JPWO2016139860A1 - ろう付け用合金粉末および接合部品 - Google Patents
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Abstract
ろう付け部の欠陥の発生が抑制され、被接合部の接合強度の向上が可能な、ろう付け用合金粉末を提供し、ろう付けされた被接合部の接合強度が高い接合部品を提供する。Ni、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素を55質量%以上含む粒子を用いて構成され、アモルファス相を含む合金粒子を10%以上含むとともに、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において90%を示す粒径をd90とするとき、d90≦60μmである、ろう付け用合金粉末とする。該ろう付け用合金粉末を用いて構成されたろう材により、複数の部材が接合されて形成されている、接合部品とする。
Description
本発明は、ろう付け用合金粉末および接合部品に関する。
なお、本明細書では、1つの粒を「粒子」といい、その粒子の集合体を「粉末」という。また、アモルファス相を含む合金粒子を「アモルファス合金粒子」といい、そのアモルファス合金粒子を10体積%以上含むように構成された合金粒子の集合体である合金粉末を「アモルファス合金粉末」という。また、実質的にアモルファス相を含まない結晶相により構成された合金粒子を「結晶合金粒子」といい、その結晶合金粒子の集合体である合金粉末を「結晶合金粉末」という。
なお、本明細書では、1つの粒を「粒子」といい、その粒子の集合体を「粉末」という。また、アモルファス相を含む合金粒子を「アモルファス合金粒子」といい、そのアモルファス合金粒子を10体積%以上含むように構成された合金粒子の集合体である合金粉末を「アモルファス合金粉末」という。また、実質的にアモルファス相を含まない結晶相により構成された合金粒子を「結晶合金粒子」といい、その結晶合金粒子の集合体である合金粉末を「結晶合金粉末」という。
従来、各種のステンレス鋼を用いて構成された自動車の排気ガス再循環装置(EGR:Exhaust Gas Recirculation System)の熱交換器(EGRクーラ)や、各種の耐熱合金を用いて構成されたガスタービンやスチームタービンなどの分野では、各種鉄系合金製の部材や部品のろう付け(ろう接合)が行われる。特に、排気ガス、燃焼ガス、スチームなどの腐食性の高い環境で使用するろう接合部品は、耐食性を高める効果を有するCrを含むNi基合金粉末を用いたろう材の使用が一般的である。また、ろう付け(ろう接合)温度を下げる目的で、融点を下げる効果を有するBやPを含むろう材も使用される。
代表的なNi合金系のろう材は、例えば、JIS規格やAWS規格で規格化されているBを含むBNi−2およびBNi−5や、Pを含むBNi−7などが挙げられる。これらのろう材は、圧延などの塑性加工が困難なほど脆く、一般的に合金粉末の形態で使用されている。また、特許文献1、2に記載のNi合金系耐熱ろう材は、CrとPとSi(珪素)などを含み、ぬれ性や塩水耐食性が良く、1050℃程度のろう付けができるとされている(特許文献1)。さらに、Al(アルミニウム)、Ca(カルシウム)、Y(イットリウム)、ミッシュメタルのうちの1種以上を含むことにより、機械的強度が高く、硫酸等に対する耐食性が良く、ろう付け時にスラグ発生がないとされている(特許文献2)。これらのろう材は、通常のアトマイズ法で作製される粉末や箔や棒などの形態で使用できるとされている。
上述したろう材は、適度な融点を備えている。従来のろう材を用いてろう付け(ろう接)を行う場合、例えば上述した組成を有する粉末を作製し、その粉末に対して適量のバインダを混合してペーストを作製し、そのペースト(以下、「粉末ろう材」という。)を被接合部に塗布して加熱する方法が一般的である。しかし、従来の粉末ろう材は、ろう付け部(ろう接部)に欠陥が発生しやすい。また、用途によっては被接合部の接合強度(ろう付け強度、ろう接強度)に不満があり、さらなる接合強度の向上が望まれている。
本発明の目的の1つは、ろう付け部の欠陥の発生が抑制され、被接合部の接合強度の向上が可能な、ろう付け用合金粉末を提供することである。また、もう1つの目的は、本発明のろう付け用合金粉末を用いてろう付けされた、被接合部の接合強度が高い接合部品を提供することである。
本発明の目的の1つは、ろう付け部の欠陥の発生が抑制され、被接合部の接合強度の向上が可能な、ろう付け用合金粉末を提供することである。また、もう1つの目的は、本発明のろう付け用合金粉末を用いてろう付けされた、被接合部の接合強度が高い接合部品を提供することである。
本発明者は、アモルファス相を含む粒子を所定の割合で含み、かつ、特定の粒度分布を有する粉末を適用することにより、上述した課題が解決できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち本発明のろう付け用合金粉末は、Ni、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素を55質量%以上含む粒子を用いて構成された合金粉末であって、前記合金粉末は、アモルファス相を含む合金粒子を10%以上含むとともに、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において90%を示す粒径をd90とするとき、d90≦60μmである。
すなわち本発明のろう付け用合金粉末は、Ni、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素を55質量%以上含む粒子を用いて構成された合金粉末であって、前記合金粉末は、アモルファス相を含む合金粒子を10%以上含むとともに、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において90%を示す粒径をd90とするとき、d90≦60μmである。
また、前記合金粉末は、アモルファス相を含む合金粒子を40%以上含むことが好ましい。
また、前記合金粉末は、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において10%、50%、および90%を示す粒径をそれぞれd10、d50、およびd90とするとき、(d90−d10)/d50≦1.5であることが好ましい。
また、前記合金粉末は、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において10%、50%、および90%を示す粒径をそれぞれd10、d50、およびd90とするとき、(d90−d10)/d50≦1.5であることが好ましい。
また、前記合金粉末の成分は、組成式:M100−x−y−zCrxQySiz(質量%)で表され、前記MはNi、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記QはB、Pから選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記xは15≦x≦30を満たし、前記yは1≦y≦12を満たし、前記zは0≦z≦8を満たし、かつ、7≦y+z≦15を満たすことが好ましい。
また、前記Mの一部が、5質量%以下のMoに置換されていてもよい。
また、前記Mの一部が、2質量%以下のCuに置換されていてもよい。
また、前記Mの一部が、5質量%以下のMoに置換されていてもよい。
また、前記Mの一部が、2質量%以下のCuに置換されていてもよい。
また、本発明のろう付け用合金粉末を用いて構成されたろう材により、複数の部材が接合されて形成されている、接合部品を得ることができる。
本発明のろう付け用合金粉末は、ろう付け部(ろう接部)に欠陥が発生し難いため、被接合部の接合強度の向上に寄与できる。
また、本発明のろう付け用合金粉末を用いて構成されたろう材を、複数の部材のろう付け(ろう接)に適用することにより、被接合部の接合強度が高い接合部品を得ることができる。
また、本発明のろう付け用合金粉末を用いて構成されたろう材を、複数の部材のろう付け(ろう接)に適用することにより、被接合部の接合強度が高い接合部品を得ることができる。
本発明のろう付け用合金粉末は、Ni、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素を55質量%以上含む粒子(合金粒子)を用いて構成された合金粉末である。なお、当該合金粒子を構成する元素については後述する。
本発明に係るろう付け用合金粉末においては、粒子数の割合でアモルファス合金粒子を10%以上含むとともに、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線(以下、「累積分布」という。)におけるd90が60μm以下であることが重要である。このような、アモルファス相を含むアモルファス合金粒子を所定の割合で含み、かつ、特定の粒度分布を有する合金粉末に構成することにより、その合金粉末を用いたろう付け部の欠陥の発生が抑制され、被接合部の接合強度の向上が可能になる。
アモルファス合金粒子は、結晶合金粒子に比べ、粒子の表面が平滑に形成される。そのため、アモルファス合金粒子は、同一粒径であれば、結晶合金粒子よりも表面積(全表面積)が小さくなり、粒子の表面に形成される酸化物層の量(体積値)が小さくなる。従って、アモルファス合金粒子に含まれる酸素含有量は、同一粒径であれば結晶合金粒子よりも少なくなる。また、アモルファス合金粒子は、粒子相互の化学成分が結晶合金粒子よりも均質で、かつ、ばらつきが小さい。そのため、アモルファス合金粒子が加熱により結晶化した場合であっても、その組織は、結晶合金粒子が同様に加熱された後の組織に比べ、均質になる傾向があるとともに、ばらつきも小さくなる傾向がある。
従来、ろう付け用合金粉末は、酸化物層の量(体積値)が多い場合や、加熱後の組織の均一性が低いとともに成分ばらつきが大きい場合には、加熱により溶融して液状になったろう材(以下、「ろう」という。)の濡れ性が低下する傾向が確認されている。従って、結晶合金粉末をろう付け用材料(ろう材)に用いると、加熱により溶融して液状になったろうが、被接合面上に濡れ拡がる際に気泡の巻き込みが発生しやすい。
これに対し、上述したアモルファス合金粒子を10%以上含むように構成されたアモルファス合金粉末は、加熱により溶融して液状になると、被接合物(基材)に対して良好な濡れ性を示す傾向がある。そのため、こうしたアモルファス合金粉末をろう材に用いると、被接合面上にろうが滑らかに濡れ拡がり、被接合部のろう層部分への気泡の巻き込みが抑制される。よって、アモルファス合金粉末を用いたろう材は、被接合部のろう層部分において残留気泡に起因する欠陥の発生が抑制され、被接合部の機械的強度の低下が防止され、被接合部の接合強度が高い接合部品を得ることができる。
以上述べたように、本発明のろう付け用合金粉末(アモルファス合金粉末)は、アモルファス相を含む合金粒子(アモルファス合金粒子)を10%以上含むことが重要である。アモルファス合金粒子の含有割合が10%未満であると、上述した濡れ性の向上効果がほとんど期待できないため、ろう付け後の被接合部の接合強度の向上効果がほとんど得られない。上述した濡れ性の向上効果を得る観点では、アモルファス相を含む合金粒子を40%以上含むことが好ましく、前記接合強度がより向上される。より好ましくは、アモルファス相を含む合金粒子を80%以上含むことであり、前記接合強度がより一層向上される。
本発明のろう付け用合金粉末は、アモルファス合金粒子を含む合金粒子の集合体である。本発明では、前記ろう付け用合金粉末におけるアモルファス合金粒子の含有割合(粒子数割合)を、組織観察によって求めるものとする。具体的には、まず、前記ろう付け用合金粉末から無作為に選んだ複数の粒子(以下、「粉末」という。)を樹脂に埋め込み、平坦面が形成されるように研磨し、さらにマーブル液を用いてエッチングすることにより、粉末の断面を含む観察面を作製する。次いで、光学顕微鏡により適切な倍率で観察される観察面において、0.5mm角の範囲に存在するアモルファス合金粒子の数(粒子数NA)と合金粒子の総数(総粒子数N)をカウントする。
前記カウントを行う場合、図4に示すように、焦点が合う(周囲の輪郭がはっきりしている)部分がある粒子の断面において、デンドライトなどの結晶組織が観察されない粒子(図4中と図5中に示す白色断面の粒子)をアモルファス合金粒子と判定し、結晶組織が観察される粉末粒子を結晶合金粒子と判定する。
なお、上述した結晶組織が観察されない合金粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による電子線回折によって表面構造を調べた結果、アモルファス状態であることを確認している。また、上述した結晶組織が観察されない合金粒子と結晶組織が観察される粒子の混合により構成されている粉末は、X線回折パターンを調べると、図6に示すように、アモルファス合金粒子1に対応するアモルファス相を示すハローパターン4、および結晶合金粒子2に対応する結晶ピーク3を確認することができる。
また、本発明のろう付け用合金粉末は、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線(累積分布)において90%を示す粒径をd90とするとき、d90≦60μmである。d90値が小さい合金粉末は、粉末層内の粗粒の含有割合が小さいことに起因し、粒子間の空隙容積が小さくなる傾向がある。このような合金粉末をペースト状のろう材としてろう接合に使用した場合であっても、被接合面に配置されたろう材層内においては粒子間の空隙に加熱により蒸発しやすい水分などが存在する。しかし、d90値がより小さい合金粉末を用いた場合、粒子間の空隙容積がより小さくなる分だけ、上述した水分などに起因して発生する気泡量を低減することができる。従って、加熱により溶融して液状になったろう中の気泡の総量が低減され、ろう付け接合部における気泡に起因する欠陥が発生し難くなる。こうした観点から、本発明のろう付け用合金粉末は、d90≦60μmとする。ろう中の気泡の総量をより低減させるためには、d90≦45μmが好ましい。この場合、合金粉末の成分組成の影響はあるが、ろう付け接合の強度向上が期待できる、なお、ろう付け対象にもよるが、合金粉末の製造コストなどの実用性の観点からはd90≧20μm程度でよいと考えられる。
また、本発明のろう付け用合金粉末は、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において10%、50%、および90%を示す粒径をそれぞれd10、d50、およびd90とするとき、(d90−d10)/d50≦1.5を満足することが好ましい。(d90−d10)/d50値は、粒径が多用な粒子を含む粉末の粒度分布がシャープである程度を表す指標(sharpness)と考えてよく、その値が小さいほど粉末の粒度分布がシャープであることを表す。粒度分布がシャープである粉末は、さらに篩い分けるなどの作業を要しないなど、一般に取り扱いが容易で好まれる。従って、ろう付け用合金粉末の(d90−d10)/d50値は、実用的には小さい方が好ましいため、例えば1.35以下であることが好ましい。
アモルファス合金粉末を用いてd90≦60μmの範囲で狙いのd90値を有するろう付け用合金粉末を配合する場合、(d90−d10)/d50≦1.5を満足させることによって粒度分布がシャープになるため、所定の粒径の範囲に存在する粒子の含有割合(頻度%)が高く、一般にシャープで粒が揃っていると称される合金粉末を得ることができる。そのようなアモルファス合金粉末であれば、そのd90値およびメジアン径d50に対応する適切なろう付け作業を行うことにより、ろうの濡れ性がより一層好ましいものになるとともに、ろう内の気泡がより一層抑制される傾向があるため、適切な接合強度を有するろう付け部品(接合部品)を容易に作製することができる。
次に、本発明のろう付け用合金粉末を構成するアモルファス合金粒子の構成元素について、好ましい成分組成を含めて説明する。
上述したように、本発明のろう付け用合金粉末は、Ni、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素を55質量%以上含む粒子(合金粒子)を用いて構成されている。この場合、Ni、Fe、Coが単独で55質量%以上含まれていてもよいし、55質量%以上のNiに対してFeやCoを含む場合や、55質量%以上のFeに対してNiやCoを含む場合や、55質量%以上のCoに対してNiやFeを含む場合があってもよい。
上述したように、本発明のろう付け用合金粉末は、Ni、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素を55質量%以上含む粒子(合金粒子)を用いて構成されている。この場合、Ni、Fe、Coが単独で55質量%以上含まれていてもよいし、55質量%以上のNiに対してFeやCoを含む場合や、55質量%以上のFeに対してNiやCoを含む場合や、55質量%以上のCoに対してNiやFeを含む場合があってもよい。
ろう材にNiを55質量%以上含む場合、例えばステンレス鋼、炭素鋼、純NiやNi基合金、純CoやCo基合金などを用いてなる部材のろう付けに好適であり、例えばEGRクーラや一般の熱交換器の他、金属触媒、食料ハンドリング部品、医療デバイス、船舶や自動車のアプリケーションなどのろう付けに使用できる。
また、ろう材にFeを55質量%以上含む場合も、基本的には主成分がNiである場合と概ね同様な有用性がある。こうしたFe基合金粉末を用いたろう材は、自動車のEGRクーラや産業用・家庭用の熱交換器やメタルハニカム触媒などのろう付けに使用される。なお、Feを含むことにより、ろう材の液相線温度が上昇してろう付け温度が高くなる傾向があるが、NiやCoよりも安価であるためろう材の製造コスト(原料費)が低減できる利点もある。
また、ろう材にCoを55質量%以上含む場合も、基本的には主成分がNiである場合と概ね同様な有用性がある。こうしたCo基合金粉末を用いたろう材は、タービンなどの耐熱合金のろう付などに使用される。また、Coを含むことにより、ろう付け接合部品のより一層の耐熱性向上が期待できる。
本発明のろう付け用合金粉末の構成元素としては、耐腐食性、耐酸化性、耐熱性、低融点化などの目的や用途に応じて、Ni(ニッケル)やFe(鉄)やCo(コバルト)に対し、複数の元素を組み合せることができる。例えば、耐食性の向上などに係るCr(クロム)、Mo(モリブデン)、Cu(銅)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、C(炭素)、N(窒素)などや、アモルファス化の促進などに係るB(ボロン)、P(リン)、Si(珪素)などである。
本発明のろう付け用合金粉末として好ましくは、組成式:M100−x−y−zCrxQySiz(質量%)で表され、前記MはNi、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記QはB、Pから選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記xは15≦x≦30を満たし、前記yは1≦y≦12を満たし、前記zは0≦z≦8を満たし、かつ、7≦y+z≦15を満たすことである。特に前記Mが、Ni≧55質量%である場合や、Ni≧(Fe+Co)かつ(Ni+Fe+Co)≧55質量%である場合は、耐食性や耐熱性が一層良好になる。こうした組成式で表されるろう付け用合金粉末は、特に耐熱性が要求される例えば自動車用EGRクーラやタービン用の各種部品などのろう付けに好適である。
Crx:15≦x≦30
Crは、耐食性の向上効果を有する。よって、ろう材に、15≦x≦30(15質量%以上30質量%以下)を満足する範囲で、Crを含有することが好ましい。こうしたろう材を用いた場合、ろう付け接合部の耐食性の向上効果が顕著に表れる。なお、Crが15質量%未満であると、顕著というほどの耐食性の向上効果が期待できない。また、Crが30質量%を超えると、脆化傾向が強まるため、ろう付け後の被接合部の機械的強度が低下することがある。
Crは、耐食性の向上効果を有する。よって、ろう材に、15≦x≦30(15質量%以上30質量%以下)を満足する範囲で、Crを含有することが好ましい。こうしたろう材を用いた場合、ろう付け接合部の耐食性の向上効果が顕著に表れる。なお、Crが15質量%未満であると、顕著というほどの耐食性の向上効果が期待できない。また、Crが30質量%を超えると、脆化傾向が強まるため、ろう付け後の被接合部の機械的強度が低下することがある。
Qy:1≦y≦12
前記Qは、BまたはPから選ばれた少なくとも1種の元素である。BやPは、アモルファス形成能を有する。よって、アモルファス相を形成する場合、BやPを含有することが好ましい。また、Pには合金粉末の融点の低減効果も期待できる。BまたはPから選ばれた少なくとも1種をろう材に含む場合、1≦y≦12(1質量%以上12質量%以下)を満足する範囲が好ましい。こうしたろう材を用いた場合、ろうの濡れ拡がり性が向上する傾向があるため、被接合部の機械的強度の向上効果が期待できる。なお、前記Qが1質量%未満であると、アモルファス相の形成が不安定になる。また、前記Qが12質量%を超えると、ろう付け後の被接合部やその近傍の耐食性が低下することがある。
前記Qは、BまたはPから選ばれた少なくとも1種の元素である。BやPは、アモルファス形成能を有する。よって、アモルファス相を形成する場合、BやPを含有することが好ましい。また、Pには合金粉末の融点の低減効果も期待できる。BまたはPから選ばれた少なくとも1種をろう材に含む場合、1≦y≦12(1質量%以上12質量%以下)を満足する範囲が好ましい。こうしたろう材を用いた場合、ろうの濡れ拡がり性が向上する傾向があるため、被接合部の機械的強度の向上効果が期待できる。なお、前記Qが1質量%未満であると、アモルファス相の形成が不安定になる。また、前記Qが12質量%を超えると、ろう付け後の被接合部やその近傍の耐食性が低下することがある。
Siz:0≦z≦8(0を含む)
Siは、BやPによるアモルファス化の助勢効果を有する。よって、アモルファス相を形成する場合、Siを加えることが好ましいが、必須の含有元素ではない。Siをろう材に含む場合、0≦z≦8(8質量%以下で0を含む)を満足する範囲、かつ、前記QとSiの合計(y+z)が7≦y+z≦15(7質量%以上15質量%以下)を満足する範囲であることが好ましい。こうしたろう材を用いた場合、ろうの濡れ拡がり性が向上する傾向があるため、被接合部の機械的強度の向上効果が期待できる。なお、Siが8質量%を超えると脆化傾向が強まるため、あるいは(y+z)が15質量%を超えると脆化傾向や耐食性の低下傾向が強まるため、ろう付け後の被接合部の機械的強度が低下することがある。
Siは、BやPによるアモルファス化の助勢効果を有する。よって、アモルファス相を形成する場合、Siを加えることが好ましいが、必須の含有元素ではない。Siをろう材に含む場合、0≦z≦8(8質量%以下で0を含む)を満足する範囲、かつ、前記QとSiの合計(y+z)が7≦y+z≦15(7質量%以上15質量%以下)を満足する範囲であることが好ましい。こうしたろう材を用いた場合、ろうの濡れ拡がり性が向上する傾向があるため、被接合部の機械的強度の向上効果が期待できる。なお、Siが8質量%を超えると脆化傾向が強まるため、あるいは(y+z)が15質量%を超えると脆化傾向や耐食性の低下傾向が強まるため、ろう付け後の被接合部の機械的強度が低下することがある。
また、本発明のろう付け用合金粉末は、前記Mの一部を、5質量%以下のMoに置換してもよい。Moは、耐食性や耐熱性の向上効果に加え、アモルファス形成能の向上効果を有する。こうしたろう材に用いた場合、ろう付け後の被接合部の耐食性、特に塩素イオンに対する耐食性の向上効果が期待できる。
また、本発明のろう付け用合金粉末は、前記Mの一部を、2質量%以下のCuに置換してもよい。Cuは、耐食性の向上効果を有する。こうしたろう材を用いた場合、ろう付け後の被接合部の耐食性、特に硫酸に対する耐食性が向上効果が期待できる。
上述した本発明のろう付け用合金粉末は、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、回転水流アトマイズ法(Spinning Water Atomization Process)などの急冷粉末製造法を用いて作製することができる。これらの急冷粉末製造法は、溶融プロセス法とも称され、アモルファス形成能を有する元素を必要量含む溶融金属(溶湯)を連続的に滴下して粒状化し、その粒状の溶融金属(溶湯粒子)を急激に冷却して凝固し、その凝固組織をアモルファス化する方法である。
こうした方法では、滴下ノズル径、滴下から凝固までの圧力、温度、雰囲気などの製造条件を変化させると、作製されたアモルファス合金粒子の形状や粒径などを変化させることができる。よって、これらの製造条件を目的や用途に応じて所定に制御することにより、例えばd90≦60μmを満足する累積分布や(d90−d10)/d50≦1.5を満足する粒度分布を有するアモルファス合金粉末が作製できる。また、篩い分けなどの分級処理を行って、所望の累積分布や粒度分布を有するアモルファス合金粉末を得ることもできる。
なお、アモルファス合金粒子の含有割合が10%以上であるアモルファス合金粉末を作製する場合は、溶湯粒子および該溶湯粒子が凝固した合金粒子の冷却速度を、結晶合金粉末の製造方法において一般的に設定される冷却速度よりも相応に大きく設定する。また、アモルファス合金粒子を50体積%以上含むアモルファス合金粉末を作製する場合は、溶湯粒子の成分組成の影響が大きいことを考慮する。
次に、本発明のろう付け用合金粉末を用いて構成されたろう材により、複数の部材が接合されて形成されている、本発明の接合部品について説明する。
本発明の接合部品は、本発明のろう付け用合金粉末を用いてろう付けされているため、従来の結晶合金粉末を用いて接合された接合部品よりも高い接合強度を有することができる。こうした本発明の接合部品は、例えば、1箇所の被接合部を有して2つの被接合部材(以下、「基材」という。)が接合された構成や、1つの基材に対して各々被接合部を有して2つの基材が接合された構成など、複数の基材が対応する被接合部を有して接合された構成を有してなる。
本発明の接合部品は、本発明のろう付け用合金粉末を用いてろう付けされているため、従来の結晶合金粉末を用いて接合された接合部品よりも高い接合強度を有することができる。こうした本発明の接合部品は、例えば、1箇所の被接合部を有して2つの被接合部材(以下、「基材」という。)が接合された構成や、1つの基材に対して各々被接合部を有して2つの基材が接合された構成など、複数の基材が対応する被接合部を有して接合された構成を有してなる。
上述したろう材層(被接合部)を介する接合部品は、本発明のろう付け用合金粉末を被接合面に配置し、加熱して溶融ろうとし、該溶融ろうを被接合面に濡れ拡がった後に冷却して凝固させる方法により作製することができる。こうしたプロセスにおいて、合金粉末の被接合面への配置は、バインダと合金粉末を振り撒く方法や、バインダと合金粉末を混合してペースト状にしたろう材を塗布する方法などが使用できる。上述した加熱から凝固のプロセスは、真空雰囲気中、減圧を伴うアルゴンや窒素の不活性ガス雰囲気中、高純度の乾燥水素ガス雰囲気中で実施することが好ましい。特に、強還元性の水素ガス雰囲気中や真空雰囲気中は好ましく、被接合部の酸化防止や気泡残留防止に高い効果が期待できる。また、溶融ろうを冷却して凝固させる過程において、被接合部に圧力が加わるように基材に対して圧力を加えることが好ましく、被接合部の接合強度の向上効果が期待できる。
本発明について具体的に実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明の範囲はここに挙げた実施例に限定されない。なお、含有を意図しない元素、原料や製造装置などに由来する含有が不可避的な元素、除滓などの目的で使用して残存した元素を「微量元素」という。
(実施例1)
質量%で、Crを29.4%、Pを6.3%、Siを4.1%、残部Niおよび微量元素により構成されたアモルファス合金粉末(本発明例A)を、ガスアトマイズ法を用いて作製した。この場合、Niと微量元素の合計は60.2質量%になり、55質量%以上のNiを含んでいる。作製した中から任意に選んだアモルファス合金粉末を対象として調べた、SEMによる観察像の一例を図1に、日機装株式会社製のレーザー回折・散乱式の粒径分布測定装置(Microtrac(登録商標)ASVR)を用いた体積基準による累積分布の一例を図2に、頻度分布の一例を図3に、それぞれ示す。図2より、このアモルファス合金粉末のd90値が46.3μmであり、60μm以下の範囲内であることが確認された。また、図3より、このアモルファス合金粉末のd50値が27.3μmであるとともに、粒度分布がシャープであることが確認された。なお、このアモルファス合金粉末の場合、(d90−d10)/d50値が1.3(小数点下第2位を四捨五入)であることが確認された。
質量%で、Crを29.4%、Pを6.3%、Siを4.1%、残部Niおよび微量元素により構成されたアモルファス合金粉末(本発明例A)を、ガスアトマイズ法を用いて作製した。この場合、Niと微量元素の合計は60.2質量%になり、55質量%以上のNiを含んでいる。作製した中から任意に選んだアモルファス合金粉末を対象として調べた、SEMによる観察像の一例を図1に、日機装株式会社製のレーザー回折・散乱式の粒径分布測定装置(Microtrac(登録商標)ASVR)を用いた体積基準による累積分布の一例を図2に、頻度分布の一例を図3に、それぞれ示す。図2より、このアモルファス合金粉末のd90値が46.3μmであり、60μm以下の範囲内であることが確認された。また、図3より、このアモルファス合金粉末のd50値が27.3μmであるとともに、粒度分布がシャープであることが確認された。なお、このアモルファス合金粉末の場合、(d90−d10)/d50値が1.3(小数点下第2位を四捨五入)であることが確認された。
また、アモルファス合金粉末(本発明例A)から適量を任意に選び、樹脂に埋め込み、平坦面が形成されるように研磨し、さらにマーブル液を用いてエッチングすることにより、粉末の断面を含む観察面を作製した。その観察面の光学顕微鏡による観察像の一例を図4に、その観察像の一部の領域を拡大した観察像の一例を図5に示す。SEMによる電子線回折によって表面構造を調べた結果、観察された断面が白色の粒子がアモルファス相であり、断面にデンドライト状の組織が観察された粒子が結晶組織であることが確認された。また、アモルファス合金粉末(本発明例A)から適量を任意に選び、X線回折(線源:Co−Kα、範囲:0.5mm角)を行ったところ、図6に示すX線回折パターンが確認された。図6には、アモルファス相に対応するハローパターン4と、結晶組織に対応する結晶ピーク3が認められ、X線回折によってもアモルファス相を含む合金粉末と結晶組織を含む合金粉末とが混合する合金粉末であることが確認された。
また、光学顕微鏡により適切な倍率で観察される観察面において、0.5mm角の範囲に存在するアモルファス合金粒子の数(粒子数NA)と合金粒子の総数(総粒子数N)をカウントした。このとき、図4に示すように、焦点が合う(周囲の輪郭がはっきりしている)部分がある粒子の断面において、観察された断面が白色の粒子の数(粒子数NA)とそれ以外を含めた合金粒子の総数(総粒子数N)を求めた。そして、粒子数NAと総粒子数Nからアモルファス合金粒子の含有割合を示す[NA/N×100]値を求めたところ、83.3%であることが確認された。
次に、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)製のブロック状の2つの基材(被接合部材)を準備し、任意に選んだ適量のアモルファス合金粉末(本発明例A)に対して適量のバインダを混合してペースト状のろう材を作製した。該ろう材を一方の基材の被接合面に塗布し、その上に他方の基材を載置し、真空熱処理炉内において1080℃まで加熱し、3時間保持した後に冷却し、2つの前記基材をろう付け(ろう接合)して複数の接合部品(ろう付け継手)を作製した。また、実施例Aとの比較のために、実質的に実施例Aと同じ成分組成により構成された結晶合金粉末(比較例A)を作製し、実施例Aと材質および形状が同じ基材を用いて同様にろう付け(ろう接合)して複数の接合部品(ろう付け継手)を作製した。
次いで、ろう付け後の接合強度を評価するために、本発明例Aに対応する複数の接合部品から被接合部を含む試験片をそれぞれ切り出し、引張試験により引張強さを測定した。その結果、5つの試験片の引張強さの平均値が282MPaであることが確認された。同様に、比較例Aに対応する複数の接合部品を用い、実施例Aと同様に測定した5つの試験片の引張強さの平均値は231MPaであった。よって、本発明のろう付け用合金粉末(本発明例A)をろう材として用いた接合部品は、実質的にアモルファス合金粒子を含まない結晶合金粉末(比較例A)をろう材として用いた接合部品よりも、ろう付け(ろう接合)の接合強度が高いことが確認された。
(実施例2)
表1に示す成分組成を有するアモルファス合金粉末(本発明例のNo.1〜15)と結晶合金粉末(比較例のNo.16〜20)を、ガスアトマイズ法を用いて作製した。作製した中から任意に選んだそれぞれの合金粉末を対象として調べた、レーザー回折散乱法(体積基準)による累積分布から求めたd90と、組織観察により求めたアモルファス合金粒子の含有割合([NA/N×100]値)を、表1に併記する。
表1に示す成分組成を有するアモルファス合金粉末(本発明例のNo.1〜15)と結晶合金粉末(比較例のNo.16〜20)を、ガスアトマイズ法を用いて作製した。作製した中から任意に選んだそれぞれの合金粉末を対象として調べた、レーザー回折散乱法(体積基準)による累積分布から求めたd90と、組織観察により求めたアモルファス合金粒子の含有割合([NA/N×100]値)を、表1に併記する。
次に、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)製のブロック状の2つの基材(被接合部材)を準備し、任意に選んだ適量の合金粉末に対して適量のバインダを混合してペースト状のろう材を作製した。該ろう材を一方の基材の被接合面に塗布し、その上に他方の基材を載置し、真空熱処理炉内において1100℃まで加熱し、30分保持した後に冷却し、2つの前記基材をろう付け(ろう接合)して複数の接合部品(ろう付け継手)を作製した。こうした接合部品を、それぞれの合金粉末を用いて作製したろう材により作製した。
それぞれの合金粉末を用いて作製したろう材を用いた接合部品の接合強度を、上述した実施例1の場合と同様にして試験片を作製して調べた。それぞれの引張強さの平均値を表1に併記する。この結果、本発明のろう付け用合金粉末(本発明例No.1〜15)をろう材として用いた接合部品のいずれもが、本発明の範囲外のろう付け用合金粉末(比較例No.16〜20)をろう材として用いた接合部品のいずれよりも、ろう付け(ろう接合)の接合強度が高いことが確認された。なお、本発明例No.1〜15の中でも、アモルファス合金粒子の含有割合が40体積%未満である本発明例No.14、15よりも、40体積%以上である本発明例No.1〜13のいずれもが接合強度が大きいことが確認された。
(実施例3)
実施例1と同様に、ガスアトマイズ法により、質量%で、Crを28.9%、Pを6.2%、Siを3.2%、Feを0.1%含み、残部がNiおよび微量元素からなる、本発明のろう付け用合金粉末と、本発明の範囲外である合金粉末とを製作した。また、実施例1と同様な方法により、それぞれの合金粉末に含まれるアモルファス相の粒子の割合と、その合金粉末の粒度分布とを求めた。その結果、本発明のろう付け用合金粉末は、92.5%がアモルファス相の粒子で、d90が43.2μmであり、本発明の範囲外である合金粉末は、6.5%がアモルファス相の粒子で、d90が69.5μmであった。また、両者の合金粒子について、示差熱分析(DTA:Differential Thermal Analysis)により、昇温速度を5℃/min、10℃/min、20℃/minと変えて、それぞれの吸熱ピークから融点を測定し、液相線温度TLを昇温速度を0℃/minに外挿して求めた。液相線温度TLは、本発明の範囲外である合金粉末は1006℃であったが、本発明のろう付け用合金粉末は996℃で10℃だけ低かった。この点に関しては、アモルファス相でない結晶質の粒子が比較的粗大であって融点の高い相が存在しているため、完全に溶融する温度が高くなったと推察される。これに対し、アモルファス相の粒子は、実質的な偏析が存在せず、加熱によって結晶化した後の組織が微細かつ均質になるため、完全に溶融する温度が低くなったと推察される。
実施例1と同様に、ガスアトマイズ法により、質量%で、Crを28.9%、Pを6.2%、Siを3.2%、Feを0.1%含み、残部がNiおよび微量元素からなる、本発明のろう付け用合金粉末と、本発明の範囲外である合金粉末とを製作した。また、実施例1と同様な方法により、それぞれの合金粉末に含まれるアモルファス相の粒子の割合と、その合金粉末の粒度分布とを求めた。その結果、本発明のろう付け用合金粉末は、92.5%がアモルファス相の粒子で、d90が43.2μmであり、本発明の範囲外である合金粉末は、6.5%がアモルファス相の粒子で、d90が69.5μmであった。また、両者の合金粒子について、示差熱分析(DTA:Differential Thermal Analysis)により、昇温速度を5℃/min、10℃/min、20℃/minと変えて、それぞれの吸熱ピークから融点を測定し、液相線温度TLを昇温速度を0℃/minに外挿して求めた。液相線温度TLは、本発明の範囲外である合金粉末は1006℃であったが、本発明のろう付け用合金粉末は996℃で10℃だけ低かった。この点に関しては、アモルファス相でない結晶質の粒子が比較的粗大であって融点の高い相が存在しているため、完全に溶融する温度が高くなったと推察される。これに対し、アモルファス相の粒子は、実質的な偏析が存在せず、加熱によって結晶化した後の組織が微細かつ均質になるため、完全に溶融する温度が低くなったと推察される。
1.アモルファス合金粒子
2.結晶合金粒子
3.結晶ピーク
4.ハローパターン(アモルファス相)
2.結晶合金粒子
3.結晶ピーク
4.ハローパターン(アモルファス相)
Claims (7)
- Ni、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素を55質量%以上含む粒子を用いて構成された合金粉末であって、
前記合金粉末は、アモルファス相を含む合金粒子を10%以上含むとともに、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において90%を示す粒径をd90とするとき、d90≦60μmである、ろう付け用合金粉末。 - 前記合金粉末は、アモルファス相を含む合金粒子を40%以上含む、請求項1に記載のろう付け用合金粉末。
- 前記合金粉末は、レーザー回折散乱法による積算体積分布曲線において10%、50%、および90%を示す粒径をそれぞれd10、d50、およびd90とするとき、(d90−d10)/d50≦1.5である、請求項1または2に記載のろう付け用合金粉末。
- 前記合金粉末の成分は、組成式:M100−x−y−zCrxQySiz(質量%)で表され、前記MはNi、Fe、Coから選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記QはB、Pから選ばれた少なくとも1種の元素であり、前記xは15≦x≦30を満たし、前記yは1≦y≦12を満たし、前記zは0≦z≦8を満たし、かつ、7≦y+z≦15を満たす、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のろう付け用合金粉末。
- 前記Mの一部が、5質量%以下のMoに置換されている、請求項4に記載のろう付け用合金粉末。
- 前記Mの一部が、2質量%以下のCuに置換されている、請求項4に記載のろう付け用合金粉末。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のろう付け用合金粉末を用いて構成されたろう材により、複数の部材が接合されて形成されている、接合部品。
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