JPWO2014111976A1 - 磁気センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
磁気抵抗素子を備えた磁気センサにおいては、良好な感度特性が得られず磁界の印加方向を判断することができない。異極同士が対向するように間隔をあけて配置された一対の永久磁石と、上記一対の永久磁石間に配置された磁気抵抗アレイを有し、上記磁気抵抗アレイは、4個の磁気抵抗素子がその隣接する素子同士の最大検出方向が互いに異なるように配置され、かつ上記4個の磁気抵抗素子がブリッジ回路接続されており、磁界検出方向と実質的に直交する方向と、上記一対の永久磁石間の磁界方向とが、平行及び垂直のいずれでもないように、上記一対の永久磁石と上記磁気抵抗アレイとが配置されている。
Description
本発明は、磁気センサ及びその製造方法に関し、特に、磁気抵抗素子を備えた磁気センサ及びその製造方法に関する。
一般的な磁気抵抗素子は、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)合金のパーマロイの薄膜を用い、感度向上と同相ノイズを除去する目的で、4個の磁気抵抗素子でブリッジ回路、いわゆるホイートストン・ブリッジ(Wheatstone bridge)回路、を構成する。図7Aは関連する磁気抵抗素子のパターンを示す平面図であり、図7Bはこの回路ブロック図である。ブリッジ回路に対し、図7Aに示すようにY軸方向及びX軸方向を定めて説明する。Y軸方向の磁界強度を増加すると、磁気抵抗素子R1及びR4の抵抗値が小さくなり、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)が大きくなる。逆に、X軸方向の磁界強度を増加すると、磁気抵抗素子R2及びR3の抵抗値が小さくなり、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)は符号が逆転し小さくなる。中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)により、磁気センサは磁界方向を検出することができる。
特許文献1では、異極を対向させて2個の薄膜磁石を配置し、バーバーポール型の強磁性薄膜磁気抵抗素子を、2個の薄膜磁石の作る磁界の中心付近に配置した磁気センサが提案されている。そして、検出磁界方向を、2個の薄膜磁石の作るバイアス磁界方向に対して直角方向として、外部磁界変化に比例する出力が得られるようにすることが記載されている。
しかしながら、上述した背景技術に記載した関連する磁気センサには以下のような課題がある。
図8Aは関連する磁気センサの、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフであり、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)とY軸の磁界強度との一般的な特性を示している。磁界強度が0mT時、差分電圧も0mVである。但し、0mT付近の磁界強度と中点電圧の差分量のリニアリティー性が相対的に悪くなっている。さらに、磁気抵抗素子の磁壁が不連続な動きをしやすいため、図8Bに示すように磁界強度のUPとDOWNによるヒステリシスが生じる。Y軸方向に関し、N→S方向の磁界強度を正の値から上述の0mTへと減らしていくと、磁界強度が0mT時に差分電圧は0mVを越えた正の値となる。逆にY軸方向に関し、S→N方向の磁界強度を正の値から上述の0mTへと減らしていくと、磁界強度が0mT時に差分電圧は上記正の値より小さい0mVとなる。精密な角度検出のためには、ヒステリシス発生を抑制することが求められる。
さらに、関連する磁気センサでは、図8A及び図8Bに示すようにS→N方向とN→S方向の特性曲線がお互いに対称になる。このため、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)からは磁界の方向がS→N方向なのか、N→S方向なのか判断できない、という課題がある。特許文献1の磁気センサを用いても、この課題は解決されない。
本発明の目的は、上述した課題である、磁気抵抗素子を備えた磁気センサにおいては、良好な感度特性が得られず磁界の印加方向を判断することができない、という課題を解決する磁気センサ及びその製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る磁気センサは、異極同士が対向するように間隔をあけて配置された一対の永久磁石と、上記一対の永久磁石間に配置された磁気抵抗アレイを有し、上記磁気抵抗アレイは、4個の磁気抵抗素子がその隣接する素子同士の最大検出方向が互いに異なるように配置され、かつ上記4個の磁気抵抗素子がブリッジ回路接続されており、
磁界検出方向と実質的に直交する方向と、上記一対の永久磁石間の磁界方向とが、平行及び垂直のいずれでもないように、上記一対の永久磁石と上記磁気抵抗アレイとが配置されている。
磁界検出方向と実質的に直交する方向と、上記一対の永久磁石間の磁界方向とが、平行及び垂直のいずれでもないように、上記一対の永久磁石と上記磁気抵抗アレイとが配置されている。
本発明に係る磁気センサの製造方法は、一対の永久磁石を異極同士が対向するように間隔をあけて配置する工程と、4個の磁気抵抗素子がその隣接する素子同士の最大検出方向が互いに異なるように配置し、かつ上記4個の磁気抵抗素子がブリッジ回路接続されてなる磁気抵抗アレイを上記一対の永久磁石の間に配置する工程とを備え、上記4個の磁気抵抗素子の抵抗値を、第1方向から上記第1方向とは反対方向である第2方向へ向かう磁界に対しては、上記ブリッジ回路の対向する接続点の差電圧が正の値を示し、上記第2方向から上記第1方向に向かう磁界に対しては上記差電圧が負の値を示すように調整する工程を含む。
本発明の磁気センサによれば、良好な感度特性が得られ、磁界印加方向を判断することが可能となる。
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
初めに、本発明の第1実施形態による磁気センサ及びその製造方法について、説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの構成を示す概略図である。図2Aは、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの構成を示す概略図である。図2Bは、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。
初めに、本発明の第1実施形態による磁気センサ及びその製造方法について、説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの構成を示す概略図である。図2Aは、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの構成を示す概略図である。図2Bは、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。
図3Aは、ブリッジ回路に対し一対の永久磁石を配置したときの、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。図3Bは、一対の永久磁石によるバイアス磁界の方向を示す図である。図3Cはブリッジ回路を構成する磁気抵抗素子の抵抗値を調整した後の、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。
本発明に係る磁気センサは、異極同士が対向するように、すなわちN極とS極とが対向するように、間隔をあけて配置された一対の永久磁石2a及び2bと、上記一対の永久磁石2a及び2bの間に配置された磁気抵抗アレイ1とを備える。磁気抵抗アレイ1は、磁性体薄膜で形成され磁界の方向を検出する4個の磁気抵抗素子R1〜R4がその隣接する素子同士の最大検出方向が互いに異なるように配置され、かつ上記4個の磁気抵抗素子R1〜R4がブリッジ回路接続されている。
図1に示すように、X軸方向が磁気抵抗素子R1及びR4のパターンの長い方と一致し、Y軸方向が磁気抵抗素子R2及びR3のパターンの長い方と一致するように、磁気抵抗アレイ1を配置している。すなわち、磁気抵抗素子R1及びR4がX軸方向と平行な方向が最大検出方向となるように、つづら折り形状で配置されており、磁気抵抗素子R2及びR3がY軸方向と平行な方向が最大検出方向となるように、つづら折り形状で配置されている。
そして、磁界検出方向と実質的に直交する方向と、一対の永久磁石2a及び2b間の磁界方向とが、平行及び垂直のいずれでもないように、一対の永久磁石2a及び2bと磁気抵抗アレイ1とを配置している。すなわち、図2Aに示すように、永久磁石2aのN極から永久磁石2bのS極へ向かう磁力線とX軸方向とが所定の角度θをなすように、一対の永久磁石2a及び2bと磁気抵抗アレイ1とを配置している。この角度θは5°から85°の範囲に選ばれている。
角度θが小さい場合、図3Cの中心点のC点が、B点側に移動され、N→S方向の磁界検出の範囲は広くなるが、S→N方向の磁界検出は狭くなる。そのため、磁気センサがN→S方向の検出のみの場合は有利である。
角度θが大きい場合、図3Cの中心点のC点が、A点側に移動され、S→N方向の磁界検出の範囲は広くなるが、N→S方向の磁界検出は狭くなる。そのため、磁気センサがS→N方向の検出のみの場合は有利である。
磁気抵抗素子の両端に永久磁石2a及び2bを配置することにより、X軸方向とY軸方向の両方にバイアス磁界がかかる。X軸のバイアス磁界強度は飽和磁界強度HSであり、検出すべき外部磁界が無いときも、磁気抵抗素子の磁化方向はX軸方向と一致し、磁壁の不連続な動きは減少しており、ヒステリシスも減少されている。好ましくは、Y軸方向のバイアス磁界強度は飽和磁界強度HSの半分に設定する。図3Bは、このときの、一対の永久磁石2a及び2bによるバイアス磁界のベクトルによるX軸方向及びY軸方向の部分量を示している。Y軸方向の磁界強度がX軸方向の磁界強度の1/2となる上記角度θは、ほぼ26.5°である。飽和磁界強度HSは、磁気抵抗素子のサイズ(長さ、幅、厚さ)により決めることができる。
外部磁界が印加されていない状態では、磁気抵抗素子の中心の磁界強度Hは、両永久磁石2a及び2bで決まる。ブリッジ回路に対し一対の永久磁石2a及び2bを配置すると、一対の永久磁石2a及び2bのバイアス磁界により磁区が少なくなり磁壁が消えて、ブリッジ回路を構成する磁気抵抗素子の磁気状態が安定化する。一対の永久磁石2a及び2bによるバイアス磁界により、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分との特性は、図3Aのようになる。X軸方向のバイアス磁界が強いので、C点の中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)は負の値になっている。Y軸方向のみに磁界を印加した場合、”0”mTのポイントはC点である。N→S方向の磁界による中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)の曲線はCAであり、S→N方向の磁界による中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)の曲線はCBである。図3Aでは、N→S方向の磁界に対しては、点Cから点Aのように変化する。すなわち、ブリッジ回路の中点電圧V+とV−の電圧差分は負の値から正の値へと変化する。図3Aでは、S→N方向の磁界に対しては、点Cから点Bのように変化する。すなわち、V+とV−の電圧差分は負の値からより小さい負の値へと変化する。
本実施形態の磁気センサでは、上記4個の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値を、第1方向の一例としての、Y軸の正の方向から第1方向とは反対方向である第2方向の一例としての、Y軸の負の方向へ向かう磁界に対しては、上記ブリッジ回路の中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)が正の値を示し、上記Y軸の負の方向から上記Y軸の正の方向に向かう磁界に対しては上記中点電圧差分が負の値を示すように、調整することとしてもよい。
すなわち、磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値を調整することにより、図3Aでの“0”mTのポイントのC点をD点まで移動させ、図3Cの特性を示すようにオフセット電圧をゼロにすることができる。
Y軸にN→S方向の磁界を印加した場合、ブリッジ回路の中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)はプラス側のC点とA点の曲線となり、S→N方向の磁界を印加した場合、マイナス側のC点とB点の曲線となる。
このように設定すると、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分との特性は、図3Cのようになる。図3Cでは、N→S方向の磁界に対しては、点Cから点Aのように変化する。すなわち、V+とV−の電圧差分はゼロから正の値へと変化する。そして、S→N方向の磁界に対しては、点Cから点Bのように変化する。すなわち、V+とV−の電圧差分はゼロから負の値へと変化する。
本実施形態の磁気センサによれば、N→S方向の磁界に対してはブリッジ回路のV+とV−の電圧差分は正の値を示し、S→N方向の磁界に対してはブリッジ回路のV+とV−の電圧差分は負の値を示す。よって、ブリッジ回路の中点電圧の差分から磁界方向を判断可能な磁気センサが得られる。
さらに本実施形態による磁気センサによれば、CAとCBの曲線はバランスがよく、C点を中心ポイントとして感度特性のリニアリティー性が大いに改善される。さらに、磁界印加のUPとDOWNによる磁気抵抗素子のヒステリシスがほとんどなくなる。
上述した第1実施形態の磁気センサは、次のように構成することもできる。図4Aは、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの変形例の構成を示す概略図である。図4Bは、本発明の第1実施形態に係る磁気センサの変形例の、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。
図4Aに示される磁気センサは、図1Aに示される磁気センサの一対の永久磁石2a及び2bに対し、S極とN極とを入れ替えた一対の永久磁石2c及び2dを用いている点が異なる。この変形例では、磁気抵抗アレイ1やブリッジ回路を構成する磁気抵抗素子の形状や配置などは図1Aに示される磁気抵抗アレイ1と同じである。このような配置の磁気センサでは図4Bに示されるように、図3CのY軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量と同じ特性を示す。
このような変形例においても、上述した第1実施形態による磁気センサと同様に、感度特性のリニアリティー性が大いに改善され、S→N方向またはN→S方向の磁界印加方向が判別できるようになり、磁界印加のUPとDOWNによる磁気抵抗素子のヒステリシスがほとんどなくなる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による磁気センサ及びその製造方法について、説明する。図5Aは異なるパターンのブリッジ回路を示す概略図であり、図5Bはこのブリッジ回路の、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。図6Aは本発明の第2実施形態に係る磁気センサの構成を示す概略図であり、図6Bは本発明の第2実施形態に係る磁気センサの、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。
次に、本発明の第2実施形態による磁気センサ及びその製造方法について、説明する。図5Aは異なるパターンのブリッジ回路を示す概略図であり、図5Bはこのブリッジ回路の、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。図6Aは本発明の第2実施形態に係る磁気センサの構成を示す概略図であり、図6Bは本発明の第2実施形態に係る磁気センサの、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分の変動量との関係を示すグラフである。
図5Aは、図1に示される第1実施形態の磁気センサの磁気抵抗アレイ1とは異なるパターンのブリッジ回路を示している。すなわち、図5Aのブリッジ回路では、図1に示される磁気センサの磁気抵抗アレイ1が左右反転したパターンとなっている。図5Aに示すように、磁気抵抗素子R1及びR4がY軸方向と平行な方向が最大検出方向となるように、つづら折り形状で配置されており、磁気抵抗素子R2及びR3がX軸方向と平行な方向が最大検出方向となるように、つづら折り形状で配置されている。
このようなパターンのブリッジ回路の場合、Y軸の磁界強度と中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)との特性は、図5Bのようになる。Y軸方向に関し、N→S方向の磁界強度を0mTから増加させると、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)は点Bから点C、さらに点Aのように負の値を示し減少する。Y軸方向に関し、S→N方向の磁界強度を0mTから増加させると、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)は点Bから負の値を示し減少する。図5Bでは、S→N方向とN→S方向の特性曲線がお互いに対称になる。
本実施形態の磁気センサは、このようなパターンのブリッジ回路を用いた場合を示す。本実施形態の磁気センサは図6Aに示すように、異極同士が対向するように、すなわちN極とS極とが対向するように、間隔をあけて配置された一対の永久磁石2a及び2bと、上記一対の永久磁石2a及び2b間に配置された磁気抵抗アレイ1aである。磁気抵抗アレイ1aは、磁性体薄膜で形成され磁界の方向を検出する4個の磁気抵抗素子R1〜R4がその隣接する素子同士の最大検出方向が互いに異なるように配置され、かつ上記4個の磁気抵抗素子R1〜R4がブリッジ回路接続されている。
図6Aに示すように、X軸方向が磁気抵抗素子R2及びR3のパターンの長い方と一致するように、Y軸方向が磁気抵抗素子R1及びR4のパターンの長い方と一致するように、磁気抵抗アレイ1aを配置している。すなわち、磁気抵抗素子R2及びR3がX軸方向と平行な方向が最大検出方向となるように、つづら折り形状で配置されており、磁気抵抗素子R1及びR4がY軸方向と平行な方向が最大検出方向となるように、つづら折り形状で配置されている。
磁気センサの磁界検出方向と実質的に直交する方向と、一対の永久磁石2a、2b間の磁界方向とが、平行及び垂直のいずれでもないように、上記一対の永久磁石2a、2bと磁気抵抗アレイ1aとが配置されている。図6Aに示すように、永久磁石2aのN極から永久磁石2bのS極へ向かう磁力線とX軸方向とが所定の角度θをなすように、一対の永久磁石2a及び2bと磁気抵抗アレイ1aとを配置している。この角度θは5°から85°の範囲に選ばれている。好ましくは、Y軸方向の磁界強度をX軸方向の磁界強度の1/2に設定する。このときの上記角度θは、ほぼ26.5°である。
本実施形態では、上記4個の磁気抵抗素子R1〜R4の抵抗値を、第1方向の一例としての、Y軸の負の方向から第1方向とは反対方向である第2方向の一例としての、Y軸の正の方向へ向かう磁界に対しては、上記ブリッジ回路の対向する接続点V+及びV−の差電圧が正の値を示し、上記Y軸の正の方向から上記Y軸の負の方向に向かう磁界に対しては上記差電圧が負の値を示すように、調整することができる。
このように設定すると、Y軸の磁界強度とV+とV−の電圧差分との特性は、図6Bのようになる。図6Bでは、N→S方向の磁界に対しては、点Cから点Aのように変化する。すなわち、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)はゼロから負の値へと変化する。そして、S→N方向の磁界に対しては、点Cから点Bのように変化する。すなわち、中点電圧の差分(V+とV−の電圧差分)はゼロから正の値へと変化する。
本実施形態の磁気センサによれば、N→S方向の磁界に対してはブリッジ回路のV+とV−の電圧差分は負の値を示し、S→N方向の磁界に対してはブリッジ回路のV+とV−の電圧差分は正の値を示す。よって、ブリッジ回路の中点電圧の差分から磁界方向を判断可能な磁気センサが得られる。
本実施形態による磁気センサによれば、第1実施形態による磁気センサと同様に、感度特性のリニアリティー性が大いに改善され、S→N方向またはN→S方向の磁界印加方向が判別できるようになり、磁界印加のUPとDOWNによる磁気抵抗素子のヒステリシスがほとんどなくなる。
本発明の実施例について説明する。図1に示すような、両端に永久磁石を配置した磁気抵抗素子について、具体的なパターンの一例を説明する。ブリッジ回路を構成する長方形のパターンの長さは230μm、幅は9μmである。パターン間隔は2μmである。磁気抵抗素子R1、R2、R3及びR4のパターンは、21個の長方形のパターンで繋がって構成される。素子薄膜の厚さは400nmである。
一対の永久磁石はそれぞれ、長さが1.5mm、幅が0.6mm、厚さが0.2mmである。永久磁石の材料はフェライトマグネットとした。永久磁石とX軸方向の角度は154°とした。したがって、対向する永久磁石のN極からS極へ向かう磁力線とX軸方向の角度は26°である。永久磁石は、磁気抵抗素子または磁気センサの組立工程(封止)で、同一基板上に固定、配置する。
本発明は上記実施形態及び上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれるものであることはいうまでもない。
この出願は、2013年1月18日に出願された日本出願特願2013−7348号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明の活用例として、水道メーターやガスメーターの回転検出、磁気電流センサ、モータのエンコーダなどが考えられる。
1、1a 磁気抵抗アレイ
2a、2b、2c、2d 永久磁石
R1〜R4 磁気抵抗素子
2a、2b、2c、2d 永久磁石
R1〜R4 磁気抵抗素子
Claims (9)
- 異極同士が対向するように間隔をあけて配置された一対の永久磁石と、
前記一対の永久磁石間に配置された磁気抵抗アレイを有し、
前記磁気抵抗アレイは、4個の磁気抵抗素子がその隣接する素子同士の最大検出方向が互いに異なるように配置され、かつ前記4個の磁気抵抗素子がブリッジ回路接続されており、
磁界検出方向と実質的に直交する方向と、前記一対の永久磁石間の磁界方向とが、平行及び垂直のいずれでもないように、前記一対の永久磁石と前記磁気抵抗アレイとが配置されている磁気センサ。 - 前記4個の磁気抵抗素子の抵抗値は、
第1方向から前記第1方向とは反対方向である第2方向へ向かう磁界に対しては、前記ブリッジ回路の対向する接続点の差電圧が正の値を示し、前記第2方向から前記第1方向に向かう磁界に対しては前記差電圧が負の値を示すように構成されている、請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記第1方向から前記第2方向へ向かう磁界に対しては、前記差電圧が正の値を示しつつ単調増加し、前記第2方向から前記第1方向に向かう磁界に対しては前記差電圧が負の値を示しつつ単調減少するように、前記4個の磁気抵抗素子の抵抗値が構成されている、請求項1又は請求項2に記載の磁気センサ。
- 前記4個の磁気抵抗素子のうち対角に位置する2個の磁気抵抗素子は、磁界検出方向とは実質的に直交する方向に沿った複数本の領域が所定間隔で平行に配置し、順次折り返すように連結され、電気的に直列接続されたつづら折り状の構成であり、
前記4個の磁気抵抗素子のうちの残りの2個の磁気抵抗素子は、前記磁界検出方向とは実質的に平行な方向に沿った複数本の領域が所定間隔で平行に配置し、順次折り返すように連結され、電気的に直列接続されたつづら折り状の構成である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の磁気センサ。 - 前記磁界検出方向とは実質的に直交する方向と、前記一対の永久磁石間の磁界方向とがなす角度は、5度から85度の範囲である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の磁気センサ。
- 前記角度は、略26.5度である、請求項5に記載の磁気センサ。
- 前記第1方向及び前記第2方向は、前記磁界検出方向と平行である、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の磁気センサ。
- 前記第1方向及び前記第2方向は、前記磁界検出方向とは実質的に直交する方向と平行である、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の磁気センサ。
- 一対の永久磁石を異極同士が対向するように間隔をあけて配置する工程と、
4個の磁気抵抗素子がその隣接する素子同士の最大検出方向が互いに異なるように配置し、かつ前記4個の磁気抵抗素子がブリッジ回路接続されてなる磁気抵抗アレイを前記一対の永久磁石の間に配置する工程とを備え、
前記4個の磁気抵抗素子の抵抗値を、
第1方向から前記第1方向とは反対方向である第2方向へ向かう磁界に対しては、前記ブリッジ回路の対向する接続点の差電圧が正の値を示し、前記第2方向から前記第1方向に向かう磁界に対しては前記差電圧が負の値を示すように調整する工程を含む磁気センサの製造方法。
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