[実施形態の概要]
今後、近傍サービスの利便性が高まった場合、近傍サービスによる無線信号の送受信(サイドリンク動作)のみを実行できる無線端末、すなわち、上りリンク及び下りリンクにおける無線信号の送受信(セルラ通信)を実行できない新たな無線端末が導入される可能性がある。
現状の仕様では、セルラ通信が実行可能な無線端末のみが、近傍サービスを利用することが想定されている。従って、セルラ通信を実行できない新たな無線端末に関する仕様は規定されていないため、新たな無線端末がサイドリンク動作を適切に実行できない虞がある。
一の実施形態に係る無線端末は、近傍サービスにより他の無線端末とネットワークとの間でトラフィックを中継可能であるコントローラを備える。前記コントローラは、サイドリンクにおいて、第1の情報と第2の情報とを送信する制御を実行する。前記第1の情報は、前記第2の情報が配置される無線リソースの位置を特定するために用いられる。前記第2の情報は、前記近傍サービスによる中継を要求するための無線リソースの位置を特定するために用いられる。
前記コントローラは、前記無線リソースを用いて送信された前記中継の要求を前記他の無線端末から受信する制御を実行してもよい。
前記コントローラは、前記中継の要求の受信に応じて、前記中継を希望することを示す情報を基地局へ送信する制御を実行してもよい。
前記無線リソースは、互いに異なる複数の小リソースを含んでもよい。前記複数の小リソースのそれぞれは、互いに異なる一時的な識別子と関連付けられてもよい。前記中継の要求は、前記中継の要求の送信に用いられた小リソースと関連付けられた一時的な識別子を含んでもよい。前記コントローラは、前記中継の要求に対する応答を前記他の無線端末へ送信する制御を実行してもよい。前記応答は、前記中継の要求に含まれる前記一時的な識別子を含んでもよい。
前記コントローラは、前記中継の要求に対する応答を前記他の無線端末へ送信する制御を実行してもよい。前記応答は、前記他の無線端末から前記無線端末への送信タイミングを調整するための情報を含んでもよい。
前記コントローラは、前記第1の情報を送信する前に、前記他の無線端末又は基地局から前記サイドリンクにおいて第3の情報を受信する制御を実行してもよい。前記コントローラは、前記第3の情報の受信に応じて、前記第1の情報を送信する制御を開始してもよい。
前記コントローラは、前記サイドリンクにおいて用いられる個別リソースを基地局から個別に割り当てられてもよい。前記コントローラは、前記他の無線端末と前記個別リソースを共有してもよい。
制御情報の送信に用いられる複数の制御領域が時間方向に配置されてもよい。前記制御情報は、サイドリンクにおいて送信されるユーザデータが配置される無線リソースの位置を特定するために用いられてもよい。前記コントローラは、前記他の無線端末のサイドリンクDRX(Discontinuous Reception)動作に従って、前記複数の制御領域の中から制御情報の送信に用いる制御領域を選択してもよい。前記サイドリンクDRX動作は、前記他の無線端末が、前記複数の制御領域を不連続にモニタする動作であってもよい。
前記コントローラは、電力制御情報を前記他の無線端末へ送信する制御を実行してもよい。前記電力制御情報は、前記他の無線端末から前記無線端末へのサイドリンク信号の送信電力を制御するためのパラメータ情報を含でもよい。前記パラメータ情報は、前記無線端末から前記他の無線端末へのサイドリンク信号の受信電力に応じて決定されてもよい。
前記コントローラは、電力制御情報を前記他の無線端末へ送信する制御を実行してもよい。前記電力制御情報は、前記他の無線端末から前記無線端末へのサイドリンク信号の送信電力を制御するためのコマンド情報を含んでもよい。前記コマンド情報は、前記サイドリンク信号の受信電力に応じて決定されてもよい。
一の実施形態に係る無線端末は、近傍サービスにより前記無線端末とネットワークとの間でトラフィックを中継可能である他の無線端末から、サイドリンクにおいて、第1の情報と第2の情報とを受信する制御を実行する制御部を備える。前記第1の情報は、前記第2の情報が配置される無線リソースの位置を特定するために用いられる。前記第2の情報は、前記近傍サービスによる中継を要求するための無線リソースの位置を特定するために用いられる。
前記コントローラは、前記無線リソースを用いて、前記中継の要求を前記他の無線端末へ送信する制御を実行してもよい。
前記無線リソースは、互いに異なる複数の小リソースを含んでもよい。前記複数の小リソースのそれぞれは、互いに異なる一時的な識別子と関連付けられてもよい。前記コントローラは、前記中継の要求の送信に用いられる小リソースと関連付けられた一時的な識別子を前記中継の要求に含めてもよい。
前記コントローラは、前記中継の要求に対する応答を前記他の無線端末から受信する制御を実行してもよい。前記応答は、前記中継の要求に含まれる前記一時的な識別子を含んでもよい。
前記コントローラは、前記中継の要求に対する応答を前記他の無線端末から受信する制御を実行してもよい。前記応答は、前記無線端末から前記他の無線端末への送信タイミングを調整するための情報を含んでもよい。
前記コントローラは、前記第1の情報を受信する前に、前記サイドリンクにおいて第3の情報を送信する制御を実行してもよい。前記コントローラは、前記第3の情報を受信した前記他の無線端末から前記第1の情報を受信してもよい。
前記コントローラは、前記サイドリンクにおいて用いられる個別リソースを前記他の無線端末と共有してもよい。前記個別リソースは、基地局から前記他の無線端末へ個別に割り当てられた無線リソースであってもよい。
制御情報の送信に用いられる複数の制御領域が時間方向に配置されてもよい。前記制御情報は、サイドリンクにおいて送信されるユーザデータが配置される無線リソースの位置を特定するために用いられてもよい。前記コントローラは、前記複数の制御領域を不連続にモニタするサイドリンクDRX(Discontinuous Reception)動作を実行してもよい。
前記コントローラは、電力制御情報を前記他の無線端末から受信する制御を実行してもよい。前記電力制御情報は、前記無線端末から前記他の無線端末へのサイドリンク信号の送信電力を制御するためのパラメータ情報を含んでもよい。前記パラメータ情報は、前記他の無線端末から前記無線端末へのサイドリンク信号の受信電力に応じて決定されてもよい。
前記コントローラは、電力制御情報を前記他の無線端末から受信する制御を実行してもよい。前記電力制御情報は、前記無線端末から前記他の無線端末へのサイドリンク信号の送信電力を制御するためのコマンド情報を含んでもよい。前記コマンド情報は、前記サイドリンク信号の受信電力に応じて決定されてもよい。
[実施形態]
(移動通信システム)
以下において、実施形態に係る移動通信システムであるLTEシステムについて説明する。図1は、LTEシステムの構成を示す図である。
図1に示すように、LTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
UE100は、無線端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置である。UE100は、セル(後述するeNB200)と無線通信を行う。UE100の構成については後述する。
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200の構成については後述する。
eNB200は、1又は複数のセルを管理する。eNB200は、eNB200が管理するセルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、「データ」と称することがある)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用されてもよい。
EPC20は、コアネットワークに相当する。EPC20は、E−UTRAN10と共にネットワークを構成してもよい。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)300、SGW(Serving Gateway)400及びPGW(Packet Data Network Gateway)500を含む。
MME300は、例えば、UE100に対する各種モビリティ制御を行う。SGW400は、例えば、データの転送制御を行う。MME300及びSGW400は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。PGW500は、例えば、外部ネットワークから(及び外部ネットワークに)ユーザデータを中継する制御を行う。
外部ネットワークには、Server600が設けられる。Server600は、例えば、ProSeアプリケーションサーバ(ProSe Application Server)である。Server400(ProSeアプリケーションサーバ)は、ProSeにおいて用いられる識別子を管理する。
Server600は、ProSe機能を有していてもよい。ProSe機能は、ProSeに必要なネットワーク関連動作のために用いられる論理機能である。ProSe機能は、ProSeの特徴毎に異なる役割を果たす。Server400は、ProSe機能のみを有するネットワーク装置であってもよい。
図2は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。図2に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されている。第1層は、物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
物理層は、符号化・復号化、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセス手順等を行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、スケジューラ(MAC スケジューラ)を含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100は、RRCコネクティッド状態である。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間にRRC接続がない場合、UE100は、RRCアイドル状態である。
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、例えば、セッション管理及びモビリティ管理を行う。
図3は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムにおいて、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が適用される。上りリンクにはSCFDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が適用される。
図3に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msである。各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数のリソースブロック(RB:Resource Block)を含む。各サブフレームは、時間方向に複数のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数のサブキャリアを含む。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより、1つのリソースエレメント(RE:Resource Element)が構成される。UE100には、無線リソース(時間・周波数リソース)が割り当てられる。周波数方向において、無線リソース(周波数リソース)は、リソースブロックにより構成される。時間方向において、無線リソース(時間リソース)は、サブフレーム(又はスロット)により構成される。
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、下りリンク制御信号を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink. Control Channel)として使用可能な領域である。各サブフレームの残りの部分は、下りリンクデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)として使用可能な領域である。
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、上りリンク制御信号を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)として使用可能な領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、上りリンクデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)として使用可能な領域である。
(近傍サービス)
近傍サービス(ProSe:Proximity−based Services)について説明する。近傍サービスは、互いに近傍にあるUEに基づいて3GPPシステムにより提供され得るサービスである。
ProSeでは、eNB200を経由せずにノード間(例えば、UE間)で直接的な無線リンクを介して各種の無線信号が送受信される。ProSeにおける直接的な無線リンクは、「サイドリンク(Sidelink)」と称される。
サイドリンクは、サイドリンク通信及びサイドリンクディスカバリのためのインターフェイス(例えば、UEとUEとの間のインターフェイス)であってもよい。サイドリンク通信は、ProSe直接通信(以下、「直接通信」と適宜称する)を可能にする機能(AS functionality)である。サイドリンクティスカバリは、ProSe直接ディスカバリ(以下、「直接ディスカバリ」と適宜称する)を可能にする機能(AS functionality)である。
サイドリンクは、PC5インターフェイスに対応する。PC5は、ProSe直接ディスカバリ、ProSe直接通信及びProSe UE−to−ネットワーク中継のための制御プレーン及びユーザプレーンのために用いられるProSe使用可能なUE(ProSe−enabled UE)間の参照ポイントである。
ProSeは、「直接ディスカバリ(Direct Discovery)」及び「直接通信(Direct Communication)」及び「UE−to−Network Relay」のモードが規定されている。「UE−to−Network Relay」については後述する。
直接ディスカバリは、特定の宛先を指定しないディスカバリメッセージ(ディスカバリ信号)をUE間で直接的に伝送することにより、相手先を探索するモードである。直接ディスカバリは、PC5を介してE−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)における直接無線信号を用いて、UEの近傍における他のUEを発見するための手順である。或いは、直接ディスカバリは、E−UTRA技術で2つのUE100の能力のみを用いて、近傍サービスを実行可能な他のUE100を発見するために近傍サービスを実行可能なUE100によって採用される手順である。直接ディスカバリは、UE100がE−UTRAN(eNB200(セル))によってサービスが提供される場合にのみ、サポートされる。UE100は、セル(eNB200)に接続又はセルに在圏している場合、E−UTRANによってサービスが提供され得る。
ディスカバリメッセージ(ディスカバリ信号)の送信(アナウンスメント)のためのリソース割り当てタイプには、「タイプ1」と、「タイプ2(タイプ2B)」と、がある。「タイプ1」では、UE100が無線リソースを選択する。「タイプ2(タイプ2B)」では、eNB200がUE100へ無線リソースを割り当てる。
「Sidelink Direct Discovery」プロトコルスタックは、物理(PHY)層、MAC層、及びProSeプロトコルを含む。UE(A)の物理層とUE(B)の物理層との間では、物理サイドリンクディスカバリチャネル(PSDCH)と称される物理チャネルを介してディスカバリ信号が伝送される。UE(A)のMAC層とUE(B)のMAC層との間では、サイドリンクディスカバリチャネル(SL−DCH)と称されるトランスポートチャネルを介してディスカバリ信号が伝送される。
直接通信は、特定の宛先(宛先グループ)を指定してデータをUE間で直接的に伝送するモードである。直接通信は、いずれのネットワークノードを通過しない経路を介してE−UTRA技術を用いたユーザプレーン伝送による、近傍サービスを実行可能である2以上のUE間の通信である。
直接通信のリソース割り当てタイプには、「モード1」と、「モード2」と、がある。「モード1」は、直接通信の無線リソースをeNB200が指定する。「モード2」は、直接通信の無線リソースをUE100が選択する。
直接通信プロトコルスタックは、物理(PHY)層、MAC層、RLC層、及びPDCP層を含む。UE(A)の物理層とUE(B)の物理層との間では、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH)を介して制御信号が伝送され、物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH)を介してデータが伝送される。物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH)を介して同期信号等が伝送されてもよい。UE(A)のMAC層とUE(B)のMAC層との間では、サイドリンク共有チャネル(SL−SCH)と称されるトランスポートチャネルを介してデータが伝送される。UE(A)のRLC層とUE(B)のRLC層との間では、サイドリンクトラフィックチャネル(STCH)と称される論理チャネルを介してデータが伝送される。
(近傍サービスを利用した中継)
UE−to−ネットワーク中継について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係るUE−to−ネットワーク中継を説明するための図である。
図4において、リモートUE(Remote UE)は、例えば、ネットワーク圏外(Outof−Network)に位置するUEである。すなわち、リモートUEは、セルのカバレッジ外に位置する。リモートUEは、セルのカバレッジ内に位置する場合も有り得る。従って、リモートUEは、E−UTRAN10によって直接サービスが提供されないUE100(E−UTRAN10によってサーブ(serve)されないUE100)である。リモートUE100は、後述するリレーUEを介してパケットデータネットワーク(PDN:Packet Data Network)と通信できる。リモートUEは、公衆安全(Public Safety)のためのUE(ProSe−enabled Public Safety UE)であってもよい。
「ProSe−enabled Public Safety UE」は、HPLMNが公衆安全のための使用を許可するように構成されている。「ProSe−enabled Public Safety UE」は、近傍サービスを利用可能であり、近傍サービスにおける手順及び公衆安全のための特定の能力をサポートしている。例えば、「ProSe−enabled Public Safety UE」は、公衆安全のための情報を近傍サービスにより送信する。公衆安全のための情報とは、例えば、災害(地震・火災など)に関する情報、消防関係者又は警察関係者に用いられる情報などである。
リモートUEは、後述するように、リレーUEからProSe中継サービスを提供される。ProSe中継サービスが提供されるリモートUEとProSe中継サービスを提供するリレーUEとの間で、UE−to−ネットワーク中継が実行される。
リレーUE(ProSe UE−to Network Relay)は、ProSe中継サービスをリモートUEのために提供する。具体的には、リレーUEは、リモートUEのためにパケットデータネットワークとの通信のサービス継続性を提供する。従って、リレーUEは、リモートUEとネットワークとの間でデータ(ユニキャストトラフィック)を中継する。リレーUEは、近傍サービス(直接通信)によりリモートUEのデータ(トラフィック)を中継する。具体的には、リレーUEは、PC5インターフェイスを介してリモートUEから受信したデータ(上りトラフィック)を、Uuインターフェイス(LTE−Uu)又はUnインターフェイス(LTE−Un)を介してeNB200に中継する。リレーUEは、Uuインターフェイス又はUnインターフェイスを介してeNB200から受信したデータ(下りトラフィック)をPC5インターフェイスを介してリモートUEへ中継する。リレーUEは、ネットワーク内(セルのカバレッジ内)にのみ位置する。
リレーUEは、公衆安全のための通信に関係する任意のタイプのトラフィックを中継できる包括的な機能を提供することができる。
リレーUEとリモートUEは、物理層間でデータ及び制御信号を伝送できる。同様に、リレーUEとリモートUEは、MAC層間、RLC層間及びPDCP層間でデータ及び制御信号を伝送できる。さらに、リレーUEは、PDCP層の上位層としてIPリレー(IP−Relay)層を有してもよい。リモートUEは、PDCP層の上位層としてIP層を有してもよい。リレーUEとリモートUEとは、IPリレー層とIP層との間でデータ及び制御信号を伝送できる。リレーUEは、IPリレー層とIP−GW350のIP層との間でデータを伝送できる。
リレーUEは、AS層(Access Stratum)において、ブロードキャストを用いてリモートUEにデータ(トラフィック)を送信できる。リレーUEは、AS層において、ユニキャストを用いてリモートUEにデータを送信してもよい。UE−to−ネットワーク中継がブロードキャストを用いて実行されている場合、リレーUEとリモートUEとの間において、AS層におけるフィードバックは行われなくてもよい。この場合、リレーUEとリモートUEとの間において、NAS層(Non Access Stratum)におけるフィードバックは行われてもよい。UE−to−ネットワーク中継がユニキャストを用いて実行されている場合、AS層におけるフィードバックが行われてもよい。
(無線端末)
実施形態に係るUE100(無線端末)について説明する。実施形態に係るUE100は、(A)セルラ通信機能を有するUEと、(B)セルラ通信機能を有さないUEとを含む。セルラ通信機能を有さないUEは、サイドリンク機能を有する。以下、セルラ通信機能を有さないUEをSL−UEと称することがある。
(A)セルラ通信機能を有するUE
セルラ通信機能を有するUE100について、説明する。図5は、UE100のブロック図である。図5に示すように、UE100は、レシーバ(Receiver:受信部)110、トランスミッタ(Transmitter:送信部)120、及びコントローラ(Controller:制御部)130を備える。レシーバ110とトランスミッタ120とは、一体化されたトランシーバ(送受信部)であってもよい。レシーバ110、トランスミッタ120、及びコントローラ130は、セルラ通信及びサイドリンク動作を実行するために用いられる。
レシーバ110は、コントローラ130の制御下で各種の受信を行う。レシーバ110は、アンテナを含む。レシーバ110は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換する。レシーバ110は、ベースバンド信号をコントローラ130に出力する。
トランスミッタ120は、コントローラ130の制御下で各種の送信を行う。トランスミッタ120は、アンテナを含む。トランスミッタ120は、コントローラ130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換する。トランスミッタ130は、無線信号をアンテナから送信する。
コントローラ130は、UE100における各種の制御を行う。コントローラ130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPU(Central Processing Unit)とを含む。ベースバンドプロセッサは、例えば、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号化を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより、各種の処理を行う。プロセッサは、音声・映像信号の符号化・復号化を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
UE100は、GNSS受信機を備えていてもよい。GNSS受信機は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信できる。GNSS受信機は、GNSS信号をコントローラ130に出力する。UE100は、UE100の位置情報を取得するためのGPS機能を有していてもよい。
(B)セルラ通信機能を有さないUE
セルラ通信機能を有さないSL−UE100について、説明する。SL−UE100は、上述のUE100と同様に、レシーバ110、トランスミッタ120、及びコントローラ130を備える。SL−UE100に備えられるレシーバ110、トランスミッタ120、及びコントローラ130は、サイドリンク動作のみが実行可能であり、SL−UE100は、セルラ通信を実行可能なレシーバ及びトランスミッタを備えていない。従って、SL−UE100が備えるレシーバ110、トランスミッタ120、及びコントローラ130は、上述と同様の動作を実行するが、「無線信号」は、サイドリンクにおける無線信号である。その他の点については、レシーバ110、トランスミッタ120、及びコントローラ130は、上述と同様の動作を実行する。
SL−UE100は、例えば、ユーザが着用できる通信装置(Wearable UE)である。SL−UE100は、人が介在しない通信であるマシンタイプコミュニケーション(MTC:Machine Type Communication)用の通信装置であってもよい。
SL−UE100は、既存のUE100と異なり、既存のSIM(Subscriber Identity Module Card)の装着が不要であってもよい。SLUE100は、SL−UE用のSIM(D2D SIM)が装着可能であってもよい。
SL−UE100は、既存のSIMが装着不要であるため、ProSe機能からネットワークを介して設定される情報(Pre−configured parameter)を保持しない。
本明細書では、UE100(SL−UE100)が備えるレシーバ110、トランスミッタ120及びコントローラ130の少なくともいずれかが実行する処理を、便宜上、UE100が実行する処理(動作)として説明する。
(基地局)
実施形態に係るeNB200(基地局)について説明する。図6は、eNB200のブロック図である。図6に示すように、eNB200は、レシーバ(受信部)210、トランスミッタ(送信部)220、コントローラ(制御部)230、及びネットワークインターフェイス240を備える。トランスミッタ210とレシーバ220は、一体化されたトランシーバ(送受信部)であってもよい。
レシーバ210は、コントローラ230の制御下で各種の受信を行う。レシーバ210は、アンテナを含む。レシーバ210は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換する。レシーバ210は、ベースバンド信号をコントローラ230に出力する。
トランスミッタ220は、コントローラ230の制御下で各種の送信を行う。トランスミッタ220は、アンテナを含む。トランスミッタ220は、コントローラ230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換する。トランスミッタ220は、無線信号をアンテナから送信する。
コントローラ230は、eNB200における各種の制御を行う。コントローラ230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPUとを含む。ベースバンドプロセッサは、例えば、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号化等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
ネットワークインターフェイス240は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続される。ネットワークインターフェイス240は、S1インターフェイスを介してMME300及びSGW400と接続される。ネットワークインターフェイス240は、例えば、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信に使用される。
本明細書では、eNB200が備えるトランスミッタ210、レシーバ220、コントローラ230、及びネットワークインターフェイス240の少なくともいずれかが実行する処理を、便宜上、eNB200が実行する処理(動作)として説明する。
(実施形態に係る動作)
実施形態に係る動作について図7から図13を用いて説明する。図7は、実施形態に係る動作を説明するためのシーケンス図である。図8から図13は、実施形態に係る動作を説明するための図である。
UE100−1は、セルラ通信機能及びサイドリンク機能を有する。すなわち、UE100−1は、UE−to−ネットワーク中継動作を実行可能である。UE100−1は、eNB200が管理するセルに在圏している。UE100−1は、RRC接続状態である。或いは、UE100−1は、RRCアイドル状態であってもよい。
UE100−2は、セルラ通信機能を有さず、サイドリンク機能を有する。UE100−2は、SL−UE100である。UE100−2は、リモートUEである。
以下において、サイドリンクにおける無線信号は、ライセンスド帯域及び/又はアンライセンスド帯域を用いて、送受信される。従って、UE100−1及びUE100−2は、ライセンスド帯域のみをサポートするUEであってもよい。UE100−1及びUE100−2は、アンライセンスド帯域のみをサポートするUEであってもよい。UE100−1及びUE100−2は、ライセンスド帯域及びアンライセンスド帯域の両方をサポートするUEであってもよい。ライセンスド帯域は、免許を要する周波数帯域である。ライセンスド帯域は、セルラ通信に用いられるアンライセンスド帯域は、免許不要な周波数帯域である。
図7に示すように、ステップS101において、UE100−1は、サイドリンクにおいて、マスタ情報ブロックSL(MIB−SL)メッセージを送信する。UE100−1は、サイドリンクにおいて、MIB−SLメッセージと共に同期信号(SLSS)を送信してもよい。
UE100−1は、MIB−SLメッセージ(及びSLSS)を周期的又は非周期的に送信してもよい。UE100−1は、例えば、予め規定されているMIB−SLメッセージ(及びSLSS)の最小周期X[ms]の定数倍でMIB−SLメッセージを送信してもよい。UE100−1は、例えば、所定の周期Y[ms]の中に、複数の送信機会が存在する場合、複数の送信機会の中からMIB−SLメッセージを送信する機会をランダムに選択してもよい。
UE100−1は、リモートUEが周囲に存在するか否かに関わらず、MIB−SLメッセージを送信してもよい。リモートUEを発見する前のMIB−SLメッセージの送信周期は、リモートUEを発見した後のMIB−SLメッセージの送信周期よりも長くてもよい。
UE100−1には、MIB−SLメッセージ(及びSLSS)について複数の周期がeNB200により設定されてもよい。eNB200は、MIB−SLメッセージ(及びSLSS)についての設定情報を個別シグナリング(dedicated signaling)により送信してもよい。eNB200は、当該設定情報を共通シグナリング(例えば、SIB(System Information Block)など)により送信してもよい。
MIB−SLメッセージは、後述するシステム情報ブロックSL(SIB−SL)が配置される無線リソースの位置を特定するために用いられる。
MIB−SLメッセージは、例えば、SIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定するための情報を含んでいてもよい。MIB−SLメッセージは、SIB−SLが配置される無線リソースの時間位置(例えば、サブフレーム)を指定する情報を含んでいてもよい。MIB−SLメッセージは、SIB−SLが配置される無線リソースの周波数位置を指定する情報を含んでいてもよい。
これらの情報は、MIB−SLメッセージに含まれる「directFrameNumber」、「directSubframeNumber」及び「sl−Bandwidth」と異なる情報である。「directFrameNumber」は、SLSS及びSL−BCH(Sidelink Broadcast Channel)が送信されるフレーム番号を示す。「directSubframeNumber」は、「directFrameNumber」に対応するフレーム内のサブフレームを示す。「sl−Bandwidth」は、サイドリンクに用いられる周波数帯域幅設定のパラメータである。
MIB−SLメッセージの位置(すなわち、MIB−SLメッセージが配置される無線リソースの位置)により、SIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定できてもよい。例えば、MIB−SLメッセージが送信される周波数帯域は、SIB−SLが送信される周波数帯域と同じであってもよい。MIB−SLメッセージの時間位置から予め規定された時間が経過した後にSIB−SLが位置してもよい。
MIB−SLメッセージは、パラメータnPSCCHを含んでいてもよい。パラメータnPSCCHは、制御情報が送信される無線リソース(PSCCHリソース)を特定するために用いられる。当該制御情報は、SIB−SL(具体的には、後述するSIB−SL(SA))が送信される無線リソース(PSSCHリソース)を指示(指定)するための情報である。
UE100−1は、ユーザからの操作に基づいて、MIB−SLメッセージ(及びSLSS)の送信を開始してもよい。UE100−1は、ユーザの操作により、リレーUEの機能がON状態である場合に、MIB−SLメッセージを送信してもよい。UE100−1は、ユーザの操作により、リレーUEの機能がOFF状態である場合に、MIB−SLメッセージの送信を停止してもよい。
SLSSは、PSBCHを介して送信されるサイドリンク同期信号(SLSS:Sidelink Synchronization Signal)である。SLSSは、プライマリサイドリンク同期信号(PSSS:Primary Sidelink Synchronization Signal)及びセカンダリサイドリンク同期信号(SSSS:Secondary Sidelink Synchronization Signal)からなる。
ステップS102において、MIB−SLメッセージを受信したUE100−2は、SIB−SLのモニタを開始する。
UE100−2は、MIB−SLメッセージをSIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定するために用いる。UE100−2は、MIB−SLメッセージに含まれる情報により、SIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定してもよい。UE100−2は、MIB−SLメッセージの位置(時間位置及び/又は周波数位置)により、SIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定してもよい。
UE100−2は、パラメータnPSCCHを用いてSIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定してもよい。具体的には、UE100−1は、パラメータnPSCCHを用いて、制御情報の送信に用いられるPSCCHリソースを特定する。UE100−2は、特定したPSSCHリソースをモニタすることにより、制御情報を取得する。UE100−2は、取得した制御情報を用いて、SIB−SL(SA)が配置される無線リソースの位置を特定できる(図8参照)。SIB−SL(SA)は、SIB−SL(Data)が配置される無線リソースの位置を特定するための情報である。
UE100−2は、特定したSIB−SLが配置される無線リソースの位置をモニタする。
ステップS103において、UE100−1は、サイドリンクにおいて、SIB−SL(システム情報ブロックSLメッセージ)を送信する。UE100−1は、例えば、SBCCH(Sidelink Broadcast Control Channel)を介して、SIB−SLを送信する。
SIB−SLは、SIB−SL(SA)とSIB−SL(Data)とにより構成される。MIB−SLメッセージは、少なくともSIB−SL(SA)が配置される無線リソースの位置を特定するために用いられる。
図8に示すように、SIB−SL(SA)は、SIB−SL(Data)が配置される無線リソースの位置を特定するために用いられる。SIB−SL(SA)は、SIB−SL(Data)が配置される無線リソースの位置を特定するための情報(スケジューリング割当:SA(Scheduling Assignment))を含んでいてもよい。SIB−SL(SA)は、SIB−SL(Data)が配置される無線リソースの時間位置及び/又は周波数位置を指定する情報を含んでいてもよい。
SIB−SL(SA)が配置される無線リソースの位置により、SIB−SL(Data)が配置される無線リソースの位置が特定されてもよい。例えば、SIB−SL(SA)の周波数位置は、SIB−SL(Data)の周波数位置に対応していてもよい。SIB−SL(SA)の時間位置から予め規定された時間が経過した後にSIB−SL(Data)が位置してもよい。
SIB−SL(Data)は、近傍サービスによる中継を要求するための無線リソースが含まれる。無線リソースは、(複数の)リソースプールであってもよい。無線リソースは、サイドリンクにおけるディスカバリに用いられる無線リソース(DiscTxNormalResource:サイドリンクディスカバリ用のリソースプール)又はサイドリンクにおける通信に用いられる無線リソース(CommTxNormalResource:サイドリンク通信用のリソースプール)である。
無線リソースは、互いに異なる複数の小リソースを含む。小リソースは、互いに時間・周波数位置が異なるリソースであってもよい。小リソースは、例えば、(複数の)リソースプールの中から選択された(複数の)リソースブロック(RB)である。複数の小リソースのそれぞれは、互いに異なる一時的な識別子(Temporary ID)と関連付けられていてもよい。
SIB−SLは、送信元であるUE100−1からのサイドリンク信号(例えば、SLSS、MIB−SL及びSIB−SLの少なくとも何れかの無線信号)の送信電力を示す電力情報が含まれていてもよい。UE100−2は、電力情報とUE100−1からのサイドリンク信号の受信レベルに基づいてパスロスを算出してもよい。UE100−2は、パスロスに基づいて、送信電力を調整してもよい。UE100−2は、PSBCHが送信されるRB(リソースブロック)における参照信号の受信レベル(受信強度(S−RSRP)及び受信品質(S−RSRQ))を用いてもよい。UE100−2は、PSDCHが送信されるRBにおける参照信号の受信レベル(受信強度(SD−RSRP)及び受信品質(SD−RSRQ))を用いてもよい。
UE100−2は、SIB−SL(SA)によりSIB−SL(Data)が配置される無線リソースの位置を特定する。UE100−2は、SIB−SL(Data)を受信することにより、近傍サービスによる中継を要求するための無線リソースを知ることができる。
UE100−2は、無線リソースの中から使用すべき無線リソース(小リソース)を選択してもよい。UE100−2は、小リソースをランダムに選択してもよい。UE100−2は、パラメータnPSDCHに基づいて、小リソースを選択してもよい。パラメータnPSDCHは、UE100−2がリソースプール内の無線リソースを一意に選択するために用いられるパラメータである。
セルラ通信を実行可能である既存のUEは、セルに在圏している間に、ネットワーク(例えば、eNB200又はProSeアプリケーションサーバなど)から、無線リソース(リソースプール)の設定(Pre−config.)を予め取得可能である。既存のUEに装着されるSIMに無線リソースの設定が記憶されていてもよい。従って、既存のUEは、容量が制限されているMIB−SLメッセージであっても、中継の要求に用いるべき無線リソース(リソースプール)を指定可能である。セルラ通信を実行できないUE100−2は、既存のSIMが装着されない場合、無線リソースの設定を予め保持できない。このため、UE100−2は、MIB−SLメッセージにより、無線リソースが指定された場合であっても、使用すべき無線リソース(リソースプール)が分からない。
一方、MIB−SLメッセージは、SLSSと共に送信されるため、基本的には、同期していないUEが受信対象となる。このため、MIB−SLメッセージの容量を拡張することによって、中継の要求に用いられる無線リソース(リソースプール)を示す情報をMIB−SLメッセージに含めたとしても、同期していないUEは、大容量のMIB−SLメッセージの全てを受信できない可能性がある。従って、UE100−2は、次のMIB−SLメッセージを受信するまで、中継の要求ができない可能性がある。MIBSLメッセージの拡張により、干渉が発生する可能性がある。
しかしながら、上述のシーケンスでは、UE100−2は、MIB−SLメッセージにより、SIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定できる。MIB−SLメッセージの位置によりSIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定する場合、MIB−SLメッセージの容量が制限されていても、問題ない。MIB−SLメッセージに含まれる情報によりSIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定するケースにおいても、SIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定するための情報量は、無線リソース(リソースプール)自体の情報量よりも小さいため、既存のMIB−SLメッセージは、SIB−SLが配置される無線リソースの位置を特定するための情報を含むことが可能である。従って、既存のMIB−SLメッセージにより、UE100−2は、近傍サービスによる中継を要求するための無線リソースを知ることが可能である。
UE100−2は、SLSSにより送信元のUE100−1と同期した後に、SIB−SLを受信できるため、SIB−SLの情報量が大きい場合であっても、SIB−SLの全てをより確実に受信可能である。
ステップS104において、UE100−2は、近傍サービスによる中継をUE100−1に要求する。UE100−2は、SIB−SL(Data)に含まれる無線リソース(小リソース)を用いて、サイドリンクにおいて、UE100−1に中継を要求する。具体的には、UE100−2は、中継を要求するためのメッセージ(中継要求:第1メッセージ)をUE100−1へ送信する。UE100−2は、例えば、2RBの無線リソースを用いて、中継要求としてディスカバリメッセージを送信してもよい。
例えば、UE100−2は、ディスカバリ用の無線リソース(DiscTxNormalResource)を用いて、ディスカバリメッセージ(Discovery announcements)によりUE100−1に中継を要求してもよい。
中継要求は、複数の小リソースと関連付けられた一時的な識別子を含んでいてもよい。すなわち、UE100−2は、一時的な識別子を中継要求に含めてもよい。
UE100−2は、中継要求のためのメッセージの中身を所定の範囲の中からランダムに選択してもよい。例えば、UE100−2は、ディスカバリメッセージを用いる場合、複数のパターン値(例えば、「2232」の値)からランダムにメッセージの中身を選択する。UE100−2は、選択したパターン値を含むディスカバリメッセージを、中継要求としてUE100−1へ送信する。メッセージの中身は、互いに異なる信号系列であってもよい。信号系列は、近傍サービスによる中継を要求する時に使用される信号系列(プリアンブル系列)である。これにより、複数のリモートUEが、同じ無線リソースが用いて中継を要求した場合であっても、リレーUE(UE100−1)は、複数の中継要求を把握することが可能である。
UE100−1は、リソースの位置(リソースが配置される位置)から、UE100−2が用いたパラメータnPSDCHを間接的に把握してもよい。例えば、UE100−1は、中継要求のためのリソースプール内のリソースに対して、モニタする。UE100−1は、信号の受信できたリソース(すなわち、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)が成功したリソース)の位置(リソースが配置される位置)から、UE100−2が用いたパラメータnPSDCHを知ることができる。
UE100−1は、SIB−SL(Data)に含まれる無線リソース(小リソース)を用いて送信された中継要求をUE100−2から受信する。UE100−1は、中継要求に含まれる内容を記憶する。例えば、UE100−1は、パラメータnPSDCH及び一時的な識別子を記憶する。
UE100−1は、UE100−1とUE100−2との間の伝搬遅延(遅延時間)を記憶してもよい。UE100−1は、例えば、以下の方法で伝搬遅延(遅延時間)を推定できる。
まず、UE100−2は、UE100−1からの同期信号(SLSS)に同期する。ここで、UE100−1とUE100−2との間の距離により、UE100−1とUE100−2との間に同期ズレ(遅延時間τ)が発生する。セルラ通信機能を有さないUE100−2は、タイミング基準を持たないため、同期ズレを認識できない。従って、UE100−2は、UE100−1の基準から遅延時間τ後に、中継要求を送信する。さらに、UE100−1は、UE100−1とUE100−2との間の距離により、遅延時間τ後に中継要求を受信する。従って、UE100−1が中継要求を受信したタイミングとUE100−1の基準タイミングとの差(伝搬遅延)は、2τである。UE100−1は、式「(リモートUEからの信号受信タイミング)−(リレーUEの基準タイミング)=2τ」を用いて、伝搬遅延τの値を推定することができる。
UE100−1は、パラメータnPSDCH及び/又は一時的な識別子により、小リソースを特定してもよい。
ステップS105において、UE100−2は、UE100−1からの応答のモニタを開始する。UE100−2は、中継要求を送信したことをトリガとしてモニタを開始してもよい。
SIB−SL(Data)は、UE100−1からの応答を受信するための無線リソースを含んでもよい。UE100−2は、当該無線リソースの範囲でモニタしてもよい。
UE100−2は、中継要求の送信に用いた無線リソース(小リソース)に対応する別の無線リソースの範囲でモニタしてもよい。UE100−2は、例えば、送信に用いた小リソースの周波数帯においてモニタしてもよい。UE100−2は、例えば、リソースプールの中から、中継要求の送信に用いたパラメータnPSDCH(小リソース選択パラメータ)を用いて算出される1つ以上の小リソースをモニタしてもよい。
UE100−2は、所定時間経過しても応答を受信できない場合、ステップS104の処理を実行してもよい。UE100−2は、所定時間を計測するためのタイマを有していてもよい。UE100−2は、中継要求の送信に応じて、タイマを起動してもよい。UE100−2は、応答を受信する前にタイマが満了した場合に、ステップS104の処理を実行してもよい。タイマの値は、SIB−SLに含まれていてもよい。
UE100−2は、ステップS104の処理を再度実行する場合、前に送信した中継要求の送信電力よりも高い送信電力で、新たな中継要求を送信してもよい。この場合、UE100−2は、最大送信電力を越えない範囲内の送信電力で、新たな中継要求を送信してもよい。最大送信電力を示す情報は、SIB−SLに含まれていてもよい。
ステップS106において、UE100−1は、中継要求の受信に応じて、中継を希望することを示す情報(D2D relay request)をeNB200へ送信する。UE100−1は、例えば、中継の意図を示す情報をeNB200へ送信する。UE100−1は、例えば、中継するためのリソースの要求を示す情報をeNB200へ送信してもよい。UE100−1は、中継を希望することを示すSL−UE情報(SL−UEInformation)メッセージをeNB200へ送信してもよい。
UE100−1は、中継を希望することを示す情報をeNB200へ送信しなくてもよい。UE100−1は、ステップS106の処理を実行せずに、ステップS110の処理を実行してもよい。UE100−1は、例えば、eNB200から中継用の無線リソースが予め割り当てられている場合、ステップS106の処理を省略してもよい。
ステップS107において、eNB200は、UE100−1が中継を希望することを示す情報(D2D relay request)をネットワーク(NW)に送る。NWは、例えば、eNB200の上位ノード(例えば、MME300)であってもよい。NWは、Server600(例えば、ProSeアプリケーションサーバ)であってもよい。NWは、ProSeファンクション(ProSe Function)であってもよい。
eNB200は、ステップS107の処理を実行せずに、ステップS109の処理を実行してもよい。
ステップS108において、NWは、eNB200へ応答を送る。具体的には、NWは、中継の準備が完了したことを示す情報(D2D relay complete)をeNB200へ送る。NWは、中継を許可するか否かを示す情報をeNB200へ送ってもよい。NWは、中継を許可するUE(リレーUE(UE100−1)の許可及び/又はリモートUE(UE100−2)の許可)を示す情報をeNB200へ送ってもよい。NWは、中継を許可しないUE(リレーUE(UE100−1)の不許可及び/又はリモートUE(UE100−2)の不許可)を示す情報をeNB200へ送ってもよい。
ステップS109において、eNB200は、UE100−1へ個別に無線リソース(D2DDedicatedResource)を割り当てる。例えば、eNB200は、RRC接続再設定(RRCConnectionReconfig.)メッセージにより、無線リソースを割り当ててもよい。無線リソースは、ステップS113において用いられる無線リソースである。無線リソースは、ステップS110からS112において用いられる無線リソースを含んでもよい。
eNB200は、半静的な無線リソースを割り当ててもよい。半静的な無線リソースの割り当て(Semi−Static Resource allocation)の詳細は、後述する。
ステップS110において、UE100−1は、中継要求に対する応答(第2メッセージ)をUE100−2へ送信する。UE100−1は、SIB−SLに含まれるディスカバリ用の無線リソース(DiscTxNormalResource)を用いて、ディスカバリメッセージ(Discovery announcements)により応答をUE100−2へ送信してもよい。
応答メッセージは、中継要求に含まれる一時的な識別子(Temporary ID)を含んでもよい。応答メッセージは、中継要求に含まれる他の情報をも含んでいてもよい。これにより、UE100−1が、複数のリモートUEから受信した複数の中継要求のそれぞれに対して応答メッセージを送信する場合であっても、リモートUEは、自身宛の応答メッセージか否かを把握することができる。
応答メッセージは、ステップS111で用いられる一時的な無線リソースの情報を含んでいてもよい。応答メッセージは、ステップS112で用いられる一時的な無線リソースの情報を含んでいてもよい。
UE100−1は、UE100−1とUE100−2との間の伝搬遅延(例えば、ステップS104において算出された伝搬遅延)に基づいてタイミング情報を生成してもよい。
UE100−1は、UE100−1とUE100−2との間の伝搬遅延に基づいて、以下のように、サイドリンクの送信及び/又は受信タイミングを調整してもよい。UE100−1は、UE100−2において送信及び/又は受信タイミングが調整される場合には、タイミング情報を応答メッセージに含めてもよい。タイミング情報は、UE100−2からUE100−1への送信タイミングを調整するための送信タイミング情報及び/又はUE100−1からUE100−2への受信タイミングを調整するための送信タイミング情報である。
図9(上図)に示すように、例えば、UE100−1は、同期元(リレーUE)であるUE100−1(Sync Ref UE(Relay UE))を基準として、通信タイミングを調整してもよい。この場合、UE100−2(リモートUE)は、伝搬遅延を考慮して、予定送信タイミングよりも早めに、サイドリンク信号(例えば、ステップS111及びS113の信号)を送信する制御を実行する。UE100−2は、伝搬遅延を考慮して、予定受信タイミングよりも遅めにサイドリンク信号(例えば、ステップS112及びS113の信号)を受信する制御を実行する。
図9(下図)に示すように、UE100−1は、UE100−2(リモートUE)を基準としてもよい。この場合、UE100−1は、伝搬遅延を考慮して、予定送信タイミングよりも早めに、サイドリンク信号(例えば、ステップS110、S112及びS113の信号など)を送信する制御を実行する。UE100−2は、伝搬遅延を考慮して、予定受信タイミングよりも遅めにサイドリンク信号(例えば、ステップS111及びS113の信号)を受信する制御を実行する。UE100−2の送信リソースの最終シンボルは、ブランクに設定されてもよい。
UE100−1は、例えば、UE100−1が備える送信機と受信機とが独立に動作可能である場合に、UE100−2(リモートUE)を基準としてもよい。この場合、UE100−2の送信リソースの最終シンボルは、ブランクに設定されなくてもよい。UE100−1は、1つの送受信機のみを備える場合、UE100−1(リレーUE)を基準としてもよい。
ステップS111において、UE100−2は、ステップS110のメッセージに対する応答(第3メッセージ)をUE100−1へ送信する。UE100−2は、第2メッセージ(ステップS110の応答メッセージ)に含まれる一時的な無線リソースの情報)を用いて、第3メッセージを送信してもよい。UE100−2は、サイドリンク通信により、第3メッセージを送信してもよい。第3メッセージは、UE100−2の固有識別子を含んでいてもよい。
ステップS112において、UE100−1は、ステップS111のメッセージに対する応答(第4メッセージ)をUE100−2へ送信する。UE100−1は、第2メッセージ(ステップS110の応答メッセージ)に含まれる一時的な無線リソースの情報を用いて、第4メッセージを送信してもよい。UE100−1は、サイドリンク通信により、第4メッセージを送信してもよい。第4メッセージは、UE100−2の固有識別子を含んでいてもよい。
以上により、UE100−1とUE100−2との間でサイドリンクにおける接続が確立されてもよい。
ステップS113において、UE100−1とUE100−2とはサイドリンク通信を開始する。具体的には、UE100−1は、近傍サービスによる中継を開始する。
サイドリンク通信において、以下の動作が実行されてもよい。
UE100−1とUE100−2とは、UE100−1に個別に割り当てられた個別リソースを用いて、サイドリンク通信を実行する。UE100−1とUE100−2とは、個別リソースを共有する。個別リソースは、半静的な無線リソースであってもよい。
UE100−1とUE100−2とは、個別リソースのみを用いて、サイドリンク通信を実行する。これにより、UE100−1及びUE100−2は、他の無線リソース(例えば、リソースプールの全て)についてモニタする必要がない。従って、電力消費を低減できる。
UE100−1は、半静的な無線リソース(個別リソース)をeNB200に要求してもよい(S106)。eNB200は、当該要求を受けた場合に、半静的な無線リソースを割り当ててもよい(S109)。eNB200は、RRC接続再設定メッセージにより、半静的な無線リソースをUE100に割り当ててもよい。個別リソースは、UE100−1とUE100−2とで共有されるため、eNB200は、UE100−2(リモートUE)を考慮しなくてもよい。
UE100−1とUE100−2とは、個別リソースを分け合う。受信の方が送信よりも電力消費が少ないため、UE100−1のリソースが、UE100−2のリソースよりも多くなるように個別リソースが分けられてもよい。例えば、UE100−1の送信リソース(受信リソース)とUE100−2の送信リソース(受信リソース)との割合は、X対1であってもよい。Xは1より大きい値である。
UE100−1とUE100−2とは、UE100−1のリソース割り当てとUE100−2のリソース割り当てとが競合しないように、TDD設定情報を用いて個別リソースの分配を共有してもよい。当該TDD設定情報は、UE100−1からのMIB−SLメッセージに含まれてもよい。TDD設定情報には、UE100−1の送信リソース(UE100−2の受信リソース)の割当情報とUE100−2の送信リソース(UE100−1の受信リソース)の割当情報とが含まれていてもよい。
例えば、図10に示すように、UE100−1は、UE100−2のモニタ(受信)領域(受信リソース)を指定するための制御情報(SA Relay)を送信する。モニタ領域は、個別リソースに含まれる無線リソースに対応する。UE100−1は、指定されたモニタ領域(Data)でUE100−2へのユーザデータを送信する。UE100−2は、指定されたモニタ領域のみをモニタする。同様に、UE100−2は、送信領域(SA Remote)で制御情報を送信する。当該制御情報は、UE100−1のモニタ領域を指定する情報である。UE100−2は、指定されたモニタ領域(Data)でUE100−1へのユーザデータを送信する。UE100−1は、指定されたモニタ領域のみをモニタする。
UE100−1は、UE100−2のモニタ(受信)領域(受信リソース)及びUE100−2の送信領域(送信リソース)を指定するための制御情報(SA Relay)を送信してもよい。モニタ領域及び送信領域は、個別リソースに含まれる無線リソースに対応する。UE100−1は、指定されたモニタ領域(Data)でUE100−2へのユーザデータを送信する。UE100−2は、指定されたモニタ領域のみをモニタする。UE100−2は、指定された送信領域(SA Remote)で制御情報を送信する。当該制御情報は、UE100−1のモニタ領域及びUE100−1の送信領域を指定する情報である。UE100−2は、指定されたモニタ領域(Data)でUE100−1へのユーザデータを送信する。UE100−1は、指定されたモニタ領域のみをモニタする。同様に、UE100−1は、指定された送信領域(SA Relay)で制御情報を送信する。当該制御情報は、UE100−2のモニタ領域(及びUE100−1の送信領域)を指定する情報である。UE100−2は、指定されたモニタ領域のみをモニタする。
図11に示すように、制御情報の送信に用いられる複数の制御領域(SA)が時間方向に配置される場合、以下の動作が実行されてもよい。制御情報は、ユーザデータが配置される無線リソースの位置を特定するために用いられる。
UE100−2は、サイドリンクDRX(SL−DRX:Sidelink−Discontinuous Reception)動作を実行する。SL−DRX動作は、複数の制御領域を不連続にモニタする動作である。具体的には、UE100−2は、所定のサイクル(SL−DRXサイクル)に従って、制御領域をモニタする。例えば、UE100−2は、1つの制御領域をモニタした場合、SL−DRXサイクルが経過するまで、制御領域のモニタを省略する。SL−DRXサイクルは、制御領域の周期(SA Piriod)単位の長さである。例えば、図11に示すように、SL−DRXサイクルが制御領域の周期の2倍である場合、UE100−2は、2つ目(及び4つ目)の制御領域のモニタを省略する。これにより、UE100−2は、モニタする領域が低減できるため、電力消費を低減できる。
UE100−1は、UE100−2がSL−DRX動作を実行する場合、SLDRX動作(SL−DRXサイクル)に従って、複数の制御領域の中から制御情報の送信に用いる制御領域を選択してもよい。図11の例では、UE100−1は、1つ目(及び3つ目)の制御領域を、制御情報の送信に用いる制御領域として選択できる。
UE100−1は、UE100−2からSL−DRX動作の設定情報(例えば、SLDRXサイクル)を取得する。或いは、UE100−1は、UE100−2へSL−DRX動作の設定情報を送信してもよい。UE100−1は、SL−DRX動作の設定情報をeNB200から受信してもよい。
SL−DRX動作の設定情報は、UE毎に異なってもよい。SL−DRX動作の設定情報は、各UEで共通であってもよい。
図12及び図13に示すように、UE100−1は、サイドリンク通信において、電力制御情報をUE100−2へ送信してもよい。図12は、オープンループTPC(Transmission Power Control)による電力制御の一例である。図13は、クローズドループTPCによる電力制御の一例である。
図12において、UE100−1は、UE100−2からUE100−1への送信電力を制御するためのパラメータ情報(TPCパラメータ)を含む電力制御情報をUE100−2へ送信する。UE100−1は、MIB−SL及び/又はSIB−SLにより、電力制御情報を送信してもよい。
パラメータ情報は、UE100−1からUE100−2へのサイドリンク信号の受信電力に応じて決定される。例えば、UE100−2は、PSBCHが送信されるRB(リソースブロック)における参照信号の受信電力(受信強度(S−RSRP)及び/又は受信品質(S−RSRQ))を測定してもよい。この場合、UE100−2は、UE100−1からのSLSSの受信電力を測定できる。UE100−1は、SLSSを周期的に送信してもよい。UE100−2は、PSDCHが送信されるRBにおける参照信号の受信電力(受信強度(SD−RSRP)及び/又は受信品質(SD−RSRQ))を測定してもよい。この場合、UE100−2は、UE100−1からのディスカバリメッセージの受信電力を測定できる。
UE100−1は、ディスカバリメッセージを周期的に送信してもよい。
パラメータ情報は、パスロス補償係数αを含んでいてもよい。パラメータ情報は、希望受信電力Poを含んでいてもよい。UE100−2は、例えば、以下の式により、送信電力を算出する。
TxPower = min(Pmax,Po + α * PL)
TxPowerは、送信電力を示す。PLは、UE間(リモートUE−リレーUE間)のパスロスを示す。
UE100−2は、測定結果とパラメータ情報とに基づいて、UE100−1へのサイドリンク信号の受信電力を決定する。
図13において、UE100−2は、UE100−1へサイドリンク信号を送信する。UE100−1は、サイドリンク信号の受信電力(S−RSRP、S−RSRQ、SD−RSRP及びSD−RSRQの少なくともいずれか)を測定する。
UE100−1は、UE100−2からUE100−1への送信電力を制御するためのコマンド情報(TPC command)を含む電力制御情報をUE100−2へ送信する。UE100−1は、PSCCHにより伝送される制御情報(SCI:Sidelink Control Information)により電力制御情報(コマンド情報)をUE100−2へ送信してもよい。UE100−1は、ディスカバリメッセージにより電力制御情報(コマンド情報)をUE100−2へ送信してもよい。UE100−1は、PSSCHにより伝送されるパケット(データ)により電力制御情報(コマンド情報)をUE100−2へ送信してもよい。UE100は、コマンド情報をパケットのMACヘッダに含めてもよい。
コマンド情報は、送信電力を上げる指示、送信電力を下げる指示、送信電力を維持する指示のいずれかであってもよい。送信電力を(大幅に)上げる指示は、上げる送信電力値(可変値)であってもよい。送信電力を(大幅に)下げる指示は、下げる送信電力値(可変値)であってもよい。コマンド情報は、UE100−2の最大送信電力で送信する指示、UE100−2の最小送信電力で送信する指示、S−RSRPを基準とする指示、及びSD−RSRPを基準とする指示のいずれかであってもよい。S−RSRPを基準とする場合、S−RSRPに基づいて送信電力が算出される。例えば、上述の送信電力の算出に用いるパスロス(PL)がS−RSRPにより算出される。同様に、SD−RSRPを基準とする場合、SD−RSRPに基づいて送信電力が算出される。例えば、上述の送信電力の算出に用いるパスロス(PL)がSD−RSRPにより算出される。コマンド情報は、eNB200からの参照信号の受信電力強度を示すRSRPに合わせる指示であってもよい。UE100−1は、自身が測定したRSRPをUE100−2へ送信してもよい。
以上により、UE100−2は、UE100−1とUE100−2との間のサイドリンク信号の受信電力に応じて、サイドリンク信号の送信電力を調整できる。一般的に、eNB−UE間の距離よりも、UE−UE間の距離の方が短いため、eNB200とUE100−2との間のダウンリンク信号の受信電力(RSRP)でサイドリンク信号の送信電力を調整するよりも、適切に送信電力を調整できる。その結果、電力消費を低減できる。eNB200及び他のUE100に与える干渉を抑制できる。
(変更例1)
実施形態に係る変更例1について、図14を用いて説明する。図14は、変更例1を説明するためのシーケンス図である。変更例1では、UE100−2は、SIB−SL(Data)に含まれる無線リソースを用いずに、中継要求を送信する。
図14において、UE100−2には、近傍サービスによる中継を要求するための無線リソースが予め記憶されている。無線リソースの情報は、UE100−2(メモリ)の製造時に記憶された固定値であってもよい。当該無線リソースは、例えば、セルラ通信機能を有さないSIM(D2D SIM)に記憶されていてもよい。
ステップS201は、ステップS101に対応する。UE100−2は、SLSS及び/又はMIB−SLの受信に応じて、ステップS202の処理を開始してもよい。
ステップS202は、ステップS104に対応する。ここで、UE100−2は、予め記憶されている無線リソースを用いて、近傍サービスによる中継をUE100−1へ要求する。
ステップS203からS211は、ステップS105からS113に対応する。
(変更例2)
実施形態に係る変更例2について、図15を用いて説明する。図15は、変更例2を説明するためのシーケンス図である。変更例2では、UE100−1は、UE100−2からのサイドリンク信号の受信に応じて、SLSS/MIB−SLの送信を開始する。
図15に示すように、ステップS301において、UE100−2は、サイドリンクにおいて、SLSS及び/又はMIB−SLを送信する。
UE100−2には、SLSS及び/又はMIB−SLを送信するためにのみ用いられる無線リソースが予め記憶されている。無線リソースの情報は、UE100−2(メモリ)の製造時に記憶された固定値であってもよい。当該無線リソースは、例えば、セルラ通信機能を有さないSIM(D2D SIM)に記憶されていてもよい。
UE100−2は、リモートUEであることを示す識別子(SLSS ID)をSLSSに含めてもよい。UE100−1は、リモートUEであることを示す情報をMIB−SLに含めてもよい。
UE100−1は、UE100−2からSLSS及び/又はMIB−SLを受信した場合、ステップS302の処理を開始する。UE100−2は、UE100−1からSLSS及び/又はMIB−SLを受信した場合、SLSS及び/又はMIB−SLの送信を停止する。これにより、SLSS及び/又はMIB−SLの送信が、UE100−2からUE100−1へ引き継がれる。
ステップS302は、ステップS101に対応する。UE100−1は、受信したSLSS及び/又はMIB−SLに含まれるオフセットインジケータが示すタイミングと異なるタイミングで、SLSS及び/又はMIB−SLを送信する。
UE100−1は、リレーUEであることを示す識別子(SLSS ID)をSLSSに含めてもよい。UE100−1は、リレーUEであることを示す情報をMIB−SLに含めてもよい。
ステップS303からS314は、ステップS102からS113に対応する。
(変更例3)
実施形態に係る変更例3について、図16を用いて説明する。図16は、変更例3を説明するためのシーケンス図である。変更例3では、eNB200が、SLSS/MIB−SLを送信する。
図16に示すように、ステップS401において、eNB200は、サイドリンクにおいて、SLSS及び/又はMIB−SLを(周期的に)送信する。eNB200は、サイドリンクにおいて、SIB−SLを(周期的に)送信してもよい。
SLSS、MIB−SL、及びSIB−SLの少なくともいずれか一つに初期アクセスのための無線リソースの情報が含まれていてもよい。
eNB200は、サイドリンク送受信機能を有する。この場合、eNB200は、セルとして、サイドリンクにおいてサイドリンク信号(SLSS及び/又はMIB−SL)を送信してもよい。この場合、当該サイドリンク信号を受信したUEは、サイドリンク信号の送信元をセル(eNB200)と認識する。eNB200は、UEとして、サイドリンクにおいてサイドリンク信号を送信してもよい。この場合、当該サイドリンク信号を受信したUEは、サイドリンク信号の送信元をUEと認識する。
ステップS402において、UE100−2は、eNB200から受信した無線リソースの情報を用いて、サイドリンク信号(例えば、ディスカバリメッセージ)を送信する。サイドリンク信号は、中継の要求を示す情報が含まれていてもよい。
UE100−1は、UE100−2からSLSS及び/又はMIB−SLを受信した場合、ステップS403の処理を開始する。
UE100−1は、上りリンク又はサイドリンクにおいて、SLSS及び/又はMIB−SLの送信開始を示す情報をeNB200へ送信してもよい(ステップS404)。eNB200は、当該情報をUE100−1から受信した場合、SLSS及び/又はMIB−SLの送信を停止してもよい。これにより、SLSS及び/又はMIB−SLの送信が、eNB200からUE100−1へ引き継がれる。UE100−1は、ステップS404の情報をeNB200へ送信しなくてもよい。
ステップS403、S405からS416は、ステップS101からS113に対応する。
[その他の実施形態]
上述した各実施形態によって、本出願の内容を説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本出願の内容を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
上述した実施形態において、近傍サービスにおける中継のためのサイドリンク通信において、電力消費低減のための省電力動作(個別リソースの共有、SL−DRX動作、及び、送信電力制御)が実行されていたが、これに限られない。通常のサイドリンク通信において、省電力動作が実行されてもよい。サイドリンクディスカバリにおいて、省電力動作が実行されてもよい。
リレーUEであるUE100−1がSL−DRX動作を実行してもよい。リモートUEであるUE100−2が電力制御情報をUE100−1へ送ってもよい。
上述した各実施形態に係る動作は、適宜組み合わせて実行されてもよい。上述した各シーケンスにおいて、必ずしも全ての動作が必須の構成ではない。例えば、各シーケンスにおいて、一部の動作のみが実行されてもよい。
上述した各実施形態では特に触れていないが、上述した各ノード(UE100、eNB200など)のいずれかが行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体であってもよい。
或いは、UE100及びeNB200のいずれかが行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサ)によって構成されるチップが提供されてもよい。
上述した実施形態では、移動通信システムの一例としてLTEシステムを説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本出願に係る内容を適用してもよい。
日本国特許出願第2016−022242号(2016年2月8日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。