〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は水晶振動子101の構成を模式的に示した概略構成図であり、図2は水晶発振器102の構成を模式的に示した概略構成図である。また、図2に示す水晶発振器102は、図1に示す水晶振動子101の上面にICチップ5を搭載したものである。電子部品素子としてのICチップ5は、水晶振動子101とともに発振回路を構成する1チップ集積回路素子である。本発明の圧電振動デバイスは、水晶振動子および水晶発振器の両方を含む概念である。まずは、本実施の形態に係る水晶振動子101の構成について説明する。
−水晶振動子−
本実施の形態に係る水晶振動子101では、図1に示すように、水晶振動板(圧電振動板)2、第1封止部材3、および第2封止部材4が設けられている。水晶振動子101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されてサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。第1封止部材3は、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221(図5参照)を覆うように水晶振動板2に接合される。第2封止部材4は、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222(図6参照)を覆うように水晶振動板2に接合される。
水晶振動子101においては、水晶振動板2の両主面(一主面211,他主面212)に第1封止部材3および第2封止部材4が接合されることで、パッケージ12の内部空間13が形成され、内部空間13に第1励振電極221および第2励振電極222を含む振動部22(図5,6参照)が気密封止されている。本実施の形態に係る水晶振動子101は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。
次に、上記した水晶振動子101の各構成について図1および3〜8を用いて説明する。ここでは、水晶振動板2、第1封止部材3および第2封止部材4のそれぞれについて、部材単体の構成を説明する。
水晶振動板2は、水晶からなる圧電基板であって、図5,6に示すように、その両主面211,212が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、水晶振動板2として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図5,6に示す水晶振動板2では、水晶振動板2の両主面211,212が、XZ’平面とされている。このXZ’平面において、水晶振動板2の短手方向(短辺方向)がX軸方向とされ、水晶振動板2の長手方向(長辺方向)がZ’軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、および光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y’軸およびZ’軸は、水晶の結晶軸のY軸およびZ軸からそれぞれ35°15′傾いた軸に一致する。Y’軸方向およびZ’軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
水晶振動板2の両主面211,212には、一対の励振電極(第1励振電極221,第2励振電極222)が形成されている。水晶振動板2は、略矩形に形成された振動部22と、この振動部22の外周を取り囲む外枠部23と、振動部22と外枠部23とを連結する連結部24とを有しており、振動部22と連結部24と外枠部23とが一体的に設けられた構成となっている。本実施の形態では、連結部24は、振動部22と外枠部23との間の1箇所のみに設けられており、連結部24が設けられていない箇所は空間(隙間)22bになっている。また、図示していないが、振動部22および連結部24は、外枠部23よりも薄く形成されている。このような外枠部23と連結部24との厚みの違いにより、外枠部23と連結部24の圧電振動の固有振動数が異なる。これにより、連結部24の圧電振動に外枠部23が共鳴しにくくなる。
連結部24は、振動部22の+X方向かつ−Z’方向に位置する1つの角部22aのみから、−Z’方向に向けて外枠部23まで延びている(突出している)。このように、振動部22の外周端部のうち、圧電振動の変位が比較的小さい角部22aに連結部24が設けられているので、連結部24を角部22a以外の部分(辺の中央部)に設けた場合に比べて、連結部24を介して圧電振動が外枠部23に漏れることを抑制することができ、より効率的に振動部22を圧電振動させることができる。
第1励振電極221は振動部22の一主面側に設けられ、第2励振電極222は振動部22の他主面側に設けられている。第1励振電極221,第2励振電極222には、引出電極(第1引出電極223,第2引出電極224)が接続されている。第1引出電極223は、第1励振電極221から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン131に繋がっている。第2引出電極224は、第2励振電極222から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン115cに繋がっている。第1励振電極221および第1引出電極223は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。第2励振電極222および第2引出電極224は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動板2の両主面211,212には、水晶振動板2を第1封止部材3および第2封止部材4に接合するための振動側封止部25がそれぞれ設けられている。振動側封止部25は、水晶振動板2の一主面211に形成された振動側第1接合パターン251と、他主面212に形成された振動側第2接合パターン252とからなる。振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252は、上述した外枠部23に設けられており、平面視で環状に形成されている。第1励振電極221および第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
振動側第1接合パターン251は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2511と、下地PVD膜2511上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2512とからなる。振動側第2接合パターン252は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2521と、下地PVD膜2521上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2522とからなる。つまり、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とは、同一構成からなり、複数の層が両主面211,212上に積層して構成され、その最下層側からTi(チタン)層とAu(金)層とが蒸着形成されている。このように、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とでは、下地PVD膜2511,2521が単一の材料(Ti)からなり、電極PVD膜2512,2522が単一の材料(Au)からなり、下地PVD膜2511,2521よりも電極PVD膜2512,2522の方が厚い。また、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221と振動側第1接合パターン251とは同一厚みを有し、第1励振電極221と振動側第1接合パターン251との表面が同一金属からなる。同様に、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222と振動側第2接合パターン252とは同一厚みを有し、第2励振電極222と振動側第2接合パターン252との表面が同一金属からなる。また、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252は、非Snパターンである。
ここで、第1励振電極221、第1引出電極223および振動側第1接合パターン251を同一の構成とすることで、同一のプロセスでこれらを一括して形成することができる。同様に、第2励振電極222、第2引出電極224および振動側第2接合パターン252を同一の構成とすることで、同一のプロセスでこれらを一括して形成することができる。詳細には、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング、MBE、レーザーアブレーションなどのPVD法(例えば、フォトリソグラフィ等の加工におけるパターニング用の膜形成法)により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、一括して膜形成を行い、製造工数を減らしてコスト低減に寄与することができる。
また、水晶振動板2には、図5,6に示すように、一主面211と他主面212との間を貫通する5つの貫通孔(第1〜第5貫通孔111〜115)が形成されている。第1〜第4貫通孔111〜114は、水晶振動板2の外枠部23であって、水晶振動板2の4隅(角部)の領域に設けられている。第5貫通孔115は、水晶振動板2の外枠部23であって、水晶振動板2の振動部22のZ’軸方向の一方側(図5,6では、−Z’方向側)に設けられている。
第1貫通孔111は、第1封止部材3の第6貫通孔116および第2封止部材4の第12貫通孔122に繋がるものである。第2貫通孔112は、第1封止部材3の第7貫通孔117および第2封止部材4の第13貫通孔123に繋がるものである。第3貫通孔113は、第1封止部材3の第8貫通孔118および第2封止部材4の第14貫通孔124に繋がるものである。第4貫通孔114は、第1封止部材3の第9貫通孔119および第2封止部材4の第15貫通孔125に繋がるものである。第5貫通孔115は、第2励振電極222から引き出された第2引出電極224と、配線パターン33を介して第1封止部材3の第10貫通孔120とに繋がるものである。
第1〜第5貫通孔111〜115には、一主面211と他主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極111a〜115aが、第1〜第5貫通孔111〜115それぞれの内壁面に沿って形成されている。そして、第1〜第5貫通孔111〜115それぞれの中央部分は、一主面211と他主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分111b〜115bとなる。第1〜第5貫通孔111〜115それぞれの外周囲には、接続用接合パターン111c〜115cが形成されている。接続用接合パターン111c〜115cは、水晶振動板2の両主面211,212に設けられている。
接続用接合パターン111c〜115cは、振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252と同様の構成であり、振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン111c〜115cは、水晶振動板2の両主面211,212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動板2の一主面211および他主面212に形成された接続用接合パターン111c〜114cは、水晶振動板2の4隅(角部)の領域に設けられており、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252とは所定の間隔を隔てて設けられている。水晶振動板2の他主面212に形成された接続用接合パターン115cは、水晶振動板2の外枠部23において、X軸方向に沿って延びており、第2励振電極222から引き出された第2引出電極224と一体的に形成されている。
また、水晶振動板2の一主面211には、第1励振電極221から引き出された第1引出電極223と一体的に形成された接続用接合パターン131が設けられている。接続用接合パターン131は、水晶振動板2の外枠部23であって、水晶振動板2の振動部22の−Z’方向側に設けられている。また、水晶振動板2の一主面211には、接続用接合パターン131とは水晶振動板2の振動部22を挟んでZ’軸方向の反対側の位置に、接続用接合パターン132が設けられている。つまり、振動部22のZ’軸方向の両側に、接続用接合パターン131,132が設けられている。接続用接合パターン132は、水晶振動板2の外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。
また、水晶振動板2の一主面211には、水晶振動板2の外枠部23であって、振動部22のX軸方向の両側に、接続用接合パターン133,134が設けられている。接続用接合パターン133,134は、水晶振動板2の長辺に沿った長辺近傍領域に設けられており、Z’軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン133は、水晶振動板2の一主面211に形成された接続用接合パターン111cと接続用接合パターン113cとの間に設けられている。接続用接合パターン134は、接続用接合パターン112cと接続用接合パターン114cとの間に設けられている。
水晶振動板2の他主面212には、接続用接合パターン115cとは水晶振動板2の振動部22を挟んでZ’軸方向の反対側の位置に、接続用接合パターン135が設けられている。つまり、振動部22のZ’軸方向の両側に、接続用接合パターン115c,135が設けられている。また、水晶振動板2の他主面212には、水晶振動板2の外枠部23であって、振動部22のX軸方向の両側に、接続用接合パターン136,137が設けられている。接続用接合パターン136,137は、水晶振動板2の長辺に沿った長辺近傍領域に設けられており、Z’軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン136は、水晶振動板2の他主面212に形成された接続用接合パターン111cと接続用接合パターン113cとの間に設けられている。接続用接合パターン137は、接続用接合パターン112cと接続用接合パターン114cとの間に設けられている。
水晶振動子101では、第1〜第4貫通孔111〜114および接続用接合パターン111c〜114c,133,134,136,137は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252よりも外周側に設けられる。第5貫通孔115および接続用接合パターン115c,131,132,135は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252よりも内周側に設けられる。接続用接合パターン111c〜115c,131〜137は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
第1封止部材3には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm2]以下の材料が用いられている。具体的には、第1封止部材3は、図3,4に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第1封止部材3の他主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
この第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32には、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、平面視で環状に形成されている。
この封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜3211と、下地PVD膜3211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜3212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜3211には、Tiが用いられ、電極PVD膜3212にはAuが用いられている。また、封止側第1接合パターン321は、非Snパターンである。
第1封止部材3の一主面311(ICチップ5を搭載する面)には、図3,4に示すように、発振回路素子であるICチップ5を搭載する搭載パッドを含む6つの電極パターン37が形成されている。尚、図3では、ICチップ5の搭載領域を仮想的に破線で示している。6つの電極パターン37は、それぞれ個別に第6〜第11貫通孔116〜121に接続されている。
第1封止部材3には、一主面311と他主面312との間を貫通する6つの貫通孔(第6〜第11貫通孔116〜121)が形成されている。第6〜第9貫通孔116〜119は、第1封止部材3の4隅(角部)の領域に設けられている。第10,第11貫通孔120,121は、図4のA2方向の両側に設けられている。
第6貫通孔116は、水晶振動板2の第1貫通孔111に繋がるものである。第7貫通孔117は、水晶振動板2の第2貫通孔112に繋がるものである。第8貫通孔118は、水晶振動板2の第3貫通孔113に繋がるものである。第9貫通孔119は、水晶振動板2の第4貫通孔114に繋がるものである。第10貫通孔120は、配線パターン33を介して水晶振動板2の第5貫通孔115に繋がるものである。第11貫通孔121は、第1励振電極221から引き出された第1引出電極223に繋がるものである。
第6〜第11貫通孔116〜121には、一主面311と他主面312とに形成された電極の導通を図るための貫通電極116a〜121aが、第6〜第11貫通孔116〜121それぞれの内壁面に沿って形成されている。そして、第6〜第11貫通孔116〜121それぞれの中央部分は、一主面311と他主面312との間を貫通した中空状態の貫通部分116b〜121bとなる。第6〜第11貫通孔116〜121それぞれの外周囲には、接続用接合パターン116c〜121cが形成されている。接続用接合パターン116c〜121cは、第1封止部材3の他主面312に設けられている。
接続用接合パターン116c〜121cは、封止側第1接合パターン321と同様の構成であり、封止側第1接合パターン321と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン116c〜121cは、第1封止部材3の他主面312上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
第6〜第9貫通孔116〜119の接続用接合パターン116c〜119cは、第1封止部材3の他主面312の4隅(角部)の領域に設けられており、封止側第1接合パターン321とは所定の間隔を隔てて設けられている。第10貫通孔120の接続用接合パターン120cは、図4の矢印A1方向に沿って延びており、配線パターン33と一体的に形成されている。また、第1封止部材3の他主面312には、接続用接合パターン120cとは配線パターン33を挟んで、矢印A2方向の反対側の位置に、接続用接合パターン138が設けられている。つまり、配線パターン33の矢印A2方向の一端側に接続用接合パターン120cが接続され、他端側に接続用接合パターン138が接続されている。なお、図4のA1方向およびA2方向は、図5のX軸方向およびZ’軸方向にそれぞれ一致する。
また、第1封止部材3の他主面312には、第1封止部材3の長辺に沿った長辺近傍領域に接続用接合パターン139,140が設けられている。接続用接合パターン139,140は、図4の矢印A2方向に沿って延びている。接続用接合パターン139は、第1封止部材3の他主面312に形成された接続用接合パターン116cと接続用接合パターン118cとの間に設けられている。接続用接合パターン140は、接続用接合パターン117cと接続用接合パターン119cとの間に設けられている。
水晶振動子101では、第6〜第9貫通孔116〜119および接続用接合パターン116c〜119c,139,140は、封止側第1接合パターン321よりも外周側に設けられる。第10,第11貫通孔120,121および接続用接合パターン120c,121c,138は、封止側第1接合パターン321よりも内周側に設けられる。接続用接合パターン116c〜121c,138〜140は、封止側第1接合パターン321とは電気的に接続されていない。また、配線パターン33も、封止側第1接合パターン321とは電気的に接続されていない。
第2封止部材4には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm2]以下の材料が用いられている。具体的には、第2封止部材4は、図7,8に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第2封止部材4の一主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
この第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、平面視で環状に形成されている。
この封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4211と、下地PVD膜4211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜4211には、Tiが用いられ、電極PVD膜4212にはAuが用いられている。また、封止側第2接合パターン421は、非Snパターンである。
第2封止部材4の他主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する4つの外部電極端子(第1〜第4外部電極端子433〜436)が設けられている。第1〜第4外部電極端子433〜436は、第2封止部材4の4隅(角部)にそれぞれ位置する。これら外部電極端子(第1〜第4外部電極端子433〜436)は、他主面412上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
第2封止部材4には、図7,8に示すように、一主面411と他主面412との間を貫通する4つの貫通孔(第12〜第15貫通孔122〜125)が形成されている。第12〜第15貫通孔122〜125は、第2封止部材4の4隅(角部)の領域に設けられている。第12貫通孔122は、第1外部電極端子433および水晶振動板2の第1貫通孔111に繋がるものである。第13貫通孔123は、第2外部電極端子434および水晶振動板2の第2貫通孔112に繋がるものである。第14貫通孔124は、第3外部電極端子435および水晶振動板2の第3貫通孔113に繋がるものである。第15貫通孔125は、第4外部電極端子436および水晶振動板2の第4貫通孔114に繋がるものである。
第12〜第15貫通孔122〜125には、一主面411と他主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極122a〜125aが、第12〜第15貫通孔122〜125それぞれの内壁面に沿って形成されている。そして、第12〜第15貫通孔122〜125それぞれの中央部分は、一主面411と他主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分122b〜125bとなる。第12〜第15貫通孔122〜125それぞれの外周囲には、接続用接合パターン122c〜125cが形成されている。接続用接合パターン122c〜125cは、第2封止部材4の一主面411に設けられている。
接続用接合パターン122c〜125cは、封止側第2接合パターン421と同様の構成であり、封止側第2接合パターン421と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン122c〜125cは、第2封止部材4の一主面411上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
第12〜第15貫通孔122〜125の接続用接合パターン122c〜125cは、第2封止部材4の一主面411の4隅(角部)の領域に設けられており、封止側第2接合パターン421とは所定の間隔を隔てて設けられている。また、第2封止部材4の一主面411には、第2封止部材4の長辺に沿った長辺近傍領域に接続用接合パターン141,142が設けられている。接続用接合パターン141,142は、図7の矢印B2方向に沿って延びている。接続用接合パターン141は、第2封止部材4の一主面411に形成された接続用接合パターン122cと接続用接合パターン124cとの間に設けられている。接続用接合パターン142は、接続用接合パターン123cと接続用接合パターン125cとの間に設けられている。
また、第2封止部材4の一主面411には、図7の矢印B1方向に延びる接続用接合パターン143,144が設けられている。接続用接合パターン143,144は、図7の矢印B2方向の両端側の領域に設けられている。接続用接合パターン143は、第2封止部材4の一主面411に形成された接続用接合パターン122cと接続用接合パターン123cとの間に設けられている。接続用接合パターン144は、接続用接合パターン124cと接続用接合パターン125cとの間に設けられている。なお、図7のB1方向およびB2方向は、図5のX軸方向およびZ’軸方向にそれぞれ一致する。
水晶振動子101では、第12〜第15貫通孔122〜125および接続用接合パターン122c〜125c,141,142は、封止側第2接合パターン421よりも外周側に設けられる。接続用接合パターン143,144は、封止側第2接合パターン421よりも内周側に設けられる。接続用接合パターン122c〜125c,141〜144は、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。
水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4を含む水晶振動子101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、サンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、別途接着剤等の接合専用材を用いずに、パッケージ12の内部空間13、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。
そして、図1に示すように、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材15aとなり、振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材15bとなる。
この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。具体的には、水晶振動板2の4隅の接続用接合パターン111c〜114c及び第1封止部材3の4隅の接続用接合パターン116c〜119cが拡散接合される。水晶振動板2の長辺近傍領域の接続用接合パターン133,134及び第1封止部材3の長辺近傍領域の接続用接合パターン139,140が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン115c及び第1封止部材3の接続用接合パターン138が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン131及び第1封止部材3の接続用接合パターン121cが拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン132及び第1封止部材3の接続用接合パターン120cが拡散接合される。これらの接続用接合パターン自身が拡散接合後に生成される接合材は、貫通孔の貫通電極を導通させる役割、及び接合箇所を気密封止する役割を果たす。
同様に、水晶振動板2の4隅の接続用接合パターン111c〜114c及び第2封止部材4の4隅の接続用接合パターン122c〜125cが拡散接合される。水晶振動板2の長辺近傍領域の接続用接合パターン136,137及び第2封止部材4の長辺近傍領域の接続用接合パターン141,142が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン115c及び第2封止部材4の接続用接合パターン144が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン135及び第2封止部材4の接続用接合パターン143が拡散接合される。
本実施の形態に係る水晶振動子101は、電気回路基板への実装の際、はんだ実装を適用することを前提とするものであり、図1に示すように、第2封止部材4の他主面412に形成される第1〜第4外部電極端子433〜436上にめっき膜(無電解めっき膜)51が形成される。また、電気回路基板へのはんだ実装の観点からめっき膜の形成が必要となるのは、第1〜第4外部電極端子433〜436のみである。しかしながら、本実施の形態に係る水晶振動子101では、第1封止部材3の一主面311に形成される電極パターン37にもめっき膜52が形成されるようにする。
めっき膜51,52の成膜は、水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4の接合後に、無電解めっき法により行われる。すなわち、水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4の接合された水晶振動子101をめっき液に浸漬させてめっきを行う。この時、水晶振動子101全体をめっき液に浸漬させることで、第1〜第4外部電極端子433〜436および電極パターン37に対して同時にめっきを行うことができる。
めっき膜51,52は、第1〜第4外部電極端子433〜436および電極パターン37を下地パターンとし、下地パターンに近い側からNi(ニッケル)膜、Pd(パラジウム)膜およびAu(金)膜の順序で積層形成される。Ni膜の膜厚は、1.0〜10.0μmの範囲であり、より好ましくは5.0〜7.5μmの範囲である。Ni膜の膜厚が上記範囲内であれば、はんだ接合における十分な接合強度が得られ、かつ、無電解めっき膜の膜厚が必要以上に大きくなって反りの要因となる応力が増大することを抑制できる。また、Pd膜の膜厚は0.05μm程度、Au膜の膜厚は0.05μm程度である。
近年では、環境への影響が小さい鉛フリーはんだが用いられることが多くなっており、鉛フリーはんだにおいて良好な接合性を得るには、外部電極端子におけるめっき膜の存在が重要となる。具体的には、鉛フリーはんだの場合、はんだ(もしくははんだに含有されているSn)中にNiの拡散が進行しやすくなる。そして、Niのはんだ中への拡散が進むと、はんだの剥がれを起こすことがある。上述のように、めっき膜51,52を、Ni膜、Pd膜およびAu膜の積層構造とすることで、Pd膜がはんだとNi膜との間に介在してバリア膜となり、Niのはんだへの進行を妨げることができる。
また、めっき膜51,52の下地パターンとなる第1〜第4外部電極端子433〜436および電極パターン37は、上述した接合パターン(振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、封止側第1接合パターン321、封止側第2接合パターン421および各接続用接合パターン)と同様にTi−Au膜とすることが好ましい。すなわち、第1封止部材3の一主面311または第2封止部材4の他主面412上に形成された下地PVD膜をTiとし、下地PVD膜上に積層形成される電極PVD膜をAuとすることが好ましい。
このように、めっき膜51,52の下地パターンを他の接合パターンと同様のTi−Au膜とすることで工程を簡略化できる。例えば、スパッタリング装置で膜形成する場合には、第1および第2封止部材3,4の表裏面でめっき膜51,52の下地パターンと他の接合パターンとを同時に製膜できる。また、真空蒸着装置で膜形成する場合には、表裏面が順次反転して膜が形成されるが、同じ膜構成とすることで、途中で成膜材料を変更することなく、連続して効率的に製膜することができる。
また、無電解めっきの下地パターンとしてはCu膜を用いることが一般的であるが、フォトリソグラフィ工程で現像に用いられるアルカリでCu膜が腐食し、かつ、ヨウ素系のAuメタルエッチング液にもCu膜が溶解する。このため、下地パターンをCu−Au膜とし、Cu膜とAu膜とを同時にパターニングしようとすると、これまでの方法(めっき膜を形成しない圧電振動デバイスの製造方法)から大きな変更を伴う。下地パターンをTi−Au層とすることで上記の問題も回避できる。
サンドイッチ構造のパッケージを採用する圧電振動デバイスでは、従来構造に比べてデバイスが薄型化されるため、はんだ実装のためのめっき膜を片方の面に設けると、めっき膜の応力によって反りの問題が生じる。これに対し、本実施の形態に係る水晶振動子101では、第2封止部材4の他主面412に形成される第1〜第4外部電極端子433〜436にめっき膜51を形成するだけでなく、第1封止部材3の一主面311に形成される電極パターン37にもめっき膜52を形成している。すなわち、第1封止部材3および第2封止部材4の両方に、水晶振動板2との接合面と反対側の面にめっき膜51,52が形成されている。このように、めっき膜51,52を水晶振動子101の両面に形成して応力を相殺させることで、反りの低減を図ることが可能となる。
尚、水晶振動子101において、第2封止部材4の他主面412に形成されるめっき膜51と第1封止部材3の一主面311に形成されるめっき膜52とでは、通常、その形状も面積も異なるものとなる。すなわち、本発明において、水晶振動子101の両面に形成されるめっき膜は、同じ形状および面積である必要はなく、めっき膜による応力を完全に相殺させるものでなくてもよく、ある程度の応力が相殺できれば反りの低減を図ることは可能である。また、上述の第1〜第4外部電極端子433〜436および電極パターン37にめっき膜51,52を形成するのみでは十分に反りを低減できない場合、さらにダミーパターンとしてのめっき膜を形成し、このダミーパターンのめっき膜によって反り抑制の効果を高めるようにしてもよい。
また、圧電振動デバイスでは、電極の導通をするためにデバイスの側面にキャスタレーションを形成することも一般的に行われている。しかしながら、水晶振動子101では、キャスタレーションを形成せずに、貫通孔(第1〜第15貫通孔111〜125)を用いて電極の導通を図っている。これは、キャスタレーションが存在する構造では、無電解めっきによりキャスタレーションの膜厚が増加してデバイスの縦横寸法が増加するためである。水晶振動子101では、電極の導通に貫通孔を使用してキャスタレーションを省略することにより、デバイスの縦横寸法が増加することを回避できる。また、めっき膜51,52の成膜時に、貫通孔の周囲の凹凸が膜成長のコアとなり、下地パターンの表面であるAu膜上に安定した成膜が可能となるといった効果も期待できる。また、Au膜上で安定した無電解めっき膜(ここではNi膜)を製膜する方法としては、Au膜上に微量なPd微粒子を付着させてからめっきを行う方法もある。
また、水晶振動子101では、各パッドや端子の全てに対して貫通孔が存在する。そして、これらの貫通孔には、めっき膜51,52の成膜時に貫通孔の内部にもめっき膜が形成される。これにより、貫通孔における導通性能の向上が図れる。さらには、貫通孔の内部に形成されるめっき膜が、めっき膜51,52に接続されることでめっき膜51,52に対してアンカー効果を発揮し、めっき膜51,52の強度を確保できる。
図2に示す水晶発振器102は、水晶振動子101上にICチップ5が搭載されるものである。この時、電極パターン37がICチップ5を実装するための実装端子および配線として利用され、ICチップ5は金属バンプ(例えばAuバンプ等)38を用いて電極パターン37に接合される。従来の水晶発振器では、水晶振動子上へのICチップの実装には、FCB(Flip chip Bonding)法が一般的に用いられる。水晶発振器102では、電極パターン37にめっき膜52が形成されているが、FCB法によって水晶振動子101上にICチップ5を実装するにあたって、めっき膜52の存在は特に問題とはならない。
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1に示す水晶振動子101および水晶発振器102は、電気回路基板へのはんだ実装を前提とし、外部電極端子上にめっき膜を形成している構造を例示している。本実施の形態2に示す水晶振動子101’および水晶発振器102’は、同じくはんだ実装を前提とするが、外部電極端子を下地としてその上にめっき膜を形成するのではなく、外部電極端子自体をスパッタにより形成される金属積層膜とした構造を例示する。
図9は、本実施の形態2に係る水晶振動子101’の構成を模式的に示した概略構成図であり、図10は本実施の形態2に係る水晶発振器102’の構成を模式的に示した概略構成図である。本実施の形態2に係る水晶振動子101’および水晶発振器102’では、第1封止部材3の一主面311において、電極パターン37およびめっき膜52に代えて金属積層膜による電極パターン37’が形成されており、第2封止部材4の他主面412において、第1〜第4外部電極端子433〜436およびめっき膜51に代えて金属積層膜による第1〜第4外部電極端子433’〜436’が形成されている。上記以外の構成は、実施の形態1における水晶振動子101および水晶発振器102と同様の構成である。
図11は、第1外部電極端子433’の詳細な構造を示す断面図である。尚、電極パターン37’および第2〜第4外部電極端子434’〜436’も第1外部電極端子433’と同様の構成であるため、ここでは第1外部電極端子433’のみを例示して説明する。
本実施の形態2では、第1外部電極端子433’は、第2封止部材4に近い側から下地層4331、バリア(拡散防止)層4332、はんだ付け層4333、保護層4334の4層構造とされている。これらは、スパッタリングによる成膜工程とエッチングによるパターニング工程とによって形成される。
第1〜第4外部電極端子433’〜436’は、水晶振動子101’および水晶発振器102’を電気回路基板にはんだ実装する時のはんだ付けを良好にするために金属積層膜とされている。本願発明者の検討においては、下地層4331をTi、バリア層4332をTiO2、はんだ付け層4333をNiTi、保護層4334をAuとした場合に、良好なはんだ付け性が得られ、かつ、実装後の劣化も抑制できることが確認された。
また、上記構成の第1〜第4外部電極端子433’〜436’では、保護層4334以外の金属層(下地層4331、バリア層4332、はんだ付け層4333)は、いずれもTiを含む層からなる。この場合、Tiを含む3層については、エッチングによるパターニング工程を一括して行うことができ、製造工程を簡略化できるといったメリットもある。
本実施の形態2に係る水晶振動子101’および水晶発振器102’では、第2封止部材4の他主面412に形成される第1〜第4外部電極端子433’〜436’を上述のような金属積層膜とするだけでなく、第1封止部材3の一主面311に形成される電極パターン37’も同じ膜構成及び同じ膜厚の金属積層膜として形成する。すなわち、第1封止部材3および第2封止部材4の両方に、水晶振動板2との接合面と反対側の面に同じ構成の金属積層膜が形成されている。このように、金属積層膜を水晶振動子101’の両面に形成して応力を相殺させることで、反りの低減を図ることが可能となる。
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1に示す水晶振動子101および水晶発振器102は、電気回路基板へのはんだ実装を前提とし、外部電極端子上にめっき膜を形成している構造を例示している。本実施の形態3に示す水晶振動子101”および水晶発振器102”は、同じくめっき膜の形成を前提としている。
サンドイッチ構造の圧電振動デバイスでは、接合される第1封止部材と圧電振動板との間、および圧電振動板と第2封止部材との間には、金属による環状の接合パターンが形成され、この接合パターンの内周部分が気密封止される。また、サンドイッチ構造の圧電振動デバイスに、無電解めっきによって外部電極端子を形成しようとする場合、第1封止部材、第2封止部材および圧電振動板の3枚のウエハが接合された後に、これをめっき液に浸漬させてめっきすることが適当である。
しかしながら、ウエハが接合された後のデバイスをめっき液に浸漬させると、接合されたウエハの隙間にもめっき液が入り込む。この時、上記接合パターンの外周側に配線の一部となる導電部が存在していると、該導電部の周囲に入り込んだめっき液から金属が析出して接続不良の原因となり得る。
このため、本実施の形態3に示す水晶振動子101”および水晶発振器102”は、めっき金属の析出による接続不良を回避できる構造に特徴を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図12は水晶振動子101”の構成を模式的に示した概略構成図であり、図13は水晶発振器102”の構成を模式的に示した概略構成図である。また、図13に示す水晶発振器102”は、図12に示す水晶振動子101”の上面にICチップ5を搭載したものである。まずは、本実施の形態に係る水晶振動子101”の構成について説明する。
−水晶振動子−
本実施の形態に係る水晶振動子101”では、図12に示すように、水晶振動板(圧電振動板)2、第1封止部材3、および第2封止部材4が設けられている。水晶振動子101”では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されてサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。
次に、上記した水晶振動子101”の各構成について図12,14〜19を用いて説明する。ここでは、水晶振動板2、第1封止部材3および第2封止部材4のそれぞれについて、部材単体の構成を説明する。尚、本実施の形態3に係る水晶振動子101”は、実施の形態1に係る水晶振動子101とほぼ類似した構成であるため、実施の形態1と同様の構成については同一の部材番号を付し、その詳細な説明については適宜省略する。
水晶振動板2は、水晶からなる圧電基板であって、図16,17に示すように、その両主面211,212が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、水晶振動板2として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。
水晶振動板2の両主面211,212には、水晶振動板2を第1封止部材3および第2封止部材4に接合するための振動側封止部25がそれぞれ設けられている。振動側封止部25は、水晶振動板2の一主面211に形成された振動側第1接合パターン251および振動側第3接合パターン253と、他主面212に形成された振動側第2接合パターン252および振動側第4接合パターン254とからなる。振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252は、外枠部23に設けられており、平面視で環状に形成されている。振動側第3接合パターン253および振動側第4接合パターン254は、外枠部23において振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252のさらに外周側に設けられており、平面視で環状に形成されている。第1励振電極221および第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
振動側第1接合パターン251および振動側第3接合パターン253は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。振動側第2接合パターン252および振動側第4接合パターン254は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
つまり、振動側第1接合パターン251〜振動側第4接合パターン254は、同一構成からなり、複数の層が両主面211,212上に積層して構成され、その最下層側からTi(チタン)層とAu(金)層とが蒸着形成されている。このように、振動側第1接合パターン251〜振動側第4接合パターン254では、下地PVD膜が単一の材料(Ti)からなり、電極PVD膜が単一の材料(Au)からなり、下地PVD膜よりも電極PVD膜の方が厚い。また、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221と振動側第1接合パターン251と振動側第3接合パターン253とは同一厚みを有し、これらの表面が同一金属からなる。同様に、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222と振動側第2接合パターン252と振動側第4接合パターン254とは同一厚みを有し、これらの表面が同一金属からなる。また、振動側第1接合パターン251〜振動側第4接合パターン254は、非Snパターンである。
ここで、第1励振電極221、第1引出電極223、振動側第1接合パターン251および振動側第3接合パターン253を同一の構成とすることで、同一のプロセスでこれらを一括して形成することができる。同様に、第2励振電極222、第2引出電極224、振動側第2接合パターン252および振動側第4接合パターン254を同一の構成とすることで、同一のプロセスでこれらを一括して形成することができる。詳細には、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング、MBE、レーザーアブレーションなどのPVD法(例えば、フォトリソグラフィ等の加工におけるパターニング用の膜形成法)により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、一括して膜形成を行い、製造工数を減らしてコスト低減に寄与することができる。
接続用接合パターン111c〜115cは、振動側第1接合パターン251〜振動側第4接合パターン254と同様の構成であり、振動側第1接合パターン251〜振動側第4接合パターン254と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン111c〜115cは、水晶振動板2の両主面211,212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動板2の一主面211および他主面212に形成された接続用接合パターン111c〜114cは、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252の外周側において水晶振動板2の4隅(角部)の領域に設けられており、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252とは所定の間隔を隔てて設けられている。また、振動側第3接合パターン253および振動側第4接合パターン254は、接続用接合パターン111c〜114cのさらに外周側に配置され、接続用接合パターン111c〜114cと所定の間隔を隔ててこれを囲うように形成されている。水晶振動板2の他主面212に形成された接続用接合パターン115cは、水晶振動板2の外枠部23において、X軸方向に沿って延びており、第2励振電極222から引き出された第2引出電極224と一体的に形成されている。
水晶振動子101”では、第1〜第4貫通孔111〜114および接続用接合パターン111c〜114c,133,134,136,137は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252よりも外周側、かつ、振動側第3接合パターン253および振動側第4接合パターン254よりも内周側に設けられる。第5貫通孔115および接続用接合パターン115c,131,132,135は、振動側第1接合パターン251および振動側第2接合パターン252よりも内周側に設けられる。接続用接合パターン111c〜115c,131〜137は、振動側第1接合パターン251〜振動側第4接合パターン254とは電気的に接続されていない。
第1封止部材3には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm2]以下の材料が用いられている。具体的には、第1封止部材3は、図14,15に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第1封止部材3の他主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
この第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32には、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン321および封止側第3接合パターン322が形成されている。封止側第1接合パターン321は、平面視で環状に形成されている。封止側第3接合パターン322は、封止側第1接合パターン321のさらに外周側に配置され、平面視で環状に形成されている。
この封止側第1接合パターン321および封止側第3接合パターン322は、第1封止部材3上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜にはTiが用いられ、電極PVD膜にはAuが用いられている。また、封止側第1接合パターン321および封止側第3接合パターン322は、非Snパターンである。
接続用接合パターン116c〜121cは、封止側第1接合パターン321および封止側第3接合パターン322と同様の構成であり、封止側第1接合パターン321および封止側第3接合パターン322と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン116c〜121cは、第1封止部材3の他主面312上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
第1封止部材3の他主面312に形成された接続用接合パターン116c〜119cは、封止側第1接合パターン321の外周側において第1封止部材3の4隅(角部)の領域に設けられており、封止側第1接合パターン321とは所定の間隔を隔てて設けられている。また、封止側第3接合パターン322は、接続用接合パターン116c〜119cのさらに外周側に配置され、接続用接合パターン116c〜119cとは所定の間隔を隔ててこれを囲うように形成されている。
水晶振動子101”では、第6〜第9貫通孔116〜119および接続用接合パターン116c〜119c,139,140は、封止側第1接合パターン321よりも外周側、かつ、封止側第3接合パターン322よりも内周側に設けられる。第10,第11貫通孔120,121および接続用接合パターン120c,121c,138は、封止側第1接合パターン321よりも内周側に設けられる。接続用接合パターン116c〜121c,138〜140は、封止側第1接合パターン321および封止側第3接合パターン322とは電気的に接続されていない。また、配線パターン33も、封止側第1接合パターン321および封止側第3接合パターン322とは電気的に接続されていない。
第2封止部材4には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm2]以下の材料が用いられている。具体的には、第2封止部材4は、図18,19に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第2封止部材4の一主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
この第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン421および封止側第4接合パターン422が形成されている。封止側第2接合パターン421は、平面視で環状に形成されている。封止側第4接合パターン422は、封止側第2接合パターン421のさらに外周側に配置され、平面視で環状に形成されている。
この封止側第2接合パターン421および封止側第4接合パターン422は、第2封止部材4上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜にはTiが用いられ、電極PVD膜にはAuが用いられている。また、封止側第2接合パターン421および封止側第4接合パターン422は、非Snパターンである。
接続用接合パターン122c〜125cは、封止側第2接合パターン421および封止側第4接合パターン422と同様の構成であり、封止側第2接合パターン421および封止側第4接合パターン422と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン122c〜125cは、第2封止部材4の一主面411上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
第2封止部材4の一主面411に形成された接続用接合パターン122c〜125cは、封止側第2接合パターン421の外周側において第2封止部材4の4隅(角部)の領域に設けられており、封止側第2接合パターン421とは所定の間隔を隔てて設けられている。封止側第4接合パターン422は、接続用接合パターン122c〜125cのさらに外周側に配置され、接続用接合パターン122c〜125cとは所定の間隔を隔ててこれを囲うように形成されている。
水晶振動子101”では、第12〜第15貫通孔122〜125および接続用接合パターン122c〜125c,141,142は、封止側第2接合パターン421よりも外周側、かつ、封止側第4接合パターン422よりも内周側に設けられる。接続用接合パターン143,144は、封止側第2接合パターン421よりも内周側に設けられる。接続用接合パターン122c〜125c,141〜144は、封止側第2接合パターン421および封止側第4接合パターン422とは電気的に接続されていない。
水晶振動子101”では、水晶振動板2、第1封止部材3、および第2封止部材4が、以下のように接合されてサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。すなわち、水晶振動板2と第1封止部材3とが、振動側第1接合パターン251および封止側第1接合パターン321を重ね合わせ、振動側第3接合パターン253および封止側第3接合パターン322を重ね合わせた状態で拡散接合される。そして、水晶振動板2と第2封止部材4とが、振動側第2接合パターン252および封止側第2接合パターン421を重ね合わせ、振動側第4接合パターン254および封止側第4接合パターン422を重ね合わせた状態で拡散接合される。これにより、別途接着剤等の接合専用材を用いずに、パッケージ12の内部空間13、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。
そして、図12に示すように、水晶振動板2と第1封止部材3との間では、振動側第1接合パターン251および封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材15aとなり、振動側第3接合パターン253および封止側第3接合パターン322自身が拡散接合後に生成される接合材15cとなる。そして、水晶振動板2と第2封止部材4との間では、振動側第2接合パターン252および封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材15bとなり、振動側第4接合パターン254および封止側第4接合パターン422自身が拡散接合後に生成される接合材15dとなる。ここで、接合材15a,15bは、平面視で振動部22を囲うように環状に形成され、振動部22を気密封止する第1環状部として形成されたものである。また、接合材15c,15dは、接合材16a〜16d,17a〜17dのさらに外周側で接合材16a〜16d,17a〜17dを囲うように環状に形成され、接合材16a〜16d,17a〜17dと所定の間隔を隔てて設けられる第2環状部として形成されたものである。
接合材15a〜15dは、平面視で略一致する位置に設けられている。つまり、接合材15a〜15dの内周縁および外周縁が略一致する位置に設けられている。なお、各接合パターンの接合を加圧した状態で行うことによって、接合材15a〜15dの接合強度を向上させることが可能である。
この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。具体的には、水晶振動板2の4隅の接続用接合パターン111c〜114cおよび第1封止部材3の4隅の接続用接合パターン116c〜119cが拡散接合される。そして、接続用接合パターン111c〜114cおよび接続用接合パターン116c〜119c自身は、拡散接合後に生成される接合材16a〜16dとなる。また、水晶振動板2の長辺近傍領域の接続用接合パターン133,134および第1封止部材3の長辺近傍領域の接続用接合パターン139,140が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン115cおよび第1封止部材3の接続用接合パターン138が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン131および第1封止部材3の接続用接合パターン121cが拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン132および第1封止部材3の接続用接合パターン120cが拡散接合される。これらの接続用接合パターン自身が拡散接合後に生成される接合材は、貫通孔の貫通電極を導通させる役割、および接合箇所を気密封止する役割を果たす。
同様に、水晶振動板2の4隅の接続用接合パターン111c〜114cおよび第2封止部材4の4隅の接続用接合パターン122c〜125cが拡散接合される。そして、接続用接合パターン111c〜114cおよび接続用接合パターン122c〜125c自身は、拡散接合後に生成される接合材17a〜17dとなる。また、水晶振動板2の長辺近傍領域の接続用接合パターン136,137および第2封止部材4の長辺近傍領域の接続用接合パターン141,142が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン115cおよび第2封止部材4の接続用接合パターン144が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン135および第2封止部材4の接続用接合パターン143が拡散接合される。
本実施の形態に係る水晶振動子101”は、電気回路基板への実装の際、はんだ実装を適用することを前提とするものであり、図12に示すように、第2封止部材4の他主面412に形成される第1〜第4外部電極端子433〜436上にめっき膜51が形成される。また、電気回路基板へのはんだ実装の観点からめっき膜の形成が必要となるのは、第1〜第4外部電極端子433〜436のみである。しかしながら、本実施の形態に係る水晶振動子101”では、第1封止部材3の一主面311に形成される電極パターン37にもめっき膜52が形成されてもよい。
図13に示す水晶発振器102”は、水晶振動子101”上にICチップ5が搭載されるものである。この時、電極パターン37がICチップ5を実装するための実装端子および配線として利用され、ICチップ5は金属バンプ(例えばAuバンプ等)38を用いて電極パターン37に接合される。従来の水晶発振器では、水晶振動子上へのICチップの実装には、FCB(Flip chip Bonding)法が一般的に用いられる。水晶発振器102”では、電極パターン37にめっき膜52が形成されているが、FCB法によって水晶振動子101”上にICチップ5を実装するにあたって、めっき膜52の存在は特に問題とはならない。
めっき膜51,52の成膜は、水晶振動板2、第1封止部材3、および第2封止部材4の接合後に、無電解めっき法により行うことが好ましい。すなわち、水晶振動板2、第1封止部材3、および第2封止部材4の接合された水晶振動子101”をめっき液に浸漬させてめっきを行う。この時、水晶振動子101”全体をめっき液に浸漬させることで、第1〜第4外部電極端子433〜436および電極パターン37に対して同時にめっきを行うことができる。
このように水晶振動子101”をめっき液に浸漬させると、接合された各部材(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の隙間にもめっき液が入り込む。本実施の形態に係る水晶振動子101”では、第2環状部である接合材15c,15dが形成されていることにより、めっき金属の析出による接続不良を防止することができる。
水晶振動子101”では、第1環状部である接合材15a,15bの外周側に、接合材16a〜16dおよび接合材17a〜17dが導電パターンとして形成されている。接合材16a〜16dおよび接合材17a〜17dは、第1封止部材3の一主面311における電極パターン37と、第2封止部材4の他主面412における第1〜第4外部電極端子433〜436とを電気的に接続する配線の一部として機能する。言い換えれば、接合材16a〜16dおよび接合材17a〜17dは、水晶振動板2に形成された貫通孔(第1〜第4貫通孔111〜114)と第1または第2封止部材3,4に形成された貫通孔(第6〜第9貫通孔116〜119,第12〜第15貫通孔122〜125)とを電気的に結合するものとなる。
この場合、水晶振動子101”に接合材15c,15dが形成されていなければ、めっき液は各部材の隙間において接合材16a〜16d,17a〜17dの周囲にまで入り込む。接合材16a〜16d,17a〜17dの周囲にめっき液が入り込むと、このめっき液から金属が析出し、例えば、接合材16a〜16d,17a〜17dと接合材15a,15bとの短絡といった接続不良の原因となり得る。
これに対し、接合材15c,15dが形成されている場合には、これによって接合材16a〜16dや接合材17a〜17dの周囲にめっき液が入り込むことを防止できる。その結果、接合材16a〜16d,17a〜17dの周囲での金属析出による接続不良も防止できる。
尚、第1環状部である接合材15a,15bは、水晶振動板2の振動部22を気密封止するものであり高い封止性が要求されるのに対し、第2環状部である接合材15c,15dは、めっき液の侵入を防止できる程度の封止性があればよい。このため、接合材15c,15dの線幅は、接合材15a,15bの線幅に比べて細いものであってもよい。
圧電振動デバイスでは、電極の導通をするためにデバイスの側面にキャスタレーションを形成することが一般的に行われている。しかしながら、水晶振動子101”では、キャスタレーションを形成せずに、貫通孔(第1〜第15貫通孔111〜125)を用いて電極の導通を図っている。これは、キャスタレーションが存在する構造では、無電解めっきによりキャスタレーションの膜厚が増加してデバイスの縦横寸法が増加するためである。水晶振動子101”では、電極の導通に貫通孔を使用してキャスタレーションを省略することにより、デバイスの縦横寸法が増加することを回避できる。
また、図15,16に示される第1封止部材3の他主面312および水晶振動板2の一主面211では、接合材15aとなる封止側第1接合パターン321および振動側第1接合パターン251と、封止側第3接合パターン322および振動側第3接合パターン253とがそれぞれ分離して形成されている。同様に、図17,18に示される水晶振動板2の他主面212および第2封止部材4の一主面411では、接合材15bとなる振動側第2接合パターン252および封止側第2接合パターン421と、振動側第4接合パターン254および封止側第4接合パターン422とがそれぞれ分離して形成されている。したがって、水晶振動子101”においても、第1環状部である接合材15a,15bと、第2環状部である接合材15c,15dとはそれぞれ分離して形成される。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものでなく、第1環状部である接合材15a,15bと、第2環状部である接合材15c,15dとは、一部が重畳するように形成されてもよい。図20,21に示される第1封止部材3の他主面312および水晶振動板2の一主面211では、接合材15aとなる封止側第1接合パターン321および振動側第1接合パターン251と、封止側第3接合パターン322および振動側第3接合パターン253との一部が重畳するように形成されている。同様に、図22,23に示される水晶振動板2の他主面212および第2封止部材4の一主面411では、接合材15bとなる振動側第2接合パターン252および封止側第2接合パターン421と、振動側第4接合パターン254および封止側第4接合パターン422との一部が重畳するように形成されている。この場合、水晶振動子101”においても、第1環状部である接合材15a,15bと、第2環状部である接合材15c,15dとは、一部が重畳するように形成される。このように、第1環状部と第2環状部との重畳を許容することで、第2環状部の形成による水晶振動子101”のサイズの増大を最小限とすることができ、水晶振動子101”の小型化に寄与する。
尚、図20〜23の構成では、水晶振動子101”の短辺に沿った短辺近傍領域で第1環状部と第2環状部との重畳が生じるが、本発明はこれに限定されるものではなく、長辺近傍領域で重畳を生じさせてもよく、あるいは短辺近傍領域および長辺近傍領域の両方で重畳を生じさせてもよい。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。