JPWO2016080300A1 - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】負極活物質にリチウム、正極活物質に臭素を用いる二次電池において、充放電サイクルによる電池容量の低下を抑制する【解決手段】二次電池10に固体電解質40と正極20と負極30と液体活物質50と錯化剤とを備える。固体電解質40は、リチウムイオン伝導性の膜である。正極20は、多孔カーボン製であり、固体電解質40の一方の面に対向して設けられている。負極30は、金属リチウム製であり、正極20とは反対側の前記固体電解質の面に対向して設けられている。液体活物質50は、リチウムイオンおよび臭化物イオンを含有しており、固体電解質40と正極20との間に封止されている。錯化剤は、液体活物質50中の臭素とともに正極20に固定化される臭素錯化合物を形成する。錯化剤は、液体活物質50中に添加された第四級アンモニウム塩である。【選択図】図1

Description

本発明は、負極活物質にリチウム、正極活物質に臭素を用いる二次電池に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車、携帯端末機器の蓄電デバイスとしてリチウムイオン二次電池が多用されているが、エネルギー密度が理論限界に達しつつあることから新しい動作原理に基づいた二次電池の開発が進められている。電気自動車用二次電池の場合、目標とされるエネルギー密度は、電池全体の重量基準で500Wh/kg以上である(非特許文献1)。
亜鉛−臭素二次電池は、負極活物質に亜鉛、正極活物質に臭素を用いるものであり、電解液を外部ポンプにより強制的に循環させるフロー電池の構成をなしている(非特許文献2)。臭素が、負極の充電反応で生成する亜鉛を溶解する自己放電反応を引き起こしたり、電極構成材料や電解液循環系を腐食させたりすることを防ぐために、四級アンモニウム塩化合物を電解液に添加し、電解液中の臭素と反応させて臭素錯化合物(錯体)を形成させることが知られている(非特許文献3)。
一方、より大きな理論エネルギー密度を達成できるものとして、リチウム−臭素二次電池が提案されている(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6)。これらは、正極にカーボン、負極に金属リチウムを用い、両者の間にリチウムイオン伝導性の固体電解質を設け、固体電解質と正極の間に液体の活物質を封止する構成をなしている。外部ポンプが不要であり、可搬性、小型化に優れている。特許文献1には、同様の構成のリチウム−臭素二次電池であって、フロー電池とする例が提案されている。非特許文献2と同様に、正極上で生じる臭素が固体電解質を通過して自己放電を生じることを防ぐために、四級アミンを正極のカーボンの結着剤として使用し、正極表面に臭素錯化合物(錯体)を形成させることが開示されている。
国際公開第2011/142797号 国際公開第2010/150859号
辰巳国昭、「リチウムイオン電池の革新技術」、リチウムイオン2次電池の革新技術と次世代2次電池の最新技術、第1章2.2、技術教育出版社、東京、2013. Wendy Pell、"ZINC/BROMINE BATTERYELECTROLYTES: ELECTROCHEMICAL、 PHYSICO-CHEMICAL ANDSPECTROSCOPIC STUDIES"、 Ph.D. Thesis、 University of Ottawa、 1994. 辰巳国昭、「亜鉛‐臭素電池・亜鉛‐塩素電池」、電池ハンドブック、電気化学会 電池技術委員会編、第7編2章、オーム社、東京、2010. Y. Zhao、 Y. Ding、 J.Song、 L. Peng、 J. B. Goodenough、 G. Yu、 Energy & Environmental Science、 7(2014)pp 1990−1995. Z. Chang、 X. Wang、Y. Yang、 J. Gao、 M. Li、 L. Liu、 Y. Wu、Journal of Materials Chemistry A、 DOI:10.1039/c4ta04419c. 竹本嵩清、山田博俊、"新規リチウム−臭素二次電池の電気化学特性"、2014年電気化学秋季大会、2Q19、札幌、2014.
非特許文献4のリチウム−臭素二次電池では、液体活物質に1.0MのKBrと0.3MのLiBrを加えており、このうち電池容量に寄与するのはLiBr分のBrイオンのみで、KBr由来のBrイオンが過剰にあるため、充電時の電位が抑制され、また充電時に生じたBrが、Br+Br→Br の反応によって、濃度上昇を抑制している。同様に、非特許文献5のリチウム−臭素二次電池においても、液体活物質に1.0MのBrと7.0MのLiBrを加えており、このうち電池容量に寄与するのは1.0MのBrのみである。これらのリチウム−臭素二次電池では、活物質あたりでの容量は300mAh/g以上と高いものの、電池全体のエネルギー密度は、重量基準で約100Wh/kg、体積基準で約200Wh/Lに留まる。
臭化リチウム水溶液の飽和溶解度は160g/100g−HOであり、飽和溶液に近い濃厚な液体活物質を用いることができれば、電池全体のエネルギー密度は、重量基準で682Wh/kg、体積基準で1070Wh/Lが期待できる。しかし、このような濃厚な液体活物質を用いた場合、充電時にBrの遊離を抑えることはできない。非特許文献6のリチウム−臭素二次電池では、臭素が発生する条件で充放電サイクルを繰り返すと、固体電解質と液体活物質間の界面での抵抗値が大きく上昇し、電池容量が低下するという問題がある。
また特許文献1では、錯化剤である四級アミンを主とする高分子を結着剤として使用して非孔性のカーボンやグラファイトからなる粒子を固定しているが、結着剤は粒子間の電子伝導を阻害しない量でなければならないため、結着剤の量は10〜50質量パーセント程度までしか加えることはできない。また、粒子同士を結合させていることから、結着剤と接する位置には、液体活物質はほとんど存在しない。このため、結着剤として、あるいはその一部として錯化剤を用いても、臭素の錯化およびその固定化の効果は限定的である。
そこで、本発明は、負極活物質にリチウム、正極活物質に濃厚な臭素を用いる二次電池において、充放電サイクルによる電池容量の低下を抑制することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、二次電池において、リチウムイオン伝導性の固体電解質と、複数のマクロ孔を持つ多孔導電体で形成されていて前記固体電解質の一方の面に対向して設けられた電子伝導性の正極と、前記正極とは反対側の前記固体電解質の面に対向して設けられた電子伝導性の負極と、リチウムイオンおよび臭化物イオンを含有して前記固体電解質と前記正極との間に封止された液体活物質と、前記液体活物質に接する位置に配置されて前記液体活物質中の前記臭化物イオンとともに前記正極に非水溶性の固体として固定化される臭素錯化合物を形成する錯化剤と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、負極活物質にリチウム、正極活物質に臭素を用いる二次電池において、充放電サイクルによる電池容量の低下を抑制することができる。
本発明に係る二次電池の第1の実施の形態の縦断面図である。 本発明に係る二次電池の第1の実施の形態の積層構造および充電時の電気回路を模式的に示す断面図である。 本発明に係る二次電池の第1の実施の形態の定電流充放電曲線を示すグラフである。 本発明に係る二次電池の第1の実施の形態のサイクル特性を示すグラフである。 本発明に係る二次電池の第1の実施の形態の定電流充放電曲線の例を示すグラフである。 本発明に係る二次電池の第2の実施の形態における正極の製造方法の流れを示す模式的断面図である。 本発明に係る二次電池の第2の実施の形態の縦断面図である。
本発明に係る二次電池のいくつかの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る二次電池の第1の実施の形態の縦断面図である。図2は、本実施の形態における二次電池の積層構造および充電時の電気回路を模式的に示す断面図である。
本実施の形態の二次電池10は、正極20と、負極30と、固体電解質40と、液体活物質50と、を有している。固体電解質40は、たとえば円板状に形成されている。
固体電解質40は、第1セルボディ61および第2セルボディ62で挟まれている。固体電解質40の中央部は、第1セルボディ61および第2セルボディ62の中央の貫通孔71、72に面している。固体電解質40の外周部は、第1セルボディ61および第2セルボディ62の中央の貫通孔71、72よりも外側の部分と接している。第1セルボディ61および第2セルボディ62の中央の貫通孔71、72と外周との間には、固定用孔73が複数設けられている。固定用孔73には、ボルト74が貫通している。ボルト74の頭部75とは反対側の端部にはナット76がねじ込まれている。ボルト74の頭部75とナット76によって、第1セルボディ61および第2セルボディ62は、固体電解質40側に押し付けられている。
第1セルボディ61とボルト74との間には、固定用孔73に対応する位置に貫通穴が形成された押え板77が配置されていても良い。第2セルボディ62とナット76との間には、固定用孔73に対応する位置に貫通穴が形成された押え板78が配置されていても良い。
第1セルボディ61の中央の貫通孔71には、第1電極カバー81が嵌め込まれている。第1セルボディ61の内面と第1電極カバー81の外面との間には、オーリング83が挟まっている。オーリング83は、たとえば軸方向の異なる位置に複数配置されている。
第2セルボディ62の中央の貫通孔72には、第2電極カバー82が嵌め込まれている。第2セルボディ62の内面と第2電極カバー82の外面との間には、オーリング84が挟まっている。オーリング84は、たとえば軸方向の異なる位置に複数配置されている。
第1電極カバー81の中央には、軸方向に延びる電極リード85が貫通している。第2電極カバー82の中央には、軸方向に延びる電極リード86が貫通している。
第1電極カバー81の固体電解質40に対向する側の端部と、第1セルボディ61の内面と、固体電解質40とで囲まれる空間は、オーリング83とともに水密に形成されていて、この空間に液体活物質50が封入されている。第2電極カバー82の固体電解質40に対向する側の端部と、第2セルボディ62の内面と、固体電解質40とで囲まれる空間は、オーリング84とともに水密に形成されていて、この空間に固体電解質保護層52が封入されている。
正極20は、第1電極カバー81の固体電解質40に対向する側の端部に固定されている。正極20は、たとえば軸方向の長さが短い円柱状に形成されている。正極20は、第1電極カバー81を貫通する電極リード85に接続している。
負極30は、第2電極カバー82の固体電解質40に対向する側の端部に固定されている。負極30は、たとえば円板状に形成されている。負極30は、第2電極カバー82を貫通する電極リード86に接続している。負極30と第2電極カバー82との間に導電板32を配置してもよい。
正極20は、多孔カーボンなどの多孔導電体で形成されている。正極20を円柱状の炭素電極とその表面に形成した多孔カーボンとで構成してもよい。正極20は、高い表面積を有する電子伝導性の物質であればよい。たとえば、微粒子状のカーボン、グラファイトや金属あるいは多孔性のグラファイト、金属を用いても良い。負極30は、金属リチウムで形成されている。また、負極30は金属リチウムに限定されず、リチウムイオンとの反応の電極電位が低く、容量が大きい物質であることが望ましい。例えば、グラファイトやスズ、シリコンなどを用いてもよい。
固体電解質40は、リチウムイオン伝導性を有する絶縁体で形成されている。固体電解質40は、緻密である。つまり、固体電解質40は、液体活物質を透過しない。固体電解質40は、たとえばリチウムイオン伝導性の膜状のガラスセラミックスシートである。固体電解質40の厚さは、たとえば150μmである。
固体電解質保護層52は、EC(ethylene cabonate)およびDMC(dimethylcarbonate)中に1MのLiPFを溶かした電解質をガラスフィルターにしみこませた有機液体系電解質である。負極30の金属リチウムが、固体電解質40中の元素と反応してしまうおそれがない場合には、固体電解質保護層52を除き、負極30と固体電解質40とを接触させてもよい。固体電解質保護層52は、リチウムイオン伝導性があり、金属リチウムと接しても安定なものであればよい。たとえば、ドライポリマー電解質フィルムを用いてもよい。あるいは、他の固体電解質をスパッタなどで積層してもよい。
第1セルボディ61、第2セルボディ62、第1電極カバー81および第2電極カバー82は、液体を通さないたとえばセラミックスなどの絶縁物質で形成されている。オーリング83,84は、液体を通さず、ある程度の弾性を有するゴムなどの絶縁物質で形成されている。
ボルト74およびナット76は、ステンレス鋼などのある程度の剛性を有する材料で形成されている。押え板77は、ステンレス鋼などのある程度の剛性を有する材料で形成されている。電極リード85,86および導電板32は、銅などの電導性の材料で形成されている。
液体活物質50は、リチウムイオンおよび臭化物イオンを含有する液体で、たとえば臭化リチウム(LiBr)水溶液である。液体活物質50には、錯化剤が添加されている。臭化リチウム水溶液の濃度はたとえば1Mである。錯化剤は、第四級アンモニウム塩(Q−Br)である。錯化剤として、テトラエチルアンモニウムブロミドを用いることができる。錯化剤を液体活物質50に添加することにより、充電時に生じた臭素(Br)は、次の多段階の反応によって錯化剤とともに錯体を形成する。
−Br + Br → Q−Br
−Br + Br → Q−Br
・・・・・・・・・・・・・・
−Br2n−1 + Br → Q−Br2n+1
このとき、錯化剤の分子量および分子構造によって錯体は非水溶性の固体または液体となり、正極20である多孔カーボンの表面に固定化される。錯化剤は、臭素と錯体を形成するものであればよく、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリアジン及びこれらの類縁体であってもよい。錯体を確実に正極20表面に固定し、次の放電サイクルで臭素イオンを放出させ易くするためには、錯体が非水溶性の固体となる錯化剤であることが好ましい。
この二次電池10は、正極活物質に臭素、負極活物質にリチウム、固体電解質としてリチウムイオン伝導性セラミックスを用いている。固体電解質がセパレータを兼ねることで、負極30の金属リチウムと水溶液とが分離されている。このリチウム−臭素二次電池は、作動電圧が4.1Vと高く、理論エネルギー密度が683Wh/kgと高い。
図3は、本実施の形態の二次電池の定電流充放電曲線を示すグラフである。図3の横軸は容量、縦軸は電圧である。図4は、本実施の形態の二次電池のサイクル特性を示すグラフである。図4の横軸は充放電サイクル数、縦軸は放電容量およびクーロン効率(充電容量に対する放電容量の比)である。図3および図4には、液体活物質50に錯化剤を添加していない二次電池の充放電曲線を合わせて示した。
錯化剤を添加しない場合、初回充電容量は253mAh/g−LiBr、初回放電容量は147mAh/g−LiBrであり、クーロン効率は58%であった。充放電サイクルを重ねるにつれて容量は低下し、5サイクル目の放電容量は79mAh/g−LiBrと、1サイクル目の54%まで低下した。5サイクル目のクーロン効率は90%に満たなかった。
一方、錯化剤としてテトラエチルアンモニウムブロミドを添加した場合、初回充電容量は193mAh/g−LiBr、初回放電容量は161mAh/g−LiBrであり、クーロン効率は83%であった。放電容量はサイクルを重ねるにつれて、若干減少したが、5サイクル目の放電容量は139mAh/g−LiBrであり、1サイクル目の86%を維持した。また、クーロン効率は99.6%に達した。
これらの結果から、第四級アンモニウム塩の液体活物質50への添加は、充放電を安定化させ、特にサイクル特性を向上させることがわかる。第四級アンモニウム塩を液体活物質50へ添加しない場合のサイクル特性は、充電時に発生した臭素(Br)が固体電解質40と液体活物質50との間の界面抵抗を増加させることに起因すると考えられる。
一方、第四級アンモニウム塩を液体活物質50に添加すると、臭素(Br)が正極20である多孔カーボンの孔の表面に固定(トラップ)、安定化される。その結果、正極反応で生成する臭素は、液体活物質50中を移動して固体電解質40の界面に到達することがない。したがって、固体電解質40と液体活物質50間の界面での抵抗値が大きく上昇することなく、良好なサイクル特性を示すと考えられる。
このように、本実施の形態によれば、負極活物質にリチウム、正極活物質に臭素を用いる二次電池において、充放電サイクルによる電池容量の低下を抑制することができる。
また、リチウム−臭素二次電池の重量の大部分は、液体活物質50とセルボディ61,62などの外装部が占めている。外装部は、大きさや設計によって大きく変化するため、除外して考えると、リチウム−臭素二次電池の重量は、液体活物質50が主体である。
臭化リチウム(LiBr)は、水溶性が非常に高く、20℃において水100gに対して160g溶解する。たとえば54wt%溶液(密度1.57g/cm)を液体活物質として用いると、液体活物質中の水の割合は50%以下に低下する。その結果、セル全体のエネルギー密度は重量基準で682Wh/kg、体積基準で1070Wh/Lとなり、次世代蓄電池として求められる値を満たすことができる。このような濃厚溶液を使うことにより、リチウム−臭素電池の意義があると考えられる。
しかし、単にこのような濃厚な液体活物質を用いた場合、充電時にBrが遊離してしまう。臭素が発生する条件で充放電サイクルを繰り返すと、固体電解質と液体活物質間の界面での抵抗値が大きく上昇し、電池容量が低下してしまう。
そこで、たとえば非特許文献4、5では、充電時の遊離臭素を抑えるために過剰なBrを加えている。つまり、
の平衡反応(平衡定数K〜16)を利用して、過剰なBrによって平衡を右に偏らせている。このようにして、遊離臭素を抑制することで電気化学反応の可逆性、サイクル特性を高めている。しかし、この反応を利用するためには、充電時の臭素量の7倍程度の過剰なBrが必要であり、この過剰なBrは酸化・還元反応には寄与しない。したがって、単に臭素の量を多くしただけでは、エネルギー密度はあまり向上しない。
一方、本実施の形態では、液体活物質50には、錯化剤が添加されている。このため、充電時の遊離臭素(Br)は、錯体を形成して正極20の表面に固定される。その結果、液体活物質50中のBrが実質的に少なくなるため、液体活物質50中の容量に寄与するBrが増大する。つまり、有効な活物質濃度が高まり、高いエネルギー密度が実現する。
また、錯化剤は、液体活物質50に添加されている。このため、たとえば錯化剤を正極20の内部に配置した場合と比べて、より多くの錯化剤が正極20の表面に到達することが可能になる。その結果、遊離臭素の発生量に応じて、錯化剤が遊離臭素を捕捉し、遊離臭素の錯体化率が向上する。
リチウムイオンを含有して臭化物イオンを含有せず、かつ液体活物質50よりも酸化電位が高く還元電位が低い水溶性の塩を液体活物質50に添加してもよい。この塩は、たとえば硝酸リチウム(LiNO)である。このような塩を液体活物質50に添加することにより、充電末期においても液体活物質50中のリチウムイオン濃度が維持され、液体活物質50の抵抗および液体活物質50・固体電解質40間の抵抗の増加を抑制する。その結果、電池の充電容量が増加し、充放電サイクル特性が向上する。
図5は、本実施の形態における定電流放電曲線の例を示すグラフである。図5において、横軸は容量、縦軸は電圧である。
図5は、1MのLiBr、1MのLiNO、0.25Mのテトラエチルアンモニウムブロミドを液体活物質50としたときの放電容量の測定結果を示したものである。図3に示した結果では、初回放電容量は約150mAh/g−LiBrであった。しかし、LiNOを加えることで放電容量は約280mAh/g−LiBrとなった。このように、液体活物質50に、リチウムイオンを含有して臭化物イオンを含有せずかつ液体活物質50よりも酸化電位が高く還元電位が低い水溶性の塩を添加することにより、放電容量が大きくなることがわかる。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明に係る二次電池の第2の実施の形態における正極の製造方法の流れを示す模式的断面図である。
まず、平均粒子径がたとえば100nm以上450nm以下の酸化シリコン(SiO)を含有したコロイド溶液を遠心分離し、次いで減圧乾燥させることにより、図5(a)に示すように、平均粒子径がたとえば100nm以上450nm以下のSiO粒子の集合体(以下、SiOオパール91と呼ぶ)を得る。このSiOオパール91は、いわゆる鋳型として機能する。また、フェノールとホルムアルデヒドをモル比でたとえば1:0.85となるように混合した混合溶液を調製しし、この混合溶液に塩酸を少量添加することにより、カーボン源溶液を準備しておく。
次に、図6(b)に示すように、カーボン源溶液92にSiOオパール91をたとえば12時間浸漬させる。その後、カーボン源溶液92に浸漬させたSiOオパール91を濾過し、たとえば128℃でたとえば12時間加熱処理することで水分などを除去するとともにカーボン源を樹脂化する。これにより、図6(c)に示すような、フェノール樹脂94とSiOオパール91の複合体93が得られる。
次に、フェノール樹脂94とSiOオパール91の複合体93をたとえばアルゴン雰囲気中においてたとえば400℃でたとえば5時間加熱処理することでフェノール樹脂94がカーボン化する。これにより、図6(d)に示すような、カーボンとSiOオパール91の複合体95が得られる。
次に、フッ化水素(HF)水溶液を用いたウェットエッチングにより、この複合体95からSiOオパール91を除去する。これにより、鋳型として機能したSiOオパール91が除去される。その結果、図6(e)に示すように、SiOオパール91が存在した部分に細孔96が形成され、マクロ多孔カーボン97が形成される。なお、第1の実施の形態では、このマクロ多孔カーボン97の粒子を適当な結着剤で固めて正極20にする。細孔96は、所謂、直径が50nm以上のマクロ孔であり、正極20はマクロ多孔カーボン97により形成される。
本実施の形態では、次に、図6(f)に示すように、このマクロ多孔カーボン97の粒子にアンモニウム塩ポリマー98を含浸させる。その後、マクロ多孔カーボン97を引き上げることにより、図6(g)に示すように、粒子表面および細孔96表面にアンモニウム塩ポリマー98が付着して錯化剤膜54が形成された粒子99が得られる。この粒子99を適当な結着剤90を用いて固めることにより、図6(h)に示すような、本実施の形態の正極20が形成される。
図7は、本実施形態における二次電池の縦断面図である。
本実施の形態の二次電池12は、第1の実施の形態の二次電池10(図1参照)と、錯化剤の導入位置が異なる。第1の実施の形態では錯化剤を液体活物質50(図1参照)に添加していたが、本実施の形態では錯化剤である第四級アンモニウム塩をポリマー化して多孔カーボン製の正極20を構成する粒子の表面およびその粒子に形成された細孔の表面に錯化剤膜54(図6参照)として結着している。錯化剤膜54として正極20の被覆に用いるポリマーは、第四級アミンを多く含有するものが好ましい。また、このポリマーは水溶性が小さいことが好ましい。
このような二次電池12であっても、錯化剤を添加しない液体活物質51が封入されると、錯化剤膜54の表面に露出したアンモニウムイオンと臭素が錯体を形成し、固定化する。このため、第1の実施の形態と同様に、充放電サイクルによる電池容量の低下を抑制することができる。
正極20が液体活物質51に接することにより、液体活物質51は、多孔カーボンである正極20の内部にまで浸透する。その結果、液体活物質51は、正極20の表面、正極20を構成する粒子97の表面、および、正極20を構成する粒子97に形成された細孔96に接することとなる。
錯化剤は、正極20を構成する粒子の表面およびその粒子に形成された細孔96の表面に錯化剤膜54として存在している。その結果、正極20の巨視的な表面だけでなく、正極20を構成する粒子の表面およびその粒子に形成された細孔96の表面において、臭素は錯体として固定される。
結着剤は粒子同士を結合させていることから、結着剤と接する位置には、液体活物質51はほとんど存在しない。このため、結着剤として、あるいはその一部として錯化剤を用いても、臭素の錯化およびその固定化の効果は限定的である。しかし、本実施の形態では、より多くの錯化剤が液体活物質51と接する位置に存在している。その結果、錯化剤はより多くの遊離臭素を捕捉可能であり、遊離臭素の錯体化率が向上する。
10…二次電池、12…二次電池、20…正極、30…負極、32…導電板、40…固体電解質、50…液体活物質、51…液体活物質、52…固体電解質保護層、54…錯化剤膜、61…第1セルボディ、62…第2セルボディ、71、72…貫通孔、73…固定用孔、74…ボルト、75…頭部、76…ナット、77…押え板、81…第1電極カバー、82…第2電極カバー、83…オーリング、84…オーリング、85…電極リード、86…電極リード

Claims (5)

  1. リチウムイオン伝導性の固体電解質と、
    複数のマクロ孔を持つ多孔導電体で形成されていて前記固体電解質の一方の面に対向して設けられた電子伝導性の正極と、
    前記正極とは反対側の前記固体電解質の面に対向して設けられた電子伝導性の負極と、
    リチウムイオンおよび臭化物イオンを含有して前記固体電解質と前記正極との間に封止された液体活物質と、
    前記液体活物質に接する位置に配置されて前記液体活物質中の前記臭化物イオンとともに前記正極に非水溶性の固体として固定化される臭素錯化合物を形成する錯化剤と、
    を有することを特徴とする二次電池。
  2. リチウムイオンを含有して臭化物イオンを含有せずかつ前記液体活物質よりも酸化電位が高く還元電位が低い水溶性の塩であって前記液体活物質に添加された塩を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記錯化剤は前記液体活物質に添加されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  4. 前記錯化剤は前記正極を構成する粒子の表面およびその粒子に形成された細孔の表面に結着したポリマーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二次電池。
  5. 前記錯化剤は第四級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の二次電池。
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