JPWO2019172368A1 - ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜 - Google Patents

ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜 Download PDF

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Abstract

要約課題 細孔のサイズと分布において新規なPVDF系微多孔膜、従来物に見出せない極めてシャープな細孔径分布を示すPVDF系微多孔膜を提供すること。極めてシャープな細孔径分布を示すと同時に十分な透過効率性を備えるPVDF系微多孔膜を提供する。解決手段 気体透過法によって測定した貫通孔の細孔径の最頻値(モード)Lm(μm)が条件(1):0.10≦Lm≦0.20を満たし、全細孔の95%以上が条件(2):(Lm×0.85)≦L≦(Lm×1.15)を満たす細孔径L(μm)を有する、ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜。選択図 図6

Description

本発明は新規なポリフッ化ビニリデン系微多孔膜に関する。
微多孔膜は一般に濾過膜として広く用いられている。濾過膜には、特定のサイズの粒子だけを透過させる性質(透過選択性)と、高い流量で粒子を通過させる性質(透過効率性)との両方が要求される。
微多孔膜の空隙率を増加させることは透過効率性を改善ためには有効である。しかし顕著に高い空隙率を示す微多孔膜にはしばしば極端に大きな孔や表面亀裂が見られ、このような微多孔膜の透過選択性は劣る傾向にある。
空隙率の低下に伴って孔サイズは均一化する傾向にあるため、空隙率が低い微多孔膜では高い透過選択性を期待することができるが、この場合には当然に透過効率性は低下する。
このように微多孔膜の透過選択性と透過効率性の両立は容易でなく、微多孔膜の孔形成技術には様々な試みがなされている。濾過膜用微多孔膜の細孔径を調節した例は多数知られており、例えば特許文献1、2、3に掲載された技術などが見出される。
本出願人は特許文献4において、原料液の調製工程、多孔化工程、洗浄・乾燥工程をこの順に行うポリフッ化ビニリデン系微多孔膜(以下「PVDF系微多孔膜」と記載する。)の製造方法を提案した。ここで得られたPVDF系微多孔膜は特徴ある非対称構造を有し、サイズと形状がより均一な細孔を有していた。しかしながらこの微多孔膜でも細孔のサイズと分布に一層の改善が求められていた。
特開平9−169867号公報 特表平8−509912号公報 国際公開第2013/084858号パンフレット 国際公開第2014/054658号パンフレット
本発明の課題は、細孔のサイズと分布において新規なPVDF系微多孔膜、従来物に見出せない極めてシャープな細孔径分布を示すPVDF系微多孔膜を提供することである。さらに本発明の課題は、極めてシャープな細孔径分布を示すと同時に十分な透過効率性を備えるPVDF系微多孔膜を提供することである。
本発明者らはPVDF系微多孔膜の製造方法を改良することによって、従来品に比べて孔サイズが顕著に均一化された新規なPVDF系微多孔膜を得ることに成功した。すなわち本発明は以下のものである。
[発明1]気体透過法によって測定した細孔径の最頻値(モード)が以下の条件(1)を満たすLm(μm)であり、
(1)0.10≦Lm≦0.20
全細孔の95%以上が以下の条件(2)を満たす細孔径L(μm)を有する、
(2)(Lm×0.85)≦L≦(Lm×1.15)
ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜であって、
当該ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜は基材と微多孔膜層とからなる、
ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜。
[発明2]前記微多孔膜層はPVDF系樹脂からなる非対称膜であり、
上記非対称膜は、微孔が形成されたスキン層と、前記スキン層を構成する前記微孔よりも大きい空孔が形成された支持層とを備え、
上記スキン層は複数の球状体を有し、それぞれの前記球状体から複数の線状の結合材が3次元方向に伸びており、隣接する前記球状体は、前記線状の結合材により互いに接続され、前記球状体を交点とした3次元網目構造を形成する、
発明1に記載のポリフッ化ビニリデン系微多孔膜。
[発明3]PVDF系樹脂と、溶媒としてのジメチルアセトアミドと、多孔化剤としてのポリエチレングリコールと水とを含む原料液を調製する工程、上記原料液を基材フィルムに塗布し固化する工程、原料液の固化が終了したフィルムを洗浄する工程を含む、発明1または発明2のポリフッ化ビニリデン系微多孔膜の製造方法。
本発明のPVDF系微多孔膜は極めて高い透過選択性を示し、しかも十分な透過効率性を発現する。本発明のPVDF系微多孔膜はその材質、透過選択性、透過効率性からみて従来存在しなかった新規な工業材料である。
実施例1で製造したPVDF系微多孔膜の断面を示す。 本発明のPVDF系微多孔膜の断面を模式的に示す。 実施例1で製造したPVDF系微多孔膜のスキン層の走査型電子顕微鏡写真。 実施例1で製造したPVDF系微多孔膜のスキン層の走査型電子顕微鏡写真。 実施例1で用いた原料液についてその剪断速度(1/s)(x)とその粘度の逆数(1/mPa・s)(y)との関係を示す。 実施例3のPVDF系微多孔膜の細孔径分布を示すグラフ。 比較例1のPVDF製微多孔膜の細孔径分布を示すグラフ。
[PVDF系微多孔膜]
本発明のPVDF系微多孔膜は、第一に、そのシャープな細孔径分布で特徴付けられる。
本発明のPVDF系微多孔膜は、気体透過法によって測定した細孔径の最頻値(モード)が条件(1):0.10≦Lm≦0.20を満たすLm(μm)であり、さらに、全細孔の95%以上が条件(2):(Lm×0.85)≦L≦(Lm×1.15)を満たす細孔径L(μm)を有する。
上記気体透過法(パームポロメトリー)は細孔径分布の測定方法として一般的なものの一つであり、細孔が貫通孔を形成する材料、例えばセラミックス、中空糸、セパレータ、不織布、膜フィルターなどの細孔径分布測定法として最もよく用いられている。この方法では、測定対象の貫通細孔を気体が通過する時に貫通細孔のネック部分(最も細い地点)で気体の流れが滞る現象を利用して、貫通細孔のサイズをネック口径として算出する。気体透過法に基づくいずれの測定機器(パームポロメーター)でも、濡れやすい有機溶媒で満たした空気をその圧力を徐々に高めながら測定対象の貫通細孔内に送り、流入空気の圧力と排出空気の流量の関係から細孔径分布を算出する。
本発明のPVDF系微多孔膜がより好ましい細孔径分布を示す場合には、気体透過法によって測定した細孔径の最頻値(モード)Lm(μm)が条件(3):0.11≦Lm≦0.18を満たし、さらに、全細孔数の97%以上が条件(4):(Lm×0.85)≦L≦(Lm×1.15)を満たす。
本発明のPVDF系微多孔膜は、第二に、その非対称な3次元構造で特徴付けられる。
本発明のPVDF系微多孔膜は基材と微多孔膜層とからなり、上記微多孔膜層はPVDF系樹脂(以下「PVDF系樹脂」)からなる非対称膜であることが好ましい。上記非対称膜は、微孔が形成されたスキン層と、前記スキン層を構成する前記微孔よりも大きい空孔が形成された支持層とを備える。上記スキン層は複数の球状体を有し、それぞれの前記球状体から複数の線状の結合材が3次元方向に伸びている。隣接する前記球状体は、前記線状の結合材により互いに接続され、前記球状体を交点とした3次元網目構造を形成する。
「スキン層」とは微多孔膜の断面において表面からマクロボイドが発生するまでの厚みの層をいい、「支持層」とは、微多孔膜全体の厚みからスキン層の厚みを引いた値の厚みの層をいう。「マクロボイド」とは、微多孔膜の支持層に発生し、最小で数μm、最大で支持層の厚さとほぼ同じ大きさとなる巨大な空洞を言う。「球状体」とは、本発明の3次元網目構造の交点に形成された球状であって、完全な球状に限られず、ほぼ球状も含まれる。
このような非対称な3次元構造の典型例は図面を参照して視覚的に理解することができる。
図1は実施例1で製造したPVDF系微多孔膜の断面を示す。図2は図1を模式的に表す。図1と図2に示されるように、基材3の表面に空孔を有する支持層2が形成されている。支持層2の表面にはさらに、支持層の空孔よりも小型の空孔を有するごく薄いスキン層1が形成されている。こうして基材3の表面にスキン層1と支持層2とからなる微多孔膜層が形成されている。本発明のPVDF系微多孔膜は、基材3と微多孔膜層とが一体化して成る薄膜である。
図3、図4は、実施例1のスキン層1を拡大表示したものである。スキン層1は球状体4と、球状体4相互を連結する結合材5とで構成されている。一つの球状体4から複数の結合材5が3次元方向に延長し、それぞれの結合材5は他の球状体4に接続する。こうしてスキン層1は、3次元的に配置された多数の球状体4と結合材5とで形成されている。
本発明のPVDF系微多孔膜では、球状体と球状体の間の空隙が線状の結合材で仕切られた形となるため、球状体の無い従来の微多孔膜と比較して遥かに空隙の形状・大きさが揃った微多孔が存在し、透過性に優れたスキン層が形成されている。線状の結合材は球状体を架橋して球状体の脱落を妨げるから、濾液に濾材自体が混入するのを防ぐことができる。3次元網目構造の交点に存在する球状体は濾過時の流体の圧力による3次元網目構造の変形・破損を防ぐから、本発明のPVDF系微多孔膜の耐圧性が高い。
本発明のPVDF系微多孔膜では好ましくは前記球状体が0.05μm以上0.5μm以下の平均粒径を有する。本発明の微多孔膜の前記スキン層の厚みは好ましくは0.5μm以上10μm以下であり、本発明の微多孔膜の前記支持層の厚みは好ましくは20μm以上500μm以下である。
本発明のPVDF系微多孔膜の主材料であるPVDF系樹脂は機械的、熱的、化学的に安定で濾過膜材料として好適な樹脂である。PVDF系樹脂は他のフッ素樹脂に比べて加工し易い点も有利である。PVDF系樹脂は一次加工後の切断や他素材との接着などの2次加工も容易である。
[PVDF系微多孔膜の製造方法]
このような本発明のPVDF系微多孔膜の製造方法は、PVDF系樹脂、溶媒、多孔化剤、水を含む原料液を調製する工程、上記原料液を基材フィルムに塗布し固化する工程、原料液の固化が終了したフィルムを洗浄する工程を含む。通常、上記溶媒としてはジメチルアセトアミドを、上記多孔化剤としてはポリエチレングリコールを使用する。
本発明のPVDF系微多孔膜の製造方法は基材上に塗布する原料液にPVDF系樹脂、溶媒、多孔化剤に加えて水を添加する点を特徴とする。このような原料液を用いることによってPVDF系微多孔膜により均一な細孔を形成することができる。
本発明のPVDF系微多孔膜に特有の上述の非対称な3次元構造を達成するためには上記PVDF系樹脂として適度な粘弾性を有するものが好ましい。
このような好適なPVDF系樹脂は、その良溶媒溶液のせん断速度と溶液粘度との関係で判定できる。この判定のために、PVDF系樹脂10重量部、ポリエチレングリコール10重量部、ジメチルアセトアミド80重量部からなる溶液について、そのせん断速度を横軸に、その溶液粘度の逆数を縦軸にプロットする。せん断速度40毎秒以下の領域を2次関数で近似した場合に、例えば図5に示すような、2次係数が−10−8より小さく上側に凸を有する弧を含む曲線が得られる場合、このPVDF系樹脂を本発明のPVDF系微多孔膜に好適と判定できる。
[製造例1]
本発明のPVDF系微多孔膜の好ましい製造方法は、(工程1)PVDF系樹脂と、溶媒としてのジメチルアセトアミドと、多孔化剤としてのポリエチレングリコールと、水とを含む原料液を調製する工程、(工程2)工程1で得られた原料液を基材フィルムに塗布する工程、(工程3)工程2で得られたフィルムを水に浸漬して原料液を固化する工程、(工程4)工程3を経たフィルムを水で洗浄する工程、を有する。
(工程1)
工程1は、PVDF系樹脂、溶媒、多孔化剤、水を含む原料液を調製する工程である。ここで用いるPVDF系樹脂は微多孔膜の素材である。工程1で用いるPVDF系樹脂として、1種以上のフッ化ビニリデン単独重合体、1種以上のフッ化ビニリデン共重合体、これらの混合物のいずれもが用いられる。フッ化ビニリデン共重合体としては一般的にはフッ化ビニリデンモノマーとそれ以外のフッ素系モノマーとの共重合体、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンから選ばれた1種類以上のフッ素系モノマーとフッ化ビニリデンとの共重合体が用いられる。工程1で用いるPVDF系樹脂として好ましい樹脂はフッ化ビニリデン単独重合体であり、フッ化ビニリデン単独重合体がPVDF系樹脂全体の50重量%を占めることが望ましい。また、粘度、分子量等が異なる複数種のフッ化ビニリデン単独重合体を用いることもできる。
後述の工程2において原料液が基材フィルムに吸収されず、しかも均一な原料液の塗膜を形成するためには、一般的には、このようなPVDF系樹脂として重量平均分子量(Mw)が60万以上120万以下のものが好ましい。
工程1で用いる溶媒は、上記PVDF系樹脂が該溶媒に溶解した状態で後述の工程2を行うことができる程度に上記PVDF系樹脂が溶解することができ、しかも、水と混和する有機溶媒を意味する。このような溶媒として、極性溶媒である、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド等を用いることができる。これらの溶媒は混合して用いてもよく、本発明の効果を妨げない範囲で他の有機溶媒が含まれていてもよい。このような溶媒の中で、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
工程1で用いる多孔化剤は、上記溶媒に溶解し、かつ、水に溶解する有機媒体である。後述の工程3、工程4において、この多孔化剤と上記溶媒とは原料液から水に移行する。これに対して、PVDF系樹脂は水に溶解しないため、工程3、工程4を経て基材フィルム上に固体状で残留し、最終的に基材フィルム上に多孔層を形成する。
工程1で用いる多孔化剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマーが用いられる。好ましい多孔化剤は、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンであり、さらに好ましい多孔化剤はポリエチレングリコールであり、得られるフッ化ビニリデン微多孔膜の孔形状から見て、最も好ましい多孔化剤は重量平均分子量が200以上1000以下のポリエチレングリコールである。
上述のPVDF系樹脂、溶媒、多孔化剤の量比は、一般的には、これらの合計量100重量部に対して、PVDF系樹脂が5重量部以上20重量部以下、溶媒が70重量部以上90重量部以下、多孔化剤が0.5重量部以上40重量部以下を占めるように調節される。
本発明では、工程1で原料液の原料として、上記PVDF系樹脂、溶媒、多孔化剤に加え、さらに水を用いることを必須の条件とする。工程1で用いる水としては純度の高いものが好ましく、一般に純粋あるいは超純水として入手できる水が望ましい。原料液に添加する水の量は、原料液全量に対して一般的には6.5重量%以下、好ましくは2重量%以上6.5重量%以下、より好ましくは3重量%以上5重量%以下の範囲に調節される。
工程1で上記PVDF系樹脂、溶媒、多孔化剤、水の混合方法は特に制限されない。例えばこれらを混合する温度は、これらが液状で完全に混和する温度であればよく、一般的には室温以上100℃以下の温度である。こうして得られた原料液を以下の工程2で用いる。
(工程2)
工程2は、工程1で得られた原料液を基材フィルムに塗布する工程である。上記基材フィルムには、後述の工程3における原料液内部の孔形成を促進し、さらに、得られたPVDF系微多孔膜を補強する機能が求められる。したがって基材フィルムとしては、化学的に安定で機械的強度があり、原料液、特にPVDF系樹脂との親和性や密着性に優れる素材であれば、制限なく使用することができる。このような基材フィルムとしては、例えば、抄紙、スパンボンド法やメルトブロー法などで得られた不織布、織布、多孔質板などを用いることができ、その素材としてはポリエステル、ポリオレフィン、セラミック、セルロースなどが使用される。これらの基材フィルムの中で、柔軟性、軽量性、強度、耐熱性などのバランスに優れることから、ポリプロピレン製スパンボンド不織布が好ましい。なお、不織布を用いる場合、その目付は15g/m以上150g/m以下の範囲が好ましく、30g/m以上70g/m以下の範囲がさらに好ましい。目付が15g/mを上回ると、基材層を設けた効果が十分に得られる。また、目付が150g/mを下回ると、折り曲げや熱接着などの後加工がし易くなる。
基材フィルムへの原料液の塗布方法は、最終的に10μm以上500μm以下の厚みのPVDF系微多孔膜が生成する量の原料液を基材フィルム上に均一に塗布できる方法であれば制限はなく、例えば、ロールコーター、ダイコーター、リップコーターなど各種コーティング装置や、各種フィルムアプリケータが基材フィルムの面積や長さに応じて選択され使用される。工程2は一般的には室温で行う。
基材フィルムが小片の場合には、平滑な塗布台の上に基材フィルムを置き、適当な道具で固定し、フィルム上に均一に原料液を塗布する。この場合、基材フィルム1枚ごとに原料液が塗布され、原料液が塗布された基材フィルムは直ちに後述の工程3を行う場所に移される。
基材フィルムが長尺で、典型的には、ロール状に巻き取られた形態をとる場合には、巻き取られた基材フィルムを端部から引き出して展開し、展開された基材フィルムをロールなどの搬送機構によって一定張力あるいは一定速度の下、工程3を行う場所(塗布部)に搬入する。塗布部では、平坦に維持され、塗布部を連続的に通過する基材フィルムの表面に各種塗布装置によって原料液を均一に塗布する。塗布部から搬出された、原料液が塗布された基材フィルムは、直ちに後述の工程3を行う場所に搬送される。
(工程3)
工程3は、工程2で得られたフィルムを水に浸漬して原料液を固化する工程である。この固化反応は、工程2で得られたフィルム上の原料液が水に接することによって開始し、原料液中の水溶性の成分、すなわち、主に溶媒と多孔化剤からなる画分が水に移行することによって水不溶性のPVDF系樹脂が基材フィルム上に残留、固定することによって、完了する。上述の通り、原料液全量に対して一般的には6.5重量%以下、好ましくは2重量%以上6.5重量%以下、より好ましくは3重量%以上5重量%以下の範囲で原料液中に存在する水も、当然にフィルムの外に溶出する。溶媒と多孔化剤の水中移行に伴って、PVDF系樹脂は内部に空隙を形成しながら固化する。この工程3は、PVDF系微多孔膜の形成において、多孔化工程あるいは相転移工程と呼ぶこともできる。工程2で用いる水は、純度の高いものが好ましく、一般に純水あるいは超純水として入手できる水が望ましい。
このような工程3では、当然に、工程2で得られたフィルムと水とを接触させるために水が入った容器が必要であるが、本発明ではこのような水が入った容器を固化槽と呼ぶ。固化槽の中で固化が進行するに伴い、固化槽内の水には原料液から水溶性の成分、すなわち、主に先述の溶媒と多孔化剤からなる画分が移行する。このような水溶性の移行成分の濃度が高くなる、あるいは、急激に変動することは、工程3の固化反応を安定的に進行させて、再現性よく工程3を繰り返す上では支障となり得る。したがって、固化槽の規模あるいは固化槽内の水量に応じて、固化槽内の水の純度を維持する適当な手段を設けることが望ましい。
上述の基材フィルム上に10μm以上500μm以下の厚みのPVDF系微多孔膜を形成する場合には、原料液が塗布された基材フィルムの水への浸漬する時間(固化時間)は30秒以上、好ましくは1分以上10分以下、より好ましくは2分以上5分以下である。PVDF系樹脂内部にできるだけ均一な孔を生成するためには、水に浸漬する間、工程2で得られたフィルムの表面に及ぶ物理的刺激をできるだけ抑えることが望ましい。したがって、工程3は、固化槽内の水を撹拌する、あるいは泡立たせることは、好ましくない。工程3を行う時の水温は上記固化が進行する温度であればよく、一般的には室温である。
工程2で得られたフィルムが小片の場合には、工程3をバッチ式に行うことができる。具体的には、工程2で得られたフィルムを上記固化時間のあいだ、上記フィルムの全体が固化槽内の水に触れた状態で静置する。この場合に用いる固化槽は、上記フィルムの形状に応じて適宜選択すればよく、実験室レベルであればステンレス製バットやガラス製の平鉢が用いられる。原料液から移行する成分によって固化槽内の水の純度が大きく変動しないように固化操作のバッチごとに水を入れ替えれば、毎回の工程3で再現性よく固化することができる。
工程2で原料液を長尺の基材フィルムに塗布した場合、工程3では、ロールなどの搬送手段を用いて、まず工程2で得られたフィルムを固化槽に連続的に搬入し、次に上記固化時間のあいだ、上記フィルムが水に接触するようにこれを固化槽内の水中を通過させた後、これを固化槽から排出する。こうして工程2で得られた長尺のフィルムに塗布された原料液の固化が開始、進行、完了する。固化槽内の水の純度が大きく変動しないように固化水槽に適当な排水、給水機構を付けることができる。このような機構としては、化学プラントで通常用いられるセンサー、排水ポンプ、給水ポンプなどを適宜組み合わせたものを用いることができる。
工程3で表面の原料液の固化が完了したフィルムは直ちに後述の工程4を行う場所に移される。
(工程4)
工程4は、工程3を経たフィルムを水中で洗浄する工程である。ここで用いる水は、工程3と同様に純度の高いものが好ましく、一般に純水あるいは超純水として入手できる水が望ましい。
このような工程4では、当然に、工程3を経たフィルムを導入するための水が満たされた容器が必要であるが、本発明ではこのような容器を洗浄槽と呼ぶ。洗浄効果を高めるために、本発明では複数の洗浄槽を用いる、あるいは、洗浄槽の水を入れ替えるなどして、複数回フィルムを洗浄することもできる。また本発明では洗浄槽に水流や気泡を発生させる装置を付属させて、適度な刺激を与えながらフィルムを洗浄することもできる。この場合の水流発生手段は公知の排水、給水機構や撹拌機構を適宜組み合わせて設計することができる。またこの場合の気泡発生装置は、洗浄槽の規模に応じて、一般に散気管と呼ばれる手段などから適宜選択される。上記水流や気泡の強度は、洗浄されるフィルム表面のPVDF系樹脂孔を変形させない程度の強度に調節される。水流の流路や気泡の密度は、洗浄槽内にあるフィルムに水流や気泡が均一に連続して接触するように調節される。工程4でも、洗浄効率を高めるために、洗浄槽の水の純度を維持する適当な手段を儲けることができる。
工程4において、洗浄槽内の水の温度はフィルムに損傷を与えずに洗浄できる温度であればよく、一般的には室温である。
工程4で小片のフィルムを処理する場合には、工程4をバッチ式で行うことができる。具体的には、工程3で得られたフィルムを上記洗浄時間のあいだ、上記フィルムの全体が洗浄槽内の水と気泡に触れた状態で静置する(気泡洗浄)。この場合に用いる洗浄槽は、上記フィルムの形状に応じて適宜選択すればよく、実験室レベルであればステンレス製バットやガラス製の平鉢が用いられる。フィルム表面から移行する成分によって洗浄槽内の水の純度が大きく変動しないように、洗浄のバッチごとに水を入れ替えれば、毎回の工程4で再現性よくフィルムを洗浄することができる。
工程4で長尺のフィルムを処理する場合には、工程4では、ロールなどの搬送手段を用いて、まず工程3の固化槽から排出されたフィルムを洗浄槽に連続的に搬入し、次に上記洗浄時間のあいだ、上記フィルムが水と気泡に接触するようにこれを洗浄槽内の水中を通過させた後、これを洗浄槽から排出する(気泡洗浄)。こうして、工程3の過程で長尺のフィルムに残留していた水溶性の成分が効率よく除去される。洗浄槽内の水の純度が大きく変動しないように洗浄槽に適当な給排水機構を付けることができる。このような機構としては、化学プラントで通常用いられるセンサー、排水ポンプ、給水ポンプなどを適宜組み合わせたものを用いることができる。
工程4を終了したフィルムは、定法に従い、かつ、必要に応じて、乾燥、巻き取り、裁断、梱包される。こうして、濾過膜や分離膜として利用可能なPVDF系微多孔膜が完成する。
[製造例2]
上記製造例1の工程4の代わりに、(工程4−1)工程3を経たフィルムを水中で気泡洗浄する工程、(工程4−2)工程4−1を経たフィルムをアルコール中で気泡洗浄する工程をこの順に行ってもよい。
(工程4−1)
工程4−1は、工程3を経たフィルムを水中で気泡洗浄する工程である。工程4−1では基材フィルム上に残留する原料液中の水溶性成分、すなわち、主に溶媒と多孔化剤からなる画分を、水中で気泡刺激を加えて効率的に基材フィルムから除去する。ここで用いる水は、工程3と同様に純度の高いものが好ましく、一般に純水あるいは超純水として入手できる水が望ましい。
このような工程4−1では、当然に、工程3を経たフィルムを導入する気泡発生装置を備え水が満たされた容器が必要であるが、本発明ではこのような容器を第一洗浄槽と呼ぶ。第一洗浄槽に付属させる気泡発生装置は、第一洗浄槽の規模に応じて、一般に散気管と呼ばれる手段などから適宜選択される。気泡の強度は、洗浄されるフィルム表面のPVDF系樹脂孔を変形させない程度の強度に調節される。気泡の密度は、第一洗浄槽内にあるフィルムに気泡が均一に連続して接触するように調節される。工程4−1でも、洗浄効率を高めるために、第一洗浄槽の水の純度を維持する適当な手段を儲けることができる。
工程4−1において、第一洗浄槽内の水の温度はフィルムに損傷を与えずに洗浄できる温度であればよく、一般的には室温である。工程4−1の気泡洗浄に要する時間、すなわち、工程3を経たフィルムが第一洗浄槽内の水に接触する時間は、通常1分以上、好ましくは2分以上20分以下、さらに好ましくは4分以上10分以下である。
工程4−1で小片のフィルムを処理する場合には、工程4−1をバッチ式に行うことができる。具体的には、工程3で得られたフィルムを上記洗浄時間のあいだ、上記フィルムの全体が第一洗浄槽内の水と気泡に触れた状態で静置する。この場合に用いる第一洗浄槽は、上記フィルムの形状に応じて適宜選択すればよく、実験室レベルであればステンレス製バットやガラス製の平鉢が用いられる。フィルム表面から移行する成分によって第一洗浄槽内の水の純度が大きく変動しないように、洗浄のバッチごとに水を入れ替えれば、毎回の工程4−1で再現性よくフィルムを洗浄することができる。
工程4−1で長尺のフィルムを処理する場合には、工程4−1では、ロールなどの搬送手段を用いて、まず工程3の固化槽から排出されたフィルムを第一洗浄槽に連続的に搬入し、次に上記洗浄時間のあいだ、上記フィルムが水と気泡に接触するようにこれを第一洗浄槽内の水中を通過させた後、これを第一洗浄槽から排出する。こうして、工程3の過程で長尺のフィルムに残留していた水溶性の成分が効率よく除去される。第一洗浄槽内の水の純度が大きく変動しないように第一洗浄槽に適当な給排水機構を付けることができる。このような機構としては、化学プラントで通常用いられるセンサー、排水ポンプ、給水ポンプなどを適宜組み合わせたものを用いることができる。
工程4−1で所定時間の洗浄を終えたフィルムは、直ちに後述の工程4−2を行う場所に移される。
(工程4−2)
工程4−2は、工程4−1を経たフィルムをアルコール中で気泡洗浄する工程である。工程4−2では基材フィルム上に残留する原料液中のアルコール溶解性成分、すなわち、主に溶媒と多孔化剤からなる画分を、アルコール中で気泡刺激を加えて効率的に基材フィルムから除去する。ここで用いるアルコールとしては、一般的には室温で流動性が比較的高い液状の低級アルコール、好ましくはエタノール、プロパノール類、ブタノール類、最も好ましくはイソプロパノールが用いられる。
このような工程4−2では、当然に、工程4−1を経たフィルムを導入する気泡発生装置を備え上記アルコールが満たされた容器が必要であるが、本発明ではこのような容器を第二洗浄槽と呼ぶ。第二洗浄槽に付属させる気泡発生装置は、第二洗浄槽の規模に応じて、一般に散気管と呼ばれる手段などから適宜選択される。気泡の強度は、洗浄されるフィルム表面のPVDF系樹脂孔を変形させない程度の強度に調節される。気泡の密度は、第二洗浄槽内にあるフィルムに気泡が均一に連続して接触するように調節される。工程4−2でも、洗浄効率を高めるために、第二洗浄槽のアルコールの純度を維持する適当な手段を儲けることができる。
工程4−2において、第二洗浄槽内のアルコールの温度はフィルムに損傷を与えずに洗浄できる温度であればよく、一般的には室温である。工程4−2の気泡洗浄に要する時間、すなわち、工程3を経たフィルムが第二洗浄槽内のアルコールに接触する時間は、通常1分以上、好ましくは5分以上120分以下、さらに好ましくは5分以上60分以下である。
工程4−2で小片のフィルムを処理する場合には、工程4−2をバッチ式に行うことができる。具体的には、工程4−1で得られたフィルムを上記洗浄時間のあいだ、上記フィルムの全体が第二洗浄槽内のアルコールと気泡に触れた状態で静置する。この場合に用いる第二洗浄槽は、上記フィルムの形状に応じて適宜選択すればよく、実験室レベルであればステンレス製バットやガラス製の平鉢が用いられる。フィルム表面から移行する成分によって第二洗浄槽内のアルコールの純度が大きく変動しないように、洗浄のバッチごとにアルコールを入れ替えれば、毎回の工程4−2で再現性よくフィルムを洗浄することができる。
工程4−2で長尺のフィルムを処理する場合には、工程4−2では、ロールなどの搬送手段を用いて、まず工程4−1の第一洗浄槽から排出されたフィルムを第二洗浄槽に連続的に搬入し、次に上記洗浄時間のあいだ、上記フィルムがアルコールと気泡に接触するようにこれを第二洗浄槽内のアルコール中を通過させた後、これを第二洗浄槽から排出する。こうして、工程4−1の終了時に長尺のフィルムに残留していたアルコール溶解性の成分が効率よく除去される。第二洗浄槽内のアルコールの純度が大きく変動しないように第二洗浄槽に適当な給排液機構を付けることができる。このような機構としては、化学プラントで通常用いられるセンサー、排水ポンプ、給水ポンプなどを適宜組み合わせたものを用いることができる。
こうして濾過膜や分離膜として利用可能な、本発明のPVDF系微多孔膜が得られる。工程4−2を終了したフィルムは、定法に従い、かつ、必要に応じて、乾燥、巻き取り、裁断、梱包する。
[実施例1、2、3]
以下の方法によって本発明品を製造した。
(工程1)PVDF系樹脂としてのアルケマ製商品「Kyner HSV900」、溶媒としてのジメチルアセトアミド、多孔化剤としての重量平均分子量400のポリエチレングリコール、超純水を表1に示す量比(原料液全量に対する重量%)で均一に混合して原料液を製造した。
Figure 2019172368
(工程2)基材フィルムとして、20cm×20cmの正方形に切断したスパンボンド不織布(旭化成製「エルタスP03050」)を使用した。平らなガラス板上にこの基材フィルムを置き、ベーカーアプリケーターを用いて基材フィルム表面に上記原料液を250μm厚になるように塗布した。
(工程3)固化槽として、超純水2リットルが入ったステンレス製バットを用いた。この固化槽に、水面が波立たないように工程2で得られたフィルムを入れ、フィルム全体が水に浸かった状態でフィルム固化槽内に2分間静置して基材フィルムに付着した原料液の固化を進行、完了した。
(工程4−1)セラミックエアストーン製散気管を挿入したビーカーに2.5リットルの超純水を入れ、外部のタンクから上記散気管に乾燥空気を供給し、超純水中に均一に乾燥空気の泡を噴出させた。これを第一洗浄槽に用いた。この第一洗浄槽に工程3を経たフィルムを入れた。フィルム全面が均一に水と気泡が接触する状態でフィルムを6分間洗浄した。
(工程4−2)セラミックエアストーン製散気管を挿入したビーカーに2.5リットルのイソプロパノールを入れ、外部のタンクから上記散気管に乾燥空気を供給し、イソプロパノール中に均一に乾燥空気の泡を噴出させた。これを第二洗浄槽に用いた。この第二洗浄槽に工程4-1を経たフィルムを入れて、フィルム全面が均一にイソプロパノールと気泡が接触する状態でフィルムを洗浄した。この後フィルムを自然乾燥した。
[比較例]
以下の市販品を比較用の微多孔膜として用意した。
・比較例1:メルクミリポア社製メンブレンフィルター「デュラポア(Durapore)(登録商標)」(PVDF製、孔サイズ0.1μm)
・比較例2:メンブレンソリューションズ社製メンブレンフィルター「MS(登録商標)」(PVDF製、孔サイズ0.22μm)
・比較例3:日本ゴア社製フィルター「ゴア(登録商標)フィルター」(ポリテトラフルオロエチレン製、孔サイズ0.1μm)
・比較例4:日本ゴア社製フィルター「ゴア(登録商標)フィルター」(ポリテトラフルオロエチレン製、孔サイズ1.0μm)
・比較例5:住友電工ファインポリマー社製メンブレンフィルター「ポアフロン(登録商標)HP−010−30」(ポリテトラフルオロエチレン製、孔サイズ0.1μm)
・比較例6:住友電工ファインポリマー社製メンブレンフィルター「ポアフロン(登録商標)HP−020−30」(ポリテトラフルオロエチレン製、孔サイズ0.2μm)
・比較例7:住友電工ファインポリマー社製メンブレンフィルター「ポアフロン(登録商標)HP−045−30」(ポリテトラフルオロエチレン製、孔サイズ0.45μm)
[評価]
実施例と比較例の微多孔膜について以下の点を評価した。
(細孔径)細孔径を気体透過法によって測定した。測定機器として西華デジタルイメージ株式会社が供給するPMI製パームポロメーターを使用した。図6は実施例3の微多孔膜の細孔径分布を示す。図7は比較例1の微多孔膜の細孔径分布を示す。実施例および比較例の微多孔膜の細孔径の最頻値(モード):Lm(μm)と、Lm±15%内の細孔径を有する細孔数割合(%)とを表2に示す。
(通気度)東洋精機製作所製のガーレー式デンソメーターを用い、JIS P 8117に準拠して、200ccの空気が微多孔膜を通過するために要する時間(秒)を測定した。結果を表2に示す。通気度の値(秒)が小さいほどシートの気体濾過効率が高いことを示す。
(透水量)得られた微多孔膜から直径25mmの円形シートを切り取った。このシートを有効濾過面積3.5cmのフィルターシートホルダーにセットし、セットされたシートに5mLの超純水を濾過圧力50kPaで通過させ、超純水の通過開始から終了までの時間を計測した。この時超純水の全量が通過するのに要する時間を測定した。以下の式により、シートの濾過面積当たりの流量(透水量)を求めた。結果を表2に示す。透水量が大きいほど細孔の閉塞度が低く液体濾過効率が高いことを示す。
透水量(10−9/m/Pa/sec)=通水量(m)÷有効濾過面積(m)÷濾過圧力(Pa)÷時間(sec)
Figure 2019172368
表2に示すように、気体透過法によって測定した細孔径の最頻値(モード)Lm(μm)は、実施例1で0.12μm、実施例2で0.14μm、実施例3で0,17μmであった。これらのLm(μm)は条件(1):0.10≦Lm≦0.20を満たしていた。しかも、条件(2):(Lm×0.85)≦L≦(Lm×1.15)を満たす細孔径L(μm)を有する細孔の割合は、実施例1、2、3のいずれでも97%を超えていた。このように実施例のPVDF系微多孔膜は顕著にシャープな細孔径分布を有する。本発明のPVDF系微多孔膜には極めて高い濾過物選択性を期待することができる。
しかも表2に示す実施例のPVDF系微多孔膜の通気度と透水量から、本発明のPVDF系微多孔膜には十分な濾過効率性を期待することができる。このように本発明のPVDF系微多孔膜は濾過効率性と濾過物選択性のいずれもが高い点で画期的である。
本発明の親水化PVDF系微多孔膜は、濾過膜や分離膜の他に、絆創膏などに使う薬液保持材、衛生材料の表面材、電池用セパレータ、表面積が大きく構成要素の脱落が無いポリフッ化ビニリデンシート等にも用いることもできる。本発明のPVDF系微多孔膜は特に高い濾過物選択性が求められる用途に有効である。
1 スキン層
2 支持層
3 基材フィルム
4 球状体
5 結合材

Claims (3)

  1. 気体透過法によって測定した細孔径の最頻値(モード)が以下の条件(1)を満たすLm(μm)であり、
    (1)0.10≦Lm≦0.20
    全細孔の95%以上が以下の条件(2)を満たす細孔径L(μm)を有する、
    (2)(Lm×0.85)≦L≦(Lm×1.15)
    ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜であって、
    当該ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜は基材と微多孔膜層とからなる、
    ポリフッ化ビニリデン系微多孔膜。
  2. 前記微多孔膜層はポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる非対称膜であり、
    上記非対称膜は、微孔が形成されたスキン層と、前記スキン層を構成する前記微孔よりも大きい空孔が形成された支持層とを備え、
    上記スキン層は複数の球状体を有し、それぞれの前記球状体から複数の線状の結合材が3次元方向に伸びており、隣接する前記球状体は、前記線状の結合材により互いに接続され、前記球状体を交点とした3次元網目構造を形成する、請求項1に記載のポリフッ化ビニリデン系微多孔膜。
  3. ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、溶媒としてのジメチルアセトアミドと、多孔化剤としてのポリエチレングリコールと水とを含む原料液を調製する工程、上記原料液を基材フィルムに塗布し固化する工程、原料液の固化が終了したフィルムを洗浄する工程を含む、請求項1または請求項2に記載のポリフッ化ビニリデン系微多孔膜の製造方法。
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