JPWO2018034332A1 - EphA2 N末端フラグメント抗体 - Google Patents
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Abstract
Description
EphA2のチロシンキナーゼ活性は、ephrin A1などのリガンドが結合すると活性化される。正常な上皮細胞では、EphA2のチロシン残基(Tyr594)のリガンド誘導的な自己リン酸化がErb-B受容体によりメディエートされる増殖シグナルを抑制し、細胞を正常な状態に維持する役割を果たしている。つまり、EphA2は正常細胞において腫瘍サプレッサー様活性を有しているが、がん細胞において過剰に発現するとがんの進行を促進する。
最近の研究により、EphA2は相反する2つの活性を有していることが明らかになってきた。リガンド依存的に機能するEphA2とは異なり、リガンド非存在下でEphA2は、ErbB受容体の刺激後Ras/MAPKによりセリン残基(Ser897)がリン酸化され(非特許文献2)、ephexin-4/RhoGとのドッキングサイトとして作用し、Rac1の活性化を誘導する(非特許文献3)。このように、がんの進行におけるEphA2の作用機序が解明されてきたことにより、EphA2は抗がん剤の分子標的として注目されている。
このような事情に鑑み、本発明者らは、MT1-MMPで切断されたEphA2のN末端側フラグメントのみを特異的に認識する抗体の作製を解決課題として研究を進めた。
すなわち、本発明は、MT1-MMPで切断されたEphA2のN末端側フラグメントと特異的に結合する抗体および該抗体の作製方法の提供を目的とする。
また、本発明は前記抗体を用いたがんの検査方法の提供を目的とする。
さらに、本発明は前記抗体を含むがんの検査用キットの提供を目的とする。
EphA2はエクソソーム(exosome)にも存在していることが報告されており、血中にMT1-MMPで切断されたEphA2のN末端側フラグメント(以下、「MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメント」とも記載する)以外にも、完全長の(無傷の)EphA2が存在していることが予想された。また、他のEphファミリー分子は膜プロテアーゼで切断されることが報告されており、EphA2についても、膜プロテアーゼによってプロセッシングを受ける可能性も否定できず、膜プロテアーゼでプロセッシングを受けたフラグメントが血中に存在していることも予想された。
すなわち、単に、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントを免疫して得られた抗体が、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントのみを特異的に認識する保証はなく、抗体のスクリーニングの段階で新たな知見等に基づいた方法を検討する必要があった。
発明者らは、鋭意検討を行い抗体のスクリーニングを行った結果、完全長EphA2とEphA2細胞外ドメインフラグメントは認識せず、「MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメント」のみを特異的に認識する抗体の作製に成功し、本発明を完成させた。
(1)MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントと特異的に結合し、完全長のEphA2とは結合せず、かつ、EphA2細胞外ドメインフラグメントにも結合しない抗体。
(2)以下の(a)のタンパク質と結合し、かつ(b)および(c)のタンパク質とは結合しないことを特徴とする上記(1)に記載の抗体。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目(ここで、Xは328以上435以下の整数、以下同じ)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
前記タンパク質について具体的な一例として、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号3で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(3)前記(a)、(b)および/または(c)に記載のタンパク質が動物細胞で発現したものであることを特徴とする上記(2)に記載の抗体。
(4)被験者由来の試料中のMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメント量を、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の抗体を用いて測定する工程を含むがんの検査方法。
(5)前記がんが、EphA2を発現していることを特徴とする上記(4)に記載のがんの検査方法。
(6)前記がんが、すい臓がんおよび胃がんであることを特徴とする上記(4)または(5)に記載のがんの検査方法。
(7)前記試料が、血液、リンパ液、唾液、痰、尿または糞便から選択される少なくとも1つであることを特徴とする上記(4)ないし(6)のいずれかに記載のがんの検査方法。
(8)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の抗体を含むがんの検査用キット。
(9)試料中に存在するMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントの量を上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の抗体で測定する方法。
(10)上記(9)の測定方法で測定したMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントの量に基づいて、試料中のMT1-MMPプロテアーゼ活性を測定する方法。
(11)前記試料が、MT1-MMPおよびEphA2を共発現する細胞を培養した培養液であることを特徴とする上記(10)に記載の方法。
(12)以下の工程(i)および(ii)を含む、抗体の作製方法。
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目(ここで、Xは328以上435以下の整数、以下同じ)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質のいずれかに結合する抗体を作製する工程、
前記タンパク質について具体的な一例として、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質のいずれかに結合する抗体を作製する工程、
(ii)工程(i)で作製した抗体のうち、下記の(b)および(c)のタンパク質とは結合しない抗体を選択する工程
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号3で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
発明者らは、これまでに、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントが、がん細胞から離れ血流中を循環することを見いだし、このMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントが、早期に検出可能ながんマーカーとして使用し得ることを明らかにしている(特許文献1)。しかしながら、EphA2のN末端側フラグメントを免疫原として作製した抗体は、EphA2のN末端側フラグメントを特異的に認識するものではあるが、同時に、完全長のEphA2をも認識する可能性が高かった。しかも、血中には、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントのみならず、完全長のEphA2も存在している可能性が示唆されており(Proceedings: AACR 106th Annual Meeting 2015; April 18-22, 2015; Philadelphia, PA)、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントと完全長のEphA2を区別して認識する抗体を取得する必要があった。さらに、Ephファミリー分子は膜プロテアーゼで切断されることが報告されていることから(Bai G., Pfaff S. L. (2011). Protease regulation: the Yin and Yang of neural development and disease. Neuron 72, 9-21)、EphA2についても、膜プロテアーゼによってプロセッシングを受ける可能性が考えられ、単にN末端側フラグメントを免疫原として作製した抗体は、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメント以外のフラグメントをも認識してしまう可能性があった。
上記のような方法で取得した抗体は、後述の実施例に示すように、がん患者由来の血液サンプルに特異的に反応することが確認され、がんマーカーとしての利用が期待されている、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントと特異的に結合するものである。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目(ここで、Xは328以上435以下の整数、以下同じ)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
前記タンパク質について具体的な一例として、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号3で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントに結合する抗体を作製するための抗原は、どのように調製したものであってもよいが、動物細胞内で発現したものが好ましい。
抗体と抗原タンパク質との結合の有無を確認する方法としては、特に限定されず、当業者において公知の方法を採用すればよいが、たとえば、免疫沈降法、ウエスタンブロッティング法により抗原タンパク質との結合の有無を確認する方法を挙げることができる。
本発明の抗体断片は、本発明の抗体の一部分の領域を意味し、たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv(variable fragment of antibody)、一本鎖抗体(重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域等)、scFv、diabody(scFv二量体)、dsFv(ジスルフィド安定化可変領域)、ならびに、CDRを少なくとも一部に含むペプチド等が挙げられる。
ここで、「モノクローナル」というのは、実質的に均一な抗体の集団より得られた抗体の特性を示唆するものであって、抗体が特定の方法により製造されることを限定するものではない。たとえば、本発明において用いられるモノクローナル抗体を、たとえばハイブリドーマ法(Kohler and Milstein,Nature256:495(1975))または組換え法(米国特許第4,816,567号)により製造してもよい。また、本発明のモノクローナル抗体は、ファージ抗体ライブラリーから単離してもよい(Clackson et al., Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991))。
この方法には以下に示す4つの工程が含まれる:(1)宿主動物に免疫原を免疫する、(2)モノクローナル抗体分泌性(または潜在的に分泌性)のリンパ球を回収する、(3)リンパ球を不死化細胞に融合させる、(4)所望のモノクローナル抗体を分泌する細胞を選択する。
マウス、ラット、モルモット、ハムスターまたは他の適当な宿主動物が、免疫動物として選択され免疫原がインジェクトされる。
免疫後、宿主動物から得られたリンパ球はハイブリドーマ細胞を樹立するために、ポリエチレングリコールなどの融合剤を用いて不死化細胞株と融合する。融合細胞としては、たとえば、ラットまたはマウスのミエローマ細胞株が使用される。細胞融合を行った後、融合しなかったリンパ球および不死化細胞株の成長または生存を阻害する1または複数の基質を含む適切な培地中で細胞を生育させる。通常の技術では、酵素のヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く親細胞を使用する。この場合、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンがHGPRT欠損細胞の成長を阻害し、ハイブリドーマの成長を許容する培地(HAT培地)に添加される。このようにして得られたハイブリドーマから、所望の抗体を産生するハイブリドーマを選択し、該ハイブリドーマが生育する培地から、常法に従い、目的のモノクローナル抗体を取得することができる。
このようにして調製したハイブリドーマをインビトロ培養し、または、マウス、ラット、モルモット、ハムスターなどの腹水中でインビボ培養し、目的の抗体を培養上清、また、腹水から調製することができる。
本発明の第2の実施形態(「本発明のがんの検査方法」とも記載する)において、「MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメント」の量の抗体による測定は、被験者由来の試料中に存在する当該フラグメントを検出し得る、当業者において公知のあらゆる方法により実施することができ、たとえば、免疫学的手法を利用した方法により行うことができる。免疫学的手法としては、本発明の抗体、場合によっては、検出可能に標識した本発明の抗体を用いて、たとえば、免疫クロマトグラフィー法、ウエスタンブロッティング法、表面プラズモン法、ELISA法(たとえば、直接競合ELISA、間接競合ELISA、サンドイッチELISAなど)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、水晶振動子マイクロバランス法(Quartz crystal microbalance; QCM)および磁性ビーズを使用した方法などを挙げることができる。
捕捉抗体と結合した抗原の検出は、非標識の1次抗体(検出抗体)を使用して、酵素標識した2次抗体由来のシグナルを、たとえば、吸光度として検出し、標準曲線に基づいて、試料中の抗原量を定量することもできる。標識としては、HRPなどを例示することができ、この場合、HRPの基質として、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、o-フェニレンジアミン(OPD)などを使用することができる。また、アルカリホスファターゼで標識する場合には、基質としてp-ニトロフェニルホスフェート(NPP)などを使用することができる。
なお、抗体の標識は、ビオチン−アビジン結合を介して行ってもよい(すなわち、ビオチン化した抗体にアビジン-HRPまたはアビジン-アルカリホスファターゼを添加する)。
また、発明者らは、MT1-MMPの発現が亢進するとEphA2の切断頻度が高まり、がん細胞の増殖、生存および運動が促進され、がん細胞の悪性形質への進行が進むことを見いだしている(特許文献1など)。したがって、患者由来の試料について、経時的に本発明のがんの検査方法を適用することにより、がんの進行度またはがん治療の治療効果の判断資料を得ることも可能である。
また、本発明のがんの検査方法の対象となるがんは、EphA2が発現している細胞ががん化したものであれば、いかなるものであってもよく、たとえば、すい臓がん、胃がん、食道がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、甲状腺がん、子宮がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がん、黒色腫またはグリオーマなどを挙げることができる。
MT1-MMPの活性はがんの発症およびがんの進行と密接な関連性を有しており、MT1-MMPは抗がん剤の標的分子としても重要であると考えられている。これまで、インビボにおけるMT1-MMP(プロテアーゼ)活性を測定する手段はなかったが、本発明の抗体を使用して、被験者由来の試料(たとえば、体液など)中に存在するMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントの量を測定し、その量に基づいて被験者の生体内におけるMT1-MMP活性を評価することが可能である。
また、抗がん剤の候補分子をスクリーニングする目的で、抗がん剤候補分子存在下におけるMT1-MMP活性を上述の方法でモニターすることにより、抗がん剤候補分子がMT1-MMP活性に与える影響を評価することができる。より具体的には、MT1-MMPおよびEphA2を共発現する細胞をMT1-MMPを標的とする候補分子の存在下で培養し、その培養液を試料としてMT1-MMPの活性を評価すれば、その候補分子のMT1-MMPに対する影響を調べることができる。したがって、本発明の第4の実施形態にかかる方法は、抗がん剤候補分子のスクリーニングにも使用することができる。
上述の通り、発明者らは、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントと、完全長のEphA2および膜プロテアーゼによってプロセッシングを受けた場合に生じる可能性のあるEphA2の細胞外ドメインの立体構造が、各々、相違すると予想した。そして、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントを免疫原として作製したいくつかの抗体の中から、下記の(ii)の工程を含む抗体作製方法を行うことにより、完全長(インタクト(無傷))のEphA2およびEphA2の細胞外ドメインのいずれにも反応しない抗体を調製することに初めて成功した。
すなわち、本発明の第5の実施形態は、以下の工程(i)および(ii)を含む、抗体の作製方法である。
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目(ここで、Xは328以上435以下の整数、以下同じ)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質のいずれかに結合する抗体を作製する工程、
前記タンパク質について具体的な一例として、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質のいずれかに結合する抗体を作製する工程、
(ii)工程(i)で作製した抗体のうち、下記の(b)および(c)のタンパク質とは結合しない抗体を選択する工程
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号3で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
第5の実施形態の抗体(ii)に記載される(b)および(c)のタンパク質は、第1の実施形態の(b)および(c)のタンパク質と、各々、同一である。
上記第5の実施形態により得られた抗体は、MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントのみと特異的に結合し、がんの診断において非常に有用であることが明らかとなった(実施例を参照のこと)。
本発明の第5の実施形態に含まれる工程(i)および(ii)は、当業者において過度の試行錯誤が必要となる工程ではなく、当該技術分野において通常の実施の範囲内において、容易に行うことが可能である。
以下に実施例を示してさらに本発明の説明を行うが、実施例は、あくまでも本発明の実施形態の例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
EphA2抗体
抗-EphA2モノクローナル抗体(mAb)96-1およびポリクローナル抗体(pAb)C309は、第一三共株式会社から供与された(Tokyo, Japan)。mAb 96-1およびpAb C309のエピトープは、各々、リガンド結合ドメインおよびシステインリッチドメイン(CRD; cysteine-rich domain)に存在することが確認されている。
EphA2に対する他の抗体、pAbs 371805およびpAbs C20は、各々、R&D Systems(Minneapolis, MN, USA)およびSanta Cruz Biotechnology(Dallas, TX, USA)から購入した。pAbs 371805およびpAbs C20抗体のエピトープは、各々、EphA2リガンド結合ドメインおよび細胞質ドメインに存在する。
pAb 309以外のすべての抗体は、免疫沈降に使用することができる。
ヒトEphA2 cDNAはOpen Biosystems(Huntsville, AL, USA)から購入した。コード領域の1-981番目までのヌクレオチドおよび1-1578番目までのヌクレオチド(各々、Antigen #1およびAntigen #5)に相当するフラグメントの3’末端にFLAGタグのコード領域を連結させ、PCRで増幅し、Gateway System(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を使用して、pcDNA3.2 DEST mammalian-expression vectorにサブクローニングした(図1A)。Ephrin結合ドメイン+CRD(Antigen #1)またはEphrin結合ドメイン+CRD+stem領域(Antigen #5;EphA2細胞外ドメイン)の発現ベクターは、血清フリーの条件下でHEK293細胞に一過的にトランスフェクトした。発現した組換え抗原は、血清フリー条件培地中に分泌されたものを回収し、抗FLAGアガロースアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。組換え抗原の純度は、SDS-PAGE後CBB染色を行い確認した。
抗体のエピトープマッピングを行うために、EphA2の28番目〜125番目 (Antigen #2)、101番目〜250番目 (Antigen #3)および226番目〜328番目 (Antigen #4)のアミノ酸配列に対応する塩基配列のC末端にFLG配列を付してPCRで増幅し、Gateway System を用いてpET160ベクターにサブクローニングした(図1A)。組換え抗原は、大腸菌中で発現させ、抗FLAGモノクローナル抗体結合アガロースクロマトグラフィーで精製した。
リガンド結合ドメインとAntigen #1を等量の完全フロイントアジュバント(Difco; Diagnostic Systems, Sparks, MD, USA)でエマルジョン化し、50μgをBALB/cマウスの腹腔内にインジェクトした。その後、不完全フロイントアジュバントでエマルジョン化した等量のAntigen #1で、2週間毎に2回ブーストした。3回目の免疫から6週間後、アジュバント無しで、同量のラミニン‐γ2タンパク質をマウスの血管内に注射した。血管内注射から3日後、採血した血液を、室温にて3,000rpmで遠心し血清を得た。得られたリガンド結合ドメインに対する特異性を示す血清は、ハイブリドーマのスクリーニングの間、ポジティブコントロールとして使用した。
マウスミエローマ細胞株(P3U1)と脾臓細胞との細胞融合は、IBL Co. Ltd.(Gunma, Japan)から報告されている方法に従って行った。調製したハイブリドーマ細胞はHAT選択培地中、10日間培養し、その後、96ウェルプレートにまき直した。増殖している細胞を含む各ウェルの上清は、Antigen #1を抗原とするELISA法により、生産された抗体の確認に使用した。細胞の限界希釈およびクローニングを2回繰り返し、Antigen #1に対する抗体を生産する3つのハイブリドーマ(mAb 46A1、62A1および76A1)を得た。得られたモノクローナル抗体のエピトープ解析行うために、組換え抗原(Antigens #2、#3および#4)を用い、非還元条件および還元条件でウエスタンブロッティングを行った。
放射免疫沈降アッセイ(RIPA ; radioimmunoprecipitation assay)バッファー(最終体積;200μL)中、A431細胞抽出物に含まれるAntigen #1:(1μg)、Antigen #5:(1μg)または完全長のEphA2タンパク質を、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体と共に、4℃で一晩インキュベートした。次に、懸濁したProtein-G磁気ビーズを40μLのインキュベーション混合物に添加し、撹拌しながら4℃で1時間インキュベートした。Protein-G磁気ビーズをRIPAバッファーで3回洗浄し、抗原/抗体複合体を含むビーズを磁気ラックで除去した。沈降させた抗原/抗体複合体は、5 % β2-メルカプトエタノールを含む2 x SDSサンプルバッファーを添加し、磁気ビーズから遊離させた。
96ウェルプレートをmAb 76A1またはmAb 46A1(PBS中、20μg/mL)、ネガティブコントロールとしての免疫前血清で、4℃で一晩処理した。次に、室温にて、ウェルをタンパク質フリーのlocking buffer(Pierce Biotechnology, Rockford, IL, USA)で1時間ブロッキングし、その後40分間乾燥させた。各ウェルは、PBS/0.05% Tween-20 トリスで洗浄後、MT1-MMP切断フラグメントの量を増加させながら(Antigen #1: 0-1,000 pg/mL)各ウェルに添加し、次いで、ビオチン化mAb 62A1と37℃で1時間反応させた。その後ウェルを洗浄した後、結合した抗原をアビジン-D-HRP (0.1μg/mL)で検出した。1 N H2SO4で反応を停止させた後、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンを添加し、ウェルの吸光度/リファレンス(590 nm/620 nm)をBio-Rad spectrophotometer (Bio-Rad, Hercules, CA, USA)を使用して測定した。
すい臓がん患者由来の血清(10ケース)をProMedDx(Norton, MA, USA)から入手した。胃(17ケース)、食道(8ケース)、胃食道(1ケース)および頭頸部(9ケース)の各がん患者由来の血清、および健康者由来の血清(50ケース)は、Kokusai Bio, Inc.(Tokyo, Japan)から入手した。また、コントロールとして、すい臓がん患者および健康者由来の血清試料に対して、消化器系がんマーカーであるCA19-9の解析を行った。
組換え抗原の精製
SP(シグナルペプチド、アミノ酸1-27;配列番号1)に続いて存在するEphA2細胞外ドメインは、N末側から順に、リガンド(Ephrin)結合ドメイン(アミノ酸28-201)、CRD(システインリッチドメイン、アミノ酸202-328)およびステム領域(アミノ酸329-537)から構成されている(図1A)。発明者らおよび他の研究者によりマッピングされたMT1-MMP切断サイトを矢印で示した。
抗体の調製に使用する抗原として、アミノ酸28-328(Antigen #1)およびアミノ酸28-537(Antigen #5)の各領域のC末端にFLAGタグを結合したものを、HKE293細胞中で発現させた(図1A)。各抗原は、抗FLAG mAbを使用して精製し、抗FLAG mAbでウエスタンブロッティングを行った(図1B)。さらに、C末端にFLAGタグを、N末端にGSTタグを付した3種類の抗原(Antigen #2、#3および#4)を大腸菌中で発現させて調製した。各抗原は、抗FLAG mAbを用いて精製し、その純度は抗FLAG mAbを使用してウエスタンブロッティングを行い確認した(図1B)。
マウスをAntigen #1(5μg/マウス)で免疫し、400個のハイブリドーマ細胞を得た。Antigen #1(0.5μg/プレート)でコートしたプレートを用いて、各ハイブリドーマから分泌される抗体をELISA法でスクリーニングした。その結果、IgG1クラスを産生する3つのハイブリドーマクローン(46A1、62A1および76A1)を取得し、さらに解析を行った。抗体の反応性を確認するために、Antigen #1を取得した抗体で免疫沈降させ、沈降物を還元条件でPAGEを行い、その後、抗FLAG mAbを用いてウエスタンブロッティングを行った(図2A)。異なるハイブリドーマクローン由来の3種類のモノクローナル抗体は、ポジティブコントロール抗体(371805および96-1)を用いた結果と同様にAntigen #1を沈降させたが、ネガティブコントロール抗体(C309、マウスIgG、抗FLAG mAb)はAntigen #1を沈降させなかった(図2A)。
以上のことから、MT1-MMPによるEphA2の切断フラグメント(Antigen #1)を免疫原として得られた抗体のうち、完全長EphA2およびEphA2の細胞外ドメイン(Antigen #5)に結合しない抗体をスクリーニングすることで、MT1-MMPによるEphA2の切断フラグメントのみを特異的に認識する抗体の取得が可能であることが分かった。
サンドイッチELISA法の実施にあたり、捕捉抗体として76A1を、検出抗体として62A1を使用した。抗原量を増大させた場合のELISAの定量的反応性の程度を確認するために、Antigen #1を血清に添加(0-250 pg/mL)し、その血清をアッセイに供した。標準曲線は用量依存的な直線性を示し(図4A)、10 ng/mLのAntigen #1を添加しても飽和しなかった。そこで、胃がん患者17人、すい臓がん患者9人、食道がん患者8人、胃食道がん患者1人、頭頸部のがん患者9人に由来する血清サンプル、および50人(男性25人、女性25人)の健康な被験者由来の血清サンプルに対し、ELISAを行った(図4BおよびC)。健康な被験者のサンプル中の可溶性EphA2の平均濃度は、95.6±13.04 pg/mLであったので、カットオフ値を350 pg/mL(平均値±2SDs)に設定した。興味深いことに、より高い可溶性EphA2濃度が、胃がんサンプル(460.0±379.2 pg/mL)とすい臓がんサンプル(950.7±316.9 pg/mL)において検出された。特に、すい臓がんの9患者のうち8患者のサンプルにおいて、可溶性EphA2濃度がカットオフ値を超えていた(図4BおよびC)。
比較のために、既知の消化器系腫瘍(すい臓がんを含む)マーカーであるCA19-9のレベルを測定した(図5C)。すい臓がん患者由来の血清に対するCA19-9の検出感度および特異性は、各々、88.9%および72.0%であった。また、CA19-9のAUCは、0.83であった。この結果から、可溶性EphA2フラグメントの量を本発明の抗体を用いて測定した結果に基づくすい臓がんの診断精度は、CA19-9を検出することに基づく診断精度よりも優れていることが明らかとなった(図5AおよびC)。
可溶性EphA2フラグメントの検出を行う際に、本発明の抗体(すなわち、MT1-MMPによるEphA2の切断フラグメントのみを特異的に認識する抗体)を用いた場合と、野生型EphA2も認識する既存の抗体を用いた場合とで、血中の可溶性EphA2フラグメントの検出精度にどのような違いが生じるか検討を行った。
捕捉抗体として46A1(野生型EphA2と可溶性EphA2の両方に反応する)と76A1(可溶性EphA2フラグメントのみに反応する)を、検出抗体として62A1を使用し、健康な被験者由来の血清サンプルに対してサンドイッチELISAを行った。その結果、捕捉抗体として46A1を用いた測定結果から、健常人血清の幾つかのサンプルで高値のEphA2を含むことが明らかとなった(図6左)。捕捉抗体として76A1を用いたEphA2遊離断片特異的なELISAでは、これらのサンプルは陽性を示さなかった(図6右)。
これらの結果から、既存の汎用抗体(野生型EphA2と可溶性EphA2の両方に反応する)を用いると、エクソソーム等に含まれる野生型EphA2を検出する可能性があり、がんの検査において、可溶性EphA2フラグメントを特異的に検出する抗体(すなわち、本発明の抗体)を使用することの重要性が確認できた。
Claims (12)
- MT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントと特異的に結合し、完全長のEphA2とは結合せず、かつ、EphA2細胞外ドメインフラグメントにも結合しない抗体。
- 以下の(a)のタンパク質と結合し、かつ(b)および(c)のタンパク質とは結合しない抗体。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目(ここで、Xは328以上435以下の整数、以下同じ)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号3で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、 - 前記(a)、(b)および/または(c)に記載のタンパク質が動物細胞で発現したものであることを特徴とする請求項2に記載の抗体。
- 被験者由来の試料中のMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメント量を、請求項1ないし3のいずれかに記載の抗体を用いて測定する工程を含むがんの検査方法。
- 前記がんが、EphA2を発現していることを特徴とする請求項4に記載のがんの検査方法。
- 前記がんが、すい臓がんおよび胃がんであることを特徴とする請求項4または5に記載のがんの検査方法。
- 前記試料が、血液、リンパ液、唾液、痰、尿または糞便から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のがんの検査方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の抗体を含むがんの検査用キット。
- 試料中に存在するMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントの量を請求項1ないし3のいずれかに記載の抗体で測定する方法。
- 請求項9の測定方法で測定したMT1-MMP切断EphA2-N末側フラグメントの量に基づいて、試料中のMT1-MMPプロテアーゼ活性を測定する方法。
- 前記試料が、MT1-MMPおよびEphA2を共発現する細胞を培養した培養液であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
- 以下の工程(i)および(ii)を含む、抗体の作製方法。
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目(ここで、Xは328以上435以下の整数、以下同じ)で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜X番目で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質のいずれかに結合する抗体を作製する工程、
(ii)工程(i)で作製した抗体のうち、下記の(b)および(c)のタンパク質とは結合しない抗体を選択する工程
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号1で表されるアミノ酸配列中28番目〜976番目のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号3で表されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、置換、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質、または配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質
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