JPWO2018020819A1 - 近赤外線吸収微粒子分散液、近赤外線吸収微粒子分散体、近赤外線吸収透明基材、近赤外線吸収合わせ透明基材 - Google Patents
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Abstract
Description
その課題は、前記一般式MxWyOzで記載された複合タングステン酸化物微粒子、当該複合タングステン酸化物微粒子を含有した近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収ガラス、当該複合タングステン酸化物微粒子を含有した分散体や近赤外線吸収合わせ透明基材を、窓材等の構造体に適用した場合、当該窓材等を通過する光において、波長700〜1200nmの近赤外光の透過率も大きく低下してしまうことである。
この結果、前記一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子を用いた窓材等の構造体、近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収ガラス、分散体や合わせ透明基材を介しての、近赤外光を用いた通信、撮像機器、センサー等の使用が制限される事態になる場合も生じていた。
例えば、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収分散体および近赤外線吸収合わせ透明基材を介した場合であっても、近赤外光を用いる通信機器、撮像機器、センサー等の使用を可能とするには、波長800〜900nmの領域における近赤外光の透過率を向上させれば良いと考えられた。そして、当該波長領域における近赤外光の透過率を単に向上させるだけであれば、複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度、近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収ガラスにおける複合タングステン酸化物微粒子の濃度、近赤外線吸収分散体や近赤外線吸収合わせ透明基材における複合タングステン酸化物微粒子の膜中濃度を適宜減少させればよい、とも考えられた。
ここで、太陽光が、肌へのジリジリ感を与えるのは、波長1500〜2100nmの近赤外線の影響が大きいためであると考えられる(例えば、尾関義一ほか、自動車技術会学術講演会前刷集 No.33−99、13(1999)参照)。これは、人間の皮膚の持つ吸光度が、波長700〜1200nmの近赤外光に対しては小さい一方で、波長1500〜2100nmの近赤外線に対しては大きい為であると考えられる。
そして、複合タングステン酸化物微粒子結晶中の酸素空孔の量を制御することによって、ポーラロン吸収を制御する構成にも想到した。
そして、上述した、ポーラロン吸収の大きさを制御することによって波長800〜900nmの近赤外光の透過率を向上させた複合タングステン酸化物微粒子は、従来の技術に係る複合タングステン酸化物微粒子と比較して、近赤外線吸収微粒子としての性能において劣るものではないことが知見された。
これは、ポーラロン吸収の大きさを制御することによって波長800〜900nmの近赤外光の透過率を向上させた複合タングステン酸化物微粒子において、プラズモン吸収の絶対値も減少するが、可視光での透過率が大きくなる。従って、単位面積当たりの複合タングステン酸化物微粒子の濃度をより高く設定することが可能となる。このより高い濃度設定の結果、波長1500〜2100nmの近赤外線の透過を抑制できるためである。
近赤外線吸収微粒子として、少なくとも複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および/または錫ドープ酸化インジウム微粒子とを含む分散液であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が22%以下であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および/または錫ドープ酸化インジウム微粒子とを含む混合粒子が液状媒体中に分散して含有されている分散液であって、
前記液状媒体が水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、プラスチック用液状可塑剤、またはこれらの混合物から選択され、
前記液状媒体で希釈することにより、前記分散液中の近赤外線吸収微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率を85%に調整したときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が11%以下であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散液である。
本発明の第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および錫ドープ酸化インジウム微粒子との重量比が、複合タングステン酸化物微粒子/(アンチモンドープ酸化錫微粒子+錫ドープ酸化インジウム微粒子)=90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散液である。
本発明の第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含むことを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散液である。
本発明の第4の発明は、
近赤外線吸収微粒子として、少なくとも複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および/または錫ドープ酸化インジウム微粒子とを含む混合粒子が、固体状のバインダー中に分散している分散体であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が22%以下であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体である。
本発明の第5の発明は、
前記バインダーが、少なくとも熱可塑性樹脂またはUV硬化性樹脂を含むことを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体である。
本発明の第6の発明は、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂という樹脂群から選択される1種の樹脂、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の混合物、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の共重合体、のいずれかであることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体である。
本発明の第7の発明は、
前記近赤外線吸収微粒子を、0.001質量%以上80.0質量%以下含むことを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体である。
本発明の第8の発明は、
前記近赤外線吸収微粒子分散体が、シート形状、ボード形状またはフィルム形状であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体である。
本発明の第9の発明は、
前記近赤外線吸収微粒子分散体に含まれる単位投影面積あたりの前記近赤外線吸収微粒子の含有量が、0.04g/m2以上10.0g/m2以下であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体である。
本発明の第10の発明は、
可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上42%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が5%以下であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体である。
本発明の第11の発明は、
樹脂基材またはガラス基材である透明基材の少なくとも一方の面上に、第4から第10の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体が形成されていることを特徴とする近赤外線吸収透明基材である。
本発明の第12の発明は、
前記近赤外線吸収微粒子分散体の厚さが10μm以下であることを特徴とする近赤外線吸収透明基材である。
本発明の第13の発明は、
前記透明基材が前記樹脂基材であって、前記樹脂基材がポリエステルフィルムであることを特徴とする近赤外線吸収透明基材である。
本発明の第14の発明は、
可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が12%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が3.0%以下であることを特徴とする近赤外線吸収透明基材である。
本発明の第15の発明は、
複数枚の透明基材間に、第4から第10の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体が存在していることを特徴とする近赤外線吸収合わせ透明基材である。
本発明の第16の発明は、
可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が12%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が3.0%以下であることを特徴とする近赤外線吸収合わせ透明基材である。
本発明者らは、前記複合タングステン酸化物微粒子の一部をATO微粒子および/またはITO微粒子で置き換えることにより、近赤外線吸収機能への影響を抑えながら、波長2100nmにおける透過率をより抑えられることを知見した。これにより、前記複合タングステン酸化物微粒子と、ATO微粒子および/またはITO微粒子との混合粒子を溶媒中に分散させた場合、前記混合粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が11%以下となる近赤外線吸収微粒子分散液に想到した。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、後述する近赤外線吸収微粒子分散液の光吸収特性を、当該近赤外線吸収微粒子分散液の液状の媒体をベースラインとして解析したとき、すなわち、複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したとき、可視光透過率を85%に調整すると、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が22%以下であることを満たす複合タングステン酸化物微粒子である。なお、本発明において「透過率の平均値」とは、指定された波長範囲における透過率の相加平均を意味する。
前記複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MxWyOzで表記され、元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素であり、Wはタングステン、Oは酸素である。
前記一般式MxWyOzで示される複合タングステン酸化物の近赤外吸収能は、自由電子による局在表面プラズモン共鳴吸収と局在電子によるポーラロン吸収との2種類の要素で構成されており、当該2種類の構成要素が吸収する近赤外光の波長領域が異なっている。z/yの値が2.7以上3.0以下であれば複合タングステン酸化物中の酸素空孔の量が少なくなるため、ポーラロンによる吸収が弱化し、波長1200〜1800nmをボトムとし波長1200〜1500nmの近赤外線吸収能力を担保したまま、波長800〜900nmの領域における近赤外光の透過率を向上することができる。また、自由電子密度も低くなるため、局在表面プラズモン共鳴のエネルギーの中心が長波長側にシフトし、波長2100nmの近赤外線吸収能力が向上する。
従って、ポーラロンによる吸収は、複合タングステン酸化物微粒子結晶中の酸素空孔によって生じていると考えられる。
一方、歪みを伴うこのような分極場は、酸素空孔によって大きく格子緩和される。この為、ポーラロンは酸素空孔に隣接して生成されると予想される。
これに対し、酸素空孔を減らした場合は、ポーラロン電子が減少して、光吸収も減少する。従って波長1200〜1800nmをボトムとし波長1200〜1500nmの近赤外線吸収能力を担保したまま、波長800〜900nmの領域における近赤外光吸収が減少し、近赤外光の透過率を向上することができるのではないかと推察される。
従って、酸素空孔が増加すれば、自由電子密度が増加してプラズモン共鳴波長が0.83eV(波長1494nm)より僅かに短波長側に変化する。
これに対し、酸素空孔が減少すれば、自由電子密度が減少して共鳴波長が僅かに長波長側へシフトする。当該長波長側へのシフトにより、波長2100nmの吸収能力を担保する効果は、皮膚のジリジリ感をさらに減少させる効果があり、実用上有用である。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
本発明にかかるタングステン化合物出発原料は、タングステン、元素Mそれぞれの単体もしくは化合物を含有する混合物である。タングステン原料としてはタングステン酸粉末、三酸化タングステン粉末、二酸化タングステン粉末、酸化タングステンの水和物粉末、六塩化タングステン粉末、タングステン酸アンモニウム粉末、または、六塩化タングステン粉末をアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末、から選ばれたいずれか1種類以上であることが好ましい。元素Mの原料としては、元素M単体、元素Mの塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酸化物、炭酸塩、タングステン酸塩、水酸化物等が挙げられるが、これらには限定されない。
各原料が水や有機溶剤等の溶媒に可溶であれば、各原料と溶媒を十分に混合したのち溶媒を揮発させることで、本発明にかかるタングステン化合物出発原料を製造することができる。もっとも各原料に可溶な溶媒がなくとも、各原料をボールミル等の公知の手段で十分に均一に混合することで、本発明にかかるタングステン化合物出発原料を製造することができる。
必要に応じて、還元性ガス雰囲気中にて還元処理を行った後、不活性ガス雰囲気中にて熱処理を行ってもよい。この場合の不活性ガス雰囲気中での熱処理は400℃以上1200℃以下の温度で行うことが好ましい。
本発明に係るアンチモンドープ酸化錫微粒子(ATO)としては、酸化錫にアンチモンがドープされているものであれば良く、特に限定されるものではない。
また、本発明に係る錫ドープ酸化インジウム微粒子(ITO)としては、酸化インジウムに錫がドープされているものであれば良く、特に限定されるものではない。
焼成する際の雰囲気は不活性ガスまたは還元性ガスであり、還元性ガスであることが好ましい。これは、ITO微粒子中に微量の酸素欠陥を形成させることにより、赤外線領域における吸収を強くするためである。
上述したように、複合タングステン酸化物とATOおよび/またはITOの微粒子とを適宜な混合比で混合させ、混合体として使用することで、波長1200〜1800nmの領域をボトムとする近赤外線吸収能力を持ち、波長800〜900nmの近赤外光の透過率を向上させつつ、肌へのジリジリ感を与える波長2100nm付近の近赤外線の透過を抑制できる。
複合タングステン酸化物微粒子とATOおよび/またはITOの微粒子との混合体を液状の媒体中に分散させることで、本発明に係る近赤外線吸収微粒子分散液を製造することができる。微粒子の混合に際しては、複合タングステン酸化物の粉末とATOおよび/またはITOの粉末を混合させ、後に粉砕・分散処理して微粒子混合体とする方法が挙げられる。また、複合タングステン酸化物が分散した分散液と、ATOおよび/またはITOの微粒子が分散した分散液とを混合して、微粒子混合体とする方法も挙げられる。
本発明に係る近赤外線吸収微粒子および所望により適量の分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を、液状の媒体へ添加し分散処理を行うことで、本発明に係る近赤外線吸収微粒子分散液を得ることができる。当該近赤外線吸収微粒子分散液の液状の媒体には、近赤外線吸収微粒子の分散性を保つための機能と、近赤外線吸収微粒子分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能が要求される。
プラスチック用の液状の可塑剤としては、一価アルコールと有機酸エステルとの化合物である可塑剤や、多価アルコール有機酸エステル化合物等のエステル系である可塑剤、有機リン酸系可塑剤等のリン酸系である可塑剤などが好ましい例として挙げられる。なかでもトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネートは、加水分解性が低い為、さらに好ましい。
均一な近赤外線吸収微粒子分散液を得るために、各種添加剤や分散剤を添加したり、pH調整したりしても良い。
具体的には、当該近赤外線吸収微粒子分散液における液状媒体の光の透過率をベースラインとし、近赤外線吸収微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%になるよう調整したとき(本発明に係る実施例において、単に「可視光透過率が85%」と記載する場合がある。)、波長800〜900nmにおける近赤外光の透過率が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が11%以下である。
尚、当該測定において、近赤外線吸収微粒子分散液に含まれる近赤外線吸収微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率を85%に調整することは、その分散溶媒または分散溶媒と相溶性を有する適宜な溶媒で希釈することにより、容易になされる。
本発明にかかる近赤外線吸収微粒子または近赤外線吸収微粒子分散液を、固体状の媒体へ分散することで、近赤外線吸収微粒子含有分散体を形成でき、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収プラスチック成形体なども製造することができる。また、近赤外線吸収微粒子分散液は、後述する分散粉やマスターバッチにも加工できる。
次に本実施形態の近赤外線吸収微粒子分散体、及びその製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態の近赤外線吸収微粒子分散体は、本実施形態の近赤外線吸収微粒子と、バインダーとを含むことができる。このため、近赤外線吸収微粒子等について既述の内容と重複する部分については一部説明を省略する。
まず固体状の媒体について説明する。
固体状の媒体としては、近赤外線吸収微粒子を分散させた状態で固化することができれば特に限定されない。例えば金属アルコキシドを加水分解等によって得られる無機バインダーや樹脂等の有機バインダーがある。特にバインダーは熱可塑性樹脂またはUV硬化性樹脂を含むことが好ましい。なお、本実施形態の近赤外線吸収微粒子分散体において製造過程で液状であっても、最終的に固体となるものであれば、固体状の媒体とすることができる。
近赤外線吸収微粒子分散体中に分散して含まれる近赤外線吸収微粒子の含有量については特に限定されるものではなく、用途等に応じて任意に選択することができる。近赤外線吸収微粒子分散体中の近赤外線吸収微粒子の含有量は例えば、0.001質量%以上80.0質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上70.0質量%以下であることがより好ましい。
これは、近赤外線吸収微粒子分散体中の近赤外線吸収微粒子の含有量が0.001質量%以上あれば、近赤外線吸収微粒子分散体が必要な赤外線吸収効果を得る為に、当該分散体の厚さを特に厚くする必要がなく、使用できる用途が限定されず、搬送も容易だからである。
また、近赤外線吸収微粒子分散体が赤外線吸収効果を得る観点から、近赤外線吸収微粒子分散体に含まれる単位投影面積あたりの近赤外線吸収微粒子の含有量は、0.04g/m2以上10.0g/m2以下であることが好ましい。尚、「単位投影面積あたりの含有量」とは、本実施形態の近赤外線吸収微粒子分散体において、光が通過する単位面積(m2)あたり、その厚み方向に含有されている近赤外線吸収微粒子の重量(g)を意味する。
ここで、本実施形態の近赤外線吸収微粒子分散体の製造方法を説明する。
近赤外線吸収微粒子分散体は、例えば上述のバインダーと、本実施形態の近赤外線吸収微粒子とを混合し、所望の形状に成形した後、硬化させることで製造することもできる。
また、近赤外線吸収微粒子分散体は、例えば既述の近赤外線吸収分散液を用いて製造することもできる。この場合、最初に以下に説明する近赤外線吸収微粒子分散粉、可塑剤分散液や、マスターバッチを製造し、次いで、当該近赤外線吸収微粒子分散粉等を用いて近赤外線吸収微粒子分散体を製造することができる。以下に具体的に説明する。
溶媒成分を除去する際に減圧乾燥法を用いることで、近赤外線吸収微粒子分散液と熱可塑性樹脂等との混合物からの溶媒の除去効率を向上させることができる。また、減圧乾燥法を用いた場合、近赤外線吸収微粒子分散粉や可塑剤分散液が長時間高温に曝されることがないので、分散粉中や可塑剤分散液中に分散している近赤外線吸収微粒子の凝集が起こらず好ましい。さらに近赤外線吸収微粒子分散粉や可塑剤分散液の生産性も上がり、蒸発した溶媒を回収することも容易で、環境的配慮からも好ましい。
マスターバッチは例えば、近赤外線吸収微粒子分散液や近赤外線吸収微粒子分散粉を樹脂中に分散させ、当該樹脂をペレット化することで製造することができる。
以上の手順により、近赤外線吸収微粒子分散粉、可塑剤分散液、マスターバッチを製造することができる。
固体状の媒体として熱可塑性樹脂を用いる場合、近赤外線吸収微粒子分散粉、可塑剤分散液またはマスターバッチと、熱可塑性樹脂と、所望に応じて可塑剤その他添加剤とをまず混練することができる。そして、当該混練物を、押出成形法、射出成形法、カレンダーロール法、押出法、キャスティング法、インフレーション法等の各種成形方法により、例えば、平面状や曲面状に成形されたシート状の近赤外線吸収微粒子分散体を製造することができる。
可塑剤は、室温で液状であることが好ましいことから、多価アルコールと脂肪酸から合成されたエステル化合物であることが好ましい。
そして、既述のように本実施形態の近赤外線吸収微粒子分散体は、任意の形状を有することができ、例えば、シート形状、ボード形状またはフィルム形状を有することができる。
シート形状、ボード形状またはフィルム形状の近赤外線吸収微粒子分散体を用いて、例えば後述する、近赤外線吸収合わせ透明基材を製造することができる。
ここで、可視光透過率を70%に調整することは、上述した分散液、分散粉、可塑剤分散液またはマスターバッチに含有される近赤外線吸収微粒子の濃度、樹脂組成物を調製する際の近赤外線吸収微粒子、分散粉、可塑剤分散液またはマスターバッチの添加量、さらにはフィルムやシートの膜厚等を調整することにより、容易である。
次に本実施形態の近赤外線吸収合わせ透明基材、及びその製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態の近赤外線吸収合わせ透明基材は、複数枚の透明基材と、本実施形態の近赤外線吸収微粒子分散体とを有することができる。そして、近赤外線吸収微粒子分散体が、複数枚の透明基材の間に配置された構造を有することができる。
本実施形態の近赤外線吸収合わせ透明基材は、中間層である近赤外線吸収微粒子分散体をその両側から透明基材を用いて挟み合わせた構造を有することができる。
プラスチック製の透明基材を用いる場合、プラスチックの材質は、特に限定されるものではなく用途に応じて選択可能であり、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、PET樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、等が使用可能である。
本実施形態の近赤外線吸収合わせ透明基材に用いる近赤外線吸収微粒子分散体としては特に限定されるものではないが、シート形状、ボード形状またはフィルム形状に成形されたものを好ましく用いることができる。
そして、本実施形態の近赤外線吸収合わせ透明基材は、シート形状等に成形された近赤外線吸収微粒子分散体を挟み込んで存在させた対向する複数枚の透明基材を、貼り合わせて一体化することによって製造することができる。
(1)本発明に係る近赤外線吸収微粒子は、可視光透過バンドの領域が近赤外光の領域である波長800〜900nmの領域に広がっており、当該領域において高い透過率を持つものである。
(2)本発明に係る近赤外線吸収微粒子は、波長1200〜1500nmの領域に存在する透過率の平均値の値を殆ど変えていない。
(3)本発明に係る近赤外線吸収微粒子は、波長2100nmの近赤外線吸収性能を有する。
上述した近赤外線吸収微粒子分散液を用いて、基板フィルム上または基板ガラスから選択される透明基板上へ、近赤外線吸収微粒子分散体として近赤外線吸収微粒子を含有するコーティング層を形成することで、近赤外線吸収透明基材である近赤外線吸収フィルムまたは近赤外線吸収ガラスを製造することが出来る。
例えば、近赤外線吸収フィルムは以下のように作製することができる。
上述した近赤外線吸収微粒子分散液に硬化後に固体状の媒体なる媒体樹脂を添加し、塗布液を得る。この塗布液をフィルム基材表面にコーティングした後、液状の媒体を蒸発させ所定の方法で樹脂を硬化させれば、当該近赤外線吸収微粒子が媒体中に分散したコーティング膜の形成が可能となる。
これらの樹脂は、単独使用であっても混合使用であっても良い。尤も、当該コーティング層用の媒体のなかでも、生産性や装置コストなどの観点からUV硬化性樹脂バインダーを用いることが特に好ましい。
また、フィルム基板の表面は、コーティング層接着の容易さを実現するため、表面処理がなされていることが好ましい。また、ガラス基板もしくはフィルム基板とコーティング層との接着性を向上させるために、ガラス基板上もしくはフィルム基板上に中間層を形成し、中間層上にコーティング層を形成することも好ましい構成である。中間層の構成は特に限定されるものではなく、例えばポリマフィルム、金属層、無機層(例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物層)、有機/無機複合層等により構成することができる。
例えばUV硬化樹脂を用いたバーコート法によれば、適度なレベリング性を持つよう液濃度及び添加剤を適宜調整した塗布液を、コーティング膜の厚み及び前記近赤外線吸収微粒子の含有量を合目的に満たすことのできるバー番号のワイヤーバーを用いて基板フィルムまたは基板ガラス上に塗膜を形成することができる。そして塗布液中に含まれる有機溶媒を乾燥により除去したのち紫外線を照射し硬化させることで、基板フィルムまたは基板ガラス上にコーティング層を形成することができる。このとき、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類や使用割合によっても異なるが、通常では60℃〜140℃の温度で20秒〜10分間程度である。紫外線の照射には特に制限はなく、例えば超高圧水銀灯などのUV露光機を好適に用いることができる。
まず、実施例、比較例における試料の評価方法として(1)平均分散粒子径、(2)分光透過率と可視光透過率、(3)c軸の格子定数、について説明する。
以下の実施例、比較例において、近赤外線吸収微粒子分散液中の近赤外線吸収微粒子の平均分散粒子径は、50%体積累計粒度であり、レーザー回折を利用した粒度分布計であるマイクロトラック(登録商標)粒度分布計(日機装(株)製)により測定した。
以下の実施例、比較例において、近赤外線吸収微粒子分散液の波長320〜2200nmの光に対する透過率は、分光光度計用セル(ジーエルサイエンス株式会社製、型番:S10−SQ−1、材質:合成石英、光路長:1mm)に分散液を保持して、日立製作所(株)製の分光光度計U−4100を用いて測定した。
当該測定の際、分散液の溶媒(メチルイソブチルケトンなど、以下MIBKと略称する。)を、上述のセルに満たした状態で透過率を測定し、透過率測定のベースラインを求めた。この結果、以下に説明する分光透過率、および可視光透過率は、分光光度計用セル表面の光反射や、溶媒の光吸収による寄与が除外され、近赤外線吸収微粒子による光吸収のみが算出されることとなる。
また、近赤外線吸収合わせ透明基材の波長320〜2200nmの光に対する透過率も、日立製作所(株)製の分光光度計U−4100を用いて測定した。
可視光透過率は、波長380〜780nmの光に対する透過率から、JIS R 3106に基づいて算出した。
近赤外線吸収微粒子のX線回折パターンを、粉末X線回折装置(スペクトリス株式会社PANalytical製X‘Pert−PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ―2θ法)により測定した。得られたX線回折パターンからリートベルト法を用いてc軸の格子定数を算出した。
タングステン酸(H2WO4)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.33/1.00相当となる割合で秤量したのちメノウ乳鉢で十分混合して混合粉末とした。当該混合粉末を、N2ガスをキャリアーとした0.6体積%H2ガス供給下で加熱し550℃の温度で3時間の還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃、1時間焼成して、六方晶を有したセシウムタングステンブロンズ粉末(以下、「粉末A」と略称する。)を得た。当該作製条件を表1に記載した。
塗布膜を設けたPETフィルムを、80℃で60秒間乾燥し溶剤を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させることで、近赤外線吸収微粒子を含有したコーティング膜が設けられた近赤外線吸収フィルムを作製した。尚、近赤外線吸収フィルムは本発明に係る近赤外線吸収透明基材の一例である。
この近赤外線吸収フィルムの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は28.6%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は3.3%、波長2100nmの透過率は2.8%、ヘイズは0.9%と測定された。当該結果を表2に記載する。
この近赤外線吸収ガラスの光学特性を測定したところ、透過率プロファイルから、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は24.9%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は2.5%、波長2100nmの透過率は2.2%、ヘイズは0.4%と測定された。当該結果を表2に記載する。
得られた実施例1に係る近赤外線吸収シートの光学特性を測定したところ、可視光透過率が70%であり、波長800〜900nmにおける透過率の平均値は22.7%、波長1200〜1500nmにおける透過率の平均値は1.5%、波長2100nmの透過率は0.9%、ヘイズは0.5%と測定された。当該結果を表3に記載する。
セシウムタングステンブロンズ作製時のCs/W比、H2ガス体積比、還元温度、還元時間、セシウムタングステンブロンズとアンチモンドープ酸化錫微粒子の混合比を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作をすることで、実施例2〜6に係る近赤外線吸収微粒子分散液、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収シートと近赤外線吸収合わせ透明基材を作製した。実施例2〜6に係るセシウムタングステンブロンズ、近赤外線吸収微粒子分散液、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収シートと近赤外線吸収合わせ透明基材に対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該評価結果を表1〜3に示す。
実施例1で得られた粉末A16質量%と錫ドープ酸化インジウム粉末4質量%と、分散剤aを8質量%と、MIBKを72質量%秤量した。
これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、近赤外線吸収微粒子分散液を得た。
以降は実施例1と同様にして実施例7にかかる近赤外線吸収微粒子分散液、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収シート、近赤外線吸収合わせ透明基材を得た。評価結果を表1〜3および図1に示す。
実施例1で得られた粉末A10質量%と錫ドープ酸化インジウム粉末10質量%と、分散剤aを8質量%と、MIBKを72質量%秤量した。
これらを、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理し、近赤外線吸収微粒子分散液を得た。
以降は実施例1と同様にして実施例8にかかる近赤外線吸収微粒子分散液、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収シート、近赤外線吸収合わせ透明基材を得た。評価結果を表1〜3に示す。
タングステン酸(H2WO4)と水酸化セシウム(CsOH)の各粉末を、Cs/W(モル比)=0.33/1.00相当となる割合で混合し、N2ガスをキャリアーとした5%H2ガス供給下で加熱し550℃の温度で1時間の還元処理を行った後、N2ガス雰囲気下で800℃、1時間焼成したことおよび分散液Bを混合しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1に係るセシウムタングステンブロンズ、近赤外線吸収微粒子分散液、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収シート、近赤外線吸収合わせ透明基材を得た。比較例1に係るセシウムタングステンブロンズ、近赤外線吸収微粒子分散液、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収シート、近赤外線吸収合わせ透明基材に対して、実施例1と同様の評価を実施した。当該測定結果を表1〜3に記載した。
さらに、透明基材1m2当たりの近赤外線吸収微粒子の含有量を見積もったところ1.32gであった。
以上より、実施例1〜9に比べて波長800〜900nmにおける透過率の平均値が低く、波長2100nmの透過率の透過率が高いことが確認された。
実施例1〜8に係る近赤外線吸収微粒子分散液においては、従来の複合タングステン酸化物微粒子を用いた比較例1と比較して、波長800〜900nmの近赤外光の透過率の平均値が高く、波長1200〜1500nm、波長2100nmの透過率が低い。
この結果、実施例1〜8に係る分散液を用いて作製された近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収ガラス、近赤外線吸収シート、近赤外線吸収合わせ透明基材は、近赤外線吸収微粒子が発揮する高い遮熱特性を担保しながら、波長800〜900nmの近赤外光では高い透過率が得られ、肌へのジリジリ感が減少することが判明した。
Claims (16)
- 近赤外線吸収微粒子として、少なくとも複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および/または錫ドープ酸化インジウム微粒子とを含む分散液であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が22%以下であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および/または錫ドープ酸化インジウム微粒子とを含む混合粒子が液状媒体中に分散して含有されている分散液であって、
前記液状媒体が水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、プラスチック用液状可塑剤、またはこれらの混合物から選択され、
前記液状媒体で希釈することにより、前記分散液中の近赤外線吸収微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率を85%に調整したときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が11%以下であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散液。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および錫ドープ酸化インジウム微粒子との重量比が、複合タングステン酸化物微粒子/(アンチモンドープ酸化錫微粒子+錫ドープ酸化インジウム微粒子)=90/10〜20/80の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収微粒子分散液。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収微粒子分散液。
- 近赤外線吸収微粒子として、少なくとも複合タングステン酸化物微粒子と、アンチモンドープ酸化錫微粒子および/または錫ドープ酸化インジウム微粒子とを含む混合粒子が、固体状のバインダー中に分散している分散体であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子による光吸収のみを算出したときの可視光透過率が85%であるときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が30%以上60%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲における透過率の平均値が20%以下であり、且つ、波長2100nmにおける透過率が22%以下であることを特徴とする近赤外線吸収微粒子分散体。 - 前記バインダーが、少なくとも熱可塑性樹脂またはUV硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載の近赤外線吸収微粒子分散体。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂という樹脂群から選択される1種の樹脂、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の混合物、
または、前記樹脂群から選択される2種以上の樹脂の共重合体、のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の近赤外線吸収微粒子分散体。 - 前記近赤外線吸収微粒子を、0.001質量%以上80.0質量%以下含むことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体。
- 前記近赤外線吸収微粒子分散体が、シート形状、ボード形状またはフィルム形状であることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体。
- 前記近赤外線吸収微粒子分散体に含まれる単位投影面積あたりの前記近赤外線吸収微粒子の含有量が、0.04g/m2以上10.0g/m2以下であることを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体。
- 可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が13%以上42%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が5%以下であることを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体。
- 樹脂基材またはガラス基材である透明基材の少なくとも一方の面上に、請求項4から10のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体が形成されていることを特徴とする近赤外線吸収透明基材。
- 前記近赤外線吸収微粒子分散体の厚さが10μm以下であることを特徴とする請求項11に記載の近赤外線吸収透明基材。
- 前記透明基材が前記樹脂基材であって、前記樹脂基材がポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項11または12に記載の近赤外線吸収透明基材。
- 可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が12%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が3.0%以下であることを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の近赤外線吸収透明基材。
- 複数枚の透明基材間に、請求項4から10のいずれかに記載の近赤外線吸収微粒子分散体が存在していることを特徴とする近赤外線吸収合わせ透明基材。
- 可視光透過率が70%のときに、波長800〜900nmの範囲における透過率の平均値が12%以上40%以下であり、且つ、波長1200〜1500nmの範囲に存在する透過率の平均値が8%以下であり、且つ、波長2100nmの透過率が3.0%以下であることを特徴とする請求項15に記載の近赤外線吸収合わせ透明基材。
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