JPWO2017110295A1 - 二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

二次元物質および繊維状物質の特徴的な構造の破壊や切断を抑制しつつ、二次元物質と繊維状物質とを複合化することのできる、工業的量産化に適した、二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法を提供する。本発明に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法は、二次元物質と繊維状物質を分散媒に懸濁させた懸濁液を高圧処理して、原料導入部2から供給する工程、原料導入部2から供給された前記懸濁液を複合化モジュール3に通過させて、前記分散媒中で前記二次元物質の層間に前記繊維状物質が挿入された複合材料の分散液を得る工程、および複合化モジュール3を通過した後の前記複合材料の分散液を回収部4で回収する工程を含み、原料導入部2および複合化モジュール3は、前記懸濁液が流れる通液路の内径が0.15mm以上であり、内径が0.15mm未満である通液路を有さないことを特徴とする。

Description

本発明は、二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法に関するものである。
二次元物質は、一般に、原子が所定の結晶構造をなしている単層または薄層の固体であり、代表的な二次元物質として、グラフェンが知られている。グラフェンは、炭素原子が六方晶系構造をなしている単層(単原子層)構造であり、グラファイト(黒鉛)の層状構造の基本構成をなすものである。
近年、グラフェンに関する研究を皮切りに、多様な二次元物質に関する研究および開発が行われている。二次元物質に関する研究は、当初はフレーク形態における電気伝導性や機械的特性等の基本的な物性を把握するものが中心であったが、最近ではグラフェン・コンポジットのような応用研究へと拡張され、活発化している。
グラフェン・コンポジットとしては、これまでに、ポリマー、金属材料、カーボンナノチューブ等をグラフェンと複合化してなる複合材料が種々検討されている。例えば、酸化グラフェンとカーボンナノチューブとを所定の割合で含むグラフェン誘導体−カーボンナノチューブ複合材料が提案されている(特許文献1)。特許文献1においては、グラファイトを酸化させた酸化グラファイトを超音波処理して作製した酸化グラフェンをカーボンナノチューブとともにアルコール分散剤に加え、120〜150分間、超音波分散を行って得た懸濁液を濾過し、乾燥させて、目的の複合材料が作製されている。
このようなグラフェン・コンポジットの作製においては、所定の分散媒中で、グラフェンと、複合化する物質とを均一に分散させることが重要である。そのため、上述の超音波処理する方法のほかに、例えば、原料の粗分散液に背圧を付加した状態でせん断力を加えることによって分散させる方法(特許文献2)や、化粧品、食品、製薬等の分野で利用されている高圧乳化法を利用する方法(特許文献3)を適用することも想定され得る。
特表2014−505650号公報 国際公開第2015/015758号 特開2014−9151号公報
しかしながら、カーボンナノチューブのような繊維状物質を分散させる際に超音波処理を用いる方法では、繊維状物質に長時間超音波処理を施す必要があるため、繊維状物質の特徴的な構造(例えば、カーボンナノチューブのグラファイト構造)の破壊や切断を生じ、繊維状物質および複合材料の特性が損なわれる場合がある。
また、上述の高圧乳化法では、もともと、衝撃力や摩砕力等を複合的に組み合わせて原料溶液に作用させることによって原料をより小さい粒径に破砕しながら均質化することを想定して装置構成が設計されている。具体的には、特許文献2に記載の高圧ホモジナイザーや特許文献3に記載の高圧乳化機を含む従来の高圧乳化装置は、圧力発生装置(ポンプ部)と、流路を著しく狭くした部分を有するパーツ(例えばノズルやオリフィスであり、以下「ノズル部」ともいう。)とを備えており、これらは高圧乳化法を行うために必須の構成要素である。ポンプ部からの圧力は、ノズル部でジェット流に変換され、ノズル部から噴射された液体は、吸収セルと呼ばれる部材を通過しながら乱流となり、衝撃力やせん断力が加えられる。従って、このような従来の高圧乳化装置を用いて、グラフェンのような二次元物質に対して高圧乳化法を適用した場合には、面方向への衝撃力が加わることによって二次元構造が破壊され、面方向の粒径が数μmほどの小さなフレーク状もしくはフラグメント状となり、その結果、二次元物質が本来発揮し得るほどの優れた特性が得られない場合がある。また、従来の高圧乳化装置を用いてカーボンナノチューブのような繊維状物質の分散処理を行った場合には、超音波処理による分散処理と同様に、繊維状物質の損傷が大きく、複合材料とした際に期待される程度の特性が得られない場合がある。
このため、上記のようなこれまでの様々な試みにも関わらず、二次元物質と繊維状物質とを複合化してなる複合材料をより簡便かつ効率的に得る観点からは、依然として、さらなる改良が求められている。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、二次元物質および繊維状物質の特徴的な構造の破壊や切断を抑制しつつ、二次元物質と繊維状物質とを複合化することのできる、工業的量産化に適した、二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者等は、従来の高圧乳化装置において必須の構成要素であった上記ノズル部への原料溶液の通液操作によってジェット流が発生する過程において、二次元物質の面方向および繊維状物質に過度の衝撃力が付加されていること、つまり、所望の原料を乳化・分散させて乳化分散液を生成するという高圧乳化法の最も根幹をなすジェット流の発生条件は、二次元物質と繊維状物質とを複合化するという観点からは必ずしも適切ではないことを見出した。また、ノズル部への通液操作によって発生するジェット流は、二次元物質および繊維状物質の特徴的な構造の破壊や切断の原因となる場合があることも見出した。
そこで、本発明者等は、従来の高圧乳化法の特徴を生かしつつ、二次元物質と繊維状物質との複合化により適した方法に改良することによって、従来の方法と比較して高精度かつ高収率で、二次元物質の層間に繊維状物質が挿入された複合材料を得ることができることを見出した。
これらの新規な知見に基づき、本発明者等は、さらに研究を重ね、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
(1)二次元物質と繊維状物質を分散媒に懸濁させた懸濁液を高圧処理して、原料導入部から供給する工程、前記原料導入部から供給された前記懸濁液を複合化モジュールに通過させて、前記分散媒中で前記二次元物質の層間に前記繊維状物質が挿入された複合材料の分散液を得る工程、および前記複合化モジュールを通過した後の前記複合材料の分散液を回収部で回収する工程を含む二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法であって、前記原料導入部および前記複合化モジュールは、前記懸濁液が流れる通液路の内径が0.15mm以上であり、内径が0.15mm未満である通液路を有さないことを特徴とする二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
(2)前記懸濁液を5MPa以上の圧力で高圧処理することを特徴とする(1)に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
(3)前記複合化モジュールが、2つ以上の通液部材を直列的に連結した構造を有し、前記懸濁液の流れに関して上流側の通液部材の通液路の内径よりも下流側の通液部材の通液路の内径が大きいことを特徴とする(1)または(2)に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
(4)前記回収部で回収した前記複合材料の分散液を前記原料導入部に再び供給して、前記複合化モジュールを通過させる工程をさらに含むことを特徴とする(1)から(3)のうちのいずれかに記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
(5)前記二次元物質がグラフェンであることを特徴とする(1)から(4)のうちのいずれかに記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
(6)前記繊維状物質がナノファイバーであることを特徴とする(1)から(5)のうちのいずれかに記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
(7)前記ナノファイバーがカーボンナノチューブであることを特徴とする(6)に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
本発明によれば、二次元物質および繊維状物質の特徴的な構造の破壊や切断を抑制しつつ、二次元物質と繊維状物質とを複合化することのできる、工業的量産化に適した、二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造装置を示す模式図 実施例1で得られたTRGO−SGCNT複合材料のSEM画像 実施例2で得られたTRGO−SGCNT複合材料のSEM画像 実施例3で得られたTRGO−SGCNT複合材料のSEM画像 実施例1〜3に関して作製した比較用のキャパシタ(比較用セル1および比較用セル2)についての充放電特性を示すグラフ 実施例1〜3で得られたTRGO−SGCNT複合材料を用いて作製したスーパーキャパシタ(テスト用セル1〜3)についての充放電特性を示すグラフ 実施例4に関して作製した比較用のキャパシタ(比較用セル3および比較用セル4)についての充放電特性を示すグラフ 実施例4で得られた剥離グラフェン−SGCNT複合材料を用いて作製したスーパーキャパシタ(テスト用セル4)についての充放電特性を示すグラフ
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本明細書において、「二次元物質」とは、原子が所定の結晶構造をなしている単層または薄層の固体を指すものとする。二次元物質としては、その代表例であるグラフェンのほか、硫化モリブデン(IV)(MoS)、窒化ホウ素(BN)等が挙げられる。
本明細書において、「繊維状物質」とは、長さが外径の平均値の100倍以上である物質を指すものとする。繊維状物質としては、例えば、外径の平均値が1nm〜100nmの範囲内のナノスケールであるナノファイバーが挙げられる。また、ナノファイバーとしては、中空構造を有するナノチューブ、中空構造を有しないナノロッド、導電性もしくは半導電性の性質を有するナノワイヤー等が挙げられる。より具体的には、本実施形態で使用されるナノファイバーとしては、例えば、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、金属ナノワイヤー等が挙げられる。
以下では、本発明の実施形態の代表例として、二次元物質としてグラフェンを想定し、繊維状物質としてカーボンナノチューブを想定した場合を例にして説明する。
本実施形態では、二次元物質の面方向の平均粒径は特に制限されないが、繊維状物質との複合化の効果をより高い精度で得る観点からは、二次元物質の面方向の平均粒径を200μm以下とすることが好ましく考慮され、また、二次元物質の面方向の平均粒径を100μm以下とすることがより好ましく考慮される。なお、二次元物質の面方向の平均粒径が200μm以上の場合であっても、本実施形態による複合化の効果を得ることができる。
二次元物質として本実施形態で用いるグラフェンの製造方法は特に限定されず、一般に公知の方法に従って製造されたグラフェンを使用することができる。例えば、グラフェンを製造する方法としては、グラファイトを層間剥離する手法が一般的であり、代表的な例としては、強酸化条件で酸化した酸化グラファイトを剥離する方法(ハマーズ法)が挙げられる。また、強酸化処理工程を要しないグラフェンの製造方法としては、例えば、グラファイトの分散溶液を超音波処理したり、グラファイトの分散溶液に撹拌羽根等を挿入して高速回転させたりして、グラファイトを層間剥離する方法等が知られている。
本実施形態では、繊維状物質の外径の平均値は特に制限されないが、二次元物質との複合化をより効率的に行う観点からは、外径の平均値を0.4〜5.0nmの範囲内とすることが好ましく考慮され、また、1.0〜3.0nmの範囲内とすることがより好ましく考慮される。繊維状物質の外径の平均値は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて任意の倍率により観察し、視野面積の一定割合が当該繊維状物質である視野中から任意に抽出した複数の繊維状物質について外径を測定したときの算術平均値とすることができる。
繊維状物質として本実施形態で用いるカーボンナノチューブは、複数本のカーボンナノチューブが存在している集合体であり、その存在形態は特に限定されず、それぞれが独立で存在していてもよく、あるいは束状、絡まり合うなどの形態あるいはこれらの混合形態で存在していてもよい。また、種々の層数、外径のものが含まれていてもよい。
また、本実施形態で用いるカーボンナノチューブの製造方法は特に限定されず、化学気相成長(CVD)法、スーパーグロース(SG)法、レーザーアブレーション法、アーク放電法等、一般に公知の方法に従って製造されたカーボンナノチューブを使用することができる。
カーボンナノチューブの純度は特に制限されないが、本実施形態では、より高純度のカーボンナノチューブ(例えば、純度>99.5%、純度>99.98%)を用いた場合であっても、カーボンナノチューブの損傷を抑制しつつ、二次元物質の層間にカーボンナノチューブが挿入された複合材料を得ることができる。
二次元物質と繊維状物質との懸濁液(以下、「原料懸濁液」ともいう。)の調製に用いる分散媒は適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。分散媒は、本発明の目的、効果を阻害しない範囲において、二次元物質および繊維状物質と分散媒との親和性等を考慮して、より均一に分散させることを目的に、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム等が分散剤として添加されていてもよく、また、所要の目的に応じてその他の添加剤が添加されていてもよい。なお、本実施形態では、目的の複合材料がグラフェンとカーボンナノチューブの複合材料である場合には、原則として、分散媒には分散剤等の添加剤を添加することを要しない。
原料懸濁液における二次元物質の濃度は特に制限されないが、例えば、0.1〜100mg/mLであり、好ましくは0.5〜50mg/mLであり、より好ましくは1〜10mg/mLである。二次元物質の濃度が上記の範囲内であると、分散媒中での繊維状物質との複合化の効果をより効率的に得ることができる。二次元物質の濃度が100mg/mLを上回ると、繊維状物質との複合化効率が劣る場合がある。
原料懸濁液における繊維状物質の濃度は特に制限されないが、例えば、0.01〜5.0mg/mLであり、好ましくは0.05〜1.0mg/mLであり、より好ましくは0.1〜0.5mg/mLである。繊維状物質の濃度が上記の範囲内であると、分散媒中での二次元物質との複合化効果をより効率的に得ることができる。繊維状物質の濃度が5.0mg/mLを上回ると、二次元物質との複合化効率が劣る場合がある。
原料懸濁液における二次元物質と繊維状物質の質量比は特に制限されないが、例えば、繊維状物質:二次元物質=1:3〜1:50であり、好ましくは繊維状物質:二次元物質=1:5〜1:35であり、より好ましくは繊維状物質:二次元物質=1:10〜1:30である。二次元物質と繊維状物質の質量比が上記の範囲内であると、分散媒中での二次元物質と繊維状物質との複合化効果をより効率的に得ることができ、複合材料をより高い収率で得ることができる。
なお、ノズル部を備える従来の高圧乳化装置では、高粘度の溶液を適用することは困難であったが、本実施形態に係る複合化装置では、後述するようにノズル部を有さない構成であるため、原料懸濁液の粘性が高い場合であっても、二次元物質と繊維状物質とを複合化して、目的の複合材料を得ることができる。
本実施形態では、繊維状物質は、特段の前処理を行うことなく、分散媒中で二次元物質と一緒に懸濁させて原料懸濁液としてもよく、また、予め所定の分散媒中で分散させた繊維状物質の分散液を用いて、二次元物質または二次元物質が懸濁した懸濁液と混合して原料懸濁液としてもよい。例えば、繊維状物質としてカーボンナノチューブを用いる場合には、所望の分散媒中で分散したカーボンナノチューブ分散液を用いることができる。この場合においては、カーボンナノチューブ分散液に二次元物質としてのグラフェンを添加することによって、原料懸濁液を調製することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造装置(以下、「複合化装置」ともいう。)を示す模式図である。
本実施形態に係る複合化装置1は、図1に示すように、その主要な構成として、原料導入部2、複合化モジュール3および回収部4を備えている。
このような複合化装置1を用いて行う、本実施形態に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法は、二次元物質と繊維状物質を分散媒に懸濁させた懸濁液を高圧処理して、原料導入部2から供給する工程、原料導入部2から供給された懸濁液を複合化モジュール3に通過させて、分散媒中で二次元物質の層間に繊維状物質が挿入された複合材料の分散液を得る工程、および複合化モジュール3を通過した後の複合材料の分散液を回収部4で回収する工程を含む。
原料導入部2では、二次元物質と繊維状物質を分散媒に懸濁させた懸濁液を高圧処理して、複合化モジュール3に供給する。より具体的には、原料導入部2では、図1に示すように、溶液タンク21に貯えられた原料懸濁液を、高圧ポンプ22により高圧処理して、複合化モジュール3に供給する。
高圧ポンプ22によって原料懸濁液に付加する圧力は、二次元物質の面方向の平均粒径、繊維状物質の外径の平均値、原料懸濁液における二次元物質と繊維状物質の濃度、目的の複合材料の用途等に応じて適宜設定することができる。二次元物質がグラファイトである場合には、圧力は、例えば、5〜150MPaであり、好ましくは10〜125MPaであり、より好ましくは20〜100MPaである。なお、後述するように原料懸濁液を複合化モジュール3に複数回通過させる場合には、その都度、上記の範囲内で圧力を調節するようにしてもよい。
上記の高圧処理工程では、高圧ポンプ22による原料懸濁液への圧力の付加によって、分散媒の分子が二次元物質の層間、および繊維状物質同士が凝集してバンドル構造を形成している場合には繊維状物質の間に浸透する作用が強まる。このとき、分散媒分子が浸透する力が二次元物質の層間、および繊維状物質の間に作用している力(例えば、ファンデルワールス力)を上回ると、分散媒分子が二次元物質の層間、および繊維状物質のバンドル構造の間に次々と入り込んでいく(インターカレートする)ことができるようになる。このようにして、高圧処理工程では、原料の二次元物質の層間、および繊維状物質のバンドル構造の間に多数のギャップが形成されて、二次元物質の層間、および繊維状物質の間に働いている相互作用が弱められることにより、後述する複合化工程において、二次元物質の層間への繊維状物質の挿入が効率的かつ効果的に進行する。
複合化モジュール3では、原料導入部2から供給された原料懸濁液を通過させて、二次元物質の層間への繊維状物質の挿入を行う。
より具体的には、複合化モジュール3は、2つ以上の通液部材を直列的に連結した構造を有し、図1では、複合化モジュール3が3つの通液部材31、32、33を直列的に連結した構造を有する形態を例示している。
通液部材31、32、33としては、例えば、従来の高圧乳化装置において吸収セルとして使用されるストレートチューブ、スパイラルチューブ等を適用することができる。
また、図1に示す複合化モジュール3では、複合化モジュール3を通過する原料懸濁液の流れに関して上流側の通液部材の通液路の内径よりも下流側の通液部材の通液路の内径が大きく構成されている。すなわち、通液部材31、32、33の通液路の内径を、それぞれD31、D32、D33とすると、D31<D32<D33の関係が成り立つ。
通液部材31、32、33の長さは、二次元物質の面方向の平均粒径、原料懸濁液における二次元物質および繊維状物質の濃度、目的の複合材料の用途等に応じて適宜設定することができる。二次元物質がグラフェンである場合には、例えば、5〜100cmの範囲内を一応の目安とすることができる。なお、通液部材31、32、33の長さは、後述する通液時間や通液回数に応じて適宜調節することが好ましく考慮される。
以下の表1に、複合化モジュール3の構成の一例を示す。
本実施形態において、原料導入部2および複合化モジュール3は、原料懸濁液が流れる通液路の内径が0.15mm以上であり、好ましくは0.15mm〜1mmの範囲内である。また、原料導入部2および複合化モジュール3は、内径が0.15mm未満である通液路を有さない。すなわち、本実施形態に係る複合化装置1においては、従来の高圧乳化装置において必須の構成要素であったノズル部を有さない構成とすることによって、二次元物質の面方向に対して意図しない衝撃力が加わることを抑制し、さらに、繊維状物質の長さ方向に対して意図しない衝撃力が加わることも抑制している。
上記の複合化工程では、複合化モジュール3の通液路を原料懸濁液が通過する際に、流体力学に従ってせん断力が付加される。このせん断力は、上述した高圧処理工程において二次元物質の層間に形成されたギャップ、および繊維状物質のバンドル構造の間に形成されたギャップに作用して、二次元物質の層間および繊維状物質の間に働いている相互作用がさらに弱められる。そして、二次元物質は、単層もしくは数層のフレーク状の構造体として分散媒中に分散し、その表面に分散媒分子が速やかに吸着することによって安定化され、上記構造体同士が再び集積して積層化することが抑制される。また、一本もしくは数本の繊維状物質が、繊維状物質同士が凝集して形成された凝集体から持ち上げられ解きほぐされるようにして、分散媒中に分散される。分散された繊維状物質は、その表面に分散媒分子が速やかに吸着することによって安定化され、繊維状物質同士が再び凝集してバンドル構造を形成することが抑制される。
そして、原料懸濁液が複合化モジュール3の上流側から下流側に流れるにつれて、二次元物質の層間に繊維状物質が挿入されて、複合材料が生成される。より具体的には、単層の二次元物質の間に繊維状物質が挟み込まれることによって、あるいは、数層の二次元物質の層間に形成されたメソポア(隙間)に繊維状物質が挿入されることによって、二次元物質と繊維状物質が複合化される。
このように、本実施形態に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法では、原料懸濁液の高圧処理工程と、その後の複合化工程を連続的に行うことによって、二次元物質の層間に繊維状物質が効率的に挿入され、目的の複合材料を高い収率で得ることができる。
複合化モジュール3を通過する際の原料懸濁液の流速は、二次元物質の面方向の平均粒径、繊維状物質の外径の平均値、原料懸濁液における二次元物質および繊維状物質の濃度、目的の複合材料の用途等に応じて適宜設定することができる。なお、複合化モジュール3を通過する際の原料懸濁液の速度は、後述する通液時間や通液回数に応じて適宜調節することが好ましく考慮される。
また、複合化モジュール3では原料懸濁液に大きなせん断力がかかるため、通液中に懸濁液の温度が上昇することがある。そのため、原料の過度な加熱による変質や剥離の抑制、回収部4での懸濁液の沸騰等を防ぐことを目的に、複合化モジュール3を冷却手段34により冷却することができる。
回収部4では、複合化モジュール3を通過した後の複合材料の分散液を回収する。
回収した分散液は、これを取り出して、そのまま目的の複合材料の分散液とすることができ、希釈または濃縮することで所望の濃度にすることができる。また、回収した原料懸濁液に残存する原料の二次元物質および繊維状物質は、遠心分離等の一般に公知の分離法によって除去することができる。また、回収した分散液を、ろ過または遠心分離等で固液分離した後、乾燥することによって、目的の複合材料を得ることができる。
また、本実施形態では、回収部4で回収した複合材料の分散液を原料導入部2に再び供給して、複合化モジュール3を通過させることもできる。このように、複合化モジュール3を複数回通過させることによって、二次元物質の層間に繊維状物質を挿入して複合化する複合化精度がより向上し、目的の複合材料をより高い収率で得ることができる。なお、上述したように、本実施形態に係る複合化装置1はノズル部を有さない構成であるため、原料懸濁液を複合化モジュール3に複数回通過させた場合であっても、二次元物質の二次元物質の面方向、および繊維状物質の長さ方向に対して意図しない衝撃力が加わることを抑制しつつ、二次元物質と繊維状物質の複合化を行うことができる。
原料懸濁液を複合化モジュール3に通過させる時間、すなわち、複合化工程を行う時間(通液時間)は、二次元物質の面方向の平均粒径、原料懸濁液における二次元物質と繊維状物質の濃度、目的の複合材料の用途等に応じて適宜設定することができる。二次元物質がグラフェンである場合には、例えば、15秒〜180分間であり、好ましくは30秒〜150分間であり、より好ましくは1〜120分間である。なお、通液時間に伴って、複合化工程を行う回数(通液回数)が適宜調節されることが理解される。
このように、本実施形態に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法および複合化装置1を用いることにより、二次元物質(例えば、グラフェン)の層間に繊維状物質(例えば、カーボンナノチューブ)が挿入された複合材料を高効率かつ高収率で得ることができる。
このようにして得られる複合材料においては、二次元物質は面方向の二次元構造の破壊が抑制されており、かつ繊維状物質の損傷や切断が抑制されている。そのため、例えば、二次元物質としてグラフェンを用い、繊維状物質としてカーボンナノチューブを用いた場合には、複合化されたグラフェンやカーボンナノチューブが本来有している電気伝導性、透明性、機械的特性等がより効果的に発揮され、透明電極等の電子材料や配線材料、および高速充電・高出力・大容量を実現するキャパシタ部材としての応用が期待される。
また、本実施形態に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法および複合化装置1によれば、従来の方法や装置と比較して、バッチ処理および連続処理のいずれにおいても、より大スケール(例えば、数g単位)での実施が可能となることが期待される。
なお、本実施形態に係る二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法および複合化装置1は、二次元物質としてグラフェンを用いる場合、および繊維状物質としてカーボンナノチューブを用いる場合に限定されるものではなく、他の二次元物質および繊維状物質に対しても適用することができる。ここで、上記で説明した各種の条件は、用いる二次元物質および繊維状物質の種類、性質等に応じて、適宜設計することができることが理解される。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、上記の構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、具体的な形態はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更等があっても本発明に含まれる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
スーパーグロース法で製造された単層カーボンナノチューブ(日本ゼオン株式会社製。以下、「SGCNT」とも称する。)を0.1mg/mLの濃度でNMP 100mLに懸濁させ、30分間超音波処理して分散させた分散液に、質量比でSGCNT:TRGO=1:10となるように熱還元処理された酸化グラフェン(thermally reduced graphene oxide(TRGO))100mgを添加して、原料懸濁液を調製した。
この原料懸濁液を、表1に示すパターン2の複合化モジュールを備える複合化装置を用いて、圧力100MPaで原料導入部から供給して、複合化モジュールを連続的に5回通液させて複合材料の分散液を得た。なお、通液部材として用いたストレートチューブは、長さ30cmのものを用いた。
なお、TRGOとしては一般に公知の方法に従って作製されたものを用いることができるが、本実施例で用いたTRGOは、次のようにして作製した。まず、市販のグラファイト(新越化成工業製、鱗片状黒鉛BF−5A)を酸化処理して得た酸化グラフェンを2mg/mLの濃度で水中に分散させ、溶媒を冷凍乾燥(フリーズドライ)して、均一な酸化グラフェン発泡体を得た。次に、この酸化グラフェン発泡体を400℃で1分間熱還元処理して、TRGOを得た。
<実施例2>
原料懸濁液中のSGCNTとTRGOの質量比がSGCNT:TRGO=1:20となるようにTRGOを200mg添加したこと以外は実施例1と同様にして、複合材料の分散液を得た。
<実施例3>
原料懸濁液中のSGCNTとTRGOの質量比がSGCNT:TRGO=1:30となるようにTRGOを300mg添加したこと以外は実施例1と同様にして、複合材料の分散液を得た。
実施例1〜3で得られた複合材料のSEM観察結果を、それぞれ図2〜図4に示す。SEM観察用のサンプルは、Siウエハ上に複合材料の分散液を数mL滴下して調製した。SEM観察は、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、JSM−6500、JEOL社)を用いて行った。
図2〜図4において特に破線の丸印で囲んだように、本実施例で得られた複合材料では、いずれもグラフェンの層間にカーボンナノチューブが挿入されており、分散媒中で均一している様子が確認された。これにより、ノズル部を有さない複合化モジュールを用いて、高圧処理したグラフェンとカーボンナノチューブの懸濁液を通過させることによって、グラフェンとカーボンナノチューブの複合化が効果的に行われることが確認された。また、ノズル部を有さない複合化モジュールを用いることによって、様々な質量比の条件において、グラフェンとカーボンナノチューブが複合化した複合材料が得られることが確認された。
<スーパーキャパシタの作製と特性評価>
次に、実施例1〜3で得られた複合材料を用いて、以下の手順に従ってスーパーキャパシタを作製し、その特性を評価した。
複合材料とポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)とを、質量比90:10の割合で、NMP中で混合した。次いで、この溶液を、多孔質膜(Hydrophilic、0.2μm PTFE)上で吸引ろ過して電極膜を形成した。この電極膜を25℃で24時間真空乾燥させた後、直径15mmにカットして、重さが約0.8mgの電極を作製した。
テスト用セルとして、電解液の溶質には1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−テトラフルオロボレート(EMI−BF4)を用い、セパレーターにはガラス繊維を用い、電流コレクターには導電物として炭素が塗布されたアルミ箔(ExopackTM 0.5mil 両面塗布)を用いた。なお、テスト用セルは、アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で組み立てた。以下では、実施例1、2、3の複合材料を用いて作製した電極を用いたテスト用セルを、それぞれ、「テスト用セル1」、「テスト用セル2」、「テスト用セル3」と称する。
また、比較用セルとして、原料のTRGOのみを用いて作製した電極を用いたセル(比較用セル1)、およびSGCNTを0.1mg/mLの濃度でNMP 100mLに懸濁させて30分間超音波分散処理した後にTRGO 100mgを添加したもの(質量比でSGCNT:TRGO=1:10)を用いて作製した電極を用いたセル(比較用セル2)を作製した。
上記のテスト用セル1〜3および比較用セル1、2について、VMP3 マルチチャンネル ポテンショスタット/ガルバノスタット(Biologic社)を用いて、サイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。
図5は、比較用セル1および比較用セル2の充放電特性を示すグラフである。図6は、テスト用セル1〜3の充放電特性を示すグラフである。
比較用セル1、2の比キャパシタンスは、3.7V充電で、それぞれ182F/g、162F/gであった(図5(a)および(b))。これに対して、テスト用セル1〜3では、3.7V充電で、それぞれ234F/g、250F/g、236F/gの容量を達成した(図6(a))。さらに、テスト用セル1〜3は、4.0V充電で、それぞれ276F/g、286F/g、271F/gの容量を達成した(図6(b))。これらの結果を以下の表2にまとめて示す。
このように、本実施例で得られた複合材料を用いて、高容量のスーパーキャパシタが作製可能であることが確認された。特に、SGCNTとTRGOの質量比をSGCNT:TRGO=1:20とした実施例2の複合材料を用いた場合には、3.7V充電、4.0V充電のいずれにおいても250F/g以上の比キャパシタンスを有する高性能のスーパーキャパシタが作製可能であることが確認された。
<実施例4>
スーパーグロース法で製造された単層カーボンナノチューブ(日本ゼオン株式会社製。以下、「SGCNT」とも称する。)を0.1mg/mLの濃度でNMP 100mLに懸濁させ、30分間超音波処理して分散させた分散液に、質量比でSGCNT:TRGO=1:20となるように剥離法で製造されたグラフェン(以下、「剥離グラフェン」とも称する。)200mgを添加して、原料懸濁液を調製した。
この原料懸濁液を、実施例1と同様の複合化モジュールを備える複合化装置を用いて、圧力100MPaで原料導入部から供給して、複合化モジュールを連続的に5回通液させて複合材料の分散液を得た。
SEM観察の結果、本実施例で得られた複合材料は、実施例1〜3で得られた複合材料と同様に、グラフェンの層間にカーボンナノチューブが挿入されている様子が確認された。これにより、ノズル部を有さない複合化モジュールを用いることによって、原料のグラフェンの種類(製造方法)に依存することなく、グラフェンとカーボンナノチューブの複合化が効果的に行われることが確認された。
なお、剥離グラフェンとしては一般に公知の方法に従って作製されたものを用いることができるが、例えば、実施例1と同様の複合化モジュールを備える複合化装置を、グラファイトを層間剥離するための装置として適用することによって、以下のようにして剥離グラフェンを作製することもできる。まず、市販のグラファイト(新越化成工業製、鱗片状黒鉛BF−5A)を10mg/mLの濃度でNMPに懸濁させて調製した原料懸濁液を、圧力100MPaで原料導入部から供給して、複合化モジュール(層間剥離モジュール)を連続的に120分間通液させることによってグラファイトの層間剥離を行う。なお、通液時の原料懸濁液の流速は、約140ml/minである。次に、回収部で回収した原料懸濁液を6000rpmで60分間遠心分離して、層間剥離されなかったグラファイトの沈殿物を除去することにより、グラフェンの分散液とする。また、得られた分散液を真空ろ過して分散媒を除去し、残渣を120℃で乾燥して、グラフェンの粉末を得る。
<スーパーキャパシタの作製と特性評価>
次に、得られた複合材料を用いて、上記と同様の手順に従ってスーパーキャパシタを作製し、その特性を評価した。以下では、実施例4の複合材料を用いて作製した電極を用いたテスト用セルを、「テスト用セル4」と称する。
また、比較用セルとして、原料の剥離グラフェンのみを用いて作製した電極を用いたセル(比較用セル3)、およびSGCNTを0.1mg/mLの濃度でNMP 100mLに懸濁させて30分間超音波分散処理した後に原料の剥離グラフェン 200mgを添加したもの(質量比でSGCNT:剥離グラフェン=1:20)を用いて作製した電極を用いたセル(比較用セル4)を作製した。
上記のテスト用セル4および比較用セル3、4について、VMP3 マルチチャンネル ポテンショスタット/ガルバノスタット(Biologic社)を用いて、サイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。
図7は、比較用セル3および比較用セル4の充放電特性を示すグラフである。図8は、テスト用セル4の充放電特性を示すグラフである。
比較用セル3、4の比キャパシタンスは、3.7V充電で、それぞれ75F/g、65F/gであった(図7(a)および(b))。これに対して、テスト用セル4では、3.7V充電で、112F/gの容量を達成した(図8)。これらの結果を以下の表3にまとめて示す。
このように、原料のグラフェンの種類(製造方法)に依存することなく、本実施例で得られた複合材料を用いて、高容量のスーパーキャパシタが作製可能であることが確認された。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な形態はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
1 二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造装置(複合化装置)
2 原料導入部
21 溶液タンク
22 高圧ポンプ
3 複合化モジュール
31、32、33 通液部材
4 回収部

Claims (7)

  1. 二次元物質と繊維状物質を分散媒に懸濁させた懸濁液を高圧処理して、原料導入部から供給する工程、
    前記原料導入部から供給された前記懸濁液を複合化モジュールに通過させて、前記分散媒中で前記二次元物質の層間に前記繊維状物質が挿入された複合材料の分散液を得る工程、および
    前記複合化モジュールを通過した後の前記複合材料の分散液を回収部で回収する工程を含む二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法であって、
    前記原料導入部および前記複合化モジュールは、前記懸濁液が流れる通液路の内径が0.15mm以上であり、内径が0.15mm未満である通液路を有さないことを特徴とする二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
  2. 前記懸濁液を5MPa以上の圧力で高圧処理することを特徴とする請求項1に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
  3. 前記複合化モジュールが、2つ以上の通液部材を直列的に連結した構造を有し、前記懸濁液の流れに関して上流側の通液部材の通液路の内径よりも下流側の通液部材の通液路の内径が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
  4. 前記回収部で回収した前記複合材料の分散液を前記原料導入部に再び供給して、前記複合化モジュールを通過させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
  5. 前記二次元物質がグラフェンであることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
  6. 前記繊維状物質がナノファイバーであることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
  7. 前記ナノファイバーがカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項6に記載の二次元物質と繊維状物質の複合材料の製造方法。
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