JPWO2017057141A1 - 酸化反応用触媒、及びそれを用いたフローリアクター - Google Patents

酸化反応用触媒、及びそれを用いたフローリアクター Download PDF

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Abstract

低温、低圧下で、且つ、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても触媒活性が良好である酸化反応用触媒等を提供する。
本発明の酸化反応用触媒は、金属原子が有機連結基を介して担体と結合した酸化反応用触媒であって、前記有機連結基が、炭化水素基と前記金属原子に結合した官能基とを有し、前記金属原子に結合した官能基が、カルボキシル基、水酸基、スルホ基、チオール基、リン酸基、及びこれらの基から水素原子を除いた残基からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。

Description

本発明は、酸化反応用触媒、該酸化反応用触媒を用いた酸化物の製造方法、該酸化反応用触媒を用いたフローリアクター、及び該フローリアクターを有する酸化反応装置に関する。本願は、2015年10月1日に日本に出願した、特願2015−196283号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
酸化反応は化学工業における最も基本的な反応の一つであり、種々の酸化反応用触媒が開発されている。これらの酸化反応用触媒を用いた酸化反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われるが、溶媒の存在下で酸化反応を行う場合は一般的に極性溶媒が用いられる。しかしながら、反応基質によっては極性溶媒により分解するものもあり、このことが原因で生成物の収率が低下するといった問題があった。また、そもそも酸化反応において溶媒を用いる場合は溶媒と生成物とを分離するための工程が必要となるため、製造効率の観点から有効ではなかった。
溶媒の非存在下で反応基質を酸化する方法としては、液相中で反応基質のみを酸化反応に付する方法や、気相中で反応基質を酸化する方法が挙げられる。液相中で反応基質のみを酸化反応に付する方法として、例えば、非特許文献1で開示されている様なアルカン類の酸化等が挙げられる。しかし、この様な酸化反応は高温、高圧下で行われるため、これに耐えうる設備が必要となる。
このように、低温下で、且つ、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても触媒活性の高い酸化反応用触媒はこれまで開発されていなかった。
Polyhedron,69,119-126(2014)
従って、本発明の目的は、低温、低圧下で、且つ、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても触媒活性が良好である酸化反応用触媒を提供することにある。本発明の他の目的は、前記酸化反応用触媒の存在下で反応基質を酸化する酸化物の製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、前記酸化反応用触媒を用いたフローリアクターを提供することである。本発明の他の目的は、前記フローリアクターを有する酸化反応用装置を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定構造を有する酸化反応用触媒が良好な触媒活性を示し、低温、低圧下で、且つ、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても酸化反応を効率よく行うことができること、さらに酸化反応後の触媒の劣化が少ないため再利用が可能であることを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)金属原子が有機連結基を介して担体表面と結合した酸化反応用触媒であって、前記有機連結基が、炭化水素基と前記金属原子に結合した官能基とを有し、前記金属原子に結合した官能基が、カルボキシル基、水酸基、スルホ基、チオール基、リン酸基、及びこれらの基から水素原子を除いた残基からなる群より選ばれる少なくとも1つである酸化反応用触媒。
(2)前記金属が遷移金属である(1)に記載の酸化反応用触媒。
(3)前記金属がコバルト、マンガン、ジルコニウム、及びパラジウムからなる群より選ばれる少なくとも1つである(1)又は(2)に記載の酸化反応用触媒。
(4)前記有機連結基が、SiO基(−Si−O−)、TiO基(−Ti−O−)、又はPO基(−P−O−)を介して担体と結合する(1)〜(3)の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
(5)前記担体が、無機担体又は有機高分子担体である(1)〜(4)の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
(6)前記酸化反応用触媒が、後述の式(1)で表される構造を有する(1)〜(5)の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
(7)(1)〜(6)の何れか1に記載の酸化反応用触媒の存在下、反応基質を酸化することを特徴とする酸化物の製造方法。
(8)さらに、助触媒として環状イミド骨格を有するイミド化合物を用いる(7)の酸化物の製造方法。
(9)(1)〜(6)の何れか1に記載の酸化反応用触媒を用いたフローリアクター。
(10)(9)に記載のフローリアクターを有する酸化反応用装置。
より具体的には、本発明は、以下に関する。
[1]金属原子が有機連結基を介して担体表面と結合した酸化反応用触媒であって、前記有機連結基が、炭化水素基と前記金属原子に結合した官能基とを有し、前記金属原子に結合した官能基が、カルボキシル基、水酸基、スルホ基、チオール基、リン酸基、及びこれらの基から水素原子を除いた残基からなる群より選ばれる少なくとも1つである酸化反応用触媒。
[2]前記金属が遷移金属である[1]に記載の酸化反応用触媒。
[3]前記金属がコバルト、マンガン、ジルコニウム、及びパラジウムからなる群より選ばれる少なくとも1つである[1]又は[2]に記載の酸化反応用触媒。
[4]前記有機連結基が、SiO基(−Si−O−)、TiO基(−Ti−O−)、又はPO基(−P−O−)を介して担体と結合する[1]〜[3]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[5]前記担体が、無機担体又は有機高分子担体である[1]〜[4]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[6]前記酸化反応用触媒が、後述の式(1)で表される構造を有する[1]〜[5]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[7]前記炭化水素基が、2価の直鎖状炭化水素基、2価の分岐鎖状炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、及びこれらの2以上が結合した2価の炭化水素基であって、炭素数が1〜20の炭化水素基である[1]〜[6]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[8]前記金属原子に結合した官能基が、カルボキシル基又はこれらの基から水素原子を除いた残基である[1]〜[7]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[9]後述の式(1)におけるLが、OH、アルコキシ、アシル、アルコキシカルボニル、アセチルアセトナート、シクロペンタジエニル基、ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2O、ホスフィンのリン化合物、NH3、NO、NO2、NO3、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、及びフェナントロリンからなる群より選ばれる少なくとも一つである[1]〜[8]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[10]前記担体が、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、セリア、マグネシア、カルシア、チタニア、シリカチタニア(チタノシリケート)、ジルコニア、ゼオライト、活性炭、グラフェン、カーボンナノチューブ、スチレン系ポリマー、ポリオレフィン、(メタ)アクリル酸系ポリマー、及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つである[1]〜[9]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[11](i)担体を、有機連結基を含むカップリング剤で修飾して、有機連結基を有する担体とした後に、必要に応じて金属原子を保持できるように脱保護を行い、官能基に金属原子を結合させることにより得られる酸化反応用触媒であるか、又は、(ii)有機連結基を含むカップリング剤の官能基に金属原子を結合させた後、担体を当該カップリング剤で修飾することにより得られる酸化反応用触媒である[1]〜[10]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[12]前記(i)における有機連結基を有する担体が、カップリング剤として有機連結基を含むシランカップリング剤を用いて修飾して得られる担体である[1]〜[11]の何れか1に記載の酸化反応用触媒。
[13][1]〜[12]の何れか1に記載の酸化反応用触媒の存在下、反応基質を酸化することを特徴とする酸化物の製造方法。
[14]さらに、助触媒として環状イミド骨格を有するイミド化合物を用いる[13]の酸化物の製造方法。
[15][1]〜[12]の何れか1に記載の酸化反応用触媒を用いたフローリアクター。
[16][15]に記載のフローリアクターを有する酸化反応用装置。
本発明の酸化反応用触媒は、低温、低圧下で、且つ、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても触媒活性が高いため、反応基質を高い転化率で酸化でき、また高い収率で対応する酸化物を得ることが可能であり、さらに酸化反応後であっても触媒活性が低下しないため再利用が可能である。また、本発明の酸化物の製造方法は前記酸化反応用触媒を用いるため、低温、低圧下で、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても高い転化率、及び高い収率で酸化物を得ることができる。また、本発明のフローリアクターを用いることで、低温、低圧下で、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても高い転化率、及び高い収率で酸化物を得ることができ、さらにフローリアクター内の酸化反応用触媒の触媒活性が低下しないため再利用が可能である。また、本発明の酸化反応用装置を用いることで、高い転化率、及び高い収率で、且つ効率的に酸化物を得ることができる。
本発明の酸化反応用装置の一例を示す概略図である。 実施例12における酸化反応用装置の概略図である。
<酸化反応用触媒>
本発明の酸化反応用触媒は、金属原子が有機連結基を介して担体に結合した酸化反応用触媒であって、前記有機連結基が、炭化水素基と前記金属原子に結合した特定の官能基とを有することを特徴とする。なお、前記有機連結基の担体側末端に、担体(担体の表面)の酸素原子と結合したケイ素原子、チタン原子、又はリン原子を有していてもよい。
前記炭化水素基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基(例えば、2価の直鎖状炭化水素基、又は2価の分岐鎖状炭化水素基)、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、及びこれらの2以上が結合した2価の炭化水素基であって、炭素数が1〜20の炭化水素基が挙げられる。2価の直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、へキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、及びウンデカメチレン基等の炭素数が1〜20の2価の直鎖状炭化水素基;2価の分岐鎖状炭化水素基としては、メチルメチレン基、メチルエチレン基、ジメチルメチレン基、2−メチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、2,3−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基、2−エチル−2−メチルトリメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、2,2−ジメチルペンタメチレン基、2,3−ジメチルペンタメチレン基、2,4−ジメチルペンタメチレン基、2,3,4−トリメチルペンタメチレン基、及び2−エチル−2−メチルペンタメチレン基等の総炭素数2〜20の2価の分岐鎖状炭化水素基;2価の脂環式炭化水素基としては、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロへキシレン基、1,4−シクロへキシレン基、及びシクロヘキシリデン基等の炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基;2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、及びナフチレン基等の炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基;及び、前記2以上が結合した2価の炭化水素基としては、1,4−シクロヘキシレンビス(メチレン)基、及び1,4−フェニレンビス(メチレン)基等の炭素数6〜20の2価の炭化水素基が挙げられる。
前記炭化水素基の炭素数は1〜20であれば特に限定されないが、触媒活性の観点から、2〜18であることがより好ましい。なお、本発明の酸化反応用触媒は、ある程度の長さを有する炭化水素基を有することにより金属原子の近傍に親油性が付与され、触媒(触媒活性を有する金属原子)と反応基質との親和性が向上することによって触媒活性が向上すると考えられる。
したがって、前記有機連結基において、前記金属原子に結合した官能基は、前記炭化水素基における炭素原子の何れかに結合していればよいが、炭化水素基の末端の炭素原子に結合していることが好ましく、炭化水素基の末端の炭素原子のみに結合していることがより好ましい。なお、前記炭化水素基の末端の炭素原子とは、炭化水素基の炭素原子のうち担体から最も離れた炭素原子を指す。
前記金属原子に結合した官能基は、金属原子と、金属原子との結合能を有する官能基(以下、金属原子に結合する官能基と称する)とが結合することにより形成される。この様な官能基としては、例えば、前記金属原子とイオン結合を介して結合する官能基や、金属原子と配位結合を介して結合する官能基が挙げられ、具体的には、カルボキシル基、水酸基、スルホ基、チオール基、リン酸基、及びこれらの基から水素原子を除いた残基が挙げられる。この中でも、触媒活性の観点から、カルボキシル基、スルホ基、又はこれらの基から水素原子を除いた残基が好ましく、さらに、カルボキシル基又はこれらの基から水素原子を除いた残基がより好ましい。なお、前記有機連結基はこれらの官能基の1種を有していても良く、2種以上を有していてもよい。また、前記有機連結基はこれらの官能基を1つ有していてもよいし、2つ以上有していてもよい。
本発明の酸化反応用触媒は、前記有機連結基の担体側末端に、担体(担体の表面)の酸素原子と結合したケイ素原子、チタン原子、又はリン原子を有していてもよい。具体的には、前記有機連結基は、SiO基(−Si−O−)、TiO基(−Ti−O−)、又はPO基(−P−O−)を介して担体(担体の表面)と結合していても良い。なお、上記のケイ素原子、チタン原子、及びリン原子は少なくとも1つの酸素原子を介して担体に結合していれば良いが、2以上(例えば、2又は3)の酸素原子を介して担体に結合していても良いし、置換基(例えばアルコキシ基)を有していても良い。なお、2以上(例えば、2又は3)の酸素原子を介して担体に結合する場合としては、例えば、ケイ素原子に直接結合した2以上の酸素原子のそれぞれが担体と結合している状態を指す。
前記金属(金属原子)としては、酸化反応に対して触媒作用を示すものであれば特に限定されないが、例えば、遷移金属(遷移金属原子)であることが好ましい。前記遷移金属としては、例えば、周期表3族元素(スカンジウム、ランタノイド元素、アクチノイド元素等)、4族元素(チタン、ジルコニウム、ハフニウム等)、5族元素(バナジウム等)、6族元素(クロム、モリブデン、タングステン等)、7族元素(マンガン等)、8族元素(鉄、ルテニウム等)、9族元素(コバルト、ロジウム等)、10族元素(ニッケル、パラジウム、白金等)、11族元素(銅等)が挙げられる。これらの中でも、コバルト、マンガン、ジルコニウム、及びパラジウムが触媒活性の観点から好ましい。これらの金属は、有機連結基を介して担体に結合していればよく、その結合の形態(結合の状態)は特に限定されないが、例えば、イオン、酸化物、錯体などの形態が挙げられる。金属原子がイオン、酸化物、錯体である場合は、当該金属原子に結合する基(例えば、錯体を構成する配位子)を有していても良い。なお、前記金属の原子価は特に制限されず、例えば0〜6価程度である。
前記錯体を構成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、アシル(アセチル、プロピオニル等)、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アセチルアセトナート、シクロペンタジエニル基、ハロゲン原子(塩素、臭素等)、CO、CN、酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン等)のリン化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリン等の窒素含有化合物等が挙げられる。
前記担体としては、触媒の担体として使用される公知乃至慣用の担体を使用することができ、特に限定されないが、例えば、無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、セリア、マグネシア、カルシア、チタニア、シリカチタニア(チタノシリケート)、ジルコニア、及びゼオライト等の酸化物系の無機担体;活性炭、グラフェン、及びカーボンナノチューブ等の炭素系の無機担体が挙げられ、有機高分子担体としては、スチレン系ポリマー、ポリオレフィン、(メタ)アクリル酸系ポリマー、及びエポキシ樹脂等が挙げられる。上記担体の中でも、無機担体(酸化物系又は炭素系の無機担体)が好ましく、特にシリカ(SiO2)が好ましい。なお、本発明の触媒における担体は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
担体の比表面積は特に限定されないが、50m2/g以上(例えば、50〜1500m2/g、好ましくは100〜1000m2/g)であることが好ましい。比表面積が上記範囲であることで、単位重量当たりの触媒活性が向上する傾向がある。
担体の平均細孔径は特に限定されないが、単位重量当たりの触媒活性を向上することができる点で、1〜100nmが好ましく、より好ましくは5〜70nmである。
担体の平均粒径は、特に限定されないが、反応性の点や、連続流通形式で反応を実施する場合の過剰な圧力損失を伴わない点で、10〜10000μmが好ましく、より好ましくは20〜10000μmである。また、上記担体の形状は特に限定されず、粉末状、粒状、ペレット状、タブレット状等に成形されていてもよい。
金属(金属原子)の担体への結合量は特に限定されないが、酸化反応用触媒の総量(100重量%)に対して、0.01〜25重量%程度が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%程度、さらに好ましくは0.5〜15重量%程度、特に好ましくは1.0〜10重量%程度である。金属の結合量が上記範囲内であることで、酸化物の収率が向上する。
本発明の酸化反応用触媒は、前記の特定の構造を有していれば特に限定されないが、例えば、(i)担体を、有機連結基を含むカップリング剤で修飾して、有機連結基を有する担体とした後に、必要に応じて金属原子を保持できるように脱保護を行い、官能基に金属原子を結合させることや、(ii)有機連結基を含むカップリング剤の官能基に金属原子を結合させた後、担体を当該カップリング剤で修飾することにより得ることができる。(i)における具体的な例としては、シランカップリング剤として後述の3−(トリエトキシシリル)プロピオン酸メチルを担体に修飾した後、エステル基を脱保護してカルボキシル基とし、当該官能基に金属原子を結合させる調製方法を挙げることができる。なお、有機連結基を含むカップリング剤とは、前記の有機連結基を構造の一部として含むカップリング剤を意味する。
前記(i)における有機連結基を有する担体は、例えば、カップリング剤として有機連結基を含むシランカップリング剤等を用いて担体を修飾して得られるものが挙げられ、例えば、商品名「ワコーゲル50WCX」、「ワコーゲル50PSA」、「ワコーゲル50トリアミン」、「ワコーゲル50PRS」、及び「ワコーゲル50SCX」(和光純薬工業(株)製)等の市販品を用いることもできる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、2−(トリエトキシシリル)酢酸、3−(トリエトキシシリル)プロピオン酸、11−トリエトキシシリルウンデカン酸、4−(トリエトキシシリル)安息香酸等のカルボキシル基含有シランカップリング剤;例えば、2−(トリエトキシシリル)酢酸メチル、3−(トリエトキシシリル)プロピオン酸メチル、11−(トリエトキシシリル)ウンデカン酸エチル、4−(トリエトキシシリル)安息香酸エチル等のエステル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。例えば、有機連結基を有する担体に金属原子を導入することや、金属原子が結合した有機連結基を含む化合物と担体との間に化学的結合を形成させることによって調製することができる。
前記有機連結基を有する担体に金属(金属原子)を導入する方法としては、例えば、イオン交換反応による方法や錯体形成反応による方法が挙げられる。
下記の式(1)は、本発明の酸化反応用触媒の一例を示す概略式である。なお、本発明の酸化反応用触媒は式(1)に示される構造を有する酸化反応用触媒に限定されるものではない。以下に式(1)について説明する。
Figure 2017057141
式(1)のCは前記担体を示す。YはSiO基(−Si−O−)、TiO基(−Ti−O−)、又はPO基(−P−O−)を示す。なお、酸素原子は担体(担体の表面)と化学結合を有し、ケイ素原子、チタン原子、又はリン原子がRと化学結合を有することを示すが、担体(担体の表面)が酸素原子を有する場合(酸素原子が担体に由来する場合)は、Yはケイ素原子、チタン原子、及びリン原子を示す。また、Yにおけるケイ素原子、チタン原子、及びリン原子は少なくとも1つの酸素原子を介して担体に結合していても良いが、2以上(例えば、2又は3)の酸素原子を介して担体に結合していても良いし、置換基(例えばアルコキシ基)を有していても良い。Rは前記炭化水素基を示す。Xは前記金属原子に結合した官能基(前記金属原子に結合する官能基)を示す。Mは前記金属原子を示す。なお、R及びXは前記有機連結基を示す。Lは前記金属原子に結合する基(例えば前記錯体を構成する配位子)を示す。Mに結合するLの個数を示すpは特に限定されないが、0〜6の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましく、0又は1であることがさらに好ましい。pが2以上の場合、Lはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。mはMと結合する有機連結基の数を示すが、例えば、1以上の整数(例えば、1〜8の整数)であることが好ましく、1〜4の整数であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。mが2以上の場合、C、Y、R、及びXはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。なお、式(1)における破線は、結合がイオン結合又は配位結合であってもよいことを示している。
なお、式(1)におけるmが2以上の場合、上述の通りC(担体)はそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよいが、具体的には、Cが同一の場合とは、同一の担体上にY−R−X基を2以上有するような態様(例えば、下記の式(2)で示される態様、m=2)を指し、Cが異なる場合とは、他の2以上の担体上にY−R−X基を有するような態様(例えば、下記の式(3)で示される態様、m=2))を指す。また、C及びC'は同一種類の担体であっても良いし、他の種類の担体であっても良い。
Figure 2017057141
式(2)及び(3)中、C、C'は担体を示し、Y、R、X、M、L、及びpは前記式(1)で示されるものと同一である。なお、本発明の酸化反応用触媒は式(2)及び(3)に示される酸化反応用触媒に限定されるものではない。
<酸化物の製造方法>
本発明の酸化物の製造方法は、前記酸化反応用触媒と、必要に応じて酸化剤(例えば、酸素)の存在下、反応基質を酸化することを特徴とする。なお、前記酸化反応用触媒とともに、助触媒として環状イミド骨格を有するイミド化合物(以下、単に「イミド化合物」と称する場合がある)を使用してもよい。
[反応基質]
本発明において反応基質(「反応基質(A)」と称することがある)として用いる有機化合物(有機反応基質)としては、(A1)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物、(A2)炭素−ヘテロ原子二重結合を有する化合物、(A3)メチン炭素原子を有する化合物、(A4)不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物、(A5)脂環式化合物、(A6)共役化合物、(A7)アミン化合物、(A8)芳香族化合物、(A9)直鎖状又は分岐鎖状アルカン、及び(A10)オレフィンから選択される化合物が挙げられる。
これらの化合物は、反応を阻害しない範囲で種々の官能基を有していてもよい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基等)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基等が挙げられる。
ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物(A1)としては、(A1−1)第1級若しくは第2級アルコール、又は第1級若しくは第2級チオール、(A1−2)酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するエーテル、又は硫黄原子の隣接位に炭素−水素結合を有するスルフィド、(A1−3)酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するアセタール(ヘミアセタールも含む)、又は硫黄原子の隣接位に炭素−水素結合を有するチオアセタール(チオヘミアセタールも含む)等が例示できる。
前記(A1−1)における第1級若しくは第2級アルコールには、広範囲のアルコールが含まれる。また、アルコールは、1価、2価、又は多価アルコールの何れであってもよい。
代表的な第1級アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、2−ブテン−1−オール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ペンタエリスリトール等の炭素数1〜30程度(好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜15)の飽和又は不飽和脂肪族第1級アルコール;シクロペンチルメチルアルコール、シクロヘキシルメチルアルコール、2−シクロヘキシルエチルアルコール等の飽和又は不飽和脂環式第1級アルコール;ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコール等の芳香族第1級アルコール;2−ヒドロキシメチルピリジン等の複素環式アルコールが挙げられる。
代表的な第2級アルコールとしては、2−プロパノール、s−ブチルアルコール、2−ペンタノール、2−オクタノール、2−ペンテン−4−オール、1,2−プロパンジオール、2,3−ブタンジオールや2,3−ペンタンジオール等のビシナルジオール類等の炭素数3〜30程度(好ましくは3〜20、特に好ましくは3〜15)の飽和又は不飽和脂肪族第2級アルコール;1−シクロペンチルエタノール、1−シクロヘキシルエタノール等の、ヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素(シクロアルキル基等)とが結合している第2級アルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール、2−シクロヘキセン−1−オール、2−アダマンタノール、橋頭位にヒドロキシル基を1〜4個有する2−アダマンタノール、アダマンタン環にオキソ基を有する2−アダマンタノール等の3〜20員程度(好ましくは3〜15員、特に好ましくは5〜15員、最も好ましくは5〜8員)の飽和又は不飽和脂環式第2級アルコール(橋かけ環式第2級アルコールを含む);1−フェニルエタノール等の芳香族第2級アルコール;1−(2−ピリジル)エタノール等の複素環式第2級アルコール等が含まれる。
さらに、代表的なアルコールには、1−アダマンタンメタノール、α−メチル−1−アダマンタンメタノール、3−ヒドロキシ−α−メチル−1−アダマンタンメタノール、3−カルボキシ−α−メチル−1−アダマンタンメタノール、α−メチル−3a−パーヒドロインデンメタノール、α−メチル−4a−デカリンメタノール、α−メチル−4a−パーヒドロフルオレンメタノール、α−メチル−2−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンメタノール、α−メチル−1−ノルボルナンメタノール等の橋かけ環炭化水素基を有するアルコール(ヒドロキシル基が結合している炭素原子に橋かけ環炭化水素基が結合している化合物等)も含まれる。
前記(A1−1)における第1級若しくは第2級チオールとしては、前記第1級若しくは第2級アルコールに対応するチオールが挙げられる。
前記(A1−2)における酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するエーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアリルエーテル等の脂肪族エーテル類;アニソール、フェネトール、ジベンジルエーテル、フェニルベンジルエーテル等の芳香族エーテル類;ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、モルホリン、クロマン、イソクロマン等の環状エーテル類(芳香環又は非芳香環が縮合していてもよい)等が挙げられる。
前記(A1−2)における硫黄原子の隣接位に炭素−水素結合を有するスルフィドとしては、前記酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するエーテルに対応するスルフィドが挙げられる。
前記(A1−3)における酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するアセタールとしては、例えば、アルデヒドとアルコールや酸無水物等から誘導されるアセタールが挙げられ、該アセタールには環状アセタール及び非環状アセタールが含まれる。前記アルデヒドとして、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;シクロペンタンカルバルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド等の脂環式アルデヒド;ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。また、前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、ベンジルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−1,3−プロパンジオール等の二価アルコール等が挙げられる。代表的なアセタールとして、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、2−エチル−1,3−ジオキソラン等の1,3−ジオキソラン化合物;2−メチル−1,3−ジオキサン等の1,3−ジオキサン化合物;アセトアルデヒドジメチルアセタール等のジアルキルアセタール化合物等が例示される。
前記(A1−3)における硫黄原子の隣接位に炭素−水素結合を有するチオアセタールとしては、前記酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するアセタールに対応するチオアセタールが挙げられる。
前記炭素−ヘテロ原子二重結合を有する化合物(A2)としては、(A2−1)カルボニル基含有化合物、(A2−2)チオカルボニル基含有化合物、(A2−3)イミン類等が挙げられる。カルボニル基含有化合物(A2−1)には、ケトン及びアルデヒドが含まれ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、3−ペンタノン、メチルビニルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、アセトフェノン等の鎖状ケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、イソホロン、シクロデカノン、シクロドデカノン、1,4−シクロオクタンジオン、2,2−ビス(4−オキソシクロヘキシル)プロパン、2−アダマンタノン等の環状ケトン類;ビアセチル(2,3−ブタンジオン)、ビベンゾイル(=ベンジル)、アセチルベンゾイル、シクロヘキサン−1,2−ジオン等の1,2−ジカルボニル化合物(α−ジケトン類等);アセトイン、ベンゾイン等のα−ケトアルコール類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ヘキサナール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;シクロヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール等の脂環式アルデヒド;ベンズアルデヒド、カルボキシベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド;フルフラール、ニコチンアルデヒド等の複素環アルデヒド等が挙げられる。
チオカルボニル基含有化合物(A2−2)としては、前記カルボニル基含有化合物(A2−1)に対応するチオカルボニル基含有化合物が挙げられる。
イミン類(A2−3)には、前記カルボニル基含有化合物(A2−1)と、アンモニア又はアミン類(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン等のアミン;ヒドロキシルアミン、O−メチルヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン類;ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン類等)とから誘導されるイミン類(オキシムやヒドラゾンも含む)が含まれる。
前記メチン炭素原子を有する化合物(A3)には、(A3−1)環の構成単位としてメチン基(すなわち、メチン炭素−水素結合)を含む環状化合物、(A3−2)メチン炭素原子を有する鎖状化合物が含まれる。
環状化合物(A3−1)には、(A3−1a)少なくとも1つのメチン基を有する橋かけ環式化合物、(A3−1b)環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(脂環式炭化水素等)が含まれる。尚、前記橋かけ環式化合物には、2つの環が2個の炭素原子を共有している化合物(例えば、縮合多環式芳香族炭化水素類の水素添加生成物等)も含まれる。
橋かけ環式化合物(A3−1a)としては、例えば、デカリン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、ツジョン、カラン、ピナン、ピネン、ボルナン、ボルニレン、ノルボルナン、ノルボルネン、カンファー、ショウノウ酸、カンフェン、トリシクレン、トリシクロ[5.2.1.03,8]デカン、トリシクロ[4.2.1.12,5]デカン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン、トリシクロ[4.2.2.12,5]ウンデカン、エンドトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン、アダマンタン、1−アダマンタノール、1−クロロアダマンタン、1−メチルアダマンタン、1,3−ジメチルアダマンタン、1−メトキシアダマンタン、1−カルボキシアダマンタン、1−メトキシカルボニルアダマンタン、1−ニトロアダマンタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロアセナフテン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロフェナレン、ペルヒドロインデン、キヌクリジン等の2〜4環式の橋かけ環式炭化水素又は橋かけ複素環化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの橋かけ環式化合物は、橋頭位(2環が2個の原子を共有している場合には接合部位に相当)にメチン炭素原子を有する。
環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(A3−1b)としては、1−メチルシクロペンタン、1−メチルシクロヘキサン、リモネン、メンテン、メントール、カルボメントン、メントン等の、炭素数1〜20程度(好ましくは1〜10)の炭化水素基(例えば、アルキル基等)が環に結合した3〜15員程度の脂環式炭化水素、及びその誘導体等が挙げられる。環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(A3−1b)は、環と前記炭化水素基との結合部位にメチン炭素原子を有する。
メチン炭素原子を有する鎖状化合物(A3−2)としては、第3級炭素原子を有する鎖状炭化水素類[例えば、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、3−メチルオクタン等の炭素数4〜20程度(好ましくは、4〜10)の脂肪族炭化水素類、及びその誘導体]等が例示できる。
前記不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物(A4)としては、(A4−1)芳香族性環の隣接位(いわゆるベンジル位)にメチル基又はメチレン基を有する芳香族化合物、(A4−2)不飽和結合(例えば、炭素−酸素二重結合等の炭素−炭素不飽和結合)の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する非芳香族性化合物等が挙げられる。
前記芳香族性化合物(A4−1)において、芳香族性環は、芳香族炭化水素環、芳香族性複素環の何れであってもよい。芳香族炭化水素環には、ベンゼン環、縮合炭素環(例えば、ナフタレン、アズレン、インダセン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン等の、4〜7員炭素環が2〜10個縮合した縮合炭素環等)が含まれる。芳香族性複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール等の5員環、4−オキソ−4H−ピラン等の6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン等の縮合環等)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール等の5員環、4−オキソ−4H−チオピラン等の6員環、ベンゾチオフェン等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール等の5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員環、インドール、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン等の縮合環等)が挙げられる。
なお、芳香族性環の隣接位のメチレン基は、前記芳香族性環に縮合した非芳香族性環を構成するメチレン基であってもよい。また、前記(A4−1)において、芳香族性環と隣接する位置にメチル基とメチレン基の両方の基が存在していてもよい。
芳香族性環の隣接位にメチル基を有する芳香族化合物としては、例えば、芳香環に1〜6個程度のメチル基が置換した芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−t−ブチルトルエン、m−t−ブチルトルエン、p−t−ブチルトルエン、1−エチル−4−メチルベンゼン、1−エチル−3−メチルベンゼン、1−イソプロピル−4−メチルベンゼン、1−t−ブチル−4−メチルベンゼン、1−メトキシ−4−メチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、デュレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4'−ジメチルビフェニル、トルアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、トルイル酸、トリメチル安息香酸、ジメチル安息香酸等)、複素環に1〜6個程度のメチル基が置換した複素環化合物(例えば、2−メチルフラン、3−メチルフラン、3−メチルチオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、4−メチルインドール、2−メチルキノリン、3−メチルキノリン等)が例示できる。
芳香族性環の隣接位にメチレン基を有する芳香族化合物としては、例えば、炭素数2以上のアルキル基又は置換アルキル基を有する芳香族炭化水素類(例えば、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、ジフェニルメタン等)、炭素数2以上のアルキル基又は置換アルキル基を有する芳香族性複素環化合物(例えば、2−エチルフラン、3−プロピルチオフェン、4−エチルピリジン、4−ブチルキノリン等)、芳香族性環に非芳香族性環が縮合した化合物であって、該非芳香族性環のうち芳香族性環に隣接する部位にメチレン基を有する化合物(例えば、ジヒドロナフタレン、インデン、インダン、テトラリン、フルオレン、アセナフテン、フェナレン、インダノン、キサンテン等)が例示できる。
不飽和結合の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する非芳香族性化合物(A4−2)には、例えば、(A4−2a)いわゆるアリル位にメチル基又はメチレン基を有する鎖状不飽和炭化水素類、(A4−2b)カルボニル基の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する化合物が例示できる。
前記鎖状不飽和炭化水素類(A4−2a)としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1,5−ヘキサジエン、1−オクテン、3−オクテン、ウンデカトリエン等の炭素数3〜20程度の鎖状不飽和炭化水素類が例示できる。前記化合物(A4−2b)には、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン、アセトフェノン等の鎖状ケトン類;シクロヘキサノン等の環状ケトン類)、カルボン酸又はその誘導体(例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、フェニル酢酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、及びこれらのエステル等)が含まれる。
前記脂環式化合物(=非芳香族性環状炭化水素)(A5)には、(A5−1)シクロアルカン類、及び(A5−2)シクロアルケン類が含まれる。
前記シクロアルカン類(A5−1)としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデカン、シクロヘキサデカン、シクロテトラコサン、シクロトリアコンタン等の3〜30員(好ましくは5〜30員、特に好ましくは5〜20員)のシクロアルカン環を有する化合物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
前記シクロアルケン類(A5−2)には、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロヘキセン、1−メチル−シクロヘキセン、イソホロン、シクロヘプテン、シクロドデカエン等の3〜30員(好ましくは3〜20員環、特に好ましくは3〜12員)のシクロアルケン環を有する化合物;シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン等のシクロアルカジエン類;シクロオクタトリエン等のシクロアルカトリエン類;及びこれらの誘導体等が含まれる。
前記共役化合物(A6)には、共役ジエン類(A6−1)、α,β−不飽和ニトリル(A6−2)、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、エステル、アミド、酸無水物等)(A6−3)等が挙げられる。
共役ジエン類(A6−1)としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2−クロロブタジエン、2−エチルブタジエン等が挙げられる。尚、共役ジエン類(A6−1)には、二重結合と三重結合とが共役している化合物(例えば、ビニルアセチレン等)も含めるものとする。
α,β−不飽和ニトリル(A6−2)としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(A6−3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。
前記アミン化合物(A7)としては、例えば、第1級又は第2級アミン[例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヒドロキシルアミン、エタノールアミン等の脂肪族アミン;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;ベンジルアミン、トルイジン等の芳香族アミン;ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン等の環状アミン(芳香族性又は非芳香族性環が縮合していてもよい)]等が挙げられる。
前記芳香族化合物(A8)としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フェナントレン、アントラセン、ナフタセン等の、少なくともベンゼン環を1つ有する芳香族炭化水素;少なくともベンゼン環が複数個(例えば、2〜10個)縮合している縮合多環式芳香族炭化水素等が挙げられる。また、前記ベンゼン環には、非芳香族性炭素環、芳香族性複素環、又は非芳香族性複素環が縮合していてもよい。これらの芳香族化合物は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。置換基を有する芳香族化合物としては、具体的に、2−クロロナフタレン、2−メトキシナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−ブロモアントラセン、2−メチルアントラセン、2−t−ブチルアントラセン、2−カルボキシアントラセン、2−エトキシカルボニルアントラセン、2−シアノアントラセン、2−ニトロアントラセン、2−メチルペンタレン等が挙げられる。
前記直鎖状アルカン又は分岐鎖状アルカン(A9)としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の炭素数1〜30程度(好ましくは炭素数1〜20)の直鎖状アルカン;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルプロパン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、3−メチルオクタン、2,2,4−トリメチルペンタン等の分岐鎖状アルカンが挙げられる。
前記オレフィン(A10)としては、例えば、置換基(例えば、ヒドロキシル基、アシルオキシ基等)を有していてもよいα−オレフィン、内部オレフィン、及びジエン等の炭素−炭素二重結合を複数個有するオレフィン等が挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−アセトキシ−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルチオフェン等の鎖状オレフィン;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、1,4−シクロヘキサジエン、リモネン、1−p−メンテン、3−p−メンテン、カルベオール、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン、α−ピネン、2−ボルネン等の環状オレフィン等が挙げられる。
上記の反応基質(A)は1種を単独で用いてもよく、同種又は異種のものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において、反応基質(A)としては、炭化水素が好ましく、例えば、前記の(A5)脂環式化合物、(A8)芳香族化合物、(A9)直鎖状又は分岐鎖状アルカン、及びオレフィン(A10)等の炭化水素が好ましい。
[環状イミド骨格を有するイミド化合物]
本発明の酸化物の製造方法で用いられる環状イミド骨格を有するイミド化合物としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017057141
式(I)において、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR'基(R'は水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。窒素原子とXとの結合は単結合又は二重結合である。前記イミド化合物は、分子中に、式(I)で表される環状イミド骨格を複数個有していてもよい。また、前記イミド化合物は、前記Xが−OR'基であり且つR'がヒドロキシル基の保護基である場合、環状イミド骨格のうちR'を除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、R'を介して結合していてもよい。
式(I)中、R'で示されるヒドロキシル基の保護基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基等のC1-4アルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロモベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル基等);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基等)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−メトキシエチル基等)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル基等)のヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基等;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基等のC1-20脂肪族アシル基等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基等のシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基等の芳香族アシル基等);スルホニル基(メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ−カルボニル基等)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基等)、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等)からOH基を除した基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチルホスフィノチオイル基等)、ジアリールホスフィノチオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基等)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基等)が挙げられる。
また、Xが−OR'基である場合において、環状イミド骨格のうちR'を除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、R'を介して結合する場合のR'としては、例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイル基等のポリカルボン酸アシル基;カルボニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基等の多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル基とアセタール結合を形成する基)等が挙げられる。
好ましいR'には、例えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)の加水分解により脱離可能な加水分解性保護基等が含まれる。
式(I)において、nは0又は1を示す。すなわち、式(I)は、nが0の場合は5員の環状イミド骨格を表し、nが1の場合は6員の環状イミド骨格を表す。
前記イミド化合物の代表的な例として、下記式(4)で表されるイミド化合物が挙げられる。
Figure 2017057141
式(4)中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR'基(R'は水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して二重結合を形成してもよく、環状イミド骨格を構成する炭素原子と共に環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、若しくはR6、又はR1、R2、R3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合、又は環状イミド骨格を構成する炭素原子と共に形成した環には、上記式(4)中に示される環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。
式(4)で表されるイミド化合物の置換基R1、R2、R3、R4、R5、及びR6におけるハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素、及びフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基等の炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。
アリール基には、例えば、フェニル、ナフチル基等が含まれ、シクロアルキル基には、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル基等が含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基等の炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。
置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル基等のC1-30アルコキシ−カルボニル基(特に、C1-20アルコキシ−カルボニル基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基等のシクロアルキルオキシカルボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカルボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(特に、C6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)等が挙げられる。
アシル基には、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基等のC1-30脂肪族アシル基(特に、C1-20脂肪族アシル基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基等のシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基等の芳香族アシル基等が含まれる。
アシルオキシ基には、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ基等のC1-30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1-20脂肪族アシルオキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基等のシクロアルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基等が含まれる。
前記置換基R1、R2、R3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子と共に形成してもよい環としては、例えば5〜12員環(特に好ましくは6〜10員環)である。前記環には、炭化水素環、複素環、及び縮合複素環が含まれる。このような環の具体例としては、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環等の置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環等の置換基を有していてもよいシクロアルケン環等)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環等の置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環等)、置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)(ベンゼン環、ナフタレン環等)を挙げることができる。前記環が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
前記R1、R2、R3、R4、R5、若しくはR6、又はR1、R2、R3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合、又は環状イミド骨格を構成する炭素原子と共に形成した環には、上記式(4)中に示される環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよく、例えば、R1、R2、R3、R4、R5、若しくはR6が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状イミド基が形成されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子と共に環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状イミド基が形成されていてもよい。
好ましいイミド化合物には、下記式(4a)〜(4i)で表される化合物が含まれる。式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、又はアシルオキシ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、又はハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接する基同士が結合して、式(4c)、(4d)、(4e)、(4f)、(4h)、又は(4i)中に示される5員又は6員の環状イミド骨格を形成していてもよい。Aはメチレン基又は酸素原子を示す。Xは前記に同じ。
Figure 2017057141
置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記R1〜R6における対応する基と同様のものが例示される。
置換基R17〜R26において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6程度のアルキル基、特に好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基)が例示され、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基(特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基)、置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)が例示される。また、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)が例示され、アシルオキシ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)が例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示される。置換基R17〜R26としては、特に、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子が好ましい。
好ましいイミド化合物のうち5員の環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α−メチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α,β,β−テトラメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、N,N'−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタルイミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタルイミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N'−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N,N'−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、α,β−ジアセトキシ−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(プロピオニルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(バレリルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(ラウロイルオキシ)コハク酸イミド、α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルフタルイミド、4−エトキシカルボニル−N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−4−ペンチルオキシカルボニルフタルイミド、4−ドデシルオキシ−N−ヒドロキシカルボニルフタルイミド、N−ヒドロキシ−4−フェノキシカルボニルフタルイミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(メトキシカルボニル)フタルイミド、4,5−ビス(エトキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(ペンチルオキシカルボニル)フタルイミド、4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(フェノキシカルボニル)フタルイミド等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'が水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、R'がアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシフタルイミド、N−(2−メトキシエトキシメチルオキシ)フタルイミド、N−テトラヒドロピラニルオキシフタルイミド等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'がヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシフタルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタルイミド等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'がスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタルイミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステル等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'が無機酸からOH基を除した基である化合物等が挙げられる。
好ましいイミド化合物のうち6員の環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−β,β−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N'−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド(N−ヒドロキシナフタルイミド)、N,N'−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'が水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、R'がアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N'−ビス(メトキシメチルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'がヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N'−ビス(メタンスルホニルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'がスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド又はN,N'−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステル等の式(4)におけるXが−OR'基で且つR'が無機酸からOH基を除した基である化合物等が挙げられる。
前記イミド化合物のうち、Xが−OR'基で且つR'が水素原子である化合物(N−ヒドロキシイミド化合物)は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により製造することができる。また、前記イミド化合物のうち、Xが−OR'基で且つR'がヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応するR'が水素原子である化合物(N−ヒドロキシイミド化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所望の保護基を導入することにより製造することができる。例えば、N−アセトキシフタルイミドは、N−ヒドロキシフタルイミドに無水酢酸を反応させることや、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより製造することができる。
特に好ましいイミド化合物は、脂肪族多価カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド(SP値:33.5[(MPa)1/2])、N−ヒドロキシフタルイミド(SP値:33.4[(MPa)1/2])、N,N'−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N'−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド等)、及び前記N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基を導入することにより得られる化合物等が含まれる。
イミド化合物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。前記イミド化合物は反応系内で生成させてもよいが、例えば、商品名「N−ヒドロキシフタルイミド」(和光純薬工業(株)製)、商品名「N−ヒドロキシコハク酸イミド」(和光純薬工業(株)製)等の市販品を好適に使用することができる。
また、イミド化合物は担体(例えば、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイト等の多孔質担体)に担持した形態で用いてもよい。
イミド化合物の使用量は、反応基質1モル(反応基質が2種以上である場合はそのモル総量)に対して、例えば0.0000001〜5モル程度、好ましくは0.00001〜1モル、特に好ましくは0.0001〜0.5モルである。イミド化合物を上記範囲で使用することにより、優れた反応速度で酸化反応を進行させることができる。
[その他の酸化反応条件]
本発明の酸化物の製造方法において用いる酸化剤としての酸素は、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈した酸素や、常圧又は加圧(1〜100気圧)の空気を使用してもよい。酸素の使用量は、反応基質1モルに対して1モル以上であれば特に限定されない。
本発明の酸化物の製造方法では溶媒を使用してもよいが、溶媒を使用しなくてもよい。反応基質と該反応基質の酸化物の合計量は、例えば、反応系内の液体成分全量の70重量%以上程度、好ましくは85重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。そして、溶媒を実質的に使用しない場合(例えば、反応基質と該反応基質の酸化物の合計量が、反応系内の液体成分全量の99重量%以上の場合)は、反応生成物である酸化物と溶媒を分離する必要がなく、製造プロセスの煩雑さを解消することができる。
前記溶媒としては極性溶媒や非極性溶媒が挙げられ、例えば、酢酸、プロピオン酸等の有機酸;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。なお、これらの溶媒は用いられる反応基質によって適宜選択でき、反応基質に比べて酸化しにくい溶媒を用いることができる。
本発明の酸化反応用触媒は、非極性溶媒(例えば、ベンゼンやトルエン等)下であっても高い触媒活性を有するため、極性溶媒下での酸化反応と比較して反応基質への影響が小さい。つまり、本発明の酸化物の製造方法では、溶媒として非極性溶媒を用いることができるために反応基質を変質させることなく、その結果、酸化物の収率が向上する。
酸化反応用触媒の使用量(2種以上を使用する場合はその総量)は、反応形式がバッチ式の場合、該酸化反応用触媒において担体に結合している遷移金属として、反応基質に対して、例えば0.00001〜10モル%程度、好ましくは0.0001〜2モル%である。
本発明の酸化物の製造方法において、酸化反応における反応温度は、反応基質の種類や目的生成物の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜200℃程度、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃、特に好ましくは80〜100℃である。また、酸化反応は常圧又は加圧下で行うことができ、加圧下で反応させる場合には、通常0.1〜20MPa程度、好ましくは0.15〜15MPa、特に好ましくは0.5〜10MPaである。
なお、後述のフローリアクターの温度コントロールは、例えば、フローリアクターを多重管構造として、内管若しくは外管に熱媒又は冷媒を通す方法や、フローリアクターを熱媒浴又は冷媒浴中に浸漬する方法等により行うことが可能である。
酸化反応における反応時間は、反応温度及び圧力に応じて適宜調整することができ、例えば0.05〜20時間程度である。
酸化反応は、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方法により行うことができる。
酸化反応終了後、酸化物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
<フローリアクター>
本発明のフローリアクターは、前記酸化反応用触媒を用いたフローリアクターであり、例えば、その内壁に酸化反応用触媒が固定されたフローリアクターや、その内部に酸化反応用触媒が充填されたフローリアクターが挙げられる。なお、その内壁に酸化反応用触媒が固定されており、さらにその内部に酸化反応用触媒が充填されたフローリアクターであっても良い。なお、フローリアクターの形状は特に限定されない。例えば、カラム状、キャピラリー状、チューブ状、マイクロリアクター等が挙げられる。
前記内壁に酸化反応用触媒が固定されたフローリアクターとしては、例えば、内壁の一部または全部が酸化反応用触媒で構成されているフローリアクターや、内壁が酸化反応用触媒を含む樹脂で構成されているフローリアクター等が挙げられる。この場合、少なくとも酸化反応用触媒の一部が気液混合物(反応気質を含有する液体と、酸素とを含む気体の混合物)と接触する必要がある。つまり、フローリアクターの内壁は、その一部が樹脂コーティング、グラスライニング等が施されていてもよいが、酸化反応効率の観点からは施されていないことが好ましい。なお、フローリアクター内壁への酸化反応用触媒の固定は、当該分野における公知乃至周知の方法で行うことができる。
前記内部に酸化反応用触媒が充填されたフローリアクターとしては、例えば、粒子状の酸化反応用触媒をフローリアクター内部に充填させたものが挙げられる。粒子状の酸化反応用触媒の粒子径は特に限定されないが、10〜10000μmが好ましく、より好ましくは20〜10000μm程度である。なお、フローリアクター内部への酸化反応用触媒の充填は、当該分野における公知乃至周知の方法で行うことができる。
前記フローリアクターの材質としては、反応に用いる気体や液体に対して不活性で溶解しないものであれば特に限定されず、例えば、樹脂[テフロン(登録商標)、ダイフロンなどのフッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂など]、無機酸化物(シリカ等)、ガラス、金属(チタン;ステンレス等の合金など)などを使用できる。フローリアクターを金属製等とする場合、気液混合物と接触する部位に、樹脂コーティング、グラスライニングが施されていてもよい。
前記フローリアクターの内径は、例えば、100mm以下(0.3〜20mm)程度である。フローリアクターの長さは、反応速度等に応じて適宜選択できるが、一般には、100mm〜20m程度である。
<酸化反応用装置>
本発明の酸化反応用装置は、前記フローリアクターを有していれば特に限定されないが、例えば、反応基質としての炭化水素を含有する液体が導入される液体導入流路と、酸素を含む気体が導入される気体導入流路と、前記液体導入流路から導入された液体と前記気体導入流路から導入された気体とを混合する気液混合部と、前記フローリアクターとを備えていてもよい。
図1は、本発明の酸化反応用装置の一例を示す概略フロー図である。なお、本発明は図1に記載される酸化反応用フローリアクターに限定されるものではない。以下に図1について説明する。
図1では、反応基質としての炭化水素が、炭化水素供給流路1を通じて気液混合部(気液混合器)3に供給される。前記炭化水素は、必要に応じて、溶媒に溶解した溶液の形態で供給してもよい。一方、酸素又は酸素含有ガス(例えば、空気等)が、気体導入流路2を通じて気液混合部3に供給される。酸素を含むガスに窒素等の不活性ガスを混入した後、気液混合部3に供給してもよい。
気液混合部(気液混合器)3としては、前記気体と液体とが混合され気液混合液を生成できる構造を有していれば特に限定されないが、例えば、気体と液体との混合効率及び気泡の液中での分散性等の観点から、マイクロバブル発生装置を用いることができる。マイクロバブルとは、発生時の気泡直径が50μm以下(一般に10〜40μm)の気泡を言う。マイクロバブル発生装置は、大きく加圧溶解方式と二相流旋回方式の2つのタイプに分けられるが、本発明では何れの方式のマイクロバブル発生装置も使用できる。また、市販のマイクロバブル発生装置(マイクロバブル発生器)を用いることができる。
気液混合器(気液混合部3)の材質としては、反応に用いる気体や液体に対して不活性で溶解しないものであれば特に限定されず、例えば、樹脂[テフロン(登録商標)、ダイフロン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂など]、ガラス、金属(チタン;ステンレス等の合金など)などを使用できる。気液混合器の材質を金属等とする場合には、気液混合物と接触する部位に、樹脂コーティング、グラスライニングがされていてもよい。
気液混合部3に供給された酸素を含む気体と反応基質としての炭化水素を含む液体は、気液混合器内で気液混合液となって排出され、気液混合物流路4を経てフローリアクター5内を流通する。フローリアクター5において、反応基質は酸化され、対応する酸化物が生成する。
フローリアクター5から排出された反応混合物は反応混合物流路6を通って気液分離器7に導入され、気体と液体とに分離される。フローリアクター5は、直接、気液分離器7に接続されていてもよい。分離された気体は排ガスライン10より外部に排出される。なお、分離された気体の少なくとも一部は、必要に応じて気体循環流路9を通じて、気体導入流路2に戻すことにより、反応系にリサイクルされる。一方、気液分離器7で分離された液体の少なくとも一部は、例えばポンプを用い、液体循環流路8を通じて、液体導入流路12より反応系にリサイクルできる。また、気液分離器7で分離された液体は、液体回収流路13より回収できる。さらに、必要に応じて、前記フローリアクター5の上流側、好ましくは気液混合部3又はそれより上流部に、前記環状イミド骨格を有するイミド化合物を導入するイミド化合物導入流路11を設けてもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1(コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)の調製)]
窒素気流下、ジムロート冷却器および攪拌機を装着した2Lのセパラブルフラスコに、15.5gのコバルト(II)アセチルアセトナート・二水和物と、1080mlのメタノールを投入して40℃で攪拌し、全てのコバルト塩を溶解させた。ここに、50.6gのエチルカルボン酸修飾シリカ(ワコーゲル50WCX)を加えて40℃で5時間反応させた後、反応混合物を吸引濾過することで、青〜桃色の固形生成物を得た。この固形生成物を、500mlのメタノールに投入して攪拌し、その後濾過して洗浄した。この操作を4回繰り返した後、120℃の真空乾燥器で恒量になるまで乾燥させ、目的物であるコバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を51.2g得た。得られた触媒のコバルト含有率は1.9重量%であった。
[実施例2(コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(2)の調製)]
窒素気流下、ジムロート冷却器および攪拌機を装着した2Lのセパラブルフラスコに、50.6gのエチルカルボン酸修飾シリカ(ワコーゲル50WCX)と290mlのアセトンを投入して40℃で攪拌した。ここに、15.5gのコバルト(II)アセチルアセトナート・二水和物を930mlのアセトンに溶解した溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後5時間攪拌した後、反応混合物を吸引濾過することで固形生成物を得た。この固形生成物を、500mlのアセトンに投入して攪拌し、その後濾過して洗浄した。この操作を4回繰り返した後、120℃の真空乾燥器で恒量になるまで乾燥させ、目的物であるコバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(2)を52.1g得た。得られた触媒のコバルト含有率は4.4重量%であった。
[実施例3(コバルト結合ウンデカン酸修飾シリカの調製)]
窒素雰囲気下、100mlの三つ口フラスコに、予め乾燥させた86mgの塩化白金酸六水和物、18gのウンデセン酸エチル、及び20gのトリエトキシシランを加え、室温で24時間反応させた。反応混合物を蒸留し、25gの11−(トリエトキシシリル)ウンデカン酸エチル(無色液体)を得た。
2Lセパラブルフラスコに予め乾燥させた20gのシリカゲルを投入し、1Lのトルエンを加えて室温で攪拌した。ここに、23gの11−(トリエトキシシリル)ウンデカン酸エチルを加えて室温で15分間反応させた。この反応混合物を80℃で蒸発乾固した後、150℃の真空乾燥器で12時間乾燥させて固形生成物を得た。
ジムロート冷却器を備えた1Lの三つ口フラスコに、上記で得られた固形生成物と750mlのアセトニトリル、および2.5gのヨウ化アルミニウムを加え、85℃で4時間反応させた後、室温まで冷却して反応混合物を濾別し、固形生成物を得た。この固形生成物を300mlの10%塩酸中で1時間、室温で攪拌した後、濾過及び洗浄し、25gのウンデカン酸修飾シリカを得た。
窒素気流下、ジムロート冷却器および攪拌機を装着した1Lのセパラブルフラスコに、25gのウンデカン酸修飾シリカと150mlのアセトンを投入し、40℃で攪拌した。ここに、6.6gのコバルト(II)アセチルアセトナート・二水和物を400mlのアセトンに溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後5時間攪拌した。反応混合物を吸引濾過し、青〜桃色の固形生成物を得た。この固形生成物を、250mlのアセトンに投入して攪拌後、濾過して洗浄した。この洗浄操作を4回繰り返した後、120℃の真空乾燥器で恒量になるまで乾燥させることにより、目的物である27gのコバルト結合ウンデカン酸修飾シリカを得た。得られた触媒のコバルト含有率は3.4重量%であった。
[実施例4(コバルト結合安息香酸修飾シリカの調製)]
予め乾燥させた30gのシリカゲルを2Lのセパラブルフラスコに投入し、1Lのトルエンを加えて室温で攪拌した。ここに、19gの4−(トリエトキシシリル)安息香酸エチルを加えた後、室温で15分間反応させた。この反応混合物を80℃で蒸発乾固した後、150℃の真空乾燥器で12時間乾燥させて固形生成物を得た。
ジムロート冷却器を備えた2Lのセパラブルフラスコに、上記の操作で得られた固形生成物と1.1Lのアセトニトリル、および3.7gのヨウ化アルミニウムを加え、85℃で4時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却してから反応混合物を濾別して固形生成物を得た。この固形生成物を室温の10%塩酸中で1時間攪拌した後、濾過、洗浄し、安息香酸修飾シリカ34gを得た。
窒素気流下、ジムロート冷却器および攪拌機を装着した1Lのセパラブルフラスコに、34gの安息香酸修飾シリカと200mlのアセトンを40℃で攪拌した。ここに、6.7gのコバルト(II)アセチルアセトナート・二水和物を400mlのアセトンに溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後5時間攪拌した。反応混合物を吸引濾過し、青〜桃色の固形生成物を得た。この固形生成物を、300mlのアセトンに投入して攪拌後、濾過することで洗浄した。この洗浄操作を4回繰り返した後、得られた固形生成物を120℃の真空乾燥器で恒量になるまで乾燥させ、目的物であるコバルト結合安息香酸修飾シリカを35g得た。得られた触媒のコバルト含有率は2.3重量%であった。
[実施例5(コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を用いた酸化反応1)]
500mlのオートクレーブ(東洋高圧製)に1.02g(6.25mmol)のN−ヒドロキシフタルイミド、4.68g(結合したコバルトとして1.59mmol)のコバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を投入した。ここに、12.8g(0.139mol)のトルエン、43.0g(0.376mol)の2,2,4−トリメチルペンタン、及び10.9g(0.109mol)のn−ヘプタンの混合溶液を加えた。その後、容器を密閉し、酸素と窒素の混合ガス(酸素:5.5体積%、窒素:94.5体積%)をゲージ圧が4.0MPaになるまで張り込んだ。撹拌しながら昇温し、約10分後に液温が90℃に達してから30分間反応させた。その後、約40分かけて液温が30℃になるまで冷却した。容器を解圧しながらオフガスの酸素濃度を計測したところ、1.2体積%であった。
[実施例6(コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(2)を用いた酸化反応)]
コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を、2.23g(結合したコバルトとして1.59mmol)のコバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(2)に変えたこと以外は実施例5と同様に反応させた所、オフガスの酸素濃度は1.3体積%であった。
[実施例7(コバルト結合ウンデカン酸修飾シリカを用いた酸化反応)]
コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を、2.74g(結合したコバルトとして1.59mmol)のコバルト結合ウンデカン酸修飾シリカに変えたこと以外は実施例5と同様に反応させた所、オフガスの酸素濃度は1.0体積%であった。
[実施例8(コバルト結合安息香酸修飾シリカを用いた酸化反応)]
コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を、3.99g(結合したコバルトとして1.59mmol)のコバルト結合安息香酸修飾シリカに変えたこと以外は実施例5と同様に反応させた所、オフガスの酸素濃度は1.2体積%であった。
[実施例9(コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を用いた酸化反応2)]
N−ヒドロキシフタルイミドをN−ヒドロキシこはく酸イミドに変えたこと以外は実施例5と同様の操作を行ったところ、反応終了後のオフガスの酸素濃度は1.9体積%であった。
[比較例1(コバルト担持硫酸化ジルコニア触媒の調製)]
1000mlビーカーに、55.0gの酸化ジルコニウムと、825mlの硫酸(0.5mol/L)を加え、室温で30分間攪拌した。スラリーを濾過して得られた固体を、真空乾燥器を用いて100℃で5時間乾燥させた後、窒素気流下、500℃で3時間焼成し、硫酸化ジルコニアを得た。得られた硫酸化ジルコニア50.0gに、硝酸コバルト六水和物5.0gを水70mlに溶解させた水溶液を加え、室温で3時間混合した。エバポレーターを用いて100℃で蒸発乾固させた後、真空乾燥器を用いて120℃で一晩乾燥させた。得られた固体を窒素気流下、400℃で5時間焼成し、コバルト担持硫酸化ジルコニア51.0gを得た。得られた触媒のコバルト含有率は2.0重量%であった。
[比較例2(コバルト担持硫酸化ジルコニア触媒を用いた酸化反応)]
コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を、4.69g(結合したコバルトとして1.59mmol)の前記コバルト担持硫酸化ジルコニア触媒に変えたこと以外は実施例5と同様に反応させた所、オフガスの酸素濃度は5.3体積%であった。
[比較例3(酸化コバルトを触媒として用いた酸化反応)]
コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を、0.28g(コバルトとして1.59mmol)の酸化コバルトに変えたこと以外は実施例5と同様に反応させた所、オフガスの酸素濃度は5.4体積%であった。
[比較例4(ステアリン酸コバルトを触媒として用いた酸化反応)]
コバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を、1.00g(コバルトとして1.59mmol)のステアリン酸コバルトに変えたこと以外は実施例5と同様に反応させた所、オフガスの酸素濃度は1.3体積%であった。なお、ステアリン酸コバルトを触媒として用いた場合、溶媒が均一系であることから触媒の再使用はできなかった。また、反応混合物は50℃程度以下でゲル状になるため反応物の分離、精製が困難であった。
[実施例10(触媒リサイクル)]
実施例5の反応スラリー液68.1gを回収し、グラスフィルターを使用し濾過した。濾滓をアセトンに懸濁させ、40℃下約5分間撹拌した後、グラスフィルターを使用し濾過した。この操作を再度行い、濾滓を80℃下30分間減圧乾燥することで、黄土色固体4.54gを得た。これを0.97g(5.95mmol)のN−ヒドロキシフタルイミドと共に500mlオートクレーブ(東洋高圧製)に投入した。そこに、12.4g(0.135mol)のトルエン、41.2g(0.361mol)の2,2,4−トリメチルペンタン、及び10.6g(0.105mol)のn−ヘプタンの混合溶液を加えた。その後、容器を密閉し、酸素と窒素の混合ガス(酸素:5.5体積%、窒素:94.5体積%)をゲージ圧が4.0MPaになるまで張り込んだ。撹拌しながら昇温し、約10分後に液温が90℃に達してから30分間反応させた。その後、約40分かけて液温が30℃になるまで冷却した。容器を解圧しながらオフガスの酸素濃度を計測したところ、1.1体積%であった。
[実施例11(フローリアクターの作成)]
7.9gのコバルト結合エチルカルボン酸修飾シリカ(1)を、200mlの2−プロパノールに分散させた。このスラリーを、高圧カラム充填機(ケムコ製)およびストレートパッカー筒を用いて50kgで加圧して、内径4.6mm×長さ250mmのSUS製クロマトカラム管に充填した後、内部の溶媒をトルエンに置換し、フローリアクター(触媒充填カラム)を作成した。
[実施例12(酸化反応用装置を使ったフロー反応)]
図2に示す様に、100mlの受器26(SUS316製)、気液混合ミキサー22(テフロン(登録商標)製、内径1mm)、フローリアクター24(内径4.6mm、全長250mm)、気液導入流路21、及び反応液循環流路23、25、27からなる酸化反応用装置を用意した。なお、気液導入流路とは気体導入流路及び液体導入流路の総称である。
トルエン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−ヘプタンの混合液15g(組成:トルエン20重量%、2,2,4−トリメチルペンタン63重量%、n−ヘプタン17重量%)を受器に仕込み、さらにN−ヒドロキシフタルイミド3.0gを加え、室温下で撹拌した。フローリアクターを外表面温度が90℃となるよう加熱し、気液導入流路より空気を流速6ml/minで混合ミキサーに供給すると共に、反応溶液(トルエン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−ヘプタンの混合液、及び上澄み液に溶解しているN−ヒドロキシフタルイミド)を流速3ml/minで気液混合ミキサーに供給することで気液混合流を発生させ、これをフローリアクターに連続的供給しながら、反応液を循環させた。8時間経過した後ポンプを停止し、受器内部の酸化物濃度をガスクロマトグラフィー(カラム:DB−17)により分析したところ、5.0mol%であった。
1 炭化水素供給流路
2 気体導入流路
3 気液混合部(気液混合器)
4 気液混合物流路
5 フローリアクター
6 反応混合物流路
7 気液分離器
8 液体循環流路
9 気体循環流路
10 排ガスライン
11 イミド化合物導入流路
12 液体導入流路
13 液体回収流路
21 気液導入流路
22 気液混合ミキサー
23 反応液循環流路
24 フローリアクター
25 反応液循環流路
26 受器
27 反応液循環流路
本発明の酸化反応用触媒は、低温、低圧下で、且つ、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても触媒活性が高いため、反応基質を高い転化率で酸化でき、また高い収率で対応する酸化物を得ることが可能であり、さらに酸化反応後であっても触媒活性が低下しないため再利用が可能である。また、本発明の酸化物の製造方法は前記酸化反応用触媒を用いるため、低温、低圧下で、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても高い転化率、及び高い収率で酸化物を得ることができる。また、本発明のフローリアクターを用いることで、低温、低圧下で、非極性溶媒下又は溶媒の非存在下であっても高い転化率、及び高い収率で酸化物を得ることができ、さらにフローリアクター内の酸化反応用触媒の触媒活性が低下しないため再利用が可能である。また、本発明の酸化反応用装置を用いることで、高い転化率、及び高い収率で、且つ効率的に酸化物を得ることができる。

Claims (10)

  1. 金属原子が有機連結基を介して担体と結合した酸化反応用触媒であって、
    前記有機連結基が、炭化水素基と前記金属原子に結合した官能基とを有し、
    前記金属原子に結合した官能基が、カルボキシル基、水酸基、スルホ基、チオール基、リン酸基、及びこれらの基から水素原子を除いた残基からなる群より選ばれる少なくとも1つである酸化反応用触媒。
  2. 前記金属が遷移金属である請求項1に記載の酸化反応用触媒。
  3. 前記金属がコバルト、マンガン、ジルコニウム、及びパラジウムからなる群より選ばれる少なくとも1つである請求項1又は2に記載の酸化反応用触媒。
  4. 前記有機連結基が、SiO基(−Si−O−)、TiO基(−Ti−O−)、又はPO基(−P−O−)を介して担体と結合する請求項1〜3の何れか1項に記載の酸化反応用触媒。
  5. 前記担体が、無機担体又は有機高分子担体である請求項1〜4の何れか1項に記載の酸化反応用触媒。
  6. 前記酸化反応用触媒が、下記式(1)で表される構造を有する請求項1〜5の何れか1項に記載の酸化反応用触媒。
    Figure 2017057141

    [式(1)中、Cは担体を示す。YはSiO基(−Si−O−)、TiO基(−Ti−O−)、又はPO基(−P−O−)を示し、酸素原子が担体と化学結合を有し、ケイ素原子、チタン原子、又はリン原子がRと化学結合を有する。Rは炭化水素基、Xは金属原子に結合した官能基、Mは金属原子、Lは金属原子に結合する基を示す。pは0〜6の整数を示し、pが2以上の場合、Lはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。mは1以上の整数を示し、mが2以上の場合、C、Y、R、及びXはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。]
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の酸化反応用触媒の存在下、反応基質を酸化することを特徴とする酸化物の製造方法。
  8. さらに、助触媒として環状イミド骨格を有するイミド化合物を用いる請求項7の酸化物の製造方法。
  9. 請求項1〜6の何れか1項に記載の酸化反応用触媒を用いたフローリアクター。
  10. 請求項9に記載のフローリアクターを有する酸化反応用装置。
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