JPWO2013145621A1 - 1液型の歯科用接着剤 - Google Patents
1液型の歯科用接着剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2013145621A1 JPWO2013145621A1 JP2014507391A JP2014507391A JPWO2013145621A1 JP WO2013145621 A1 JPWO2013145621 A1 JP WO2013145621A1 JP 2014507391 A JP2014507391 A JP 2014507391A JP 2014507391 A JP2014507391 A JP 2014507391A JP WO2013145621 A1 JPWO2013145621 A1 JP WO2013145621A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- meth
- water
- weight
- adhesive
- soluble
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/60—Preparations for dentistry comprising organic or organo-metallic additives
- A61K6/61—Cationic, anionic or redox initiators
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/30—Compositions for temporarily or permanently fixing teeth or palates, e.g. primers for dental adhesives
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/60—Preparations for dentistry comprising organic or organo-metallic additives
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/70—Preparations for dentistry comprising inorganic additives
- A61K6/71—Fillers
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/70—Preparations for dentistry comprising inorganic additives
- A61K6/71—Fillers
- A61K6/74—Fillers comprising phosphorus-containing compounds
- A61K6/75—Apatite
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/70—Preparations for dentistry comprising inorganic additives
- A61K6/71—Fillers
- A61K6/77—Glass
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/70—Preparations for dentistry comprising inorganic additives
- A61K6/78—Pigments
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/80—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
- A61K6/802—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising ceramics
- A61K6/818—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising ceramics comprising zirconium oxide
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/80—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
- A61K6/802—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising ceramics
- A61K6/822—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising ceramics comprising rare earth metal oxides
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/80—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
- A61K6/884—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising natural or synthetic resins
- A61K6/887—Compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
- A61K6/889—Polycarboxylate cements; Glass ionomer cements
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Public Health (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Ceramic Engineering (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Plastic & Reconstructive Surgery (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
Abstract
本発明は、エナメル質及び象牙質の双方に対して優れた接着性を示し、且つ貯蔵安定性及び環境光安定性の高い1液型の歯科用接着剤を提供する。本発明は、1〜30重量%のリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)、10〜50重量%の水溶性の重合性単量体(b)、5〜50重量%の疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)、水(d)、及び重合開始剤(e)を含有してなり、前記水溶性の重合性単量体(b)が、特定構造の単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の組み合わせであり、前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と前記水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の重量比が10:1〜1:5である、1液型の歯科用接着剤である。
Description
本発明は、1液型の歯科用接着剤に関し、詳しくは、歯牙の硬質組織(歯質)と歯科用コンポジットレジン、歯科用コンポマー、歯科用レジンセメント等の歯科用修復材料とを接着するために用いる1液型の歯科用接着剤に関する。
齲蝕等により損傷した歯質(エナメル質、象牙質及びセメント質)の修復には、通常、充填用コンポジットレジン、充填用コンポマー等の充填修復材料や、金属合金、陶材、レジン材料等の歯冠修復材料が用いられる。しかし、一般的に、充填修復材料及び歯冠修復材料(この明細書においては、両者を「歯科用修復材料」と総称することがある)自体には歯質に対する接着性がない。このため、従来、歯質と歯科用修復材料との接着には、接着剤を用いる様々な接着システムが用いられている。従来汎用されている接着システムとしては、歯質の表面に、リン酸水溶液等の酸エッチング剤を用いてエッチング処理を施した後に、接着剤であるボンディング剤を塗布して、歯質と歯科用修復材料とを接着する、いわゆる酸エッチング型の接着システムがある。
一方、酸エッチング剤を用いない接着システムとして、いわゆるセルフエッチング型の接着システムがある。この接着システムは、従来は、歯質の表面に酸性モノマーと親水性モノマーと水とを含有するセルフエッチングプライマーを塗布した後、水洗することなく、架橋性モノマーと重合開始剤とを含有するボンディング剤を塗布する2ステップの接着システムが主流であったが、最近では、セルフエッチングプライマーとボンディング剤の機能を併せ持つ1液型の歯科用接着剤を用いた1ステップの接着システムが汎用されている。
この種の1液型の歯科用接着剤は、一般的に、セルフエッチングプライマー及び/又はボンディング剤の構成成分である、カルボン酸基、ホスホン酸基、チオリン酸基、リン酸基等の酸性基含有モノマー、水酸基等を含有する親水性モノマー、架橋性モノマー、水、及び重合開始剤を含有するものである。
歯質のエナメル質に対する接着には、脱灰を受けたエナメル質表面の微細な凹凸との物理的相互作用と、エナメル質中のアパタイトとの化学的相互作用が重要である。また、歯質の象牙質に対する接着には、脱灰を受けて露出した親水性のコラーゲン層との物理的相互作用及び化学的相互作用が重要である。エナメル質中のアパタイトとの化学的相互作用及び象牙質中のコラーゲン層との化学的相互作用には、親水性基を有するモノマーが重要な役割を果たす。
親水性基を有するモノマーには、酸性基含有モノマー、親水性モノマーが該当し、これらには、酸性基含有(メタ)アクリレート化合物、及び水酸基を含有する水溶性(メタ)アクリレート化合物を用いるのが一般的であった。これに対し、親水性基を有するモノマーとして、酸性基含有(メタ)アクリレート化合物と、アミド基を有する(メタ)アクリルアミド化合物を用いた1液型の歯科用接着剤が提案されており、このような1液型の歯科用接着剤を用いれば、貯蔵安定性が向上すると共に、象牙質及びエナメル質に対する高い接着性が得られることが報告されている。
例えば、特許文献1には、酸性基含有重合性単量体と、水溶性の(メタ)アクリルアミド化合物と、水と、硬化剤と、架橋性重合性単量体とを含有する1液型の歯科用接着剤が提案されている。特許文献1では、水溶性の(メタ)アクリルアミド化合物としては、単官能(メタ)アクリルアミド化合物が例示されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の1液型の歯科用接着剤においては、象牙質に対する接着性に改善の余地があり、また、使用する単官能(メタ)アクリルアミド化合物の種類によっては、貯蔵安定性が十分ではない場合があるという問題があることがわかった。
特許文献2には、特定構造の重合性酸性リン酸エステルモノマーと、特定構造の重合性酸性モノマーと、重合性N−置換アルキルアクリル酸アミドモノマー又はアクリル酸アミドモノマー等を含む1液型歯科用接着剤が提案されており、当該接着剤には、単官能(メタ)アクリルアミド化合物や多官能(メタ)クリルアミド化合物を配合してもよいことが記載されている。また、特許文献3には、2つ以上の重合性基を有する少なくとも1種の酸(メタ)アクリルアミドモノマー、酸性基含有モノマー、重合開始剤、及び単官能又は多官能の非酸(メタ)アクリルアミドモノマーを含有する接着剤が提案されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献2及び3に記載の接着剤は、組成によっては、象牙質とエナメル質のいずれか又は両方に対して接着性が悪い場合があることがわかった。また、特許文献2及び3に記載の接着剤は、環境光に対する安定性が低く、操作余裕時間が短い、という問題があることがわかった。
本発明は、エナメル質及び象牙質の双方に対して優れた接着性を示し、且つ貯蔵安定性及び環境光安定性の高い1液型の歯科用接着剤を提供することを目的とする。
本発明は、1〜30重量%のリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)、
10〜50重量%の水溶性の重合性単量体(b)、
5〜50重量%の疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)、
水(d)、及び
重合開始剤(e)を含有してなり、
前記水溶性の重合性単量体(b)が、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の組み合わせであり、前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と前記水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の重量比が10:1〜1:5である、
1液型の歯科用接着剤である。
10〜50重量%の水溶性の重合性単量体(b)、
5〜50重量%の疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)、
水(d)、及び
重合開始剤(e)を含有してなり、
前記水溶性の重合性単量体(b)が、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の組み合わせであり、前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と前記水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の重量比が10:1〜1:5である、
1液型の歯科用接着剤である。
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数が1〜3のアルキル基であり、R3は水素原子又はメチル基である。)
本発明においては、前記水(d)の配合量が1〜50重量%であり、前記重合開始剤(e)の配合量が0.01〜10重量%であることが好ましい。
前記水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)が、下記一般式(2)で表される水溶性のビス(メタ)アクリルアミド化合物及び1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)エタンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(式中、Xは、炭素数が1〜6の直鎖又は分岐脂肪族基であって、当該基には−O−、−S−、−CO−O−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、及び−NH−CO−NH−からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合が挿入されていてもよく、R4及びR5はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数が1〜4の直鎖若しくは分岐脂肪族基であり、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。)
前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)が、N,N−ジエチルアクリルアミドであることが好ましい。
本発明によれば、歯牙、特にエナメル質及び象牙質と歯科用修復材料との接着において優れた接着性を示し、貯蔵安定性が高く、環境光安定性に優れ、使用時の操作余裕時間が長い1液型の歯科用接着剤が提供される。
本発明の1液型の歯科用接着剤は、1〜30重量%のリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)、10〜50重量%の水溶性の重合性単量体(b)、5〜50重量%の疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)、水(d)、及び重合開始剤(e)を含有する。前記水溶性の重合性単量体(b)は、上記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の組み合わせであり、前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と前記水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の重量比が10:1〜1:5である。なお、この明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの総称であり、これと類似の表現についても同様である。
前述のように、高い接着力を得るために重要な、エナメル質中のアパタイトとの化学的相互作用及び象牙質中のコラーゲン層との化学的相互作用には、親水性基を有するモノマーが重要な役割を果たす。本発明者らは、詳細な検討により、1液型の歯科用接着剤の親水性基を有するモノマーとして、リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)、特定の単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の3種を特定の量で配合し、且つ特定の単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)を特定の比で使用することにより、エナメル質及び象牙質の双方に対して高い接着性が得られ、さらに高い貯蔵安定性も得られることを見出した。しかしながら、このような3種の親水性基を有するモノマーを併用した場合には、環境光安定性が低く使用時の操作余裕時間が短いという課題を新たに発見し、疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)をさらに配合することにより、環境光安定性を改善できることを見出した。
本発明におけるリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)は、歯質を脱灰しながら浸透して歯質と結合する。(メタ)アクリレート化合物(a)は、単官能性であることにより、複数の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物よりもエナメル質に対する高い接着性が得られる。また、(メタ)アクリレート化合物(a)の酸性基がリン酸基であることにより、ホスホン酸基等の他の酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物を用いた場合に比べて、歯質に対する高い接着性が得られる。
リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)クリロイルオキシプロピル−(4−メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩が例示される。
リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)としては、分子内に主鎖として炭素数が6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有する2価のリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート等の分子内に主鎖として炭素数が8〜12のアルキレン基を有する2価のリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)の配合量が過多及び過少いずれの場合も接着力が低下する。リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)の配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、1〜30重量%の範囲であり、3〜20重量%の範囲が好ましい。
本発明においては、水溶性の重合性単量体(b)として、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)とを併用する。水溶性の重合性単量体(b)は、リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)、疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)、及び重合開始剤(e)の歯質への浸透性を促進するとともに、自らも歯質に浸透して歯質中の有機成分(コラーゲン)に結合して接着する。
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数が1〜3のアルキル基であり、R3は水素原子又はメチル基である。
単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)は、25℃における水に対するその溶解度が10重量%以上であることが好ましく、同溶解度が20重量%以上であることがより好ましく、同溶解度が30重量%以上であることがさらに好ましい。
単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)の具体例としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、歯質に対する接着性の観点から、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN,N−ジエチルアクリルアミドが好ましく、貯蔵安定性の観点から、N,N−ジエチルアクリルアミドがより好ましい。単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。
水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)は、この明細書において、分子内に少なくとも2個の重合性基を有し、酸性基を有さず、25℃における水に対する溶解度が5重量%以上の(メタ)アクリル系単量体を意味し、同溶解度が10重量%以上のものが好ましく、同溶解度が15重量%以上のものがより好ましい。また、この明細書において、(メタ)アクリル系単量体とは、(メタ)アクリレート化合物及び/又は(メタ)アクリルアミド化合物を意味する。
架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)は、水溶性を有するものであるため、水酸基、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロプレン基、アミド基等の親水性基を有する。水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)としては、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)エタン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)などのジ(メタ)アクリレート化合物、及び下記一般式(2)で表される水溶性のビス(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
式(2)中、Xは、炭素数が1〜6の直鎖又は分岐脂肪族基であって、当該基には−O−、−S−、−CO−O−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、及び−NH−CO−NH−からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合が挿入されていてもよく、R4及びR5はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数が1〜4の直鎖若しくは分岐脂肪族基であり、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
これらの水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の中でも、歯質に対する接着性の観点で、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)エタン、及び一般式(2)で表される水溶性のビス(メタ)アクリルアミド化合物が好ましい。水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。
一般式(2)で表される水溶性のビス(メタ)アクリルアミド化合物は、歯質に対する接着性と重合硬化性の観点から、Xが炭素数が1〜4の直鎖又は分岐脂肪族基であり、且つR4及びR5がそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1〜2の直鎖脂肪族基であることが好ましく、Xが炭素数が2〜4の直鎖又は分岐脂肪族基であり、且つR4及びR5がそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1〜2の直鎖脂肪族基であることがより好ましい。またX、R4及びR5で表される脂肪族基は、飽和脂肪族基であることが好ましい。R6及びR7は、硬化性及び入手又は製造の容易性の観点から、水素原子であることが好ましい。
一般式(2)で表される水溶性のビス(メタ)アクリルアミド化合物の具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ビス〔(メタ)アクリルアミド〕エタン、1,3−ビス〔(メタ)アクリルアミド〕プロパン、1,6−ビス〔(メタ)アクリルアミド〕ヘキサン等が挙げられる。これらの中でも、歯質に対する接着性、重合硬化性及び他の重合性単量体への溶解性の観点から、1,2−ビス〔(メタ)アクリルアミド〕エタン、1,3−ビス〔(メタ)アクリルアミド〕プロパンが好ましい。
本発明における単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の重量比((b−1):(b−2))は10:1〜1:5であり、好ましくは7:1〜1:3であり、より好ましくは5:1〜1:2であり、最も好ましくは3:1〜1:1である。単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)が重量比10:1より多く配合されると、象牙質に対する接着性が低下する。一方、水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)が重量比1:5より多く配合されると、エナメル質に対する接着性が低下する。
本発明における水溶性の重合性単量体(b)の配合量は、過多及び過少いずれの場合も接着力が低下する。水溶性の重合性単量体(b)の配合量、すなわち単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の合計配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、10〜50重量%の範囲であり、20〜40重量%の範囲が好ましい。
本発明における疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)は、この明細書において、分子内に少なくとも2個の重合性基を有し、酸性基を有さず、25℃における水に対する溶解度が5重量%未満の重合性単量体を意味する。疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)が親水性基を有する場合もあるが、水溶性の重合性単量体とは、前記溶解度により区別される。疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)は、接着剤の環境光安定性を向上させ、環境光下での操作余裕時間を長くする。疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)としては、芳香族化合物系の二官能性重合性単量体、脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体、三官能性以上の重合性単量体などが例示される。
芳香族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ビス〔4−(3−(メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)が好ましい。
脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
三官能性以上の重合性単量体の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラ(メタ)アクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラ(メタ)アクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。これらの中でも、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレートが好ましい。
疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)の配合量が過多な場合は、歯科用接着剤の歯質への浸透性が低下して接着力が低下し、一方同配合量が過少な場合は、環境光下での歯科用接着剤の操作余裕時間を調整する効果が十分に得られない。そこで、架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)の配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、5〜50重量%の範囲であり、20〜40重量%の範囲が好ましい。
本発明における水溶性の重合性単量体(b)と疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)の重量比((b):(c))は5:1〜1:4が好ましく、3:1〜1:2がより好ましく、2:1〜1:1が最も好ましい。水溶性の重合性単量体(b)が重量比5:1より多く配合されると、硬化後の吸水性が高すぎるために接着強さが低下する場合がある。一方、疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)が重量比1:4より多く配合されると、象牙質に対する接着強さが低下することがある。
歯科用接着剤の親水性/疎水性バランス、粘度の調整、機械的強度又は接着力の向上のために、前記のリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)、水溶性の重合性単量体(b)及び疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)以外の重合性単量体を配合してもよい。
かかる重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、及び疎水性の架橋性(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。疎水性の架橋性(メタ)アクリルアミド化合物は、この明細書において、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリルアミド基を有し、酸性基を有さず、25℃における水に対する溶解度が5重量%未満の重合性単量体を意味する。
これらの重合性単量体は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。これらの重合性単量体の配合量が過多な場合は、接着力が低下することがある。通常、これらの重合性単量体の配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、10重量%以下が最も好ましい。
なお、本発明の歯科用接着剤における(メタ)アクリルアミド化合物の総量(単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)、水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)として用いられるビス(メタ)アクリルアミド化合物、疎水性の架橋性(メタ)アクリルアミド化合物等の(メタ)アクリルアミド基を含有する化合物の合計量)は、環境光下での操作余裕時間の観点から、歯科用接着剤の全重量に基づいて、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。
本発明における水(d)は、歯質に対するリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)の脱灰作用を促進する。水(d)は、接着性に悪影響を及ぼす不純物を実質的に含有しないものを使用する必要があり、蒸留水又はイオン交換水が好ましい。水(d)の配合量が過多及び過少いずれの場合も接着力が低下することがある。水(d)の配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、1〜50重量%の範囲が好ましく、5〜30重量%の範囲がより好ましく、10〜20重量%の範囲が最も好ましい。
本発明における重合開始剤(e)としては、公知の重合開始剤を使用することができる。具体例としては、α−ジケトン類、ケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、クマリン類、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、過酸化物等の重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、光重合型の重合開始剤(光重合開始剤)であるα−ジケトン類及びアシルホスフィンオキサイド類が極めて優れた接着力を与えるので特に好ましい。
α−ジケトン類としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンが例示される。
ケタール類としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールが例示される。
チオキサントン類としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンが例示される。
アシルホスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ジベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、トリス(2,4−ジメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、トリス(2−メトキシベンゾイル)ホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイル−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドが例示される。
クマリン類としては、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリンが例示される。
ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが例示される。
過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシカーボネート類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類が例示される。ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類の具体例としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。パーオキシカーボネート類の具体例としては、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。パーオキシケタール類の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
重合開始剤(e)は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。重合開始剤(e)の配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、0.05〜7重量%の範囲がより好ましく、0.1〜5重量%の範囲が最も好ましい。
また、光硬化性及び/又は化学硬化性を高めるために、芳香族第3級アミン、脂肪族第3級アミン、スルフィン酸及びその塩、アルデヒド類、チオール化合物等の重合促進剤を併用してもよい。
芳香族第3級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N―ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンが例示される。
脂肪族第3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレートが例示される。
スルフィン酸及びその塩としては、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−イソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウムが例示される。
アルデヒド類としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドが例示される。
チオール化合物としては、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸が例示される。
重合促進剤は、一種類単独を用いてもよく、複数種類を併用してもよい。重合促進剤の配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、0.05〜7重量%の範囲がより好ましく、0.1〜5重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の歯科用接着剤には、接着力、塗布性、及び歯質への浸透性を向上させたり、各成分の相分離を防ぐために、水溶性揮発性有機溶剤を配合してもよい。水溶性揮発性有機溶剤としては、通常、常圧下における沸点が150℃以下であり、且つ25℃における水に対する溶解度が5重量%以上の、より好ましくは30重量%以上の、最も好ましくは任意の割合で水に溶解可能な有機溶剤が使用される。中でも、常圧下における沸点が100℃以下の水溶性揮発性有機溶剤が好ましく、その具体例としては、エタノール、メタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランが挙げられる。
水溶性揮発性有機溶剤は、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。水溶性揮発性有機溶剤の配合量が過多な場合は接着力が低下することがある。水溶性揮発性有機溶剤の配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、1〜70重量%の範囲が好ましく、5〜50重量の範囲がより好ましく、10〜30重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の歯科用接着剤には、接着力、塗布性、流動性、X線不透過性及び機械的強度を向上させるために、フィラーを配合してもよい。フィラーは、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。フィラーとしては、無機系フィラー、有機系フィラー及び無機系フィラーと有機系フィラーとの複合体フィラーが挙げられる。
無機系フィラーとしては、シリカ;カオリン、クレー、雲母、マイカ等のシリカを基材とする鉱物;シリカを基材とし、Al2O3、B2O3、TiO2、ZrO2、BaO、La2O3、SrO、ZnO、CaO、P2O5、Li2O、Na2Oなどを含有する、セラミックス及びガラス類が例示される。ガラス類としては、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラスが好適に用いられる。結晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化イッテルビウムも好適に用いられる。
有機系フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムが例示される。
無機系フィラーと有機系フィラーとの複合体フィラーとしては、有機系フィラーに無機系フィラーを分散させたもの、無機系フィラーを種々の重合体にてコーティングした無機/有機複合フィラーが例示される。
硬化性、機械的強度、塗布性を向上させるために、フィラーをシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。表面処理剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが例示される。
フィラーとしては、接着力、塗布性などの点で、一次粒子径が0.001〜0.1μmの微粒子フィラーが好ましく使用される。具体例としては、「アエロジルOX50」、「アエロジル50」、「アエロジル200」、「アエロジル380」、「アエロジルR972」、「アエロジル130」(以上、いずれも日本アエロジル社製、商品名)が挙げられる。
フィラーの配合量は、歯科用接着剤の全重量に基づいて、0.1〜30重量%の範囲が好ましく、0.5〜20重量%の範囲がより好ましく、1〜10重量%の範囲が最も好ましい。
本発明の歯科用接着剤には、歯質に耐酸性を付与するために、フッ素イオン放出性物質を配合してもよい。フッ素イオン放出性物質としては、フルオロアルミノシリケートガラス等のフッ素ガラス類;フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化イッテルビウム等の金属フッ化物;メタクリル酸メチルとメタクリル酸フルオライドとの共重合体等のフッ素イオン放出性ポリマー;セチルアミンフッ化水素酸塩等のフッ素イオン放出性物質が例示される。
本発明の歯科用接着剤には、安定剤(重合禁止剤)、着色剤、蛍光剤、紫外線吸収剤を配合してもよい。また、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド、トリクロサン等の抗菌性物質を配合してもよい。
次に、本発明に係る歯科用接着剤の使用方法の一例を説明する。先ず、本発明に係る歯科用接着剤をスポンジ又はブラシを用いて治療すべき歯牙に塗布し、その状態で0秒(すなわち塗布後すぐに下記のエアーブローを行う)〜120秒間、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは3〜30秒間、最も好ましくは5〜20秒間、静置するか、或いは、歯質表面上でスポンジ等を用いて60秒以内の範囲で擦り続ける。次いで、歯科用エアーシリンジを用いてエアーブローを行った後に、コンポジットレジン、セメント、小窩裂溝填塞材料等の充填修復材料を歯科用接着剤の塗布面に塗布して、両者を同時に硬化させる。尤も、本発明に係る歯科用接着剤が、重合開始剤(e)として、光照射によってラジカルを発生する光重合型の重合開始剤(光重合開始剤)を含有する場合は、充填修復材料を塗布する前に、歯質表面に塗布した歯科用接着剤に歯科用可視光線照射器などを用いて光照射してこれを硬化させる方が、より優れた接着力が得られるので、好ましい。本発明に係る歯科用接着剤は、基本的に歯牙に適用する前にリン酸エッチング剤による前処理を行う必要はないが、リン酸エッチング剤による前処理を行った場合においても、歯質に対して高い接着性を示す。
本発明に係る歯科用接着剤は、歯質だけでなく、口腔内で破折した歯冠修復材料(金属、陶材、セラミックス、コンポジット硬化物など)に対しても優れた接着力を発現する。本発明に係る歯科用接着剤を歯冠修復材料の接着に用いる場合は、本発明に係る歯科用接着剤を、市販の金属接着用プライマー、陶材接着用のプライマー等のプライマーや次塩素酸塩、過酸化水素水等の歯面清掃剤と組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。以下で用いる略記号は次の通りである。
〔リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)〕
MDP:10−メタクリロリルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MHP:6−メタクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート
MDP:10−メタクリロリルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MHP:6−メタクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート
〔リン酸基含有二官能(メタ)アクリレート化合物〕
GPDM:1,3−ジメタクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート
GPDM:1,3−ジメタクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート
〔リン酸基以外の酸性基含有単官能(メタ)アクリレート化合物〕
6−MHPA:6−メタクリロキシヘキシル−ホスホノアセテート
6−MHPA:6−メタクリロキシヘキシル−ホスホノアセテート
〔単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)〕
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
〔(b−1)に含まれない単官能(メタ)アクリルアミド化合物〕
DAAA:ジアセトンアクリルアミド(下記の一般式で表される水溶性の単官能アクリルアミド化合物)
DAAA:ジアセトンアクリルアミド(下記の一般式で表される水溶性の単官能アクリルアミド化合物)
〔水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)〕
BAAP:1,3−ビス(アクリルアミド)プロパン
MBAA:N,N’−メチレンビスアクリルアミド
BAAE:1,2−ビス(アクリルアミド)エタン
BAAH:1,6−ビス(アクリルアミド)ヘキサン
#801:1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)エタン
BAAP:1,3−ビス(アクリルアミド)プロパン
MBAA:N,N’−メチレンビスアクリルアミド
BAAE:1,2−ビス(アクリルアミド)エタン
BAAH:1,6−ビス(アクリルアミド)ヘキサン
#801:1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)エタン
〔疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)〕
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−(メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン
UDMA:〔2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)〕ジメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
Bis−GMA:2,2−ビス〔4−(3−(メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン
UDMA:〔2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)〕ジメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
〔疎水性の架橋性アクリルアミド化合物〕
TCDAA:下記の一般式で表される疎水性の架橋性アクリルアミド化合物
TCDAA:下記の一般式で表される疎水性の架橋性アクリルアミド化合物
〔重合開始剤(e)〕
CQ:dl−カンファーキノン
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
CQ:dl−カンファーキノン
BAPO:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
〔重合促進剤〕
DABE:4−N,N―ジメチルアミノ安息香酸エチル
DABE:4−N,N―ジメチルアミノ安息香酸エチル
〔フィラー〕
R972:アエロジル社製の微粒子シリカ
R972:アエロジル社製の微粒子シリカ
〔その他〕
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(安定剤(重合禁止剤))
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(安定剤(重合禁止剤))
(実施例1)
MDP(10重量部)と、DEAA(27重量部)と、BAAP(3重量部)と、Bis−GMA(25重量部)と、蒸留水(15重量部)と、エタノール(20重量部)と、CQ(2重量部)と、BAPO(0.1重量部)と、DABE(1重量部)と、R972(5重量部)と、BHT(0.05重量部)とを混合して、歯科用接着剤を調製した。次いで、調製直後の歯科用接着剤(非貯蔵品)について、下記の接着試験片作製方法に従って試験片を作製し、下記の接着力試験方法及び接着耐久性試験方法に従って、接着力及び接着耐久性を調べた。また、同様に調製した歯科用接着剤を50℃の恒温器に30日間貯蔵し、下記の貯蔵安定性試験方法により、貯蔵安定性を調べた。また、調製直後の歯科用接着剤(非貯蔵品)について、下記の操作余裕時間の試験方法により、環境光下での操作余裕時間を調べた。(なお、その他の実施例及び比較例で調べた接着力、接着耐久性、貯蔵安定性、及び環境光下での操作余裕時間も、それぞれ同じ試験方法により調べたものである。)表1に、この歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
MDP(10重量部)と、DEAA(27重量部)と、BAAP(3重量部)と、Bis−GMA(25重量部)と、蒸留水(15重量部)と、エタノール(20重量部)と、CQ(2重量部)と、BAPO(0.1重量部)と、DABE(1重量部)と、R972(5重量部)と、BHT(0.05重量部)とを混合して、歯科用接着剤を調製した。次いで、調製直後の歯科用接着剤(非貯蔵品)について、下記の接着試験片作製方法に従って試験片を作製し、下記の接着力試験方法及び接着耐久性試験方法に従って、接着力及び接着耐久性を調べた。また、同様に調製した歯科用接着剤を50℃の恒温器に30日間貯蔵し、下記の貯蔵安定性試験方法により、貯蔵安定性を調べた。また、調製直後の歯科用接着剤(非貯蔵品)について、下記の操作余裕時間の試験方法により、環境光下での操作余裕時間を調べた。(なお、その他の実施例及び比較例で調べた接着力、接着耐久性、貯蔵安定性、及び環境光下での操作余裕時間も、それぞれ同じ試験方法により調べたものである。)表1に、この歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
〔接着試験片作製方法〕
牛の前歯を#1000シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で平滑に湿潤研磨してエナメル質表面又は象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジを用いて吹き飛ばす。露出したエナメル質表面又は象牙質表面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、丸穴に歯科用接着剤を筆を用いて塗布し、20秒間放置した後、歯科用エアーシリンジを用いて当該歯科用接着剤の流動性が無くなるまで乾燥する。次いで、歯科用光照射器(モリタ社製、商品名「ペンキュア2000」)を用いて10秒間光照射を行う。次いで、その歯科用接着剤の上に光重合型コンポジットレジン(クラレメディカル社製、商品名「クリアフィルAP−X」)を載置し、離型フィルム(クラレ社製、商品名「エバール」)を被せた後、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけ、歯科用光照射器「ペンキュア2000」を用いて20秒間光照射して、硬化させる。次いで、この硬化面に対して、歯科用レジンセメント(クラレメディカル社製、商品名「パナビア21」)を用いて、直径5mm、長さ1.5cmのステンレス製の円柱棒の一方の端面(円形断面)を接着し、30分間静置して、試験片とする。
牛の前歯を#1000シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で平滑に湿潤研磨してエナメル質表面又は象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジを用いて吹き飛ばす。露出したエナメル質表面又は象牙質表面に、直径3mmの丸穴を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼着し、丸穴に歯科用接着剤を筆を用いて塗布し、20秒間放置した後、歯科用エアーシリンジを用いて当該歯科用接着剤の流動性が無くなるまで乾燥する。次いで、歯科用光照射器(モリタ社製、商品名「ペンキュア2000」)を用いて10秒間光照射を行う。次いで、その歯科用接着剤の上に光重合型コンポジットレジン(クラレメディカル社製、商品名「クリアフィルAP−X」)を載置し、離型フィルム(クラレ社製、商品名「エバール」)を被せた後、その離型フィルムの上にスライドガラスを載置して押しつけ、歯科用光照射器「ペンキュア2000」を用いて20秒間光照射して、硬化させる。次いで、この硬化面に対して、歯科用レジンセメント(クラレメディカル社製、商品名「パナビア21」)を用いて、直径5mm、長さ1.5cmのステンレス製の円柱棒の一方の端面(円形断面)を接着し、30分間静置して、試験片とする。
〔接着力試験方法〕
上記の接着試験片作製方法により作製した試験片を、サンプル容器内の蒸留水に浸漬した状態で、37℃に設定した恒温器内に24時間放置した後、接着強度を測定する。接着強度(引張接着強度)の測定には万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定する。接着強度の数値は、それぞれ8個(エナメル質表面を露出させたもの8個、象牙質表面を露出させたもの8個)の試験片についての測定値の平均値とする。
上記の接着試験片作製方法により作製した試験片を、サンプル容器内の蒸留水に浸漬した状態で、37℃に設定した恒温器内に24時間放置した後、接着強度を測定する。接着強度(引張接着強度)の測定には万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定する。接着強度の数値は、それぞれ8個(エナメル質表面を露出させたもの8個、象牙質表面を露出させたもの8個)の試験片についての測定値の平均値とする。
〔接着耐久性試験方法〕
上記の接着試験片作製方法により作製した試験片を、サンプル容器内の蒸留水に浸漬した状態で、37℃に設定した恒温器内に24時間放置した後、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクルを4000回負荷させた後に接着強度を測定する。接着強度(引張接着強度)の測定には万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定する。接着強度の数値は、それぞれ8個(エナメル質表面を露出させたもの8個、象牙質表面を露出させたもの8個)の試験片についての測定値の平均値とする。
上記の接着試験片作製方法により作製した試験片を、サンプル容器内の蒸留水に浸漬した状態で、37℃に設定した恒温器内に24時間放置した後、更に4℃の冷水中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクルを4000回負荷させた後に接着強度を測定する。接着強度(引張接着強度)の測定には万能試験機(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定する。接着強度の数値は、それぞれ8個(エナメル質表面を露出させたもの8個、象牙質表面を露出させたもの8個)の試験片についての測定値の平均値とする。
〔貯蔵安定性試験方法〕
50℃の恒温器に30日間貯蔵した歯科用接着剤(貯蔵品)について、上記の接着試験片作製方法に従って試験片を作製し、上記の接着力試験方法により接着強度を測定する。
50℃の恒温器に30日間貯蔵した歯科用接着剤(貯蔵品)について、上記の接着試験片作製方法に従って試験片を作製し、上記の接着力試験方法により接着強度を測定する。
〔操作余裕時間の試験方法〕
暗室内において、色温度変換フィルム及び紫外線フィルタが挿入されたキセノンランプの下で、照度が8000ルクスとなる様な高さに混和皿(クラレメディカル社製、品番「#902(B)」)を置き、歯科用接着剤(非貯蔵品)を1滴滴下する。一定時間の間、試料を光に曝した後、試料の滴下された混和皿を照射域から取り出して、直ちに試料が物理的に均一であるか検査し、均一性を保持した時間を操作余裕時間とする。
暗室内において、色温度変換フィルム及び紫外線フィルタが挿入されたキセノンランプの下で、照度が8000ルクスとなる様な高さに混和皿(クラレメディカル社製、品番「#902(B)」)を置き、歯科用接着剤(非貯蔵品)を1滴滴下する。一定時間の間、試料を光に曝した後、試料の滴下された混和皿を照射域から取り出して、直ちに試料が物理的に均一であるか検査し、均一性を保持した時間を操作余裕時間とする。
環境光下での操作余裕時間は、一般的に30秒以上であれば、臨床において問題なく使用できる。
(実施例2〜6及び比較例1〜2)
表1に示す7種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表1に示す7種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
(比較例3)
実施例2の歯科用接着剤中のBAAP(10重量部)を配合しない歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
実施例2の歯科用接着剤中のBAAP(10重量部)を配合しない歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
(比較例4)
実施例2の歯科用接着剤中のBAAP(10重量部)に代えて、TCDAA(10重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
実施例2の歯科用接着剤中のBAAP(10重量部)に代えて、TCDAA(10重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
(比較例5)
実施例2の歯科用接着剤中のBis−GMA(25重量部)に代えて、TCDAA(25重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
実施例2の歯科用接着剤中のBis−GMA(25重量部)に代えて、TCDAA(25重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
(比較例6)
実施例2の歯科用接着剤中のMDP(10重量部)に代えて、GPDM(10重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
実施例2の歯科用接着剤中のMDP(10重量部)に代えて、GPDM(10重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
(比較例7)
実施例2の歯科用接着剤中のMDP(10重量部)に代えて、6−MHPA(10重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
実施例2の歯科用接着剤中のMDP(10重量部)に代えて、6−MHPA(10重量部)とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表1に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表1に示すように、本発明に係る歯科用接着剤(実施例1〜6)は、エナメル質及び象牙質のいずれに対しても優れた接着力と接着耐久性を示し、貯蔵品の接着強度の低下が小さい。このことから、本発明に係る歯科用接着剤は、優れた接着性、接着耐久性及び貯蔵安定性を有することが分かる。また、本発明に係る歯科用接着剤は、環境光下での適度な操作余裕時間を有していることが分かる。一方、単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の配合比を(b−1):(b−2)=10:1〜1:5(重量比)以外で使用した歯科用接着剤(比較例1〜2)は、エナメル質と象牙質のいずれかに対する接着力及び接着耐久性が低く、貯蔵品も、エナメル質と象牙質のいずれかに対する接着強度が低い。このことから、比較例1〜2の歯科用接着剤は、エナメル質と象牙質のいずれかに対して、接着性、接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではないことが分かる。また、水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体を配合しない比較例3の歯科用接着剤は、実施例2の歯科用接着剤に比べて象牙質に対する接着力が低く、象牙質に対する接着耐久性及び貯蔵品の象牙質に対する接着強度も低い。このことから、比較例3の歯科用接着剤は、象牙質に対する接着性、接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではないことが分かる。また、水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体を配合せずに疎水性の架橋性(メタ)アクリルアミドを配合した比較例4の歯科用接着剤は、象牙質に対して、接着力、接着耐久性及び貯蔵品の接着強度がいずれも低い。このことから、比較例4の歯科用接着剤は、象牙質に対する接着性、接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではないことが分かる。また、疎水性の架橋性(メタ)アクリレートを配合せずに疎水性の架橋性(メタ)アクリルアミドを配合した比較例5の歯科用接着剤は、接着力、接着耐久性及び貯蔵品の接着強度が実施例2の歯科用接着剤に比べていずれも低い。また、比較例5の歯科用接着剤は環境光下での操作余裕時間が非常に短く、環境光下での安定性が十分でないことが分かる。また、リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物であるMDPに代えてリン酸基含有二官能(メタ)アクリレート化合物であるGPDMを配合した比較例6の歯科用接着剤は、エナメル質に対して、接着力、接着耐久性及び貯蔵品の接着強度がいずれも低い。このことから、比較例6の歯科用接着剤は、エナメル質に対する接着性、接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではないことが分かる。また、リン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物であるMDPに代えてリン酸基以外の酸性基含有単官能(メタ)アクリレート化合物である6−MHPAを配合した比較例7の歯科用接着剤は、エナメル質に対して、接着力、接着耐久性及び貯蔵品の接着強度がいずれも低い。このことから、比較例7の歯科用接着剤は、エナメル質に対する接着性、接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではないことが分かる。
(実施例7〜13)
表2に示す7種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表2に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表2に示す7種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表2に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
(比較例8〜10)
実施例11〜13の歯科用接着剤中のDMAAに代えて、DAAAをそれぞれ同配合量とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表2に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
実施例11〜13の歯科用接着剤中のDMAAに代えて、DAAAをそれぞれ同配合量とした歯科用接着剤を調製し、接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表2に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表2に示すように、本発明に係る歯科用接着剤(実施例7〜13)は、エナメル質及び象牙質のいずれに対しても優れた接着力と接着耐久性を示し、貯蔵品の接着強度の低下が小さい。このことから、本発明に係る歯科用接着剤は、優れた接着力、接着耐久性及び貯蔵安定性を有することが分かる。また、本発明に係る歯科用接着剤は、環境光下での適度な操作余裕時間を有していることが分かる。一方、本発明における単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)に含まれない(メタ)アクリルアミド化合物(DAAA)を配合した歯科用接着剤は、非貯蔵品の接着強度は高いが、エナメル質又は象牙質に対する接着耐久性が低く、貯蔵品のエナメル質に対する接着強度も低い。このことから、比較例8〜10の歯科用接着剤は、接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではないことが分かる。
(実施例14〜16、比較例11〜12)
表3に示す5種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表3に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表3に示す5種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表3に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表3に示すように、本発明に係る歯科用接着剤(実施例14〜16)は、エナメル質及び象牙質のいずれに対しても優れた接着力と接着耐久性を示し、貯蔵品の接着強度の低下も小さい。このことから、本発明に係る歯科用接着剤は、優れた接着力、接着耐久性及び貯蔵安定性を有することが分かる。また、本発明に係る歯科用接着剤は、環境光下での適度な操作余裕時間を有していることが分かる。一方、単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の配合比を(b−1):(b−2)=10:1〜1:5(重量比)以外で使用した歯科用接着剤(比較例11〜12)については、比較例11では、象牙質に対する接着力がやや低く、比較例12では、エナメル質、象牙質共に接着力が低い。また、比較例11及び12共に、エナメル質と象牙質に対する接着耐久性が低い。貯蔵品の接着強度に関しては、比較例11は、象牙質に対する接着強度が低く、比較例12は、エナメル質、象牙質共に接着強度が低い。このことから、比較例11は、象牙質に対する接着力がやや低く、また接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではなく、比較例12は、接着力、接着耐久性及び貯蔵安定性が十分ではないことが分かる。
(実施例17〜27)
表4に示す11種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表4に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表4に示す11種の歯科用接着剤を調製し、それぞれの接着力、接着耐久性、貯蔵安定性及び環境光下での操作余裕時間を調べた。表4に、各歯科用接着剤の配合比(重量部)及び試験結果を示す。
表4に示すように、本発明に係る歯科用接着剤(実施例17〜27)は、エナメル質及び象牙質のいずれに対しても優れた接着力と接着耐久性を示し、貯蔵品の接着強度の低下も小さい。このことから、本発明に係る歯科用接着剤は、優れた接着力、接着耐久性及び貯蔵安定性を有することが分かる。また、本発明に係る歯科用接着剤は、環境光下での適度な操作余裕時間を有していることが分かる。
本発明に係る1液型の歯科用接着剤は、齲蝕等により損傷した歯質(エナメル質、象牙質及びセメント質)の修復する際に、歯質と、歯科用コンポジットレジン、歯科用コンポマー、歯科用レジンセメント等の歯科用修復材料とを接着するために用いることができる。
Claims (4)
- 1〜30重量%のリン酸基含有単官能(メタ)アクリレート化合物(a)、
10〜50重量%の水溶性の重合性単量体(b)、
5〜50重量%の疎水性の架橋性(メタ)アクリレート化合物(c)、
水(d)、及び
重合開始剤(e)を含有してなり、
前記水溶性の重合性単量体(b)が、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)及び水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の組み合わせであり、前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)と前記水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)の重量比が10:1〜1:5である、
1液型の歯科用接着剤。
- 前記水(d)の配合量が1〜50重量%であり、前記重合開始剤(e)の配合量が0.01〜10重量%である請求項1に記載の1液型の歯科用接着剤。
- 前記水溶性の架橋性(メタ)アクリル系単量体(b−2)が、下記一般式(2)で表される水溶性のビス(メタ)アクリルアミド化合物及び1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)エタンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の1液型の歯科用接着剤。
- 前記単官能(メタ)アクリルアミド化合物(b−1)が、N,N−ジエチルアクリルアミドである請求項1に記載の1液型の歯科用接着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014507391A JP5860137B2 (ja) | 2012-03-30 | 2013-03-15 | 1液型の歯科用接着剤 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012082062 | 2012-03-30 | ||
JP2012082062 | 2012-03-30 | ||
PCT/JP2013/001809 WO2013145621A1 (ja) | 2012-03-30 | 2013-03-15 | 1液型の歯科用接着剤 |
JP2014507391A JP5860137B2 (ja) | 2012-03-30 | 2013-03-15 | 1液型の歯科用接着剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2013145621A1 true JPWO2013145621A1 (ja) | 2015-12-10 |
JP5860137B2 JP5860137B2 (ja) | 2016-02-16 |
Family
ID=49258935
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014507391A Active JP5860137B2 (ja) | 2012-03-30 | 2013-03-15 | 1液型の歯科用接着剤 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US9700491B2 (ja) |
EP (1) | EP2835128B1 (ja) |
JP (1) | JP5860137B2 (ja) |
CN (1) | CN104185468B (ja) |
ES (1) | ES2768298T3 (ja) |
WO (1) | WO2013145621A1 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103980442B (zh) * | 2014-05-29 | 2016-05-18 | 西南石油大学 | 用于稠油乳化降粘的水溶性聚合物及其制备方法 |
JP6294171B2 (ja) * | 2014-06-26 | 2018-03-14 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用修復材組成物 |
EP3124477B1 (en) * | 2015-07-27 | 2019-07-17 | DENTSPLY DETREY GmbH | Dental adhesive |
CA3007605C (en) * | 2015-12-07 | 2024-01-30 | Kuraray Noritake Dental Inc. | (meth)acrylamide-containing dental adhesive |
AU2020312953B2 (en) * | 2019-07-12 | 2024-06-27 | Gc Corporation | Antibacterial polymer particles, composition and article |
EP3834805A1 (en) * | 2019-12-12 | 2021-06-16 | DENTSPLY SIRONA Inc. | Dental resin modified glass-ionomer composition and kit comprising said composition |
CN112426367A (zh) * | 2020-12-11 | 2021-03-02 | 西安邮电大学 | 用于齿科的可标记发光修复材料及制备方法、粘结剂及制备方法和修复结构 |
US11337897B1 (en) * | 2021-07-07 | 2022-05-24 | King Abdulaziz University | Bioactive adhesive system compositions and methods of use |
JPWO2023042716A1 (ja) * | 2021-09-17 | 2023-03-23 | ||
WO2023042715A1 (ja) * | 2021-09-17 | 2023-03-23 | 三井化学株式会社 | (メタ)アクリルアミド化合物、モノマー組成物、歯科材料用組成物及び歯科材料 |
US11602491B1 (en) | 2022-02-21 | 2023-03-14 | King Abdulaziz University | Bioactive dental temporary filling material |
CN116570513B (zh) * | 2023-04-17 | 2024-05-10 | 嘉兴市京吟生物科技有限公司 | 牙科用正畸粘固剂及其应用 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006176511A (ja) * | 2004-12-22 | 2006-07-06 | Ivoclar Vivadent Ag | 加水分解安定性の、自己エッチング単一成分歯科接着剤 |
JP2007520465A (ja) * | 2003-12-23 | 2007-07-26 | デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー. | 一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物 |
JP2010150290A (ja) * | 2002-06-26 | 2010-07-08 | Ivoclar Vivadent Ag | ヒドロキシアルキルアクリルアミドに基づく歯科材料 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6900251B2 (en) * | 2002-06-26 | 2005-05-31 | Ivoclar Vivadent Ag | Dental materials based on acrylic-ester phosphonic acids |
JP4472322B2 (ja) | 2003-12-19 | 2010-06-02 | クラレメディカル株式会社 | 1液型の歯科用接着剤組成物 |
KR20060129396A (ko) | 2004-01-29 | 2006-12-15 | 브소카 스콜라 체미코-테크놀로지카 비 프라자 | 신규한 hiv 프로테아제 억제제 |
-
2013
- 2013-03-15 US US14/387,396 patent/US9700491B2/en active Active
- 2013-03-15 WO PCT/JP2013/001809 patent/WO2013145621A1/ja active Application Filing
- 2013-03-15 CN CN201380017795.0A patent/CN104185468B/zh active Active
- 2013-03-15 EP EP13769369.3A patent/EP2835128B1/en active Active
- 2013-03-15 ES ES13769369T patent/ES2768298T3/es active Active
- 2013-03-15 JP JP2014507391A patent/JP5860137B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010150290A (ja) * | 2002-06-26 | 2010-07-08 | Ivoclar Vivadent Ag | ヒドロキシアルキルアクリルアミドに基づく歯科材料 |
JP2007520465A (ja) * | 2003-12-23 | 2007-07-26 | デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー. | 一液型自己エッチング自己プライマー処理の歯科用接着剤組成物 |
JP2006176511A (ja) * | 2004-12-22 | 2006-07-06 | Ivoclar Vivadent Ag | 加水分解安定性の、自己エッチング単一成分歯科接着剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20150094392A1 (en) | 2015-04-02 |
WO2013145621A1 (ja) | 2013-10-03 |
EP2835128A4 (en) | 2015-11-11 |
EP2835128B1 (en) | 2020-01-08 |
CN104185468B (zh) | 2016-10-12 |
JP5860137B2 (ja) | 2016-02-16 |
CN104185468A (zh) | 2014-12-03 |
ES2768298T3 (es) | 2020-06-22 |
US9700491B2 (en) | 2017-07-11 |
EP2835128A1 (en) | 2015-02-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5860137B2 (ja) | 1液型の歯科用接着剤 | |
JP6826080B2 (ja) | 歯科材料用重合性モノマー、組成物、接着性歯科材料、及びキット | |
US20090048364A1 (en) | Self-adhesive dental cement | |
CA3074195C (en) | A solvent free dental adhesive composition | |
WO2001038449A1 (fr) | Composition adhesive | |
JP5191486B2 (ja) | 反応硬化性接着性組成物および歯科用接着材キット | |
JP2006225350A (ja) | 部分再修復歯科治療用の接着剤組成物 | |
JP7104717B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
JP4822636B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
JP7464578B2 (ja) | 非溶媒系歯科用接着性組成物 | |
JP4675456B2 (ja) | 接着性の組成物 | |
JP4514447B2 (ja) | 歯科用接着剤組成物 | |
JP4241982B2 (ja) | 接着剤システム | |
JP2008001665A (ja) | 2液型の歯科用接着剤 | |
JP7426211B2 (ja) | 歯科用接着性組成物 | |
JP4472322B2 (ja) | 1液型の歯科用接着剤組成物 | |
JP4615260B2 (ja) | 小窩裂溝填塞用キット | |
JP4514470B2 (ja) | 2液型の無柱エナメル質用接着剤 | |
JP4514469B2 (ja) | 2液型の無柱エナメル質用接着剤 | |
JP4583035B2 (ja) | 接着性組成物 | |
JP4646264B1 (ja) | 歯科用硬化性組成物 | |
US10206857B2 (en) | Dental primer composition having adhesive property to resin cured material | |
JP4538257B2 (ja) | 歯髄覆罩材 | |
WO2021107152A1 (ja) | 歯科用組成物 | |
JP2004196735A (ja) | 歯科用コーティング組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20151016 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20151208 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20151217 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5860137 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |