JPWO2020121738A1 - 地盤注入材、その硬化物、地盤改良方法および地盤注入用粉体材料 - Google Patents

地盤注入材、その硬化物、地盤改良方法および地盤注入用粉体材料 Download PDF

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Abstract

カルシウムアルミネートおよびカルボン酸塩を含有する粉体材料Aと水との混合スラリーであるA液と、セメントを含有する粉体材料Bと水との混合スラリーであるB液と、を含む2液型の地盤注入材。ここで、A液とB液とを混合して、特定の手順により測定されるゲルタイムは1秒以上30秒以下である。

Description

本発明は、地盤注入材、その硬化物、地盤改良方法および地盤注入用粉体材料に関する。
地盤改良方法の一種として、硬化性の薬剤を地盤中に注入する薬液注入工法が知られている。また、この工法に用いるための様々な地盤注入材が知られている。
地盤注入材を用いた薬液注入工法は、ジェットグラウト工法のような高圧の噴流によって地盤を乱しながら改良する工法と異なり、極力地盤を乱さないで改良できること、設備がコンパクトであること等のメリットを有する。よって、多くの実績がある。
これまで、様々な地盤注入材が公知となっている。例えば、特定の2液(2液のうち一方はセメントを含む)を混合して混合物とし、その混合物を地盤注入材として地盤に注入する技術が知られている。
一つの例として、特許文献1には、急硬材スラリーと、セメントスラリーとの2液タイプの地盤注入剤が記載されている。ここで、急硬剤スラリーは、化学成分としてSiOとMgOを含有し、AlとMgOの含有モル比(Al/MgO)が17〜60、かつSiOとMgOの含有モル比(SiO/MgO)が2.0〜7.5であるカルシウムアルミネート、石膏、アルカリ金属の炭酸塩、アルミン酸ナトリウム、凝結遅延剤および水を含有する。また、セメントスラリーは、セメントおよび水を含有する。
別の例として、特許文献2には、水性スラリーAと水性スラリーBとを混合して地盤注入材とすることが記載されている。ここで、水性スラリーAは、カルシウムアルミネート100質量部、石膏類20〜300質量部、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩又は硫酸塩の群から選ばれる1種以上0.5〜15質量部、アルミン酸ナトリウム0.5〜15質量部および凝結遅延剤0.1〜10質量部を含有する。また、水性スラリーBは、水性スラリーA中のカルシウムアルミネート100質量部に対してセメント100〜2200質量部を含有する。
特開2017−154948号公報 特開2014−109012号公報
上記特許文献に記載されているような「2液タイプ」の地盤注入材は、通常、2液の混合前において各液は十分な流動性を有するが、2液の混合後においては速やかに硬化が進むことを意図して設計される。
しかし、本発明者らの知見によれば、従来、2液の混合後の速やかな硬化を優先して地盤注入材を設計した場合、そのトレードオフとして、2液のうちの少なくとも一方の液の可使時間が短くなりがちであった。例えば、従来の2液タイプの地盤注入材においては、2液のうちの少なくとも一方の液が、他方の液と混合する前に、比較的短時間でゲル化または硬化してしまいがちであった。
よって、本発明者らは、地盤注入直後から速やかに地盤改良効果が発現するとともに、地盤注入前においては充分な可使時間を確保できる、新たな2液タイプの地盤注入材を提供することを目的の1つとして、様々な検討を行った。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
すなわち、本発明によれば、
カルシウムアルミネートおよびカルボン酸塩を含有する粉体材料Aと水との混合スラリーであるA液と、セメントを含有する粉体材料Bと水との混合スラリーであるB液と、を含む2液型の地盤注入材であって、
前記A液と前記B液とを混合した際の、以下の手順(1)から(5)により測定されるゲルタイムが1秒以上30秒以下である地盤注入材、
が提供される。
[手順]
(1)A液とB液とを混合して混合物を得た後、得られた混合物の少なくとも一部を水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取する。採取する量は、紙コップの容量の70%以下の量とする。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いる。
(2)前記(1)の操作の後、前記紙コップの底面中心および上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で前記紙コップを保持し、混合物と空気の界面が流動して変化するか、あるいは前記界面が不動であるかを判別する。
(3)上記(2)の確認後、紙コップを再び水平面に載置する。
(4)上記(2)で界面が不動となる状態に至るまで上記(2)および(3)を繰り返す。
(5)上記(2)で界面が不動となった状態に至るまでの時間をゲルタイムとする。
また、本発明によれば、
前記地盤注入材における前記A液と前記B液とを混合して得られる硬化物、
が提供される。
また、本発明によれば、
前記硬化物により地盤を改良する地盤改良方法、
が提供される。
また、本発明によれば、
前記粉体材料Aおよび前記粉体材料Bからなる、地盤注入用粉体材料、
が提供される。
本発明によれば、地盤注入直後から速やかに地盤改良効果が発現するとともに、地盤注入前においては充分な可使時間を確保できる、新たな2液タイプの地盤注入材が提供される。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本明細書中、温度条件により変動しうる値については、特に断りの無い限り、20℃の条件下での値を採用するものとする。
<地盤注入材>
本実施形態の地盤注入材は、カルシウムアルミネートおよびカルボン酸塩を含有する粉体材料Aと水との混合スラリーであるA液と、セメントを含有する粉体材料Bと水との混合スラリーであるB液と、を含む2液型のものである。
A液はカルシウムアルミネートとカルボン酸塩を含んでいる。また、A液とB液とを混合した際のゲルタイムは1秒以上30秒以下である。このような2液型の地盤注入材を地盤に注入することで、地盤注入直後から速やかに地盤改良効果を得ることができ、一方ではB液と混合する前のA液の可使時間を向上させることができる。
たとえA液がカルシウムアルミネートとカルボン酸塩を含んでいたとしても、上記ゲルタイムが1秒未満であると、実際の地盤注入作業に支障を来してしまう。また、上記ゲルタイムが30秒超であると、地盤注入材として早期の地盤改良効果を得づらくなってしまう。
さらに、上記ゲルタイムが1秒以上30秒以下であったとしても、例えばA液がカルボン酸塩を含まない場合は、A液の可使時間が短くなりがちであり、実用上望ましくない。
以上、本実施形態の地盤注入材は、特定のA液とB液を含む2液系であり、かつ、A液とB液とを混合した際のゲルタイムが特定時間であるという構成により、優れた効果を奏するものである。
なお、本発明者らの知見として、特に、カルボン酸塩として、後述の、炭素数が比較的少ないカルボン酸の塩(金属塩など)をA液に含めることや、A液中のそのカルボン酸の塩の量を適切に調整することなどにより、A液とB液との混合後のゲルタイムを30秒以下に設計しやすい。そして、その結果としてA液の可使時間を長くしやすい。また、必須成分ではないが、B液にミョウバンを適量加えることによっても、A液とB液との混合後のゲルタイムを適切な数値に設計しやすい。
(ゲルタイム)
本実施形態の地盤注入材におけるゲルタイムとは、A液とB液とを混合して混合物とする際、混合開始時を起点(t=0)として、混合物が著しく増粘して流動が困難になるまでの時間を意味する。
具体的には、ゲルタイムは、以下手順に基づき求められる。
[手順]
(1)A液とB液とを混合して混合物を得た後、得られた混合物の少なくとも一部を水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取する。採取する量は、紙コップの容量の70%以下の量とする。紙コップは、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いる。
(2)上記(1)の操作の後、紙コップの底面中心および上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で紙コップを保持し、混合物と空気の界面が流動して変化するか、あるいはその界面が不動であるかを判別する。
(3)上記(2)の確認後、紙コップを再び水平面に載置する。
(4)上記(2)で界面が不動となる状態に至るまで上記(2)および(3)を繰り返す。
(5)上記(1)のA液とB液の混合開始時を起点として、上記(2)で界面が不動となった状態に至るまでの時間をゲルタイムとする。
なお、上記(1)において、A液とB液の混合比率は、通常、500mLずつの等体積とする。
また、ゲルタイムを一層正確に測定するため、例えば、(i)予備実験を行っておおよそのゲルタイムを把握しておき、その後に本試験を行う、(ii)1つのみの紙コップで測定を行うのではなく、上記(1)で複数の紙コップに混合物を採取し、1秒ごとに、混合物が入った新たな紙コップを傾ける、等の工夫をしてもよい。
ゲルタイムは、1秒以上30秒以下、好ましくは3秒以上20秒以下である。ゲルタイムが適度に短いことで、軟弱で変形しやすい地盤をより良好に改良することができる。また、ゲルタイムが適度に長いことで、A液とB液の混合物を地盤に注入する際の作業時間に余裕が生まれ、地盤改良の作業がしやすくなる。
本実施形態の地盤注入材は、A液とB液の混合後のゲル強度や初期強度が大きい傾向を有する。ここで、ゲル強度が大きいということは、A液とB液を混合して得た混合物が、まだ十分硬化せずに流動性が残っている程度の段階においても、外力に対する変形が少なく、外力に十分に対抗できることを意味する。
特に、ゲル強度や初期強度が大きい地盤注入材は、例えば、水分を多く含み軟弱な地盤の改良に好ましく用いることができる。
(粉体材料A、A液)
前述のように、粉体材料Aは、カルシウムアルミネートおよびカルボン酸塩を含む。粉体材料Aは、好ましくは、さらに、石膏、凝結調整剤などを含む。また、A液は、この粉体材料Aを、水と混合してスラリー状としたものである。
以下、粉体材料AまたはA液を構成する成分、A液の性状などについて説明する。
・カルボン酸塩
カルボン酸塩は、カルボン酸のカルボキシ基のプロトンが、陽イオンで置換された化合物のことをいう。換言すると、カルボン酸塩は、例えば、出発物質としてカルボン酸を準備し、これを適当な塩基性物質などと反応(中和反応)させて得ることができる。
本実施形態において、カルボン酸塩における「カルボン酸」(換言すると、上記の「出発物質」としてのカルボン酸)としては、炭素数が比較的少ないものが好ましい。本発明者らの知見として、カルボン酸塩におけるカルボン酸の炭素数が比較的少ない方が、A液の可使時間を長くしやすく、かつ、A液とB液の混合後の硬化進行を一層早めやすい。
具体的には、カルボン酸塩は、炭素数10以下のカルボン酸の塩、すなわち、炭素数10以下のカルボン酸のカルボキシ基のプロトンが、陽イオンで置換された化合物であることが好ましい。ここでの炭素数については、より好ましくは1以上10以下、さらに好ましくは1以上8以下、特に好ましくは1以上5以下、とりわけ好ましくは1以上3以下、最も好ましくは1または2である。
カルボン酸塩における「カルボン酸」は、モノカルボン酸であってもよいし、ポリカルボン酸(例えばジカルボン酸やトリカルボン酸)であってもよい。コスト等の観点からはモノカルボン酸であることが好ましい。
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシ基を有するカルボン酸)などを挙げることができる。
これらのうち、入手容易性、コスト、効果等の兼ね合いから、カルボン酸はギ酸または酢酸が好ましい。すなわち、カルボン酸「塩」は、酢酸塩および/またはギ酸塩を含むことが好ましい。
なお、より顕著な効果を得る点では、カルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシ基を有するカルボン酸)ではないことが好ましい。
カルボン酸塩は、カルボン酸金属塩を含むことが好ましい。具体的には、カルボン酸塩は、カルボン酸リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩などでありうる。
カルボン酸塩は、カルボン酸カルシウム塩を含むことがより好ましい。
粉体材料A中のカルボン酸塩の量は、所望するA液の可使時間や、B液との混合後の硬化の早さなどのバランスを考慮して適宜調整すればよい。
粉体材料A中のカルボン酸塩の量は、例えば0.01質量%以上3質量%以下、好ましくは0.03質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
粉体材料A中、カルシウムアルミネートに対するカルボン酸塩の量は、カルシウムアルミネート100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上50質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上25質量部以下、さらに好ましくは0.15質量部以上10質量部以下である。
カルボン酸塩の量を適切に調整することで、B液との混合前のA液の可使時間の長さと、B液との混合後の硬化の早さとのバランスを一層良好とすることができる。
粉体材料Aは、カルボン酸塩を1種のみ含んでも、2種以上含んでもよい。後者の場合、全てのカルボン酸塩の合計量が上記数値範囲内であることが好ましい。
・カルシウムアルミネート
カルシウムアルミネートとは、水硬性材料の技術分野において、酸化アルミニウム(Al)と酸化カルシウム(CaO)を主成分として含み、水和活性を有する物質を総称するものである。ここで、「主成分」とは、カルシウムアルミネート全体中の酸化アルミニウムと酸化カルシウムの合計含量が、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上であることを意味する。
カルシウムアルミネートは、典型的には、酸化アルミニウム(Al)と酸化カルシウム(CaO)、場合によってはさらにシリカ(SiO)等を混合して混合物とし、その混合物を焼成かつ/または溶融し、そして冷却することで得ることができる。
焼成/溶融には、ロータリーキルンや電気炉等を用いることができる。
CaO原料としては、例えば、石灰石や貝殻等の炭酸カルシウム、消石灰等の水酸化カルシウム、及び生石灰等の酸化カルシウムを挙げることができる。
Al原料としては、例えば、ボーキサイト、アルミ残灰と呼ばれる産業副産物、アルミ粉等を挙げることができる。
カルシウムアルミネートとしては、結晶質、非晶質のいずれも使用可能である。A液をB液と混合した後の硬化性をより高める観点からは、非晶質のもの、例えば、溶融後に急冷して製造した非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。
カルシウムアルミネート中のCaO/Alモル比は、好ましくは1.0以上3.0以下、より好ましくは1.7以上2.5以下である。このモル比を適切に調整することで、A液をB液と混合した後の硬化を一層早めることができ、また、早期に地盤改良効果を得ることができる。
カルシウムアルミネート中の不純物(CaOとAl以外の成分)の含有率は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。不純物が15質量%以下であることで、A液をB液と混合した後の硬化を一層早めることができ、また、より早期に地盤改良効果を得やすい。
ここで、不純物としては、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化硫黄などが代表的に挙げられる。その他、有機物、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、これらがCaOやAlの一部に置換又は固溶したものなども不純物として挙げられる。もちろん、不純物はこれらのみに限定されない。
カルシウムアルミネートのガラス化率は、反応活性の面で70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。この値を適切とすることで、より早期に地盤改良効果を得やすい。
ガラス化率は、測定サンプルについて、粉末X線回折法により結晶鉱物のメインピーク面積Sを予め測定し、その後1000℃で2時間加熱後、(1から10℃)/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法による加熱後の結晶鉱物のメインピーク面積Sを求め、これらのS及びSの値を用い、次の式を用いてガラス化率χを算出する。
ガラス化率χ(%)=100×(1−S/S
カルシウムアルミネートの粒度は、初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積値3000cm/g以上が好ましく、5000cm/g以上がより好ましい。上限は、例えば9000cm/g以下である。この値を適度に大きくすることで、A液をB液と混合した後の硬化を一層早めることができ、そしてより早期に地盤改良効果を得やすい。また、この値を適度に小さくすることで、A液の可使時間を一層長くしうる。
カルシウムアルミネートの具体例として、アルミナセメントを挙げることができる。すなわち、A液を製造するためのカルシウムアルミネート原料として、市販のアルミナセメントなどを利用してもよい。
アルミナセメントの具体例としては、アルミナセメント1号、アルミナセメント2号などを挙げることができる。これらは、デンカ株式会社やAGC株式会社から購入可能である
粉体材料Aは、1種のみのカルシウムアルミネートを含んでもよいし、性状/物性等が異なる2種以上のカルシウムアルミネートを含んでもよい。
粉体材料A中のカルシウムアルミネートの量は、例えば10質量%以上80質量%以下、好ましくは20質量%以上75質量%以下、より好ましくは25質量%以上70質量%以下である。カルシウムアルミネートの量を適切に調整することで、B液との混合前のA液の可使時間の長さと、B液との混合後の硬化の早さとのバランスなどを一層良好としうる。また、早期の地盤改良効果を一層得やすい。
・石膏
粉体材料Aは、好ましくは、さらに石膏を含む。石膏を含むことにより、B液と混合する前のA液の可使時間をより長く設計しやすい。
使用可能な石膏は特に限定されない。また、種類の異なる石膏を併用することも排除されない。
石膏の例としては、半水石膏や無水石膏を挙げることができる。強度発現性の面では無水石膏が好ましい。無水石膏としてより具体的には、弗酸副生無水石膏や天然無水石膏を挙げることができる。
石膏を水に浸漬させたときのpHについては、pH8以下の弱アルカリから酸性のものが好ましい。このpHが適度に低いことで、石膏成分の溶解度を低くすることができ、初期の強度発現性をより高めることができる。なお、ここでのpHは、石膏/イオン交換水=1g/100gの20℃における希釈スラリーのpHをイオン交換電極等により測定したものである。pHは、3以上8以下がより好ましく、5以上7以下がさらに好ましい。
石膏の粒度は、A液−B液混合後の初期強度発現性と、A液の一層長い可使時間の観点から、ブレーン比表面積値で3000cm/g以上が好ましく、5000cm/g以上がより好ましい。また、一層長い可使時間の観点から、この値は30000cm/g以下が好ましく、20000cm/g以下がより好ましい。
粉体材料A中の石膏の量は、10質量%以上80質量%以下、好ましくは20質量%以上75質量%以下、より好ましくは25質量%以上70質量%以下である。
別観点として、粉体材料A中、カルシウムアルミネートに対する石膏の量は、カルシウムアルミネート100質量部に対して、好ましくは50質量部以上250質量部以下、より好ましくは70質量部以上200質量部以下である。
石膏の量を適度に多くすることで、A液のより長い可使時間を得ることができる。また、石膏の量を適度に少なくすることで、A液とB液とを混合して得られる硬化物の初期強度を高めうる。すなわち、より早期に地盤改良効果を得やすい。
・凝結調整剤
粉体材料Aおよび/またはA液は、A液の可使時間の調整や、B液と混合したときの硬化性の調整などを目的として、凝結調整剤を含んでもよい。
なお、特に、凝結調整剤は、粉体材料Aの中に予め含めておいてもよいし、粉体材料Aとは別途準備しておいてA液を調製する際に添加してもよい。
凝結調整剤としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどのアルミン酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化物、硫酸アルミニウム、硫酸鉄(III)、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸塩、ホウ酸リチウムやホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩等の無機塩類、糖類等が挙げられる。
凝結調整剤としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、デンカ株式会社のデンカセッターD−100、D−300などを挙げることができる。
粉体材料Aおよび/またはA液が凝結調整剤を含む場合、その量は、A液の所望の可使時間や、B液と混合後の硬化性などに基づき適宜調整すればよい。
具体的には、凝結調整剤の量は、A液の水以外の全成分中、例えば0.01質量%以上2質量%以下、好ましくは0.03質量%以上1.5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下となるように用いることが好ましい。すなわち、粉体材料A中に予め凝結調整剤を含めておく場合は、粉体材料A全体に対する凝結調整剤の量は上記程度とすることが好ましい。また、粉体材料Aとは別に凝結調整剤を準備する場合には、粉体材料Aと凝結調整剤を合わせた全体中の凝結調整剤の量が上記程度となるようにすることが好ましい。
・水
前述のように、A液は、粉体材料Aを水と混合したスラリー状のものである。なお、A液中、カルボン酸塩の少なくとも一部は水に溶解していると考えられる。
粉体材料Aを水と混合してA液とする際の水の量は、所望の流動性、ポンプでの圧送性、地盤への注入性などにより適宜調整すればよい。水の量は、A液全体中、例えば50質量%以上95質量%以下、好ましくは60質量%以上90質量%以下となるような量で調整することができる。
・A液の可使時間/固形分について
前述のように、A液をB液と混合する前において、A液の可使時間は比較的長い(地盤注入前においては充分な可使時間を確保できる)。A液は水硬性のカルシウムアルミネートを含むものの、それとカルボン酸塩とを併用することにより、A液自体は固形分が生成しにくい。
ここで、A液の可使時間が長いこと、具体的には「固形分が生成しにくい」ことは、粉体材料Aと水とを混合してA液を得るにあたり、粉体材料Aと水との混合開始時点を0分として一定時間放置したA液を、目開き4.0mmの篩に通して、篩を通過できない固形分が存在するか否かにより評価することができる。
具体的には、粉体材料Aと水とを混合してA液を得るにあたり、混合後、好ましくは30分、より好ましくは45分、さらに好ましくは60分経過した時点における、目開き4.0mmの篩による篩残分が、粉体材料Aの全体量を基準として0.1質量%以下である。
なお、上記の篩による評価にあたり、水を含むA液全体としての可使時間を評価する場合、粉体材料Aと水との混合比は任意とすることができる。すなわち、実際の地盤注入の際の混合比で、粉体材料と水とを混合してA液を調製し、そのA液の可使時間を上記のようにして評価することができる。
一方、例えば、粉体材料A自体の性質として、水と混合したときの可使時間の長さを評価したい場合、より具体的には、組成等が異なる粉体材料A1とA2のどちらがより長い可視時間を有するかを、一律の基準の下に評価したい場合は、水の量が、A液全体中、例えば50質量%以上95質量%以下、好ましくは60質量%以上90質量%以下となるように混合して得たA液の可使時間を、上記のようにして評価することができる。あるいは、粉体材料が市販品であり、水との推奨混合比が示されている場合には、水の量はそれに従ってもよい。
・A液の製法
A液の製造方法は特に限定されない。粉体材料Aを水に投入し、混合して調製すればよい。
なお、製造安定性や、意図せぬ凝固やゲル化の防止などの点で、A液が凝結調整剤を含む場合は、まず、凝結調整剤を水に投入し、その後、他の成分を水に投入するという順序でA液を得ることが好ましい。
混合には、本技術分野で公知の各種ミキサー等を用いることができる。
(粉体材料B、B液)
粉体材料Bは、前述のように、セメントを含む。粉体材料Bは、好ましくは、さらに、ミョウバンなどを含みうる。また、B液は、この粉体材料Bを、水と混合してスラリー状としたものである。
B液は、通常、使用直前までA液と接触または混合していない状態で存在する。
以下、粉体材料BまたはB液を構成する成分などについて説明する。
・セメント
使用可能なセメントは、特に限定されない。具体的には、普通、早強、超早強、低熱若しくは中庸熱等の各種のポルトランドセメント、これらのセメントに高炉スラグやフライアッシュやシリカフュームなどを混合した各種混合セメント、高炉セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)、市販されている微粒子セメントなどが挙げられる(なお、カルシウムアルミネートを意味するアルミナセメントは、好ましくは、ここでのセメントからは除かれる)。
各種セメントや各種混合セメントは、微粉末化して使用してもよい。また、通常セメントに使用されている成分(例えば石膏等)の量を増減して調製されたものも使用可能である。
セメントは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中では、高炉セメントが、六価クロム含有量が低いため好ましい。
・ミョウバン
粉体材料BまたはB液は、好ましくはミョウバンを含む。本発明者らの知見として、粉体材料BまたはB液がミョウバンを含むことにより、A液とB液の混合後の硬化をより早めることができる。そして、より早く地盤改良効果を得ることができる。
使用可能なミョウバンは特に限定されない。例えば、カリウムミョウバン、クロムミョウバン、鉄ミョウバン等の各種ミョウバンを挙げることができる。
また、ミョウバン石を挙げることもできる。ここで、ミョウバン石とは、[(K,Na)(Al,Fe)(SO(OH)]の成分範囲を示す天然物である。さらに、ミョウバン石を粉砕した生ミョウバン石粉末や、ミョウバン石を800℃以下の温度で仮焼して粉砕した仮焼ミョウバン石粉末なども使用可能である。
ミョウバンとしては、一般に市販されているカリウムミョウバンや仮焼ミョウバン石粉末の使用が好ましい。また、ミョウバンには無水塩や結晶水を含むものがあるが、いずれもそのまま使用可能である。
粉体材料BまたはB液中のミョウバンの量は、セメント100質量部に対し、例えば0.3質量部以上10質量部以下、好ましくは0.5質量部以上5質量部以下である。適度に多くの量のミョウバンを用いることで、A液とB液の混合後の硬化をより早めることができる。また、適度に少ない量のミョウバンを用いることで、B液の意図せぬ経時変化(例えば、A液と混合する前の流動性の低下や硬化)などを抑えることができる。
・B液の製法/水、水分量
B液は、粉体材料Bを水と混合する(粉体材料Bを水で練る)ことで得ることができる。ミョウバンを用いる際は、予め粉体材料B中にミョウバンを含めておいてもよいし、B液の調製の際に、粉体材料Bとは別材料としてミョウバンを加えてもよい。
混合には、本技術分野で公知の各種ミキサー等を用いることができる。
水の量は、粉体材料B中のセメントの種類、セメントの硬化性、所望の硬度、ポンプでの圧送性、地盤への注入性などに応じて適宜調整すればよい。一例として、水の量は、粉体材料B100質量部に対して、例えば100質量部から500質量部程度、好ましくは100質量部から300質量部程度である。
なお、発明の効果を過度に貶めない範囲において、粉体材料BまたはB液は、セメント、水およびミョウバン以外の他の成分を含んでもよい。「他の成分」としては、例えば、炭酸塩、重金属炭酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルカリ、硫酸塩、亜硫酸塩などを挙げることができる。
ただし、粉体材料BまたはB液は、好ましくは、カルボン酸塩やカルシウムアルミネートを含まない。
<硬化物、地盤改良方法>
上述のA液と、上述のB液とを混合することで、硬化物を得ることができる。また、その硬化物により地盤を改良することができる。
A液とB液を混合する方法や、A液とB液により地盤を改良する具体的な手順は特に限定されず、地盤改良の技術分野で知られている各種方法を応用することができる。
例えば、(i)二重管を用いて、先端部でA液とB液を合流混合させて地盤に注入するいわゆる2ショット方式、(ii)A液とB液を、注入ポンプから注入管に至る途中で混合させて注入するいわゆる1.5ショット方式、(iii)ミキサー等の調合槽でA液とB液を混合する1ショット方式、などを採用することができる。これら方式の実施の際には、公知の注入ポンプ等を用いることができる。
換言すると、(1)A液とB液を地盤注入の前に混合して混合物とし、その混合物を地盤に注入してもよいし、または、(2)A液とB液を別々に圧送し、地盤に注入される瞬間または地盤注入後に地盤中で両者が混合されるようにしてもよい。
A液とB液の混合比率は、所望の硬化の早さ、圧送性などにより適宜調整すればよい。A液:B液の混合比率は、体積比で、典型的には20:80から80:20、好ましくは30:70から70:30程度である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1−1〜1−4および比較例1>
(粉体材料A、A液の調製)
まず、後掲の表1の「粉体材料A」の欄に示された各成分を、プロシェアミキサ(WB型、太平洋機工株式会社製)を用いて混合し、粉体材料Aを調製した。
その後、水中に、凝結調整剤(デンカ株式会社製、デンカセッターD−100)、および、上記の粉体材料Aをこの順に投入し、十分に練り合わせ、A液を得た。
A液中の各成分の量は表1に記載のとおりである。
(粉体材料B、B液の調製)
後掲の表1の「B液」の欄に示された各成分を、表1に示された量混合し、B液を得た。
(A液−B液混合後のゲルタイムの測定)
以下手順で測定した。
(1)A液とB液、体積で500mLずつの等量を混合して混合物を得た。その後、得られた混合物のうち60mLを、水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取した。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いた。
(2)上記(1)の操作の後、紙コップの底面中心および上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で紙コップを保持し、混合物と空気の界面が流動して変化するか、あるいはその界面が不動であるかを判別した。
(3)上記(2)の確認後、紙コップを再び水平面に載置した。
(4)上記(2)で界面が不動となる状態に至るまで上記(2)および(3)を繰り返した。
(5)上記(1)のA液とB液の混合開始時を起点として、上記(2)で界面が不動となった状態に至るまでの時間をゲルタイムとした。
(A液の可使時間の評価)
A液を、水に粉体材料Aを投入したときを起点(0分)として、調製後30分放置した。その後、A液を、目開き4.0mmの篩に通し、篩を通過できない固形分(粗大粒子)の量を調べた。
粉体材料Aの全体量を基準として、篩を通過できない固形分の量が0.1質量%以下であった場合を「篩残分なし」、そうでなかった場合を「篩残分あり」とした。
(ゲル強度)
A液とB液の混合直後のセメント組成物を、縦4cm×横4cm×高さ16cmの型枠に流し込んだ。そして、未だ硬化が十分進行していない段階での強度を指触で測定した。そして、以下4段階で評価した。
◎(優):型枠を脱型しても形は崩れず、また、セメント組成物を指で押しても凹まなかった。
○(良):型枠を脱型しても形は崩れなかったが、セメント組成物を指で押すとやや凹む状態であった。
△(可):型枠を脱型しても形は崩れなかったが、セメント組成物を指で押すと凹む状態であった。
×(不可):型枠を脱型すると形が崩れてしまう状態であった。
(初期強度)
JIS R 5201に準じて強度を測定した。具体的には、A液とB液の組成物を用いて、縦4cm×横4cm×高さ16cmの試験体を作製し、A液とB液の混合から30分後、1時間後および1日後の圧縮強度を測定した。
A液および粉体材料A、ならびに、B液および粉体材料Bの組成、上記の測定/評価結果などを、表1および表2にまとめて示す。
Figure 2020121738
Figure 2020121738
上表において、カルシウムアルミネートとしては、炭酸カルシウムと酸化アルミニウムのCaO/Alモル比を2.2とし、シリカを加えて、1650℃で溶融し急冷してガラス化率97%とし、粉砕してブレーン比表面積値を5000cm/gにしたものを用いた。
また、石膏としては、天然無水石膏、ブレーン比表面積値5000cm/gのものを用いた。
また、ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント(デンカ株式会社製)を用いた。
表2に示されるとおり、A液の調製30分後に固形分の生成は認められなかった。すなわち、A液の可使時間は長かった。ちなみに、調製から30分以降も固形分(篩を通過できない成分)の生成有無を観察し続けたところ、130分程度になってはじめて、一定量の固形分の生成が認められた。
すなわち、本実施形態の地盤注入材のうち、特にA液は、B液との混合前の可使時間が長いことが示された。
また、表2に示されるとおり、特定のA液とB液の2液を含み、かつ、A液−B液混合後のゲルタイムが1秒以上30秒以下である地盤注入材は、ゲル強度が良好であり、また、初期強度(例えば1day強度)が十分大きかった。つまり、地盤注入材として好ましい性能を奏することが確認された。
<実施例2−1〜2−10、比較例2>
追加の実施例により、本実施形態の地盤注入材の有用性をさらに示す。
(粉体材料A、A液の調製)
まず、後掲の表3の「粉体材料A」の欄に示された各成分を、プロシェアミキサ(WB型、太平洋機工株式会社製)を用いて混合して混合物を得た。
その後、水中に、凝結調整剤(デンカ株式会社製、デンカセッターD−100)、および、上記の粉体材料Aをこの順に投入し、十分に練り合わせ、A液を得た。
A液中の各成分の量は表3に記載のとおりである。
(粉体材料B、B液の調製)
後掲の表3の「B液」の欄に示された各成分を、表2に示された量混合し、B液を得た。
(A液−B液混合後のゲルタイムの測定)および(A液の可使時間の評価)
実施例1−1等と同様にして測定した。
以上について、まとめて表3に示す。
なお、表3において、カルシウムアルミネート、石膏およびポルトランドセメントは、表1のものと同じである。
表3に示されるように、実施例2−1〜2−10において、A液の可使時間は良好であった。
Figure 2020121738
実施例2−1〜2−10の地盤注入材についても、ゲル強度や初期強度を評価した。実施例1−1〜1−4と同程度の良好な結果であった。
この出願は、2018年12月10日に出願された日本出願特願2018−231152号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (14)

  1. カルシウムアルミネートおよびカルボン酸塩を含有する粉体材料Aと水との混合スラリーであるA液と、セメントを含有する粉体材料Bと水との混合スラリーであるB液と、を含む2液型の地盤注入材であって、
    前記A液と前記B液とを混合した際の、以下の手順(1)から(5)により測定されるゲルタイムが1秒以上30秒以下である地盤注入材。
    [手順]
    (1)A液とB液とを混合して混合物を得た後、得られた混合物の少なくとも一部を水平面に載置した円錐台形状の紙コップの中に採取する。採取する量は、紙コップの容量の70%以下の量とする。紙コップとしては、底面内径5.3cm、上端面内径7.5cm、高さ8.8cmのものを用いる。
    (2)前記(1)の操作の後、前記紙コップの底面中心および上端面中心を結ぶ線が鉛直面に対して60°傾斜した状態で前記紙コップを保持し、混合物と空気の界面が流動して変化するか、あるいは前記界面が不動であるかを判別する。
    (3)上記(2)の確認後、前記紙コップを再び水平面に載置する。
    (4)上記(2)で界面が不動となる状態に至るまで上記(2)および(3)を繰り返す。
    (5)上記(1)のA液とB液の混合開始時を起点として、上記(2)で界面が不動となった状態に至るまでの時間をゲルタイムとする。
  2. 請求項1に記載の地盤注入材であって、
    前記粉体材料Aと水とを混合して前記A液を得るにあたり、前記粉体材料Aと水との混合後30分経過した時点における目開き4.0mmの篩による篩残分が、前記粉体材料Aの全体量を基準として0.1質量%以下である地盤注入材。
  3. 請求項1または2に記載の地盤注入材であって、
    前記カルシウムアルミネート中のCaO/Alモル比が1.0以上3.0以下である地盤注入材。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記粉体材料Aが、さらに石膏を含む地盤注入材。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記A液が、さらに凝結調整剤を含む地盤注入材。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記粉体材料Bが、さらにミョウバンを含む地盤注入材。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記カルボン酸塩が、カルボン酸金属塩を含む地盤注入材。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記カルボン酸塩が、カルボン酸カルシウム塩を含む地盤注入材。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記カルボン酸塩が、炭素数1以上5以下のカルボン酸の塩を含む地盤注入材。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記カルボン酸塩が、酢酸塩およびギ酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む地盤注入材。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の地盤注入材であって、
    前記A液中の、前記カルシウムアルミネート100質量部に対する前記カルボン酸塩の量が0.1質量部以上50質量部以下である地盤注入材。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の地盤注入材における前記A液と前記B液とを混合して得られる硬化物。
  13. 請求項12に記載の硬化物により地盤を改良する地盤改良方法。
  14. 請求項1から13のいずれか1項における粉体材料Aおよび粉体材料Bからなる、地盤注入用粉体材料。
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