JPWO2016047361A1 - 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着シート、タッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネル - Google Patents
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Abstract
Description
通常、タッチパネルを製造する際には、表示装置やタッチパネルセンサーなどの各部材間を密着させるために光硬化型組成物などが使用されている。なお、通常、光硬化型組成物はシート状に成形されて粘着シートとして使用される。
(B)(メタ)アクリロイル基及び親水性基を有する化合物、並びに、
(C)光ラジカル重合開始剤を含有し、
(A)成分及び(B)成分の重量比((A)/(B))が90/10〜25/75であり、
(1)(B)成分が(B−1)ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸2モル付加物を含み、(B−1)成分の含有量が(A)成分及び(B)成分の総重量100重量部に対して、1重量部以上50重量部以下であるか、又は、
(2)(B)成分が(B−2)(メタ)アクリル酸多量体、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン開環物及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの酸無水物付加物よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする粘接着剤用光硬化型組成物」が開示されている。そして、特許文献1の実施例では、光ラジカル重合開始剤としてIrgacure2959(1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)を含む態様が開示されている。
本発明者が特許文献1の実施例に開示されるようなIrgacure2959を含む組成物について検討したところ、光硬化型組成物が上記のような重合開始剤を含有する場合(本明細書の比較例2)、この組成物より得られる粘着シートの粘着性が低い場合があることが明らかになった。
また、上記重合開始剤の量を増やした場合、溶解性が不足することにより上記重合開始剤の溶け残りが生じ、粘着シートにおいて、ヘイズが生じることが明らかとなった。このようにヘイズが生じると、タッチパネルなどに使用したときに視認性が低下してしまう。また、高湿試験後の粘着シートのヘイズが高湿試験前の粘着シートよりも更に悪化することが明らかとなった。
また、本発明は、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成される粘着シート、上記粘着シートを備えるタッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネルを提供することを目的とする。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
一般式(I)中、V1、V2、V3、及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。一般式(I)中、nは、1以上5以下の整数を表す。
[2] 一般式(I)において、nが1である、[1]に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[3] 親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物が、(メタ)アクリル系化合物である、[1]または[2]に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[4] 親水性基が、ヒドロキシル基またはカルボキシル基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[5] 一般式(I)で表される化合物の含有量が、組成物全質量に対して、1〜10質量%である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[6] 一般式(I)で表される化合物の含有量が、組成物全質量に対して、2〜7質量%である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[7] さらに、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物を含み、
疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物の含有量が、組成物全質量に対して、10〜30質量%である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[8] 疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物のホモポリマーのガラス転移温度が、−80℃〜+20℃である、[7]に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[9] 架橋剤を更に含み、架橋剤が多官能アクリルアミドを少なくとも含む、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[10] 多官能アクリルアミドが、下記化合物3〜6からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[9]に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[11] 架橋剤の含有量が、組成物全質量に対して、0.1〜10質量%である、[9]又は[10]に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[12] 水を実質的に含まない、[1]〜[11]のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
[13] [1]〜[12]のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射して得られる粘着シート。
[14] [13]に記載の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとを備える、タッチパネル用積層体。
[15] さらに、保護基板を備え、
静電容量式タッチパネルセンサーと、粘着シートと、保護基板とをこの順に備える、[14]に記載のタッチパネル用積層体。
[16] 表示装置と、[13]に記載の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとをこの順に備える、静電容量式タッチパネル。
また、本発明によれば、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成される粘着シート、上記粘着シートを備えるタッチパネル用積層体および静電容量式タッチパネルを提供することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルまたはメタクリロイルを表し、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを表す。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、成分が2種以上の化合物を含む場合、上記成分の含有量とは、合計の含有量を指す。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(以下、本発明の組成物とも言う)は、
親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物、および下記一般式(I)で表される化合物を含む。
一般式(I)中、V1、V2、V3、及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。一般式(I)中、nは、1〜5の整数を表す。
上述のとおり、特許文献1で使用される重合開始剤である1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンは親水性が低い。これを組成物に使用した場合、組成物から上記重合開始剤が析出する場合がある。このような析出物があることによって、ヘイズが悪化すると考えられる。また、上記重合開始剤の親水性が低く、親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物との相溶性が低いことによって、粘着シート中の残存モノマーが多くなり、高い粘着性が得られない場合がある。
また、この場合、高温試験後の粘着シートの粘着性が高温試験前の粘着性よりも低くなる場合がある。
また、一般式(I)で表される化合物はエチレンオキシ基を有するので、高湿試験前後で光学特性が低下することを抑制することができると考えられる。これは上記化合物が水との親和性が高く高湿条件下において水を凝結させにくいためであると推測される。
さらに、上述したように、一般式(I)で表される化合物は、親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物との相溶性が高いため、いわゆる残存モノマー量を低減することができ、結果として、高温試験の際に、粘着シート表面への残存モノマーのブリードアウトが少なく、粘着性の低下が抑制されている。
<親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物>
本発明の組成物は親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物を含有する。
上記化合物は親水性基とエチレン性不飽和基とを有する。
親水性基は、エチレン性不飽和基と直接又は有機基を介して結合することができる。有機基は2価以上とすることができる。有機基としては、例えば、ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基、エステル結合、エーテル結合、これらの組合せが挙げられる。
炭化水素基は特に制限されない。炭化水素基としては具体的には例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、これらを組み合わせた基が好ましく挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖、または、環状であってもよく、より具体的には、直鎖状脂肪族炭化水素基、分岐鎖状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基などの2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などの2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基の炭素数1〜5であるのが好ましい。
ヘテロ原子は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲンが挙げられる。ヘテロ原子は単独または2種以上の組み合わせであってもよい。ヘテロ原子は炭素原子及び/又は水素原子との組合せであってもよい。
有機基としては具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基;メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルの残基が挙げられる。
親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物が親水性基としてアミド結合を有し、アミド結合とエチレン性不飽和基とが(メタ)アクリルアミド結合(CH2=CR−CO−NH−。Rは水素原子又はメチル基である。)を形成する場合、親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物1分子が有する(メタ)アクリルアミド結合の数は、1個であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物は、なかでも(メタ)アクリル系化合物であるのが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、式Aで表される単官能性(メタ)アクリレートモノマーがさらに好ましい。
式A CH2=CR1−COO−R2−Xn
式A中、R1は、水素原子、または、アルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、炭素数1がより好ましい。
R2は、炭化水素基を表す。なかでも、R2で表される炭化水素基中の炭素原子の数(炭素数)は1〜5個が好ましい。
Xは親水性基を表す。nは1〜3が好ましい。
(メタ)アクリル酸、およびそれらのカルボン酸塩;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−モルホリノエチル(メタ)アクリレートのような窒素原子含有(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのようなエーテル結合を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのスルホン酸塩などの、1分子中に(メタ)アクリルアミド結合を1個有するモノ(メタ)アクリルアミド化合物;
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−メチルカルボキシベタイン、2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、N−(3−スルホプロピル)―N−(メタクリルオキシエチル―N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(4−スルホブチル)−N−(メタクリロイルアミノプロピル)−N,N−ジアンモニウムベタインなどのベタイン化合物などが挙げられる。
−90〜+250℃であるのが好ましく、−50〜+110℃であるのがより好ましい。
このような範囲のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成できる、親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物としては、例えば、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(アクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:7℃、メタクリレートのホモポリマーガラス転移温度:55℃)、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(アクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:−7℃、メタクリレートのホモポリマーガラス転移温度:26℃)、
2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(アクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:−38℃)、
アクリル酸(ホモポリマーのガラス転移温度:106℃)、
メタクリル酸(ホモポリマーのガラス転移温度:227℃)が挙げられる。
E. H. Immergut, Polymer Handbook, 2nd Ed., J. Wiley, New York 1975、光硬化技術データブック(テクノネットブックス社)、POLYMER HANDBOOK(ポリマーハンドブック)第3版、第6章、209ページ等に記載されている。
親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の組合せとしては例えば、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸及び/又はアミド系化合物との組合せが挙げられ、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との組合せが好ましい。
本発明の組成物は重合開始剤として一般式(I)で表される化合物を含有する。一般式(I)で表される化合物は、活性エネルギー線の照射によって、エチレン性不飽和基を有する化合物等の重合反応を開始させる機能を有する、いわゆる「光重合開始剤」である。
置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基)、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、メルカプト基、アシル基、アミノ基などが挙げられる。
また、V1〜V4において、アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。また、アルキル基は、脂環構造を有していてもよい。
V1〜V4におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
また、V1〜V4において、アルコキシ基は、直鎖アルコキシ基であってもよいし、分岐鎖アルコキシ基であってもよい。また、アルコキシ基は、脂環構造を有していてもよい。
V1〜V4におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基が好ましい。
また、V1〜V4において、アルキルチオ基は、直鎖アルキルチオ基であってもよいし、分岐鎖アルキルチオ基であってもよい。また、アルキルチオ基は、脂環構造を有していてもよい。
V1〜V4におけるアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基が好ましい。
また、V1〜V4において、アシル基は、直鎖アシル基であってもよいし、分岐鎖アシル基であってもよい。
V1〜V4におけるアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基、n−プロピルアシル基、イソプロピルアシル基が挙げられ、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基が好ましい。
一般式(I)中、nが1以上であることにより、析出物の発生を抑制することができる。また、上記nが5以下であることにより、光に対する感度が高く維持され、種々の基材に対する接着強度(すなわち、活性エネルギー線の照射前の接着強度)が向上する。
上記nは、1以上3以下であることが好ましく、1以上2以下であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
これに対して、上記nが0である場合には、親水性が低く、組成物中にて親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物との相溶性に劣り、析出物や残存モノマーが発生しやすくなる傾向にある。また、上記nが5を超える場合には、重合開始剤の分子量が増加しすぎて、組成物中での重合性化合物の分散性の低下を引き起こし、組成物の感度が低下する傾向にある。
(疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物)
本発明の組成物は、さらに、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物を含有するのが好ましい。本発明の組成物がさらに疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物を含有することによって、粘着シートを形成するポリマーのガラス転移温度を調整しやすくし、粘着性により優れる。
なお、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物は、親水性基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミン、アミド結合)を有さないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
炭化水素基としては具体的には例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、これらを組み合わせた基が好ましく挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖、または、環状であってもよく、より具体的には、直鎖状脂肪族炭化水素基、分岐鎖状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
炭化水素基の炭素数は、1〜18個であるのが好ましい。
上記炭化水素基は、炭素原子及び水素原子のみから形成されるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
また、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物は、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有するモノ(メタ)アクリレートであるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ジシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレートのような環状脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレートのような芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート基が挙げられる。
このような範囲のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成できる、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、
イソステアリルアクリレート(アクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:−58℃)、
ラウリル(メタ)アクリレート(アクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:−30℃、メタクリレートのホモポリマーガラス転移温度:−65℃)、
2−エチルヘキシルメタクリレート(メタクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:−10℃)、
ブチルメタクリレート(メタクリレートのホモポリマーガラス転移温度:20℃)、
イソボルニルアクリレート(イソボルニルアクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:94℃)等が挙げられる。
本発明の組成物は更に架橋剤を含有することが好ましい。
本発明において、架橋剤は1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であれば特に制限されず、2個有するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。エチレン性不飽和基は上記と同様である。エチレン性不飽和基は有機基に結合することができる。有機基としては、例えば、親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物が有することができる有機基と同様のものが挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグルコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トランス−1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのようなトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのような4〜5官能の(メタ)アクリレート;多官能(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
上記ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。ジ(メタ)アクリレートは、なかでも、トリエチレングリコールジアクリレート(TEGDAA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)が好ましい。
水溶性であり、20℃の条件下で固体の多官能アクリルアミド(例えば、公技番号2013−502654、2013年8月27日発行、発明推進協会)の段落<0031>に記載の重合性化合物1〜12、段落<0192>に記載の多官能化合物1〜11);
水溶性であり、20℃の条件下で液体の多官能アクリルアミド(例えば、上記化合物3〜6が挙げられる。実施例で化合物3〜6の合成例を述べる。);
水難溶性であり、20℃の条件下で固体の多官能アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)などが挙げられる。
架橋剤として水溶性であり20℃の条件下で液体の多官能アクリルアミドを使用する場合、粘着性をより向上させることができる。
また、多官能アクリルアミドが水難溶性とは、常温(20℃)で多官能アクリルアミドを水に溶解させた際、水の10質量%未満の量の多官能アクリルアミドが水に溶解することを意味する。
架橋剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の成分(添加剤)をさらに含有してもよい。
そのような成分としては、例えば、親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物及び架橋剤の含有量以外の重合性モノマー、粘着付与剤、上述した一般式(I)で表される化合物以外の光重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒、増感色素、重合阻害抑制剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などのような添加剤が挙げられる。添加剤の種類、含有量は、従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜選択することができる。
本発明において、水を実質的に含まないとは、水の含有量が、組成物全質量に対して、1質量%以下であることをいう。本発明の組成物の水の含有量は0質量%であるのが好ましい。
本発明の粘着シートは、本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射することで得られる。
粘着シートを基材の片面若しくは両面に設けることができる。又は、基材を粘着シートの片面若しくは両面に設けることができる。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプおよび紫外線LED等を用いることができる。
組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーターなどによる方法が挙げられる。
光照射する方法としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、Deep−UV光、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などによる方法が挙げられる。光照射のエネルギーは特に制限されないが、1〜10J/cm2であるのが好ましい。
粘着シートの形成後、必要に応じて、形成された粘着シートの露出した表面上に離型PETフイルムなどの離型フイルムを積層してもよい。
本発明のタッチパネル用積層体は、本発明の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとを備える。
本発明のタッチパネル用積層体の一態様について図面を参照して説明する。
図1は、本発明のタッチパネル用積層体の一態様を模式的に表す断面図である。図1において、タッチパネル用積層体100は、粘着シート12と、静電容量式タッチパネルセンサー18とを備える。
また、図2は、本発明のタッチパネル用積層体の別の態様を模式的に表す断面図である。図2において、タッチパネル用積層体200は、保護基板20と、粘着シート12と、静電容量式タッチパネルセンサー18とを備える。
表示装置と、本発明の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとをこの順に備える。
本発明の静電容量式タッチパネルの一態様について図面を参照して説明する。
図3(A)は、本発明の静電容量式タッチパネルの一態様を模式的に表す断面図である。図3(A)において、静電容量式タッチパネル300は、静電容量式タッチパネルセンサー18と、粘着シート12と、表示装置40とを備える。
また、図3(B)は、本発明の静電容量式タッチパネルの別の態様を模式的に表す断面図である。図3(B)において、静電容量式タッチパネル400は、保護基板20と、粘着シート12と、静電容量式タッチパネルセンサー18と、粘着シート12と、表示装置40とを備える。
静電容量式タッチパネルセンサー18の構成は特に制限されないが、通常、検出電極(特に、X方向に延びる検出電極およびY方向に延びる検出電極)を有し、指が接触または近接した検出電極の静電容量変化を検出することによって、指の座標を特定する。
保護基板20は、粘着シート上に配置される基板であり、外部環境から後述する静電容量式タッチパネルセンサー18を保護する役割を果たすと共に、その主面はタッチ面を構成する。保護基板20として、透明基板であることが好ましくプラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板などが用いられる。基板の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜選択することが望ましい。
表示装置40は、画像を表示する表示面を有する装置であり、表示画面側に各部材が配置される。表示装置40の種類は特に制限されず、公知の表示装置を使用することができる。例えば、陰極線管(CRT)表示装置、液晶表示装置(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)表示装置、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)、電界放出ディスプレイ(FED)または電子ペーパー(E−Paper)などが挙げられる。
(中間体1の合成)
合成例1のフェニルジグリコールをヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテルに代えた以外は合成例1の合成と同様にして、化合物2を合成した。化合物2は23℃条件下において液体であった。
・化合物3の合成例
攪拌機を備えた2L容の三口フラスコに先にN−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(アルドリッチ社製)30g、NaHCO3301g(N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンが有する−NH2基に対して14当量)、ジクロロメタン1L、水50mlを入れ、三口フラスコを氷浴下に置いた。次に、上記三口フラスコ内にアクリル酸クロリド232g(上記−NH2基に対して10当量、和光純薬工業社製)を3時間かけて滴下し、その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失を1H−NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下溶媒留去し、硫酸マグネシウムで反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行い、減圧下溶媒留去した。最後に、シリカカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として酢酸エチルとメタノールの体積比9:1の混合溶媒を使用した。)にて精製することで、上記構造を有する化合物3(収率43%)を得た。化合物3は常温(20℃条件下)で液体であった。化合物3は水溶性であった。
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをビス(3−アミノプロピル)アミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物3の合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物4(収率43%)を得た。化合物4は常温(20℃条件下)で液体であった。化合物4は水溶性であった。
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをN,N’―ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物3の合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物5(収率40%)を得た。化合物5は常温(20℃条件下)で液体であった。化合物5は水溶性であった。
N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミンをN,N’―ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(東京化成工業社製)に代えた以外は、化合物3の合成例と同様の手法で調製を行い、上記構造を有する化合物6(収率41%)を得た。化合物6は常温(20℃条件下)で液体であった。化合物6は水溶性であった。
(実施例1〜17、比較例1〜2)
下記表2に示す成分を、下記表2に示す配合量(質量%)で混合し、撹拌することで各活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(ベース組成物)を得た。
例えば、実施例1の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、化合物1(5質量部)と、HEA(75質量部)と、BA(19質量部)、TEGDMA(1質量部)とを混合し、撹拌することで得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物である。各成分の詳細は後述のとおりである。
上記のとおり製造した活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を、離型PETフイルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフイルム、商品名ダイヤホイル、三菱樹脂社製、縦30cm、横21cm、厚み80μm)上に全面塗布して粘着剤組成物層を形成し、粘着剤組成物層上にさらにもう1枚上記と同じ離型PETを貼り付けて、離型PETフイルムで挟まれた粘着剤組成物層を形成した。次に、離型PETフイルムで挟まれた粘着剤組成物層にフュージョンUVランプ(Dバルブ:照度200mW/cm2)を1J/cm2の条件で照射し、硬化させて、離型PETフイルムで挟まれた粘着シート(粘着シートのみの厚み:150μm)を得た。
各実施例および比較例で得られた硬化させる前の組成物約30mgを、テトラヒドロフランとアセトニトリルの質量比5:5の混合溶媒10mLに加えて、25℃の条件下において1時間撹拌し、組成物中の残存モノマーを抽出した。
また、上記のとおり硬化させた後の粘着シート(離型フイルムは除去されている)を縦横5mm×30mmの大きさに切断して、これをテトラヒドロフランとアセトニトリルの質量比5:5の混合溶媒10mLに加えて、25℃の条件下において1時間撹拌し、粘着シート中の残存モノマーを抽出した。
上記のとおり得られたそれぞれの抽出液を用いて液体クロマトグラフィーを測定した。
濃度換算したのちに、各モノマーのピーク面積に対して、「粘着シートのモノマーピーク面積/組成物のモノマーピーク面積」を算出し、残存モノマー%の値を求めた。
なお、以下の基準に沿って評価した。実用上、AまたはBが好ましい。
「A」:残存モノマーが10%未満であった。
「B」:残存モノマーが10%以上〜20%未満であった。
「C」:残存モノマーが20%以上であった。
なお、上記モノマーとは、各実施例および比較例に使用した、親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(以下、表2中では「親水モノマー」)、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物(以下、表2中では「疎水モノマー」)、および、架橋剤の全てを含む概念であり、残存モノマーも3つのモノマーの残存物を含む概念である。一般式(I)で表される化合物は残存モノマーに含まれない。一般式(I)で表される化合物の液体クロマトグラフィーにおけるピークは残存モノマーのピークと重ならない。
各実施例および比較例で得られた粘着シートを2.5cm×5cmに切り出し、離型フイルムをはがして、得られた粘着シートの片面をガラス基板(50mm×75mm)に、もう一方の面をカプトンフイルム(商品名カプトン200H/V、東レ−デュポン社製、厚さ50μm)に貼り付けたサンプルを作製した。続いて、島津製作所社製オートグラフを用いて、粘着シートの2.5cm幅方向と並行なカプトンフイルムの一端を把持して、25℃、50%RHの条件下で180度ピール試験(引張速度300cm/分)を行い、粘着シートとガラス基板の試験力平均値を測定し、この値を接着強度(N/mm)とした。なお、以下の基準に沿って評価した。実用上、AまたはBが好ましい。
「A」:接着強度が0.7N/mm以上であった。
「B」:接着強度が0.4N/mm以上0.7N/mm未満であった。
「C」:接着強度が0.4N/mm未満であった。
上記のとおり作製されたサンプル(ガラス基板、粘着シート及びカプトンフイルムの積層体)を85℃、20%RHの条件で10日間保管した。次いで、室温で60分放置した後、高温試験前と同様に接着強度を測定し、評価した。なお、評価基準は高温試験前と同様である。
上記のとおり製造された、離型PETフイルムで挟まれた粘着シートから離型フイルムを2枚ともはがして、得られた粘着シートの片面をガラス基板(50mm×75mm)に貼り付け、村上色彩技術研究所製HR−100型を用いて、ガラス基板に貼り付けた粘着シートについて、25℃、50%RHの条件下でヘイズ値を評価した。ヘイズ値の評価基準は以下のとおりである。実用上、AまたはBが好ましい。なお、ガラス基板だけの高湿試験前のヘイズ値は0.01%であった。
「A」:ヘイズが0.5%未満であった。
「B」:ヘイズが0.5%以上1%未満であった。
「C」:ヘイズが1%以上であった。
高湿試験前のヘイズ値評価で使用された、離型PETフイルムで挟まれた粘着シートを60℃、90%RHの条件で1日間保管した。その後、30分かけて室温に戻し、すぐさま高湿試験前と同様にガラス基板に貼り付けてヘイズ値を測定し、評価した。なお、評価基準は高湿試験前と同様である。
各実施例および比較例で得られた各組成物について、目視で固体析出の有無を確認した。実用上、析出がないほうが好ましい。
各実施例および比較例で得られた各組成物について、−20℃の条件で3週間保管した。その後、目視で固体析出の有無を確認した。実用上、析出がないほうが好ましい。
各実施例および比較例で得られた各組成物、粘着シートを総合的に評価した。評価基準は以下のとおりである。実用上、AまたはBが好ましい。
「A」:高温試験前の接着強度、高温試験後の接着強度、高湿試験前のヘイズ値評価、および、高湿試験後のヘイズ値評価のいずれの項目においても評価が「A」であり、かつ、低温経時前および低温経時後のいずれにおいても析出がない場合
「B」:高温試験前の接着強度、高温試験後の接着強度、高湿試験前のヘイズ値評価、および、高湿試験後のヘイズ値評価のいずれかの項目において評価「B」が含まれ、いずれの項目の評価も「B」以上であり、かつ、低温経時前および低温経時後のいずれにおいても析出がない場合
「C」:高温試験前の接着強度、高温試験後の接着強度、高湿試験前のヘイズ値評価、および、高湿試験後のヘイズ値評価のいずれかの項目において評価「C」が含まれる、または、低温経時前および低温経時後のいずれかにおいて析出がある場合
・化合物1、2・・・上記のとおり製造した化合物。構造式を以下に示す。
・Irg.2959・・・Irgacure2959(1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)。チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製。構造式を以下に示す。
なお、化合物1、2は上述した一般式(I)で表される化合物に該当し、Irg.2959は一般式(I)で表される化合物に該当しない。
・AA・・・アクリル酸。構造式を以下に示す。
・NVP・・・N−ビニルピロリドン。構造式を以下に示す。
・IBXA・・・イソボルニルアクリレート。構造式を以下に示す。イソボルニルアクリレートのホモポリマーのガラス転移温度:94℃
・化合物3〜6・・・上記のとおり調製した化合物
・MBA・・・メチレンビスアクリルアミド(水難溶性固体架橋剤)
実施例の粘着シートは残存モノマーが少なく、高温試験前の粘着性に優れた。また、高温試験前後で粘着性が維持され又は粘着性の低下が抑制された。
実施例の粘着シートは高湿試験前のヘイズが低かった。また、高湿試験前後でヘイズが維持され又はヘイズの上昇が抑制された。
実施例4〜7との比較から、一般式(I)で表される化合物の含有量が、組成物全質量に対して、2〜7質量%である場合、粘着性により優れた。
実施例1と実施例9、10との比較から、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物の量が組成物中の10〜30質量%である場合(実施例1)の方が、この範囲を外れる実施例9、10よりも、粘着性により優れた。
実施例1と実施例11との比較から、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物のホモポリマーのガラス転移温度が−80℃〜+20℃である場合(実施例1)、この範囲を外れる実施例11よりも、粘着性により優れた。
実施例1と実施例12との比較から、組成物が水を含有しない場合(実施例1)、水を含有する実施例12よりも、粘着性に優れた。
また、架橋剤について実施例1と実施例13〜16を比較すると、化合物3〜6を含有する実施例13〜16は、TEGDMAを含有する実施例1よりも、粘着性により優れた。
比較例2よりも一般式(I)で表される化合物以外の化合物(重合開始剤)の量が多い比較例1は、高温試験後の粘着性が低く、高温試験前よりも悪化した。また、比較例1は高湿試験前のヘイズが高く、高湿試験後のヘイズは高湿試験前よりも更に悪化した。また、比較例1は、低温経時前後において析出があった。
(静電容量式タッチパネルの評価)
接着性、視認性の評価で使用されたタッチパネルの製造方法を以下に示す。
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液および3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液および5液を8分間にわたって加え、さらに、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで粒子を成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し粒子形成を終了した。
水 750ml
ゼラチン 9g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 8ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 10ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
上記乳剤に1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAgを添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整して、感光性層形成用組成物を得た。
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコロナ放電処理を施した後、上記PETフィルムの両面に、下塗層として厚み0.1μmのゼラチン層、さらに下塗層上に光学濃度が約1.0で現像液のアルカリにより脱色する染料を含むアンチハレーション層を設けた。上記アンチハレーション層の上に、上記感光性層形成用組成物を塗布し、さらに厚み0.15μmのゼラチン層を設け、両面に感光性層が形成されたPETフィルムを得た。得られたフィルムをフィルムAとする。形成された感光性層は、銀量6.0g/m2、ゼラチン量1.0g/m2であった。
上記フィルムAの両面に、検出電極(第1検出電極および第2検出電極)および引き出し配線(第1引き出し配線および第2引き出し配線)を配したフォトマスクを介し、高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光を行った。露光後、現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R、富士フイルム社製)を用いて現像処理を行った。さらに、純水でリンスし、乾燥することで、両面にAg細線からなる検出電極および引き出し配線を備える静電容量式タッチパネルセンサーAを得た。
なお、得られた静電容量式タッチパネルセンサーAにおいては、検出電極はメッシュ状に交差する導電性細線で構成されている。また、上述したように、第1検出電極はX方向に延びる電極で、第2検出電極はY方向に延びる電極であり、それぞれ4.5〜5mmピッチでフィルム上に配置されている。
具体的には、粘着シート(片面に離型PETを有するもの)と静電容量式タッチパネルセンサーAを、粘着シートの離型PETを有する面とは反対の面と静電容量式タッチパネルAの一方の面とが向き合うように、2kg重ローラーを使用して貼合し、上部粘着層を形成した。さらに、粘着シートの離型PETを剥離して、上部粘着層上に同サイズのガラス基板を、同様に2kg重ローラーを使用して貼合した。その後、高圧恒温槽にて、40℃、5気圧の環境に20分間曝し、脱泡処理を行った。
次に、上部粘着層の形成と同様の手順に従って、静電容量式タッチパネルAの上部粘着層を形成した面と反対の面に粘着シート(片面に離型PETを有するもの)を貼合し、下部粘着層を形成した。さらに、粘着シートの離型PETを剥離して、下部粘着層上に液晶表示装置を貼り付けた。その後、高圧恒温槽にて、40℃、5気圧の環境に20分間曝し、脱泡処理を行った。このようにしてタッチパネルを製造した。
なお、静電容量式タッチパネルセンサー中のタッチ部(センシング部)の対角線方向のサイズは5インチであった。
一方、比較例1の粘着シートでは、画面の光度が均一でなく不鮮明であり、高湿度環境下ではいっそう視認性は悪くなった。
また、比較例2の粘着シートでは、接着力が不足しているため、他部材の剥がれが顕著であり、高温環境下で経時させたあとではいっそう剥がれやすくなった。
18 静電容量式タッチパネルセンサー
20 保護基板
40 表示装置
100,200 タッチパネル用積層体
300,400 静電容量式タッチパネル
Claims (13)
- 親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物、および、下記一般式(I)で表される化合物を含む、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
一般式(I)中、V1、V2、V3、及びV4は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。一般式(I)中、nは、1以上5以下の整数を表す。 - 前記一般式(I)において、nが1である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 前記親水性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物が、(メタ)アクリル系化合物である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物全質量に対して、1〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- さらに、疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物を含み、
前記疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物全質量に対して、10〜30質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。 - 前記疎水性基を有する(メタ)アクリル系化合物のホモポリマーのガラス転移温度が、−80℃〜+20℃である、請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 架橋剤を更に含み、前記架橋剤が多官能アクリルアミドを少なくとも含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 前記多官能アクリルアミドが、下記化合物3〜6からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 前記架橋剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物全質量に対して、0.1〜10質量%である、請求項7又は8に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 水を実質的に含まない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射して得られる粘着シート。
- 請求項11に記載の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとを備える、タッチパネル用積層体。
- 表示装置と、請求項11に記載の粘着シートと、静電容量式タッチパネルセンサーとをこの順に備える、静電容量式タッチパネル。
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