JPWO2016059979A1 - 粘着剤層、粘着剤層付き偏光板および積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)下記単量体(a1)〜(a5)を含む単量体混合物の共重合体と、
(B)イソシアネート系架橋剤を前記共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5質量部と
を含む粘着剤組成物から得られることを特徴とする、粘着剤層が提供される。
(a1)ポリオキシアルキレン基またはアルコキシアルキル基含有単量体30〜98.8質量%;
(a2)水酸基含有単量体0.1〜10質量%;
(a3)カルボキシル基含有単量体0.1〜10質量%;
(a4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体1〜69.8質量%;
(a5)前記(a1)〜(a4)以外の共重合性単量体0〜30質量%;
ただし、前記単量体(a1)〜(a5)を足し合わせて100質量%である。
前記粘着剤層は、前記偏光板が、保護フィルムとしてポリシクロオレフィン系フィルムを有する場合に特に有効である。
本発明はまた、このような粘着剤層を前記偏光板の少なくとも一方の面に有する粘着剤層付き偏光板であることもできる。
本発明によれば、粘着剤層付き偏光板をさらにガラス基板に貼り合わせた積層体も提供される。
前記ガラス基板は、特に画像表示装置に用いられるガラス基板であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層は、後述の共重合体(A)およびイソシアネート系架橋剤(B)を必須成分として含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層であり、該粘着剤層は後述する測定方法によって水との接触角が90°以下であることを特徴とする。
一般に、接触角とは、固体表面上に液体が触れたときに生じる接液部分の角度である。この接触角は、固体および液体の表面張力(表面エネルギー)と、固体および液体の界面張力とが力学的な平衡状態にあるときに固体と液体との濡れ性を表す重要な物性で、濡れ現象の重要な尺度であり、Youngの式(1)により規定される。
γs=γl・cosθ+γsl ・・・(1)
θ :接触角
γs :固体の表面張力(表面エネルギー)
γl :液体の表面張力(表面エネルギー)
γsl:固体と液体の界面張力
本発明者は、粘着剤層表面と水との接触角θを90°以下、さらに好ましくは40°以上90°以下にすることにより、ポリシクロオレフィン系フィルムとの密着性に優れた粘着剤層が得られることを見出した。水との接触角が90°を超える場合、粘着剤層はポリシクロオレフィン系フィルムとの密着性に劣る。一方、40°未満の場合、粘着剤層の親水性が高すぎて耐久性が悪化することがある。なお、水との接触角が、50°以上90°以下であると、密着性と耐久性とのバランスが特に優れるのでより好ましい。
1.2.1.共重合体(A)
共重合体(A)(以下、単に「(A)成分」と記載することもある。)は、単量体(a1)〜(a4)を必須とする単量体混合物の共重合体である。
単量体(a1)は、ポリオキシアルキレン基またはアルコキシアルキル基含有単量体である。単量体(a1)は架橋性基を有しないことが好ましい。架橋性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基が挙げられる。また、単量体(a1)は(メタ)アクリル酸エステルであることが望ましい。
単量体(a1)は、例えば、式(a−1)で表される。
CH2=CR1−COOR2・・・(a−1)
R1は水素原子またはメチル基であり、R2は、式(g−1)で表される基である。
−(R3O)nR4・・・(g−1)
R3はアルキレン基であり、R4はアルキル基であり、nは1以上の整数である。アルキレン基の炭素数は、通常1〜10、好ましくは1〜5である。アルキル基の炭素数は、通常1〜10、好ましくは1〜4である。nは、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2である。
単量体(a1)としては、これらの中でも、反応性の観点から、式(a−1)のR2がアルコキシアルキル基であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体(a1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
単量体(a2)である水酸基含有単量体は、イソシアネート系架橋剤(B)との架橋点を(A)成分に付与することができる。粘着剤層の耐久性を確保するため、単量体混合物中の単量体(a2)の含有量は、0.1〜10質量%であり、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
単量体(a2)としては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的にはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキレングリコール(メタ)アクリレートとして、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
単量体(a2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
単量体(a3)であるカルボキシル基含有単量体を含む単量体混合物を共重合させることにより、カルボキシル基を有する(A)成分が得られる。(A)成分のカルボキシル基が粘着剤組成物内で水素結合を形成することにより、粘着剤層に凝集力を付与し、粘着剤層の耐久性を向上させることができる。また、カルボキシル基を有する(A)成分を用いることにより、粘着剤層は、被着体に対する粘着力を向上させることができる。高い耐久性を有する粘着剤層を得る観点から、単量体混合物中の単量体(a3)の含有量は、0.1〜10質量%であり、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましく、0.6〜2質量%であることが特に好ましい。また、一実施形態として、単量体混合物中の単量体(a3)の含有量を、1.2〜2質量%とすることもできる。
単量体(a3)としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有さずカルボキシル基および重合性二重結合を有する単量体等が挙げられる。カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有さずカルボキシル基および重合性二重結合を有する単量体としては、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など)が挙げられる。このうち、共重合性の観点から、単量体(a3)は、(メタ)アクリル酸およびカルボキシル基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体(a4)である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、ポリオキシアルキレン基、アルコキシアルキル基および架橋性基のいずれも含まない。
単量体(a4)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
単量体混合物は、単量体(a5)である前記(a1)〜(a4)以外の共重合性単量体を含んでいてもよい。単量体(a5)としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基またはアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;アクリルアミド、ペンタメチルピペリジン(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等のその他の窒素含有単量体;ベンジル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のエステル部位に芳香環基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル環を有する(メタ)アクリレート;アクリロニトリル等のアクリロイル基を有する単量体;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル(メタ)アクリロイル基含有マクロモノマーが挙げられる。
単量体(a5)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。単量体混合物中の単量体(a5)の含有量は、0〜30質量%であり、0〜20質量%であることが好ましい。
本発明の粘着剤層において、優れた耐久性、ならびにガラス基板とポリシクロオレフィン系フィルムとの高い密着性およびポリシクロオレフィン系フィルム同士の高い密着性を達成する観点から、前記単量体混合物中における前記単量体(a1)、(a2)、(a3)および(a4)の合計量は、70〜100質量%であることができ、80〜100質量%であることが好ましい。
(A)成分の重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、重合により得られた共重合体を用いて、粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単でかつ短時間で行える観点から、溶液重合により重合することが好ましい。
これらの重合開始剤はそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
(8−1)重量平均分子量および分散指数
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、ガラス基板とポリシクロオレフィン系フィルムとの密着性およびポリシクロオレフィン系フィルム同士の密着性を高め、光漏れを防止し、かつ耐久性を高めることができる観点から、40万〜200万であることが好ましく、75万〜150万であることがより好ましい。(A)成分のMwが40万未満であると、耐久性に劣ることがあり、一方、200万を超えると、光漏れを十分に低減することができないことがある。
ここで、(A)成分のMwおよびMnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、実施例に記載の条件で標準ポリスチレン換算により求めたものである。
光漏れを防止し、かつ耐久性および被着体とポリシクロオレフィン系フィルムとの密着性を高めることができる観点から、(A)成分のガラス転移温度(Tg)は−70〜0℃であることが好ましく、−50〜−10℃であることがより好ましい。なお、本発明において、(A)成分のTgは、下記式(2)(FOXの式)により算出された値である。
1/TgA=Wa1/Tga1+Wa2/Tga2+Wa3/Tga3+Wa4/Tga4+Wa5/Tga5 ・・・・(2)
(式中、TgAは、(A)成分のガラス転移温度(K)を示し、Tga1、Tga2、Tga3、Tga4、Tga5はそれぞれ、単量体(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)から調製されたホモポリマーのガラス転移温度(Tg(K))を示し、Wa1、Wa2、Wa3、Wa4、Wa5はそれぞれ、(A)成分中に含まれる、単量体(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)に由来する構造単位量の全構造単位中の重量分率を示す。)
なお、例えば、単量体(aX)中に、2種以上の単量体(例えば、(aX−1)および(aX−2))を含む場合(Xは1〜5の整数である。)、上記式(2)の単量体(aX)に関する項は、下記式(3)のように書き表せる。
WaX/TgaX=WaX-1/TgaX-1+WaX-2/TgaX-2 ・・・・(3)
(式中、TgaX-1、TgaX―2はそれぞれ、単量体(aX−1)、(aX−2)から調製されたホモポリマーのガラス転移温度(Tg(K))を示し、WaX-1、WaX-2はそれぞれ、(A)成分中に含まれる、単量体(aX−1)、(aX−2)に由来する構造単位量の全構造単位中の重量分率を示す。)
イソシアネート系架橋剤(B)(以下、単に「(B)成分」と記載することもある。)は、常温又は加熱下で(A)成分と架橋し得る架橋剤であれば特に限定されないが、例えば、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーや、それらをトリメチロールプロパンなどの2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物等が例示される。
本実施形態に係る粘着剤組成物は、必要に応じて、(A)成分および(B)成分以外の成分をさらに含むことができる。例えば、本実施形態に係る粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(C)シランカップリング剤(以下、単に「(C)成分」と記載することもある。)、(D)イオン性化合物(以下、単に「(D)成分」と記載する場合もある。)、(E)有機溶媒(以下、単に「(E)成分」と記載する場合もある。)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、可塑剤等が配合されていても良い。
本実施形態に係る粘着剤組成物が(C)成分を含むことにより、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて被着体の表面に粘着剤層を形成した場合、被着体と粘着剤との接着を良好に保つことができる。(C)成分は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;3−クロロプロピルトリメトキシシラン;オリゴマー型シランカップリング剤が挙げられる。中でも、(A)成分中に含まれる官能基と反応する官能基を有しているシランカップリング剤が高湿熱環境下でハガレを生じさせにくいという点で好ましい。(C)成分の粘着剤組成物中の含有量は、被着体との接着を良好に保つことができる観点から、(A)成分100質量部に対して0.1〜5質量部であることができ、0.2〜1質量部であることが好ましい。
また、本実施形態に係る粘着剤組成物は、イオン性化合物(D)を含んでいてもよい。
(D)成分としては、例えば、アニオンとカチオンとからなる、25℃で液体状、または固体状のイオン性化合物が挙げられ、具体的には、アルカリ金属塩、イオン性液体(25℃で液体状)、界面活性剤等が挙げられる。本実施形態に係る粘着剤組成物が(D)成分を含むことにより、(A)成分を構成する(a1)成分由来のポリオキシアルキレン基またはアルコキシアルキル基の酸素原子が、(D)成分を構成するカチオンに配位することにより、高い帯電防止性能を実現することができる。
このなかでも、(D)成分として、アルカリ金属塩を使用することが好ましい。
(E)有機溶媒
本実施形態に係る粘着剤組成物は、その塗布性を調製するため、(E)成分を含有することが好ましい。(E)成分としては、「(7)重合方法」の欄で説明した有機溶媒が挙げられる。(E)成分の組成物中の含有量は、(A)成分100質量部に対して、50〜90質量部であることができ、60〜90質量部であることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤組成物は、通常、前記(A)および(B)成分および必要に応じて任意成分を、同時にあるいは任意の順番で混合して調製される。また、(A)成分と(B)成分とを混合するにあたり、(A)成分を溶液重合により調製した場合は、重合完了後の(A)成分を含む溶液に(B)成分を添加してもよく、(A)成分を塊状重合により調製する場合は、重合完了後では均一混合が困難になるため、この重合の途中で(B)成分を添加して混合することが好ましい。
本発明の粘着剤層は、上述の粘着剤組成物から形成される。例えば、上述の粘着剤組成物中の架橋反応を進めることにより、具体的には(A)成分を(B)成分で架橋することにより、前記粘着剤層が得られる。粘着剤層の形成条件は、例えば以下のとおりである。前記粘着剤組成物を支持体上に塗布し、溶媒の種類によっても異なるが、通常50〜150℃、好ましくは60〜100℃で、通常1〜10分間、好ましくは2〜7分間乾燥して溶媒を除去し、塗膜を形成する。乾燥塗膜の膜厚は、通常5〜75μm、好ましくは10〜50μmである。
ゲル分率(%)=(乾燥重量(2)/乾燥重量(1))×100 ・・・(4)
偏光板としては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用される。なお、本明細書では、「偏光板」は「偏光フィルム」を包含する意味で用いる。
偏光板の厚さは、通常30〜250μm、好ましくは50〜200μmである。
粘着剤層付き偏光板は、前記粘着剤層が偏光板表面の少なくとも一方の面に形成された偏光板である。偏光板表面に粘着剤層を形成する方法に特に制限はなく、偏光板表面に直接バーコーター等を用いて粘着剤組成物を塗布し乾燥および熟成させる方法、本発明の粘着剤層を偏光板表面に転写し熟成させる方法が挙げられる。粘着剤層を偏光板表面に転写する場合には、粘着剤層の取りうる形態として、例えば粘着剤層のみを有する両面粘着シート、基材と基材の両面に形成された上記粘着剤層とを有する両面粘着シート、基材と基材の一方の面に形成された上記粘着剤層を有する片面粘着シート、およびそれら粘着シートの粘着剤層の基材と接していない面に剥離処理されたカバーフィルムが貼付された粘着シートが挙げられる。基材およびカバーフィルムとしては、前記粘着剤層の欄で例示した材料と同様である。粘着剤層の形成条件やゲル分率は、前記粘着剤層の欄に記載した条件と同様である。粘着剤層の膜厚は、粘着性能維持の観点から、通常5〜75μm、好ましくは10〜50μmである。基材およびカバーフィルムの膜厚は、特に限定されないが、通常10〜125μm、好ましくは25〜75μmである。
本発明の粘着剤層を用いて、上記偏光板が偏光子および前記偏光子上に配置された保護フィルムを有し、前記偏光子、前記保護フィルム、本発明の粘着剤層、およびガラス基板がこの順に積層されてなる積層体を製造することができる。
本実施形態に係る偏光板を画像表示装置に貼り合わせるための粘着剤層は、その粘着剤層の接触角を所定の範囲に調整することにより被着体との密着を良好に保ちつつ、耐久性に優れた効果を有する。(A)成分を形成するための単量体混合物中の単量体(a1)が、粘着剤層に適度な投錨性および光漏れ防止効果をもたらす。すなわち、本発明は、単量体(a1)であるポリオキシアルキレン基またはアルコキシアルキル基含有単量体を特定量含む単量体混合物から形成される(A)成分によって、(A)成分を含む粘着剤組成物から形成される粘着剤層はポリシクロオレフィン系フィルムに適した弾性率を有する粘着剤層を得ることができるため、ポリシクロオレフィン系フィルムとの密着性を高めることができる上、さらに単量体(a2)〜(a4)の配合を所定の範囲にすることで光漏れ防止効果と耐久性を両立できる、新規でかつ独創的な発想に基づくものである。
<加熱残分>
精秤したブリキシャーレにポリマー溶液を1g程度入れ、合計重量を精秤した後、105℃で3時間加熱し、加熱残分(nV)を測定した。加熱残分は、JIS K 5407:1997に準じて測定した。
<粘度測定>
ポリマー溶液を、ワニス入りの500ml瓶を25℃の恒温水槽に浸し12時間静置後、B型粘度計の測定方法に従い、粘度を測定した。
<GPC測定条件>
アクリル系重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により、下記条件で、重量平均分子量(Mw)および分散指数(PDI)を求めた。
測定装置:HLC−8120GPC(東ソー社製)
GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー社製)
(i)TSK−GEL HXL−H (ガードカラム)
(ii)TSK−GEL G7000HXL
(iii)TSK−GEL GMHXL
(iv)TSK−GEL GMHXL
(v)TSK−GEL G2500HXL
サンプル濃度:1.0mg/cm3となるように、テトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0cm3/min
カラム温度:40℃
標準ポリスチレン換算
撹絆装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、ブチルアクリレート8質量部、アクリル酸2−メトキシエチル90質量部、アクリル酸1質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1質量部、および酢酸エチル140質量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を70℃に加熱した。次いで、窒素ガスで十分に置換されたフラスコ内に、2,2´−アゾビス−i−ブチロニトリル(AIBN)0.1質量部を撹絆下で添加した。フラスコ内の内容物の温度を70℃に維持しながら8時間反応させた。8時間経過後の反応混合物に酢酸エチル140質量部を添加して、アクリル系重合体1を含むポリマー溶液1を得た。得られたポリマー溶液1の105℃での加熱残分(nV%)は25.2%、23℃における粘度は5.2Pa・sであった。また、得られたアクリル系重合体1についてGPCにより測定されたMwは90.2万であり、PDIは12であった。
重合反応に用いた重合性単量体を表1に記載したとおりに変更したこと以外は合成例1と同様に行い、アクリル系重合体2〜8または10〜12を含む、ポリマー溶液を調製した。結果を表1に示す。
撹絆装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、ブチルアクリレート8質量部、アクリル酸2−メトキシエチル90質量部、アクリル酸1質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1質量部、および酢酸エチル120質量部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を65℃に加熱した。次いで、窒素ガスで十分に置換されたフラスコ内に、AIBN0.05質量部を撹絆下で添加した。フラスコ内の内容物の温度を65℃に維持しながら3時間反応させた。その後、酢酸エチル160質量部を滴下すると同時に、フラスコ内の内容物が75℃になるまで加熱し、5時間反応させた。反応開始から8時間後、反応混合物に酢酸エチル120質量部を添加して、アクリル系重合体6を含むポリマー溶液6を得た。得られたポリマー溶液6の加熱残分(nV%)は20%、23℃における粘度は3.8Pa・sであった。また、得られたアクリル系重合体9についてGPCにより測定されたMwは110万であり、PDIは24であった。
なお、表1における略語は以下の意味である。
BA:ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg:−50℃)
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(ホモポリマーのTg:−70℃)
MEA:2−メトキシエチルアクリレート(ホモポリマーのTg:−50℃)
AA:アクリル酸(ホモポリマーのTg:106℃)
HEA:2−ヒドロキエチルアクリレート(ホモポリマーのTg:−15℃)
(1)粘着剤組成物の作成
前記合成例1で得られたアクリル系重合体1を含むポリマー溶液1に、前記ポリマー溶液1の固形分100質量部に対して(B)成分および(C)成分を下記表2の配合比率にて配合し、よく混合した。ここで、固形分とは、ポリマー溶液から有機溶媒を除いた全成分をいう。
上記(1)で得られた粘着剤組成物を、泡抜け後、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、ドクターブレードを用いて液温25℃で塗布し、90℃で3分間乾燥して、乾燥膜厚25μmの塗膜を形成した。塗膜の前記PETフィルムの貼付面とは反対面に、剥離処理されたPETフィルムをさらに貼り合わせ、23℃/50%RH環境下で7日間静置して熟成させて、2枚のPETフィルムに挟まれた厚さ25μmの粘着剤層を有する粘着シートを得た。
(1)で得られた粘着剤組成物を、泡抜け後、ドクターブレートを用いPETセパレーターに塗工し、90℃で3分間乾燥して厚さ25μmの粘着剤層を作製した。当該シートの塗膜面を、ポリシクロオレフィン系(COP)フィルムを一表面に有する偏光板のCOPフィルム面に貼り合わせ、室温23℃、湿度65%の条件下、1〜7日間静置し粘着剤層付き偏光板を得た。
実施例1において、配合組成を表2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シートおよび粘着剤層付き偏光板を得た。
(1)ゲル分率
実施例および比較例で得られた粘着シートから粘着剤層1gを採取し、酢酸エチル50mlに投入し、振盪機(型名shaker SA−300、ヤマト科学株式会社製)にかけた。ゲル分を200メッシュのステンレス網にてろ過し、乾燥させた。その後、ろ過後の試料の質量をろ過前の試料の質量で除した値をゲル分率として算出した。
実施例および比較例で得られた評価用粘着シートからPETフィルムを剥離して、厚さ25μmの粘着剤層同士を複数回貼り合わせて1mm厚に調整した粘着剤層を、自動波長走査型エリプソメータ(M220型、日本分光社製)で、測定波長600nmの条件で測定し、得られた測定値を光弾性係数とした。
実施例および比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を50mm×50mmの大きさに裁断し、PETセパレーターをはがした。シリンジに充填したイオン交換水を流量1μL、流速0.5μL/sで粘着剤層表面に滴下し、接触角計(dataphysics社製OCA15EC)により粘着剤層の接触角を測定した。
実施例および比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を150mm×250mmの大きさに裁断し、試験片を作成した。試験片からPETセパレーターをはがし、ガラス板の片面にラミネーターロールを用いて貼着し、次いで、50℃にて5気圧に調整されたオートクレーブに20分間保持して試験板を作成した。同様の試験板を2枚作成した。一方の試験板は、耐熱試験のため、80℃の条件下で500時間放置した。もう一方の試験板は、耐湿試験のため、60℃でかつ湿度95%RHの条件下に500時間放置した。それぞれ、以下の基準でガラス板−粘着剤層の界面のハガレ、発泡の発生等を目視で確認した。
(基準)
AA:ハガレ等の外観不良は観察されなかった。
BB:ハガレ等の外観不良が僅かに観察された。
CC:ハガレ等の外観不良が明らかに観察された。
実施例および比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を、80mm×140mmの大きさに裁断し、厚さ1.1mmの無アルカリガラス板の両側に、偏光軸が互いに直交するようにラミネーターロールを用いて貼着し、次いで50℃、5気圧に調整されたオートクレーブに20分間保持して試験板を作成した。この試験板を温度80℃の条件下に500時間放置し、以下の基準で光漏れの観察を行った。
(基準)
AA:光漏れは観察されなかった。
BB:光漏れが僅かに観察された。
CC:光漏れが明らかに観察された。
上記耐湿試験後の試験板について、偏光板のCOPフィルム面および粘着剤層の界面の密着を目視で確認して、以下の基準で評価した。
(基準)
AA:ハガレ等の外観不良は観察されなかった。
BB:ハガレ等の外観不良が僅かに観察された。
CC:ハガレ等の外観不良が部分的に観察された。
DD:ハガレ等の外観不良が顕著に観察された。
20,22 粘着剤層
30,130 偏光フィルム
32 位相差フィルム(ポリシクロオレフィン系フィルム)
34 ポリビニルアルコール(PVA)フィルム
36 TACフィルム
38 ポリシクロオレフィン系フィルムまたはTACフィルム
100,200 積層体
Claims (5)
- 偏光板を画像表示装置に貼り合わせるための粘着剤層であって、該粘着剤層は、粘着剤層表面と水との接触角が90°以下であり、かつ
(A)下記単量体(a1)〜(a5)を含む単量体混合物の共重合体と、
(B)イソシアネート系架橋剤を前記共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5質量部と
を含む粘着剤組成物から得られることを特徴とする、粘着剤層:
(a1)ポリオキシアルキレン基またはアルコキシアルキル基含有単量体30〜98.8質量%;
(a2)水酸基含有単量体0.1〜10質量%;
(a3)カルボキシル基含有単量体0.1〜10質量%;
(a4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体1〜69.8質量%;
(a5)前記(a1)〜(a4)以外の共重合性単量体0〜30質量%;
ただし、前記単量体(a1)〜(a5)を足し合わせて100質量%である。 - 偏光板が、保護フィルムとしてポリシクロオレフィン系フィルムを有する請求項1に記載の粘着剤層。
- 偏光板の少なくとも一方の面に、請求項1または2に記載の粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板。
- 請求項3に記載の粘着剤層付き偏光板を、ガラス基板に貼り合わせた積層体。
- 前記ガラス基板は、画像表示装置に用いられるガラス基板である、請求項4に記載の積層体。
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