JPWO2015152094A1 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

充放電時の膨張収縮の少ない炭素質材料を用いて優れた電池のサイクル特性を実現させながら、HEV用途等で求められる傾斜領域の大きい充電曲線形状と低い内部抵抗を両立を実現させることで、入力特性に優れた非水電解質二次電池を提供する。リチウムを含む遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含む正極と、炭素質材料を含む負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、正極容量が3.0mAh/cm2以下(対極をLi金属としたときの容量)であり、ブタノール法により求めた前記炭素質材料の真密度が1.45〜1.70g/cm3であり、対向する正極容量Aと負極容量Bの比(A/B)が0.4〜0.8である。

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、環境問題への関心の高まりから、エネルギー密度が高く、出力特性の優れた大型のリチウムイオン二次電池の電気自動車への搭載が検討されている。携帯電話やノートパソコンといった小型携帯機器用途では、体積当たりの容量が重要となるため、密度の大きい黒鉛質材料が主に負極活物質として利用されてきた。しかし、車載用リチウムイオン二次電池においては大型で且つ高価であることから途中での交換が困難である。そのため、自動車と同じ耐久性が必要であり、例えば10年以上の寿命性能の実現(高耐久性)が求められる。また、車両重量の軽量化が求められることから単位重量当たりの電池特性も重視される。
また、電池の使用形態についても、小型携帯機器のような満充電と完全放電を繰り返す使い方でなく、大電流での充電と放電を繰り返すという使われ方がなされる。このような形態においては、入力特性と出力特性のバランスが取れた領域、すなわち満充電を100%とした場合に半分の50%前後の充電領域に電池を保ちつつ入力と出力を繰り返すという使用形態を取ることが好ましい。このような使用形態を想定した場合、従来の小型携帯機器用途の電池のように使用条件下での容量変化に対してほぼ一定の電位を示す正負極を組み合わせるのではなく、HEV用途で使用される電池では、使用条件下での容量変化に対して負極の電位変化が大きくなるように電池を設計することによって入力特性の向上を図ることができる。
例えば、小型携帯機器電源では、放電状態から1〜2時間で満充電できるような、0.5〜1時間率充電の充電負荷に対応するものが求められる。一方、ハイブリッド自動車(HEV)用電源では、ブレーキ時のエネルギー回生を行うことを考慮すると5〜50時間率程度の大電流で充電できるものが求められる。また、放電についてもアクセルを踏み込む時間を考慮すれば同程度の大電流で放電できることが必要とされるなど、小型携帯向けのリチウムイオン二次電池と比較して圧倒的に優れた急速な充放電(入出力)特性が求められている。
このように、HEV用途で用いられる電池は、入出力特性、特に充電に相当する入力特性が重視され、充電曲線の傾斜する領域における充電容量が大きいことが重要である。
入力特性を向上させるために、広い領域で充電曲線が傾斜をする形状を示す炭素質材料を負極活物質に使用することが好ましい。具体的には、負極材料として容量に対して電位変化の大きな活物質である難黒鉛化性炭素や易黒鉛化性炭素を選択することが提案されている。
また、上述したように、車載用二次電池には良好な耐久性やサイクル特性が求められることから、耐久性やサイクル特性の改善が提案されている。例えば、特許文献1は、負極活物質が0.37nm以上0.40nm以下の格子面間隔(d002)を有する低結晶性炭素材料を用いて、リチウム吸蔵時の電位を30mV以上(vs.Li/Li)にすることにより、サイクル寿命特性を向上させたものが提案されているが、充電過程における傾斜領域の割合を増やすことはできても電極抵抗の低減を実現するものではなく、入出力特性の改善効果が十分ではない。特許文献2は、格子面間隔(d002)が0.37nm以上0.385nm以下の低結晶性炭素を用いて、満充電時の負極の容量密度が金属リチウムを対極とした時の充放電可能容量の40%以上60%以下にすることにより、長期耐久性と高温安定性を向上させたものが提案されているが、電極抵抗の低減を実現するものではなく、入出力特性の改善効果が十分でない。また、特許文献1、2の実施例には平均粒径10μm以上の炭素材料が例示されているが、平均粒径10μm以上程度の粒子では負極を十分に薄塗りすることができず、入出力特性の向上は得られない。
特許4951825号公報 特許4961649号公報
本発明の目的は、充放電時の膨張収縮の少ない炭素質材料を用いて優れた電池のサイクル特性を実現させながら、HEV用途等で求められる傾斜領域の大きい充電曲線形状と低い内部抵抗を両立させることで、入力特性に優れた非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者らは、リチウムを含む遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含む正極と、炭素質材料を含む負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、正極容量が3.0mAh/cm以下(対極をLi金属としたときの容量)であり、ブタノール法により求めた前記炭素質材料の真密度が1.45〜1.70g/cmであり、対向する正極容量Aと負極容量Bの比(A/B)が0.4〜0.8であるものにおいて、優れたサイクル特性を実現させながら、傾斜領域の大きい充電曲線形状と低い内部抵抗を両立させた入力特性に優れる電池が提供されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)リチウムを含む遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含む正極と、炭素質材料を含む負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、正極容量が3.0mAh/cm以下(対極をLi金属としたときの容量)であり、ブタノール法により求めた前記炭素質材料の真密度が1.45〜1.70g/cmであり、対向する正極容量Aと負極容量Bの比(A/B)が0.4〜0.8であることを特徴とする非水電解質二次電池。
(2)前記負極における負極活物質層の厚みが45μm以下であることを特徴とする上記(1)に記載の非水電解質二次電池。
(3)前記炭素質材料は、平均粒子径(Dv50)が4.5μm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の非水電解質二次電池。
本発明によれば、リチウムを含む遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含む正極と、炭素質材料を含む負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、正極容量が3.0mAh/cm以下(対極をLi金属としたときの容量)であり、ブタノール法により求めた前記炭素質材料の真密度が1.45〜1.70g/cmであり、対向する正極容量Aと負極容量Bの比(A/B)が0.4〜0.8であることにより、優れたサイクル特性を実現させながら、傾斜領域の大きい充電曲線形状と低い内部抵抗を両立させた入力特性に優れる電池が提供される。
傾斜領域を大きくすることは、充電中のリチウムの析出を抑制し、充放電サイクル特性の向上に寄与することに加えて、より高負荷での充電を可能にする。また、本発明における電池は、負極活物質層の厚みが従来の負極よりも薄く、負極厚み方向の電気抵抗が低いため、電池の内部抵抗を低減させて高入出力の電池の提供を可能にする。
実施例で用いられた入出力電流パルスを示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムを含む遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含む正極と、炭素質材料を含む負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、正極容量が3.0mAh/cm以下(対極をLi金属としたときの容量)であり、ブタノール法により求めた前記炭素質材料の真密度が1.45〜1.70g/cmであり、対向する正極容量Aと負極容量Bの比(A/B)が0.4〜0.8であることが好ましい。
正極容量とは、正極電極における単位面積当たりの放電容量を意味し、二次電池の入出力に必要な充放電容量を実現するために設定される。その一方で、負極は、充電時にリチウムイオンを吸蔵するので、過剰なリチウムがリチウム金属として析出しないように正極容量の増加に応じて負極容量を増加させる必要がある。しかし、負極容量の増加によって負極の電極厚みが大きくなるのでリチウムの拡散距離が長くなり、電気抵抗が増大することから、入出力特性が低下する。また、充放電の繰り返しによる膨張収縮の影響が大きくなり、容量維持率の低下を招くことがある。そのため、正極容量は、適正範囲で一定以下にする必要があり、3.0mAh/cm以下が好ましい。より好ましくは、2.7mAh/cm以下である。また、HEV等の航続距離に応じて必要とする容量を適宜設定できるから、0.8mAh/cm以上にしてもよい。好ましくは、1mAh/cm以上である。
本発明の非水電解質二次電池は、ブタノール法により求めた前記炭素質材料の真密度が1.45〜1.70g/cmであり、前記正極容量Aと前記負極容量Bの比(A/B)が0.4〜0.8であることが好ましい。
真密度が1.45〜1.70g/cmである炭素質材料としては、非黒鉛性材料の難黒鉛化性炭素が代表的である。この非黒鉛質材料は、満充電近傍の電位変化の小さい領域で容量を有するが、電位が緩やかに変化する傾斜領域において大きな容量を有するので、HEV用途で重視される使用形態に適している。真密度が1.70g/cmを超えると、充放電中の炭素質材料の膨張収縮が大きくなり、充放電サイクル後の容量維持率が低下し、また、1.45g/cmを下回ると、炭素化が十分でなく不可逆容量が大きくなる傾向にあるため、好ましくない。
正極容量Aと負極容量Bの比(A/B)は、0.4未満であると、電池容量の低下が著しいため、入出力特性の低下を招く。一方、0.8を超えると、負極の活物質層厚みが相対的に大きくなり、電気抵抗の増大や膨張収縮の影響によって入出力特性の低下や容量維持率の低下を招くことになる。そのため、この比(A/B)は、0.4〜0.8が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、負極電極における負極活物質層の厚みが45μm以下であることが好ましい。この厚みは、負極電極の集電体の両面に負極活物質層が存在する場合には、負極から集電体の厚みを差し引いた厚みの半分に相当し、また、集電体の片面にのみ負極活物質層が存在する場合には、負極から集電体の厚みを差し引いた厚みに相当する。負極活物質層の厚みが過大であると、入出力特性が低下し、容量維持率が低下するので、負極活物質層の厚みは、片面当たりで45μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下である。
本発明の非水電解質二次電池は、平均粒子径(Dv50、累積容積が50%となる粒子径)が6μm以下の炭素質材料からなる負極活物質を有することが好ましい。前記炭素質物質の平均粒子径は、過大であると大きな粒子が増加するため電極を薄く塗工することが困難になり、さらに粒子内でのリチウムの拡散距離が増加するため急速な充放電が困難となり、入出力特性を低下させる。そのため、平均粒子径は、4.5μm以下が好ましく、より好ましくは4μm以下である。なお、平均粒子径が過小であると、微粉の割合が多くなり不可逆容量の増加を招くので、1μm以上にしてもよく、好ましくは1.5μm以上である。
正極活物質を含む正極に対向する負極に含まれる負極活物質には、X線回折法により求められる002面の平均層面間隔(d002)が0.365nm以上0.40nm以下の乱層構造炭素質材料が好ましい。平均層面間隔は、結晶完全性が高いほど小さい値を示し、黒鉛構造では0.3354nmであり、黒鉛構造が乱れるほどその値が増加する傾向にある。黒鉛質材料は、リチウムのドープ脱ドープの繰り返しにより、黒鉛層間が10%程度膨張するため結晶構造の破壊が発生しやすい。そのため、本発明は、負極活物質として、黒鉛構造よりも平均面間隔の大きい乱層構造を有する炭素質材料を使用することにしたものであり、その002面の平均層面間隔は、0.365nm以上0.400nm以下であることが好ましい。平均面間隔が0.365nm未満であると、単位重量当たりのドープ容量が小さくなり好ましくない。0.368nm以上がより好ましい。平均面間隔が0.400nmを超えると、炭素化が十分でないことを示しており不可逆容量が大きくなるため好ましくない。0.395nm以下がより好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が6m/g以上である負極活物質を有することが好ましい。負極活物質の比表面積は、過小であると電解液との反応面積が小さくなり入出力特性が低下する傾向があるため、7m/g以上であるとよい。好ましくは8m/g以上である。負極活物質の比表面積は、過大であると得られる電池の不可逆容量が大きくなる傾向があるため、20m/g以下であるとよい。好ましくは15m/g以下である。
(非水電解質二次電池)
本発明の非水電解質二次電池は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、及び電解質を備え、セパレータなど電池を構成する他の材料については、特に限定されることなく、非水電解質二次電池として従来使用され、あるいは提案されている種々の材料を使用することが可能である。
(正極活物質)
正極活物質としては、本技術分野で使用される正極活物質が使用できる。例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸マンガン鉄リチウム(LiMn1−xFePO)リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、コバルト酸リチウム複合酸化物(LiCoO)、スピネル型マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMn)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMnO2、LiMnO)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LiNiO)、ニオブ酸リチウム複合酸化物(LiNbO)、鉄酸リチウム複合酸化物(LiFeO)、マグネシウム酸リチウム複合酸化物(LiMgO)、カルシウム酸リチウム複合酸化物(LiCaO)、銅酸リチウム複合酸化物(LiCuO)、亜鉛酸リチウム複合酸化物(LiZnO)、モリブデン酸リチウム複合酸化物(LiMoO)、タンタル酸リチウム複合酸化物(LiTaO)、タングステン酸リチウム複合酸化物(LiWO)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)、Li過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNiCoMn固溶体)、酸化マンガン(MnO)、バナジウム系、硫黄系、シリケート系等の複合金属カルコゲン化合物が好ましく、これらのカルコゲン化合物を必要に応じて混合してもよい。これらの正極材料を適当なバインダーと電極に導電性を付与するための炭素材料とともに成形して、導電性の集電体上に層形成することにより正極が形成される。
(負極活物質)
本発明の非水電解質二次電池で用いる炭素質材料は、特に限定されないが、従来の非水電解質二次電池の炭素質材料と類似の製造法をベースにしつつ、焼成条件を最適化することで良好に製造することができる。炭素前駆体から製造される炭素質材料を使用することができる。炭素前駆体としては、石油ピッチ若しくはタール、石炭ピッチ若しくはタール、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を挙げることができる。また熱可塑性樹脂としては、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、ポリイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂、ポリアミドイミド、又はポリエーテルエーテルケトンを挙げることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂を挙げることができる。例えば、具体的には、フラン樹脂である。
また、負極活物質には、炭素質材料として、難黒鉛化性炭素に加えて、易黒鉛化性炭素、黒鉛などを混合することができる。また、炭素質材料以外の負極活物質を混合することもできる。
本発明においては、難黒鉛化性炭素質材料を使用できるため、石油ピッチ若しくはタール、石炭ピッチ若しくはタール、又は熱可塑性樹脂は、製造過程において、熱に対し不融とするための不融化処理を行う必要がある。不融化処理は、酸化によって炭素前駆体に架橋を形成させることによって行うことができる。不融化処理は、本発明の分野において、公知の方法によって行うことができる。
炭素前駆体を負極用炭素質材料とするために焼成が行われる。本発明においては、300℃以上900℃未満の温度での予備焼成、及び900〜1500℃の温度での本焼成によって行うことが好ましい。予備焼成温度が低すぎると脱タールが不十分となり、本焼成時に多くのタールを発生することとなり、電池性能低下を引き起こすので好ましくない。予備焼成温度は300℃以上が好ましく、更に好ましくは500℃以上、特に好ましくは600℃以上である。一方、予備焼成温度が高すぎるとタール発生温度領域を超えることになり、使用するエネルギー効率が低下するため好ましくない。更に、発生したタールが二次分解反応を引き起こしそれらが、炭素前駆体に付着し、性能低下を引き起こすことがあるので好ましくない。粉砕工程は、不融化工程の後行ってもよいが、予備焼成後に行う方が好ましい。予備焼成温度が高すぎると炭素前駆体が硬くなるので粉砕効率が低下することがあるため、好ましくない。予備焼成は900℃未満で行うことが好ましい。予備焼成及び本焼成を行う場合は、予備焼成の後に一旦温度を低下させて、粉砕し、本焼成を行ってもよい。
本焼成工程は、通常の本焼成の手順に従って行うことができる。本焼成の温度は、900〜1500℃が好ましい。本焼成温度が900℃未満では、炭素化が十分でなく、炭素質材料に官能基が多く残存してH/Cの値が高くなり、リチウムとの反応により不可逆容量が増加するため好ましくない。本発明の本焼成温度の下限は900℃以上であり、より好ましくは950℃以上である。一方、本焼成温度が1500℃を超えると炭素六角平面の選択的配向性が高まり放電容量が低下し、また真密度が大きくなって充放電中の膨張収縮が大きくなり充放電サイクル特性が劣るため好ましくない。本発明の本焼成温度の上限は1500℃以下であり、より好ましくは1450℃以下であり、さらに好ましくは1400℃以下である。本焼成温度が1500℃を越える場合は真密度が大きくなって、充放電中の膨張収縮が大きくなり充放電サイクル特性が劣るので好ましくない。900℃を下回ると炭素化が十分でなく不可逆容量が大きくなるため好ましくない.本焼成は好ましくは900℃〜1450℃、更に好ましくは950℃〜1400℃で行なう。
(電極の製造)
本発明の非水電解質二次電池における電極は、正極活物質または負極活物質に結合剤(バインダー)を添加し適当な溶媒を適量添加、混練し、電極合剤とした後に、金属板などからなる集電体に塗布・乾燥後、加圧成形することにより製造することができる。
集電体は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスなどの金属材料、導電性高分子材料などが使用される。
また、高い導電性を賦与することを目的として、電極合剤の調製時に必要に応じて導電助剤を添加することができる。導電助剤としては、導電性のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、ナノチューブなどを用いることができ、添加量は使用する導電助剤の種類によっても異なるが、添加する量が少なすぎると期待する導電性が得られないので好ましくなく、多すぎると電極合剤中の分散が悪くなるので好ましくない。このような観点から、添加する導電助剤の好ましい割合は0.5〜10重量%(ここで、活物質量+バインダー量+導電助剤量=100重量%とする)であり、更に好ましくは0.5〜7重量%、とくに好ましくは0.5〜5重量%である。
結合剤としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、及びSBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)とCMC(カルボキシメチルセルロース)との混合物などの電解液と反応しないものであれば特に限定されない。中でもPVDFは、活物質表面に付着したPVDFがリチウムイオン移動を阻害することが少なく、良好な入出力特性を得るために好ましい。PVDFを溶解しスラリーを形成するためにN−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒が好ましく用いられるが、SBRなどの水性エマルジョンやCMCを水に溶解して用いることもできる。結合剤の添加量が多すぎると、得られる電極の抵抗が大きくなるため、電池の内部抵抗が大きくなり電池特性を低下させるので好ましくない。また、結合剤の添加量が少なすぎると、負極材料粒子相互及び集電材との結合が不十分となり好ましくない。結合剤の好ましい添加量は、使用するバインダーの種類によっても異なるが、PVDF系のバインダーでは好ましくは3〜13重量%であり、更に好ましくは3〜10重量%である。一方、溶媒に水を使用するバインダーでは、SBRとCMCとの混合物など、複数のバインダーを混合して使用することが多く、使用する全バインダーの総量として0.5〜5重量%が好ましく、更に好ましくは1〜4重量%である。電極活物質層は集電板の両面に形成するのが基本であるが、必要に応じて片面でもよい。
(非水電解質)
これら正極と負極との組み合わせで用いられる非水電解質には、一般に非水溶媒に電解質を溶解することにより形成される。非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、又は1,3−ジオキソランなどの有機溶媒の一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、電解質としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiAsF、LiCl、LiBr、LiB(C、又はLiN(SOCFなどが用いられる。また、本発明の非水電解質二次電池には、ゲル電解質、固体電解質を用いることができる。
本発明の非水電解質二次電池は、一般に上記のようにして形成した正極活物質層と負極活物質層とを必要に応じて不織布、その他の多孔質材料などからなる透液性セパレータを介して対向させ電解液中に浸漬させることにより形成される。
セパレータとしては、二次電池に通常用いられる不織布、その他の多孔質材料からなる透過性セパレータを用いることができる。あるいはセパレータの代わりに、もしくはセパレータと一緒に、電解液を含浸させたポリマーゲルからなる固体電解質を用いることもできる。
本発明の非水電解質二次電池は、例えば電気自動車やHEVなどの車両に搭載される二次電池として好適である。通常電動車両として知られるものや燃料電池や内燃機関とのハイブリッド車など、特に制限されることなく対象とすることができるが、少なくとも上記電池を備えた電源装置と、該電源装置からの電源供給により駆動する電動駆動機構と、これを制御する制御装置を備える。更に、発電ブレーキや回生ブレーキを備え、制動によるエネルギーを電気に変換して当該リチウムイオン二次電池に充電する機構を備えてもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
以下に本発明の非水電解質二次電池における正極活物質、負極活物質の物性値(ρBt、BET比表面積、平均粒子径(Dv50)、d002、活物質層厚み、正極容量、負極容量、SOC50%時の重量当たりの入力密度、容量維持率)の測定法を記載するが、実施例を含めて、本明細書中に記載する物性値は、以下の方法により求めた値に基づくものである。
(ブタノール法による真密度(ρBt))
真密度は、JIS R 7212に定められた方法に従い、ブタノール法により測定した。内容積約40mLの側管付比重びんの質量(m)を正確に量る。次に、その底部に試料を約10mmの厚さになるように平らにいれた後、その質量(m)を正確に量る。これに1−ブタノールを静かに加えて、底から20mm程度の深さにする。次に比重びんに軽い振動を加えて、大きな気泡の発生がなくなったのを確かめた後、真空デシケーター中にいれ、徐々に排気して2.0〜2.7kPaとする。その圧力に20分間以上保ち、気泡の発生が止まった後に、取り出し、更に1−ブタノールを満たし、栓をして恒温水槽(30±0.03℃に調節してあるもの)に15分間以上浸し、1−ブタノールの液面を標線に合わせる。次に、これを取り出して外部をよくぬぐって室温まで冷却した後質量(m)を正確に量る。
次に、同じ比重びんに1−ブタノールだけを満たし、前記と同じようにして恒温水槽に浸し、標線を合わせた後質量(m)を量る。また、使用直前に沸騰させて溶解した気体を除いた蒸留水を比重びんに採取し、前記と同様に恒温水槽に浸し、標線を合わせた後質量(m)を量る。ρBtは、次の式により計算する。
Figure 2015152094
このとき、dは、水の30℃における比重(0.9946)である。
となる。
(窒素吸着による比表面積(SSA))
以下にBETの式から誘導された近似式を記す。
Figure 2015152094
上記の近似式を用いて、液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvを求め、次式により試料の比表面積を計算した。
Figure 2015152094
このとき、vは試料表面に単分子層を形成するに必要な吸着量(cm/g)、vは実測される吸着量(cm/g)、xは相対圧力である。
具体的には、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II2300」を用いて、以下のようにして液体窒素温度における炭素質材料への窒素の吸着量を測定した。粒子径約5〜50μmに粉砕した炭素質材料を試料管に充填し、ヘリウム:窒素=70:30の混合ガスを流しながら、試料管を−196℃に冷却し、炭素質材料に窒素を吸着させる。つぎに試料管を室温に戻す。このとき試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量vとした。
(X線回折法による平均層面間隔(d002))
炭素質材料粉末を試料ホルダーに充填し、Niフィルターにより単色化したCuKα線を線源とし、X線回折図形を得る。回折図形のピーク位置は重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピーク位置をもとめる方法)により求め、標準物質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピークを用いて補正する。CuKα線の波長を0.15418nmとし、以下に記すBraggの公式によりd002を算出する。
Figure 2015152094
λ:X線の波長,θ:回折角
(レーザー回折法による平均粒子径(Dv50))
試料に分散剤(界面活性剤SNウェット366(サンノプコ社製))を加え馴染ませる。次に純水を加えて、超音波により分散させた後、粒径分布測定器(島津製作所社製「SALD−3000S」)で、屈折率を2.0−0.1iとし、粒径0.5〜3000μmの範囲の粒径分布を求めた。得られた粒径分布から、累積容積が50%となる粒径をもって、平均粒子径Dv50とした。
実施例1〜10及び比較例1〜9のリチウムを含む遷移金属複合酸化物からなる正極活物質、炭素質材料からなる負極活物質を用いて、電極を作製し、試験用の非電解質二次電池(フルセル、テストセル)を作製し、電池性能の評価を行った。
(実施例1)
以下の(a)〜(j)の操作を行って、所定項目を測定した。
(a)正極電極の作製
正極活物質には、ニッケル、コバルト、マンガンの原子比が1:1:1のリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(NCM)を用いた。
正極電極は、上記の正極活物質100質量部に導電材としてのアセチレンブラック3質量部を加え、この混合物にN−メチルピロリドン(NMP)の溶剤に結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)(株式会社クレハ製「KF#1100」)を溶解した溶液を混練してペースト状にした。加えたPVDFの量は活物質100質量部に対して4質量部となるように調製した。次いで、このペーストをアルミニウム箔上に均一に塗布した.乾燥した後、アルミニウム箔より直径15mmの円板状に打ち抜き、これをプレスして正極とした。
(b)負極電極の作製
負極活物質には、等方性ピッチを原料として熱処理を行った難黒鉛化性炭素を用いた。平均粒径は4.2μmであり、(d002)が0.390nmであり真密度は1.48g/cmであった。
負極電極は、正極電極の作製とほぼ同様に、炭素質粉末100質量部にNMPの溶剤に結着剤としてのPVDFを溶解した溶液を混練してペースト状にした。加えたPVDFの量は炭素粉末100質量部に対して8質量部となるように調製した。次いで、このペーストを銅箔上に均一に塗布した。乾燥した後、銅箔より直径15mmの円板状に打ち抜き、これをプレスして負極とした。
(c)負極活物質層の厚みの測定
負極活物質層の厚みは、負極電極の集電体の両面に負極活物質層が存在する場合には、負極から集電体の厚みを差し引いた厚みの半分に相当し、また、集電体の片面にのみ負極活物質層が存在する場合には、負極から集電体の厚みを差し引いた厚みに相当する。
具体的には、厚さ測定器により厚みを測定した。
(d)フルセルの作製
リチウム二次電池としての入力特性、サイクル後の容量維持率を測定するために、上記の正極と負極を組み合わせて、試験用のフルセルを作成した。正負極の活物質面が対向するように正極、直径19mmの硼珪酸塩ガラス繊維製微細細孔膜のセパレータ、負極を積層し、正負極とセパレータに電解液が含浸するように注液した。電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを容量比で1:2:2で混合した混合溶媒に1.4mol/Lの割合でLiPF6を加えたものを使用した。さらに正極側に厚み0.2mmのアルミ板を重ね、ポリエチレン製のガスケットを用いて、Arグローブボックス中で、2016サイズのフルセルを組み立てた。
(e)初期放電容量の測定
上記のフルセルについて、充放電試験装置(東洋システム製「TOSCAT」)を用いて、定電流定電圧法により充放電試験を行った。具体的には、フルセルを0.3mA定電流、4.2V定電圧で充電し、電流が0.03mAまで減衰した時点で充電を終了した。その後、電池回路を開放し、0.3mAで2.5Vに達するまで定電流放電を行った。このとき放電した電気量でもって初期放電容量(mAh)を測定した。
(f)重量当たり入力密度の測定
初期放電容量を測定した上記のフルセルを用いて、充放電電流を0.6mAに変える以外は、上記と同じ条件で1回充放電した。フルセルを初期放電容量の半分の電気量まで0.6mAの定電流、4.2Vの定電圧で充電した。
次いで、このフルセルに対して、図1に示すような入出力電流パルスを印加しながら、充電(入力)パルスの印加直前の電圧と各充電(入力)パルス印加10秒後の電圧を読取った(各電圧読み取りは、図1中、電流パルスの立ち上がり・立下りの直前に行う)。電圧読取ポイントとして、図1に示すような4点で測定した電圧を印加電流値に対してプロットした。これらプロットの近似直線を外挿し、充電上限電圧4.2Vとの交点の電流値と充電上限電圧との積を入力値(W:ワット)として算出した。この入力値を、テストセル内部に配置した正極、セパレータ、負極からなる構成要素の重量の和で除して重量当たりの入力密度を算出した。
(g)容量維持率の測定
上記の入力密度を評価した後のフルセルを用いて、充電を定電流定電圧法により行った。充電上限電圧を4.2V、充電電流値を5mAに設定し、4.2Vに到達後、一定電圧のまま充電し、電流が0.5mAまで減衰した時点で充電を終了した。その後、5mAで定電流放電を行い、2.5Vに達した時点で終了した。このときの放電容量を測定した。このような充放電サイクルを300サイクル繰り返し、300サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除して、その割合を容量維持率(%)として算出した。
なお、上記の初期放電容量、重量当たり入力密度、正極容量、負極容量、容量維持率について充放電試験および測定は、いずれも25℃の恒温槽内で行った。
(h)テストセルの作製
上記(d)と同様の手順で別のフルセルを作製し、上記「(e)初期放電容量の測定」と同様の手順で充電した後、当該フルセルを解体して正極と負極を取り出した。リチウム極の調製は、Ar雰囲気中のグローブボックス内で行った。予め2016サイズのコイン型電池用缶の外蓋に直径16mmのステンレススチール網円盤をスポット溶接した後、厚さ0.8mmの金属リチウム薄板を直径15mmの円盤状に打ち抜いたものをステンレススチール網円盤に圧着し、電極(対極)とした。このようにして製造したリチウム極と正極との対、あるいは当該リチウム極と負極との対を用い、電解液としてはエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを容量比で1:2:2で混合した混合溶媒に1.4mol/Lの割合でLiPFを加えたものを使用し、直径19mmの硼珪酸塩ガラス繊維製微細細孔膜のセパレータとして、ポリエチレン製のガスケットを用いて、Arグローブボックス中で、2016サイズのコイン型テストセルを組み立てた。
(i)正極容量の測定
上記(h)のリチウム極と正極の対からなるテストセルを用いて、放電を0.3mAの定電流で行い、電圧が放電開始時の80%電圧に低減した時点で終了した。このときの放電量から放電容量を測定し、当該放電容量を正極電極面積で除して、正極容量A(mAh/cm)を算出した。
(j)負極容量の測定
上記(h)のリチウム極と負極の対からなるテストセルを用いて、充電(Liを炭素材にドープする過程)を0.3mA定電流で行い、0Vに達した後は、0V定電圧充電で行い、電流が0.03mAに減衰した時点を充電終了とした。次いで、放電(Liを炭素材から脱ドープする過程)を0.3mA定電流で行い、1.5Vに達するまで放電した。このときの放電量から放電容量を測定し、当該放電容量を負極電極面積で除して、負極容量B(mAh/cm)を算出した。これにより容量比A/Bを算出した。
(実施例2〜3)
実施例1と同様にNCM正極を用いた。負極活物質には、等方性ピッチを原料として不融化度を変えた前駆体を作成し、前駆体を粉砕、熱処理を行った難黒鉛化性炭素を用いた。負極厚みと正極厚みを変えたこと以外は実施例1と同様の作製条件により、NCMの正極および炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
実施例2において、充電状態のフルセルを解体して作成したテストセルの電位は27mVであった.
(実施例4)
実施例3の炭素前駆体の粉砕条件を変えることにより平均粒径の異なる難黒鉛化性炭素を作成し、負極厚みと正極厚みを変えたこと以外は実施例3と同様にしてテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
(実施例5)
実施例3で作成した負極を用い、正極活物質として、コバルト酸リチウム複合酸化物(LiCoO)(LCO)を用い、正極厚みを変えたこと以外は、実施例3と同様の作製条件により、LCOの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
(実施例6)
実施例3で作成した負極を用い、正極活物質として、リン酸鉄リチウム(LiFePO)(LFP)を用い、正極厚みを変えたこと以外は、実施例3と同様の作製条件により、LFPの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製した。フルセルの充電時の定電圧を4.2Vから3.6Vに、充電上限電圧を3.6Vに、また、放電終止電圧を2.0Vに変更した以外は、実施例1(NCM正極)の場合と同様の条件で充放電試験を行い、所定の評価項目を測定した。
(実施例7)
実施例3で作成した負極を用い、正極活物質として、スピネル型マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMn)(LMO)を用い、正極厚みを変えたこと以外は、実施例3と同様の作製条件により、LMOの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製した。フルセルの充電時の定電圧を4.2Vから4.15Vに、充電上限電圧を4.15Vに変更した以外は、実施例1(NCM正極)の場合と同様の条件で充放電試験を行い、所定の評価項目を測定した。
(実施例8)
実施例3で得られた難黒鉛化性炭素を用い、正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例3と同様の作製条件により、NCMの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
(実施例9)
負極活物質には、等方性ピッチを原料として不融化度を変えた前駆体を作成し、前駆体を粉砕、熱処理を行った難黒鉛化性炭素を用いた。正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例1と同様の作製条件により、NCMの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
(実施例10)
実施例9の炭素前駆体の粉砕条件を変えることにより平均粒径の異なる難黒鉛化性炭素を作成し、負極厚みを変更させたこと以外は実施例9と同様にしてテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
(比較例1)
負極活物質には、等方性ピッチを原料として不融化度を変えた前駆体を作成し、前駆体を粉砕、熱処理を行った難黒鉛化性炭素を用いた。正極厚みを変更させたこと以外は実施例1と同様の作製条件により、NCMの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
(比較例2)
実施例3と同じ難黒鉛化性炭素を用い、正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例5と同様の作製条件により、LCOの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、実施例5と同様の条件で同様の評価項目を測定した。
(比較例3)
実施例3と同じ難黒鉛化性炭素を用い、正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例6と同様の作製条件により、LFPの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、実施例6と同様の条件で同様の評価項目を測定した。
(比較例4)
実施例3と同じ難黒鉛化性炭素を用い、正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例7と同様の作製条件により、LMOの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、実施例7と同様の条件で同様の評価項目を測定した。
(比較例5〜6)
実施例3と同じ難黒鉛化性炭素を用い、正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例1と同様の作製条件により、NCMの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、実施例1と同様の条件で同様の評価項目を測定した。
(比較例7)
実施例3と同じ難黒鉛化性炭素を用い、正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例5と同様の作製条件により、LCOの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、実施例5と同様の条件で同様の評価項目を測定した。
(比較例8)
実施例4と同じ難黒鉛化性炭素を用い、正極厚み、負極厚みを変更させたこと以外は実施例1と同様の作製条件により、NCMの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、実施例1と同様の条件で同様の評価項目を測定した。
(比較例9)
負極活物質には、等方性ピッチを原料として不融化度を変えた前駆体を作成し、前駆体を粉砕、熱処理を行った難黒鉛化性炭素を用いた。負極厚みを変更させたこと以外は実施例1と同様の作製条件により、NCMの正極と炭素質材料の負極を備えたテストセル、フルセルを作製し、同様の評価項目を測定した。
実施例および比較例の測定した結果を表1に示す。入力密度は実施例1の値で規格化した。
Figure 2015152094
実施例1〜10は、負極活物質に真密度(ρBt)が1.45〜1.70g/cmの範囲で、正極容量と負極容量との比(A/B)が0.4〜0.8の範囲にあり、正極容量Aが3.0mAh/cm以下の電池である。いずれも重量当たりの入力密度比が高く、容量維持率が高い性能を示した。
それに対し、比較例1は、負極活物質の炭素質材料の真密度(ρBt)が1.70g/cmより高いため、容量維持率が低かった。比較例2〜6は、容量比A/Bが0.4未満または0.8超であるため、重量当たり入力密度あるいは容量維持率が低かった。比較例7、8は、正極容量Aが3.0mAh/cmを超えるため、重量当たり入力密度比および容量維持率が低かった。比較例9は、負極活物質の炭素質材料の真密度(ρBt)が1.45g/cmを下回るため、容量維持率が低かった。
また、実施例において負極活物質層の厚みが45μm以下であること、あるいは平均粒子径(Dv50)が4.5μ以下であると、特に入出力特性およびサイクル特性が良好であった。比較例6は、負極活物質層の厚みが45μm以下であるが、容量比(A/B)が0.8を超えるため、サイクル特性が低下した。比較例2〜7、9は、平均粒子径が4.5μ以下であるが、容量比(A/B)、あるいは、正極容量A、あるいは真密度(ρBt)が本発明の範囲外であるため、サイクル特性が低下した。
このように、本発明の構成を備えた実施例1〜10は、優れたサイクル特性を維持しつつ、高い出力特性を実現できることを確認できた。

Claims (3)

  1. リチウムを含む遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含む正極と、炭素質材料を含む負極活物質を含む負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、正極容量が3.0mAh/cm以下(対極をLi金属としたときの容量)であり、ブタノール法により求めた前記炭素質材料の真密度が1.45〜1.70g/cmであり、対向する正極容量Aと負極容量Bの比(A/B)が0.4〜0.8であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記負極における負極活物質層の厚みが45μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記炭素質材料は、平均粒子径(Dv50)が4.5μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
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