JPWO2017022516A1 - 誘導加熱調理器及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書において、非接触とは、装置同士が電気的、及び物理的に結合(直接的に接続)されていない状態をいうが、装置同士が単に接触している状態、つまり装置上に被加熱物や受電機器などの装置が載置されている状態も含む。なお、ここで述べる非接触給電の呼称は、特に明示しない限り、電磁誘導型,磁界共鳴型,磁界共振型などを区別しない磁界結合型の非接触給電を指すものである。
負荷判別部により負荷が受電装置と判別された場合には、被加熱物であると判別された場合に比較して、負荷判別基準レベルを低くするように構成されている。例えば、負荷が鍋であれば、制御部は最大出力を一次コイルへ出力可能とし、操作部において一次コイルへの出力調整範囲を最大限とする。
このように、負荷の消費電力の大きさに応じて一次コイルの通電量を制限し、これに応じて、操作範囲や表示内容を変更するもので、使い勝手のよい非接触給電装置を提供するものである。
一方、検知手段が判断基準に従い、鍋ありと判断すると、高周波電流を供給し続け、鍋が誘導加熱される。つまり、インバータは、受信手段が、負荷装置の送信手段から所定の信号を受信した場合及び鍋検知手段が、鍋があることを検知した場合に、一次コイルに高周波電流を供給するように動作する。
しかしながら、負荷の種類に対応して設定範囲や設定方法などが変化するため、操作が煩雑になるという課題がある。また、受電側での給電電力制御であるため、送電側からの電源入り切りや電力等の制御に対応できず、加えて送電側の電力増大に対して、受電装置側で通電量制御範囲を超える電力に対応できない可能性が有り、その場合は負荷装置への電力供給が停止するので、使用者の利便性が損なわれるという課題がある。
また、本発明に係る誘導加熱調理器の制御方法によれば、被加熱物を誘導加熱する場合も、受電対象物に電磁誘導により給電を行う場合も、対象とする負荷に応じて、適切な電力量を効率よく供給できる誘導加熱調理器の制御方法を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の構成及び動作について図1から図15を参照して説明する。
図1は、誘導加熱調理器を概略的に示す全体斜視図である。図において、誘導加熱調理器1は、概略、主に板金で構成された筐体を具備する誘導加熱調理器本体2、その上側表面のほぼ全体を覆うガラス材などで形成されたトッププレート3、左右に配置された加熱部9,10、その後方に配置された別の加熱部11、及び調理用グリル4を備えている。加熱部9,10は、トッププレート3の下部に高周波磁場(磁界)発生コイル100(以下、電磁コイルと称する。)(図3を参照。)が配置された誘導加熱部(IH加熱部)である。さらに、別の加熱部11は、加熱源にラジエントヒータを用いたものでもよく、ラジエントヒータの代わりに電磁コイルを用いたIH加熱部でもよい。ここで、電磁コイル100は、誘導加熱に適した材料、例えば、銅などが用いられたコイルである。
なお、本実施の形態では、図1の左側に示す加熱部10を例に、IH加熱部について図示、説明するが、他の加熱部9、さらに後方の加熱部11がIH加熱部である場合には、これらも含め、本構成を採用するものであってもよい。
また、誘導加熱調理器1は、トッププレート3上の後背側に設けられた吸排気窓8a,8b,8cを有する。さらに、図1では、詳細図示されていないが、誘導加熱調理器1には、加熱部9,10に高周波電流を供給する駆動部40が内蔵されている。なお、誘導加熱調理器1は、図に示す各構成要件の配置や数に限定されるものではない。
以下、誘導加熱調理器1の動作について図を用いて説明する。
図2は、トッププレート3上の加熱部10の下部に配置された電磁コイル100の構成を示す平面図である。電磁コイル100は、線状導体を巻き回して形成された、いわゆる巻線からなるコイルが、同心円状に複数個配置されて構成されている。図2(a)に示す電磁コイル100は、内側コイル群と外側コイル群とからなる、それぞれ個別に巻回構成された複数のコイル(以下、個別コイルと称する。)101〜104で構成されており、例えば、個別コイル101と個別コイル102は、内側コイル群(以下、中央コイルと称する。)、個別コイル103と個別コイル104は、外側コイル群(以下、周辺コイルと称する。)であり、中央コイルを構成する個別コイル101と個別コイル102、及び周辺コイルを構成する個別コイル103と個別コイル104は、それぞれ、直列に接続されていても、独立したコイルでもよい。
同様に、複数のコイルで構成された図2(b),図2(c),図2(d)に示すコイルにおける、複数のコイル組み合わせは、任意に設定可能であるが、本実施の形態では、主に、中央コイルと周辺コイルの組み合わせからなるコイルについて説明する。
ここでは、電磁コイル100は、概ね、中央コイルで1,500W、周辺コイルで1,500Wの出力電力が得られるように構成されている。
ここで、図2(a)〜(c)に示す、中央コイルを構成する個別コイル102の外形は、好適には、14cm程度までのいわゆる小鍋の加熱に適した大きさであり、また、図2(a)に示す、周辺コイルを構成する個別コイル103の外形は、好適には、小鍋より大きく中程度の大きさの鍋で20cm前後の鍋を加熱するのに適した大きさであり、図2(c)の個別コイル103や図2(d)の個別コイル102と同程度の大きさである。さらに図2(a)に示す外コイルを構成する個別コイル104の外形や、図2(b)の個別コイル103〜106が形成する外コイルの外形は、好適には、それ以上のいわゆる大鍋を加熱するのに適した大きさである。
図3では、図2(a)で示した電磁コイル100の形態を用いて説明する。電磁コイル100は複数の個別コイル101〜104で構成されており、中央コイル101は、温度センサを取り付けるための20mm程度の間隙を設けて個別コイル102と直列に接続され、個別コイル102とは独立して10mm程度の間隙を設けて個別コイル103が設けられ、個別コイル103の外側には15mm程度の間隙を設け個別コイル104が直列に接続されており、個別コイル103と個別コイル104は、個別コイル102の周辺に外コイルとして配置されている。電磁コイル100は、その上面とトッププレート3とは、略3mm程度の間隙Gap1を保って配置されている。
なお、ここで示す各間隙寸法などの数字においても、本実施の形態の動作を限定するものではない。
加熱部10における電気特性とは、例えば、トッププレート3を介して電磁コイル100上に負荷が載置されたことによって変化する、駆動部40自体の電気特性や、駆動部40に接続された電磁コイル100や共振コンデンサ80などの電気特性などを示す。ここでいう電気特性の代表的なものとして、電圧、電流、周波数、抵抗値あるいは温度情報を電気信号に変換したものなどがある。
図4は、高周波磁界を発生する駆動部40の一例を含む回路図であり、図4に示す電源部30は、商用電源31から供給される交流電源をダイオードブリッジ32で整流し、チョークコイル331と平滑コンデンサ332からなる平滑回路33で直流に変換し、駆動部40に電源を供給する。駆動部40は、制御部50の指令に基づき、電磁コイル100に高周波電流を供給する。例えば、鍋Pを加熱するため、操作部5や操作部6が操作され、鍋Pを加熱する出力が調節されると、制御部50は、設定された出力(火力)で鍋Pを加熱するために、駆動周波数や高周波電流の大きさを制御して、設定された出力に応じた高周波電流を電磁コイル100に供給するように駆動部40を制御する。
駆動回路40aは、2つの半導体スイッチング素子401a,401bが直列に接続された半導体スイッチング素子対401(以下、アーム401と称する。)と、2つの半導体スイッチング素子402a,402bが直列に接続された半導体スイッチング素子対402(以下、アーム402と称する。)を含み、アーム401とアーム402のそれぞれの中点間に中央コイル101,102と共振コンデンサ81が直列に接続されたフルブリッジ回路により構成されている。
制御部50は、検知部60によって検知された負荷特性に基づき、トッププレート3上の状態、例えば、負荷の有無や材質、あるいは位置ずれなどの状態を判断する。ここで、検知部60の検出回路60a、60bが検出する駆動部40の負荷の電気特性は、例えば、電源部30に流れる電流、個別コイル101〜104に流れる電流、共振コンデンサ81,83に印加される電圧、駆動部40の出力電圧などである。なお、トッププレート3上に載置された負荷の状態を検知する手段は、温度センサや光センサなどであってもよい。
なお、各アームを構成する各半導体スイッチング素子には、スイッチング時のノイズを軽減するように、適宜、スナバコンデンサを並列に接続してもよい。
共振周波数f0aと共振周波数f0bを近い値に選定するのは、駆動回路40aと駆動回路40bを同一周波数fswcで駆動したとき、駆動周波数fswcと共振周波数f0aとの差と、駆動周波数fswcと共振周波数f0bとの差のうち、周波数差が大きい方のコイルに流れる高周波電流の大きさが小さくなり、その結果、中央コイルと周辺コイルの電流の大きさの違いによる加熱分布の不均一が生じてしまうのを抑制するためである。
一方、制御部50は、中央コイルと周辺コイルに供給される高周波電流の周波数差による干渉音を回避するため、制御信号S1〜S6の周波数f(=1/T)を同一周波数に設定する。駆動信号S1〜S6の周波数fは、駆動部40の各半導体スイッチング素子を駆動する駆動周波数fswであり、電磁コイル100に供給される高周波電流の周波数に等しい。このときの駆動周波数fswは、検知部60で検知された負荷特性に基づき制御部50により決定される。
これは、共振周波数f0と駆動周波数fswが近接しf0>fswの関係になると、駆動部40の各スイッチング素子の損失の増大を招き、破壊に至る恐れがあるのを防ぐためである。さらに、中央コイルと周辺コイルを駆動する高周波電流の周波数差による干渉音を回避するため、制御信号S1〜S6の周波数f(=1/T)を同一周波数に設定するのが望ましい。
図6において、半導体スイッチング素子401aと半導体スイッチング素子401bの直列体(アーム401)の中点には、共振コンデンサ81の一端が接続され、他の一端は個別コイル101を構成する巻線の巻き始めである個別コイル101の一端に接続されている。さらに、個別コイル101の他の一端は個別コイル102の巻き始めである一端に接続され、個別コイル102の他の一端は半導体スイッチング素子402aと半導体スイッチング素子402bの直列体(アーム402)の中点に接続されている。
図6において、個別コイル101〜104に符記されている黒い「点」は、コイルの巻線の巻き始めを表している。図6に示すIaは、互いに直列に接続された個別コイル101,102、共振コンデンサ81に流れる高周波電流であり、Ibは、互いに直列に接続された個別コイル103,104、共振コンデンサ83に流れる高周波電流を示している。
なお、図6では、高周波電流IaおよびIbの流れる経路は、半導体スイッチング素子401aから半導体スイッチング素子402bに流れる経路、および半導体スイッチング素子401aから半導体スイッチング素子403bに流れる経路についてのみ示しているが、別の周期において、半導体スイッチング素子401bと半導体スイッチング素子402a、半導体スイッチング素子401bと半導体スイッチング素子403a間の経路にも流れることはいうまでも無い。また、共振コンデンサ81と個別コイル101、個別コイル102および共振コンデンサ83と個別コイル103、個別コイル104の接続の並びは図6に限定されるものではない。
図7は、電磁コイル100上に被加熱物である鍋Pが載置された様子を示している。図7において、個別コイル101,102は、共振コンデンサ81と直列に接続され、駆動部40に接続されている。同様に、個別コイル103,104は、共振コンデンサ83、さらにスイッチ21と直列に接続され、駆動部40に接続されている。
なお、スイッチ21は、誘導加熱調理器1の動作を説明するために便宜上記載したものであり、実際には、スイッチ21は構成要素には含まれない。
従って、制御部50は、誘導加熱動作モードに移行すると、駆動部40の最大出力電力値MP1が3,000W程度となるように、出力電力値の調節範囲や駆動周波数fswなどの駆動条件が設定される。なお、複数の加熱源が同時に動作した場合の最大出力電力値は、これに限定されるものではない。
図8は、誘導加熱動作モード及び非接触給電動作モードにおける調節値と出力電力値の関係を示す図である。ここで、横軸は調節値α、縦軸は電磁コイル100で得られる出力電力値Pを表す。出力操作部としての操作部5,6での操作により出力調節を行うと、これに対応して横軸の調節値αが変化する。制御部50は、調節値αに応じて駆動部40を制御し、高周波電流Iの大きさを変化させる。これにより、出力電力値Pが増減する。図8において、誘導加熱動作モードにおける調節値αが、最大のα1となる場合に出力電力値Pが最大のMP1となり、これを第一の最大出力電力値MP1とする。
さらに、図8に示すように、出力電力の増減に応じて表示部7の状態、たとえば出力電力の調節値を表すLEDの点灯状態が変化し、最大出力電力値MP1でLEDが全灯状態となる。調節値の表示は、例えば数値であってもよく、状態の変化や設定値などを認知できる手段であればよい。
このように、誘導加熱動作モードでは、調節値αが最大値α1であるとき、駆動部40は第一の最大出力電力値MP1を出力する。出力操作部としての操作部5,6による出力電力の調節によって低出力電力値から最大出力電力値(約3,000W)まで広範囲にわたる出力電力が得られ、さらに出力電力の設定状態を表示部7によって確認しながら調理をすることができるので、使い勝手の良い調理器が得られる。
負荷判別手段の一例としては、駆動部40の出力電圧や高周波電流等の電気特性を取得し、これにより得られた負荷特性と、予め設定されている判別値と比較し判断する。例えば、駆動部40の負荷のインピーダンスや共振周波数の関係などを用いてもよい。また、入力電流や出力電流の関係を用い、予め設定された閾値と比較することで判別してもよい。
そして、負荷を検知する手段の一例として、電磁コイル100の両端に印加される駆動電圧V及び電磁コイル100に流れる駆動電流Iから被加熱物の電気特性を検知するものであれば、既知の任意の回路構成であってもよく、例えば、特開2012−054179号公報に開示された負荷検知部と同様の回路構成が想定される。
磁場を発生する電磁コイル100を含む磁場発生用励磁回路EXを駆動部40から見たときの負荷抵抗R及びインピーダンスZは、電磁コイル100による磁場に受電機器Aが載置される(結合する)ことで変化する。また、鍋Pなどの被加熱物が載置される(結合する)ことでも変化する。
受電機器Aの判別は、駆動部40に係る電気特性、すなわち、駆動部40により高周波電流が供給され駆動される電磁コイル100を含む磁場発生用励磁回路EXにおける駆動部40の電気特性などが検知部60により検出され、電気特性によって得られた負荷特性の結果により制御部50に設けられた負荷判別手段によって実行される。
電気特性としては、上述した磁場発生用励磁回路EXにおける周波数と負荷抵抗に関する特性の他、磁場発生用励磁回路EXにおける入力電流と出力電流とに関する特性などを用いることができる。但し、それらの特性は受電機器Aが載置された場合と、鍋Pなどの被加熱物が載置された場合とでは大きく異なり、これを検知部60による検知結果に基づき制御部50に設けられた負荷判別手段によって判別する。
図13に示すように、鍋Pなどの被加熱物に関する特性曲線Pに沿って判別値(負荷判定閾値)の判別用特性曲線Tが設定されており、検知部60の検出回路60a,60bにより検出された電気特性を取得し、負荷特性を生成する。制御部50は、検知部60からの負荷特性によりこの判別用特性曲線Tに基づいて負荷の特性が曲線Tの上方における領域に含まれる場合において、負荷を受電対象物である受電機器Aとして判別し、検知するものである。
そこで、制御部50は、負荷が受電機器Aであると判別された場合には、駆動部40から出力される最大電力値が1,500W以下となるように、図10に示すスイッチ21を開回路とし、周辺コイル(個別コイル103,104)を駆動部40から切り離し、中央コイル(個別コイル101,102)のみに切り替えるように制御する。
トッププレート3を介して電磁コイル100上に負荷が載置されると、駆動部40と制御部50により負荷を検知するため、検知用の駆動条件(例えば、高周波電流の周波数や電流の大きさなどの設定条件)で電磁コイル100に高周波電流を供給して、例えば、電流センサ61により個別コイル101,102に流れる高周波電流Iを検出し、電流センサ62により個別コイル103,104に流れる高周波電流Iを検出する。また、電流センサ63により電源入力の電流を検出する。このとき、例えば、図13に示すように、制御部50が、高周波電流Iの周波数fを連続的に変化させると、被加熱物である鍋Pと比較して、検知部60で検知される抵抗成分にピークが見られるので、制御部50は、鍋負荷とは電気特性の変化が異なることを利用して、検知部60で検知されたこれらの負荷特性と、予め設定された所定の判別値とを比較し、負荷判別手段によりトッププレート3上に載置された負荷が、受電機器Aであることを判別する(非接触給電動作モード)。
ここで、電磁コイル100に流れる高周波電流をI1、受電コイル502に流れる高周波電流をI2とすると、I2の大きさは、I1×(N1/N2)となる(理想トランスモデルとして仮定した場合。)。
この結果、高周波電流Iaは、電磁コイル100のうち中央コイルである個別コイル101,102にしか流れないため、誘導加熱動作モードにおける最大出力電力値MP1とは異なる。つまり、非接触給電動作モードでは、最大出力電力値は、第二の最大出力電力値MP2に設定される。
また、図9に示すように、出力電力値Pの増減に応じて、表示部7の状態、例えば、LEDの点灯状態が変化し、最大出力電力値MP2で全体の半分のLEDが点灯状態となる。調節値の表示は、例えば、数値であってもよく、状態の変化や設定値などを認知できる手段であればよい。
図8において、第二の最大出力電力値MP2におけるLEDインジケータの点灯状態を示す図では、誘導加熱動作モードの最大出力電力値MP1の半分である状態を示した。
そこで、操作部5,6で調節値αが1段階上げられる毎に、制御部50は、LEDの点灯数が2つずつ増加するように制御する。この様子を図9(d)に示す。このように、出力操作部としての操作部5,6及び表示部7を制御することで、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードとで、操作の範囲や表示内容が異なることがないので混乱を避けることができ、使い勝手のよい誘導加熱調理器を提供することができる。
あるいは、受電機器Aの受電コイル502が小さい場合でも、大きな給電コイルとしての電磁コイル100で給電してもよい。このように構成することによって、受電コイルと給電コイルの位置関係がずれても、効率よく給電することができる。
これによって、給電コイルとしての電磁コイル100により受電機器Aからなる受電対象物に給電されると、受電対象物から制御部50へ受電対象物が受電状態にあることを示す信号を送信することができる。この場合には、より正確な判別が可能となる効果が得られるが、受電側が通信するための最初の電源を送電側である駆動部40から供給し、受電側から送電側に識別信号を発信する(あるいは、送電側から受電機器Aへ問い合わせる。)必要があること、通信による判別データをあらかじめ受電機器Aごとに取得して記憶させておき、通信時に照合する必要があることなどの煩雑さがある。仮に、不特定多数の受電機器メーカが供給する受電機器Aとの通信に対応するには、メーカ間で共通の通信規格を設けることが望ましい。
この構成によれば、駆動部40から電磁コイル100を含む磁場発生用励磁回路EXに供給される高周波電流の周波数を、例えば、10kHzから100kHzの範囲で変化させながら検知部60により電気的特性を取得すると、磁場発生用励磁回路EXにおける負荷抵抗Rは、受電機器Aの受電回路AXの共振回路の共振点で最大値を持つことになり、受電機器Aからなる受電対象物についての判別動作を一層正確に行うことができる。
(1)全体構成
図1及び図3に示すように、誘導加熱調理器1は、誘導加熱調理器本体2に設けられ負荷が載置されるトッププレート3と、電磁誘導により負荷としての鍋Pなどの被加熱物への加熱作用を行い、あるいは、負荷としての受電機器Aなどの受電対象物への給電作用を行う磁場をトッププレート3上に発生させるための電磁コイル100と、電磁コイル100に高周波電流を供給する駆動部40と、駆動部40を制御する制御部50と、を備えている。
また、駆動部40に係る電気特性によりトッププレート3に載置された負荷の電気特性を検出する検知部60を備えている。
ここで、駆動部40に係る電気特性とは、駆動部40自体や、駆動部40に接続された電磁コイル100および共振コンデンサ80などにおける電圧,電流,周波数,抵抗値あるいは温度などである。具体的には、例えば、駆動部40における出力電圧V及び出力電流Iならびに電磁コイル100および共振コンデンサ80を含む磁場発生用励磁回路EXにおける負荷抵抗Rなどが挙げられる。
制御部50は、検知部60による検知結果により負荷が被加熱物であるか受電対象物であるか負荷の種別を判別する負荷判別手段を有する。
制御部50は、検知部60による検知結果により負荷の種別を判別し、負荷が被加熱物であると判別された場合には、駆動部40の出力範囲を第一の最大出力電力値MP1を有する第一の範囲(0〜MP1)に設定するとともに電磁コイル100を誘導加熱コイルとして誘導加熱動作モードで動作させる。
負荷が受電対象物であると判別された場合には、駆動部40の出力範囲を第一の最大出力電力値MP1よりも小さい第二の最大出力電力値MP2を有する第一の範囲(0〜MP1)よりも狭い第二の範囲(0〜MP2)に設定するとともに、電磁コイル100を給電コイルとして電磁誘導により受電対象物に給電する非接触給電動作モードで動作するように制御する。
ここで、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードとでは、駆動部40を制御するための制御部50における設定範囲や設定方法を変更させる必要はない。出力操作部としての操作部5,6により駆動部40からの出力調整を行うにあたっては、いずれの動作モード状態でも同じ操作部5,6により同じ手順で出力調整を遂行することができ、操作態様も変わらないので、操作性が損なわれることはない。
その際、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードで最大出力電力値を切り替えることで、各動作モードにおいて最適な電力範囲で動作するようにしたので、無駄な電力の発生を防止し、効率よく運転できるとともに、非接触給電動作モードでは過剰な電力の供給を抑制することができる。
これは、非接触給電動作モードでは、駆動部40の出力範囲を第一の最大出力電力値MP1よりも小さい第二の最大出力電力値MP2を有する第二の範囲(0〜MP2)に設定することで達成できることによるものであって、誘導加熱動作モードであるか非接触給電動作モードであるかに応じて設定範囲や設定方法などを変更させる必要はなく、操作性が保たれるため、利便性が損なわれることはない。
また、負荷が、被加熱物であるか受電対象物であるかの制御部50による判別は、検知部60により検知される駆動部40に係る電気特性に基づいて行われるので、検知結果に応じた駆動部40の制御は、簡潔な制御構成により容易に行うことができる。
駆動部40の出力範囲(第一の範囲:0〜MP1、または、第二の範囲:0〜MP2)における出力電力の調整は、誘導加熱調理器本体2に設けられた出力操作部としての操作部5,6での操作により行う。
これにより、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードの、いずれの動作モードにおいても、誘導加熱調理器本体2での操作により鍋Pなどの被加熱物の加熱電力や受電機器Aなどの受電対象物への供給電力が調節されるように構成されているので、誘導加熱調理器本体2側での操作だけで出力電力の調節が可能となり、動作の開始や停止も誘導加熱調理器本体2側で行うことができるので、使い勝手が向上する。
図3(a)に示すように、電磁コイル100は、平面状に巻回された個別コイルとしての中央コイル101,102と、中央コイルの周辺に配設された一つ以上の個別コイルとしての周辺コイル103,104とからなる誘導加熱コイルと、で構成されている。
これにより、電磁コイル100を複数の個別コイルで構成することにより、負荷の状態に応じて、任意の個別コイルを選択的に動作させることが可能となり、誘導加熱動作モードにおいては、個別コイルの切り替え運転等で、鍋の形状に合わせた効率動作や、加熱エリアを切り替えることで調理性能の向上が期待できる。また、非接触給電動作モードにおいては、不要な個別コイルの動作を停止することで、効率が向上すると共に、過剰な電力の供給を抑制し安全に動作させることが可能となる。
図3及び図4に示すように、駆動部40により駆動される電磁コイル100は、複数の個別コイルからなり、複数の個別コイル毎に駆動回路を有している。
これにより、複数の個別コイルにそれぞれ駆動回路を設けることで、負荷の状態に応じて必要な個別コイルを動作させることが可能となり、誘導加熱動作モードにおいては、個別コイルの切り替え運転等で、鍋の形状に合わせた効率動作や、加熱エリアを切り替えることで調理性能の向上が期待できる。また、非接触給電動作モードにおいては、不要な個別コイルの動作を停止することで、効率が向上するとともに、過剰な電力の供給を抑制し、安全に動作させることが可能となる。
図8に示すように、制御部50は、電磁コイル100により発生される磁場による電磁誘導によって受電対象物に給電する非接触給電動作モードでの最大出力電力値MP2は、電磁コイル100により被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードでの最大出力電力値MP1よりも小さくなるように駆動部40を制御する。
これにより、誘導加熱動作モードで必要とされる最大出力電力値MP1(例:〜3kW)に比較して、非接触給電動作モードで必要とされる最大出力電力値MP2は小さい(例:〜1.5kW)ので、最大出力電力値MP1,MP2を制御することで、不要な電力の消費を抑え、効率よく動作させることができるとともに、給電時に過剰な電力の供給を抑制し、安全に動作させることが可能となる。
制御部50は、負荷が受電対象物であり非接触給電動作モードであることを検出した場合には、電磁コイル100を構成する複数の個別コイルのうち、いずれか任意の個別コイルに高周波電流Iを供給し、最大出力電力値MP2を誘導加熱動作モードでの最大出力電力値MP1よりも小さくするように駆動部40を制御する。
これにより、誘導加熱動作モードで必要とされる最大出力電力値MP1(例:〜3kW)に比較して、非接触給電動作モードで必要とされる最大出力電力値MP2は小さい(例:〜1.5kW)ので、最大出力電力値MP1,MP2を制御することで、不要な電力の消費を抑え、効率よく動作させることができるとともに、給電時に過剰な電力の供給を抑制し安全に動作させることが可能となる。
また、特に、切り替え用の部品や回路を追加する必要なく、駆動する個別コイルを選択的に切り替えるように制御するので、簡易な構成で個別コイルの切り替えによる電力抑制を実現することができる。
図17に示すように、駆動部40を制御する制御部50は、電磁コイル100により被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードと、電磁コイル100により発生される磁場による電磁誘導によって受電対象物に給電する非接触給電動作モードとで、駆動部40から電磁コイルに供給する高周波電流の周波数を切り替える。すなわち、非接触給電動作モードにおける動作周波数は、誘導加熱動作モードの動作周波数の範囲における最大値より大きい(高い)。
これにより、高周波電流の周波数を切り替えることで、最大出力電力値MP1,MP2を調整できるため、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードで、複雑な制御を必要とせず容易に出力範囲(第一の範囲:0〜MP1、または、第二の範囲:0〜MP2)を変更できる。
図18及び図19に示すように、制御部50は、電磁コイル100により被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードと、電磁コイルにより発生される磁場による電磁誘導によって受電対象物に給電する非接触給電動作モードとで、電磁コイル100を含む磁場発生用励磁回路EXにおける共振回路の共振周波数を切り替える。
これにより、共振コンデンサの値を切り替え、共振回路の周波数を変更することで、最大出力電力値MP1,MP2を調整できるため、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードで、複雑な制御を必要とせず、容易に出力範囲(第一の範囲:0〜MP1、または、第二の範囲:0〜MP2)を変更することができる。
図20及び図21に示すように、制御部50は、電磁コイル100により被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードではフルブリッジ回路構成で動作し、電磁コイル100により発生される磁場による電磁誘導によって受電対象物に給電する非接触給電動作モードではハーフブリッジ回路構成で動作するように、駆動部40の回路構成を切り替える。
これにより、駆動信号を制御し、駆動部40の回路構成を切り替えることで、最大出力電力値MP1,MP2を調整することができるため、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードで、複雑な制御を必要とせず容易に出力範囲(第一の範囲:0〜MP1、または、第二の範囲:0〜MP2)を変更することができる。
被加熱物が磁場に配置された場合の負荷特性を示す負荷抵抗の周波数特性が、制御部50自体に予め判別用特性として設定され、制御部50は、受電対象物が磁場に配置された場合の負荷特性を示す負荷抵抗の周波数特性である判別用特性と比較することで、受電対象物が配置されているかどうかを判別する。
これにより、トッププレート3上に載置された負荷を誘導加熱調理器本体2側で検知することで、誘導加熱動作モードとするか非接触給電動作モードとするかを迅速かつ確実に判別できる。さらに、動作モードに合わせて表示や操作の設定が変更されるので、切り替え操作等を必要とせず、使い勝手が向上する。
駆動部40を制御する制御部50と受電機器Aなどの受電対象物とに通信機能が設定され、電磁コイル100による電磁誘導により受電対象物に給電されると、受電対象物から制御部50へ受電対象物が受電状態にあることを示す信号が送信される。
これにより、受電機器Aなどの受電対象物が、トッププレート3上に載置された場合に受電状態にあることが確認でき、受電対象物の判別をより一層正確に行うことができる。
受電機器Aなどの受電対象物には、電磁コイル100による電磁誘導により給電される受電コイル502と共振コンデンサからなる共振回路を構成する受電回路AXが設けられている。
図16は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器における負荷検知の処理手順を示すフローチャートである。実施の形態2では、誘導加熱調理器本体の加熱部のいずれか、または全てにおいて負荷が載置された場合に、負荷の種別を判別して最大出力電力値の切替えを行うものである。
トッププレート3上の加熱部10に負荷が載置され、加熱部10で加熱動作もしくは給電動作が開始されると、検知部60の検出回路60a,60bにより載置された負荷の電気特性が検出され、検知部60により、電気特性により負荷特性が検知される。制御部50は、負荷が受電機器Aであるか、被加熱物である鍋Pか、非加熱物(小物など)であるか、あるいは、負荷の有無を検知し、駆動部40の最大出力電力値MPの切替えを行う(図7、図8及び図10を参照。)。
まず、加熱部10に負荷が載置され、操作部5,6によって誘導加熱調理器本体2の動作が開始されると、検知部60は、負荷が載置された電磁コイル100に係る電気特性(駆動回路の電気特性)の検出を開始する(ステップS11)。制御部50は、加熱には不十分であるが、検知に十分な大きさの高周波電流Iが出力されるように駆動信号の位相θを制御すると共に、例えば、20〜100kHzの周波数範囲において、ある一定時間内で高周波電流Iの周波数(駆動周波数fsw)を掃引させながら駆動部40を制御する(ステップS12)。このときの電気特性の変化の様子から、制御部50は、制御部50に設けられた受電対象物を判別検知する負荷判別手段によって負荷が受電機器Aからなる受電対象物であるかどうかを判別する(ステップS13)。なお、このステップS13における判別時点では、検知部60における判別用特性曲線Tに対する閾値は、受電対象物検知用に設定されている。
一方、ステップS13で負荷が受電機器Aではないと判別されると、制御部50は、検知に十分な大きさの高周波電流Iが出力されるように駆動信号の位相θを制御すると共に、駆動周波数fswを鍋検知用周波数に設定し、駆動部40を制御する(ステップS16)。
このときの電気特性により加熱対象であるかどうかを判別し(ステップS17)、被加熱物ではない(加熱対象外)と判別された場合には、制御部50は駆動部40の動作を停止させる(ステップS20)。
なお、制御部50は、判別結果に応じて、誘導加熱動作モードであるか、非接触給電動作モードであるかが分かるように、表示部7に表示させるように制御してもよい。
実施の形態2における誘導加熱調理器1の制御方法では、まず、磁場を発生させるための電磁コイル100を駆動する駆動部40の電気特性を検出回路60a,60bで検出し、その電気特性(電流、電圧、周波数)に基づいて、検知部60は、磁場に配置された負荷の負荷特性(負荷抵抗の周波数特性)を検知する。さらに、制御部50の負荷判別手段により負荷特性に基づいて負荷が被加熱物であるか受電対象物であるかが判別される。
負荷が被加熱物であると判別された場合には、制御部50は、駆動部40の出力範囲を第一の最大出力電力値MP1を有する第一の範囲(0〜MP1)に設定すると共に電磁コイル100を誘導加熱コイルとして、被加熱物を加熱するように制御する。
受電対象物であると判別された場合には、制御部50は、駆動部40の出力範囲を第一の最大出力電力値MP1よりも小さい第二の最大出力電力値MP2を有する第二の範囲(0〜MP2)に設定されると共に電磁コイル100を給電コイルとして、電磁誘導により受電対象物に給電するように制御する。
これにより、誘導加熱調理器1において、トッププレート3に載置された負荷の種別が自動的に判別され、通常は誘導加熱コイルとして用いられる電磁コイル100を用いて、負荷に応じて通常の誘導加熱調理ができると共に、非接触で電力を供給する非接触給電装置としても動作させるようにしたので、利便性を向上させることができる。
これにより、受電機器を先行して確実に判別することができ、誤って誘導加熱動作モードに移行しないようにすることができる。
実施の形態3は、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードとで最大出力電力値の切り替えを行う実施の形態である。実施の形態3に係る誘導加熱調理器の駆動周波数の変更による最大出力電力値の切り替えについて、図17の駆動部を含む共振回路を示す回路図及び周波数と高周波電流(出力電力)の関係を示す図を主に参照して説明する。
図17(a)は、駆動部40を含む共振回路の簡易回路図である。また、図17(b)は、周波数fと、それに対して得られる高周波電流Iの関係を示したものである。
図17(a)において、コンデンサCは、図7における共振コンデンサ81,83、リアクタンスLは、電磁コイル100に相当する。また、図17(a)には、図示されていないが、図7同様、駆動部40、制御部50及び検知部60を備えている。
これにより、非接触給電動作モードにおいて、駆動部40に設定する駆動信号の周波数fswを制御する、つまり、駆動部40の動作特性の範囲を周波数により制御することで、簡単に最大出力電力値MPを抑制することができるので、受電機器Aへの過剰な電力供給を抑制して、給電動作を効率よく行う事ができると共に、切り替え回路等の追加の構成要素を必要せず、安価に構成できる。
前述した実施の形態1または実施の形態2の構成において、駆動部40を制御する制御部50は、電磁コイル100により被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードと電磁コイル100により発生される磁場による電磁誘導によって受電対象物に給電する非接触給電動作モードとで、駆動部40に供給する高周波電流Iの周波数を切り替える。
これにより、駆動周波数fswを変更することで、最大出力電力値MP1,MP2を調整することができるため、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードとで、複雑な制御を必要とせず容易に出力範囲(第一の範囲:0〜MP1、または、第二の範囲:0〜MP2)を変更することができる。
実施の形態4は、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードの最大出力電力値の切り替えを行う他の実施の形態である。実施の形態4に係る誘導加熱調理器の共振コンデンサの切り替えによる最大出力電力値の抑制について、図18及び図19に基づいて説明する。
ここで、式(1)及び式(2)におけるLは、負荷である受電機器Aとコイル100が結合された状態でのインダクタンスである。
スイッチ21が閉じられた状態では、回路の共振周波数が下がるので(f0’)、駆動周波数fswで駆動部40を動作させると、高周波電流Iは、スイッチ21が開放された場合より小さい出力となる。つまり、制御部50は、負荷が受電機器Aである場合に、スイッチ21を切り替えて、C83を追加することで、コイルLと直列に接続された共振コンデンサCの容量を大きくし、共振周波数f0を駆動周波数fswに対して低くすることで、得られる最大出力電力値MPを抑制するように制御する。
なお、負荷がトッププレート3を介して個別コイル103,104上に載置された場合には、共振コンデンサ83にスイッチ22と直列に接続された共振コンデンサ84を並列に接続して、スイッチ22を閉にし、コンデンサ容量を増加させて共振周波数f0を下げることによっても同様の効果が得られる。
なお、ここでは、図2(a)に示す複数コイルからなる電磁コイル100のうち、個別コイル101〜104について例示的に示したが、他の構成のコイルにおいても実現することができる。
前述した実施の形態1から実施の形態3までのいずれかの構成において、制御部50からなる制御手段は、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードで、共振回路の共振コンデンサを切り替える。
共振コンデンサCの値を切り替え、共振回路の共振周波数f0を変更することで、最大出力電力値MP1,MP2を調整できるため、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードで、複雑な制御を必要とせず、容易に出力範囲(第一の範囲:0〜MP1、または、第二の範囲:0〜MP2)を変更することができる。
実施の形態5は、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードの最大出力電力値の切り替えを行う他の実施態様である。実施の形態5の駆動部の回路構成の切り替えについて、図20及び図21を参照して説明する。
図20(a)は、概略の誘導加熱調理器1の駆動部40の一部を示す回路ブロックの概略図である。図20(a)では、スイッチング素子対401,402、共振コンデンサ80、電磁コイル100で構成されるフルブリッジ回路を示している。フルブリッジ回路は、図20(b)に示す二対の相補信号a,a’,b,b’による駆動信号で駆動され、電磁コイル100に高周波電流Iを供給する。駆動信号の周波数は、20〜100kHzの範囲内で、検知部60により検出された電気特性に応じて、制御部50が最適な周波数を設定する。例えば、電磁コイル100がトッププレート上に載置された負荷と結合された場合の駆動部40の共振周波数f0に対し、数kHz分だけ高い値Δfを加えた周波数を駆動周波数fswとして設定する。
駆動部40を構成する半導体スイッチング素子対401,402には、図20(a)では図示されていないが、商用電源31、ダイオードブリッジ32、平滑回路33を介して電源電圧Vが供給される。フルブリッジ回路が動作すると、共振コンデンサ80と電磁コイル100に両端には、位相差θの大きさに応じた期間Tθに、電源電圧|V|が駆動周波数fswの一周期ごとに印加される(図20(d))。一方、共振コンデンサ80と電磁コイル100と、トッププレート3上に載置された負荷との合成抵抗からなる駆動回路のインピーダンスZに流れる高周波電流をIとする。負荷Rは、電磁コイル100の抵抗成分と負荷との合成抵抗である。駆動回路に流れる電流Iは、式(5)のωL−(1/ωc)が“0”、すなわち|Z|=Rとなった時に最大となり、このとき最大出力電力値MPが得られる。
つまり、負荷が大きな電力を必要としない受電機器Aである場合、制御部50が駆動部40に出力する駆動信号を制御し、駆動部40の回路構成を切り替えることで、最大出力電力値MPを抑えることができる。
ここでは、図20、図21に示す簡易的な図面での回路構成の変更について説明したが、図6に示す実際の駆動回路に適用される場合には、半導体スイッチング素子対401を共有し、ハーフブリッジが2回路含まれた構成となる。
本実施の形態に係る誘導加熱調理器1は、実施の形態1から実施の形態4までのいずれかの構成において、制御部50は、誘導加熱動作モードでは、フルブリッジ回路構成で動作され、非接触給電動作モードでは、ハーフブリッジ回路構成で動作されるように、駆動部40の回路構成を切り替える。
これにより、回路構成を切り替えることで、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードで、複雑な制御を必要とせず、最大出力電力値MP1,MP2を調整できるため、動作モードに対応して、容易に出力範囲(第一の範囲:0〜MP1、または、第二の範囲:0〜MP2)を変更することができる。
図22は、実施の形態6における操作部の構成例を示す図である。実施の形態6は、スイッチ操作により、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードの最大出力電力値の切り替えを行う他の実施態様である。
図22に示すように、本実施の形態においては、操作スイッチにより非接触給電動作モードが任意に選択できるように構成されたものであり、誘導加熱調理器本体2の操作部5に誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードのいずれかを選択する操作スイッチとして動作モード切替スイッチ511が設けられている。操作スイッチにより非接触給電動作モードが選択されると、制御部50は、駆動部40の最大出力電力値MPを第二の最大出力電力値MP2に切り替えるように駆動部40を制御する。
図22(a)に示す操作部5は、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードのいずれかが選択され、動作を開始する動作モード切替スイッチ511と、給電電力値または出力電力値の大きさを調節するダウンスイッチ512、アップスイッチ513の操作スイッチを備えている。さらに、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードのいずれかで動作している場合に、動作を停止させるための停止スイッチ514の操作スイッチを備えている。なお、操作スイッチの種類や配置は、一例であり、これに限定されるものではない。
動作モード切替スイッチ511を複数回押下された場合には、最初の1回目から、順番に誘導加熱動作モード→非接触給電動作モード→誘導加熱動作モード→・・・と、押下される毎に動作モードが切り替わる。動作を停止させる場合は、停止スイッチ514を押下することで、いずれかの動作モードで動作している動作が停止される、または動作モードの選択がキャンセルされる。なお、ボタンの押下回数は、一例であって、押下時間の長さの違いで識別するようにしてもよい。
また、動作モードの選択が可能になり、制御部50による負荷の判別時間を削減することができる。さらに、仮に、判別が困難な負荷が載置された場合においても、適切に動作モードを選択することで、適正な動作を行うことができる。
また、選択された動作モードを識別することができるように、動作モード切替スイッチ511が押下されると、ここでは、図示しないが、選択された操作スイッチを光らせるようにしてもよい。例えば、操作スイッチそのものを光らせる、操作スイッチの周囲を光らせる、あるいは、動作モードが選択される対象の加熱部の近傍でトッププレート3上のいずれかに、視認し易い場所に、例えば、LEDランプなどの表示器を設けて、動作モードにより色分けして点灯させてもよい。
なお、上記では、操作スイッチの操作を制御部50が検知するような記述としたが、別に設けたマイコンなどが操作状態を判別し、制御部50に操作に応じた指令を出し、これに基づき制御部50が、駆動部40を制御するように構成されていてもよい。操作部5に動作モードを切り替える動作モード切替スイッチを設けることにより、利便性を向上させることができる。
本実施の形態に係る誘導加熱調理器1は、実施の形態1から実施の形態5までのいずれかの構成において、電磁コイル100により被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードと、電磁コイル100により発生される磁場による電磁誘導によって受電対象物に給電する非接触給電動作モードとを切り替える操作スイッチが設けられた操作部5からなる切替操作部を備えている。
これにより、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードとを任意に選択することができるので、利便性が向上する。
これにより、動作モードの状態を視認することができるので、利便性が向上する。
実施の形態7では、操作部において調節値が選択された場合に、誘導加熱動作モード及び非接触給電動作モードでのそれぞれの調節値(設定レベル)に対応して、出力電力値が予め決められた出力電力値設定テーブルを用いて、誘導加熱調理器の出力電力値の調節を行うことができる実施態様を示すものである。
図23から図31は、実施の形態7に係る誘導加熱調理器1の実施例1から3における動作を説明するための図であり、以下に、各実施例の動作の詳細について説明する。
ここで、実施の形態7における誘導加熱調理器1の構成は、実施の形態1の図3及び図4に記載のものを用いることができるので、構成要素の説明は省略する。なお、他の実施の形態の構成に対しても適用することが可能である。
図23に示す調節値αと出力電力値Pとの関係を表わす出力電力値設定テーブル、及び図24に示す調節値αと出力電力値Pとの関係を表わすグラフを参照して、実施の形態7における実施例1の動作について説明する。
図23は、調節範囲である10段階の調節値α(設定レベル)と出力電力値Pとの関係を示すデータテーブルである。また、図24は、図23のデータテーブルをより理解しやすくするため、図23の調節値α(設定レベル)と出力電力値Pとの関係を、横軸を調節値α、縦軸を出力電力値Pとするグラフで表わしたものである。ここでは、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードとで、異なる出力電力値Pが設定されている。このデータテーブルは、制御部50のメモリ等に予め記憶されていてもよく、あるいは、プログラムの中にデータテーブルとして記述されていてもよい。
すなわち、操作部6が操作されて出力電力値Pが調節される場合に、調節可能な範囲において、設定された調節値α(設定レベル)に対応する出力電力値Pの大きさは、各動作モードで異なる出力電力値Pが得られるように設定されている。
図27に示す調節値αと出力電力値Pとの関係を表わす出力電力値設定テーブル、及び図28に示す調節値αと出力電力値Pとの関係を表わすグラフを参照して、実施の形態7における実施例2の動作について説明する。
図27は、調節範囲である10段階の調節値α(設定レベル)と比率kaによる出力電力設定値の関係を示すデータテーブルである。また、図28は、図27のデータテーブルをより理解しやすくするため、図27の調節値α(設定レベル)と比率kaによる出力電力設定値との関係を、横軸を調節値α、縦軸を出力電力値Pとするグラフで表わしたものである。ここで、誘導加熱動作モードと非接触給電動作モードとで、異なる出力電力値Pが設定されている。このデータテーブルは、制御部50のメモリ等にあらかじめ記憶されていてもよく、あるいは、プログラムの中にデータテーブルとして記述されていてもよい。
ここでは、誘導加熱動作モードでの出力電力値Pを基準とする比率kaとしたが、逆に、非接触給電動作モードでの出力電力値Pを基準とする比率kb(kb>1)を用いてもよい。
図31に示す調節値αと出力電力値Pとの関係を表すグラフを参照して、実施の形態7における実施例3の動作について説明する。
実施の形態7の実施例3では、制御部50が予め設定された数式に基づいて、調節値αに応じて出力電力値P(火力)を変化させるものである。このとき、誘導加熱動作モードおよび非接触給電動作モードのいずれも、数式に基づいて出力電力値Pを決定してもよく、あるいはいずれかのモードで、数式に基づいて出力電力値Pを決定してもよい。
誘導加熱動作モードにおいて、調節値をαm、その時に得られる出力電力値をPmとすると、Pmは、式(6)で与えられる。
一方、非接触給電動作モードにおいて、調節値をαn、その時に得られる出力電力値をPnとすると、Pnは、式(7)で与えられる。
ところで、各動作モードにおける調節値αと出力電力値Pとの関係は、図31(a)のグラフで示されているように、MP1>MP2であり、各調節値αに対して所望の出力電力値Pが得られるようにa,b,c,dの値を予め設定することで、同一の調節値αに対して異なる出力電力値Pを得ることができる。例えば、MP1>MP2とすると、a>c(b≧d)となるように設定すればよい。図31(a)では、b=d=0の例を示している。
また、図23〜図31において、誘導加熱動作モードの調節範囲に対する出力電力値Pの変化は、便宜上、一次式で得られる直線で表現されているが、これに限定されず、図31(b)〜図31(d)に示すように、調節値αに対する出力電力値Pの変化の仕方は、調理の利便性に応じて、任意に設定されていてもよい。
図31(a)の非接触給電動作モードでは、調節値αの増加とともに出力電力値Pが直線的に増加するように設定されているのに対して、図31(b)の非接触給電動作モードでは、調節値αの増加とともに出力電力値Pが直線的に低下するように設定されている。
図31(c)の非接触給電動作モードでは、調節値αの増加とともに出力電力値Pが非線形的に漸増するように設定されている。また、図31(d)の非接触給電動作モードでは、調節値αの増加とともに出力電力値Pが図31(c)とは異なる非線形的に漸増するように設定されている。
Claims (19)
- 磁場を発生させるための電磁コイルと、
前記電磁コイルに高周波電流を供給する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の電気特性を検出する検出手段を有し、前記電気特性により前記電磁コイルの近傍に配置された負荷の負荷特性を検知する検知部と、
を備え、
前記制御部は、前記負荷特性により前記負荷が被加熱物であるか受電対象物であるかを判別する負荷判別手段を有し、前記負荷が前記被加熱物であると判別された場合には、前記駆動部の出力電力値の範囲を第一の最大出力電力値を有する第一の範囲に設定すると共に前記電磁コイルにより前記被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードで動作させ、前記負荷が前記受電対象物であると判別された場合には、前記駆動部の出力電力値の範囲を第二の最大出力電力値を有する第二の範囲に設定すると共に前記電磁コイルにより前記受電対象物へ給電する非接触給電動作モードで動作させるように制御することを特徴とする誘導加熱調理器。 - 前記負荷が載置されるトッププレートを備え、前記電磁コイルによる磁場を前記トッププレート上に発生させることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
- 前記電磁コイルに供給される前記高周波電流を調節する操作部を備え、
前記操作部での操作により前記駆動部の出力電力値の範囲において出力調節を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導加熱調理器。 - 前記第二の最大出力電力値は、前記第一の最大出力電力値よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御部は、前記誘導加熱動作モードと前記非接触給電動作モードとで、前記駆動部から前記電磁コイルに供給される前記高周波電流の周波数を切り替えることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御部は、前記誘導加熱動作モードと前記非接触給電動作モードとで、前記電磁コイルを含む磁場発生用励磁回路における共振回路の共振周波数を切り替えることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記駆動部は、フルブリッジ回路で構成されており、前記制御部は、前記誘導加熱動作モードではフルブリッジ回路構成で動作させ、前記非接触給電動作モードではハーフブリッジ回路構成で動作させるように、前記駆動部の回路構成を切り替えることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御部は、前記誘導加熱動作モード及び前記非接触給電動作モードにおける前記出力電力値を予め設定された出力電力値設定テーブルに基づいて調節することを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御部は、前記誘導加熱動作モード及び前記非接触給電動作モードにおける前記出力電力値を予め設定された数式に基づいて調節することを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱調理器。
- 前記電磁コイルは、平面状に巻回された中央コイルと、前記中央コイルの周辺に配設された周辺コイルとにより構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記電磁コイルは、複数の個別コイルからなり、前記複数の個別コイル毎に駆動回路を備えていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御部は、前記負荷が受電対象物であると判別した場合には、前記複数の個別コイルのうち、いずれか任意の前記個別コイルに高周波電流を供給するように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項11に記載の誘導加熱調理器。
- 前記負荷判別手段は、前記負荷特性と予め設定された判別用特性とを比較することにより、前記負荷が前記被加熱物であるか前記受電対象物であるかを判別することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記誘導加熱動作モードと、前記非接触給電動作モードとを切り替える操作スイッチを設けた切替操作部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記誘導加熱動作モードで動作しているか、前記非接触給電動作モードで動作しているかの動作モードを表示する動作モード表示部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記制御部と前記受電対象物との間に通信機能が設定されており、前記電磁コイルから電磁誘導により前記受電対象物に給電されると、前記受電対象物から前記制御部へ前記受電対象物が受電状態にあることを示す信号が送信されることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 前記受電対象物に、前記電磁コイルにより給電される受電コイルと共振コンデンサからなる共振回路とにより構成される受電回路が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の誘導加熱調理器。
- 磁場を発生させるための電磁コイルを駆動する駆動部の電気特性により、前記電磁コイルの近傍に配置された負荷の負荷特性を検知し、前記負荷が被加熱物であると判別された場合には、前記駆動部の出力電力値の範囲を第一の最大出力電力値を有する第一の範囲に設定すると共に前記電磁コイルにより前記被加熱物を加熱する誘導加熱動作モードで動作させ、前記負荷が受電対象物であると判別された場合には、前記駆動部の出力電力値の範囲を第二の最大出力電力値を有する第二の範囲に設定すると共に前記電磁コイルにより前記受電対象物へ給電する非接触給電動作モードで動作させるように制御することを特徴とする誘導加熱調理器の制御方法。
- 前記負荷が前記受電対象物であるかどうかを判別する処理手順、及び前記負荷が前記被加熱物であるかどうかを判別する処理手順を有し、前記受電対象物であるかどうかを判別する処理手順を先に実施することを特徴とする請求項18に記載の誘導加熱調理器の制御方法。
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