JPWO2016158927A1 - 不織布基材及び電池用セパレータ - Google Patents

不織布基材及び電池用セパレータ Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016158927A1
JPWO2016158927A1 JP2016559666A JP2016559666A JPWO2016158927A1 JP WO2016158927 A1 JPWO2016158927 A1 JP WO2016158927A1 JP 2016559666 A JP2016559666 A JP 2016559666A JP 2016559666 A JP2016559666 A JP 2016559666A JP WO2016158927 A1 JPWO2016158927 A1 JP WO2016158927A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
load
fabric substrate
point component
battery separator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016559666A
Other languages
English (en)
Inventor
信之 真鍋
信之 真鍋
小林 章洋
章洋 小林
勇 木暮
勇 木暮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Exsymo Co Ltd
Original Assignee
Ube Exsymo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Exsymo Co Ltd filed Critical Ube Exsymo Co Ltd
Publication of JPWO2016158927A1 publication Critical patent/JPWO2016158927A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/40Separators; Membranes; Diaphragms; Spacing elements inside cells
    • H01M50/489Separators, membranes, diaphragms or spacing elements inside the cells, characterised by their physical properties, e.g. swelling degree, hydrophilicity or shut down properties
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/40Separators; Membranes; Diaphragms; Spacing elements inside cells
    • H01M50/409Separators, membranes or diaphragms characterised by the material
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/40Separators; Membranes; Diaphragms; Spacing elements inside cells
    • H01M50/409Separators, membranes or diaphragms characterised by the material
    • H01M50/443Particulate material
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/40Separators; Membranes; Diaphragms; Spacing elements inside cells
    • H01M50/489Separators, membranes, diaphragms or spacing elements inside the cells, characterised by their physical properties, e.g. swelling degree, hydrophilicity or shut down properties
    • H01M50/491Porosity
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Cell Separators (AREA)

Abstract

大電流又は低温下での放電容量を低下させることなく、内部短絡の発生を防止することができる不織布基材及び電池用セパレータを提供する。電池用セパレータ10に用いられる不織布基材11について、マイクロメータで測定した初期厚さをT0(μm)、下記数式Aで求められる最小理論厚さをTmin(μm)、直径が200μmの平面圧子を用いて、最大荷重1.96×10−3N、最小荷重0.0196×10−3N、保持時間2秒、負荷速度0.142×10−3N/秒の条件で負荷−除荷試験を行ったときの最大荷重時の変位量Dmax(μm)と最小荷重時の変位量Dmin(μm)との差を回復量R(μm)としたとき、下記数式Bにより算出される圧縮変動率を30%以上、かつ、下記数式Cにより算出される形状回復率を60%以上にする。

Description

本発明は、電池のセパレータに用いられる不織布基材及びこの不織布基材を用いた電池用セパレータに関する。より詳しくは、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池に用いられる不織布基材及び電池用セパレータに関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、充放電時に電極材料が膨張・収縮し、これが電池の寿命を短くする原因の1つとして考えられている(非特許文献1参照)。例えば、電池の充放電に伴い活物質が膨張・収縮すると、電極を構成する合剤が膨張・収縮して、セパレーター破壊による内部短絡が発生する。そこで、従来、内部短絡の発生を防止するため、合剤に一定の空間を設けた電池が提案されている(特許文献1参照)。
また、非水電解質二次電池では、前述した電極材料の膨張・収縮によるセパレータ破壊の他に、電池内での発熱によるセパレータの収縮や溶融、デンドライトの生成などでも内部短絡が発生することが知られている。これらの内部短絡を防止する技術としては、セパレータの空隙率を高める方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開平9−213366号公報 特開2009−123399号公報
Peter Ruegg、"Why lithium-ion-batteries fail"、[online]、2013年10月17日、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(Swiss Federal Institute of Technology Zurich)、ETH Life、[平成27年1月23日検索]、インターネット<URL:https://www.ethlife.ethz.ch/archive_articles/131017_li-ion-battery_per/index_EN>
非水電解質二次電池は、その応用範囲が拡大するに従い「より大電流での使用に耐えうるもの」あるいは「より広い温度範囲での使用に耐えうるもの」が求められている。しかしながら、特許文献1に記載されているように合剤に空間を設けると、集電体と合剤との間又は合剤に含まれる活物質と導電剤との間の導通が低下するため、電池の内部抵抗が上昇し、より大電流又は低温での使用時に十分な放電容量を得ることができない。
一方、特許文献2に記載のリチウムイオン二次電池は、内部短絡の発生を防止すると共に、放電特性の向上を目的とし、セパレータの空隙率を高めているが、透気抵抗度が高いため、電池のレート特性が低下するという問題がある。
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、放電容量を低下させずに、内部短絡の発生を抑制することができる不織布基材及び電池用セパレータを提供することを目的とする。
非水電解質二次電池では、充放電時に活物質が膨張又は収縮するが、これにより活物質と集電体あるいは活物質と電解液との間に空隙が生じると推察される。電池内でこのような空隙が生じると、導通の低下による充放電の局所的な斑が発生し、電荷が集中した箇所で内部短絡が発生しやすくなる。そこで、本発明者は、セパレータに着目して検討を行い、特定の不織布基材を用いると、活物質の膨張及び収縮に追従可能となり、集電体や電解液と合剤との間に空隙が生じることを抑制でき、電荷集中による内部短絡を防止できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明に係る不織布基材は、電池用セパレータに用いられる不織布基材であり、マイクロメータで測定した初期厚さをT(μm)、下記数式1で求められる最小理論厚さをTmin(μm)、直径が200μmの平面圧子を用いて、最大荷重1.96×10−3N、最小荷重0.0196×10−3N、保持時間2秒、負荷速度0.142×10−3N/秒の条件で負荷−除荷試験を行ったときの最大荷重時の変位量Dmax(μm)と最小荷重時の変位量Dmin(μm)との差を回復量R(μm)としたとき、下記数式2より算出される圧縮変動率が30%以上であり、かつ、下記数式3により算出される形状回復率が60%以上である。
本発明の不織布基材は、圧縮変動率及び形状回復率が特定値以上であるため、活物質が膨張又は収縮すると、それに追従してセパレータも伸縮する。このため、本発明の不織布基材を用いた二次電池は、充放電に伴って活物質が膨張又は収縮した場合でも、電極と不織布基材とが隙間なく接触する。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
Figure 2016158927
この不織布基材は、原料繊維のうち少なくとも1種が、ポリオレフィン系樹脂からなる低融点成分と前記低融点成分よりも融点が20℃以上高い熱可塑性樹脂からなる高融点成分とで形成された複合繊維でもよい。
その場合、前記高融点成分には、例えばポリプロピレン及びポリエステルのいずれか一方又は両方を含むものを用いることができる。
本発明に係る電池用セパレータは、前述した不織布基材を用いたものである。
この電池セパレータは、前記不織布基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1種の無機粒子を含む絶縁層が設けられていてもよい。
その場合、前記絶縁層を構成する前記無機粒子には、ベーマイト粒子又はアルミナ粒子などを用いることができる。
これら絶縁層を備える電池セパレータは、例えば、JIS P8117に規定されるガーレー試験機法により測定した透気抵抗度が100秒/100ml以下、最大孔径が1.0μm以下であり、かつ、マイクロメータで測定した初期厚さをT’(μm)、下記数式4で求められる最小理論厚さをT’min(μm)、直径が200μmの平面圧子を用いて、最大荷重1.96×10−3N、最小荷重0.0196×10−3N、保持時間2秒、負荷速度0.142×10−3N/秒の条件で負荷−除荷試験を行ったときの最大荷重時の変位量D’max(μm)と最小荷重時の変位量D’min(μm)との差を回復量R’(μm)としたとき、下記数式5により算出される圧縮変動率が20%以上であり、下記数式6により算出される形状回復率が60%以上である。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
Figure 2016158927
本発明によれば、活物質の膨張又は収縮にセパレータが追従可能であるため、放電容量を低下させずに、内部短絡の発生を抑制することができる。
A〜Cは複合繊維の構造例を示す断面図である。 絶縁層を備える電池用セパレータの構成例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係る不織布基材について説明する。本実施形態の不織布基材は、電池用セパレータに用いられるものであり、圧縮変動率が30%以上、形状回復率が60%以上である。
[圧縮変動率]
圧縮変動率は、不織布基材の圧縮しやすさを示す値であり、下記数式7により算出することができる。ここで、下記数式7におけるT(μm)は、圧縮していない初期状態の不織布基材の厚さであり、マイクロメータにより測定した値である。また、Tmin(μm)は最小理論厚さであり、不織布基材を完全に潰すと原料繊維を構成する樹脂(素材)の塊又はフィルムになると仮定し、下記数式8に基づいて算出した値である。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
なお、複数の原料繊維素材を用いている場合は、上記数式8における原料繊維素材の密度は、原料繊維を構成する樹脂(素材)の密度と各原料繊維の配合比から算出すればよい。また、融点が異なる2種以上の成分で形成された複合繊維を用いている場合は、各成分の断面積比から原料繊維素材の密度を算出すればよい。例えば、鞘部と芯部を融点が異なる樹脂を用いて形成した鞘芯構造の複合繊維の場合は、原料繊維素材の密度は、鞘部と芯部の断面積比から算出することができる。
不織布基材の圧縮変動率が30%未満であると、電池用セパレータに用いた際に、活物質の膨張に追従することができず、内部短絡が発生しやすくなる。これに対して、本実施形態の不織布基材は、圧縮変動率が30%以上であるため、充電時に活物質が膨張しても、それに追従することが可能である。
不織布基材の圧縮変動率は、例えば、原料繊維を構成する複合繊維の成分比率を変えたり、原料繊維の構成比や製造時の加熱加圧条件などを調節して不織布基材の密度を変えたりすることで調整できる。そして、本実施形態の不織布基材のように圧縮変動率を30%以上にするためには、原料繊維に、ポリオレフィン系樹脂からなる低融点成分と、この低融点成分よりも融点が20℃以上高い熱可塑性樹脂からなる高融点成分とで形成された複合繊維を使用することが好ましい。
このような複合繊維の中でも、低融点成分からなる鞘部と、高融点成分からなる芯部とで構成され、鞘部と芯部の断面積比が、鞘部(低融点成分):芯部(高融点成分)=60:40〜5:95の範囲にある複合繊維を使用することが好ましく、鞘部(低融点成分):芯部(高融点成分)=50:50〜15:85の複合繊維を使用することがより好ましい。
また、不織布基材の密度は、原料繊維素材の密度の15〜70%の範囲にすることが好ましい。不織布基材の密度をこの範囲にするには、例えば原料繊維に鞘芯構造の複合繊維を用いている場合は、加熱温度が鞘部を構成する低融点成分の融点以上かつ芯部を構成する高融点成分の融点未満で、加圧条件が0.01〜3.00MPaの条件で加熱加圧すればよい。また、原料繊維に占める低融点成分の割合を5〜50質量%にすることによっても、不織布基材の密度を前述した範囲にすることができる。
[形状回復率]
形状回復率は、不織布基材を圧縮したときの回復性を示す値であり、下記数式9により算出することができる。ここで、下記数式9におけるR(μm)は不織布基材の回復量であり、負荷−除荷試験により測定された最大荷重時の変位量Dmax(μm)と、最小荷重時の変位量Dmin(μm)とを用いて、下記数式10により算出した値である。なお、負荷−除荷試験は、直径が200μmの平面圧子を使用し、最大荷重を1.96×10−3N、最小荷重を0.0196×10−3N、保持時間を2秒、負荷速度を0.142×10−3N/秒として行った。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
不織布基材の形状回復率が60%未満の場合、放電に伴う活物質の収縮に追従できず、内部短絡が発生しやすくなる。これに対して、本実施形態の不織布基材は、形状回復率が60%以上であるため、放電により合剤の体積が減少した場合でも、それに追従することが可能である。なお、活物質の収縮への追従性向上の観点から、不織布基材の形状回復率は70%以上であることが好ましい。
不織布基材の形状回復率は、例えば原料繊維に鞘芯構造の複合繊維を用いている場合は、複合繊維における低融点成分と高融点成分の比や、原料繊維に含まれる複合繊維の割合を変更することにより調整することができる。そして、本実施形態の不織布基材のように形状回復率を60%以上にするためには、原料繊維に、ポリオレフィン系樹脂からなる低融点成分と、この低融点成分よりも融点が20℃以上高い熱可塑性樹脂からなる高融点成分とで形成された複合繊維を使用することが好ましい。
このような複合繊維の中でも、低融点成分からなる鞘部と、高融点成分からなる芯部とで構成され、鞘部と芯部の断面積比が、鞘部(低融点成分):芯部(高融点成分)=60:40〜5:95の範囲にある複合繊維を使用することが好ましく、鞘部(低融点成分):芯部(高融点成分)=50:50〜15:85の複合繊維を使用することがより好ましい。また、原料繊維に含まれる複合繊維の割合を変更することにより調整する場合は、原料繊維に含まれる低融点成分と高融点成分で形成される複合繊維の割合を、60体積%以上とすることが好ましい。
[原料繊維]
本実施形態の不織布基材の原料繊維には、例えばポリオレフィン系樹脂からなる低融点成分と、この低融点成分よりも融点が20℃以上高い熱可塑性樹脂からなる高融点成分とで形成された複合繊維を用いることができる。図1A〜Cは複合繊維の構造例を示す断面図である。原料繊維に用いる複合繊維の構造は、特に限定されるものではなく、図1Aに示すような鞘芯複合型、図1Bに示すような偏心鞘芯型、図1Cに示すようなサイドバイサイド型の他、多芯型(海島型)など種々の構造のものを使用することができる。
図1Aに示す鞘芯複合型の複合繊維1、図1Bに示す偏心鞘芯型の複合繊維2及び多芯型(海島型)の複合繊維の場合は、鞘部(海部)を低融点成分4で形成し、芯部(島部)を高融点成分5で形成する。一方、図1Cに示すサイドバイサイド型の複合繊維3の場合は、低融点成分4と高融点成分5の割合が、断面積比で、低融点成分:高融点成分=1:9〜9:1であることが好ましい。
このような構成の複合繊維を原料に用いることにより、不織布基材の圧縮変動率を30%以上に、形状回復率を60%以上にすることができる。なお、原料に複数種の繊維を用いる場合は、少なくとも1種が前述した樹脂を用いた複合繊維であればよい。
一方、非水電解質二次電池用のセパレータに用いられる不織布基材は、内部短絡防止の観点から、水を含まない材料で形成されていることが好ましい。具体的には、原料繊維は、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂により形成されていることが好ましい。また、原料繊維に前述した低融点成分と高融点成分とで形成された複合繊維を用いる場合は、高融点成分がポリプロピレン及びポリエステルのいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。これにより、電池製造工程における乾燥時間を短縮できると共に、吸湿による短絡などの不具合の発生を低減できる。
以上詳述したように、本実施形態の不織布基材は、圧縮変動率及び形状回復率が特定値以上であるため、クッション性に優れ、充放電に伴う活物質の膨張及び収縮に追従することができる。そして、本実施形態の不織布基材を電池用セパレータに用いると、活物質の膨張及び収縮により集電体と合剤との間に空隙が生じることを抑制できるため、導通の低下による充放電の局所的な斑が発生せず、電荷集中による内部短絡の発生を防止できる。即ち、本実施形態の不織布基材を用いることにより、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池において、放電特性を低下させずに、内部短絡の発生を抑制することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る電池用セパレータについて説明する。本実施形態の電池用セパレータ(以下、単にセパレータともいう。)は、前述した第1の実施形態の不織布基材を用いたものである。
[不織布基材]
本実施形態の電池用セパレータで用いる不織布基材の厚さは、特に限定されるものではなく、電池の種類や性能、大きさなどに応じて適宜設定することができるが、内部短絡防止及び電池容量向上の観点から、5〜200μmとすることが好ましい。不織布基材の厚さが5μm未満の場合電極間の絶縁が十分に確保できない場合があり、また、不織布基材の厚さが200μmを超えると、限られた電池容積の中でセパレータが占める割合が高くなるため、電池容量の低下を招く。
本実施形態の電池用セパレータの構成は、特に限定されるものではないが、例えば、前述した不織布基材の片面又は両面に、少なくとも1種の無機粒子を含む絶縁層を設けた構成とすることができる。図2は絶縁層を備える電池用セパレータの構成例を模式的に示す断面図である。
[絶縁層12]
セパレータ10に設けられる絶縁層12に含有される無機粒子は、絶縁性を有するものであればよく、例えば、ベーマイトなどの水酸化酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、酸化チタン及び酸化亜鉛などの金属酸化物、又は硫酸バリウムなどの難溶性塩からなる粒子、シリカ粒子などの一般的な無機粒子を使用することができる。ただし、電解液がフッ素系の物を含む場合は、シリカ粒子を用いるとフッ化水素が発生して絶縁層が浸食される虞があるため、ベーマイト粒子又はアルミナ粒子を用いることが好ましい。
無機粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、セパレータ10の最大孔径を1.0μm以下にする場合は、光散乱法により測定した重量平均粒子径が2.0μm以下の無機粒子を使用することが好ましい。なお、セパレータ10の最大孔径及び平均粒子径は、市販の測定装置(ゼータ電位・粒径測定システムなど)を用いて測定することができる。
絶縁層12の厚さも特に限定されるものではなく、電池の種類や性能、大きさなどに応じて適宜設定することができるが、絶縁層12が厚くなると透気抵抗度が低下し、また絶縁層12が薄くなると、デンドライトによる短絡が発生しやくなる。そこで、透気抵抗度の向上及び内部短絡の発生防止の観点から、絶縁層12の厚さは、2〜20μmとすることが好ましく、4〜8μmとすることがより好ましい。
なお、絶縁層12は、不織布基材11の表面上に無機粒子がバインダー樹脂などを介して積層された状態で形成されていてもよく、また、不織布基材11の一部に無機粒子が入り込んだ状態で形成されていてもよい。不織布基材11の一部に無機粒子が入り込んだ状態の場合、絶縁層12の厚さは、無機粒子が存在している範囲を指す。
[絶縁層を備える電池用セパレータの特性]
本実施形態の電池用セパレータのうち絶縁層12を備えるものは、JIS P8117に規定されるガーレー試験機法により測定した透気抵抗度が100秒/100ml以下であり、最大孔径が1.0μm以下であることが好ましい。これにより、電池レート特性の低下や内部短絡の発生を抑制することができる。なお、セパレータの最大孔径が1.0μmを超えると、デンドライトがセパレータを貫通して内部短絡が発生することがある。
また、本実施形態の電池用セパレータのうち絶縁層12を備えるものは、下記数式11により算出される圧縮変動率が20%以上であることが好ましい。ここで、下記数式11におけるT’(μm)は、圧縮していない初期状態のセパレータの厚さであり、マイクロメータにより測定した値である。また、T’min(μm)は、下記数式12から算出されるセパレータの最小理論厚さであり、前述した数式8により算出される不織布基材の最小理論厚さTmin(μm)に、絶縁層の総厚さt(μm)を加えた値である。このように、セパレータの圧縮変動率を20%以上にすることにより、不織布基材が有する活物質の膨張への追従性を保持することができる。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
更に、本実施形態の電池用セパレータのうち絶縁層12を備えるものは、下記数式13により算出される形状回復率が60%以上であることが好ましい。ここで、下記数式13におけるR’は、セパレータの回復量であり、負荷−除荷試験により測定された最大荷重時の変位量D’max(μm)と、最小荷重時の変位量D’min(μm)とを用いて、下記数式14により算出した値である。なお、セパレータの負荷−除荷試験は、直径が200μmの平面圧子を使用し、最大荷重を1.96×10−3N、最小荷重を0.0196×10−3N、保持時間を2秒、負荷速度を0.142×10−3N/秒として行った。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
このように、セパレータの形状回復率を60%以上にすることにより、不織布基材が有する物質の収縮及びそれに伴う合剤の体積減少への追従性を保持することができる。
以上詳述したように、本実施形態の電池用セパレータは、クッション性に優れ、充放電に伴う活物質の膨張及び収縮に追従可能な不織布基材を用いているため、活物質が膨張及び収縮した際に集電体と合剤との間に空隙が生じることを抑制できる。このため、本実施形態の電池用セパレータを用いると、放電特性を低下させずに、セパレータ破壊による内部短絡の発生を抑制することができる。本実施形態の電池用セパレータは、種々の電池に適用可能であるが、特に、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池に好適である。
なお、図2には、不織布基材11の片面に絶縁層12が設けられた構成例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、不織布基材11の両面に絶縁層12が設けられていてもよく、その場合も同様の効果が得られる。また、本実施形態の電池用セパレータにおける不織布基材の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。
(第1実施例)
先ず、本発明の第1実施例として、以下に示す方法で実施例及び比較例の不織布基材を作製し、その性能を評価した。
(1)原反の作製
原料繊維に、ポリエチレン(PE)からなる低融点成分と、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)からなる高融点成分とで構成される複合繊維、及びポリプロピレン(PP)からなる単一繊維を用いて、下記表1に示す配合で、不織布基材用の原反A〜Sを作製した。なお、原反A,C,E,Fは、原料繊維における複合繊維の割合を75.1体積%とした。
Figure 2016158927
具体的には、先ず、各原料繊維を長さ3mmに切断して短繊維とし、それを、粘度調整剤を加えた水15L中に均一に分散させて、分散液を調製した。次に、この分散液を、縦250mm、横200mmの寸法のメッシュ上に抄紙し、湿ったウエブを作製した。得られた湿ったウエブは、ゴム製の2枚の加熱板間に挟み、汎用の加熱加圧機を用いて、温度140℃、圧力0.049MPaの条件で1分間プレスして乾燥した。これにより、短繊維の低融点成分が溶融して短繊維間が接合し、不織布基材用の原反A〜Sを得た。
(2)評価用試料の作製
次に、原反A〜Sを用いて、以下に示す方法でNo.1〜17、19〜23の不織布基材を作製した。また、比較のため、No.18としてPETフィルムを準備した。なお、以下に示すNo.1〜16、19〜23の不織布基材は本発明の実施例であり、No.17の不織布基材及びNo.18のフィルム基材は本発明の比較例である。
<No.1>
前述した方法で作製した原反Aを、ゴム製の2枚の加熱板間に挟み、汎用の加熱加圧機を用いて、更に、温度120℃、圧力20MPaの条件で5分間プレスすることにより表面を平坦化して、No.1の不織布基材を作製した。
<No.2>
原反Bを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.2の不織布基材を作製した。
<No.3>
原反Cを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.3の不織布基材を作製した。
<No.4>
プレスによる表面の平坦化を行わず、原反Dをそのままの状態でNo.4の不織布基材とした。
<No.5>
原反Dを使用し、プレス機の温度を130℃に変更した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.5の不織布基材を作製した。
<No.6>
原反Eを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.6の不織布基材を作製した。
<No.7>
原反Fを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.7の不織布基材を作製した。
<No.8>
プレスによる表面の平坦化を行わず、原反Gをそのままの状態でNo.8の不織布基材とした。
<No.9>
プレスによる表面の平坦化を行わず、原反Hをそのままの状態でNo.9の不織布基材とした。
<No.10>
プレスによる表面の平坦化を行わず、原反Iをそのままの状態でNo.10の不織布基材とした。
<No.11>
原反Aと原反Bとを積層し、その状態でゴム製の2枚の加熱板間に挟み、汎用の加熱加圧機を用いて、温度120℃、圧力20MPaの条件で5分間プレスしてNo.11の不織布基材を作製した。
<No.12>
原反Jを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.12の不織布基材を作製した。
<No.13>
原反Kを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.13の不織布基材を作製した。
<No.14>
原反Lを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.14の不織布基材を作製した。
<No.15>
原反Mを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.15の不織布基材を作製した。
<No.16>
原反Nを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.16の不織布基材を作製した。
<No.17>
原反Dを使用し、汎用の加熱加圧機の温度を145℃に変更した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.17の不織布基材を作製した。
<No.18>
厚さ100μmのPETフィルムを、No.18の基材とした。
<No.19>
原反Rを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.19の不織布基材を作製した。
<No.20>
原反Sを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.20の不織布基材を作製した。
<No.21>
プレスによる表面の平坦化を行わず、原反Oをそのままの状態でNo.21の不織布基材とした。
<No.22>
プレスによる表面の平坦化を行わず、原反Pをそのままの状態でNo.22の不織布基材とした。
<No.23>
原反Qを使用した以外は、前述したNo.1と同様の方法及び条件で、No.23の不織布基材を作製した。
(3)評価
次に、前述した方法で作製したNo.1〜17、19〜23の不織布基材及びNo.18のフィルム基材を、以下に示す方法で評価した。
[目付]
JIS P8124に規定されている方法で、各基材の目付を5点で測定した。そして、その平均値を算出して、各基材の目付とした。
[厚さ]
マイクロメータ(株式会社ミツトヨ製 クーラントプルーフマイクロメータMDC−25MJ)を用いて任意の3点の厚さを測定し、その平均値を各基材の厚さとした。
[密度]
JIS P8124に規定されている方法で測定した目付を、それぞれの厚さで除した値を各基材の密度とした。
[透気抵抗度]
各基材の透気抵抗度は、JIS P8117に準拠する透気抵抗度試験機(東洋精機株式会社製 ガーレー式デンソメーターG−B2)を用いて測定した。その際、各基材を透気抵抗度試験機の試験台に設置し、各基材に対して円筒部材によりその質量である567gの荷重を加え、各基材の円筒内に位置する領域(直径28.6mm、面積645mm)を100mlの空気が通過するのに要する時間を3点で測定し、その平均値を算出した。
[圧縮変動率]
各基材の圧縮変動率は、前述した数式7に基づき、各基材の初期厚さTから最小理論厚さを引いた値を、最小理論厚さTminで除することにより算出した。また、最小理論厚さTminは、前述した数式8に基づき、基材の坪量を、原料繊維素材の密度で除することにより算出した。その際、原料繊維を構成する各樹脂(素材)の密度は、PPを0.905g/cm、PEを0.915g/cm、PETを1.38g/cmとし、これらの値と、各原料繊維の配合比及び鞘芯構造の複合繊維の場合は鞘部と芯部の断面積比から算出した。
[クッション性]
各基材のクッション性は、形状回復率の値で評価した。具体的には、微小圧縮試験機の試験台に各基材を設置し、上部加圧圧子に直径200μmの平面圧子を使用し、下部加圧板にKSK平板を用いて、負荷−除荷試験を行い、回復量Rを測定した。その際、最大荷重を1.96×10−3N、最小荷重を0.0196×10−3N、保持時間を2秒、負荷速度を0.142×10−3N/秒とした。
各基材の形状回復率(%)は、前述した負荷−除荷試験により測定した回復量R(μm)と最小理論厚さTmin(μm)との和を、各基材の初期厚さTで除することにより算出した。そして、クッション性は、前述した方法で算出した形状回復率(%)に応じて、以下に示す2段階で評価した。
○:基材は圧縮されるが、形状回復率が60%以上である。
×:形状回復率が60%未満又は基材が圧縮されない(測定不能)。
以上の結果を、下記表2及び表3に示す。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
上記表3に示すように、本発明の比較例であるNo.17の不織布基材は、圧縮変動率が5%と低く、また、力をかけてもつぶれなかったため、形状回復率は測定できなかった。同様に、比較例であるNo.18のPETフィルムも、圧縮できず、つぶれないため、形状回復率は測定できなかった。更に、これらNo.17及びNo.18の基材は、空気を通しにくく、放電特性が低下するため、電池用セパレータ用途には不適であった。
これに対して、上記表2及び表3に示すように、本発明の実施例であるNo.1〜16、19〜23の不織布基材は、いずれも圧縮変動率が30%以上と高く、形状回復率も60%以上でクッション性も良好であった。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例として、以下に示す方法で実施例及び比較例の電池用セパレータを作製し、その性能を評価した。
(1)試料の作製
本実施例では、前述した第1実施例で作製した不織布基材の一方の面に、無機粒子を含む絶縁層を設けて、No.31〜36の電池用セパレータを作製した。なお、以下に示すNo.31〜35のセパレータは本発明の実施例であり、No.36のセパレータは本発明の比較例である。
<No.31>
水59.75質量部に対して、無機粒子としてベーマイト(アルミナ一水和物)粒子(平均粒子径1.0μm)31.5質量を分散した。この分散液に、バインダーとしてシリコーンアクリル樹脂8.75質量部を添加し、撹拌・混合することにより、固形分濃度が35質量%の塗工液を得た。
次に、No.2の不織布基材を所定の大きさに切断した後、不織布基材の表面に市販の撥水剤をスプレー塗工し、80℃で10分間乾燥させた。次に、不織布基材の一方の面を、コロナ表面処理装置により、出力:0.10kW、スピード:3.0m/分、パス数:1の条件で親水化処理した。そして親水化処理した面に、No.8のワイヤーバー(松尾産業株式会社製)を用いて、塗工液を塗布した。これを、100℃の温度条件下で、2分間乾燥させて絶縁層を形成し、No.31のセパレータを得た。このNo.31のセパレータの絶縁層の厚さは、4μmであった。
<No.32>
No.12のワイヤーバー(松尾産業株式会社製)を用いた以外は、前述したNo.31のセパレータを同様の方法及び条件で、No.32のセパレータを作製した。このNo.32のセパレータの絶縁層の厚さは、7μmであった。
<No.33>
No.16のワイヤーバー(松尾産業株式会社製)を用いた以外は、前述したNo.31のセパレータを同様の方法及び条件で、No.33のセパレータを作製した。このNo.33のセパレータの絶縁層の厚さは10μmであった。
<No.34>
市販の親水剤(ドデシル硫酸ナトリウム)の0.1%水溶液を用いて、原反Aの表面にスプレー塗工を施した後、80℃で10分乾燥させて、親水性の原反A’を得た。また、市販の撥水剤を用いて、原反Bの表面にスプレー塗工を施した後、80℃で10分乾燥させて、疎水性の原反B’を得た。そして、原反A’と原反B’とを積層し、その状態でゴム製の2枚の加熱板間に挟み、汎用の加熱加圧機を用いて、温度120℃、圧力20MPaの条件で5分間プレスして、不織布基材とした。
この不織布基材の親水性面(原反A’側)にNo.31で調製した塗工液をNo.8のワイヤーバー(松尾産業株式会社製)を用いて塗布した。これを、100℃の温度条件下で、2分間乾燥させて絶縁層を形成し、No.34のセパレータを作製した。このNo.34のセパレータの絶縁層の厚さは、4μmであった。
<No.35>
No.1の不織布基材に、No.16のワイヤーバー(松尾産業株式会社製)を用いて塗工液を塗布した以外は、前述したNo.31のセパレータを同様の方法及び条件で、No.35のセパレータを作製した。このNo.35のセパレータの絶縁層の厚さは、10μmであった。
<No.36>
No.17の不織布基材を用いた以外は前述したNo.31のセパレータを同様の方法及び条件で、No.36のセパレータを作製した。このNo.36のセパレータの絶縁層の厚さは、4μmであった。
(3)評価
次に、前述した方法で作製したNo.31〜36のセパレータについて、以下に示す方法で評価した。なお、各セパレータの目付、厚さ、透気抵抗度、圧縮変動率、形状回復率及びクッション性については、前述した第1実施例と同じ方法で測定した。
[最大孔径]
実施例及び比較例の各電池セパレータの最大孔径は、孔径分布測定器(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製、Porometer 3G zh)を用いて測定した。
以上の結果を下記表4にまとめて示す。なお、下記表4に示すセパレータ構造のうち「積層」とは、不織布基材の上に無機粒子を含む絶縁層が形成されている状態を示し、「充填」とは、不織布基材の一部に絶縁層を構成する無機粒子が入り込んでいる状態を示す。
Figure 2016158927
上記表4に示すように、本発明の実施例であるNo.31〜35のセパレータは、透気抵抗度が低く、クッション性にも優れていた。これに対して、本発明の比較例であるNo.36のセパレータは、空気を通しにくく、クッション性にも劣っていた。
以上の結果から、本発明の不織布基材を用いることにより、放電容量を低下させずに、内部短絡の発生を抑制可能な電池用セパレータを実現できることが確認された。
1〜3 複合繊維
4 低融点成分
5 高融点成分
10 セパレータ
11 不織布基材
12 絶縁層
即ち、本発明に係る不織布基材は、非水電解質二次電池用セパレータに用いられる不織布基材であって、原料繊維が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂又はその両方を用いて形成された断面円形状の繊維であり、マイクロメータで測定した初期厚さをT(μm)、下記数式1で求められる最小理論厚さをTmin(μm)、直径が200μmの平面圧子を用いて、最大荷重1.96×10−3N、最小荷重0.0196×10−3N、保持時間2秒、負荷速度0.142×10−3N/秒の条件で負荷−除荷試験を行ったときの最大荷重時の変位量Dmax(μm)と最小荷重時の変位量Dmin(μm)との差を回復量R(μm)としたとき、下記数式2より算出される圧縮変動率が30%以上であり、かつ、下記数式3により算出される形状回復率が60%以上である。
本発明の不織布基材は、圧縮変動率及び形状回復率が特定値以上であるため、活物質が膨張又は収縮すると、それに追従してセパレータも伸縮する。このため、本発明の不織布基材を用いた二次電池は、充放電に伴って活物質が膨張又は収縮した場合でも、電極と不織布基材とが隙間なく接触する。
この不織布基材は、原料繊維のうち少なくとも1種が、ポリオレフィン系樹脂からなる低融点成分と前記低融点成分よりも融点が20℃以上高い熱可塑性樹脂からなる高融点成分とで形成された複合繊維でもよい。
その場合、前記高融点成分には、例えばポリプロピレン及びポリエステルのいずれか一方又は両方を含むものを用いることができる。
本発明の不織布基材は、形状回復率を82%以上にすることができる。
[圧縮変動率]
各基材の圧縮変動率は、前述した数式7に基づき、各基材の初期厚さTから最小理論厚さ min を引いた値を、初期厚さT で除することにより算出した。また、最小理論厚さTminは、前述した数式8に基づき、基材の目付を、原料繊維素材の密度で除することにより算出した。その際、原料繊維を構成する各樹脂(素材)の密度は、PPを0.905g/cm、PEを0.915g/cm、PETを1.38g/cmとし、これらの値と、各原料繊維の配合比及び鞘芯構造の複合繊維の場合は鞘部と芯部の断面積比から算出した。
即ち、本発明に係る不織布基材は、非水電解質二次電池用セパレータに用いられる不織布基材であって、原料繊維の繊度が0.13〜0.20dtexであり、前記原料繊維のうち少なくとも1種が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂又はその両方を用いて形成された断面円形状の複合繊維であり、マイクロメータで測定した初期厚さをT(μm)、下記数式1で求められる最小理論厚さをTmin(μm)、直径が200μmの平面圧子を用いて、最大荷重1.96×10−3N、最小荷重0.0196×10−3N、保持時間2秒、負荷速度0.142×10−3N/秒の条件で負荷−除荷試験を行ったときの最大荷重時の変位量Dmax(μm)と最小荷重時の変位量Dmin(μm)との差を回復量R(μm)としたとき、下記数式2より算出される圧縮変動率が30%以上であり、かつ、下記数式3により算出される形状回復率が60%以上であり、密度が前記原料繊維素材の密度の15〜70%である。
本発明の不織布基材は、圧縮変動率及び形状回復率が特定値以上であるため、活物質が膨張又は収縮すると、それに追従してセパレータも伸縮する。このため、本発明の不織布基材を用いた二次電池は、充放電に伴って活物質が膨張又は収縮した場合でも、電極と不織布基材とが隙間なく接触する。
この不織布基材は、原料繊維のうち少なくとも1種が、ポリオレフィン系樹脂と前記ポリオレフィン系樹脂よりも融点が20℃以上高い熱可塑性樹脂からなる高融点成分とで形成された複合繊維でもよい。
その場合、前記高融点成分には、例えばポリプロピレン及びポリエステルのいずれか一方又は両方を含むものを用いることができる。
本発明の不織布基材は、形状回復率を82%以上にすることができる。
Figure 2016158927
Figure 2016158927
これに対して、上記表2及び表3に示すように、本発明の実施例であるNo.1〜9、11〜16、19〜23の不織布基材は、いずれも圧縮変動率が30%以上と高く、形状回復率も60%以上でクッション性も良好であった。

Claims (7)

  1. 電池用セパレータに用いられる不織布基材であって、
    マイクロメータで測定した初期厚さをT(μm)、
    下記数式Aで求められる最小理論厚さをTmin(μm)、
    直径が200μmの平面圧子を用いて、最大荷重1.96×10−3N、最小荷重0.0196×10−3N、保持時間2秒、負荷速度0.142×10−3N/秒の条件で負荷−除荷試験を行ったときの最大荷重時の変位量Dmax(μm)と最小荷重時の変位量Dmin(μm)との差を回復量R(μm)としたとき、
    下記数式Bにより算出される圧縮変動率が30%以上であり、かつ、下記数式Cにより算出される形状回復率が60%以上である不織布基材。
    Figure 2016158927
  2. 原料繊維のうち少なくとも1種は、ポリオレフィン系樹脂からなる低融点成分と前記低融点成分よりも融点が20℃以上高い熱可塑性樹脂からなる高融点成分とで形成された複合繊維である請求項1に記載の不織布基材。
  3. 前記高融点成分は、ポリプロピレン及びポリエステルのいずれか一方又は両方を含む請求項2に記載の不織布基材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布基材を用いた電池用セパレータ。
  5. 前記不織布基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1種の無機粒子を含む絶縁層が設けられている請求項4に記載の電池用セパレータ。
  6. 前記無機粒子は、ベーマイト粒子又はアルミナ粒子である請求項5に記載の電池用セパレータ。
  7. JIS P8117に規定されるガーレー試験機法により測定した透気抵抗度が100秒/100ml以下、最大孔径が1.0μm以下であり、
    かつ、マイクロメータで測定した初期厚さをT’(μm)、下記数式Dで求められる最小理論厚さをT’min(μm)、直径が200μmの平面圧子を用いて、最大荷重1.96×10−3N、最小荷重0.0196×10−3N、保持時間2秒、負荷速度0.142×10−3N/秒の条件で負荷−除荷試験を行ったときの最大荷重時の変位量D’max(μm)と最小荷重時の変位量D’min(μm)との差を回復量R’(μm)としたとき、
    下記数式Eにより算出される圧縮変動率が20%以上であり、
    下記数式Fにより算出される形状回復率が60%以上である請求項5又は6に記載の電池用セパレータ。
    Figure 2016158927
JP2016559666A 2015-03-31 2016-03-29 不織布基材及び電池用セパレータ Pending JPWO2016158927A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015072291 2015-03-31
JP2015072291 2015-03-31
PCT/JP2016/060068 WO2016158927A1 (ja) 2015-03-31 2016-03-29 不織布基材及び電池用セパレータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016158927A1 true JPWO2016158927A1 (ja) 2017-04-27

Family

ID=57005114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016559666A Pending JPWO2016158927A1 (ja) 2015-03-31 2016-03-29 不織布基材及び電池用セパレータ

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2016158927A1 (ja)
TW (1) TW201640715A (ja)
WO (1) WO2016158927A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018146833A1 (ja) * 2017-02-13 2018-08-16 シャープ株式会社 放電電極
KR101909413B1 (ko) 2017-03-03 2018-10-17 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 비수전해액 이차 전지용 세퍼레이터
KR102350567B1 (ko) 2017-04-14 2022-01-18 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 비수 전해액 이차 전지용 절연성 다공질층
US11458223B2 (en) * 2017-05-09 2022-10-04 Sharp Kabushiki Kaisha Discharge device and electric machine
CN109873164B (zh) * 2017-12-05 2021-08-20 宁德时代新能源科技股份有限公司 一种集流体,其极片和电化学装置
CN108517623A (zh) * 2018-03-26 2018-09-11 东莞市科迪实业有限公司 一种不织布厚度的高精度控制的生产工艺及方法
WO2020189597A1 (ja) * 2019-03-20 2020-09-24 三菱製紙株式会社 リチウムイオン電池用セパレータ

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003031197A (ja) * 2001-07-11 2003-01-31 Asahi Kasei Corp 電池用セパレーター
JP2009224341A (ja) * 2006-09-07 2009-10-01 Hitachi Maxell Ltd 電池用セパレータとその製造方法、およびリチウム二次電池
JP2012216426A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Daiwabo Holdings Co Ltd セパレータ材料及びその製造方法、並びにこれを用いた電池
JP2014075239A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Daiwabo Holdings Co Ltd 蓄電デバイス用セパレータおよびその製造方法、並びにこれを用いた電池

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6537696B2 (en) * 2000-12-20 2003-03-25 Daramic, Inc. Nonwoven separator for a nickel-metal hydride battery
JP2015085526A (ja) * 2013-10-28 2015-05-07 宇部エクシモ株式会社 積層体の製造方法及び積層体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003031197A (ja) * 2001-07-11 2003-01-31 Asahi Kasei Corp 電池用セパレーター
JP2009224341A (ja) * 2006-09-07 2009-10-01 Hitachi Maxell Ltd 電池用セパレータとその製造方法、およびリチウム二次電池
JP2012216426A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Daiwabo Holdings Co Ltd セパレータ材料及びその製造方法、並びにこれを用いた電池
JP2014075239A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Daiwabo Holdings Co Ltd 蓄電デバイス用セパレータおよびその製造方法、並びにこれを用いた電池

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
新版高分子辞典, vol. 初版, JPN6016021565, 1988, pages 530 - 534, ISSN: 0003446295 *
金村聖志, ハイブリッド自動車用リチウムイオン電池, vol. 初版, JPN6016021564, 26 March 2015 (2015-03-26), pages 135, ISSN: 0003446294 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016158927A1 (ja) 2016-10-06
TW201640715A (zh) 2016-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016158927A1 (ja) 不織布基材及び電池用セパレータ
EP2328209B1 (en) Separator for lithium ion secondary battery, method for manufacture thereof, and lithium ion secondary battery
JP2018056573A (ja) セパレータの製造方法
KR102059206B1 (ko) 단층 리튬 이온 전지 분리막
US20180277814A1 (en) Inorganic oxide powder, slurry containing same, nonaqueous electrolyte secondary battery, and method for manufacturing nonaqueous electrolyte secondary battery
KR20110050517A (ko) 비수계 2 차 전지용 세퍼레이터
An et al. Multilayered separator based on porous polyethylene layer, Al 2 O 3 layer, and electro-spun PVdF nanofiber layer for lithium batteries
CN110366787B (zh) 蓄电装置用分隔件、及蓄电装置
KR101164650B1 (ko) 셀룰로오스 나노섬유를 포함하는 이차전지용 다공성 분리막 및 그 제조방법
JP2012209235A (ja) 二次電池繊維状分離膜およびその製造方法
JP2004186273A (ja) 電気二重層コンデンサ用の電極シート、その製造方法、分極性電極および分極性電極を用いた電気二重層コンデンサ
JPWO2014208596A1 (ja) 電気化学素子用セパレータ及びリチウムイオン二次電池
KR20210049767A (ko) 고체 전지용 전극 및 고체 전지
JP2011210436A (ja) ポリオレフィン微多孔膜、非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池
JP2020017490A (ja) 固体電池用電極及び固体電池
JP2011258462A (ja) 非水系電気電子部品用薄葉材
WO2019102958A1 (ja) 電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子
US20200173074A1 (en) Nonwoven fabric and battery separator
JP6932534B2 (ja) 電気化学素子用セパレータ及び電気化学素子
JP2007311367A (ja) 電池
KR101028923B1 (ko) 다공성 코팅층이 코팅된 세퍼레이터의 제조방법
JP2015085526A (ja) 積層体の製造方法及び積層体
JP6579745B2 (ja) コンデンサ用セパレータおよびコンデンサ
JP4518223B2 (ja) 電気二重層コンデンサ用分極性電極およびその製造方法
JP2004186266A (ja) 電気二重層コンデンサ用分極性電極およびこの分極性電極の製造方法ならびにこの分極性電極を用いて製造された電気二重層コンデンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20161115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170120

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170314