JPWO2015194129A1 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ導電性高分子を含む固体電解質層と、を備え、固体電解質層は、第1ケイ素含有成分と、第2ケイ素含有成分とを含み、第1ケイ素含有成分は、第1シランカップリング剤、および第1シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種であり、第2ケイ素含有成分は、第2シランカップリング剤、および第2シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種であり、第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、第1置換基と第2置換基とが異なる、固体電解コンデンサ。

Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化や高周波化により、電子機器を構成する電子部品であるコンデンサに対しても、小型化や高周波化が求められている。小型化に適したコンデンサとして、弁金属からなる陽極体に誘電体被膜が形成され、誘電体被膜上に導電性高分子を含む固体電解質層が形成された固体電解コンデンサがある。
しかし、上述のような固体電解コンデンサは、小型化が可能である一方で、漏れ電流(LC)を生じやすい傾向がある。
漏れ電流の発生を低減するために、たとえば、特許文献1は、固体電解質層中にシランカップリング剤を添加することを提案している。
特開2011−49458号公報
しかしながら、固体電解コンデンサの漏れ電流の発生を低減するための、更なる改良が望まれている。
本発明の目的の一つは、漏れ電流が抑制された固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
本発明の一局面は、陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ導電性高分子を含む固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層は、第1ケイ素含有成分と、第2ケイ素含有成分とを含み、前記第1ケイ素含有成分は、第1シランカップリング剤、および前記第1シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記第2ケイ素含有成分は、第2シランカップリング剤、および前記第2シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、前記第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、前記第1置換基と前記第2置換基とが異なる、固体電解コンデンサに関する。
本発明の別の局面は、誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、導電性高分子または導電性高分子の原料と、第1カップリング剤とを含む第1処理液を用いて、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う第1固体電解質層を形成する第2工程と、導電性高分子または導電性高分子の原料と、第2カップリング剤とを含む第2処理液を用いて、前記第1固体電解質層の少なくとも一部を覆う第2固体電解質層を形成する第3工程と、を含み、前記第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、前記第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、前記第1置換基と前記第2置換基とが異なる、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明の更に別の局面は、誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、導電性高分子または導電性高分子の原料と、第1シランカップリング剤と、第2カップリング剤と含む処理液を用いて、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する第2工程と、を含み、前記第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、前記第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、前記第1置換基と前記第2置換基とが異なる、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明によれば、漏れ電流が抑制された固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を示す概略断面図である。
本発明の固体電解コンデンサは、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ導電性高分子を含む固体電解質層とを備える。固体電解質層は、第1ケイ素含有成分と、第2ケイ素含有成分とを含む。第1ケイ素含有成分は、第1シランカップリング剤、および第1シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種である。第2ケイ素含有成分は、第2シランカップリング剤、および第2シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種である。
次に、本発明の固体電解コンデンサの第一の製造方法は、(i)誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、(ii)導電性高分子または導電性高分子の原料と、第1カップリング剤とを含む第1処理液を用いて、誘電体層の少なくとも一部を覆う第1固体電解質層を形成する第2工程と、(iii)導電性高分子または導電性高分子の原料と、第2カップリング剤とを含む第2処理液を用いて、第1固体電解質層の少なくとも一部を覆う第2固体電解質層を形成する第3工程とを含む。
また、本発明の固体電解コンデンサの第二の製造方法は、(i)誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、(ii)導電性高分子または導電性高分子の原料と、第1シランカップリング剤と、第2カップリング剤と含む処理液を用いて、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する第2工程とを含む。
第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基とを有する。第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基とを有する。ただし、第2置換基は、第1置換基と異なっている。
一方、第1シランカップリング剤の加水分解縮合性基(第1加水分解縮合性基)と、第2シランカップリング剤の加水分解縮合性基(第2加水分解縮合性基)とは、互いに同じでも異なってもよい。
第1及び第2シランカップリング剤の残基は、シランカップリング剤が有する官能基および/または加水分解縮合性基が反応することにより形成される。官能基および/または加水分解縮合性基の反応とは、例えば、官能基および/または加水分解縮合性基と、誘電体層の構成成分または固体電解質層の構成成分との反応であり得る。
第1及び第2シランカップリング剤において、置換基と加水分解縮合性基との合計数は3〜4個である。これらのうち、例えば、1つが置換基であり、残りが加水分解縮合性基である。ただし、置換基の数は1個に限らず、加水分解縮合性基の数も限られない。第1及び第2シランカップリング剤が複数の加水分解縮合性基を有する場合、複数の加水分解縮合性基は、互いに独立であり、互いに同じでも異なってもよい。
シランカップリング剤は、物質との化学結合および/または物質との親和力の発現による一種の架橋作用を有する。よって、シランカップリング剤に由来するケイ素含有成分を含む固体電解質層中では、導電性高分子鎖同士の結合力もしくは親和性が強化され、漏れ電流が抑制されるものと考えられる。このとき、少なくとも2種類のシランカップリング剤に由来するケイ素含有成分、すなわち第1ケイ素含有成分と第2ケイ素含有成分とを含むことで、漏れ電流を抑制する効果が向上する。
漏れ電流を抑制する効果が向上する理由は明らかではないが、導電性高分子鎖同士の結合力もしくは親和性が更に高められるものと考えられる。具体的には、固体電解質層中には、シランカップリング剤が作用するサイトが複数種存在すると考えられる。そのようなサイトは、それぞれ反応性やシランカップリング剤との親和性が相違する。そして、シランカップリング剤の種類によって、架橋作用、およびこれによる漏れ電流を抑制する効果も相違すると考えられる。少なくとも2種類のシランカップリング剤を用いることで、複数種の架橋作用、および効果が得られることとなり、漏れ電流を抑制する効果が大きくなるものと推察される。
固体電解質層が、第1ケイ素含有成分と第2ケイ素含有成分とを含むことで、多くの場合には、漏れ電流が抑制されるだけでなく、耐電圧特性が向上する。
通常、耐電圧および耐熱特性を高めるためには、ケイ素含有成分の使用量を増やす必要がある。しかし、ケイ素含有成分を増量すると、等価直列抵抗(ESR:EquivalentSeries Resistance)が増大する傾向がある。一方、2種以上のケイ素含有成分を併用する場合、比較的少量のケイ素含有成分により、効果的に高い耐電圧および耐熱特性を得ることができる。
第1官能基および第2官能基の一方は、活性水素を有し、他方は有さないことが好ましい。これにより、理由は定かではないが、誘電体層と固体電解質層との結合力の向上および固体電解質層の導電性の向上に有利となる傾向がある。ここで、活性水素とは、プロトンとして脱離しやすい水素であり、チオール基(-SH)の水素、第二級アミン(RNHR´)の水素などがこれに分類される。また、第1置換基および第2置換基は、異なる電子求引性もしくは電子供与性を有することが好ましい。官能基における活性水素の有無および/または電子求引性や電子供与性の程度は、シランカップリング剤の反応性や、シランカップリング剤と導電性高分子との親和性に影響を与えるからである。例えば、置換基の電子求引性が大きくなると、加水分解縮合性基の加水分解速度が速められ、シランカップリング剤の反応性が高められる傾向がある。なお、電子供与性の置換基は、電子求引性が小さいと考えることができるため、電子求引性には常に相対的な大小関係が成立する。
第1官能基が活性水素を有さず、第2官能基が活性水素を有する場合、第1シランカップリング剤は、第2シランカップリング剤より、固体電解質層の誘電体層の近くに多く分布することが好ましい。第1シランカップリング剤は、導電性の低下を抑制しつつ、耐電圧特性を向上させる効果が大きいと考えられる。一方、第2シランカップリング剤は、第1シランカップリング剤より、誘電体層から遠くに多く分布することが好ましい。第2シランカップリング剤は、誘電体層の近くに多く分布し過ぎると導電性を低下させる可能性があるが、誘電体層の修復性に優れ、耐電圧特性を向上させると考えられる。
また、第1官能基が活性水素を有さず、第2官能基が活性水素を有する場合、第1シランカップリング剤は、第2シランカップリング剤より、固体電解質層に多く含まれていることが好ましい。これにより、導電性の低下を抑制しつつ、耐電圧特性を向上させる効果を得やすくなると考えられる。
固体電解質層は、誘電体層の少なくとも一部を覆う第1固体電解質層と、第1固体電解質層の少なくとも一部を覆う第2固体電解質層とを含んでもよい。このとき、第1固体電解質層が、第1ケイ素含有成分を含み、第2固体電解質層が、第2ケイ素含有成分を含んでもよい。この場合、第1固体電解質層および第2固体電解質層の各々で、互いに異なるシランカップリング剤による架橋作用、およびこれによる漏れ電流を抑制する効果が得られる。よって、第1固体電解質層と第2固体電解質層は、互いの効果を補足し合うこととなり、漏れ電流の抑制、耐電圧特性の向上、ESRの抑制などの効果が高められるものと考えられる。
固体電解質層において、第1ケイ素含有成分の濃度は、第2ケイ素含有成分の濃度よりも高いことが好ましい。また、上記第二の製造方法で用いる処理液中において、第1シランカップリング剤の濃度は、第2シランカップリング剤の濃度より高いことが好ましい。これにより、固体電解質層の導電性を高く、かつESRを低く維持しながら、漏れ電流を抑制しやすくなる。
第1固体電解質層における第1ケイ素含有成分の濃度は、第2固体電解質層における第2ケイ素含有成分の濃度よりも高いことが好ましい。また、上記第一の製造方法で用いる第1処理液における第1シランカップリング剤の濃度は、第2処理液における第2シランカップリング剤の濃度よりも高いことが好ましい。これにより、上記同様、固体電解質層の導電性を高く、かつESRを低く維持しながら、漏れ電流を抑制しやすくなる。
上記固体電解コンデンサにおいて、陽極体は、例えば、弁作用金属の焼結体や、表面が粗面化された弁作用金属箔であることが好ましい。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法を表していない。
<固体電解コンデンサの構造>
図1は、本実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を概略的に示す断面図である。図1において、固体電解コンデンサ100は、表面に誘電体層12が形成された陽極体11と、誘電体層12上に形成された固体電解質層13と、固体電解質層13上に形成された、陰極引出層としてのカーボン層14および銀ペースト層15と、を有するコンデンサ素子10を備える。
固体電解コンデンサ100は、さらに、陽極リード16と、陽極端子17と、接着層18と、陰極端子19とを備える。陽極リード16は、弁作用金属(タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなど)からなる棒状体であり、その一端は陽極体11に埋設されており、他端がコンデンサ素子10の外部へ突出するように配置される。陽極端子17は、溶接により、その一部が陽極リード16に接続される。また、陰極端子19は、導電性の接着剤からなる接着層18を介して、コンデンサ素子10の最外層である銀ペースト層15と接続するように配置される。
固体電解コンデンサ100は、外装樹脂20をさらに備える。外装樹脂20は、陽極端子17の一部および陰極端子19の一部が外装樹脂20から露出するように、陽極リード16、陽極端子17、接着層18および陰極端子19が配置されたコンデンサ素子10を封止する。
固体電解コンデンサ100において、陽極体11は、弁作用金属(タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなど)の焼結体である。誘電体層12は、焼結体を化成処理することによって形成される酸化被膜である。例えば、弁作用金属としてタンタル(Ta)を用いた場合の誘電体層12の組成はTa25となる。弁作用金属としてアルミニウム(Al)を用いた場合の誘電体層12の組成はAl23となる。なお、焼結体は、多孔質構造を有している。
固体電解質層13は、導電性高分子、第1ケイ素含有成分、および第2ケイ素含有成分を含む。第1ケイ素含有成分は、第1シランカップリング剤、および第1シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種である。第2ケイ素含有成分は、第2シランカップリング剤、および第2シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種である。
シランカップリング剤は、加水分解縮合性基の加水分解と脱水反応を経て、無機物と化学結合することができる。従って、シランカップリング剤は、誘電体層の欠陥部を修復または保護する作用を有する。このような作用は、漏れ電流の抑制に対し、ある程度は効果的である。一方、固体電解質層13に、それぞれ種類の異なる官能基を有する第1ケイ素含有成分および第2ケイ素含有成分を含ませることにより、漏れ電流を抑制する効果は更に高められる。
第1ケイ素含有成分および第2ケイ素含有成分を含む固体電解質層13の構造は、1層構造でもよく、2層以上の構造であってもよい。2層以上の構造の場合、各層に含まれる第1ケイ素含有成分および/または第2ケイ素含有成分の濃度を変化させてもよい。例えば、誘電体層12から遠い層ほど、第1ケイ素含有成分および/または第2ケイ素含有成分の濃度を小さくしてもよい。また、固体電解質層13が2層以上の構造を有する場合、誘電体層12に近い側の層には、第2ケイ素含有成分を含ませず第1ケイ素含有成分を含ませ、誘電体層12から遠い側の層には、第1ケイ素含有成分を含ませず第2ケイ素含有成分を含ませてもよい。
なお、固体電解質層13中に、第1ケイ素含有成分または第2ケイ素含有成分を単独で含ませ、その濃度を高くすることにより、漏れ電流を抑制する効果を高めることも可能であると考えられる。しかし、ケイ素含有成分の濃度が高くなると、通常、ESRが増加する傾向がある。これは、ケイ素含有成分が、絶縁体であるためと考えられる。一方、固体電解質層13に、第1ケイ素含有成分および第2ケイ素含有成分を含ませることにより、ケイ素含有成分の濃度をそれほど高めなくても、漏れ電流を抑制する効果を高めつつ、ESRの増加も抑制することが可能である。
図1において、陰極引出層としてのカーボン層14は、導電性を有していればよく、例えば、グラファイトを用いて構成することができる。陽極端子17および陰極端子19は、例えば銅または銅合金などの金属で構成することができる。また、外装樹脂20の素材としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
次に、第1官能基が活性水素を有さず、第2官能基が活性水素を有する場合を例にとって、第1および第2シランカップリング剤について更に詳しく説明する。
[第1および第2シランカップリング剤の加水分解縮合性基]
第1および第2シランカップリング剤が有する加水分解縮合性基は、アルコキシ基、ハロゲン基などが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基などが好ましい。ハロゲン基としては、塩素基が好ましい。シランカップリング剤の一分子内に加水分解縮合性基が複数存在する場合、複数の加水分解縮合性基は同じでも異なってもよい。
[第1シランカップリング剤の第1置換基]
第1置換基は、第1官能基を含み、更に第1官能基とケイ素原子とを連結する第1有機連結基を含んでもよい。
第1官能基としては、例えば、エポキシ基、エチレンスルフィド基、アクリル基(もしくはアクリロキシ基)、メタクリル基(もしくはメタクリロキシ基)およびビニル基からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらのうちでは、エポキシ基が特に好ましい。エポキシ基には、脂環式エポキシ基(例えばエポキシシクロペンチルキ基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロヘプチルキ基など)も含まれる。
第1有機連結基としては、アルキレン基、オキシアルキレン基などが好ましく、特にエチレン基、オキシエチレン基、プロピレン基、オキシプロピレン基、ブチレン基、オキシブチレン基などが好ましい。
第1置換基は、具体的には、例えばグリシジル基、グリシドキシアルキル基(例えばグリシドキシプロピル基)、脂環式エポキシアルキル基(例えば(エポキシシクロヘキシル)エチル基)、アクリロキシアルキル基、メタクリロキシアルキル基などであることが好ましい。
第1シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニル(β−メトキシシラン)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[第2シランカップリング剤の第2置換基]
第2置換基は、第2官能基を含み、更に第2官能基とケイ素原子とを連結する第2有機連結基を含んでもよい。
第2官能基としては、アミノ基およびメルカプト基からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらのうちでは、メルカプト基が特に好ましい。
第2有機連結基としては、アルキレン基、オキシアルキレン基などが好ましく、特にエチレン基、オキシエチレン基、プロピレン基、オキシプロピレン基、ブチレン基、オキシブチレン基などが好ましい。
第2置換基は、具体的には、例えばメルカプトアルキル基(例えばメルカプトプロピル基)、アミノアルキル基(例えばアミノプロピル基)などであることが好ましい。
第2シランカップリング剤としては、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトルプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、固体電解質層13を構成する導電性高分子としては、脂肪族系化合物、芳香族系化合物、複素環式系化合物およびヘテロ原子含有化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を有する高分子が好ましい。より具体的には、導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレン、これらの誘導体等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。
導電性高分子には、ドーパントが含まれていてもよい。ドーパントとしては、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、多環芳香族スルホン酸などを用いることができ、具体的には、1−オクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸などを用いることである。
<固体電解コンデンサの製造方法>
次に、固体電解コンデンサ100の製造方法について説明する。
まず、弁作用金属粉末が準備される。金属粉末は、棒状体の陽極リード16の長手方向の一端側が埋め込まれた状態で、所望の形状に成形される。成形体を焼結することで、陽極リード16の一端が埋め込まれた多孔質構造の陽極体11が得られる。
次に、陽極体11を化成処理することにより、陽極体11の表面に誘電体層12を形成する。例えば、陽極体11を、リン酸水溶液などの化成液中に浸し、陽極体11をアノードとして、化成液中のカソードとの間に電圧を印加する。これにより、化成処理が進行する。
次に、誘電体層12が形成された陽極体11を、第1処理液に浸漬し、誘電体層が形成された陽極体11の表面(誘電体層が形成された多孔質体の細孔の内壁面を含む表面)まで第1処理液を含浸させる。例えば、第1処理液は、第1導電性高分子の原料である前駆体モノマー、ドーパント機能を有する酸化剤、および第1官能基が活性水素を有さない第1シランカップリング剤を含んでいる。その後、陽極体11に含浸させた第1処理液中のモノマーを重合させ、誘電体層12上に第1導電性高分子を含む第1固体電解質層13Aを形成する。
第1処理液に含まれる第1シランカップリング剤の含有量(濃度C1)は、第1処理液中の第1シランカップリング剤を除く物質100質量部あたり、例えば1〜15質量部であればよい。
次に、第1固体電解質層Aが形成された陽極体11を、第2処理液に浸漬し、第1固体電解質層Aが形成された陽極体11の表面(第1固体電解質層Aが形成された多孔質体の細孔の内壁面を含む表面)まで第2処理液を含浸させる。例えば、第2処理液は、第2導電性高分子の原料である前駆体モノマー、ドーパント機能を有する酸化剤、および第2官能基が活性水素を有する第2シランカップリング剤を含んでいる。その後、陽極体11に含浸させた第2処理液中のモノマーを重合させ、第1固体電解質層A上に第2導電性高分子を含む第2固体電解質層Bを形成する。
第2処理液に含まれる第2シランカップリング剤の含有量(濃度C2)は、第2処理液中の第2シランカップリング剤を除く物質100質量部あたり、例えば0.1〜5質量部であればよい。
濃度C2と濃度C1は同じでもよいが、濃度C2は濃度C1よりも小さいことが好ましい。これにより、第1ケイ素含有成分を第1固体電解質層Aにより多く、第2ケイ素含有成分を第2固体電解質層Bにより少なく含ませることができる。よって、導電性の低下を抑制しつつ、耐電圧特性を向上させる効果が大きくなる。よって、漏れ電流が抑制されるとともに、耐電圧特性とESRとのバランスに優れた固体電解コンデンサを得やすくなる。
なお、上記実施形態では、第1固体電解質層Aおよび第2固体電解質層Bを化学重合で形成する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、第2固体電解質層Bは、電解重合で形成してもよい。電解重合の場合、シランカップリング剤および前駆体モノマーを含む重合液(第2処理液)に、誘電体層12を有する陽極体11を浸漬し、電流または電圧を印加することにより、第2固体電解質層Bが形成される。
また、化学重合では、誘電体層12を有する陽極体11を、シランカップリング剤および前駆体モノマーを含む処理液に浸漬した後、別途、酸化剤を含む溶液に浸漬してもよい。逆に、誘電体層12を有する陽極体11を、酸化剤を含む溶液に浸漬した後、シランカップリング剤および前駆体モノマーを含む処理液に浸漬してもよい。
更に、第1固体電解質層Aおよび第2固体電解質層Bの少なくとも一方を、導電性高分子が溶解した溶液(高分子溶液)または導電性高分子が分散した分散液(高分子分散液)を用いて形成してもよい。例えば、高分子溶液または高分子分散液に第1シランカップリング剤を添加して得られる第1処理液に、陽極体を浸漬し、引き上げ、乾燥させることにより、第1固体電解質層Aを形成してもよい。同様に、高分子溶液または高分子分散液に第2シランカップリング剤を添加して得られる第2処理液に、陽極体を浸漬し、引き上げ、乾燥させることにより、第2固体電解質層Bを形成してもよい。
また、第1固体電解質層Aを、化学重合により形成し、第2固体電解質層Bを高分子溶液または高分子分散液を用いて形成してもよい。この場合、シランカップリング剤および前駆体モノマーを含む重合液(第1処理液)により第1固体電解質層Aを形成し、高分子溶液または高分子分散液に第2シランカップリング剤を添加して得られる第2処理液により第2固体電解質層Bを形成してもよい。
一方、1つの処理液に、第1シランカップリング剤および第2シランカップリング剤を混在させて使用してもよい。例えば、処理液が、導電性高分子の原料である前駆体モノマー、ドーパント機能を有する酸化剤、第1官能基が活性水素を有さない第1シランカップリング剤、および第2官能基が活性水素を有する第2シランカップリング剤を含んでもよい。この場合、誘電体層12が形成された陽極体11を、処理液に浸漬し、その後、陽極体11に含浸させた処理液中のモノマーを重合させると、第1ケイ素含有成分および第2ケイ素含有成分を含む固体電解質層13を形成することができる。
処理液に含まれる第1シランカップリング剤の含有量(濃度C1´)は、処理液中の第1および第2シランカップリング剤を除く物質100質量部あたり、例えば1〜20質量部であればよい。また、処理液に含まれる第2シランカップリング剤の含有量(濃度C2´)は、処理液中の第1および第2シランカップリング剤を除く物質100質量部あたり、例えば0.1〜5質量部であればよい。
濃度C2´と濃度C1´は同じでもよいが、濃度C2´は濃度C1´よりも小さいことが好ましい。これにより、第2ケイ素含有成分よりも多くの第1ケイ素含有成分を、固体電解質層13に含ませることができる。よって、導電性の低下を抑制しつつ、耐電圧特性を向上させる効果が大きくなる。よって、漏れ電流が抑制されるとともに、耐電圧特性とESRとのバランスに優れた固体電解コンデンサを得やすくなる。
ここでも、固体電解質層13を、高分子溶液または高分子分散液を用いて形成してもよい。例えば、高分子溶液または高分子分散液に第1および第2シランカップリング剤を添加して得られる処理液に、陽極体を浸漬し、引き上げ、乾燥させることにより、固体電解質層を形成してもよい。
2層または3層以上の構造を有する固体電解質層を形成する場合には、上記の作業を複数回繰り返せばよい。その際、処理液に含まれる第1シランカップリング剤および/または第2カップリング剤の濃度を変化させてもよい。例えば、誘電体層12から遠い層ほど、第1ケイ素含有成分および/または第2ケイ素含有成分の濃度が小さくなるように、処理液における第1および/または第2シランカップリング剤の濃度を変化させてもよい。
各層の形成に用いられる前駆体モノマー、酸化剤の種類、溶媒の種類などは、各層毎に独立に選択すればよい。前駆体モノマーは、必ずしも単量体である必要ななく、例えば、低分子のオリゴマーも含む概念である。酸化剤は、ドーパントとしての機能を有していてもよい。
その後、陽極体11に、カーボン層14、銀ペースト層15、陽極端子17、接着層18、および陰極端子19を配置する。最後に、外装樹脂20で素子を封止することにより固体電解コンデンサ100が製造される。
本発明において、固体電解コンデンサは、上記構造の固体電解コンデンサに限定されず、様々な構造の電解コンデンサに適用することができる。具体的に、巻回型の固体電解コンデンサ、弁金属の板を用いた積層タイプの固体電解コンデンサなどに本発明を適用できる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜3および比較例1〜5>
タンタル粉末を準備し、棒状体の陽極リード16の長手方向の一端側を金属粉末に埋め込んだ状態で、当該粉末を直方体に成形した。そして、これを焼結して、陽極リード16の一端が埋め込まれた陽極体11を準備した。次いで、陽極体11を濃度0.02質量%のリン酸溶液に浸して100Vの電圧を印加することにより、陽極体11の表面にTa25からなる誘電体層12を形成した。
次いで、1−ブタノールに、前駆体モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン、第1シランカップリング剤、ドーパント機能を有する酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III)を混合させた第1処理液(重合液)を準備した。第1処理液は、各化合物の質量比が、3,4−エチレンジオキシチオフェン:第1シランカップリング剤:p−トルエンスルホン酸鉄(III):1−ブタノール=1:0.9:5:11.5となるように調製した。
第1処理液に、誘電体層12が形成された陽極体11を1分間浸漬した。その後、第1処理液から陽極体11を引き上げ、熱処理することにより、第1固体電解質層Aを形成した。
第1固体電解質層を形成した後、第1シランカップリング剤の代わりに、第2シランカップリング剤を含む第2処理液を用いて、第1固体電解質層Aと同様の方法で、第2固体電解質層Bを形成した。ただし、比較例1〜3では、第2シランカップリング剤を含まない第2処理液により第2固体電解質層Bの形成を行った。
第1および第2処理液に用いた第1および第2シランカップリング剤の種類、第1処理液における第1シランカップリング剤の含有量(C1)と第2処理液における第2シランカップリング剤の含有量(C2)との質量比は、表1に示す通りである。
乾燥後の陽極体に、グラファイト粒子の懸濁液を塗布して大気中で乾燥させることにより、カーボン層14を形成し、更に、銀ペースト層15、陽極端子17、接着層18、陰極端子19を配置し、外装樹脂で封止することにより、固体電解コンデンサを製造した。
<実施例4〜7および比較例6〜10>
1−ブタノールに、前駆体モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン、第1シランカップリング剤、第2シランカップリング剤、およびドーパント機能を有する酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III)を混合させた処理液(第3処理液)を準備した。第3処理液は、各化合物の質量比が、3,4−エチレンジオキシチオフェン:第1シランカップリング剤および第2シランカップリング剤の合計量:p−トルエンスルホン酸鉄(III):1−ブタノール=1:0.9:5:11.5となるように調製した。
第3処理液に、第一実施形態の実施例と同様の方法で作製した誘電体層12を有する陽極体11を1分間浸漬した。その後、第1処理液から陽極体11を引き上げ、熱処理した。更に、第3処理液に陽極体11を浸漬し、熱処理する操作を同様に繰り返し、固体電解質層を形成した。そして、実施例1と同様の方法で、固体電解コンデンサを完成させた。
第3処理液に用いた第1および第2シランカップリング剤の種類、第3処理液における第1シランカップリング剤の含有量(C1´)と第2シランカップリング剤の含有量(C2´)との質量比は、表2に示す通りである。
なお、比較例6、8、10で用いた第3処理液には、表2に示す第1シランカップリング剤のみを混合し、第2シランカップリング剤は用いなかった。
<性能評価>
≪耐電圧≫
各実施例および各比較例の固体電解コンデンサについて、耐電圧(V)を測定した。具体的には、各実施例および各比較例の固体電解コンデンサを、それぞれランダムに120個ずつ選び、1.0V/秒のレートで昇圧しながら、固体電解コンデンサに電圧を印加し、1Aの過電流が流れる破壊耐電圧(BDV)を測定した。結果を表1、2に示す。
≪LC良品率≫
各実施例および各比較例の固体電解コンデンサについて、LC良品率(%)を測定した。LC良品率とは、固体電解コンデンサの漏れ電流の程度を示す指標である。具体的には、各実施例および各比較例の固体電解コンデンサを、それぞれランダムに120個ずつ選び、固体電解コンデンサに1kΩの抵抗を直列につなぎ、直流電源にて25Vの定格電圧を1分間印加した後の漏れ電流を測定した。そして、漏れ電流量が37.5μA以下のものを良品と判断して、各実施例および各比較例におけるLC良品率を算出した。結果を表1、2に示す。
Figure 2015194129
表1の結果から、固体電解質層中にケイ素含有成分が1種のみ含まれている場合(比較例1〜3)には、LC良品率及び耐電圧が低いのに対し、実施例1〜3ではLC良品率及び耐電圧が高いことが確認された。また、第1官能基と第2官能基とが同じ比較例4も、固体電解質層中にケイ素含有成分が1種のみ含まれている場合と同様、LC良品率及び耐電圧が低いことを確認した。
Figure 2015194129
表2の結果から、固体電解質層中にケイ素含有成分が1種のみ含まれている場合(比較例6、8、10)ではLC良品率及び耐電圧が低いのに対し、実施例4〜7ではLC良品率及び耐電圧が高いことが確認された。また、第1官能基と第2官能基とが同じ比較例7、9もLC良品率及び耐電圧が低いことが確認された。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、固体電解コンデンサの漏れ電流を抑制するために広く利用することができる。
10 コンデンサ素子、11 陽極体、12 誘電体層、13 固体電解質層、14 カーボン層、15 銀ペースト層、16 陽極リード、17 陽極端子、18接着層、19 陰極端子、20 外装樹脂、100 固体電解コンデンサ。

Claims (11)

  1. 陽極体と、
    前記陽極体上に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ導電性高分子を含む固体電解質層と、を備え、
    前記固体電解質層は、第1ケイ素含有成分と、第2ケイ素含有成分とを含み、
    前記第1ケイ素含有成分は、第1シランカップリング剤、および前記第1シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記第2ケイ素含有成分は、第2シランカップリング剤、および前記第2シランカップリング剤の残基からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、
    前記第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、
    前記第1置換基と前記第2置換基とが異なる、固体電解コンデンサ。
  2. 前記固体電解質層は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う第1固体電解質層と、前記第1固体電解質層の少なくとも一部を覆う第2固体電解質層とを含み、
    前記第1固体電解質層は、前記第1ケイ素含有成分を含み、
    前記第2固体電解質層は、前記第2ケイ素含有成分を含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記第1官能基は、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基およびビニル基からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記第2官能基は、アミノ基およびメルカプト基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記第1置換基は、前記第1官能基、および前記第1官能基と前記第1シランカップリング剤のケイ素原子とを連結する第1有機連結基を含み、
    前記第2置換基は、前記第2官能基、および前記第2官能基と前記第2カップリング剤のケイ素原子とを連結する第2有機連結基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記固体電解質層において、前記第1ケイ素含有成分の濃度は、前記第2ケイ素含有成分の濃度よりも高い、請求項1、3または4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記第1固体電解質層における前記第1ケイ素含有成分の濃度は、前記第2固体電解質層における前記第2ケイ素含有成分の濃度よりも高い請求項2〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、
    導電性高分子または導電性高分子の原料と、第1カップリング剤とを含む第1処理液を用いて、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う第1固体電解質層を形成する第2工程と、
    導電性高分子または導電性高分子の原料と、第2カップリング剤とを含む第2処理液を用いて、前記第1固体電解質層の少なくとも一部を覆う第2固体電解質層を形成する第3工程と、を含み、
    前記第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、
    前記第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、
    前記第1置換基と前記第2置換基とが異なる、固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 誘電体層が形成された陽極体を準備する第1工程と、
    導電性高分子または導電性高分子の原料と、第1シランカップリング剤と、第2カップリング剤と含む処理液を用いて、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する第2工程と、を含み、
    前記第1シランカップリング剤は、第1官能基を含むケイ素原子に結合した第1置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、
    前記第2シランカップリング剤は、第2官能基を含むケイ素原子に結合した第2置換基と、加水分解縮合性基と、を有し、
    前記第1置換基と前記第2置換基とが異なる、固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記第1官能基は、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基およびビニル基からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記第2官能基は、アミノ基およびメルカプト基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項7または8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記第1処理液における第1シランカップリング剤の濃度は、前記第2処理液における第2シランカップリング剤の濃度よりも高い、請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 前記処理液中において、第1シランカップリング剤の濃度は、第2シランカップリング剤の濃度より高い、請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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