JPWO2018066158A1 - 金属酸化物触媒およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、プロパンの酸化反応またはアンモ酸化において、高い反応収率を発現して、且つ、反応における経時的な触媒収率の低下を最小限に抑える金属酸化物触媒を提供することである。本発明の金属酸化物触媒は、下記組成式(1)で表される金属酸化物の表面に、ケイ素、リン、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ビスマス、テルルおよびタリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からなる表面改質剤が付着してなり、加速劣化試験による吸光度の割合変化率が13%以下である。組成式(1):MoViAjBkOn式中、AはTeまたはSbであり、BはNbまたはTaであり、iおよびjは各々0.01〜1.5であり、j/i=0.3〜1.0であり、kは0.001〜3.0であり、nは他の元素の酸化状態によって決定される数である。

Description

本発明は、プロパンまたはプロピレンの気相接触酸化またはアンモ酸化によるアクリル酸またはアクリロニトリルの製造に好適に用いる金属酸化物触媒およびその製造方法に関する。
アクリル酸は塗料、接着剤、可塑剤、改質剤、凝集剤および紙おむつに使われる吸水性樹脂等の原料として幅広く使用されている。
アクリル酸は、Mo−Bi系触媒の存在下に約400℃でプロピレンと酸素を接触酸化反応させてアクロレインを製造し、次いで、Mo−V系触媒の存在下に約300℃でアクロレインと酸素を接触酸化反応させて製造される。
近年、シェールガスの産出に伴い、随伴ガスとしてのプロパンの生産量が増加して、その有効利用が求められている。この様な背景もあり、プロパンを酸素と接触反応させる一段酸化反応によってアクリル酸を製造する方法が注目されている。
当該法において使用される触媒は多数提案されているが、その代表例として、〔Mo、Te、V、Nb〕系および〔Mo、Sb、V、Nb〕系等の金属酸化物触媒が知られている(特許文献1、特許文献2)。
また、アクリル酸の選択率を向上させるために、前記〔Mo、Te、V、Nb〕系金属酸化物にケイ素化合物またはゲルマニウム化合物を付着させる方法が開示されている(特許文献3)。
一方、〔Mo、Te、V、Nb〕系金属酸化物触媒を長時間の反応に用いると、テルルの飛散が起こり、反応活性が経時的に劣化する問題点が開示され、この問題を解決するために、一定の時間経過の後に、触媒劣化の程度を確認の上、反応器の出口と入口を逆にして、反応ガスの流れを変え、それによって触媒の性能低下の程度が軽減されることが開示されている。また、定期的にテルルを反応器に供給し、触媒の劣化を緩和させることが開示されている(特許文献4)。
特開平7−010801号公報 特開平10−036311号公報 特許第4539655号公報 国際公開第2013/048646号
前記先行技術文献によると、プロパンの一段酸化反応において、アクリル酸の選択率を高くするために、反応ガス中のプロパンに対する水蒸気の割合を多くすることが知られており、具体的にはプロパン1モル当たり水蒸気8.0モル以上という割合が用いられている。
しかしながら、水蒸気の使用割合が多い条件であると、精留工程や廃水処理工程に多額の費用が必要となるため、アクリル酸の製造コストが高くなるという問題がある。
また、触媒粉末を担体に担持させた状態での反応性に関する評価がなく、プロパンの一段酸化反応における触媒に関する技術が確立されたと言えない。
一方、触媒の寿命に関して、従来の技術では、触媒の経時的な性能低下を緩和するために、反応設備の流路を変え、劣化程度の緩い部分の触媒を効率的に利用する方法が開示されているが(特許文献4)、設備の流路の変更は、設備の複雑化を伴い、実用的な製造方法とは言えない。
本発明の課題は、プロパンの酸化反応またはアンモ酸化において、高い反応収率を発現して、かつ、反応における経時的な触媒収率の低下を最小限に抑える金属酸化物触媒を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、〔Mo、Te、V〕系金属酸化物または〔Mo、Sb、V〕系金属酸化物の表面酸性質の影響および加速劣化試験の方法を鋭意検討した結果、特定な表面改質剤が金属酸化物表面に付着することで、加速劣化試験前後の吸光度の割合変化率が13%以下である金属酸化物触媒が得られ、この金属酸化物触媒が、アクリル酸またはアクリロニトリルの収率が高く、併せて強い劣化耐性を持つ触媒であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明における第1発明は、下記組成式(1)で表される金属酸化物の表面に、ケイ素、リン、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ビスマス、テルルおよびタリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からなる表面改質剤が付着してなり、下記加速劣化試験による吸光度の割合変化率が13%以下である金属酸化物触媒である。
組成式(1):MoV
式中、AはTeまたはSbであり、BはNbまたはTaであり、iおよびjは各々0.01〜1.5であり、j/i=0.3〜1.0であり、kは0.001〜3.0であり、nは他の元素の酸化状態によって決定される数である。
加速劣化試験
前記金属酸化物触媒の粉末を、粒径2.6mmの球状アルミナの担持体に58.1質量%の担持率で担持させた後、得られた担持物2.4gを内径18mmのガラス管に充填し、プロパン0.14ml/min、水蒸気20.1ml/minおよび窒素28.0ml/minの混合ガス流通下で、400℃で3時間処理する。
処理前後において、赤外分光法で測定された波数が400〜1,100cm−1範囲の全吸光ピークの波形面積に対する、波数が879cm−1(±5cm−1)の吸光ピークの強度を示す波形面積の割合を測定し、この面積割合の変化率を吸光度の割合変化率とする。
本発明における第2発明は、表面改質剤がケイ素、リンおよびホウ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からなる表面改質剤である第1発明に記載の金属酸化物触媒である。
本発明における第3発明は、下記工程(1)、下記工程(2)および下記工程(3)を含む第1発明または第2発明に記載の金属酸化物触媒の製造方法である。
工程(1):Mo、V、金属Aおよび金属Bを含む水性分散液を乾固させ、得られた固形分を焼成することにより前記組成式(1)で表される金属酸化物を得る工程。
工程(2):前記工程(1)で得られた金属酸化物を粉砕して金属酸化物粉体を得る工程。
工程(3):前記工程(2)で得られた金属酸化物粉体に、表面改質剤を付着させる工程。
本発明における第4発明は、さらに、下記工程(4)および下記工程(5)を少なくとも1回ずつ行う第3発明に記載の金属酸化物触媒の製造方法である。
工程(4):前記工程(3)で得られた金属酸化物粉体を解砕処理して、平均粒径が20〜500μm(特許請求の範囲に統一)の範囲である金属酸化物粉体を得る工程。
工程(5):前記工程(4)で得られた金属酸化物粉体に、表面改質剤を付着させる工程。
本発明における第5発明は、得られた金属酸化物触媒を、担持体に担持して、乾燥させた後、有機溶剤共存下で表面改質剤と接触させて金属酸化物の担持体の表面に表面改質層を形成させる操作を、少なくとも1回行う第3発明または第4発明に記載の金属酸化物触媒の製造方法である。
本発明における第6発明は、第1発明または第2発明に記載の金属酸化物触媒の存在下で、プロパンまたはプロピレンを、気相接触酸化またはアンモ酸化させるアクリル酸またはアクリロニトリルの製造方法である。
本発明の金属酸化物触媒は、プロパンまたはプロピレンの気相接触酸化またはアンモ酸化に使用すれば、アクリル酸またはアクリロニトリルの収率が高く、かつ、経時耐性に優れた触媒特性を発現する。
比較例1で使用した金属酸化物触媒の加速劣化試験前の赤外分光法のスペクトルおよび波形分離の結果を示す。 比較例1で使用した金属酸化物触媒の加速劣化試験後の赤外分光法のスペクトルおよび波形分離の結果を示す。 実施例8で使用した金属酸化物触媒の加速劣化試験前の赤外分光法のスペクトルおよび波形分離の結果を示す。 実施例8で使用した金属酸化物触媒の加速劣化試験後の赤外分光法のスペクトルおよび波形分離の結果を示す。
本発明における金属酸化物触媒およびその製造方法について説明する。
前記組成式(1)MoVで表される金属酸化物の製造について、Mo、Vおよび金属Aを含む水性液を製造し、得られた水性液に金属Bを添加することにより、Mo、V、金属Aおよび金属Bを含む水性液が得られる。
Mo、Vおよび金属Aを含む水性液の製造に際しては、Mo化合物およびV化合物を水性媒体中で混合し、得られる混合液を撹拌下に加熱する。その後、金属A化合物を添加することにより、Mo、Vおよび金属Aを含む水溶液が得られる。
前記混合液の好ましい加熱温度は40℃以上であり、さらに好ましくは40℃〜100℃である。加熱時間としては1〜10時間が好ましく、さらに好ましくは2〜5時間である。
前記Mo化合物としては、モリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデンおよびモリブデン酸等が挙げられる。これら化合物の中でも水溶性である点でモリブデン酸アンモニウムが好ましい。
前記V化合物としては、メタバナジン酸アンモンニウムおよび五酸化バナジウム等が好ましい。
Mo化合物、V化合物および金属A化合物の添加量は、Moに対するVおよび金属Aの原子比(iおよびj)がそれぞれ0.01〜1.5であり、かつVに対する金属Aの原子比(j/i)が0.3〜1.0である。Mo、V、金属Aの配合割合が上記範囲を外れると、高い触媒性能を有する金属酸化物は得られない。
金属AはTeまたはSbであり、Te化合物としては金属テルル、二酸化テルル、オルトテルル酸、メタテルル酸およびテルル酸アンモニウム等が挙げられる。
金属テルルは、予め湿式粉砕したもの、ならびに二酸化テルルおよびテルル酸を水性媒体中で還元剤によって還元されて得られる5.0μm以下の粒子のものが好ましい。また、Sb化合物としては、金属アンチモンおよび三酸化アンチモンが好ましい。
金属A化合物の添加の際に、アンモニア水を添加することが、得られる金属酸化物の性能の点で好ましい。アンモニア水および金属A化合物の液温に関しては特に制限がない。アンモニア水の添加量は、金属Aに対してアンモニアがモル比で0.4以上が好ましく、0.8〜4.0がより好ましい。0.4以上であると添加する効果が十分得られ、4.0以下であると廃ガスの処理におけるコストが抑制される。
上記の操作によって得られる反応液に、金属B化合物を添加することにより、Mo、V、金属Aおよび金属Bを含む水性液が得られる。
金属BはNbまたはTaであり、金属B化合物としては酸化物、硝酸塩、カルボン酸塩、オキソ酸塩および蓚酸塩等が例示される。不溶性の金属B化合物は水に分散させて使用しても良いが、蓚酸等を併用することにより水に溶解させることができる。なお、得られる金属Bを含む水溶液には、さらに過酸化水素を加えることより金属Bの錯塩が形成され、混合の際に、MoおよびV化合物との反応がより均一に進み、金属酸化物形成の前段階である前駆体の形成に好ましい。
金属B化合物の添加量は、金属酸化物中における金属の原子比で、Moを1としたとき、金属Bが0.001〜3.0となる量である。金属Bの割合が0.001未満であると、触媒の劣化が起こり易く、一方、3.0を越えると触媒の活性が低くなり、プロパンの反応率が低下する。
金属B化合物の添加の際に、アンモニア水を添加することが、得られる金属酸化物の性能の点で好ましい。
アンモニア水の添加量は、金属Bに対してアンモニアがモル比で0.4以上が好ましく、0.8〜3.0がより好ましい。0.4以上であると効果が十分得られ、3.0以下であると廃ガスの処理におけるコストが抑制される。
アンモニア水および金属B化合物を添加して得られる微細な沈澱の分散液に、さらに硝酸または硝酸アンモニウムを添加することが好ましい。硝酸または硝酸アンモニウムの添加量は、硝酸イオンが金属Bに対するモル比で2.0〜6.0となる量が好ましく、さらに好ましくは2.2〜4.0となる量である。上記範囲であると、得られる金属酸化物の性能がより向上する。
上記で得られた通常スラリー状である水性液を、加熱して水分を蒸発させて乾燥させる。乾燥には、棚段式乾燥機およびスプレードライ等が利用できる。
得られた乾燥物は好ましくは500μm以下に解砕した後、酸素の存在下、加熱温度が好ましくは250℃〜380℃、より好ましくは280℃〜360℃の温度で、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜3時間の加熱時間で一段目の焼成を行う。
前記一段目の焼成により得られる固体を、窒素流通下で焼成を行う。焼成温度は480℃〜640℃が好ましく、さらに好ましくは570℃〜620℃であり、焼成時間は0.1〜5時間が好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.5時間である。焼成には、シャトルキルン、ローラーハスキルンおよびロータリーキルン等が利用できる。
上記で得られた金属酸化物固体を、平均粒径が0.01〜0.4μm、より好ましくは0.05〜0.3μmの範囲となるように粉砕するのが好ましい。
粉砕には湿式または乾式のボールミル、ジェットミル等が利用できる。湿式ボールミルの分散媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび1−ブタノール等の各種アルコールに、シュウ酸を加えたものが使用できる。
ボールミル粉砕後には、金属酸化物を分離および水洗浄した後に乾燥する。分離および洗浄には、ろ過や遠心分離等が、乾燥には棚段式乾燥機やロータリーキルン等が利用できる。
次いで、粉砕後の金属酸化物を、シュウ酸水溶液にて洗浄することが好ましい。具体的には、適当な容器にシュウ酸水溶液と金属酸化物を加えて撹拌する。使用するシュウ酸水溶液の濃度は0.5〜5.0質量%が好ましく、液量は金属酸化物の1.0〜5.0質量倍とするのが好ましい。撹拌時間は0.5〜5.0時間であることが好ましい。
シュウ酸水溶液での洗浄後、金属酸化物は水溶液と分離し、水洗浄した後に乾燥する。分離および洗浄にはろ過および遠心分離等が、乾燥には棚段式乾燥機およびロータリーキルン等が利用できる。
上記操作で得られた金属酸化物をそのまま触媒として使用してアクリル酸またはアクリロニトリルを製造することも可能であるが、金属酸化物の表面に強い酸性質の部分が存在するため、副反応が起こり、また、触媒が過剰還元を受け易く、触媒として経時安定性が十分ではない。この場合、酸性質を規定するパラメーターとして酸量と、B酸(ブランステッド酸)とL酸(ルイス酸)との割合が重要である(下記参考文献1を参照)。
参考文献1
Ricardo Lopez-Medinaa, b, Izabela Sobczakb, Hanna Golinska-Mazwab, Maria Ziolekb, Miguel A. Banaresa, M. Olga Guerrero-Perezc, Catalysis Today, Volume 187, Issue 1, 30 June 2012, Pages 195-200
酸性質の特徴を測定する方法としては、アンモニアTPD(プログラム昇温脱離法)、ピリジン吸着脱離法およびジメチルピリジン吸着脱離法が有効である(下記参考文献2を参照)。
特にジメチルピリジン吸着脱離法では、酸量のみでなく、B酸とL酸との割合を測ることが可能である。
参考文献2
A. Satsuma, Y. Kamiya, Y. Westi, T. Hattori, Appl. Catal. A:Gen., 194, 253 (2000).
表面の酸性質を調整する方法としてケイ素、リン、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ビスマス、テルルおよびタリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からなる表面改質剤により、金属酸化物の表面に表面改質をする方法が挙げられる。表面改質剤における金属元素は、モル比でMoを1に対して0.001〜0.5の範囲で添加することが好ましく、さらに好ましくは0.002〜0.2の範囲で添加することである。
上記金属元素の添加量が0.001以上であると、アクリル酸またはアクリロニトリルの選択率が向上し、下記加速劣化試験による吸光度の割合変化率が13%以下に容易にすることができる。
一方、金属元素の添加量が0.5以下であると、触媒活性が高く、アクリル酸またはアクリロニトリルの収率が向上する。
前記表面改質により酸量と、B酸およびL酸との割合が適度に変わり、下記に示す加速劣化試験の処理前後における吸光度の割合変化率が13%以下となり、触媒性能のみでなく、触媒の経時安定性も向上する。
加速劣化試験
前記金属酸化物触媒の粉末を、粒径2.6mmの球状アルミナの担持体に58.1質量%の担持率で担持させた後、得られた担持物2.4gを内径18mmのガラス管に充填し、プロパン0.14ml/min、水蒸気20.1ml/minおよび窒素28.0ml/minの混合ガス流通下で、400℃で3時間処理する。
処理前後において、赤外分光法で測定された波数が400〜1,100cm−1範囲の全吸光ピークの波形面積に対する、波数が879cm−1(±5cm−1)の吸光ピークの強度を示す波形面積の割合を測定し、この面積割合の変化率を測定する。
赤外分光法での測定は、例えば、FTIR(フ−リエ変換赤外分光法)のKBr錠剤法で行うことができる。また、879cm−1(±5cm−1)の吸光ピークを含む各吸光ピークの吸光度は、全スペクトルを下記ガウス関数の式(2)に従い、波形分離させた上でのピークの面積を指す。カーブフィティングにおいて、かかる総平均偏差dを式(3)で定め、好ましくは0.04以下、より好ましくは0.03以下である。総平均偏差が0.04以下であると、得られた吸光ピークの面積値の誤差が小さく、状態の限定に適切である。
次に、金属酸化物の表面に表面改質剤を付着させる方法について説明する。
本発明におけるケイ素、リン、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ビスマス、ホウ素、テルルおよびタリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からなる表面改質剤は、その化合物と金属酸化物の表面水酸基との反応により、または通常の含浸法およびイオン交換法により、前記組成式(1)で表される金属酸化物の表面に改質層として付着することができる。
金属元素がケイ素、リンまたはホウ素の場合、水不存在の雰囲気でケイ素化合物、リン酸化合物またはホウ素の化合物を用いて付着させる。
本発明における付着とは、ケイ素を例に具体的に記述すると、下記の反応式(1)で表わすように、改質成分が金属酸化物の表面の水酸基との反応により表面に点在するまたは面を覆う、これらのいずれかの形で存在させることを意味する。具体的には、金属酸化物が結晶の焼結体で存在するため、結晶の焼結体の表面に主として存在させることを意味する。
以下、ケイ素化合物を例に付着方法について記載する。
付着方法として、ケイ素化合物を気化させて、その蒸気と金属酸化物を接触させても良く、あるいはケイ素化合物を溶解した無水の有機溶剤にケイ素酸化物を浸した後に有機溶剤を蒸散させても良い。
かかるケイ素化合物の付着に用いられる金属酸化物の形状としては、粉末でも担持品でもよい。より好ましくは、粉末の状態の付着と、担体に担持させた担持品の付着を併用することである。
ケイ素化合物としては、四塩化ケイ素、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシロキサン、メチルシリケート51(テトラメトキシシランの4量体)およびエチルシリケート40(テトラエトキシシランの5量体)等が挙げられる。これらの中でも、反応が温和に進み制御しやすい理由で、テトラエトキシシラン、メチルシリケート51(テトラメトキシシランの4量体)およびエチルシリケート40(テトラエトキシシランの5量体)が特に好ましい。
ケイ素化合物を付着させる際には、事前に金属酸化物の脱水処理を行うことが好ましい。脱水する場合の温度は、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは70℃〜250℃である。脱水温度が50℃以下であると脱水効果が十分得られ、300℃以下であると金属酸化物触媒の表面性質が変化せず、ケイ素化合物の付着が容易である。
ケイ素化合物の蒸気を金属酸化物に付着させる場合、水不存在の雰囲気においてかかる付着ができる方法であれば、従来公知の方法がすべて採用できる。簡便な方法としては、液体のケイ素化合物に脱水した不活性ガス(以下、キャリャーガスということがある)を通過させることにより、蒸気圧分のケイ素化合物の蒸気を含むガス気流を発生し、それを前記金属酸化物と接触させる方法である。
上記の方法においてケイ素化合物の蒸気圧は、雰囲気の温度、圧力に依存するため、該蒸気圧を上げる目的でケイ素化合物の温度を上げても良い。
キャリヤーガスの流速は、1.0〜1,000ml/minが好ましい。キャリヤーガス流速とケイ素化合物の蒸気圧を調整することにより、ケイ素化合物の蒸気濃度として、好ましくは0.1〜10,000ppm、さらに好ましくは1〜1,000ppmの混合気体を形成させることが好ましい。
ケイ素化合物を上記の濃度で含むキャリヤーガスと、金属酸化物とを接触させることにより、容易にMoの1モル当たりケイ素を0.0001〜3.0モル付着させることができる。
金属酸化物へのケイ素化合物の付着は、大気と遮断された容器内で行われ、固定層または流動層等によって行うことが好ましい。さらに、ケイ素化合物付着時の金属酸化物の温度は、20℃〜350℃が好ましい。この温度に維持された金属酸化物にケイ素化合物の蒸気が接触すると、表面に吸着されたケイ素化合物が速やかに金属酸化物へと転換し、確実に金属酸化物の表面に固定される。
ケイ素化合物を含む溶液に金属酸化物を含浸させることによりケイ素化合物を付着させる場合、使用する有機溶剤に特に限定はなく、トルエン、ヘキサン、アセトンおよび酢酸エチル等が使用でき、これらの中でも、トルエンおよびヘキサンが好ましい。
有機溶剤中の水分含有量は、500ppm以下が好ましく、さらに好ましくは300ppm以下である。有機溶剤中の水分量が2,000ppmを越える場合には、公知の方法による脱水を行い、好ましくはモレキューラシーブ吸着法を適用することが好ましい。
含浸を行う際に使用する有機溶剤量は金属酸化物に対して体積比で、好ましくは0.5〜100倍、より好ましくは1〜20倍である。有機溶剤に含むケイ素化合物の濃度は、好ましくは0.01〜300μmol/ml、より好ましくは0.1〜150μmol/mlの範囲である。
また、含浸の際にはケイ素化合物と金属酸化物との接触を良くするため、撹拌することが好ましく、撹拌時間は0.5〜24時間が好ましい。
ケイ素化合物を含む有機溶剤に含浸させた後、該溶剤から金属酸化物を分離し有機溶剤を蒸散させる。分離後直ちに蒸散させても良いし、脱水された有機溶剤で金属酸化物を洗浄してから蒸散させても良い。有機溶剤の除去方法は、蒸留、遠心分離およびろ過など公知の方法が採用できる。その後、金属酸化物を50℃〜300℃に加熱することにより、付着したケイ素化合物を酸化物に転換させ、金属酸化物の表面に固定することができる。
粉体の金属酸化物にケイ素化合物を上記の付着工程で1回付着させ、その粉末を担体に担持して触媒とし利用できるが、好ましくは、1回付着させた金属酸化物を再度解砕処理して、平均粒径が20〜500μm範囲の金属酸化物粉体を得て、再び同じ方法により該金属酸化物粉体の表面にケイ素酸化物を形成させ、より好ましくはこの作業を3〜7回繰り返して行う。この解砕とは、粒子の結晶体を破壊せず、凝集した粒子体を解すことを指す。使用する解砕設備としては、特に限定されないが、ハンマー式微粉砕機、サンプルミルおよび高速ピンミル微粉砕器などが例示される。
上記の操作で得られた金属酸化物触媒は、流動層に適用する場合、粉末粒子のまま使用しても良いが、固定床反応器に利用する場合、担体に担持して使用される。担持する場合の担体の種類としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナおよびシリコンカーバイド等が使用できる。
担体の形状として球状、ペレットおよびリング状が挙げられ、好ましくは球状のものである。
担体の粒径は0.5〜5.0mmが好ましく、さらに好ましくは2.0〜3.0mmの範囲である。担持量は特に制限は無いが、20〜70質量%が好ましい。
担持の際には、転動造粒機等が使用できる。担持の際に用いるバインダーには、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリンおよびシリカゾル等が使用でき、ポリビニルアルコール、デンプンおよびポリアクリル酸等の水溶液も使用できる。得られる担持品の粒径は1.0〜6.0mmであることが好ましい。
上記の操作で得られた金属酸化物の担持触媒は、そのまま使用してもよいが、活性と選択率とのバランスから活性に余裕がある場合、担持触媒をさらにケイ素化合物と付着させると、性能と経時安定性がさらに向上する。
担持触媒のケイ素付着は、粉末全量を担持体に担持させた後に、一回のみ実施するのもよいが、全粉末を数回分に分けて、担持させ、それぞれの担持終了の時点で、ケイ素付着をさせると、付着がより均一となり、性能と経時安定性がさらに向上する場合がある。
なお、この場合、触媒が担持されているため、ケイ素の付着は、ケイ素化合物を含む溶液に金属酸化物触媒を含浸させることが好ましい。この場合、ケイ素化合物の有機溶剤の溶液として利用することが好ましく、有機溶剤の種類は特に限定はなく、トルエン、ヘキサンおよび酢酸エチルなどの極性の少ない溶媒、特にトルエンおよびヘキサンが好ましい。
本発明の金属酸化物触媒における各金属成分の含有量は、蛍光X線分析により測定することができる。
ケイ素付着による酸性質の変化は、ジメチルピリジンの吸着脱離法に改質に伴う酸量の変化および全酸量に伴うルイス酸の割合の変化により測定できる。
表面改質剤がリンおよびホウ素の場合、ケイ素と同様な方法を用いる。リン化合物としてリン酸エチルおよびリン酸メチルなど、ホウ素化合物としてホウ酸メチルおよびホウ酸エチルなどが挙げられる。
一方、表面改質剤として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ビスマス、テルルおよびタリウムを利用する場合、これらの化合物の溶液を用い、含浸法またはイオン交換法が利用できる。化合物としては、上記元素の硝酸塩、硫酸塩の何れも問題なく利用できる。この場合、上記の成分は何れも塩基性を示し、表面酸点を中和する形で酸性質の調整に機能し、触媒の性能および経時安定性を向上させる。
次に、上記の方法で製造された金属酸化物触媒を用いたプロパンの一段接触酸化反応によるアクリル酸の製造方法について説明するが、プロピレンを原料に用いる場合も同様である。
プロパン、酸素、水蒸気および不活性ガスを原料として、金属酸化物触媒が充填された状態で高温に維持された反応器に、原料を導入することで、プロパンの気相接触酸化によりアクリル酸が製造される。
酸素としては、純酸素および空気の状態で供給されるが、空気を用いることが経済的に好ましい。また、不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび炭酸ガス等が挙げられるが、経済的な理由から窒素が好ましく、酸素源として空気を用いる場合は、同時に窒素の供給できる。
反応器に供給する酸素の割合は、プロパンに対しモル比で0.3〜3.0が好ましく、0.5〜2.5がより好ましい。0.3以上であると、酸素が十分な量であり、アクリル酸収率が向上し、3.0以下であると、経済的である。
反応器に供給する水蒸気の割合は、プロパンに対しモル比で1.0〜10.0が好ましく、2.0〜8.0がより好ましい。1.0以上であると、逐次的な燃焼反応が抑制されアクリル酸収率が向上し、10.0以下であると、精留工程や廃水処理工程に余分な負荷がかからず経済的である。
反応器に供給する不活性ガスの割合はプロパンに対しモル比で1.5〜18.0が好ましく、2.4〜14.0がより好ましい。上記の範囲であると、混合ガスの爆発範囲内に入らず、安全性に優れる。
原料混合ガスの空間速度は、500〜4,000hr-1が適当である。500hr-1以上であると、アクリル酸の空時収率が向上し、4,000hr-1以下であると、プロパンの反応率が向上する。
反応温度は300℃〜460℃が好ましく、350℃〜420℃がより好ましい。
また、反応器出口から排出される反応ガス中に含まれる未反応のプロパンや、中間生成物のプロピレンはそのまま燃料とすることもできるが、反応ガス中の他の成分と分離して反応器へ返送して再利用することもできる。
未反応のプロパンと、その他の生成物および不活性ガスとの分離方法は、例えば公知の圧力スイング吸着法(PSA法)や有機溶媒吸着法などが使用できる。
次に、上記の方法で製造された金属酸化物触媒を用いたプロパンまたはプロピレンのアンモ酸化によるアクリロニトリルの製造方法について説明する。反応に供給する酸素のプロパンまたはプロピレンに対するモル比は、好ましくは0.3〜5.0、より好ましくは0.5〜4.0である。
反応に供給するアンモニアのプロパンまたはプロピレンに対するモル比は、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2である。反応温度は、好ましくは350℃〜500℃、より好ましくは380℃〜450℃である。原料混合ガスの空間速度は、500〜8,000hr-1が好ましい。500hr-1以上であると、アクリロニトリルの空時収率が向上し、8,000hr-1以下であると、プロパンの反応率が向上する。
その他の条件は、プロパンの接触酸化反応によるアクリル酸の製造方法と同じである。
<実施例1>
○金属酸化物の製造
フラスコに、モリブデン酸アンモニウム370.8g、メタバナジン酸アンモニウム65.4gおよび蒸留水900gを加え、80℃の温度で、攪拌しながら溶解させた。溶解終了後、加熱を停止した溶液に、二酸化テルルをヒドラジンで還元して得た金属テルル粒子(平均長径が0.3μmで、平均短径が0.1μmの棒状物)25.2gが入った水性分散液276gを加え、さらに、2.0質量%のアンモニア水576gを滴下した。反応液は、撹拌下に数分間経つと50℃になった。シュウ酸167gおよびニオブ酸水和物(ニオブ酸含率73.2質量%)60.1gを1719gの蒸留水に溶解して得た水溶液に、30質量%過酸化水素水を17.4g加えて混合して得られた混合液を、上記反応液に加えた。5分間撹拌した後、反応液に硝酸アンモニウム96.0gを加えて撹拌した。
その後、スプレードライにて反応液を噴霧乾燥させた。得られた乾燥物を空気雰囲気にて、320℃で1.5時間焼成した。これにより得られた固体粒子を窒素流通下にて、600℃で1.5時間焼成することにより金属酸化物を得た。その原子比は、蛍光X線組成分析によれば、Mo/V/Te/Nb=1.0/0.28/0.14/0.16(モル比)であった。
次いで、得られた金属酸化物を乾式ジェットミルで粉砕した。粉砕後のメジアン径は0.28μmであった。粉砕後の金属酸化物を、1.0質量%シュウ酸水溶液中に加えて1時間撹拌した後に、ろ過および水洗を行い、120℃で3時間乾燥を行った。
ここで、粉砕時のメジアン径は(株)堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定し、湿式法で測定した値である。
○表面改質剤の付着
上記の操作によって得られた金属酸化物200gを平均粒径250μm以下に解砕した後、フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターに装着して、80℃で0.5時間減圧乾燥した。その後、常圧に戻して窒素ガスラインをフラスコ内に導入し、エバポレーターを回転させた。流量21.0ml/minの窒素をテトラメトキシシラン8.0gへ通過させ、その蒸気を窒素ガスラインに通してフラスコ内へ導入し、53時間かけて前記金属酸化物と蒸気を接触させた。
上記の操作によって得られた金属酸化物200gを、7.5質量%のデンプン水溶液をバインダーとして、2.6mm径の球状のアルミナ担体200gの上に転動造粒機を用いて担持させた。その後120℃で1時間乾燥させて、平均粒径4.0mmの金属酸化物の担持品を得た。
ここで、解砕時の平均粒径は、共焦点レーザー顕微鏡((株)キーエンス製VK−9710)により測定し、20個の粒子の粒径を平均した値である。
上記操作で12回繰り返し、得られた金属酸化物の担持品4,800gを反応釜へ仕込み、そこへトルエン8,880gを加え、さらにテトラエトキシシラン97.3gを加えて60時間撹拌した。撹拌後、ろ過して120℃で1時間乾燥を行った。最終的な金属酸化物の原子比は、蛍光X線組成分析により、Mo/V/Te/Nb/Si=1.0/0.28/0.14/0.16/0.08(モル比)であった。
上記で得られた金属酸化物(表面改質前)および金属酸化物触媒(表面改質後)を下記の実施例および比較例に使用した。
○加速劣化試験
粒径2.6mmの球状のアルミナの担持体に、58.1質量%の担持率で金属酸化物触媒を担持させた後、18mm径のガラス管に、得られた担持物2.4gを充填し、プロパン0.14ml/min、水蒸気20.1ml/minおよび窒素28.0ml/minの混合ガス流通下で、400℃で3時間処理した。
○FTIRによる吸光度の測定
上記加速劣化試験前後のサンプルを潰して粉化させ、KBrと質量比で1対10に配合し、錠剤化させて測定に用いた。測定はサーモフィッシャーサイエンティフィック社製ニコレー iS50FT−IRを用いて、透過法により4,000〜400cm−1の範囲で測定を行った。赤外分光法で測定されたスペクトルについて、879cm−1(±5cm−1)の吸光ピークの強度を表す波形の面積と、波数が400〜1,100cm−1範囲の全吸光ピークの波形の総面積との割合変化を測定した。
なお、吸光強度は、吸光度(ABS)として用いた。全スペクトルは、前記ガウス関数の式(2)に従い、波形分離させ、それぞれ分離した単独のピークの面積を用いて、879cm−1の吸光ピークの強度を表す波形の面積と、波数が400〜1,100cm−1範囲の全吸光ピークの波形の総面積との割合(以下、吸光度割合と略記する)を計算した。
加速劣化試験前後の吸光度割合が、それぞれ0.0213および0.019であり、割合変化率は10.8%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が、前記式(3)に基づく残差を表す総平均偏差は0.033であった。
内径25.4mm、充填長6,900mmのステンレス製の反応管1本のモノチューブからなる反応器を用いて反応評価を行った。反応管に内径6.0mmの温度センサーの保護管を中心に置き、残りの空間に、上記で得られた金属酸化物触媒を充填した。反応管を囲むジャケットに、熱媒を充満させ、ガスの流通により循環させ、温度制御は上部と下部と、計4基のヒーターにより上下2つの域に独立に制御させ、計測した。
反応評価の条件は下記の通りである。触媒4,540g(嵩密度1.37g/cm)を充填し、反応ガスの流通量がプロパン153.9L/hr、空気1,698.4L/hr、水蒸気734.4L/hrおよび窒素734.8L/hrであり、空間速度は934.9h−1とした。
反応温度は上、下の域のピーク温度で管理し、スタートの時点でそれぞれ366℃と370℃であり、表1にはその平均値である368℃を記載した。熱媒も同様に上、下の平均温度である337℃を表1にバス温として記載した。反応時間ごとのバス温および反応温度も同様である。
反応後のガスはクエンチして、ガスと液を分離させた後、ガスとして積算流量計として体積を、液としての質量を計測した。ガスおよび反応液の組成はガスクロマトグラフィー(GC)にて分析した。これらの値をベースに下記の式により、モル基準でプロパン反応率およびアクリル酸収率を算出した。
プロパン反応率(%)=100×[(供給プロパン−未反応プロパン)/供給プロパン]
アクリル酸選択率(%)=100×[生成アクリル酸/(供給プロパン−未反応プロパン)]
アクリル酸収率(%)=(プロパン反応率×アクリル酸選択率)/100
プロパン反応率およびアクリル酸の収率は、表1に記載したように経時時間に伴い、初期(53時間後)はプロパン反応率80.4%およびアクリル酸収率61.4%であり、6,110時間後は反応率79.0%およびアクリル酸収率54.1%であった。6,110時間経過に伴うアクリル酸収率の低下は7.3%であった。
<実施例2>
実施例1と同じ付着済みの粉体を粒径2.6mmの球状のアルミナの担持体に、58質量%の担持率で担持し、下記反応器を用いて評価を行った。
電気ヒーターに、内径18mmのガラス製反応管を設置し、温度制御しながら反応を行い、反応評価は下記の条件で行った。
触媒2.4gを充填し、反応ガスとして、プロパン2.6ml/min、空気28.0ml/minおよび水蒸気6.7ml/minの混合ガスを、799.3hr−1の空間速度で供給した。反応温度は触媒層の内部に設置した移動可能なセンサーで検知したピーク温度が所定値(表1に反応温度と表記する)になるように、ヒーター温度(反応管の外部、表1にバス温と表記する)の調整および設定して反応評価を行った。
なお、寿命評価を行うために、初期性能評価を行った後に、劣化が加速的に進む経過条件に変更させ、3,000時間の所定時間に達した時点で再び、評価条件に戻し、時間経過に伴う性能変化を測定した。経過条件は、プロパン2.6ml/min、空気28.0ml/minおよび水蒸気20.1ml/minの混合ガスを供給して、内温390℃で反応を行った。反応後のガスはガスクロマトグラフィー(GC)にて組成分析し、前記式により、モル基準でプロパン反応率およびアクリル酸収率を算出した。
3,000時間経過前後の性能変化は表1に示すように、初期(80時間経過後)では、プロパン60.4%およびアクリル酸収率46.8%であり、3,000時間経過後では、プロパン58.0%およびアクリル酸収率39.5%であった。
反応時間あたりのアクリル酸収率の低減割合を計算して、経過条件でのアクリル酸収率低減速度(%/Hr)を表1に記載した。
<比較例1>
実施例1における表面改質前の金属酸化物粉体60gを触媒に用い、2.6mm径の球状のアルミナの担持体100gに担持させて、使用した触媒を1.6gおよび空間速度を1,243.3hr−1とした以外は実施例2と同じ方法で評価した。その結果、初期(75時間経過後)では、プロパン反応率およびアクリル酸収率が、それぞれ58.6%および40.8%であり、経過条件で3,000時間経過後では、それぞれ45.0%および16.8%であった。
同じ付着済みの触媒について、別途加速劣化条件にて反応を行い、加速劣化反応前後の赤外分光法測定と解析を行った。その結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.0213および0.0181であり、加速劣化試験前後の割合変化率が15.0%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が、式(3)に基づく残差を表す総平均偏差として0.038であった。
<実施例3>
実施例1における表面改質前の金属酸化物100g粉末に以下のようにケイ素化合物を付着させたものを触媒に用いた。
まず、金属酸化物粉末100gを平均粒径250μm以下に解砕した後、フラスコに入れ、次に5.4質量%メチルシリケート(製品名:MS−51、三菱化学社製)のノルマルヘキサン(以下、ノルマルヘキサンを単にヘキサンという)溶液100gを加え、約1分間撹拌させた。
次に、200gのヘキサンを加え、約1分間撹拌、3分間静置させた後、上澄みをデカンテーションにより除去させた。上記操作をもう一回繰り返した後に、300gのヘキサンを加え、30分撹拌させた後、上澄みをろ紙より除去させ、回収した固形分を120℃、1時間乾燥させた。
上記の操作によって得られた金属酸化物100gを実施例1と同じ方法により、2.6mm径の球状のアルミナの担持体72gの上に転動造粒機を用いて担持させた。
その後120℃で1時間乾燥させて、金属酸化物の担持品を得た。この担持体触媒172gを用い、5.4質量%メチルシリケートのヘキサン溶液77.3gを加え、約1分間撹拌させた。
次に、154.6gのヘキサンを加え、1分間撹拌および3分静置させた後、上澄みをデカンテーションにより除去させた。上記操作をもう一回繰り返す。
次に、231.9gのヘキサンを加え、30分撹拌させた後、上澄みを除去させ、担持触媒を1時間乾燥させた。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
触媒について、別途加速劣化試験条件にて反応を行い、加速劣化試験前後の赤外分光法測定と解析を行った結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.022および0.020であり、加速劣化試験前後の割合変化率が9.1%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が式(3)に基づく残差を表す総平均偏差として0.031であった。
<実施例4>
実施例3と同様な方法で得られた付着工程を終えた金属酸化物粉末100gを用い、2等分に分けて、実施例1と同じ方法により、2.6mm径の球状のアルミナの担持体72.0gの上に転動造粒機を用いて担持させた。
ただし、2分割の担持工程(1/2)を終えた後に、それぞれメチルシリケート濃度の異なるヘキサン溶液により下記のように付着工程を行った。1/2担持済みの触媒120℃で1時間乾燥させて、金属酸化物の担持品を得た。120℃で1時間乾燥させて、2.7質量%メチルシリケートのヘキサン溶液73.3gを加え、約1分間撹拌させる。
次に、154.6gのヘキサンを加え、約1分間撹拌、3分静置させた後、上澄みをデカンテーションにより除去させる。上記操作をもう一回繰り返す。
次に、231.9gのヘキサンを加え、30分撹拌させた後、上澄みをスポイドより除去させ、担持触媒を1時間乾燥させた。再度、残りの金属酸化物粉末の担持し、2.7質量%メチルシリケートの代わりに、5.4質量%メチルシリケートの溶液を用いて、付着を繰り返し、金属酸化物触媒を得た。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
触媒について、別途加速劣化試験を行い、加速劣化試験前後の赤外分光法測定と解析を行った結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.0240および0.0221であり、加速劣化試験前後の割合変化率が7.9%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が式(3)に基づく残差を表す総平均偏差は0.031であった。
<実施例5>
実施例3と同じ付着済みの金属酸化物粉末100gを用い、3等分に分けて、実施例1と同じ方法により、径2.6mmの球状のアルミナの担持体72.0gの上に転動造粒機を用いて担持させた。
ただし、3分割の担持工程(1/3)それぞれを終えた後に、異なるメチルシリケートの濃度のヘキサン溶液により付着工程を行った。まず、一回目は、1/3担持済みの触媒を120℃で1時間乾燥させて、金属酸化物の担持品を得た。次に、2.7質量%メチルシリケートのヘキサン溶液77.3gを加え、約1分間撹拌させた。次に、154.6gのヘキサンを加え、約1分間撹拌、3分静置させた後、上澄みをデカンテーションにより除去させた。
洗浄とデカンテーションをもう一回繰り返した後、231.9gのヘキサンを加え、30分撹拌させた後、上澄みを除去させ、担持触媒を1時間乾燥させた。引き続き、2回目1/3担持済みの触媒では、2.7質量%メチルシリケートのヘキサン溶液、3回目では、5.4質量%メチルシリケートのヘキサン溶液を用いて、付着工程を繰り返し、金属酸化物触媒を得た。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
触媒について、別途加速劣化試験条件にて反応を行い、加速劣化試験前後の赤外分光法測定と解析を行った結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.0250および0.0233であり、強制劣化反応前後の割合変化率が6.8%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が式(3)に基づく残差を表す総平均偏差は0.036であった。
<実施例6>
実施例5で得られた担持品(金属酸化物触媒)に、さらに4回目の付着工程を行い金属酸化物触媒を得た。
ただし、5.4質量%メチルシリケートのヘキサン溶液の代わりに、1.28%のリン酸エチルのヘキサン溶液を用いた。最終的な金属酸化物の原子比は、得られた担持触媒を破壊し、その粉末を回収して蛍光X線組成分析により、Mo/V/Te/Nb/Si/P=1.0/0.28/0.14/0.16/0.06/0.006(モル比)であった。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
触媒を用いて、別途強制劣化反応をさせ、その前後の触媒の赤外分光法測定、解析を行った結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.0220および0.0207であり、加速劣化試験前後の割合変化率が5.9%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が式(3)に基づく残差を表す総平均偏差は0.039であった。
<実施例7>
実施例5で得られた担持品をさらに、0.2質量%の硝酸ルビジュームの溶液220gを用いる含浸を行い、溶液を除き、乾燥して触媒を得た。その粉末を回収して蛍光X線組成分析により、Mo/V/Te/Nb/Si/Rb=1.0/0.28/0.14/0.16/0.06/0.002(モル比)であった。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
触媒を用いて、別途強制劣化反応をさせ、その前後の触媒の赤外分光法測定、解析を行った結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.0220および0.0209であり、加速劣化試験前後の割合変化率が5.0%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が式(3)に基づく残差を表す総平均偏差は0.032であった。
<実施例8>
実施例3で得られた付着済みの金属酸化物粉末を、ミルミキサーを用いて、30秒、2回をかけて100μm以下に解砕した後、下記以外の点は、実施例5と同じ方法により担持、付着を行い、金属酸化物触媒を得た。
付着済みの触媒100g、径2.36mmの球状のアルミナ担体46gを用いた。最終的な金属酸化物の原子比は、蛍光X線組成分析により、Mo/V/Te/Nb/Si=1.0/0.28/0.14/0.16/0.14(モル比)であった。
触媒を2.25g使用した以外は、実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
なお、本触媒を用い、実施例1での反応評価を行った場合、収率の比例関係と、経過条件試験でのアクリル酸収率の低減率から初期及び6100時間後のアクリル酸収率が67.0%と65.7%であり、実施例1より低減が格段に小さくなる。
触媒を用いて、別途強制劣化反応をさせ、その前後の触媒の赤外分光法測定、解析を行った結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.0250および0.0239であり、加速劣化試験前後の割合変化率が4.4%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が式(3)に基づく残差を表す総平均偏差は0.030であった。
<実施例9>
実施例1得られた表面改質前の金属酸化物100g粉末を以下のようにケイ素化合物に付着させた。
金属酸化物粉末100gミルミキサーを用い、30秒、2回をかけ、100μm以下に解砕した後、4.5質量%のエトキシシラン(TEOS)の溶液、3.5質量%メチルシリケートを用い、それぞれ4回ずつ付着を繰り返した。フラスコにヘキサン100gを加え、約1分間撹拌させた。
次に、200gのヘキサンを加え、約1分間撹拌、3分間静置させた後、上澄みをデカンテーションにより除去させた。上記操作をもう一回繰り返した後に、300gのヘキサンを加え、30分撹拌させた後、上澄みをろ紙より除去させ、回収した固形分を120℃、1時間乾燥させた。
付着済みの触媒100gを、担体は粒径として2.36mmの球状のアルミナの担持体46gを用いて、実施例1と同じ方法にて担持を行った。触媒を2.25g使用した以外は、実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
比例関係から、本触媒を用い実施例1の条件で反応評価を行う場合、アクリル酸の収率は69.3%である。
<比較例2>
比較例1で用いた金属酸化物粉体を2.6mm径の球状のアルミナの担持体に58.1%の担持率で担持させ、担持体を実施例2の方法にてケイ素化合物と付着させた。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。触媒を用いて、別途強制劣化反応をさせ、その前後の触媒の赤外分光法測定、解析を行った結果、879cm−1の吸光度割合がそれぞれ、0.0220および0.0189であり、加速劣化試験前後の割合変化率が14.1%であった。波形処理に当たり、カーブフィティングの総平均偏差が式(3)に基づく残差を表す総平均偏差は0.032であった。
<比較例3>
比較例1で用いた金属酸化物粉体を2.6mm径の球状のアルミナの担持体に58.1%担持率で担持させ、担持体を実施例2の方法にてケイ素化合物と付着させた。ただし、実施例1に実施されたジェットミルの代わりに、ミルミキサーより粉砕し、平均粒径が13.2μmであった。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
<比較例4>
比較例1で用いた金属酸化物粉体を2.6mm径の球状のアルミナの担持体に58.1%担持率で担持させ、担持体を実施例2の方法にてケイ素化合物と付着させた。ただし、実施例1におけるジェットミル粉砕の際に、原料の供給処理速度として1.2倍に増大させ、得られた粉体の平均粒径が0.4μmであった。
実施例2と同様に反応評価を行い、結果は表1に示す。
本発明によれば、プロパンの気相接触酸化またはアンモ酸化によるアクリル酸またはアクリロニトリルの製造において、高い収率のみでなく、経時安定性にも優れた金属酸化物触媒を提供できる。

Claims (6)

  1. 下記組成式(1)で表される金属酸化物の表面に、ケイ素、リン、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ビスマス、テルルおよびタリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からなる表面改質剤が付着してなり、
    下記加速劣化試験による吸光度の割合変化率が13%以下である
    金属酸化物触媒。
    組成式(1):MoV
    式中、AはTeまたはSbであり、BはNbまたはTaであり、iおよびjは各々0.01〜1.5であり、j/i=0.3〜1.0であり、kは0.001〜3.0であり、nは他の元素の酸化状態によって決定される数である。
    加速劣化試験
    前記金属酸化物触媒の粉末を、粒径2.6mmの球状アルミナの担持体に58.1質量%の担持率で担持させた後、得られた担持物2.4gを内径18mmのガラス管に充填し、プロパン0.14ml/min、水蒸気20.1ml/minおよび窒素28.0ml/minの混合ガス流通下で、400℃で3時間処理する。
    処理前後において、赤外分光法で測定された波数が400〜1,100cm−1範囲の全吸光ピークの波形面積に対する、波数が879cm−1(±5cm−1)の吸光ピークの強度を示す波形面積の割合を測定し、この面積割合の変化率を吸光度の割合変化率とする。
  2. 表面改質剤がケイ素、リンおよびホウ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からなる表面改質剤である請求項1に記載の金属酸化物触媒。
  3. 下記工程(1)、下記工程(2)および下記工程(3)を含む請求項1または請求項2に記載の金属酸化物触媒の製造方法。
    工程(1):Mo、V、金属Aおよび金属Bを含む水性分散液を乾固させ、得られた固形分を焼成することにより前記組成式(1)で表される金属酸化物を得る工程。
    工程(2):前記工程(1)で得られた金属酸化物を粉砕して金属酸化物粉体を得る工程。
    工程(3):前記工程(2)で得られた金属酸化物粉体の表面に、表面改質剤を付着させる工程。
  4. さらに、下記工程(4)および下記工程(5)を少なくとも1回ずつ行う請求項3に記載の金属酸化物触媒の製造方法。
    工程(4):前記工程(3)で得られた金属酸化物粉体を解砕処理して、平均粒径が20〜500μmの範囲である金属酸化物粉体を得る工程。
    工程(5):前記工程(4)で得られた金属酸化物粉体に、表面改質剤を付着させる工程。
  5. 得られた金属酸化物触媒を、担持体に担持して、乾燥させた後、有機溶剤共存下で表面改質剤と接触させて金属酸化物の担持体の表面に表面改質層を形成させる操作を、少なくとも1回行う請求項3または4に記載の金属酸化物触媒の製造方法。
  6. 請求項1または請求項2に記載の金属酸化物触媒の存在下で、プロパンまたはプロピレンを、気相接触酸化またはアンモ酸化させるアクリル酸またはアクリロニトリルの製造方法。
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