JPWO2019189817A1 - インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクの製造方法及び画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット方式による画像記録方法(インクジェット記録方法)は、印刷版を必要とせず、画像記録部のみにインクを吐出して記録媒体上に直接画像記録を行うため、インクを効率的に使用でき、ランニングコストが安い。更に、インクジェット記録方法は印刷装置も従来の印刷機に比べ比較的低コストで、小型化も可能であり、騒音も少ない。このように、インクジェット記録方法は他の画像記録方式に比べて種々の利点を備えている。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、インクの吐出性及び画像の耐傷性に優れるインクジェット記録用インクの製造方法及び画像記録方法を提供することである。
<1> 顔料と、顔料を分散する水溶性ポリマーと、アルカリ金属塩と、水溶性有機溶剤と、を含み、アルカリ金属塩の全質量に対する水溶性ポリマーの含有量の比が15以下であり、かつ、インクジェット記録用インクの全質量に対する水溶性有機溶剤の含有量が18質量%以下であるインクジェット記録用インクである。
<2> インクジェット記録用インクの全質量に対する水溶性有機溶剤の含有量が10質量%以上である<1>に記載のインクジェット記録用インクである。
<3> インクジェット記録用インクの全質量に対する顔料の含有量が2.0質量%〜7.5質量%であり、かつ、インクジェット記録用インクの全質量に対するアルカリ金属塩の含有量が0.15質量%〜1.0質量%である<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用インクである。
<4> アルカリ金属塩の全質量に対する顔料の含有量の比が、2〜30である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクである。
<5> 顔料がカーボンブラック、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料の群から選ばれる少なくとも1つを含有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクである。
<6> 顔料が、ピグメント・オレンジ43を含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクである。
<7> 更に、高分子樹脂粒子を含有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクである。
<8> インクジェット記録用インクの全質量に対して高分子樹脂粒子を3.0質量%〜15.0質量%含有する<7>に記載のインクジェット記録用インクである。
<9> 水溶性ポリマーが、下記式1で表わされる構成単位を含む<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクである。
<10> 顔料と、顔料を分散する水溶性ポリマーと、アルカリ金属塩と、水溶性有機溶剤とを混合する工程を含むインクジェット記録用インクの製造方法である。
<11> <1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクをインクジェット法により記録媒体上に吐出して画像を記録する工程を含む、画像記録方法である。
本開示の他の実施形態によれば、インクの吐出性及び画像の耐傷性に優れるインクジェット記録用インクの製造方法及び画像記録方法を提供することができる。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないもの及び置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において「水溶性」とは、20℃において水に対する溶解度が5質量%以上であるものをいう。
本開示のインクジェット記録用インク(本明細書中、インクということがある。)は、顔料と、顔料を分散する水溶性ポリマーと、アルカリ金属塩と、水溶性有機溶剤と、を含み、アルカリ金属塩の全質量に対する水溶性ポリマーの含有量の比が15以下であり、かつ、インクの全質量に対する水溶性有機溶剤が18質量%以下である。
一般に、水溶性有機溶剤の含有量が多い場合にはインクの乾燥性に劣り、得られる画像の耐傷性を損ないやすくなるところ、本開示のインクは水溶性有機溶剤の含有量を相対的に少なく抑えることができるため、優れたインクの吐出性に加えて、優れた画像の耐傷性も実現できる。結果として、優れたインクの吐出性と、優れた画像の耐傷性と、を両立させることができる。
本開示のインクは、アルカリ金属塩を含む。
水溶性ポリマーによって顔料を分散させた場合、顔料を水溶性ポリマーが覆う状態となる。水溶性ポリマーによって分散させた顔料を含む場合、更に、アルカリ金属塩を含有することでイオン量が増加し、顔料を覆う水溶性ポリマーの周りにアルカリ金属塩による一価のカチオン層を形成することができる。顔料同士の距離が近い場合には、上記カチオン層のクーロン力により顔料同士が反発し、沈降抑制性、凝集抑制性等の分散性を良好な状態に保つことができる
本開示のインクは、分散剤として水溶性ポリマーを含み、上記アルカリ金属塩の全質量に対する水溶性ポリマーの含有量の比が15以下である。これによって、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れ、インクの吐出性を良好に保つことができる。
上記と同様の観点から、アルカリ金属塩の全質量に対する水溶性ポリマーの含有量の比が、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
また、上記アルカリ金属塩の全質量に対する水溶性ポリマーの含有量の比は、0.5以上であることが好ましい。これによって、より顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性を良化することができる。
水溶性ポリマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、又はスチレンアクリル酸のホモポリマー及び、アクリル酸、メタクリル酸、又はスチレンアクリル酸の少なくとも1つと他の親水性基を有するモノマーとの共重合体などの、カルボキシル基が導入された水溶性ポリマーが挙げられる。
本開示のインクは、下記式1で表される構成単位(以下、「構成単位a−1」ともいう。)を有する水溶性ポリマーを含有することが好ましい。
構成単位a−1は、上記式1で表される構成単位である。
式1中、R1は、メチル基が好ましい。
式1中、L2は、−C(=O)O−、−OC(=O)−、又は、−C(=O)NR2−を表し、−C(=O)O−、又は、−C(=O)NR2−であることが好ましく、−C(=O)O−であることがより好ましい。
上記R2は、水素原子が好ましい。
なお、上記−C(=O)O−との記載は、−C(=O)O−における炭素原子と、上記式1中のR1が結合した炭素原子とが直接結合することを示しており、−OC(=O)−との記載は、−OC(=O)−における炭素原子と、上記式1中のR1が結合した炭素原子とが直接結合することを示している。
また、−C(=O)NR2−との記載は、−C(=O)NR2−における炭素原子と、上記式1中のR1が結合した炭素原子とが直接結合することを示している。
式1中、R3は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、炭素数6〜30のアルキル基が好ましく、炭素数8〜22のアルキル基がより好ましく、炭素数12〜22のアルキル基が更に好ましく、炭素数12〜18のアルキル基が特に好ましい。上記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また、環構造を有していてもよい。
本開示において用いられる水溶性ポリマーは、構成単位a−1を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる水溶性ポリマーが、2種以上の構成単位a−1を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a−1の合計含有量をいう。
水溶性ポリマーは、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、芳香環を有する構成単位(以下、「構成単位a−2」ともいう。)を更に有することが好ましく、下記式2で表される構成単位を更に有することがより好ましい。
上記芳香環としては、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
式2中、L5は単結合、又は、下記式2−1若しくは下記式2−2により表される基であることが好ましく、単結合、又は、下記式2−1により表される基であることがより好ましい。
L5におけるアルキレン基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜5のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。上記アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
L5におけるアルケニレン基としては、炭素数2〜10のアルケニレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニレン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルケニレン基がより好ましい。上記アルケニレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
上記R7は水素原子が好ましい。
式2中、R6はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は、炭素数6〜20のアリールオキシ基を表すことが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、又は、炭素数6〜20のアリールオキシ基を表すことがより好ましい。
上記R6におけるアルキル基、及び、アルコキシ基に含まれるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
上記R6におけるアリールオキシ基は、ナフチルオキシ基又はフェニルオキシ基であることが好ましく、フェニルオキシ基であることがより好ましい。
式2中、mは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
L11の好ましい態様としては、下記式2−3、式2−4又は式2−5により表される2価の連結基が挙げられる。
式2−2中、R7は、式2中のR7と同義であり、好ましい態様も同様である。
式2−1及び式2−2中、*は式2中のR4が結合した炭素原子との結合部位を表し、波線部は式2中のベンゼン環との結合部位を表す。
式2−3中、n3は1〜5の整数であることが好ましい。
式2−4中、n4は1〜3の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式2−5中、n5は1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
本開示において用いられる水溶性ポリマーは、構成単位a−2を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる高分子分散剤が、2種以上の構成単位a−2を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a−2の合計含有量をいう。
水溶性ポリマーは、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、酸性基を有する構成単位(以下、「構成単位a−3」ともいう。)を更に有することが好ましい。
本開示における酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基といった酸性を示す基を意味する。中でも、酸性基は、カルボキシ基、スルホ基又はホスホニル基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
酸性基は、プロトンを放出して解離した形であってもよく、塩を形成していてもよい。
また、インク中で、構成単位a−3は上述のアミン化合物との塩を形成していてもよい。
構成単位a−3は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来する構成単位であることが好ましく、メタクリル酸又はアクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
また、構成単位a−3の含有量は、後述する水溶性ポリマーの酸価を、0.5mmol/g〜3.5mmol/g(好ましくは1.0mmol/g〜3.0mmol/g、より好ましくは1.0mmol/g〜2.5mmol/g)とする量であることが好ましい。
本開示において用いられる水溶性ポリマーは、構成単位a−3を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる水溶性ポリマーが、2種以上の構成単位a−3を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a−3の合計含有量をいう。
水溶性ポリマーは、上述の構成単位a−1、構成単位a−2及び構成単位a−3以外のその他の構成単位である構成単位a−4を含有してもよい。
構成単位a−4としては、特に限定されないが、単官能(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位、又は、単官能(メタ)アクリルアミド化合物に由来する構成単位が好ましく、単官能(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位がより好ましい。
また、構成単位a−4としては、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、ヒドロキシ基、アミノ基及びポリアルキレンオキシ構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を有する構成単位がより好ましい。ヒドロキシ基を有する構成単位がより好ましい。
上記単官能(メタ)アクリレート化合物としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200〜1,000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200〜1,000)モノメタクリレート等が挙げられる。
上記単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
これらの中でも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200〜1,000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200〜1,000)モノメタクリレート、又は、メチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
本開示において用いられる水溶性ポリマーは、構成単位a−4を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる水溶性ポリマーが、2種以上の構成単位a−4を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a−4の合計含有量をいう。
また、水溶性ポリマーは、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、付加重合型樹脂であることが好ましく、アクリル樹脂であることがより好ましい。
なお、本開示におけるアクリル樹脂は、50質量%以上が(メタ)アクリル化合物及び(メタ)アクリルアミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構成単位を50質量%以上有する樹脂であり、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
また、水溶性ポリマーは、単独重合体であっても、共重合体であってもよいが、共重合体であることが好ましい。
水溶性ポリマーの含有量は、沈降抑制性、凝集抑制性及びインクの吐出性の観点から、インクの全質量に対し、0.3質量%〜3.0質量%である事が好ましい。
インクの全質量に対する水溶性ポリマーの含有量は、0.3質量%〜2.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜1.3質量%であることが更に好ましい。
水溶性ポリマーの酸価は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、0.5mmol/g〜3.5mmol/gであることが好ましく、1.0mmol/g〜3.0mmol/gであることがより好ましく、1.5mmol/g〜2.5mmol/gであることが更に好ましい。
水溶性ポリマーの酸価は、JIS K0070(1992)に準拠して測定し、1mmol/g=56.1mgKOH/gとして換算することにより算出される。
水溶性ポリマーの重量平均分子量は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、5,000〜50,000であることが好ましく、8,000〜40,000であることがより好ましく、10,000〜30,000であることが更に好ましい。
本明細書において、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL Super HZM−H、TSKgeL Super HZ4000、TSKgeL Super HZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)の3本を直列に接続し、溶離液としてNMP(N−メチルピロリドン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI(Refractive Index)検出器(示差屈折率検出器)を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
水溶性ポリマーのI/O値(無機性/有機性値)は、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、0.50〜0.80であることが好ましく、0.50〜0.75であることがより好ましい。
上記I/O値とは、無機性値/有機性値とも称される各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、各官能基にパラメータを設定する官能基寄与法の一つである。
また、上記有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。すなわち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5〜10付近で炭素1個が加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、これを基準に炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基礎として各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値となる。例えば、ニトロ基(−NO2)の有機性値は70である。
I/O値は、0に近いほど非極性(疎水性、有機性が大きい)の有機化合物であることを示し、値が大きいほど極性(親水性、無機性が大きい)の有機化合物であることを示す。
ただし、各モノマーの無機性値の算出方法として、一般的には2重結合を無機性2として加算するが、ポリマー化すると2重結合はなくなるため、本開示ではモノマーの無機性値として2重結合分は加算していない数値を用いて水溶性ポリマーのI/O値を算出する。
本開示のインクは、上記水溶性ポリマーによって分散された顔料を含む。
本開示に用いられる顔料としては、特に制限はないが、カーボンブラック、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料を含むことが好ましい。
ペリノン系顔料及びペリレン系顔料としては、ペリノン構造又はペリレン構造を有する顔料であれば、特に制限はないが、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、ペリノン系顔料が好ましく挙げられる。
ペリノン系顔料としては、例えば、C.I.(Color Index)Pigment Orange(ピグメント・オレンジ) 43、C.I.Pigment Red 194等が挙げられる。
ペリレン系顔料としては、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 178、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 189、C.I.Pigment Red 190、C.I.Pigment Brack 31等が挙げられる。
インク中の上記顔料の体積平均粒径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により測定することで求められる。
また、インク中の上記顔料の算術平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により平均粒径を測定することができる。具体的には、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した分散体を滴下した後乾燥させ、TEM(日本電子(株)製1200EX(商品名))で10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定して平均値を平均粒径として算出する。
また、本開示に係るインクは、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料以外の顔料を含んでいてもよいが、その含有量は、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料の総含有量100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。
より好ましくは、インクの全質量に対して顔料を2.0質量%〜5.0質量%含有し、かつ、アルカリ金属塩を0.15質量%〜0.5質量%含有することであり、さらに好ましくは、インクの全質量に対して顔料を2.5質量%〜4.5質量%含有し、かつ、アルカリ金属塩を0.2質量%〜0.3質量%含有することである。
本開示に係るインクは、水溶性有機溶剤を含有し、インクの全質量に対する水溶性有機溶剤の含有量は18質量%以下である。
インクの全質量に対する水溶性有機溶剤の含有量が18質量%以下であることで、インクが吐出された際のインクの乾燥性に優れ、得られる画像の耐傷性を向上させることができる。
インクの全質量に対する水溶性有機溶剤の含有量は、10質量%以上であることが好ましい。これによって、インクの吐出性をより良好に保つことができる。
インクの全質量に対する水溶性有機溶剤の含有量は、上記の観点から11質量%〜16.5質量%であることが好ましく、12質量%〜16質量%であることがより好ましく、12質量%〜14質量%であることがさらに好ましい。
水溶性有機溶剤の沸点が180℃以上であることで、インクの吐出性を良好に保つことができる。水溶性有機溶剤の沸点が300℃以下であることで、乾燥性を向上させることができ、画像の耐傷性を良好に保つことができる。
水溶性有機溶剤の沸点は、上記同様の観点から、180℃〜250℃がより好ましく、180℃〜220℃がさらに好ましい。
なお、本開示における沸点は、沸点計により測定される値であり、例えばタイタンテクノロジーズ(株)製のDosaTherm300を用いて測定することができる。
また、沸点は、1気圧(101325Pa)下における沸点を意味する。
上記アルコール化合物としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、及び、グリセリンが挙げられる。
上記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、及び、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
上記エーテル化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンが挙げられる。
上記アミド化合物としては、例えば、ジメチルホルムアミド、及び、ジエチルホルムアミドが挙げられる。
上記ニトリル化合物としては、例えば、アセトニトリルが挙げられる。
上記スルホン化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、及び、スルホランが挙げられる。
本開示のインクは、更に、高分子樹脂粒子を含有することが好ましい。これによって、
画像の強度が向上し、耐傷性を改善することができる。また、着滴後にインク滴が紙媒体上で拡がるので、インクの打滴量を減らしつつ、所望の色濃度の画像をカール及びカックルによる変形を伴うことなく記録できる。
A2は、単結合、−COO−、又は−CONH−を表し、単結合が好ましい。
芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
脂環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
高分子樹脂粒子を形成する樹脂は、他の構造単位として、上記の構造単位を2種以上有していてもよい。
上記の中でも、他の構造単位としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位及びスチレン化合物から選ばれるモノマーに由来する構造単位を有することが好ましい。
また、高分子樹脂粒子を形成する樹脂は、他の構造単位として、メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を有することも好ましい。この場合、メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位の高分子樹脂粒子の樹脂中における含有率は、5質量%以上90質量%以下が好ましく、10質量%以上85質量%以下がより好ましく、20質量%以上80質量%以下がさらに好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましく、40質量%以上60質量%以下が特に好ましい。
中でも、高分子樹脂粒子を形成する樹脂は、他の構造単位として、構造単位(i)を有し、かつ、メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を有することが好ましい。メチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を有することで、高分子樹脂粒子を調製した際の収率が向上し、かつ、高分子樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)を適切な範囲に調整することが可能である。これにより、記録される画像の膜質が向上する。
乳化重合法は、水性媒体(例えば水)中にモノマー、重合開始剤、乳化剤、及び、必要に応じて連鎖移動剤などを加えて調製した乳化物を重合させることで高分子樹脂粒子を調製する方法である。乳化重合法を高分子樹脂粒子の調製に適用する場合において、上記の一般式aで表される構造単位を導くモノマー、及び上記の一般式bで表される構造単位を導くモノマーは、乳化剤としても機能する。したがって、一般式a又は一般式bで表される構造単位を導くモノマー以外に乳化剤を別途混合する必要はないが、インクを調製した場合の吐出性及び画質を低下させない範囲であれば、従来より既知の乳化剤を別途添加してもよい。
乳化重合法によると、体積平均粒子径が30nm以上である高分子樹脂粒子を調製するのに適している。
この場合、高分子樹脂粒子の樹脂は、芳香族基を有する構造単位及び脂環族基を有する構造単位の少なくとも一方を有する樹脂が好ましい。脂環族基は、環状脂肪族基と同義である。芳香族基を有する構造単位としては、芳香族基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位が好ましく、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、等に由来する構造単位が挙げられる。脂環族基を有する構造単位としては、脂環族基を有する2環式又は3環式以上の脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましく、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、等に由来する構造単位が挙げられる。
中でも、高分子樹脂粒子(例えば自己分散性高分子樹脂粒子)の好ましい態様は、脂環式(メタ)アクリレート(好ましくは2環式又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレート)に由来する構造単位を20質量%以上90質量%以下と、解離性基(好ましくはアニオン性の解離性基、より好ましくはカルボキシル基、リン酸基、及びスルホン酸基等)含有モノマーに由来する構造単位を25質量%以下と、炭素数1〜8の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位の少なくとも1種と、を含み、酸価が20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下(より好ましくは25mgKOH/g以上100mgKOH/g以下)であって、重量平均分子量が3,000以上20万以下(好ましくは10,000以上20万以下)であるビニルポリマーである態様である。
自己分散性高分子樹脂粒子とは、樹脂自身が有する官能基(特に、酸性基又は酸性基の塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性樹脂からなる粒子をいう。なお、分散状態とは、水性媒体中に水不溶性樹脂が液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性樹脂が固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
また、「水不溶性」とは、水100質量部(25℃)に対する溶解量が5.0質量部以下であることを指す。
高分子樹脂粒子の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、以下に示す条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算値として求められる値である。なお、検量線は、東ソー社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、及び「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
〜条件〜
・測定装置:高速GPC HLC−8020 GPC(東ソー(株)製)
・検出器:示差屈折率計(RI) RI−8020(東ソー(株)製)
・カラム:TSKgeL Super Multipore HZ−H(4.6mmID
×15cm、東ソー(株)製)を3本使用
・カラム温度:40℃
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・試料濃度:0.45質量%
・注入量:10μL
・流量:0.35mL/分
体積平均粒子径の調整方法には、特に制限はなく、例えば乳化重合法によると粒子径を30nm以上に容易に調整することができる。
また、高分子樹脂粒子の粒径分布としては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。単分散の粒径分布を持つ高分子樹脂粒子を、2種以上混合して用いてもよい。
中でも、Tgとしては、40℃以上60℃以下の範囲がより好ましい。
30℃→−50℃(50℃/分で冷却)
−50℃→220℃(20℃/分で昇温)
220℃→−50℃(50℃/分で冷却)
−50℃→220℃(20℃/分で昇温)
インクの全質量に対して高分子樹脂粒子を15.0質量%以下含むことで、インクの打滴量を減らしつつ、所望の色濃度の画像をカール及びカックルによる変形を伴わずに記録できる。
上記同様の観点から、インクの全質量に対する高分子樹脂粒子の含有量は、4質量%〜10質量%がより好ましく、6質量%〜8質量%がさらに好ましい。
本開示に係るインクは、水を含有することができる。
水の含有量には特に制限はないが、インクの全質量に対し、10質量%〜99質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%であることがより好ましく、50質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
本開示に係るインクは、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れるだけでなく、インクジェット吐出安定性にも優れ、また、画像濃度が高い画像を形成することができる。
本開示に係るインクは、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、水溶性重合性化合物、重合開始剤、樹脂粒子、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インクに直接添加する。
水溶性重合性化合物は、画像の密着性を向上させることができる。水溶性重合性化合物の好ましい形態については、特開2011−231315号公報の段落0037〜0061の記載を適宜参照できる。
界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
表面張力調整剤の添加量は、インクの表面張力を20mN/m〜60mN/mに調整できる範囲が好ましく、20mN/m〜45mN/mに調整できる範囲がより好ましく、25mN/m〜40mN/mに調整できる範囲が更に好ましい。添加量が範囲内であると、インクジェット法で良好に打滴することができる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシド等のアミンオキシド型の両性界面活性剤も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)に界面活性剤として挙げられたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐傷性を良化することもできる。
本開示に用いられるアセチレンジオール基を有する化合物は、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物であることがより好ましい。
アセチレンジオール基を有する化合物の具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられる。
また、アセチレンジオール基を有する化合物は、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、AirProducts&Chemicals社製のSURFYNOL82、465、485、DYNOL604、607、日信化学工業(株)製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等が挙げられる。
界面活性剤のHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値は、6〜13が好ましく、8〜13がより好ましい。
HLBはGRIFFINのHLB値(20Mw/M、Mw=親水性部位の分子量、M=非イオン界面活性剤の分子量)により算出された値である。
〔粘度〕
本開示に係るインクの粘度には特に限定はないが、25℃での粘度が、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上13mPa・s未満であることがより好ましく、2.5mPa・s以上10mPa・s未満であることが更に好ましい。インクの粘度は、TV−22型粘度計(東機産業(株)社製)を用い、25℃で測定される。
本開示に係るインクの25℃におけるpHは、分散安定性の観点から、6〜11が好ましい。酸性処理剤を含むインクセットとして用いる場合は、酸性化合物等を含む処理剤との接触によってインクが高速で凝集することが好ましいため、本開示に係るインクの25℃におけるpHは、7〜10がより好ましく、7〜9が更に好ましい。
なお、本開示において、pHは、pHメーターWM−50EG(東亜DDK社製)を用いて測定できる。
本開示に係るインクジェット記録用インクの製造方法は、上記顔料と、上記顔料を分散する上記水溶性ポリマーと、上記アルカリ金属塩と、上記水溶性有機溶剤とを混合する工程を含む
上記混合する工程において、各成分を混合する方法は、特に制限されない。
上記混合する工程における各成分の混合は、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸又は2軸の押出機などを用いて行うことができる。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載を参照できる。
ソルトミリング処理は、例えば、上記顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む混合物を混練機に仕込み、その中で混練し磨砕する処理である。
上記水溶性無機塩としては、通常用いられる水溶性無機塩を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の無機塩を用いることが好ましい。
また、使用する水溶性無機塩の平均粒子径は、0.5μm〜50μmが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmが更に好ましい。
上記水溶性無機塩の使用量は、顔料の使用量に対して、1質量倍〜30質量倍であることが好ましく、生産性の観点から、3質量倍〜20質量倍であることがより好ましく、5質量倍〜15質量倍であることが更に好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水に溶解し、上記顔料と上記水溶性無機塩を実質的に溶解しないものが好ましく、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は粗アゾ顔料と水溶性無機塩とを含む混合物を混練に適用可能な硬さに調整するために用いることができる。このような水溶性有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール又はこれらの混合物が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤の使用量は、顔料の使用量に対して、0.1質量倍〜5質量倍が好ましい。
混練温度は、20℃〜130℃が好ましく、40℃〜110℃が特に好ましい。
混練機としては、例えば、ニーダー、ミックスマーラー等が好ましく使用できる。
ソルトミリング処理により得られる上記顔料の算術平均粒径は、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、50nm〜180nmであることが好ましく、70nm〜145nmであることがより好ましく、80nm〜120nmであることが更に好ましく、90nm〜100nmであることが特に好ましい。
上記顔料の平均一次粒径はTEM(日本電子(株)製1200EX(商品名))で10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定して平均値を算術平均粒径として算出する。
本開示のインクの製造方法により製造されるインクは、上述のインクと同様であり、水溶性ポリマー、顔料、アルカリ金属塩及び水溶性有機溶剤も上述の水溶性ポリマー、顔料、アルカリ金属塩及び水溶性有機溶剤と同様である。
本開示に係るインクは、サインペン、マーカー等の文具類に用いるインク、又は、各種プリンタのインクとして用いることができる。中でも、その優れた顔料分散性及び分散安定性から、インクジェット記録用であることが好ましい。
本開示の画像記録方法は、本開示のインクジェット記録用インクをインクジェット法により記録媒体上に吐出して画像を記録する画像記録工程を含む。これによって、記録媒体上に定着したインクによる画像が記録される。
以下、本開示の画像記録方法における、画像記録工程について説明する。
本開示における画像記録工程は、インクを記録媒体上に吐出する工程であれば限定されない。
インク供給系としては、例えば、本開示のインクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルタ、ピエゾ型のインクジェットヘッド等が挙げられる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1pl〜100pl、より好ましくは8pl〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320dpi〜4,000×4,000dpi(dot per inch)、より好ましくは400×400dpi〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本開示でいうdpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インクの流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
記録媒体の加温条件としては、インクの吐出時において記録媒体の表面温度が40℃以上100℃以下となる条件であることが好ましく、40℃以上80℃以下であることがより好ましく、40℃以上70℃以下であることが更に好ましい。
本開示においては、記録媒体の表面温度は、着弾地点より5cm前における測定温度を指すものとする。
上記表面温度の測定方法は特に限定されないが、熱電対、放射温度計、抵抗温度計、金属製温度計、サーモラベルなどを使用することができ、本明細書においては、熱電対により測定した温度を採用している。
記録媒体の加温手段は特に限定されず、公知のものを適宜使用できる。加温手段としては、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、プラテンヒーター加温などが挙げられる。
本開示の画像記録方法は、画像記録工程後に、更にインク乾燥工程(「加熱乾燥工程」とも称する。)を有することが好ましい。
加熱乾燥工程において、記録媒体上に吐出されたインクは、加熱手段により、(b)有機溶剤及び必要に応じて併用される(c)水が蒸発することにより定着されることが好ましい。
加熱手段としては、(b)有機溶剤及び必要に応じて併用される(c)水を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。なお、乾燥/加熱時間は、用いるインクの組成・印刷速度を加味して適宜設定することができる。
撹拌機、冷却管を備えた三口フラスコにジプロピレングリコールを後述するモノマーの全量と同質量を加え、窒素雰囲気下で85℃に加熱した。
ステアリルメタクリレート9.1モル当量、ベンジルメタクリレート34.0モル当量、ヒドロキシエチルメタクリレート31.9モル当量、メタクリル酸25.0モル当量、及び、2−メルカプトプロピオン酸0.8モル当量を混合した溶液Iと、モノマーの全質量に対し1質量%のt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製パーブチルO)を、モノマーの全質量に対し20質量%のジプロピレングリコールに溶解させて得られた溶液IIと、をそれぞれ調製した。上記三口フラスコに溶液Iを4時間、溶液IIを5時間かけて滴下した。
滴下終了後、更に2時間反応させた後、95℃に昇温し、3時間加熱撹拌して未反応モノマーをすべて反応させた。モノマーの消失は核磁気共鳴(1H−NMR)法で確認した。
得られた反応溶液を70℃に加熱し、アミン化合物としてジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン)を20.0モル当量添加した後、プロピレングリコールを加えて撹拌し、水溶性ポリマーa−1の30質量%水溶液を得た。得られたポリマーの構成成分を1H−NMRで確認した。また、重量平均分子量(Mw)をGPCにより求めたところ、Mw=22,000であった。なお、水溶性ポリマーa−1における各構成単位の質量比は、ステアリルメタクリレート由来の構成単位/ベンジルメタクリレート由来の構成単位/ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構成単位/メタクリル酸由来の構成単位=20/39/27/14であった。ただし、上記質量比は、ジメチルアミノエタノールは含まない値である。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた1リットル三口フラスコに、水(250g)、12−メタクリルアミドドデカン酸(1.84g)、炭酸水素カリウム(0.68g)及びイソプロパノール(20g)を仕込んで、窒素気流下で85℃まで昇温した。ここにV−501(ラジカル重合開始剤、富士フイルム和光純薬社製)(0.57g)、炭酸水素カリウム(0.43g)及び水(9g)からなる混合溶液を加え、10分間攪拌した。次いで、メチルメタクリレート(60g)と2−エチルヘキシルメタクリレート(40g)とからなるモノマー溶液を、上記三口フラスコに、3時間で滴下が完了するように等速で滴下し、さらにV−501(0.28g)、炭酸水素カリウム(0,21g)及び水(6g)からなる混合溶液を、上記モノマー溶液滴下開始直後と滴下開始1.5時間後の2回に分けて加えた。上記モノマー溶液の滴下完了後、1時間攪拌し、V−501(0.28g)、炭酸水素カリウム(0.21g)及び水(6g)からなる混合溶液を加え、さらに3時間攪拌した。得られた反応混合物を、格子幅50μmのメッシュフィルタを用いてろ過し、高分子樹脂粒子c−1の水性分散物を得た。高分子樹脂粒子c−1は、既述の一般式aで表される構造単位と既述の構造単位(i)とメチルメタクリレート由来の構造単位とを有しており、具体的な構造式を以下に示す。なお、下記構造式の各構成単位の数値は質量比率を表す。
得られた高分子樹脂粒子c−1の水性分散物は、pH7.5、固形分濃度25質量%、体積平均粒子径121nmであった。また、高分子樹脂粒子c−1の樹脂の重量平均分子量(Mw)は20万であり、Tgは70℃であった。
高分子樹脂粒子のガラス転移温度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220により測定される値である。測定条件は、サンプル量5mgをアルミパンに密閉し、窒素雰囲気下、以下の温度プロファイルで2回目の昇温時の測定データのDSCのピークトップの値を適用した。
30℃→−50℃(50℃/分で冷却)
−50℃→220℃(20℃/分で昇温)
220℃→−50℃(50℃/分で冷却)
−50℃→220℃(20℃/分で昇温)
高分子樹脂粒子の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、以下に示す条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算値として求められる値である。なお、検量線は、東ソー社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、及び「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
〜条件〜
・測定装置:高速GPC HLC−8020 GPC(東ソー(株)製)
・検出器:示差屈折率計(RI) RI−8020(東ソー(株)製)
・カラム:TSKgeL Super Multipore HZ−H(4.6mmID
×15cm、東ソー(株)製)を3本使用
・カラム温度:40℃
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・試料濃度:0.45質量%
・注入量:10μL
・流量:0.35mL/分
pHは、pHメーターWM−50EG(東亜DDK社製)を用いて測定した。
<顔料のソルベントソルトミリング処理>
以下の組成となるように、スーパーミキサーに粗顔料及び食塩を投入して混合した。スーパーミキサーを回転させながらジエチレングリコールを少しずつ添加して顔料の混合物(以下、「予備混合物」ともいう。)を調製した。
−組成−
表2に記載の顔料:100質量部
食塩(ナクルUM−10、ナイカイ塩業(株)製、平均一次粒子径10μm):1,500質量部
ジエチレングリコール(DEG):300質量部
こうして得られた混練物1,000質量部を80℃に加温した純水5,000質量部へ投入してクリアミックスを用いて撹拌処理を行った後、濾過及び十分に水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除去し、85℃で一昼夜乾燥し、100質量部の顔料組成物を得た。
上記で得られた水溶性ポリマーa−1の溶液100質量部と、ソルベントミリング処理を行った顔料95質量部と、水240質量部と、を混合し、混合液を得た。
次いで、ラボスターミニ LMZ015(アシザワファインテック社製、ビーズ径:0.3mmφ、ジルコニアビーズ)を用いて、3時間分散処理を行った。こうして得られた顔料分散物を7000G、30分遠心(久保田商事(株)製、高速大容量冷却遠心機7780)処理し、処理した液の顔料の固形分濃度が15質量%になるように超純水で調整して顔料組成物1を得た。
下記配合組成で原料を混合し、得られた混合液をADVANTEC社製ガラスフィルター(GS−25)でろ過した後、ミリポア社製フィルター(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜、孔径5μm)でろ過し、インク1を作製した。
−インク1の組成−
・顔料組成物1(15%):27質量部
・グリセリン:2質量部
・ジエチレングリコール:2質量部
・プロピレングリコール(PG):8.5質量部
・硝酸カリウム(アルカリ金属塩):0.30質量部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤):0.5質量部
・高分子樹脂粒子(25%):28質量部
・イオン交換水:全体が100質量部となる量
インク1に含まれるアルカリ金属塩の種類及び含有量を表2に記載される通りに変更した以外は実施例1と同様とした。
インク1に含まれる顔料の種類及び含有量、並びに水溶性有機溶剤の含有量を表2に記載される通りに変更した以外は実施例1と同様とした。
高分子樹脂粒子を含まなかった以外は実施例1と同様とした。
アルカリ金属塩の含有量を表2に記載される通りに変更した以外は実施例1と同様とした。
アルカリ金属塩を含まなかった以外は実施例1と同様とした。
水溶性有機溶剤の含有量を表2の通りに変更した以外は実施例1と同様とした。
水溶性ポリマーを含まなかった以外は実施例1と同様とした。
顔料の平均一次粒径を、TEM(透過電子顕微鏡、日本電子(株)製1200EX(商品名))を用いて測定した。具体的には、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに、1,000倍に希釈したインクを滴下した後乾燥させ、TEMで10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定して平均値を平均粒径として算出した。
長さ30cm×直径φ0.7cmのチューブの両端を塞いで縦に置き、得られたインクを25cmの高さまで充填する。それを室温(25℃)で1週間放置した後の下端2cmの液を採取し、吸光度の測定を行い、初期のインクの吸光度に対する1ヵ月放置後のインクの吸光度の変化率を計算した。顔料の沈降量が多いほど、吸光度の変化率が大きくなる。評価基準を以下に示す。
−評価基準−
A:吸光度の変化率が2%以下である。
B:吸光度の変化率が2%を超え5%以下である。
C:吸光度の変化率が5%%を超え10%以下である。
D:吸光度の変化率が10%を超え50%未満である。
E:吸光度の変化率が50%以上である。
(株)リコー製GELJET GX5000プリンターのヘッドを500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)を合わせて固定した。
次にこれに繋がる貯留タンクに得られたインクを詰め替えた。記録媒体として富士フイルム(株)製の画彩(登録商標)写真仕上げProを、ステージに貼り付けた。
次に、ステージを248mm/分で移動させ、インク滴量3.4pL、吐出周波数10kHz、ノズル配列方向×搬送方向75dpi×1,200dpi(dots per inch)で96本のラインを搬送方向に対して平行に1ノズル(1つの吐出孔)当り2,000発のインク滴を吐出して、印画サンプルを作製した。
得られた印画サンプルを目視で観察して、すべてのノズル(吐出孔)からインクが吐出されていることを確認した。
上記インク吐出後、25℃、80%RHの環境下で3時間ヘッドをそのままの状態で放置した後、新しい記録媒体を貼り付けて、再び同様の条件でインクを吐出して印画サンプルを作製した。
得られた印画サンプルを目視で観察し、2,000発吐出した後の不吐ノズル数を評価した。
不吐ノズル数(単位:本)に応じてA〜Eの評価をつけた。不吐ノズル数が少ないほうが、凝集抑制性により優れ、また、インクジェット吐出安定性により優れる。
また、不吐出ノズル数が11本以下であれば、実用上の許容範囲内である。
A:不吐ノズル数が0本〜3本であった。
B:不吐ノズル数が4本〜7本であった。
C:不吐ノズル数が8本〜11本であった。
D:不吐ノズル数が12本〜15本であった。
E:不吐ノズル数が16本以上であった。
特菱アート両面N(記録媒体、三菱製紙製)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、下記組成の処理液をワイヤーバーコーターで約1.7g/m2となるように塗布し、直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜めに配置して固定してあるリコー社製GELJET GX5000プリンターヘッドで解像度1200×1200dpi、打滴量3.5pL、ライン方式で、各ブラックインクによりブラック色のべた画像(solid image)を記録した。記録直後、60℃のホットプレート上に画像記録面を上にして載せて、すぐにドライヤーを用いて120℃の温風で10秒乾燥させた。
未記録の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未記録の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm2)、上記記録サンプルを20往復擦った。擦った後の記録サンプルを目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
・TPGmME(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)・・・4.8質量%
・DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) ・・・4.8質量%
・マロン酸 ・・・16.0質量%
・リンゴ酸 ・・・7.8質量%
・プロパントリカルボン酸 ・・・3.5質量%
・リン酸85質量%水溶液 ・・・15.0質量%
・消泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TSA−
739(15%);エマルジョン型シリコーン消泡剤)
・・・0.07質量%
・イオン交換水 ・・・合計で100質量%となる量
A :記録面に画像(色材)のはがれが視認できなかった。
B :記録面の面積の5%未満の画像(色材)にはがれが認められたが、実用上問題のないレベルであった。
C :記録面の面積の5%以上50%未満の画像(色材)にはがれが認められたが、実用上問題のないレベルであった。
D :記録面の面積の50%以上の画像(色材)に明らかなはがれが視認でき、実用上支障を来たすレベルであった。
PO43:C.I.Pigment Orange 43(ペリノン系顔料)
PR122:C.I.Pigment Red 122(キナクリドン系顔料)
a−1:上述した化合物a−1
c−1:上述した化合物c−1
また、インクの全質量に対して水溶性有機溶剤を10質量%以上含有する実施例1〜実施例7は耐傷性により優れていた。インクの全質量に対して顔料を2.0質量%〜7.5質量%含有し、かつ、アルカリ金属塩を0.15質量%〜1.0質量%含有する実施例1、実施例3〜実施例5、実施例7,実施例8は、吐出性及び沈降抑制性により優れていた。高分子樹脂粒子を含有する実施例1〜実施例8、水溶性ポリマーが式1で表わされる構成単位を含む実施例1〜実施例8は、沈降抑制性及び吐出性に優れていた。
一方、アルカリ金属塩の全質量に対する水溶性ポリマーの含有量の比が15超である比較例1及びアルカリ金属塩を含まない比較例2は沈降抑制性及び吐出性に劣っていた。また、水溶性有機溶剤の含有量がインクの全質量に対して18質量%超である比較例3は耐傷性に劣っていた。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。
Claims (11)
- 顔料と、顔料を分散する水溶性ポリマーと、アルカリ金属塩と、水溶性有機溶剤と、を含み、
前記アルカリ金属塩の全質量に対する前記水溶性ポリマーの含有量の比が15以下であり、かつ、インクジェット記録用インクの全質量に対する前記水溶性有機溶剤の含有量が18質量%以下であるインクジェット記録用インク。 - インクジェット記録用インクの全質量に対する前記水溶性有機溶剤の含有量が10質量%以上である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- インクジェット記録用インクの全質量に対する前記顔料の含有量が2.0質量%〜7.5質量%であり、かつ、インクジェット記録用インクの全質量に対する前記アルカリ金属塩の含有量が0.15質量%〜1.0質量%である請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記アルカリ金属塩の全質量に対する前記顔料の含有量の比が、2〜30である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記顔料がカーボンブラック、ペリレン系顔料及びペリノン系顔料の群から選ばれる少なくとも1つを含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記顔料が、ピグメント・オレンジ43を含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
- 更に、高分子樹脂粒子を含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
- インクジェット記録用インクの全質量に対して前記高分子樹脂粒子を3.0質量%〜15.0質量%含有する請求項7に記載のインクジェット記録用インク。
- 顔料と、顔料を分散する水溶性ポリマーと、アルカリ金属塩と、水溶性有機溶剤とを混合する工程を含むインクジェット記録用インクの製造方法。
- 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクをインクジェット法により記録媒体上に吐出して画像を記録する工程を含む、画像記録方法。
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