以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
実施の形態1.
まず図1〜図3を用いて、本実施の形態の第1例のリアクトルについて説明する。なお、説明の便宜のため、X方向、Y方向、Z方向が導入されている。具体的には、X方向は水平方向であり、Y方向は奥行き方向である。またZ方向は鉛直方向である。図1は実施の形態1の第1例に係るリアクトルに含まれる各部材の配置態様を示す概略斜視図である。図2は実施の形態1の第1例に係るリアクトルの完成品の外観態様を示す概略斜視図である。すなわち図1のように配置される各部材を組み立てて完成させたものが図2に示される。
図1および図2を参照して、実施の形態1の第1例に係るリアクトル101は、第1のケース10と、コア片20と、コイル30とを主に有している。第1のケース10は、リアクトル101のコア片20により形成される閉ループ、または閉ループ状の閉磁路の一部としての形状を有している。具体的には、第1のケース10は、平面視においてX方向に沿って延びる部分と、Y方向に沿って延びる部分とを有している。第1のケース10は、X方向に沿って延びる部分のX方向に関する一方の端部、およびその反対側の他方の端部において屈曲し、そこからY方向正側に向けて延びている。すなわち第1のケース10は、1つのX方向に沿って延びる部分と、その両端部が屈曲され形成された2つのY方向に沿って延びる部分とを有している。さらに言い換えれば、第1のケース10は平面視においてU字形状を有している。第1のケース10は、2つのY方向に沿って延びる部分の、X方向に沿って延びる部分側と反対側の端部が、他と繋がることなく開放されている。
第1のケース10は、第1のケース外枠部11を外枠とし、その内部はコア片20などが収納可能な中空となっている。すなわち第1のケース外枠部11は、第1のケース10を構成する筐体の部分である。第1のケース外枠部11は、第1のケース収納部11Aと、第1のケース蓋部11Bとを含んでいる。第1のケース収納部11Aおよび第1のケース蓋部11Bは、第1のケース外枠部11すなわち第1のケース10の筐体の部分である。このため第1のケース収納部11Aおよび第1のケース蓋部11Bは、いずれも1つのX方向に沿って延びる部分と、その両端部が屈曲され形成された2つのY方向に沿って延びる部分とを有している。すなわち第1のケース収納部11Aおよび第1のケース蓋部11Bは、いずれも平面視においてU字形状を有している。第1のケース収納部11Aは、後述のコア片20を収納可能な第1のケース外枠部11の本体の部分である。第1のケース蓋部11Bは、第1のケース収納部11Aのたとえば図1のZ方向の最上部にある、第1のケース収納部11Aの内壁面を外部に露出する部分を覆う。第1のケース蓋部11Bで覆うことにより、図2に示すように、第1のケース収納部11Aの内壁面、および第1のケース収納部11Aの内部のコア片20が外側から視認できなくなる。
第1のケース外枠部11の内部には、複数の仕切り12が配置されている。このため第1のケース10は、第1のケース外枠部11と、仕切り12とを含む。仕切り12は、第1のケース収納部11Aの内部に収納された後述の複数のコア片20のうち隣り合う1対のコア片20の間を区画する壁面として配置されている。第1のケース収納部11Aの2つのY方向に沿って延びる部分のそれぞれの内部には、Y方向に関して間隔をあけて複数の仕切り12が配置される。これらのうちY方向にて互いに隣り合う1対の仕切り12に挟まれた領域ごとに1つずつのコア片20が配置される。
コア片20は、複数の第1のコア片21と、第2のコア片22とを有している。複数の第1のコア片21は、第1のケース10内に配置される。すなわちリアクトル101において、複数の第1のコア片21は、第1のケース収納部11Aの内部に収納される。
より具体的には、複数の第1のコア片21は、図1に示すように、単一の第1のコア片21Aと、複数の第1のコア片21Bと、複数の第1のコア片21Cとを含んでいる。単一の第1のコア片21Aは、図1に示すように、第1のケース収納部11Aの内部のうち、第1のケース10としての第1のケース外枠部11がX方向に沿って延びる部分に収まる。このため第1のコア片21Aは、たとえば細長い直方体状を有している。第1のケース収納部11AがX方向に沿って延びる部分と、これがY方向に沿って延びる部分との間には仕切り12が配置されている。仕切り12により、第1のケース収納部11A内の第1のコア片21Aは、他の第1のコア片21Bなどと間隔をあけるように区画される。
これに対し、複数の第1のコア片21Bおよび複数の第1のコア片21Cは、図1に示すように、X方向に沿う寸法とY方向に沿う寸法とがほぼ等しいか、あるいはわずかの差を有する、第1のコア片21Aよりも延びる長さの短い直方体状を有している。複数の第1のコア片21B,21Cは、第1のケース収納部11Aの内部のうち、第1のケース10としての第1のケース外枠部11がY方向に沿って延びる部分に収まる。図1においては、第1のコア片21BはX方向の左側の第1のケース外枠部11がY方向に沿って延びる部分に収まる。第1のコア片21CはX方向の右側の第1のケース外枠部11がY方向に沿って延びる部分に収まる。
上記のように、第1のケース収納部11AのうちY方向に沿って延びる部分には、Y方向に関して間隔をあけて複数の仕切り12が配置される。第1のケース収納部11AのうちY方向に沿って延びる部分に配置される複数の第1のコア片21B,21Cのそれぞれは、それらのうち隣り合う1対の第1のコア片21の間に配置される仕切り12により、Y方向について互いに間隔をあけて配置するように区画される。言い換えれば、仕切り12により区画される隣り合う1対の第1のコア片21B,21Cは、Y方向について空隙を介して対向している。
以上より、仕切り12は、第1のケース外枠部11すなわち第1のケース収納部11Aの内部で、複数の第1のコア片21A,21B,21Cのうち隣り合う1対の第1のコア片21A,21B,21Cの間を区画する。また第1のケース外枠部11のうちの第1のケース収納部11Aは、複数の第1のコア片21A,21B,21Cを収納可能な第1のケース外枠部11の部分である。第1のケース外枠部11のうちの第1のケース蓋部11Bは、第1のケース収納部11Aの内部の空間を覆う第1のケース外枠部11の部分である。これによりリアクトル101では、第1のコア片21は、特にZ方向について第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとに挟まれる態様となる。このように第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとが第1のコア片21を挟持することにより、第1のコア片21が第1のケース外枠部11から動かないように容易に第1のコア片21を保持することができる。
なお図1においては、第1のコア片21Aは1つである。これに対し図1では、第1のコア片21Bは左側の第1のケース外枠部11がY方向に沿って延びる部分に3つ配置される。また図1では、第1のコア片21Cは右側の第1のケース外枠部11がY方向に沿って延びる部分に3つ配置される。しかし第1のコア片21はこの数に限定するものではない。第1のケース外枠部11の内部に収納される第1のコア片21Aおよび第1のコア片21B,21Cの数、およびそれぞれの第1のコア片21Aおよび第1のコア片21B,21Cのサイズを図1に対して変更することができる。なおたとえば第1のコア片21Cのみを図1から変更してもよい。ただしこれを変更した場合においても、図1の場合における各第1のコア片21間の間隙すなわちコアギャップについて、閉磁路の延びる方向に沿う方向のコアギャップの寸法の総和と、変更された各第1のコア片21間のコアギャップの寸法の総和とがほぼ等しいことが好ましい。
第2のコア片22は、第1のケース10の外側に配置される。第2のコア片22は、第1のケース10内の複数の第1のコア片21と併せて、閉ループ状の閉磁路となるように配置されている。すなわち第2のコア片22は、第1のケース10の2つのY方向に沿って延びる部分の開放された端部同士を繋ぐようにX方向に沿って延びるように形成された、細長い直方体状である。
上記のように配置される第2のコア片22と、第1のケース収納部11A内の複数の第1のコア片21A,21B,21Cとによりコア片20の全体が構成される。第1のコア片21A,21B,21Cと、第2のコア片22とを併せたコア片20の全体は、仕切り12により寸断されたコアギャップの部分を無視すれば、概ね平面視において環状である閉ループ状の矩形を形成する。したがって、第1のコア片21A,21B,21Cと、第2のコア片22とを併せたコア片20の全体は、閉磁路を構成する。
なお図1においては、第1のコア片21A〜21Cおよび第2のコア片22はいずれも直方体状であり、角部はほぼ直角となるように形成されている。ただしリアクトル100の小型化または軽量化が必要な場合には、電気的特性に影響のない範囲で第1のコア片21A〜21Cおよび第2のコア片22の集合した全体において角部になる部分が、直角以外の形状となってもよい。たとえば上記全体において角部になる部分は、直角に対して45°の角度を有する平面を形成するいわゆるC面形状とされてもよい。あるいは上記角部になる部分は、球面状のいわゆるR面形状とされてもよい。この場合には、コア片20の形状がそのように変更されることに併せて第1のケース10すなわち第1のケース外枠部11の角部についても同様にC面形状またはR面形状となるように変形される。
リアクトル101では、第1のコア片21A,21B,21Cは第1のケース10内に収まる。これに対しリアクトル101では、第2のコア片22はケースの外に露出するように配置される。第1のコア片21A,21B,21Cが収納された第1のケース10の第1のケース外枠部11と、第2のコア片22とは、固定部材31により固定されている。
コイル30は、閉磁路としてのコア片20の一部に巻回される。より具体的には、第1のケース外枠部11の内部に配置される第1のコア片21B,21CのY方向に沿って延びる部分に、コイル30が巻回されている。その結果、巻回された当該コイル30の1つのターンは、Y方向に交差する断面に沿うように配置されている。コイル30は第1のコア片21B,21Cを収納する第1のケース外枠部11の部分の外側からこれを巻回するように配置される。図2においては概略的に、コイル30は第1のケース外枠部11の周囲を矩形状に巻回するように示される。しかしこれに限らず、コイル30は第1のケース外枠部11の周囲を円形状または楕円形状に巻回するように示されてもよい。ただしエッジワイズコイルのような、機械的強度の高いコイル30を使用する場合には、コイル30の内側となるコイル30の巻線に囲まれる空間部分の断面の大きさおよび形状を、コイル30に巻回される第1のケース外枠部11の断面の大きさおよび形状になるべく近づけることが好ましい。これにより、第1のケース外枠部11の外側に巻回されたコイル30を挿入する際に、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとを外側から巻回するコイル30が上下側および左右側から挟み込む態様となる。したがってコイル30により、第1のケース収納部11Aおよび第1のケース蓋部11Bを固定することができる。
リアクトル101においては第1のケース10が平面視にてU字形状を有している。このためリアクトル101においては第1のケース10が2つのY方向に延びる部分を有している。これら2つのY方向正側に向けて延びる部分のそれぞれの外側から、これを巻回するようにコイル30が巻回されている。2つの巻回されたコイル30同士は、直列接続または並列接続される。これら2つのコイル30を直列接続した場合には、当該コイル30のインダクタンス値を大きくすることができる。一方、これら2つのコイル30を並列接続した場合には、当該コイル30で発生する損失を低減することができる。リアクトル100が必要とする電気的特性に応じて、2つのコイル30を直列接続するかあるいは並列接続するかが選択される。
図3は図2のIII−III線に沿う部分の概略断面図である。すなわち図3においては、リアクトル101として完成した状態における第1のケース10の内部の一部の態様を示している。図3を参照して、リアクトル101においては、第1のケース10が、複数の第1のコア片21を収納可能な第1のケース外枠部11と、当該第1のケース外枠部11の内部に配置される仕切り12としての第1のケース仕切り部12Aとが一体となっている。
すなわちリアクトル101においては、仕切り12が、第1のケース10の筐体としての第1のケース外枠部11の部分と一体となるように形成されている。特にリアクトル101においては、仕切り12としての第1のケース仕切り部12Aが、第1のケース収納部11Aと一体となるように形成されている。すなわち図3では、第1のケース収納部11Aの容器状の形状の内側の収納用の中空部分の一部に、第1のケース収納部11Aと一体として形成された第1のケース仕切り部12Aが複数、たとえばY方向に関して互いに間隔をあけて形成されている。これら複数の第1のケース仕切り部12AのうちY方向に関して互いに隣り合う1対の第1のケース仕切り部12Aの間に挟まれた部分に、第1のコア片21A,21B,21Cが配置されている。図3は図2の右側にて第1のケース10がY方向に延びる部分における断面図であるため、第1のコア片21Aおよび第1のコア片21Cが図示される。しかしたとえば図2の左側にて第1のケース10がY方向に延びる部分における断面図には、第1のコア片21Aおよび第1のコア片21Bが現れる。
このように仕切り12が第1のケース収納部11Aと一体に形成されることにより、第1のケース収納部11Aと一体で仕切り12を成形することができる。このため両者を同一工程で形成することができる。したがってリアクトル101の構成部品数を削減し、製造コストを削減することができる。
図3においては、平面視における第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとのサイズはほぼ等しい。このため図3のように第1のケース蓋部11Bを第1のケース収納部11A上に被せれば、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとは第1のケース接触部11Cにて互いに接触する態様となる。このような態様となった第1のケース外枠部11の全体が、その外側からケース固定用部材41により巻き付けられる。ケース固定用部材41は、たとえば粘着テープにより構成されることが好ましい。
図4は実施の形態1の第2例に係るリアクトルの完成品の外観態様を示す概略斜視図である。図5は図4のリアクトルの第1のケース収納部と第1のケース蓋部との嵌合構造の部分の概略拡大断面図である。図4および図5を参照して、本実施の形態の第2例に係るリアクトル102は、大筋で第1例に係るリアクトル101と同様の構成を有している。このためリアクトル102についてリアクトル101と同様の構成部材については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただしリアクトル102においては第1のケース蓋部11Bの大きさにおいてリアクトル101と異なっている。
具体的には、リアクトル102においては、平面視における第1のケース収納部11Aのサイズに比べて、第1のケース蓋部11Bとのサイズが大きい。このため第1のケース蓋部11Bを第1のケース収納部11Aの上に被せても、第1のケース接触部11Cは形成されない。そこでリアクトル102では、第1のケース収納部11Aと、第1のケース蓋部11Bとが、図5中の点線で囲まれた領域に示すような、いわゆるスナップフィット構造13と呼ばれる嵌合機構により嵌合されている。これによりリアクトル102では、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの嵌合強度が、リアクトル101よりも高められる。またこれにより、リアクトル102の耐振動性を向上することができる。
図6は実施の形態1の第3例に係るリアクトルの完成品の外観態様を示す概略斜視図である。図6を参照して、本実施の形態の第3例に係るリアクトル103は、大筋で第1例に係るリアクトル101と同様の構成を有している。このためリアクトル103についてリアクトル101と同様の構成部材については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただしリアクトル103においては第1のケース外枠部11の平面形状においてリアクトル101と異なっている。
具体的には、リアクトル103の第1のケース10の外枠としての第1のケース外枠部11は、平面視においてX方向に沿って延びる部分と、Y方向に沿って延びる部分とを有している。第1のケース10は、X方向に沿って延びる部分のX方向に関する一方の端部、およびその反対側の他方の端部において屈曲し、そこからY方向正側に向けて延びている。さらに第1のケース10は、X方向に沿って延びる部分の中央部からY方向正側に向けて延びる部分を有する。すなわちリアクトル103は、リアクトル101の構成と比較して、X方向に沿って延びる部分の中央部からY方向正側に向けて延びる部分を有する点において異なっている。言い換えれば、リアクトル103の第1のケース10は平面視においてE字形状を有している。
第1のケース10のX方向に沿って延びる部分の中央部からY方向正側に向けて延びる部分の内部においても、図1と同様に、Y方向に関して間隔をあけて複数の仕切り12を有する。当該複数の仕切り12のうち隣り合う1対の仕切り12の間に第1のコア片21B,21Cと同様のサイズの第1のコア片21が1つずつ配置される。仕切り12が挟まれるため、隣り合う1対の第1のコア片21の間には間隔が設けられる。
図6においては、第1のケース外枠部11の最外部の側面を覆うように、固定部材31が貼られている。固定部材31は外側から、第1のケース外枠部11および第2のコア片22の最外部の側面上に巻き付けるように配置される。これにより第1のケース外枠部11と第2のコア片22とが固定されている。ただし図6においても図1と同様の態様で、すなわち第1のケース外枠部11の端部および第2のコア片22の上面上に貼られるように固定部材31が配置されてもよい。あるいは逆に図1においても図6と同様に固定部材31が配置されてもよい。
リアクトル103においては、第1のケース10のX方向に沿って延びる部分の中央部からY方向正側に向けて延びる部分の外側から、これを巻回するようにコイル30が巻回される。一方、第1のケース10のX方向に沿って延びる部分の一方および他方の端部からY方向正側に向けて屈曲するように延びる部分にはコイル30が巻回されない。このようにリアクトル103においては、単一のコイル30のみが、X方向に関して3つ並ぶY方向に延びる部分のうち例えば中央の当該部分の内部の第1のコア片21のみに巻回されることが好ましい。
ここで、リアクトル101〜103を構成する各部材の材料およびサイズ等について説明する。
第1のケース外枠部11を構成する第1のケース収納部11A、第1のケース蓋部11B、および仕切り12としての第1のケース仕切り部12Aは、いずれも樹脂などの非磁性体材料により構成される。具体的には、上記第1のケース外枠部11等は、ポリプロプレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)、フッ素、フェノール、メラミン、ポリウレタン、エポキシおよびシリコンからなる群から選択されるいずれかにより構成される。
上記第1のケース外枠部11等は、一般的に適用される方法で成形されればよい。すなわち上記第1のケース外枠部11等はたとえば射出成形または3Dプリンタを用いた方法により成形される。
第1のケース外枠部11の特に第1のケース収納部11Aと一体となる仕切り12のY方向に関する厚みは、1mm以下であることが好ましい。仕切り12が厚すぎればコアギャップの幅が過剰に大きくなる。このことは、漏れ磁束による誘導加熱、およびこれに伴うコイル30の発熱につながる。このため仕切り12は比較的薄い1mm以下とすることが好ましい。
一方、第1のケース外枠部11の第1のケース収納部11Aのうち仕切り12を除く最も外側の枠体の部分の厚みは任意である。この部分はリアクトル101などの電気的特性に影響を与えないためである。このため第1のケース外枠部11の強度を確保可能な限り、任意の厚みを適用できる。
また第1のケース収納部11Aのうち、仕切り12を除く最も外側の枠体の部分と、各仕切り12とに囲まれる矩形の空間部分の、平面視におけるX方向またはY方向に沿う寸法は、5mm以上200mm以下が好ましい。当該空間部分のサイズが小さすぎれば、そこへの第1のコア片21Bなどの挿入時の作業性が悪化する。第1のコア片21Bなどと第1のケース外枠部11との間隔が小さくなるため、第1のコア片21Bなどの挿入作業が困難であり、その作業に時間を要するためである。一方、当該空間部分のサイズが大きすぎれば、そこに挿入された第1のコア片21Bなどが第1のケース収納部11A内で動きやすくなる。第1のコア片21Bなどと第1のケース外枠部11との間隔が大きくなるためである。第1のコア片21Bなどが第1のケース収納部11A内で動けば、第1のコア片21Bなどの電気的特性が意図せず変化する恐れがあるためである。この観点から、X方向およびY方向の各方向に関して、第1のコア片21Bとそれが収納される空間部分との寸法の差は第1のコア片21Bのその方向の寸法の5%以内とすることが好ましい。このようにすれば、第1のコア片21Bなどの電気的特性の代表項目であるインダクタンス値のばらつきは、±5%以下程度となる。このばらつきの値は、一般的に規定されるリアクトル101〜103の性能の条件を満たす。
第1のケース収納部11AのZ方向の寸法すなわち高さは、収納されるコア片20のZ方向の寸法の2/3以下であることが好ましい。第1のケース収納部11Aが上記より大きいZ方向の寸法を有すれば、そこへコア片20を配置する際に、コア片20を第1のケース収納部11Aの深い長さ分だけ移動させる必要が生じることにより、その作業性が低下するためである。
次に、第1のコア片21および第2のコア片22からなり、閉磁路を構成するコア片20は以下の材料により構成される。コア片20は軟磁性材料である、ダストコア、フェライトコア、アモルファスコア、ナノ結晶コアからなる群から選択されるいずれかの材料により構成される。より具体的には、コア片20がダストコアからなる場合、コア片20は純鉄、Fe−Si合金、Fe−Si−Al合金、Ni−Fe合金、Ni−Fe−Mo合金からなる群から選択されるいずれかからなる。あるいはコア片20がフェライトコアからなる場合、コア片20はMn−Zn合金またはNi−Zn合金からなる。コア片20の表面には粉末樹脂が塗布されてもよい。このようにすれば、コア片20を他の部材との間で電気的に絶縁することができる。
上記のなかでも特にフェライトコアは衝撃に対して弱く、衝撃により欠けまたは割れが発生する可能性がある。しかしフェライト性のコア片20は樹脂製の第1のケース10内に配置される。このためたとえ外部からの衝撃によりコア片20が第1のケース10の内部の空間部分で動いても、コア片20を破損から保護できる効果が期待できる。万が一たとえばMn−Zn系フェライトのような導電性を有する材料からなるコア片20に欠けまたは割れが発生したとしても、当該コア片20の欠けた部分などが電子基板側に飛散しこれを短絡させる可能性を低減できる。コア片20は第1のケース10の内部の空間部分に配置されるためである。
平面視にてU字形状の第1のケース10を有するリアクトル101,102においては、閉磁路を形成するコア片20の、磁路の方向に交差する部分の形状および断面積はすべてほぼ同じである。すなわち第1のコア片21A,21B,21Cおよび第2のコア片22はすべて、磁路の方向(当該コア片20による磁路の延在方向)に交差する部分の形状および断面積はほぼ同じである。これに対し、平面視にてE字形状の第1のケース10を有するリアクトル103においては、閉磁路を形成するコア片20の磁路の方向に交差する部分の断面積は、領域間にて差異が生じている。具体的には、第1のコア片21A〜21Cは、図6のX方向に延びる部分、およびY方向に延びる3つの部分のうちX方向左端および右端の部分について、すべてほぼ同じ形状および断面積である。また第2のコア片22の磁路が延びるX方向に交差する断面は、上記第1のコア片21A〜21Cとほぼ同じ形状および断面積である。これに対し、図6のY方向に延びる3つの部分のうちX方向の中央に配置される第1のコア片21Bまたは第1のコア片21Cは、他の部分の第1のコア片21および第2のコア片22に比べ、X方向寸法が約2倍である。その結果、図6のY方向に延びる3つの部分のうちX方向の中央に配置される第1のコア片21Bまたは第1のコア片21Cは、他の部分の第1のコア片21および第2のコア片22に比べ、断面積が約2倍である。
第1のケース外枠部11の全体の外形寸法は、X方向およびY方向のそれぞれについて、500mm以下であることが好ましい。また第1のケース外枠部11の全体のZ方向の寸法は100mm以下であることが好ましい。
またいずれのリアクトル101〜103においても、第1のコア片21A〜21Cと、第2のコア片22とは、Z方向の寸法はほぼ同じであることが好ましい。
次に、コイル30は電流が流れる。このためコイル30は、電気抵抗率が低い銅またはアルミニウムなどの材料により形成されることが好ましい。コイル30を構成する導線は、その延びる方向に交差する断面が円形状である比較的太い線形の電線、または当該断面が矩形状である平角線が、第1のケース外枠部11のたとえばY方向に延びる部分の周囲を巻回する。ただしこれらの代わりに、シート状の導体材料が巻回されることによりコイル30が構成されてもよい。
コイル30を構成する導線は、第1のケース外枠部11を螺旋状に巻回する。このためコイル30の各ターンは、Y方向に交差する断面に沿うように、かつY方向に関して1対のターンが隣り合うように、巻回される。コイル30を構成する導線は、螺旋状に巻回される各ターンのうち隣り合う1対のターンの間で短絡しない構成であることが求められる。この観点から、コイル30を構成する導線の表面は絶縁被膜に覆われるか、あるいは絶縁紙に巻かれることが好ましい。この絶縁被膜または絶縁紙は、厚みが0.001mm以上0.1mm以下であることが好ましい。このようにすれば、隣り合う1対のコイル30のターン間の短絡を抑制することができる。
次に、図7〜図10を参照して、第1のケース収納部11Aの内部へのコア片20の固定方法について説明する。
図7は、第1のケース収納部の内部へのコア片の固定方法の第1例を示す概略図である。図7を参照して、第1のケース収納部11Aの内部の、仕切り12により区画された領域の内部に、第1のコア片21Aなどが配置される。そこへZ方向上方から、第1のケース蓋部11Bが被せられる。ここで、第1のケース蓋部11Bのうち第1のケース収納部11Aの内部側、すなわち図7のZ方向下側の表面上には、突起形状42が設けられる。突起形状42はZ方向下方に向けて突起している。第1のケース蓋部11Bが第1のケース収納部11A上に被せられ第1のケース収納部11Aを塞ぐ。これにより、突起形状42は第1のコア片21A上に接触し、これに対してZ方向上方から下方への力を加える。このようにすれば、当該力により、第1のコア片21Aなどは第1のケース収納部11Aの内部に固定される。
図8は、第1のケース収納部の内部へのコア片の固定方法の第2例を示す概略図である。図8を参照して、第1のケース収納部11Aの内部の、仕切り12により区画された領域の内部に、第1のコア片21A,21Bなどが配置される。そこへZ方向上方から、第1のケース蓋部11Bが被せられる。ここで、第1のケース蓋部11Bのうち第1のケース収納部11Aの内部側、すなわち図7のZ方向下側の表面上には、緩衝材43が設けられる。緩衝材43は非磁性体により形成されることが好ましい。緩衝材43は第1のケース蓋部11BのZ方向下側の表面上の全体に層状に形成されていることが好ましいが、当該表面上の一部のみに形成されてもよい。
図7および図8においては第1のケース蓋部11Bが第1のケース収納部11Aとほぼ同じ平面積を有し、両者間に第1のケース接触部11Cが形成されている。しかしこのような例に限られない。たとえば第1のケース蓋部11Bが第1のケース収納部11Aより大きい平面積を有し、両者間がスナップフィット構造13(図5参照)により嵌合される場合においても、上記と同様の突起形状42または緩衝材43が用いられてもよい。
以上においては第1のケース蓋部11Bにより第1のケース収納部11Aの内部が塞がれる例が示されている。しかしこのような例に限らず、第1のケース蓋部11Bを有さなくても、第1のケース収納部11Aの内部への第1のコア片21の固定は可能である。
図9は、第1のケース収納部の内部へのコア片の固定方法の第3例を示す概略図である。図9を参照して、第1のケース収納部11Aの内部の、仕切り12により区画された領域の内部に、接着剤44が配置される。具体的には、第1のケース収納部11Aの内部の、仕切り12により区画された領域の内部の、第1のケース収納部11Aの底面上に、接着剤44が供給される。そこへZ方向上方から、第1のコア片21A,21B,21Cなどが、第1のケース収納部11Aの内部の特に仕切り12により区画された領域の内部に供給される。これにより、第1のコア片21A,21Bなどは第1のケース収納部11Aの内部の底面に接着される。これにより第1のコア片21が第1のケース収納部11Aの内部に固定される。この場合は第1のケース蓋部11Bを有さなくても、第1のケース収納部11Aと第1のコア片21との固定は可能である。
図8および図9により、本実施の形態においては、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方が配置される。第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方により接合される。したがって、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の双方が配置されてもよい。また第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の双方により接合されてもよい。ここで第1のケース外枠部11の内部とは、第1のケース収納部11Aの内部、およびそこに対向するように被せられる第1のケース蓋部11BのZ方向下側表面上との双方を含むものとする。これにより、第1のケース外枠部11と第1のコア片21とを充分な強度で接合できる。
図10は、第1のケース収納部の内部へのコア片の固定方法の第4例を示す概略図である。図10を参照して、まず第1のケース収納部11Aの内部の、仕切り12により区画された領域の内部に、第1のコア片21が配置される。その後、第1のケース収納部11Aの内壁面の一部、特にその内側面のうちZ方向上部の一部の領域に、ケース端部11Dが加工される。ケース端部11Dは第1のケース収納部11Aの内壁面上から、第1のケース収納部11Aの仕切り12で区画された領域の内側に向けて延びる部材である。ケース端部11Dは第1のコア片21の設置後に後付けするように設置されることが好ましい。ただしケース端部11Dは第1のケース収納部11Aに対して外れることのないように強固に固定されることが求められる。またケース端部11Dにより囲まれる領域の平面視による大きさは、第1のケース収納部11A内に収納された第1のコア片21などの平面視による大きさよりも小さい。
このようにすれば、取り付けられたケース端部11Dは、第1のコア片21が第1のケース収納部11Aの内部からZ方向上方に移動しようとする際に障害となる。またケース端部11Dが第1のコア片21のZ方向最上部とほぼ同じ位置にZ方向最下部を有するように形成されれば、ケース端部11Dは第1のコア片21に対しZ方向の上方から下向きの力を加えるように押さえる。この力により、第1のコア片21は第1のケース収納部11Aの内部に留まるように固定される。
図9または図10のように第1のケース蓋部11Bを有さない場合であっても、図9または図10の構成に限られない。たとえば第1のケース収納部11Aの内部に配置された第1のコア片21が、そのZ方向上方から粘着テープで固定されてもよい。
次に、リアクトル101〜103の組立て手順について説明する。まず第1のケース収納部11Aの内部の、仕切り12により区画された領域の内部に、たとえば図7〜図10のいずれかに示すように、第1のコア片21が収納され固定される。次に、図2、図4、図6に示す第2のコア片22が、各図が示すように第1のケース外枠部11のY方向正側の端部に密着される。第2のコア片22と第1のケース外枠部11とは、固定部材31により固定される。固定部材31は、たとえば粘着テープであることが好ましい。しかしこれに限らず、たとえば接着剤であってもよい。
次に、本実施の形態の背景技術について説明したうえで、本実施の形態の作用効果について説明する。
リアクトルに含まれるコアの材料として、損失が小さい材料が用いられることが必要となる。そのように損失を小さくするために、コアで構成される磁路は、その延びる方向についてある間隔ごとに、磁路としてのコアの材料が配置されない空隙の部分すなわちコアギャップが形成される。従来は、コアギャップの閉磁路に沿う方向の寸法を精確に管理するために、切断されたコアの断面を研磨して、隣り合う1対のコア同士がスペーサまたは接着剤により固定する方法が用いられていた。また従来は、複雑な機構部品により各コアを固定する方法などによりリアクトルを生産していた。しかしこの場合、リアクトルを組み立てるための作業時間を多く要した。このため生産性の低下、およびコスト高騰につながるという課題があった。
そこで本実施の形態では、第1のケース10の外枠としての第1のケース外枠部11の内部には、複数の第1のコア片21と、隣り合う1対の第1のコア片21の間を区画する仕切り12とが配置される。また第1のケース10の外側には、第1のケース10内の第1のコア片21と併せて閉ループ状の閉磁路となるように配置される第2のコア片22が配置される。第1のケース外枠部11の内部に仕切り12が配置され、それによって区切られるように複数の第1のコア片21が配置されるため、複数の第1のコア片21の間にコアギャップが設けられた複数の第1のコア片21からなる構造を得ることができる。第1のケース外枠部11の外形寸法を規定し、その中に第1のコア片21を収納するだけで、各複数の第1のコア片21間のコアギャップの総和の値を管理することができる。このため各第1のコア片21間のコアギャップを精確に管理する必要がない。また複雑な機構部品を用いて各第1のコア片21を固定する必要もない。ただ仕切り12を有する第1のケース外枠部11を用いるだけで、リアクトル101〜103を容易に生産することができる。すなわちリアクトル101〜103の生産性を大幅に向上させることができる。
本実施の形態では、仕切り12により区画される、たとえばY方向について隣り合う1対の第1のコア片21B(21C)は、空隙を介して対向していることが好ましい。つまりたとえば仕切り12と第1のコア片21Bとが、図12の寸法GP2,GP3が示すような空隙を介して対向していることが好ましい。ただし複数の仕切り12とそれのY方向に隣接する第1のコア片21Bとの間隔としてのコアギャップが複数形成されるが、その複数のコアギャップのうち少なくとも1つのコアギャップがY方向に互いに間隔をあけるように空隙を有していることが好ましい。複数のコアギャップのうちの一部は空隙を有さず、たとえば仕切り12とそれに隣接する第1のコア片21Bとが互いに接触していてもよい。
言い換えれば、ある仕切り12とY方向に隣接する第1のコア片21B(21C)との間には必ずしも空隙が存在しなくてもよい。たとえば仕切り12とそのY方向に隣接する第1のコア片21Bとに挟まれる領域が複数存在する場合を考える。この場合に、当該複数の挟まれる領域のうちの一部にはY方向に互いに間隔をあけるような空隙が存在し、他の一部には当該空隙が存在せず仕切り12と第1のコア片21Bとが互いに接触する態様であってもよい。このようにすれば、仕切り12を含む第1のケース10の外形寸法により、複数の第1のコア片21Bなどの間隔としてのコアギャップの総和が自動的に決まる。このため第1のケース10内への各第1のコア片21Bの導入時に特に注意を配らなくても、簡単にコアギャップの総和が決まり、リアクトル101〜103のインダクタンスなどの特性を決定することができる。このためリアクトル101〜103を容易に生産することができる。すなわちリアクトル101〜103の生産性を大幅に向上させることができる。
また本実施の形態によれば、上記のように生産性が向上されたリアクトル101〜103の電気的性能を高くすることができる。以下このことについて説明する。
一般的にリアクトルの主要な電気的性能であるインダクタンス値は、コイルの巻数、コアの材料の種類による透磁率、磁路の長さ、磁路の断面積、隣り合う1対のコア片の間のコアギャップの寸法により決まる。コイルの巻数は製造工程で生じるばらつきにより変化することはない。またコアの材料による透磁率についても材料メーカの仕様値が決められている。このためコイルの材料による透磁率は製造工程により大きく変化することを考慮する必要はない。ただし磁路の長さ、磁路の断面積、コアギャップの寸法については、リアクトルを構成する第1のケース10内での各コア片の配置によって変化する。このためこれらのパラメータが変化することによりインダクタンス値に与える影響を考慮する必要がある。
図11は実施の形態1の複数のコア片による閉磁路を通る磁束を示す概略平面図である。図11を参照して、たとえばリアクトル101のコア片20を通る磁束MFは、第1のコア片21すなわち第1のコア片21A,21B,21Cおよび第2のコア片22からなる閉磁路を周回している。なお第1のコア片21BはY方向負側から正側へ、第1のコア片21B1,21B2,21B3の順に並んでいる。また第1のコア片21CはY方向負側から正側へ、第1のコア片21C1,21C2,21C3の順に並んでいる。第1のケース外枠部11が樹脂材料により形成される場合、第1のケース外枠部11の寸法精度は1%以下に規定することができる。このため第1のケース外枠部11の内部にてコア片20が本来配置されるべき位置から動いたとしても、閉磁路の長さおよび断面積の変化の割合は小さく、インダクタンス値に与える影響は小さい。
一方、コアギャップの寸法は、1か所あたり1mm以下と非常に小さくなる場合がある。このため第1のケース外枠部11の内部にてコア片20が本来配置されるべき位置から動くことによる変化量の割合が大きくなる。その結果、コアギャップの寸法が変化すれば、インダクタンス値に影響を与える可能性がある。
ただし本実施の形態では、たとえば図12のようにコアギャップの寸法の方向、すなわち閉磁路の延びる方向にコア片20が動いても、インダクタンス値の変化は生じない。図12は、コア片の一部が図11の状態から動いて、コアギャップが均等でなくなった状態を示す概略平面図である。図12を参照して、たとえば第1のケース外枠部11内で第1のコア片21B1が本来の位置よりY方向負側へ、第1のコア片21B2が本来の位置よりY方向正側へ、それぞれ移動した場合を考える。この場合、第1のコア片21B1と第1のコア片21Aとのコアギャップの寸法GP1は本来の値よりも小さくなる。また、第1のコア片21B1と第1のコア片21B2とのコアギャップの寸法GP2は本来の値よりも大きくなる。また第1のコア片21B2と第1のコア片21B3とのコアギャップの寸法GP3は本来の値より小さくなる。一方、第1のコア片21B3は動いていないため、第1のコア片21B3とこれに隣接する第2のコア片22とのコアギャップの寸法GP4は変化しない。
この場合、寸法GP1,GP3が小さくなった分だけ寸法GP2が大きくなっており、それぞれの隣り合う第1のコア片21間のコアギャップの総和は変化しない。各第1のコア片21間のコアギャップの総和がインダクタンス値に影響する。このため図12のように第1のコア片21B1,21B2が移動しても、リアクトル101のインダクタンス値には影響しない。
以上より、図12において個々の第1のコア片21B1,21B2,21B3は、第1のケース外枠部11内にてY方向に移動してもリアクトル101の機能上問題はない。つまり本実施の形態においては、仕切り12を介して配置される複数の第1のコア片21B,21Cのうち一の隣り合う1対の第1のコア片の間隔は、他の隣り合う1対の第1のコア片の間隔と異なってもよい。上記で一の隣り合う1対の第1のコア片の間隔とは、たとえば第1のコア片21B1と第1のコア片21B2との間隔である。また上記で他の隣り合う1対の第1のコア片の間隔とは、たとえば第1のコア片21B2と第1のコア片21B3との間隔である。言い換えれば、図12において、寸法GP2と寸法GP3とは異なっていてもよい。なおここでは、寸法が異なるとは、寸法値が10%以上異なることを意味するものとする。また第1のコア片21B,21Cが仕切り12に対して傾斜し、寸法値が変化するように配置される場合、当該寸法値とはその寸法の平均値(中央値)を意味するものとする。リアクトルには、複数の第1のコア片21のうちY方向に隣り合う1対の第1のコア片21に挟まれる領域が複数存在するとする。この場合、当該複数の挟まれる領域は、Y方向の寸法がすべて異なっていてもよい。しかし当該複数の挟まれる領域のうち少なくとも1つのY方向の寸法が、他の当該挟まれる領域のY方向の寸法と異なっているという態様であってもよい。すなわちたとえば複数の挟まれる領域のうち1つのみが他とはY方向の寸法が異なり、他のすべての挟まれる領域のY方向の寸法がほぼ等しくてもよい。またたとえば複数の挟まれる領域のうち2つのみが他とはY方向の寸法が異なり、他のすべての挟まれる領域のY方向の寸法がほぼ等しくてもよい。
ただし、たとえば第1のコア片21B1〜21B3が図12のX方向にずれるように移動し、Y方向に関して隣り合う1対の第1のコア片21同士が対向する部分の面積が変化する場合には、当該リアクトル101のインダクタンス値に影響する。このためたとえばインダクタンス値を誤差が±10%以内となる範囲で管理したい場合には、目安としてコアギャップGP1〜GP4の変化を10%程度以下に収める必要がある。しかし上記のように、樹脂製の第1のケース外枠部11であれば、第1のケース外枠部11の最外形の寸法精度は1%以下に規定することができる。このためコアギャップGP1〜GP4の変化も±1%以下となり、その変化量を10%以下とすることは可能となる。したがって第1のケース外枠部11の内部に第1のコア片21が配置される限り、閉磁路の延在方向に交差する幅方向におけるコア片の位置ずれを考慮しても、基本的にはインダクタンス値に影響が及ばないように制御することができる。
さらにインダクタンス値の変化を小さくしたい場合には、第1のケース外枠部11の外形寸法の精度、および各仕切り12の間の寸法の精度を上げ、第1のコア片21の動く余地を小さくすることが好ましい。このようにすれば、いっそう高い精度を得ることができる。
以上により、本実施の形態によれば、生産性が向上されたリアクトル101〜103の電気的性能を高くすることができる。
その他、本実施の形態によれば以下の作用効果も奏する。一般的に、ダストコアおよびフェライトコアは、粉状の材料がプレス機で成形された後、熱処理がなされることにより形成される。このとき、プレス機によりプレスされる面に加わる圧力を一定にする必要がある。このため、形成されるコアが大型化するほど、プレス能力が高いプレス機を使用する必要がある。また、成形された材料は熱処理時に収縮するため、形成されるコアが大型化するにしたがって寸法精度が低くなる。アモルファスコアおよびナノ結晶コアは、薄い帯状の材料が積み重ねられた後、熱処理がなされることにより形成される。これらもダストコアおよびフェライトコアと同様に、熱処理時に収縮する。このため、形成されるコアが大型化するにしたがって寸法精度が低くなる。
本実施の形態によれば、複数のコア片20としての第1のコア片21A〜21Cおよび第2のコア片22によりコアの全体が構成される。このため、一体型を用いて大型のコアを形成する場合に比べて、形成されるコア片の寸法が小さくなる。このためリアクトル全体の製造が容易であり、製造時の寸法ばらつきを小さくすることができる。また大型のコア材料は生産できるメーカが限られている。その点、本実施の形態によれば小さい寸法のコア片が複数形成されるため、部品調達をより安定させることができる。
次に、従来からの一般的なリアクトルでは、2つのコア片の間に樹脂または絶縁紙などの非磁性体によるスペーサが配置される。スペーサによりコアギャップの寸法が管理される。本実施の形態においては、各コア片の間のコアギャップが管理される代わりに、各コア片の間に仕切り12が配置された第1のケース10により、コア片20全体のコアギャップの総和が管理される。このため各コア片の間にスペーサを配置する必要がなくなる。
コアギャップは複数のコア片による閉磁路のなかの1か所のみに設ける必要はない。コアギャップは、その寸法が設計値となるように、コア片20による閉磁路のなかに複数設けられてもよい。このコアギャップは、コア片20に用いられる材料により、必要となる寸法の数値範囲が異なる。たとえばフェライトコアの場合は、その比透磁率が1500以上4000以下程度となる。このため閉磁路内の複数のコアギャップの寸法の合計値は1mm以上20mm以下の範囲内で、かつ所望の電気的特性が得られるように、コア片20が配置されることが好ましい。
閉磁路に含まれるコア片の数が多く、形成されるコアギャップの数が多いほど、個々のコアギャップの寸法が小さくなる。このためそのような場合には、コアギャップから漏れる磁束が小さくなる。またコアギャップに隣接して配置されているコイルに鎖交することで発生するコイルの渦電流損が低減できる。これらにより、リアクトル101全体の損失を低減することができる。
従来のようにスペーサまたは接着剤によりコアギャップを管理する場合には、コア片の数が増えるにしたがって各コア片を接合する作業が増えて生産性が悪くなる。しかし本実施の形態においてはコア片20はすべて第1のケース収納部11Aの内部に配置して一括して保持される。このためコア片20を構成する第1のコア片21などの数が増えても生産性は低下しない。
また、一般的にフェライトなどからなるコア片を使用する際には、元となる大型のコアが切断され、切断された断面が研磨されたコア片が準備される。しかし本実施の形態によれば、コア片20は第1のケース収納部11Aの内部に配置される。コアギャップの寸法は第1のケース収納部11Aの内部の仕切り12により管理される。このためコアの切断面の平面度を高くする必要はない。したがってコア片20の形成のために切断された面を研磨する必要はない。フェライトコア自体は安価な素材であるが、一般的なコア片の材料は高価になる。切断工程およびその後の研磨工程などを行なうことによる作業費が必要になるためである。しかし本実施の形態によれば、切断後のコア片20の断面の研磨が不要となる。これによりコア片の加工時間を短縮することができ、より安価にコア片20を準備することができる。
実施の形態2.
図13は実施の形態2に係るリアクトルの第1のケースの特徴部分を示す概略拡大斜視図である。図13を参照して、実施の形態2のリアクトルは、基本的に実施の形態1のリアクトル101〜103と同様の構成を有する。このため実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし図13に示すように、本実施の形態では、第1のケース外枠部11の内部には複数のリブ11Eが形成される。
具体的には、リブ11Eは第1のケース外枠部11の内壁面、特に内側の側面上に、たとえばY方向にある、互いに間隔をあけて複数取り付けられる薄く小さい部材である。複数のリブ11EのうちたとえばY方向に関して互いに隣り合う1対のリブ11Eの間に挟まれる溝状の空間部分に、薄い平板状の仕切り12が挿入される。これにより第1のケース外枠部11の内部でZ方向に沿って延びるように、仕切り12が取り付けられる。つまりリブ11Eにより、仕切り12を立てるように設置することができる。当該溝状の空間部分は複数設けられるため、仕切り12はリブ11Eの形成された範囲内で、第1のケース外枠部11の内部の任意の位置に配置可能である。仕切り12はリブ11Eに挟まれた複数の溝状の空間部分の領域内で任意に取り外しすることができるためである。
なおリブ11Eは、たとえばU字の平面形状を有する第1のケース外枠部11の2つのY方向に沿って延びる部分のそれぞれのX方向に関する一方、たとえば図13の左側の内側面のみに形成されてもよいし、図13の右側の内側面のみに形成されてもよい。ただしリブ11Eは、当該2つのY方向に沿って延びる部分のそれぞれのX方向に関する左側と右側との双方に形成されてもよい。
上記のリブ11Eにより、仕切り12の配置される位置を、第1のケース外枠部11の内部にて変更することができる。つまり第1のケース外枠部11の内部の状態の汎用性を高くすることができる。これにより、第1のコア片21の大きさが変更されても仕切り12の設置位置を変えることにより第1のコア片21を第1のケース外枠部11の内部に収納する自由度が高められる。
実施の形態3.
図14は実施の形態3に係るリアクトルの第1のケースの特徴部分を示す概略拡大斜視図である。図14を参照して、実施の形態3のリアクトルは、基本的に実施の形態1のリアクトル101〜103と同様の構成を有する。このため実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。本実施の形態では、第1のケース10は、他の実施の形態と同様に、第1のケース外枠部11と、仕切り12とを含む。第1のケース外枠部11は複数の第1のコア片21を収納可能である。仕切り12は第1のケース外枠部11の内部に配置される。仕切り12は、仕切り12としての第1のケース仕切り部12Aが間隔を隔てて複数、仕切りベース部12Bに取り付けられた構成を有している。すなわち仕切り12は、複数の第1のケース仕切り部12Aと、仕切りベース部12Bとにより構成される。仕切り12においては複数の第1のケース仕切り部12Aが間隔を隔てて配置されている。仕切り12においては、間隔をあけて配置された複数の第1のケース仕切り部12Aが仕切りベース部12Bに取り付けられ仕切りベース部12Bと一体になっている。仕切りベース部12Bと、これに取り付けられ一体となった複数の第1のケース仕切り部12Aとからなる仕切り12は、第1のケース外枠部11に対して脱着可能となっている。
上記の構成を有することにより、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、仕切り12を第1のケース外枠部11に対して取り外しが可能となる。このため、たとえば第1のコア片21が小片である場合には仕切り12を第1のケース外枠部11内に収めた上で第1のコア片21を収め、第1のコア片21が大片である場合には仕切り12を収めずに第1のケース外枠部11内に直接第1のコア片21を収めることができる。
実施の形態4.
図15は実施の形態4に係るリアクトルの第1のケースの特徴部分、および完成品を示す概略斜視図である。図15を参照して、本実施の形態では、平面視にてU字形状を有する第1のケース10としての第1のケース外枠部11の、2つのY方向に沿って延びる部分それぞれのY方向正側、すなわちX方向に沿って延びる部分側と反対側の端部11Fの構成において実施の形態1と異なっている。
具体的には、本実施の形態では、上記の端部11F、すなわち最もY方向正側の1対の仕切り12(第1のケース仕切り部12A)より更にY方向正側の領域において、当該2つの部分の互いに対向する内側の側面が欠けている。また当該2つの部分の最もY方向正側の第1のケース外枠部11の端面が欠けている。これにより、第1のケース外枠部11は、当該1対の端部11Fの部分のそれぞれに、第2のコア片22の一部、すなわち第2のコア片22のX方向の一方および他方の端部のそれぞれが収納される態様となる。言い換えれば、本実施の形態においては、第1のケース10は、第2のコア片22の少なくとも一部を収納可能な形状を有している。
実施の形態4のリアクトルは、上記以外は基本的に実施の形態1〜3のリアクトルと同様の構成を有する。以下実施の形態1〜3と重複するが、要点を再度記載する。実施の形態4のリアクトル401は、第1のケース10と、コア片20と、コイル30とを主に有している。第1のケース10は、リアクトル101のコア片20により形成される閉ループ、または閉ループ状の閉磁路の一部としての形状を有している。コア片20は、複数の第1のコア片21と、第2のコア片22とを有している。複数の第1のコア片21は、第1のケース10内に配置される。第2のコア片22は、第1のケース10のY方向正側の端部11Fに、たとえばY方向正側から図中点線矢印のように入り込むことにより設置される。これは第1のケース外枠部11は、端部11Fにおいて最もY方向正側の端面が欠けており、その部分から第2のコア片22を出し入れ可能であることに基づく。
2つの端部11Fは第1のケース外枠部11の2つのY方向に沿って延びる部分のY方向正側に形成される。これら2つの端部11Fのうち一方に第2のコア片22の一方の端部が収納される。これら2つの端部11Fのうち他方に第2のコア片22の他方の端部が収納される。第2のコア片22は、X方向に延びるように配置され、その一方および他方の端部が第1のケース外枠部11の1対の端部11Fのそれぞれに収納される態様となる。これにより、第2のコア片22は、第1のケース10内すなわち第1のケース外枠部11に収納される複数の第1のコア片21A,21B,21Cと併せて、概ね矩形状である閉ループ状の閉磁路となるように配置される。なお上記の概ね矩形状である閉ループ状とは、たとえば複数のうちY方向に隣り合う1対の第1のコア片21Bの間の空隙、およびこれらの間のX方向の位置ずれなどを無視すれば平面視にて概ね矩形状の閉ループに見えることを意味する。
コイル30は、閉磁路としてのたとえば図1に示すコア片20の一部に巻回される。より具体的には、第1のケース外枠部11の内部に配置される第1のコア片21BのY方向に沿って延びる部分に、コイル30が巻回されている。
第1のケース10の外枠としての第1のケース外枠部11の内部には、複数の第1のコア片21と、複数の第1のコア片21のうち隣り合う1対の第1のコア片21の間を区画する仕切り12とが配置される。より具体的には、第1のコア片21に含まれる第1のコア片21Aは、第1のケース収納部11Aの内部のうち、第1のケース10としての第1のケース外枠部11がX方向に沿って延びる部分に収まる。複数の第1のコア片21B,21Cは、第1のケース収納部11Aの内部のうち、第1のケース10としての第1のケース外枠部11がY方向に沿って延びる部分に収まる。仕切り12は、第1のケース外枠部11すなわち第1のケース収納部11Aの内部で、複数の第1のコア片21A,21B,21Cのうち隣り合う1対の第1のコア片21A,21B,21Cの間を区画する。
第1のケース外枠部11は、複数の第1のコア片21A,21B,21Cを収納可能な第1のケース外枠部11の部分である第1のケース収納部11Aと、第1のケース収納部11Aの内部の空間を覆う第1のケース蓋部11Bとを含む。図15においては、第1のケース蓋部11Bは、第1のケース収納部11Aのうち端部11Fを除く部分のみを覆うように配置されている。言い換えれば図15においては、第1のケース蓋部11Bは、端部11Fを含む第1のケース収納部11Aの最もY方向正側に配置される第2のコア片22を覆わないように配置されている。ただし本実施の形態においては、第1のケース蓋部11Bが、端部11Fおよびそこを含む領域に配置される第2のコア片22をも覆うように、たとえば矩形の平面形状を有するものであってもよい。
本実施の形態のリアクトル401においても、第1のケース収納部11Aと、第1のケース蓋部11Bとが、図5中の点線で囲まれた領域に示すような、いわゆるスナップフィット構造13と呼ばれる嵌合機構により嵌合されていることが好ましい。
本実施の形態のリアクトル401において、上記仕切り12により区画される隣り合う1対の第1のコア片21Bは、たとえば図12の寸法GP2,GP3が示すような空隙を介して対向していることが好ましい。ただし複数の仕切り12とそれのY方向に隣接する第1のコア片21Bとの間隔としてのコアギャップが複数形成されるが、その複数のコアギャップのうち少なくとも1つのコアギャップがY方向に互いに間隔をあけるように空隙を有していることが好ましい。
本実施の形態のリアクトル401において、たとえば図12における、仕切り12を介して配置される複数の第1のコア片21B,21Cのうち一の隣り合う1対の第1のコア片の間隔は、他の隣り合う1対の第1のコア片の間隔と異なってもよい。上記で一の隣り合う1対の第1のコア片の間隔とは、たとえば第1のコア片21B1と第1のコア片21B2との間隔である。また上記で他の隣り合う1対の第1のコア片の間隔とは、たとえば第1のコア片21B2と第1のコア片21B3との間隔である。
本実施の形態においても、たとえば図13に示すように、第1のケース外枠部11の内部には複数のリブ11Eが形成される。リブ11Eは第1のケース外枠部11の内壁面、特に内側の側面上に、たとえばY方向について互いに間隔をあけて複数取り付けられる薄く小さい部材である。複数のリブ11EのうちたとえばY方向に関して互いに隣り合う1対のリブ11Eの間に挟まれる溝状の空間部分に、薄い平板状の仕切り12が挿入される。仕切り12はリブ11Eに挟まれた複数の溝状の空間部分の領域内で任意に取り外し可能に配置される。
本実施の形態においても、第1のケース10は、他の実施の形態と同様に、第1のケース外枠部11と、仕切り12とを含む。第1のケース外枠部11は複数の第1のコア片21を収納可能である。仕切り12は第1のケース外枠部11の内部に配置される。仕切り12においては、たとえば図14に示すように間隔をあけて配置された複数の第1のケース仕切り部12Aが仕切りベース部12Bに取り付けられ仕切りベース部12Bと一体になっている。仕切りベース部12Bと、これに取り付けられ一体となった複数の第1のケース仕切り部12Aとからなる仕切り12は、第1のケース外枠部11に対して脱着可能となっている。
本実施の形態においても、たとえば図9のように、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方が配置される。第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方により接合される。したがって、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の双方が配置されてもよい。また第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の双方により接合されてもよい。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。上記のように、本実施の形態のリアクトル401は、第1のケース10と、複数の第1のコア片21と、第2のコア片22と、コイル30とを備えている。第1のケース10は、閉ループの一部としての形状を有する。複数の第1のコア片21は、第1のケース10内に配置される。第2のコア片22は、第1のケース10内の複数の第1のコア片21と併せて閉ループ状の閉磁路となるように配置される。コイル30は閉磁路に巻回される。第1のケース10の外枠としての第1のケース外枠部11の内部には、複数の第1のコア片21B(21C)と、複数の第1のコア片21B(21C)のうち隣り合う1対の第1のコア片21B(21C)の間を区画する仕切り12とが配置される。第1のケース10は、第2のコア片22の少なくとも一部を収納可能な形状を有する。第1のケース外枠部11は、複数の第1のコア片21を収納可能な第1のケース外枠部11の部分である第1のケース収納部11Aと、第1のケース収納部11Aの内部の空間を覆う第1のケース蓋部11Bとを含む。
本実施の形態においても、第1のケース外枠部11の外形寸法を規定し、その中に第1のコア片21および第2のコア片22を収納する。これだけで、各複数の第1のコア片21間および第1のコア片21と第2のコア片22との間のコアギャップの総和の値を管理することができる。このため各第1のコア片21間などのコアギャップを精確に管理する必要がない。また複雑な機構部品を用いて各第1のコア片21などを固定する必要もない。ただ仕切り12を有する第1のケース外枠部11を用いるだけで、リアクトル401を容易に生産することができる。すなわちリアクトル401の生産性を大幅に向上させることができる。
上記のように本実施の形態では、第1のケース10が、第2のコア片22の少なくとも一部を収納可能な形状を有している。このような構成を有することにより、本実施の形態においては、第2のコア片22が、Y方向正側から図15の矢印に示すように第1のケース外枠部11の1対の端部11Fに収納される。このため第2のコア片22の第1のケース外枠部11に対する固定をより簡易にすることができる。特にX方向については第2のコア片22の延びる方向の端部が第1のケース外枠部11の端部11Fからの干渉を受けるため、第2のコア片22のX方向についての固定がより確実になされる。これにより、第2のコア片22の第1のケース外枠部11に対する固定強度を向上することができる。
その他の作用効果は、実施の形態1と同様であるが、要点を再度記載する。本実施の形態のリアクトル401は、仕切り12により区画される隣り合う1対の第1のコア片21B(21C)が、空隙を介して対向していることが好ましい。このようにすれば、仕切り12を含む第1のケース10の外形寸法により、複数の第1のコア片21Bなどの間隔としてのコアギャップの総和が自動的に決まる。このため第1のケース10内への各第1のコア片21Bの導入時に特に注意を配らなくても、簡単にコアギャップの総和が決まり、リアクトル401のインダクタンスなどの特性を決定することができる。このためリアクトル401を容易に生産することができる。
本実施の形態のリアクトル401は、第1のケース外枠部11の内部には互いに間隔をあけて複数のリブ11Eが形成される。複数のリブ11Eのうち互いに隣り合う1対のリブ11Eの間に、仕切り12が取り外し可能に配置される。このような構成であってもよい。このようにすれば、リブ11Eにより、仕切り12の配置される位置を、第1のケース外枠部11の内部にて変更することができる。つまり第1のケース外枠部11の内部の状態の汎用性を高くすることができる。これにより、第1のコア片21の大きさが変更されても仕切り12の設置位置を変えることにより第1のコア片21を第1のケース外枠部11の内部に収納する自由度が高められる。
本実施の形態のリアクトル401は、第1のケース10は、複数の第1のコア片21を収納可能な第1のケース外枠部11と、第1のケース外枠部11の内部に配置され第1のケース外枠部11に対して脱着可能な仕切り12とを含む。このような構成であってもよい。たとえば図14に示すように仕切り12は、複数の第1のケース仕切り部12Aが間隔を隔てて一体となっている。これにより実施の形態2,3と同様に、仕切り12を第1のケース外枠部11に対して取り外しが可能となる。このため、たとえば第1のコア片21が小片である場合には仕切り12を第1のケース外枠部11内に収めた上で第1のコア片21を収め、第1のコア片21が大片である場合には仕切り12を収めずに第1のケース外枠部11内に直接第1のコア片21を収めることができる。
本実施の形態のリアクトル401においても、第1のケース収納部11Aと、第1のケース蓋部11Bとは、嵌合機構としてのたとえばスナップフィット構造13により嵌合されていることが好ましい。これによりリアクトル102では、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの嵌合強度が、リアクトル101よりも高められる。またこれにより、リアクトル102の耐振動性を向上することができる。
本実施の形態のリアクトル401においても、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方が配置される。第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方により接合される。このような構成であってもよい。これにより、第1のケース外枠部11と第1のコア片21とを充分な強度で接合できる。
本実施の形態のリアクトル401においても、たとえば図12のように、仕切り12を介して配置される複数の第1のコア片21B,21Cのうち一の隣り合う1対の第1のコア片21B,21Cの間隔である寸法GP2は、他の隣り合う1対の第1のコア片21B,21Cの間隔である寸法GP3と異なってもよい。このようにしてもリアクトル401の機能上問題はない。
実施の形態5.
図16は実施の形態5に係るリアクトルに含まれる各部材の配置態様を示す概略斜視図である。ただし図16では、第1のケース外枠部11については第1のケース蓋部11Bを閉じたときの外観態様が示される。図16を参照して、実施の形態5のリアクトルは、基本的に実施の形態1のリアクトル101〜103および実施の形態4のリアクトル401と同様の構成を有する。このため実施の形態1,4と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態では、ボビン部40をさらに備える点において実施の形態1,4と異なっている。
具体的には、本実施の形態のリアクトルは、第1のケース10としての第1のケース外枠部11の外側に配置されるボビン部40をさらに備えている。コイル30はボビン部40の外側に巻回される。
本実施の形態においては、平面視にてU字形状の第1のケース外枠部11の2つのY方向に沿って延びる部分のそれぞれを外側から包みそこへ挿入するように、ボビン部40が配置される。したがってボビン部40はY方向に沿って延びる。ボビン部40のY方向に延びる部分の外側にコイル30が周回される。周回されたコイル30は、ボビン部40のY方向に延びる部分に固定される。またボビン部40に周回されたコイル30は、一般公知の端子に接続されている。
次に実施の形態1,4などに対する本実施の形態の作用効果について説明する。
実施の形態1,4においては、巻回されたコイル30は線形の太い電線または平角線など、その断面の形状が固定されている。それが第1のケース外枠部11の外側を周回するように挿入される。しかしこの方法は、たとえば細い電線が巻回されてなるコイル30を用いる場合には生産性が低下する場合がある。細い電線は螺旋状に巻回しても形状が安定しにくい。また実施の形態1,4においては第1のケース収納部11Aに第1のケース蓋部11Bを嵌合させた後にそこへ電線が巻回されるため工程が煩雑である。以上により実施の形態1においては生産性が低下する場合がある。
しかし本実施の形態では、このような形状が安定しにくい細い電線などからなるコイル30がボビン部40の表面上に巻回され固定されたものが、第1のケース10の外側に配置されるように第1のケース10に挿入される構成を有している。言い換えれば、本実施の形態では、事前にボビン部40の表面上に配線が巻回され固定される。これにより、細い配線およびターン数の多い配線であっても、第1のケース10に挿入する前にその形状がボビン部40の表面上にて固定されている。このため電線などの形状を安定させるために煩雑な工程を経る必要がなくなる。以上により、本実施の形態によれば、リアクトルの特にコイル30の部分の生産効率が向上できる。
なおボビン部40は非磁性体材料により構成される。ただしボビン部40の構成材料は、第1のケース外枠部11などと同様の樹脂材料に限られない。ボビン部40は、必要に応じて第1のケース10よりも伸縮性の高い素材が用いられてもよい。ここで第1のケース10よりも伸縮性の高い素材とは、シリコン素材のようなものである。このようにすれば、ボビン部40は第1のケース10の外側に挿入される。これによりボビン部40は、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとを挟んで押さえることで固定することができる。またこれによりボビン部40は、第1のケース収納部11Aおよび第1のケース蓋部11Bを含むリアクトル全体の耐振動性を向上することができる。またこれによりボビン部40は、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの嵌合構造を簡素化することができる。
さらに、ボビン部40を用いることにより、コイル30と第1のケース10との位置関係を容易に決めることができる。またコイル30のインダクタンス値を安定させることができる。
実施の形態6.
図17は実施の形態6に係るリアクトルに含まれる各部材の配置態様を示す概略斜視図である。図18は実施の形態6に係るリアクトルの完成品の外観態様を示す概略斜視図である。図17および図18を参照して、実施の形態6に係るリアクトル601は、実施の形態1に係るリアクトル101および実施の形態4のリアクトル401と大筋で同様の構成を有している。このため以下においてリアクトル101,401と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態では、第1のケース外枠部11には、これを貫通する開口部14が形成されている。この点においては本実施の形態は実施の形態1,4と異なっている。
開口部14は、第1のケース収納部11Aにおいては以下の位置に形成されている。開口部14は、第1のケース収納部11AのZ方向最下面のうち、複数の仕切り12のそれぞれにより区画された各領域の平面視における中央部に形成されている。すなわち開口部14は矩形状を有することが好ましい。ただし複数の仕切り12のそれぞれにより区画された各領域が正方形である場合には、開口部14も正方形であってもよい。以上より、開口部14は、複数の仕切り12のそれぞれにより区画された各領域の各辺およびこれに隣接する縁部を除く中央の領域に形成される。
開口部14は、第1のケース蓋部11Bにおいては以下の位置に形成されている。開口部14は、第1のケース蓋部11Bにおいては、これが第1のケース収納部11Aの内壁面を外部に露出する部分を覆うように嵌合されたときに、第1のケース収納部11Aの底面の開口部14と平面的に重なるように形成される。
なお図17においては、第1のケース収納部11Aの側面に相当する領域には開口部14は形成されていない。しかしこの形状に限るものではない。必要に応じて第1のケース収納部11Aの仕切り12に区切られた各領域の、互いに対向する1組の側面に相当する領域のそれぞれのたとえば平面視での中央部などの一部の領域に、開口部14が形成されてもよい。
以上により、本実施の形態においては、第1のケース外枠部11には、複数の第1のコア片21B,21Cのそれぞれを介して互いに対向する少なくとも1組の面のそれぞれに開口部14が形成されている。
図19は図18のXIX−XIX線に沿う部分の概略断面図である。図19を参照して、上記のような開口部14を有するリアクトル601が、冷却用のファンなどによる冷却風WDが当たりやすい位置に実装される場合を考える。このとき、開口部14が形成されることにより、第1のケース10内の第1のコア片21の表面に冷却風WDが直接当たる。これにより、第1のコア片21などを効率的に冷却することができる。
仮に第1のコア片21に直接冷却風WD(図19参照)が当たらない場合であっても、以下のような効果を奏する。図20は図18のXX−XX線に沿う部分の概略断面図である。図20を参照して、ここでは第1のコア片21が、熱伝導部材51となる熱伝導シートまたは熱伝導樹脂を介して、制御盤の筐体52または放熱器のベース面などに接触する構成を有している。筐体52は一般公知の基板53に取り付けられている。このような構成を有するため、たとえ第1のコア片21の表面に冷却風WDが直接当たらない場合であっても、第1のコア片21で発した熱は、図20中に矢印で示した熱伝導経路HTのように放熱される。このため第1のコア片21が効率的に冷却できる。
図20においては、第1のコア片21のうちの第1のコア片21A,21B2にはコイル30が巻回されていない。第1のコア片21のうち第1のコア片21B1,21B3にコイル30が巻回されている。このようにコイル30が巻回されない第1のコア片21の領域が、第1のコア片21BのY方向の中央部の第1のコア片21B2に配置される。これにより温度が高くなりやすいY方向の中央部にて、コイル30による昇温が抑制され、第1のコア片21B2の冷却が可能になっている。
その他、第1のケース外枠部11に開口部14が形成されることにより、以下の効果も奏する。仮にリアクトル601の電気的特性が通常と異なるとき、開口部14により第1のケース外枠部11の内部の第1のコア片21の表面の状態を、第1のケース外枠部11の第1のケース蓋部11Bを開けることなく確認することができる。すなわち、第1のコア片21の割れの有無等を容易に確認することができる。
実施の形態7.
図21は実施の形態7に係るリアクトルに含まれる各部材の配置態様を示す概略斜視図である。図21を参照して、実施の形態7に係るリアクトル701は、実施の形態1に係るリアクトル101および実施の形態4に係るリアクトル401と大筋で同様の構成を有している。このため以下においてリアクトル101,401と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態では、第2のコア片22を収納する第2のケース15を有する点において、実施の形態1,4と構成上異なっている。
すなわちリアクトル701においては、閉ループの他の一部としての形状を有する第2のケース15を備えている。閉ループの他の一部としての形状とは、たとえば第1のケース10のU字形状を構成する2つのY方向に延びる部分の端部同士を繋ぐ直線状の形状である。なお第2のケース15としての第2のケース外枠部16は、第2のケース収納部16Aと、第2のケース蓋部16Bとを有している。第2のケース収納部16Aは平面視において直線状である点において、平面視においてU字形状である第1のケース収納部11Aとは異なるが、他の点は基本的に第1のケース収納部11Aと同様である。また第2のケース蓋部16Bは平面視において直線状である点において、平面視においてU字形状である第1のケース蓋部11Bとは異なるが、他の点は基本的に第1のケース蓋部11Bと同様である。
リアクトル101における第2のコア片22は、複数の第1のコア片21と併せて閉ループ状の閉磁路となるように配置される。これと同様に、リアクトル701においては、第2のコア片22は第2のケース15内に配置される。これにより第2のコア片22は、複数の第1のコア片21と併せて閉ループ状の閉磁路となるように配置される。
以上のように、本実施の形態のリアクトル701においては、第1のコア片21が第1のケース10に収納されることに加えて、第2のコア片22も第2のケース15に収納される。このため第2のコア片22の材料を含み、コア片20の飛散を完全に防止することができる。第2のコア片22が露出しなくなるためである。また本実施の形態では、第2のコア片22が樹脂製の第2のケース15の内部に保持される。これにより、リアクトル701の通電時に発生する第2のコア片22の磁歪による騒音が抑制できる。
実施の形態8.
図22は実施の形態8に係るリアクトルに含まれる各部材の配置態様を示す概略斜視図である。図23は実施の形態8に係るリアクトルの完成品の外観態様を示す概略斜視図である。図22および図23を参照して、実施の形態8に係るリアクトル801は、実施の形態7に係るリアクトル701と大筋で同様の構成を有している。このため以下においてリアクトル701と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態では、第2のケース15としての第2のケース外枠部16が、第1のケース10としての第1のケース外枠部11と同様のU字状の平面形状を有している。これに伴い、図面での明記はないが、第2のケース外枠部16の内部のコア片20の形状および態様が、第1のケース外枠部11の内部のコア片20の形状および態様と同様である。
図24は実施の形態8におけるリアクトルの、第1のケースと第2のケースとの接合方法の第1例を示す概略図である。図25は実施の形態8におけるリアクトルの、第1のケースと第2のケースとの接合方法の第2例を示す概略図である。図24を参照して、第1のケース10と第2のケース15とは、接着剤44で固定されてもよい。あるいは図25を参照して、第1のケース10と第2のケース15とは、スナップフィット構造13で固定されてもよい。
実施の形態9.
図26は実施の形態9の第1例に係るリアクトルの完成品の一部分の概略断面図である。図26を参照して、実施の形態9の第1例に係るリアクトルは、基本的に実施の形態1,4のリアクトルと同様の構成を有する。このため実施の形態1,4と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態では、仕切り12の構成において実施の形態1,4と異なっている。
具体的には、図26のリアクトル901においては、実施の形態3など既述の実施の形態と同様に、第1のケース10は、第1のケース外枠部11と、仕切り12とを含む。第1のケース外枠部11は複数の第1のコア片21を収納可能である。仕切り12は第1のケース外枠部11の内部に配置される。仕切り12においては、間隔をあけて配置された複数の第1のケース仕切り部12Aが仕切りベース部12Bに取り付けられ、仕切りベース部12Bと一体になっている。仕切り12は、第1のケース外枠部11に対して脱着可能となっている。第1のケース蓋部11Bには、仕切り12としての第2のケース仕切り部12Cが、第1のケース蓋部11Bと一体となるように形成されている。特にリアクトル901においては、第1のケース収納部11Aに第1のケース仕切り部12Aが、第1のケース蓋部11Bに第2のケース仕切り部12Cが、形成されている。言い換えればリアクトル901においては、ケース仕切り部は、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの双方に形成されている。第1のケース仕切り部12Aは第1のケース収納部11Aと一体となるように形成された第1部分である。第2のケース仕切り部12Cは第1のケース蓋部11Bと一体となるように形成された第2部分である。このようにすれば、上記と同様に、第1のケース収納部11Aおよび第1のケース蓋部11Bのそれぞれと一体で仕切り12を形成することができる。このため仕切り12としての第1のケース仕切り部12Aと第1のケース収納部11Aとを同一工程で形成できる。また仕切り12としての第2のケース仕切り部12Cと第1のケース蓋部11Bとを同一工程で形成できる。さらに、ケース仕切り部が第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの双方に一体に形成される場合においても、これらすべてを同一工程で形成できるため、工程を簡略化できる。
図26においては、Y方向に関して互いに隣り合う1対の第1のコア片21の間に挟まれる領域に、第1のケース仕切り部12Aと第2のケース仕切り部12Cとの双方が配置される。ここで、第1のケース収納部11Aと一体となる第1のケース仕切り部12Aの、第1のケース収納部11Aと一体となる側すなわちZ方向下側と反対側のZ方向上側の端部である仕切り端部12E1を考える。また第1のケース蓋部11Bと一体となる第2のケース仕切り部12Cの、第1のケース蓋部11Bと一体となる側すなわちZ方向上側と反対側のZ方向下側の端部である仕切り端部12E2を考える。このとき、仕切り端部12E1と仕切り端部12E2とは、Z方向に関して互いに対向するように配置される。仕切り端部12E1と仕切り端部12E2とは互いに接触してもよい。しかし両者間の距離は、第1のケース収納部11AのXY平面に沿う最下面と、第1のケース蓋部11BのXY平面に沿う最上面とのZ方向に沿う距離の10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
図26においては、第1のケース仕切り部12Aと第2のケース仕切り部12Cとは平面視において重なる。すなわち第1のケース仕切り部12Aと第2のケース仕切り部12Cとは、X方向およびY方向の寸法はほぼ同じである。ただし第1のケース仕切り部12Aと第2のケース仕切り部12CとのZ方向の寸法は、同じであってもよいが、異なっていてもよい。
図26のリアクトル901においては、互いに隣り合う第1のコア片21などの間の領域が、第1のケース仕切り部12Aと第2のケース仕切り部12Cとの双方により埋められる。このため当該間の領域のZ方向に関する大部分、すなわち90%以上の領域が仕切り12で埋められる。これにより、個々の第1のコア片21の周囲が仕切り12と第1のケース外枠部11とにより図26におけるほぼ1周分囲まれる。したがって個々の第1のコア片21はその周囲のほとんどの領域が第1のケース外枠部11または仕切り12で囲まれ、保持される。これにより、たとえば図3のように仕切り12として第1のケース収納部11A側の第1のケース仕切り部12Aのみを有する構成に比べて、リアクトル901の耐振動性が向上される。
すなわち、たとえば図3の構成においては、互いに隣り合う第1のコア片21などの間には、仕切り12が配置されずギャップとなる領域が広範囲に存在する。この場合、リアクトル101に強い振動が加わった際に、仕切り12が配置されずギャップとなる領域にて、Y方向に隣り合うコア片同士が接触する可能性がある。このような接触は、コア片の損傷および電気的特性の変化を抑制する観点から、回避されることが望ましい。このため図26のような構成とすることにより、たとえ強い振動が加わっても、隣り合う1対のコア片同士の接触等による不具合が、両者間の第1のケース仕切り部12Aおよび第2のケース仕切り部12Cにより抑制される。
図27は実施の形態9の第2例に係るリアクトルの完成品の一部分の概略断面図である。図27を参照して、実施の形態9の第2例に係るリアクトルは、基本的に実施の形態9の第1例のリアクトルと同様の構成を有する。このため実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし図27のリアクトル902は以下の構成上の特徴を有している。リアクトル902においては、複数の第1のコア片21のうちY方向に隣り合う1対の第1のコア片21の間の領域としてのギャップが複数形成される。第1のケース収納部11Aと一体となる第1部分としての第1のケース仕切り部12Aと、第1のケース蓋部11Bと一体となる第2部分としての第2のケース仕切り部12Cとは、複数のギャップのそれぞれに、当該複数のギャップのそれぞれが並ぶY方向に関して交互に配置される。すなわち図の左側から右側へ並ぶギャップごとに、第1のケース仕切り部12Aと、第2のケース仕切り部12Cとが交互に並んでいる。このような構成を有してもリアクトル902の機能上は特に問題はない。すなわちリアクトル902についても、所望の電気的特性を得ることができる。
図28は実施の形態9の第3例に係るリアクトルの完成品の一部分の概略断面図である。図29は実施の形態9の第4例に係るリアクトルの完成品の一部分の概略断面図である。図28を参照して、リアクトル903はリアクトル101,901と基本的に同様の構成である。リアクトル903では、リアクトル101と同様に、Y方向に隣り合う1対の第1のコア片21の間の領域のすべてに、第1のケース仕切り部12Aが配置される。ただしリアクトル903では、第1のケース仕切り部12AのZ方向に延びる長さがリアクトル101よりも長い。リアクトル903では、隣り合う1対の第1のコア片21の間の領域のZ方向に関するほぼ全体の長さを有する第1のケース仕切り部12Aが配置される。
図29を参照して、リアクトル904はリアクトル903と基本的に同様の構成である。リアクトル904では、Y方向に隣り合う1対の第1のコア片21の間の領域のすべてに、第2のケース仕切り部12Cが配置される。ただしリアクトル904では、第2のケース仕切り部12CのZ方向に延びる長さがリアクトル901よりも長い。リアクトル904では、隣り合う1対の第1のコア片21の間の領域のZ方向に関するほぼ全体の長さを有する第2のケース仕切り部12Cが配置される。
図28および図29のリアクトル903,904についても、図26のリアクトル901と同様に、互いに隣り合う第1のコア片21などの間の領域のZ方向に関する大部分、すなわち90%以上の領域が仕切り12で埋められる。このため図26のリアクトル901と同様に、リアクトル904の耐振動性を向上させる効果が得られる。
なお図26〜図29においては、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとがスナップフィット構造13により嵌合される例が示されている。しかしこれに限らず、本実施の形態においても、たとえば図3のように第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとは第1のケース接触部11Cにて互いに接触しその外側からケース固定用部材41により巻き付けられる構成であってもよい。
また図26〜図29は第1のケース10の第1のケース外枠部11について説明されている。しかし図21および図22の第2のケース15についても、本実施の形態の仕切り12と同様の構成が適用されてもよい。
実施の形態10.
図30は実施の形態10の第1例に係るリアクトルの第1のケースに第2のコア片が挿入される態様を示す概略斜視図である。図30を参照して、本実施の形態では、平面視にてU字形状を有する第1のケース10としての第1のケース外枠部11の、2つのY方向に沿って延びる部分それぞれのY方向正側、すなわちX方向に沿って延びる部分側と反対側の端部の構成において実施の形態1,4と異なっている。
具体的には、図30の本実施の形態では、第2のコア片22のうちの一部が、第1のケース10内に収納されている。上記第2のコア片22のうちの一部とは、第2のコア片22の延びるX方向の一方および他方の端部である。ただし第2のコア片22の全体が第1のケース10内に収納されてもよい。上記第1のケース10内とは、第1のケース10のうち、複数の第1のコア片21B,21Cが並ぶ第1方向としてのY方向の正側の端部である第1の端部である。この第1のケース10の第1の端部において、第1方向に交差する第2方向であるX方向に延びる第2のコア片22の一方および他方の端部が、第1のケース10内に収納されている。この点において本実施の形態は、第2のコア片22が第1のケース10内に収納されない実施の形態1と構成上異なっている。
第1のケース収納部11Aは、その最もY方向正側の領域において、Y方向に延びる最外部の1対の側面およびその内側の1対の側面が欠けている。この側面が欠けた部分が、最外部の1対の開口18およびその内側の1対の開口18として形成されている。これらの開口18は、図30の点矢印に示すようにX方向から第1のケース10のY方向正側端部に第2のコア片22を出し入れるためのものである。すなわちX方向のたとえば右側の最外部の側面に形成された開口18から、第2のコア片22が第1のケース10のY方向正側端部に挿入される。このとき第2のコア片22は、1対の内側の開口18を通るように、X方向に移動するように挿入される。その状態が図31のリアクトル1001として示される。図31は実施の形態10の第1例に係るリアクトルの完成品の外観態様を示す概略斜視図である。図31を参照して、たとえばX方向右側最外部の開口18から第2のコア片22が挿入された状態のリアクトル1001においては、第2のコア片22のX方向の第2の端部に隣接する領域すなわち最外部の少なくとも1つにおいて、第1のケース10には第2のコア片22を出し入れるための開口18が形成されている。ただし図30および図31では、第2のコア片22の延びる方向の一方および他方の第2の端部のそれぞれに隣接するX方向最外部と、当該最外部よりも内部とに1対ずつ、合計2対の開口18が形成されている。この点において本実施の形態は、X方向の最外部の側面に開口18が形成されていない実施の形態4と構成上異なっている。
なお第2のコア片22が挿入された後の図31のリアクトル1001の完成品においては、第1のケース収納部11AのX方向最外部の1対の開口18はテープなどで塞がれることが好ましい。開口18は、テープ以外の任意の固定部材により塞がれてもよい。第1のケース収納部11AのX方向最外部の1対の開口18がテープなどで塞がれれば、実施の形態4のようにY方向正側端部まで第1のケース収納部11AのX方向最外部の側面が存在する構成と実質的に同様の構成となる。
図30に示すように、第1のケース外枠部11のY方向正側端部の、第2のコア片22が収納される領域には、複数の第1のコア片21Bが並ぶ第1方向(Y方向)の一方および他方に壁面17が含まれる。このため本実施の形態では第2のコア片22は、Y方向正側からは第1のケース外枠部11のY方向正側端部の収納部に挿入できない。第2のコア片22は壁面17による干渉を受けるためである。この点において本実施の形態は、Y方向正側の最端部に壁面17が形成されず、Y方向正側から第1のケース10内に第2のコア片22が挿入される実施の形態4とは構成上異なっている。
以上のような構成とすることにより、リアクトル1001は、他の実施の形態のリアクトルと同様に、第1のコア片21および第2のコア片22により、閉ループ状の閉磁路が形成される。
図32は実施の形態10の第2例に係るリアクトルの第1のケースに第2のコア片が挿入される態様を示す概略斜視図である。図32を参照して、第2例のリアクトル1002は基本的にリアクトル1001と同様の構成を有する。ただしリアクトル1002においては、第1のケース外枠部11の第2方向すなわちX方向の少なくとも一方の最外部には、図30と同様に、第2のコア片22を出し入れるための開口18が形成されている。ただし第1のケース外枠部11のX方向の上記一方の最外部と反対側の他方の最外部には、たとえば開口18とX方向について対向するように、固定壁部19が配置されている。つまり当該他方の最外部には、開口18の代わりに固定壁部19により当該最外部がX方向について塞がれた態様を有している。固定壁部19は、たとえば第1のケース外枠部11のY方向に延びる最外部の側面の一部であってもよい。
図32ではX方向の一方の最外部は図の右側であり、他方の最外部は図の左側である。したがって図の右側に開口18が、図の左側に固定壁部19が形成される。しかし図示されないがこれとは逆にX方向の一方の最外部が図の左側であり、他方の最外部が図の右側であってもよい。この場合、図の左側に開口18が、図の右側に固定壁部19が形成される。
なお図30〜図32の本実施の形態の各例においては、第1のケース10の第1のケース外枠部11は、第1のケース収納部11Aと、第1のケース蓋部11Bとが平面視にてほぼ同一形状のU字形状であることが好ましい。このようにすれば、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとが異なる形状を有する場合に比べて生産性を向上させることができる。ただしこの場合、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとは固定部材により固定されることが好ましい。ここで、当該固定部材は第1のケース収納部11Aの第2のコア片22が挿入されるX方向に交差するY方向の一方および他方の端部に取り付けられることが好ましい。当該固定部材として、図30〜図32ではたとえばスナップフィット構造13が取り付けられている。ただし当該固定部材としてはスナップフィット構造13以外のものが用いられてもよい。このようにすれば、第2のコア片22の挿入時に第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとを固定する固定部材が第2のコア片22と干渉しないようにすることができる。
実施の形態10のリアクトル1001,1002は、上記以外は基本的に実施の形態1〜9のリアクトルと同様の構成を有する。以下実施の形態1〜9と重複するが、要点を再度記載する。以下においてはリアクトル1001の変形例として説明するが、リアクトル1002についても同様である。
実施の形態10のリアクトル1001は、第1のケース10と、コア片20と、コイル30とを主に有している。第1のケース10は、リアクトル101のコア片20により形成される閉ループ、または閉ループ状の閉磁路の一部としての形状を有している。コア片20は、複数の第1のコア片21と、第2のコア片22とを有している。複数の第1のコア片21は、第1のケース10内に配置される。
リアクトル1001において、第2のコア片22は、第1のケース10内すなわち第1のケース外枠部11に収納される複数の第1のコア片21A,21B,21Cと併せて、概ね矩形状である閉ループ状の閉磁路となるように配置される。なお上記の概ね矩形状である閉ループ状とは、たとえば複数のうちY方向に隣り合う1対の第1のコア片21Bの間の空隙、およびこれらの間のX方向の位置ずれなどを無視すれば平面視にて概ね矩形状の閉ループに見えることを意味する。
コイル30は、閉磁路としてのたとえば図1に示すコア片20の一部に巻回される。より具体的には、第1のケース外枠部11の内部に配置される第1のコア片21BのY方向に沿って延びる部分に、コイル30が巻回されている。
第1のケース10の外枠としての第1のケース外枠部11の内部には、複数の第1のコア片21と、複数の第1のコア片21のうち隣り合う1対の第1のコア片21の間を区画する仕切り12とが配置される。より具体的には、第1のコア片21に含まれる第1のコア片21Aは、第1のケース収納部11Aの内部のうち、第1のケース10としての第1のケース外枠部11がX方向に沿って延びる部分に収まる。複数の第1のコア片21B,21Cは、第1のケース収納部11Aの内部のうち、第1のケース10としての第1のケース外枠部11がY方向に沿って延びる部分に収まる。仕切り12は、第1のケース外枠部11すなわち第1のケース収納部11Aの内部で、複数の第1のコア片21A,21B,21Cのうち隣り合う1対の第1のコア片21A,21B,21Cの間を区画する。
第1のケース外枠部11は、複数の第1のコア片21A,21B,21Cを収納可能な第1のケース外枠部11の部分である第1のケース収納部11Aと、第1のケース収納部11Aの内部の空間を覆う第1のケース蓋部11Bとを含む。図31においては、第1のケース蓋部11Bは第1のケース収納部11Aと平面視にてほぼ同一形状を有し、第2のコア片22を含むコア片20の全体を覆うように配置されている。
本実施の形態のリアクトル1001においても、第1のケース収納部11Aと、第1のケース蓋部11Bとが、図5中の点線で囲まれた領域に示すような、いわゆるスナップフィット構造13と呼ばれる嵌合機構により嵌合されていることが好ましい。
本実施の形態のリアクトル1001において、上記仕切り12により区画される隣り合う1対の第1のコア片21Bは、たとえば図12の寸法GP2,GP3が示すような空隙を介して対向していることが好ましい。ただし複数の仕切り12とそれのY方向に隣接する第1のコア片21Bとの間隔としてのコアギャップが複数形成されるが、その複数のコアギャップのうち少なくとも1つのコアギャップがY方向に互いに間隔をあけるように空隙を有していることが好ましい。
本実施の形態のリアクトル1001において、たとえば図12における、仕切り12を介して配置される複数の第1のコア片21B,21Cのうち一の隣り合う1対の第1のコア片の間隔は、他の隣り合う1対の第1のコア片の間隔と異なってもよい。上記で一の隣り合う1対の第1のコア片の間隔とは、たとえば第1のコア片21B1と第1のコア片21B2との間隔である。また上記で他の隣り合う1対の第1のコア片の間隔とは、たとえば第1のコア片21B2と第1のコア片21B3との間隔である。
本実施の形態においても、たとえば図13に示すように、第1のケース外枠部11の内部には複数のリブ11Eが形成される。リブ11Eは第1のケース外枠部11の内壁面、特に内側の側面上に、たとえばY方向について互いに間隔をあけて複数取り付けられる薄く小さい部材である。複数のリブ11EのうちたとえばY方向に関して互いに隣り合う1対のリブ11Eの間に挟まれる溝状の空間部分に、薄い平板状の仕切り12が挿入される。仕切り12はリブ11Eに挟まれた複数の溝状の空間部分の領域内で任意に取り外し可能に配置される。
本実施の形態においても、第1のケース10は、他の実施の形態と同様に、第1のケース外枠部11と、仕切り12とを含む。第1のケース外枠部11は複数の第1のコア片21を収納可能である。仕切り12は第1のケース外枠部11の内部に配置される。仕切り12においては、たとえば図14に示すように間隔をあけて配置された複数の第1のケース仕切り部12Aが仕切りベース部12Bに取り付けられ、仕切りベース部12Bと一体になっている。仕切りベース部12Bと、これに取り付けられ一体となった複数の第1のケース仕切り部12Aとからなる仕切り12は、第1のケース外枠部11に対して脱着可能となっている。
本実施の形態のリアクトル1001においても、図26のように、第1のケース10は、第1のケース外枠部11と、仕切り12とを含む。第1のケース外枠部11は複数の第1のコア片21を収納可能である。仕切り12は第1のケース外枠部11の内部に配置される。仕切り12においては、間隔をあけて配置された複数の第1のケース仕切り部12Aが仕切りベース部12Bに取り付けられ、仕切りベース部12Bと一体になっている。仕切り12は、第1のケース外枠部11に対して脱着可能となっている。第1のケース蓋部11Bには、仕切り12としての第2のケース仕切り部12Cが、第1のケース蓋部11Bと一体となるように形成されている。このような構成であってもよい。この場合、リアクトル1001においては、第1のケース収納部11Aに第1のケース仕切り部12Aが、第1のケース蓋部11Bに第2のケース仕切り部12Cが、形成される。言い換えればリアクトル1001においては、ケース仕切り部は、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの双方に形成される。
本実施の形態のリアクトル1001において、第1のケース仕切り部12Aは第1のケース収納部11Aと一体となるように形成された第1部分である。第2のケース仕切り部12Cは第1のケース蓋部11Bと一体となるように形成された第2部分である。このような構成であってもよい。
本実施の形態のリアクトル1001においても、図27のように、複数の第1のコア片21のうちY方向に隣り合う1対の第1のコア片21の間の領域としてのギャップが複数形成される。第1のケース収納部11Aと一体となる第1部分としての第1のケース仕切り部12Aと、第1のケース蓋部11Bと一体となる第2部分としての第2のケース仕切り部12Cとは、複数のギャップのそれぞれに、当該複数のギャップのそれぞれが並ぶY方向に関して交互に配置される。このような構成であってもよい。
本実施の形態においても、たとえば図9のように、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方が配置される。第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方により接合される。したがって、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の双方が配置されてもよい。また第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の双方により接合されてもよい。
本実施の形態のリアクトル1001においても、図16のように、第1のケース10としての第1のケース外枠部11の外側に配置されるボビン部40をさらに備えていてもよい。この場合、コイル30はボビン部40の外側に巻回される。
本実施の形態のリアクトル1001においても、第1のケース外枠部11には、複数の第1のコア片21B,21Cのそれぞれを介して互いに対向する少なくとも1組の面のそれぞれに開口部14が形成されてもよい。したがって、図17および図18のように第1のケース収納部11AのZ方向最下面およびそれに対向する第1のケース蓋部11Bの位置に開口部14が形成されてもよい。あるいはたとえば第1のケース収納部11Aの仕切り12に区切られた各領域の、互いに対向する1組の側面に相当する領域のそれぞれのたとえば平面視での中央部などの一部の領域に、開口部14が形成されてもよい。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。上記のように、本実施の形態のリアクトル1001は、第1のケース10と、複数の第1のコア片21と、第2のコア片22と、コイル30とを備えている。第1のケース10は、閉ループの一部としての形状を有する。複数の第1のコア片21は、第1のケース10内に配置される。第2のコア片22は、第1のケース10内の複数の第1のコア片21と併せて閉ループ状の閉磁路となるように配置される。コイル30は閉磁路に巻回される。第1のケース10の外枠としての第1のケース外枠部11の内部には、複数の第1のコア片21B(21C)と、複数の第1のコア片21B(21C)のうち隣り合う1対の第1のコア片21B(21C)の間を区画する仕切り12とが配置される。第2のコア片22の少なくとも一部は、複数の第1のコア片21B(21C)が並ぶ第1方向(Y方向)の第1の端部において、第1方向に交差する第2方向(X方向)に延びるように、第1のケース10内に収納される。第1のケース10内に収納された第2のコア片22の第2方向の第2の端部に隣接する最外部の少なくとも1つにおいて、第1のケース10には第2のコア片22を出し入れるための開口18が形成される。第1のケース外枠部11は、複数の第1のコア片21を収納可能な第1のケース外枠部11の部分である第1のケース収納部11Aと、第1のケース収納部11Aの内部の空間を覆う第1のケース蓋部11Bとを含む。
本実施の形態においても、第1のケース外枠部11の外形寸法を規定し、その中に第1のコア片21および第2のコア片22を収納する。これだけで、各複数の第1のコア片21間および第1のコア片21と第2のコア片22との間のコアギャップの総和の値を管理することができる。このため各第1のコア片21間などのコアギャップを精確に管理する必要がない。また複雑な機構部品を用いて各第1のコア片21などを固定する必要もない。ただ仕切り12を有する第1のケース外枠部11を用いるだけで、リアクトル1001を容易に生産することができる。すなわちリアクトル1001の生産性を大幅に向上させることができる。
上記のように本実施の形態では、第2のコア片22の少なくとも一部、特にその延びる方向の端部が、第1のケース10内に収納される。第1のケース10には第2のコア片22を出し入れるための開口18が形成されている。このように、第1のケース10内には第1のコア片21だけでなく、閉磁路を構成する第2のコア片22も配置される。このため第2のコア片22の第1のケース外枠部11に対する固定をより簡易にすることができる。たとえばリアクトル1001においては、Y方向について第2のコア片22を挟むように壁面17が配置される。これにより第2のコア片22はY方向について壁面17からの干渉を受けるため、第2のコア片22のY方向についての固定がより確実になされる。
またたとえばリアクトル1001においては、X方向について開口18を塞ぐようにテープなどの固定部材が配置される。これにより特にX方向については第2のコア片22の延びる方向の端部がテープなどの固定部材からの干渉を受けるため、第2のコア片22のX方向についての固定がより確実になされる。以上により、第2のコア片22の第1のケース外枠部11に対する固定強度を向上することができる。
本実施の形態においては、たとえばリアクトル1002のように、開口18は第1のケース外枠部11の第2方向の一方の最外部であるたとえば右側の最外部に形成される。第1のケース外枠部11の第2方向の、一方の最外部と反対側の他方の最外部であるたとえば左側の最外部には、固定壁部19が形成される。第2のコア片22が出し入れされるためには、少なくとも1つの開口18が、一方の最外部に形成されていれば十分である。そして他方の最外部には固定壁部19が形成されれば、一方および他方の最外部の双方に開口18が形成される場合に比べて、第2のコア片22の挿入後に塞ぐべき開口18を減らすことができる。このため第2のコア片22のX方向の固定をより容易にできる。つまり第2のコア片22の挿入後に、一方の最外部の開口18のみをテープなどで塞いで固定すればよい。このため一方および他方の最外部の双方に開口18が形成される場合に比べて、第2のコア片22を容易に固定し、リアクトル1002を容易に形成できる。リアクトル1002においては、第2のコア片22がX方向について、固定壁部19から干渉を受けるため、第2のコア片22のX方向についての固定がより確実になされる。
その他の作用効果は、実施の形態1と同様であるが、要点を再度記載する。本実施の形態のリアクトル1001は、仕切り12により区画される隣り合う1対の第1のコア片21B(21C)が、空隙を介して対向していることが好ましい。このようにすれば、仕切り12を含む第1のケース10の外形寸法により、複数の第1のコア片21Bなどの間隔としてのコアギャップの総和が自動的に決まる。このため第1のケース10内への各第1のコア片21Bの導入時に特に注意を配らなくても、簡単にコアギャップの総和が決まり、リアクトル1001のインダクタンスなどの特性を決定することができる。このためリアクトル1001を容易に生産することができる。
本実施の形態のリアクトル401は、第1のケース外枠部11の内部には互いに間隔をあけて複数のリブ11Eが形成される。複数のリブ11Eのうち互いに隣り合う1対のリブ11Eの間に、仕切り12が取り外し可能に配置される。このような構成であってもよい。このようにすれば、リブ11Eにより、仕切り12の配置される位置を、第1のケース外枠部11の内部にて変更することができる。つまり第1のケース外枠部11の内部の状態の汎用性を高くすることができる。これにより、第1のコア片21の大きさが変更されても仕切り12の設置位置を変えることにより第1のコア片21を第1のケース外枠部11の内部に収納する自由度が高められる。
本実施の形態のリアクトル401は、第1のケース10は、複数の第1のコア片21を収納可能な第1のケース外枠部11と、第1のケース外枠部11の内部に配置され第1のケース外枠部11に対して脱着可能な仕切り12とを含む。このような構成であってもよい。たとえば図14に示すように仕切り12は、複数の第1のケース仕切り部12Aが間隔を隔てて一体となっている。これにより実施の形態2,3と同様に、仕切り12を第1のケース外枠部11に対して取り外しが可能となる。このため、たとえば第1のコア片21が小片である場合には仕切り12を第1のケース外枠部11内に収めた上で第1のコア片21を収め、第1のコア片21が大片である場合には仕切り12を収めずに第1のケース外枠部11内に直接第1のコア片21を収めることができる。
本実施の形態のリアクトル1001は、第1のケース10は、複数の第1のコア片21を収納可能な第1のケース外枠部11と、第1のケース外枠部11の内部に配置され第1のケース外枠部11に対して脱着可能な仕切り12とを含む。仕切り12は、複数の第1のケース仕切り部12Aが間隔を隔てて一体となっている。第1のケース蓋部11Bには、仕切り12としての第2のケース仕切り部12Cが、第1のケース蓋部11Bと一体となるように形成されている。第1のケース仕切り部12Aは、第1のケース収納部11Aに一体形成された第1部分である。第2のケース仕切り部12Cは、第1のケース蓋部11Bに一体形成された第2部分である。このような構成であってもよい。このようにすれば、第1のケース収納部11Aおよび第1のケース蓋部11Bのそれぞれと一体で仕切り12を形成することができる。このため仕切り12としての第1のケース仕切り部12Aと第1のケース収納部11Aとを同一工程で形成できる。また仕切り12としての第2のケース仕切り部12Cと第1のケース蓋部11Bとを同一工程で形成できる。さらに、ケース仕切り部が第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの双方に一体に形成される場合においても、これらすべてを同一工程で形成できるため、工程を簡略化できる。
本実施の形態のリアクトル1001は、複数の第1のコア片21のうちY方向に隣り合う1対の第1のコア片21の間の領域としてのギャップが複数形成される。第1のケース収納部11Aと一体となる第1部分としての第1のケース仕切り部12Aと、第1のケース蓋部11Bと一体となる第2部分としての第2のケース仕切り部12Cとは、複数のギャップのそれぞれに、当該複数のギャップのそれぞれが並ぶY方向に関して交互に配置される。すなわち図の左側から右側へ並ぶギャップごとに、第1のケース仕切り部12Aと、第2のケース仕切り部12Cとが交互に並んでいる。このような構成を有してもリアクトル902の機能上は特に問題はない。すなわちリアクトル902についても、所望の電気的特性を得ることができる。
本実施の形態のリアクトル1001においても、第1のケース収納部11Aと、第1のケース蓋部11Bとは、嵌合機構としてのたとえばスナップフィット構造13により嵌合されていることが好ましい。これによりリアクトル102では、第1のケース収納部11Aと第1のケース蓋部11Bとの嵌合強度が、リアクトル101よりも高められる。またこれにより、リアクトル102の耐振動性を向上することができる。
本実施の形態のリアクトル1001においても、第1のケース外枠部11の内部には、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方が配置される。第1のケース外枠部11と、複数の第1のコア片21とは、緩衝材43および接着剤44の少なくともいずれか一方により接合される。このような構成であってもよい。これにより、第1のケース外枠部11と第1のコア片21とを充分な強度で接合できる。
本実施の形態のリアクトル1001は、第1のケース10としての第1のケース外枠部11の外側に配置されるボビン部40をさらに備えている。コイル30はボビン部40の外側に巻回される。このような構成であってもよい。ボビン部40を用いることにより、電線などの形状を安定させるために煩雑な工程を経る必要がなくなる。以上により、本実施の形態によれば、リアクトルの特にコイル30の部分の生産効率が向上できる。
本実施の形態のリアクトル1001は、第1のケース外枠部11には、複数の第1のコア片21B,21Cのそれぞれを介して互いに対向する少なくとも1組の面のそれぞれに開口部14が形成されている。このような構成であってもよい。これにより、第1のコア片21などを効率的に冷却する効果と、第1のコア片21の割れの有無などの視認を容易にする効果とが得られる。
本実施の形態のリアクトル1001においても、たとえば図12のように、仕切り12を介して配置される複数の第1のコア片21B,21Cのうち一の隣り合う1対の第1のコア片21B,21Cの間隔である寸法GP2は、他の隣り合う1対の第1のコア片21B,21Cの間隔である寸法GP3と異なってもよい。このようにしてもリアクトル1001の機能上問題はない。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。