JPWO2018074411A1 - 含窒素化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
CH3C(O)CH=CHN(CH3)2の製造方法として、非特許文献1には、[N(CH3)2CH=NCHN(CH3)2]+・Cl−とナトリウムメトキシドのメタノール溶液とを反応させて得られるN(CH3)2CH=NCH(OCH3)(N(CH3)2)と、CH3C(O)CH3とを反応させる方法が記載されている。
本発明は、入手容易かつ安価な化合物から、工業的に効率よく、光学材料や医農薬原料として有用な含窒素化合物を製造できる、含窒素化合物の製造方法の提供を課題とする。
つまり、本発明者らは、入手容易かつ安価な化合物を用いた、効率がよい経済的な含窒素化合物の製造方法を知見した。
[1] 下式(4)で表される化合物に対して下式(3)で表される化合物の6倍モル超を反応させて、下式(4)で表される化合物と下式(3)で表される化合物との反応混合物を得て、該反応混合物と下式(2)で表される化合物とを塩基性化合物を用いて反応させて下式(1)で表される化合物を得る、下式(1)で表される化合物の製造方法。
式(2) R3C(O)CH3
式(1) R3C(O)CH=CHNR1R2
式中、Xは、ハロゲン原子を示し、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。
[2] 上記反応混合物を、上記式(4)で表される化合物に対して上記式(3)で表される化合物の8〜40倍モルを反応させて得る、[1]に記載の製造方法。
[3] 上記反応混合物と塩基性化合物を混合して混合物を得て、該混合物と上記式(2)で表される化合物とを混合して、上記反応混合物と上記式(2)で表される化合物とを反応させる、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] エーテルの存在下で、上記式(4)で表される化合物と上記式(3)で表される化合物の反応混合物を得る、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 上記塩基性化合物がアルカリ金属のアルコキシドである、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 上記アルカリ金属のアルコキシドが、固体状のアルカリ金属のアルコキシドである、[5]に記載の製造方法。
[7] 上記式(2)で表される化合物の使用量が上記式(4)で表される化合物に対して3倍モル超20倍モル以下であり、上記反応混合物と上記式(2)で表される化合物とを塩基性化合物を用いて反応させる際の反応温度が40℃超である、[5]または[6]に記載の製造方法。
[8] 上記式(2)で表される化合物の使用量が上記式(4)で表される化合物に対して、12倍モル超であり、上記反応混合物と上記式(2)で表される化合物とを塩基性化合物を用いて反応させる際の反応温度が上記式(2)で表される化合物の沸点以下である、[5]または[6]に記載の製造方法。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載された製造方法により、上記式(1)で表される化合物を含む反応物を得て、つぎに該反応物から、留去操作によって、該反応物に含まれる低沸点化合物を低減または除去して粗精製物を得て、つぎに該粗精製物を蒸留して精製された上記式(1)で表される化合物を得る、上記式(1)で表される化合物の製造方法。
[10] 上記反応物から、70℃未満にて留去操作によって、上記反応物に含まれる低沸点化合物を低減または除去して粗精製物を得る、[9]に記載の製造方法。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載された製造方法により上記式(1)で表される化合物を得て、該式(1)で表される化合物と下式(5)で表される化合物とを反応させて下式(6)で表される化合物を得て、該式(6)で表される化合物と下式(7)で表される化合物とを反応させる下式(8)で表される化合物の製造方法。
式(5) RFC(O)Z
式(7) R4NHNH2
本発明は、下記化合物(4)に対して下記化合物(3)の6倍モル超を反応させて、下記化合物(4)と下記化合物(3)との反応混合物を得て、該反応混合物と下記化合物(2)とを塩基性化合物を用いて反応させる下記化合物(1)の製造方法を提供する。本明細書において、化合物(1)は「含窒素化合物」であり、ケトエナミンとも称される化合物である。
式(2) R3C(O)CH3
式(1) R3C(O)CH=CHNR1R2
Xは、ハロゲン原子を示し、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
R1およびR2における炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R1およびR2は、同一であってもよく、異なっていてもよく、同一であるのが好ましく、同一でありメチル基であるのがより好ましい。つまり、化合物(3)は、ジメチルホルムアミドが好ましい。
R3における炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、n−プロピル基、iso−プロピル基、エチル基またはメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。つまり、化合物(2)は、アセトンが好ましい。
反応混合物は、脱炭酸を伴う化合物(4)と化合物(3)の反応により形成される、式[NR1R2CH=NCH=NR1R2]+・X−で表される塩(ただし、R1、R2およびX−は、上記と同じ意味を示す。以下同様。)を含むと考えられる。塩の形成反応における化学量論は、化合物(4)に対して化合物(3)の6倍モルである。
本発明においては、化合物(4)に対して化合物(3)の6倍モル超、つまり、化学量論を超える量の化合物(3)を使用して反応混合物を調製する。よって、本発明における反応混合物には化学量論を超える分の化合物(3)が含まれる。本発明者らは、化学量論を超える分の化合物(3)が溶媒として上記塩の溶液化(好ましくは均一溶液化)を促進する点と、かかる溶液状態にある反応混合物および化合物(2)の反応においてケトエナミンとも言える窒素化合物である化合物(1)が効率よく得られる点とを知見したのである。
反応において、化合物(2)の使用量は、反応混合物の調製に使用した化合物(4)の物質量を基準として、3倍モル以上が好ましく、3倍モル超がより好ましい。使用量の上限は特に限定されず、100倍モル以下が好ましく、20倍モル以下がより好ましい。この範囲において、化合物(1)が効率よく高収率に得られやすい。
塩基性化合物は、化合物(3)のR1およびR2を活性化する化合物であれば、特に限定されず、アルカリ金属のアルコキシド、3級アミン、またはアルカリ金属水素化物が好ましく、アルカリ金属のアルコキシドがより好ましい。
3級アミンとしては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基をもつトリアルキルアミン、イミダゾール、ピリジン、2,6−ルチジン、s−コリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジンが挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基をもつトリアルキルアミンが好ましく、トリエチルアミン、トリブチルアミンまたはエチルジイソプロピルアミンがより好ましく、トリエチルアミンがさらに好ましい。
アルカリ金属水素化物は、LiAlH4、NaBH4、NaH、またはLiN(CH(CH3)2)2が好ましい。
該態様において、塩基性化合物は、上記したアルカリ金属のアルコキシドが好ましい。
塩基性化合物がアルカリ金属のアルコキシドである場合、化合物(2)の使用量は、反応混合物の調製に使用した化合物(4)の物質量を基準として、3倍モル超20倍モル以下(好ましくは4〜12倍モル)とするか、または、12倍モル超(好ましくは16〜100倍モル、より好ましくは24〜72倍モル)とするのが好ましい。
化合物(2)の使用量が前者の範囲にある場合、反応混合物に含まれる上記化合物(4)と化合物(3)の反応により形成される塩に対して化合物(2)が過剰であり、かつ、上記塩、化合物(2)およびアルコキシドが高度に相溶するため、反応活性が高まり、化合物(1)が効率よく高収率に得られやすい。この範囲にある場合、反応混合物と化合物(2)との反応における反応温度は、40℃超が好ましく、60℃以上がより好ましい。上記反応温度は、200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。
化合物(2)の使用量が後者の範囲にある場合、大過剰に含まれる化合物(2)が、極性溶媒として、上記塩とアルカリ金属のアルコキシドとの相溶を促し、反応活性を高めるため、化合物(1)が効率よく高収率に得られやすい。反応混合物と化合物(2)の反応における反応温度は、化合物(2)の沸点以下が好ましく、−30℃以上60℃未満がより好ましく、−30〜+40℃がさらに好ましい。
なお、上記したとおり、アルカリ金属のアルコキシドは、固体状のアルカリ金属のアルコキシドそれ自体を使用するのが好ましい。その理由は必ずしも明確ではないが、固体状のアルカリ金属のアルコキシドそれ自体を使用する場合、そのアルコール溶液を使用する場合に比較して、アルコールの存在によって誘引される、反応混合物とアルカリ金属のアルコキシドから形成される上記するアミノアセタールの分解が抑制されるためと考えられる。
なお、アルジミンは、本製造方法において副生する水と反応し、化合物(3)に変換されていてもよい。
留去操作における圧力は、特に限定されず、効率よく留去を進行させる観点から、通常は減圧条件にて実施される。
具体的には、本発明の製造方法により化合物(1)を得て、該化合物(1)と下記化合物(5)とを反応させて下記化合物(6)を得て、該化合物(6)と下記化合物(7)とを反応させることにより、下記化合物(8)を製造できる。
式(5) RFC(O)Z
式(7) R4NHNH2
RFは、炭素数1〜3のハロアルキル基を示し、ジフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基またはトリクロロメチル基が好ましく、ジフルオロメチル基がより好ましい。
R1〜R3は、前記と同じ意味を示し、その好適な範囲も同様である。
R4は、炭素数1〜3のアルキル基を示し、n−プロピル基、iso−プロピル基、エチル基またはメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
化合物(8)を酸化することにより、医農薬原料として有用な高純度な、3−ハロアルキル−1−アルキル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(特に、3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸)を容易に製造できる。
[例1]
空気雰囲気下、フラスコに、塩化シアヌル(38.4g)、ジメチルホルムアミド(198g)を入れ、フラスコ内温60℃にてフラスコ内を2時間撹拌して、反応混合物が得られる。つぎに、フラスコ内温を40℃に保持し、フラスコ内を撹拌しながら、フラスコにナトリウムメトキシド(33.8g)とメタノール(276g)を混合したナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、そのまま1時間保持する。つぎに、フラスコ内温を25℃に保持し、フラスコ内を撹拌しながら、フラスコにアセトン(36.3g)を入れ、そのまま18時間反応させる。
フラスコ内容物を分析した結果、CH3C(O)CH=CHN(CH3)2(以下、化合物(11)とも記す。)が、塩化シアヌルを基準として収率68%で生成していることが確認される。フラスコ内容物を濾過して濾液を回収して、CH3C(O)CH=CHN(CH3)2を含む反応液が得られる。
各成分の仕込み量、および、別の有機溶媒の使用有無を変更する以外は、例1と同様の手順に従い、化合物(11)の合成を行った結果を、表1にまとめて示す。表1における別の有機溶媒としては、例3および4はテトラヒドロランを用い、例5はイソプロピルアルコールを用いる。
例1で得られた反応液から、温度20〜30℃、圧力10〜30Paの条件にて減圧留去操作によって、反応液中の低沸点化合物を除去して粗精製物を得る。粗精製物をさらに減圧蒸留して、留分として純度99%超の化合物(11)が、蒸留収率として93%、塩化シアヌルを基準とした収率として63%で得られる。
例1で得られた反応液から、温度70〜90℃、圧力12000〜20000Paの条件にて減圧留去操作によって、反応液中の低沸点化合物を除去して粗精製物を得る。粗精製物をさらに減圧蒸留して、留分として純度99%超の化合物(11)が、蒸留収率として74%、塩化シアヌルを基準とした収率として収率50%で得られる。
空気雰囲気下、フラスコに、塩化シアヌル(12.8g)、ジメチルホルムアミド(182g)を入れ、フラスコ内温60℃にてフラスコ内を2時間撹拌して、反応混合物が得られる。つぎに、フラスコ内温を25℃に保持し、フラスコ内を撹拌しながら、フラスコにナトリウムメトキシド(11.4g)を加え、そのまま2時間保持する。つぎに、フラスコ内温を25℃に保持し、フラスコ内を撹拌しながら、フラスコにアセトン(150g)を入れ、そのまま25℃にて5時間反応させる。
フラスコ内容物を分析した結果、化合物(11)が、塩化シアヌルを基準として収率99%で生成していることが確認される。フラスコ内容物を濾過して濾液を回収して、化合物(11)を含む反応液が得られる。
ナトリウムメトキシドの使用態様(単体またはメタノール溶液)、アセトンの使用量、及び、アセトンを入れた後の反応温度を変更する以外は、例9と同様の手順に従い、化合物(11)の合成を行った結果を、表2にまとめて示す。
なお、表中の「単体」とは、固体状のナトリウムメトキシドをそのままフラスコに添加したことを意味する。
窒素雰囲気下の反応器に、例9で得られた化合物(11)とトリエチルアミンと塩化メチレンを入れ、溶液を調製する。つぎに、室温にて、反応器内を撹拌しながら、反応器にCHF2C(O)Fをガス状で導入して反応させる。反応後、反応器を氷冷しながら、反応器に水を加え、下記化合物(61)を含む第1有機相を回収する。
つぎに、窒素雰囲気下の反応器に、40%メチルヒドラジン水溶液と塩化メチレンを入れ、溶液を調製する。つぎに、−20℃にて、反応器内を撹拌しながら、反応器に第1有機相を導入して反応させる。反応後、反応器に水を加えて、第2有機相を回収する。第2有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧留去して下記化合物(81)が得られる。
Claims (11)
- 下式(4)で表される化合物に対して下式(3)で表される化合物の6倍モル超を反応させて、下式(4)で表される化合物と下式(3)で表される化合物との反応混合物を得て、該反応混合物と下式(2)で表される化合物とを塩基性化合物を用いて反応させて下式(1)で表される化合物を得る、下式(1)で表される化合物の製造方法。
式(2) R3C(O)CH3
式(1) R3C(O)CH=CHNR1R2
式中、Xは、ハロゲン原子を示し、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。 - 前記反応混合物を、前記式(4)で表される化合物に対して前記式(3)で表される化合物の8〜40倍モルを反応させて得る、請求項1に記載の製造方法。
- 前記反応混合物と塩基性化合物を混合して混合物を得て、該混合物と前記式(2)で表される化合物とを混合して、前記反応混合物と前記式(2)で表される化合物とを反応させる、請求項1または2に記載の製造方法。
- エーテルの存在下で、前記式(4)で表される化合物と前記式(3)で表される化合物の反応混合物を得る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記塩基性化合物がアルカリ金属のアルコキシドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記アルカリ金属のアルコキシドが、固体状のアルカリ金属のアルコキシドである、請求項5に記載の製造方法。
- 前記式(2)で表される化合物の使用量が前記式(4)で表される化合物に対して3倍モル超20倍モル以下であり、前記反応混合物と前記式(2)で表される化合物とを塩基性化合物を用いて反応させる際の反応温度が40℃超である、請求項5または6に記載の製造方法。
- 前記式(2)で表される化合物の使用量が前記式(4)で表される化合物に対して、12倍モル超であり、前記反応混合物と前記式(2)で表される化合物とを塩基性化合物を用いて反応させる際の反応温度が前記式(2)で表される化合物の沸点以下である、請求項5または6に記載の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載された製造方法により、前記式(1)で表される化合物を含む反応物を得て、つぎに該反応物から、留去操作によって、該反応物に含まれる低沸点化合物を低減または除去して粗精製物を得て、つぎに該粗精製物を蒸留して精製された前記式(1)で表される化合物を得る、前記式(1)で表される化合物の製造方法。
- 前記反応物から、70℃未満にて留去操作によって、前記反応物に含まれる低沸点化合物を低減または除去して粗精製物を得る、請求項9に記載の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載された製造方法により前記式(1)で表される化合物を得て、該式(1)で表される化合物と下式(5)で表される化合物とを反応させて下式(6)で表される化合物を得て、該式(6)で表される化合物と下式(7)で表される化合物とを反応させる下記式(8)で表される化合物の製造方法。
式(5) RFC(O)Z
式(7) R4NHNH2
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