JPWO2013094476A1 - 表示装置用前面保護板、及び表示装置 - Google Patents

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Abstract

表示装置用前面保護板10は、中央の表示用領域A1と、表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域A2とを有する。不透明領域内の一部に赤外光を透過する赤外透過窓4が設けられている。表示装置用前面保護板10は、透光性基板1と、透光性基板の一方の面S2側の不透明領域に形成され、赤外透過窓となる部分は非形成部として形成された遮蔽層3と、前記一方の面の側の不透明領域内であって遮蔽層の非形成部を含む部分に積層された赤外透過層2と、を有する。遮蔽層は、少なくとも可視光を遮蔽し、赤外透過層は、可視光を遮蔽し赤外光を透過する。赤外透過層は、赤外透過窓となる非形成部を含んだ遮蔽層と透光性基板との間の全領域に形成されている。

Description

本発明は、表示装置用前面保護板及びこれを備えた表示装置に関する。特に、本発明は、可視光を遮蔽する不透明領域内に、赤外光を透過する赤外透過窓が設けられた表示装置用前面保護板及びこれを備えた表示装置に関する。
近年、スマートフォン、タブレットPC(パーソナルコンピュータ)などの各種表示装置において、表示パネルと組み合わせて使用される位置入力装置として、タッチパネルが急速に普及してきている。タッチパネルは、以前から、電磁誘導方式、抵抗膜方式など各種方式のものが知られ、各種の用途で使用されてきた。近年特に注目されてきているのは、マルチタッチ(多点同時入力)が可能な静電容量方式のタッチパネルである。
図6は、表示装置200の一例として、典型的にはスマートフォン等のタッチパネル機能を備えた携帯電話を模式的に示す平面図である。タッチパネル機能を備えた携帯電話は、通話時に携帯電話を耳にあてがったときに、タッチパネルの誤作動を防ぐために、または、表示パネルの表示を消して電池寿命を長くするために、人肌の接近を感知する人感センサを備えている。この人感センサとしては、赤外線センサが使用されている。人感センサは、通常、図6に示すように、表示装置用前面保護板40をはめ込んだケース50の一部に赤外透過窓4を設け、この赤外透過窓4に重なるケース内部の領域に設置されている。
図7は、図6に示すタッチパネル20を備えた表示装置200の主要な構成部品の一例を模式的に示す図である。なお、図7は、赤外透過窓4が設けられたケース50の図示を省略して示している。このうち、図7(a)は分解平面図であり、図7(b)は図7(a)の分解平面図に示すC−C線で表示装置用前面保護板40を切断したときの表示装置用前面保護板40を示す断面図である。タッチパネル20は、表示パネル30に対して、表示パネル30からの表示光の出光側である表側(図7(a)において紙面の手前側)に配置される。さらに、タッチパネル20の保護の為に、前記表示パネル30からの表示光が出光する側であるタッチパネル20の表側に、表示装置用前面保護板40が配置される(JP2009−193587A、JP3153971U、JP2008−266473A)。表示装置用前面保護板40は、通常、図7に例示する様に、その表示用領域A1の外周部に不透明領域A2が設けられており、不透明領域A2には可視光を遮蔽するための遮蔽層5が形成されている。この不透明領域A2によって、表示装置用前面保護板40の裏側に配置されるタッチパネル20の外周部に配置された配線9やコネクタ等を隠蔽して、外観を損ねないようにしている。また、不透明領域A2には、製品ロゴなどの可視情報6なども適宜設けられ、不透明領域A2は表示装置用前面保護板40の加飾部にもなっている。
界面反射による表示光の損失を抑制するために、あるいは、外光反射を減らして表示を見易くする等のために、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との間及びタッチパネル20と表示パネル30との間を隙間無く樹脂層で埋めて、これらを密着積層させることもある。また、薄型化、軽量化、部品点数削減などに対する要求に応えるべく、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との一体化、或いはタッチパネル20と表示パネル30との一体化などの各種形態が、提案されている(JP2009−193587A、JP3153971U)。
ところで、赤外透過窓4を表示装置用前面保護板40に設けたものが望まれることがある。それは、赤外透過窓4を表示装置200のケース50に設けるのではなく、表示装置用前面保護板40の部分に入れてしまうことで、製品のデザインの自由度が増し、より幅広いデザインに対応することが可能となるからである。例えば、赤外透過窓4を、表示装置用前面保護板40の一部に設けると共に、これに応じて表示装置用前面保護板40の面積をより広くすることで、ケース50の外枠部分が細いデザインも可能となる。
また、図7で例示した様に表示装置用前面保護板40が遮蔽層5を有する構造であると、遮蔽層5は通常、スクリーン印刷で形成され、その膜厚が例えば6〜10μmと厚い。このため、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との間を樹脂層で埋めるときに、遮蔽層5の膜厚により生じる縁部の段差付近に、空気が残留気泡として残り易いという問題がある。また、膜厚が厚い遮蔽層5があると、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20とを一体化させた場合、タッチパネル20の位置検知用の導電体薄膜からなる透明電極がスパッタ法などで形成される時に段差部分で断線し易いという問題もある。こうした遮蔽層5の膜厚により生じる縁部の段差の問題は、遮蔽層5を5μm以下に薄く形成すれば改善する。この場合、例えば、遮蔽層5をスクリーン印刷法によって形成するのではなく、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィ法によって形成することで、気泡や断線の問題を改善することができる。しかしながら、感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法で遮蔽層5を形成してみたところ、新たな別の問題が存在することが判明した。それは、スクリーン印刷法で遮蔽層5を形成したような遮蔽層5の膜厚が厚い場合では生じなかった、高温高湿下での密着性が低下するという問題である。
すなわち、本発明の課題は、表示装置用前面保護板において、遮蔽層の高温高湿下での密着性低下を改善しつつ、遮蔽層が形成されている不透明領域に赤外透過窓を設けることである。また、こうした赤外透過窓が設けられた表示装置用前面保護板を備えた表示装置を提供することである。
本発明による表示装置用前面保護板は、中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、且つ、前記不透明領域内の一部に赤外光を透過する赤外透過窓が設けられた表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、
この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面との少なくとも一方の面の側において前記不透明領域に形成された遮蔽層であって、少なくとも可視光を遮蔽し、前記赤外透過窓となる部分は非形成部として形成された遮蔽層と、
前記一方の面の側において前記不透明領域内であって前記遮蔽層の前記非形成部を含む部分に積層された赤外透過層であって、可視光を遮蔽し赤外光を透過する赤外透過層と、を有し、
前記赤外透過層は、前記赤外透過窓となる前記非形成部を含んだ前記遮蔽層と前記透光性基板との間の全領域に形成されている。
本発明による表示装置用前面保護板において、前記遮蔽層は、黒色顔料を含み得る着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記赤外透過層は、着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記赤外透過層の前記着色顔料は、互いに異なる色であって黒色以外の着色顔料を少なくとも3種類以上含んでもよい。
本発明による表示装置用前面保護板において、前記赤外透過層は、前記透光性基板と前記遮蔽層とに隣接して、前記透光性基板と前記遮蔽層との間に配置されていてもよい。
本発明による表示装置用前面保護板において、前記透光性基板の前記第1面は、表側に面しており、前記赤外透過層は、前記透光性基板の前記第2面に配置されていてもよい。
本発明による表示装置用前面保護板において、前記遮蔽層は、前記赤外透過層に隣接する一方の面と、当該一方の面とは反対側に位置する他方の面を有し、
前記遮蔽層の前記他方の面側に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が形成され、
前記透明電極が、前記表示用領域から前記不透明領域まで延び、前記遮蔽層と重なる領域に配置された不透明な配線と前記不透明領域で電気的に接続されていてもよい。
本発明による表示装置は、前記いずれかの特徴を有する表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備える。
本発明による表示装置において、前記透光性基板の前記一方の面の側に前記表示パネルが配置されていてもよい。
本発明による表示装置において、前記表示装置用前面保護板と前記表示パネルとの間にタッチパネルを更に備え、前記タッチパネルは、前記表示用領域と重なる領域から前記不透明領域と重なる領域まで延びた透明電極と、前記遮蔽層と重なる領域に配置された不透明な配線と、を有し、
前記透明電極は、前記不透明領域と重なる領域で前記不透明な配線と電気的に接続されていてもよい。
本発明による表示装置において、前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルであってもよい。
本発明の表示装置用前面保護板及び表示装置によれば、遮蔽層の高温高湿下での密着性低下を改善しつつ、遮蔽層が形成されている不透明領域に赤外透過窓を設けることができる。
図1(a)及び図1(b)は、本発明による表示装置用前面保護板の一実施形態を説明するための図であり、図1(a)は、平面図を示し、図1(b)は、図1(a)に示すC−C線に沿った断面における断面図を示す。 図2は、赤外透過層における、可視光と透過率スペクトルとの関係を例示するグラフである。 図3は、本発明による表示装置用前面保護板の別の実施形態を説明する断面図である。 図4(a)は、図3に示す表示装置用前面保護板の平面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す透明電極を示す部分図である。 図5は、図1に示す表示装置用前面保護板を備えた表示装置の一実施形態を模式的に説明する断面図である。 図6は、赤外透過窓が設けられた従来の表示装置の一例を示す平面図である。 図7は、図6に示す表示装置の主要な構成部品の一例を模式的に示す図であり、図7(a)は、分解平面図を示し、図7(b)は、図7(a)に示すC−C線における断面図を示す。 図8は、従来の表示装置用前面保護板の他の例を示す断面図である。 図9は、従来の表示装置用前面保護板の更に他の例を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、説明の便宜上、適宜、構成要素の縮尺及び縦横比等は誇張されていることがある。
〔A〕用語の定義:
以下に、本明細書において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「表側」とは、表示装置用前面保護板10或いはその他の構成要素において、表示装置用前面保護板10を表示パネル30と組み合わせて使用したときに、表示パネル30から表示光が出光する側であり、表示パネル30からの映像を観察する側を意味する。「裏側」とは、前記「表側」とは反対側を意味し、表示装置用前面保護板10或いはその他の構成要素において、表示パネル30の表示光が入光する側を意味する。「第1面」と「第2面」とは、何れかが前記「表側」となり、何れが前記「表側」となるかは任意である。本実施形態においては、遮蔽層3及び赤外透過層2を必ず有する側の面を「第2面」と呼ぶことにしている。通常、第2面が裏側の面となる。
〔B〕表示装置用前面保護板:
本実施形態による表示装置用前面保護板を、図1に示す一実施形態を参照して説明する。図1(a)は、平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すC−C線に沿った断面における断面図である。
本実施形態の表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図に示すように、中央の表示用領域A1と、この表示用領域A1の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域A2とを有し、この不透明領域A2の領域内の一部に赤外光を透過する赤外透過窓4が設けられている。
図1(b)の断面図に示すように、本実施形態における表示装置用前面保護板10は、透光性基板1と、この透光性基板1の第1面S1とこの第1面S1とは反対側の第2面S2との2面のうちの第2面S2の側において、前記不透明領域A2に形成された遮蔽層3であって、可視光と共に赤外光も遮蔽し、前記赤外透過窓4となる部分は非形成部として形成された遮蔽層3と、前記一方の面の側である前記第2面S2の側において、前記不透明領域内A2であって前記遮蔽層3の非形成部を含む部分に積層された赤外透過層2であって、可視光を遮蔽し赤外光を透過する赤外透過層2とを有する。前記遮蔽層3は、赤外光を透過しない、すなわち、赤外光に遮蔽性(遮光性)を有するため、赤外透過窓4とする部分は、非形成部となっている。一方、前記赤外透過層2は、前記赤外透過窓4となる部分の遮蔽層3の非形成部のみならず、前記透光性基板1と前記遮蔽層3との間の全領域に亘って形成されている。もっとも、図示する例に限定されず、赤外透過層2及び遮蔽層3は、ともに、透光性基板1の第1面S1と第2面S2のうちの少なくとも一方の面の側の不透明領域A2に形成されていればよく、前記一方の面は、第1面S1及び第2面S2のいずれでもよい。
前記遮蔽層3は、着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層となっている。本実施形態においては、前記着色顔料はカーボンブラック、チタンブラック等の無機物からなる黒色顔料を含み、黒色を表現した層となっている。
前記赤外透過層2は、着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層であり、しかも、前記着色顔料は互いに異なる色であって黒色以外の着色顔料を3種類、具体的には、赤色、黄色、青色の3種類を含むことで、前記遮蔽層3と同じ色の黒色を表現し、なお且つ赤外透過性の層となっている。
本実施形態においては、赤外透過層2及び遮蔽層3は透光性基板1の第2面S2上に、この順で設けられている。本実施形態では、このうち第2面S2を裏側に向け第1面S1を表側に向けて、言い換えると、第2面S2をタッチパネル20や表示パネル30側に向けて、第1面S1を観察者V側に向けて、用いることを想定している。
前記赤外透過層2及び遮蔽層3は、どちらも着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を透光性基板1上に塗布し、フォトリソグラフィ法によってパターン形成することで、赤外透過層2及び遮蔽層3の各膜厚を合計した膜厚が5μm以下となるように形成されている。
以上のような構成とすることで、本実施形態における表示装置用前面保護板10では、赤外透過窓4を、遮蔽層3がある不透明領域A2の領域内部に、遮蔽層3の高温高湿下での密着性を改善しつつ設けることができる。また、不透明領域A2において、赤外透過窓4の部分の色と、赤外透過窓4がない部分の色とを同色にでき、赤外透過窓4が目立ち難い製品デザインとすることができる。また、赤外透過層2に使用する3種類以上の着色顔料同士の割合を調整することで、表現色が黒色の場合であっても、その反射色の色味を調整できる。しかも、この色見の調整を、赤外透過層2が赤外透過窓4のみならず、遮蔽層3の形成部の全領域に形成されることから、不透明領域A2の全領域の色味を調整できる。
以下、構成要素毎にさらに詳述する。
〔表示用領域A1と不透明領域A2〕
表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図で例示したように、中央に表示用領域A1を有し、表示用領域A1の外周部に、可視光を遮蔽する不透明領域A2を有する。この不透明領域A2の内部に赤外透過窓4が設けられている。表示用領域A1は、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示す表示パネル30に適用したときに、表示パネル30からの表示光を透過させて映像を表示できる領域である。不透明領域A2は、表示パネル30の外周部に配置された配線、コネクタなどを隠したり、或いは、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示すタッチパネル20に適用したときに、タッチパネル20の外周部に配置された不透明な配線、コネクタなどを隠したりする為の領域である。また、不透明領域A2は、それが表現する色、適宜設けるロゴやマークなどの可視情報6によって加飾部にもなる領域である。
〔赤外透過窓4〕
赤外透過窓4は、本実施形態においては、不透明領域A2の領域内に設けられ、可視光を遮蔽し赤外光を透過する部分となっている。赤外透過窓4を表示装置用前面保護板10に設けることによって、表示装置用前面保護板10を適用する表示装置の赤外透過窓4と重なる部分に、赤外線の検知に利用する人感センサなどの赤外光利用部品を設置することが可能となる。赤外透過窓4の部分に設置する赤外光利用部品としては、人感センサ以外でも良く、赤外線を利用するものであれば特に限定はない。例えば、情報の送受信を行う赤外線通信ポートとして赤外透過窓4を利用しても良い。
このように、本実施形態においては、表示装置用前面保護板10自体が、赤外透過窓4を有するので、表示装置のケースに赤外透過窓を設ける必要がない。このため、その分、表示装置のケース中で、表示装置用前面保護板10を取り囲む枠部分を細くして、表示装置用前面保護板10が露出する部分の面積をより広くした製品デザインも可能となる。しかも、赤外透過窓4は、表示装置用前面保護板10が収まる表示装置のケースにではなく、表示装置用前面保護板10の不透明領域A2内に設けてあるので、外観デザインを損なうこともない。
〔透光性基板1〕
透光性基板1は、少なくとも可視光及び赤外光を透過し、表示装置用前面保護板10を適用するタッチパネル20や表示パネル30に対して、これらの表面を保護し得る機械強度を有するものであれば、特に制限はなく、代表的にはガラス板を用いることができる。とくに、前記ガラス板として、化学強化ガラスはフロートガラスに比べて機械的強度に優れ、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代えるなどイオン種を一部交換するような化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスである。特に本実施形態では、透光性基板1が化学強化ガラスであっても、赤外透過層2が前記遮蔽層3の透光性基板1に対する下地としての密着強化層としても機能することによって、前記遮蔽層3及び赤外透過層2の2層の透光性基板1に対する高温高湿下での密着性の低下を改善できる。この点で、透光性基板1として化学強化ガラスは好ましい基板の一種である。透光性基板1には、樹脂を用いることも可能である。例えば、前記樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。透光性基板1に樹脂を用いることで、軽量にできる上、可撓性を持たせることも可能となる。
〔赤外透過層2〕
図1に例示する赤外透過層2は、タッチパネル20及び表示パネル30側となる裏側に面した、透光性基板1の第2面S2の不透明領域A2の部分に形成されている。赤外透過層2は、不透明領域A2内の赤外透過窓4の部分のみならず、その全領域に設けられている。つまり、赤外透過性を確保すると言う意味では、本来ならば赤外透過窓の部分のみに形成すれば良いにも拘らず、不透明領域A2において透光性基板1と遮蔽層3との層間の全領域にも設けられている。その理由は、この赤外透過層2は単に赤外透過窓4に対応するだけではなく、遮蔽層3と透光性基板1との高温高湿下での密着性の低下を改善する、密着強化層としての機能も有するからである。そのため、遮蔽層3は直接に透光性基板1の面に接することなく、その間に赤外透過層2を介して形成される。赤外透過層2が前記遮蔽層3の透光性基板1に対する下地となって密着強化層としても機能することによって、前記遮蔽層3及び赤外透過層2の両層の透光性基板1に対する高温高湿下の密着性が改善されている。赤外透過層2は不透明領域A2内において、遮蔽層3の形成部及び赤外透過窓4を構成する遮蔽層3の非形成部に、形成されているが、赤外透過層2は遮蔽層3の外輪郭の外側近傍など、不透明領域A2の領域内のその他の領域に形成されていても良い。この場合、遮蔽層3の外輪郭の外側で赤外透過層2のみが形成された部分は、この赤外透過層2の可視光に対する遮光性によって、不透明領域A2を形成する。例えば、赤外透過層2の外輪郭を、遮蔽層3の外輪郭を内側に含む様に若干大きめにして、赤外透過層と遮蔽層3との形成時の位置ズレが生じた場合に、これを目立たなくすることができる。
赤外透過層2の赤外光に対する透過性は、要求仕様、表現色、赤外透過窓4に適用する赤外線センサなどの赤外利用部品にもよるが、一例を示せば、赤外領域での透過率を80%以上にする。本実施形態では、このような赤外領域での透過率となっている。前記透過率を80%以上とする赤外領域は、必ずしも780nm以上の領域でなくてもよく、例えば850nm以上の領域であれば、充分に対応可能である。なお、透過率80%以上とする赤外領域の上限は、近赤外域、それも通常、1300nmとなっていれば、十分である。赤外透過層2の可視光に対する遮光性は、要求仕様、表現色にもよるが、赤外透過窓4と重なる赤外透過層2のみとなる部分は、通常、スポット的に小さいため、必ずしも、赤外透過層2と遮蔽層3とが積層された部分の遮光性のレベルに合わせる必要はない。このため、赤外透過層2単独での可視光に対する遮光性は、一例を示せば、透過率で言えば大きくても50%以下(光学濃度ODにて0.2以上)、より好ましくは透過率で25%以下(光学濃度OD0.6以上)、さらに好ましくは透過率で10%以下(光学濃度OD1.0以上)が望ましい。本実施形態では、赤外透過層2は、赤外光領域に対しては、波長850nm以上1300nm以下で80%以上の透過率となっており、可視光領域に対しては10%以下の透過率となっている。なお、この透過率とは、平均値ではなく、波長毎の値である。
赤外透過層2は、感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に着色顔料を含む層からなる。赤外透過層2の形成法は基本的には特に限定されないが、例えば、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を、透光性基板1の面上に塗布した後、所定のパターンで露光し、現像するという、いわゆるフォトリソグラフィ法により赤外透過層2を形成することができる。本実施形態においては、前記赤外透過層2はフォトリソグラフィ法によって形成したものである。このように感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した赤外透過層2は、スクリーン印刷法に比べて、膜厚を薄く、例えば3μm以下に容易に形成でき、赤外透過層2及び遮蔽層3が重なりあった2層積層部分でのこれらの両層の形成部と非形成部との境界に生じる赤外透過層2及び遮蔽層3との合計の膜厚による表面の段差を小さくできる点で好ましい。感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した赤外透過層2の膜厚は、具体的には、0.2〜3μmとすることができる。しかも、赤外透過層2を遮蔽層3と同じ色、例えば黒色とする場合でも、不透明領域A2としての遮光性は、赤外透過層2と遮蔽層3との両方の層によって実現すれば良いので、赤外透過層2の膜厚を0.3μm以上とすれば、全体として充分な遮光性を得ることができる。
本実施形態においては、赤外透過層2は、不透明領域A2にパターン状に形成されるが、パターン形成する方法は、フォトリソグラフィ法に限定されものではなく、赤外透過層2及び遮蔽層3による段差の問題を解決できるならば、この他のパターン形成法、例えば、前記したスクリーン印刷法、或いはインクジェット印刷法などであっても良い。但し、前記した様に、スクリーン印刷法に比べて、段差の問題を効果的に解決できる程度に薄くでき、且つ高精度で容易に形成できる等の点で、フォトリソグラフィ法は好ましい形成法の一種である。
[着色顔料]
本実施形態にて赤外透過層2に用いる着色顔料とは、黒色を呈する黒色顔料以外の着色顔料、言い換えると黒色以外の着色顔料を意味する。前記黒色を呈する黒色顔料は、例えば、チタンブラック(低次酸化チタン、酸窒化チタンなど)、カーボンブラックなどである。一方、本実施形態では、赤外透過層2は、黒色以外の着色顔料を用いて黒色を表現する。黒色以外の着色顔料は、例えば、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料などを用いることができる。このように、着色顔料としてチタンブラック(低次酸化チタン、酸窒化チタンなど)、カーボンブラックなどの無機系の黒色顔料を用いずに、着色顔料を用いることで、赤外透過層2に、可視光は遮蔽するが赤外光は透過する光学的特性を付与することができる。また、遮蔽層3の色と同色系統にするなど色合わせすることもできる。赤外透過層2の色は、不透明領域A2のデサイン的な統一感の点では、遮蔽層3の色と同じ色にするのが好ましい。
前記赤色顔料は、例えば、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、ペリレン系などの赤色顔料であり、前記黄色顔料は、例えば、イソインドリン系、アントラキノン系などの黄色顔料であり、前記青色顔料は、例えば、銅フタロシアニン系、アントラキノン系などの青色顔料であり、前記緑色顔料は、例えば、フタロシアニン系、イソインドリン系などの緑色顔料、などである。さらに具体例を示せば、ピグメントレッド254(PR254)などのジケトピロロピロール系の赤色顔料、ピグメントレッド177(PR177)などのアントラキノン系の赤色顔料、ピグメントイエロー139(PY139)などのイソインドリン系の黄色顔料、ビグメントブルーPB15:6(PB15:6)などの銅フタロシアニン系の青色顔料、などを用いることができる。また、前記紫色顔料では、ビグメントバイオレット23(PV23)などのキナクリドン系の紫色顔料を用いることができる。また、これら以外の色、つまり色相を呈する、着色顔料を用いることもできる。着色顔料の粒子の大きさは、平均粒径で1μm以下であり、好ましくは大よそ0.03〜0.3μmである。
本実施形態においては、赤外透過層2に含有させる着色顔料は、互いに異なる色であって黒色以外の着色顔料を少なくとも3種類以上含む。前記互いに異なる色の着色顔料の組み合わせは、例えば、赤色着色顔料と黄色着色顔料と青色着色顔料との3種類の組み合わせを挙げることができる。この赤色と黄色と青色の3色の組み合わせは、各色の着色顔料の含有量を調整することで、黒色顔料を含ませないで黒色を表現できる上、任意の幅広い有彩色も表現できる点で好ましい組み合わせの一つである。前記3色からなる3種類の着色顔料の組み合わせは、互いに異なる色であって黒色以外の着色顔料として2種類を用いた組み合わせでは表現できない色でも幅広く多様に表現できる点で好ましい。また、前記紫色顔料のように、例えば前記3色の組み合わせに対して、3色以外の色の着色顔料をさらに含有させると、より幅広い色を表現できる。例えば、紫色顔料をさらに含有させて4種類4色の組み合わせとしてもよい。
前記赤色着色顔料と黄色着色顔料と青色着色顔料との組み合わせにおいて、各着色顔料の好ましい具体例を示せば、赤色着色顔料としてアントラキノン系の赤色顔料或いはジケトピロロピロール系の赤色顔料、黄色着色顔料としてイソインドリン系の黄色顔料、青色着色顔料として銅フタロシアニン系の青色顔料が挙げられる。より具体的に示せば、例えば、アントラキノン系の赤色顔料として、ピグメントレッド177(PR177)、より好ましくは、ジケトピロロピロール系の赤色顔料として、ピグメントレッド254(PR254)を用い、イソインドリン系の黄色顔料としてピグメントイエロー139(PY139)を用い、銅フタロシアニン系の青色顔料としてビグメントブルーPB15:6(PB15:6)を用いる3色組み合わせである。この3色組み合わせによって、カーボンブラックによる黒色に比べて、遜色のない黒色を表現することができる。
図2に示す透過率スペクトルのグラフは、前記のように黒色以外の3色の着色顔料の組み合わせによって黒色を表現した場合の、赤外透過層3の透過率スペクトルの一例を示す。このように、波長800から少なくとも1300nmの赤外域、より具体的には近赤外域であって少なくとも波長1300nm以下の近赤外域において、透過率50%以上の赤外透過性能が得られ、波長850nm以上においては、好ましい透過率である透過率80%以上に対して、透過率90%以上の赤外透過性能が得られている。一方、波長380〜780nmの可視光域においては、各波長にて透過率5%以下の充分な可視光に対する遮光性が得られることが判る。
本実施形態においては、着色顔料として、互いに異なる色であって黒色以外の着色顔料を3種類含むことで、黒色を表現したが、本実施形態においては、このように、含有させる3種類以上の黒色以外の着色顔料の顔料種や混合割合を調整することで、黒色顔料によって黒色を表現する場合と比べて、同じ黒色であっても、その反射色の色味を調整できる効果も得られる。これは、同じ黒色でも、例えば、青みを帯びた黒とか、赤みを帯びた黒などがあるからである。例えば、表示装置用前面保護板10を適用する表示パネル30が液晶表示パネルである場合、バックライト消灯時となる非表示状態での表示用領域A1の黒色の色味と、黒色とした赤外透過層2と遮蔽層3とによる不透明領域A2の色味を近づけて、表示パネル30の非表示状態の色が反映される表示用領域A1と、黒色とした赤外透過層2と遮蔽層3との色が反映される不透明領域A2と、のそれぞれの色味が、全体として調和した外観となるように調整することが可能となる。こうした、赤外透過層2による色表現機能は、本赤外透過層2が、赤外透過窓4の部分のみならず、遮蔽層3の形成部分の全領域に形成される構成ならではの利点である。
赤外透過層2の着色顔料の含有量は、必要とされる可視光遮光性及び赤外光透過性にもよるが、着色顔料及び樹脂バインダを含む赤外透過層2の全固形分量に対する着色顔料の量の百分率で表した、顔料濃度で、例えば、通常10〜60%、好ましくは20〜40%程度である。言い換えると、赤外透過層2の全固形分100質量部に対して、着色顔料は、通常、10〜60質量部、好ましくは20〜40質量部の範囲である。前記着色顔料の含有量とは、互いに異なる色の各着色顔料を全て合計した、着色顔料の総量である。着色顔料の含有量がこの範囲未満であると、密着性に寄与すると考えられる樹脂バインダの赤外透過層2中での割合が増加することから、とりわけ高温高湿下での赤外透過層2それ自体の密着性、ひいては遮蔽層3に対する、遮蔽層3と透光性基板1との高温高湿下の密着性の改善効果の点では有利であるが、可視光に対する遮光性が低下して、段差改善に効果のある膜厚5μm以下にすることが難しくなり、好ましくない。また、着色顔料がこの範囲を超過すると、可視光遮光性の点では有利であるが、とりわけ高温高湿下での赤外透過層2それ自体の密着性の改善効果が低下し、ひいては遮蔽層3に対する、遮蔽層3と透光性基板1との高温高湿下の密着性改善効果の点で好ましくない。赤外光透過性と共に、特に前記密着性の改善効果と可視光遮光性とを満たす為には、前記範囲とするのが好ましい。
以上の様に、赤外透過層2の着色顔料として、カーボンブラックやチタンブラックなどの黒色顔料を用いないことによって、可視光は遮蔽するが赤外光は透過する光学的特性を付与することができる上、その理由は定かではないが、赤外透過層2の膜厚を薄くできる点で有利な感光性樹脂の硬化物層として形成したときの、赤外透過層2それ自体の高温高湿下での密着性の低下を改善でき、ひいては赤外透過層2を介することで、遮蔽層3と透光性基板1との高温高湿下の密着性の低下を改善できることを、見出した。
ところで、単に赤外透過層2を用いて、遮蔽層3の色と調和した赤外透過窓4を、不透明領域A2に設けるのであれば、図8の断面図で例示する、参考構成例としての表示装置用前面保護板50のように、赤外透過窓4の部分を非形成部とした遮蔽層3を、透光性基板1に形成した後に、前記非形成部の部分に、赤外透過層2を形成すれば足りる。しかし、この構成では、遮蔽層3の高温高湿下での密着性の低下を改善することができない。更に、遮蔽層3と赤外透過材料2との境界が透光性基板1越しに露出し、遮蔽層3の前記非形成部に赤外透過材料2を充填した埋め跡が目立ってしまう。別の構成として、図9の断面図で例示する、別の参考構成例としての表示装置用前面保護板50のように、可視光に対して遮光性を有する赤外透過層2の特性を利用して、赤外透過層2のみで不透明領域A2を形成して、この領域内で必要な部分を赤外透過窓4とすることも考えられる。しかし、この構成では、充分な可視光に対する遮光性と、充分な赤外光に対する透明性とを、両立することが難しい。とりわけ、表現色が黒色の場合は、顕著である。
[感光性樹脂]
着色顔料を分散保持する樹脂バインダの樹脂成分となる前記感光性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム、等の反応性ビニル基などの光反応性基を有する感光性樹脂を1種以上用いることができる。前記アクリル系樹脂では、例えば、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート系モノマー、光重合開始剤、その他添加剤などからなる感光性樹脂を樹脂バインダの樹脂成分として用いることができる。
前記アルカリ可溶性樹脂には、ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体などのメタクリル酸エステル共重合体、ビスフェノールフルオレン構造を有するエポキシアクリレートなどのカルド樹脂、などを1種以上用いることができる。前記多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを1種以上用いることができる。なお、本実施形態において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、又は、アクリレートのいずれかであることを意味する。
前記光重合開始剤には、アルキルフェノン系、オキシムエステル系、トリアジン系、チタネート系などを1種以上用いることができる。例えば、アルキルフェノン系では、(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア(登録商標)907、BASFジャパン株式会社製))、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリオフェニル)ブタノン−1(イルガキュア(登録商標)369、BASFジャパン株式会社製))、オキシムエステル系では、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)(イルガキュア(登録商標)OXE01、BASFジャパン株式会社製))などを用いることができる。
赤外透過層2の樹脂バインダとしては、この他、光増感剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、レベリング剤などの、公知の各種添加剤を含むことができる。
[赤外透過層2の形成]
赤外透過層2の形成法は、本実施形態においては、特に限定されないことは既に述べたが、前記感光性樹脂の未硬化物を含む樹脂バインダ中に所定の3種以上の着色顔料を含有する着色感光性樹脂組成物によって、赤外透過層2を形成することができる。前記着色感光性樹脂組成物には、さらに、この樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布する際の塗布適性調整などの為に、溶剤を含むことができる。前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート、等を1種以上用いることができる。
以上の様な、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物を含む着色感光性樹脂組成物、或いは、前記着色顔料、前記感光性樹脂の未硬化物としては、従来、カラーフィルタ用途として調整された着色レジストを用いても良い。
着色感光性樹脂組成物を、透光性基板1の面上に塗布する方法は、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ビードコート法などの公知の塗工法によることができる。
着色感光性樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布した後は、フォトリソグラフィ技術を用いて露光、現像、ベークなどの所定の工程を経てパターニングすることにより、透光性基板1の面上の一部に、所定パターンの赤外透過層2を形成することができる。
〔遮蔽層3〕
図1に例示する実施形態における遮蔽層3は、タッチパネル20及び表示パネル30の側を向く透光性基板1の裏側、すなわち、透光性基板1の第2面S2の側となる不透明領域A2の領域に形成されている。より具体的には、遮蔽層3は、不透明領域A2中の赤外透過窓4の部分を除く全領域に形成されている。この遮蔽層3と前記赤外透過層2とによって、不透明領域A2が、可視光に対して不透明な領域として形成される。遮蔽層3は、可視光には遮光性である前記赤外透過層2と共に、タッチパネル20の中央の位置検知領域に対してその外周部に配置された配線や制御回路、或いは表示パネル30の中央の表示領域に対してその外周部に配置された配線や制御回路などを隠し、これら配線や制御回路を目視不能にする。これにより、遮蔽層3は、タッチパネル20や表示パネル30を用いた表示装置において、外観を損なわないようにする機能を有する。
遮蔽層3は、少なくとも可視光を遮蔽すれば良く、不透明領域A2としての可視光に対する必要な遮光性を、この遮蔽層3と、前記赤外透過層2の可視光部分での遮光性とによって実現すれば良い。したがって、遮蔽層3単独としての遮光性は、その分、小さくても良く、膜厚を薄くもできる。ただ、遮蔽層3は、黒色を表現する場合で言えば、カーボンブラックの他、チタンブラックのようにカーボンブラックに比べて膜厚が薄くても遮光性に優れた黒色顔料を含有させることができる。したがって、遮蔽層3は、膜厚が薄くても充分な可視光に対する遮光性を得ることが可能である。例えば、遮蔽層3は膜厚1.5μmで光学濃度OD5.0(透過率で10万分の1)の遮光性を容易に実現できる。不透明領域A2としての可視光に対する遮蔽性つまり遮光性は、遮蔽層3と、赤外透過層2とによって得られたものでよい。通常、遮蔽層3及び赤外透過層2との両層合わせての遮光性は、要求仕様、表現色にもよるが、透過率で言えば大きくても3%以下(光学濃度ODにて1.5以上)、より好ましくは透過率で1%以下(光学濃度OD2.0以上)、さらに好ましくは透過率で0.01%以下(光学濃度OD4.0以上)となることが望ましい。
ただし、本実施形態のように、とくに黒色顔料を含有する遮蔽層3それ自体は、透光性基板1、特に化学強化ガラス製の透光性基板1との、高温高湿下での密着性の低下の問題を生じ得る。しかし、これらの間に常に前記赤外透過層2を介在させることで、こうした黒色顔料で黒色を表現した不透明領域A2であっても、高温高湿下での密着性の低下の問題を改善しつつ、赤外透過窓4を前記赤外透過層2によって形成することが可能となる。また、遮蔽層3は、常に前記赤外透過層2を介して透光性基板1に積層されていることから、本実施形態にように、遮蔽層3のみで黒色を表現した場合に遮蔽層3の反射率が高くなり、特に太陽光下などでコントラストが損なわれる現象も、赤外透過層2の存在によって改善することができる。また、赤外透過層2は遮蔽層3に対して表側となる透光性基板1側に、遮蔽層3の形成部及び遮蔽層3の非形成部である赤外透過窓4の部分も含めた領域に積層されている。このため、不透明領域A2の外観色を、赤外透過窓4の部分も含めて一葉な色にできるので、赤外透過窓4を違和感のないデザインで設けることができる。
遮蔽層3は、黒色顔料を含み得る着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層からなる。遮蔽層3の形成法は基本的には特に限定されないが、例えば、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を、透光性基板1の面上に塗布した後、所定のパターンで露光し、現像するという、いわゆるフォトリソグラフィ法により形成することができる。本実施形態においては、前記遮蔽層3はフォトリソグラフィ法によって形成したものである。
このように感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した遮蔽層3は、スクリーン印刷法に比べて、膜厚を薄く、5μm以下、より好ましくは、例えば1.5μmなどと3μm以下に容易にでき、遮蔽層3及び赤外透過層2が重なりあった積層部分でのこれらの両層の形成部と非形成部との境界に生じる遮蔽層3及び赤外透過層2との合計の膜厚による縁部の段差を小さくできる点で好ましい。感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した遮蔽層3の膜厚は、具体的には、0.2〜3μmとすることができる。しかも、遮蔽層3を赤外透過層2と同じ色、例えば黒色とする場合でも、不透明領域A2としての遮光性は、遮蔽層3と赤外透過層2との両方の層によって実現すれば良いので、遮蔽層3の膜厚は0.5μm以上で、全体として必要な遮光性を得ることができる。ただし、遮蔽層3を黒色とする場合は、黒色の遮光性を考慮すると、遮蔽層3の膜厚は0.5μm以上が好ましい。
本実施形態においては、遮蔽層3は、不透明領域A2にパターン状に形成されるが、パターン形成する方法は、フォトリソグラフィ法に限定されものではなく、遮蔽層3と赤外透過層2との合計の膜厚による縁部の段差の問題を解決できるならば、この他のパターン形成法、例えば、前記したスクリーン印刷法、或いはインクジェット印刷法などであっても良い。但し、前記した様に、スクリーン印刷法に比べて、段差の問題を効果的に解決できる程度に薄くでき、且つ高精度で容易に形成できる等の点で、フォトリソグラフィ法は好ましい形成法の一種である。
[着色顔料]
本実施形態にて遮蔽層3に用いる着色顔料としては、黒色を呈する黒色顔料、及び、黒色以外の着色顔料のいずれも用いることができる。前記黒色を呈する黒色顔料は、例えば、チタンブラック(低次酸化チタン、酸窒化チタンなど)、カーボンブラックなどを用いることができる。チタンブラックは、カーボンブラックに比べて同濃度、同膜厚で、可視光に対するより高い遮光性が得られ、その分、同じ遮光性であれば膜厚を薄く、前記段差を小さくできる点で、好ましい黒色顔料の一種である。黒色以外の着色顔料は、例えば、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料などを用いることができる。着色顔料の含有量は、必要とされる可視光に対する遮光性、及び色にもよるが、着色顔料及び樹脂バインダを含む遮蔽層3の全固形分量に対する着色顔料の量の百分率で表した、顔料濃度で、例えば10〜70%程度である。充分な遮光性を確保する点では、なるべく顔料濃度は高い方が望ましい。
[感光性樹脂]
着色顔料を分散保持する樹脂バインダの樹脂成分となる前記感光性樹脂としては、前記赤外透過層2で列記した樹脂を用いることができる。このため、更なる説明を省略する。
〔可視情報6〕
図1に例示する本実施形態における表示装置用前面保護板10では、赤外透過層2及び遮蔽層3が形成される不透明領域A2に、可視情報6として製品のロゴマークが形成されている。本実施形態においては、不透明領域A2に対して、製品ロゴマーク以外に、可視情報6として、操作説明用の文字や記号、模様などを設けることができる。可視情報6は、例えば、赤外透過層2の非形成部及び遮蔽層3の非成形部を互いに重なり合うように配置した非形成部のパターンとして形成するか、或いは赤外透過層2と透光性基板1との間に、赤外透過層2或いは遮蔽層3とは色の異なるパターンの層として形成することができる。赤外透過層2或いは遮蔽層3とは別の色の層として形成する場合は、前記赤外透過層2或いは遮蔽層3と同様の材料及び方法を用いて可視情報6を形成することができる。或いは、前記赤外透過層2の非形成部及び遮蔽層3の非形成部を互いに重なり合うように配置した部分の前記遮蔽層3の裏側に、或いは、前記非形成部を含む前記赤外透過層2と遮蔽層3との間に、蒸着やスパッタ等の気相成長法で形成したアルミニウムなどの金属薄膜を用いることもできる。
本実施形態においては、不透明領域A2に形成される可視情報6は、不透明領域A2の領域内であるからといって、必ずしも赤外透過層2及び遮蔽層3による遮光性と同程度に不透明である必要はない。例えば、暗所でも判るように裏面から照明される操作説明用の文字や記号などの可視情報6であってもよい。また、本実施形態においては、タッチパネル20や表示パネル30の外周部に配置された配線などを隠蔽することに支障を来たさなければ、例えば、赤外透過層2の非形成部及び遮蔽層3の非形成部を互いに重なり合うように配置した非形成部のパターンとして形成した可視情報6のように、言い換えると、赤外透過層2や遮蔽層3によって外輪郭を画成されることによって認識可能となる可視情報6のように、可視情報6が周囲の部分より透過率が高い、典型的には透明な部分であるなど、遮光性が赤外透過層2よりも小さい領域が一部に存在しても良い。
〔変形形態〕
本実施形態の表示装置用前面保護板10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
[タッチパネル機能との一体化]
図1で示した前記実施形態では、表示装置用前面保護板10は、透光性基板1と赤外透過層2と遮蔽層3とからなり、赤外透過窓4が設けられ、さらに可視情報6も有する形態例であった。しかし、本実施形態においては、更にその他の構成要素を設けても良い。その一例が、タッチパネル機能との一体化である。例えば、透光性基板1にタッチパネル用の透明電極を設けて、透光性基板1をタッチパネル用基板として兼用しても良い。タッチパネル機能との一体化が、タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化する形態である場合には、部品点数の低減及び薄型化の効果が得られる。より好ましくは、タッチパネルとしての必要な機能の全部を一体化する形態である。
タッチパネルとして必要な機能の全部を一体化した表示装置用前面保護板10は、タッチパネルと言うこともできる。タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化した表示装置用前面保護板10は、タッチパネル用部材と言うこともできる。例えば、タッチパネル機能の一部を一体化する場合、そのタッチパネル機能として位置検知用の透明電極が必要な方式では、少なくとも前記透明電極を表示装置用前面保護板10に一体化する。タッチパネルの位置検知方式について従来から各種の方式が知られており、透明電極が2層になる位置検知方式では、このうちの少なくとも1層を、より好ましくは2層を表示装置用前面保護板10に一体化するのが望ましい。以下、図3の実施形態を参照して、タッチパネル機能の一体化の一例を説明する。
図3の断面図で示す表示装置用前面保護板10では、赤外透過層2及び遮蔽層3を形成した側の第2面S2側に、さらに、タッチパネル用の透明電極8及び配線9を形成した構成例である。ここでのタッチパネル用の透明電極8は、投影型静電容量方式の電極である。より具体的には、遮蔽層3は、赤外透過層2に隣接する一方の面S3と、当該一方の面S3とは反対側に位置する他方の面S4を有し、遮蔽層3の他方の面S4側に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極8が形成されていると共に、表示用領域A1から赤外透過層2及び遮蔽層3がある不透明領域A2の部分に延び、前記遮蔽層3と重なる領域に配置された不透明な配線9と不透明領域A2で電気的に接続されている。図3の断面図では、図面の煩雑化を防ぐために、赤外透過窓4の図示を省略してある。
図4(a)及び図4(b)の平面図に、前記透明電極8のパターン形状を模式的に示す。図に示す例では、第1の方向(図中、上下方向)に延びる複数の第1の透明電極8aと、前記第1の方向と直交する第2の方向(図中、左右方向)に延びる複数の第2の透明電極8bとが、互いに絶縁されて、透光性基板1の同一の側、すなわち第2面S2の側に形成されている。この図4(a)には、不透明領域A2内に設けられた赤外透過窓4及び可視情報6が図示されている。この種の投影型静電容量方式の透明電極8のパターンでは各種パターンが周知であるので、ここでは簡単に説明する。図4では、図4(b)の部分平面図で示すように、一つの第1の透明電極8aは、菱形形状の複数の大面積部8aLと、隣り合う前記大面積部8aL同士を接続する接続部8aCと、位置検知領域の外周部まで延びて配線9に電気的に接続する為の不図示の取出し部と、から構成される。同様に、一つの第2の透明電極8bも、菱形形状の複数の大面積部と、隣り合う前記大面積部同士を接続する接続部と、取出し部と、から構成される。ただし、図4(a)では、各透明電極8a,8bに関して、その大面積部のみを描いてあり、接続部及び取出し部の図示を省略してある。また、透明電極8aの大面積部と、透明電極8bの大面積部とは、同一平面上に形成されている。それぞれの接続部は、透明電極8aでは、図4(b)のように、大面積部8aLと接続部8aCとが同一平面上に連続層として形成される。一方、透明電極8bでは、その大面積部と接続部とを同一平面上で連続層として形成すると、前記透明電極8aとの絶縁を確保することができなくなる。このため、前記透明電極8aと交差する部分(具体的には、透明電極8aの接続部8aCの所)には、オーバーコート層7bを絶縁層として設けて、この絶縁層を跨いで、透明電極8bの接続部が形成されることで、前記絶縁を確保している。
そして、図3に示す表示装置用前面保護板10では、透光性基板1の第2面S2に、前記赤外透過層2及び遮蔽層3の部分も含めて、表示用領域A1及び不透明領域A2に亘ってオーバーコート層7aを形成することで、2層合わせた合計で5μm以下の膜厚で形成された赤外透過層2及び遮蔽層3による縁部の段差をさらに軽減してある。さらに、このオーバーコート層7aの面に、第1の透明電極8aの大面積部と接続部と取出し部とが形成され、第2の透明電極8bは大面積部と取出し部のみが形成されている。さらに、これら透明電極8a,8bが形成された後、透明電極8aと第2の電極8bとが交差する部分に、絶縁層としてオーバーコート層7bを部分的に形成した上で、第2の透明電極8bの接続部がこのオーバーコート層7b上を通って隣り合う透明電極8bの大面積部に掛け渡されている。そして、第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bが、中央の位置検知領域から前記遮蔽層3に重なる領域まで延び、それ自体が不透明で目視できる配線9に接続されている。配線9は、図面では、第1の透明電極8aに対してのみ描いてある。さらに、配線9を形成後の、透光性基板1の配線9が形成された側の第2面S2のほぼ全面に、オーバーコート層7cが形成され、第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bの表面を含む、表示装置用前面保護板10としての表面を、傷付きなどから保護している。ただし、このオーバーコート層7cは、配線9がフレキシブルプリント配線基板(FPC)を介して制御回路に接続する部分には形成されず、配線9が露出されている。
前記オーバーコート層7a、オーバーコート層7b、及び、オーバーコート層7cには、透明な樹脂、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができ、具体例を挙げれば、熱硬化性のエポキシ樹脂などを用いることができる。また、前記赤外透過層2や遮蔽層3で述べた感光性樹脂などを用いることもできる。感光性樹脂の場合は、部分形成するときにフォトリソグラフィ法を利用することができる。各オーバーコート層7のうち、少なくとも、第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとの交差部分にて絶縁層の役割を担うオーバーコート層7bは、透明で且つ電気絶縁性を有している。これらのオーバーコート層は、前記赤外透過層2や遮蔽層3と同様の塗工法で形成され得る。
前記第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bには、ITO(Indium TinOxide;インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide;インジウム亜鉛化物)、AZO(Aluminum Zinc Oxide;アルミニウム亜鉛酸化物)等の透明導電体薄膜をパターン形成したものを用いることができる。
前記配線9には、例えば、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属(を含むその合金)などを用いることができる。例えば、配線9には、銀、パラジウム及び銅からなる合金(APCとも言う)の金属層としてスパッタ法により製膜後、当該金属層をフォトリソグラフィ法によりパターン形成したものを用いることができる。
このように、本実施形態では、タッチパネルとしての中央の位置検知領域の周辺に設けられる、それ自体が不透明で目視され得る配線9は、遮蔽層3と平面視において重なる領域内に設けられることで、表示装置に適用されたときに外観を損なうことがない。しかも、赤外透過層2を透光性基材1と遮蔽層3との間に設けることによって、遮蔽層3に関連した反射率が高いあるいは高温高湿下で密着性が低下するといった不具合が改善されている。さらに、遮蔽層3及び赤外透過層2の2層合計による段差の問題も改善されており、赤外透過層2に積層された遮蔽層3の部分まで透明電極を延ばして形成しても、断線する可能性を軽減できる。さらに、タッチパネル機能も備えており、部品点数の削減、軽量化にも効果的である。
〔C〕表示装置:
本実施形態による表示装置は、上記した表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備える。また、本実施形態による表示装置は、前記表示装置用前面保護板10がタッチパネル機能を備えていない場合は、タッチパネルを備えてもよい。そして、本実施形態による表示装置は、上記した表示装置用前面保護板10と、タッチパネルと、表示パネルとを備えるとともに、前記タッチパネルは、位置検知用の透明電極の周囲に配置された不透明な配線が前記表示装置用前面保護板10の遮蔽層3に重なり前記表示装置用前面保護板10側から目視不能となるように配置される構成であってもよい。あるいは、本実施形態による表示装置は、タッチパネル用の透明電極及び不透明な配線も有する表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備える構成あってもよい。
図5は、本発明による表示装置の実施形態例であり、同図に示す表示装置100は、図面上方の観察者V側の表側から順に、表示装置用前面保護板10、タッチパネル20、表示パネル30を備えている。本実施形態においては、表示装置用前面保護板10は、前述した表示装置用前面保護板10である。より具体的に、この表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能を一体化していない形態のものである。また、タッチパネル20には、模式的に、配線9と透明電極8とを図示してある。表示装置用前面保護板10に設けられた赤外透過窓4の裏側(図面で下方)には、人感センサなど赤外利用部品が表示装置100の構成要素として設けられるが、同図では、この赤外利用部品の図示を省略してある。
前記タッチパネル20は、典型的には、マルチタッチ(多点同時入力)が可能な投影型静電容量方式のタッチパネルであるが、この他、表面型静電容量方式、抵抗膜方式、電磁誘導方式、光学方式、など、透明電極を必要としない位置検知方式も含めた公知の各種位置検知方式のタッチパネルのいずれでも良い。タッチパネル20は、中央の位置検知領域の外周部に、配線9、制御回路、これらを電気的に接続するコネクタなどの何らかの不透明な構成要素を有する。これらの不透明な構成要素が、表示装置用前面保護板10の不透明領域A2の遮蔽層3に平面視において重なって隠れる位置となるように、タッチパネル20と表示装置用前面保護板10とが配置されている。このため、これら配線9などの不透明な構成要素が、表示装置100の外観を損なわない様にすることができる。
前記表示パネル30としては、液晶表示パネル、電界発光(EL)パネルが代表的であるが、この他、電子ペーパーパネル、ブラウン管によるディスプレイ装置でもよく、公知の各種表示パネルでよい。
以上のような構成の、表示装置100とすることで、赤外透過窓4を表示装置用前面保護板10に組み込んだ製品デザインが可能となる上、タッチパネル20の位置検知領域の外周部、或いは表示パネル30の表示用領域の外周部、において存在する、表示内容それ自体には不要な、配線、コネクタ、制御回路などの各種構成要素を隠して、これらにより外観が損なわれることを防ぐことができる。
[表示装置としての変形形態]
本実施形態による表示装置100では、表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能が何ら一体化されてない形態であった。しかし、本実施形態においては、表示装置100が備える表示装置用前面保護板10は、タッチパネル機能の一部または全部が一体化されたものとしても良い。もちろん、この場合、タッチパネルの機能の全部が一体化された表示装置用前面保護板10を用いる場合は、独立したタッチパネル20を備える必要はなく、前記表示装置用前面保護板10と、表示パネル30とを少なくとも備えた構成の表示装置となる。この形態では、表示パネル30の外周部の配線、コネクタ、制御回路などを隠すことができる。
また、組み込もうとするタッチパネルが透明電極を備えた方式のものであり、しかも前記透明電極が互いに絶縁された第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとの2層からなり、この2層が互いに別々の基板上に形成される構造である場合は、このうちのいずれか一方の基板を表示装置用前面保護板10の透光性基板1と兼用することで、一方の透明電極を表示装置用前面保護板10に一体化し、他方の透明電極と基板とを、表示装置用前面保護板10及び表示パネル30とは別体のタッチパネル構成部材として組み込んで、表示装置100を構成することも可能である。どのような構成で表示装置用前面保護板10とタッチパネル機能とを一体化するかは、使用し得る製造設備、組立工程などの諸条件に適した構成を選べば良い。
〔D〕用途:
本実施形態による表示装置用前面保護板10、及び表示装置100の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットPCなどの携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション、デジタルカメラ、電子手帳、ゲーム機器、自動券売機、ATM端末、POS端末、などである。
〔本実施形態の作用効果〕
以上のように、本実施形態によれば、透光性基板1と、当該透光性基板1の少なくとも一方の面の側において不透明領域A2に形成された遮蔽層3であって、少なくとも可視光を遮蔽し、赤外透過窓4となる部分は非形成部として形成された遮蔽層3と、前記一方の面の側において不透明領域A2内であって遮蔽層3の前記非形成部を含む部分に積層された赤外透過層2であって、可視光を遮蔽し赤外光を透過する赤外透過層2と、を有し、赤外透過層2は、赤外透過窓4となる前記非形成部を含んだ遮蔽層3と透光性基板1との間の全領域に形成されている。このような形態によれば、透光性基板1の他方の面側から表示装置用前面保護板10を観察した場合に、赤外透過窓4が赤外透過層2に覆われた状態で観察されるため、赤外透過窓4を目立ち難くさせることができる。また、表示装置100のケースに赤外透過窓を設ける必要がないため、表示装置100のケースをより幅広いデザインに対応させることが可能となる。更に、表示装置100のケースに赤外透過窓を設ける必要がないため、外観デザインを損なうこともない。
また、赤外透過層2は、含有する顔料を遮蔽層3と異なるものにすることができ、この結果、遮蔽層3と比較してその色味を調整しやすくなる。すなわち、透光性基板1の他方の面側が表側となる場合には、赤外透過層2が遮蔽層3よりも観察者側に配置され、これにより、使用者によって知覚される不透明領域A2での反射色の色味を調整しやすくなる。同様に、赤外透過層2は、含有する顔料を遮蔽層3と異なるものにすることができ、この結果、不透明領域A2に求められる遮光性を遮蔽層3のみによって実現する場合に比べて、反射率を低く抑えることができる。結果として、外光の反射を抑制し高いコントラストで表示装置100からの映像を表示することができる。
とりわけ、遮蔽層3は、黒色顔料を含み得る着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、赤外透過層2は、着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、赤外透過層2の前記着色顔料は、互いに異なる色であって黒色以外の着色顔料を少なくとも3種類以上含んでいる場合には、赤外透過層2に使用する3種類以上の着色顔料同士の割合を調整することで、不透明領域A2における反射色の色味および不透明領域A2での反射率をより高い自由度で調整することができる。
さらに、本実施形態によれば、赤外透過層2と遮蔽層3との合計の膜厚を薄く形成することができ、これらの膜厚により生じる縁部の段差を小さくすることができる。従って、遮蔽層3は、赤外透過層2に隣接する一方の面S3と、当該一方の面S3とは反対側に位置する他方の面S4を有し、遮蔽層3の前記他方の面S4側に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極8が形成され、透明電極8が、表示用領域A1から不透明領域A2まで延び、遮蔽層3と重なる領域に配置された不透明な配線9と不透明領域A2で電気的に接続されている場合、タッチパネル20の位置検知用の透明電極8がスパッタ法などで形成される時に段差部分で断線されるおそれを軽減することができる。
さらに、本実施形態によれば、透光性基板1と遮蔽層3との間に赤外透過層2が介在している。これにより、透光性基板1と遮蔽層3との間での密着性が低下してしまうといった不具合を解消することができる。とりわけ、上述した実施の形態では、赤外透過層2が、透光性基板1と遮蔽層3とに隣接して、透光性基板1と遮蔽層3との間に配置されている。このような形態によれば、赤外透過層2と透光性基板1との高温高湿下での密着性を十分に確保しつつ、赤外透過層2と遮蔽層3との高温高湿下での密着性も十分に確保することができる。従って、赤外透過層2を介して遮蔽層3と透光性基板1との高温高湿下での密着性の低下をより効果的に改善することができる。
また、本実施の形態の表示装置100によれば、表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間にタッチパネル20を更に備え、タッチパネル20は、表示用領域A1と重なる領域から不透明領域A2と重なる領域まで延びた透明電極8と、遮蔽層3と重なる領域に配置された不透明な配線9と、を有し、透明電極8は、不透明領域A2と重なる領域で不透明な配線9と電気的に接続されている。このような形態によれば、表示パネル30からの表示光を表側から観察する観察者にとって、不透明な配線9が表示装置用前面保護板10の不透明領域A2の遮蔽層3に重なって隠れて視える。このため、不透明な配線9によって表示装置100の外観を損ねることを防止することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述する。
〔実施例1〕
透光性基板として、厚み0.5mmの化学強化ガラスを用い、当該化学強化ガラスの裏側として使用する片面の外周部に赤外透過層を形成した。赤外透過層は、顔料と、紫外線照射で硬化する感光性樹脂からなる樹脂バインダと、を含む組成物を、フォトリソグラフィ法でパターンニングして、膜厚2.5μmに形成した。樹脂バインダ中には、チタンブラックやカーボンブラックなどの黒色顔料を含有させず、以下に示す、それぞれが赤色、黄色、青色を呈する有機系の着色顔料を3種類含有させた。つまり3色を混合して黒色を呈する様にした。樹脂バインダは、アクリル系樹脂を用いたカラーフィルタ着色層用レジスト(着色レジスト)とした。
・赤色顔料:ジケトピロロピロール系のピグメントレッド254(PR254)
・黄色顔料:イソインドリン系のピグメントイエロー139(PY139)
・青色顔料:銅フタロシアニン系のビグメントブルーPB15:6(PB15:6)
但し、赤色顔料:黄色顔料:青色顔料=35:35:30(質量比)である。
次に、この赤外透過層の面に、赤外透過窓となる部分を非形成部とした遮蔽層を形成した。この遮蔽層は、黒色の顔料と、紫外線照射で硬化する感光性樹脂からなる樹脂バインダと、を含む組成物を、フォトリソグラフィ法でパターンニングして、膜厚0.9μmに形成した。黒色の着色顔料としてカーボンブラックを含有させることで黒色を呈する様にした。樹脂バインダは、アクリル系樹脂を用いたカラーフィルタのブラックストライプ用の黒色レジストとした。前記赤外透過層と遮蔽層との合計膜厚は3.4μmとなった。
〔実施例2〕
実施例1において、赤外透過層の膜厚を2.1μmに減らして、合計膜厚を3.0μmとした他は、実施例1と同様にして表示装置用前面保護板を作製した。
〔実施例3〕
実施例1において、赤外透過層の膜厚を1.1μmに減らして、その分、遮蔽層の膜厚を1.2μmに増やして合計膜厚を2.3μmとした他は、実施例1と同様にして表示装置用前面保護板を作製した。
〔実施例4〕
実施例1において、赤外透過層の膜厚を0.5μmに減らして、その分、遮蔽層の膜厚を1.4μmに増やして合計膜厚を1.9μmとした他は、実施例1と同様にして表示装置用前面保護板を作製した。
〔実施例5〕
実施例1において、赤外透過層の膜厚を0.3μmに減らして、その分、遮蔽層の膜厚を1.5μmに増やして合計膜厚を1.8μmとした他は、実施例1と同様にして表示装置用前面保護板を作製した。
〔比較例1〕
実施例1において、赤外透過層を形成する材料を、樹脂バインダは同じで、黒色顔料も含めて着色顔料を含まない透明レジストに変更して、赤外透過層に代えて膜厚1.5μmの透明樹脂層を形成した。その他は、実施例1と同様にして、遮蔽層との合計膜厚3.0μmとなる表示装置用前面保護板を作製した。
〔比較例2〕
実施例1において、赤外透過層の形成を省略して、遮蔽層のみ膜厚1.5μmで形成した他は、実施例1と同様にして、表示装置用前面保護板を作成した。
〔比較例3〕
実施例1において、赤外透過層の形成を省略して、遮蔽層を形成する材料を、黒色顔料としてカーボンブラックを含有するスクリーン印刷用黒色インキに変更し、これをスクリーン印刷して、膜厚6.0μmの遮蔽層のみを形成した他は、実施例1と同様にして、表示装置用前面保護板を作製した。
〔性能評価方法〕
以下の光学特性と、高温高湿下での密着性を評価した。
[光学特性]
光学特性は、以下の項目を顕微分光測光装置を用いて測定した。
1)光学濃度(OD;Optical Density):
赤外透過層のみ、或いは赤外透過層と遮蔽層とが積層された全体の可視光域に於ける透過光に対する遮光性を、光学濃度で評価した。この光学濃度は、赤外透過層単体の部分(赤外透過窓の部分)或いは赤外透過層と遮蔽層とが積層された部分に垂直入射した入射光の強度Iinと、垂直に透過した透過光の強度Ioutとの比率、「log10(Iin/Iout)」である。OD値が4.0のとき、可視光線透過率は1/10000となる。赤外透過層と遮蔽層とが積層された部分では、OD値が4.0以上であれば、黒色の不透明領域として充分満足できる。赤外透過層に代えて透明樹脂層を設けた構成では、この透明樹脂層のみの部分、或いは透明樹脂層と遮蔽層との積層部分を測定対象とした。本実施例では、顕微分光測光装置を用いることによって、透光性基板側から垂直に入射する入射光と、表示装置用前面保護板を透過した透過光とについて、分光特性を測定し、分光特性として得られたJIS−Z8701に準ずるXYZ表色系における明るさYを用いて光学濃度を算出した。
2)反射率:
裏側に形成した遮蔽層がある部分に透光性基板側から入射した入射光が、遮蔽層と透光性基板との界面、或いは間に赤外透過層がある場合は赤外透過層と透光性基板との界面、或いは間に透明樹脂層がある場合は遮蔽層と透明樹脂層との界面、で反射して、透光性基板側に戻る反射光の前記入射光に対する強度の割合で、反射光の強度Irefと入射光の強度Iinとの比率、(Iref/Iin)×100で算出した百分率で評価した。前記2)に示す反射色度と同様に、透光性基板と空気との界面で生じる反射光の影響は無視できる。赤外透過層が存在し、その光学濃度が小さい場合は、赤外透過層と遮蔽層との界面からの反射光も一部含まれて測定される。赤外透過層に代えて透明樹脂層を形成した構成では、透明樹脂層と遮蔽層との界面での反射光を測定した。本実施例では、顕微分光測光装置を用いることによって、透光性基板側から垂直に入射する入射光と、表示装置用前面保護板からの反射光とについて、分光特性を測定し、分光特性として得られたJIS−Z8701に準ずるXYZ表色系における明るさYを用いて反射率を算出した。
[高温高湿下の密着性]
透光性基板に対する遮蔽層の高温高湿下の密着性は、試験片を、温度60℃、相対湿度95%RHの環境下に最大400hr放置し、試験開始時の初期と、20hr、100hr、400hr毎の、遮蔽層の密着性を以下により測定して評価した。遮蔽層と透光性基板との間に赤外透過層などの介在層が介在する場合は、この介在層と遮蔽層との積層物としての密着性が評価される。
前記密着性は、具体的には、JIS K5400(1990年)の碁盤目テープ法に準拠して評価した。すなわち、試験片の遮蔽層の上から、カッターナイフで1mm幅の切り傷を付けて、1mmの大きさの正方形からなる碁盤目を100個作り、この碁盤目の上から、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けてから1〜2分後に、セロハン粘着テープの一端を持って、試験片の面に直角に保ち瞬間的に引き剥がしたときの、碁盤目の面の状態から密着性を評価点数で評価した。
評価点数は最も良いのを10点、最も悪いのを0点とし、以下の基準により判定する。
10点:切り傷1本毎が細く両端が滑らかで、碁盤目の剥がれが1個もない状態。
8点:切り傷の交点にわずかに剥がれがあるが、碁盤目の剥がれは1個もなく、欠損部の面積が碁盤目全体の5%以内の状態。
6点:切り傷の両側と交点とに剥がれがあり欠損部の面積が碁盤目全体の5〜15%の状態。
4点:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が碁盤目全体の15〜35%の状態。
2点:切り傷による剥がれの幅が4点よりも広く、欠損部の面積が碁盤目全体の35〜65%の状態。
0点:欠損部の面積が碁盤目全体の65%以上の状態。
表1中に於いて、密着性の評価欄は、400hr経過後でも、密着性(評価点数)の低下が認められないものは「◎」で表記し、400hr経過後に始めて密着性(評価点数)の低下が認められたものは「○」で表記し、100hr経過後に始めて密着性(評価点数)の低下が認められたものは「△」で表記し、20hr経過後でも既に密着性(評価点数)の低下が認められたものは「×」で表記した。比較例2が20hr経過後で性能低下することから、少なくとも20hr経過後で初期性能を維持できるものは、改善効果ありとする。
〔性能評価結果〕
実施例及び比較例の透光性基板上での層構成の主要な内容と、性能評価結果は表1のとおりである。
Figure 2013094476
実施例1は、基本性能として、赤外透過層及び遮蔽層の合計膜厚を段差の問題を改善でき得る5μm以下の3.4μmにしても、遮光性は光学濃度ODで5.0を確保でき、反射率3.0%以下を実現できた。以上、基本性能としての赤外透過層及び遮蔽層による不透明領域としての光学性能は満足できるものが得られた。透光性基板上に遮蔽層が存在せず赤外透過層のみで赤外透過窓となる部分については、着色顔料としてカーボンブラックやチタンブラックなどの黒色顔料を使用せず、赤、黄、青の着色顔料の3種類の組み合わせで黒色を表現している。そして、この部分は、膜厚2.5μmで、光学濃度ODが2.0となる遮光性を確保できた。この赤外透過層の赤外光に対する透過性は、波長800nmで50%以上、波長850〜1300nmで90%以上を確保できた。遮蔽層の高温高湿下での密着性は、試験時間400hr後でも評価点数は10点で、初期状態に対して低下は認められず充分な性能(表1中評価「◎」)が得られた。
実施例2〜実施例5は、前記実施例1に対して、光学濃度OD5.0を維持できる様に、この順に、赤外透過層の膜厚を減らし、その分、遮蔽層の膜厚を増やした実施例である。いずれの実施例も、光学濃度OD5.0を維持しつつ、膜厚3.0μm以下を実現できた。ただ、これらの中で赤外透過層の膜厚が0.3μmと最小の実施例5については、反射率が3.65%まで上昇した。このことは、反射率を低く抑えるためには、赤外透過層の光学濃度を大きくするのが良いことを示している。例えば反射率3.5%以下などと、より反射率の少ない製品を望むならば、赤外透過層の膜厚を0.5μm以上、さらに反射率を小さいものとするには、赤外透過層の膜厚を例えば1.5μm以上、にすれば良いことが確認できる。
一方、遮蔽層の透光性基板に対する高温高湿下での密着性の点は、赤外透過層の膜厚が0.3μmと薄い場合も含めて、実施例2〜実施例5の全てで、試験時間400hr後でも評価点数は10点で、初期状態に対して低下は認められず充分な性能(表1中評価「◎」)が得られた。
前記反射率において、赤外透過層に代えて、着色顔料の含有を省略した透明樹脂層を介在させた比較例1では、密着性こそ各実施例と同様に400hrまで性能低下は認められず(表1中、評価「◎」)、密着性低下に対する改善効果が確認され、また、光学濃度ODも5.0を維持できた。ただし、反射率が4.83%と4%を超過してしまった。このことは、反射率を低く抑えるためには、単に遮蔽層と透光性基板との間に樹脂層を介在させれば良いのではなく、有色の赤外透過層を介在させるのが、効果的であることを示している。
遮蔽層のみの比較例2は黒色顔料で黒を表現したカラーフィルタのブラックマトリクス用のレジストによるものだが、膜厚が1.5μmと薄くても光学濃度OD値5.0と高い遮光性が得られる反面、反射率が4.78%と大きく外観を損ねる可能性がある上、密着性が試験時間20hrで既に低下が始まっており、密着性も満足できる性能ではない(表1中、評価「×」)。
比較例3は、黒色顔料で黒を表現したスクリーン印刷用インキによる遮蔽層のみのものだが、光学濃度ODと反射率の光学性能及び密着性は問題がないが、そのための膜厚が6.0μmと厚く、これによって発生する段差の問題がある。もちろん、このインキによる遮蔽層は、赤外光に対して遮光性であり、非形成部として赤外透過窓を設けただけでは、その部分が透光性基板の透明感となってしまい、製品デザインとして、好ましくない。

Claims (9)

  1. 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、且つ、前記不透明領域内の一部に赤外光を透過する赤外透過窓が設けられた表示装置用前面保護板であって、
    透光性基板と、
    この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面との少なくとも一方の面の側において前記不透明領域に形成された遮蔽層であって、少なくとも可視光を遮蔽し、前記赤外透過窓となる部分は非形成部として形成された遮蔽層と、
    前記一方の面の側において前記不透明領域内であって前記遮蔽層の前記非形成部を含む部分に積層された赤外透過層であって、可視光を遮蔽し赤外光を透過する赤外透過層と、を有し、
    前記赤外透過層は、前記赤外透過窓となる前記非形成部を含んだ前記遮蔽層と前記透光性基板との間の全領域に形成されている、表示装置用前面保護板。
  2. 前記遮蔽層は、黒色顔料を含み得る着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
    前記赤外透過層は、着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
    前記赤外透過層の前記着色顔料は、互いに異なる色であって黒色以外の着色顔料を少なくとも3種類以上含む、請求項1に記載の表示装置用前面保護板。
  3. 前記赤外透過層は、前記透光性基板と前記遮蔽層とに隣接して、前記透光性基板と前記遮蔽層との間に配置されている、請求項2に記載の表示装置用前面保護板。
  4. 前記透光性基板の前記第1面は、表側に面しており、
    前記赤外透過層は、前記透光性基板の前記第2面に配置されている、請求項3に記載の表示装置用前面保護板。
  5. 前記遮蔽層は、前記赤外透過層に隣接する一方の面と、当該一方の面とは反対側に位置する他方の面を有し、
    前記遮蔽層の前記他方の面側に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が形成され、
    前記透明電極が、前記表示用領域から前記不透明領域まで延び、前記遮蔽層と重なる領域に配置された不透明な配線と前記不透明領域で電気的に接続されている、請求項4に記載の表示装置用前面保護板。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備える、表示装置。
  7. 前記透光性基板の前記一方の面の側に前記表示パネルが配置されている、請求項6に記載の表示装置。
  8. 前記表示装置用前面保護板と前記表示パネルとの間にタッチパネルを更に備え、前記タッチパネルは、前記表示用領域と重なる領域から前記不透明領域と重なる領域まで延びた透明電極と、前記遮蔽層と重なる領域に配置された不透明な配線と、を有し、
    前記透明電極は、前記不透明領域と重なる領域で前記不透明な配線と電気的に接続されている、請求項7に記載の表示装置。
  9. 前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、請求項6に記載の表示装置。
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