したがって、目標とする指向特性|GN,M(sinθn,sinθm)|2は、角度周期をX軸方向にλ/(Na)、Y軸方向にλ/(Mb)とする離散的構造で、その包絡線は単一レンズの指向特性|G(sinθn,sinθm)|2に比例するものとなる。
更に、X軸方向にレンズN個、Y軸方向にレンズM個を一括した基本ブロック50単位gN,M(n/λ,m/λ)の2次元の周期配列に関しても同様の事が成立する。したがって、目標とする指向特性|GN,M(sinθn,sinθm)|2は、角度周期をX軸方向にλ/(Na)、Y軸方向にλ/(Mb)とする離散的構造で、その包絡線は単一レンズの指向特性|G(sinθn,sinθm)|2に比例するものとなる。
そのため、Na×Mbの2次元の周期位相構造を適用することで、回折光の角度周期をX軸方向に1/N、Y軸方向に1/Mだけ小さくすることができる。また、すべての回折光の強度が均一となる条件において最も輝度むらが改善される。つまり、出射光の指向特性である|GN,M(sinθn,sinθm)|2の各要素の標準偏差が0なる条件が最も良好となる。したがって、|GN,M(sinθn,sinθm)|2の各要素の平均値をAveとすると、以下の式(4)が小さいほど好適であり、0が最も好ましい。
上記式(4)が0となる条件は、すべての回折光の強度が均一となる理想的な条件であるが、実際には多少の輝度むらは許容される場合もある。本実施形態では出射光の指向特性であるGN,M(sinθn,sinθm)の各要素の標準偏差が平均値の30%以下であれば、輝度むらが抑制されている判断される。即ち、本実施形態に係る拡散板は、下記式(3)で表される指向特性の平均に対する標準偏差の割合が0.3以下であることを特徴とし、0.1以下であることが好ましく、0であることがより好ましい。
従来はN=M=2に対してのみ式(3)が0.3以下となる例が知られていた(特許文献4)。本実施形態によれば、N,M≧3以上に対しても、式(3)が0.3以下となるマイクロレンズアレイが提供できる。マイクロレンズアレイの回折光による輝度むらを目立たなくする為には、N=M=2の場合には、入射光の視直径ωを2λ/(2L)より大きくする必要がある。N=M=3の場合には、入射光の視直径ωを2λ/(3L)より大きくする必要がある。したがって、N=M=3の場合には、N=M=2の場合に比べて、入射光の視直径ωを2/3倍に小さくすることが許容される。または、L値自体を小さくして、マイクロレンズアレイの解像度限界を1.5倍に改善することができる。したがって、本発明を用いれば従来技術よりも効率の優れた拡散板を得ることができる。
一例として、図1〜3の例に示されるN=M=4の場合について詳細に説明する。前記基本ブロック内のn行m列における位相構造をPnmとする。各レンズに光路長差を生じさせる構造が無い場合について考える。このとき、周期位相構造の1周期分の位相差をΔPとすると、ΔPは以下のように表される。
次に、N=M=4でレンズに光路長差を生じさせる嵩上げ部52がある場合について考える。ここでは一例として、前記基本ブロック内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の基本周期位相差ΔPX、Y軸方向の基本周期位相差ΔPYを以下のように設定する。
具体例として、前記N及びMが各々独立に、3、4、5、7または8のいずれかであり、
入射光の波長がλのとき、前記X軸方向の基本周期位相差ΔPX、及び前記Y軸方向の基本周期位相差ΔPYが各々独立に下記ΔPAのいずれかであれば、式(3)の値が0となる。なおN及びMを9以上とすることも可能であるが、多数あるためこれらの例示は省略する。
入射光の波長がλのとき、前記X軸方向の基本周期位相差ΔPX、及び前記Y軸方向の基本周期位相差ΔPYが各々独立に下記ΔPAのいずれかであれば、式(3)の値が0となる。なおN及びMを9以上とすることも可能であるが、多数あるためこれらの例示は省略する。
図9(b)に20μm×20μm周期で、式(5)の光路長差を生じさせる構造を有するマイクロレンズアレイを透過した回折光のシミュレーション結果を示す。上記の計算結果通り、図9(a)と比較して回折光の密度が16倍となっており、輝度むらが低減されていることが確認できる。また、実際に40μm×40μm周期で、式(5)の光路長差を生じさせる構造を有するマイクロレンズアレイに入射したレーザー光の出射光を垂直平面に投影した像を図10(b)に示す。このマイクロレンズアレイには式(5)に対応する光路長差を生じさせるため、レンズ高さに高低差ΔHを付与している。ΔHは透過型の拡散板で、マイクロレンズアレイを構成する材料の屈折率が1.5、使用する光源の波長λが可視光のうち最も波長の長い630nmの赤色光の場合、以下のようになる。
使用する光源の波長λが、可視光において最も視認性が高い530nmの緑色光の場合または可視光において最も波長が長い赤色光と最も視認性が高い緑色光の中間の波長である580nmの黄色光であっても同様にして、付与するΔHを定めることができる。
マイクロレンズアレイ全体に光が入射する場合、周期位相構造の1周期に対応するレンズ数であるN、Mが大きいほど回折光の密度が大きくなる。そのため、一般にはN、Mが大きいほど輝度むら低減効果は大きく、好適である。一方、光が入射するレンズ領域が限定される場合は、周期位相構造の1周期の大きさをそのレンズ領域に合わせるほうが好適である。例えば、走査しないレーザービーム光を拡散させる場合は、レーザービーム径の大きさ程度に周期位相構造の1周期の大きさを設定すれば良い。ただし、レーザービーム光をマイクロレンズアレイ全体に走査している場合は、前述した通りでN、Mが大きいほど好適である。
次に、位相差の設定方法について述べる。本発明において、位相差はマイクロレンズを透過または反射した光の光路長の差を波長で規格化して表す。位相差を変化させるには、レンズ高さや曲率、ピッチ、配置、屈折率など様々な因子を選択可能である。本実施形態においては個々のレンズに位相差を与えるために、レンズの嵩上げ部52の高さのみを変化させており、個々のレンズの曲率が略同一であるところに特徴がある。
本実施形態においては、図2〜3に示すように、個々のレンズの断面プロファイルは同一とし、嵩上げ部52の高さを制御することでマイクロレンズの凸部最大高さに変化を与える。つまり、マイクロレンズの凸部最大高さは、光学設計によって決定される光学素子53のレンズ高さと嵩上げ部52の高さとの和によって決定される。本発明では、レンズ高さは固定値であり、嵩上げ部52の高さを個々のレンズで変化させることで、各マイクロレンズに位相差を生じさせ、回折因で発生する輝度ムラや色ムラの改善を図っている。各マイクロレンズの凸部最大高さの高低差をΔHとすると、ΔHに対応する位相差は、マイクロレンズアレイを構成する材料の屈折率をn、使用する光源の波長λ[nm]とすると、
{1000×ΔH×(n−1)}/λ
と表される。ここで、光源が複数の波長からなる場合は、使用する波長の中で最も長い波長、もしくは最も視認性の高い波長で代表して計算すれば良い。
{1000×ΔH×(n−1)}/λ
と表される。ここで、光源が複数の波長からなる場合は、使用する波長の中で最も長い波長、もしくは最も視認性の高い波長で代表して計算すれば良い。
上記第1実施形態の変形例として、図7に凹レンズの場合の1A−1A’断面図の例を示す。上記第1実施形態とは光学素子53の形状が異なっている。1B−1B’断面図は不図示であるが同様に光学素子53は有効径がbの凹レンズ形状である。
凹レンズの場合の光路差は、前記ΔHの代わりに、各マイクロレンズの凹部最大深さの高低差ΔDと置き換えて考えれば良い。
凹レンズの場合の光路差は、前記ΔHの代わりに、各マイクロレンズの凹部最大深さの高低差ΔDと置き換えて考えれば良い。
また上記第1実施形態の変形例として、反射型の拡散板としてもよい(不図示)。反射型の拡散板は、前記第1実施形態の拡散板の光学素子側又はその反対側の面に、アルミニウム蒸着膜などの反射膜を成膜することにより製造できる。
反射型の拡散板で光学素子が凸レンズ形状の場合、凸部最大高さに分布を持ったマイクロレンズの表面で入射光が反射され、空気中を通過する光路差が生じて、各マイクロレンズ間の位相差が発生する。このときの各マイクロレンズ間の凸部最大高さの最大高低差ΔHに対応する位相差は、
{1000×2ΔH}/λ
と表される。ここで、光源が複数の波長からなる場合は、透過型の場合と同様に使用する波長の中で最も長い波長、もしくは最も視認性の高い波長で代表して計算すれば良い。
また、反射型の拡散板の場合、前述の光学素子間に設定する光路差長の原理において「複素透過率」としていた部分は、「複素反射率」と読み替えることにより同様に考えることができ、光路長差を生じさせる構造を設計できる。
反射型の拡散板で光学素子が凸レンズ形状の場合、凸部最大高さに分布を持ったマイクロレンズの表面で入射光が反射され、空気中を通過する光路差が生じて、各マイクロレンズ間の位相差が発生する。このときの各マイクロレンズ間の凸部最大高さの最大高低差ΔHに対応する位相差は、
{1000×2ΔH}/λ
と表される。ここで、光源が複数の波長からなる場合は、透過型の場合と同様に使用する波長の中で最も長い波長、もしくは最も視認性の高い波長で代表して計算すれば良い。
また、反射型の拡散板の場合、前述の光学素子間に設定する光路差長の原理において「複素透過率」としていた部分は、「複素反射率」と読み替えることにより同様に考えることができ、光路長差を生じさせる構造を設計できる。
また、反射型の拡散板で光学素子が凹レンズ形状の場合、ΔHの代わりに、各マイクロレンズの凹部最大深さの最大高低差ΔDと置き換えて考えれば良い点も透過型の場合と同様である。
設計データからマイクロレンズアレイを加工する方法は、機械加工、マスクを用いたフォトリソグラフィ、マスクレスリソグラフィ、エッチング、レーザーアブレーションなど多くの加工方法を使うことができる。これらの技術を用いて金型を製造し、樹脂を成形してマイクロレンズアレイを有する拡散板部材を製造する。前記金型を直接反射型の拡散板として使っても良い。成形方法は、ロールトゥロール成形、熱プレス成形、紫外線硬化性樹脂を用いた成形、射出成形など数多くの成形方法の中から適宜選択すれば良い。反射型の拡散部材として用いる場合は、表面または裏面にアルミニウム蒸着膜などの反射膜を成膜して用いれば良い。
以下、一例として、レーザー走査型のマスクレスリソグラフィと電鋳により金型を作製し、その金型を用いた熱プレス成形により拡散板を成形する方法についてより詳細に説明する。
マスクレスリソグラフィは、基板上にフォトレジストを塗布するレジスト塗布工程、微細パターンをフォトレジストに露光する露光工程、露光後のフォトレジストを現像して微細パターンを有する原盤を得る現像工程からなる。レジスト塗布工程では、基板上にポジ型のフォトレジストを塗布する。フォトレジストの塗布膜の膜厚は、微細パターンの高さ以上の厚さであれば良い。塗布膜に対しては70〜110℃のベーキング処理を施すことが好ましい。露光工程では、前記塗布工程で塗布されたフォトレジストに対して、レーザービームを走査しながら照射してフォトレジストを露光する。レーザービームの波長はフォトレジストの種類に応じて選定すればよく、例えば351nm、364nm、458nm、488nm(Ar+レーザーの発振波長)、351nm、406nm、413nm(Kr+レーザーの発振波長)、352nm、442nm(He−Cdレーザーの発振波長)、355nm、473nm(半導体励起固体レーザーのパルス発振波長)、375nm、405nm、445nm、488nm(半導体レーザー)などを選択することができる。
マスクレスリソグラフィは、基板上にフォトレジストを塗布するレジスト塗布工程、微細パターンをフォトレジストに露光する露光工程、露光後のフォトレジストを現像して微細パターンを有する原盤を得る現像工程からなる。レジスト塗布工程では、基板上にポジ型のフォトレジストを塗布する。フォトレジストの塗布膜の膜厚は、微細パターンの高さ以上の厚さであれば良い。塗布膜に対しては70〜110℃のベーキング処理を施すことが好ましい。露光工程では、前記塗布工程で塗布されたフォトレジストに対して、レーザービームを走査しながら照射してフォトレジストを露光する。レーザービームの波長はフォトレジストの種類に応じて選定すればよく、例えば351nm、364nm、458nm、488nm(Ar+レーザーの発振波長)、351nm、406nm、413nm(Kr+レーザーの発振波長)、352nm、442nm(He−Cdレーザーの発振波長)、355nm、473nm(半導体励起固体レーザーのパルス発振波長)、375nm、405nm、445nm、488nm(半導体レーザー)などを選択することができる。
嵩上げ部つきのマイクロレンズの露光工程では、レーザーパワーをレンズ形状とレジスト感度から決まる値に変調させながら、レジスト上にレーザーを走査させる。レーザー露光に用いられるレーザーは対物レンズで集光してレジストに焦点を結ばせている。あるマイクロレンズとそれに隣接するマイクロレンズとの嵩上げ高さの差を大きくするには、隣接するマイクロレンズ間のレーザーパワーの差を大きくとれば良い。しかし、レーザースポットは一般に有限の径を有するガウス分布であるため、レーザーパワーの差を大きくとり過ぎると、隣接するレンズ境界に近い部分のレンズ形状が光学設計から設定された形状からはずれる領域が増え、拡散角度分布が他のレンズと同一なレンズ部の比率が低下する。したがって、光学設計とできるだけ同じ拡散角度分布を得るためには、隣接するマイクロレンズ間の嵩上げ部の高さの差を一定の範囲内に収めたほうが好ましい。本発明では各マイクロレンズのレンズ部の高さは一定であるため、各マイクロレンズの凸部最大高さの最大高低差ΔHは、嵩上げ高さの最大高低差と一致する。そのため、前述した波長で規格化した位相差が0〜1の間に収まるように嵩上げ高さを設定するほうが好ましい。
現像工程では、露光後のフォトレジストを現像する。フォトレジストの現像は公知の方法により実施することができる。現像液としては特に制限なく、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等のアルカリ現像液を用いることができる。現像工程では露光量に応じてフォトレジストが除去され、フォトレジストの微細パターン形状が形成される。露光工程でポジレジストを用い、凹レンズによるマイクロレンズの形状に応じたレーザーパワーで露光した場合、フォトレジストに凹レンズが形成されたマイクロレンズ原盤が得られることになる。
次に電鋳工程では、露光、現像により形成された前記微細パターンを有するフォトレジスト表面にニッケル金属の蒸着などの方法により導電化処理を施す。さらに、電鋳により前記蒸着膜表面にニッケルを板状に所望の厚みまで堆積させ、このニッケル板をフォトレジスト原盤から剥離すると、フォトレジストの凹レンズ形状が反転転写された凸レンズによるマイクロレンズアレイが形成された金型(スタンパ)が得られる。
成形工程では、前記スタンパを用いてアクリルシートを加熱しつつプレスする熱プレス法により、凸レンズ形状の微細パターンがアクリルシートに転写される。この結果、凹レンズによるマイクロレンズアレイ部材を製造することができる。両面にスタンパを配置した両面成形を採用すれば、両面にマイクロレンズアレイを形成した部材を成形することも可能である。成形に使用する樹脂はアクリルに限らず、成形条件に応じて、拡散板に使用可能な樹脂を選定すれば良い。凸レンズによるマイクロレンズアレイ部材を得るには、前記電鋳工程で得たスタンパ(凸レンズ)を型として複製電鋳を行い、凹レンズによるマイクロレンズアレイが形成されたスタンパを作製し、このスタンパを用いて熱プレス成形すればよい。マスクレスリソグラフィの露光工程で、凸レンズに応じた露光パワーの変調によりレジストを露光する方法ももちろん採用可能であるが、電鋳工程でスタンパを複製電鋳する上記方法のほうがより簡便である。
反射型の拡散板として用いる場合は、例えばマイクロレンズアレイが形成された部材の表面にアルミニウム反射膜を真空蒸着させ、入射光をアルミニウム面で反射させれば良い。また、マイクロレンズアレイが基板の片面のみに形成された部材の場合に、基板の鏡面側から入光させ、アルミニウム反射膜を成膜したマイクロレンズアレイ面で反射させる構成でもよい。一方、反射膜を形成しないマイクロレンズアレイ面から入光して、反射膜を形成した鏡面側で反射させた構成でも拡散板として利用できる。さらに、両面にマイクロレンズアレイを成形した基板で、入射側の反射膜の膜厚を調整してハーフミラーとし、裏面側は反射率をほぼ100%とする構成とすることで、表裏両面の二つのマイクロレンズアレイによる拡散板とすることも可能である。また、必要であればアルミニウム反射膜を保護するために保護層をコートしても良い。
[第2実施形態]
図4〜図6を参照して、第2実施形態に係る拡散板を説明する。図4は第2実施形態の拡散板における基本ブロック60を示す正面図60a、Y軸方向か見た側面図60b及びX軸方向から見た側面図60cを示す。また、図5は図4の拡散板における4A−4A’断面図であり、図6は図4の拡散板における4B−4B’断面図である。なお図4〜6の例ではN=M=4である。
第2実施形態の拡散板は、透過型の拡散板であって、平板状の基材61の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がaの第1光学素子63aを有し、前記基材の他方の面(−Z側の面)にY軸方向の有効径がbの第2光学素子63bを有する。この点で第1実施形態の拡散板と異なるが、前記第1光学素子63aと前記第2光学素子63bの組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成していると考えることにより、N行M列を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の光路差長を生じさせる周期位相構造については、前記第1実施形態と同様とすることができる。
図4〜図6を参照して、第2実施形態に係る拡散板を説明する。図4は第2実施形態の拡散板における基本ブロック60を示す正面図60a、Y軸方向か見た側面図60b及びX軸方向から見た側面図60cを示す。また、図5は図4の拡散板における4A−4A’断面図であり、図6は図4の拡散板における4B−4B’断面図である。なお図4〜6の例ではN=M=4である。
第2実施形態の拡散板は、透過型の拡散板であって、平板状の基材61の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がaの第1光学素子63aを有し、前記基材の他方の面(−Z側の面)にY軸方向の有効径がbの第2光学素子63bを有する。この点で第1実施形態の拡散板と異なるが、前記第1光学素子63aと前記第2光学素子63bの組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成していると考えることにより、N行M列を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の光路差長を生じさせる周期位相構造については、前記第1実施形態と同様とすることができる。
図5は、X軸に沿って基本周期構造13、23、33及び43を通る断面の例を示す断面図である。図5の例に示すように第2実施形態の拡散板は、X軸方向の有効径がaの第1光学素子63aが当該有効径に基づく間隔で配置されてX軸方向の基本周期構造13〜43を構成する。
また、図6は、Y軸に沿って基本周期構造34、33、32及び31を通る断面の例を示す断面図である。図6の例に示すように第2実施形態の拡散板は、Y軸方向の有効径がbの第2光学素子63bが当該有効径に基づく間隔で配置されて基本周期構造34〜31を構成する。
また、図6は、Y軸に沿って基本周期構造34、33、32及び31を通る断面の例を示す断面図である。図6の例に示すように第2実施形態の拡散板は、Y軸方向の有効径がbの第2光学素子63bが当該有効径に基づく間隔で配置されて基本周期構造34〜31を構成する。
各基本構造は各々光路差長を生じさせるための嵩上げ部を有している。図5及び図6の例では、第1光学素子63a側に第1嵩上げ部62aが、第2光学素子63b側に第2嵩上げ部62bが各々形成されている。この場合、第1嵩上げ部62aは前述のX軸方向の基本周期位相差ΔPXに基づく高さとし、第2嵩上げ部62bは前述のY軸方向の基本周期位相差ΔPYに基づく高さにすることで、この組合せにより所定の光路差長を生じさせる周期位相構造を形成することができる。光路差長を生じさせる構造の設計方法は前記第1実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第1光学素子及び第2光学素子の形状の典型例はレンチキュラーレンズである。当該レンチキュラーレンズの形状は特に限定されず、拡散板に用いる材料の光学物性(特に屈折率)と所望の拡散角度分布とから、基準となる形状を設計する。また、当該レンチキュラーレンズの反転形状である凹レンズであってもよい。
また第1光学素子又は第2光学素子の一方に、アルミニウム蒸着膜などの反射膜を成膜することにより反射型の拡散板としてもよい。
また第1光学素子又は第2光学素子の一方に、アルミニウム蒸着膜などの反射膜を成膜することにより反射型の拡散板としてもよい。
第1実施形態の拡散板及び第2実施形態の拡散板は共通して、各光学素子を透過または反射する各々の光に周期的な所定の位相差を与えることにより、スペックルノイズを抑制する。また第1実施形態の拡散板及び第2実施形態の拡散板は、N又はMの少なくとも一方は3以上の整数とことで、輝度むらや色むらがより改善される。
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。なお本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例では、平板状の基材の一方の面にマイクロレンズアレイが形成された透過型の拡散板に関する例を示す。
なお、以下の実施例では、平板状の基材の一方の面にマイクロレンズアレイが形成された透過型の拡散板に関する例を示す。
<実施例1>N=M=3
N=M=3で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
N=M=3で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
<実施例2>N=M=5
N=M=5で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
N=M=5で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
<実施例3> N=M=7
N=M=7で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
N=M=7で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
X軸方向とY軸方向を合わせた周期位相構造の1周期分の位相差ΔPはX軸方向の位相差ΔPXとY軸方向の位相差ΔPYの和で設定されるため、以下のように表される。
<実施例4> N=3、M=4
NとMが異なる場合、例えばN=3、M=4で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
NとMが異なる場合、例えばN=3、M=4で式(3)が0.3以下を満たすマイクロレンズアレイについて考える。ここでは一例として、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYを以下のように設定する。
X軸方向とY軸方向を合わせた周期位相構造の1周期分の位相差ΔPはX軸方向の位相差ΔPXとY軸方向の位相差ΔPYの和で設定されるため、以下のように表される。
<比較例1> 2×2配列
特許文献4に示されている2×2配列を考える。この例ではx方向の周期位相構造とy方向の周期位相構造が生じさせるそれぞれの光路長差の和により規定される2×2配列を基本ブロックとし、光路長差を波長の1/4に設定するのが好適であるとしている。つまり、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYは以下のように設定される。
特許文献4に示されている2×2配列を考える。この例ではx方向の周期位相構造とy方向の周期位相構造が生じさせるそれぞれの光路長差の和により規定される2×2配列を基本ブロックとし、光路長差を波長の1/4に設定するのが好適であるとしている。つまり、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYは以下のように設定される。
<比較例2> 4×4配列(特許文献4)
特許文献4に示されている4×4配列を考える。この例ではx方向の周期位相構造とy方向の周期位相構造が生じさせるそれぞれの光路長差の和により規定される4×4配列を基本ブロックとし、光路長差を波長の1/2に設定するのが好適であるとしている。つまり、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYは以下のように設定される。
この出願は、2019年1月25日に出願された日本出願特願2019−011212号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
10 基本周期構造; 11〜44 基本ブロック内のn行m列における基本周期構造; 50 基本ブロック; 51 基材; 52 嵩上げ部; 53 光学素子; 60a〜c 基本ブロック; 61 基材; 62a〜b 嵩上げ部; 63a 第1光学素子; 63b 第2光学素子; 71、72 光路差長; 100 拡散板
本発明は、以下の構成により前記目的を達成する。
[1] 透過型または反射型の拡散板であって、
平板状の基材の平面方向に互いに直交するX軸とY軸をとり、
前記平板状の基材の一方の面に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を有するか、または、
前記平板状の基材の一方の面にX軸方向の有効径がaの第1光学素子を有し、前記基材の他方の面にY軸方向の有効径がbの第2光学素子を有し、前記第1光学素子と前記第2光学素子の組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成し、
複数の前記光学素子がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、a×bの2次元の基本周期構造を構成し、
各基本周期構造は、各々光路長差を生じさせる構造を有し、
前記光路長差を生じさせる構造は、前記X軸方向にN個の前記光学素子を含み、前記Y軸方向にM個の前記光学素子を含むN行M列(NとMの少なくとも一方は3以上の整数)を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の周期位相構造を有し、
前記基本ブロック内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の基本周期位相差ΔPX、Y軸方向の基本周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)としたときに、前記PnmはPn1+P1mで表され、
[1] 透過型または反射型の拡散板であって、
平板状の基材の平面方向に互いに直交するX軸とY軸をとり、
前記平板状の基材の一方の面に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を有するか、または、
前記平板状の基材の一方の面にX軸方向の有効径がaの第1光学素子を有し、前記基材の他方の面にY軸方向の有効径がbの第2光学素子を有し、前記第1光学素子と前記第2光学素子の組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成し、
複数の前記光学素子がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、a×bの2次元の基本周期構造を構成し、
各基本周期構造は、各々光路長差を生じさせる構造を有し、
前記光路長差を生じさせる構造は、前記X軸方向にN個の前記光学素子を含み、前記Y軸方向にM個の前記光学素子を含むN行M列(NとMの少なくとも一方は3以上の整数)を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の周期位相構造を有し、
前記基本ブロック内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の基本周期位相差ΔPX、Y軸方向の基本周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)としたときに、前記PnmはPn1+P1mで表され、
[第1実施形態]
図1〜3を参照して、第1実施形態に係る拡散板を説明する。図1は第1実施形態の拡散板を示す模式的な正面図である。また、図2は図1の拡散板における1A−1A’断面図であり、図3は図1の拡散板における1B−1B’断面図である。なお図1〜3の例ではN=M=4である。
第1実施形態の拡散板100は、透過型の拡散板であって、平板状の基材51の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子53を複数有する。
当該複数の光学素子53がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、個々の光学素子53が一単位となるa×bの2次元の基本周期構造10を構成する。
複数ある各基本周期構造10は光路長差を生じさせる構造を有する。本実施形態においては、光路長差を生じさせる構造の一例として、平板状の基材51と光学素子53との間に所定の嵩上げ部52を設けている。当該嵩上げ部52は、X軸方向に光学素子N個分(即ちNa)の周期位相構造を有し、Y軸方向に光学素子M個分(即ちMb)の周期位相構造を有する。
本実施形態においては、当該X軸方向の周期位相構造とY軸方向の周期位相構造との組合せにより、N行M列を基本ブロック50とするNa×Mbの2次元の周期位相構造が形成される。
具体的には、前記基本ブロック50内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の周期位相差ΔPX、Y軸方向の周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)の形式で表したときに、前記PnmはPn1+P1mで表される。
図1〜3を参照して、第1実施形態に係る拡散板を説明する。図1は第1実施形態の拡散板を示す模式的な正面図である。また、図2は図1の拡散板における1A−1A’断面図であり、図3は図1の拡散板における1B−1B’断面図である。なお図1〜3の例ではN=M=4である。
第1実施形態の拡散板100は、透過型の拡散板であって、平板状の基材51の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子53を複数有する。
当該複数の光学素子53がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、個々の光学素子53が一単位となるa×bの2次元の基本周期構造10を構成する。
複数ある各基本周期構造10は光路長差を生じさせる構造を有する。本実施形態においては、光路長差を生じさせる構造の一例として、平板状の基材51と光学素子53との間に所定の嵩上げ部52を設けている。当該嵩上げ部52は、X軸方向に光学素子N個分(即ちNa)の周期位相構造を有し、Y軸方向に光学素子M個分(即ちMb)の周期位相構造を有する。
本実施形態においては、当該X軸方向の周期位相構造とY軸方向の周期位相構造との組合せにより、N行M列を基本ブロック50とするNa×Mbの2次元の周期位相構造が形成される。
具体的には、前記基本ブロック50内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の周期位相差ΔPX、Y軸方向の周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)の形式で表したときに、前記PnmはPn1+P1mで表される。
図2は、X軸に沿って基本周期構造11、21、31及び41を通る断面の例を示す断面図である。図2の例に示すように拡散板100は、X軸方向の有効径がaの光学素子53が当該有効径に基づく間隔で配置されてX軸方向の基本周期構造11〜41を構成する。各基本構造は各々光路長差を生じさせるための嵩上げ部52を有している。嵩上げ部52はN個の光学素子を含むNaを周期として繰り返しの周期位相構造を形成している。ここで、平板状の基材51の厚みTは、平坦とみなすことのできる最大の厚みとする。具体的には、光学素子53を有しない面から、基本ブロック50内で高さが最小となる光学素子53(図2の例では基本周期構造11における光学素子53)の付け根までの厚みとなる。光路差71、72は当該高さが最小となる光学素子を基準とする。
図3は、Y軸に沿って基本周期構造14、13、12及び11を通る断面の例を示す断面図である。図3の例に示すように拡散板100は、Y軸方向の有効径がbの光学素子53が当該有効径に基づく間隔で配置されて基本周期構造14〜11を構成する。各基本構造は各々光路長差を生じさせるための嵩上げ部52を有している。嵩上げ部52はM個の光学素子を含むMbを周期として繰り返しの位相構造を形成している。
次に周期位相構造の詳細について原理と共に説明する。
(光学素子間に設定する光路長差の原理)
有効径がLの四角レンズを周期Lで配置したマイクロレンズアレイに平行光(波長λ)が入射するとき、各レンズに光路長差を生じさせる構造が無い場合、周知の回折格子作用によって、出射光の輝度分布は正弦間隔λ/Lで縦横方向に離散化される(回折光と呼ぶ)。入射光が平行光ではなく、視直径ωの円錐状である場合には、離散化される各方向は視直径ωの円錐状となる。ωが2λ/L値よりも大きい場合には、離散化状態は実質的に解消される。しかし、ωが2λ/Lよりも小さい場合には、離散化の名残として、輝度分布に正弦間隔λ/Lの周期性が残存し、これが明暗の輝度むらとなる。
(光学素子間に設定する光路長差の原理)
有効径がLの四角レンズを周期Lで配置したマイクロレンズアレイに平行光(波長λ)が入射するとき、各レンズに光路長差を生じさせる構造が無い場合、周知の回折格子作用によって、出射光の輝度分布は正弦間隔λ/Lで縦横方向に離散化される(回折光と呼ぶ)。入射光が平行光ではなく、視直径ωの円錐状である場合には、離散化される各方向は視直径ωの円錐状となる。ωが2λ/L値よりも大きい場合には、離散化状態は実質的に解消される。しかし、ωが2λ/Lよりも小さい場合には、離散化の名残として、輝度分布に正弦間隔λ/Lの周期性が残存し、これが明暗の輝度むらとなる。
また上記第1実施形態の変形例として、反射型の拡散板としてもよい(不図示)。反射型の拡散板は、前記第1実施形態の拡散板の光学素子側又はその反対側の面に、アルミニウム蒸着膜などの反射膜を成膜することにより製造できる。
反射型の拡散板で光学素子が凸レンズ形状の場合、凸部最大高さに分布を持ったマイクロレンズの表面で入射光が反射され、空気中を通過する光路差が生じて、各マイクロレンズ間の位相差が発生する。このときの各マイクロレンズ間の凸部最大高さの最大高低差ΔHに対応する位相差は、
{1000×2ΔH}/λ
と表される。ここで、光源が複数の波長からなる場合は、透過型の場合と同様に使用する波長の中で最も長い波長、もしくは最も視認性の高い波長で代表して計算すれば良い。
また、反射型の拡散板の場合、前述の光学素子間に設定する光路長差の原理において「複素透過率」としていた部分は、「複素反射率」と読み替えることにより同様に考えることができ、光路長差を生じさせる構造を設計できる。
反射型の拡散板で光学素子が凸レンズ形状の場合、凸部最大高さに分布を持ったマイクロレンズの表面で入射光が反射され、空気中を通過する光路差が生じて、各マイクロレンズ間の位相差が発生する。このときの各マイクロレンズ間の凸部最大高さの最大高低差ΔHに対応する位相差は、
{1000×2ΔH}/λ
と表される。ここで、光源が複数の波長からなる場合は、透過型の場合と同様に使用する波長の中で最も長い波長、もしくは最も視認性の高い波長で代表して計算すれば良い。
また、反射型の拡散板の場合、前述の光学素子間に設定する光路長差の原理において「複素透過率」としていた部分は、「複素反射率」と読み替えることにより同様に考えることができ、光路長差を生じさせる構造を設計できる。
[第2実施形態]
図4〜図6を参照して、第2実施形態に係る拡散板を説明する。図4は第2実施形態の拡散板における基本ブロック60を示す正面図60a、Y軸方向か見た側面図60b及びX軸方向から見た側面図60cを示す。また、図5は図4の拡散板における4A−4A’断面図であり、図6は図4の拡散板における4B−4B’断面図である。なお図4〜6の例ではN=M=4である。
第2実施形態の拡散板は、透過型の拡散板であって、平板状の基材61の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がaの第1光学素子63aを有し、前記基材の他方の面(−Z側の面)にY軸方向の有効径がbの第2光学素子63bを有する。この点で第1実施形態の拡散板と異なるが、前記第1光学素子63aと前記第2光学素子63bの組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成していると考えることにより、N行M列を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の光路長差を生じさせる周期位相構造については、前記第1実施形態と同様とすることができる。
図4〜図6を参照して、第2実施形態に係る拡散板を説明する。図4は第2実施形態の拡散板における基本ブロック60を示す正面図60a、Y軸方向か見た側面図60b及びX軸方向から見た側面図60cを示す。また、図5は図4の拡散板における4A−4A’断面図であり、図6は図4の拡散板における4B−4B’断面図である。なお図4〜6の例ではN=M=4である。
第2実施形態の拡散板は、透過型の拡散板であって、平板状の基材61の一方の面(+Z側の面)に、X軸方向の有効径がaの第1光学素子63aを有し、前記基材の他方の面(−Z側の面)にY軸方向の有効径がbの第2光学素子63bを有する。この点で第1実施形態の拡散板と異なるが、前記第1光学素子63aと前記第2光学素子63bの組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成していると考えることにより、N行M列を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の光路長差を生じさせる周期位相構造については、前記第1実施形態と同様とすることができる。
各基本構造は各々光路長差を生じさせるための嵩上げ部を有している。図5及び図6の例では、第1光学素子63a側に第1嵩上げ部62aが、第2光学素子63b側に第2嵩上げ部62bが各々形成されている。この場合、第1嵩上げ部62aは前述のX軸方向の基本周期位相差ΔPXに基づく高さとし、第2嵩上げ部62bは前述のY軸方向の基本周期位相差ΔPYに基づく高さにすることで、この組合せにより所定の光路長差を生じさせる周期位相構造を形成することができる。光路長差を生じさせる構造の設計方法は前記第1実施形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
<比較例2> 4×4配列(特許文献4)
特許文献4に示されている4×4配列を考える。この例ではx方向の周期位相構造とy方向の周期位相構造が生じさせるそれぞれの光路長差の和により規定される4×4配列を基本ブロックとし、光路長差を波長の1/2に設定するのが好適であるとしている。つまり、X軸方向とY軸方向の周期位相構造の1周期分の位相差をΔPX,ΔPYとして、ΔPX,ΔPYは以下のように設定される。
10 基本周期構造; 11〜44 基本ブロック内のn行m列における基本周期構造; 50 基本ブロック; 51 基材; 52 嵩上げ部; 53 光学素子; 60a〜c 基本ブロック; 61 基材; 62a〜b 嵩上げ部; 63a 第1光学素子; 63b 第2光学素子; 71、72 光路長差; 100 拡散板
Claims (7)
- 透過型または反射型の拡散板であって、
平板状の基材の平面方向に互いに直交するX軸とY軸をとり、
前記平板状の基材の一方の面に、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を有するか、または、
前記平板状の基材の一方の面にX軸方向の有効径がaの第1光学素子を有し、前記基材の他方の面にY軸方向の有効径がbの第2光学素子を有し、前記第1光学素子と前記第2光学素子の組合せにより、X軸方向の有効径がa、Y軸方向の有効径がbの光学素子を構成し、
複数の前記光学素子がX軸方向およびY軸方向に各々前記有効径に基づく間隔で配置されることにより、a×bの2次元の基本周期構造を構成し、
各基本周期構造は、各々光路差長を生じさせる構造を有し、
前記光路差長を生じさせる構造は、前記X軸方向にN個の前記光学素子を含み、前記Y軸方向にM個の前記光学素子を含むN行M列(NとMの少なくとも一方は3以上の整数)を基本ブロックとするNa×Mbの2次元の周期位相構造を有し、
前記基本ブロック内のn行m列における位相構造をPnmとし、X軸方向の基本周期位相差ΔPX、Y軸方向の基本周期位相差ΔPYを下記式(1)及び式(2)としたときに、前記PnmはPn1+P1mで表され、
- 前記式(3)で表される指向特性の平均に対する標準偏差の割合が0.1以下である、請求項1に記載の拡散板。
- 前記式(3)で表される指向特性の平均に対する標準偏差の割合が0である、請求項1に記載の拡散板。
- 前記λが、630nmである、請求項4に記載の拡散板。
- 前記λが、530nmである、請求項4に記載の拡散板。
- 前記λが、580nmである、請求項4に記載の拡散板。
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