JPWO2018003739A1 - 機能的リガンドを含む核酸複合体 - Google Patents

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Abstract

優れた標的遺伝子発現抑制効果を有する核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体を提供すること。転写産物(例えば標的遺伝子の転写産物)に相補的でありかつDNAをベースとするアンチセンス核酸を含む活性部分と、該核酸に相補的である核酸を含むキャリアー部分とを含み、さらに、少なくとも1つのリガンドが、上記キャリアー部分の核酸の特定の領域に結合されている核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体を用いることにより、上記課題は解決される。

Description

本発明は、例えばアンチセンス効果によって、標的遺伝子の発現を抑制する活性を有する核酸、好ましくは二本鎖核酸に関し、より詳しくは、標的遺伝子の転写産物に相補的なアンチセンス核酸と、該核酸に相補的な核酸と、この相補的核酸に結合しているリガンドとを含む核酸、好ましくは二本鎖核酸に関する。
近年、オリゴヌクレオチドは、核酸医薬と称される医薬品としての開発が進められており、特に標的遺伝子の選択性の高さの観点から、アンチセンス法を利用した核酸医薬の開発が精力的に進められている。アンチセンス法は、標的遺伝子のmRNA(センス鎖)の部分配列に相補的なオリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO))を細胞内に導入することにより、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現を選択的に阻害する方法である。
ASOとしてDNAからなるオリゴヌクレオチドを細胞に導入した場合、標的遺伝子の転写産物(mRNA)と当該ASOとが結合して、部分的に二本鎖が形成され、この二本鎖が蓋の役割をして、リボソームによる翻訳を生じさせず、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現が阻害されることが知られている。
また、ASOとしてDNAからなるオリゴヌクレオチドを細胞に導入した場合、部分的にDNA−RNAのヘテロオリゴヌクレオチドが形成され、RNaseHによってこの部分が認識され、標的遺伝子のmRNAが分解されるため、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現が阻害されることも知られている。ASOが蓋の役割をする場合に比べ、このRNaseH依存的経路の場合の方が、多くの場合において遺伝子発現の抑制効果が高いことも明らかになっている。
ASOとしてDNAを用いた場合のアンチセンス効果に関連して、特許文献1には、LNA/DNAギャップマーとそれに対するRNAからなる相補鎖とをアニーリングさせた二本鎖核酸複合体が開示されている。ここでは、当該二本鎖核酸のアンチセンス効果について記載されている。当該文献におけるような二本鎖核酸は、HDO(heteroduplex oligonucleotide)と呼ばれるものである。
また、核酸医薬や遺伝子治療に関しては、目的の核酸・遺伝子を標的組織へ適切に集積させること、および/または細胞内へ適切に取り込ませることが課題となっており、それらの効率を向上させるために様々な試みがなされてきた。このような核酸の送達に関して、例えば特許文献1には、脂質、糖、ペプチドおよびタンパク質等を、標的への送達機能を有する「機能性部分」として、核酸鎖の3’末端のヌクレオチドの3’位または5’末端のヌクレオチドの5’位に結合させることが記載されている。
さらに、ACS chem.Biol.2015,10,1181−1187(非特許文献1)には、siRNAの肝細胞への送達のために、当該siRNAのセンス鎖の3’末端または3’末端付近に3つのN−アセチルガラクトサミンを結合させることが記載されている。
特表2015−502134号公報
ACS chem.Biol.2015,10,1181−1187
本発明の目的は、優れた標的遺伝子発現抑制効果を有する核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、優れた効率で、標的細胞、例えば標的癌細胞の増殖を抑制可能な核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体を提供することである。
本発明のさらなる目的は、優れた特異性と効率で、標的組織や標的部位に送達が可能であり、それらの組織や部位において優れた標的遺伝子発現抑制を有する核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体を提供することである。
本発明の他の目的は、以下の記載から明らかとなろう。
本発明者等は、転写産物(例えば標的遺伝子の転写産物)に相補的でありかつDNAをベースとするアンチセンス核酸を含む活性部分と、該核酸に相補的である核酸を含むキャリアー部分とを含み、さらに、少なくとも1つのリガンドが、上記キャリアー部分の核酸の特定の領域に結合されている核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体を用いることにより、該転写産物の発現を著しく抑制できることを見出した。
従って、本発明は以下に関する:
1.(i)化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含むポリヌクレオチドを含む活性部分、および
(ii)化学修飾されていてもよいヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含むポリヌクレオチドであって、少なくとも一部が上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチドを含む、キャリアー部分、
を含む核酸複合体であって、
少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位と上記ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位とを除く部位において、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位に結合している、核酸複合体。
2.二本鎖核酸複合体である、上記1に記載の核酸複合体。
3.上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位であって、当該ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位ではなくかつ当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位ではない構成単位に結合している、上記1または2に記載の核酸複合体。
4.上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドが奇数個の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する1個の構成単位を含む連続n個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合しており、当該ポリヌクレオチドが偶数の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する2個の構成単位を含む連続n+1個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合している(ここで、上記nは1〜6の整数である)、上記1〜3のいずれか1つに記載の核酸複合体。
5.上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端から2〜6番目の構成単位のうちの1つに結合しており、および/または3’末端から2〜6番目の構成単位のうちの1つに結合している、上記1〜3のいずれか1つに記載の核酸複合体。
6.上記少なくとも1つのリガンドが、タンパク質リガンド、ペプチドリガンド、アプタマーリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択される、上記1〜5のいずれか1つに記載の核酸複合体。
7.上記少なくとも1つのリガンドが、ペプチドリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択される、上記6に記載の核酸複合体。
8.上記少なくとも1つのリガンドが、環状アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列含有ペプチド、N−アセチルガラクトサミン、コレステロール、ビタミンE(トコフェロール)、ステアリン酸、ドコサン酸、アニスアミド、葉酸、アナンダミドまたはスペルミンである、上記7に記載の核酸複合体。
9.上記少なくとも1つのリガンドが、リンカーを介して間接的に結合している、上記1〜8のいずれか1つに記載の核酸複合体。
10.上記リンカーが、ポリアルキレングリコールリンカー、マレイミドリンカー、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレートリンカー、DNAリンカー、ペプチドリンカー、シランリンカー、多糖リンカー、ジスルフィドリンカーまたはトリアゾールリンカーである、上記9に記載の核酸複合体。
11.上記少なくとも1つのリガンドが、直接結合している、上記1〜8のいずれか1つに記載の核酸複合体。
12.上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位、および/または上記ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位に結合しているリガンドをさらに含む、上記1〜11に記載の核酸複合体。
13.上記(i)活性部分のポリヌクレオチドにおけるデオキシリボヌクレオチドの一部または全部が化学修飾されている、上記1〜12のいずれか1つに記載の核酸複合体。
14.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが1つまたは複数の核酸類似体を含む、上記1〜13のいずれか1つに記載の核酸複合体。
15.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドを含み、そして
当該ポリヌクレオチドが、
(a)上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドの5’側に位置し、1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む5’ウィング領域、および/または、
(b)上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドの3’側に位置し、1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む3’ウィング領域、
を含む、
上記1〜12のいずれか1つに記載の核酸複合体。
16.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、上記(a)5’ウィング領域および(b)3’ウィング領域を含み、該5’ウィング領域は少なくとも1つの核酸類似体を含み、該3’ウィング領域は、少なくとも1つの核酸類似体を含む、上記15に記載の核酸複合体。
17.上記5’ウィング領域が2〜5個の核酸類似体を含み、上記3’ウィング領域が2〜5個の核酸類似体を含む、上記16に記載の核酸複合体。
18.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチド、5’ウィング領域および3’ウィング領域からなる、上記11〜17のいずれか1つに記載の核酸複合体。
19.上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドが、ホスホロチオエート化されている、上記15〜18のいずれか1つに記載の核酸複合体。
20.上記5’ウィング領域および3’ウィング領域が、核酸類似体として架橋化核酸を含む、上記15〜19のいずれか1つに記載の核酸複合体。
21.上記架橋化核酸が、LNA、cEt−BNA、アミドBNA及びcMOE−BNAからなる群から選択される、上記20に記載の核酸複合体。
22.上記架橋化核酸がホスホロチオエート化されている、上記20または21に記載の核酸複合体。
23.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含む、上記1〜22のいずれか1つに記載の核酸複合体。
24.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドの長さが8〜100塩基である、上記1〜23のいずれか1つに記載の核酸複合体。
25.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さが、8〜100塩基である、上記1〜24のいずれか1つに記載の核酸複合体。
26.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドと同じ長さを有する、上記1〜25のいずれか1つに記載の核酸複合体。
27.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドの長さが、上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さと異なる、上記1〜25のいずれか1つに記載の核酸複合体。
28.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび/または化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドを含む、上記1〜27のいずれか1つに記載の核酸複合体。
29.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、化学修飾されたヌクレオチドを含む、上記1〜28のいずれか1つに記載の核酸複合体。
30.リガンドが結合している上記構成単位が、化学修飾されたヌクレオチドである、上記1〜29のいずれか1つに記載の核酸複合体。
31.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドである、上記9、10および12〜30のいずれか1つに記載の核酸複合体。
32.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、上記31に記載の核酸複合体:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、R11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部であり、LKはリンカーであり、そしてLGはリガンドを表す]。
33.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、上記32に記載の核酸複合体:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
34.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、リガンドが直接またはリンカーを介して結合している構成単位を除き、デオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドからなる、上記28〜33のいずれか1つに記載の核酸複合体。
35.哺乳動物において標的遺伝子の発現を減少させるための、上記1〜34のいずれか1つに記載の核酸複合体。
36.活性部分におけるポリヌクレオチドが、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に相補的なアンチセンス鎖である、上記35に記載の核酸複合体。
37.哺乳動物において、標的遺伝子の発現が亢進している細胞の増殖を抑制するための、上記1〜36のいずれか1つに記載の核酸複合体。
38.上記標的遺伝子ががん遺伝子であり、上記細胞が癌細胞である、上記37に記載の核酸複合体。
39.上記1〜38のいずれか1つに記載の核酸複合体と、任意に薬理学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
40.癌を治療および/または予防するための、上記39に記載の医薬組成物。
また、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.(i)化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含むポリヌクレオチドを含む活性部分、および
(ii)化学修飾されていてもよいヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含むポリヌクレオチドであって、少なくとも一部が上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチドを含む、キャリアー部分、
を含む核酸複合体であって、
少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位と上記ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位とを除く部位において、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位に結合している、核酸複合体。
2.二本鎖核酸複合体である、上記1に記載の核酸複合体。
3.上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位であって、当該ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位ではなくかつ当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位ではない構成単位に結合している、上記1または2に記載の核酸複合体。
4.上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドが奇数個の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する1個の構成単位を含む連続n個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合しており、当該ポリヌクレオチドが偶数の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する2個の構成単位を含む連続n+1個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合している(ここで、上記nは1〜6の整数である)、上記1〜3のいずれか1つに記載の核酸複合体。
5.上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端から2〜6番目の構成単位のうちの1つに結合しており、および/または3’末端から2〜6番目の構成単位のうちの1つに結合している、上記1〜3のいずれか1つに記載の核酸複合体。
6.上記少なくとも1つのリガンドが、タンパク質リガンド、ペプチドリガンド、アプタマーリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択される、上記1〜5のいずれか1つに記載の核酸複合体。
7.上記少なくとも1つのリガンドが、ペプチドリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択される、上記6に記載の核酸複合体。
8.上記少なくとも1つのリガンドが、環状ペプチド、N−アセチルガラクトサミン、コレステロール、ビタミンE(トコフェロール)もしくはその類縁体、ステアリン酸、ドコサン酸、アニスアミド、葉酸もしくはその類縁体、アナンダミドまたはスペルミンである、上記7に記載の核酸複合体。
9.上記少なくとも1つのリガンドが、環状アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列含有ペプチド、トコフェロールまたは葉酸である、上記8に記載の核酸複合体。
10.上記少なくとも1つのリガンドが、リンカーを介して間接的に結合している、上記1〜9のいずれか1つに記載の核酸複合体。
11.上記リンカーが、ポリアルキレングリコールリンカー、マレイミドリンカー、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレートリンカー、DNAリンカー、ペプチドリンカー、シランリンカー、多糖リンカー、ジスルフィドリンカーまたはトリアゾールリンカーである、上記10に記載の核酸複合体。
12.上記少なくとも1つのリガンドが、直接結合している、上記1〜9のいずれか1つに記載の核酸複合体。
13.上記少なくとも1つのリガンドとして、2個以上のリガンドを含む、上記1〜12のいずれか1つに記載の核酸複合体。
14.互いに異なる構成単位に結合している2個以上のリガンドを含む、上記13に記載の核酸複合体。
15.同一の構成単位に結合している2個以上のリガンドを含む、上記13または14に記載の核酸複合体。
16.上記少なくとも1つのリガンドとして、分岐リンカーを介して同一の構成単位に結合している2個以上のリガンドを含む、上記1〜11のいずれか1つに記載の核酸複合体。
17.上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位、および/または当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位に結合しているリガンドをさらに含む、上記1〜16に記載の核酸複合体。
18.上記(i)活性部分のポリヌクレオチドにおけるデオキシリボヌクレオチドの一部または全部が化学修飾されている、上記1〜17のいずれか1つに記載の核酸複合体。
19.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが1つまたは複数の核酸類似体を含む、上記1〜18のいずれか1つに記載の核酸複合体。
20.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドを含み、そして
当該ポリヌクレオチドが、
(a)上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドの5’側に位置し、1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む5’ウィング領域、および/または、
(b)上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドの3’側に位置し、1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む3’ウィング領域、
を含む、
上記1〜17のいずれか1つに記載の核酸複合体。
21.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、上記(a)5’ウィング領域および(b)3’ウィング領域を含み、該5’ウィング領域は少なくとも1つの核酸類似体を含み、該3’ウィング領域は少なくとも1つの核酸類似体を含む、上記20に記載の核酸複合体。
22.上記5’ウィング領域が2〜5個の核酸類似体を含み、上記3’ウィング領域が2〜5個の核酸類似体を含む、上記21に記載の核酸複合体。
23.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチド、5’ウィング領域および3’ウィング領域からなる、上記20〜22のいずれか1つに記載の核酸複合体。
24.上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドが、ホスホロチオエート化されている、上記20〜23のいずれか1つに記載の核酸複合体。
25.上記5’ウィング領域および3’ウィング領域が、核酸類似体として架橋化核酸を含む、上記20〜24のいずれか1つに記載の核酸複合体。
26.上記架橋化核酸が、LNA、cEt−BNA、アミドBNA及びcMOE−BNAからなる群から選択される、上記25に記載の核酸複合体。
27.上記架橋化核酸がホスホロチオエート化されている、上記25または26に記載の核酸複合体。
28.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含む、上記1〜27のいずれか1つに記載の核酸複合体。
29.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドの長さが8〜100塩基である、上記1〜28のいずれか1つに記載の核酸複合体。
30.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さが、8〜100塩基である、上記1〜29のいずれか1つに記載の核酸複合体。
31.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドと同じ長さを有する、上記1〜30のいずれか1つに記載の核酸複合体。
32.上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドの長さが、上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さと異なる、上記1〜30のいずれか1つに記載の核酸複合体。
33.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび/または化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドを含む、上記1〜32のいずれか1つに記載の核酸複合体。
34.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、化学修飾されたヌクレオチドを含む、上記1〜33のいずれか1つに記載の核酸複合体。
35.リガンドが結合している上記構成単位が、化学修飾されたヌクレオチドである、上記1〜34のいずれか1つに記載の核酸複合体。
36.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドである、上記10、11および13〜35のいずれか1つに記載の核酸複合体。
37.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、上記36に記載の核酸複合体:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、R11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部であり、LKはリンカーであり、そしてLGはリガンドを表す]。
38.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、上記37に記載の核酸複合体:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
39.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、上記37に記載の核酸複合体:
Figure 2018003739
または
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
40.リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、上記37に記載の核酸複合体:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
41.上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、リガンドが直接またはリンカーを介して結合している構成単位を除き、デオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドからなる、上記33〜40のいずれか1つに記載の核酸複合体。
42.哺乳動物において標的遺伝子の発現を減少させるための、上記1〜41のいずれか1つに記載の核酸複合体。
43.活性部分におけるポリヌクレオチドが、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に相補的なアンチセンス鎖である、上記42に記載の核酸複合体。
44.哺乳動物において、標的遺伝子の発現が亢進している細胞の増殖を抑制するための、上記1〜43のいずれか1つに記載の核酸複合体。
45.上記標的遺伝子ががん遺伝子であり、上記細胞が癌細胞である、上記44に記載の核酸複合体。
46.上記1〜45のいずれか1つに記載の核酸複合体と、任意に薬理学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
47.癌を治療および/または予防するための、上記46に記載の医薬組成物。
48.上記1〜44のいずれか1つに記載の核酸複合体と、任意に薬理学的に許容可能な担体とを含む、肝疾患を治療および/または予防するための医薬組成物。
リガンドが特定の領域に結合した本発明の核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体を用いることにより、細胞内(特に標的細胞内、例えば標的癌細胞内)における標的転写産物(典型的には標的遺伝子の転写産物)の発現を極めて特異的かつ効率的に抑制することが可能である。
また、上記核酸複合体を用いることにより、標的細胞、好ましくは標的癌細胞の増殖を特異的かつ効率的に抑制することが可能である。
さらに、上記核酸複合体は優れた特異性と効率で標的組織や標的部位に送達が可能であり、当該複合体を用いることにより、上記の組織や部位において、特異的かつ効率的に標的遺伝子の発現を抑制することが可能である。
図1Aは、リガンドがリンカーを介して結合しているキャリアー部分の一態様として、例3で得られたBDX−2−cRGDのキャリアー部分を示す。図1Bは、リガンドとしてGRGESP(ネガティブコントロール)を使用して得られたBDX−2−RGE(Ne)のキャリアー部分を示す。 図2Aは、2つのリガンドが分岐リンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端以外かつ3’末端以外の1つの構成単位に結合している、本発明の核酸複合体の一態様を示す。図2Bは、4つのリガンドが分岐リンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端以外かつ3’末端以外の1つの構成単位に結合している、本発明の核酸複合体の一態様を示す。図2Cは、2つのリガンドがそれぞれ、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’側の領域と3’側の領域(5’末端以外かつ3’末端以外の領域)において、それぞれの領域における構成単位とリンカーを介して結合している、本発明の核酸複合体の一態様を示す。図2Dは、1つのリガンドがリンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端以外かつ3’末端以外の1つの構成単位に結合し、さらに別の1つのリガンドがリンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に結合している、本発明の核酸複合体の一態様を示す。図2Eは、本発明の核酸複合体が1つのリガンドを含む場合の一態様を示す。 図3は、A549細胞株を用いた場合の、ヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験の結果を示す。 図4Aは、BDX−2−DEcRGDのキャリアー部分の構造を示す。 図4Bは、BDX−2−TEcRGDのキャリアー部分の構造を示す。 図4Cは、PEG3-Folateの構造を示す。 図4Dは、PEG11-Folateの構造を示す。 図4Eは、PEG23-Folateの構造を示す。 図5は、相補鎖中央部に1量体、2量体、4量体のcRGDを結合させた2本鎖核酸のOVCAR−3細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果を示す。 図6は、相補鎖中央部に1量体のcRGDを結合させたBDX−2−cRGDのDU145細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果示す。 図7は、相補鎖中央部に1量体のcRGDを結合させたBDX−2−cRGDのPANC−1細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果示す。 図8は、相補鎖中央部に1量体のcRGDを結合させたBDX−2−cRGDのPC−3細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果示す。 図9は、相補鎖中央部に1量体のcRGDを結合させたBDX−2−cRGDのCaki−1細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果示す。 図10は、相補鎖中央部に1量体のcRGDを結合させたBDX−2−cRGDのMCAS細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果示す。 図11は、BDX−4−cRGDを1μMとなるようにPANC−1細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を示す。 図12は、BDX−5−cRGD、BDX−5−DEcRGD、BDX−5−TEcRGDを10μMとなるようにK562細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を示す。 図13は、相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルの膵癌部位におけるBCL2遺伝子ノックダウン効果を示す。 図14は、相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおける薬効評価の結果を示す。 図15は、相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の肝毒性軽減効果に関して、肝重量比の結果を示す。 図16は、相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の肝毒性軽減効果に関して、AST値を示す。 図17は、相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の肝毒性軽減効果に関して、ALT値を示す。 図18は、相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおける生存期間延長効果を示す。 図19は、相補鎖の異なる一箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(PANC−1細胞株)の結果を示す。 図20は、相補鎖の異なる一箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(AsPC−1細胞株)の結果を示す。 図21は、相補鎖の異なる一箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(OVCAR−3細胞株)の結果を示す。 図22は、相補鎖の異なる二箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(PANC−1細胞株)の結果を示す。 図23は、相補鎖の異なる二箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験(PANC−1細胞株)の結果を示す。 図24は、相補鎖中央部に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(OVCAR−3細胞株)の結果を示す。 図25は、相補鎖中央部に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(OVCAR−3細胞株)の結果を示す。 図26は、BDX−15−PEG3−Folateを1、3、10μMとなるようにOVCAR−3細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を示す。 図27は、相補鎖の異なる二箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(A549細胞株)の結果を示す。 図28は、相補鎖の異なる二箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験(OVCAR−3細胞株)の結果を示す。 図29は、相補鎖の異なる三箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(OVCAR−3細胞株)の結果を示す。 図30は、相補鎖の異なる三箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験(OVCAR−3細胞株)の結果を示す。 図31は、相補鎖の異なる四箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験(PANC−1細胞株)の結果を示す。 図32は、相補鎖中央部に葉酸を結合させたヒトBCR−ABL遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験の結果を示す。 図33は、相補鎖中央部に葉酸を結合させたヒトBCR−ABL遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験の結果を示す。 図34は、肝臓におけるAPOB遺伝子のmRNA発現量を定量した結果を示す。 図35は、肝臓におけるMALAT−1遺伝子のmRNA発現量を定量した結果を示す。
上述のように、本発明の核酸複合体は、(i)アンチセンス核酸(DNAをベースとする核酸)を含む活性部分と(ii)該アンチセンス核酸に少なくとも一部が相補的な核酸を含むキャリアー部分とを含み、少なくとも1つのリガンドが、上記キャリアー部分の核酸の特定の領域に結合されている核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体である。そして、本発明の1つの実施態様において、上記核酸複合体は、合成、精製および/または単離された核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体である。当該核酸複合体は、標的遺伝子の発現や転写産物(タンパク質をコードするmRNA転写産物またはタンパク質をコードしない転写産物)のレベルをアンチセンス効果によって抑制する活性を有する。
また、本発明の核酸複合体は、標的転写産物(典型的には遺伝子の転写産物)の選択に応じて、標的細胞、好ましくは標的癌細胞の増殖を抑制することができる。典型的には、標的遺伝子の発現亢進を伴う細胞を標的細胞とし、本発明の核酸複合体により、その増殖を抑制することができる。例えば、本発明の核酸複合体により、標的癌細胞においてがん遺伝子(例えば、アポトーシス抑制機能を有するBCL2遺伝子、またはBCR−ABL遺伝子)を標的遺伝子としてその発現を抑制することにより、当該癌細胞の増殖を抑制することができる。
さらに、本発明の核酸複合体は、優れた特異性と効率で、標的組織や標的部位に送達が可能なため、それらの組織や部位において、標的遺伝子の発現を効率的に抑制することができ、従って、当該核酸複合体を対象に投与することによって、必要に応じて組織・部位特異的に、標的遺伝子の発現亢進等を伴う細胞の増殖を抑制し、それによってこのような発現亢進等を伴う各種疾患を治療、予防することも可能である。例えば、本発明の核酸複合体により、各種癌細胞において、BCL2遺伝子またはBCR−ABL遺伝子を標的としてその発現を抑制することにより、癌を治療および/または予防することも可能である。また、例えば、本発明の核酸複合体により、肝細胞において、APOBのような遺伝子や転位関連肺腺癌転写産物(MALAT−1)を標的としてその発現を抑制することにより、肝疾患(典型的には脂質異常症や肝臓癌)を治療または予防することも可能である。
実際に本願では、実施例に示すように、本発明の核酸複合体が、動物モデルにおいて抗腫瘍効果を奏することが実証された。
ここで、「活性部分」とは、上記核酸複合体の構成要素の1つであって、上記核酸複合体に関して意図する主要な効果、すなわち、標的遺伝子や標的転写産物(以下、両者をまとめて「標的転写産物」とも呼ぶ)の発現や標的細胞の増殖を抑制する効果を達成するための機能を主として担うと考えられる部分、換言すると、標的転写産物の発現抑制活性や標的細胞の増殖抑制活性を有する部分である。
上記活性部分は、標的転写産物に対するアンチセンス核酸としてのポリヌクレオチドを含む。本発明の1つの実施態様において、上記活性部分はポリヌクレオチドであり、すなわち、ポリヌクレオチドのみからなる。
また、活性部分におけるポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含む。上記デオキシリボヌクレオチドは化学修飾されていても、化学修飾されていなくてもよい。本発明の1つの実施態様において、上記デオキシリボヌクレオチドは修飾されている。
本発明の1つの実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドと任意に核酸類似体のみを構成単位として含む。本発明のさらなる実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されたデオキシリボヌクレオチドと任意に核酸類似体のみを構成単位として含む。本発明の別の態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されたデオキシリボヌクレオチド、化学修飾されていないデオキシリボヌクレオチドおよび任意に核酸類似体のみを構成単位として含む。
本発明において、「キャリアー部分」とは、上記核酸複合体の構成要素の1つであって、上記活性部分が標的転写産物に到達するまでの適切な期間、当該活性部分のキャリアーとしての機能を有すると考えられる部分である。
上記キャリアー部分は、活性部分のポリヌクレオチドに対して少なくとも一部が相補的なポリヌクレオチドを含む。このような相補性により、当該キャリアー部分は、そこにおけるポリヌクレオチドが上記活性部分のポリヌクレオチドと二本鎖を形成し、それによってキャリアーとしての機能を果たす。本発明の1つの実施態様において、上記キャリアー部分はポリヌクレオチドであり、すなわち、ポリヌクレオチドのみからなる。
また、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの構成単位であるヌクレオチドは化学修飾されていても、化学修飾されていなくてもよい。そして、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されていてもよいヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含む。本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されていてもよいヌクレオチドと任意に核酸類似体のみを構成単位として含む。
上記核酸複合体はさらに、少なくとも1つのリガンド、例えば1〜10個、好ましくは1〜6個、例えば1、2、3、4または5個のリガンドを含む。上記核酸複合体が複数のリガンドを含む場合、それらのリガンドは同じであってもよく、あるいは各々互いに異なっていてもよい。
本発明において、「リガンド」とは、レセプターと結合する能力を有する物質を意味しており、典型的にはレセプターに特異的に結合可能な物質を利用することができる。レセプターはリガンドを結合可能な物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞膜上に存在する種々のレセプターが挙げられる。すなわち、ここで用いる場合、「リガンド」と「レセプター」の用語は、互いに結合可能な相手、好ましくは互いに特異的に結合可能な相手の意味で用いており、それらの結合により何らかの生体反応が惹起されるものに限定されない。例えば、標的細胞の細胞膜表面に存在するレセプターに特異的に結合可能な物質をリガンドとして使用することができる。
上記リガンドは、例えば、タンパク質、ペプチド、アプタマー、糖鎖、脂質、低分子、生体分子/生体活性分子であることができるが、これらに限定はされない。
「タンパク質」は、α−L−アミノ酸(グリシンを含む)がペプチド結合により直鎖状に連結したものを意味する。本明細書においては、タンパク質は、アミノ酸のみからなる単純タンパク質も、アミノ酸以外の構成成分を含む複合タンパク質も含む概念であり、100残基以上のアミノ酸から構成されるものを指す。リガンドとして使用されるタンパク質(以下、「タンパク質リガンド」とも呼ぶ)の例としては、脂肪酸結合タンパク質FABP1〜12(fatty acid binding protein 1−12)、外膜特異的リポタンパク質分子シャペロンLolA、外膜特異的リポタンパク質受容体LolB、リポキシゲナーゼおよびシクロオキゲナーゼが挙げられる。
またリガンドとして使用できるタンパク質としては、抗体も挙げることができる(以下、「抗体リガンド」とも呼ぶ)。例えば、適切なレセプターを選択し、それを抗原として認識する抗体をリガンドとして使用することにより、本発明の核酸複合体を、当該レセプターが存在する標的細胞や標的組織(典型的には、当該レセプターが表面に存在する標的細胞や標的組織)に特異的に送達することができる。
また、リガンドとしてはペプチドを使用することもできる。「ペプチド」とは、2分子以上のアミノ酸がペプチド結合で連結した物質であり、本明細書においては、100残基未満のアミノ酸が連結した物質を指す。本発明においては、好ましくは、60残基以下のアミノ酸、例えば50残基以下、40残基以下、30残基以下、20残基以下、または10残基以下のアミノ酸、例えば9残基以下、8残基以下、7残基以下、6残基以下、5残基以下のアミノ酸が連結したペプチドがリガンドとして使用される。リガンドとして使用されるペプチド(以下、「ペプチドリガンド」とも呼ぶ)は、特に限定されないが、その例としては、環状RGD配列含有ペプチドのような環状ペプチド、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1、バソプレシン、オキシトシンが挙げられる。
ここで、「環状RGD配列含有ペプチド」(以後、「cRGD」、「cRGDペプチド」とも呼ぶ)は、少なくとも1つのアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列を有し、環状構造を形成するペプチドである。上記の「環状ペプチド」は、好ましくは、環状RGD配列含有ペプチドと同一のまたは類似のリガンド特性、特に標的特異性を有するペプチドである。なお、環状ペプチドの配列長は特に制限されないが、環構造を形成する観点から、アミノ酸数が通常3以上、例えば、4〜15または5〜10であることが好ましい。
RGD配列は、細胞表面上の細胞接着分子であるインテグリン分子(特にαβやαβ等)に結合してこれを活性化することや、細胞側のエンドサイトーシスを誘導することが知られており、RGDぺプチドの腫瘍標的リガンドとしての使用も知られている。
本発明では、斯かるRGD配列を有し、環状構造を形成するペプチドであれば、任意のcRGDペプチドを使用することが可能である。
cRGDペプチドの配列長は特に制限されないが、環構造を形成する観点から、アミノ酸数が通常3以上、例えば、4〜15または5〜10であることが好ましい。
また、RGD配列以外の部分を構成するアミノ酸の種類およびこれらの配列は任意である。従って、cRGDペプチドは、生体を構成する20種類のアミノ酸の他に、その他の種類の天然アミノ酸や合成アミノ酸を含んでいてもよい。ただし、本発明の核酸複合体の投与対象に望ましくない影響を及ぼさず、当該複合体の活性を実質的に損なわず、さらにRGD配列の機能を妨げないアミノ酸およびそれらの配列が好ましい。
上述のように、cRGDペプチドは、少なくとも1つのRGD配列を有する。本発明の1つの実施態様において、上記cRGDペプチドは、1つのRGD配列を有する。
cRGDペプチドの具体例としては、以下のアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられるがこれに限定はされない:
cRGDfK(Arg−Gly−Asp−D−Phe−Lys)(配列番号53)。
上記cRGDペプチドは、周知の自動合成装置によって合成することが可能であり、または市販されているもの(例えば、Selleck社製「Cyclo(−RGDfK)」)を使用することも可能である。
さらに、リガンドとしてはアプタマーを使用することもできる(以下、「アプタマーリガンド」とも呼ぶ)。アプタマーとは、特定の分子と、典型的にはハイブリダイズ以外の手段で、特異的に結合する核酸分子であり、通常、核酸の配列をランダムに変化させて、標的の分子と特異的に結合するものを当業者に公知の方法(例えばSELEX法や一段階セレクション法)を用いて選択することによって得ることができる。従って、標的分子に特異的に結合するアプタマーをリガンドとして使用することにより、本発明の核酸複合体を、当該標的分子が存在する標的細胞や標的組織(典型的には、当該標的分子が表面に存在する標的細胞や標的組織)に特異的に送達することができる。
リガンドとしては糖鎖を使用することもできる。ここで「糖鎖」とは、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸などの単糖およびこれらの誘導体がグリコシド結合によって鎖状に結合した分子を指す。リガンドとして使用される糖鎖(以下、「糖鎖リガンド」とも呼ぶ)は、特に限定されないが、その例としては、N−アセチルガラクトサミン、ヒアルロン酸、デキストリンおよびセルロースが挙げられる。
リガンドとしては脂質を使用することもできる。本明細書で使用する場合に、「脂質」には、単純脂質、複合脂質および誘導脂質が含まれる。リガンドとして使用される脂質(以下、「脂質リガンド」とも呼ぶ)は、特に限定されないが、例えば、複合脂質であるリン脂質や糖脂質、誘導脂質である脂肪酸やステロイドが挙げられる。リン脂質の例としてはスフィンゴリン脂質、糖脂質の例としてはスフィンゴ糖脂質、脂肪酸の例としては、直鎖状または分岐状のC〜C30飽和または不飽和脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、ドコサン酸が挙げられ、ステロイドの例としてはコレステロールが挙げられる。また、脂溶性ビタミンであるビタミンE(トコフェロール)もリガンドとして使用できる脂質の一例として挙げることができる。トコフェロールは、例えば、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロールおよびδ-トコフェロールからなる群から選択される。また、本発明では、トコフェロールの類縁体を使用することもできる。
ここで、「類縁体(analog)」とは、ある化合物と同一または類似の基本骨格を有し、類似した構造および性質を有する化合物、特に同一または類似のリガンド特性を有する化合物を指す。類縁体には、例えば、生合成中間体、代謝産物、置換基を有する化合物などが含まれる。ある化合物が別の化合物の類縁体であるかどうかは、当業者であれば判定することが可能である。
本明細書において、「トコフェロール類縁体」には、トコフェロールの不飽和アナログ(例えば、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール等のトコトリエノール)、トコフェロールもしくは上記不飽和アナログの薬学的に許容可能なエステル(例えば、酢酸エステル、コハク酸エステル、プロピオン酸エステル)、およびそれらの薬学的に許容可能な塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩)が含まれる。上記の塩は、特に、コハク酸のような二カルボン酸とのエステルの場合に形成させることが可能である。上記のトコフェロール類縁体は、トコフェロールと同一のまたは類似のリガンド特性、特に標的特異性を有することができる。
リガンドとしては低分子・低分子化合物を使用することもできる。リガンドとして使用され得る低分子・低分子化合物(以下、「低分子リガンド」とも呼ぶ)は、特に限定されないが、その例としては、アニスアミド、チロフィバン、および2−ピロリジン−1−イル−N−[4−[4−(2−ピロリジン−1−イル−アセチルアミノ)−ベンジル]−フェニル]−アセトアミドが挙げられる。
リガンドとしては生体分子/生体活性分子を使用することもできる。リガンドとして使用され得る生体分子/生体活性分子(以下、「生体分子/生体活性分子リガンド」とも呼ぶ)は、生体に関連する分子、または生体に影響を与え得る活性を有する分子であれば特に限定されないが、その例としては、葉酸、アナンダミド、スペルミンが挙げられる。
例えば、「葉酸」は、すべての細胞がDNA合成に必要とするビタミン(水溶性ビタミン)である。多くの癌細胞において葉酸受容体が過剰発現していることが報告されており、従って、葉酸は癌標的リガンドとして広く使用されている。また、葉酸と葉酸受容体の複合体がエンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれることや、多くの癌細胞において、葉酸の取り込みが多いことも報告されている。
本発明では、このような葉酸も上記リガンドとして使用することができ、葉酸は例えば、市販のもの(例えば、Sigma−Aldrich社製「葉酸」)を容易に入手することが可能である。また、本発明では、葉酸の類縁体を使用することもできる。
ここで、本明細書において、「葉酸類縁体」は、ベンゾイル部分を介してアミノ酸部分(好ましくはグルタミン酸部分)と結合した縮合ピリミジン複素環を有する化合物、すなわち、アミノ酸部分、ベンゾイル部分および縮合ピリミジン複素環をベースとした化合物を指す(葉酸自体は除く)。上記「縮合ピリミジン複素環」としては、例えば、プテリジン又は二環式ピロロピリミジンなど5若しくは6員環の複素環をさらに融合させたピリミジンを挙げることができる。葉酸またはその類縁体の例としては、葉酸(プテロイル−グルタミン酸)骨格をベースとし、任意選択的に置換された葉酸、ホリニン酸、プテロポリグルタミン酸、ならびに葉酸レセプター結合プテリジン、例えば、テトラヒドロプテリン、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸、デアザおよびジデアザアナログが挙げられる。上記の葉酸類縁体は、葉酸と同一のまたは類似のリガンド特性、特に標的特異性を有することができる。
また、当業者は、他の生体分子/生体活性分子リガンドについても、それぞれのレセプターの情報、例えば、各種組織や細胞における発現レベルや発現特異性等を考慮に入れながら、本発明の核酸複合体の所望の標的に応じて、適切な生体分子/生体活性分子リガンドを適宜選択することが可能である。
本発明の1つの好ましい態様において、上記リガンドは、タンパク質リガンド、ペプチドリガンド、アプタマーリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択され、より好ましくはペプチドリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択される。
本発明のさらなる好ましい態様において、上記リガンドは、環状ペプチド、例えば環状アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列含有ペプチド、葉酸もしくはその類縁体、ビタミンE(トコフェロール)もしくはその類縁体、ステアリン酸、ドコサン酸、アナンダミド、スペルミン、コレステロール、アニスアミドまたはN−アセチルガラクトサミンから選択される。
本発明の別の実施態様において、上記リガンドは、ペプチドリガンド、生体分子/生体活性分子リガンドまたは脂質リガンドから選択され、例えば、環状RGD配列含有ペプチド、葉酸またはビタミンE(トコフェロール)から選択される。
好ましくは、上記のようなリガンドを有する本発明の核酸複合体は、上記リガンドが特異的に結合可能なレセプターを有する細胞や組織(例えばそれらの表面に有する)を標的細胞または標的組織とすることができる。標的細胞や標的組織の種類は特に限定されず、目的などに応じて適宜の細胞や組織を標的とすることができる。例えば、標的細胞は組織や臓器を形成する細胞であってもよい。あるいは、標的細胞は、白血病細胞のように単独で存在する細胞であってもよく、固形がん細胞のように組織に腫瘍を形成している細胞やリンパ組織や他の組織に浸潤している細胞などであってもよい(以下、これらの細胞をまとめて単に「癌細胞」とも呼ぶ)。
このように、本発明では、細胞特異的標的リガンドまたは組織特異的標的リガンドを用いることにより、上記核酸複合体を標的細胞または標的組織に標的化送達することが可能である。細胞特異的標的リガンドまたは組織特異的標的リガンドは、種々の細胞、組織に特異的なリガンドが当業者に知られており、本発明では、それらを目的に応じて適宜使用することが可能である。上記リガンドは、その機能(標的特異性)に基づいても分類することができ、上記リガンドは例えば、癌性細胞特異的標的リガンドもしくは癌性組織特異的標的リガンド(まとめて、「癌標的リガンド」とも呼ぶ)、または肝臓に特異的な肝臓標的リガンドであることができる。
癌標的リガンドは、癌性細胞もしくは癌性組織に特異的なリガンドであれば特に限定はされない。このようなリガンドの例についても当業者によく知られており、例えばインテグリン高親和性リガンド(例えば、上述の環状アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列含有ペプチド)や葉酸受容体高親和性リガンド(例えば、上述の葉酸もしくはその類縁体)、トランスフェリン受容体高親和性リガンド、CD34高親和性リガンド、前立腺特異的膜抗原(PSMA)高親和性リガンド(例えば、2−[3−(1,3−dicarboxypropyl)ureido]pentanedioic acid (DUPA))を挙げることができる。
肝臓標的リガンドは、肝細胞もしくは肝臓に特異的なリガンドであれば特に限定はされない。このようなリガンドの例についても当業者によく知られており、例えばα−TPP高親和性リガンド(例えば、上述のトコフェロールもしくはその類縁体)、アシアロ糖タンパク質受容体高親和性リガンド(例えば、N−アセチルグルコサミン)を挙げることができる。
1つの実施態様において、上記核酸複合体は、活性部分、キャリアー部分およびリガンドのみからなる。本発明の他の実施態様において、上記核酸複合体は、活性部分、キャリアー部分、リガンドおよびリンカーのみからなる。
「アンチセンス効果」とは、標的転写産物(RNAセンス鎖)と、例えば、その部分配列に相補的なDNA鎖、又は通常アンチセンス効果が生じるように設計された鎖等とがハイブリダイズすることによって生じる、標的遺伝子の発現又は標的転写産物レベルの抑制を意味する。ある場合においては、ハイブリダイゼーション産物により前記転写産物を被覆することによって生じ得る翻訳の阻害又はエキソンスキッピング等のスプライシング機能変換効果、及び/又は、ハイブリダイズした部分が認識されることにより生じ得る前記転写産物の分解によって生じる、前記抑制も包含し得る。
アンチセンス効果によって発現が抑制される「標的遺伝子」又は「標的転写産物」としては、特に制限はなく、例えば、各種疾患において発現が亢進している遺伝子が挙げられる。本発明の1つの実施態様において、上記標的遺伝子は、がん遺伝子または脂質異常症に関連する遺伝子である。また「標的遺伝子の転写産物」とは、標的遺伝子をコードするゲノムDNAから転写されたmRNAのことであり、塩基の修飾を受けていないmRNAや、スプライシングを受けていないmRNA前駆体等も含まれる。通常、「転写産物」は、DNA依存性RNAポリメラーゼによって合成される、いかなるRNAでもよい。
「合成、精製および/または単離された核酸複合体」という文言は、ここでは少なくとも2つのポリヌクレオチド鎖を含む核酸複合体であって、各ポリヌクレオチドの構成単位はそれぞれ天然に生じる物質であっても、天然には生じない物質でもあってもよいが、ポリヌクレオチド自体(すなわちポリヌクレオチド全体)としては、天然では生じないものおよび/または天然では実質的に生じないものを意味する。
本発明の1つの態様において、上記核酸複合体は二本鎖核酸複合体である。
「相補的」という文言は、ヌクレオチドの塩基が他のヌクレオチドの塩基と、水素結合を介して、いわゆるワトソン−クリック型塩基対(天然型塩基対)や非ワトソン−クリック型塩基対(フーグスティーン型塩基対等)を形成できる関係のことを意味する。例えば、DNAにおいては、アデニン(A)がチミジン(T)に対して相補的であり、RNAにおいては、アデニン(A)はウラシル(U)に対して相補的である。
例えば、活性部分のポリヌクレオチドのある位置のヌクレオチドが、標的遺伝子の転写産物のある位置のヌクレオチドと水素結合を介して塩基対を形成できる場合、上記ポリヌクレオチドと上記転写産物は、当該水素結合の位置において相補的であると考えられる。
あるポリヌクレオチドが他のポリヌクレオチドとハイブリダイズもしくはアニーリング(本明細書では、これらの語を互換的に使用する)するためには、両ポリヌクレオチドは、塩基配列の全ての位置において相補的である必要はない。そして、本発明に関しても、核酸複合体が機能を発揮するためには、塩基配列の全ての位置において相補的である必要はなく、一部の位置におけるミスマッチが許容される。
例えば、標的転写産物の塩基配列と、上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドの塩基配列とは、完全に相補的である必要はなく、すなわち、両者は全ての位置で相補的である必要はない。
本発明では、活性部分におけるポリヌクレオチドは、その少なくとも一部が、標的転写産物に対して相補的である。本発明の1つの実施態様において、標的転写産物の塩基配列と活性部分におけるポリヌクレオチドの塩基配列は、その少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上、または100%)が相補的であればよい。例えば、70%のヌクレオチドが相補的な場合、両者は70%の「相補性」を有する。本発明の好ましい1つの実施態様において、両者は完全に相補的であり、すなわち、100%の相補性を有する。
なお、2つのポリヌクレオチドの相補性(例えば、標的転写産物と活性部分のポリヌクレオチドとの相補性)は、両者が異なる長さを有する場合には、二本鎖形成領域(ミスマッチを含む場合にはそれらを含めた二本鎖形成領域全体)における相補性として算出することができる。
配列の相補性は、BLASTプログラム等を利用することにより決定することができる。そして、当業者であれば、例えば、標的遺伝子の塩基配列の情報に基づいて、標的転写産物に相補的なアンチセンス核酸を容易に設計することができる。
本発明では、活性部分におけるポリヌクレオチドとキャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、上述の相補性に基づいて「アニーリング」し、二本鎖を形成することができる。当業者であれば、2本の核酸鎖がアニーリングできる条件(温度、塩濃度等)を容易に決定することができる。
本明細書において、「核酸」とは、天然型核酸、非天然型核酸及び/又は核酸類似体をいうが、「核酸」はモノマーヌクレオチドを意味する場合もあり、複数のモノマーから構成されるオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドを意味する場合もある。「核酸鎖」という文言は、ここではオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドを称するためにも用いられる。核酸鎖は、その全部又は一部を、自動合成機の使用といった化学合成法によって調製してもよく、ポリメラーゼ、ライゲース又は制限酵素反応に限定されるわけではないが、酵素処理により調製してもよい。本発明の1つの実施態様において、本発明の核酸複合体におけるポリヌクレオチドは、化学合成または酵素的反応によって人工的に調製されたものである。
本明細書において、「天然型核酸」とは、ヌクレオチドを基本単位とし、リン酸が各ヌクレオチド間で糖の3’と5’位炭素の間にジエステル結合の橋をつくって結ばれ重合した自然界に存在するポリヌクレオチドをいう。通常は、アデニン、グアニン、シトシン及びウラシルのいずれかの塩基を有するリボヌクレオチドが連結したRNA及び/又はアデニン、グアニン、シトシン及びチミンのいずれかの塩基を有するデオキシリボヌクレオチドが連結したDNAが該当する。
本明細書において、「非天然型核酸」とは、非天然型ヌクレオチドを含む又はそれからなる核酸をいう。ここで「非天然型ヌクレオチド」とは、人工的に構築された又は人工的に化学修飾された自然界に存在しないヌクレオチドであって、前記天然に存在するヌクレオチドに類似の性質及び/又は構造を有するヌクレオチド、又は天然に存在するヌクレオシド若しくは塩基に類似の性質及び/又は構造を有するヌクレオシド若しくは塩基を含むヌクレオチドをいう。例えば、脱塩基ヌクレオシド、アラビノヌクレオシド、2’−デオキシウリジン、α−デオキシリボヌクレオシド、β−L−デオキシリボヌクレオシド、その他の糖修飾を有するヌクレオチドが挙げられる。さらに、置換五単糖(2’−O−メチルリボース、2’−デオキシ−2’−フルオロリボース、3’−O−メチルリボース、1’,2’−デオキシリボース)、アラビノース、置換アラビノース糖;置換六単糖及びアルファ−アノマーの糖修飾を有するヌクレオチドが含まれる。また、非天然型ヌクレオチドは、人工的に構築された塩基類似体又は人工的に化学修飾された塩基(修飾塩基)を包含するヌクレオチドも含む。「塩基類似体」には、例えば、2−オキソ(1H)−ピリジン−3−イル基、5位置換−2−オキソ(1H)−ピリジン−3−イル基、2−アミノ−6−(2−チアゾリル)プリン−9−イル基、2−アミノ−6−(2−チアゾリル)プリン−9−イル基、2−アミノ−6−(2−オキサゾリル)プリン−9−イル基等が挙げられる。「修飾塩基」には、例えば、修飾化ピリミジン(例えば、5−ヒドロキシシトシン、5−フルオロウラシル、4−チオウラシル)、修飾化プリン(例えば、6−メチルアデニン、6−チオグアノシン)及び他の複素環塩基等が挙げられる。メチルホスホネート型DNA/RNA、ホスホロチオエート型DNA/RNA(すなわち、チオリン酸結合を有するDNA/RNA)、ホスホルアミデート型DNA/RNA、2’−O−メチル型DNA/RNA等の化学修飾核酸や核酸類似体も含むこともできる。
本明細書において「核酸類似体」とは、天然型核酸に類似の構造及び/又は性質を有する人工的に構築された化合物をいう。例えば、ペプチド核酸(PNA:Peptide Nucleic Acid)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、架橋化核酸(BNA/LNA:Bridged Nucleic Acid/Locked Nucleic Acid)、モルホリノ核酸等が挙げられる。なお、これらの核酸類似体は、上記のような化学修飾をさらに受けていてもよい。
本発明の1つの実施態様において、本発明の核酸複合体は、上記のような各種核酸を適宜組み合わせて含むかまたは組み合わせてなる核酸(ポリヌクレオチド)を、活性部分および/またはキャリアー部分に有する。
本発明では、活性部分におけるポリヌクレオチドは「化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドと任意に核酸類似体」を構成単位として少なくとも含む。この文言は、上記ポリヌクレオチドが、化学修飾されているかもしくはされていないデオキシリボヌクレオチドを有し、また任意に核酸類似体を更に有していてもよいということを意味する。
キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、「化学修飾されていてもよいヌクレオチドと任意に核酸類似体」を構成単位として少なくとも含む。この文言は、上記ポリヌクレオチドが、化学修飾されているかもしくはされていないヌクレオチドを有し、また任意に核酸類似体を更に有していてもよいということを意味する。ここで、必須の構成単位である上記ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであっても、リボヌクレオチドであっても、これらの組み合わせであってもよい。また、当該ヌクレオチドはそれぞれ独立に、化学修飾されていても、化学修飾されていなくてもよい。
活性部分におけるポリヌクレオチドの長さは特に制限はないが、好ましくは少なくとも8塩基であり、少なくとも10塩基であり、少なくとも12塩基であり、少なくとも13塩基であり、少なくとも14塩基であり、又は少なくとも15塩基である。前記長さは、好ましくは100塩基以下、35塩基以下、25塩基以下、20塩基以下、19塩基以下、18塩基以下または17塩基以下であることができる。前記長さの範囲は、好ましくは10〜35塩基であり、より好ましくは12〜25塩基であり、さらに好ましくは13〜20塩基である。通常、前記標的に対する核酸鎖によるアンチセンス効果の強さや、費用、合成収率等の他の要素に応じて、前記長さは選択される。
本発明の1つの実施形態において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、標的転写産物に少なくとも一部が相補的なアンチセンスポリヌクレオチドであって、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドを含む領域を有するポリヌクレオチドであることができる。
「少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチド」は、4〜20塩基の連続したデオキシリボヌクレオチド(化学修飾されていてもよい)を含む領域であることができ、好ましくは5〜16塩基の連続したデオキシリボヌクレオチド(化学修飾されていてもよい)を含む領域であり、より好ましくは6〜14塩基、例えば7〜13塩基の連続したデオキシリボヌクレオチド(化学修飾されていてもよい)を含む領域である。この領域には、リボヌクレオチドにハイブリダイズした際に、RNA鎖を切断するRNaseHによって認識されるヌクレオチド、例えば天然型デオキシリボヌクレオチドやリン酸塩結合部分のみが化学修飾されたデオキシリボヌクレオチド(例えばホスホロチオエート化デオキシリボヌクレオチド)を用いることもできる。また、本発明の1つの実施態様において、上記デオキシリボヌクレオチドにおいて、各ヌクレオチドは互いに独立に修飾されており、デオキシリボヌクレオチドに関して利用可能な修飾はこの分野において知られている。
本明細書において、「ヌクレオチド」とはヌクレオシドの糖部分がリン酸とエステルをつくっている化合物を意味し、ここで「ヌクレオシド」とは、プリン塩基またはピリミジン塩基のような窒素を含む有機塩基と糖の還元基とがグリコシド結合によって結合した配糖体化合物を意味する。
また、「デオキシリボヌクレオチド」は、糖部分がD−2−デオキシリボースからなるヌクレオチドであり、「リボヌクレオチド」は、糖部分がD−リボースからなるヌクレオチドである。
「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドを基本単位とし、リン酸が各ヌクレオチド間で糖の3’と5’位炭素の間にジエステル結合の橋をつくって結ばれた、複数のヌクレオチドが重合した鎖状の物質を意味する。これは、いわゆるオリゴヌクレオチドも包含する。なお、本明細書では、このようなポリヌクレオチドにその構成単位として含まれるヌクレオチド(重合した状態にある)についても同様に「ヌクレオチド」と呼ぶ。
ここで、上記「デオキシリボヌクレオチド」は、天然に存在するデオキシリボヌクレオチドを意味する。当該デオキシリボヌクレオチドは、その塩基、糖若しくはリン酸塩結合が化学修飾されていてもよい。同様に、「リボヌクレオチド」は、天然に存在するリボヌクレオチドを意味する。当該リボヌクレオチドは、その塩基、糖若しくはリン酸塩結合が化学修飾されていてもよい。化学修飾としては例えば上述したようなものが考えられる。
本発明の1つの実施態様において、化学修飾ヌクレオチドは、塩基部位が修飾されていてもよい。塩基部位の修飾としては、例えば、シトシンの5−メチル化、5−フルオロ化、5−ブロモ化、5−ヨード化、N4−メチル化、チミジンの5−デメチル化、5−フルオロ化、5−ブロモ化、5−ヨード化、アデニンのN6−メチル化、8−ブロモ化、グアニンのN2−メチル化、8−ブロモ化が挙げられる。さらにまた、ある実施態様における化学修飾ヌクレオチドにおいては、リン酸ジエステル結合部位が修飾されていてもよい。リン酸ジエステル結合部位の修飾としては、例えば、ホスホロチオエート化、メチルホスホネート化、メチルチオホスホネート化、キラル−メチルホスホネート化、ホスホロジチオエート化、ホスホロアミデート化が挙げられるが、体内動態に優れているという観点から、ホスホロチオエート化(チオリン酸結合)が好ましい。また、このような塩基部位の化学修飾やリン酸ジエステル結合部位の化学修飾は同一のヌクレオチドに対して、複数種組み合わせて施されていてもよい。
当業者であれば、ヌクレオチドの種類(例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド)に応じて、適宜、それぞれにおいて可能な化学修飾を選択して施すことが可能である。
上記のような化学修飾は同一のヌクレオチドに対して、複数種組み合わせて施されていてもよい。
通常、上記のような化学修飾は、塩基対形成には影響を及ぼさず、従って、ヌクレオチド間の相補性やポリヌクレオチド間の相補性には影響を及ぼさないと考えられる。すなわち、通常、相補的な2つのヌクレオチドは、化学修飾された後も塩基対を形成する能力を維持することができ、従って依然として相補的であることができる。
しかしながら、ある場合において、化学修飾の数や位置によっては、ここで開示する二本鎖核酸が奏するアンチセンス効果等に影響を与えることになるかもしれない。これらの態様は、標的遺伝子の配列等によっても異なるため、一概には言えないが、当業者であれば、アンチセンス法に関する文献の記載等を参酌しながら、決定することができる。また、化学修飾後の核酸複合体が有するアンチセンス効果を測定し、得られた測定値が、化学修飾前の核酸複合体のそれよりも有意に低下していなければ(例えば、化学修飾後の核酸複合体の測定値が化学修飾前の核酸複合体の測定値の30%以上であれば)、当該化学修飾は評価することができる。アンチセンス効果の測定は、例えば、細胞等に被検核酸化合物を導入し、該被検核酸化合物が奏するアンチセンス効果によって抑制された該細胞等における標的遺伝子の発現量(mRNA量、cDNA量、タンパク質量等)を、ノザンブロッティング、定量的PCR、ウェスタンブロッティング等の公知の手法を適宜利用することによって行うことができる。あるいは、例えば、細胞に被検核酸化合物を導入し、該被検核酸化合物が奏する標的遺伝子発現抑制に起因する細胞増殖抑制を、WST(または類似の色素MTT、XTT、MTS等)をホルマザン色素へ還元する酵素活性を測定する比色定量法、BrdU取込量の測定、フローサイトメトリー等の公知の手法を用いて測定することにより行うことができる。
上述のように、本発明の核酸複合体のポリヌクレオチドは、任意選択で核酸類似体を含むことができる。本発明において使用される核酸類似体の例としては、上述したBNA/LNAや、その他にも、ヘキシトール核酸(HNA)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、トリシクロ−DNA(tcDNA)等が挙げられる。
本発明の1つの実施態様において、上記核酸類似体は、BNA/LNA、好ましくは下記の式(1)で表されるBNAである。
Figure 2018003739
[式(1)中、Baseは、置換基を有していてもよい芳香族複素環基若しくは芳香族炭化水素環基、例えば、天然型ヌクレオシドの塩基部位(プリン塩基、ピリミジン塩基)又は非天然型(化学修飾)ヌクレオシドの塩基部位を示す。なお、塩基部位の化学修飾の例は、前述の通りである。R、Rは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、スルホニル基、シリル基、リン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、又は、−P(R)R(ここで、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルチオ基、炭素数1〜6のシアノアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルキル基で置換されたアミノ基を示す)を示す]。
なお、前記化学式において示されている化合物はヌクレオシドであるが、本明細書において、「LNA」や「BNA」には、当該ヌクレオシドにリン酸基が結合した形態(ヌクレオチド)も含まれる。すなわち、本明細書において「LNA」や「BNA」という語句を用いた場合には、ポリヌクレオチド中に、ヌクレオチドとして組み込まれているLNA/BNAも意味する。
また、BNAとしては、例えば、LNA(ロックド核酸(Locked Nucleic Acid(登録商標)、2’,4’−BNA)とも称される、α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA)の他に、β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、ENAとも称されるエチレンオキシ(4’−(CH−O−2’)BNA)、β−D−チオ(4’−CH−S−2’)BNA、アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)BNA、2’,4’−BNANCとも称されるオキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)BNA、2’,4’−BNACOC、3’アミノ−2’,4’−BNA、5’−メチルBNA、cEt−BNAとも称される(4’−CH(CH)−O−2’)BNA、cMOE−BNAとも称される(4’−CH(CHOCH)−O−2’)BNA、AmNAとも称されるアミドBNA(4’−C(O)−N(R)−2’)BNA(R=H、Me)、当業者に知られた他のBNAが挙げられる。
本発明の1つの実施態様では、核酸類似体(例えばLNA/BNA)はさらに、上述の化学修飾(または化学修飾の組み合わせ)を受けていてもよい。本発明の1つの実施態様では、核酸類似体(例えばLNA/BNA)は、ホスホロチオエート化が施されたヌクレオチドとして、上記ポリヌクレオチドに組み込まれている。
当業者であれば、ヌクレオチドの種類(例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド)や核酸類似体の種類に応じて、適宜、それぞれにおいて可能な化学修飾を選択して施すことが可能である。
本発明の1つの実施態様において、「1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含むウィング領域」は、前記少なくとも4つ以上の連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドを含む領域(以下「DNAギャップ領域」とも称する)の5’末側及び/又は3’末側に配置されるものである。
本発明の1つの実施態様において、該DNAギャップ領域の5’末端に配置された化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む領域(以下「5’ウィング領域」とも称する)、及び該DNAギャップ領域の3’末端に配置された化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む領域(以下「3’ウィング領域」とも称する)は、それぞれ独立したものであり、化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を少なくとも1種含んでいればよく、さらに、かかる化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体以外に天然型のヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド)も含まれていてもよい。また、5’ウィング領域及び3’ウィング領域の鎖長は独立的に、通常1〜10塩基であることができ、好ましくは1〜7塩基、又は2〜5塩基、例えば2〜4塩基である。
さらに、5’ウィング領域及び3’ウィング領域における化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体及び天然型のヌクレオチドの種類や数や位置については、ある実施形態における核酸複合体が奏するアンチセンス効果等に影響を与える場合もあるため、好ましい態様は、配列等によっても変わり得る。一概には言えないが、当業者であれば、例えば、Tachasらの米国特許第8299039号明細書の記載のようなアンチセンス法に関する文献の記載を参酌しながら、好ましい態様を決定することができる。また、前記「少なくとも4つ以上の連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチド」を含む領域同様に、化学修飾後および/または核酸類似体導入後の核酸、好ましくは二本鎖核酸が有するアンチセンス効果を測定し、得られた測定値が、これらの前の核酸、好ましくは二本鎖核酸のそれよりも有意に低下していなければ、当該化学修飾および/または核酸類似体は好ましい態様であると評価することができる。
なお、特許文献1で述べられているように、従前から試みられているRNAやLNAのみからなるアンチセンス法は、標的となるmRNAと結合することで翻訳を抑制したが、その効果は概して不十分であった。一方DNAのみからなるアンチセンス法では、標的遺伝子と結合するとDNAとRNAからなる二本鎖構造となるため、RNaseHの標的となることでmRNAが切断されることにより強い標的遺伝子発現抑制効果が期待できたが、標的遺伝子との結合自体が弱いため実際の効果はやはり不十分だった。従って、活性部分におけるポリヌクレオチドにおいて、中央に少なくとも4塩基以上の鎖長のDNA(または化学修飾DNA)が配置され、さらにRNA(すなわち、標的転写産物)と強い結合能力を持つLNA(又は他のBNA)が両端に配置されることによって、このような複合鎖は、RNaseHによる標的RNAの切断を促進し得る。
よって、上記5’ウィング領域および3’ウィング領域はそれぞれ、核酸類似体を含んでいることが望ましい。本発明の1つの実施態様において、上記5’ウィング領域および3’ウィング領域はそれぞれ、核酸類似体からなる。この場合、核酸類似体はさらに化学修飾されていてもよい。上記5’ウィング領域および3’ウィング領域はそれぞれ、BNA/LNAを含んでいてもよく、この場合、LNA/BNAはさらに化学修飾されていてもよい。本発明の1つの実施態様において、LNA/BNAはホスホロチエート化されている。
また、本発明の別の実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドからなる。当該ポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート化されたデオキシリボヌクレオチドからなっていてもよく、この場合、当該デオキシリボヌクレオチドはさらなる化学修飾を受けていてもよい。あるいは、当該ポリヌクレオチドは、核酸間結合として、ホスホジエステル結合(PO型結合)と、リン酸基の酸素原子の一つを硫黄原子に置換したホスホロチオエート化(PS化)結合(PS型結合)を、ランダム、交互、ブロック、グラジエントまたはこれらの組み合わせの配置で有する、好ましくは交互の配置で有する、デオキシリボヌクレオチドからなっていてもよく、この場合、当該デオキシリボヌクレオチドはさらなる化学修飾を受けていてもよい。
以下に、PO型結合とPS型結合のランダム、交互、ブロック、グラジエントの配置の例を示す。ここで、Aは化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオシド(もしくは核酸類似体)を示し、poはPO型結合、psはPS型結合を示す。
Figure 2018003739
上記のように、ポリヌクレオチドのバックボーンとしてPO型結合とPS型結合を交互に用いた構造は、例えば、US2003/0220486A1から知られている。
本発明の他の実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび核酸類似体からなる。この場合、核酸類似体はさらに化学修飾されていてもよい。
本発明のさらなる実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドとその5’側に位置する5’ウィング領域および3’側に位置する3’ウィング領域とからなる。この態様において、上記デオキシリボヌクレオチドはその一部または全部が化学修飾されていてもよく、好ましくは、上記デオキシリボヌクレオチドはその一部または全部が、より好ましくは全部が、ホスホロチオエート化されている。あるいは、上記デオキシリボヌクレオチドは、核酸間結合として、PO型結合とPS型結合を、ランダム、交互、ブロック、グラジエントまたはこれらの組み合わせの配置で、好ましくは交互の配置で有していてもよい。好ましくは、上記5’ウィング領域および3’ウィング領域は、ホスホロチオエート化された核酸類似体、より好ましくはホスホロチオエート化されたLNA/BNAからなる。
本発明の1つの実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、リボヌクレオチドを含まないか、あるいは、リボヌクレオチドも化学修飾されたリボヌクレオチドも含まない。
上述のように、本発明において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、前述の活性部分におけるポリヌクレオチドと少なくとも一部が相補的なポリヌクレオチドである。キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの塩基配列と活性部分におけるポリヌクレオチドの塩基配列とは、両者が少なくとも部分的に二本鎖を形成することが可能であれば、完全に相補的である必要はなく、例えば、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の相補性を有していればよい。
本発明の1つの好ましい実施態様において、両ポリヌクレオチドは100%の相補性を有する。ここで、相補性は上記のように二本鎖形成領域(二本鎖形成領域全体)における相補性として算出する。この態様では、例えば、キャリアー部分のポリヌクレオチドの長さが、活性部分のポリヌクレオチドの長さより長い場合には、活性部分のポリヌクレオチド全体がキャリアー部分のポリヌクレオチドの一部分と完全に相補的であり、その完全に相補的な部分が二本鎖形成領域となる。また、キャリアー部分のポリヌクレオチドの長さが、活性部分のポリヌクレオチドより短い場合には、キャリアー部分のポリヌクレオチド全体が活性部分のポリヌクレオチドの一部分と完全に相補的であり、その完全に相補的な部分が二本鎖形成領域となる。そして、活性部分のポリヌクレオチドとキャリアー部分のポリヌクレオチドが同じ長さを有する場合には、両ポリヌクレオチドは全体にわたって完全に相補的である。
キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、上述のように、化学修飾されていてもよいヌクレオチドと、任意に核酸類似体とを含む。RNA分解酵素等の核酸分解酵素に対する耐性が高いという観点から、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドにおいても、ヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチド)は、活性部分におけるポリヌクレオチドに関して述べたような化学修飾を受けていてもよい。
従って、当該ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドとして、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび/または化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドを含むことができる。本発明の1つの実施態様において、当該ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドとして、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドを含むことができる。上記ポリヌクレオチドにおけるデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの数は、特に制限はされない。例えば、上記ポリヌクレオチドは、交互に存在する化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドを含んでいてもよい。これらの態様において、例えば、デオキシリボヌクレオチドの1つまたは複数が化学修飾されていてもよく、および/またはリボヌクレオチドの1つまたは複数が化学修飾されていてもよい。本発明のさらなる実施態様において、当該ポリヌクレオチドは、化学修飾ヌクレオチドとして、脱塩基ヌクレオシドを有するヌクレオチドを1つまたは複数含む。本発明のさらなる態様において、当該ポリヌクレオチドは、リガンドまたはリンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドを1つまたは複数含む。
本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、化学修飾されていない。本発明の別の実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位を除き、化学修飾されていない。本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドからなる。本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位を除き、デオキシリボヌクレオチドからなる。本発明のさらなる実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドからなり、当該リボヌクレオチドの数は1つまたは2つであって、リボヌクレオチドは例えば、5’末端から数えて、1〜35番目、好ましくは2〜30番目、3〜25番目、4〜20番目または5〜15番目の位置に存在する。本発明の他の実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位を除き、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドからなり、当該リボヌクレオチドの数は1つまたは2つであって、リボヌクレオチドは例えば、5’末端から数えて、1〜35番目、好ましくは2〜30番目、3〜25番目、4〜20番目または5〜15番目の位置に存在する。本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、交互に存在する化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドからなる。本発明のさらなる実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位を除き、交互に存在する化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドからなる。これらの態様において、上記構成単位(リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位)は、リガンドまたはリンカーとの結合のための化学修飾がなされていてもよく、例えば、リガンドまたはリンカーとの結合のために化学修飾されたリボヌクレオチドである。
本発明のさらなる実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドと、1つの脱塩基ヌクレオチド(例えば脱塩基リボヌクレオチド)とからなり、この脱塩基ヌクレオチドはさらに、リガンドまたはリンカーとの結合のための化学修飾がなされていてもよい。本発明の1つの態様において、当該脱塩基ヌクレオチド(リガンドまたはリンカーとの結合のための化学修飾がなされていてもよい)が、リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位となる。
また、キャリアー部分のポリヌクレオチドが特定の細胞の核内に送達されるまで、RNaseA等のRNA分解酵素による分解を抑制しつつも、特定の細胞内においてはRNaseHにより該ポリヌクレオチドが分解されることにより、アンチセンス効果を発揮し易いという観点から、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分におけるポリヌクレオチドに関して述べたような核酸類似体を含んでいてもよい。
なお、活性部分におけるポリヌクレオチドの場合と同様に、核酸類似体を含む場合には当該核酸類似体はさらに化学修飾を受けていてもよい。
本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、核酸類似体を含む。本発明の他の実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、核酸類似体を含まない。
化学修飾および核酸類似体の数や位置は、ある実施形態における核酸複合体が奏するアンチセンス効果等に影響を与える場合もあるため、キャリアー部分のポリヌクレオチドにおける核酸類似体の数及び化学修飾の位置には好ましい態様が存在する。この好ましい態様は、化学修飾対象となる核酸の種類、配列等によっても異なるため、一概には言えないが、前述の活性部分におけるポリヌクレオチド同様に、化学修飾後または核酸類似体導入後の核酸複合体が有するアンチセンス効果を測定することにより特定することができる。
本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分のポリヌクレオチドの5’ウィング領域及び/又は3’ウィング領域に対して相補的な領域に、化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を有する。例えば、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドにおいて、活性部分のポリヌクレオチドの5’ウィング領域及び3’ウィング領域に対して相補的な領域は、化学修飾ヌクレオチド、例えばホスホロチオエート化された2’−O−メチル化リボヌクレオチドからなることができる。この場合、上記のウィング領域に対して相補的な領域以外の領域は、例えば化学修飾されていないデオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドからなることができる(ただし、リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位は、リガンドまたはリンカーとの結合のための化学修飾がなされていてもよい)。この実施態様において、好ましくは、リガンドまたはリンカーは上記のウィング領域に対して相補的な領域以外の領域に存在する構成単位に結合している。
キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さは特に制限されないが、少なくとも8塩基であり、少なくとも10塩基であり、少なくとも12塩基であり、少なくとも13塩基であり、少なくとも14塩基であり、少なくとも15塩基、または少なくとも16塩基である。前記長さは、好ましくは100塩基以下、35塩基以下、25塩基以下、20塩基以下、19塩基以下、18塩基以下または17塩基以下であることができる。前記長さの範囲は、好ましくは10〜35塩基であり、より好ましくは12〜25塩基であり、さらに好ましくは13〜20塩基である。通常、標的部位への送達に及ぼす効果や、費用、合成収率等の他の要素に応じて、長さは選択される。
本発明の1つの実施形態において、活性部分におけるポリヌクレオチドの長さとキャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さは同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明の1つの実施形態において、活性部分におけるポリヌクレオチドの長さは、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さよりも大きい。
本発明の他の実施形態において、活性部分におけるポリヌクレオチドの長さは、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さよりも小さい。
本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含む。
「ミスマッチ」とは、活性部分におけるポリヌクレオチドとキャリアー部分におけるポリヌクレオチドとの間のアニーリングによって形成された二本鎖形成領域(以下、単に「二本鎖形成領域」とも呼ぶ)内のある位置において、両ポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド間でワトソン−クリック型塩基対が形成されないことをいう。
ただし、ここでいうミスマッチは、活性部分のポリヌクレオチドとキャリアー部分のポリヌクレオチドが二本鎖形成領域内で同一の数のヌクレオチドおよび/または核酸類似体(以下、まとめて「ヌクレオチド等」とも呼ぶ)を有し、上記位置を除く全ての位置において塩基対を形成しているにもかかわらずに、当該位置でのみ塩基対が形成されないことを意味する。従って、これは、オーバーハングや、二本鎖形成領域内の両ポリヌクレオチドの長さの相違に起因して生じるバルジのような構造は含まない。なおこれは、ミスマッチとオーバーハングやバルジとを区別することを意図するものであり、本発明の核酸複合体、好ましくは二本鎖核酸複合体において、ミスマッチとバルジ(および/またはオーバーハング)が同時に存在することを妨げるものではない。
従って、「キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含む」とは、活性部分のポリヌクレオチドとキャリアー部分のポリヌクレオチドが二本鎖形成領域内において同一の長さを有し、かつ、後者が、両ポリヌクレオチド間でワトソン−クリック型塩基対を形成しないようなヌクレオチド等を当該二本鎖形成領域内において少なくとも1つ含むことを意味する。ミスマッチの例としては、A対G、C対A、U対C、A対A、G対G、C対C等や、リボヌクレオチドを用いたU対G、U対C、U対T等が挙げられるが、同様に、例えば、非塩基残基対ヌクレオチド等、非環状残基対ヌクレオチド等も含まれる。広い意味において、ここで用いられるミスマッチには、特定の位置における二本鎖の熱力学的安定性がその位置におけるワトソン−クリック型塩基対の熱力学的安定性よりも低くなるように、その位置またはその近傍での熱力学的安定性を減少させる、その位置での任意の変換も含まれる。
本発明において、核酸複合体は、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含んでいてもよい。ミスマッチの数は、二本鎖核酸の形成が妨げられない範囲内であれば特に制限はされず、ミスマッチを複数個含む場合には、各ミスマッチは互いに離れて存在していてもよく、または連続して存在していても、両者が組み合わされて存在していてもよい。本発明の1つの実施態様では、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して1つのミスマッチを含むことができる。
ミスマッチの位置は、ミスマッチ構造を形成できる位置であれば特に制限はされない。
例えば、活性部分のポリヌクレオチドおよびキャリアー部分のポリヌクレオチドがそれぞれ10〜35塩基の長さを有する場合には、例えば、二本鎖形成領域の5’末端(活性部分のポリヌクレオチドの上記領域内の5’末端)から数えて、2〜15番目の位置に、例えば6〜11番目(例えば6、7、8、9、10または11番目)の位置にミスマッチを導入することができる。
本発明の核酸複合体が少なくとも1つのミスマッチを有する場合、ミスマッチの部分、すなわち、二本鎖が形成されていない部分において、DNaseまたはRNaseの攻撃を適度に受けるため、細胞内または生体内において、標的mRNAに送達される頃までの間に、当該キャリアー部分のみが適度に切断されて(キャリアー部分のポリヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはこれらの組み合わせのいずれの場合であっても)、活性部分のポリヌクレオチドのみとなり、当該活性部分のポリヌクレオチドが標的mRNAと良好に二本鎖を形成するのを促進することも考えられる。
上記のようなミスマッチを有する場合、活性部分におけるポリヌクレオチドとキャリアー部分におけるポリヌクレオチドは完全に相補的ではなくなるが、上記のように、本発明ではこのように両者が完全に相補的でなくてもよい。本発明の1つの好ましい態様では、キャリアー部分のポリヌクレオチドがミスマッチを含む場合、両ポリヌクレオチドは、ミスマッチ部分を除く二本鎖形成領域において、100%の相補性を有する。
本発明の別の実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、ミスマッチを含まない。
また、例えばキャリアー部分におけるポリヌクレオチドを適度に切断するという観点から、上記のようなミスマッチを形成させる代わりに、または、ミスマッチ形成に加えて、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドに上述のように、少なくとも1つのリボヌクレオチドを含ませることも可能である。リボヌクレオチドは概して、デオキシリボヌクレオチド(化学修飾デオキシリボヌクレオチドを含む)や核酸類似体よりも核酸分解酵素に対する耐性が弱いため、キャリアー部分においてリボヌクレオチド導入部位を起点としたポリヌクレオチドの切断が適度に促進され得ると考えられる。
従って、本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、構成単位として1つまたは複数のリボヌクレオチドを含む。
本発明のさらなる実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含み、かつ、構成単位としてリボヌクレオチドを含む。
本発明のさらに1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含み、かつ、リボヌクレオチドを構成単位として含み、かつ、当該リボヌクレオチドの少なくとも1つが当該ミスマッチを形成する。本発明のさらに1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含み、かつ、脱塩基ヌクレオチド(例えば脱塩基リボヌクレオチド)を構成単位として含み、かつ、当該脱塩基ヌクレオチド(例えば脱塩基リボヌクレオチド)の少なくとも1つが当該ミスマッチを形成する。例えば、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、活性部分におけるポリヌクレオチドに対して、G対Uのミスマッチ(活性部分がGで、キャリアー部分がU)またはG対脱塩基ヌクレオチドのミスマッチ(活性部分がGで、キャリアー部分が脱塩基ヌクレオチド)を1つ含むことができる。
キャリアー部分のポリヌクレオチドにおけるリボヌクレオチドの位置は、特に制限はされない。上記ポリヌクレオチドが10〜35塩基の長さを有する場合には、5’末端から数えて、1〜35番目、例えば2〜30番目、3〜25番目、4〜20番目、5〜15番目、6〜11番目(例えば、6、7、8、9、10または11番目)の位置にリボヌクレオチドを含むことができる。
また、本発明の1つの実施態様において、上記核酸複合体はオーバーハングを有することができる。
ここで、「オーバーハング」とは、一方の鎖が二本鎖を形成する相補性の他鎖の末端を超えて伸びる1本鎖領域から生じる、末端塩基対非形成型ヌクレオチド(化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体)のことをいう。各オーバーハングは、少なくとも1つのヌクレオチド(化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体)を含む。好ましくは、各オーバーハングは、2ヌクレオチドオーバーハングである。オーバーハングを構成するヌクレオチドは任意に選択することができる。オーバーハングのヌクレオチドは、標的転写産物と塩基対を形成してもしなくてもよい。上記2ヌクレオチドオーバーハングの例としては、UU、TT、AA、GG、CC、AC、CA、AG、GA、GCおよびCGが挙げられるが、これらに限定はされない。
オーバーハングの位置としては、活性部分におけるポリヌクレオチドの5’末端、活性部分におけるポリヌクレオチドの3’末端、活性部分におけるポリヌクレオチドの5’末端および3’末端、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの5’末端、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの3’末端、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの5’末端および3’末端、活性部分のポリヌクレオチドの5’末端およびキャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端、または活性部分のポリヌクレオチドの3’末端およびキャリアー部分のポリヌクレオチドの3’末端が可能である。
本発明の他の実施態様において、上記核酸複合体はオーバーハングを含まない。
また、本発明の別の実施態様において、キャリアー部分のポリヌクレオチドは、活性部分のポリヌクレオチドに関して記載したように、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドを含み、その5’側に位置する5’ウィング領域、および/またはその3’側に位置する3’ウィング領域を含むことができる。
また上述のように、本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、リガンドが直接またはリンカーを介して結合する構成単位を除き、デオキシリボヌクレオチドのみからなる。この場合、デオキシリボヌクレオチドは化学修飾されていてもよいし、化学修飾されていなくともよい。この態様の場合でも、上記核酸複合体は標的転写産物のレベルを良好に抑制できるが、これは以下の機構によるものと考えられる:活性部分におけるポリヌクレオチドとキャリアー部分におけるポリヌクレオチドにより形成されたDNA−DNA二本鎖が標的転写産物に送達されるまでの間にDNaseに認識され、当該DNaseによってキャリアー部分におけるポリヌクレオチドが分解される。その後、残った活性部分におけるポリヌクレオチドが標的転写産物とDNA−RNA二本鎖を形成し、RNaseHによってこの部分が認識され、分解される。
本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、リボヌクレオチドを含まない。
本発明の別の実施態様において、キャリアー部分のポリヌクレオチドにおけるデオキシリボヌクレオチドは修飾されていない。
本発明のさらに別の実施態様において、キャリアー部分のポリヌクレオチドにおけるリボヌクレオチドは修飾されていない。
本発明の1つの実施態様において、キャリアー部分のポリヌクレオチドは、核酸間結合として、ホスホジエステル結合(PO型結合)のみを有する。
本発明の1つの実施態様において、上記核酸複合体は、細胞または哺乳動物において標的遺伝子の発現を減少させるための核酸複合体である。また、本発明のさらなる実施態様において、上記核酸複合体は、標的細胞(好ましくは癌細胞または肝細胞)内の標的遺伝子(好ましくはがん遺伝子または脂質異常症に関連する遺伝子)の発現を抑制することにより、当該標的細胞の増殖を抑制するための核酸複合体である。典型的には、上記標的遺伝子の発現亢進を伴う細胞を標的細胞とすることができる。また、本発明のさらなる実施態様において、上記核酸複合体は、標的組織および/または標的部位において、標的遺伝子の発現を抑制するための核酸複合体である。
本発明のさらなる1つの実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に相補的なアンチセンス鎖である。本発明の1つの実施態様において、上記標的遺伝子はヒトbcl−2である。本発明の別の実施態様において、上記標的遺伝子はヒトBCR−ABLである。本発明の別の実施態様において、上記標的遺伝子は、APOB遺伝子である。
本発明のさらなる1つの実施態様において、活性部分におけるポリヌクレオチドは、標的としてのタンパク質をコードしない転写産物、例えば標的ノンコーディングRNAのいずれかの領域に相補的なアンチセンス鎖である。本発明の1つの実施態様において、標的ノンコーディングRNAは、ヒトまたはマウスの転位関連肺腺癌転写産物(MALAT1)である。
本発明の1つの実施態様において、上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドは、以下の(a)〜(d)から選択されるポリヌクレオチドである:
(a)配列番号1、5、41、42、45または49で示される塩基配列を有するポリヌクレオチド、
(b)上記(a)のポリヌクレオチドと70%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(c)上記(a)のポリヌクレオチドのうちの少数のヌクレオチドが置換し、欠失し、付加し及び/又は挿入されたポリヌクレオチド、
(d)上記(a)〜(c)のいずれかのポリヌクレオチドを部分配列として含むポリヌクレオチド。
上記(b)のポリヌクレオチドは、上記(a)のポリヌクレオチドの塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、例えば96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は99.5%以上の配列同一性を有する。好ましくは、上記(b)のポリヌクレオチドは、標的転写産物の発現抑制活性を有する。
上記(c)のポリヌクレオチドは、上記(a)のポリヌクレオチドのうちの少数の、好ましくは、1個〜数個、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のヌクレオチドが置換し、欠失し、付加し及び/又は挿入されたポリヌクレオチドであることができる。好ましくは、上記(c)のポリヌクレオチドは、標的転写産物の発現抑制活性を有する。
上記(d)のポリヌクレオチドは、上記(a)〜(c)のいずれかのポリヌクレオチドを部分配列として含むポリヌクレオチドであり、好ましくは標的転写産物の発現抑制活性を有する。本発明の1つの実施態様において、上記(d)のポリヌクレオチドの長さは8〜100塩基である。好ましくは、前記長さは、少なくとも10塩基であり、少なくとも12塩基であり、又は少なくとも13塩基である。前記長さは、好ましくは100塩基以下、35塩基以下、25塩基以下または20塩基以下であることができる。
本明細書において、塩基配列に関する「配列同一性」とは、比較すべき2つ塩基配列の塩基ができるだけ多く一致するように両塩基配列を整列させ、一致した塩基数を全塩基数で除したものを百分率(%)で表したものである。上記整列の際には、必要に応じ、比較する2つの配列の一方又は双方に適宜ギャップを挿入する。このような配列の整列化は、例えばBLAST、FASTA、CLUSTAL W等の周知のプログラムを用いて行なうことができる(Karlin及びAltschul, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,87:2264−2268, 1993; Altschulら, Nucleic Acids Res.,25:3389−3402, 1997)。ギャップが挿入される場合、上記全塩基数は、1つのギャップを1つの塩基として数えた塩基数となる。このようにして数えた全塩基数が、比較する2つの配列間で異なる場合には、同一性(%)は、長い方の配列の全塩基数で、一致した塩基数を除して算出される。
通常、上述の化学修飾や核酸類似体の存在は、上記の配列同一性に影響を及ぼさない。
本発明の1つの実施態様において、上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドは、以下の(a’)〜(d’)から選択されるポリヌクレオチドである:
(a’)配列番号2〜4、6〜40、43〜44、48または52のいずれか1つで示される塩基配列を有するポリヌクレオチド、
(b’)上記(a’)のポリヌクレオチドと70%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド、
(c’)上記(a’)のポリヌクレオチドのうちの少数のヌクレオチドが置換し、欠失し、付加し及び/又は挿入されたポリヌクレオチド、
(d’)上記(a’)〜(c’)のいずれか1つのポリヌクレオチドを部分配列として含むポリヌクレオチド。
上記(b’)のポリヌクレオチドは、上記(a’)のポリヌクレオチドの塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、例えば96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は99.5%以上の配列同一性を有する。好ましくは、上記(b’)のポリヌクレオチドは、活性部分のキャリアーとしての機能を有する。
上記(c’)のポリヌクレオチドは、上記(a’)のポリヌクレオチドのうちの少数の、好ましくは、1個〜数個、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のヌクレオチドが置換し、欠失し、付加し及び/又は挿入されたポリヌクレオチドであることができる。好ましくは、上記(c’)のポリヌクレオチドは、活性部分のキャリアーとしての機能を有する。
上記(d’)のポリヌクレオチドは、上記(a’)〜(c’)のいずれかのポリヌクレオチドを部分配列として含むポリヌクレオチドであり、好ましくは活性部分のキャリアーとしての機能を有する。本発明の1つの実施態様において、上記(d’)のポリヌクレオチドの長さは8〜100塩基である。好ましくは、前記長さは、少なくとも10塩基であり、少なくとも12塩基であり、少なくとも13塩基であり、少なくとも14塩基であり、少なくとも15塩基、または少なくとも16塩基である。前記長さは、好ましくは100塩基以下、45塩基以下、35塩基以下、30塩基以下、25塩基以下、24塩基以下、23塩基以下、22塩基以下、21塩基以下または20塩基以下であることができる。
上述のように、本発明の核酸複合体は、少なくとも1つのリガンドを含む。本発明の1つの実施態様において、本発明の核酸複合体は、1個のリガンドを含む。本発明の他の実施態様において、本発明の核酸複合体は、複数のリガンド、例えば2〜10個、好ましくは2〜6個、例えば2、3、4、5または6個のリガンドを含むことができる。
上記リガンドは、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位に結合している。ただし、上記リガンドが上記ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位に結合する場合には、上記リガンドは当該構成単位の5’位ではない部位に結合しており、および/または上記リガンドが上記ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位に結合する場合には、上記リガンドは当該構成単位の3’位ではない部位に結合している。これは、上記リガンドは、上記ポリヌクレオチドのいずれの構成単位に結合していてもよいが、上記リガンドが上記ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位(=5’末端から1番目の構成単位、すなわち、ポリヌクレオチドの5’側の一番端に位置し、ポリヌクレオチドの5’末端を含んでいる構成単位)に結合する場合には、上記リガンドは当該構成単位の5’位以外の部位(例えば、2’位または4’位)に結合し、上記リガンドが上記ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位(=3’末端から1番目の構成単位、すなわち、ポリヌクレオチドの3’側の一番端に位置し、ポリヌクレオチドの3’末端を含んでいる構成単位)に結合する場合には、上記リガンドは当該構成単位の3’位以外の部位(例えば、2’位または4’位)に結合していることを意味する。上記リガンドが5’末端以外かつ3’末端以外に位置する構成単位に結合する場合には、上記リガンドは当該構成単位の任意の部位(例えば、2’位または4’位)に結合することができる。
例えば、上記リガンドは、上記ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位ではなくかつ当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位ではない構成単位に結合している。これは、上記リガンドが両端に位置する構成単位(それぞれ両側の一番端に位置し、それぞれ5’末端または3’末端を含んでいる構成単位)以外の構成単位に結合していることを意味する。この場合、上記リガンドは構成単位の任意の部位に結合することができる。好ましくは上記リガンドはポリヌクレオチドの中央付近の構成単位に結合している。本発明の1つの実施態様において、上記リガンドは、上記構成単位から懸垂されており、すなわち、上記リガンドはポリヌクレオチド主鎖を構成するのではなく、ポリヌクレオチドの構成単位から懸垂された状態にある(図1A)。
なお、上述のように、本発明では少なくとも1つのリガンドが、キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位に、当該ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位ではなくかつ当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位ではない部位を介して結合しているが、これは、少なくとも1つのリガンドがこのような部位に結合していればよいことを意味しており、すなわち、さらに別のリガンドが上記の5’位および/または3’位に結合していることを妨げるものではない。従って、本発明の核酸複合体は、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端の構成単位の5’位ではなくかつ3’末端の構成単位の3’位ではない部位に結合しているリガンドの他に、上記ポリヌクレオチドの5’位および/または3’位に結合しているリガンドを含んでいてもよいし、あるいは、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端の構成単位の5’位ではなくかつ3’末端の構成単位の3’位ではない部位において結合しているリガンドのみ、例えば上記ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位ではなくかつ当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位ではない構成単位(好ましくはポリヌクレオチドの中央付近の構成単位)において結合しているリガンドのみを含んでいてもよい。
すなわち、本発明においては、少なくとも1つのリガンドが、上記キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位と当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位とを除く部位において、上記キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位に結合している。そして、本発明の1つの実施態様において、上記核酸複合体は、上記キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位、および/または当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位に結合しているリガンドをさらに含むことができる。この場合、このさらなるリガンドは、上記の少なくとも1つのリガンドに関して記載したものと同様のリガンドを用いることができ、それらの場合と同様の様式、手段によって上記ポリヌクレオチドに結合させることができる。また、本発明の別の実施態様において、上記核酸複合体は、上記キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位に結合しているリガンドも、当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位に結合しているリガンドも含まない。
また、上記核酸複合体が複数のリガンドを含む場合、これらのリガンドは同一の構成単位に結合していてもよく(例えば、同一の構成単位の同一の位置(例えば2’位)に結合していてもよい)、または互いに異なる構成単位に結合していてもよい。前者の場合、例えば、後述するような適当な分岐リンカーを用いることにより、複数のリガンドを多量体(例えば2〜10量体、好ましくは2〜6量体、例えば2、3、4、5または6量体)として同一の構成単位に結合させてもよい。
本願では、本発明の核酸複合体において、2個以上のリガンドをそれぞれ、互いに異なる構成単位に結合させた場合に、当該核酸複合体の活性がさらに増強することも見出された。さらに、本願では、本発明の核酸複合体において、複数のリガンドを多量体として同一の構成単位に結合させた場合でも、良好な活性が達成されることも見出された。
本発明の好ましい実施態様において、少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドが奇数個の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する1個の構成単位を含む連続n個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合しており、当該ポリヌクレオチドが偶数の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する2個の構成単位を含む連続n+1個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合している。
ここで、上記nは、1〜100の整数、好ましくは1〜50の整数、より好ましくは1〜30の整数または1〜20の整数である。例えば、上記nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であることができる。
例えば、(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドが15個(奇数)の構成単位からなる場合、下記のように、中央には1個の構成単位(矢印)が存在する(構成単位としてのヌクレオチドまたは核酸類似体をNとして記載。以下も同様)。
Figure 2018003739
ここで、例えばn=3の場合、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する1個の構成単位を含む連続n個(=連続3個)の構成単位の範囲には、3’方向に関しては最大で、下記(2)で下線を施された構成単位までが含まれ、5’方向に関しては最大で、下記(3)で下線を施された構成単位までが含まれ得る。
Figure 2018003739
従って、n=3の場合には、「当該ポリヌクレオチドの中央に位置する1個の構成単位を含む連続n個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位」は、下記(4)で下線を施された構成単位(5つの構成単位)のうちの1つまたは複数を意味する。
Figure 2018003739
同様に、例えば、(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドが16個(偶数)の構成単位からなる場合、下記のように、中央には2個の構成単位(矢印)が存在する。
Figure 2018003739
ここで、例えばn=3の場合、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する2個の構成単位を含む連続n+1個(=連続4個)の構成単位の範囲には、3’方向に関しては最大で、下記(2’)で下線を施された構成単位までが含まれ、5’方向に関しては最大で、下記(3’)で下線を施された構成単位までが含まれ得る。
Figure 2018003739
従って、n=3の場合には、「当該ポリヌクレオチドの中央に位置する2個の構成単位を含む連続n+1個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位」は、下記(4’)で下線を施された構成単位(6つの構成単位)のうちの1つまたは複数を意味する。
Figure 2018003739
なお、ポリヌクレオチドの鎖長が長い場合には、例えばポリヌクレオチドの鎖長が30個を超える場合には、リガンドが結合する構成単位が含まれる範囲は、上記のように構成単位の個数を用いて表すよりも、ポリヌクレオチド全体に対するパーセントを用いて表すほうが適切であろう。
従って、上記少なくとも1つのリガンド(以下、単に「上記リガンド」ともいう)は、ポリヌクレオチド全体の個数に対してm%の個数を有する、下記に定義する中央領域内における1つまたは複数の構成単位に結合していることができる。mは、1〜70の整数、例えば2〜60の整数、5〜50の整数、10〜40の整数であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60または65であることができる。
ここで、「中央領域」とは、上記ポリヌクレオチドが奇数個の構成単位からなる場合には、上記ポリヌクレオチドの中央に位置する1個の構成単位と、当該中央構成単位から5’方向および3’方向にそれぞれ同じ数の構成単位とを含む領域であって、上記ポリヌクレオチドの中央と当該領域の中央とが同一である領域を意味し、上記ポリヌクレオチドが偶数個の構成単位からなる場合には、上記ポリヌクレオチドの中央に位置する2個の構成単位と、当該中央構成単位から5’方向および3’方向にそれぞれ同じ数の構成単位とを含む領域であって、上記ポリヌクレオチドの中央と当該領域の中央とが同一である領域を意味する。
本発明では、上記リガンドを、ポリヌクレオチドの5’末端の5’位以外でありかつ3’末端の3’位以外である部位に、例えば、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端以外かつ3’末端以外の構成単位に、特に上記のような特定の位置の構成単位に結合させた場合に、末端に結合させた場合と比較して、顕著に優れた標的転写産物の発現抑制効果、および標的細胞の増殖抑制効果が得られることが見出された。なお、上記核酸複合体が複数のリガンドを含む場合には、そのうちの1つが上記のような特定の位置の構成単位に結合されていれば十分である。
この理由は、明らかではないが、例えば立体構造が異なることに起因することが考えられる。
また、この場合には、リポフェクトアミン等のトランスフェクション試薬を使用しなくとも、非常に優れた細胞内での標的転写産物の発現抑制効果および細胞増殖抑制効果を達成することができ、さらに顕著に優れた標的組織、標的部位への送達も達成できる。
本発明においては、上記のように、キャリアー部分のポリヌクレオチドの中央付近にリガンドを結合することにより優れた効果が達成されるが、例えばsiRNAの場合には、これに対応する領域にリガンドを結合させると、siRNAとしての機能発現が妨げられるために、このような構成を取ることはできない。例えばsiRNAの機能発現を妨げないような位置へのリガンド結合を行った例として、非特許文献1が挙げられる。従って、上記の効果は、本発明におけるようにキャリアー部分(すなわち、単にキャリアーとしての機能しか持たないために、中央を含めた任意の位置にリガンドを結合させることができる部分)を有する構成によって初めて可能になるものである。
上記構成単位としてのヌクレオチド(または化学修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体)における上記リガンドの結合部位は特に限定されないが、好ましくは、上記リガンドはヌクレオチド(または化学修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体)の2’位または4’位において結合されている。
本発明の1つの実施態様において、上記リガンドは、ミスマッチを構成している構成単位に結合している。本発明のさらなる実施態様において、上記リガンドが結合している構成単位は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであり、これらは化学修飾されていても、されていなくてもよい。
上記リガンドは、上記の構成単位にリンカーを介して間接的に結合していてもよく、または上記の構成単位に直接結合していてもよい。リガンドと核酸とを結合させるための多くの方法は、リンカーを用いる場合も含めて、当該分野においてよく知られている。
上記リガンドがリンカーを介して結合される場合、通常は、リンカーの一端がリガンドの末端に(リガンドがcRGDペプチドである場合には、例えばcRGDペプチドのリジンのアミノ基に)結合し、リンカーの他端が上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの3’末端以外かつ5’末端以外に位置する構成単位(すなわち、ヌクレオチド、化学修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体)に結合することになる。後者に関して、リンカーが結合する部位は特に限定されないが、好ましくは、ヌクレオチド(または化学修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体)の2’位または4’位に結合される。なお、上記のリンカー他端がキャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位に結合する場合には、当該構成単位の5’位以外の部位(例えば2’位または4’位)に、上記のリンカー他端がキャリアー部分のポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位に結合する場合には、当該構成単位の3’位以外の部位(例えば2’位または4’位)に結合する。
これらの結合としては、共有結合、イオン結合、水素結合等が考えられるが、より安定した結合が得られるという観点から、共有結合が好ましい。
ここで、「リンカー」とは、共有結合を介してポリヌクレオチドとリガンドとを連結する化学的部分、あるいはリガンドをポリヌクレオチドに共有結合させる化学的部分を意味する。リンカーには、リンカーの長さを変えるための構造(いわゆる「スペーサー」であり、例えば下記のPEGリンカーにおけるPEG部分)も含まれる。
上記リンカーの種類は、キャリアー部分のポリヌクレオチドとリガンドを連結できるものであれば特に制限されず、2つの分子を連結させるためのリンカーとして本技術分野において公知のものを使用することができる。上記リンカーの例としては、ポリアルキレングリコールリンカー、マレイミドリンカー、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレートリンカー、DNAリンカー、ペプチドリンカー、シランリンカー、多糖リンカー、ジスルフィドリンカー、トリアゾールリンカー等が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の1つの態様において、上記リンカーとして、以下の式(I)で表されるヘテロ二官能性ポリアルキレングルコールリンカーが使用される:
Figure 2018003739
[式中、AおよびBは異なる反応性基を含み、xは2〜10の整数、例えば2、3または4、5、6、7または8であり、yは1〜100の整数、例えば1〜50の整数、2〜30の整数または1〜12の整数であり、例えば1、2、3、4、5、6、7または8である]。
上記のAおよびBは、例えば、互いに独立にアミン反応性基、チオール反応性基、アルキン反応性基またはジベンゾシクロオクチン反応性基を含むことができる。また、上記AおよびBは互いに独立に、1〜6個の炭素原子、例えば1、2、3または4個の炭素原子を有する基、好ましくはC1−6アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基)、あるいは1つまたは複数の−C(O)O−、−O−または−C(O)NH−を有することもできる。
アミン反応性基の例としては、NHSもしくはスルホ−NHSで活性化されていてもよいカルボン酸、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、スルホニルクロリド、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カーボネート、アリールハライド、イミドエステルなどが挙げられる。チオール反応性基の例としては、ハロアセチル基(例えばヨードアセチル)、アルキルハライド、マレイミド、アジリジン、アクリロイル基、ビニルスルホン、ベンゾキノン、フルオロベンゼン基、およびジスルフィド基、例えばピリジルジスルフィド基が挙げられる。アルキン反応性基およびジベンゾシクロオクチン反応性基の例としては、例えばアジドが挙げられる。
なお、例えば、カルボン酸のような反応性基は、通常生理学的条件下ではアミンと反応し難いため、例えば上記のNHSのような活性化基を用いて不安定なエステル結合を形成させることによって、反応性にすることができる。
本発明のさらなる態様において、下記式(II)のヘテロ二官能性ポリアルキレングルコールリンカーが使用される。
Figure 2018003739
[式中、A、xおよびyは上記式(I)に定義されるとおりであり、XおよびYは、それぞれ独立に、1〜6個の炭素原子、例えば1、2、3または4個の炭素原子を有する基、好ましくはC1−6アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基)であるか、あるいは−C(O)O−、−O−または−C(O)NH−であり、B’はHまたは活性基である]。
上記活性基としては、例えば、N−スクシンイミジル基が挙げられる。B’が活性基である場合には、これが反応性の向上に寄与し、活性な反応性基(YおよびB’から構成される)が得られる。
本発明の好ましい実施態様において、式(II)において、上記のAは、アミン反応性基、チオール反応性基、アルキン反応性基またはジベンゾシクロオクチン反応性基である。
上記の反応性基は、リンカーを介してリガンドを結合させるポリヌクレオチドの構成単位の種類や、リガンドの種類等に応じて、適宜選択することができる。
本発明の1つの実施態様では、上記式(I)または(II)においてx=2であるリンカー、すなわち、ヘテロ二官能性ポリエチレングリコール(PEG)リンカー(例えば1〜100の整数、例えば1〜50の整数、2〜30の整数または1〜12の整数、例えば1、2、3、4、5、6、7または8の長さのPEGを有する、PEGをベースとするリンカー)が使用される(以下、「PEGリンカー」とも呼ぶ)。種々のタイプの市販のヘテロ二官能性ポリエチレングリコール(PEG)リンカーを容易に入手することができる。
ヘテロ二官能性ポリエチレングリコール(PEG)リンカーの具体例としては、N−ヒドロキシスクシンイミジル−PEG(n)−アジド(nは上記の定義のとおり)が挙げられるがこれに限定はされない。このようなN−ヒドロキシスクシンイミジル−PEG(n)−アジドは市販のものを入手することができ、例えば、以下の構造を有するAzido−PEG4−NHS ester(NHS−PEG4−Azido東京化成工業株式会社製 A2388)を使用することができる。
Figure 2018003739
もちろん、上記式(I)または(II)以外の、ポリアルキレングリコール(例えばPEG)をベースとするリンカーも使用することができる。これらも含めてポリアルキレングリコールリンカー(例えばPEGリンカー)が使用される場合、当該リンカーのポリアルキレングリコール(例えばPEG)の長さは、1〜100の整数、例えば1〜50の整数、2〜30の整数または1〜12の整数、例えば1、2、3、4、5、6、7または8であることができる。本発明の1つの実施態様において、上記ポリアルキレングリコール(例えばPEG)の長さは、1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜15である。
上述のように、リンカーの選択にあたっては、リンカー両端のそれぞれの結合相手が考慮される。当業者であれば、リンカーが結合するポリヌクレオチド中の構成単位、リガンド、およびリンカーの反応性基(例えば上記のAおよびB)を総合的に考慮した上で、これらの適当な組み合わせを適宜選択することが可能である。
この場合、リンカーの結合相手となるポリヌクレオチド中の構成単位は、必要に応じて、化学修飾がなされる。例えば、上記構成単位(デオシキリボヌクレオチド、リボヌクレオチドまたは核酸類似体)のリンカー結合部位をアミノ化、チオール化、アルキン化またはジベンゾシクロオクチン化することにより、それぞれ、リンカーにおけるアミン反応性基、チオール反応性基、アルキン反応性基またはジベンゾシクロオクチン反応性基との反応を介して、上記構成単位とリンカーとの間に共有結合を形成させることができる。このような化学修飾がなされたヌクレオチドを、ここでは「リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチド」とも呼び、このような修飾は、上で説明した化学修飾の一態様を構成するものである。なお、「リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチド」は、上記で例示したような反応の結果としてリンカーの一端と共有結合を形成するため、反応前と反応後では異なる構造を取り得るが、リンカーと共有結合を形成している形態のヌクレオチドも、ここでは「リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチド」として呼ぶことができる。そして、このことは、後述の「リガンドとの結合のために化学修飾されたヌクレオチド」にも当てはまる。
例えば、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドとリンカーの反応基との組み合わせとしては、以下が挙げられる:
・アミノ化ヌクレオチド−NHSエステル
活性エステル法によるアミドカップリングによって、ヌクレオチドとリンカーが連結される。
・チオール化ヌクレオチド−ピリジルジスルフィド基
ピリジルジチオール活性化リガンドによるジスルフィド結合によって、ヌクレオチドとリンカーが連結される。
・チオール化ヌクレオチド−マレイミド
チオール−マレイミドカップリングの結果、共有結合によりヌクレオチドとリンカーが連結される。
・アルキン化ヌクレオチド−アジド
クリック反応(通常、銅触媒を用いる)により、ヌクレオチドとリンカーが連結される。
・ジベンゾシクロオクチン化ヌクレオチド−アジド
触媒なしの水性バッファー中で進行するクリック反応(銅フリーのクリック反応)により、ヌクレオチドとリンカーが連結される。
これらの組み合わせやその反応様式の詳細に関しては、例えばTher Deliv.2013 July;4(7):791−809(Figure 5)を参照することができる(当該文献は参照することにより本明細書に組み込まれる)。
また、リガンドも、リンカーとリガンドとの結合に関連して、必要に応じて上記のような化学修飾(例えばアミノ基修飾、カルボキシル基修飾、チオール基修飾、水酸基修飾、またはクリック反応用修飾(例えばアジド、アルキン、ジベンゾシクロオクチン))を施すことができる。
しかしながら、リガンドとしてペプチドやタンパク質を使用する場合には、これらは通常、N末端にNH基を有するため、アミン反応性基を有するリンカーを用いることにより、当該NH基とアミン反応性基との間の反応を介して、両者の間に共有結合を形成させることが可能である。また、ペプチドやタンパク質がアルギニンやリジンをそれらのアミノ酸配列に含む場合、それらの側鎖のNH基とアミン反応性基との間で結合を形成させることもできる。すなわち、ペプチドやタンパク質が元来有するNH基(N末端の、リジンの、および/またはアルギニンのNH基)のうちの1つまたは複数とアミン反応性基との間で結合を形成させることもできる。なお、当業者は、いずれのNH基を反応に使用するかを所望の構造に応じて適宜選択することができ、各NH基を用いる際の反応方法はそれぞれ、当業者によく知られている。
なお、リンカーの向きは任意であり、いずれの側がヌクレオチドに結合し、いずれの側がリガンドに結合してもよい。典型的には、ヌクレオチドの化学修飾、リガンドおよびリンカーの反応性基(上記のAおよびB)の組み合わせによって、意図する向きを達成することができる。
本発明の1つの態様では、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドとリンカーの反応基との組み合わせとして、アルキン化ヌクレオチドとアジドとの組み合わせが使用される。また、リンカーの反応基とリガンド(リガンドの反応部位)の組み合わせとして、NHSエステルとリガンドとしてのペプチドが元来有するリジンのNH基との組み合わせを使用することができる。上記のAzido−PEG4−NHS esterは、この態様において使用できるリンカーの一例であって、上記式(II)の一態様(Aがアジドであり、BがN−スクシンイミジル基であり、Xがエチレン基であり、Yが−C(O)O−であり、xが2であり、yが4であるPEGリンカー)に相当する。この場合には、以下の構造を介して、ポリヌクレオチドの構成単位(ヌクレオチドまたは核酸類似体)とリガンドとが連結される:
Figure 2018003739
[式中、Nucは、リンカーを介してリガンドが結合するポリヌクレオチドの構成単位を表し、LGはリガンドを表す]。
なお、上記のように、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドとリンカーの一端が上記で例示したような反応の結果として共有結合を形成し、そして同様にリンカーの他端とリガンドもそのような反応の結果として共有結合を形成するため、リンカーは通常、使用前と使用後(ヌクレオチドとリガンドを連結後)とでは異なる構造をとる。しかしながら、当業者であれば、使用前のリンカーの両反応基の種類、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドの種類およびリガンド(またはリンカーとの結合のために化学修飾されたリガンド)の種類や、各反応条件などから、使用したリガンドがどのような構造でヌクレオチドとリガンドとの間に連結部分として組み込まれるかを明確に理解することが可能である。本明細書においては、上記のような使用前のリンカーも、連結部分に組み込まれた形態のリンカー(すなわち使用前リガンド由来の構造を有する連結部分)も含めて、リンカーと呼ぶ。
上述のように、リンカーの一端とリガンドとの結合、ならびにリンカーの他端とポリヌクレオチドの3’末端および5’末端以外に位置するヌクレオチド(または化学修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体)との結合は、選択されたリガンドやリンカーに応じて、そして、ヌクレオチドにおける結合部位に応じて、それぞれに関して当業者に公知の方法・技術に従って実施することができる。そして、例えば市販のリンカーやリガンドを使用する場合には、当業者は、それらの供給者の指示に従って上記結合を実施することが可能である。
上記のように、リンカーを介してリガンドがキャリアー部分のポリヌクレオチドに結合している場合、当該ポリヌクレオチドにおける結合を担う構成単位は、リンカーとの結合のために化学修飾されていてもよい。従って、本発明の1つの態様において、リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位は、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド)である。
本発明の1つの実施態様において、リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位は、リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、R11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部であり、LKはリンカーであり、そしてLGはリガンドを表す。上記塩基は、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、ウラシルまたは上記の化学修飾塩基であることができる。リンカーは、例えば、ポリアルキレングリコールリンカーであり、リガンドは、例えば環状RGD配列含有ペプチド、葉酸またはビタミンEであることができる。]。
本発明のさらなる実施態様において、リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位は、リンカーおよびリガンド(cRGDfK)とともに以下の構造を形成している:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す。上記塩基は上記に定義されるとおりである。]。
本発明のさらに別の実施態様において、リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位は、リンカーおよびリガンド(葉酸)とともに以下の構造を形成している:
Figure 2018003739
[式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
上述のように、リンカーを介したリガンドの結合は、当業者であれば、公知の各種方法・技術に基づいて実施することが可能であるが、例えば、リガンドとしてcRGDfK、リンカーとしてAzido−PEG−NHS esterを使用して、リガンドをヌクレオチドの2’位から懸垂させる場合の方法を以下に簡単に説明する:
(a)リガンドとリンカーとの結合
cRGDfKとAzido−PEG−NHS esterを、NHSエステルとcRGDfKのリジンのアミノ基との縮合反応により結合させて、cRGDfKにアミド結合によりアジド−PEGが連結しているアジド化cRGDfKを作成する。
(b)アルキン修飾ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの調製
(リンカーを介して)リガンドを結合させたい位置の構成単位をアルキン修飾ヌクレオチドとしたポリヌクレオチドを調製する。このようなポリヌクレオチドの調製方法は、当業者には公知であり、例えば、標準的なオリゴ合成においてアルキンホスホロアミダイトを用いることにより合成することができる。アルキン修飾ヌクレオチドの調製のためには、例えば、2’−O−プロパルギルアデノシン、2’−O−プロパルギルシチジン、2’−O−プロパルギルグアノシン、2’−O−プロパルギルウリジンまたは2’−O−プロパルギル脱塩基リボースを使用することができる。
(c)クリック反応
アジドとアルキンによる付加感化反応(クリック反応)を用いて、アジド化cRGDfKとアルキン修飾ヌクレオチドとを結合させる。
これにより、所望の位置のヌクレオチド(または化学修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体)の2’の部位に、トリアゾールを介してPEGが結合し、そこにアミド結合によって結合したcRGDfKを有するポリヌクレオチド、すなわち、リガンドがリンカーを介してヌクレオチドの2’位から懸垂しているポリヌクレオチド(図1A)が得られる。
ヌクレオチドの4’位に結合させる場合にも、同様の手法を用いて、cRGDfKをリンカーを介してヌクレオチドに結合させることができる。
また上述のように、上記リガンドは直接結合させることができ、その場合、通常は、当該結合としては、共有結合、イオン結合、水素結合等が考えられるが、より安定した結合が得られるという観点から、共有結合が好ましい。
上記リガンドを直接結合させる場合には、例えば、リンカーを介したリガンドの結合に関して上述したような化学修飾や反応性基を適宜、リガンドを結合させるポリヌクレオチドの構成単位(ヌクレオチドまたは核酸類似体)および/またはリガンドに導入し、公知の反応、例えば上述したような反応を使用することにより、当該構成単位とリガンドとの間で共有結合を形成させることが可能である。この場合、上記のような化学修飾がされたヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド)を「リガンドとの結合のために化学修飾されたヌクレオチド」とも呼ぶ。
リガンドの直接の結合についても、当業者であれば、公知の各種方法・技術に基づいて実施することが可能であるが、例えば、リガンドとしてcRGDfKを使用して、ヌクレオチドの2’の位置から懸垂させる場合には、以下のように結合を実施することができる:
例えばcRGDfKのリジンのNH基を公知の縮合反応によりアジド化して、アジド化cRGDfKを作成し、その後クリック反応を用いて、このアジド化cRGDfKとアルキン修飾ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドとを結合させることにより、所望の位置のヌクレオチド(または化学修飾ヌクレオチド等)の2’の部位に直接、cRGDfKが結合したポリヌクレオチドを得ることができる。
また、本発明の核酸複合体は、上記のように、複数のリガンドを含むこともできる。
本発明の核酸複合体が複数のリガンドを含む場合の態様として、例えば以下のものが挙げられる。
(A)2つのリガンドが分岐リンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端以外かつ3’末端以外の1つの構成単位に結合している(図2(A))。
(B)4つのリガンドが分岐リンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端以外かつ3’末端以外の1つの構成単位に結合している(図2(B))。ここでは、図に示すような2段階の分岐構造を有する分岐リンカーを用いることにより、4つのリガンドを1つの構成単位に結合させている。
(C)2つのリガンドがそれぞれ、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’側の領域と3’側の領域(5’末端以外かつ3’末端以外の領域)において、それぞれの領域における構成単位とリンカーを介して結合している(図2(C))。例えば、リガンドは、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端から2〜10番目、例えば2〜6番目のうちの1つの構成単位に結合しており、および/または3’末端から2〜10番目、例えば2〜6番目のうちの1つの構成単位に結合している。
(D)1つのリガンドがリンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端以外かつ3’末端以外の1つの構成単位に結合し、さらに別の1つのリガンドがリンカーを介して、キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端または3’末端に結合している(図2(D))。
なお、参考までに、本発明の核酸複合体が1つのリガンドを含む場合の一態様の概略図も図2(E)として示す。
上記(C)および(D)における各リンカーは上記に記載したようなものを使用することができる。上記(A)および(B)のような態様においては、例えば2分岐型の分岐リンカー(A)や二重の2分岐を有する4分岐型の分岐リンカーを使用することができる。分岐リンカーとしては、これらに限定されず、所望の構造に応じて、さらに多分岐のリンカーや異なる構造を有するものも使用することができる。
本発明においては、例えば、分岐リンカーとして、ポリヌクレオチドと2つのcRGDfKとを以下に示すように連結するリンカーを使用することができる。この場合、2つのcRGDfKを2量体の形態で、同一の構成単位ヌクレオチドに結合させることができる。
Figure 2018003739
また、例えば、4分岐型の分岐リンカーを使用して4つのcRGDfKとポリヌクレオチドとを連結することにより、以下に示すように、4つのcRGDfKを4量体の形態で、同一の構成単位ヌクレオチドに結合させることができる。
Figure 2018003739
また、以下のような公知の分岐リンカー(例えばTher Deliv.2013 July;4(7):791−809参照)も同様に使用することができる。
Figure 2018003739
(式中、Nucは、リンカーを介してリガンドが結合するポリヌクレオチドの構成単位を表し、LGはリガンドを表す。なお、NucおよびLGは、上記の組み合わせとは異なる任意の組み合わせであることができる。)
Figure 2018003739
(式中、Nucは、リンカーを介してリガンドが結合するポリヌクレオチドの構成単位を表し、LGはリガンドを表す。なお、NucおよびLGは、上記の組み合わせとは異なる任意の組み合わせであることができる。)
なお、複数のリガンドが結合される場合、それらは同一であっても、または互いに異なっていてもよい。同様に、複数のリンカーを用いる場合、それらは同一であっても、または互いに異なっていてもよい。上記核酸複合体が複数のリガンドおよび/または複数のリンカー(または分岐リンカー)を含む場合であっても、それぞれの結合(ヌクレオチドとリンカーとの結合、リンカーとリガンドとの結合)は、上述した方法と同様の方法で行うことが可能である。また、上記(D)の態様に関して、ポリヌクレオチドの3’末端または5’末端に各種リンカーを結合させる方法も、当業者にはよく知られている。
以上、いくつかの実施態様において、核酸複合体の好適な典型例について説明したが、いくつかの実施態様における核酸複合体は上記典型例に限定されるものではない。また、いくつかの実施形態において、活性部分のポリヌクレオチドおよびキャリアー部分のポリヌクレオチドは、当業者であれば公知の方法を適宜選択することにより調製することができる。例えば、標的転写産物の塩基配列(典型的には標的遺伝子の塩基配列)の情報に基づいて、核酸の塩基配列を設計し、市販の核酸自動合成機(アプライドバイオシステムズ社製、べックマン社製等)を用いて合成し、次いで、得られるポリヌクレオチドを逆相カラム等を用いて精製することにより、核酸を調製することができる。そして、このようにして調製した核酸を適当な緩衝液中にて混合し、約90〜98℃にて数分間(例えば、5分間)かけて変性させた後、約30〜70℃にて約1〜8時間かけてアニーリングさせることにより、いくつかの実施形態における核酸複合体を調製することができる。なお、本発明の核酸複合体ではキャリアー部分のポリヌクレオチドにリガンドが結合しているが、当該核酸複合体は、例えば、予めリガンドを結合させたポリヌクレオチドを用いて、前記の通り活性部分のポリヌクレオチドとアニーリングすることにより、調製することができる。
なお、上述のように、本発明の核酸複合体は、主にRNaseH依存的な経路により、そのアンチセンス効果を発揮するものと考えられる。しかしながら、本発明のさらなる実施態様において、本発明の核酸複合体は、RNaseH非依存的アンチセンス効果を有し得る。「RNaseH非依存的アンチセンス効果」とは、標的遺伝子の転写産物(RNAセンス鎖)と、その部分配列に相補的な核酸鎖とがハイブリダイズすることによる翻訳の阻害やエキソンスキッピング等のスプライシング機能変換効果によって生じる標的遺伝子の発現を抑制する活性のことを意味する。
<標的遺伝子の発現又は標的転写産物を抑制するための組成物>
本発明の核酸複合体は、特異性高く効率良く標的細胞内に取り込まれて、当該細胞内の標的遺伝子の発現又は標的転写産物レベルを抑制し、当該細胞の増殖を極めて効果的に抑制することができる。従って、上記核酸複合体を有効成分として含有する、例えば、標的遺伝子の発現および/または標的細胞(例えば癌細胞)の増殖をアンチセンス効果によって抑制するための組成物を、本発明は提供することができる。特に、本発明の核酸複合体は、優れた特異性と効率で標的組織や標的部位に送達することができ、高い特異性および効率で標的細胞の増殖を抑制できるため、低濃度の投与により高い薬効を得ることができ、少ない副作用で、代謝性疾患、腫瘍、感染症といった標的遺伝子の発現亢進に伴う疾患を治療、予防するための医薬組成物も提供することができる。実際に、実施例に示されるように、本願では、本発明の核酸複合体を使用すると、他の核酸複合体(例えばリガンドが結合されていない核酸複合体)を使用した場合と比較して、その投与に伴う副作用、特に肝毒性が、顕著に軽減されることも見出された。
従って、本発明の1つの実施態様において、本発明は、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的遺伝子の発現を減少させるための、上記核酸複合体に関する。
また、本発明のさらなる実施態様において、本発明は、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的遺伝子の発現が亢進している細胞の増殖を抑制するための、核酸複合体に関する。
さらに、本発明の1つの実施態様において、本発明は、上記核酸複合体と、任意に薬理学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物に関する。
また、本発明の別の実施態様において、本発明は、上記医薬組成物を製造するための、上記核酸複合体の使用に関する。
本発明の1つの実施態様において、本発明は、上記核酸複合体を哺乳動物に投与する工程を含む、遺伝子の発現亢進を伴う疾患を治療または予防する方法に関する。
さらに別の実施態様において、本発明は、上記核酸複合体を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物において癌を治療または予防する方法に関する。
別の実施態様において、本発明は、上記核酸複合体を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物において肝疾患を治療または予防する方法に関する。
上記医薬組成物は、癌細胞の増殖を抑制するための医薬組成物であることができ、または、上記医薬組成物は、癌治療用および/または予防用医薬組成物であることができる。
また、上記医薬組成物は、肝疾患治療用および/または予防用医薬組成物であることができる。
上記癌細胞の癌および上記癌は、例えば、脳腫瘍;頭、首、肺、子宮又は食道の扁平上皮癌;メラノーマ;肺又は子宮の腺癌;腎癌;悪性混合腫瘍;肝細胞癌;基底細胞癌;勅細胞腫様歯肉腫;口腔内腫瘤;肛門周囲腺癌;肛門嚢腫瘤;肛門嚢アポクリン腺癌;セルトリ細胞腫;膣前庭癌;皮脂腺癌;皮脂腺上皮腫;脂腺腺腫;汗腺癌;鼻腔内腺癌;鼻腺癌;甲状腺癌;大腸癌;気管支腺癌;腺癌;腺管癌;乳腺癌;複合型乳腺癌;乳腺悪性混合腫瘍;乳管内乳頭状腺癌;線維肉腫;血管周皮腫;肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;軟部組織肉腫;組織球肉腫;粘液肉腫;未分化肉腫;肺癌;肥満細胞腫;皮膚平滑筋腫;腹腔内平滑筋腫;平滑筋腫;慢性型リンパ球性白血病;リンパ腫;消化管型リンパ腫;消化器型リンパ腫;小〜中細胞型リンパ腫;副腎髄質腫瘍;顆粒膜細胞腫;褐色細胞腫;頭頸部癌;乳癌;肺癌;結腸癌;卵巣癌;前立腺癌;神経膠腫;神経膠芽腫;星状細胞腫;多形神経膠芽腫;炎症性乳癌;ウィルムス腫瘍;ユーイング肉腫;横紋筋肉腫;上衣腫;髄芽腫;腎癌;肝癌;黒色腫;膵臓癌;骨巨細胞腫;甲状腺癌;リンパ芽球性T細胞白血病;慢性骨髄性白血病;慢性リンパ球性白血病;ヘアリー細胞白血病;急性リンパ芽球性白血病;急性骨髄性白血病;AML;慢性好中球性白血病;急性リンパ芽球性T細胞白血病;形質細胞腫;免疫芽球性大細胞型白血病;マントル細胞白血病;多発性骨髄腫;巨核芽球性白血病;急性巨核球性白血病;前骨髄球性白血病;赤白血病;ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;リンパ芽球性T細胞リンパ腫;バーキットリンパ腫;濾胞性リンパ腫;神経芽細胞腫;膀胱癌;尿路上皮癌;外陰癌;子宮頸癌;子宮内膜癌;中皮腫;食道癌;唾液腺癌;肝細胞癌;胃癌;上咽頭癌;頬癌;口腔癌GIST(消化管間葉性腫瘍);上皮様細胞癌;肺胞基底上皮腺癌および精巣癌からなる群から選択される。
上記肝疾患は、例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、肝臓癌、新生児肝炎、非アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫性肝炎、肝臓虚血/再かん流、肝線維症、肝硬変、急性肝不全、劇症肝炎、アルコール性肝障害、α1アンチトリプシン欠損症、慢性肝炎、胆汁鬱滞型肝疾患、肝嚢胞、脂肪肝、ジルベール症候群、ヘモクロマトーシス、ポルフィリン症、原発性胆汁性肝硬変、ライ症候群、サルコイドーシス、脂肪性肝炎、放射線肝炎、薬物性肝障害、代謝性肝疾患、脂質異常症(例えば家族性高コレステロール血症)、ウイルス性肝炎およびウィルソン病からなる群から選択される。
本発明のさらなる実施態様において、本発明は、上記核酸複合体を細胞と接触させる工程を含む、細胞内の転写産物レベルを低減する方法に関する。
本発明の別の実施態様において、本発明は、上記核酸複合体を細胞、好ましくは癌細胞と接触させる工程を含む、当該細胞の増殖を抑制する方法に関する。
本発明の別の実施態様において、本発明は、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的遺伝子の発現を低減させるための、上記核酸複合体の使用に関する。
本発明の別の実施態様において、本発明は、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的細胞、好ましくは癌細胞の増殖を抑制するための、上記核酸複合体の使用に関する。
本発明はさらに、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的遺伝子の発現を低減させるための薬剤を製造するための、上記核酸複合体の使用に関する。本発明はまた、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的細胞、好ましくは癌細胞の増殖を抑制するための薬剤を製造するための、上記核酸複合体の使用に関する。
さらなる実施態様において、本発明は、上記核酸複合体を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的遺伝子の発現レベルを低減する方法に関する。本発明の別の実施態様において、本発明は、上記核酸複合体を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物において、好ましくは標的組織・標的部位における、標的細胞、好ましくは癌細胞の増殖を抑制する方法に関する。
これらの態様では、好ましくは、活性部分のポリヌクレオチドは、上記転写産物のいずれかの領域に相補的なアンチセンス鎖である。
1つの実施態様において、上記転写産物は、タンパク質をコードするmRNA転写産物である。好ましくは、上記タンパク質はヒトBCL2、ヒトBCR−ABLまたはヒトAPOBである。他の実施態様において、上記転写産物は、タンパク質をコードしない転写産物、例えば、転位関連肺腺癌転写産物(MALAT−1)である。
また、本発明の1つの実施態様において、上記標的遺伝子は、ヒトbcl−2、ヒトBCR−ABL、ヒトAPOBまたはヒトMALAT−1である。
1つの好ましい実施態様において、上記哺乳動物はヒトである。
核酸複合体を含む上記組成物や薬剤は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤等として、経腸管的(経口的等)又は非経腸管的に使用することができる。
これら製剤化においては、薬理学上もしくは飲食品として許容可能な担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、pH調節剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。
上記組成物または薬剤の好ましい投与形態としては特に制限はなく、経腸管的(経口的等)又は非経腸管的、より具体的には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、皮内投与、気道内投与、直腸投与及び筋肉内投与、輸液による投与が挙げられる。
各実施形態において核酸複合体や組成物は、ヒトを含む動物を対象として使用することができ、すなわち、ヒトおよび/またはヒト以外の動物を対象とすることができる。ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜、家禽、ペット、実験用動物等を対象とすることができる。
いくつかの実施形態における核酸複合体または組成物を投与又は摂取する場合、その投与量又は摂取量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品など)等に応じて、適宜選択されるが、ある実施形態にかかる核酸複合体または組成物の有効摂取量は、ヌクレオチド換算で0.001mg/kg/日〜50mg/kg/日であることが好ましい。
後述の実施例で示されるように、がん遺伝子であるbcl−2またはヒトBCR−ABLを標的とする本発明の二本鎖核酸複合体、あるいはAPOBやMALAT−1を標的とする本発明の二本鎖核酸複合体は、非常に高い効率で標的細胞の増殖を抑制することができる。また、本発明の二本鎖核酸複合体は、優れた特異性と効率で、標的組織や標的部位に送達することが可能である。従って、本発明は、対象に対して、本発明の核酸複合体を添加または投与し、標的遺伝子の発現又は標的転写産物をアンチセンス効果によって抑制する方法を提供することができる。また、本発明は、本発明の核酸複合体を対象に投与することによって、必要に応じて組織・部位特異的に、標的遺伝子の発現亢進等を伴う細胞の増殖を抑制し、それによってこのような発現亢進等を伴う各種疾患を治療、予防するための方法をも提供することができる。
以下、例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、実施形態は以下の例に限定されるものではない。
例1
[2本鎖核酸の合成]
ヒトBCL2遺伝子の配列に基づいて、該遺伝子を標的とするDNA−DNAを基本骨格とし、糖部位にリガンド結合部位を有する塩基を含む2本鎖核酸を設計した。BCL2遺伝子に対するに対する2本鎖核酸の具体例としては、アンチセンス鎖ヌクレオチドの配列(16mer)を配列番号1に、相補鎖ヌクレオチド配列を配列番号2〜4に示す。各々の遺伝子配列においてアンチセンス鎖とそれぞれの相補鎖をアニーリングさせることで2本鎖核酸を形成する。配列番号1と2から形成される2本鎖核酸をBDX−1、配列番号1と3から形成される2本鎖核酸をBDX−2、配列番号1と4から形成される2本鎖核酸をBDX−3とする。1本鎖核酸は株式会社ジーンデザイン社に合成を委託し、アンチセンス鎖とそれぞれの相補鎖のアニーリングによる2本鎖核酸の形成は社内で行った。
配列表記として下線で示すヌクレオチドはRNA、
Figure 2018003739
はLNA、
Figure 2018003739
は2’−O−Propargyl Cytidine、
Figure 2018003739
は2’−O−Propargyl−1,1−dihydro−D−ribose、それ以外はDNAを表す。また、ヌクレオチドの結合様式としてpsはチオリン酸結合、poはホスホジエステル結合を示す。
Figure 2018003739
例2
[5’末端へのcRGD付加]
BDX−1相補鎖(配列番号2)の5’末端へのcRGD付加は以下の通り行った。
(1)センス鎖へのヘテロリンカーの導入(反応組成)
(i)5’−アミノ修飾BDX−1相補鎖(配列番号2) 30nmol(6mM/D.Wに溶解)
(ii)0.5M sodium tetraborate buffer(pH 6.8)
(iii)MAL−dPEG(登録商標) −NHS ester(Quanta BioDesign社製 日油株式会社より購入) 90nmol (18mM/ジメチルスルホキシド:アセトニトリル=4:1に溶解)
それぞれ同液量を混合し、25℃、2時間撹拌して反応した。モル比/オリゴヌクレオチド:MAL−dPEG(登録商標) −NHS ester=1:3(3モル当量)で付加反応を実施した。
(2)cRGD ペプチドの付加反応(反応組成)
(1)で得られた生成物(BDX−1相補鎖_MAL−dPEGと表記)に以下の組成でcRGD ペプチド付加反応を行った。
(i)BDX−1相補鎖_MAL−dPEG 45nmol(2mM)
(ii)2M Triethylammonium acetate/Formamide buffer
(iii)cRGD ペプチド(Cyclo(−Arg−Gly−Asp−D−Phe−Cys) BACHEM社製 CCat.No.H−7226)(10mM/D.Wに溶解)
モル比/BDX−1相補鎖:cRGD ペプチド=1:2.5(2.5 モル当量)、25℃、2 時間撹拌して付加反応を実施した。LC/MS にて未反応物を確認したため、さらに追加でcRGDペプチドを10モル当量分追加(合計;12.5モル当量)して反応させた。アンチセンス鎖(配列番号1)と、cRGDペプチドの付加したBDX−1相補鎖をアニーリングさせた2本鎖核酸をBDX−1−cRGDとする。
例3
[糖部2’部位へのRGD付加]
BDX−2相補鎖(配列番号3)及びBDX−3相補鎖(配列番号4)へのRGD付加は以下の通り行った。
(1)GRGESP(ネガティブコントロール:Fibronectin Related Peptide(GRGESP) タカラバイオ株式会社製 TKR SP002)、cRGDfK(Monomeric RGD:Cyclo(−RGDfK) Selleck社製 S7834)の2種類のペプチドのNH基(前者はN末端のNH基、後者は、リジンのNH基)に縮合反応(28℃、4時間)によりAzido−PEG4−NHS ester(NHs−PEG4−Azido東京化成工業株式会社製 A2388)を結合させアジド化ペプチドを作製した。
(2)30%DMSO溶液中、BDX−2相補鎖(配列番号3)及びBDX−3相補鎖(配列番号4)とアジド化ペプチドを原料として、Cu(II)錯体の存在下、クリック反応を行った。(30%DMSO溶液中、peptide−N3 5等量、CuSO4・5HO 5等量を加え40℃で16時間反応させた。
(3)クリック反応による過剰なCuはオリゴDNAのリン酸ジエステル、塩基部あるいはトリアゾールに付着している可能性があり、陽イオン交換樹脂(Ag(登録商標)MP−50(バイオラッド社製)によりNa+に置換した。
(4)アンチセンス鎖(配列番号1)と、GRGESP(ネガティブコントロール)ペプチドの付加したBDX−2相補鎖及びBDX−3相補鎖をアニーリングさせた2本鎖核酸をBDX−2−RGE(Ne)、BDX−3−RGE(Ne)とする。また、アンチセンス鎖(配列番号1)と、cRGDfK(Monomeric RGD)ペプチドの付加したBDX−2相補鎖及びBDX−3相補鎖をアニーリングさせた2本鎖核酸をBDX−2−cRGD、BDX−3−cRGDとする。ここで、BDX−2−cRGDのキャリアー部分は図1Aに示すような構造を有し、具体的には、16merのポリヌクレオチド(5’側から1〜7番目および9〜16番目がデオキシリボヌクレオチドであり、8番目がリンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチド、具体的にはリボヌクレオチド誘導体である)の8番目のリボヌクレオチド誘導体の2’位に、cRGDfKがそのリジンのアミノ基に結合したリンカーを介して結合されており、BDX−3−cRGDでは、キャリアー部分としての16merのポリヌクレオチド(5’側から1〜7番目および9〜16番目がデオキシリボヌクレオチドであり、8番目がリンカーとの結合のために化学修飾された脱塩基ヌクレオチド、具体的には脱塩基リボヌクレオチド誘導体である)の8番目の脱塩基リボヌクレオチド誘導体の2’位に、リンカーを介してcRGDfKが結合されている。リガンドとしてGRGESP(ネガティブコントロール)を使用して得られたBDX−2−RGE(Ne)のキャリアー部分の構造を図1Bに示す。
例4
[Tm値(融解温度)測定]
BDX−1、BDX−1−cRGD、BDX−2−RGE(Ne)、BDX−2−cRGD、BDX−3−RGE(Ne)、BDX−3−cRGDのTm値を以下の通り測定した。
(1)測定機器
UV−1800(株式会社島津製作所製)
(2)使用システム
BioSpec−1600
(3)温度パラメーター
開始温度:20℃
開始保持:20分
温度速度:0.5℃/分
測定感覚:0.5℃
得られたTm値を表2に示す。
Figure 2018003739
例5
[細胞培養]
後述の試験に用いるヒト癌由来細胞株は、以下の方法で維持した細胞株を用いた。
ヒト肺胞基底上皮腺癌由来細胞株(A549細胞株:JCRB細胞バンクより購入、細胞番号:JCRB0076)は、10質量%のウシ胎児血清、MEM用非必須アミノ酸(NEAA)、100ユニット/mlのペニシリン及び100μgのストレプトマイシンを添加した成長培地(MEM:GIBCO社)を用い、37℃、5質量%CO条件下にて維持した。
例6
[細胞増殖アッセイ]
後述の試験で行った細胞増殖アッセイは、特に断りのない限り、以下の方法で行った。96穴マイクロプレートを用い、加湿条件下(37℃、5% CO)、100μl/ウェルの培地で細胞を培養した。細胞増殖アッセイには細胞増殖試薬 WST−1(ロッシュ社製)を1ウェルに対し10μl添加し、マイクロプレートリーダー(Bio Rad社製)を用いて吸光度を測定した。
例7
[ヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。2本鎖核酸(BDX−1、BDX−1−cRGD、BDX−2−cRGE(Ne)、BDX−2−cRGD、BDX−3−cRGE(Ne)、BDX−3−cRGD)を用意し、A549細胞株に10,30,100nMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。
その結果を図3に示す。図3より明らかなように、cRGDを結合させた2本鎖核酸は、ヒトBCL2遺伝子を標的とすることでトランスフェクション試薬を使用せずともA549癌細胞株に対する増殖抑制活性を示した。また、相補鎖5’末端より、相補鎖中央部にcRGDを結合させる構造の方が、増殖抑制活性が増強されることが明らかとなった。
例8
[2本鎖核酸の合成]
ヒトBCL2及びBCR−ABL遺伝子の配列に基づいて、該遺伝子を標的とするDNA−DNAを基本骨格とし、糖部位にリガンド結合部位を有する塩基を含む2本鎖核酸を設計した。各標的遺伝子に対する2本鎖核酸の具体例としては、BCL2遺伝子に対するアンチセンス鎖ヌクレオチドの配列(16mer)を配列番号5に、相補鎖ヌクレオチド配列を配列番号6〜40に示す。また、BCR−ABL遺伝子に対するアンチセンス鎖ヌクレオチドの配列(20mer)を配列番号41、42に、相補鎖ヌクレオチド配列を配列番号43、44に示す(なおここでは、例1で示した配列番号1および配列番号2で示すポリヌクレオチドも、それぞれアンチセンス鎖ヌクレオチド、相補鎖ヌクレオチドとして使用する)。各々の遺伝子配列においてアンチセンス鎖とそれぞれの相補鎖をアニーリングさせることで2本鎖核酸を形成する。ヒトBCL2遺伝子を標的とした配列番号1と6から形成される2本鎖核酸をBDX−4、配列番号5と7から形成される2本鎖核酸をBDX−5、配列番号1と8から形成される2本鎖核酸をBDX−6、配列番号1と9から形成される2本鎖核酸をBDX−7、配列番号1と10から形成される2本鎖核酸をBDX−8、配列番号1と11から形成される2本鎖核酸をBDX−9、配列番号1と12から形成される2本鎖核酸をBDX−10、配列番号1と13から形成される2本鎖核酸をBDX−11、配列番号1と14から形成される2本鎖核酸をBDX−12、配列番号1と15から形成される2本鎖核酸をBDX−13、配列番号1と16から形成される2本鎖核酸をBDX−14、配列番号1と17から形成される2本鎖核酸をBDX−15、配列番号1と18から形成される2本鎖核酸をBDX−16、配列番号1と19から形成される2本鎖核酸をBDX−17、配列番号1と20から形成される2本鎖核酸をBDX−18、配列番号1と21から形成される2本鎖核酸をBDX−19、配列番号1と22から形成される2本鎖核酸をBDX−20、配列番号1と23から形成される2本鎖核酸をBDX−21、配列番号1と24から形成される2本鎖核酸をBDX−22、配列番号1と25から形成される2本鎖核酸をBDX−23、配列番号1と26から形成される2本鎖核酸をBDX−24、配列番号1と27から形成される2本鎖核酸をBDX−25、配列番号1と28から形成される2本鎖核酸をBDX−26、配列番号1と29から形成される2本鎖核酸をBDX−27、配列番号1と30から形成される2本鎖核酸をBDX−28、配列番号1と31から形成される2本鎖核酸をBDX−29、配列番号1と32から形成される2本鎖核酸をBDX−30、配列番号5と2から形成される2本鎖核酸をBDX−31、配列番号5と17から形成される2本鎖核酸をBDX−32、配列番号1と33から形成される2本鎖核酸をBDX−33、配列番号1と34から形成される2本鎖核酸をBDX−34、配列番号1と35から形成される2本鎖核酸をBDX−35、配列番号1と36から形成される2本鎖核酸をBDX−36、配列番号1と37から形成される2本鎖核酸をBDX−37、配列番号1と38から形成される2本鎖核酸をBDX−38、配列番号1と39から形成される2本鎖核酸をBDX−39、配列番号1と40から形成される2本鎖核酸をBDX−40とする。また、ヒトBCR−ABL遺伝子を標的とした配列番号41と43から形成される2本鎖核酸をBDX−41、配列番号41と44から形成される2本鎖核酸をBDX−42、配列番号42と43から形成される2本鎖核酸をBDX−43、配列番号42と44から形成される2本鎖核酸をBDX−44とする。配列番号5〜9及び27〜44の1本鎖核酸は社内でDNA/RNA自動合成機(NTSH−8:日本テクノサービス株式会社製)を用い、常法に従い合成した。配列番号10〜26の1本鎖核酸は株式会社ジーンデザイン社に合成を委託した。また、アンチセンス鎖とそれぞれの相補鎖のアニーリングによる2本鎖核酸の形成は社内で行った。
配列表記として下線で示すヌクレオチドはRNA、
Figure 2018003739
はLNA、N1は2’−O−Propargyl Cytidine、Nは2’−O−Propargyl Adenocine、Nは2’−O−Propargyl Guanocine、Nは2’−O−Propargyl Uridine、N5は5’位に5’−Hexynyl Phosphoramiditeを自動合成機によりカップリングさせたThymidine、N6は5’位に5’−Hexynyl Phosphoramiditeを自動合成機によりカップリングさせたAdenocine、それ以外はDNAを表す。また、ヌクレオチドの結合様式としてpsはチオリン酸結合、poはホスホジエステル結合を示す。
Figure 2018003739
Figure 2018003739
例9
[cRGDの付加]
上記の相補鎖のうち、Propargyl基を有する相補鎖にcRGDの付加を行った。cRGDを付加した2本鎖核酸は、2本鎖核酸名に「cRGD」を付して呼ぶ。例えば、cRGDを付加したBDX−4は、「BDX−4−cRGD」と呼ぶ。また、BDX−29−cRGDのように、相補鎖(配列番号31)が2つの位置でPropargyl基を有する場合には、両方の位置でcRGDが付加され、すなわち、この2本鎖核酸は、異なる二箇所にcRGDを結合させた2本鎖核酸である。相補鎖が3つ以上の位置にPropargyl基を有する場合にも同様に、Propargyl基と同じ数のcRGDが付加される。ここで、cRGDは、BDX−24−cRGDを除いて、例3で示したクリック反応によってPropargyl基を有する相補鎖(または5’位に5’−Hexynyl Phosphoramiditeをカップリングさせた相補鎖)にリンカーを介して付加した。(5’位に5’−Hexynyl Phosphoramiditeをカップリングさせた相補鎖に対しても同様に、クリック反応によってcRGDを付加した。)
さらに、多量体のcRGDを付加した2本鎖核酸の場合には、2本鎖核酸名に「DEcRGD」(二量体)や「TEcRGD」(四量体)を付して呼ぶ(例えば、「BDX−2−DEcRGD」、「BDX−2−TEcRGD」)。ここで、BDX−2−DEcRGDのキャリアー部分は図4(A)に示すような構造を、BDX−2−TEcRGDのキャリアー部分は図4(B)に示すような構造を有する。
BDX−24−cRGDは、例2に示した方法と同様の方法により、マレイミドを介して3’末端にcRGDを結合させた。すなわち、配列番号26のヌクレオチドをベースに以下の相補鎖ヌクレオチド:
5’- TpoGpoGpoCpoGpoCpoApoUpoGpoCpoTpoGpoGpoGpoApoG-L(6)-X -3’
[式中、L(6)はAmino C6 linker、XはMAL−dPEG−NHS esterを表す]
を調製し、これにcRGDを結合させ、得られた相補鎖をその後、配列番号1に示されるアンチセンス鎖とアニーリングさせることで2本鎖核酸を形成させた。
例10
[葉酸の付加]
葉酸もクリック反応によりPropargyl基を有する相補鎖に付加した。(5’位に5’−Hexynyl Phosphoramiditeをカップリングさせた相補鎖に対しても同様に、クリック反応によって葉酸を付加した。)
ここで、葉酸としては、PEG構造を有する以下のものを使用した:
・PEG3-Folate(base click社製:BCFA−111−1)。図4(C)に示すような構造を有する;
・社内で合成したPEG11-Folate。図4(D)に示すような構造を有する;
・社内で合成したPEG23-Folate。図4(E)に示すような構造を有する。
葉酸を付加した2本鎖核酸についても、cRGDを付加した2本鎖核酸の場合と同様に、付加した葉酸リガンドに応じて、「PEG3-Folate」、「PEG11-Folate」または「PEG23-Folate」のいずれかを2本鎖核酸名に付して呼ぶ。
以下、表4に上記の例で作製したリガンド付加2本鎖核酸をまとめる。
Figure 2018003739
例11
[Tm値(融解温度)測定]
例5に示した方法でTm値を測定した。
得られたTm値を表5に示す。
Figure 2018003739
例12
[細胞培養]
後述の試験に用いるヒト癌由来細胞株は、以下の方法で維持した細胞株を用いた。
ヒト肺胞基底上皮腺癌由来細胞株(A549細胞株:JCRB細胞バンクより購入、細胞番号:JCRB0076)は、10質量%のウシ胎児血清、MEM用非必須アミノ酸(NEAA)、100ユニット/mlのペニシリン及び100μgのストレプトマイシンを添加した成長培地(MEM:GIBCO社)、ヒト膵臓癌由来細胞株(PANC−1細胞株:理研セルバンクより購入、細胞番号:RBRC−RCB2095)、ヒト前立腺癌由来細胞株(DU145細胞株:理研セルバンクより購入、細胞番号:RBRC−RCB2143)、ヒト前立腺癌由来細胞株(PC−3細胞株:理研セルバンクより購入、細胞番号:RBRC−RCB2145)、及びヒト卵巣癌由来細胞株(OVCAR−3細胞株:理研セルバンクより購入、細胞番号:RBRC−RCB2135)、ヒト慢性骨髄性白血病細胞株(K562細胞株:JCRB細胞バンクより購入、細胞番号:JCRB0019)、ヒト膵臓癌由来細胞株(AsPC−1細胞株:ATCC細胞バンクより購入、細胞番号:CRL−1682)は、10質量%のウシ胎児血清、100ユニット/mlのペニシリン及び100μgのストレプトマイシンを添加した成長培地(RPMI1640:GIBCO社製)を用い、ヒト腎癌由来細胞株(Caki−1細胞株:JCRB細胞バンクより購入、細胞番号:JCRB0801)は、10質量%のウシ胎児血清、MEM用非必須アミノ酸(NEAA)、100ユニット/mlのペニシリン及び100μgのストレプトマイシンを添加した成長培地(MEM:GIBCO社)、ヒト卵巣癌由来細胞株(MCAS細胞株:JCRB細胞バンクより購入、細胞番号:JCRB0240)は、20質量%のウシ胎児血清、100ユニット/mlのペニシリン及び100μgのストレプトマイシンを添加した成長培地(MEM:GIBCO社)を用い、37℃、5質量%CO条件下にて維持した。
例13
[定量RT−PCR]
後述の実験で行った定量RT−PCRは、特に断りのない限り、以下の方法で行った。Rneasy Mini Kit(QIAGEN社)を用いて、培養細胞からトータルRNAを抽出した。上記トータルRNAを用いた定量RT−PCRはQuant−Fast Probe RT−PCR Kit(QIAGEN社製)を使用し、推奨される条件で行った。プライマーはApplied Biosystem社製 TaqMan Gene Expression Assays Probeを使用した。内因性コントロールプライマーには同社製β−Actinを用いた。上記定量RT−PCRの増幅は、ROTOR−Gene Q (QIAGEN社製)を用いて行った。mRNA発現量はDelta Delta CT法により算出した。
例14
[相補鎖中央部にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。2本鎖核酸を用意し、各種細胞株に300nMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。
相補鎖中央部に1量体、2量体、4量体のcRGDを結合させた2本鎖核酸のOVCAR−3細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果を図5に示す。その結果、5’末端に1量体のcRGDを結合させたBDX−1−cRGDより相補鎖中央部にcRGDを結合させたBDX−2−cRGDの方が、増殖抑制活性が増強されることが明らかとなった。また、4量体のcRGDを中央部に結合させたBDX−2−TEcRGDは、1量体のcRGDを中央部に結合させた2本鎖核酸よりも増殖抑制活性がさらに増強することが明らかとなった。
相補鎖中央部に1量体のcRGDを結合させたBDX−2−cRGDの様々な細胞株に対する増殖抑制活性作用の結果を、DU145細胞株は図6、PANC−1細胞株は図7、PC−3細胞株は図8、Caki−1細胞株は図9、MCAS細胞株は図10に示す。図から分かる通り、いずれの細胞においても5’末端に1量体のcRGDを結合させたBDX−1−cRGDよりも、相補鎖中央部にcRGDを結合させたBDX−2−cRGDの方が、増殖抑制活性が増強されることが明らかとなった。
例15
[相補鎖中央部にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおけるmRNA発現抑制活性を調べるために、上述の実施例4に記載の定量RT−PCR法により以下の実験を行った。BDX−4−cRGDを1μMとなるようにPANC−1細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を図11に示す。また、BDX−5−cRGD、BDX−5−DEcRGD、BDX−5−TEcRGDを10μMとなるようにK562細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を図12に示す。その結果、図11より、5’末端に1量体のcRGDを結合させたBDX−1−cRGDより相補鎖中央部にcRGDを結合させたBDX−4−cRGDの方が、mRNA発現抑制作用が増強されることが明らかとなった。また、図12より、中央部に結合させたcRGDの数依存的に、mRNA発現抑制作用が増強されることが明らかとなった。
例16
[相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルの膵癌部位におけるBCL2遺伝子ノックダウン効果の検証]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルの膵癌部位におけるBCL2遺伝子ノックダウン効果の検証をするため、以下の実験を行った。
飼育環境下で数日間馴化したBALB/cA Jcl−nu/nuマウス(6週令:雄、日本クレア株式会社より購入)に三種混合麻酔薬(ドミトール0.3mg/kg + ドルミカム4mg/kg + ベトルファール5mg/kg)をマウス体重10gあたり80μl、腹腔内投与して全身麻酔を施した後、1匹あたり1×10個のヒト癌細胞株(AsPC−1)を膵臓に注入し、膵臓同所移植モデルマウスを作製した。尚、移植翌日から毎日(午後)体重を測定し、人道的エンドポイントから急激な体重減少(数日間で20%以上)、自力歩行不能かつ摂食・摂水不能な重篤状態に陥ったマウスには安楽死処置を施すこととした。癌細胞移植21日後(day21)、体重を指標に群分けを行い、Saline及びBDX−1、BDX−1−cRGD、BDX−4−cRGDを10mg/kgの用量で3日間連続で尾静脈より投与した。また、Sham群にはSalineを投与した。最終投与から24時間後、頸椎脱臼にて安楽死させた後、膵臓を摘出した。例13に示した方法で膵癌部位におけるBCL2遺伝子のmRNA発現量を定量した結果を図13に示す。図13から分かる通り、cRGDを結合させていないBDX−1よりも5’末端にcRGDを結合したBDX−1−cRGDの方がmRNAの発現抑制効果が増強されることが明らかとなったが、相補鎖中央部にcRGDを結合させたBDX−4−cRGDの方が、mRNA発現抑制作用がさらに増強されることが確認された。
例17
[相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおける薬効評価]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおける薬効評価を検証をするため、以下の実験を行った。
飼育環境下で数日間馴化したBALB/cA Jcl−nu/nuマウス(6週令:雄、日本クレア株式会社より購入)に三種混合麻酔薬(ドミトール0.3mg/kg + ドルミカム4mg/kg + ベトルファール5mg/kg)をマウス体重10gあたり80μl、腹腔内投与して全身麻酔を施した後、1匹あたり1×10個のヒト癌細胞株(AsPC−1)を膵臓に注入し、膵臓同所移植モデルマウスを作製した。尚、移植翌日から毎日(午後)体重を測定し、人道的エンドポイントから急激な体重減少(数日間で20%以上)、自力歩行不能かつ摂食・摂水不能な重篤状態に陥ったマウスには安楽死処置を施すこととした。癌細胞移植4日後(day4)、体重を指標に群分けを行い、Saline及びBDX−4−cRGD、BDX−6−cRGDを3mg/kgの用量で尾静脈より投与した。また、無処置マウス群にはSalineを投与した。投与期間及び回数は1日1回(day4,6,8,12,15,18,20,22)の合計8回実施した。体重測定等で経過を観察し、癌細胞移植から24日後、頸椎脱臼にて安楽死させた後、膵臓を摘出した。抗腫瘍効果を評価するため、摘出した膵臓重量を測定し、マウス体重で補正することで膵重量比を算出した。その結果を図14に示す。図14から分かる通り、cRGDを相補鎖中央部に結合させたBDX−4−cRGD、BDX−6−cRGDは、膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおいて抗腫瘍効果を示した。
例18
[相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の肝毒性軽減効果]
cRGDを結合させることによって、核酸の癌部位への集積効果が高まることから、非特異的な肝臓への集積が減少し、肝毒性の発現が低減することを評価するため、以下の実験を行った。
例17の「相補鎖中央部にcRGDを結合させた構造の2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおける薬効評価」における膵臓の摘出と同時に、肝臓及び腹部大静脈より静脈血を採取した。肝臓は重量を測定し、マウス体重で補正することで膵重量比を算出した。また、静脈血は肝機能マーカーであるAST、ALTの測定を行うため、株式会社LSIメディエンス社に委託した。肝重量比の結果を図15、AST値を図16、ALT値を図17に示す。図15から分かる通り、cRGDを相補鎖中央部に結合させたBDX−4−cRGD、BDX−6−cRGDは、リガンドを結合させていないBDX−4、BDX−6よりも肝重量が増加していないことが明らかとなった。また、図16、図17から分かる通り、AST値、ALT値ともRGDを相補鎖中央部に結合させたBDX−4−cRGD、BDX−6−cRGDの方がリガンドを結合させていないBDX−4、BDX−6よりも値が低く肝機能障害が軽減されていることが明らかとなった。
例19
[相補鎖中央部にcRGDを結合させた2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおける生存期間延長効果]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の膵癌細胞株膵臓同所移植マウスモデルにおける生存期間延長効果を検証をするため、以下の実験を行った。
飼育環境下で数日間馴化したBALB/cA Jcl−nu/nuマウス(6週令:雄、日本クレア株式会社より購入)に三種混合麻酔薬(ドミトール0.3mg/kg + ドルミカム4mg/kg + ベトルファール5mg/kg)をマウス体重10gあたり80μl、腹腔内投与して全身麻酔を施した後、1匹あたり1×10個のヒト癌細胞株(AsPC−1)を膵臓に注入し、膵臓同所移植モデルマウスを作製した。尚、移植翌日から毎日(午後)体重を測定し、人道的エンドポイントから急激な体重減少(数日間で20%以上)、自力歩行不能かつ摂食・摂水不能な重篤状態に陥ったマウスには安楽死処置を施すこととした。癌細胞移植4日後(day4)、体重を指標に群分けを行い、Saline及びBDX−4−cRGDを10mg/kgの用量で尾静脈より投与した。また、無処置マウス群にはSalineを投与した。投与期間及び回数は1日1回(day4,8,11,15,18,22、25、29、32、35、38、42、44)の合計13回実施した。体重測定等で経過を観察し、癌細胞細胞移植から70日後までの生存期間を比較した。その結果を図18に示す。図18から分かる通り、Saline投与群よりもcRGDを相補鎖中央部に結合させたBDX−4−cRGD投与群の方が生存期間を延長していることが明らかとなった、
例20
[相補鎖の異なる一箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる一箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。各種核酸を用意し、PANC−1細胞株及びAsPC−1細胞株には300nM、OVCAR−3細胞株には1、3、10μMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。その結果を、PANC−1細胞株は図19、AsPC−1細胞株は図20、OVCAR−3細胞株は図21に示す。図19、20からわかる通り、細胞種によって活性に差が生じることが明らかとなった。また、図21から分かる通り、cRGDは相補鎖の5’末端(5’末端に位置する構成単位の5’位)または3’末端(3’末端に位置する構成単位の3’位)に結合させるよりも、相補鎖のそれ以外の位置に結合させることによって、活性が増強すること、さらに、5’−および3’−末端以外の位置の中でも、中央付近に結合させた場合に活性が増強することが明らかとなった。
例21
[相補鎖の異なる二箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる二箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。各種核酸を用意し、PANC−1細胞株に300nMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。その結果を図22に示す。図22からわかる通り、cRGDを相補鎖の異なる二箇所に結合させることによって(BDX−29−cRGD)、細胞増殖抑制活性が増強することが明らかとなった。
例22
[相補鎖の異なる二箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる二箇所にcRGDを結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおけるmRNA発現抑制活性を調べるために、上述の実施例4に記載の定量RT−PCR法により以下の実験を行った。各種核酸を用意し300nMとなるようにPANC−1細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を図23に示す。図23からわかる通り、cRGDを相補鎖の異なる二箇所に結合させることによって(BDX−29−cRGD)、mRNA発現抑制活性が増強することが明らかとなった。
例23
[相補鎖中央部に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。2本鎖核酸を用意し、OVCAR−3細胞株に1、3、10μMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。その結果を図24、25に示す。図から分かる通り、アンチセンス鎖の構造の異なるいずれの2本鎖核酸においても、葉酸を鎖中央部に結合させることによって細胞増殖抑制活性が増強することが明らかとなった。
例24
[相補鎖中央部に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験]
上記のヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおけるmRNA発現抑制活性を調べるために、上述の実施例4に記載の定量RT−PCR法により以下の実験を行った。BDX−15−PEG3−Folateを1、3、10μMとなるようにOVCAR−3細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を図26に示す。図26より分かる通り、相補鎖中央部に葉酸を結合させたBDX−15−PEG3−Folateの用量依存的なmRNA発現抑制作用が確認された。
例25
[相補鎖の異なる二箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる二箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。2本鎖核酸を用意し、A549細胞株に300nMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。その結果を図27に示す。図27から分かる通り、葉酸を相補鎖の異なる二箇所に結合させることによって(BDX−26−PEG3−Folate、BDX−30−PEG3−Folate、BDX−34−PEG3−Folate、BDX−35−PEG3−Folate)、細胞増殖抑制活性が増強することが明らかとなった。
例26
[相補鎖の異なる二箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる二箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおけるmRNA発現抑制活性を調べるために、上述の実施例4に記載の定量RT−PCR法により以下の実験を行った。各種核酸を用意し300nMとなるようにOVCAR−3細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を図28に示す。図28からわかる通り、葉酸を相補鎖の異なる二箇所に結合させることによって(BDX−29−PEG3−Folate)、mRNA発現抑制活性が増強することが明らかとなった。
例27
[相補鎖の異なる三箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる三箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。2本鎖核酸を用意し、OVCAR−3細胞株に300nMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。その結果を図29に示す。図29から分かる通り、葉酸を相補鎖の異なる三箇所に結合させることによって(BDX−37−PEG3−Folate)、細胞増殖抑制活性が増強することが明らかとなった。
例28
[相補鎖の異なる三箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる三箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおけるmRNA発現抑制活性を調べるために、上述の実施例4に記載の定量RT−PCR法により以下の実験を行った。各種核酸を用意し300nMとなるようにOVCAR−3細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を図30に示す。図30からわかる通り、葉酸を相補鎖の異なる三箇所に結合させることによって(BDX−37−PEG3−Folate)、mRNA発現抑制活性がさらに増強することが明らかとなった。
例29
[相補鎖の異なる四箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性試験]
上記の相補鎖の異なる四箇所に葉酸を結合させたヒトBCL2遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおける細胞増殖抑制を調べるために、以下の実験を行った。2本鎖核酸を用意し、PANC−1細胞株に300nMとなるよう添加した。2本鎖核酸添加後72時間培養し、上述の例6に記載の細胞増殖アッセイ法により2本鎖核酸の細胞増殖抑制活性を測定した。その結果を図31に示す。図31から分かる通り、葉酸を相補鎖の異なる四箇所に結合させることによって(BDX−40−PEG3−Folate)、細胞増殖抑制活性がさらに増強することが明らかとなった。
例30
[相補鎖中央部に葉酸を結合させたヒトBCR−ABL遺伝子を標的とする2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性試験]
上記のヒトBCR−ABL遺伝子を標的とする2本鎖核酸のインビトロにおけるmRNA発現抑制活性を調べるために、上述の実施例4に記載の定量RT−PCR法により以下の実験を行った。アンチセンス鎖の構造の異なる2本鎖核酸に対して、相補鎖の中央部にPEGリンカーの長さの異なる葉酸を結合させた核酸を300nMとなるようにK562細胞株に対して添加し、24時間後にmRNA発現量を定量した結果を図32、33に示す。図より分かる通り、アンチセンス鎖の構造の異なるいずれの2本鎖核酸においても、葉酸を相補鎖中央部に結合させることによって(図32:BDX−42−PEG3−Folate、BDX−42−PEG11−Folate、図33:BDX−44−PEG3−Folate、BDX−44−PEG11−Folate、BDX−44−PEG23−Folate)、mRNA発現抑制活性が増強することが明らかとなった。また、この実験では、PEGの長さは短い方が活性が増強することも確認された。
例31
[2本鎖核酸の合成]
ヒトAPOB及びMALAT−1遺伝子の配列に基づいて、該遺伝子を標的とするDNA−DNAを基本骨格とし、糖部位にリガンド結合部位を有する塩基を含む2本鎖核酸を設計した。各標的遺伝子に対する2本鎖核酸の具体例としては、APOB遺伝子に対するアンチセンス鎖ヌクレオチドの配列(13mer)を配列番号45に、相補鎖ヌクレオチド配列を配列番号46、47、48に示す。また、MALAT−1遺伝子に対するアンチセンス鎖ヌクレオチドの配列(16mer)を配列番号49に、相補鎖ヌクレオチド配列を配列番号50、51、52に示す。各々の遺伝子配列においてアンチセンス鎖とそれぞれの相補鎖をアニーリングさせることで2本鎖核酸を形成する。ヒトAPOB遺伝子を標的とした配列番号45と46から形成される2本鎖核酸をBDX−45、配列番号45と47から形成される2本鎖核酸をBDX−46−Toc(5’)、配列番号45と48から形成される2本鎖核酸をBDX−47、ヒトMALAT−1遺伝子を標的とした配列番号49と50から形成される2本鎖核酸をBDX−48、配列番号49と51から形成される2本鎖核酸をBDX−49−Toc(5’)、配列番号49と52から形成される2本鎖核酸をBDX−50とする。尚、配列番号47、51の5’末端には、
Figure 2018003739
で表示している5’−Octyl−tochopherol(Link Technology社製)を結合させた。これらの1本鎖核酸は株式会社ジーンデザイン社に合成を委託し、アンチセンス鎖とそれぞれの相補鎖のアニーリングによる2本鎖核酸の形成は社内で行った。配列表記として下線で示すヌクレオチドはRNA、
Figure 2018003739
はLNA、N(m)(例えばU(m)のような)は2’−Ome修飾ヌクレオチド、Nは2’−O−Propargyl Adenocine、それら以外はDNAを表す。また、ヌクレオチドの結合様式としてpsはチオリン酸結合、poはホスホジエステル結合を示す。
Figure 2018003739
例32
[トコフェロールの付加]
BDX−47相補鎖(配列番号48)及びBDX−50相補鎖(配列番号52)へのトコフェロール付加は以下の通り行った。
(1)70% DMSO/10% tert−BuOH溶液中、BDX−47相補鎖(配列番号48)及びBDX−50相補鎖(配列番号52)とトコフェロール−PEG3−azido(Tocopherol−PEG3−Azide Baseclick社製 BCFA−028−1)を原料として、Cu(II)/THPTA錯体の存在下、クリック反応を行った。70% DMSO/10% tert−BuOHの有機溶媒を含む0.2 M TEAAbuffer(pH 7.0)溶液中、トコフェロール−PEG3−azido 2.5等量、Cu(II)/THPTA錯体 5等量、アスコルビン酸ナトリウム 5等量を加え室温で16時間反応させた。
(2)クリック反応終了後、エタノール沈殿、HPLC精製を行い未反応のオリゴ並びにCu(II)/THPTA錯体、アスコルビン酸等を除去し、目的とするオリゴを単離した。
(3)ヒトAPOB遺伝子を標的としたアンチセンス鎖(配列番号45)と、トコフェロールで修飾したBDX−47相補鎖をアニーリングさせた2本鎖核酸をBDX−47−Toc(10)とする。具体的には、キャリアー部分としての13merのポリヌクレオチド(5’側から10番目がリガンドとの結合のために化学修飾された2’−O−Propargyl Adenocineである)の10番目のリボヌクレオチド誘導体の2’位に、トコフェロールがリンカーを介して結合している。また、ヒトMALAT−1遺伝子を標的としたアンチセンス鎖(配列番号49)と、トコフェロールで修飾したBDX−50相補鎖をアニーリングさせた2本鎖核酸をBDX−50−Toc(7)とする。具体的には、キャリアー部分としての16merのポリヌクレオチド(5’側から7番目がリガンドとの結合のために化学修飾された2’−O−Propargyl Adenocineである)の7番目のリボヌクレオチド誘導体の2’位に、トコフェロールがリンカーを介して結合している。
以下、表7に例31および32で作製した2本鎖核酸をまとめる。
Figure 2018003739
例33
[Tm値(融解温度)測定]
例4に示した方法でTm値を測定した。
得られたTm値を表8に示す。
Figure 2018003739
例34
[相補鎖中央部にTocを結合させた2本鎖核酸のマウス肝臓におけるAPOB及びMALAT−1遺伝子ノックダウン効果の検証]
上記のヒトAPOB及びMALAT−1遺伝子を標的とする2本鎖核酸のマウス肝臓におけるノックダウン効果を確認することを目的とする。
数日間馴化したICRマウス(4〜8週令:雄)の体重を指標に群分けを行った。Saline及びBDX−45、46−Toc(5’)、47−Toc(10)、48、49−Toc(5’)、50−Toc(7)を0.75mg/kg(100μl/10g)の用量で尾静脈より投与した。投与、24(day1)、72(day3)、168(day7)時間後、頸椎脱臼にて安楽死させた後、肝臓を摘出した。摘出した臓器からTotal RNAを抽出し、上述の例13に記載の定量RT−PCR法により2本鎖核酸のmRNA発現抑制活性を定量した。
肝臓におけるAPOB遺伝子のmRNA発現量を定量した結果を図34に、MALAT−1遺伝子のmRNA発現量を定量した結果を図35に示す。図から分かる通り、相補鎖中央部にTocを結合させたBDX−47−Toc(10)及びBDX−50−Toc(7)は5’末端にTocを結合した2本鎖核酸よりも全てのポイントにおいてmRNA発現抑制作用がさらに増強されることが確認された。

Claims (48)

  1. (i)化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含むポリヌクレオチドを含む活性部分、および
    (ii)化学修飾されていてもよいヌクレオチドと任意に核酸類似体とを構成単位として少なくとも含むポリヌクレオチドであって、少なくとも一部が上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチドを含む、キャリアー部分、
    を含む核酸複合体であって、
    少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位と上記ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位とを除く部位において、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位に結合している、核酸複合体。
  2. 二本鎖核酸複合体である、請求項1に記載の核酸複合体。
  3. 上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの1つまたは複数の構成単位であって、当該ポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位ではなくかつ当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位ではない構成単位に結合している、請求項1または2に記載の核酸複合体。
  4. 上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドが奇数個の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する1個の構成単位を含む連続n個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合しており、当該ポリヌクレオチドが偶数の構成単位からなる場合には、当該ポリヌクレオチドの中央に位置する2個の構成単位を含む連続n+1個の構成単位の範囲内における1つまたは複数の構成単位に結合している(ここで、上記nは1〜6の整数である)、請求項1〜3のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  5. 上記少なくとも1つのリガンドが、上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端から2〜6番目の構成単位のうちの1つに結合しており、および/または3’末端から2〜6番目の構成単位のうちの1つに結合している、請求項1〜3のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  6. 上記少なくとも1つのリガンドが、タンパク質リガンド、ペプチドリガンド、アプタマーリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  7. 上記少なくとも1つのリガンドが、ペプチドリガンド、糖鎖リガンド、脂質リガンド、低分子リガンドおよび生体分子/生体活性分子リガンドからなる群から選択される、請求項6に記載の核酸複合体。
  8. 上記少なくとも1つのリガンドが、環状ペプチド、N−アセチルガラクトサミン、コレステロール、ビタミンE(トコフェロール)もしくはその類縁体、ステアリン酸、ドコサン酸、アニスアミド、葉酸もしくはその類縁体、アナンダミドまたはスペルミンである、請求項7に記載の核酸複合体。
  9. 上記少なくとも1つのリガンドが、環状アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列含有ペプチド、トコフェロールまたは葉酸である、請求項8に記載の核酸複合体。
  10. 上記少なくとも1つのリガンドが、リンカーを介して間接的に結合している、請求項1〜9のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  11. 上記リンカーが、ポリアルキレングリコールリンカー、マレイミドリンカー、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレートリンカー、DNAリンカー、ペプチドリンカー、シランリンカー、多糖リンカー、ジスルフィドリンカーまたはトリアゾールリンカーである、請求項10に記載の核酸複合体。
  12. 上記少なくとも1つのリガンドが、直接結合している、請求項1〜9のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  13. 上記少なくとも1つのリガンドとして、2個以上のリガンドを含む、請求項1〜12のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  14. 互いに異なる構成単位に結合している2個以上のリガンドを含む、請求項13に記載の核酸複合体。
  15. 同一の構成単位に結合している2個以上のリガンドを含む、請求項13または14に記載の核酸複合体。
  16. 上記少なくとも1つのリガンドとして、分岐リンカーを介して同一の構成単位に結合している2個以上のリガンドを含む、請求項1〜11のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  17. 上記(ii)キャリアー部分のポリヌクレオチドの5’末端に位置する構成単位の5’位、および/または当該ポリヌクレオチドの3’末端に位置する構成単位の3’位に結合しているリガンドをさらに含む、請求項1〜16に記載の核酸複合体。
  18. 上記(i)活性部分のポリヌクレオチドにおけるデオキシリボヌクレオチドの一部または全部が化学修飾されている、請求項1〜17のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  19. 上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが1つまたは複数の核酸類似体を含む、請求項1〜18のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  20. 上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドを含み、そして
    当該ポリヌクレオチドが、
    (a)上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドの5’側に位置し、1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む5’ウィング領域、および/または、
    (b)上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドの3’側に位置し、1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドおよび/または核酸類似体を含む3’ウィング領域、
    を含む、
    請求項1〜17のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  21. 上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、上記(a)5’ウィング領域および(b)3’ウィング領域を含み、該5’ウィング領域は少なくとも1つの核酸類似体を含み、該3’ウィング領域は少なくとも1つの核酸類似体を含む、請求項20に記載の核酸複合体。
  22. 上記5’ウィング領域が2〜5個の核酸類似体を含み、上記3’ウィング領域が2〜5個の核酸類似体を含む、請求項21に記載の核酸複合体。
  23. 上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチド、5’ウィング領域および3’ウィング領域からなる、請求項20〜22のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  24. 上記少なくとも4つの連続した化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドが、ホスホロチオエート化されている、請求項20〜23のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  25. 上記5’ウィング領域および3’ウィング領域が、核酸類似体として架橋化核酸を含む、請求項20〜24のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  26. 上記架橋化核酸が、LNA、cEt−BNA、アミドBNA及びcMOE−BNAからなる群から選択される、請求項25に記載の核酸複合体。
  27. 上記架橋化核酸がホスホロチオエート化されている、請求項25または26に記載の核酸複合体。
  28. 上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドに対して少なくとも1つのミスマッチを含む、請求項1〜27のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  29. 上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドの長さが8〜100塩基である、請求項1〜28のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  30. 上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さが、8〜100塩基である、請求項1〜29のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  31. 上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドが、上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドと同じ長さを有する、請求項1〜30のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  32. 上記(i)活性部分におけるポリヌクレオチドの長さが、上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドの長さと異なる、請求項1〜30のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  33. 上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、化学修飾されていてもよいデオキシリボヌクレオチドおよび/または化学修飾されていてもよいリボヌクレオチドを含む、請求項1〜32のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  34. 上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、化学修飾されたヌクレオチドを含む、請求項1〜33のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  35. リガンドが結合している上記構成単位が、化学修飾されたヌクレオチドである、請求項1〜34のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  36. リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、リンカーとの結合のために化学修飾されたヌクレオチドである、請求項10、11および13〜35のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  37. リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、請求項36に記載の核酸複合体:
    Figure 2018003739
    [式中、R10は、Hまたは塩基であり、R11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部であり、LKはリンカーであり、そしてLGはリガンドを表す]。
  38. リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、請求項37に記載の核酸複合体:
    Figure 2018003739
    [式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
  39. リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、請求項37に記載の核酸複合体:
    Figure 2018003739
    または
    Figure 2018003739
    [式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
  40. リンカーを介してリガンドが結合している上記構成単位が、上記リンカーおよびリガンドとともに以下の構造を形成している、請求項37に記載の核酸複合体:
    Figure 2018003739
    [式中、R10は、Hまたは塩基であり、そしてR11およびR12はそれぞれ独立にポリヌクレオチドの残部を表す]。
  41. 上記(ii)キャリアー部分におけるポリヌクレオチドが、リガンドが直接またはリンカーを介して結合している構成単位を除き、デオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドからなる、請求項33〜40のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  42. 哺乳動物において標的遺伝子の発現を減少させるための、請求項1〜41のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  43. 活性部分におけるポリヌクレオチドが、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に相補的なアンチセンス鎖である、請求項42に記載の核酸複合体。
  44. 哺乳動物において、標的遺伝子の発現が亢進している細胞の増殖を抑制するための、請求項1〜43のいずれか1つに記載の核酸複合体。
  45. 上記標的遺伝子ががん遺伝子であり、上記細胞が癌細胞である、請求項44に記載の核酸複合体。
  46. 請求項1〜45のいずれか1つに記載の核酸複合体と、任意に薬理学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
  47. 癌を治療および/または予防するための、請求項46に記載の医薬組成物。
  48. 請求項1〜44のいずれか1つに記載の核酸複合体と、任意に薬理学的に許容可能な担体とを含む、肝疾患を治療および/または予防するための医薬組成物。
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