JPWO2017073794A1 - 多能性幹細胞から3次元の心筋組織を製造する方法 - Google Patents

多能性幹細胞から3次元の心筋組織を製造する方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017073794A1
JPWO2017073794A1 JP2017547361A JP2017547361A JPWO2017073794A1 JP WO2017073794 A1 JPWO2017073794 A1 JP WO2017073794A1 JP 2017547361 A JP2017547361 A JP 2017547361A JP 2017547361 A JP2017547361 A JP 2017547361A JP WO2017073794 A1 JPWO2017073794 A1 JP WO2017073794A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
medium
cell
pluripotent stem
culturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017547361A
Other languages
English (en)
Inventor
山下 潤
潤 山下
英利 升本
英利 升本
武一郎 中根
武一郎 中根
ビー. ケラー,ブラッドレイ
ビー. ケラー,ブラッドレイ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Original Assignee
Kyoto University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University filed Critical Kyoto University
Publication of JPWO2017073794A1 publication Critical patent/JPWO2017073794A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

以下の工程を含むことを特徴とする、心筋組織を製造する方法;
(a)多能性幹細胞から心筋細胞を製造する工程、
(b)多能性幹細胞から内皮細胞を製造する工程、
(c)多能性幹細胞から壁細胞を製造する工程、
(d)前記工程(c)で製造した壁細胞を30%未満の割合にて、前記工程(a)で製造した心筋細胞および前記工程(b)で製造した内皮細胞と混合する工程、および
(e)前記工程(d)で得られた細胞混合物を細胞外マトリックスの存在下で培養して、3次元構造体を形成させる工程。

Description

発明の分野
本発明は、多能性幹細胞から3次元の心筋組織を製造する方法および得られた心筋組織を含む心疾患治療剤に関する。
成人の心筋細胞は、ほとんど増殖しないため、虚血性心疾患等で欠損した心筋細胞は不可逆的な損傷となる。現在、臨床的に使用されるどの薬剤の処置でも、機能性収縮組織で心筋瘢痕を置換する効力を示していない。そこで、正常な心筋細胞を再生するための新規な治療が所望されており、別途製造された心筋細胞を投与する補充療法が提案されている。
このような補充療法において、心筋細胞はレシピエントの心臓へ生着させるためシート状にして投与する方法(非特許文献1)や紐状にして投与する方法(非特許文献2)が提案されている。
このような、補充療法に用いる細胞としては、心筋細胞のみならず、血管系の細胞を同時に含んだ組織として投与した方が効果が高いことが示されている(非特許文献2、3、4および5ならびに特許文献1および2)。
しかし、移植に適した組織の製造にあたり、血管系の細胞、特に壁細胞の含有率について言及された報告はない。
WO2012/133945 WO2013/137491
Shimizu, T, et al, Biomaterials 24, 2309-2316, 2003 S Fujimoto KL et al., Tissue Eng Part A. 2011;17:585-96 Shimizu T, et al. FASEB J. 20: 708-10, 2006 Caspi O, et al. Circ Res. 2007 Feb 2;100(2):263-72. Masumoto H et al., Stem Cells. 2012 Jun;30(6):1196-205.
本発明の目的は、多能性幹細胞由来の心筋細胞、内皮細胞および壁細胞を含む強固な心筋組織を製造する方法および得られた心筋組織を含む心疾患治療剤に関する。したがって、本発明の課題は、多能性幹細胞から誘導した心筋細胞、内皮細胞および壁細胞を組み合わせて、より強固で機能的な心筋組織を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、多能性幹細胞由来の壁細胞の含有率を30%未満にすることで、心筋細胞、内皮細胞および壁細胞を混合して作製される心筋組織の機能やその強度が高いことを見出した。さらに、この心筋組織を移植することで、心疾患モデルラットの心機能を改善できることを確認した。本発明はそのような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下を提供するものである:
[1]以下の工程を含むことを特徴とする、心筋組織を製造する方法;
(a)多能性幹細胞から心筋細胞を製造する工程、
(b)多能性幹細胞から内皮細胞を製造する工程、
(c)多能性幹細胞から壁細胞を製造する工程、
(d)前記工程(c)で製造した壁細胞を30%未満の割合にて、前記工程(a)で製造した心筋細胞および前記工程(b)で製造した内皮細胞と混合する工程、および
(e)前記工程(d)で得られた細胞混合物を細胞外マトリックスの存在下で培養して、3次元構造体を形成させる工程。
[2]前記工程(d)で前記工程(c)で製造した壁細胞を5%以上、25%以下の割合で混合する、[1]に記載の方法。
[3]前記工程(d)で前記工程(c)で製造した壁細胞を15%の割合で混合する、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記工程(a)および(b)が、同一の多能性幹細胞を用いて同時に行われ、多能性幹細胞から心筋細胞および内皮細胞が製造される、[1]から[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5]前記工程(a)および(b)が、以下の工程を含む、[4]に記載の方法;
(i)多能性幹細胞をアクチビンAおよびWnt3aの存在下で培養する工程、
(ii)前記工程(i)で得られた細胞をBMP(Bone Morphogenetic Protein)およびbFGFの存在下で培養する工程、および
(iii)前記工程(ii)で得られた細胞をVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)の存在下で培養する工程。
[6]前記工程(c)が、以下の工程を含む、[1]から[5]のいずれか1項に記載の方法;
(i)多能性幹細胞をアクチビンAおよびWnt3aの存在下で培養する工程、
(ii)前記工程(i)で得られた細胞をBMPおよびbFGFの存在下で培養する工程、および
(iii)前記工程(ii)で得られた細胞をVEGFの非存在下で培養する工程。
[7]前記BMPが、BMP4である、[5]または[6]に記載の方法。
[8]前記細胞外マトリックスが、I型コラーゲンを含む細胞外マトリックスである、[1]から[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9]前記工程(e)における3次元構造体が円柱状構造体である、[1]から[8]のいずれか1項に記載の方法。
[10]前記多能性幹細胞が、ヒトiPS細胞である、[1]から[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11][1]〜[10]に記載の方法で得られた心筋組織を含む、心疾患治療剤。
[12][1]〜[10]に記載の方法で得られた心筋組織を心臓の梗塞部位、損傷部位、または障害部位へ適用する、心疾患治療方法。
図1aは、多能性幹細胞から心筋細胞(CM)および内皮細胞(EC)を作製するプロトコール(左図)および得られた細胞の含有率(右図)を示す。図1bは、多能性幹細胞から壁細胞(MC)を作製するプロトコール(左図)および得られた細胞の含有率(右図)を示す。 図2は、心筋細胞および内皮細胞のみ(C+E)、心筋細胞および壁細胞のみ(C+M)、または心筋細胞、内皮細胞および壁細胞(C+E+M)を混合させて作製した心筋組織における各細胞の含有率を示す。 図3は、心筋細胞および内皮細胞のみ(C+E)、心筋細胞および壁細胞のみ(C+M)、または心筋細胞、内皮細胞および壁細胞(C+E+M)を混合させて作製した心筋組織の機能を評価した結果を示す。図3aは、各心筋組織での最大追従周波数を示し、図3b左図は、3Hzおよび3.5Hzの周波数での収縮力の測定データを示し、右図は、2Hzから3.5Hzに対する各周波数での収縮力を測定した結果を示す。 図4は、心筋細胞および内皮細胞のみ(C+E)、心筋細胞および壁細胞のみ(C+M)、または心筋細胞、内皮細胞および壁細胞(C+E+M)を混合させて作製した心筋組織の機能を評価した結果を示す。図4aは、各心筋組織での最小収縮閾値を示し、図4b左図は、5Vから1Vまでの収縮力の測定データを示し、右図は、5Vに対する3Vでの収縮力を測定した結果を示す。 図5は、心筋細胞および内皮細胞のみ(C+E)、心筋細胞および壁細胞のみ(C+M)、または心筋細胞、内皮細胞および壁細胞(C+E+M)を混合させて作製した心筋組織の組織強度測定した結果を示す。左図は、各心筋組織の受動的張力の変移を測定した結果を示し、右図は、当該変移からYoung率を算出した結果を示す。 図6は、30%以上の壁細胞を混合して作製された心筋組織(High MC)または15%の壁細胞を混合して作製された心筋組織(Low MCの機能を評価した結果を示す。図6aは、心筋組織の収縮力(左図)および心筋細胞数あたりの収縮力(右図)を示す。図6bは、心筋組織の最大追従周波数(左図)および3.5Hzでの収縮力(右図)を示す。図6cは、心筋組織の最小収縮閾値(左図)および5Vに対する3Vでの収縮力(右図)を示す。 図7は、心筋細胞および内皮細胞のみ(C+E)、心筋細胞および壁細胞のみ(C+M)、または心筋細胞、内皮細胞および壁細胞(C+E+M)を混合させて作製した心筋組織の電子顕微鏡像を示す(写真)。 図8は、心筋細胞および内皮細胞のみ(C+E)、心筋細胞および壁細胞のみ(C+M)、または心筋細胞、内皮細胞および壁細胞(C+E+M)を混合させて作製した心筋組織の心筋トロポニンTに対する免疫染色像(左図)(写真)、組織長軸方向に対する各心筋細胞軸の角度の分布(中央図)および前述の各心筋細胞軸の対組織長軸方向に対する角度のばらつき(右図)を測定した結果を示す。 図9aは、心筋梗塞モデルラットへの心筋組織の移植と評価の概要を示す。図9bは、移植前の心筋組織(左図)および移植後の心筋組織(右図)を示す(写真)。図9cは、移植後28日目の心臓を示す(写真)。 図10aは、心筋組織を移植しなかった群(左図)および心筋組織を移植した群(右図)における移植後28日目のエコー像を示す(写真)。図10bは、心筋組織を移植しなかった群(Sham)および心筋組織を移植した群(Tx)における移植前、移植後14日目および移植後28日目の毎分心拍出量(左図)および一回心拍出量(右図)の測定結果を示す。 図11aは、心筋組織移植した群の心臓の染色像(左図:マッソン・トリクローム染色、右図:cTNT、HNAおよびDAPI染色像)を示す(写真)。図11bは、心筋組織を移植した群の移植部位での免疫染色像(cTNT、HNAおよびDAPI)を示す。図11cは、心筋組織移植した群の移植部位での免疫染色像(vWF(緑)、HNA(赤)およびDAPI(青))を示す。
本発明を以下において詳細に説明する。
本発明は、以下の工程を含むことを特徴とする、心筋組織を製造する方法を提供する;
(a)多能性幹細胞から心筋細胞を製造する工程、
(b)多能性幹細胞から内皮細胞を製造する工程、
(c)多能性幹細胞から壁細胞を製造する工程、
(d)前記工程(c)で製造した壁細胞を30%未満の割合にて、前記工程(a)で製造した心筋細胞および前記工程(b)で製造した内皮細胞と混合する工程、および
(e)前記工程(d)で得られた細胞混合物を細胞外マトリックスの存在下で培養して、3次元構造体を形成させる工程。
<多能性幹細胞>
多能性幹細胞は、特に限定されることはないが、例えば、下記のものが挙げられる。
(A) 胚性幹細胞
胚性幹細胞(ES細胞)は、ヒトやマウスなどの哺乳動物の初期胚(例えば胚盤胞)の内部細胞塊から樹立された、多能性と自己複製による増殖能を有する幹細胞である。
ES細胞は、受精卵の8細胞期、桑実胚後の胚である胚盤胞の内部細胞塊に由来する胚由来の幹細胞であり、成体を構成するあらゆる細胞に分化する能力、いわゆる分化多能性と、自己複製による増殖能とを有している。ES細胞は、マウスで1981年に発見され (M.J. Evans and M.H. Kaufman (1981), Nature 292:154-156)、その後、ヒト、サルなどの霊長類でもES細胞株が樹立された (J.A. Thomson et al. (1998), Science 282:1145-1147; J.A. Thomson et al. (1995), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:7844-7848;J.A. Thomson et al. (1996), Biol. Reprod., 55:254-259; J.A. Thomson and V.S. Marshall (1998), Curr. Top. Dev. Biol., 38:133-165)。
ES細胞は、対象動物の受精卵の胚盤胞から内部細胞塊を取出し、内部細胞塊を線維芽細胞のフィーダー上で培養することによって樹立することができる。また、継代培養による細胞の維持は、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor (LIF))、塩基性線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor (bFGF))などの物質を添加した培養液を用いて行うことができる。ヒトおよびサルのES細胞の樹立と維持の方法については、例えばUSP5,843,780; Thomson JA, et al. (1995), Proc Natl. Acad. Sci. U S A. 92:7844-7848; Thomson JA, et al. (1998), Science. 282:1145-1147; H. Suemori et al. (2006), Biochem. Biophys. Res. Commun., 345:926-932; M. Ueno et al. (2006), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:9554-9559; H. Suemori et al. (2001), Dev. Dyn., 222:273-279;H. Kawasaki et al. (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:1580-1585;Klimanskaya I, et al. (2006), Nature. 444:481-485などに記載されている。
ES細胞作製のための培養液として、例えば0.1mM 2-メルカプトエタノール、0.1mM 非必須アミノ酸、2mM L-グルタミン酸、20% KSRおよび4ng/ml bFGFを補充したDMEM/F-12培養液を使用し、37℃、5% CO2、湿潤雰囲気下でヒトES細胞を維持することができる(H. Suemori et al. (2006), Biochem. Biophys. Res. Commun., 345:926-932)。また、ES細胞は、3〜4日おきに継代する必要があり、このとき、継代は、例えば1mM CaCl2および20% KSRを含有するPBS中の0.25% トリプシンおよび0.1mg/mlコラゲナーゼIVを用いて行うことができる。
ES細胞の選択は、一般に、アルカリホスファターゼ、Oct-3/4、Nanogなどの遺伝子マーカーの発現を指標にしてReal-Time PCR法で行うことができる。特に、ヒトES細胞の選択では、OCT-3/4、NANOG、ECADなどの遺伝子マーカーの発現を指標とすることができる(E. Kroon et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26:443-452)。
ヒトES細胞株は、例えばWA01(H1)およびWA09(H9)は、WiCell Reserch Instituteから、KhES-1、KhES-2およびKhES-3は、京都大学再生医科学研究所(京都、日本)から入手可能である。
(B) ***幹細胞
***幹細胞は、精巣由来の多能性幹細胞であり、***形成のための起源となる細胞である。この細胞は、ES細胞と同様に、種々の系列の細胞に分化誘導可能であり、例えばマウス胚盤胞に移植するとキメラマウスを作出できるなどの性質をもつ(M. Kanatsu-Shinohara et al. (2003) Biol. Reprod., 69:612-616; K. Shinohara et al. (2004), Cell, 119:1001-1012)。神経膠細胞系由来神経栄養因子(glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF))を含む培養液で自己複製可能であるし、またES細胞と同様の培養条件下で継代を繰り返すことによって、***幹細胞を得ることができる(竹林正則ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊),41〜46頁,羊土社(東京、日本))。
(C) 胚性生殖細胞
胚性生殖細胞は、胎生期の始原生殖細胞から樹立される、ES細胞と同様な多能性をもつ細胞であり、LIF、bFGF、幹細胞因子(stem cell factor)などの物質の存在下で始原生殖細胞を培養することによって樹立しうる(Y. Matsui et al. (1992), Cell, 70:841-847; J.L. Resnick et al. (1992), Nature, 359:550-551)。
(D) 人工多能性幹細胞
人工多能性幹(iPS)細胞は、特定の初期化因子を、DNA、RNA又はタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性、例えば分化多能性と自己複製による増殖能、を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126:663-676; K. Takahashi et al. (2007), Cell, 131:861-872; J. Yu et al. (2007), Science, 318:1917-1920; Nakagawa, M.ら,Nat. Biotechnol. 26:101-106 (2008);国際公開WO 2007/069666)。初期化因子は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-coding RNAまたはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-coding RNA、あるいは低分子化合物によって構成されてもよい。初期化因子に含まれる遺伝子として、例えば、Oct3/4、Sox2、Sox1、Sox3、Sox15、Sox17、Klf4、Klf2、c-Myc、N-Myc、L-Myc、Nanog、Lin28、Fbx15、ERas、ECAT15-2、Tcl1、beta-catenin、Lin28b、Sall1、Sall4、Esrrb、Nr5a2、Tbx3またはGlis1等が例示され、これらの初期化因子は、単独で用いても良く、組み合わせて用いても良い。初期化因子の組み合わせとしては、WO2007/069666、WO2008/118820、WO2009/007852、WO2009/032194、WO2009/058413、WO2009/057831、WO2009/075119、WO2009/079007、WO2009/091659、WO2009/101084、WO2009/101407、WO2009/102983、WO2009/114949、WO2009/117439、WO2009/126250、WO2009/126251、WO2009/126655、WO2009/157593、WO2010/009015、WO2010/033906、WO2010/033920、WO2010/042800、WO2010/050626、WO 2010/056831、WO2010/068955、WO2010/098419、WO2010/102267、WO 2010/111409、WO 2010/111422、WO2010/115050、WO2010/124290、WO2010/147395、WO2010/147612、Huangfu D, et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26: 795-797、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 2: 525-528、Eminli S, et al. (2008), Stem Cells. 26:2467-2474、Huangfu D, et al. (2008), Nat Biotechnol. 26:1269-1275、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3, 568-574、Zhao Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3:475-479、Marson A, (2008), Cell Stem Cell, 3, 132-135、Feng B, et al. (2009), Nat Cell Biol. 11:197-203、R.L. Judson et al., (2009), Nat. Biotech., 27:459-461、Lyssiotis CA, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:8912-8917、Kim JB, et al. (2009), Nature. 461:649-643、Ichida JK, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:491-503、Heng JC, et al. (2010), Cell Stem Cell. 6:167-74、Han J, et al. (2010), Nature. 463:1096-100、Mali P, et al. (2010), Stem Cells. 28:713-720、Maekawa M, et al. (2011), Nature. 474:225-9.に記載の組み合わせが例示される。
上記初期化因子には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸 (VPA)、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA Smartpool(登録商標)(Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、MEK阻害剤(例えば、PD184352、PD98059、U0126、SL327およびPD0325901)、Glycogen synthase kinase-3阻害剤(例えば、BioおよびCHIR99021)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、5-azacytidine)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、BIX-01294 等の低分子阻害剤、Suv39hl、Suv39h2、SetDBlおよびG9aに対するsiRNAおよびshRNA等の核酸性発現阻害剤など)、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644)、酪酸、TGFβ阻害剤またはALK5阻害剤(例えば、LY364947、SB431542、616453およびA-83-01)、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)、ARID3A阻害剤(例えば、ARID3Aに対するsiRNAおよびshRNA)、miR-291-3p、miR-294、miR-295およびmir-302などのmiRNA、Wnt Signaling(例えばsoluble Wnt3a)、神経ペプチドY、プロスタグランジン類(例えば、プロスタグランジンE2およびプロスタグランジンJ2)、hTERT、SV40LT、UTF1、IRX6、GLISl、PITX2、DMRTBl等の樹立効率を高めることを目的として用いられる因子も含まれており、本明細書においては、これらの樹立効率の改善目的にて用いられた因子についても初期化因子と別段の区別をしないものとする。
初期化因子は、タンパク質の形態の場合、例えばリポフェクション、細胞膜透過性ペプチド(例えば、HIV由来のTATおよびポリアルギニン)との融合、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入してもよい。
一方、DNAの形態の場合、例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell, 131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター(WO 2010/008054)などが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008)。ベクターには、核初期化物質が発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができるし、さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。また、上記ベクターには、体細胞への導入後、初期化因子をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する初期化因子をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。
また、RNAの形態の場合、例えばリポフェクション、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入してもよく、分解を抑制するため、5-メチルシチジンおよびpseudouridine (TriLink Biotechnologies)を取り込ませたRNAを用いてもよい(Warren L, (2010) Cell Stem Cell. 7:618-630)。
iPS細胞誘導のための培養液としては、例えば、10〜15%FBSを含有するDMEM、DMEM/F12又はDME培養液(これらの培養液にはさらに、LIF、penicillin/streptomycin、ピューロマイシン、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)または市販の培養液[例えば、マウスES細胞培養用培養液(TX-WES培養液、トロンボX社)、霊長類ES細胞培養用培養液(霊長類ES/iPS細胞用培養液、リプロセル社)、無血清培地(mTeSR、Stemcell Technology社)]などが含まれる。
培養法の例としては、たとえば、37℃、5%CO2存在下にて、10%FBS含有DMEM又はDMEM/F12培養液上で体細胞と初期化因子とを接触させ約4〜7日間培養し、その後、細胞をフィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上にまきなおし、体細胞と初期化因子の接触から約10日後からbFGF含有霊長類ES細胞培養用培養液で培養し、該接触から約30〜約45日又はそれ以上ののちにiPS様コロニーを生じさせることができる。
あるいは、37℃、5% CO2存在下にて、フィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上で10%FBS含有DMEM培養液(これにはさらに、LIF、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピューロマイシン、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)で培養し、約25〜約30日又はそれ以上ののちにES様コロニーを生じさせることができる。望ましくは、フィーダー細胞の代わりに、初期化される体細胞そのものを用いる(Takahashi K, et al. (2009), PLoS One. 4:e8067またはWO2010/137746)、もしくは細胞外基質(例えば、Laminin-5(WO2009/123349)およびマトリゲル(BD社))を用いる方法が例示される。
この他にも、血清を含有しない培地を用いて培養する方法も例示される(Sun N, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:15720-15725)。さらに、樹立効率を上げるため、低酸素条件(0.1%以上、15%以下の酸素濃度)によりiPS細胞を樹立しても良い(Yoshida Y, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:237-241またはWO2010/013845)。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培養液と培養液交換を行う。また、核初期化に使用する体細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり、約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
iPS細胞は、形成したコロニーの形状により選択することが可能である。一方、体細胞が初期化された場合に発現する遺伝子(例えば、Oct3/4、Nanog)と連動して発現する薬剤耐性遺伝子をマーカー遺伝子として導入した場合は、対応する薬剤を含む培養液(選択培養液)で培養を行うことにより樹立したiPS細胞を選択することができる。また、マーカー遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子の場合は蛍光顕微鏡で観察することによって、発光酵素遺伝子の場合は発光基質を加えることによって、また発色酵素遺伝子の場合は発色基質を加えることによって、iPS細胞を選択することができる。
本明細書中で使用する「体細胞」なる用語は、卵子、卵母細胞、ES細胞などの生殖系列細胞または分化全能性細胞を除くあらゆる動物細胞(好ましくは、ヒトを含む哺乳動物細胞)をいう。体細胞には、非限定的に、胎児(仔)の体細胞、新生児(仔)の体細胞、および成熟した健全なもしくは疾患性の体細胞のいずれも包含されるし、また、初代培養細胞、継代細胞、および株化細胞のいずれも包含される。具体的には、体細胞は、例えば(1)神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)、(2)組織前駆細胞、(3)リンパ球、上皮細胞、内皮細胞、筋肉細胞、線維芽細胞(皮膚細胞等)、毛細胞、肝細胞、胃粘膜細胞、腸細胞、脾細胞、膵細胞(膵外分泌細胞等)、脳細胞、肺細胞、腎細胞および脂肪細胞等の分化した細胞などが例示される。
また、iPS細胞を移植用細胞の材料として用いる場合、拒絶反応が起こらないという観点から、移植先の個体のHLA遺伝子型が同一もしくは実質的に同一である体細胞を用いることが望ましい。ここで、「実質的に同一」とは、移植した細胞に対して免疫抑制剤により免疫反応が抑制できる程度にHLA遺伝子型が一致していることであり、例えば、HLA-A、HLA-BおよびHLA-DRの3遺伝子座あるいはHLA-Cを加えた4遺伝子座が一致するHLA型を有する体細胞である。
(E) 核移植により得られたクローン胚由来のES細胞
核移植により得られたクローン胚由来のES細胞(nt ES細胞)は、核移植技術によって作製されたクローン胚由来のES細胞であり、受精卵由来のES細胞とほぼ同じ特性を有している(T. Wakayama et al. (2001), Science, 292:740-743; S. Wakayama et al. (2005), Biol. Reprod., 72:932-936; J. Byrne et al. (2007), Nature, 450:497-502)。すなわち、未受精卵の核を体細胞の核と置換することによって得られたクローン胚由来の胚盤胞の内部細胞塊から樹立されたES細胞がnt ES(nuclear transfer ES)細胞である。nt ES細胞の作製のためには、核移植技術(J.B. Cibelli et al. (1998), Nature Biotechnol., 16:642-646)とES細胞作製技術との組み合わせが利用される(若山清香ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊), 47〜52頁)。核移植においては、哺乳動物の除核した未受精卵に、体細胞の核を注入し、数時間培養することで初期化することができる。
(F) Multilineage-differentiating Stress Enduring cells
Multilineage-differentiating Stress Enduring cells (Muse細胞)は、WO2011/007900に記載された方法にて製造された多能性幹細胞であり、詳細には、線維芽細胞または骨髄間質細胞を長時間トリプシン処理、好ましくは8時間または16時間トリプシン処理した後、浮遊培養することで得られる多能性を有した細胞であり、SSEA-3およびCD105が陽性である。
本発明において、好ましい多能性幹細胞は、ヒトiPS細胞である。
<心筋細胞製造方法>
本発明において心筋細胞とは、少なくとも心筋トロポニン(cTnT)またはαMHCを発現している細胞を意味する。cTnTは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_000364が例示され、マウスの場合、NM_001130174が例示される。αMHCは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_002471が例示され、マウスの場合、NM_001164171が例示される。
多能性幹細胞から心筋細胞を誘導する方法は、既知の方法であれば、特に限定されないが、例えば、(1)フィーダー細胞の非存在下で行う方法、および(2)フィーダー細胞の存在下で行う方法が例示される。
本発明において、(1)フィーダー細胞の非存在下で多能性幹細胞から心筋細胞を誘導する方法として、(i)人工多能性幹細胞を、Activin Aを含む培地で培養する工程、および(ii)工程(i)の後、さらに、BMP4とbFGFとを含む培地で培養する工程が例示される。
(1)フィーダー細胞の非存在下で多能性幹細胞から心筋細胞を誘導する方法
(i) Activin Aを含む培地で培養する工程
本工程では、多能性幹細胞を任意の方法で分離し、浮遊培養により培養してもよく、コーティング処理された培養皿を用いて接着培養してもよい。好ましくは、接着培養である。ここで、分離の方法としては、力学的、プロテアーゼ活性とコラゲナーゼ活性を有する分離溶液(例えば、Accutase(TM)およびAccumax(TM)が挙げられる)またはコラゲナーゼ活性のみを有する分離液を用いてもよい。好ましくは、コラゲナーゼ活性のみを有する分離液を用いて解離し、力学的に細かく分離する方法である。ここで、用いる多能性幹細胞は、使用したディッシュに対して約80%コンフルエントになるまで培養されたコロニーを用いることが好ましい。
浮遊培養とは、細胞を培養皿へ非接着の状態で培養することであり、特に限定はされないが、細胞との接着性を向上させる目的で人工的に処理(例えば、細胞外マトリックス等によるコーティング処理)されていないもの、もしくは、人工的に接着を抑制する処理(例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリル酸(poly-HEMA)によるコーティング処理)したものを使用して行うことができる。
接着培養とは、コーティング処理された培養皿にて、任意の培地中で行う培養方法である。コーティング剤としては、例えば、マトリゲル(BD)、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、またはエンタクチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、マトリゲルである。より好ましくは、マトリゲルでコーティング処理された培養皿へ人工多能性幹細胞を接着させ、さらに培地中へマトリゲルを添加することで、多能性幹細胞全体をマトリゲルでコーティングするマトリゲルサンドイッチ法による接着培養である。
本工程(i)における培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地へActivin Aを添加して調製することができる。
基礎培地としては、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Doulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、RPMI 1640培地である。基礎培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、血清代替物、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質も含有しうる。本工程(i)で好ましい基礎培地として、L-グルタミン、およびB27サプリメントを含有するRPMI培地が例示される。
本工程(i)における培地は、Activin Aに加えて、さらに、Wnt1、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt7a、TGF-β、Nodal、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7、GDF、bFGFおよびVEGFからなる増殖因子を一つまたはそれ以上を基礎培地に添加してもよい。好ましい増殖因子は、Wnt3aである。
培地に添加されるActivin Aの濃度は、例えば、10ng/mL、25ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、175ng/mLまたは、200ng/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるActivin Aの濃度は、100ng/mLである。
培地に添加されるWnt3aの濃度は、例えば、10mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mL、150mg/mL、175mg/mLまたは、200mg/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるWnt3aの濃度は、100mg/mLである。
培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。培養時間は、例えば1日から5日間の培養であり、好ましくは1日である。
(ii) BMPおよびbFGFを含む培地で培養する工程
本工程(ii)では、前工程が浮遊培養で行われた場合、得られた細胞集団をそのままコーティング処理された培養皿にて、任意の培地中で培養してもよい。コーティング剤としては、例えば、マトリゲル(BD)、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、またはエンタクチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、マトリゲルである。または、前工程が接着培養で行われた場合、培地の交換により培養を続けてもよい。
本工程(ii)で用いる培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地へBMPおよびbFGFを添加して調製することができる。
基礎培地としては、上述した工程(i)と同じものを用いることができる。
本工程(ii)で用いるBMPとしては、TGFβスーパーファミリーに属するBMPが好ましく、BMP2、BMP4、およびBMP7が例示される。好ましいBMPは、BMP4である。
培地に添加されるBMP4の濃度は、例えば、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、2.5ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、17.5ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mLまたは50ng/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるBMP4の濃度は、10ng/mLである。
培地に添加されるbFGFの濃度は、例えば、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、2.5ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、17.5ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mLまたは50ng/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるbFGFの濃度は、10ng/mLである。
培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。培養時間は、例えば1日から10日間の培養であり、好ましくは4日である。
(2)フィーダー細胞の存在下で行う方法
本発明において、2)フィーダー細胞の存在下で多能性幹細胞から心筋細胞を誘導する方法として、OP9細胞(Nishikawa, S.I. et al, Development 125, 1747-1757 (1998))またはEND-2細胞(Mummery C, et al, Circulation. 107:2733-40 (2003))と多能性幹細胞または多能性幹細胞由来のFlk1陽性細胞と共培養する方法が例示される。
フィーダー細胞との共培養における培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として適宜添加物を添加して調製することができる。
基礎培地としては、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Doulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、RPMI 1640培地である。基礎培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、血清代替物、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質も含有しうる。好ましい基礎培地として、10%FBSを含有するαMEM培地、10%FBSを含有するαMEM培地、ならびに10%FBSを含有するDMEM培地が例示される。
フィーダー細胞との共培養において基礎培地への添加剤として、1〜3μg/mLのシクロスポリンA、アクチビンAおよびBMP4が例示される。
培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。培養時間は、心筋トロポニンおよび/またはαMHCが発現するために必要な日数であり、例えば10日から20日間である。
好ましい条件として、10%FBSを含有するαMEM培地で4日間培養後、Flk1陽性細胞を単離し、3μg/mLのシクロスポリンAおよび10%FBSを含有するαMEM培地を用いてOP9細胞と6日間共培養する条件、もしくは10%FBSを含有するDMEM培地を用いてEND-2細胞と16日間共培養する条件が挙げられる。
本発明の心筋組織の作製に用いるため、得られた心筋細胞を、さらにVEGFを添加した基礎培地中で培養しても良い。
VEGFを添加する基礎培地としては、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Doulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、RPMI 1640培地である。基礎培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、血清代替物、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質も含有しうる。本工程(i)で好ましい基礎培地として、L-グルタミン、およびB27サプリメントを含有するRPMI培地が例示される。
培地に添加されるVEGFの濃度は、例えば、10ng/mL〜500ng/mL、25ng/mL〜300ng/mL、40ng/mL〜200ng/mL、50ng/mL〜100ng/mL、60ng/mL〜90ng/mLまたは65ng/mL〜85ng/mLの範囲内であり得る。好ましくは、培地に添加されるVEGFの濃度は、50ng/mL〜100ng/mLである。また、培地に添加されるVEGFの濃度は、10ng/mL、25ng/mL、50ng/mL、55ng/mL、 60ng/mL、65ng/mL、 70ng/mL、75ng/mL、80ng/mL、85ng/mL、 90ng/mL、95ng/mL、 100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mLまたは200ng/mLであってもよいがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるVEGFの濃度は、75ng/mLである。
培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。培養時間は、例えば4日から20日間の培養であり、好ましくは10日である。
<内皮細胞製造方法>
本発明において内皮細胞とは、PE-CAM、VE-cadherinおよびフォン-ウィルブラント因子(vWF)のいずれか一つを発現している細胞を意味する。PE-CAMは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_000442が例示され、マウスの場合、NM_001032378が例示される。VE-cadherinは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_001795が例示され、マウスの場合、NM_009868が例示される。vWFは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_000552が例示され、マウスの場合、NM_011708が例示される。
多能性幹細胞から内皮細胞を誘導する方法は、既知の方法であれば、特に限定されないが、例えば、(a) 多能性幹細胞をActivin AおよびWnt3aを含む培地中で培養する工程、(b)工程(a)で得られた細胞をBMP、およびbFGFを含む培地中で培養する工程、(c) 工程(b)で得られた細胞をVEGFを含む培地中で培養する工程を含む方法が例示される。
工程(a)、(b)および(c)は、上述した心筋細胞を誘導する方法と同様の方法が用いられても良い。従って、本発明では、当該工程(a)、(b)および(c)を含む、心筋細胞および内皮細胞を同時に誘導する方法を用いることができる。
本発明において、内皮細胞を誘導するcAMPを工程(c)において、さらに添加しても良い。cAMPの濃度は、例えば、0.5mMより高く2mM未満の範囲内であり、例えば、0.6mM 、0.7mM 、0.8mM 、0.9mM 、1mM 、1.1mM 、1.2mM 、1.3mM 、1.4mM 、1.5mM 、1.6mM 、1.7mM 、1.8mM 、1.9mMであるがこれらに限定されない。好ましくは、1mMである。cAMPを添加する期間は、特に限定されないが、好ましくは、1日から5日であり、特に好ましくは3日である。
<壁細胞製造方法>
本発明において壁細胞とは、Smooth muscle actin(SMA)および/またはPDGFRBを発現している細胞を意味する。SMAは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_001141945が例示され、マウスの場合、NM_007392が例示される。PDGFRBは、ヒトの場合NCBIのaccession番号NM_002609が例示され、マウスの場合、NM_001146268が例示される。
多能性幹細胞から内皮細胞を誘導する方法は、既知の方法であれば、特に限定されないが、例えば、(I) 多能性幹細胞をActivin Aを含む培地中で培養する工程、(II) 工程(I)で得られた細胞をBMPおよびbFGFを含む培地で培養する工程、(III) 工程(II)で得られた細胞をVEGFを含まない培地で培養する工程を含む方法が例示される。
(I) Activin Aを含む培地で培養する工程
本工程では、多能性幹細胞を任意の方法で分離し、浮遊培養により培養してもよく、コーティング処理された培養皿を用いて接着培養してもよい。好ましくは、接着培養である。ここで、分離の方法としては、力学的、プロテアーゼ活性とコラゲナーゼ活性を有する分離溶液(例えば、Accutase(TM)およびAccumax(TM)が挙げられる)またはコラゲナーゼ活性のみを有する分離液を用いてもよい。好ましくは、コラゲナーゼ活性のみを有する分離液を用いて解離し、力学的に細かく分離する方法である。ここで、用いる多能性幹細胞は、使用したディッシュに対して80%コンフルエントになるまで培養されたコロニーを用いることが好ましい。
浮遊培養とは、細胞を培養皿へ非接着の状態で培養することであり、特に限定はされないが、細胞との接着性を向上させる目的で人工的に処理(例えば、細胞外マトリックス等によるコーティング処理)されていないもの、もしくは、人工的に接着を抑制する処理(例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリル酸(poly-HEMA)によるコーティング処理)したものを使用して行うことができる。
接着培養とは、コーティング処理された培養皿にて、任意の培地中で行う培養方法である。コーティング剤としては、例えば、マトリゲル(BD)、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、またはエンタクチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、マトリゲルである。より好ましくは、マトリゲルでコーティング処理された培養皿へ人工多能性幹細胞を接着させ、さらに培地中へマトリゲルを添加することで、多能性幹細胞全体をマトリゲルでコーティングするマトリゲルサンドイッチ法による接着培養である。
本工程(I)における培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地へActivin Aを添加して調製することができる。
基礎培地としては、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、RPMI 1640培地である。基礎培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、血清代替物、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質も含有しうる。本工程(I)で好ましい基礎培地として、L-グルタミン、およびB27サプリメントを含有するRPMI培地が例示される。
本工程(I)における培地は、Activin Aに加えて、さらに、Wnt1、Wnt3、Wnt3a、Wnt4、Wnt7a、TGF-β、Nodal、BMP2、BMP4、BMP6、BMP7、GDF、bFGFおよびVEGFからなる増殖因子を一つまたはそれ以上を基礎培地に添加してもよい。好ましい増殖因子は、Wnt3aである。
培地に添加されるActivin Aの濃度は、例えば、10ng/mL、25ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、110ng/mL、120ng/mL、130ng/mL、140ng/mL、150ng/mL、175ng/mLまたは、200ng/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるActivin Aの濃度は、100ng/mLである。
培地に添加されるWnt3aの濃度は、例えば、10mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、110mg/mL、120mg/mL、130mg/mL、140mg/mL、150mg/mL、175mg/mLまたは、200mg/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるWnt3aの濃度は、100mg/mLである。
培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。培養時間は、例えば1日から5日間の培養であり、好ましくは1日である。
(II) BMPおよびbFGFを含む培地で培養する工程
本工程(II)では、前工程が浮遊培養で行われた場合、得られた細胞集団をそのままコーティング処理された培養皿にて、任意の培地中で培養してもよい。コーティング剤としては、例えば、マトリゲル(BD)、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、またはエンタクチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、マトリゲルである。または、前工程が接着培養で行われた場合、培地の交換により培養を続けてもよい。
本工程(II )で用いる培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地へBMPおよびbFGFを添加して調製することができる。
基礎培地としては、上述した工程(I)と同じものを用いることができる。
本工程(ii)で用いるBMPとしては、TGFβスーパーファミリーに属するBMPが好ましく、BMP2、BMP4、およびBMP7が例示される。好ましいBMPは、BMP4である。
培地に添加されるBMP4の濃度は、例えば、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、2.5ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、17.5ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mLまたは50ng/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるBMP4の濃度は、10ng/mLである。
培地に添加されるbFGFの濃度は、例えば、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、2.5ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、17.5ng/mL、20ng/mL、30ng/mL、40ng/mLまたは50ng/mLであるがこれらに限定されない。好ましくは、培地に添加されるbFGFの濃度は、10ng/mLである。
培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は、好ましくは約2〜5%である。培養時間は、例えば1日から10日間の培養であり、好ましくは2日である。
(III) VEGFを含まない培地で培養する工程
前記工程(II)で得られた細胞を、VEGFを含まない動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地で培養する。VEGFを含まない培地は、VEGFを実質的に含まない培地であればよく、例えば、VEGF濃度が1ng/mL未満、好ましくは0.1ng/mL未満、より好ましくは0の培地である。
本工程(III)で用いる基礎培地は、例えばIMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Doulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、RPMI 1640培地である。基礎培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、血清代替物、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質も含有しうる。本工程(III)で用いる好ましい基礎培地として、10%FBSを含有するRPMI培地が例示される。
<心筋組織の形成方法>
本発明において、心筋組織とは、心筋細胞、内皮細胞および壁細胞を含んで成る3次元構造物を意味し、当該3次元構造物は、収縮と拡張を繰り返す構造物である。
本発明において、上述した心筋細胞、内皮細胞および壁細胞を混合し、細胞外マトリックスの存在下で培養して、3次元構造体を形成させることによって心筋組織を得ることができる。壁細胞は、30%未満の含有率で混合することが好ましく、より好ましくは、壁細胞は、5%から25%の範囲で混合することであり、さらに好ましくは、壁細胞は、5%から15%で混合することであり、最も好ましくは、壁細胞は、15%で混合される。
本発明において、細胞外マトリックスとは、細胞外に分泌されるタンパク質のことを意味し、細胞外マトリックスとして、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、エンタクチン、これらの断片、またはこれらの組み合わせが例示される。心筋組織の形成にあたり、用いる細胞外マトリックスは、特に限定されないが、少なくともI型コラーゲンを含む細胞外マトリックスであり、より好ましくは、I型コラーゲンを含むマトリゲル(BD社から購入可能)である。
心筋組織の形成にあたり用いる培地は、例えば、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Doulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、DMEM培地である。基礎培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、血清代替物、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質も含有しうる。心筋組織の形成で用いる好ましい培地として、20%FBSを含有するDMEM培地が例示される。
心筋組織の形成は、上述した混合細胞を懸濁させた培地と細胞外マトリックスを混合し、所望の形状の容器に入れ、一定時間経過させることで行うことができる。容器は、心筋組織を容易に取扱いやすいことから、細胞混合物との接触部分は、I型コラーゲンでコーティングされたシリコン膜で覆われていることが望ましく、このような容器は、Flexcell International社より購入できる。容器の形状は、形成された心筋組織の取扱いやすさから、柱状であることが好ましく、円柱状であることがより望ましい。
形成された心筋組織は、任意の培地中で保存することができ、このような培地として、例えば、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Doulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。好ましくは、DMEM培地である。基礎培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、血清代替物、例えば、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時のFBSの血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸、ビタミン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類などの1つ以上の物質も含有しうる。心筋組織を培養する好ましい培地として、10%FBS、2-メルカプトエタノールおよび抗生物質を含有するαMEM培地が例示される。
心筋組織は、形成されてから、7日以上経過してから用いることが好ましく、より好ましくは14日以上経過してから用いる。
<心疾患治療剤>
本発明は、上述した心筋組織を含む心疾患治療剤を提供する。本発明が適用される心疾患は、心筋細胞等が欠損した病態であれば特に限定されないが、例えば、心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、心筋症、心筋炎、肥大型心筋症、拡張相肥大型心筋症、拡張型心筋症などが挙げられる。
本発明の心筋組織は、心筋組織は、形成された形状にて、心筋細胞の欠損部位、梗塞部位、損傷部位または障害部位に直接縫着して用いてもよく、フィブリン糊など臓器の接着に用いる生体糊を用いて移植してもよい。
心疾患治療に用いる心筋組織は、患部の大きさや体躯の大きさに合わせて適宜増減して調製されてもよい。
本発明を以下の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はそれら実施例に限定されないものとする。
ヒトiPS細胞の培養方法
ヒトiPS細胞(株名および樹立に関する文献)は、京都大学iPS細胞研究所より入手して用いた。
ヒトiPS細胞の培養は、マトリゲル(growth factor reduced, 1:60希釈、Corning)コートのFALCON培養皿(10cm)にて、基礎培地中でMitomycin-C (MMC) (WAKO)にて2.5時間処理されたマウス胎児性線維芽細胞(MEF)を培養した上清(conditioned medium)(以下、MEF-CMという)に4ng/mLの組み換えヒトbFGF(rhbFGF, WAKO)を添加した培地を用いて培養した。基礎培地は、Knockout DMEM (Life technologies) 471mL, Knockout serum replacement (KSR) (Life technologies) 120mL, NEAA (Sigma-Aldrich) 6mL, 200mM L-Glutamine (Life technologies) 3mLおよび55mM 2-ME (メルカプトエタノール)(Life technologies)を混合して作製した。なお、ヒトiPS細胞は4-6日毎にsmall clumpにて継代した。継代は、CTK solution [0.1% Collagenase IV (Life technologies), 0.25% Trypsin (Life technologies), 20% KSR, および1 mM CaCl2 (Sigma-Aldrich) in Phosphate buffered saline (PBS) (Life technologies)]にて細胞コロニー周囲を剥離したのちセルストレーナーでsmall clumpの状態にして行われた。
心筋細胞・血管内皮細胞同時誘導方法(図1a)
コンフルエントになったヒトiPS細胞をVersene (Life technologies)での3-5分37℃でのincubationにて剥離した。Verseneを吸引したのちMEF-CMにてピペッティングし、single cellにて回収したのち、遠心して細胞数をカウントした。ヒトiPS細胞は、10cm dish一枚につき約3×106細胞程度回収できた。1×105細胞/cm2程度にてマトリゲルコートにまき直した。6well plateを使用した場合、1wellあたり1×106細胞を播種した。上述したMEF-CMに4ng/mLのrhbFGF添加した培地を使用した。
2-3日間培養後、コンフルエントになった段階で、マトリゲル(1:60希釈)および4ng/mL rhbFGFを含んだMEF-CMにて培地交換を行った(マトリゲルサンドイッチとも言う)(Day -1)。
24時間後にRPMI+B27 medium [RPMI1640(Life technologies), 2 mM L-glutamine, x1 B27 supplement without insulin(Life technologies)] に100 ng/mL のActivin A (ActA; R&D)および100mg/mLのrhWnt3a (組み換えヒトWnt3a:R&D)を添加した培地に交換した(Day 0)。
24時間後に10 ng/ mL human Bone morphogenetic protein 4 (BMP4; R&D) と10 ng/mL のrhbFGF を含む培地(RPMI+B27 medium)に交換した(Day 1)。その後4日間培地交換なしに培養継続した。
VEGF(rhVEGF,Miltenyi)を50ng/mL含む培地(RPMI+B27 medium)に交換。その後2日おきに同様の培地にて培地交換した(Day 5)。Day9-11より拍動が観察された。
細胞を回収し(Day 15)、一部をFACS解析に使用した。FACS解析の結果を図1aに示す。なお、細胞はAccuMax (Innovative Cell Technologies) を使用して脱接着させ、回収した。回収した細胞は、後述のバイオエンジニアリング心筋組織(engineering cardiac tissue、ECTと言う)の作製に用いた。
血管壁細胞分化誘導方法(図1b)
コンフルエントになったヒトiPS細胞をVersene (Life technologies)での3-5分37℃でのincubationにて剥離した。Verseneを吸引したのちMEF-CMにてピペッティングし、single cellにて回収したのち、遠心して細胞数をカウントした。ヒトiPS細胞は、10cm dish一枚につき約3×106細胞程度回収できた。1×105細胞/cm2程度にてマトリゲルコートにまき直した。6well plateを使用した場合、1wellあたり1×106細胞を播種した。上述したMEF-CMに4ng/mLのrhbFGF添加した培地を使用した。
2-3日間培養後、コンフルエントになった段階で、マトリゲル(1:60希釈)および4ng/mL rhbFGFを含んだMEF-CMにて培地交換を行った(マトリゲルサンドイッチとも言う)(Day -1)。
24時間後にRPMI+B27 medium [RPMI1640(Life technologies), 2 mM L-glutamine, x1 B27 supplement without insulin(Life technologies)] に100 ng/mL のActivin A (ActA; R&D)および100mg/mLのrhWnt3a (R&D)を添加した培地に交換した(Day 0)。
24時間後に10 ng/ mL human Bone morphogenetic protein 4 (BMP4; R&D) と10 ng/mL のrhbFGF を含む培地(RPMI+B27 medium)に交換した(Day 1)。その後2日間培地交換なしに培養継続した。
10%FBSを含む培地(RPMI+10%FBS)に交換した(Day 3)。その後2日おきに同様の培地にて培地交換した。
細胞を回収し(Day 15)、一部をFACS解析に使用した。FACS解析の結果を図1bに示す。なお、細胞はAccuMax (Innovative Cell Technologies) を使用して脱接着させ、回収した。回収した細胞は、後述のECTの作製に用いた。
ECT作製方法
上述の方法で得られた心筋細胞・血管内皮細胞(以下、CM+ECという)および血管壁細胞(以下、MCという)を、精製せずにMCを含む細胞群を15%およびCM+ECを含む細胞群を85%の割合で混合し(MCを4.5×105細胞およびCM+ECを2.55×106細胞で混合)、計3×106の混合細胞を培地(high glucose-modified Dulbecco's essential medium(Life technologies), 20% FBS(Life technologies))に懸濁した(細胞懸濁液という)。
acid-soluble rat-tail collagen type I (Sigma-Aldrich) を氷上でalkali buffer (0.2M NaHCO3, 0.2M HEPES, and 0.1M NaOH) を用いて中和し、Matrigel (15% of total volume) を混合した(ゲルマトリクスという)。collagen type I 濃度が、0.67 mg/mLとなるように、細胞懸濁液およびゲルマトリクスを混合した(cell/matrix 混合物という)。
製造者マニュアルに従って、cylindrical loading post (FX-4000TT; Flexcell International)をBioFlex culture plate(Flexcell International)に装着した。バキュームを用いて、culture plateのシリコン膜の中央を長さ20mm、幅2mmで凹ませ、200 μL のcell/matrix 混合物を注ぎ、CO2 インキュベータ (37℃, 5% CO2) で120分インキュベートし、円柱状の構造物を作製した(図2)。Pre-culture medium [alpha minimum essential medium (aMEM; Life technologies) , 10% FBS, 5×10-5M 2-mercaptoethanol, 100U/mL Penicillin-Streptomycin (Life technologies)]を加え、培養した。得られたECTを、一日ごと培地交換を行い、14日間培養し、以下の評価に用いた(当該ECTをC+E+Mという)。
対照として、CM+ECのみ(当該ECTをC+Eという)、Uosaki, PLoS One 2011の方法により得られたCMおよびMCの含有率が15%となるよう混合した細胞(当該ECTをC+ Mという)から同様に、ECTを作製した。
組織張力計測
上述の方法で得られたECTをオーロラサイエンティフィック社(Aurora, Canada)の組織張力計測システムを用いて、組織張力を測定した。詳細には、室温(25°C)および酸素化されたTyrode solution [(in mM) 119.8 NaCl, 5.4 KCl, 2.5 CaCl2, 1.05 MgCl2, 22.6 NaHCO3, 0.42 NaH2PO4, 0.05 Na2EDTA, 0.28 ascorbic acid, 5.0 glucose, 30 2,3-butanedione monoxime (BDM)] にECTを保存し、一端を10-0 nylon を用いてforce transducer (model 403A, Aurora Scientific)に固定した。もう一端をmicromanipulator に接続されたhigh-speed length controller (model 322C, Aurora Scientific)に固定した。ECTの固定されているPerfusion chamber をBDM-free warmed Tyrode solution (37°C)で満たし、20分 field-stimulation (2 Hz / 5V)を行い、各電圧・周波数で張力測定した。
その結果、最大追従周波数(外部からの刺激周波数(頻度)を増やした際に追従しうる最大の周波数)はC+E+Mで有意に最大となった。さらに周波数増加に対する収縮力の低下もC+E+Mで有意に少なかった。このことは移植後の多様な宿主心拍に対して、より効率的に強い収縮力で追従できることを示している(図3)。
また、最小収縮閾値(外部からの収縮誘発に必要な最小の電圧)は、C+E+Mで最も少なかった。さらに、MCを含まないC+Eに比べ、MCを含むC+MまたはC+E+Mは、電圧低下に対しても有意に高い収縮力を保つことが出来た。このことは、MCを含むことにより、より低い宿主電圧に対しても強い収縮力で追従できることを示している(図4)。
続いて、ゆるんだ状態から次第にECTを伸展させていくことによる受動的張力の変移を測定することにより、フックの法則におけるYoung率を測定した。その結果、MCを含まないC+Eに比べ、MCを含むC+MまたはC+E+Mは高い組織強度をもつことが示された(図5)。
さらに、MCの含有率がこれらの組織特性を高めるかどうかを調べるため、MCを30%以上含むECT (high MC)を作製し、上述の方法で得られたMC (low MC)と比較した結果、あらゆる項目においてhigh MCがlow MCに劣ることが示された(図6)。このことから、MC含有率は、少なくとも30%未満であることが心筋組織の機能の点から望ましいことが示された。
電子顕微鏡検査
C+E+MのECTにおいて、構造的に最も成熟したサルコメア構造が認められた。このことは上述の組織張力検査における優れた特性を説明するひとつの要因と思われる(図7)。
心筋細胞配列
MCを含むECTにおいて、組織内の心筋細胞の配列がより整列していた。このことも上述の組織張力検査における優れた特性を説明するひとつの要因と思われる(図8)。
ラット心筋梗塞モデルへの移植
ラット心筋梗塞モデルへ上述の方法で得られたECTを移植し、その治療効果および心筋再生効果を確認した。ラット心筋梗塞モデルは、詳細には、免疫不全ヌードラット(NTac:NIH-Foxn1rnu, Taconic Biosciences)の前下行枝を7-0 silk糸で結紮し心筋梗塞をさせて作製した。
移植は、当該結紮1週後のラット心筋梗塞モデルを再度開胸し、3本のhiPSC-ECT(C+E+M)を梗塞部に7-0 silkにて縫着することによって行われた(図9)。
心機能評価は、移植前日・移植後2,4週にエコー[Vevo2100 system (VisualSonics), 21-MHz imaging transducer (MS250; VisualSonics)]で行った。
その結果、移植により、毎分心拍出量(cardiac output)および一回心拍出量(stroke volume)はともに改善し、偽治療(Sham)群と比較して有意に高値となることが確認された(図10)。
組織学的検査は、移植後4週に犠牲死させ、心臓摘出して行われた。その結果、移植後4週において、梗塞壁の1/2を上回る厚みの、hiPSC-ECT(グラフト)由来の再生心筋層(HNA;ヒト核抗原陽性)を認めた。生着心筋は明瞭なサルコメア構造を示した。さらに再生心筋層内には宿主由来および一部グラフト由来の血管網(vWF陽性)を認めた(図11)。

Claims (12)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とする、心筋組織を製造する方法;
    (a)多能性幹細胞から心筋細胞を製造する工程、
    (b)多能性幹細胞から内皮細胞を製造する工程、
    (c)多能性幹細胞から壁細胞を製造する工程、
    (d)前記工程(c)で製造した壁細胞を30%未満の割合にて、前記工程(a)で製造した心筋細胞および前記工程(b)で製造した内皮細胞と混合する工程、および
    (e)前記工程(d)で得られた細胞混合物を細胞外マトリックスの存在下で培養して、3次元構造体を形成させる工程。
  2. 前記工程(d)で前記工程(c)で製造した壁細胞を5%以上、25%以下の割合で混合する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(d)で前記工程(c)で製造した壁細胞を15%の割合で混合する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程(a)および(b)が、同一の多能性幹細胞を用いて同時に行われ、多能性幹細胞から心筋細胞および内皮細胞が製造される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記工程(a)および(b)が、以下の工程を含む、請求項4に記載の方法;
    (i)多能性幹細胞をアクチビンAおよびWnt3aの存在下で培養する工程、
    (ii)前記工程(i)で得られた細胞をBMPおよびbFGFの存在下で培養する工程、および
    (iii)前記工程(ii)で得られた細胞をVEGFの存在下で培養する工程。
  6. 前記工程(c)が、以下の工程を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法;
    (i)多能性幹細胞をアクチビンAおよびWnt3aの存在下で培養する工程、
    (ii)前記工程(i)で得られた細胞をBMPおよびbFGFの存在下で培養する工程、および
    (iii)前記工程(ii)で得られた細胞をVEGFの非存在下で培養する工程。
  7. 前記BMPが、BMP4である、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記細胞外マトリックスが、I型コラーゲンを含む細胞外マトリックスである、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記工程(e)における3次元構造体が円柱状構造体である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記多能性幹細胞が、ヒトiPS細胞である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 請求項1〜10に記載の方法で得られた心筋組織を含む、心疾患治療剤。
  12. 請求項1〜10に記載の方法で得られた心筋組織を心臓の梗塞部位、損傷部位または障害部位へ適用する、心疾患治療方法。
JP2017547361A 2015-10-30 2016-10-31 多能性幹細胞から3次元の心筋組織を製造する方法 Pending JPWO2017073794A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201562248771P 2015-10-30 2015-10-30
US62/248,771 2015-10-30
PCT/JP2016/082363 WO2017073794A1 (ja) 2015-10-30 2016-10-31 多能性幹細胞から3次元の心筋組織を製造する方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2017073794A1 true JPWO2017073794A1 (ja) 2018-08-16

Family

ID=58631724

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017547361A Pending JPWO2017073794A1 (ja) 2015-10-30 2016-10-31 多能性幹細胞から3次元の心筋組織を製造する方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2017073794A1 (ja)
WO (1) WO2017073794A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111214703B (zh) * 2018-11-25 2021-06-15 中国科学院大连化学物理研究所 一种iPS来源心肌细胞复合补片及其制备和应用

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008546686A (ja) * 2005-06-17 2008-12-25 セレゲン,インコーポレーテッド 虚血組織の治療方法
WO2013137491A1 (ja) * 2012-03-15 2013-09-19 国立大学法人京都大学 人工多能性幹細胞から心筋および血管系混合細胞群を製造する方法
JP2015033637A (ja) * 2003-08-01 2015-02-19 株式会社セルシード 三次元組織構造体
WO2015025957A1 (ja) * 2013-08-23 2015-02-26 国立大学法人大阪大学 薬剤候補化合物のスクリーニングに用いる心筋組織チップの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015033637A (ja) * 2003-08-01 2015-02-19 株式会社セルシード 三次元組織構造体
JP2008546686A (ja) * 2005-06-17 2008-12-25 セレゲン,インコーポレーテッド 虚血組織の治療方法
WO2013137491A1 (ja) * 2012-03-15 2013-09-19 国立大学法人京都大学 人工多能性幹細胞から心筋および血管系混合細胞群を製造する方法
WO2015025957A1 (ja) * 2013-08-23 2015-02-26 国立大学法人大阪大学 薬剤候補化合物のスクリーニングに用いる心筋組織チップの製造方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
HIRASHIMA, MASANORI ET AL.: "A chemically defined culture of VEGFR2+ cells derived from embryonic stem cells reveals the role of", BLOOD, vol. 101, no. 6, JPN6017001370, 2003, pages 2261 - 2267, XP055384449, ISSN: 0004479201, DOI: 10.1182/blood-2002-01- *
TULLOCH, NATHANIEL L. ET AL: "Growth of Engineered Human Myocardium With Mechanical Loading and Vascular Coculture", CIRCULATION RESEARCH, vol. 109, JPN6017001369, 2011, pages 47 - 59, XP055083851, ISSN: 0004479200, DOI: 10.1161/CIRCRESAHA.110.237206 *
升本英利、山下潤: "iPS細胞からの心血管系への分化誘導", 医学のあゆみ, vol. 252, no. 11, JPN6017001368, 14 March 2015 (2015-03-14), pages 1176, ISSN: 0004479199 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017073794A1 (ja) 2017-05-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6429280B2 (ja) 効率的な心筋細胞の誘導方法
JP7356658B2 (ja) ドーパミン産生神経前駆細胞の製造方法
JP7166631B2 (ja) 新規軟骨細胞誘導方法
US9121011B2 (en) Method for inducing differentiation of human pluripotent stem cell into intermediate mesoderm cell
US8883498B2 (en) Method for inducing differentiation of pluripotent stem cells into skeletal muscle or skeletal muscle progenitor cells
JP6694215B2 (ja) 新規軟骨細胞誘導方法
JP5995247B2 (ja) 多能性幹細胞から樹状細胞を製造する方法
JP6373253B2 (ja) 新規心筋細胞マーカー
WO2016108288A1 (ja) 骨格筋前駆細胞の製造方法
WO2015199127A1 (ja) 中胚葉細胞および造血細胞の製造方法
JP6025067B2 (ja) 新規心筋細胞マーカー
JP6646311B2 (ja) 多能性幹細胞から中胚葉前駆細胞および血液血管前駆細胞への分化誘導法
JPWO2016114354A1 (ja) 骨格筋前駆細胞の選択方法
WO2021085462A1 (ja) 多能性幹細胞から造血性内皮細胞および/または造血前駆細胞を製造する方法
JP5842289B2 (ja) 効率的な内皮細胞の誘導方法
WO2017073794A1 (ja) 多能性幹細胞から3次元の心筋組織を製造する方法
JP7072756B2 (ja) 多能性幹細胞から中胚葉前駆細胞および血液血管前駆細胞への分化誘導法
WO2021015086A1 (ja) 骨格筋幹細胞から成熟筋管細胞を製造する方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190627

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201127

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210406