JPWO2015033371A1 - エンジンの異常燃焼検出装置及びエンジンの異常燃焼検出方法 - Google Patents

エンジンの異常燃焼検出装置及びエンジンの異常燃焼検出方法 Download PDF

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Abstract

本発明に係るエンジンの異常燃焼検出装置(50)は、燃焼室(2)内に供給された空気と燃料との混合気を燃焼させてエンジン動力を生起するエンジン(1)において、燃焼室の燃焼状態と相関性のある物理量を検出する加速度検出器(12)と、加速度検出器(12)において検出された物理量に基づき、各燃焼サイクルのノック強度を算出するノック強度算出部(52)と、ノック強度算出部(52)において算出されたノック強度が所定の閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に所定の閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づき、燃焼室(2)内で正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出する異常燃焼判定部(54)と、を備えて構成される。

Description

本発明は、エンジンの燃焼室に発生する異常燃焼を検出するエンジンの異常燃焼検出装置および異常燃焼検出方法に関する。
エンジン(内燃機関)においては出力変動や燃焼騒音などの原因である異常燃焼が発生することがあるが、従来からエンジンにおける異常燃焼の代表的な一形態であるノッキングを検出する技術が知られている。この従来技術では、ノッキングセンサとして加速度センサを用いて、エンジンに固有な異常燃焼時の振動周波数を検出し、その強度が一定の閾値以上高ければ、ノッキングが発生したとみなして、点火時期を遅角する等の回避制御を施している(例えば、特許文献1を参照)。
特開2004−346876号公報
ところが、近年では、燃焼室内に存在する潤滑油(例えばオイル上がりした潤滑油)が自己着火することに起因する異常燃焼が問題となっている。この潤滑油に起因する異常燃焼が発生すると、燃焼室内の燃焼圧が急激に増大することで、基本的にノッキングを併発することになるのだが、両者は本質的には互いに異なる対策を必要とする、全く別の異常現象である。ところが、従来の技術では、正常な着火のもとで発生する通常のノッキングと潤滑油に起因する異常燃焼とを明確に判別することが難しく、潤滑油に起因する異常燃焼が発生した場合に、誤った回避制御を施した結果、事態を悪化させるという問題がある。すなわち、潤滑油に起因する異常燃焼が発生した場合に、ノッキングの回避制御と同様に、点火時期を遅角する制御を実施すると、燃焼室内の温度が一層上昇して潤滑油がさらに多点着火することで、事態を更に悪化させることになる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、正常な着火のもとで発生する通常のノッキングと、当該ノッキング以外の他の異常燃焼とを正確に判別可能な構成のエンジンの異常燃焼検出装置および異常燃焼検出方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係るエンジンの異常燃焼検出装置は、燃焼室内に供給された空気と燃料との混合気を燃焼させてエンジン動力を生起するエンジンにおいて、燃焼室の燃焼状態と相関性のある物理量を検出する物理量検出手段(例えば、実施形態における加速度検出器12)と、物理量検出手段において検出された物理量に基づき、各燃焼サイクルのノック強度を算出するノック強度算出手段(例えば、実施形態におけるノック強度算出部52)と、ノック強度算出手段において算出されたノック強度が所定の閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に所定の閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づき、正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出する異常燃焼判定手段(例えば、実施形態における異常燃焼判定部54)と、を備えて構成される。
また、本発明に係るエンジンの異常燃焼検出方法は、燃焼室内に供給された空気と燃料との混合気を燃焼させてエンジン動力を生起するエンジンにおいて、燃焼室の燃焼状態と相関性のある物理量を検出する物理量検出ステップと、物理量検出ステップにおいて検出された物理量に基づき、各燃焼サイクルのノック強度を算出するノック強度算出ステップと、ノック強度算出ステップにおいて算出されたノック強度が所定の閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に所定の閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づき、正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出する異常燃焼判定ステップと、を備えて構成される。
本発明に係るエンジンの異常燃焼検出装置によれば、ノック強度が所定の閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に前記所定の閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づいて、エンジンの燃焼室内に発生するノッキングと当該ノッキング以外の他の異常燃焼(例えば、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼など)とを正確に判別することができるため、異常燃焼の種別に応じた正しい回避制御を実行して、エンジンを適正な燃焼状態に早期に復帰させることが可能である。また、一般的にエンジンにはノックセンサ(物理量検出手段)が搭載されているため、正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出するための指標としてノック強度を利用することで、当該異常燃焼検出装置を低コストで実現することができる。
また、上述の発明に係るエンジンの異常燃焼検出装置において、ノック強度が複数回の燃焼サイクルにおいて一定以上変動した場合、正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出し得るよう構成することで、頻度および連続性との組合せ条件に基づき、各種の異常燃焼の検出精度をより一層向上させることが可能となる。
さらに、上述の発明に係るエンジンの異常燃焼検出装置において、燃焼室内の最高燃焼圧が一定以上上昇したとき又は複数回の燃焼サイクルにおいて最高燃焼圧が一定以上変動したときに、正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出し得るよう構成することで、燃焼室内での多点着火等に基づき燃焼圧の急激な増大を誘発するような異常燃焼を確実に検出することが可能となる。
本発明に係るエンジンの異常燃焼検出方法によれば、ノック強度が所定の閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に前記所定の閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づいて、正常な着火のもとで発生する通常のノッキングと当該ノッキング以外の他の異常燃焼(例えば、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼など)とを正確に判別することができるため、異常燃焼の種別に応じた正しい回避制御を実行して、エンジンを適正な燃焼状態に早期に復帰させることが可能である。
また、上述の発明に係るエンジンの異常燃焼検出方法において、ノック強度が複数回の燃焼サイクルにおいて一定以上変動した場合、正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出し得るよう構成することで、頻度および連続性との組合せ条件に基づき、各種の異常燃焼の検出精度をより一層向上させることが可能となる。
さらに、上述の発明に係るエンジンの異常燃焼検出方法において、燃焼室内の最高燃焼圧が一定以上上昇したとき又は複数回の燃焼サイクルにおいて最高燃焼圧が一定以上変動したときに、正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出し得るよう構成することで、燃焼室内での多点着火等に基づき燃焼圧の急激な増大を誘発するような異常燃焼を確実に検出することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るエンジンを示す模式図である。 本実施形態で対象とする各種の異常燃焼の特性の一例を比較する表である。 上記各種の異常燃焼におけるノック強度の現れ方の一例を示すグラフである。 潤滑油に起因する異常燃焼が発生したときの燃焼圧とクランク角度との関係の一例を示すグラフである。 第1実施形態の異常燃焼検出装置の機能ブロック図である。 ノッキング強度の算出の仕方の一例を説明するための模式図である。 第1実施形態における異常燃焼検出方法の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態の異常燃焼検出装置の機能ブロック図である。 第2実施形態における異常燃焼検出方法の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明の一実施形態に係るエンジンの異常燃焼検出装置を図1に示している。まず始めに、図1を参照しながら、エンジンの基本構成について説明する。なお、本実施形態では、エンジン(内燃機関)の一例として予混合燃焼式のガソリンエンジンを例示するが、例えばガスエンジン等の他の形式のエンジンに適用することも可能である。
[エンジンの基本構成]
エンジン1は、シリンダ空間11を有するシリンダブロック10と、シリンダブロック10の上面を覆って設けられたシリンダヘッド20と、シリンダ空間内11に往復動自在に設けられたピストン30と、コネクティングロッド35を介してピストン30に連結されてピストン30の往復動を受けて回転駆動されるクランク軸40と、を主体として構成されている。このエンジン1には、シリンダ空間11の内周面と、シリンダヘッド20と、ピストン30とに囲まれて燃焼室2(「筒内」とも称する)が画成されている。
シリンダヘッド20には、燃焼室2に繋がる吸気通路21および排気通路23が設けられており、燃焼室2と吸気通路21との連通部分である吸気口には、この吸気口を開閉する吸気弁22が設けられ、燃焼室2と排気通路23との連通部分である排気口には、この排気口を開閉する排気弁24が設けられている。これら吸気弁22および排気弁24は、クランク軸40と連動して回転駆動されるカム機構(図示せず)によって所定のタイミングで開閉作動される。
例えば、吸気通路21の途中又はその手前には、空燃比制御装置25(図5を参照)および燃料供給装置26などが設けられており、この吸気通路21を介して圧縮空気と燃料との混合気(予混合気)が燃焼室2内に導入されるようになっている。なお、混合気の供給方式や燃料の噴射方式には様々なタイプがあるが、いずれの方式を採用してもよい。
シリンダヘッド20には、燃焼室2の天井部に先端部(電極部)を臨ませて点火装置27が設けられており、この点火装置27の作動によって、燃焼室2内に導入された混合気の点火が行われるようになっている。なお、空燃比制御装置25、燃料供給装置26、点火装置27等の作動は、電子制御ユニットECUによって制御される。また、シリンダヘッド20には、燃焼室2内の圧力(「燃焼圧」と称する)を検出するための燃焼圧検出器28が取り付けられている。
一方、シリンダブロック10には、このシリンダブロック10に生じる振動(振動加速度)を検出するための加速度検出器12が取り付けられている。
なお、本実施形態では、詳細後述するが、加速度検出器12および燃焼圧検出器28のうちの一方がいわゆる「ノックセンサ」を構成し、加速度検出器12を採用する場合には振動値に基づくノック強度を指標として各種の異常燃焼が検出され、燃焼圧検出器28を採用する場合には燃焼圧に基づくノック強度を指標として各種の異常燃焼が検出される。以下では、加速度検出器12又は燃焼圧検出器28をノックセンサ3とも称することがある。
クランク軸40には、当該クランク軸40の回転角度を検出するためのクランク角度検出器41が取り付けられている。
なお、エンジン1には、前述のように、加速度検出器12および燃焼圧検出器28の両方が備えられているが、加速度検出器12および燃焼圧検出器28のうちのいずれか一方が備えられるものでもよい。
[エンジンの基本動作]
本実施形態で例示する4サイクル型のエンジン1では、ピストン30が上死点から下降してクランク軸40が所定の回転方向に回転すると、吸気バルブ22が開弁して吸気通路21からの混合気が吸気口を介して燃焼室内2に吸入される(「吸気行程」)。そして、ピストン30が下死点まで下降すると、吸気バルブ22がバルブスプリングの弾性力によって閉弁される。
ピストン30が下死点まで到達すると、クランク軸40の慣性力がコンロッド35を介して作用してピストン30が上昇し、密閉された燃焼室2内で混合気が圧縮される(「圧縮行程」)。
続いて、ピストン30が上死点の近傍に達すると、点火装置27の火花点火により圧縮された混合気が燃焼される。そして、燃焼室2内での混合気の燃焼は、点火装置27により着火された部分の火炎が燃焼室2内で伝播することにより行われる。この燃焼エネルギーを受けて、ピストン30は再び下降する(「燃焼・膨張行程」)。
ピストン30が下死点に達してさらに上昇すると、排気バルブ24が開弁し、排気口を介して燃焼室2内のガスが排気される(「排気行程」)。そして、ピストン30が上死点まで上昇すると、バルブスプリングの弾性力によって排気バルブ24が閉弁する一方、再び吸気バルブ22が開弁する。この一連の「吸気行程」、「圧縮行程」、「燃焼・膨張行程」、「排気行程」が、ピストン30が上下に2往復動する毎に繰り返して行われる。
[異常燃焼検出装置]
本実施形態に係る異常燃焼検出装置には、各検出器12,28,41等からの検出情報に基づき、エンジン1に発生する各種の異常燃焼として、正常な着火のもとで発生する通常のノッキングと、それ以外の他の異常燃焼(例えば、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼など)とを判別する機能が備えられている。
ここで、図2は本実施形態で対象となる異常燃焼の特性を比較した表、図3は各異常燃焼におけるノッキング強度の時間変化の様子を示すグラフである。なお、詳細後述するが、潤滑油に起因する異常燃焼および熱面着火に起因する異常燃焼は、基本的にはノッキングを併発するという特徴があるため、以降では正常な着火の下で発生するノッキングを「通常のノッキング」とも称することがある。すなわち、「通常のノッキング」とは、点火装置27による正常な着火の下で発生するものを意味する。これに対して、「通常のノッキング以外の他の異常燃焼」とは、非正常な着火に起因する異常燃焼を意味し、しばしばノッキングも併発する。それでは、図2および図3を参照しながら、通常のノッキング、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼、の特性について順番に説明する。
「通常のノッキング」とは、火炎伝播により燃焼圧が上昇する過程で、混合気の未燃焼部分が自己着火を起こすことにより、圧力波が燃焼室2内を往復伝播して共鳴する現象である。図2および図3に示すように、通常のノッキングは、他の二つの異常燃焼と比較して、所定レベルのノック強度が相対的に高い頻度で連続的に発生する傾向にあり、そのサイクル変動は比較的小さいという特性がある。なお、「ノック強度」とは、エンジンに発生するノッキングの強さの度合いを示す指標である。また、燃焼圧から得られる最高燃焼圧Pmaxや図示平均有効圧Pmiおよびそれらサイクル変動も、他の二つの異常燃焼と比較して、相対的に小さいという特性がある。
「潤滑油に起因する異常燃焼」とは、燃焼室2内に滞留する潤滑油(例えばオイル上がりした潤滑油)が自己着火を起こして燃焼圧を急激に増大させる現象である。なお、潤滑油は燃焼室2内でミスト或いは蒸気の状態で分散しているため、燃焼室2内の多点(多数の位置)でほぼ同時に自己着火を起こす(故に、急激な圧力上昇を起こすことになる)。このように、潤滑油に起因する異常燃焼では、燃焼圧が急激に増大するため、ノッキングを併発するという特徴がある。図2および図3に示すように、潤滑油に起因する異常燃焼では、比較的大きなレベルのノック強度が、相対的に低頻度で単発的・偶発的又は断続的に発生する傾向にある。より詳細には、潤滑油に起因する異常燃焼は、ほとんどの場合に連続して発生せず、その発生頻度も少ない(なかでも発生初期が特に少ない)。そのため、ノック強度のサイクル変動が大きい。また、前述の多点着火によって最高燃焼圧Pmaxおよび図示平均有効圧Pmiが正常燃焼より高くなり、また、そのサイクル変動も大きくなるという特性がある。
ここで、図4は、正常燃焼および潤滑油に起因する異常燃焼(進角あり、進角なし)におけるクランク角度と燃焼圧との関係を表すグラフである。この図4を参照しても分かるように、潤滑油に起因する異常燃焼では、必ずしも着火時期が進角するわけではなく、進角しなくても多点着火を伴って燃焼最高圧Pmaxが高くなるケースが多い。
「熱面着火に起因する異常燃焼」とは、混合気が燃焼室2内の過熱した高温部分に接触することで自己着火を起こして、混合気の着火時期を徐々に早める現象である。そのため、ノッキングを併発する。熱面着火に起因する異常燃焼では、図2および図3に示すように、大きなレベルのノック強度が連続的に発生して短時間で重度に成長していく傾向にある。また、最高燃焼圧Pmaxが正常燃焼よりも大幅に高くなるという特性がある。
本実施形態では、上記のような特性の差異に着目して、各種の異常燃焼の検出方法として、(I)ノック強度が閾値以上となる発生頻度、連続性に基づく検出方法、(II)ノック強度のサイクル変動値に基づく検出方法、(III)燃焼最高圧Pmax、燃焼最高圧Pmaxのサイクル変動値、図示平均有効圧Pmiのサイクル変動値、に基づく検出方法、を提案する。
それでは、以下において、異常燃焼検出装置の具体的な構成について説明する。まず、第1実施形態に係る異常燃焼検出装置50の構成を説明する。図5は、第1実施形態に係る異常燃焼検出装置50の機能ブロック図である。
異常燃焼検出装置50は、CPU、ROM、RAM等を搭載したマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPUがROMに記憶された異常燃焼検出用の制御プログラムに従って、エンジン1に生じる異常燃焼を検出する。異常燃焼検出器50には、ノックセンサ3(加速度検出器12等)およびクランク角度検出器28などが電気的に接続されている。
図5に示すように、異常燃焼検出装置50は、ノックセンサ3からの検出情報に基づきノック強度およびそのサイクル変動値などを算出するノック強度算出部52と、筒内の異常燃焼を検出する異常燃焼判定部54と、を備えている。
一方、電子制御ユニットECUは、CPU、ROM、RAM等を搭載したマイクロコンピュータを主体として構成されており、各種検出器等からの検出情報に基づき、CPUがROMに記憶された燃焼制御プログラムに従ってエンジン制御を実行する。この電子制御ユニットECUには、空燃比制御装置25、燃焼供給装置26および点火装置27などが電気的に接続されている。ここで、図5に示すように、電子制御ユニットECUは、空燃比制御装置25、燃焼供給装置26および点火装置27などの作動を制御して、筒内の燃焼を制御する燃焼制御部51を備えている。
(ノック強度の算出)
ノック強度算出部52は、ノックセンサ3(加速度検出器12等)で検出された振動値Vと、クランク角度検出器41で検出されたクランク角度θとに基づき、所定の演算処理を実行することで、ノック強度を算出する。具体的には、図6(a)に示すように、振動波形を所定の解析ウィンドウで周波数分析(高速フーリエ変換)を行い、図6(b)に示すパワースペクトルを算出する。解析ウィンドウの設定範囲Δθとしては、上死点(TDC)近傍の任意の範囲に設定可能であり、例えば、上死点近傍の40度の範囲で設定してもよい。
続いて、下記の式(1)で算出されるノッキング固有周波数を中心とした所定の周波数帯域(「ノック周波数帯域」と称する)にバンドパスフィルタをかけ、このノック周波数帯域の振動変動幅ΔVのオーバーオール値(二乗平均値)を算出し、これをノック強度(Knock Intensity)と定義する。なお、下記の式(1)において、管内の音速は、管内の温度の関数として算出される。
ノッキング固有周波数 = 管内の音速/(2×シリンダ径)…(1)
(ノック強度のサイクル変動値の算出)
ノック強度算出部52は、ノック強度のサイクル変動値も算出する。ここで、ノック強度のサイクル変動値とは、複数回のサイクルにおけるノック強度の変動の度合いを示す指標であり、例えば、ノック強度の最高値と最小値との差、標準偏差、COV(共分散)などが該当する。なお、本実施形態において、「サイクル」とは、吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気の一連の過程を意味する。
(異常燃焼の検出)
異常燃焼判定部54は、上記の(I),(II)の検出方法を単独で又は相互に組み合わせて実行することで、ノッキング、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼など様々な異常燃焼を検出する。
(I)ノック強度の発生頻度、連続性に基づく検出方法
異常燃焼判定部54は、異常燃焼を検出するための指標として発生頻度および連続性のうち少なくとも一方を利用する。具体的には、異常燃焼判定部54は、所定回数のサイクル中において、ノック強度が所定の閾値(「基準閾値」と称する)以上となるサイクル数(発生頻度)を記録して、その発生頻度が第1の閾値以上である場合、すなわち、発生頻度が高い場合には熱面着火に起因する異常燃焼であると判定する。一方、発生頻度が第1の閾値未満且つ第2閾値の以上である場合、すなわち、発生頻度が中程度の場合には、通常のノッキングであると判定する。また、発生頻度が第2の閾値未満である場合、すなわち、発生頻度が低い場合には、潤滑油に起因する異常燃焼であると判定する。なお、第1の閾値は第2の閾値よりも大きな値(第1の閾値>第2の閾値)とする。これは上述したように、潤滑油に起因する異常燃焼は、通常のノッキングと比較して、その発生頻度が低いという特性、および、熱面着火に起因する異常燃焼は、通常のノッキングと比較して、その発生頻度が高いという特性を利用したものである。なお、基準閾値、第1の閾値および第2の閾値は、エンジン1の作動状態等に応じて任意に可変設定することのできる変数とする。
また、異常燃焼判定部54は、基準閾値以上となるノック強度が連続して検出されたとき、その連続回数が第3の閾値以上である場合、すなわち、連続性が高い場合には熱面着火に起因する異常燃焼であると判定する。一方、連続回数が第3の閾値未満且つ第4の閾値以上である場合、すなわち、連続性が中程度の場合には、通常のノッキングであると判定する。また、連続回数が第4の閾値未満である場合、すなわち、連続性が低い場合には、潤滑油に起因する異常燃焼であると判定する。なお、第3の閾値は第4の閾値よりも大きな値(第3の閾値>第4の閾値)とする。これは上述したように、潤滑油に起因する異常燃焼は、ほとんどの場合に連続して発生しないという特性、および、熱面着火に起因する異常燃焼は、ほぼ連続的に発生するという特性を利用したものである。なお、第3の閾値および第4の閾値は、エンジン1の作動状態等に応じて任意に可変設定することのできる変数とする。
(II)ノック強度のサイクル変動に基づく検出方法
異常燃焼判定部54は、異常燃焼を検出するための指標としてノック強度のサイクル変動値を利用する。具体的には、異常燃焼判定部54は、ノック強度のサイクル変動値が第5の閾値以上である場合に、潤滑油に起因する異常燃焼が発生したと判定する。これは前述したように、潤滑油に起因する異常燃焼の場合には、燃焼のサイクル間のばらつきが通常のノッキングよりも大きくなるという特性を利用したものである。このとき、この検出方法(II)を単独で使用してもよいが、上記の(I)の検出方法との組合せにより、当該異常燃焼の検出精度を更に向上させることができる。なお、第5の閾値は、エンジン1の作動状態等に応じて任意に可変設定することのできる変数とする。
(回避制御)
異常燃焼判定部54は、いずれかの異常燃焼を検出した場合、当該異常燃焼に係る検出情報を電子制御ユニットECUの燃焼制御部51へ送信する。電子制御ユニットECUの燃焼制御部51は、異常燃焼判定部54からの検出情報に基づき、異常燃焼の種別に応じた回避制御を実行するため、エンジン各部(空燃比制御装置25、燃料供給装置26、点火装置27など)の作動を制御する。
次に、第1実施形態に係る異常燃焼検出装置50が実行する異常燃焼検出方法の一例について説明する。ここで、図7は、上記異常燃焼検出方法の一例を示すフローチャートである。
まず、ノック強度算出部52は、ノックセンサ3(加速度検出器12など)から入力される検出情報に基づきノック強度を算出する(ステップS101)。
続いて、異常燃焼判定部54は、ノック強度が基準閾値を超えているか否かを判定する(ステップS102)。
ノック強度が基準閾値以上である場合(ステップS102:YES)、異常燃焼判定部54は、過去Nサイクル中における基準閾値以上のノック強度の発生頻度、あるいは、ノック強度が基準閾値以上となる連続回数を算出する(ステップS103)。なお、ノック強度の発生頻度および連続回数の双方を算出するようにしてもよい。
異常燃焼判定部54は、上記のステップS103で得られた、発生頻度又は連続回数を所定の閾値(第1〜第4の閾値)と比較して、通常のノッキング、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼、のうちのいずれの異常燃焼が発生したかを判定する(ステップS104)。
続いて、電子制御ユニットECUの燃焼制御部51は、上記のステップS104で検出された異常燃焼の種別に応じた回避制御を実行する(ステップS105)。例えば、ノッキングに対する回避制御として、着火時期を遅角する制御など、熱面着火に起因する異常燃焼に対する回避制御として、エンジン1を即停止させる制御など、潤滑油に起因する異常燃焼に対する回避制御として、エンジン1の出力を低下させる制御など、を実行する。
次に、第2実施形態に係る異常燃焼検出装置150の構成を説明する。図8は、第2実施形態に係る異常燃焼検出装置150の機能ブロック図である。
異常燃焼検出装置150は、CPU、ROM、RAM等を搭載したマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPUがROMに記憶された異常燃焼検出用の制御プログラムに従って、エンジン1に生じる異常燃焼を検出する。異常燃焼検出装置150には、ノックセンサ3(燃焼圧検出器28)およびクランク角度検出器28などが電気的に接続されている。
図8に示すように、異常燃焼検出装置150は、ノックセンサ3(燃焼圧検出器28)からの検出情報に基づきノック強度およびそのサイクル変動値などを算出するノック強度算出部152と、同じくノックセンサ3(燃焼圧検出器28)からの検出情報に基づき最高燃焼圧Pmax、図示平均有効圧Pmi、およびそれらのサイクル変動値などを算出する燃焼圧解析部153と、ノック強度および燃焼圧に基づき筒内の異常燃焼を検出する異常燃焼判定部154と、を備えている。
一方、電子制御ユニットECUは、CPU、ROM、RAM等を搭載したマイクロコンピュータを主体として構成されており、各種検出器等からの検出情報に基づき、CPUがROMに記憶された燃焼制御プログラムに従ってエンジン制御を実行する。この電子制御ユニットECUには、空燃比制御装置25、燃焼供給装置26および点火装置27などが電気的に接続されている。ここで、図8に示すように、電子制御ユニットECUは、空燃比制御装置25、燃焼供給装置26および点火装置27などの作動を制御して、筒内の燃焼を制御する燃焼制御部51を備えている。
(ノック強度の算出)
ノック強度算出部152は、ノックセンサ3(燃焼圧検出器28)で検出された燃焼圧Pと、クランク角度検出器41で検出されたクランク角度θとに基づき、所定の演算処理を実行することで、ノック強度を算出する。具体的には、図6(a)に示すように、燃焼圧波形を所定の解析ウィンドウで周波数分析(高速フーリエ変換)を行い、図6(b)に示すパワースペクトルを算出する。解析ウィンドウの設定範囲Δθとしては、上死点(TDC)近傍の任意の範囲に設定可能であり、例えば、上死点近傍の40度の範囲で設定してもよい。
続いて、上記の式(1)で算出されるノッキング固有周波数を中心とした所定の周波数帯域(「ノック周波数帯域」と称する)にバンドパスフィルタをかけ、このノック周波数帯域の燃焼圧変動幅ΔPのオーバーオール値(二乗平均値)を算出し、これをノック強度(Knock Intensity)と定義する。
(ノック強度のサイクル変動値の算出)
ノック強度算出部152は、ノック強度のサイクル変動値も算出する。ここで、ノック強度のサイクル変動値とは、複数回のサイクルにおけるノック強度の変動の度合いを示す指標であり、例えば、ノック強度の最高値と最小値との差、標準偏差、COV(共分散)などが該当する。なお、本実施形態において、「サイクル」とは、吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気の一連の過程を意味する。
(燃焼圧の算出)
燃焼圧解析部153は、ノックセンサ3(燃焼圧検出器28)で検出された燃焼圧Pに基づき、燃焼最高圧Pmax、図示平均有効圧Pmi、およびそれらのサイクル変動値、を算出する。ここで、最高燃焼圧Pmaxとは、燃焼室2の1サイクル中における燃焼圧(筒内圧)の最大値をいう。燃焼最高圧Pmaxのサイクル変動値とは、連続する複数サイクル中での燃焼最高圧Pmaxの変動の度合いを示す指標であり、具体的には、燃焼最高圧Pmaxの最高値と最小値との差、標準偏差、COV(共分散)、などが該当する。図示平均有効圧Pmiとは、各シリンダの1サイクル当りの仕事量を行程容積で割った値をいう。図示平均有効圧Pmiのサイクル変動値とは、連続する複数サイクル中での図示平均有効圧Pmiの変動の度合いを示す指標であり、具体的には、図示平均有効圧Pmiの最高値と最小値との差、標準偏差、COV(共分散)、などが該当する。
(異常燃焼の検出)
異常燃焼判定部154は、上記の(I),(II),(III)の検出方法を単独で又は相互に組み合わせて実行することで、ノッキング、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼などを検出する。
(I)ノック強度の発生頻度、連続性に基づく検出方法
異常燃焼判定部154は、異常燃焼を検出するための指標として発生頻度および連続性のうち少なくとも一方を利用する。具体的には、異常燃焼判定部154は、所定回数のサイクル中において、ノック強度が所定の閾値(「基準閾値」と称する)以上となるサイクル数(発生頻度)を記録して、その発生頻度が第1の閾値以上である場合、すなわち、発生頻度が高い場合には熱面着火に起因する異常燃焼であると判定する。一方、発生頻度が第1の閾値未満且つ第2の閾値以上である場合、すなわち、発生頻度が中程度の場合には、通常のノッキングであると判定する。また、発生頻度が第2の閾値未満である場合、すなわち、発生頻度が低い場合には、潤滑油に起因する異常燃焼であると判定する。なお、第1の閾値は第2の閾値よりも大きな値(第1の閾値>第2の閾値)とする。これは上述したように、潤滑油に起因する異常燃焼は、通常のノッキングと比較して、その発生頻度が低いという特性、および、熱面着火に起因する異常燃焼は、通常のノッキングと比較して、その発生頻度が高いという特性を利用したものである。なお、基準閾値、第1の閾値および第2の閾値は、エンジン1の作動状態等に応じて任意に可変設定することのできる変数とする。
また、異常燃焼判定部154は、基準閾値以上となるノック強度が連続して検出されたとき、その連続回数が第3の閾値以上である場合、すなわち、連続性が高い場合には熱面着火に起因する異常燃焼であると判定する。一方、連続回数が第3の閾値未満且つ第4の閾値以上である場合、すなわち、連続性が中程度の場合には、通常のノッキングであると判定する。また、連続回数が第4の閾値未満である場合、すなわち、連続性が低い場合には、潤滑油に起因する異常燃焼であると判定する。なお、第3の閾値は第4の閾値よりも大きな値(第3の閾値>第4の閾値)とする。これは上述したように、潤滑油に起因する異常燃焼は、ほとんどの場合に連続して発生しないという特性、および、熱面着火に起因する異常燃焼は、ほぼ連続的に発生するという特性を利用したものである。なお、第3の閾値および第4の閾値は、エンジン1の作動状態等に応じて任意に可変設定することのできる変数とする。
(II)ノック強度のサイクル変動に基づく検出方法
異常燃焼判定部154は、異常燃焼を検出するための指標としてノック強度のサイクル変動値を利用する。具体的には、異常燃焼判定部154は、ノック強度のサイクル変動値が第5の閾値以上である場合に、潤滑油に起因する異常燃焼が発生したと判定する。これは前述したように、潤滑油に起因する異常燃焼の場合には、燃焼のサイクル間のばらつきが通常のノッキングよりも大きくなるという特性を利用したものである。このとき、この検出方法(II)を単独で使用してもよいが、上記の(I)の検出方法との組合せにより、当該異常燃焼の検出精度を更に向上させることができる。なお、第5の閾値は、エンジン1の作動状態等に応じて任意に可変設定することのできる変数とする。
(III)燃焼圧に基づく検出方法
異常燃焼判定部154は、異常燃焼を検出するための指標として、最高燃焼圧Pmax、最高燃焼圧Pmaxのサイクル変動、図示平均有効圧Pmiのサイクル変動値のうちのいずれかを利用する。具体的には、異常燃焼判定部154は、燃焼最高圧Pmaxがサイクル平均値よりも第6の閾値以上上昇した場合、通常のノッキング以外の他の異常燃焼であると判定する。ここで、サイクル平均値とは、複数回のサイクル(例えば100回)での燃焼最高圧Pmaxの平均値をいう。また、異常燃焼判定部154は、最高燃焼圧Pmaxのサイクル変動値が予め設定された第7の閾値以上である場合、通常のノッキング以外の他の異常燃焼であると判定する。さらに、異常燃焼判定部154は、図示平均有効圧Pmiのサイクル変動値が予め設定された第8の閾値以上である場合、通常のノッキング以外の他の異常燃焼であると判定する。このとき、この検出方法(III)を単独で使用してもよいが、上記の(I),(II)の検出方法との組合せにより、当該異常燃焼の検出精度を更に向上させることができる。なお、第6の閾値、第7の閾値および第8の閾値は、エンジン1の作動状態等に応じて任意に可変設定することのできる変数とする。
(回避制御)
異常燃焼判定部154は、いずれかの異常燃焼を検出した場合、当該異常燃焼に係る検出情報を電子制御ユニットECUの燃焼制御部51へ送信する。電子制御ユニットECUの燃焼制御部51は、異常燃焼判定部154からの検出情報に基づき、異常燃焼の種別に応じた回避制御を実行するため、エンジン各部(空燃比制御装置25、燃料供給装置26、点火装置27など)の作動を制御する。
次に、第2実施形態に係る異常燃焼検出装置150が実行する異常燃焼検出方法の一例について説明する。ここで、図9は、上記異常燃焼検出方法の一例を示すフローチャートである。
まず、ノック強度算出部152は、ノックセンサ3(燃焼圧検出器28)から入力される検出情報に基づきノック強度を算出する(ステップS201)。
続いて、異常燃焼判定部154は、ノック強度が基準閾値以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
ノック強度が基準閾値以上である場合(ステップS202:YES)には、異常燃焼判定部154は、過去Nサイクル中における基準値以上のノック強度の発生頻度、あるいは、ノック強度が基準閾値以上となる連続回数を算出する(ステップS203)。なお、ノック強度の発生頻度および連続回数の双方を算出するようにしてもよい。
他方、ノック強度算出部152は、ノック強度のサイクル変動値も算出する(ステップS204)。
続いて、燃焼圧解析部153は、筒内の最高燃焼圧Pmax、最高燃焼圧Pmaxのサイクル変動値、図示平均有効圧Pmiのサイクル変動値、のうちの少なくとも1つを算出する。
そして、異常燃焼判定部154は、上記のステップS203〜S205で得られた、(I)ノック強度の発生頻度、連続性、(II)ノック強度のサイクル変動値、(III)最高燃焼圧Pmax、最高燃焼圧Pmaxのサイクル変動値、図示平均有効圧Pmiのサイクル変動値、を第1〜第8の閾値と比較して、これらの判定項目を総合的に判断したうえで、通常のノッキング、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼、のうちのいずれの異常燃焼が発生したかを判定する。ここで、異常燃焼の判定手法としては種々あるが、例えば、検出項目のいずれか1項目でも上記(I)〜(III)の判定基準を満たす場合に異常燃焼を検出したり、全ての検出項目で上記(I)〜(III)の判定基準を満たす場合に異常燃焼を検出したり、各検出項目ごとに重み付けを変えたりしてもよい。
続いて、電子制御ユニットECUの燃焼制御部51は、上記のステップS206で検出された異常燃焼の種別に応じた回避制御を実行する(ステップS207)。例えば、ノッキングに対する回避制御として、着火時期を遅角する制御など、熱面着火に起因する異常燃焼に対する回避制御として、エンジン1を即停止させる制御など、潤滑油に起因する異常燃焼に対する回避制御として、エンジン1の出力を低下させる制御など、を実行する。
なお、ノック強度が基準閾値以上ではない場合(ステップS202:NO)には、ステップS203,S204をスキップして、ステップS205に移行する。これは、ノック強度が基準閾値以上でない場合でも、最高燃焼圧Pmax等に基づく異常燃焼検出を実行することで、検出精度の信頼性を向上させるためである。
以上、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態)によれば、ノック強度が基準閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に基準閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づいて、エンジン1の燃焼室2内に発生する異常燃焼として、通常のノッキング、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼など、を正確に判別することができるため、異常燃焼の種別に応じた正しい回避制御を実行して、エンジン1を適正な燃焼状態に早期に復帰させることが可能である。また、一般的にエンジンには加速度検出器等のノックセンサ(物理量検出手段)が搭載されているため、通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出するための指標としてノック強度を利用することで、当該異常燃焼検出装置50を低コストで実現することができる。
なお、これまで通常のノッキング以外の他の異常燃焼として、潤滑油に起因する異常燃焼、熱面着火に起因する異常燃焼、を例示したが、本実施形態における異常燃焼検出方法では、潤滑油に起因する異常燃焼と通常のノッキングとを判別可能とすることに大きな特徴がある。
また、本実施形態において、ノック強度が複数回の燃焼サイクルにおいて一定以上変動した場合、通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出し得るよう構成することで、頻度および連続性との組合せ条件に基づき、各種の異常燃焼の検出精度をより一層向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態において、燃焼室2内の最高燃焼圧Pmaxが一定以上上昇したとき又は複数回の燃焼サイクルにおいて最高燃焼圧Pmaxが一定以上変動したときに、通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出し得るよう構成することで、燃焼室2内での多点着火等に基づき燃焼圧の急激な増大を誘発するような異常燃焼を確実に検出することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、燃焼室の燃焼状態と相関性のある他の物理量として音や燃焼ガス中のイオン状態などを用いてノッキング強度を算出してもよい。
また、異常燃焼検出装置50(150)は、電子制御ユニットECU内に一体的に組み込まれていてもよいし、電子制御ユニットECUとは独立した別の装置として構成してもよい。
1 エンジン
2 燃焼室
3 ノックセンサ(物理量検出手段)
12 加速度検出器(物理量検出手段)
28 燃焼圧検出器(物理量検出手段)
30 ピストン
40 クランク軸
41 クランク角度検出器
50 異常燃焼検出装置(第1実施形態)
52 ノック強度算出部(ノック強度算出手段)
54 異常燃焼判定部(異常燃焼判定手段)
150 異常燃焼検出装置(第2実施形態)
152 ノック強度算出部(ノック強度算出手段)
153 燃焼圧解析部
154 異常燃焼判定部(異常燃焼判定手段)
ECU 電子制御ユニット

Claims (6)

  1. 燃焼室内に供給された空気と燃料との混合気を燃焼させてエンジン動力を生起するエンジンにおいて、
    前記燃焼室の燃焼状態と相関性のある物理量を検出する物理量検出手段と、
    前記物理量検出手段において検出された物理量に基づき、各燃焼サイクルのノック強度を算出するノック強度算出手段と、
    前記ノック強度算出手段において算出されたノック強度が所定の閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に前記所定の閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づき、前記燃焼室内で正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出する異常燃焼判定手段と、を備えて構成されることを特徴とするエンジンの異常燃焼検出装置。
  2. 前記異常燃焼判定手段は、ノック強度が複数回の燃焼サイクルにおいて一定以上変動した場合、前記燃焼室内に発生する前記異常燃焼を検出することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの異常燃焼検出装置。
  3. 前記物理量検出手段は、前記燃焼室内の燃焼圧を検出する燃焼圧検出手段を有し、
    前記異常燃焼判定手段は、前記燃焼圧検出手段において検出された最高燃焼圧に基づき、前記燃焼室内に発生する前記異常燃焼を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの異常燃焼検出装置。
  4. 燃焼室内に供給された空気と燃料との混合気を燃焼させてエンジン動力を生起するエンジンにおいて、
    前記燃焼室の燃焼状態と相関性のある物理量を検出する物理量検出ステップと、
    前記物理量検出ステップにおいて検出された物理量に基づき、各燃焼サイクルのノック強度を算出するノック強度算出ステップと、
    前記ノック強度算出ステップにおいて算出されたノック強度が所定の閾値以上となる頻度およびノック強度が複数回の燃焼サイクルに亘って連続的に前記所定の閾値以上となる該連続性の少なくとも一方に基づき、前記燃焼室内で正常な着火のもとで発生する通常のノッキング以外の他の異常燃焼を検出する異常燃焼判定ステップと、を備えて構成されることを特徴とするエンジンの異常燃焼検出方法。
  5. ノック強度が複数回の燃焼サイクルにおいて一定以上変動した場合、前記燃焼室内に発生する前記異常燃焼を検出することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの異常燃焼検出方法。
  6. 前記燃焼室内の燃焼圧を検出する燃焼圧検出ステップを有し、
    前記燃焼圧検出ステップにおいて検出された最高燃焼圧に基づき、前記燃焼室内に発生する前記異常燃焼を検出することを特徴とする請求項4又は5に記載のエンジンの異常燃焼検出装置。
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