JPWO2019078100A1 - 固体微粒子で被覆された金属を含む複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

従来技術では達成することが困難であった、固体微粒子の集積を容易に実施し、パターン形成も容易にする技術を提供する。金属のイオン、コロイド、及び/または錯体を含む溶液に、超短パルスレーザ光を照射することで金属を析出させ、溶液中に分散された、金属酸化物粒子、非金属酸化物粒子、又はセラミクス粒子からなる固体微粒子を、析出した金属に被覆する工程を含む、固体微粒子で被覆された金属を含む複合体の製造方法。

Description

本発明は、超短パルスレーザ光の非常に短い時間幅を生かし、超短パルス性に由来した金属イオン、コロイド、錯体(以下「金属イオン等」と記す)の非線形光学吸収を利用して、超短パルスレーザ光集光位置に金属を析出させ、熱的効果が現れる前に析出させた金属に非常に大きなエネルギーを瞬間的に与えることで、析出させた金属を被覆する様に、様々な機能を有する固体微粒子集積してなる、複合体の製造方法に関する。また、本発明は、感光性を有しない透明性の高いコーティング膜形成材料、固体電解質型燃料電池電解質材料、発光ダイオードや光応答半導体材料、抵抗体膜形成材料、金属磁性体粉末材料、超電導材料、圧電セラミックス厚膜材料、誘電体膜材料、微粒子結合材料等の機能性材料の固体微粒子であっても、超短パルスレーザ光集光位置を移動させることで、パターンを形成する、製造方法に関する。
近年、微粒子衝突による様々なコーティングを乾式で実施する試みがなされている。この技術は、微粒子の運動エネルギーを、衝突によって、時間的にも空間的にも局所的に熱エネルギーに変換することによって、材料が(融点以上の)高温になり、粒子結合が生じることにより、コーティングを形成するものである。
微粒子衝突によるコーティング法の例として、まず、電界を用いる方法が挙げられる。具体的には、静電微粒子衝撃コーティング(EPID)法(原料微粒子より硬度の低い基板材料を使用して、原料微粒子を基板の中に埋め込む方法)、クラスターイオンビーム法などがある。また、ガス搬送による方法(ガスデポジション(GD)法)もある。この方法によれば、室温で金属ナノ結晶膜を形成することが可能である。なお、この方法により形成した膜の膜密度は、理論密度の55〜80%程度であると考えられ、バルク材料程度の電気伝導を得るには、熱による結晶成長が必要である。更に、エアロゾルデポジション(AD)法も注目されている(特許文献1)。この方法によれば、常温で金属を含めセラミックス材料を含む、緻密かつ高硬度の膜を作ることが可能であるとされている。また、微細なパターンもエッチングなしで得られることも報告されているが、作業環境等の微粉を扱うことの難しさがある。これらの方法はいずれも、大掛かりな装置を必要とするものである。
一方、レーザ光照射に用いられるレーザとして、超短パルスレーザは、主にその非常に短い時間幅を生かし、熱的効果が現れる前に物質に非常に大きなエネルギーを瞬間的に与える特性を持つと考えられる。例えば、非特許文献1には、超短パルスレーザによる加工の例が報告されており、これによれば、銅をターゲットとして10ps(ピコセカンド)のパルスレーザを照射した時、表面電子温度は数千℃にも達する一方で、熱拡散長はμm以下であると推測される。
このため、銀イオン溶液に超短パルスレーザ光を照射し、溶液中の金属イオンを還元して銀を析出させる方法が報告されている。
例えば、非特許文献2には、波長800nm、パルス幅80fs、周波数82MHz、出力14.97mWの高強度レーザビーム照射による銀イオンの還元により、銀ドットが得られたことが報告されている。
また、非特許文献3には、波長1064nmの近赤外光源と、波長532nmまたは633nmの可視光源とを用いた、比較的弱い連続発振パルスレーザを利用することにより、硝酸銀の還元反応を利用して銀ナノ粒子集合体のパターニングをガラス基板上に形成したことが報告されている。
これらレーザ光照射による材料パターニングを行うためには、被加工材料がレーザ光に対する適切な光吸収特性を有すること必須となる。例えば、Agインクなどにレーザ光を照射して金属(Ag)パターンを形成する場合には、インクがレーザ光を適度に吸収することが大前提とされている。
超短パルス光をレーザ発振波長において透過性の高いガラス内部に集光すると、集光点近傍のみを直接に加工することが出来る。非特許文献4には、フェムト秒レーザによる透明材料加工の例が報告されており、波長800nm、パルス幅120fsのパルス光をシリカガラスに照射し、ガラス内部の集光点において格子欠陥を誘起し高密度化を生み出したことが報告されている。
しかしながら、この手法では溶液中で分散している固体微粒子への集光は困難であり、また実現したとしても、照射部の材料特性が改質されるため、固体微粒子の物性もまた変質することは避けられない。
本発明者らは、超短パルスレーザによれば、超短パルス性に由来した非線形光学吸収を利用して、本来吸収を有さない材料の集積方法の検討結果、本発明に至ったものである。
特開2003−112976号公報
S.I. Anisimov and B. Rethfeld, Proc. SPIE Nonresonant Laser-Matter Interaction (NLMI-9), 3093, 192 (1997) A. Ishikawa, T. Tanaka, and S. Kawata, Apply.Phys.Lett.89, 113102(2006) 平成21年度一般研究開発助成AF-2009216、大阪大学 大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻 助教 吉川裕之 K. Miura, Jianrong Qiu, H. Inouye, and T. Mitsuyu, Apply.Phys.Lett.71, 3329(1997)
本発明は、従来技術では達成することが困難であった、固体微粒子の集積を容易に実施し、パターン形成も容易にする技術を提供するものである。
本発明者らは、超短パルスレーザによれば、超短パルス性に由来した非線形光学吸収を利用して、金属粒子の析出させることができとの知見に基づき、この金属粒子を微小熱源としての利用を着想することで、本来、レーザ光に対する吸収を有さない材料の集積方法について鋭意検討した結果、本発明に至ったものである。
そして、本発明者らは、上記課題を解決するために、感光性を有しない材料等の固体微粒子を、金属イオン等が存在する溶液中に分散させ、超短パルスレーザを照射することで、固体微粒子が金属表面に集積してなる複合体を製造することを可能にした。超短パルスレーザは、その短いパルス幅に由来した高強度光パルスを瞬間的に放出することができ、この高強度パルスが生み出す非線形光学吸収は集光点近傍のみを直接に加工することを可能とする。この特性を用いて、溶液中の超短パルスレーザ集光点近傍にのみ金属を析出させるとともに、更にこの析出金属の局所加熱を行うことで、周辺の固体微粒子を金属表面に集積させた。この方法により、感光性を有しない材料のパターニングを可能にした。
本発明により、感光性を有しない透明性の高いコーティング膜形成材料、固体電解質型燃料電池電解質材料、発光ダイオードや光応答半導体材料、抵抗体膜形成材料、金属磁性体粉末材料、超電導材料、圧電セラミックス厚膜材料、誘電体膜材料、微粒子結合材料等の機能性材料の固体微粒子であっても、超短パルスレーザ光集光位置を移動させることで、パターンを形成することが可能となる。
すなわち、本発明は、金属のイオン、コロイド、及び/または錯体を含む溶液に、超短パルスレーザ光を照射することで金属を析出させ、前記溶液中に分散された、金属酸化物粒子、非金属酸化物粒子、又はセラミクス粒子からなる固体微粒子を、前記析出した金属に被覆する工程を含む、固体微粒子で被覆された金属を含む複合体の製造方法である。
前記金属は、析出した金属が溶媒と化学反応することが無ければ特に制限されない。溶媒に水を選択した場合には、銀、銅、ニッケル、鉛、錫、白金及び金からなる群から選ばれる、水および高温の水蒸気と反応しない金属が好ましい。
前記固体微粒子の融点は、500℃〜3500℃であるのが好ましい。
また、前記固体微粒子は、0.005μm〜1μmの直径を有するのが好ましい。
さらに、前記固体微粒子の前記溶液中の濃度は、0.01質量%〜3.0質量%であるのが好ましい。
前記超短パルスレーザ光の波長は、200nm〜2000nmであるのが好ましい。
また、前記超短パルスレーザ光のフルエンス(単位面積に投入されるエネルギー)は、0.01mJ/cm2〜10mJ/cm2であるのが好ましい。
さらに、前記超短パルスレーザ光の繰返し周波数は、1Hz〜500MHzであるのが好ましい。
前記超短パルスレーザ光の平均出力は、10mW以上であるのが好ましい。
また、前記超短パルスレーザ光の集光径は、20μm以下であるのが好ましい。
本発明は、前記溶液に基板を浸漬させる工程、及び前記基板の表面に沿って前記超短パルスレーザ光のビームスポットを移動させる工程をさらに含むものとすることができる。
あるいは、本発明は、前記溶液に基板を浸漬させる工程、及び前記基板の表面から、前記基板から離れた前記溶液中の所定の位置に前記超短パルスレーザ光のビームスポットを移動させる工程をさらに含むものとすることができる。
本発明はさらに、固体微粒子で被覆された金属を含む複合体であって、前記金属は、溶液中に金属のイオン、コロイド、及び/または錯体として存在し、該溶液に超短パルスレーザ光を照射することで析出しうるものであり、前記固体微粒子は、金属酸化物粒子、非金属酸化物粒子、又はセラミクス粒子であり、前記金属がコアを形成し、該コアがその内側に空洞を有する、前記複合体である。
前記金属は、銀、銅、ニッケル、鉛、錫、白金及び金からなる群から選ばれるのが好ましい。
また、前記固体微粒子の融点は、500℃〜3500℃であるのが好ましい。
さらに、前記固体微粒子が、0.005μm〜1μmの直径を有するのが好ましい。
静電微粒子衝撃コーティング(EPID)法、クラスターイオンビーム法、エアロゾルデポジション(AD)法などの、従来の固体微粒子を使った膜形成方法には、数々のプロセスを有すること、体積密度の低い微粉体の飛散防止、健康面や安全面での対策など装置が大掛かりなこと、粉体のまま使用するために原料ロスが大きいことなど、数多くの問題があったが、本発明によれば、これら従来技術が有する問題をいずれも解決することが可能である。
また、本発明によれば、溶媒に固体微粒子(シリカ、アルミナ、酸化チタン粒子等)を分散させた液に、金属イオンや金属錯体などの状態で金属を溶解させておき、この溶液に超短パルスレーザ光を照射することで、溶液中に分散する固体微粒子を金属表面に容易に被覆して、固体微粒子で被覆された金属を含む複合体の製造することができ、その際、超短パルスレーザ光の照射を制御することなどにより、金属酸化物、非金属酸化物又はセラミクス等の様々な機能を有する固体微粒子を自在にパターン形成させ、デバイスを製造する等、様々な機会で本発明を適用することが期待できる。
さらに、本発明の複合体の製造方法を、基板上や基板に垂直方向に連続的に行うことにより、従来レーザ光照射によるパターニングが困難であった感光性を有しない材料によってコーティングされた金属からなる三次元パターンを、基板上に形成することが可能となる。その際、本発明は、溶液中で超短パルスレーザ光を照射する低温の光プロセスであることから、プラスチック基板や基板上の素子に大きなダメージを与えることなくパターニングを行うことができる。
本発明の一実施形態を示す概念断面図である。 本発明の原理を示す概念断面図である。 本発明の他の実施形態を示す概念断面図である。 実施例1で製造された複合体の断面の顕微鏡写真である。 実施例2で製造された複合体の断面の顕微鏡写真である。 被膜の断面積と平均レーザ出力との関係を示すグラフである。 酸化チタン濃度と被膜の断面積との関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、金属のイオン、コロイド、及び/または錯体を含む溶液に、超短パルスレーザ光を照射することで金属を析出させ、前記溶液中に分散された、金属酸化物粒子、非金属酸化物粒子、又はセラミクス粒子からなる固体微粒子を、前記析出した金属に被覆する工程を含む、固体微粒子で被覆された金属を含む複合体の製造方法である。
本発明の一実施形態を示す概念断面図である図1を参照して、本発明ではまず、溶液ホルダー中に、硝酸銀が溶解され、かつ固体微粒子が分散された溶液を収容し、その上に、レーザ光を透過させる基板を、基板の一方の面が溶液と接触するように載置する。次いで、基板の他の一方の面側から超短パルスレーザ光を溶液に照射して、溶液中の銀を析出させるとともに、溶液中に分散された固体微粒子により析出した銀を被覆して、固体微粒子で被覆された銀を含む複合体を製造する。
本発明の原理を示す概念断面図である図2を参照して、いかなる理論にも拘束されるものではないが、超短パルスレーザ光を硝酸銀溶液に照射することにより、基板表面(溶液側)に金属(銀)が析出し、この金属がコアとなって、金属表面が局所的に加熱され、金属表面での溶媒の気化による急激な膨張の後に、減圧による急激な収縮がおこる現象を通じて、コアの周囲に存在する溶液中に分散された固体微粒子が急激な収縮の力を受け、高速で金属表面に衝突することで緻密な集合体が金属表面に集積され、固体微粒子で被覆された金属を含む複合体が生成されるものと考えられる。
<金属>
本発明で使用する金属は、超短パルスレーザ光を照射する溶液中に金属のイオン、コロイド、及び/または錯体として存在しているものである。また、析出した金属が溶媒と化学反応することが無ければ金属の種類は特に制限されない。
本発明で使用する金属は特に、溶媒に水を選択した場合には、銀、銅、ニッケル、鉛、錫、白金及び金からなる群から選ばれる、水および高温の水蒸気と反応しない金属であるのが好ましい。水や高温の水蒸気と反応する金属(例えば、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄などイオン化傾向の高い金属)の場合であっても、溶媒を適宜選択することにより、好ましい金属を選択することが可能である。
金属が溶液中にイオンとして存在する場合、金属イオンは、例えばAg+、Cu+、Cu2+、Ni2+、Sn2+、Sn3+、Sn4+、Pb2+、Pt2+、Au+、Au3+などであってよい。
金属塩の対イオンは、硝酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオン、シアン化物イオン、スルホン酸イオン、ホウ酸イオン、ハロゲンイオン、炭酸イオン、リン酸イオンおよび過塩素酸イオンからなる群から選択されるのが好ましい。
金属が溶液中にコロイドとして存在する例としては、銀コロイド、銅コロイド、ニッケルコロイドなどが挙げられる。
金属が溶液中に錯体として存在する場合としては、例えば、金属原子に配位子を配位することにより、溶媒に分散、溶解しやすくしたような場合が挙げられる。
銀錯体の例としては、ドコサン酸銀、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]銀、ピリジン-2-カルボン酸銀(II)、スルファジアジン銀等あげることができる。また、銅の錯体としては、酢酸銅(I)、ビス(1,3-プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、第二銅アセチルアセトナート、ビス(8-キノリノラト)銅(II) 等あげることができる。金の錯体の例としては、テトラクロロ金(III)酸四水和物、(ジメチルスルフィド)金(I)クロリド、クロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]金(I)等あげることができる。鉛の錯体としては、四酢酸鉛、酢酸鉛(II)等あげることができる。更に、銀ナノインク、銅ナノインクのような金属錯体を含む製品であってよい。
本発明で使用する金属の溶液中の濃度は、特に限定されない。0.1質量%以上で均一に溶解、または分散可能であれば制限を受けない。0.1質量%未満の薄い溶液では、固体微粒子の集積があっても光効率が悪くなる。溶液中の金属濃度を高くすると、超短パルスレーザ光を照射することにより形成される金属コアのサイズが大きくなる。金属の溶液中の濃度は、3.0質量%以下であるのが好ましい。
<固体微粒子>
本発明で使用する固体微粒子は、超短パルスレーザ光を照射する溶液中に分散された、金属酸化物粒子、非金属酸化物粒子、又はセラミクス粒子である。ここでの分散は、必ずしも溶液全体に均一に固体微粒子が分布している必要はなく、集光点近傍に固体微粒子が存在してさえいれば、その一部が沈殿していても良い。
本発明で使用する固体微粒子として、例えば、炭化物、窒化物、ホウ化物などの無機化合物等を使用することができる。また、透明性の高いコーティング膜形成材料、固体電解質型燃料電池電解質材料、発光ダイオードや光応答半導体材料、抵抗体膜形成材料、金属磁性体粉末材料、超電導材料、圧電セラミックス厚膜材料、誘電体膜材料、微粒子結合材料等の機能性材料の固体微粒子を、目的に応じて使用することも可能である。
これらの固体微粒子は、異なる種類のものを複数同時に溶媒に分散させてもよく、あるいは、固体微粒子同士が接合した固体微粒子や、複数成分からなる固体微粒子を使用してもよい。更に、金担持酸化チタン(Au/TiO2)のような固体微粒子を固体微粒子とともに用いることもできる。
前記固体微粒子の融点は、500℃〜3500℃であるのが好ましい。
これは例えば、金属として銀を、固体微粒子として酸化チタンを用いた場合、図4の様な断面が観察される。酸化チタンと銀の境界面は広範囲に接触しているのに対し、銀の内側には空洞が存在する。銀の断面積に対し、空洞の断面の比は、5対1程度と測定されること、酸化チタンの線膨張係数(室温から1000℃までの平均)が8×10-6(1/K)であるのと、銀の線膨張係数は25×10-6(1/K)であることから、超短パルスレーザ光を照射することによる銀表面の最高到達温度が5000K(4700℃以上)程度であろうと推定される。従って、3500℃以下の融点を持つ固体微粒子であれば、融解して容易に、金属表面に集積させることが考えられるためである。
コーティング材料として有用な固体微粒子としては、酸化物の固体微粒子として、例えば、シリカ(1650℃)、酸化錫(1080℃)、酸化鉄(1565℃)、酸化クロム(2435℃)、酸化ベリリウム(2570℃)、酸化ハフニウム(2758℃)、(水と反応)、三酸化二マンガン(1080℃)、四酸化三マンガン(1567℃)、酸化マンガン(1650℃)、酸化バリウム(1920℃)、酸化ストロンチウム(2531℃)、四酸化三鉄(1538℃)、酸化コバルト(1933℃)、酸化ニッケル(1984℃)、チタン酸ジルコン酸鉛(1400℃)、チタン酸リチウム(1520℃)、チタン酸アルミニウム(1860℃)、チタン酸ストロンチウム(2080℃)、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛とジルコン酸鉛の混晶(チタン酸ジルコン酸鉛)、酸化スカンジウム(1000℃)、酸化ネオジウム(2270℃)、酸化ガドリニウム(2330℃)、酸化サマリウム(2300℃)、酸化イットリウム(2410℃)、酸化ニッケル(600℃)、四酸化三コバルト(895℃)、酸化インジウムスズ(1800℃)、酸化マグネシウム(2852℃)、酸化ジルコニウム(2715℃)、コージエライト(1450℃)、アノーサ イ ト(1553℃)、ゲーレナイト(1593℃)、カルシウム・アルミネート(1600℃)、リチウムアルミネート(1625℃)、アルミン酸ストロンチウム(1790℃)、ムライト(1850℃)、アルミン酸イットリウム(1970℃)、スピネル(2130℃)、酸化ネオジウム(1900℃)、酸化スカンジウム(2485℃)、ランタンガレート系酸化物、PbZrTi系酸化物、LaSrCo系酸化物、LaSrMn系酸化物、YBa系酸化物、BiSrCa系酸化物、TlBaCa系酸化物、酸化鉄を主成分とするフェライト、上記以外の酸化物セラミックスなどが挙げられる(カッコ内の温度は融点である。以下同様)。
また、炭化化合物としては、炭化クロム(1890℃)、炭化硼素(2763℃)、炭化バナジウム(2840℃)、炭化タングステン(2870℃)、炭化モリブデン(2687℃)、炭化チタン(3170℃)、炭化ジルコニウム(3500℃)、炭化ニオブ(3500℃)、炭化タンタル(3880℃)、炭化珪素(2730℃)、チタン酸ビスマス(1203℃)などが挙げられる。
窒化化合物としては、窒化ニオブ(2573℃)、窒化チタン(2930℃)、窒化タンタル(3090℃)、窒化インジウム(1100℃)、窒化ガリウム(2500℃)、窒化インジウム(1100℃)、窒化ガリウム(2500℃)、窒化硼素(2967℃)、窒化アルミニウム(2200℃)などが挙げられる。
硼素化合物としては、硼素(2076℃)、硼化アルミニウム(1655℃)、硼化クロム(2373℃)、硼化チタン(2400℃)、硼化モリブデン(2543℃)、硼化タングステン(2643℃)、硼化バナジウム(2673℃)、硼化ジルコニウム(3100℃)、硼化マグネシウム(800℃)、硼化ニオブ(3000℃)、硼化タンタル(3037℃)などが挙げられる。
さらに、ハロゲン化合物としてはフッ化セリウム(1800℃)などが、リン酸化合物としてはハイドロキシアパタイト(1650℃)などが、リチウム系化合物としてはLi2S−P25、LiCoO2、xLi2O−BPO4(0.5≦x≦1.5)などが、化合物半導体としてはII族元素とVI族元素を用いた半導体などが、それぞれ挙げられる。
特に、透明性の高いコーティング膜形成材料として有用な固体微粒子としては、酸化ニッケル、四酸化三コバルト、酸化インジウムスズ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、硼化マグネシウム、窒化珪素、炭化珪素、フッ化セリウム等を挙げることができる。
固体電解質型燃料電池電解質材料として有用な固体微粒子としては、酸化スカンジウム、酸化ネオジウム、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム(2300℃)、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化スカンジウム、LiCoO2、硫化リチウム系化合物等を挙げることができる。
硫化リチウム系化合物の具体例として、Li2S−P25、Li2S−P25−LiI、Li2S−P25−LiCl、Li2S−P25−LiBr、Li2S−P25−Li2O、Li2S−P25−Li2O−LiI、Li2S−SiS2、Li2S−SiS2−LiI、Li2S−SiS2−LiBr、Li2S−SiS2−LiCl、Li2S−SiS2−B23−LiI、Li2S−SiS2−P25−LiI、Li2S−B23、Li2S−P25−ZmSn(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、Li2S−GeS2、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−LixMOy(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)、Li10GeP212、xLi2O−BPO4(0.5≦x≦1.5)、Lix1-x/3PO4(0.75≦x<3)等を挙げることができる。
発光ダイオードや光応答半導体材料として有用な固体微粒子としては、窒化インジウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、II族元素とVI族元素を用いた半導体等を挙げることができる。
II族元素とVI族元素を用いた半導体の具体例として、CuInSe2、CuInS2(CIS)、CuIn1-xGaxSe2(CIGS)、Cu2ZnSnS4(CZTS)、CdTe系半導体等を挙げることができる。
抵抗体膜形成材料として有用な固体微粒子としては、四酸化三鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化レニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウ ム、フェライト、酸化物セラミックス等を挙げることができる。
酸化物セラミックスの具体例として、SrVO3、CaVO3、LaTiO3、SrMoO3、CaMoO3、SrCrO3、CaCrO3、LaVO3、GdVO3、SrMnO3、CaMnO3、NiCrO3、BiCrO3、LaCrO3、LnCrO3、SrRuO3、CaRuO3、SrFeO3、BaRuO3、LaMnO3、LnMnO3、LaFeO3、LnFeO3、LaCoO3、LaRhO3、LaNiO3、PbRuO3、Bi2Ru27、LaTaO3、BiRuO3、LaB6等を挙げることができる。
超電導材料として有用な固体微粒子としては、YBa系酸化物、BiSrCa系酸化物、TlBaCa系酸化物等を挙げることができる。
圧電セラミックス厚膜材料として有用な固体微粒子としては、酸化マグネシウム、三酸化二マンガン、四酸化三マンガン、酸化マンガン、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、チタン酸バリウム、ハイドロキシアパタイト等を挙げることができる。
誘電体膜材料として有用な固体微粒子としては、酸化チタン、シリカ、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化物セラミックス等を上げることができる。
酸化物セラミックスの具体例として、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Zr1-xTix)O3(0≦x≦1)の一般式で示されるPZT、(Pb1-yLay)(Zr1-xTix)O3(0≦x、y≦1)の一般式で示されるPLZT、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、BaTiO3、BaTi49、Ba2Ti920、Ba(Zn1/3Ta2/3)O3、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3、Ba(Mg1/3Ta2/3)O3、Ba(Mg1/3Ta2/3)O3、Ba(Co1/3Ta2/3)O3、Ba(Co1/3Nb2/3)O3、Ba(Ni1/3Ta2/3)O3、Ba(Zr1-xTix)O3、(Ba1-xSrx)TiO3、ZrSnTiO4、CaTiO3、MgTiO3、SrTiO3等を挙げることができる。
微粒子結合材料として有用な固体微粒子としては、コージエライト、アノーサイト、ゲーレナイト、カルシウム・アルミネート、リチウムアルミネート、アルミン酸ストロンチウム、ムライト、アルミン酸イットリウム、スピネル、窒化アルミニウム等を挙げることができる。
本発明において、超短パルスレーザ光を照射する方法には、大きく2つある。1つは、金属を析出させる透明基板を通し照射する方法と、もう1つは、溶液を介し基板表面に照射する方法である。前者の場合には、溶液と通過しないため、溶液中に分散している固体微粒子の影響を受けにくい。
後者の場合には、固体微粒子による溶液中での光吸収が小さければ、光損失や散乱が抑制され、より多くの固体微粒子を溶媒中に分散させることができ、かつ、析出した金属に効率的にレーザ光を吸収させることができると考えられ問題とならないが、逆に、光吸収が大きければ、光損失や散乱が起こりやすくなり、この場合は、固体微粒子の粒子径を変化させるか、溶液中の濃度を低くすることなどにより、析出金属へのレーザ光の照射が効率的になるように制御することが可能である。
<溶媒>
本発明で使用する溶液のための溶媒は、固体微粒子の分散に適したものであれば特に限定されない。トルエン等の有機溶媒に分散された固体微粒子を、アルコールと水の混合溶媒に再分散させるなど、使用に応じ溶媒を選択することができる。
本発明で使用する溶液の粘度は、特に限定されない。コアとなる金属を覆う固体微粒子の被覆を厚くしたい場合には、固体微粒子の濃度を高くすることが考えられ、そのような場合には、溶液の粘度は高くなる。
<その他の成分>
溶液中には、固体微粒子の分散のために使用される分散剤など溶解するもの、レーザ光の照射を妨げるものでなければ含まれていても構わない。
<レーザ>
本発明において、「超短パルスレーザ」とは、数フェムト秒(1フェムト秒は1×10-15秒、fsとも表記される。)〜数百ピコ秒(1ピコ秒は1×10-12秒、psとも表記される。)のパルス幅をもつパルスレーザである。
本発明で使用する超短パルスレーザ光の平均出力は、10mW以上であるのが好ましい。
また、超短パルスレーザ光の集光径は、20μm以下であるのが好ましい。
超短パルスレーザ光の照射量および強度を制御することで、生成される金属コアの大きさを制御することが可能である。
また、超短パルスレーザ光の繰返し周波数は、1Hz〜500MHzであるのが好ましい。
本発明で使用する超短パルスレーザ光の波長は、本発明で使用する金属イオン等により吸収される波長であって、モル吸光係数の高い波長であれば、特に限定されない。固体微粒子による吸収の少ない波長であれば、本発明による複合体の生成効率が更に良くなり好ましい。
具体的には、本発明で使用する超短パルスレーザ光の波長を、溶液に溶解した感光性の金属化合物の吸収波長に合わせて、例えば本発明で使用する金属のモル吸光係数が5l/mol・cm以上となるように選択するのが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
超短パルスレーザ光の波長は、200nm〜2000nmであるのが好ましい。
さらに、超短パルスレーザ光のフルエンス(単位面積に投入されるエネルギー)は、0.01mJ/cm2〜10mJ/cm2であるのが好ましい。
本発明は、溶液に基板を浸漬させる工程、及び基板の表面に沿って超短パルスレーザ光のビームスポットを移動させる工程をさらに含むものとすることができる。
本発明の他の実施形態を示す概念断面図である図3を参照して、基板はその一方の表面が溶液に浸漬されており、この状態で基板を走査方向に移動させることにより、基板の表面に沿って超短パルスレーザ光のビームスポットを移動させることができる。
超短パルスレーザ照射による溶液中での金属析出は、非線形光学吸収を介してレーザ集光点近傍でのみ起こる。このため、本発明では、基板の表面上だけでなく、基板から離れた溶液中の任意位置にレーザ焦点を配置し三次元的に走査することで、固体微粒子に被覆された三次元金属構造を製造することが可能である。すなわち、本発明は、溶液に基板を浸漬させる工程、及び基板の表面から、基板から離れた溶液中の所定の位置に超短パルスレーザ光のビームスポットを移動させる工程をさらに含むものとすることができる。
また、製造された複合体から金属コアをエッチング処理などにより除去することにより、固体微粒子からなる三次元構造を取り出すことも可能である。
<後処理>
本発明の製造方法により製造された複合体について、電気炉、炭酸ガスレーザ照射などによる熱処理を行うことにより、構造安定化を得ることが可能である。また、製造された複合体から金属コアをエッチング処理などにより除去することにより、被覆部分のみを取り出すことも可能である。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
褐色ビン中に、純水6mlとエタノール10mlを入れ、硝酸銀溶液(1mol/l、純正化学株式会社)を4ml入れて、攪拌した。その後、シリカナノ粒子分散水溶液(Sigma-aldrich,LUDOX、TM-50、ナノ粒子粒径22nm、濃度50質量%)を0.7ml入れて、再度1時間撹拌した。この時のシリカの濃度は、2.5質量%であった。
褐色ビンから溶液をテフロン(登録商標)製の溶液ホルダーに移し、基板となるカバーガラスを、基板の一方表面がホルダー中の溶液と直接接触するようにホルダーに被せた。
次に、フェムト秒レーザ(C-Fiber780、MenloSystems Ltd.)を用いて、焦点が基板と溶液との接触面となるように調整し、中心波長780nm、繰返し周波数100MHz、パルス幅127fs、平均レーザ出力20mW、集光径(理論値)2μm、フルエンス6.4mJ/cm2の条件で照射した。
ホルダーを走査速度10μm/sで水平に動かすことで、基板表面に複合体が走査方向に連続的に形成された。
形成された複合体にカーボン保護膜をつけ、集束イオンビームで切片を切り出して形成された複合体の断面形状を顕微鏡観察した(図4)。半円の直径約2.5μm銀のコアとそれを覆う厚み約2.5μmのシリカナノ粒子による被覆が確認された。
(実施例2)
実施例1において、シリカナノ粒子分散水溶液に代えて酸化チタンナノ粒子分散水溶液(NTB-1、昭和電工株式会社、ナノ粒子粒径10〜20nm(カタログ値)、濃度15質量%)を1.9ml使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で、溶液の分散及びレーザ光照射を行った。この時の酸化チタン濃度は、1.5質量%であった。
形成された複合体の断面形状を顕微鏡観察したところ、半円の直径約5μm銀のコアとそれを覆う厚み約5μmの酸化チタンナノ粒子による被覆が確認された(図5)。
(実施例3〜7)
実施例1において、シリカナノ粒子に代えて、表1に示す様々な種類の固体微粒子を使用して、実施例1と同じ条件で、溶液の分散及びレーザ光照射を行った。
いずれの実施例においても、実施例1の場合と同様に、複合体の形成が確認された。
*アパタイト及び窒化ホウ素の粒子径は、BET法での見積りによる。
*酸化亜鉛及びアルミナの粒子径は、TEM観察による。
(実施例8)
ホルダーの走査速度を30μm/s、酸化チタン濃度は、1.5質量%とし、平均レーザ出力を15mW、25mW、30mWと変化させたこと以外は、実施例2と同じ条件で、溶液の分散及びレーザ光照射を行った。
得られた複合体の断面を顕微鏡観察して、酸化チタンによる被膜の断面積と平均レーザ出力との関係を図6に整理した。
図6から、レーザ出力が増加するにしたがって、大きな断面積を有する複合体が得られることがわかる。
(実施例9〜12)
実施例6において、平均レーザ出力を25mWに固定し、1.5質量%であった酸化チタン濃度を0.8質量%(実施例9)、0.3質量%(実施例10)、0.2質量%(実施例11)、0.01質量%(実施例12)と減少させて、実施例6と同様に、溶液の分散及びレーザ光照射を行った。
得られた複合体の断面を顕微鏡観察した。
酸化チタンによる被膜の断面積と、酸化チタン濃度との関係を図7に整理した。
図7から、酸化チタン濃度を変化させると断面積が変化するものの、濃度が0.1質量%以上であれば、低い酸化チタン濃度であっても良好な複合体が得られていることがわかる。
(実施例13〜15)
実施例2において、酸化チタン濃度を1.5質量%とし、ナノ粒子粒径をさらに大きいものとしたこと以外は、実施例2と同じ条件で、溶液の分散及びレーザ光照射を行った。
ナノ粒子粒径を0.1μm(実施例13)、0.5μm(実施例14)、1.0μm(実施例15)とした場合に得られた複合体の断面を顕微鏡観察した結果、いずれの場合も被覆層が形成された良好な複合体が得られていることが確認された。
(実施例16〜19)
実施例1の硝酸銀溶液(1mol/l)4mlを、硫酸銅(実施例16)、テトラクロロ金(III)酸四水和物(実施例17)、硫酸ニッケル(実施例18)、硝酸鉛(II)(実施例19)、各水溶液(1mol/l)4mlに置き換え、褐色ビン中で、純水6mlとエタノール10mlと共に攪拌した。その後、シリカナノ粒子分散水溶液(Sigma-aldrich,LUDOX、TM-50、ナノ粒子粒径22nm、濃度50質量%)を0.7ml入れて、再度1時間撹拌し、実施例1と同じ条件で、溶液の分散及びレーザ光照射を行った。この時のシリカの濃度は、2.5質量%であった。
実施例16〜19のいずれの場合にもシリカ微粒子の集積が確認され、断面の顕微鏡観察においても、被覆層が形成された良好な複合体が得られていることが確認された。

Claims (14)

  1. 金属のイオン、コロイド、及び/または錯体を含む溶液に、超短パルスレーザ光を照射することで金属を析出させ、前記溶液中に分散された、金属酸化物粒子、非金属酸化物粒子、又はセラミクス粒子からなる固体微粒子を、前記析出した金属に被覆する工程を含むことを特徴とする、固体微粒子で被覆された金属を含む複合体の製造方法。
  2. 前記金属が、銀、銅、ニッケル、鉛、錫、白金及び金からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記固体微粒子の融点が500℃〜3500℃であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記固体微粒子が、0.005μm〜1μmの直径を有することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記固体微粒子の前記溶液中の濃度が、0.01質量%〜3.0質量%であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記超短パルスレーザ光の波長が200nm〜2000nmであることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記超短パルスレーザ光のフルエンスが0.01mJ/cm2〜10mJ/cm2であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記超短パルスレーザ光の繰返し周波数が1Hz〜500MHzであることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記溶液に基板を浸漬させる工程、及び
    前記基板の表面に沿って前記超短パルスレーザ光のビームスポットを移動させる工程
    をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記溶液に基板を浸漬させる工程、及び
    前記基板の表面から、前記基板から離れた前記溶液中の所定の位置に前記超短パルスレーザ光のビームスポットを移動させる工程
    をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 固体微粒子で被覆された金属を含む複合体であって、
    前記金属は、溶液中に金属のイオン、コロイド、及び/または錯体として存在し、該溶液に超短パルスレーザ光を照射することで析出しうるものであり、
    前記固体微粒子は、金属酸化物粒子、非金属酸化物粒子、又はセラミクス粒子であり、
    前記金属がコアを形成し、該コアがその内側に空洞を有する
    ことを特徴とする、前記複合体。
  12. 前記金属が、銀、銅、ニッケル、鉛、錫、白金及び金からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項11に記載の複合体。
  13. 前記固体微粒子の融点が500℃〜3500℃であることを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の複合体。
  14. 前記固体微粒子が、0.005μm〜1μmの直径を有することを特徴とする、請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の複合体。
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