JPWO2020095891A1 - ランフラットタイヤ - Google Patents
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Abstract
一対のビードコアと、一対のビードコアに跨り、端部がビードコアに係止されたカーカスと、カーカスのタイヤ内面側に設けられたインナーライナーであって、インナーライナーに含まれるゴムの総量に対しジエン系ゴムの含有率が20質量%以上であるインナーライナーと、タイヤサイド部のカーカスとインナーライナーとの間にインナーライナーと直接接して設けられ、カーカスの内面に沿ってタイヤ径方向に延びるサイド補強ゴム層と、カーカスのタイヤ径方向外側に設けられ、コードとコードを被覆し樹脂を含むコード被覆層とを有するベルト層と、ベルト層のタイヤ径方向外側に設けられたトレッドと、を備えるランフラットタイヤ
Description
本開示は、ランフラットタイヤに関する。
タイヤサイド部をサイド補強ゴムで補強し、ランフラット走行時(空気圧が低下した異常走行時)の耐久性を確保したサイド補強型のランフラットタイヤが知られている。
例えば、特許文献1には、非ジエン系ゴムを含むインナーライナーとジエン系ゴムを含むサイド補強ゴム層とが、同種の加硫促進剤を含有するランフラットタイヤが提案されている。
例えば、特許文献1には、非ジエン系ゴムを含むインナーライナーとジエン系ゴムを含むサイド補強ゴム層とが、同種の加硫促進剤を含有するランフラットタイヤが提案されている。
一方、タイヤの耐久性(例えば耐応力、耐内圧及び剛性)を高める試みのひとつとして、タイヤ本体の外周に、金属部材である補強コードを螺旋状に巻回した補強コード部材を設けることが行なわれている。そして、近年、補強コード部材として、補強コードの周囲を樹脂により被覆した樹脂被覆コードを巻回したものも用いられている。
例えば、特許文献2には、少なくとも熱可塑性樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する補強コード部材を有し、前記補強コード層が樹脂材料を含んで構成されるタイヤが提案されている。
例えば、特許文献2には、少なくとも熱可塑性樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する補強コード部材を有し、前記補強コード層が樹脂材料を含んで構成されるタイヤが提案されている。
特許文献1:特許5629786号
特許文献2:特開2012−046025号公報
特許文献2:特開2012−046025号公報
特許文献2には、前記の通り樹脂材料を含んだ補強コード部材を有するタイヤが記載されている。しかし、サイド補強ゴム層及びインナーライナーについての記載はなく、またこの両者の接着性に着目した記載、及び空気透過による内圧保持性に着目した記載はない。
ここで、空気入りタイヤの空気透過を抑制して内圧を保持する目的で設けられるインナーライナーと、ランフラット走行時に荷重を支えるタイヤサイド部を補強するために設けられるサイド補強ゴム層とは、それぞれの目的に応じた組成のゴム材料が用いられる。
そのため、インナーライナーとサイド補強ゴム層とが直接接触して設けられたランフラットタイヤでは、両者の組成が互いに異なることにより、界面の接着性が低く、ランフラット走行時に剥離が生じることがある。そして、界面の剥離が生じると、その箇所がランフラット走行性(つまりランフラット走行時の耐久性)に影響を及ぼす場合がある。
これに対し、特許文献1には、サイド補強ゴム層とインナーライナーとに同種の加硫促進剤を含有することで、両者の接着性を高めたランフラットタイヤが記載されている。しかし、前記の通り、インナーライナーとサイド補強ゴム層とにはそれぞれの目的に応じた組成のゴム材料が用いられるため、この観点から各層での加硫促進剤の選択自由度は高いことが好ましい。
一方、前記界面の接着性を高めるために、インナーライナーの組成とサイド補強ゴム層の組成とを近づけると、それぞれの目的が達成されにくくなる。したがって、タイヤの内圧保持性とランフラット走行性とを両立させることは難しい。
ここで、空気入りタイヤの空気透過を抑制して内圧を保持する目的で設けられるインナーライナーと、ランフラット走行時に荷重を支えるタイヤサイド部を補強するために設けられるサイド補強ゴム層とは、それぞれの目的に応じた組成のゴム材料が用いられる。
そのため、インナーライナーとサイド補強ゴム層とが直接接触して設けられたランフラットタイヤでは、両者の組成が互いに異なることにより、界面の接着性が低く、ランフラット走行時に剥離が生じることがある。そして、界面の剥離が生じると、その箇所がランフラット走行性(つまりランフラット走行時の耐久性)に影響を及ぼす場合がある。
これに対し、特許文献1には、サイド補強ゴム層とインナーライナーとに同種の加硫促進剤を含有することで、両者の接着性を高めたランフラットタイヤが記載されている。しかし、前記の通り、インナーライナーとサイド補強ゴム層とにはそれぞれの目的に応じた組成のゴム材料が用いられるため、この観点から各層での加硫促進剤の選択自由度は高いことが好ましい。
一方、前記界面の接着性を高めるために、インナーライナーの組成とサイド補強ゴム層の組成とを近づけると、それぞれの目的が達成されにくくなる。したがって、タイヤの内圧保持性とランフラット走行性とを両立させることは難しい。
本開示は上記事実を考慮して、内圧保持性とランフラット走行性とを両立させたランフラットタイヤを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的な手段は、以下の実施形態が含まれる。
<1> 一対のビードコアと、
前記一対のビードコアに跨り、端部が前記ビードコアに係止されたカーカスと、
前記カーカスのタイヤ内面側に設けられたインナーライナーであって、前記インナーライナーに含まれるゴムの総量に対しジエン系ゴムの含有率が20質量%以上であるインナーライナーと、
タイヤサイド部の前記カーカスと前記インナーライナーとの間に前記インナーライナーと直接接して設けられ、前記カーカスの内面に沿ってタイヤ径方向に延びるサイド補強ゴム層と、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に設けられ、コードと前記コードを被覆し樹脂を含むコード被覆層とを有するベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側に設けられたトレッドと、
を備えるランフラットタイヤ。
<1> 一対のビードコアと、
前記一対のビードコアに跨り、端部が前記ビードコアに係止されたカーカスと、
前記カーカスのタイヤ内面側に設けられたインナーライナーであって、前記インナーライナーに含まれるゴムの総量に対しジエン系ゴムの含有率が20質量%以上であるインナーライナーと、
タイヤサイド部の前記カーカスと前記インナーライナーとの間に前記インナーライナーと直接接して設けられ、前記カーカスの内面に沿ってタイヤ径方向に延びるサイド補強ゴム層と、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に設けられ、コードと前記コードを被覆し樹脂を含むコード被覆層とを有するベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側に設けられたトレッドと、
を備えるランフラットタイヤ。
本開示によれば、内圧保持性とランフラット走行性とを両立させたランフラットタイヤを提供することができる。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
なお、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通じて同じ符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
なお、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通じて同じ符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
本明細書において「樹脂」とは、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。また、以下の樹脂の説明において「同種」とは、エステル系同士、スチレン系同士等、樹脂の主鎖を構成する骨格と共通する骨格を備えたものを意味する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断りがない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「主成分」とは、特に断りがない限り、混合物中における質量基準の含有量が最も多い成分を意味する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断りがない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「主成分」とは、特に断りがない限り、混合物中における質量基準の含有量が最も多い成分を意味する。
また、本明細書において「熱可塑性樹脂」とは、温度上昇とともに材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になるが、ゴム状弾性を有しない高分子化合物を意味する。
本明細書において「熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有する共重合体を意味する。熱可塑性エラストマーとして具体的には、例えば、結晶性で融点の高いハードセグメント又は高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーと、を有する共重合体が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、温度上昇とともに材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有するものが挙げられる。
なお、上記ハードセグメントは、ソフトセグメントよりも相対的に硬い成分を指す。ハードセグメントは塑性変形を防止する架橋ゴムの架橋点の役目を果たす分子拘束成分であることが好ましい。ハードセグメントとしては、例えば、主骨格に芳香族基若しくは脂環式基等の剛直な基を有する構造、又は分子間水素結合若しくはπ−π相互作用による分子間パッキングを可能にする構造等のセグメントが挙げられる。また、ソフトセグメントは、ハードセグメントよりも相対的に柔らかい成分を指す。ソフトセグメントはゴム弾性を示す柔軟性成分であることが好ましい。ソフトセグメントとしては、例えば、主鎖に長鎖の基(例えば長鎖のアルキレン基等)を有し、分子回転の自由度が高く、伸縮性を有する構造のセグメントが挙げられる。
本明細書において「熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有する共重合体を意味する。熱可塑性エラストマーとして具体的には、例えば、結晶性で融点の高いハードセグメント又は高い凝集力のハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーと、を有する共重合体が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、温度上昇とともに材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有するものが挙げられる。
なお、上記ハードセグメントは、ソフトセグメントよりも相対的に硬い成分を指す。ハードセグメントは塑性変形を防止する架橋ゴムの架橋点の役目を果たす分子拘束成分であることが好ましい。ハードセグメントとしては、例えば、主骨格に芳香族基若しくは脂環式基等の剛直な基を有する構造、又は分子間水素結合若しくはπ−π相互作用による分子間パッキングを可能にする構造等のセグメントが挙げられる。また、ソフトセグメントは、ハードセグメントよりも相対的に柔らかい成分を指す。ソフトセグメントはゴム弾性を示す柔軟性成分であることが好ましい。ソフトセグメントとしては、例えば、主鎖に長鎖の基(例えば長鎖のアルキレン基等)を有し、分子回転の自由度が高く、伸縮性を有する構造のセグメントが挙げられる。
[ランフラットタイヤ]
図1に、本開示の一実施形態に係るランフラットタイヤの一例(以下、「タイヤ10」と称する。)における、タイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿って切断した切断面(タイヤ周方向に沿った方向から見た断面)の片側を示す。
なお、図中矢印Wはタイヤ10の幅方向(タイヤ幅方向)を示し、矢印Rはタイヤ10の径方向(タイヤ径方向)を示す。ここでいうタイヤ幅方向とは、タイヤ10の回転軸と平行な方向を指している。また、タイヤ径方向とは、タイヤ10の回転軸と直交する方向をいう。また、符号CLはタイヤ10の赤道面(タイヤ赤道面)を示している。
図1に、本開示の一実施形態に係るランフラットタイヤの一例(以下、「タイヤ10」と称する。)における、タイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿って切断した切断面(タイヤ周方向に沿った方向から見た断面)の片側を示す。
なお、図中矢印Wはタイヤ10の幅方向(タイヤ幅方向)を示し、矢印Rはタイヤ10の径方向(タイヤ径方向)を示す。ここでいうタイヤ幅方向とは、タイヤ10の回転軸と平行な方向を指している。また、タイヤ径方向とは、タイヤ10の回転軸と直交する方向をいう。また、符号CLはタイヤ10の赤道面(タイヤ赤道面)を示している。
また、本実施形態では、タイヤ径方向に沿ってタイヤ10の回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」、タイヤ径方向に沿ってタイヤ10の回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」と記載する。一方、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と記載する。
図1は、標準リムであるリム30に組み付けて標準空気圧を充填したときのタイヤ10を示している。なお、ここでいう「標準リム」とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2018年版規定のリムを指す。また、上記標準空気圧とは、JATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2018年版の最大負荷能力に対応する空気圧である。
図1に示されるように、タイヤ10は、ビード部12に埋設された一対のビードコア26と、ビードコア26に跨り端部がビードコア26に係止されたカーカス14と、カーカス14のタイヤ内面側に設けられたインナーライナー16と、タイヤサイド部22のカーカス14とインナーライナー16との間にインナーライナー16と直接接して設けられカーカス14の内面に沿ってタイヤ径方向に延びるサイド補強ゴム24(すなわち、サイド補強ゴム層)と、カーカス14のトレッド部18におけるタイヤ径方向外側に設けられたベルト層40と、ベルト層40のタイヤ径方向外側に設けられたトレッド20と、を備えている。なお、図1では、片側のビード部12のみが図示されている。
インナーライナー16は、ゴムを含むゴム材料で構成され、インナーライナー16に含まれるゴム全体(ゴムの総量)に対し、ジエン系ゴムが20質量%以上含まれている。
また、ベルト層40は、補強コード42Cと、補強コード42Cを被覆し樹脂を含む被覆樹脂42S(すなわちコード被覆層)と、を含んで構成されている。つまり、ベルト層40は樹脂を含む。なお、被覆樹脂42Sを構成する樹脂材料の詳細については後述する。
また、ベルト層40は、補強コード42Cと、補強コード42Cを被覆し樹脂を含む被覆樹脂42S(すなわちコード被覆層)と、を含んで構成されている。つまり、ベルト層40は樹脂を含む。なお、被覆樹脂42Sを構成する樹脂材料の詳細については後述する。
ここで、一般的にインナーライナーは、タイヤの内圧保持性を高めるために設けられる層であり、空気透過性の低い層であることが好ましいため、ジエン系ゴム以外のゴム(すなわち、非ジエン系ゴム)を含むゴム材料で構成されることが多い。一方、サイド補強ゴムは、一般的にランフラット走行時においてタイヤに作用する荷重を支えるタイヤサイド部を補強するための層であり、補強が可能な程度に高い硬度を有していることが望ましいため、インナーライナーとは異なる組成のゴム材料で構成される。そのため、未加硫のインナーライナーと未加硫のサイド補強ゴムとが接した状態で加硫を行っても、界面の接着力が高くなりにくい。
また、界面の接着力を高めるため、例えばインナーライナーに用いられるゴム材料の組成をサイド補強ゴムに用いられるゴム材料の組成に近づけると、界面の接着力は高くなるものの、インナーライナーの空気透過性も高くなり、内圧保持性が下がる場合がある。
また、界面の接着力を高めるため、例えばインナーライナーに用いられるゴム材料の組成をサイド補強ゴムに用いられるゴム材料の組成に近づけると、界面の接着力は高くなるものの、インナーライナーの空気透過性も高くなり、内圧保持性が下がる場合がある。
これに対して、タイヤ10では、サイド補強ゴム24に直接接するインナーライナー16がゴム全体(ゴムの総量)に対して20質量%以上のジエン系ゴムを含み、かつ、ベルト層40が樹脂を含む。それにより、内圧保持性とランフラット走行性とが両立される。その理由は定かでは無いが、以下のように推測される。
サイド補強ゴム24を製造する過程においては、タイヤサイド部22の補強が可能な程度に高い硬度を有する層を形成する目的で、比較的速い加硫速度で加硫が行われる。そして、インナーライナー16が20質量%以上のジエン系ゴムを含むと、インナーライナー16を製造する過程において、ジエン系ゴムを含まない場合に比べて加硫速度が速く、両者の加硫速度が近づくと考えられる。そのため、未加硫のインナーライナーと未加硫のサイド補強ゴムとが接した状態で加硫を行うと、両者が近い速度で加硫されることで、共架橋しやすくなり、界面の接着力が高くなると推測される。
特に、サイド補強ゴム24がジエン系ゴムを含む場合、インナーライナー16も20質量%以上のジエン系ゴムを含むことで、インナーライナー16がジエン系ゴムを含まない場合に比べてさらに共架橋が起こりやすく、界面の接着力がより高くなると推測される。
このようにして、インナーライナー16とサイド補強ゴム24との接着力が高くなることで、界面の剥離が起こりにくく、ランフラット走行性が向上する。
特に、サイド補強ゴム24がジエン系ゴムを含む場合、インナーライナー16も20質量%以上のジエン系ゴムを含むことで、インナーライナー16がジエン系ゴムを含まない場合に比べてさらに共架橋が起こりやすく、界面の接着力がより高くなると推測される。
このようにして、インナーライナー16とサイド補強ゴム24との接着力が高くなることで、界面の剥離が起こりにくく、ランフラット走行性が向上する。
加えて、ベルト層40が樹脂を含むことで、タイヤ10全体の内圧保持性が維持されやすくなる。つまり、タイヤの中でも空気の透過により内圧保持性の低下を引き起こしやすい領域であるトレッド部に設けられるベルト層に樹脂を用いる。樹脂は、一般的にゴムに比べて空気透過性が低い。そのため、インナーライナーがジエン系ゴムを含むことでインナーライナー自体の空気遮断性が低下しても、トレッド部における空気透過性を低く維持することができ、タイヤ全体としての内圧保持性が維持される。
以上のようにして、タイヤ10では、内圧保持性とランフラット走行性とが両立されると推測される。
以下、タイヤ10の各部についてそれぞれ説明する。
以上のようにして、タイヤ10では、内圧保持性とランフラット走行性とが両立されると推測される。
以下、タイヤ10の各部についてそれぞれ説明する。
<ビード部>
一対のビード部12には、ワイヤ束を含むビードコア26がそれぞれ埋設されている。これらのビードコア26には、カーカス14が跨っている。ビードコア26は、断面が円形及び多角形状など、空気入りタイヤにおけるさまざまな構造を採用することができ、多角形としては例えば六角形を採用することができるが、本実施形態においては四角形とされている。
一対のビード部12には、ワイヤ束を含むビードコア26がそれぞれ埋設されている。これらのビードコア26には、カーカス14が跨っている。ビードコア26は、断面が円形及び多角形状など、空気入りタイヤにおけるさまざまな構造を採用することができ、多角形としては例えば六角形を採用することができるが、本実施形態においては四角形とされている。
図2に示すように、ビードコア26は、例えば、ビードワイヤ26Aと、ビードワイヤ26Aを被覆し樹脂を含む被覆樹脂26B(すなわちビード被覆層)と、を有する。ビードコア26は、被覆樹脂26Bに被覆された1本のビードワイヤ26Aを複数回巻回し、積層して形成される。具体的には、被覆樹脂26Bに被覆されたビードワイヤ26Aをタイヤ幅方向に隙間無く巻回して一段目の列を形成し、以後同様にして隙間無くタイヤ径方向外側に積み重ね、断面形状が四角形状のビードコア26を形成する。このとき、タイヤ幅方向及び径方向に互いに隣接するビードワイヤ26Aの被覆樹脂26B同士は互いに接合される。これにより、ビードワイヤ26Aが被覆樹脂26Bで被覆されたビードコア26が形成される。
図1及び図2に示すタイヤ10では、ベルト層40だけでなく、ビードコア26も樹脂を含むため、さらにタイヤ10の内圧保持性が維持されやすく、内圧保持性とランフラット走行性とがより両立される。なお、被覆樹脂26Bを構成する樹脂材料としては、後述する被覆樹脂42Sを構成する樹脂材料と同様のものが用いられる。
なお、本実施形態においてビードコア26は、被覆樹脂26Bに被覆された1本のビードワイヤ26Aを巻回し、積層して形成されるものとしたが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば図4に示すビードコア60のように、複数本のビードワイヤ60Aを被覆樹脂60Bで被覆したワイヤ束を巻回させて積層して形成してもよい。
この場合、積層時の界面を熱溶着で融着させる。1つのワイヤ束に含まれるビードワイヤ60Aの数は3本に限定されるものではなく、2本でも4本以上でもよい。また、ワイヤ束を積層させる各層におけるワイヤ束の数は、図4に示されるように1束でもよいし、タイヤ幅方向に複数隣接させて2束以上としてもよい。
なお、本実施形態においては、ビードワイヤ26Aを被覆樹脂26Bで被覆してビードコア26を形成したが、本開示の実施形態はこれに限らない。例えば被覆樹脂26Bに代えてゴムを含む被覆ゴムを用いてもよい。
タイヤ10は、図1に示すように、ビード部12に埋設されビードコア26からタイヤ径方向外側へカーカス14の外面に沿って伸びるビードフィラー28をさらに備えている。ビードフィラー28は、樹脂を含み、ビード部12のカーカス14で囲まれた領域(カーカス14においてビードコア26周りにタイヤ幅方向内側に配置された部分の外側の領域)に埋設されている。また、ビードフィラー28は、タイヤ径方向外側の端部28Aに向けて厚みが減少している。
図1及び図2に示すタイヤ10では、ベルト層40だけでなく、ビードフィラー28も樹脂を含むことにより、さらにタイヤ10の内圧保持性が維持されやすく、内圧保持性とランフラット走行性とがより両立される。なお、ビードフィラー28を構成する樹脂材料としては、後述する被覆樹脂42Sを構成する樹脂材料と同様のものが用いられる。
本実施形態においては、ビードフィラー28として樹脂を含むものを用いたが、本開示の実施形態はこれに限られず、例えばゴムを含む(好ましくはゴムを主成分として含む(例えばビードフィラー全体に対して50質量%以上含む))ビードフィラーを用いてもよい。
<カーカス>
カーカス14は、2枚のカーカスプライ14A、14Bによって構成されたタイヤ骨格部材である。カーカスプライ14Aはタイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向外側に配置されるカーカスプライであり、カーカスプライ14Bはタイヤ径方向内側に配置されるカーカスプライである。カーカスプライ14A、14Bは、それぞれ、複数本のコードと、コードを被覆しゴムを含む被覆ゴムと、を含んで構成されている。
上記被覆ゴムは、特に限定されるものではなく、例えばジエン系ゴム(例えば天然ゴム)を含むゴム材料が挙げられる。特に、上記被覆ゴムがジエン系ゴムを含み、かつ、カーカス14とインナーライナー16とが直接接する場合、インナーライナー16に20質量%以上のジエン系ゴムを含有させることで、インナーライナー16とカーカス14との接着性も高くなる。そのため、ランフラット走行性がさらに向上する。
カーカス14は、2枚のカーカスプライ14A、14Bによって構成されたタイヤ骨格部材である。カーカスプライ14Aはタイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向外側に配置されるカーカスプライであり、カーカスプライ14Bはタイヤ径方向内側に配置されるカーカスプライである。カーカスプライ14A、14Bは、それぞれ、複数本のコードと、コードを被覆しゴムを含む被覆ゴムと、を含んで構成されている。
上記被覆ゴムは、特に限定されるものではなく、例えばジエン系ゴム(例えば天然ゴム)を含むゴム材料が挙げられる。特に、上記被覆ゴムがジエン系ゴムを含み、かつ、カーカス14とインナーライナー16とが直接接する場合、インナーライナー16に20質量%以上のジエン系ゴムを含有させることで、インナーライナー16とカーカス14との接着性も高くなる。そのため、ランフラット走行性がさらに向上する。
このようにして形成されたカーカス14が、一方のビードコア26から他方のビードコア26へトロイド状に延びてタイヤの骨格を構成している。また、カーカス14の端部側は、ビードコア26に係止されている。具体的には、カーカス14は、端部側がビードコア26周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されて係止されている。また、カーカス14の折り返された端部(端部14AE、14BE)は、タイヤサイド部22に配置されている。カーカスプライ14Aの端部14AEは、カーカスプライ14Bの端部14BEよりもタイヤ径方向内側に配置されている。
なお、本実施形態では、カーカス14の端部をタイヤサイド部22に配置する構成としているが、本開示はこの構成に限定されず、例えばカーカス14の端部をベルト層40に配置する構成としてもよい。また、カーカス14の端部側を折り返さず、複数のビードコア26で挟み込んだり、ビードコア26に巻き付けた構造を採用したりすることもできる。本明細書において、カーカス14の端部をビードコア26に「係止」するとは、これらのような各種の実施形態を含むものとする。
なお、本実施形態においてカーカス14はラジアルカーカスとされている。また、カーカス14に含まれるコードの材質は特に限定されず、レーヨン、ナイロン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド、ガラス繊維、カーボン繊維、スチール等が採用できる。なお、軽量化の点からは、有機繊維コードが好ましい。また、カーカスの打ち込み数は20〜60本/50mmの範囲とされているが、この範囲に限定されるのもではない。
<ベルト層>
カーカス14のタイヤ径方向外側には、ベルト層40が配設されている。図3に示すように、ベルト層40は、樹脂被覆コード42がカーカス14の外周面にタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻かれて形成されたリング状の箍(たが)である。
カーカス14のタイヤ径方向外側には、ベルト層40が配設されている。図3に示すように、ベルト層40は、樹脂被覆コード42がカーカス14の外周面にタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻かれて形成されたリング状の箍(たが)である。
樹脂被覆コード42は、補強コード42Cを被覆樹脂42Sで被覆して構成されており、図1に示すように、断面が略正方形状とされている。樹脂被覆コード42のタイヤ径方向の内周部分の被覆樹脂42Sは、例えば、カーカス14の外周面にゴム及び必要に応じて接着剤を介して接合されて構成されている。また、樹脂被覆コード42のタイヤ幅方向に互いに隣接する被覆樹脂42S同士は、熱溶着又は接着剤などで一体的に接合されている。これにより、被覆樹脂42Sにて被覆された補強コード42Cからなるベルト層40(樹脂被覆ベルト層)が形成される。
なお本実施形態では、樹脂被覆コード42は、1本の補強コード42Cを被覆樹脂42Sで被覆して構成しているが、複数本の補強コード42Cを被覆樹脂42Sで被覆して構成してもよい。
また、本実施形態のビードコア26におけるビードワイヤ26A及びベルト層40における補強コード42Cは、それぞれスチールコードとされている。このスチールコードは、スチールを主成分とし、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄、銅、クロムなど種々の微量含有物を含むことができる。
なお、本開示の実施形態はこれに限らず、ビードワイヤ26A及び補強コード42Cからなる群より選択される少なくとも一方として、それぞれ、スチールコードに代えて、モノフィラメントコード、複数のフィラメントを撚り合せたコード等を用いてもよい。撚り構造も種々の設計が採用可能であり、断面構造、撚りピッチ、撚り方向、隣接するフィラメント同士の距離も様々なものが使用できる。更には異なる材質のフィラメントを縒り合せたコードを採用することもでき、断面構造としても特に限定されず、単撚り、層撚り、複撚りなど様々な撚り構造を取ることができる。また、ビードワイヤ26A及び補強コード42Cからなる群より選択される少なくとも一方として、樹脂コード(すなわち、樹脂を含むコード)を用いてもよい。
また、本実施形態においてベルト層40は、1本の補強コード42Cを被覆樹脂42Sで被覆して形成された略正方形状の樹脂被覆コード42を、カーカス14の外周面に巻いて形成したが、本開示の実施形態はこれに限らない。
例えば図5に示すベルト層70のように、複数本の補強コード72Cを被覆樹脂72Sで被覆して形成された、断面が略平行四辺形状の樹脂被覆コード72を、カーカス14の外周面に巻いて形成してもよい。
例えば図5に示すベルト層70のように、複数本の補強コード72Cを被覆樹脂72Sで被覆して形成された、断面が略平行四辺形状の樹脂被覆コード72を、カーカス14の外周面に巻いて形成してもよい。
<トレッド>
トレッド部18におけるベルト層40のタイヤ径方向外側には、トレッド20が設けられている。トレッド20は、走行中に路面に接地する部位であり、トレッド20の踏面には、タイヤ周方向に延びる周方向溝50が複数本形成されている。周方向溝50の形状及び本数は、タイヤ10に要求される排水性及び操縦安定性等の性能に応じて適宜設定される。
トレッド部18におけるベルト層40のタイヤ径方向外側には、トレッド20が設けられている。トレッド20は、走行中に路面に接地する部位であり、トレッド20の踏面には、タイヤ周方向に延びる周方向溝50が複数本形成されている。周方向溝50の形状及び本数は、タイヤ10に要求される排水性及び操縦安定性等の性能に応じて適宜設定される。
<インナーライナー>
インナーライナー16は、カーカス14のタイヤ内面側(すなわち、ビード部12のタイヤ幅方向内側、タイヤサイド部22のタイヤ幅方向内側、及びトレッド部18のタイヤ径方向内側)に連続した層として設けられている。インナーライナー16は、空気透過性を低減することでタイヤ10の内圧保持性を高めるために設けられる層である。
インナーライナー16は、少なくともサイド補強ゴム24の内周面(すなわち、タイヤ幅方向内側の面)に直接接して設けられている。一方、タイヤ10では、インナーライナー16がカーカス14のトレッド部18における内周面(すなわち、タイヤ径方向内側の面)にも直接接して設けられているが、これに限られず、カーカス14とインナーライナー16との間に他の層を有していてもよい。
インナーライナー16は、カーカス14のタイヤ内面側(すなわち、ビード部12のタイヤ幅方向内側、タイヤサイド部22のタイヤ幅方向内側、及びトレッド部18のタイヤ径方向内側)に連続した層として設けられている。インナーライナー16は、空気透過性を低減することでタイヤ10の内圧保持性を高めるために設けられる層である。
インナーライナー16は、少なくともサイド補強ゴム24の内周面(すなわち、タイヤ幅方向内側の面)に直接接して設けられている。一方、タイヤ10では、インナーライナー16がカーカス14のトレッド部18における内周面(すなわち、タイヤ径方向内側の面)にも直接接して設けられているが、これに限られず、カーカス14とインナーライナー16との間に他の層を有していてもよい。
また、タイヤ10では、一方のビード部12から他方のビード部12まで連続した層としてインナーライナー16が設けられている。インナーライナー16は、空気を遮断することが望ましい領域に、サイド補強ゴム24の少なくとも一部に接して設けられていれば、これに限られるものではないが、内圧保持性の観点からタイヤ10の内面全体に設けられていることが好ましい。
インナーライナー16の厚みとしては、例えば0.1mm以上0.4mm以下の範囲が挙げられる。インナーライナー16の厚みは、一方のビード部12から他方のビード部12まで同じ厚みでもよく、特に空気透過性を低減することが望ましい領域を相対的に厚くしてもよい。
インナーライナー16の厚みとしては、例えば0.1mm以上0.4mm以下の範囲が挙げられる。インナーライナー16の厚みは、一方のビード部12から他方のビード部12まで同じ厚みでもよく、特に空気透過性を低減することが望ましい領域を相対的に厚くしてもよい。
インナーライナー16は、少なくともジエン系ゴムを含む。インナーライナー16に含まれるゴム全体(ゴムの総量)に対するジエン系ゴムの含有率は、20質量%以上であり、サイド補強ゴム24との接着性の観点から、35質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
インナーライナー16がジエン系ゴムを上記範囲で含むことにより、インナーライナーとサイド補強ゴム24との接着性が高くなる。加えて、インナーライナー16がカーカス14と接している場合には、インナーライナー16とカーカス14との接着性も高くなる。
インナーライナー16がジエン系ゴムを上記範囲で含むことにより、インナーライナーとサイド補強ゴム24との接着性が高くなる。加えて、インナーライナー16がカーカス14と接している場合には、インナーライナー16とカーカス14との接着性も高くなる。
ここで、ジエン系ゴムとは、ゴムの主鎖に二重結合を含む(具体的には、2.5mol%以上含む)ものをいう。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)の他、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、及びポリクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴムが挙げられる。ジエン系ゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
ジエン系ゴムとしては、サイド補強ゴム24との接着性の観点から、これらの中でも、天然ゴム(NR)が好ましい。
ジエン系ゴムとしては、サイド補強ゴム24との接着性の観点から、これらの中でも、天然ゴム(NR)が好ましい。
インナーライナー16は、空気透過性を低くする観点で、ジエン系ゴムに加えて非ジエン系ゴムを含むことが好ましい。インナーライナー16に含まれるゴム全体(ゴムの総量)に対する非ジエン系ゴムの含有率は、空気透過性を低くする観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。つまり、インナーライナー16に含まれるゴム全体(ゴムの総量)に対するジエン系ゴムの含有率は、空気透過性を低くする観点からは、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
ここで、非ジエン系ゴムとは、ゴムの主鎖に二重結合をほとんど含まない(具体的には、2.5mol%未満の)ものをいう。非ジエン系ゴムとしては、例えば、ブチル系ゴム(ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム等)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルホン化ゴム(CSM)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレン等が挙げられる。
非ジエン系ゴムとしては、空気透過性を低くする観点から、これらの中でもブチル系ゴムが好ましく、その中でもブチルゴム(IIR)、ブロモブチルゴムがより好ましい。
非ジエン系ゴムとしては、空気透過性を低くする観点から、これらの中でもブチル系ゴムが好ましく、その中でもブチルゴム(IIR)、ブロモブチルゴムがより好ましい。
インナーライナー16を構成するゴム材料は、ゴムの他に、必要に応じてゴム以外のその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、例えば、カーボンブラック等の補強材、充填剤(フィラー、短繊維、樹脂等)、加硫剤、加硫促進剤、脂肪酸又はその塩、金属酸化物、プロセスオイル、老化防止剤等が挙げられる。
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤等が用いられる。その中でも、加硫剤として硫黄が用いられていることが好ましい。
加硫促進剤としては、公知の加硫促進剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類等が用いられる。
脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などが挙げられ、また、これらはステアリン酸亜鉛のように塩の状態で配合されてもよい。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。
また、金属酸化物としては、亜鉛華(ZnO)、酸化鉄、酸化マグネシウム等が挙げられ、中でも亜鉛華が好ましい。
プロセスオイルは、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のいずれを用いてもよい
老化防止剤としては、アミン−ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
その他の成分としては、例えば、カーボンブラック等の補強材、充填剤(フィラー、短繊維、樹脂等)、加硫剤、加硫促進剤、脂肪酸又はその塩、金属酸化物、プロセスオイル、老化防止剤等が挙げられる。
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤等が用いられる。その中でも、加硫剤として硫黄が用いられていることが好ましい。
加硫促進剤としては、公知の加硫促進剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類等が用いられる。
脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などが挙げられ、また、これらはステアリン酸亜鉛のように塩の状態で配合されてもよい。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。
また、金属酸化物としては、亜鉛華(ZnO)、酸化鉄、酸化マグネシウム等が挙げられ、中でも亜鉛華が好ましい。
プロセスオイルは、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のいずれを用いてもよい
老化防止剤としては、アミン−ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
<サイド補強ゴム>
タイヤサイド部22は、タイヤ径方向に延びてビード部12とトレッド部18とをつなぎ、ランフラット走行時にタイヤ10に作用する荷重を負担できるように構成されている。このタイヤサイド部22においてカーカス14のタイヤ幅方向内側には、タイヤサイド部22を補強するサイド補強ゴム24が設けられている。具体的には、サイド補強ゴム24は、カーカス14とインナーライナー16との間に、少なくともインナーライナー16と直接接して設けられている。サイド補強ゴム24は、パンクなどでタイヤ10の内圧が減少した場合に、車両及び乗員の重量を支えた状態で所定の距離を走行させるための補強ゴムである。
タイヤサイド部22は、タイヤ径方向に延びてビード部12とトレッド部18とをつなぎ、ランフラット走行時にタイヤ10に作用する荷重を負担できるように構成されている。このタイヤサイド部22においてカーカス14のタイヤ幅方向内側には、タイヤサイド部22を補強するサイド補強ゴム24が設けられている。具体的には、サイド補強ゴム24は、カーカス14とインナーライナー16との間に、少なくともインナーライナー16と直接接して設けられている。サイド補強ゴム24は、パンクなどでタイヤ10の内圧が減少した場合に、車両及び乗員の重量を支えた状態で所定の距離を走行させるための補強ゴムである。
サイド補強ゴム24は、カーカス14の内面に沿ってビード部12側からトレッド20側へタイヤ径方向に延びている。また、サイド補強ゴム24は、中央部分からビード部12側及びトレッド20側に向かうにつれて厚みが減少する形状、例えば、略三日月形状とされている。なお、ここでいうサイド補強ゴム24の厚みとは、カーカス14の法線に沿った長さを指す。
サイド補強ゴム24のビード部12側の下端部24Bは、カーカス14を挟んでビードフィラー28とタイヤ幅方向から見て重なっている。また、サイド補強ゴム24のトレッド20側の上端部24Aは、ベルト層40とタイヤ径方向から見て重なっている。具体的には、サイド補強ゴム24の上端部24Aは、カーカス14を挟んでベルト層40と重なっている。換言すれば、サイド補強ゴム24の上端部24Aは、ベルト層40のタイヤ幅方向端部40Eよりもタイヤ幅方向内側に位置している。
本実施形態では、サイド補強ゴム24を1種類のゴム材料で形成しているが、本開示の実施形態はこれに限らず、複数のゴム材料で形成してもよい。
サイド補強ゴム24は、ゴムが主成分であることが好ましく、ランフラット走行性の観点から、ゴムの中でもジエン系ゴムを含むことが好ましく、その中でもブタジエンゴム(BR)を含むことがより好ましい。また、ブタジエンゴム(BR)と天然ゴム(NR)とを含むことも好ましい。
サイド補強ゴム24に含まれるゴム全体(ゴムの総量)に対するジエン系ゴムの含有率は、ランフラット走行性の観点から、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
サイド補強ゴム24は、ゴムが主成分であることが好ましく、ランフラット走行性の観点から、ゴムの中でもジエン系ゴムを含むことが好ましく、その中でもブタジエンゴム(BR)を含むことがより好ましい。また、ブタジエンゴム(BR)と天然ゴム(NR)とを含むことも好ましい。
サイド補強ゴム24に含まれるゴム全体(ゴムの総量)に対するジエン系ゴムの含有率は、ランフラット走行性の観点から、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
サイド補強ゴム24を構成するゴム材料は、ゴムの他に、必要に応じてゴム以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、前記インナーライナー16を構成するゴム材料に必要に応じて含んでもよいその他の成分と同様のものが挙げられる。
その中でも、サイド補強ゴム24を構成するゴム材料は、ランフラット走行時の耐久力を高めるため、加硫促進剤として、チウラム系促進剤を含むことが好ましい。
その中でも、サイド補強ゴム24を構成するゴム材料は、ランフラット走行時の耐久力を高めるため、加硫促進剤として、チウラム系促進剤を含むことが好ましい。
サイド補強ゴム24の硬度は、ランフラット走行性の観点から、70以上85以下が好ましい。上記サイド補強ゴム24の硬度は、JIS K6253(タイプAデュロメータ)で規定される硬さを指す。
また、サイド補強ゴム24の温度60℃、周波数20Hzにおける損失係数tanδは、0.10以下が好ましい。上記損失係数tanδは、粘弾性スペクトロメータ(東洋精機製作所製スペクトロメータ)を用いて周波数20Hz、初期歪み10%、動歪み±2%、温度60℃の条件で測定した値である。
また、サイド補強ゴム24の温度60℃、周波数20Hzにおける損失係数tanδは、0.10以下が好ましい。上記損失係数tanδは、粘弾性スペクトロメータ(東洋精機製作所製スペクトロメータ)を用いて周波数20Hz、初期歪み10%、動歪み±2%、温度60℃の条件で測定した値である。
<樹脂材料>
以下、ベルト層40における被覆樹脂42Sに用いられる樹脂材料について説明する。なお、ビードコア26における被覆樹脂26B及びビードフィラー28に用いられる樹脂材料も、ベルト層40における被覆樹脂42Sに用いられる樹脂材料と同様のものが用いられる。
樹脂材料は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
樹脂材料は、樹脂を主成分として含むことが好ましい。具体的には、樹脂材料の総量に対する樹脂の含有率が、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。
樹脂材料は、樹脂として、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂のいずれを含んでもよいが、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。
以下、ベルト層40における被覆樹脂42Sに用いられる樹脂材料について説明する。なお、ビードコア26における被覆樹脂26B及びビードフィラー28に用いられる樹脂材料も、ベルト層40における被覆樹脂42Sに用いられる樹脂材料と同様のものが用いられる。
樹脂材料は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
樹脂材料は、樹脂を主成分として含むことが好ましい。具体的には、樹脂材料の総量に対する樹脂の含有率が、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。
樹脂材料は、樹脂として、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、及び熱硬化性樹脂のいずれを含んでもよいが、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、熱可塑性エラストマーを含むことがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、塩化ビニル系熱可塑性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系熱硬化性樹脂、ユリア系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。
樹脂材料は、これらの樹脂が単独で含まれていてもよく、2種以上の樹脂が組み合わせて含まれていてもよい。
これらの中でも、樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、又はポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
樹脂材料は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、及びポリアミド系熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
これらの中でも、樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、又はポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
樹脂材料は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、及びポリアミド系熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
−熱可塑性エラストマー−
(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、芳香族ポリエステルを用いることができる。芳香族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールとから形成することができる。芳香族ポリエステルは、好ましくは、テレフタル酸及びジメチルテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種と、1,4−ブタンジオールと、から誘導されるポリブチレンテレフタレートである。また、芳香族ポリエステルは、例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、若しくはこれらのエステル形成性誘導体等のジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロール等の脂環式ジオール;キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニル等の芳香族ジオール;等)と、から誘導されるポリエステル、又はこれらのジカルボン酸成分及びジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであってもよい。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分、多官能ヒドロキシ成分等を5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエーテル等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル及び脂肪族ポリエステルの中でも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等が好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量は、強靱性及び低温柔軟性の観点から、300〜6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)とソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、99:1〜20:80が好ましく、98:2〜30:70が更に好ましい。
上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、例えば、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルである組み合わせが好ましく、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートであり、ソフトセグメントがポリ(エチレンオキシド)グリコールである組み合わせが更に好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、東レ・デュポン(株)製の「ハイトレル」シリーズ(例えば、3046、5557、6347、4047N、4767N等)、東洋紡(株)製の「ペルプレン」シリーズ(例えば、P30B、P40B、P40H、P55B、P70B、P150B、P280B、E450B、P150M、S1001、S2001、S5001、S6001、S9001等)等を用いることができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
(ポリアミド系熱可塑性エラストマー)
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性の樹脂材料であって、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等、及び特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、結晶性で融点の高いハードセグメントを形成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性の樹脂材料であって、ハードセグメントを形成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いて形成されてもよい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等、及び特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーによって生成されるポリアミドを挙げることができる。
一般式(1)中、R1は、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数2〜20のアルキレン基)を表す。
一般式(2)中、R2は、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖(例えば炭素数3〜20のアルキレン基)を表す。
一般式(1)中、R1としては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
また、一般式(2)中、R2としては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸又はラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸又はラクタムの重縮合体、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
また、一般式(2)中、R2としては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、例えば炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸又はラクタムが挙げられる。また、ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸又はラクタムの重縮合体、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸等を挙げることができる。また、ラクタムとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、ウデカンラクタム、ω−エナントラクタム、2−ピロリドン等の炭素数5〜20の脂肪族ラクタム等を挙げることができる。
ジアミンとしては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。炭素数2〜20の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等を挙げることができる。
また、ジカルボン酸は、HOOC−(R3)m−COOH(R3:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
ジアミンとしては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。炭素数2〜20の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等を挙げることができる。
また、ジカルボン酸は、HOOC−(R3)m−COOH(R3:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、又はウデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドを好ましく用いることができる。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル等が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等も用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを意味する。
一般式(3)中、x及びzは、1〜20の整数を表す。yは、4〜50の整数を表す。
一般式(3)において、x及びzは、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数がより好ましく、1〜14の整数が更に好ましく、1〜12の整数が特に好ましい。また、一般式(3)において、yは、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数がより好ましく、7〜35の整数が更に好ましく、8〜30の整数が特に好ましい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、又はラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せが好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せがより好ましい。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量は、溶融成形性の観点から、300〜15000が好ましい。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜90:10が好ましく、50:50〜80:20がより好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、宇部興産(株)の「UBESTA XPA」シリーズ(例えば、XPA9068X1、XPA9063X1、XPA9055X1、XPA9048X2、XPA9048X1、XPA9040X1、XPA9040X2XPA9044等)、ダイセル・エポニック(株)の「ベスタミド」シリーズ(例えば、E40−S3、E47−S1、E47−S3、E55−S1、E55−S3、EX9200、E50−R2等)等を用いることができる。
(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー)
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリスチレンがハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリスチレンとしては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法等で得られるものが好ましく用いられ、具体的には、アニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3−ジメチル−ブタジエン)等が挙げられる。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリスチレンがハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリスチレンとしては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法等で得られるものが好ましく用いられ、具体的には、アニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3−ジメチル−ブタジエン)等が挙げられる。
ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。これらの中でも、ハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、ポリスチレン/ポリブタジエンの組合せ、又はポリスチレン/ポリイソプレンの組合せが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの意図しない架橋反応を抑制するため、ソフトセグメントは水素添加されていることが好ましい。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリスチレン)の数平均分子量は、5000〜500000が好ましく、10000〜200000がより好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、5000〜1000000が好ましく、10000〜800000がより好ましく、30000〜500000が更に好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との体積比(x:y)は、成形性の観点から、5:95〜80:20が好ましく、10:90〜70:30がより好ましい。
また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、5000〜1000000が好ましく、10000〜800000がより好ましく、30000〜500000が更に好ましい。さらに、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との体積比(x:y)は、成形性の観点から、5:95〜80:20が好ましく、10:90〜70:30がより好ましい。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体[SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)]、スチレン−イソプレン共重合体(ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)、スチレン−プロピレン系共重合体[SEP(ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEB(ポリスチレン(エチレン/ブチレン)ブロック)]等が挙げられる。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体[SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)]、スチレン−イソプレン共重合体(ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)、スチレン−プロピレン系共重合体[SEP(ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEB(ポリスチレン(エチレン/ブチレン)ブロック)]等が挙げられる。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、旭化成(株)製の「タフテック」シリーズ(例えば、H1031、H1041、H1043、H1051、H1052、H1053、H1062、H1082、H1141、H1221、H1272等)、(株)クラレ製の「SEBS」シリーズ(8007、8076等)、「SEPS」シリーズ(2002、2063等)等を用いることができる。
(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリウレタンが物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを形成し、他のポリマーが非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が挙げられる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、下記式Aで表される単位構造を含むソフトセグメントと、下記式Bで表される単位構造を含むハードセグメントとを含む共重合体として表すことができる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリウレタンが物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを形成し、他のポリマーが非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、JIS K6418:2007に規定されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)が挙げられる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、下記式Aで表される単位構造を含むソフトセグメントと、下記式Bで表される単位構造を含むハードセグメントとを含む共重合体として表すことができる。
式中、Pは、長鎖脂肪族ポリエーテル又は長鎖脂肪族ポリエステルを表す。Rは、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を表す。P’は、短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を表す。
式A中、Pで表される長鎖脂肪族ポリエーテル又は長鎖脂肪族ポリエステルとしては、例えば、分子量500〜5000のものを使用することができる。Pは、Pで表される長鎖脂肪族ポリエーテル及び長鎖脂肪族ポリエステルを含むジオール化合物に由来する。このようなジオール化合物としては、例えば、分子量が前記範囲内にある、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
式A及び式B中、Rは、Rで表される脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を含むジイソシアネート化合物を用いて導入された部分構造である。Rで表される脂肪族炭化水素を含む脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,3−プロピレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。さらに、Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。さらに、Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
式B中、P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素としては、例えば、分子量500未満のものを使用することができる。また、P’は、P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素を含むジオール化合物に由来する。P’で表される短鎖脂肪族炭化水素を含む脂肪族ジオール化合物としては、例えば、グリコール及びポリアルキレングリコールが挙げられ、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。
また、P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
さらに、P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
さらに、P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ハードセグメントを形成するポリマー(ポリウレタン)の数平均分子量は、溶融成形性の観点から、300〜1500が好ましい。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの柔軟性及び熱安定性の観点から、500〜20000が好ましく、500〜5000が更に好ましく、500〜3000が特に好ましい。また、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、15:85〜90:10が好ましく、30:70〜90:10が更に好ましい。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、特開平5−331256号公報に記載の熱可塑性ポリウレタンを用いることができる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、芳香族ジオールと芳香族ジイソシアネートとからなるハードセグメントと、ポリ炭酸エステルからなるソフトセグメントとの組合せが好ましく、より具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、TDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、TDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、TDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、MDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、MDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、MDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体、及びMDI+ヒドロキノン/ポリヘキサメチレンカーボネート共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、TDI/ポリエステル系ポリオール共重合体、TDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、MDI/ポリエステルポリオール共重合体、MDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、及びMDI+ヒドロキノン/ポリヘキサメチレンカーボネート共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
また、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、BASF社製の「エラストラン」シリーズ(例えば、ET680、ET880、ET690、ET890等)、(株)クラレ社製「クラミロンU」シリーズ(例えば、2000番台、3000番台、8000番台、9000番台等)、日本ミラクトラン(株)製の「ミラクトラン」シリーズ(例えば、XN−2001、XN−2004、P390RSUP、P480RSUI、P26MRNAT、E490、E590、P890等)等を用いることができる。
(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー)
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリオレフィン、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを形成し、他のポリマー(例えば、ポリオレフィン、他のポリオレフィン、ポリビニル化合物等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを形成している材料が挙げられる。ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン−α−オレフィンランダム共重合体、オレフィンブロック共重合体等が挙げられ、具体的には、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−ペンテン、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びプロピレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、及びエチレン−ブチルアクリレート共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
また、エチレンとプロピレンといったように2種以上のオレフィン樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー中のオレフィン樹脂含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましい。
また、エチレンとプロピレンといったように2種以上のオレフィン樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー中のオレフィン樹脂含有率は、50質量%以上100質量%以下が好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、5000〜10000000であることが好ましい。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量が5000〜10000000であると、熱可塑性樹脂材料の機械的物性が十分であり、加工性にも優れる。同様の観点から、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、7000〜1000000であることが更に好ましく、10000〜1000000が特に好ましい。これにより、熱可塑性樹脂材料の機械的物性及び加工性を更に向上させることができる。また、ソフトセグメントを形成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。更に、ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)との質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜95:15が好ましく、50:50〜90:10が更に好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、公知の方法によって共重合することで合成することができる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、公知の方法によって共重合することで合成することができる。
また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを酸変性してなるものを用いてもよい。
「ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを酸変性してなるもの」とは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させたものをいう。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることとしては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(一般的には、無水マレイン酸)の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
酸性基を有する不飽和化合物としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの劣化抑制の観点からは、弱酸基であるカルボン酸基を有する不飽和化合物が好ましい。カルボン酸基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
「ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを酸変性してなるもの」とは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させたものをいう。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させることとしては、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーに、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(一般的には、無水マレイン酸)の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
酸性基を有する不飽和化合物としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの劣化抑制の観点からは、弱酸基であるカルボン酸基を有する不飽和化合物が好ましい。カルボン酸基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、三井化学(株)製の「タフマー」シリーズ(例えば、A0550S、A1050S、A4050S、A1070S、A4070S、A35070S、A1085S、A4085S、A7090、A70090、MH7007、MH7010、XM−7070、XM−7080、BL4000、BL2481、BL3110、BL3450、P−0275、P−0375、P−0775、P−0180、P−0280、P−0480、P−0680等)、三井・デュポンポリケミカル(株)製の「ニュクレル」シリーズ(例えば、AN4214C、AN4225C、AN42115C、N0903HC、N0908C、AN42012C、N410、N1050H、N1108C、N1110H、N1207C、N1214、AN4221C、N1525、N1560、N0200H、AN4228C、AN4213C、N035C)等、「エルバロイAC」シリーズ(例えば、1125AC、1209AC、1218AC、1609AC、1820AC、1913AC、2112AC、2116AC、2615AC、2715AC、3117AC、3427AC、3717AC等)、住友化学(株)の「アクリフト」シリーズ、「エバテート」シリーズ等、東ソー(株)製の「ウルトラセン」シリーズ等、プライムポリマー製の「プライムTPO」シリーズ(例えば、E−2900H、F−3900H、E−2900、F−3900、J−5900、E−2910、F−3910、J−5910、E−2710、F−3710、J−5910、E−2740、F−3740、R110MP、R110E、T310E、M142E等)等も用いることができる。
−熱可塑性樹脂−
(ポリエステル系熱可塑性樹脂)
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、前述のポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリエステルを挙げることができる。
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ−3−ブチル酪酸、ポリヒドロキシ−3−ヘキシル酪酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステルなどを例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の観点から、ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
(ポリエステル系熱可塑性樹脂)
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、前述のポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリエステルを挙げることができる。
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ−3−ブチル酪酸、ポリヒドロキシ−3−ヘキシル酪酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステルなどを例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の観点から、ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
ポリエステル系熱可塑性樹脂の市販品としては、例えば、ポリプラスチック(株)製の「ジュラネックス」シリーズ(例えば、2000、2002等)、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製の「ノバデュラン」シリーズ(例えば、5010R5、5010R3−2等)、東レ(株)製の「トレコン」シリーズ(例えば、1401X06、1401X31等)等を用いることができる。
(ポリアミド系熱可塑性樹脂)
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、前述のポリアミド系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリアミドを挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ε−カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド6)、ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド11)、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド12)、ジアミンと二塩基酸とを重縮合したポリアミド(アミド66)、メタキシレンジアミンを構成単位として有するポリアミド(アミドMX)等を例示することができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、前述のポリアミド系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリアミドを挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ε−カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド6)、ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド11)、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド(アミド12)、ジアミンと二塩基酸とを重縮合したポリアミド(アミド66)、メタキシレンジアミンを構成単位として有するポリアミド(アミドMX)等を例示することができる。
アミド6は、例えば、{CO−(CH2)5−NH}nで表すことができる。アミド11は、例えば、{CO−(CH2)10−NH}nで表すことができる。アミド12は、例えば、{CO−(CH2)11−NH}nで表すことができる。アミド66は、例えば、{CO(CH2)4CONH(CH2)6NH}nで表すことができる。アミドMXは、例えば、下記構造式(A−1)で表すことができる。ここで、nは繰り返し単位数を表す。
アミド6の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、1022B、1011FB等)を用いることができる。アミド11の市販品としては、例えば、アルケマ(株)製の「Rilsan B」シリーズを用いることができる。アミド12の市販品としては、例えば、宇部興産(株)製の「UBEナイロン」シリーズ(例えば、3024U、3020U、3014U等)を用いることができる。アミド66の市販品としては、例えば、旭化成(株)製の「レオナ」シリーズ(例えば、1300S、1700S等)を用いることができる。アミドMXの市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製の「MXナイロン」シリーズ(例えば、S6001、S6021、S6011等)を用いることができる。
ポリアミド系熱可塑性樹脂は、上記の構成単位のみで形成されるホモポリマーであってもよく、上記の構成単位と他のモノマーとのコポリマーであってもよい。コポリマーの場合、各ポリアミド系熱可塑性樹脂における上記構成単位の含有率は、40質量%以上であることが好ましい。
(ポリオレフィン系熱可塑性樹脂)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、前述のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリオレフィンを挙げることができる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂、ポリブタジエン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の点から、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系熱可塑性樹脂の具体例としては、プロピレンホモ重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体等が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、前述のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのハードセグメントを形成するポリオレフィンを挙げることができる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂、ポリブタジエン系熱可塑性樹脂等を例示することができる。これらの中でも、耐熱性及び加工性の点から、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系熱可塑性樹脂の具体例としては、プロピレンホモ重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体等が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数3〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。
−他の成分−
樹脂材料は、樹脂以外にも、効果を損なわない範囲で添加剤等の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、ゴム、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ等)、老化防止剤、オイル、可塑剤、発色剤、耐候剤等が挙げられる。
樹脂材料は、樹脂以外にも、効果を損なわない範囲で添加剤等の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、ゴム、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ等)、老化防止剤、オイル、可塑剤、発色剤、耐候剤等が挙げられる。
<タイヤの作製>
次に、タイヤ10の製造方法の一例を説明する。
まず、公知のタイヤ成形ドラム(不図示)の外周に、未加硫のインナーライナー16、未加硫のサイド補強ゴム24、未加硫のゴム材料を含むカーカス14、ビードコア26、及びビードフィラー28を有する未加硫のタイヤケースを形成する。
次に、タイヤ10の製造方法の一例を説明する。
まず、公知のタイヤ成形ドラム(不図示)の外周に、未加硫のインナーライナー16、未加硫のサイド補強ゴム24、未加硫のゴム材料を含むカーカス14、ビードコア26、及びビードフィラー28を有する未加硫のタイヤケースを形成する。
一方、ベルト層40は、以下のようにして形成する。
具体的には、ベルト成形ドラム(図示せず)の外周面に向かって樹脂被覆コード42を送り出す。樹脂被覆コード42は、熱風により加熱され被覆樹脂42Sが溶融した状態でベルト成形ドラムの外周面に押し付けられ、その後冷却される。このようにして、樹脂被覆コード42をベルト成形ドラムの外周面に螺旋状に巻き付けると共に該外周面に押し付けていくことで、ベルト成形ドラムの外周面に樹脂被覆コード42の層が形成される。
具体的には、ベルト成形ドラム(図示せず)の外周面に向かって樹脂被覆コード42を送り出す。樹脂被覆コード42は、熱風により加熱され被覆樹脂42Sが溶融した状態でベルト成形ドラムの外周面に押し付けられ、その後冷却される。このようにして、樹脂被覆コード42をベルト成形ドラムの外周面に螺旋状に巻き付けると共に該外周面に押し付けていくことで、ベルト成形ドラムの外周面に樹脂被覆コード42の層が形成される。
次に、樹脂被覆コード42が冷却されて被覆樹脂42Sが固化したベルト層40を、ベルト成形ドラムから取り外す。そして、取り外したベルト層40の内周面に、必要に応じて接着剤を塗布した後、タイヤ成形ドラムにおける前記未加硫のタイヤケースの径方向外側に上記ベルト層40を配置する。その後、未加硫のタイヤケースを拡張し、タイヤケースの外周面、言い換えればカーカス14の外周面を、ベルト層40の内周面に圧着する。
最後に、ベルト層40の外周面に、必要に応じて接着剤を塗布した後、未加硫のトレッド20を貼り付け、生タイヤが完成する。
このようにして製造された生タイヤは、加硫成形モールドで加硫成形され、タイヤ10が完成する。
最後に、ベルト層40の外周面に、必要に応じて接着剤を塗布した後、未加硫のトレッド20を貼り付け、生タイヤが完成する。
このようにして製造された生タイヤは、加硫成形モールドで加硫成形され、タイヤ10が完成する。
以上、本開示における実施形態の一例を説明したが、本開示はこれら実施形態に限定されるものではなく、他の種々の実施形態が可能である。
なお、本開示の一実施形態は、以下に示す態様が含まれる。
<1> 一対のビードコアと、
前記一対のビードコアに跨り、端部が前記ビードコアに係止されたカーカスと、
前記カーカスのタイヤ内面側に設けられたインナーライナーであって、前記インナーライナーに含まれるゴムの総量に対しジエン系ゴムの含有率が20質量%以上であるインナーライナーと、
タイヤサイド部の前記カーカスと前記インナーライナーとの間に前記インナーライナーと直接接して設けられ、前記カーカスの内面に沿ってタイヤ径方向に延びるサイド補強ゴム層と、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に設けられ、コードと前記コードを被覆し樹脂を含むコード被覆層とを有するベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側に設けられたトレッドと、
を備えるランフラットタイヤ。
<2> 前記インナーライナーに含まれるジエン系ゴムは、天然ゴムを含有する<1>に記載のランフラットタイヤ。
<3> 前記インナーライナーは、ブチル系ゴムをさらに含む<1>又は<2>に記載のランフラットタイヤ。
<4> 前記サイド補強ゴム層は、ジエン系ゴムを含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
<5> 前記ビードコアからタイヤ径方向外側へ前記カーカスの外面に沿って延びるように配置され、樹脂を含むビードフィラーをさらに備えた<1>〜<4>のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
<6> 前記ビードコアは、ビードワイヤと前記ビードワイヤを被覆し樹脂を含むビード被覆層とを有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
<1> 一対のビードコアと、
前記一対のビードコアに跨り、端部が前記ビードコアに係止されたカーカスと、
前記カーカスのタイヤ内面側に設けられたインナーライナーであって、前記インナーライナーに含まれるゴムの総量に対しジエン系ゴムの含有率が20質量%以上であるインナーライナーと、
タイヤサイド部の前記カーカスと前記インナーライナーとの間に前記インナーライナーと直接接して設けられ、前記カーカスの内面に沿ってタイヤ径方向に延びるサイド補強ゴム層と、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に設けられ、コードと前記コードを被覆し樹脂を含むコード被覆層とを有するベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側に設けられたトレッドと、
を備えるランフラットタイヤ。
<2> 前記インナーライナーに含まれるジエン系ゴムは、天然ゴムを含有する<1>に記載のランフラットタイヤ。
<3> 前記インナーライナーは、ブチル系ゴムをさらに含む<1>又は<2>に記載のランフラットタイヤ。
<4> 前記サイド補強ゴム層は、ジエン系ゴムを含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
<5> 前記ビードコアからタイヤ径方向外側へ前記カーカスの外面に沿って延びるように配置され、樹脂を含むビードフィラーをさらに備えた<1>〜<4>のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
<6> 前記ビードコアは、ビードワイヤと前記ビードワイヤを被覆し樹脂を含むビード被覆層とを有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
以下、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。なお、特に断りのない限り「部」は質量基準を表す。
[実施例1]
<被覆樹脂コードの作製>
平均直径φ1.15mmのマルチフィラメント(φ0.35mmのモノフィラメント(スチール製、強力:280N、伸度:3%)7本を撚った撚り線)に、加熱溶融した接着剤(三菱ケミカル株式会社製、無水マレイン酸変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、品名:プリマロイ−AP GQ730)を付着させる。次いで、その外周に、押出機にて押し出した被覆樹脂(東レ・デュポン社製、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、品名:ハイトレル5557)を付着させて被覆し、冷却する。なお、押出条件は、金属部材の温度を200℃、被覆樹脂の温度を240℃、押出速度を30m/分とする。以上のようにして、被覆樹脂コードを作製する。
<被覆樹脂コードの作製>
平均直径φ1.15mmのマルチフィラメント(φ0.35mmのモノフィラメント(スチール製、強力:280N、伸度:3%)7本を撚った撚り線)に、加熱溶融した接着剤(三菱ケミカル株式会社製、無水マレイン酸変性ポリエステル系熱可塑性エラストマー、品名:プリマロイ−AP GQ730)を付着させる。次いで、その外周に、押出機にて押し出した被覆樹脂(東レ・デュポン社製、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、品名:ハイトレル5557)を付着させて被覆し、冷却する。なお、押出条件は、金属部材の温度を200℃、被覆樹脂の温度を240℃、押出速度を30m/分とする。以上のようにして、被覆樹脂コードを作製する。
<未加硫のインナーライナーの作製>
下記成分をバンバリミキサー((株)神戸製鋼製、MIXTRON BB MIXER)で混練してシート形状に成形し、未加硫のインナーライナーを作製する。
・天然ゴム(表1中の「NR(PHR)」):RSS#3・・・20質量部
・ブロモブチルゴム(表1中の「Br−IIR(PHR)」、ブロモブチル2225 商標:エクソン社製)・・・80質量部
・カーボンブラック N660(商標:Degissa製)・・・45質量部
・扁平クレー(POLYFIL DL 商標:J.H.Huber製)・・・30質量部
・プロセス油(アロマオイルAROMAX #1 商標:富士興産(株)製)・・・2質量部
下記成分をバンバリミキサー((株)神戸製鋼製、MIXTRON BB MIXER)で混練してシート形状に成形し、未加硫のインナーライナーを作製する。
・天然ゴム(表1中の「NR(PHR)」):RSS#3・・・20質量部
・ブロモブチルゴム(表1中の「Br−IIR(PHR)」、ブロモブチル2225 商標:エクソン社製)・・・80質量部
・カーボンブラック N660(商標:Degissa製)・・・45質量部
・扁平クレー(POLYFIL DL 商標:J.H.Huber製)・・・30質量部
・プロセス油(アロマオイルAROMAX #1 商標:富士興産(株)製)・・・2質量部
<未加硫のサイド補強ゴムの作製>
下記成分をバンバリミキサー((株)神戸製鋼製、MIXTRON BB MIXER)で混練して成形し、未加硫のサイド補強ゴムを作製する。
・天然ゴム:RSS#3・・・25量部
・ブタジエンゴム(BR):BR502、JSR社製・・・75質量部
・カーボンブラック:FEF、旭カーボン社製・・・60質量部
・老化防止剤:アンチゲン6C、住友化学社製・・・2質量部
・加硫促進剤:ノクセラーNS−P、大内新興化学工業社製・・・3質量部
・加硫促進剤:ノクセラーTOT−N、大内新興化学工業社製・・・2質量部
・硫黄・・・5質量部
下記成分をバンバリミキサー((株)神戸製鋼製、MIXTRON BB MIXER)で混練して成形し、未加硫のサイド補強ゴムを作製する。
・天然ゴム:RSS#3・・・25量部
・ブタジエンゴム(BR):BR502、JSR社製・・・75質量部
・カーボンブラック:FEF、旭カーボン社製・・・60質量部
・老化防止剤:アンチゲン6C、住友化学社製・・・2質量部
・加硫促進剤:ノクセラーNS−P、大内新興化学工業社製・・・3質量部
・加硫促進剤:ノクセラーTOT−N、大内新興化学工業社製・・・2質量部
・硫黄・・・5質量部
<未加硫のトレッドの作製>
下記成分をバンバリミキサー((株)神戸製鋼製、MIXTRON BB MIXER)で混練してシート形状に成形し、未加硫のトレッドを作製する。
・天然ゴム:RSS#3・・・50質量部
・スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR):#1500(乳化重合SBR)、JSR社製・・・50質量部
・カーボンブラック:ISAF、旭カーボン社製・・・50質量部
・老化防止剤:アンチゲン6C、住友化学社製・・・1質量部
・加硫促進剤:ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製・・・0.5質量部
・加硫促進剤:ノクセラーDM、大内新興化学工業社製・・・1質量部
・加硫促進剤:ノクセラーD、大内新興化学工業社製・・・0.5質量部
・硫黄・・・1.5質量部
下記成分をバンバリミキサー((株)神戸製鋼製、MIXTRON BB MIXER)で混練してシート形状に成形し、未加硫のトレッドを作製する。
・天然ゴム:RSS#3・・・50質量部
・スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR):#1500(乳化重合SBR)、JSR社製・・・50質量部
・カーボンブラック:ISAF、旭カーボン社製・・・50質量部
・老化防止剤:アンチゲン6C、住友化学社製・・・1質量部
・加硫促進剤:ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製・・・0.5質量部
・加硫促進剤:ノクセラーDM、大内新興化学工業社製・・・1質量部
・加硫促進剤:ノクセラーD、大内新興化学工業社製・・・0.5質量部
・硫黄・・・1.5質量部
<タイヤの作製>
前述の実施形態に従って、未加硫のタイヤケース及びベルト層を作製する。
なお、ビードコアとしては、図2に示すように、被覆樹脂(ポリエステル系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン社製、品名:ハイトレル5557)に被覆された1本のスチールワイヤー(φ2.1mm)を巻回したものを用いる。また、ビードフィラーとしては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン社製、品名:ハイトレル5557)からなるビードフィラーを用いる。また、カーカスとしては、有機繊維コードをジエン系ゴム(天然ゴム)で被覆したものを用いる。
ベルト層を未加硫のタイヤケースの外周面に設置し、ベルト層の外周に未加硫のトレッドを巻きつけ、生タイヤを得る。そして、得られた生タイヤを160℃で20分間加熱することで加硫し、タイヤを得る。
前述の実施形態に従って、未加硫のタイヤケース及びベルト層を作製する。
なお、ビードコアとしては、図2に示すように、被覆樹脂(ポリエステル系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン社製、品名:ハイトレル5557)に被覆された1本のスチールワイヤー(φ2.1mm)を巻回したものを用いる。また、ビードフィラーとしては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン社製、品名:ハイトレル5557)からなるビードフィラーを用いる。また、カーカスとしては、有機繊維コードをジエン系ゴム(天然ゴム)で被覆したものを用いる。
ベルト層を未加硫のタイヤケースの外周面に設置し、ベルト層の外周に未加硫のトレッドを巻きつけ、生タイヤを得る。そして、得られた生タイヤを160℃で20分間加熱することで加硫し、タイヤを得る。
<評価>
(ランフラット走行性(耐久性)評価)
ISO規格に基づいた室内ドラム試験において、内圧0kPaで速度80km/hでランフラット走行させる。タイヤ故障または支持体故障により走行が不可能になるまでの走行距離を測定し、比較例1における走行距離を100としたときの指数を求める。結果を表1に示す。なお、指数が大きいほどランフラット走行性(すなわち耐久性)が良好であることを示す。
(ランフラット走行性(耐久性)評価)
ISO規格に基づいた室内ドラム試験において、内圧0kPaで速度80km/hでランフラット走行させる。タイヤ故障または支持体故障により走行が不可能になるまでの走行距離を測定し、比較例1における走行距離を100としたときの指数を求める。結果を表1に示す。なお、指数が大きいほどランフラット走行性(すなわち耐久性)が良好であることを示す。
(内圧保持性評価)
成型タイヤをリム組みし、内圧0.3MPaとなるようにタイヤ内に空気を充満させて得られるタイヤを、40℃/50%RHの環境下に保持した状態で恒温恒湿槽に3ヶ月放置する。放置前の内圧に対する放置後の内圧の割合から内圧保持率を求め、比較例1における内圧保持率を100としたときの指数を求める。結果を表1に示す。なお、指数が大きいほど内圧保持性が良好であることを示す。
成型タイヤをリム組みし、内圧0.3MPaとなるようにタイヤ内に空気を充満させて得られるタイヤを、40℃/50%RHの環境下に保持した状態で恒温恒湿槽に3ヶ月放置する。放置前の内圧に対する放置後の内圧の割合から内圧保持率を求め、比較例1における内圧保持率を100としたときの指数を求める。結果を表1に示す。なお、指数が大きいほど内圧保持性が良好であることを示す。
[実施例2]
未加硫のインナーライナーの作製において、天然ゴムの添加量を50質量部とし、ブロモブチルゴムの添加量を50質量部とする以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及び評価を行う。
未加硫のインナーライナーの作製において、天然ゴムの添加量を50質量部とし、ブロモブチルゴムの添加量を50質量部とする以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及び評価を行う。
[実施例3]
未加硫のインナーライナーの作製において、天然ゴムの添加量を80質量部とし、ブロモブチルゴムの添加量を20質量部とする以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及び評価を行う。
未加硫のインナーライナーの作製において、天然ゴムの添加量を80質量部とし、ブロモブチルゴムの添加量を20質量部とする以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及び評価を行う。
[比較例1]
被覆樹脂コードの作製において、被覆樹脂の代わりに被覆ゴム(天然ゴム)を用い、未加硫のインナーライナーの作製において、天然ゴムの添加量を0質量部、ブロモブチルゴムの添加量を100質量部とし、ビードコアにおける被覆樹脂の代わりに被覆ゴム(天然ゴム)を用い、ビードフィラーとしてゴム(天然ゴム)からなるビードフィラーを用いる以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及評価を行う。
被覆樹脂コードの作製において、被覆樹脂の代わりに被覆ゴム(天然ゴム)を用い、未加硫のインナーライナーの作製において、天然ゴムの添加量を0質量部、ブロモブチルゴムの添加量を100質量部とし、ビードコアにおける被覆樹脂の代わりに被覆ゴム(天然ゴム)を用い、ビードフィラーとしてゴム(天然ゴム)からなるビードフィラーを用いる以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及評価を行う。
[比較例2]
被覆樹脂コードの作製において、被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードコアにおける被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードフィラーとしてゴムからなるビードフィラーを用いる以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及評価を行う。
被覆樹脂コードの作製において、被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードコアにおける被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードフィラーとしてゴムからなるビードフィラーを用いる以外は、実施例1と同様にしてタイヤの作製及評価を行う。
[比較例3]
被覆樹脂コードの作製において、被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードコアにおける被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードフィラーとしてゴムからなるビードフィラーを用いる以外は、実施例2と同様にしてタイヤの作製及評価を行う。
被覆樹脂コードの作製において、被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードコアにおける被覆樹脂の代わりに被覆ゴムを用い、ビードフィラーとしてゴムからなるビードフィラーを用いる以外は、実施例2と同様にしてタイヤの作製及評価を行う。
なお、上記表1に示す耐久性評価及び内圧保持性評価の数値は、いずれもシミュレーションによる予測データである。
2018年11月8日に出願された日本国特許出願2018−210297号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に取り込まれる。
符号の説明は、以下の通りである。
10…タイヤ(ランフラットタイヤ)、 12…ビード部、 14…カーカス、 16…インナーライナー、 18…トレッド部、 20…トレッド、 22…タイヤサイド部、24…サイド補強ゴム、 26…ビードコア、 28…ビードフィラー、 30…リム、 40…ベルト層、 42…樹脂被覆コード
10…タイヤ(ランフラットタイヤ)、 12…ビード部、 14…カーカス、 16…インナーライナー、 18…トレッド部、 20…トレッド、 22…タイヤサイド部、24…サイド補強ゴム、 26…ビードコア、 28…ビードフィラー、 30…リム、 40…ベルト層、 42…樹脂被覆コード
Claims (6)
- 一対のビードコアと、
前記一対のビードコアに跨り、端部が前記ビードコアに係止されたカーカスと、
前記カーカスのタイヤ内面側に設けられたインナーライナーであって、前記インナーライナーに含まれるゴムの総量に対しジエン系ゴムの含有率が20質量%以上であるインナーライナーと、
タイヤサイド部の前記カーカスと前記インナーライナーとの間に前記インナーライナーと直接接して設けられ、前記カーカスの内面に沿ってタイヤ径方向に延びるサイド補強ゴム層と、
前記カーカスのタイヤ径方向外側に設けられ、コードと前記コードを被覆し樹脂を含むコード被覆層とを有するベルト層と、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側に設けられたトレッドと、
を備えるランフラットタイヤ。 - 前記インナーライナーに含まれるジエン系ゴムは、天然ゴムを含有する請求項1に記載のランフラットタイヤ。
- 前記インナーライナーは、ブチル系ゴムをさらに含む請求項1又は請求項2に記載のランフラットタイヤ。
- 前記サイド補強ゴム層は、ジエン系ゴムを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
- 前記ビードコアからタイヤ径方向外側へ前記カーカスの外面に沿って延びるように配置され、樹脂を含むビードフィラーをさらに備えた請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
- 前記ビードコアは、ビードワイヤと前記ビードワイヤを被覆し樹脂を含むビード被覆層とを有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
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JP3848771B2 (ja) * | 1998-01-09 | 2006-11-22 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
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JP2007069745A (ja) * | 2005-09-07 | 2007-03-22 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 空気入りタイヤ |
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