JPWO2018230556A1 - 抗癌剤及びその使用 - Google Patents

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Abstract

下記式(1)(式(1)中、R1〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。)で表される化合物を有効成分として含有する、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌用抗癌剤。【化1】

Description

本発明は、抗癌剤及びその使用に関する。より具体的には、抗癌剤、3−O−(2’E,4’Z−decadienoyl)−20−O−acetylingenol(3EZ,20Ac−インゲノール)又はその誘導体の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法及びキットに関する。本願は、2017年6月12日に、日本に出願された特願2017−115388号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
DNAの合成及び修復にはトポイソメラーゼが必要である。トポイソメラーゼはDNAのよじれを解消する酵素であり、DNAの一本鎖又は二本鎖を切断し、DNAの複製で生じるよじれを解消する。
トポイソメラーゼは、DNAの切断が一本鎖であるトポイソメラーゼIと、DNAの切断が二本鎖であるトポイソメラーゼIIとに分類される。
トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼの活性を阻害する化合物である。トポイソメラーゼ阻害剤は、DNAの切断段階でトポイソメラーゼの活性を阻害するDNA切断型トポイソメラーゼ阻害剤と、DNA切断段階以外の段階でトポイソメラーゼの活性を阻害する酵素阻害型トポイソメラーゼ阻害剤とに分類される。
癌細胞は盛んにDNA合成を行っているため、トポイソメラーゼ阻害剤が抗癌剤として利用されている。DNA切断型トポイソメラーゼ阻害剤は、DNA損傷監視機構(DNA damage checkpoint)により癌細胞のアポトーシスを誘導する。一方、酵素阻害型トポイソメラーゼ阻害剤は、DNAよじれ解消監視機構(decatenation checkpoint)により細胞***阻害を誘導する。現在、抗癌剤に用いられているトポイソメラーゼ阻害剤はDNA切断型である。
ところで、3EZ,20Ac−インゲノールは、トウダイグサ科の多年草であるカンスイ(Euphorbia kansui)から抽出されるジテルペン類である。3EZ,20Ac−インゲノールは、トポイソメラーゼ阻害剤であり、DNA切断を起こさないこと、ニワトリB細胞由来DT40細胞の細胞増殖をG2/M期で停止させたことが報告されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
Yasuaki Fukuda, et al., 3EZ, 20Ac-ingenol, a catalytic inhibitor of topoisomerases, downregulates p-Akt and induces DSBs and apoptosis of DT40 cells, Arch. Pharm. Res., 36, 1029-1038, 2013.
DNA切断型トポイソメラーゼ阻害剤が抗癌剤として働く作用機構は、DNA損傷により誘導される監視機構を利用したものであり、多くの副作用の原因となっている。例えば、DNA切断型トポイソメラーゼ阻害剤処理により発生するDNA切断は、2〜3年後に二次癌を発生させる場合がある。
また、トポイソメラーゼ阻害剤は、DNA合成が速い細胞にアポトーシスを誘導させる傾向にある。このため、増殖が速い正常な骨髄造血幹細胞、未分化細胞が減少し、骨髄抑制、白血球減少等が発生する場合がある。
また、心臓ではトポイソメラーゼII活性が高いことが知られている。このため、トポイソメラーゼIIを阻害するトポイソメラーゼ阻害剤を投与すると、心臓でアポトーシスを起こす細胞が多く発生し、心臓障害が発生する場合がある。
一方、従来の酵素阻害型トポイソメラーゼ阻害剤は、細胞増殖阻害活性が低く(IC50=5〜50μM)、細胞周期停止後に多核細胞が発生する場合があり、また、これらの多核細胞が二次癌を発生させる場合がある。
このような背景のもと、二次癌の発生等の副作用が低減された抗癌剤が求められている。そこで、本発明は、DNA切断を起こさずに、特定の癌に特異的に作用する抗癌剤を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]下記式(1)で表される化合物を有効成分として含有する、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌用抗癌剤。
[式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
[2][1]に記載の抗癌剤と薬学的に許容できる担体とを含有する、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌用医薬組成物。
[3]上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、前記癌由来の細胞におけるサイクリンD1タンパク質の存在量を測定することを含み、測定されたサイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多いことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
[4]上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、前記細胞における核内から細胞質内へのサイクリンD1タンパク質の移行を測定することと、を含み、サイクリンD1タンパク質が核内から細胞質内へ移行したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
[5]上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、前記細胞におけるサイクリンD1タンパク質の核内存在量を測定することと、を含み、サイクリンD1タンパク質の核内存在量が減少したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
[6]上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、前記細胞におけるリン酸化Aktタンパク質の核内存在量を測定することと、を含み、リン酸化Aktタンパク質の核内存在量が減少したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
[7]サイクリンD1タンパク質に対する特異的結合物質を含む、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測するためのキット。
[8]リン酸化Aktタンパク質に対する特異的結合物質を含む、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測するためのキット。
本発明によれば、DNA切断を起こさずに、特定の癌に特異的に作用する抗癌剤を提供することができる。
実験例1におけるMTTアッセイの結果を示すグラフである。 実験例2におけるMTTアッセイの結果を示すグラフである。 (a)〜(e)は、実験例3におけるフローサイトメトリーの結果を示すグラフである。 実験例4においてアポトーシスの誘導を測定した結果を示すグラフである。 実験例5においてアポトーシスの誘導を測定した結果を示すグラフである。 (a)及び(b)は、実験例6におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例7におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)〜(d)は、実験例8におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例9におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例10におけるMTTアッセイの結果を示すグラフである。 実験例11におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例12におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)〜(f)は、実験例13におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例14におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)〜(f)は、実験例15におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例16におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例16におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例17におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例18におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例19におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)〜(f)は、実験例20におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例21におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例22におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。 実験例23におけるMTTアッセイの結果を示すグラフである。 実験例24におけるMTTアッセイの結果を示すグラフである。
[抗癌剤]
1実施形態において、本発明は、下記式(1)で表される化合物を有効成分として含有する、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌用抗癌剤を提供する。本実施形態の抗癌剤は、サイクリンD1タンパク質の核内存在量が対照よりも多い癌用であってもよい。
[式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
式(1)において、脂肪族基は、本実施形態の抗癌剤の効果が得られる限り特に限定されず、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、飽和していてもよく、不飽和であってもよく、置換されていてもよく、未置換であってもよい。また、脂肪族基の炭素数は、例えば1〜20であってもよく、例えば1〜16であってもよい。脂肪族基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
式(1)において、式RCO−で表される基のうち、Rが脂肪族基であるものとしては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2,3−ジメチルブタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の炭素原子数1〜16の飽和脂肪酸のカルボキシル基から水酸基を除いた基;2,4−デカジエン酸等の炭素原子数1〜16の不飽和脂肪酸のカルボキシル基から水酸基を除いた基等が挙げられる。
また、式(1)において、芳香族基及びヘテロ芳香族基は、置換されていてもよく、未置換であってもよい。また、芳香族基及びヘテロ芳香族基の炭素数は、例えば1〜8であってもよく、例えば1〜6であってもよい。芳香族基及びヘテロ芳香族基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
式(1)において、式RCO−で表される基のうち、Rが芳香族基であるものとしては、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、アントラニル酸等の芳香族カルボン酸のカルボキシル基から水酸基を除いた基等が挙げられる。
また、式(1)において、式RCO−で表される基のうち、Rがヘテロ芳香族基であるものとしては、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ピリジンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸等のヘテロ芳香族カルボン酸のカルボキシル基から水酸基を除いた基等が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物は、R、R、R、R、Rが水素原子であり、R、R、R10、R11がメチル基であり、Rが下記式(2)若しくは(3)で表される基又は水素原子であり、Rがアセチル基であってもよい。下記式(2)及び(3)において、R12は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
上記式(1)で表される化合物は、下記式(4)で表される3−O−(2’E,4’Z−decadienoyl)−20−O−acetylingenol(3EZ,20Ac−インゲノール)であってもよく、下記式(5)で表される3EE,20Ac−インゲノールであってもよく、下記式(6)で表される20Ac−インゲノールであってもよい。
実施例において後述するように、発明者らは、上記式(1)で表される化合物を、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌細胞に投与すると、アポトーシスを誘導することを明らかにした。したがって、本実施形態の抗癌剤は、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌の治療に利用することができる。
実施例において後述するように、上記式(1)で表される化合物を、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌細胞に投与すると、H2AXのリン酸化が上昇し、またp21の発現が上昇し、DNA損傷反応が増強される。その結果、ATM/ATRが活性化し、p53がリン酸化されて安定化され、アポトーシスが誘導される。更に、PTENの発現が上昇しp−Aktが抑制され、GSK−3βが活性化され、サイクリンD1が分解されて増殖阻害が起こり、アポトーシスが誘導される。
本明細書において、治療対象とする癌としては、ヒトの癌又は非ヒト動物の癌が挙げられるが、ヒトの癌であることが好ましい。また、癌は血液癌、固形癌等であってよい。
サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多いとは、対照細胞と比較して、細胞内におけるサイクリンD1タンパク質の存在量が多いことを意味する。ここで、対照としては、正常細胞が挙げられる。正常細胞は、正常な血液細胞、正常な組織由来の細胞等であってよい。正常細胞はサイクリンD1を過剰発現しない。すなわち、上記式(1)で表される化合物は、対照細胞と比較して、サイクリンD1タンパク質の存在量が多い癌細胞に有効な抗癌剤である。あるいは、上記式(1)で表される化合物は、対照細胞と比較して、サイクリンD1タンパク質の核内存在量が多い癌細胞に有効な抗癌剤であるということもできる。あるいは、上記式(1)で表される化合物は、対照細胞と比較してサイクリンD1遺伝子の発現量が高い癌細胞に有効な抗癌剤であるということもできる。
非特許文献1に記載されているように、上記式(1)で表される化合物は、DNA切断を起こさないことが明らかにされている。したがって、本実施形態の抗癌剤は、DNA切断を起こさず、長期間使用しても二次癌の発生を起こしにくい。
また、従来のトポイソメラーゼ阻害剤は、DNA合成が速い細胞にアポトーシスを誘導させる傾向にあり、ヒト又は非ヒト動物に投与すると、増殖が速い正常な骨髄造血幹細胞、未分化細胞が減少し、骨髄抑制、白血球減少等が発生する場合がある。
これに対し、上記式(1)で表される化合物は、酵素阻害型トポイソメラーゼ阻害剤であり、DNA切断を起こさず、DNAよじれ解消監視機構を誘導するものと考えられる。そして、幹細胞、未分化細胞等ではDNAよじれ解消監視機構が欠損していることが知られている。したがって、本実施形態の抗癌剤は、正常細胞、サイクリンD1の過剰発現のなく、DNAよじれ解消監視機構が欠損している幹細胞、未分化細胞等のアポトーシスを誘導せず、ヒト又は非ヒト動物に投与しても、骨髄抑制、白血球減少が発生しにくい。
また、上記式(1)で表される化合物は、心臓で活性が高いトポイソメラーゼIIではなく、トポイソメラーゼIを主な標的とする。したがって、本実施形態の抗癌剤は、ヒト又は非ヒト動物に投与した場合においても、心臓への副作用が少ない。
以上のことから、本実施形態の抗癌剤は、増殖が速い正常細胞であっても、サイクリンD1の過剰発現がなければアポトーシスは誘導されず、副作用が少ない抗癌剤として有用である。本実施形態の抗癌剤が治療対象とする癌としては、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌が挙げられる。また、サイクリンD1が顆粒膜細胞成分を含む細胞質画分に存在している場合にも有用である。あるいは、本実施形態の抗癌剤が治療対象とする癌は、対照細胞と比較してサイクリンD1遺伝子の発現量が高い癌であるということもできる。
これらの癌において、サイクリンD1タンパク質の細胞内存在量が正常細胞よりも増加する原因は様々である。例えば、染色体の転座が原因でサイクリンD1タンパク質の核内存在量が増加する場合もある。また、Wntβカテニン遺伝子の突然変異、K−rasの突然変異、カテニン/APC系遺伝子の変異からサイクリンD1が過剰発現される場合もある。本実施形態の抗癌剤は、サイクリンD1タンパク質の細胞内存在量が増加する原因に関わらず、これらの癌のアポトーシスを誘導することができる。
サイクリンD1の過剰発現の原因は、癌遺伝子、癌抑制遺伝子を含む情報伝達系遺伝子の変異によりPI3K/Aktが活性化されたためにサイクリンD1の分解(サイクリンD1の細胞質への移行)が阻害され、細胞内にサイクリンD1が蓄積される場合もある。このような癌は、Aktタンパク質のリン酸化が上昇した癌(リン酸化Aktタンパク質の細胞内濃度が上昇した癌)であり、本実施形態の抗癌剤はこのような癌にも有効である。
本実施形態の抗癌剤が治療対象とする癌は、更に、PI3(Phosphoinositide 3−kinase)キナーゼ/Akt経路が活性化し、Aktタンパク質のリン酸化が上昇した(リン酸化Aktタンパク質の細胞内濃度が上昇した)癌であることが好ましい。実施例において後述するように、本実施形態の抗癌剤は、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多く、リン酸化Aktタンパク質の細胞内濃度が上昇した癌に特に有効である。
本実施形態の抗癌剤が治療対象とするより具体的な癌としては、マントル細胞リンパ腫、膵臓癌、脳腫瘍、脳下垂体腫瘍、食道癌、乳癌等が挙げられる。これらの癌では、サイクリンD1タンパク質の存在量が正常細胞よりも増加している場合がある。
これらの癌において、サイクリンD1タンパク質の存在量が正常細胞よりも増加する原因は様々である。例えば、染色体の転座が原因でサイクリンD1タンパク質の存在量が増加する場合もあるし、癌化により増殖シグナルが活性化された結果、サイクリンD1タンパク質の存在量が増加する場合もある。本実施形態の抗癌剤は、サイクリンD1タンパク質の存在量が増加する原因に関わらず、これらの癌のアポトーシスを誘導することができる。
[医薬組成物]
1実施形態において、本発明は、上述した抗癌剤と薬学的に許容できる担体とを含有する、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌に対する医薬組成物を提供する。
医薬組成物は、経口的に使用される剤型又は非経口的に使用される剤型に製剤化されていてもよい。経口的に使用される剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。非経口的に使用される剤型としては例えば注射剤、坐剤、貼付剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、通常医薬組成物の製剤に用いられるものを特に制限なく用いることができる。より具体的には、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤;水、エタノール、グリセリン等の注射剤用溶剤;ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤等が挙げられる。
医薬組成物は添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノールの安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤;界面活性剤;乳化剤;等が挙げられる。
医薬組成物は、上記の担体及び添加剤を適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。
患者への投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射等のほか、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法により行いうる。投与量は、患者の体重や年齢、投与方法などにより変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。
化合物の投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1から100mg、好ましくは約1.0から50mg、より好ましくは約1.0から20mgであると考えられる。
非経口的に投与する場合は、その1回の投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとして)においては、通常、1日当り約0.01から30mg、好ましくは約0.1から20mg、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であると考えられる。
[上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法]
(第1実施形態)
1実施形態において、本発明は、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、前記癌由来の細胞におけるサイクリンD1タンパク質の存在量を測定することを含み、測定されたサイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多いことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す方法を提供する。
本実施形態の方法において、サイクリンD1タンパク質の存在量の測定方法は特に限定されず、例えば、RT−PCR、ウエスタンブロッティング、免疫組織染色等により測定することができる。後述するように、細胞質内のサイクリンD1はプロテアソームにより速やかに分解される。したがって、サイクリンD1遺伝子の発現量が高い細胞は、サイクリンD1タンパク質の核内存在量が高いといえる。
また、本実施形態の方法において、対照としては、上述したものと同様であり、正常細胞等が挙げられる。
また、治療対象とする癌由来の細胞としては、例えば生検試料由来の血液細胞、外科手術により摘出した癌組織由来の細胞等を用いることができる。
本実施形態の方法によれば、治療対象とする癌由来の細胞のサイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い場合に、上記式(1)で表される化合物の投与が治療に有効であると判断することができる。
(第2実施形態)
1実施形態において、本発明は、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、前記細胞における核内から細胞質内へのサイクリンD1タンパク質の移行を測定することと、を含み、サイクリンD1タンパク質が核内から細胞質内へ移行したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す方法を提供する。
実施例において後述するように、上記式(1)で表される化合物の投与により、細胞増殖の阻害、アポトーシスの誘導が認められた癌細胞では、上記式(1)で表される化合物の投与により、核内に存在していたサイクリンD1が細胞質内に移行したことが観察された。
したがって、治療対象とする癌由来の細胞を上記式(1)で表される化合物の存在下で培養した結果、サイクリンD1が核内から細胞質内に移行した場合には、当該癌の治療に上記式(1)で表される化合物の投与が有効であると判断することができる。
第2実施形態の方法において、細胞の培地に添加する上記式(1)で表される化合物の濃度は終濃度0.5〜10μM程度であってよい。また、細胞の核内から細胞質内へのサイクリンD1の移行は、上記式(1)で表される化合物の投与後、例えば、24〜48時間程度の間に確認することができる。
また、核内から細胞質内へのサイクリンD1の移行は、細胞を核画分と細胞質画分に分画して、抗サイクリンD1抗体を用いたウエスタンブロッティングを行うこと等により確認することができる。あるいは、細胞を固定し、抗サイクリンD1抗体を用いて免疫染色することにより、サイクリンD1の細胞内局在を確認してもよい。
《第2実施形態の変形例》
第2実施形態の方法において、サイクリンD1が細胞の核内から細胞質内へ移行すると、核内のサイクリンD1の存在量が減少する。したがって、核内のサイクリンD1の存在量が減少することを指標として、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測することもできる。
また、サイクリンD1が細胞の核内から細胞質内へ移行すると、細胞質内のサイクリンD1の存在量が増加する。したがって、細胞質内のサイクリンD1の存在量が増加することを指標として、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測することもできる。しかしながら、細胞質内のサイクリンD1はプロテアソームにより分解されるため、細胞質内のサイクリンD1の存在量の増加は一時的である。
すなわち、サイクリンD1タンパク質は核内から細胞質に移行し、更に細胞質内で分解される。したがって、細胞質内のサイクリンD1の存在量が一時的に増加し、更に減少することを指標として、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測することもできる。
(第3実施形態)
1実施形態において、本発明は、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、前記細胞におけるリン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量を測定することと、を含み、リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量が減少したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す方法を提供する。
リン酸化Aktタンパク質とは、活性化されたAktタンパク質のことである。リン酸化Aktタンパク質としては、Aktタンパク質の第473番目のセリン残基がリン酸化されたAktタンパク質が挙げられる。細胞質内又は核内に存在するリン酸化Aktタンパク質は、サイクリンD1の分解反応をコントロールする。
実施例において後述するように、上記式(1)で表される化合物の投与により、細胞増殖の阻害、アポトーシスの誘導が認められた癌細胞では、上記式(1)で表される化合物の投与により、リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内における存在量が顕著に減少した。
したがって、治療対象とする癌由来の細胞を上記式(1)で表される化合物の存在下で培養した結果、リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内における存在量が減少した場合には、当該癌の治療に上記式(1)で表される化合物の投与が有効であると判断することができる。
第3実施形態の方法において、細胞の培地に添加する上記式(1)で表される化合物の濃度は終濃度0.5〜10μM程度であってよい。また、リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内における存在量の減少は、上記式(1)で表される化合物の投与後、例えば、24〜48時間程度の間に確認することができる。
また、リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量の減少は、細胞を核画分と細胞質画分に分画して、抗p−Akt(Ser473)抗体を用いたウエスタンブロッティングを行うこと等により確認することができる。あるいは、細胞を固定し、抗p−Akt(Ser473)抗体を用いて免疫染色することにより、リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量を確認してもよい。
[キット]
(第1実施形態)
1実施形態において、本発明は、サイクリンD1タンパク質に対する特異的結合物質を含む、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測するためのキットを提供する。
本実施形態のキットにより、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する、上述した第2実施形態の方法を実施することができる。
ここで、サイクリンD1タンパク質は、治療対象とする動物種のサイクリンD1であることが好ましい。治療対象とする癌がヒトの癌である場合には、ヒトのサイクリンD1タンパク質であることが好ましい。
特異的結合物質としては、抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。抗体は、例えば、マウス等の動物に標的物質又はその断片を抗原として免疫することによって作製することができる。あるいは、例えば、ファージライブラリーのスクリーニングにより作製することができる。抗体断片としては、Fv、Fab、scFv等が挙げられる。抗体は、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体であってもよい。また、市販の抗体であってもよい。
アプタマーとは、標的物質に対する特異的結合能を有する物質である。アプタマーとしては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。標的物質に特異的結合能を有する核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponential enrichment(SELEX)法等により選別することができる。また、標的物質に特異的結合能を有するペプチドアプタマーは、例えば酵母を用いたTwo−hybrid法等により選別することができる。
本実施形態のキットは、上記式(1)で表される化合物を更に備えていてもよい。また、本実施形態のキットは、後述する、リン酸化Aktタンパク質に対する特異的結合物質を更に備えていてもよい。
(第2実施形態)
1実施形態において、本発明は、リン酸化Aktタンパク質に対する特異的結合物質を含む、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測するためのキットを提供する。
本実施形態のキットにより、上記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する、上述した第3実施形態の方法を実施することができる。リン酸化Aktタンパク質とは、活性化されたAktタンパク質のことである。リン酸化Aktタンパク質としては、Aktタンパク質の第473番目のセリン残基がリン酸化されたAktタンパク質が挙げられる。
ここで、リン酸化Aktタンパク質は、治療対象とする動物種のリン酸化Aktタンパク質であることが好ましい。治療対象とする癌がヒトの癌である場合には、ヒトのリン酸化Aktタンパク質であることが好ましい。
第2実施形態のキットにおいて、特異的結合物質としては、上述したものと同様であり、抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。また、第2実施形態のキットは、上記式(1)で表される化合物を更に備えていてもよい。また、第2実施形態のキットは、上述したサイクリンD1タンパク質に対する特異的結合物質を更に備えていてもよい。
[その他の実施形態]
1実施形態において、本発明は、癌患者由来の癌細胞におけるサイクリンD1タンパク質の存在量を測定することと、測定されたサイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い場合に、前記癌患者に下記式(1)で表される化合物の有効量を投与することと、を含む、癌の治療方法を提供する。
[式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
1実施形態において、本発明は、癌患者由来の癌細胞を上記式(1)で表される化合物の存在下で培養することと、前記細胞における核内から細胞質内へのサイクリンD1タンパク質の移行を測定することと、サイクリンD1タンパク質が核内から細胞質内へ移行した場合に、前記癌患者に上記式(1)で表される化合物の有効量を投与することと、を含む、癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、癌患者由来の癌細胞を上記式(1)で表される化合物の存在下で培養することと、前記細胞におけるサイクリンD1タンパク質の核内存在量を測定することと、サイクリンD1タンパク質の核内存在量が減少した場合に、前記癌患者に上記式(1)で表される化合物の有効量を投与することと、を含む、癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、癌患者由来の癌細胞を上記式(1)で表される化合物の存在下で培養することと、前記細胞におけるリン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量を測定することと、リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量が減少した場合に、前記癌患者に上記式(1)で表される化合物の有効量を投与することと、を含む、癌の治療方法を提供する。
上記各実施形態の治療方法において、細胞の培地に添加する上記式(1)で表される化合物の濃度は終濃度0.5〜10μM程度であってよい。また、細胞の核内から細胞質内へのサイクリンD1の移行、サイクリンD1タンパク質の核内存在量の減少、リン酸化Aktタンパク質の核内存在量が減少は、上記式(1)で表される化合物の存在下で細胞培養を開始した後、例えば、24〜48時間程度の間に確認することができる。また、対照としては、上述したものと同様であり、正常細胞等が挙げられる。
1実施形態において、本発明は、上記式(1)で表される化合物の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、上記式(1)で表される化合物の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、サイクリンD1遺伝子の発現量が対照よりも多い癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌の治療のための、上記式(1)で表される化合物を提供する。
1実施形態において、本発明は、サイクリンD1遺伝子の発現量が対照よりも多い癌の治療のための、上記式(1)で表される化合物を提供する。
1実施形態において、本発明は、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌の治療薬を製造するための、上記式(1)で表される化合物の使用を提供する。
1実施形態において、本発明は、サイクリンD1遺伝子の発現量が対照よりも多い癌の治療薬を製造するための、上記式(1)で表される化合物の使用を提供する。
これらの各実施形態において、上記式(1)で表される化合物は、薬学的に許容される担体を含む組成物の形態であってもよい。薬学的に許容される担体としては、上述したものが挙げられる。
また、これらの各実施形態において、対照としては、上述したものと同様であり、正常細胞等が挙げられる。
次に実験例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理はBALL−1細胞の増殖を抑制した)
ヒトマントル細胞リンパ腫由来の細胞株であるBALL−1細胞、ヒト骨髄性白血病細胞株TKG0210細胞及びヒトT細胞急性白血病細胞株TKG0377細胞を、2.5×10個/ウェル/100μLずつ96ウェルプレートに播種し、終濃度0(対照)、0.5、1、5、10μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養した。続いて、Cell Proliferation Kit I(ロシュ アプライド サイエンス社)を用いたMTTアッセイにより細胞の増殖を検討した。
図1は、MTTアッセイの結果を示すグラフである。その結果、3EZ,20Ac−インゲノールは、0〜10μMの範囲で濃度依存的に各癌細胞株の生存率を減少させたことが明らかとなった。
特に、BALL−1細胞は、1〜10μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養した結果、70〜75%が死滅したことが明らかとなった。また、TKG0210細胞及びTKG0377細胞は、1〜10μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養した結果、5〜20%が死滅したことが明らかとなった。
[実験例2]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理はJeKo−1細胞、Panc−1細胞の増殖を抑制した)
ヒトマントル細胞リンパ腫由来の細胞株であるJeKo−1細胞を、1×10個/ウェル/100μLずつ96ウェルプレートに播種した。また、ヒト膵臓癌由来細胞株であるPanc−1細胞を、3×10個/ウェル/100μLずつ96ウェルプレートに播種した。
続いて、各細胞のウェルに、終濃度0(対照)、0.1、0.5、1、5、10μMの3EZ,20Ac−インゲノールを添加し、48時間培養した。続いて、Cell Proliferation Kit I(ロシュ アプライド サイエンス社)を用いたMTTアッセイにより細胞の増殖を検討した。
図2は、MTTアッセイの結果を示すグラフである。その結果、3EZ,20Ac−インゲノールは、0〜10μMの範囲で濃度依存的にJeKo−1細胞及びPanc−1細胞の増殖を抑制したことが明らかとなった。
より詳細には、JeKo−1細胞を1〜10μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養すると、ほとんど生育した細胞がなくなる程度の増殖阻害が認められた。また、Panc−1細胞を1〜10μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養すると、20〜30%しか生存していない程度に増殖阻害が認められた。
[実験例3]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理は細胞増殖をS期で停止させた)
3EZ,20Ac−インゲノールによる癌細胞の増殖の阻害が、細胞周期の停止によるものか否かを検討した。
具体的には、BALL−1細胞を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールで6、12、24及び48時間処理した後、フローサイトメトリーを用いて細胞周期を解析した。また、3EZ,20Ac−インゲノール処理を行わなかった細胞を対照とした。
図3(a)〜(e)はフローサイトメトリー解析の結果を示すグラフである。なお、本解析においては生細胞にゲートをかけた。その結果、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、S期の細胞の割合が、6時間後で68%に、12時間後及び24時間後で75%に増加したことが明らかとなった。一方、対照の細胞では、S期の細胞の割合が53%に留まっていた。
また、G2/M期の細胞の割合は、12時間後及び24時間の3EZ,20Ac−インゲノール処理により、約3%に減少したことが明らかとなった。一方、対照の細胞では、G2/M期の細胞の割合は約9%であった。
同様に、G1期の細胞の割合は、24時間の3EZ,20Ac−インゲノール処理により、約19%に減少したことが明らかとなった。一方、対照の細胞では、G1期の細胞の割合は約38%であった。また、48時間後の各細胞周期の細胞の割合は算出することができなかった。
以上の結果は、3EZ,20Ac−インゲノールで処理により、BALL−1細胞の細胞増殖がS期で停止したことを示す。
[実験例4]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理はBALL−1細胞のアポトーシスを誘導した)
Cell Death Detection ELISA kit(ロシュ アプライド サイエンス社)を用いて、細胞質におけるヒストン結合DNA断片化を検出することにより、3EZ,20Ac−インゲノール処理によるアポトーシスの誘導を検討した。
具体的には、BALL−1細胞、TKG0210細胞及びTKG0377細胞を、5×10個/ウェル/200μLずつチューブに入れ、終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、6、12、24、48、72時間インキュベートした。続いて、各細胞を溶解バッファーで溶解した。続いて、各細胞の細胞破砕物の上清を集めてELISAプレートに移し、波長405nmの吸光度を測定することにより、アポトーシスの誘導を測定した。
図4は、アポトーシスの誘導を測定した結果を示すグラフである。その結果、BALL−1細胞を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で72時間インキュベートすることにより、断片化したDNAが顕著に増加したことが明らかとなった。一方、終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で72時間インキュベートしても、TKG0210細胞及びTKG0377細胞では、断片化したDNAはほとんど検出されなかった。
以上の結果は、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、BALL−1細胞のアポトーシスが誘導されることを示す。
[実験例5]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理はPanc−1細胞のアポトーシスを誘導した)
Cell Death Detection ELISA kit(ロシュ アプライド サイエンス社)を用いて、細胞質におけるヒストン結合DNA断片化を検出することにより、3EZ,20Ac−インゲノール処理によるアポトーシスの誘導を検討した。
具体的には、Panc−1細胞を、5×10個/ウェル/100μLずつチューブに入れ、終濃度3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、6、12、24、48、72時間インキュベートした。続いて、各細胞を溶解バッファーで溶解した。続いて、各細胞の細胞破砕物の上清を集めてELISAプレートに移し、波長405nmの吸光度を測定することにより、アポトーシスの誘導を測定した。
図5は、アポトーシスの誘導を測定した結果を示すグラフである。その結果、Panc−1細胞を終濃度3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下でインキュベートすると、24時間後にDNAの断片化が開始し、48時間後、72時間後に断片化したDNAが更に増加したことが明らかとなった。
以上の結果は、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、Panc−1細胞のアポトーシスが誘導されることを示す。
[実験例6]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理によるアポトーシスの誘導はカスパーゼ3の活性化を伴う)
3EZ,20Ac−インゲノール処理により、JeKo−1細胞及びPanc−1細胞でアポトーシスが誘導されることを、カスパーゼ3の活性化反応を検出することにより確認した。
具体的には、JeKo−1細胞を0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。また、Panc−1細胞を3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。続いて、各細胞におけるカスパーゼ3の活性化を、抗活性化カスパーゼ抗体(R&Dシステムズ社)を用いたウエスタンブロッティングにより検出した。また、ローディングコントロールとして、抗アクチン抗体(シグマ社)を用いてアクチンタンパク質を検出した。
図6(a)及び(b)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図6(a)はJeKo−1細胞の結果を示し、図6(b)はPanc−1細胞の結果を示す。その結果、JeKo−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理48時間後にカスパーゼ3の活性化が観察された。一方、Panc−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後からカスパーゼ3の活性化が観察された。
[実験例7]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理によるH2AXのリン酸化及びp21タンパク質の発現の検討)
DNA切断型トポイソメラーゼ阻害剤の投与により、細胞内でDNA損傷反応が誘導され、H2AXのリン酸化が起きることはよく知られている。また、サイクリンD1タンパク質の存在量が多い細胞では、DNA損傷に際し、H2AXのリン酸化の上昇、p21タンパク質の発現増加、及びカスパーゼ3の活性化が認められ、この性質で、サイクリンD1タンパク質の細胞内存在量の多いBALL−1細胞、Jeko−1細胞、Panc−1細胞でも3EZ,20Ac−インゲノール処理により特異的増殖阻害からアポトーシスを誘導している可能性がある。
発明者らは、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、DNA切断型トポイソメラーゼ阻害剤と同様に、一本鎖DNA合成阻害によるS期合成阻害が誘導されることを明らかにした。このことから、サイクリンD1の存在量が多い細胞では、DNA切断を起こさない3EZ,20Ac−インゲノール処理により、DNA切断マーカーであるリン酸化H2AX(γH2AX)の存在量が増加し、DNA損傷反応と同様な応答を誘導し、増殖阻害からアポトーシスを誘導しているのではないかと考えた。
そこで、JeKo−1細胞、Panc−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理による、H2AXのリン酸化及びp21タンパク質の発現量の変化をウエスタンブロッティングにより検討した。
具体的には、JeKo−1細胞を0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。また、Panc−1細胞を3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。
続いて、各細胞におけるH2AXのリン酸化を抗リン酸化H2AX抗体(ミリポア社)を用いて検出した。また、p21タンパク質を抗p21抗体(セルシグナリングテクノロジー社)を用いて検出した。また、ローディングコントロールとして、抗アクチン抗体(シグマ社)を用いてアクチンタンパク質を検出した。
図7(a)及び(b)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図7(a)はJeKo−1細胞の結果を示し、図7(b)はPanc−1細胞の結果を示す。図7(a)及び(b)中、「γH2AX」はリン酸化H2AXの存在を検出した結果であることを表し、「p21」はp21タンパク質の存在を検出した結果であることを表す。
その結果、JeKo−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後にH2AXのリン酸化が検出され、DNA損傷反応が誘導されたことが確認された。一方、Panc−1細胞ではH2AXのリン酸化は検出されなかった。しかしながら、Panc−1細胞においては、DNA損傷反応後に、細胞増殖阻害又はアポトーシスのいずれを進行させるかを選択することが知られる、p21タンパク質の強い発現誘導が観察された。
後述するように、JeKo−1細胞、Panc−1細胞はサイクリンD1タンパク質の存在量が多い細胞であることが明らかとなった。このため、DNA切断を起こさない3EZ,20Ac−インゲノールの投与により、JeKo−1細胞ではH2AXのリン酸化の上昇が起こり、Panc−1細胞では3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後にp21タンパク質の発現の増加を確認することができた。また、上述したように、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後にカスパーゼ3の活性化が認められた。すなわち、p21タンパク質の発現と同時期にカスパーゼ3の活性化も起こっていることが確認できた。その後、3EZ,20Ac−インゲノール処理48時間後にp21タンパク質の急激な減少が認められた。
この結果から、抗癌剤に耐性を示す膵臓癌由来細胞であるPanc−1細胞を3EZ,20Ac−インゲノール処理することにより、p21タンパク質の発現によるカスパーゼ3活性化が生じることが明らかとなった。また、活性化されたカスパーゼ3がp21タンパク質を分解し、アポトーシス誘導の方向に働いたものと考えられた。これが、DNA切断を起こさない3EZ,20Ac−インゲノールの投与がDNA損傷反応を誘導し、細胞の増殖阻害及びアポトーシス誘導を起こす機構である。
また、正常細胞では、サイクリンD1タンパク質が過剰に存在するということがないため、3EZ,20Ac−インゲノールを投与しても増殖阻害やアポトーシス誘導を起こすことがない。
[実験例8]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理によるATR及びp53タンパク質の発現の検討)
3EZ,20Ac−インゲノールは、従来の分類ではDNA切断損傷による損傷監視機構を発生しない化合物である。しかしながら、上述した実験例の結果から、BALL−1細胞、JeKo−1細胞、Panc−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理によりアポトーシスが誘導されることが明らかとなった。そこで、DNA損傷反応により誘導される情報伝達に関するタンパク質の発現をウエスタンブロッティングにより検討した。
具体的には、JeKo−1細胞を0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。また、Panc−1細胞を3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。
続いて、各細胞におけるATRタンパク質、p53タンパク質、リン酸化p53(以下、「p−p53」という場合がある。)タンパク質を、それぞれ抗ATR抗体(セルシグナリングテクノロジー社)、抗p53抗体(サンタクルーズ社)、抗p−p53抗体(セルシグナリングテクノロジー社)を用いて検出した。また、ローディングコントロールとして、抗アクチン抗体(シグマ社)を用いてアクチンタンパク質を検出した。
図8(a)〜(d)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図8(a)はJeKo−1細胞(全細胞)の結果を示し、図8(b)はPanc−1細胞(全細胞)の結果を示し、図8(c)はPanc−1細胞(核画分)の結果を示し、図8(d)はPanc−1細胞(細胞質画分)の結果を示す。
その結果、JeKo−1細胞、Panc−1細胞のいずれにおいても、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後にATRタンパク質の発現量の増加が認められ、24時間後に更に増加が認められ、48時間後には減少が認められた。
また、JeKo−1細胞、Panc−1細胞のいずれにおいても、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後にp53タンパク質の発現量の増加が認められ、48時間後まで発現量の増加が認められた。
また、JeKo−1細胞ではp53のリン酸化が確認されなかったが、Panc−1細胞では3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後にp53のリン酸化が観察された。また、図8(c)及び(d)の結果から、Panc−1細胞の核画分及び細胞質画分のいずれにおいてもリン酸化p53タンパク質が増加したことが明らかとなった。
以上の結果から、JeKo−1細胞、Panc−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、DNA損傷反応が増強され、ATRタンパク質の発現が誘導され、p53タンパク質の細胞内濃度の上昇が認められたことが明らかとなった。更に、Panc−1細胞ではp53のリン酸化が起こり、強いアポトーシス誘導が生じたものと考えられた。
したがって、抗癌剤に耐性を示す膵臓癌由来細胞であるPanc−1細胞を3EZ,20Ac−インゲノール処理することにより、上述した、p21タンパク質の発現によるカスパーゼ3活性化によるアポトーシス誘導だけでなく、ATRタンパク質によるp53の活性化によるアポトーシス誘導も生じることが明らかとなった。
[実験例9]
(ATRに対するsiRNAの検討)
ATRの発現に対する3EZ,20Ac−インゲノール処理の影響を検討した。まず、BALL−1細胞を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で12、24及び48時間培養し、抗ATR抗体(サンタクルーズ社)を用いたウエスタンブロッティングにより、ATRタンパク質の発現量を解析した。3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を対照に用いた。
図9(a)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、BALL−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理の開始後12時間からATRの発現が上昇し、48時間後まで継続したことが明らかとなった。
続いて、ATRに対するsiRNA(「ON−TARGET Plus Human ATR(545) siRNA−SMARTpool」、GE Dharmacon社)を終濃度50nMでBALL−1細胞に導入し、48時間インキュベートした。続いて、細胞の培地を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールを含む新しい培地に交換して12、24及び48時間培養し、抗ATR抗体(サンタクルーズ社)を用いたウエスタンブロッティングにより、ATRタンパク質の発現量を解析した。
対照siRNA(「ON−TARGET Plus Nontargeting pool」、GE Dharmacon社)を導入し、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を対照に用いた。
図9(b)はsiRNAの存在下におけるウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、ATRに対するsiRNAを導入したBALL−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理を行っても、ATRの発現上昇が認められないことが確認された。
[実験例10]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理による細胞増殖阻害におけるATRの影響の検討)
ATR活性が細胞増殖阻害に与える影響を検討した。実験例9と同様にしてBALL−1細胞にATRに対するsiRNAを導入し、48時間インキュベートした。続いて、細胞の培地を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールを含む培地に交換し、48時間培養した。
比較のために、siRNAを導入せず、終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールを含む培地で48時間培養したBALL−1細胞を用いた。また、対照として、対照siRNA(「ON−TARGET Plus Nontargeting pool」、GE Dharmacon社)を導入し、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を用いた。
図10は、MTTアッセイにより細胞増殖を測定した結果を示すグラフである。その結果、ATRのノックダウンにより、細胞増殖阻害が約20%減少したことが明らかとなった。
この結果から、3EZ,20Ac−インゲノールによる細胞増殖阻害がATR依存性であることが明らかとなった。
[実験例11]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理がAktタンパク質のリン酸化に与える影響の検討)
3EZ,20Ac−インゲノール処理がPI3K/Aktシグナル伝達経路に与える影響を検討した。具体的には、BALL−1細胞、TKG0210細胞及びTKG0377細胞を、終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養し、抗p−Akt(Ser473)抗体(セルシグナリングテクノロジー社)を用いたウエスタンブロッティングにより、全細胞、核、細胞質の各画分におけるAktタンパク質の473番目のセリン残基のリン酸化を解析した。また、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を対照に用いた。
図11は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、BALL−1細胞の全細胞破砕物(レーン4)及びTKG0210細胞の全細胞破砕物(レーン5)において、リン酸化Akt(Ser473)(以下、「p−Akt」という場合がある。)の減少が認められた。
また、BALL−1細胞の全細胞破砕物におけるp−Aktの減少はわずかであったが、BALL−1細胞の核画分におけるp−Aktは顕著に減少したことが明らかとなった(レーン4)。これに対し、TKG0210細胞の核画分におけるp−Aktの存在量は、3EZ,20Ac−インゲノール処理を行ってもほとんど変化しなかった。また、TKG0377細胞の核画分におけるp−Aktの存在量は、3EZ,20Ac−インゲノール処理により増加したことが明らかとなった。
また、TKG0210細胞及びTKG0377細胞の細胞質画分におけるp−Aktの存在量は、3EZ,20Ac−インゲノール処理を行ってもほとんど変化しなかった。これに対し、BALL−1細胞の細胞質画分におけるp−Aktの存在量は、3EZ,20Ac−インゲノール処理によりわずかに減少した。
[実験例12]
(BALL−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理がPTEN、p−PTEN及びp−Aktに与える影響の検討)
3EZ,20Ac−インゲノール処理がBALL−1細胞のPTEN、p−PTEN及びp−Aktに与える影響を検討した。まず、BALL−1細胞を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で3、6、12、24、48時間培養し、抗PTEN抗体(サンタクルーズ社)、抗p−PTEN(Ser380/Thr382/383)抗体(サンタクルーズ社)、及び抗p−Akt(Ser473)抗体(セルシグナリングテクノロジー社)を用いたウエスタンブロッティングにより、全細胞画分におけるPTEN、p−PTEN及びp−Aktの存在量を解析した。また、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を対照に用いた。
図12は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、PTENの存在量の上昇が観察された。また、p−PTENの存在量もPTENの存在量の上昇に伴って上昇した。その結果、p−Aktの存在量の下方制御が観察された。
[実験例13]
(JeKo−1細胞、Panc−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理がPTENに与える影響の検討)
3EZ,20Ac−インゲノール処理がJeKo−1細胞、Panc−1細胞におけるPTENの発現に与える影響を検討した。
具体的には、まず、JeKo−1細胞を0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。また、Panc−1細胞を3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。
続いて、抗PTEN抗体(サンタクルーズ社)を用いたウエスタンブロッティングにより、各細胞の、全細胞画分、核画分、細胞質画分におけるPTENタンパク質の存在量を解析した。また、ローディングコントロールとして、抗アクチン抗体(シグマ社)を用いてアクチンタンパク質を検出した。
図13(a)〜(f)は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図13(a)はJeKo−1細胞(全細胞)の結果を示し、図13(b)はPanc−1細胞(全細胞)の結果を示し、図13(c)はJeKo−1細胞(核画分)の結果を示し、図13(d)はJeKo−1細胞(細胞質画分)の結果を示し、図13(e)はPanc−1細胞(核画分)の結果を示し、図13(f)はPanc−1細胞(細胞質画分)の結果を示す。
その結果、JeKo−1細胞、Panc−1細胞のいずれにおいても、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後から全細胞画分でPTENタンパク質の存在量が上昇し、48時間後まで高い発現が観察された。また、JeKo−1細胞、Panc−1細胞のいずれにおいても、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後〜24時間後に核画分におけるPTENタンパク質の存在量の上昇が観察された。また、JeKo−1細胞、Panc−1細胞のいずれにおいても、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後〜24時間後に細胞質画分におけるPTENタンパク質の存在量の上昇が観察されたが、48時間後にはPTENタンパク質の存在量の低下が観察された。
細胞質のPTENはp−Aktを抑制してアポトーシスの誘導に作用し、核内のPTENはERK、サイクリンD1のリン酸化を抑制し、細胞増殖の阻害に作用することが知られている。以上の結果から、3EZ,20Ac−インゲノール処理により上昇したPTENタンパク質は、アポトーシスの誘導及び細胞増殖の阻害の双方に作用していることが明らかとなった。
[実験例14]
(BALL−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理がp−Aktに与える影響の検討)
BALL−1細胞、TKG0210細胞及びTKG0377細胞を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で24、48時間培養し、ウエスタンブロッティングにより、核画分及び細胞質画分におけるp−Aktの存在量を解析した。また、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した各細胞を対照に用いた。
図14(a)はBALL−1細胞のウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、BALL−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理48時間後の細胞質画分において、p−Aktのわずかな減少が観察された。また、3EZ,20Ac−インゲノール処理24時間後の核画分において、p−Aktの中程度の減少が観察され、3EZ,20Ac−インゲノール処理48時間後の核画分において、p−Aktの更なる減少が観察された。
一方、図14(b)はTKG0210細胞及びTKG0377細胞のウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、BALL−1細胞の結果とは異なり、TKG0210細胞及びTKG0377細胞の細胞質画分、核画分では、p−Aktの減少が観察されなかった。
[実験例15]
(JeKo−1細胞、Panc−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理がp−Aktに与える影響の検討)
3EZ,20Ac−インゲノール処理がJeKo−1細胞、Panc−1細胞におけるp−Aktに与える影響を検討した。
具体的には、まず、JeKo−1細胞を0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。また、Panc−1細胞を3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。
続いて、抗Akt抗体(セルシグナリングテクノロジー社)及び抗p−Akt(Ser473)抗体(セルシグナリングテクノロジー社)を用いたウエスタンブロッティングにより、各細胞の、全細胞画分、核画分、細胞質画分における全Aktタンパク質及びp−Aktの存在量を解析した。また、ローディングコントロールとして、抗アクチン抗体(シグマ社)を用いてアクチンタンパク質を検出した。
図15(a)〜(f)は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図15(a)はJeKo−1細胞(全細胞)の結果を示し、図15(b)はPanc−1細胞(全細胞)の結果を示し、図15(c)はJeKo−1細胞(核画分)の結果を示し、図15(d)はJeKo−1細胞(細胞質画分)の結果を示し、図15(e)はPanc−1細胞(核画分)の結果を示し、図15(f)はPanc−1細胞(細胞質画分)の結果を示す。
その結果、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、JeKo−1細胞の全細胞画分ではp−Aktのわずかな減少が観察され、全Aktにはほとんど変化が認められなかった。また、Panc−1細胞の全細胞画分では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後及び24時間後に、p−Akt、全Akt双方の一時的な上昇が認められたが、48時間後には再び減少が観察された。また、JeKo−1細胞の核画分では、3EZ,20Ac−インゲノール処理を行ってもp−Aktの変化が認められなかった。一方、JeKo−1細胞の細胞質画分では3EZ,20Ac−インゲノール処理12〜48時間後にp−Aktの明らかな減少が認められた。また、Panc−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12〜24時間後に核画分、細胞質画分共に、p−Akt、全Akt双方の増加が認められたが、48時間後には減少が観察された。
[実験例16]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理がPTEN及びp−Aktに与える影響の検討)
PTENに対するsiRNAを用いて、3EZ,20Ac−インゲノール処理がPTEN及びp−Aktに与える影響を検討した。まず、BALL−1細胞を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で12、24及び48時間培養し、実験例11と同様のウエスタンブロッティングにより、p−Aktの存在量を解析した。3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を対照に用いた。
図16はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、BALL−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理の開始後24時間でBALL−1細胞におけるp−Aktの存在量が減少したことが明らかとなった。
続いて、PTENに対するsiRNA(「ON−TARGET Plus Human PTEN(5728) siRNA−SMARTpool」、GE Dharmacon社)を終濃度50nMでBALL−1細胞に導入し、48時間インキュベートした。続いて、細胞の培地を新しい培地に交換し、終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下又は非存在下で12、24及び48時間培養し、抗PTEN抗体(サンタクルーズ社)及び抗p−Akt(Ser473)抗体(セルシグナリングテクノロジー社)を用いたウエスタンブロッティングにより、PTENタンパク質及びp−Aktの存在量を解析した。
また、対照siRNA(「ON−TARGET Plus Nontargeting pool」、GE Dharmacon社)を導入し、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を対照に用いた。
図17(a)及び(b)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図17(a)は、PTENに対するsiRNAを導入し、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞の結果である。また、図17(b)は、PTENに対するsiRNAを導入し、3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で培養した細胞の結果である。
ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、図17(a)に示すように、BALL−1細胞にPTENに対するsiRNAを導入し、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞では、12時間培養後以降にPTENの発現の減少が観察された。この結果は、siRNAの導入によりPTENの発現が効果的に抑制されたことを示す。
また、図17(a)に示すように、siRNAの導入によりPTENの発現が抑制されたBALL−1細胞では、p−Aktの存在量が顕著に増加した。この結果は、PTENがBALL−1細胞におけるp−Aktの脱リン酸化を行っていることを示す。
一方、図17(b)に示すように、BALL−1細胞にPTENに対するsiRNAを導入し、終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で培養した細胞では、12時間培養後にPTENの発現の上昇が観察され、24時間及び48時間培養後にPTENの発現は更に上昇した。
また、図17(b)に示すように、siRNAの導入によりPTENの発現を抑制し、3EZ,20Ac−インゲノール処理を行ったBALL−1細胞では、12時間後にp−Aktの存在量の上昇が観察された。しかしながら、24時間後及び48時間後にはp−Aktの存在量の減少が観察された。
以上の結果から、3EZ,20Ac−インゲノールは、PTENを上方制御することによりp−Aktの存在量を下方制御することが明らかとなった。
[実験例17]
(BALL−1細胞、TKG0210細胞及びTKG0377細胞におけるサイクリンD1の発現の検討)
BALL−1細胞、TKG0210細胞及びTKG0377細胞におけるサイクリンD1の発現を検討した。具体的には、抗サイクリンD1抗体(サンタクルーズ社)を用いたウエスタンブロッティングにより、各細胞の全細胞画分におけるサイクリンD1の存在量を解析した。
図18は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、BALL−1細胞がサイクリンD1を過剰発現していることが明らかとなった。一方、TKG0210細胞及びTKG0377細胞では、サイクリンD1の発現は認められなかった。
[実験例18]
(JeKo−1細胞、Panc−1細胞におけるサイクリンD1の発現の検討)
JeKo−1細胞及びPanc−1細胞におけるサイクリンD1の発現を検討した。具体的には、抗サイクリンD1抗体(サンタクルーズ社)を用いたウエスタンブロッティングにより、各細胞の全細胞画分におけるサイクリンD1の存在量を解析した。
図19は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、JeKo−1細胞ではサイクリンD1が過大に過剰発現しており、、Panc−1細胞においてもサイクリンD1が過剰発現していることが明らかとなった。
[実験例19]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理がBALL−1細胞におけるサイクリンD1の発現に与える影響の検討)
3EZ,20Ac−インゲノール処理がBALL−1細胞におけるサイクリンD1の発現に与える影響を検討した。
具体的には、BALL−1細胞を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で12、24、48時間培養し、ウエスタンブロッティングにより、核画分及び細胞質画分におけるサイクリンD1の存在量を解析した。また、3EZ,20Ac−インゲノールの非存在下で培養した細胞を対照に用いた。
図20はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。その結果、対照のBALL−1細胞の核画分には、大量のサイクリンD1が存在していることが明らかとなった。また、3EZ,20Ac−インゲノール処理24時間後の核画分において、サイクリンD1の減少が観察された。
一方、対照のBALL−1細胞の細胞質画分には、サイクリンD1はわずかしか存在していないことが明らかとなった。更に、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後及び24時間後に、細胞質画分におけるサイクリンD1の存在量が増加し、48時間後に再び減少したことが明らかとなった。
この結果は、BALL−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理により、核に存在していたサイクリンD1が細胞質に移行し、細胞質で分解されたことを示す。
[実験例20]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理がJeKo−1細胞、Panc−1細胞におけるサイクリンD1の発現に与える影響の検討)
3EZ,20Ac−インゲノール処理がJeKo−1細胞及びPanc−1細胞におけるサイクリンD1の発現に与える影響を検討した。
具体的には、まず、JeKo−1細胞を0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。また、Panc−1細胞を3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。
続いて、ウエスタンブロッティングにより、各細胞の、全細胞画分、核画分、細胞質画分におけるサイクリンD1の存在量を解析した。
図21(a)〜(f)は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図21(a)はJeKo−1細胞(全細胞)の結果を示し、図21(b)はPanc−1細胞(全細胞)の結果を示し、図21(c)はJeKo−1細胞(核画分)の結果を示し、図21(d)はJeKo−1細胞(細胞質画分)の結果を示し、図21(e)はPanc−1細胞(核画分)の結果を示し、図21(f)はPanc−1細胞(細胞質画分)の結果を示す。
その結果、JeKo−1細胞の全細胞画分では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12〜48時間後にサイクリンD1の発現量の減少が観察された。また、Panc−1細胞の全細胞画分では3EZ,20Ac−インゲノール処理12〜24時間後に一時的にサイクリンD1の発現量が増加し、その後減少することが明らかとなった。
また、JeKo−1細胞の核画分では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12〜48時間後にサイクリンD1の発現量のわずかな減少が観察された。また、対照のJeKo−1細胞の細胞質画分では、サイクリンD1の存在は検出されなかったが、3EZ,20Ac−インゲノール処理12〜48時間後にサイクリンD1の存在量の増加が認められ、その後減少が認められた。
また、Panc−1細胞の核画分では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後に一時的にサイクリンD1の発現量が増加し、24時間後から減少したことが観察された。また、対照のPanc−1細胞の細胞質画分では、サイクリンD1が多く検出されたが、3EZ,20Ac−インゲノール処理12〜48時間後にサイクリンD1の存在量が減少していくことが明らかとなった。
JeKo−1細胞、Panc−1細胞のいずれにおいても、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、最終的には、核画分及び細胞質画分の双方において、サイクリンD1の存在量が減少又は消失することが明らかとなった。
以上の結果から、p−Aktの減少に伴いGSK−3βが活性化されて核のサイクリンD1をリン酸化した結果、サイクリンD1が核から細胞質に移行し、細胞質でプロテアソームにより分解されたと考えられた。マントル細胞リンパ腫及び膵臓癌由来の細胞株は、いずれも、サイクリンD1遺伝子のノックダウンにより、増殖阻害及び細胞死が誘導されることが知られている。このため、JeKo−1細胞、Panc−1細胞においても、サイクリンD1の減少が増殖阻害及び細胞死に影響しているものと考えられた。
[実験例21]
(3EZ,20Ac−インゲノール処理がJeKo−1細胞、Panc−1細胞におけるGSK−3βの活性化に与える影響の検討)
上述したように、JeKo−1細胞及びPanc−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理によりp−Aktが抑制されることが明らかとなった。そこで、p−Aktの下流で、サイクリンD1の分解反応の上流に位置する、サイクリンD1を核から細胞質に移行させるGSK−3βの活性化について検討した。
具体的には、まず、JeKo−1細胞を0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。また、Panc−1細胞を3μMの3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で、0(対照)、12、24及び48時間培養した。
続いて、抗GSK−3β抗体(セルシグナリングテクノロジー社)及び抗p−GSK−3β(Ser)抗体(セルシグナリングテクノロジー社)を用いたウエスタンブロッティングにより、各細胞におけるGSK−3β及びp−GSK−3βの存在量を解析した。また、ローディングコントロールとして、抗アクチン抗体(シグマ社)を用いてアクチンタンパク質を検出した。
図22(a)及び(b)は、ウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。図22(a)はJeKo−1細胞(全細胞)の結果を示し、図22(b)はPanc−1細胞(全細胞)の結果を示す。
その結果、JeKo−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理24時間後からGSK−3βの増加が観察された。また、Panc−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理12時間後からGSK−3βの増加が観察された。そして、JeKo−1細胞、Panc−1細胞の双方において、p−GSK−3β(不活性型)の減少が観察され、GSK−3β(活性型)の増加が観察された。
以上の結果から、BALL−1細胞、JeKo−1細胞、Panc−1細胞の3EZ,20Ac−インゲノール処理により、PTENが活性化され、その結果p−Aktが抑制され、その結果GSK−3βが活性化され、その結果サイクリンD1をリン酸化し、サイクリンD1を核から細胞質に移行させ、サイクリンD1が分解されていることが明らかとなった。
また、Panc−1細胞では、3EZ,20Ac−インゲノール処理後、一時的にサイクリンD1レベルの増加が観察された。これは、Panc−1細胞の核内にサイクリンD1が存在しているため、DNA複製因子が分解されずに残り、サイクリンD1が再複製に利用され、DNA損傷反応の増強が発生していることを示す。3EZ,20Ac−インゲノール処理によるDNA損傷反応の誘導では、この再複製の間サイクリンD1が利用されているため、一時的に増加しているように観察されたものと考えられた。一方、p−GSK−3βの減少とGSK−3βの上昇は時間の経過とともに一貫して観察された。
以上示したように、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、一時的なp−Aktの増加が誘導された。p−Aktとp−GSK−3β(不活性型)の増加は他の化合物の投与によるDNA損傷でも観察されている。p−Aktが抑制されるためには、DNA損傷反応の誘導においてp−Akt抑制に働く、上流のPTENの活性化が必要である。しかしながら、その発現調節とp−Akt抑制機構には不明な点が多い。そのため、DNA損傷反応において、PTENレベルが増加するという報告、減少するという報告、変化なしとの報告があり、またPTENが上昇してもp−Aktが抑制されない場合も報告されている。
従来、酵素阻害型トポイソメラーゼ阻害剤の投与によりPTENが増加するという報告はなく、またp−Aktを抑制するという報告もない。したがって、3EZ,20Ac−インゲノール処理により、PTENが上昇しp−Aktは最終的には(48時間後)減少するか、消滅するという本実験例の結果は、発明者らが初めて明らかにしたものである。また、サイクリンD1の分解に働くGSK−3βは連続的な活性化が観察された。
[実験例22]
(ATR及びPTENのノックダウンがサイクリンD1の分解に与える影響の検討)
ATRに対するsiRNA及びPTENに対するsiRNAを用いて、サイクリンD1の核から細胞質への移行がATR及びPTEN依存的であるか否かを検討した。まず、ATRに対するsiRNA(「ON−TARGET Plus Human ATR(545) siRNA−SMARTpool」、GE Dharmacon社)、PTENに対するsiRNA(「ON−TARGET Plus Human PTEN(5728) siRNA−SMARTpool」、GE Dharmacon社)、及び対照siRNA(「ON−TARGET Plus Nontargeting pool」、GE Dharmacon社)をそれぞれ終濃度50nMでBALL−1細胞に導入し、48時間インキュベートした。
続いて、細胞の培地を終濃度0.5μMの3EZ,20Ac−インゲノールを含む新しい培地に交換して24及び48時間培養した。続いて、抗サイクリンD1抗体(サンタクルーズ社)を用いたウエスタンブロッティングにより、核画分及び細胞質画分におけるサイクリンD1の存在量を解析した。
図23(a)は、ATRに対するsiRNAを導入したBALL−1細胞のウエスタンブロッティングによりサイクリンD1の存在を検出した結果である。また、図23(b)は、PTENに対するsiRNAを導入したBALL−1細胞のウエスタンブロッティングによりサイクリンD1の存在を検出した結果である。ローディングコントロールとしてアクチンタンパク質を検出した。
その結果、ATRに対するsiRNAを導入し3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で24及び48時間培養した細胞、及びPTENに対するsiRNAを導入し3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で24及び48時間培養した細胞の核画分においては、サイクリンD1の存在量が多いことが明らかとなった。
これに対し、対照細胞の細胞質画分ではサイクリンD1の存在量が少なく、ATRに対するsiRNAを導入し3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で24時間培養した細胞、及びPTENに対するsiRNAを導入し3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で24時間培養した細胞では細胞質画分におけるサイクリンD1の存在量が増加し、ATRに対するsiRNAを導入し3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養した細胞、及びPTENに対するsiRNAを導入し3EZ,20Ac−インゲノールの存在下で48時間培養した細胞では再び細胞質画分におけるサイクリンD1の存在量が少なくなったことが明らかとなった。
以上の結果から、ATR又はPTENをノックダウンするとサイクリンD1の核から細胞質への移行が阻害されることが明らかとなった。したがって、サイクリンD1の核から細胞質への移行はATR及びPTEN依存的であることが明らかとなった。また、細胞質におけるサイクリンD1の分解には、ATR又はPTENの影響はないものと考えられる。
[実験例23]
(イリノテカンがJeKo−1細胞、Panc−1細胞の増殖に与える影響の検討)
DNA切断型トポイソメラーゼI阻害剤であり、現在臨床で利用されているイリノテカンが、JeKo−1細胞、Panc−1細胞の増殖に与える影響を検討した。
まず、JeKo−1細胞を、1×10個/ウェル/100μLずつ96ウェルプレートに播種した。続いて、細胞のウェルに、終濃度0(対照)、0.5、1、5、10、20、30μMのイリノテカンを添加し、48時間培養した。また、Panc−1細胞を、3×10個/ウェル/100μLずつ96ウェルプレートに播種した。続いて、細胞のウェルに、終濃度0(対照)、0.5、1、5、10、20、30、50μMのイリノテカンを添加し、48時間培養した。続いて、Cell Proliferation Kit I(ロシュ アプライド サイエンス社)を用いたMTTアッセイにより細胞の増殖を検討した。
図24は、MTTアッセイの結果を示すグラフである。その結果、JeKo−1細胞を1〜20μMのイリノテカンの存在下で培養すると、ほとんど生育した細胞がなくなる程度の増殖阻害が認められた。しかしながら、増殖阻害の程度は3EZ,20Ac−インゲノール処理よりも低かった。一方、Panc−1細胞は0.5〜50μMのイリノテカンの存在下で抵抗性を示し、完全な増殖阻害は確認されなかった。増殖阻害の程度は30〜35%程度であった。
実験例2の結果から、3EZ,20Ac−インゲノールのJeKo−1細胞に対するIC50は0.5μMであると算出された。また、3EZ,20Ac−インゲノールのPanc−1細胞に対するIC50は3μMであると算出された。これに対し、本実験例の結果から、イリノテカンのJeKo−1細胞に対するIC50は5μMであると算出された。また、Panc−1細胞はイリノテカンに対して抵抗性を示した。
細胞におけるサイクリンD1の異常な存在は、化学療法的抗癌剤、放射線療法に対する抗癌作用に抵抗性を示し、予後不良の原因とされている。3EZ,20Ac−インゲノールはこのような性質をもった癌に特異的に作用し、その原因であるサイクリンD1を減少又は消滅させることができた。このことにより、Panc−1細胞でも3EZ,20Ac−インゲノール処理に対し、抵抗性を示すこともなく増殖阻害及びアポトーシスを誘導したものと思われる。
また、サイクリンD1の細胞質における異常な存在は、癌の浸潤、転移にも関係していることが報告されている。3EZ,20Ac−インゲノール処理により、JeKo−1細胞、Panc−1細胞ともに細胞質でもPTENレベルの上昇が確認され、サイクリンD1の減少も観察することができた。
イリノテカンは一種のプロドラッグであり、肝カルボキシルエステラーゼ等により、活性代謝物SN−38に変換されて機能する。カルボキシルエステラーゼの活性には個人差があるが、3EZ,20Ac−インゲノールは代謝を受けて活性化されるものではなく、臨床的に有用であると考えられる。
[実験例24]
(3EZ,20Ac−インゲノールに類似する化合物の検討)
BALL−1細胞に、3EZ,20Ac−インゲノール、3EE,20Ac−インゲノール、20Ac−インゲノール及びインゲノールを0.01、0.05、0.1、0.5、1μMの濃度で48時間暴露した後、MTTアッセイにより細胞の増殖を検討した。対照として薬剤に暴露しなかった細胞を用いた。3EZ,20Ac−インゲノール、3EE,20Ac−インゲノール、20Ac−インゲノールの化学式は上述した通りである。下記式(7)にインゲノールの化学式を示す。
図25は結果を示すグラフである。その結果、3EZ,20Ac−インゲノール及び3EE,20Ac−インゲノールの存在下において、BALL−1細胞の顕著な増殖抑制が認められた。また、20Ac−インゲノールの存在下においても、BALL−1細胞の増殖抑制が認められた。一方、インゲノールはBALL−1細胞の増殖にあまり影響を及ぼさなかった。
本発明によれば、DNA切断を起こさずに、特定の癌に特異的に作用する抗癌剤を提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される化合物を有効成分として含有する、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌用抗癌剤。
    [式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
  2. 請求項1に記載の抗癌剤と薬学的に許容できる担体とを含有する、サイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多い癌用医薬組成物。
  3. 下記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、
    前記癌由来の細胞におけるサイクリンD1タンパク質の存在量を測定することを含み、
    測定されたサイクリンD1タンパク質の存在量が対照よりも多いことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
    [式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
  4. 下記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、
    前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、
    前記細胞における核内から細胞質内へのサイクリンD1タンパク質の移行を測定することと、を含み、
    サイクリンD1タンパク質が核内から細胞質内へ移行したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
    [式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
  5. 下記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、
    前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、
    前記細胞におけるサイクリンD1タンパク質の核内存在量を測定することと、を含み、
    サイクリンD1タンパク質の核内存在量が減少したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
    [式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
  6. 下記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測する方法であって、
    前記化合物の存在下で前記癌由来の細胞を培養することと、
    前記細胞におけるリン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量を測定することと、を含み、
    リン酸化Aktタンパク質の細胞質内又は核内存在量が減少したことが、前記化合物の投与が前記癌の治療に有効であることを示す、方法。
    [式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
  7. サイクリンD1タンパク質に対する特異的結合物質を含む、下記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測するためのキット。
    [式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
  8. リン酸化Aktタンパク質に対する特異的結合物質を含む、下記式(1)で表される化合物の投与が癌の治療に有効であるか否かを予測するためのキット。
    [式(1)中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基又は式RCO−(ここで、Rは、炭素数1〜30の脂肪族基又は炭素数1〜10の芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を表す。)で表される基を表す。]
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